説明

吐出検査方法、吐出検査装置、描画方法及び描画装置

【課題】検出し難い液状体を容易に検出できるようにすることによって、液滴吐出ヘッドの吐出検査を容易に実施できる吐出検査方法等を提供する。
【解決手段】吐出検査方法は、検査描画媒体上に検出用液状体を配置する検出用液配置工程と、検査描画媒体上に描画用液状体を配置する描画用液配置工程と、検査描画媒体に配置された描画用液状体及び検出用液状体の状態を検出する検出工程と、を有し、描画用液配置工程は、検出用液状体を非流動状態とした後に実施し、描画用液配置工程においては、検出用液状体と少なくとも一部が重なる位置に、描画用液状体を着弾させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状体を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドを備える液滴吐出装置における吐出検査方法及び吐出検査装置並びに液状体を液滴として吐出することによって描画する描画方法及び描画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液滴吐出ヘッドを備え、当該液滴吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出し、任意の位置に着弾させることによって、所定の量の液状体を所定の位置に精度よく配置する液滴吐出装置が知られている。
液滴吐出装置を用いて、様々な液状体を扱い、様々な画像や膜などが形成されている。無色透明な液状体を用いて、人間には見え難いマーカーを描画したり、描画画像の上にコーティング用の透明被膜を形成したりすることも行われている。
所定の量の液状体を所定の位置に精度よく配置するためには、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルからの吐出量や吐出方向が正確であり、当該正確な吐出量や吐出方向が維持されていることが必要である。正確な吐出量や吐出方向が維持されているかを検証するために、吐出ノズルからの吐出状態を検査する吐出検査が行われている。
しかし、無色透明な液状体は、視認することが困難であって、液状体を検出することが困難である。液状体を検出することが困難であることに起因して、正確な吐出検査がし難いという課題があった。
【0003】
特許文献1には、ノズルから意図した位置に液滴を発射し、意図した位置を照明し、意図した位置から光を反射させ、意図した位置を含む領域の反射率の変化を検出し、検出した反射率の変化から透明インク滴の位置を決定する、透明インクを検出するシステムおよび方法が開示されている。
特許文献2には、レーザ光源から発生された検出光を光沢紙の表面にスポット照射する走査機構と、光沢紙表面で反射させた検出光を受光するミラー、集光ミラー及び受光素子群と、受光素子群からの検出信号が入力される主制御部とを備え、主制御部は、光沢紙の表面微細状態に起因する光の散乱度合いの違いに基づき、透明インクの着弾領域と非着弾領域とを認識することで、透明液体等の視認困難な液体についても検出可能なドット抜け検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−159783号公報
【特許文献2】特開2004−314362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された装置は、反射率の変化によって透明インク滴の位置を求めるため、反射率を測定できるセンサー及びセンサーを含むシステムを稼働させるための専用のソフトウェアが必要である。
特許文献2に開示された装置は、光の散乱度合いの違いによって透明インク滴の位置を求めるため、光の散乱度合いを測定できるセンサー及びセンサーを含むシステムを稼働させるための専用のソフトウェアが必要である。
さらに、反射率や光の散乱度合いは、透明インクや記録媒体によって異なるため、透明インクや記録媒体のそれぞれに対応して、反射率や光の散乱度合いを予め測定することが必要であるという課題もあった。
【0006】
視認できる液状体の液滴を撮像装置で撮影する場合には、液状体の境界が明確に判別できるため、液状体の形状や大きさや位置などの複数の情報も容易に取得できる。複数の情報を検証することで、誤検出の可能性を減少させることもできる。しかし、特許文献1や特許文献2に開示された装置や方法では、液状体の境界が明確に判別できないという課題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の手段を採用した。
【0008】
本発明に係る吐出検査方法は、描画用液状体を液滴として吐出する吐出ノズルを備える描画装置における吐出検査方法であって、検査描画媒体に向けて、検出用吐出ノズルから検出用液状体の液滴を吐出し、前記検査描画媒体上に着弾させることで、前記検査描画媒体上に前記検出用液状体を配置する検出用液配置工程と、前記吐出ノズルから前記検査描画媒体に向けて前記描画用液状体の液滴を吐出し、前記検査描画媒体上に着弾させることで、前記検査描画媒体上に前記描画用液状体を配置する描画用液配置工程と、前記検査描画媒体に配置された前記描画用液状体及び前記検出用液状体の状態を検出する検出工程と、
を有し、前記検出用液配置工程及び前記描画用液配置工程は、いずれか一方の工程を実施した後、当該工程において配置された前記描画用液状体又は前記検出用液状体を非流動状態とした後に、もうー方の工程を実施し、前記検出用液配置工程及び前記描画用液配置工程における後に実施する前記検出用液配置工程又は前記描画用液配置工程においては、先に実施した前記検出用液配置工程又は前記描画用液配置工程において配置されている前記描画用液状体又は前記検出用液状体と少なくとも一部が重なる位置に、前記描画用液状体又は前記検出用液状体を着弾させることを特徴とする。
【0009】
これにより、配置された描画用液状体を、検出用液状体と重なり合わせることができる。描画用液状体と検出用液状体とが重なりあうことで、目視すると、描画用液状体又は検出用液状体の状態を変えることができる。例えば、描画用液状体及び検出用液状体の色調を変えることができる。例えば、描画用液状体が無色透明である場合のように、視認し難い色調の液状体であっても、検出用液状体に重ね合わせることによって(透して)色調が変化して、視認し易くなるようにすることができる。
検出工程において、色調の変化などの状態の変化を検出することで、描画用液状体の存在を検出することができる。描画用液状体が配置される予定の位置における描画用液状体の存在を検出することで、当該描画用液状体を吐出する吐出ノズルの状態が吐出可能な状態であるかを検査することができる。
【0010】
前記検出用液配置工程及び前記描画用液配置工程における、後に実施する前記検出用液配置工程又は前記描画用液配置工程では、先に実施した前記検出用液配置工程又は前記描画用液配置工程において配置されている前記描画用液状体又は前記検出用液状体と、後に実施する前記検出用液配置工程又は前記描画用液配置工程において配置される前記描画用液状体又は前記検出用液状体と、の双方において、少なくとも一部が重ならない位置に、前記描画用液状体又は前記検出用液状体を着弾させ、前記検出工程では、前記検査描画媒体上に配置された、前記描画用液状体の液滴と前記検出用液状体の液滴とによって形成された形状を、検出することを特徴とする。
【0011】
一般的に、着弾した液滴の形状は略円形となる。この吐出検査方法によれば、描画用液状体と検出用液状体とで形成される形状は、2個の円の一部が互いに重なると共に、それぞれの円において重ならない部分が存在することで、円形とは異なる形状となる。検出工程において、検査描画媒体上に配置された、描画用液状体の液滴と検出用液状体の液滴とが形成した形状を、検出することで、描画用液状体の有無を検出することができる。
【0012】
前記検出用液配置工程及び前記描画用液配置工程では、前記描画用液状体又は前記検出用液状体を、配置された複数の前記描画用液状体及び複数の前記検出用液状体で所定の形状を描く位置に配置することを特徴とする。
【0013】
吐出ノズルが正常に吐出できる場合には、吐出された描画用液状体及び検出用液状体で、所定の形状が描かれる。正常でない吐出ノズルが存在した場合には所定の形状が、形成されない。このため、検出工程において、描画用液状体の液滴と検出用液状体の液滴とで形成された形状が所定の形状であるか否かを、検出することで、描画用液状体の有無を検出ずることができる。全体の形状を一括して扱うことで、描画用液状体の液滴の有無を個別の液滴ごとに検査する場合にくらべて、必要とする演算量を抑制することができる。
【0014】
前記検出工程では、前記検出用液状体又は前記描画用液状体の色調の変化の有無を検出することを特徴とする。
【0015】
描画用液状体と検出用液状体とは、少なくとも一部が重なる状態で配置されるものの、描画用液状体と検出用液状体とが混じりあうことはない。しかし、重なりあった部分の色調が変化する。描画用液状体が無色透明である場合には、検出用液状体を透して色調が変化されて、視認し易くすることができる。検出工程において、色調の変化を検出することで、描画用液状体の存在を検出することができる。
【0016】
前記検出用液状体は、前記描画用液状体と反応することで色調が変化する成分を含む液状体、又は前記描画用液状体が前記検出用液状体と反応することで前記描画用液状体の色調が変化する成分を含む液状体であることを特徴とする。
【0017】
描画用液状体が所定の位置に配置されると、検出用液状体と描画用液状体とが接触して検出用液状体又は描画用液状体の色調が変化する。検出工程において、検出用液状体又は描画用液状体の色調の変化の有無を検出することで、描画用液状体の存在を検出することができる。
【0018】
前記描画用液状体が無色透明な液状体であることを特徴とする。
【0019】
無色透明な描画用液状体が、検出用液状体と重なりあう。無色透明な描画用液状体が検出用液状体と重なりあうことで、描画用液状体が検出用液状体を透すことで無色透明ではなくなるため、輪郭せんが明瞭になることで、描画用液状体を検出し易くすることができる。描画用液状体が無色透明ではなくなって輪郭せんが明瞭になることで、検出用液状体と描画用液状体とで形成される形状が、検出用液状体のみの場合の形状と異なることを容易に検出することができる。検出用液状体が無色透明な描画用液状体と重なり合うことで、検出用液状体の色調が変化するため、検出用液状体の色調の変化を検出することで、描画用液状体の存在を検出することができる。
【0020】
前記描画装置は、種類が互いに異なる前記描画用液状体のいずれかをそれぞれ吐出する前記吐出ノズルを備えることで、種類が互いに異なる複数種類の前記描画用液状体を吐出可能であり、前記検出用液配置工程では、前記複数種類の前記描画用液状体のいずれかの前記描画用液状体を吐出して配置することを特徴とする。
【0021】
複数種類の描画用液状体のいずれかを検出用液状体として用いて、検出用液状体として用いる描画用液状体以外の描画用液状体を吐出する吐出ノズルの吐出検査を実施することができる。同時に、検出用液状体として用いる描画用液状体が適切に存在するかが検証されるため、検出用液状体として用いる描画用液状体を吐出する吐出ノズルの吐出検査も並行して実施することができる。
【0022】
前記描画装置は、前記検出用液状体を吐出する検出専用吐出ノズルを備え、前記検出用液配置工程では、前記検出専用吐出ノズルから前記検出用液状体を吐出することを特徴とする。
【0023】
検出専用吐出ノズルを備えることで、専用の検出用液状体を自由に選択することができるため、描画用液状体の特性に対応して、検出のために好適な特性を有する検出用液状体を選択することができる。
【0024】
前記検出用液配置工程と、前記描画用液配置工程と、前記検出工程と、を再度実施することを特徴とする。
【0025】
検出用液配置工程と、描画用液配置工程と、検出工程とを実施して吐出ノズルが不良と判定される要因には、検出用液配置工程において検出用液状体の液滴を吐出する検出用吐出ノズルの不具合も含まれる。また、一時的に出現して回復する不具合も含まれる。
検出用液配置工程と、描画用液配置工程と、検出工程とを再度実施することで、検出用吐出ノズルの不具合に起因して、検出用液配置工程において吐出ノズルが不良と判定されることを抑制することかできる。また、一時的に出現して回復する不具合に起因して吐出ノズルが不良と判定されることを抑制することができる。
【0026】
前記検出工程において不具合が検出された前記吐出ノズルを検査対象として、前記検出用液配置工程と、前記描画用液配置工程と、前記検出工程と、を再度実施することを特徴とする。
【0027】
検出用液配置工程と、描画用液配置工程と、検出工程とを実施して吐出ノズルが不良と判定される要因には、検出用液配置工程において検出用液状体の液滴を吐出する検出用吐出ノズルの不具合も含まれる。また、一時的に出現して回復する不具合も含まれる。
検出用液配置工程と、描画用液配置工程と、検出工程とを再度実施することで、検出用吐出ノズルの不具合に起因して吐出ノズルが不良と判定されることを抑制することができる。また、一時的に出現して回復する不具合に起因して吐出ノズルが不良と判定されることを抑制することができる。検出工程において不具合が検出された吐出ノズルを検査対象とすることで、検出用液配置工程と、描画用液配置工程と、検出工程とを再度実施する際も全ての吐出ノズルを検査対象とする場合にくらべて、検査に要する時間を抑制することができる。
【0028】
互いに少なくとも一部が重なり合う前記描画用液状体と前記検出用液状体とを吐出する前記吐出ノズルと前記検出用吐出ノズルとの組方合わせが、最初に実施する前記検出用液配置工程、前記描画用液配置工程、及び前記検出工程と、再度実施する前記検出用液配置工程、前記描画用液配置工程、及び前記検出工程とで、異なることを特徴とする。
【0029】
検出用液配置工程と、描画用液配置工程と、検出工程とを実施して吐出ノズルが不良と判定される要因には、検出用液配置工程において検出用液状体の液滴を吐出する検出用吐出ノズルの不具合も含まれる。最初に実施する検出用液配置工程、描画用液配置工程、及び検出工程と、再度実施する検出用液配置工程、描画用液配置工程、及び検出工程とで、ひとつの吐出ノズルが吐出した描画用液状体と重なる位置に対応する検出用吐出ノズルを異ならせることで、検出用吐出ノズルの不具合に起因して吐出ノズルが不良と判定されることを抑制することができる。
【0030】
本発明に係る吐出検査装置は、描画用液状体を液滴として吐出する吐出ノズルを備える描画装置が備える吐出検査装置であって、検査描画媒体に向けて、検出用液状体の液滴を吐出し、前記検査描画媒体上に着弾させることで、前記検査描画媒体上に前記検出用液状体を配置する検出用吐出ノズルを備える検出用液配置手段と、前記吐出ノズルから前記検査描画媒体に向けて液滴として吐出され、前記検査描画媒体上に着弾させられて配置された前記描画用液状体、及び前記検出用液配置手段によって前記検査描画媒体上に配置された前記検出用液状体の状態を検出する検出手段と、を備え、前記検出用液配置手段又は前記吐出ノズルのいずれか一方を用いて前記検出用液状体又は前記描画用液状体を前記検査描画媒体に着弾させた後、着弾させられた前記描画用液状体又は前記検出用液状体を非流動状態とした後に、前記検出用液配置手段又は前記吐出ノズルのもう一方を用いて前記検出用液状体又は前記描画用液状体を前記検査描画媒体に着弾させ、後に着弾させる前記検出用液状体又は前記描画用液状体を、先に着弾させられている前記描画用液状体又は前記検出用液状体と少なくとも一部が重なる位置に着弾させることを特徴とする。
【0031】
これにより、配置された描画用液状体を、検出用液状体と重なり合わせることができる。描画用液状体と検出用液状体とが重なりあうことで、目視すると、描画用液状体又は検出用液状体の状態を変えることができる。例えば、描画用液状体及び検出用液状体の色調を変えることができる。例えば、描画用液状体が無色透明である場合のように、視認し難い色調の液状体であっても、検出用液状体に重ね合わせることによって(透して)色調が変化して、視認し易くなるようにすることができる。
検出工程において、色調の変化などの状態の変化を検出することで、描画用液状体の存在を検出することができる。描画用液状体が配置される予定の位置における描画用液状体の存在を検出することで、当該描画用液状体を吐出する吐出ノズルの状態が吐出可能な状態であるかを検査することができる。
【0032】
前記描画装置は、種類が互いに異なる前記描画用液状体のいずれかをそれぞれ吐出する前記吐出ノズルを備えることで、種類が互いに異なる複数種類の前記描画用液状体を吐出可能であり、前記検出用液配置手段が備える検出用吐出ノズルは、前記複数種類の前記描画用液状体のいずれかの前記描画用液状体を吐出する前記吐出ノズルであることを特徴とする。
【0033】
複数種類の描画用液状体のいずれかを検出用液状体として用いて、検出用液状体として用いる描画用液状体以外の描画用液状体を吐出する吐出ノズルの吐出検査を実施することができる。同時に、検出用液状体として用いる描画用液状体が適切に存在するかが検証されるため、検出用液状体として用いる描画用液状体を吐出する吐出ノズルの吐出検査も並行して実施することができる。
【0034】
前記検出用液配置手段が備える検出用吐出ノズルは、前記検出用液状体を吐出する検出専用吐出ノズルであることを特徴とする。
【0035】
検出専用吐出ノズルを備えることで、専用の検出用液状体を自由に選択することができるため、描画用液状体の特性に対応して、検出のために好適な特性を有する検出用液状体を選択することができる。
【0036】
本発明に係る描画方法は、描画用液状体を液滴として吐出する吐出ノズルから吐出した前記描画用液状体の前記液滴を被描画媒体に着弾させて、前記被描画媒体上に前記描画用液状体を配置する描画方法であって、検査描画媒体に向けて、検出用吐出ノズルから検出用液状体の液滴を吐出し、前記検査描画媒体上に着弾させることで、前記検査描画媒体上に前記検出用液状体を配置する検出用液配置工程と、前記吐出ノズルから前記検査描画媒体に向けて前記描画用液状体の液滴を吐出し、前記検査描画媒体上に着弾させることで、前記検査描画媒体上に前記描画用液状体を配置する描画用液配置工程と、前記検査描画媒体に配置された前記描画用液状体及び前記検出用液状体の状態を検出する検出工程と、を有し、前記検出用液配置工程及び前記描画用液配置工程は、いずれか一方の工程を実施した後、当該工程において配置された前記描画用液状体又は前記検出用液状体を非流動状態とした後に、もう一方の工程を実施し、前記検出用液配置工程及び前記描画用液配置工程における後に実施する前記検出用液配置工程又は前記描画用液配置工程においては、先に実施した前記検出用液配置工程又は前記描画用液配置工程において配置されている前記描画用液状体又は前記検出用液状体と少なくとも一部が重なる位置に、前記描画用液状体又は前記検出用液状体を着弾させることを特徴とする。
【0037】
これにより、配置された描画用液状体を、検出用液状体と重なり合わせることができる。描画用液状体と検出用液状体とが重なりあうことで、目視すると、描画用液状体又は検出用液状体の状態を変えることができる。例えば、描画用液状体及び検出用液状体の色調を変えることができる。例えば、描画用液状体が無色透明である場合のように、視認し難い色調の液状体であっても、検出用液状体に重ね合わせることによって(透して)色調が変化して、視認し易くなるようにすることができる。
検出工程において、色調の変化などの状態の変化を検出することで、描画用液状体の存在を検出することができる。描画用液状体が配置される予定の位置における描画用液状体の存在を検出することで、当該描画用液状体を吐出する吐出ノズルの状態が吐出可能な状態であるかを検査することができる。
【0038】
前記検出用液配置工程及び前記描画用液配置工程における、後に実施する前記検出用液配置工程又は前記描画用液配置工程では、先に実施した前記検出用液配置工程又は前記描画用液配置工程において配置されている前記描画用液状体又は前記検出用液状体と、後に実施する前記検出用液配置工程又は前記描画用液配置工程において配置される前記描画用液状体又は前記検出用液状体と、の双方において、少なくとも一部が重ならない位置に、前記描画用液状体又は前記検出用液状体を着弾させ、前記検出工程では、前記検査描画媒体上に配置された、前記描画用液状体の液滴と前記検出用液状体の液滴とによって形成された形状を、検出することを特徴とする。
【0039】
一般的に、着弾した液滴の形状は略円形となる。この吐出検査方法によれば、描画用液状体と検出用液状体とで形成される形状は、2個の円の一部が互いに重なると共に、それぞれの円において重ならない部分が存在することで、円形とは異なる形状となる。検出工程において、検査描画媒体上に配置された、描画用液状体の液滴と検出用液状体の液滴とが形成した形状を、検出することで、描画用液状体の有無を検出することができる。
【0040】
前記検出工程では、前記検出用液状体又は前記描画用液状体の色調の変化の有無を検出することを特徴とする。
【0041】
描画用液状体と検出用液状体とは、少なくとも一部が重なる状態で配置されるものの、描画用液状体と検出用液状体とが混じりあうことはない。しかし、重なりあった部分の色調が変化する。描画用液状体が無色透明である場合には、検出用液状体を透して色調が変化されて、視認し易くすることができる。検出工程において、色調の変化を検出することで、描画用液状体の存在を検出することができる。
【0042】
前記検出用液状体は、前記描画用液状体と反応することで色調が変化する成分を含む液状体、又は前記描画用液状体が前記検出用液状体と反応することで前記描画用液状体の色調が変化する成分を含む液状体であることを特徴とする。
【0043】
描画用液状体が所定の位置に配置されると、検出用液状体と描画用液状体とが接触して検出用液状体又は描画用液状体の色調が変化する。検出工程において、検出用液状体又は描画用液状体の色調の変化の有無を検出することで、描画用液状体の存在を検出することができる。
【0044】
本発明に係る描画装置は、描画用液状体を液滴として吐出する吐出ノズルを備え、前記吐出ノズルから吐出した前記描画用液状体の前記液滴を被描画媒体に着弾させて、前記被描画媒体上に前記描画用液状体を配置する描画装置であって、検査描画媒体に向けて、検出用液状体の液滴を吐出し、前記検査描画媒体上に着弾させることで、前記検査描画媒体上に前記検出用液状体を配置する検出用吐出ノズルを備える検出用液配置手段と、前記吐出ノズルから前記検査描画媒体に向けて液滴として吐出され、前記検査描画媒体上に着弾させられて配置された前記描画用液状体、及び前記検出用液配置手段によって前記検査描画媒体上に配置された前記検出用液状体の状態を検出する検出手段と、を備え、前記検出用液配置手段又は前記吐出ノズルのいずれか一方を用いて前記検出用液状体又は前記描画用液状体を前記検査描画媒体に着弾させた後、着弾させられた前記描画用液状体又は前記検出用液状体を非流動状態とした後に、前記検出用液配置手段又は前記吐出ノズルのもう一方を用いて前記検出用液状体又は前記描画用液状体を前記検査描画媒体に着弾させ、後に着弾させる前記検出用液状体又は前記描画用液状体を、先に着弾させられている前記描画用液状体又は前記検出用液状体と少なくとも一部が重なる位置に着弾させることを特徴とする。
【0045】
これにより、配置された描画用液状体を、検出用液状体と重なり合わせることができる。描画用液状体と検出用液状体とが重なりあうことで、目視すると、描画用液状体又は検出用液状体の状態を変えることができる。例えば、描画用液状体及び検出用液状体の色調を変えることができる。例えば、描画用液状体が無色透明である場合のように、視認し難い色調の液状体であっても、検出用液状体に重ね合わせることによって(透して)色調が変化して、視認し易くなるようにすることができる。
検出工程において、色調の変化などの状態の変化を検出することで、描画用液状体の存在を検出することができる。描画用液状体が配置される予定の位置における描画用液状体の存在を検出することで、当該描画用液状体を吐出する吐出ノズルの状態が吐出可能な状態であるかを検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】液滴吐出装置の概略構成を示す外観斜視図。
【図2】(a)は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す外観斜視図。(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を示す斜視断面図。(c)は、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルの部分の構造を示す断面図。
【図3】ヘッドユニットの概略構成を示す平面図。
【図4】液滴吐出ヘッドの電気的構成と信号の流れを示す説明図。
【図5】(a)は、吐出ノズルの配置位置を示す説明図。(b)は、液滴をノズル列の延在方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図。(c)は、液滴を主走査方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図。(d)は、液滴を面状に着弾させた状態を示す説明図。
【図6】吐出検査の工程を示すフローチャート。
【図7】(a)は、透明機能液が着弾した透明着弾円、及び有色機能液が着弾した有色着弾円の状態を示す説明図。(b)は、多数の透明着弾円及び有色着弾円で図形を構成する例を示す説明図。
【図8】(a)は、吐出検査の工程を示すフローチャート。(b)は、透明機能液が着弾した透明着弾円、及び有色機能液が着弾した有色着弾円の状態を示す説明図。
【図9】液滴吐出装置の概略構成を示す外観斜視図。
【図10】(a)は、吐出検査の工程を示すフローチャート。(b)は、透明機能液が着弾した透明着弾円及び検査用機能液が着弾した検査用液着弾円の状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、吐出検査方法、吐出検査装置、描画方法、及び描画装置について、図面を参照して説明する。本実施形態は、液滴吐出ヘッドを備え、当該液滴吐出ヘッドを用いて、被描画媒体上に画像を描画する液滴吐出装置における、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルの吐出検査を例に説明する。
液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドと被描画媒体とを相対移動させると共に、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから機能液の液滴を吐出して、被描画媒体上の所定の位置に着弾させることによって、所定の画像を形成する装置である。液滴吐出装置が、描画装置に相当する。
なお、以下の説明において参照する図面では、図示の便宜上、部材又は部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
【0048】
<液滴吐出法>
最初に、液状体を液滴として吐出する液滴吐出法について説明する。液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換方式、電気熱変換方式、静電吸引方式等が挙げられる。
帯電制御方式は、液伏体に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で液状体の飛翔方向を制御して吐出ノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、液状体に30kg/cm2程度の超高圧を印加して吐出ノズル先端側に液状体を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には液状体が直進して吐出ノズルから吐出され、制御電圧をかけると液状体間に静電的な反発が起こり、液状体が飛散して吐出ノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエソ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって液状体を貯留した空間に可僥物質を介して圧力を与え、この空間から液状体を押し出して吐出ノズルから吐出させるものである。
【0049】
また、電気熱変換方式は、液状体を貯留した空間内に設けたヒーターにより、液状体を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の液状体を吐出させるものである。静電吸引方式は、液状体を貯留した空間内に微小圧力を加え、吐出ノズルに液状体のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから液状体を引き出すものである。この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。
【0050】
液滴吐出法は、液状体の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の液状体を的確に配置できるという利点を有する。このうち、ピエゾ方式は、液状体に熱を加えないため、液状体の組成等に影響を与えないなどの利点を有する。
本実施形態では、液状体選択の自由度の高さ、及び液滴の制御吐の良さの点から上記ピエソ方式を用いる。
【0051】
<液滴吐出装置>
次に、液滴吐出ヘッド20(図2参照)を備える液滴吐出装置1の構成の全般について、図1を参照して説明する。
図1は、液滴吐出装置の概略構成を示す外観斜視図である。
【0052】
図1に示すように、液滴吐出装置1は、ヘッド機構部2と、ワーク機構部3と、機能液供給部4と、保守装置部7とを備えている。ヘッド機構部2は、機能液を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド20を有している。ワーク機構部3は、液滴吐出ヘッド20から吐出された液滴の吐出対象であるワークWを載置するワーク載置台30を有している。機能液供給部4は、貯留タンクと、中継タンクと、給液チューブとを有し、当該給液チューブが、液滴吐出ヘッド20に接続されており、給液チューブを介して機能液が液滴吐出ヘッド20に供給される。保守装置部7は、液滴吐出ヘッド20の検査又は保守を実施する各装置を備えている。液滴吐出装置1は、また、これら各機構部などを総括的に制御する吐出装置制御部6を備えている。
【0053】
さらに、液滴吐出装置1は、床上に設置された複数の支持脚8と、支持脚8の上側に設置された定盤9とを備えている。定盤9の上側には、ワーク機構部3が定盤9の長手方向(X軸方向)に延在するように配設されている。ワーク機構部3の上方には、定盤9に固定された2本の支持柱で支持されているヘッド機構部2が、ワーク機構部3と直交する方向(Y軸方向)に延在するように配設されている。また、定盤9の傍らには、ヘッド機構部2の液滴吐出ヘッド20に連通する供給管を有する機能液供給部4の機能液タンクなどが配置されている。ヘッド機構部2の一方の支特柱の近傍には、保守装置部7がワーク機構部3と並んでX軸方向に配設されている。さらに、定盤9の下側に、吐出装置制御部6が収容されている。
【0054】
ヘッド機構部2は、液滴吐出ヘッド20を有するヘッドユニット21と、ヘッドユニット21を有するヘッドキャリッジ27と、ヘッドキャリッジ27が吊設された移動枠22とを備えている。ヘッド機構部2は、ヘッドキャリッジ27と、移動枠22との組を2組備えている。ヘッド機構部2は、移動枠22をY軸方向に移動させる、Y軸走査機構も備えている。
移動枠22を、Y軸走査機構によってY軸方向に移動させることで、液滴吐出ヘッド20をY軸方向に自在に移動させる。また、移動した位置に保持する。2個の移動枠22は、それぞれ独立して移動させたり保持したりすることも、2個の移動枠22を一緒に移動させたり保持したりすることも可能である。
ワーク機構部3は、ワーク載置台30と、X軸走査機構とを備えている。ワーク機構部3は、ワーク載置台30を、X軸走査機構によって、X軸方向に移動させることで、ワーク載置台30に載置されたワークWをX軸方向に自在に移動させる。また、移動した位置に保持する。
【0055】
液滴吐出ヘッド20は、Y軸方向の吐出位置まで移動して停止し、下方にあるワークWのX軸方向の移動に同調して、機能液を液滴として吐出する。X軸方向に移動するワークWと、Y軸方向に移動する液滴吐出ヘッド20とを相対的に制御することにより、ワークW上の任意の位置に液滴を着弾させることで、所望する平面形状の描画を実施することが可能である。
【0056】
保守装置部7は、各種検査装置、各種保守装置、及び保守装置走査機構75を備えている。検査装置は、液滴吐出ヘッド20の吐出状態の検査を実施する吐出検査ユニット70などの、液滴吐出ヘッド20の検査を実施する装置である。保守装置は、液滴吐出ヘッド20の各種の保守を実施する装置である。保守装置走査機構75は、これらの各装置をX軸方向に移動可能であって、任意の位置に保持可能に支持する装置である。
液滴吐出ヘッド20の検査や保守を実施する際には、ヘッドユニット21(液滴吐出ヘッド20)が、Y軸走査機構を用いて保守装置部7に臨む位置に移動させられる。また、実施する検査又は保守に対応する検査装置又は保守装置が、保守装置走査機構75によって、ヘッドユニット21(液滴吐出ヘッド20)に臨む位置に移動させられる。
【0057】
吐出検査ユニット70は、検査シート載置台71と、撮像カメラ72とを備えている。
検査シート載置台71は、ワーク載置台30の載置面と略平行な載置面を有し、当該載置面に、検査シートを吸着支持可能である。検査シート載置台71は、保守装置走査機構75によって、X軸方向に移動可能であって、任意の位置に保持可能に支持されている。
【0058】
保守装置走査機構75によって、検査シート載置台71をX軸方向に移動させることで、検査シート載置台71の載置面に保持された検査シートを、保守装置部7に臨む位置に移動されたヘッドユニット21(液滴吐出ヘッド20)に臨ませる。当該位置状態で、液滴吐出ヘッド20から液状体を吐出させることで、検査シート載置台71に保持された検査シートに液滴を着弾させることができる。保守装置走査機構75による検査シートのX軸方向の移動に同調させて、液滴吐出ヘッド20が備える吐出ノズル24(図2参照)から液状体を吐出させることで、X軸方向における着弾位置を調整することができる。
【0059】
撮像カメラ72は、カメラ支持棒73に、図示省略した昇降機構によってZ軸方向に昇降自在であって、任意の位置に保持可能に支持されている。カメラ支持棒73は、保守装置走査機構75の脇で、定盤9に立設されており、撮像カメラ72は、保守装置走査機構75に、略Z軸方向から臨んで支持されている。検査シート載置台71は、保守装置走査機構75によって、撮像カメラ72が臨んでおり、撮像カメラ72によって撮影可能な位置に移動可能である。保守装置走査機構75によって、検査シート載置台71を撮像カメラ72に臨む位置に移動することで、検査シート載置台71に保持された検査シートの面を、撮像カメラ72によって撮影可能である。
【0060】
<液滴吐出ヘッド>
次に、液滴吐出ヘッド20について、図2を参照して説明する。
図2は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す図である。図2(a)は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す外観斜視図であり、図2(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を示す斜視断面図であり、図2(c)は、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルの部分の構造を示す断面図である。図2に示したX軸、Y軸、及びZ軸は、液滴吐出ヘッド20が液滴吐出装置1に装着された状態において、図1に示したX軸、Y軸及びZ軸と一致している。
【0061】
図2(a)に示したように、液滴吐出ヘッド20は、ノズル基板25を備えている。ノズル基板25には、多数の吐出ノズル24が略一直線状に並んだノズル列24Aが2列形成されている。吐出ノズル24から機能液を液滴として吐出し、対向する位置にある描画対象物などに着弾させることで、当該位置に機能液を配置する。ノズル列24Aは、液滴吐出ヘッド20が液滴吐出装置1に装着された状態で、図1に示したY軸方向に延在している。ノズル列24Aにおいて吐出ノズル24は等間隔のノズルピッチで並んでおり、2列のノズル列24A間で、吐出ノズル24の位置がY軸方向に半ノズルピッチずれている。したがって、液滴吐出ヘッド20としては、Y軸方向に半ノズルピッチ間隔で機能液の液滴を配置することができる。
【0062】
図2(b)及び(c)に示すように、液滴吐出ヘッド20は、ノズル基板25に圧力室プレート51が積層されており、圧力室プレート51に振動板52が積層されている。
圧力室プレート51には、液滴吐出ヘッド20に供給される機能液が常に充填される液たまり55が形成されている。液たまり55は、振動板52と、ノズル基板25と、圧力室プレート51の壁とに囲まれた空間である。機能液は、機能液供給部4から液滴吐出ヘッド20に供給され、振動板52の液供給孔53を経由して液たまり55に供給される。また、圧力室プレート51には、複数のヘッド隔壁57によって区切られた圧力室58が形成されている。振動板52と、ノズル基板25と、2個のヘッド隔壁57とによって囲まれた空間が圧力室58である。
【0063】
圧力室58は吐出ノズル24のそれぞれに対応して設けられており、圧力室58の数と吐出ノズル24の数とは同じである。圧力室58には、2個のヘッド隔壁57の間に位置する供給口56を介して、液たまり55から機能液が供給される。ヘッド隔壁57と圧力室58と吐出ノズル24と供給口56との組は、液たまり55に沿って1列に並んでおり、1列に並んだ吐出ノズル24がノズル列24Aを形成している。
図2(b)では図示省略したが、図示した吐出ノズル24を含むノズル列24Aに対して液たまり55に関して略対称位置に、1列に並んで配設された吐出ノズル24がもう1列のノズル列24Aを形成している。当該ノズル列24Aに対応するヘッド隔壁57と圧力室58と供給口56との組が、1列に並んでいる。
【0064】
振動板52の圧力室58を構成する部分には、それぞれ圧電素子59の一端が固定されている。圧電素子59の他端は、固定板(図示省略)を介して液滴吐出ヘッド20全体を支持する基台(図示省略)に固定されている。
圧電素子59は、電極層と圧電材料とを積層した活性部を有している。圧電素子59は、電極層に駆動電圧を印加することで、活性部が長手方向(図2(b)又は(c)における振動板52の厚さ方向)に縮む。電極層に印加されていた駆動電圧が解除されることで、活性部が元の長さに戻る。
【0065】
電極層に駆動電圧が印加されて、圧電素子59の活性部が縮むことで、圧電素子59の一端が固定された振動板52が圧力室58と反対側に引張られる力を受ける。振動板52が圧力室58と反対側に引張られることで、振動板52が圧力室58の反対側に挑む。これにより、圧力室58の容積が増加することがら、機能液が液たまり55から供給口56を経て圧力室58に供給される。次に、電極層に印加されていた駆動電圧が解除されると、活性部が元の長さに戻ることで、圧電素子59が振動板52を抑圧する。振動板52が押圧されることで、圧力室58側に戻る。これにより、圧力室58の容積が急激に元に戻る、すなわち増加していた容積が減少することから、圧力室58内に充填されていた機能液に圧力が加わり、当該圧力室58に連通して形成された吐出ノズル24から機能液が液滴となって吐出される。
【0066】
<ヘッドユニット>
次に、ヘッド機構部2が備えるヘッドユニット21の概略構成について、図3を参照して説明する。
図3は、ヘッドユニットの概略構成を示す平面図である。図3に示したX軸及びY軸は、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸及びY軸と一致している。
【0067】
図3に示したように、ヘッドユニット21は、ユニットプレート23と、ユニットプレート23に搭載された9個の液滴吐出ヘッド20と、を有している。液滴吐出ヘッド20は、図示省略したヘッド保持部材を介してユニットプレート23に固定されている。固定された液滴吐出ヘッド20は、ヘッド本体がユニットプレート23に形成された孔(図示省略)に遊嵌して、ノズル基板25が、ユニットプレート23の面より突出した位置に位置している。図3は、ノズル基板25の側から見た図である。9個の液滴吐出ヘッド20は、Y軸方向に分かれて、それぞれ3個ずつの液滴吐出ヘッド20を有するヘッド組20Aを3群、形成している。それぞれの液滴吐出ヘッド20のノズル列24Aは、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、Y軸方向に延在している。
【0068】
一つのヘッド組20Aが有する3個の液滴吐出ヘッド20は、Y軸方向において、互いに隣り合う液滴吐出ヘッド20の、一方の液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24に対して、もう一方の液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24が半ノズルピッチずれて位置する位置に、配設されている。ヘッド組20Aが有する3個の液滴吐出ヘッド20において、全ての吐出ノズル24のX軸方向の位置を同じにすると、吐出ノズル24は、Y軸方向に半ノズルピッチの等間隔で並ぶ。すなわち、X軸方向の同じ位置において、それぞれの液滴吐出ヘッド20が有するそれぞれのノズル列24Aを構成する吐出ノズル24から吐出された液滴は、設計上では、Y軸方向に等間隔に並んで一直線上に着弾する。
【0069】
一つのヘッド組20Aが備える3個の液滴吐出ヘッド20が有する6列のノズル列24Aは、1本のノズル列として扱うこともできる。当該ノズル列は、例えば180個の6倍、1080個の吐出ノズル24を有し、Y軸方向におけるノズルピッチは、70μmであり、Y軸方向の両端の吐出ノズル24の中心間距離(ノズル列長さ)は、約75.5mmである。液滴吐出ヘッド20は、Y軸方向において互いに重なるため、X軸方向に階段状に並んでヘッド組20Aを構成している。
【0070】
ヘッドユニット21が有する3つのヘッド組20Aは、それぞれが有する1本のノズル列とみなせるノズル列が、Y軸方向において、ノズル列24Aの半ノズルピッチずれて位置する位置に、配設されている。言い換えると、それぞれのヘッドユニット21は、互いに隣り合うヘッド組20Aを構成する液滴吐出ヘッド20の、一方のヘッド組20Aにおける液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24に対して、もう一方のヘッド組20Aにおける液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24が、Y軸方向において、半ノズルピッチずれた位置に、配設されている。
【0071】
一つのヘッドユニット21が備える3つのヘッド組20Aにおける9個の液滴吐出ヘッド20が有する18列のノズル列24Aは、1本のノズル列として扱うこともできる。当該ノズル列を「ユニットノズル列240A」と表記する。ユニットノズル列240Aは、例えば180個の18倍、3240個の吐出ノズル24を有しY軸方向におけるノズルピッチは、70μmであり、Y軸方向の両端の吐出ノズル24の中心間距離(ノズル列長さ)は、約226、7mmである。即ち、一つヘッドユニット21の吐出ノズル24から一滴ずつ吐出させて、X軸方向が同じ位置になるように着弾させると、3240個の点が70μmのピッチ間隔で連なる直線が形成される。
【0072】
上述したように、液滴吐出装置1は、2個のヘッドユニット21を備えており、2個のユニットノズル列240AがY軸方向に連なったノズル列を構成することができる。当該ノズル列によって、1回の走査の間に、例えば6480個の点が70μmのピッチ間隔で連なる直線を形成することができる。
【0073】
また、ヘッドユニット21のX方向の両側には、それぞれ紫外線照射装置15が配置されている。紫外線照射装置15は、ヘッドユニット21を挟んで互いに対峙する位置に設けられている。紫外線照射装置15は、それぞれ、紫外光を発する光源を有している。光源からの紫外光は、ヘッドユニット21から吐出された機能液の硬化を促進させる。光源としては、例えば、LED、LD、水銀ランプ、メクルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ等の種々の光源が採用され得る。
紫外線照射装置15は、ワークWや検査シート110に着弾した直後の機能液に対して紫外光を照射する。これにより、機能液は、ワークWや検査シート110上で硬化又は仮硬化される。紫外光の照射量を調整することで、機能液の硬化又は仮硬化の程度、機能液の流動状態が変化する。
【0074】
機能液としては、光の照射を受けることによって硬化が促進する機能液が採用されている。また、機能液の硬化を促進させる光として、紫外光が採用されている。
機能液は、樹脂材料、光重合開始剤及び溶媒を、成分として含んでいる(有色機能液)。これらの成分に、顔料や染料等の色素や、親液性や撥液性等の表面改質材料などの機能性材料身添加することによって固有の機能を有する機能液を生成することができる。顔料や染料等の色素を含有する機能液は、例えば、ワークに描画する画像を形成するための機能液として採用され得る。
【0075】
また、機能液の成分としての樹脂材料に、例えば、アクリル系の樹脂材料などの光透過性を有する樹脂材料身採用することによって、光透過性を有する機能液を構成することができる。このような光透過性を有する機能液は、例えば、クリアインク(透明機能液)としての用途が考えられる。
クリアインクの用途としては、例えば、画像を被覆するオーバーコート層としての用途や、画像を形成する前の下地層としての用途などが考えられる。
下地塗料としては、透光塗料だけでなく、透光塗料に種々の顔料を添加した機能液を採用することもできる。例えば、白色を呈する機能液や、金属的な光沢(メタリッ列を示す機能液なども、下地塗料として採用され得る。
【0076】
機能液における樹脂材料は、樹脂膜を形成する材料である。このような樹脂材料としては、常温で液状であり、重合させることによってポリマーとなる材料であれば特に限定されない。樹脂材料としては、粘性が小さいものが好ましく、オリゴマーの形態であるのが好ましい。さらに、樹脂材料としては、モノマーの形態であることが一層好ましい。
光重合開始剤は、ポリマーの架橋吐基に作用して架橋反応を進行させる添加剤である。光重合開始剤としては、例えば、ペンジルジメチルケタールなどが採用され得る。本実施形態では、光重合開始剤として、ラジカル型の光重合開始剤が採用されている。ラジカル型の光重合開始剤としては、例えば、チバ・ジャパン(株)社製のイルガキュア819などが採用され得る。溶媒は、樹脂材料・の粘度を調整するためのものである。
【0077】
なお、機能液としては、光の照射を受けることによって硬化が促進する機能液に限らない。熱により硬化が促進する機能液でもよい。また、単に乾燥により硬化する場合であってもよい。
また、機能液の硬化を促進させる光としては、紫外光に限らず、赤外光や可視光であってもよい。
また、複数の機能液を重ねて着弾させる場合には、少なくとも下地側の機能液が硬化(乾燥)するものであればよい。
【0078】
<機能液の吐出>
次に、液滴吐出装置1における液滴吐出ヘッド20からの吐出制御方法について、図4を参照して説明する。
図4は、液滴吐出ヘッドの電気的構成と信号の流れを示す説明図である。
【0079】
上述したように、液滴吐出装置1は、液滴吐出装置1の各部の動作を制御する吐出装置制御部6を備えている。吐出装置制御部6は、制御信号を出力するCPU84と、液滴吐出ヘッド20の電気的な駆動制御を行うヘッドドライバー20dとを備えている。
図4に示すように、ヘッドドライバー20dは、FFCケーブルを介して各液滴吐出ヘッド20と電気的に接続されている。また、液滴吐出ヘッド20は、吐出ノズル24(図2参照)ごとに設けられた圧電素子59に対応して、シフトレジスクー(SL)85と、ラッチ回路(LAT)86と、レベルシフター(LS)87と、スイッチ(SW)88とを備えている。
【0080】
液滴吐出装置1における吐出制御は、次のように行われる。最初に、CPU84がワークWなどの描画対象物における機能液の配置パターンをデータ化したドットパターンデータをヘッドドライバー20dに伝送する。そして、ヘッドドライバー20dは、ドットパターンデータをデコードして吐出ノズル24ごとのON/OFF(吐出/非吐出)情報であるノズルデータを生成する。ノズルデータは、シリアル信号(SI)化されて、クロック信号(CK)に同期して各シフトレジスター85に伝送される。
【0081】
シフトレジスター85に伝送されたノズルデータは、ラッチ信号(LAT)がラッチ回路86に入力されるタイミングでラッチされ、さらにレベルシフクー87でスイッチ88用のゲート信号に変換される。即ち、ノズルデータが「ON」の場合にはスイッチ88が開いて圧電素子59に駆動信号(COM)が供給され、ノズルデータが「OFF」の場合にはスイッチ88が閉じられて圧電素子59に駆動信号(COM)は供給されない。そして、「ON」に対応する吐出ノズル24からは機能液が液滴となって吐出され、吐出された機能液の液滴がワークWなどの描画対象物の上に着弾して、描画対象物の上に機能液が配置される。
【0082】
<着弾位置>
次に、液滴吐出ヘッド20の吐出ノズル24と、それぞれの吐出ノズル24から吐出された液滴の着弾位置と、の関係について、図5を参照して説明する。
図5は、吐出ノズルと、それぞれの吐出ノズルから吐出された液滴の着弾位置と、の関係を示す説明図である。図5(a)は、吐出ノズルの配置位置を示す説明図であり、図5(b)は、液滴をノズル列の延在方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図であり、図5(c)は、液滴を主走査方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図であり、図5(d)は、液滴を面状に着弾させた状態を示す説明図である。図5に示したX軸及びY軸は、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸及びY軸と一致している。X軸方向が主走査方向であって、図5に示した矢印aの方向に吐出ノズル24(液滴吐出ヘッド20)を相対移動させながら、任意の位置において液状体の液滴を吐出することによって、X軸方向の任意の位置に液滴を着弾させることができる。
【0083】
図5(a)に示すように、ノズル列24Aを構成する吐出ノズル24は、Y軸方向にノズルピッチPの中心間距離で配列されている。上述したように、2列のノズル列24Aをそれぞれ構成する吐出ノズル24同士は、Y軸方向において、相互に、ノズルピッチPの1/2ずつ位置がずれている。
【0084】
図5(b)に示すように、着弾位置を示す着弾点91と、着弾した液滴の濡れ広がり状態を示す着弾円91Aとで、着弾した1滴の液滴の状態を示している。2列のノズル列24Aの全部の吐出ノズル24から、図5(b)に二点鎖練で示した仮想線L上に着弾させるタイミングで、それぞれ液滴を吐出させることによって、ノズルピッチPの1/2の中心間間隔で着弾円91Aが連なる直線が形成される。
【0085】
図5(c)に示すように、一つの吐出ノズル24から連続して液滴を吐出させることによって、X軸方向に着弾円91Aが連なる直線が形成される。X軸方向における着弾点91間の中心間距離の最小値を、最小着弾距離dと表記する。最小着弾距離dは、主走査方向の相対移動速度と、吐出ノズル24の最小吐出間隔との積である。
【0086】
図5(d)に示すように、二点鎖線で示した仮想線L1、L2、L3上に着弾させるタイミングで、それぞれ液滴を吐出させることによって、ノズルピッチPの1/2の中心間間隔で着弾円91Aが連なる直線が、X軸方向に並列した着弾面が形成される。
図5(d)に示した仮想線L1、L2、L3間の距離が最小着弾距離dの場合のそれぞれの着弾点91が、液滴吐出装置1によって機能液の液滴を配置可能な位置である。
【0087】
画像の描画に際しては、画像の情報に従って、図5(d)に示したそれぞれの着弾点91の位置について、液滴を配置する位置を定める。例えば、当該配置位置、及び配置位置に液滴を吐出する吐出ノズル24を指定した配置表を形成し、配置表に従って機能液を着弾させることによって、画像の情報によって規定される画像を描画する。
なお、図5(d)に示した例では、着弾円91Aの間に隙間が存在するが、ノズルピッチPや最小着弾距離dに対して、吐出する液滴の1滴あたりの吐出重量を適切に定めることによって、隙間なく機能液を配置することが可能である。
【0088】
<吐出検査>
次に、吐出検査ユニット70を用いて実施する吐出ノズル24の吐出検査について、図6及び図7を参照して説明する。
上述したように、液滴吐出装置1は、2個のヘッドユニット21を備えており、2個のユニットノズル列240Aを備えている。ここでは、1個のヘッドユニット21には、無色透明な透明機能液190が供給され、もう1個のヘッドユニット21には、有色の有色機能液290が供給される場合を例に説明する。透明機能液190が供給されるヘッドユニット21を透明液ユニットと表記し、有色機能液290が供給されるヘッドユニット21を有色液ユニットと表記する。
【0089】
図6は、吐出検査の工程を示すフローチャートである。図7は、吐出検査のために吐出されて着弾した機能液の状態を示す説明図である。図7(a)は、透明機能液が着弾した透明着弾円、及び有色機能液が着弾した有色着弾円の状態を示す説明図であり、図7(b)は、多数の透明着弾円及び有色着弾円で図形を構成する例を示す説明図である。
【0090】
図6のステップS21では、検査シート110(図7参照)を、吐出検査ユニット70の検査シート載置台71にセットする。検査シート110としては、樹脂フイルムなどを用いることができる。検査シートは、着弾した機能液が着弾位置から移動し難く、また、浸透し難くいような材質であることが好ましい。
【0091】
次に、ステップS22では、透明液ユニットをY軸方向に移動させて、保守装置部7に臨む位置である吐出検査位置に位置させる。吐出検査位置は、保守装置走査機構75によって検査シート載置台71をX軸方向に走査させることによって、透明液ユニットが有する全ての吐出ノズル24を、検査シート載置台71にセットされた検査シート110に臨ませることができる位置である。
【0092】
次に、ステップS23では、透明液ユニットの吐出ノズル24の検査吐出を実施する。保守装置走査機構75によって、検査シート110が保持された検査シート載置台71をX軸方向に走査させ、透明液ユニットの吐出ノズル24から透明機能液190の透明液滴191を吐出させて、図7(a−1)又は図7(b−1)に示したように、検査シート110の所定の位置に着弾させる。検査シート110の所定の位置は、正確には、検査シート載置台71に保持された検査シート110における、検査シート載置台71の所定の位置を覆っている部分である。
【0093】
図7(a−1)に示すように、検査シート110に着弾した透明機能液190の透明液滴191は、平面視略円形の透明着弾円192を形成する。透明着弾円192の大きさは、透明液滴191の体積、透明機能液190の粘性、検査シート110の透明機能液190に対する撥液特性などによって定まる。
【0094】
図7(b−1)に示すように、透明液滴191を例えば直線状に着弾させる。図7(b−1)に示した例では、液滴吐出ヘッド20の一方のノズル列24Aから吐出した透明液滴191は、仮想線L21上に着弾させ、もう一方のノズル列24Aから吐出した透明液滴191は、仮想線L22上に着弾させている。仮想線L21上及び仮想線L22上には、設計上では、ノズル列24Aにおける吐出ノズル24のノズルピッチの間隔で、透明着弾円192が並んでいる。2列のノズル列24A間で、吐出ノズル24の位置がY軸方向に半ノズルピッチずれているため、仮想線L21上の透明着弾円192と仮想線L22上の透明着弾円192とでは、Y軸方向における位置が半ノズルピッチずれている。
透明機能液190(透明着弾円192)は、紫外線の照射により、硬化(乾燥)又は仮硬化(仮乾燥)等の非流動状態にされる。
【0095】
次に、図6のステップS24では、有色液ユニットをY軸方向に移動させて、保守装置部7に臨む位置である吐出検査位置に位置させる。吐出検査位置は、上述したように、保守装置走査機構75によって検査シート載置台71をX軸方向に走査させることによって、有色液ユニットが有する全ての吐出ノズル24を、検査シート載置台71にセットされた検査シート110に臨ませることができる位置である。有色液ユニットの吐出検査位置は、透明液ユニットの吐出検査位置に対して、Y軸方向に半ノズルピッチずれた位置に設定する。
【0096】
次に、ステップS25では、有色液ユニットの吐出ノズル24の検査吐出を実施する。保守装置走査機構75によって、検査シート110が保持された検査シート載置台71をX軸方向に走査させ、有色液ユニットの吐出ノズル24から有色機能液290の有色液滴291を吐出させて、図7(a−2)及び図7(b−2)に示したように、検査シート110の所定の位置に着弾させる。所定の位置は、有色着弾円292を形成する有色機能液290の少なくとも一部が透明着弾円192を構成する透明機能液190と重なると共に、有色機能液290の少なくとも一部が透明機能液190と重ならない位置である。
ステップS25の有色機能液290の検査吐出は、ステップS23の透明液ユニットの吐出ノズル24の検査吐出で検査シート110に配置された透明機能液190が硬化(乾燥)又は仮硬化(仮乾燥)等の非流動状態となった後に実施する。
【0097】
図7(a−2)に示すように、検査シート110に着弾した有色機能液290の有色液滴291は、平面視略円形の有色着弾円292を形成する。有色着弾円292は、一部が透明着弾円192と重なっている。
有色着弾円292の大きさは、透明着弾円192と同様に、有色液滴291の体積、有色機能液290の粘性、検査シート110の有色機能液290に対する撥液特性などによって定まる。有色着弾円292の大きさ及び透明着弾円192の大きさは、半ノズルピッチ離れて着弾したときに、一部が重なり合う大きさとなるように、体積などを設定する。
【0098】
図7(b−2)に示すように、有色液滴291を、透明液滴191と同様に、直線状に着弾させる。図7(b−2)に示した例では、透明液滴191と同様に、液滴吐出ヘッド20の一方のノズル列24Aから吐出した有色液滴291は、仮想線L21上に着弾させ、もう一方のノズル列24Aから吐出した有色液滴291は、仮想線L22上に着弾させている。仮想線L21上及び仮想線L22上には、設計上では、ノズル列24Aにおける吐出ノズル24のノズルピッチの間隔で、有色着弾円292が並んでいる。2列のノズル列24A間で、吐出ノズル24の位置がY軸方向に半ノズルピッチずれているため、仮想線L21上の有色着弾円292と仮想線L22上の有色着弾円292とでは、Y軸方向における位置が半ノズルピッチずれている。さらに、有色液ユニットの吐出検査位置は、透明液ユニットの吐出検査位置に対して、Y軸方向に半ノズルピッチずれた位置に設定されているため、有色液滴291は、透明液滴191の間に着弾しており、有色液滴291と透明液滴191とが交互に半ノズルピッチ間隔で並んでいる。
【0099】
次に、図6のステップS26では、保守装置走査機構75によって、検査シート110が保持された検査シート載置台71をX軸方向に移動させることによって、検査シート110をX軸方向に移動させて、撮像位置に位置させる。撮像位置は、撮像カメラ72が臨んでおり、撮像カメラ72によって撮影可能な位置である。
【0100】
次に、ステップS27では、撮像カメラ72によって、透明液滴191(透明着弾円192)、及び有色液滴291(有色着弾円292)の画像を取得する。無色透明な透明機能液190からなる透明着弾円192は、主に可視光を情報として取り込む撮像装置では撮影し難い。
しかし、有色機能液290の有色液滴291は、透明機能液190が硬化(乾燥)又は仮硬化(仮乾燥)等の非流動状態となった後に、透明機能液190の透明液滴191に重なる位置に着弾させられている。有色液滴291と透明液滴191とが重なり合っているが、有色機能液290と透明機能液190とが互いに混じりあわないものの、撮像カメラ72から見ると、有色着弾円292と透明着弾円192とが重なり合って(透して)いる部分の色調が変化しており、撮影され易くなっている。
【0101】
次に、ステップS28では、撮像カメラ72によって撮影された画像における透明着弾円192及び有色着弾円292の形状を解析する。
有色液滴291が独立して着弾した状態では、平面視略円形の有色着弾円292が形成される。ステップS25で着弾させられた有色液滴291の有色機能液290は、ステップS23で着弾させられている透明液滴191の透明機能液190と、一部が重なっている。このため、有色着弾円292は、透明着弾円192と重なり合って(透して)いる部分の色調が変化して、円の一部が欠けた形状となる。
【0102】
有色着弾円292の形状が略円形とは異なることで、透明液滴191が存在していると判定することができる。すなわち、該当する位置に向けて透明機能液190を吐出する吐出ノズル24は、少なくとも吐出を実施可能であると判定することができる。また、有色着弾円292を形成する有色機能液290の少なくとも一部が透明着弾円192を形成する透明機能液190と重ならない位置という条件を満たす位置に着弾していると判定できる。すなわち、少なくとも、所定の着弾位置の条件を満たす着弾位置精度が維持されていると判定できる。
【0103】
図7(b−2)に示すように、有色液滴291と透明液滴191とを交互に半ノズルピッチ間隔で並べて着弾させた状態では、撮像カメラ72によって撮影された画像における有色着弾円292と透明着弾円192との像は、着弾円の点を連ねた線となる。図7(b−2)に示した線は略直線であり、当該直線が、複数の描画用液状体及び複数の検出用液状体で描く所定の形状に相当する。
【0104】
有色着弾円292の形状が略円形とは異なることで、透明着弾円192が存在していると判定することができる。すなわち、該当する位置に向けて透明機能液190を吐出する吐出ノズル24は、少なくとも吐出を実施可能であると判定することができる。また、有色液滴291と透明液滴191とを交互に半ノズルピッチ間隔で並べて略直線状に配置するという条件を満たす位置に着弾していると判定できる。すなわち、少なくとも、所定の着弾位置の条件を満たす着弾位置精度が維持されていると判定できる。
【0105】
ステップS28を実施して、吐出検査ユニット70を用いて実施する吐出ノズル24の吐出検査を終了する。
有色機能液290が、検出用液状体に相当する。透明機能液190が、描画用液状体に相当する。有色液ユニットの吐出ノズル24が、検出用吐出ノズルに相当する。有色液ユニットが、検出用液配置手段に相当する。透明液ユニットの吐出ノズル24が、描画用液状体の液滴を吐出する吐出ノズルに相当する。検査シート110が、検査描画媒体に相当する。吐出検査ユニット70が、検出手段に相当する。
【0106】
<吐出検査の2>
次に、吐出検査ユニット70を用いて実施する吐出ノズル24の吐出検査の他の例について、図8を参照して説明する。
図8は、吐出検査の工程を示す図である。図8(a)は、吐出検査の工程を示すフローチャートであり、図8(b)は、透明機能液が着弾した透明着弾円、及び有色機能液が着弾した有色着弾円の状態を示す説明図である。
【0107】
図8(a)のステップS31からステップS34は、上述したステップS21からステップS24と同様の工程である。ステップS21からステップS24では透明液ユニットからの検査吐出を実施しているのに対して、ステップS31からステップS34では有色液ユニットからの検査吐出を実施していることが、異なっている。
図8のステップS31では、検査シート110を、吐出検査ユニット70の検査シート載置台71にセットする。
【0108】
次に、ステップS32では、有色液ユニットをY軸方向に移動させて、保守装置部7に臨む位置である吐出検査位置に位置させる。吐出検査位置は、上述したように、保守装置走査機構75によって検査シート載置台71をX軸方向に走査させることによって、有色液ユニットが有する全ての吐出ノズル24を、検査シート載置台71にセットされた検査シート110に臨ませることができる位置である。
【0109】
次に、ステップS33では、有色液ユニットの吐出ノズル24の検査吐出を実施する。保守装置走査機構75によって、検査シート110が保持された検査シート載置台71をX軸方向に走査させ、有色液ユニットの吐出ノズル24から有色機能液290の有色液滴293を吐出させて、検査シート110の所定の位置に着弾させる。図8(b−1)に示すように、検査シート110に着弾した有色液滴293は、平面視略円形の有色着弾円294を形成する。有色着弾円294の大きさは、有色液滴293の体積、有色機能液290の粘性、検査シート110の有色機能液290に対する撥液特性などによって定まる。
有色機能液290(有色着弾円294)は、紫外線の照射により、硬化(乾燥)又は仮硬化(仮乾燥)等の非流動状態にされる。
【0110】
次に、図8(a)のステップS34では、透明液ユニットをY軸方向に移動させて、保守装置部7に臨む位置である吐出検査位置に位置させる。吐出検査位置は、上述したように、保守装置走査機構75によって検査シート載置台71をX軸方向に走査させることによって、透明液ユニットが有する全ての吐出ノズル24を、検査シート載置台71にセットされた検査シート110に臨ませることができる位置である。透明液ユニットの吐出検査位置は、例えば、有色液ユニットの吐出検査位置と同じ位置に設定する。
【0111】
次に、ステップS35では、透明液ユニットの吐出ノズル24の検査吐出を実施する。
保守装置走査機構75によって、検査シート110が保持された検査シート載置台71をX軸方向に走査させると共に、透明液ユニットの吐出ノズル24から透明機能液190の透明液滴193を吐出させて、図8(b−3)に示したように、検査シート110の所定の位置に着弾させる。図8(b−3)に示したように、所定の位置は、有色液滴293の着弾位置と同じ位置である。したがって、透明液滴193は、有色着弾円294を形成する有色機能液290の上に着弾する。
ステップS35の透明機能液190の検査吐出は、ステップS33の有色液ユニットの吐出ノズル24の検査吐出で検査シート110に配置された有色機能液290が硬化(乾燥)又は仮硬化(仮乾燥)等の非流動状態となった後に実施する。
【0112】
図8(b−2)に示したように、検査シート110に着弾した透明機能液190の透明液滴193は、平面視略円形の透明着弾円194を形成する。図8(b−3)に示したように、透明液滴193は、透明着弾円194が有色着弾円294の内部に形成されるように、有色着弾円294を形成する有色機能液290の上に着弾する。
透明着弾円194の大きさは、透明液滴193の体積、透明機能液190の粘性、有色機能液290の透明機能液190に対する撥液特性などによって定まる。図8(b−3)に示した例では、透明着弾円194が有色着弾円294より小さくなるように設定されている。
【0113】
次に、図8(a)のステップS36では、保守装置走査機構75によって、検査シート110が保持された検査シート載置台71をX軸方向に移動させることによって、検査シート110をX軸方向に移動させて、撮像位置に位置させる。撮像位置は、撮像カメラ72が臨んでおり、撮像カメラ72によって撮影可能な位置である。
【0114】
次に、ステップS37では、撮像カメラ72によって、透明液滴193(透明着弾円194)、及び有色液滴293(有色着弾円294)の画像を取得する。
無色透明な透明機能液190からなる透明着弾円194は、主に可視光を情報として取り込む撮像装置では撮影し難い。
しかし、透明機能液190の透明液滴193は、有色機能液290が硬化(乾燥)又は仮硬化(仮乾燥)等の非流動状態となった後に、有色機能液290の有色液滴293に重なる位置に着弾させられている。有色液滴293と透明液滴193とが重なり合っているが、有色機能液290と透明機能液190とが互いに混じりあわないものの、撮像カメラ72から見ると、有色着弾円292と透明着弾円192とが重なり合って(透して)いる部分の色調が変化しており、撮影され易くなっている。
【0115】
次に、ステップS38では、撮像カメラ72によって撮影された画像における透明着弾円192及び有色着弾円292の色調を解析する。
有色機能液290と透明機能液190とが混じりあわずに互いに重なりあった状態では、重なりあった部分の色調は、有色機能液290の色調が、無色透明な透明機能液190によって(透して)淡色化されて、有色機能液290の色調とは異なっている。
【0116】
重なりあった部分の色調が有色機能液290の色調と異なることで、透明機能液190が存在していると判定することができる。すなわち、該当する位置に向けて透明機能液190を吐出する吐出ノズル24は、少なくとも吐出を実施可能であると判定することができる。
また、有色液滴293の有色機能液290と透明液滴193の透明機能液190とが混じりあわずに互いに重なりあうことができる位置に、透明液滴193が着弾していると判定できる。すなわち、少なくとも、所定の着弾位置の条件を満たす着禅位置精度が維持されていると判定できる。
【0117】
ステップS38を実施して、吐出検査ユニット70を用いて実施する吐出ノズル24の吐出検査を終了する。
有色機能液290が、検出用液状体に相当する。透明機能液190が、描画用液状体に相当する。有色液ユニットの吐出ノズル24が、検出用吐出ノズルに相当する。透明液ユニットの吐出ノズル24が、描画用液状体の液滴を吐出する吐出ノズルに相当する。
【0118】
<液滴吐出装置の2>
次に、液滴吐出装置1が備える吐出検査ユニット70とは異なる吐出検査ユニット170を備える液滴吐出装置101の構成について、図9を参照して説明する。図9は、液滴吐出装置の概略構成を示す外観斜視図である。
【0119】
図9に示すように、液滴吐出装置101は、ヘッド機構部102と、ワーク機構部103と、機能液供給部104と、保守装置部107とを備えている。ヘッド機構部102は、備えているヘッドユニット21が1個であることが、ヘッド機構部2と異なっている。ワーク機構部103及び機能液供給部104は、備えている構成がヘッドユニット21を1個備えているヘッド機構部102に対応することが、ワーク機構部3又は機能液供給部4と異なっている。
保守装置部107は、液滴吐出装置1の保守装置部7と同様に液滴吐出ヘッド20の検査又は保守を実施する各装置を備えている。液滴吐出装置101は、また、これら各機構部などを総括的に制御する、吐出装置制御部106を備えている。ヘッド機構部102が備えているヘッドユニット21は、例えば透明機能液190を吐出する透明液ユニットである。
【0120】
さらに、液滴吐出装置101は、液滴吐出装置1の支持脚8及び定盤9と同様の支持脚8及び定盤109を備えている。定盤109の上側などには、液滴吐出装置1におけるヘッド機構部2、ワーク機構部3、機能液供給部4、保守装置部7、及び吐出装置制御部6と同様に、ヘッド機構部102と、ワーク機構部103と、機能液供給部104と、保守装置部107と、吐出装置制御部106と、が配設されている。
【0121】
保守装置部107は、各種検査装置、各種保守装置、及び保守装置走査機構75を備えている。検査装置は、液滴吐出ヘッド20の吐出状態の検査を実施する吐出検査ユニット170などの、液滴吐出ヘッド20の検査を実施する装置である。保守装置は、液滴吐出ヘッド20の各種の保守を実施する装置である。保守装置走査機構75は、これらの各装置をX軸方向に移動可能であって、任意の位置に保持可能に支持する装置である。
【0122】
液滴吐出ヘッド20の検査や保守を実施する際には、ヘッドユニット21(液滴吐出ヘッド20)が、Y軸走査機構を用いて、保守装置部107に臨む位置に移動させられる。また、実施する検査又は保守に対応する検査装置又は保守装置が、保守装置走査機構75によって、ヘッドユニット21(液滴吐出ヘッド20)に臨む位置に移動させられる。
【0123】
吐出検査ユニット170は、検査ヘッドユニット174と、検査シート載置台71と、撮像カメラ72と、を備えている。
検査シート載置台71及び撮像カメラ72は、液滴吐出装置1における検査シート載置台71又は撮像カメラ72と同様に配設されており、同様の機能を有している。
【0124】
検査ヘッドユニット174は、ヘッドユニット21と同様の構成を有し、ヘッドユニット21と同様の液滴吐出ヘッド20を備えている。検査ヘッドユニット174が備える液滴吐出ヘッド20には、図示省略した検査用機能液供給ユニットから、検査用機能液390(図10(b)参照)が供給される。
検査ヘッドユニット174は、図示省略した支持枠によって支持されている。支持枠は、Y軸方向における保守装置走査機構75の両側で定盤109に立設された支柱に差し渡された梁に懸吊されている。懸吊された検査ヘッドユニット174の液滴吐出ヘッド20は、吐出ノズル24が保守装置走査機構75側に臨んでいる。
【0125】
保守装置走査機構75によって、検査シート載置台71をX軸方向に移動させることで、検査シート載置台71の載置面に保持された検査シート110を、検査ヘッドユニット174(液滴吐出ヘッド20)に臨ませることができる。当該位置状態で、検査ヘッドユニット174の液滴吐出ヘッド20から検査用機能液390を吐出させることで、検査シート載置台71に保持された検査シート110に検査用機能液390を着弾させることができる。保守装置走査機構75による検査シート110のX軸方向の移動に同調させて、検査ヘッドユニット174が備える液滴吐出ヘッド20の吐出ノズル24から検査用機能液390を吐出させることで、X軸方向における着弾位置を調整することができる。
吐出検査ユニット170が、検出手段に相当する。検査ヘッドユニット174が、検出用液配置手段に相当する。検査ヘッドユニット174が備える吐出ノズル24が、検出用吐出ノズルに相当する。
【0126】
<吐出検査の3>
次に、吐出検査ユニット170を用いて実施する、液滴吐出装置101における吐出ノズル24の吐出検査の例について、図10を参照して説明する。
図10は、吐出検査の1程を示す図である。図10(a)は、吐出検査の工程を示すフローチャートであり、図10(b)は、透明機能液が着弾した透明着弾円、及び検査用機能液が着弾した検査用液着弾円の状態を示す説明図である。
【0127】
図10(a)のステップS41からステップS43は、上述したステップS21からステップS23と同様の工程である。
ステップS43を実施して、図10(b−1)に示したように、検査シート110の所定の位愛に、透明機能液190の透明液滴191が着弾させられている。検査シート110の所定の位置は、正確には、検査シート載置台71に保持された検査シート110における、検査シート載置台71の所定の位置を覆っている部分である。
【0128】
図10(b−1)に示すように、検査シート110に着弾した透明機能液190の透明液滴191は、平面視略円形の透明着弾円192を形成する。透明着弾円192の大きさは、透明液滴191の体積、透明機能液190の粘性、検査シート110の透明機能液190に対する撥液特性などによって定まる。
【0129】
次に、図10(a)のステップS44では、検査シート110を移動させると共に、検査シート110に向けて、検査用機能液390の吐出を実施する。
保守装置走査機構75によって、検査シート110が保持された検査シート載置台71をX軸方向に走査させる。それと共に、検査ヘッドユニット174が備える液滴吐出ヘッド20の吐出ノズル24から検査用機能液390の検査用液滴391を吐出させて、図10(b−2)に示したように、検査シート110の所定の位置に着弾させる。保守装置走査機構75による検査シート110の走査に同期させて検査ヘッドユニット174の吐出ノズル24から吐出させることで、検査シート110の任意の位置に検査用液滴391を着弾ざせることが可能である。
所定の位置は、透明液滴191の着弾位置と同じ位置である。したがって、透明液滴191が着弾していた場合は、検査用液滴391は、透明着弾円192を形成する透明機能液190の上に着弾する。
【0130】
ステップS44の検査用機能液390の吐出は、ステップS43の透明液ユニットの吐出ノズル24の検査吐出で検査シート110に配置された透明機能液190が硬化(乾燥)又は仮硬化(仮乾燥)等の非流動状態となった後に実施する。
検査用機能液390としては、透明機能液190の表層の成分と反応して、例えば色調が変化する液状体を用いる。検査用液滴391が透明着弾円192を形成する透明機能液190の上に着弾することで、図10(b−3)に示したように、検査用機能液390と透明機能液190とが重なりあう。そして、検査用機能液390が透明機能液190の表層の成分と反応したことによって、重なりあった部分(接触した部分)が発色した色調を有する。
【0131】
次に、図10(a)のステップS45では、保守装置走査機構75によって、検査シート110が保持された検査シート載置台71をX軸方向に移動させることによって、検査シート110をX軸方向に移動させて、撮像位置に位置させる。撮像位置は、撮像カメラ72が臨んでおり、撮像カメラ72によって撮影可能な位置である。
【0132】
次に、ステップS46では、撮像カメラ72によって、検査シート110上の、検査用機能液390と透明機能液190とが重なりあった部分(接触した部分)の画像を取得する。
無色透明な透明機能液190からなる透明着弾円192は、主に可視光を情報として取り込む撮像装置では撮影し難い。しかし、透明機能液190が検査用機能液390と透明機能液190とが重なりあった部分(接触した部分)は、検査用機能液390が透明機能液190の表層の成分と反応したことによって発色した色調を有する。このため、検査用機能液390と透明機能液190とが重なりあった部分(接触した部分)の画像は、撮像カメラ72によって容易に取得することができる。
【0133】
次に、ステップS47では、撮像カメラ72によって撮影された画像における、検査用機能液390と透明機能液190とが重なりあった部分(接触した部分)の色調を解析する。
透明液滴191が着弾しておらず、透明機能液190が存在していない場合には、撮像カメラ72によって撮影される画像は、図10(b−2)に示した検査用液滴391が着弾した画像である。色調は、検査用機能液390の色調である。
透明液滴191が所定の位置に着弾しており、透明機能液190が存在する場合には、撮像カメラ72によって撮影される画像は、図10(b−3)に示した、検査用機能液390と透明機能液190とが重なりあった部分(接触した部分)の画像である。色調は、検査用機能液390が透明機能液190の表層の成分と反応したことによって発色した、検査用機能液390と透明機能液190とが重なりあった部分(接触した部分)の色調である。
【0134】
取得した液状体の画像の色調が、検査用機能液390と透明機能液190とが重なりあった部分(接触した部分)の色調であることで、透明機能液190が存在していると判定することができる。すなわち、該当する位置に向けて透明機能液190を吐出する吐出ノズル24は、少なくとも吐出を実施可能であると判定することができる。また、検査用液滴391の検査用機能液390と透明液滴191の透明機能液190とが混じりあわずに互いに重なりあうことができる位置に、透明液滴191が着弾していると判定できる。すなわち、少なくとも、所定の着弾位置の条件を満たす着弾位置精度が維持されていると判定できる。
【0135】
ステップS47を実施して、吐出検査ユニット170を用いて実施する、吐出ノズル24の吐出検査を終了する。
検査用機能液390が、検出用液状体に相当する。透明機能液190が、描画用液状体に相当する。検査ヘッドユニット174が備える液滴吐出ヘッド20の吐出ノズル24が、検出用吐出ノズルに相当する。ヘッド機構部102が備えているヘッドユニット21の吐出ノズル24が、描画用液状体の液滴を吐出する吐出ノズルに相当する。
【0136】
以下、実施形態による効果を記載する。本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)ステップS25の有色機能液290の検査吐出は、検査シート110に配置された透明機能液190が硬化(乾燥)又は仮硬化(仮乾燥)等の非流動状態となった後に実施する。有色液滴291は、有色着弾円292を形成する有色機能液290の少なくとも一部が透明着弾円192を形成する透明機能液190と重なると共に、有色機能液290の少なくとも一部が透明機能液190と重ならない位置に着弾させられる。
これにより、有色機能液290と透明機能液190とが互いに混じりあわないものの、撮像カメラ72から見ると、有色着弾円292と透明着弾円192とが重なり合って(透して)いる部分の色調が変化するので、撮影され易くなる。
【0137】
(2)ステップS25の有色機能液290の検査吐出では、有色液滴291は、有色着弾円292を形成する有色機能液290の少なくとも一部が透明着弾円192を形成する透明機能液190と重なると共に、有色機能液290の少なくとも一部が透明機能液190と重ならない位置に着弾させられる。
これにより、有色着弾円292は、透明着弾円192と重なり合って(透して)いる部分の色調が変化して、円の一部が欠けた形状となる。当該形状を検出することで、透明液滴191が存在していると判定することができる。すなわち、該当する位置に向けて透明機能液190を吐出する吐出ノズル24は、少なくとも吐出を実施可能であると判定することができる。
【0138】
(3)ステップS35の透明機能液190の検査吐出は、検査シート110に配置された有色機能液290が硬化(乾燥)又は仮硬化(仮乾燥)等の非流動状態となった後に実施する。透明液滴193は、透明着弾円194を形成する透明機能液190の少なくとも一部が有色着弾円294を形成する有色機能液290と重なる位置に着弾させられる。
これにより、有色機能液290と透明機能液190とが互いに混じりあわないものの、撮像カメラ72から見ると、有色着弾円292と透明着弾円192とが重なり合って(透して)いる部分の色調が変化するので、撮影され易くなる。
【0139】
(4)ステップS35の透明機能液190の検査吐出は、検査シート110に配置された有色機能液290が硬化(乾燥)又は仮硬化(仮乾燥)等の非流動状態となった後に実施する。透明液滴193は、透明着弾円194を形成する透明機能液190の少なくとも一部が有色着弾円294を形成する有色機能液290と重なる位置に着弾させられる。
これにより、有色機能液290と透明機能液190とが互いに混じりあわないものの、撮像カメラ72から見ると、有色着弾円292と透明着弾円192とが重なり合って(透して)いる部分の色調が変化ので、撮影され易くなる。当該色調を検出することで、透明液滴193が存在していると判定することができる。すなわち、該当する位置に向けて透明機能液190を吐出する吐出ノズル24は、少なくとも吐出を実施可能であると判定することができる。
【0140】
(5)ステップS44の検査用機能液390の吐出では、透明液滴191の着弾位置と同じ位置に検査用液滴391を着弾させる。当該吐出は、検査シート110に配置された透明機能液190が硬化(乾燥)又は仮硬化(仮乾燥)等の非流動状態となった後に実施する。検査用機能液390は、透明機能液190の表層の成分と反応して、色調が変化する液状体である。
これにより、検査用機能液390と透明機能液190とが互いに重なりあった部分(接触した部分)が発色して色調が変化する。当該色調を検出することで、透明液滴191が存在していると判定することができる。すなわち、該当する位置に向けて透明機能液190を吐出する吐出ノズル24は、少なくとも吐出を実施可能であると判定することができる。
【0141】
(6)図7(b−2)に示した例では、有色液滴291と透明液滴191とが交互に半ノズルピッチ間隔で並んでいる。撮像カメラ72によって撮影された画像における有色着弾円292の像は、透明着弾円192と重なり合って(透して)いる部分の色調が変化して円の一部が欠けた形状となる。有色着弾円292の一部が欠けた形状となることで、透明着弾円192が存在していると判定することができる。すなわち、該当する位置に向けて透明機能液190を吐出する吐出ノズル24は、少なくとも吐出を実施可能であると判定することができる。
【0142】
(7)図7(b−2)に示した例では、有色着弾円292の一部が欠けた形状となることで、透明着弾円192が存在していると判定することができる。線の欠陥部を検出することで検査が実施できるため、個々の着弾円ごとに有無を検出する場合にくらべて、比較工程を簡単にすることができる。
【0143】
(8)液滴吐出装置1の吐出検査ユニット70、及び液滴吐出装置101の吐出検査ユニット170は、ワーク機構部3又はワーク機構部103とは独立して、検査シート載置台71を備えている。これにより、液滴吐出装置1又は液滴吐出装置101による描画工程において、ヘッドユニット21が稼動していない合間を利用して、吐出ノズル24の吐出検査を実施することができる。描画工程においてヘッドユニット21が稼動していない時間は、例えば、ワーク載置台30にワークWを給材したり、ワーク載置台30からワークWを除材したりする時間である。
【0144】
以上、添付図面を参照しながら好適な実施形態について説明したが、好適な実施形態は、前記実施形態に限らない。実施形態は、要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿諭であり、以下のように実施することもできる。
【0145】
(変形例1)前記実施形態においては、吐出検査ユニット70及び吐出検査ユニット170は、検査シート110を保持する検査シート載置台71と、撮像カメラ72とを備えている。しかし、吐出検査装置が検査シート110のような検査描画媒体を保持する装置を専用に備えることは必須ではない。検査用の検査描画媒体を保持する装置として、ワーク載置台30のような、描画に際して被描画媒体を保持する装置を用いてもよい。この場合、撮像カメラ72のような検出手段は、描画に際して被描画媒体を保持する装置に保持された検査描画媒体に着弾した液状体を検出可能な位置に配設する。
描画に際して被描画媒体を保持する装置を用いることで、実際の稼働状態に近い状態で吐出検査が実施できる。このため、着弾位置精度の検査は、検査用の検査描画媒体を保持する専用の装置を用いる場合より正確になる可能性が高い。
【0146】
(変形例2)前記実施形態においては、液滴吐出装置1は、2個のヘッドユニット21を備えており、1個のヘッドユニット21は、無色透明な透明機能液190が供給される透明液ユニットであり、もう1個のヘッドユニット21は、有色の有色機能液290が供給される有色液ユニットであった。しかし、ヘッドユニットが備える吐出ヘッドが吐出する機能液が同一であることは必須ではない。描画装置においては、色が異なるなど、複数種類の異なる機能液を吐出してもよい。色が異なる複数種類の機能液を吐出することでカラー描画も可能である。機能液の種類は、液滴吐出装置1のように複数のヘッドユニットを備えてヘッドユニットごとに異ならせてもよいし、ヘッド組ごとに異ならせてもよいし、液滴吐出ヘッドごとに異ならせてもよいし、ノズル列ごとに異ならせてもよい。吐出ノズルごとに機能液を個別に供給できる液滴吐出ヘッドを用いて、吐出ノズルごとに異なる機能液を吐出してもよい。なお、カラー描画を実施する際には、同じ着弾位置に、複数の、例えば色が異なる機能液を着弾させることができる構成のヘッドユニット又は液滴吐出ヘッドを用いたり、走査方法を用いたりすることで、より微細な描画が可能となる。
【0147】
(変形例3)前記実施形態においては、液滴吐出装置1における吐出検査の検査対象は、透明機能液190を吐出する透明液ユニットの吐出ノズル24であった。しかし、図6及び図7を参照して説明した吐出検査、及び図8を参照して説明した吐出検査においては、透明液ユニットの吐出ノズル24が正常に吐出していることを検証するためには、有色液ユニットの吐出ノズル24が正常に吐出していることが必要である。したがって、これらの吐出検査においては、有色液ユニットの吐出ノズル24の吐出検査も、透明液ユニットの吐出ノズル24の吐出検査に並行して実施できる。
有色液ユニットの吐出ノズル24の吐出検査の場合、透明機能液190が、検出用液状体に相当する。有色機能液290が、描画用液状体に相当する。透明液ユニットの吐出ノズル24が、検出用吐出ノズルに相当する。有色液ユニットの吐出ノズル24が、描画用液状体の液滴を吐出する吐出ノズルに相当する。
【0148】
(変形例4)前記実施形態においては、液滴吐出装置1や液滴吐出装置101における吐出検査の検査対象は、無色透明な透明機能液190を吐出する透明液ユニットの吐出ノズル24であった。しかし、吐出検査の検査対象は、無色透明な液状体を吐出する吐出ノズルに限らない。前記実施形態を例に説明した吐出検査方法や吐出検査装置は、無色透明ではない液状体を吐出する吐出ノズルの吐出検査においても有用である。検査対象の吐出ノズルから吐出する液状体の色調などの特性が、着弾した液状体が視認し難いような特性である場合に、特に有効である。
【0149】
(変形例5)前記実施形態においては、吐出検査ユニット70や吐出検査ユニット170を用いた吐出検査は、検査対象の吐出ノズル24から吐出された透明機能液190の有無を検出することで、吐出ノズル24が吐出できているか否かを検査する吐出検査であった。しかし、前記実施形態において説明したように、少なくとも、吐出検査に必要な所定の着弾位置の条件を満たす着弾位置精度が維持されていることも検証できる。例えば、有色着弾円292や透明着弾円192の位置を、より正確に計測することで、着弾位置精度の検証をすることもできる。
【0150】
(変形例6)前記実施形態においては、ステップS23で、透明液ユニットの吐出ノズル24の検査吐出を実施し、ステップS25で、有色液ユニットの吐出ノズル24の検査吐出を実施していた。また、ステップS33で、有色液ユニットの吐出ノズル24の検査吐出を実施し、ステップS35で、透明液ユニットの吐出ノズル24の検査吐出を実施していた。さらに、ステップS43で、透明液ユニットの吐出ノズル24の検査吐出を実施し、ステップS44で、検査用機能液390の吐出を実施していた。これらのように、検出用液状体及び描画用液状体を吐出する順番は、いずれが先であってもよい。
【0151】
(変形例7)前記実施形態においては、図8を参照して説明した吐出検査では、透明液滴193を、有色着弾円294を形成する有色機能液290の上に着弾させていた。図10を参照して説明した吐出検査では、検査用液滴391を透明液滴191の着弾位置と同じ位置に着弾させていた。これらのような場合に、描画用液状体を着弾させる位置と検出用液状体を着弾させる位置とが同一であることは必須ではない。描画用液状体と検出用液状体とは、一部が互いに重なる位置に配設されていればよい。
【0152】
(変形例8)前記実施形態においては、検査用機能液390は、透明機能液190の表層の成分と反応して、色調が変化する液状体であった。しかし、描画用液状体と検出用液状体とが反応することで検出用液状体の色調などが変化することは必須ではない。検出用液状体は、描画用液状体と検出用液状体とが反応することによって描画用液状体の色調などが変化する液状体であってもよい。
【0153】
(変形例9)前記実施形態においては、液滴吐出装置1は、ヘッドユニット21を2個備えており、液滴吐出装置101は、ヘッドユニット21を1個備えていた。しかし、描画装置が備えるヘッドユニットが1個または2個であることは必須ではない。描画装置が備えるヘッドユニットは、いくつであってもよい。
【0154】
(変形例10)前記実施形態においては、ヘッドユニット21は、液滴吐出ヘッド20を9個備えていたが、ヘッドユニットが備える吐出ヘッドが9個であることは必須ではない。ヘッドユニットが備える吐出ヘッドは、いくつであってもよい。
【0155】
(変形例11)前記実施形態においては、液滴吐出ヘッド20は、多数の吐出ノズル24が略一直線状に並んだノズル列24Aを2列備えていたが、吐出ヘッドが備えるノズル列は何列であってもよい。また、液滴吐出ヘッド20が備える吐出ノズル24は、ノズル列24Aの延在方向において互いの位置がずれていたが、吐出ヘッドは、ノズル列の延在方向において、略同一位置に位置する吐出ノズルを複数備える構成であってもよい。
【0156】
(変形例12)前記実施形態においては、X軸走査機構によってワーク載置台30をX軸方向に移動させることでワークWをX軸方向に移動し、Y軸走査機構によって液滴吐出ヘッド20をY軸方向に移動することで、ワークWと液滴吐出ヘッド20とを平面方向において相対移動させていた。描画対象物と吐出ヘッドとを相対移動させるために描画対象物と吐出ヘッドの両方を移動させることは必須ではない。描画対象物と吐出ヘッドのいずれか一方を平面方向に移動させることで、描画対象物と吐出ヘッドとを相対移動させる構成であってもよい。
【0157】
(変形例13)前記実施形態においては、透明着弾円192及び有色着弾円292の形状の解析、透明着弾円192と有色着弾円292とが重なりあった部分の色調の解析を実施して、吐出検査工程を終了していた。しかし、解析結果が不良と判定される要因には、検査用の液滴を吐出する吐出ノズルの不具合も含まれる。検査用の液滴を吐出する吐出ノズルの不具合に起因して検査対象の吐出ノズルが不良であると誤判定されることを抑制するために、上記した吐出検査工程を再度実施してもよい。吐出検査工程を再度実施する際には、重ねあわされて配置される液滴を吐出する吐出ノズルの組み合わせを、1回目と2回目とで異ならせることが好ましい。
【0158】
(変形例14)前記実施形態においては、透明着弾円192及び有色着弾円292の形状の解析、透明着弾円192と有色着弾円292とが重なりあった部分の色調の解析を実施して、吐出検査工程を終了していた。しかし、解析結果が不良と判定される要因には、検査用の液滴を吐出する吐出ノズルの不具合も含まれる。検査用の液滴を吐出する吐出ノズルの不具合に起因して検査対象の吐出ノズルが不良であると誤判定されることを抑制するために、不具合があると判定された吐出ノズルについて、上記した吐出検査工程と同様の吐出検査を再度実施してもよい。吐出検査工程を再度実施する際には、重ねあわされて配置される液滴を吐出する吐出ノズルの組み合わせを、最初の吐出検査と、不具合があると判定された吐出ノズルについて実施する2回目の吐出検査とで異ならせることが好ましい。
【0159】
(変形例15)前記実施形態においては、吐出検査ユニット70が撮像カメラ72を有する場合について説明したが、これに限らない。撮像カメラ72に代えて、スキャナ装置を用いることが装置コストを抑えることができる。
【符号の説明】
【0160】
1…液滴吐出装置(描画装置)、 15…紫外線照射装置、 20…液滴吐出ヘッド(検出用液配置手段)、 24…吐出ノズル、 70…吐出検査ユニット(検出手段)、 72…撮像カメラ、 101…液滴吐出装置(描画装置)、 110…検査シート(検査描画媒体)、 170…吐出検査ユニット(検出手段)、 190…透明機能液(描画用液状体)、 290…有色機能液(検出用液状体)、 390…検査用機能液(検出用液状体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
描画用液状体を液滴として吐出する吐出ノズルを備える描画装置における吐出検査方法であって、
検査描画媒体に向けて、検出用吐出ノズルから検出用液状体の液滴を吐出し、前記検査描画媒体上に着弾させることで、前記検査描画媒体上に前記検出用液状体を配置する検出用液配置工程と、
前記吐出ノズルから前記検査描画媒体に向けて前記描画用液状体の液滴を吐出し、前記検査描画媒体上に着弾させることで、前記検査描画媒体上に前記描画用液状体を配置する描画用液配置工程と、
前記検査描画媒体に配置された前記描画用液状体及び前記検出用液状体の状態を検出する検出工程と、
を有し、
前記検出用液配置工程及び前記描画用液配置工程は、いずれか一方の工程を実施した後、当該工程において配置された前記描画用液状体又は前記検出用液状体を非流動状態とした後に、もうー方の工程を実施し、
前記検出用液配置工程及び前記描画用液配置工程における後に実施する前記検出用液配置工程又は前記描画用液配置工程においては、先に実施した前記検出用液配置工程又は前記描画用液配置工程において配置されている前記描画用液状体又は前記検出用液状体と少なくとも一部が重なる位置に、前記描画用液状体又は前記検出用液状体を着弾させることを特徴とする吐出検査方法。
【請求項2】
前記検出用液配置工程及び前記描画用液配置工程における、後に実施する前記検出用液配置工程又は前記描画用液配置工程では、先に実施した前記検出用液配置工程又は前記描画用液配置工程において配置されている前記描画用液状体又は前記検出用液状体と、後に実施する前記検出用液配置工程又は前記描画用液配置工程において配置される前記描画用液状体又は前記検出用液状体と、の双方において、少なくとも一部が重ならない位置に、前記描画用液状体又は前記検出用液状体を着弾させ、
前記検出工程では、前記検査描画媒体上に配置された、前記描画用液状体の液滴と前記検出用液状体の液滴とによって形成された形状を、検出することを特徴とする、請求項1に記載の吐出検査方法。
【請求項3】
前記検出用液配置工程及び前記描画用液配置工程では、前記描画用液状体又は前記検出用液状体を、配置された複数の前記描画用液状体及び複数の前記検出用液状体で所定の形状を描く位置に配置することを特徴とする、請求項2に記載の吐出検査方法。
【請求項4】
前記検出工程では、前記検出用液状体又は前記描画用液状体の色調の変化の有無を検出することを特徴とする、請求項1に記載の吐出検査方法。
【請求項5】
前記検出用液状体は、前記描画用液状体と反応することで色調が変化する成分を含む液状体、又は前記描画用液状体が前記検出用液状体と反応することで前記描画用液状体の色調が変化する成分を含む液状体であることを特徴とする、請求項4に記載の吐出検査方法。
【請求項6】
前記描画用液状体が無色透明な液状体であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の吐出検査方法。
【請求項7】
前記描画装置は、種類が互いに異なる前記描画用液状体のいずれかをそれぞれ吐出する前記吐出ノズルを備えることで、種類が互いに異なる複数種類の前記描画用液状体を吐出可能であり、
前記検出用液配置工程では、前記複数種類の前記描画用液状体のいずれかの前記描画用液状体を吐出して配置することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の吐出検査方法。
【請求項8】
前記描画装置は、前記検出用液状体を吐出する検出専用吐出ノズルを備え、前記検出用液配置工程では、前記検出専用吐出ノズルから前記検出用液状体を吐出することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の吐出検査方法。
【請求項9】
前記検出用液配置工程と、前記描画用液配置工程と、前記検出工程と、を再度実施することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の吐出検査方法。
【請求項10】
前記検出工程において不具合が検出された前記吐出ノズルを検査対象として、前記検出用液配置工程と、前記描画用液配置工程と、前記検出工程と、を再度実施することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の吐出検査方法。
【請求項11】
互いに少なくとも一部が重なり合う前記描画用液状体と前記検出用液状体とを吐出する前記吐出ノズルと前記検出用吐出ノズルとの組方合わせが、最初に実施する前記検出用液配置工程、前記描画用液配置工程、及び前記検出工程と、再度実施する前記検出用液配置工程、前記描画用液配置工程、及び前記検出工程とで、異なることを特徴とする、請求項9又は10に記載の吐出検査方法。
【請求項12】
描画用液状体を液滴として吐出する吐出ノズルを備える描画装置が備える吐出検査装置であって、
検査描画媒体に向けて、検出用液状体の液滴を吐出し、前記検査描画媒体上に着弾させることで、前記検査描画媒体上に前記検出用液状体を配置する検出用吐出ノズルを備える検出用液配置手段と、
前記吐出ノズルから前記検査描画媒体に向けて液滴として吐出され、前記検査描画媒体上に着弾させられて配置された前記描画用液状体、及び前記検出用液配置手段によって前記検査描画媒体上に配置された前記検出用液状体の状態を検出する検出手段と、
を備え、
前記検出用液配置手段又は前記吐出ノズルのいずれか一方を用いて前記検出用液状体又は前記描画用液状体を前記検査描画媒体に着弾させた後、着弾させられた前記描画用液状体又は前記検出用液状体を非流動状態とした後に、前記検出用液配置手段又は前記吐出ノズルのもう一方を用いて前記検出用液状体又は前記描画用液状体を前記検査描画媒体に着弾させ、
後に着弾させる前記検出用液状体又は前記描画用液状体を、先に着弾させられている前記描画用液状体又は前記検出用液状体と少なくとも一部が重なる位置に着弾させることを特徴とする吐出検査装置。
【請求項13】
前記描画装置は、種類が互いに異なる前記描画用液状体のいずれかをそれぞれ吐出する前記吐出ノズルを備えることで、種類が互いに異なる複数種類の前記描画用液状体を吐出可能であり、前記検出用液配置手段が備える検出用吐出ノズルは、前記複数種類の前記描画用液状体のいずれかの前記描画用液状体を吐出する前記吐出ノズルであることを特徴とする、請求項12に記載の吐出検査装置。
【請求項14】
前記検出用液配置手段が備える検出用吐出ノズルは、前記検出用液状体を吐出する検出専用吐出ノズルであることを特徴とする、請求項12に記載の吐出検査装置。
【請求項15】
描画用液状体を液滴として吐出する吐出ノズルから吐出した前記描画用液状体の前記液滴を被描画媒体に着弾させて、前記被描画媒体上に前記描画用液状体を配置する描画方法であって、
検査描画媒体に向けて、検出用吐出ノズルから検出用液状体の液滴を吐出し、前記検査描画媒体上に着弾させることで、前記検査描画媒体上に前記検出用液状体を配置する検出用液配置工程と、
前記吐出ノズルから前記検査描画媒体に向けて前記描画用液状体の液滴を吐出し、前記検査描画媒体上に着弾させることで、前記検査描画媒体上に前記描画用液状体を配置する描画用液配置工程と、
前記検査描画媒体に配置された前記描画用液状体及び前記検出用液状体の状態を検出する検出工程と、を有し、
前記検出用液配置工程及び前記描画用液配置工程は、いずれか一方の工程を実施した後、当該工程において配置された前記描画用液状体又は前記検出用液状体を非流動状態とした後に、もう一方の工程を実施し、
前記検出用液配置工程及び前記描画用液配置工程における後に実施する前記検出用液配置工程又は前記描画用液配置工程においては、先に実施した前記検出用液配置工程又は前記描画用液配置工程において配置されている前記描画用液状体又は前記検出用液状体と少なくとも一部が重なる位置に、前記描画用液状体又は前記検出用液状体を着弾させることを特徴とする描画方法。
【請求項16】
前記検出用液配置工程及び前記描画用液配置工程における、後に実施する前記検出用液配置工程又は前記描画用液配置工程では、先に実施した前記検出用液配置工程又は前記描画用液配置工程において配置されている前記描画用液状体又は前記検出用液状体と、後に実施する前記検出用液配置工程又は前記描画用液配置工程において配置される前記描画用液状体又は前記検出用液状体と、の双方において、少なくとも一部が重ならない位置に、前記描画用液状体又は前記検出用液状体を着弾させ、
前記検出工程では、前記検査描画媒体上に配置された、前記描画用液状体の液滴と前記検出用液状体の液滴とによって形成された形状を、検出することを特徴とする、請求項15に記載の描画方法。
【請求項17】
前記検出工程では、前記検出用液状体又は前記描画用液状体の色調の変化の有無を検出することを特徴とする、請求項15に記載の描画方法。
【請求項18】
前記検出用液状体は、前記描画用液状体と反応することで色調が変化する成分を含む液状体、又は前記描画用液状体が前記検出用液状体と反応することで前記描画用液状体の色調が変化する成分を含む液状体であることを特徴とする、請求項15に記載の描画方法。
【請求項19】
描画用液状体を液滴として吐出する吐出ノズルを備え、前記吐出ノズルから吐出した前記描画用液状体の前記液滴を被描画媒体に着弾させて、前記被描画媒体上に前記描画用液状体を配置する描画装置であって、
検査描画媒体に向けて、検出用液状体の液滴を吐出し、前記検査描画媒体上に着弾させることで、前記検査描画媒体上に前記検出用液状体を配置する検出用吐出ノズルを備える検出用液配置手段と、
前記吐出ノズルから前記検査描画媒体に向けて液滴として吐出され、前記検査描画媒体上に着弾させられて配置された前記描画用液状体、及び前記検出用液配置手段によって前記検査描画媒体上に配置された前記検出用液状体の状態を検出する検出手段と、
を備え、
前記検出用液配置手段又は前記吐出ノズルのいずれか一方を用いて前記検出用液状体又は前記描画用液状体を前記検査描画媒体に着弾させた後、着弾させられた前記描画用液状体又は前記検出用液状体を非流動状態とした後に、前記検出用液配置手段又は前記吐出ノズルのもう一方を用いて前記検出用液状体又は前記描画用液状体を前記検査描画媒体に着弾させ、
後に着弾させる前記検出用液状体又は前記描画用液状体を、先に着弾させられている前記描画用液状体又は前記検出用液状体と少なくとも一部が重なる位置に着弾させることを特徴とする描画装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−206032(P2012−206032A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74383(P2011−74383)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】