説明

吐出装置、及び液状体供給システム

【課題】吐出手段における液圧を一定に維持するために、液状体を供給する装置が複雑になったり、装置のコストが増大したりすることを抑制することができる吐出装置、及び液状体供給システムを提供する。
【解決手段】吐出装置は、液状体を吐出する吐出手段と、シリンダーと、シリンダーの内壁に、内壁との間を気体又は液体が通過することを略阻止するとともに、摺動自在に勘合したピストンと、シリンダーとピストンとで形成された液溜室と、吐出手段と、を連通させる液状体流路と、錘によってピストンを液溜室側に付勢する錘付勢手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状体を吐出する吐出ヘッドを備える吐出装置、及び液状体を吐出する吐出ヘッドに液状体を供給する液状体供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出し、任意の位置に精度よく着弾させることによって、任意の位置に任意の量の液状体を配置するインクジェット装置が知られている。配置した液状体を硬化させることによって、精密な形状を有する機能膜や、微細な画像などを形成することができる。精密な吐出を実施するためには、吐出量が所定の値に維持されることが必要である。吐出量は、例えば液状態を液滴として吐出する装置であれば、一滴の液滴の体積又は重量である。吐出量を所定の値に維持するためには、吐出ヘッドにおける液状体にかかる圧力を適切に保つことが必要である。
【0003】
特許文献1には、初期充填で消費される液体の消費量のばらつきを抑制すると共に、小型化が可能な液体噴射装置、及び液体充填方法が開示されている。開示された液体噴射装置は、液体供給源側から液体を定量ずつ液体噴射ヘッド側へ液体を供給するために、ダイアフラムがポンプ室の容積を増減させるように変位するポンプが設けられている。当該ポンプによって液体供給源側から液体を定量ずつ液体噴射ヘッド側に供給し、液体噴射ヘッドにおける液圧を一定に維持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−280166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された装置のようにポンプによって吐出ヘッド(液体噴射ヘッド)における液圧を一定に維持するためには、圧力を加えるためのポンプや、圧力を検知する検出装置や、検出結果にしたがってポンプを制御する制御装置などが必要である。このため、装置が複雑になるとともに、装置のコストが増大するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例にかかる吐出装置は、液状体を吐出する吐出手段と、シリンダーと、前記シリンダーの内壁に、前記内壁との間を気体又は液体が通過することを略阻止するとともに、摺動自在に勘合したピストンと、前記シリンダーと前記ピストンとで形成された液溜室と、前記吐出手段と、を連通させる液状体流路と、錘によって前記ピストンを前記液溜室側に付勢する錘付勢手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本適用例にかかる吐出装置によれば、液溜室と吐出手段とは液状体流路によって連通させられている。ピストンはシリンダーの内壁に摺動自在に勘合しており、ピストンは、錘付勢手段によって液溜室側に付勢されている。シリンダーの内壁とピストンとは、内壁とピストンとの間を気体又は液体が通過することを略阻止する状態で勘合している。このため、液溜室内に液状体が存在する場合には、錘付勢手段による付勢力によって、液溜室内の液状体の圧力が高くなり、当該液状体を、液状体流路を介して吐出手段に送出する力が作用する。吐出手段における液状体には、錘付勢手段による付勢力及び液溜室内から吐出手段に至る間の圧力損失に応じた圧力をかけることができる。当該圧力は、錘付勢手段による付勢力によるため、時間変動の要因がなく、一定の値に維持することができる。
【0009】
[適用例2]上記適用例にかかる吐出装置は、前記ピストンの摺動方向が、略水平方向であることが好ましい。
【0010】
この吐出装置によれば、ピストンの摺動方向が、略水平方向である。このため、ピストンが摺動して液溜室の容積(液溜室内の液状体の体積)が変化しても、液溜室内の液状体の重力加速度方向における位置は変化しない。したがって、液溜室内の液状体と吐出手段内の液状体との重力加速度方向における相対位置は変化しない。これにより、液溜室内の液状体と吐出手段内の液状体との重力加速度方向の相対位置の変化に起因する吐出手段内の液状体の圧力の変化を、実質的になくすることができる。
【0011】
[適用例3]本適用例にかかる液状体供給システムは、液状体を吐出する吐出手段に前記液状体を供給する液状体供給システムであって、シリンダーと、前記シリンダーの内壁に、前記内壁との間を気体又は液体が通過することを略阻止するとともに、摺動自在に勘合したピストンと、前記シリンダーと前記ピストンとで形成された液溜室と、前記吐出手段と、を連通させる液状体流路と、錘によって前記ピストンを前記液溜室側に付勢する錘付勢手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本適用例にかかる液状体供給システムによれば、液溜室と吐出手段とは液状体流路によって連通させられている。ピストンはシリンダーの内壁に摺動自在に勘合しており、ピストンは、錘付勢手段によって液溜室側に付勢されている。シリンダーの内壁とピストンとは、内壁とピストンとの間を気体又は液体が通過することを略阻止する状態で勘合している。このため、液溜室内に液状体が存在する場合には、錘付勢手段による付勢力によって、液溜室内の液状体の圧力が高くなり、当該液状体を、液状体流路を介して吐出手段に送出する力が作用する。吐出手段における液状体には、錘付勢手段による付勢力及び液溜室内から吐出手段に至る間の圧力損失に応じた圧力をかけることができる。当該圧力は、錘付勢手段による付勢力によるため、時間変動の要因がなく、一定の値に維持することができる。
【0013】
[適用例4]上記適用例にかかる液状体供給システムは、前記ピストンの摺動方向が、略水平方向であることが好ましい。
【0014】
この液状体供給システムによれば、ピストンの摺動方向が、略水平方向である。このため、ピストンが摺動して液溜室の容積(液溜室内の液状体の体積)が変化しても、液溜室内の液状体の重力加速度方向における位置は変化しない。したがって、液溜室内の液状体と吐出手段内の液状体との重力加速度方向における相対位置は変化しない。これにより、液溜室内の液状体と吐出手段内の液状体との重力加速度方向の相対位置の変化に起因する吐出手段内の液状体の圧力の変化を、実質的になくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】液滴吐出装置の概略構成を示す外観斜視図。
【図2】(a)は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す外観斜視図。(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を示す斜視断面図。(c)は、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルの部分の構造を示す断面図。
【図3】ヘッドユニットの概略構成を示す平面図。
【図4】機能液供給部の構成を示す説明図。
【図5】機能液供給部の構成を示す説明図。
【図6】機能液供給部の構成を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、吐出装置、及び液状体供給システムについて、図面を参照して説明する。本実施形態は、液滴吐出ヘッドを備え、当該液滴吐出ヘッドを用いて、被描画媒体上に画像を描画する液滴吐出装置を例に説明する。液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドと被描画媒体とを相対移動させると共に、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから機能液の液滴を吐出して、被描画媒体上の所定の位置に着弾させることによって、所定の画像を形成する装置である。
なお、以下の説明において参照する図面では、図示の便宜上、部材又は部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
【0017】
<液滴吐出装置>
最初に、液滴吐出ヘッド20(図2参照)を備える液滴吐出装置1の構成の全般について、図1を参照して説明する。図1は、液滴吐出装置の概略構成を示す外観斜視図である。液滴吐出ヘッド20が、吐出手段に相当する。液滴吐出装置1が、吐出装置に相当する。
【0018】
図1に示すように、液滴吐出装置1は、ヘッド機構部2と、ワーク機構部3と、機能液供給部4と、保守装置部5とを備えている。ヘッド機構部2は、機能液71(図4参照)を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド20を有している。ワーク機構部3は、液滴吐出ヘッド20から吐出された液滴の吐出対象であるワークWを載置するワーク載置台33を有している。機能液供給部4は、供給部枠40と、給液管48を備え、給液管48が、液滴吐出ヘッド20に接続されており、給液管48を介して機能液71が液滴吐出ヘッド20に供給される。機能液供給部4を構成する要素が供給部枠40に収納されており、要素相互の位置関係が維持されている。保守装置部5は、液滴吐出ヘッド20の検査又は保守を実施する各装置を備えている。液滴吐出装置1は、また、これら各機構部などを総括的に制御する吐出装置制御部7を備えている。機能液71が、液状体に相当する。機能液供給部4が、液状体供給システムに相当する。
【0019】
さらに、液滴吐出装置1は、床上に設置された複数の支持脚8と、支持脚8の上側に設置された定盤9とを備えている。定盤9の上側には、ワーク機構部3が定盤9の長手方向(X軸方向)に延在する状態で配設されている。ワーク機構部3の上方には、定盤9に立設された2本の支持柱で支持されているヘッド機構部2が、ワーク機構部3と直交する方向(Y軸方向)に延在する状態で配設されている。機能液供給部4の供給部枠40は、定盤9の傍らに配置されている。ヘッド機構部2の一方の支持柱の近傍には、保守装置部5がワーク機構部3と並んでX軸方向に配設されている。定盤9の下側に、吐出装置制御部7が収容されている。
【0020】
ヘッド機構部2は、液滴吐出ヘッド20を有するヘッドユニット21と、ヘッドユニット21を有するヘッドキャリッジと、ヘッドキャリッジが吊設された移動枠22と、移動枠22をY軸方向に移動させるY軸走査機構とを、備えている。
移動枠22を、Y軸走査機構によってY軸方向に移動させることで、液滴吐出ヘッド20をY軸方向に自在に移動させる。また、移動した位置に保持する。
ワーク機構部3は、ワーク載置台33と、X軸走査機構とを備えている。ワーク機構部3は、ワーク載置台33を、X軸走査機構によって、X軸方向に移動させることで、ワーク載置台33に載置されたワークWをX軸方向に自在に移動させる。また、移動した位置に保持する。
【0021】
液滴吐出ヘッド20は、Y軸方向の吐出位置まで移動して停止し、下方にあるワークWのX軸方向の移動に同調して、機能液71を液滴として吐出する。X軸方向に移動するワークWと、Y軸方向に移動する液滴吐出ヘッド20とを相対的に制御することにより、ワークW上の任意の位置に液滴を着弾させることで、所望する平面形状の描画を実施することが可能である。
【0022】
保守装置部5は、各種検査装置、各種保守装置、及び保守装置走査機構を備えている。検査装置は、液滴吐出ヘッド20の吐出状態の検査を実施する吐出検査ユニットなどの、液滴吐出ヘッド20の検査を実施する装置である。保守装置は、液滴吐出ヘッド20の各種の保守を実施する装置である。保守装置走査機構は、これらの各装置をX軸方向に移動可能であって、任意の位置に保持可能に支持する装置である。
液滴吐出ヘッド20の検査や保守を実施する際には、ヘッドユニット21(液滴吐出ヘッド20)が、Y軸走査機構を用いて保守装置部5に臨む位置に移動させられる。また、実施する検査又は保守に対応する検査装置又は保守装置が、保守装置走査機構によって、ヘッドユニット21(液滴吐出ヘッド20)に臨む位置に移動させられる。
【0023】
<液滴吐出ヘッド>
次に、液滴吐出ヘッド20について、図2を参照して説明する。図2は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す図である。図2(a)は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す外観斜視図であり、図2(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を示す斜視断面図であり、図2(c)は、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルの部分の構造を示す断面図である。図2に示したY軸方向、及びZ軸方向は、液滴吐出ヘッド20が液滴吐出装置1に装着された状態において、図1に示したY軸方向、及びZ軸方向と一致している。
【0024】
図2(a)に示したように、液滴吐出ヘッド20は、ノズル基板25を備えている。ノズル基板25には、多数の吐出ノズル24が略一直線状に並んだノズル列24Aが2列形成されている。吐出ノズル24から機能液71を液滴として吐出し、対向する位置にある描画対象物などに着弾させることで、当該位置に機能液71を配置する。ノズル列24Aは、液滴吐出ヘッド20が液滴吐出装置1に装着された状態で、図1に示したY軸方向に延在している。ノズル列24Aにおいて吐出ノズル24は等間隔のノズルピッチで並んでおり、2列のノズル列24A間で、吐出ノズル24の位置がY軸方向に半ノズルピッチずれている。したがって、液滴吐出ヘッド20としては、Y軸方向に半ノズルピッチ間隔で機能液71の液滴を配置することができる。
【0025】
図2(b)及び(c)に示すように、液滴吐出ヘッド20は、ノズル基板25に圧力室プレート51が積層されており、圧力室プレート51に振動板52が積層されている。
圧力室プレート51には、液滴吐出ヘッド20に供給される機能液71が常に充填される液たまり55が形成されている。液たまり55は、振動板52と、ノズル基板25と、圧力室プレート51の壁とに囲まれた空間である。機能液71は、機能液供給部4から液滴吐出ヘッド20に供給され、振動板52の液供給孔53を経由して液たまり55に供給される。また、圧力室プレート51には、複数のヘッド隔壁57によって区切られた圧力室58が形成されている。振動板52と、ノズル基板25と、2個のヘッド隔壁57とによって囲まれた空間が圧力室58である。
【0026】
圧力室58は吐出ノズル24のそれぞれに対応して設けられており、圧力室58の数と吐出ノズル24の数とは同じである。圧力室58には、2個のヘッド隔壁57の間に位置する供給口56を経由して、液たまり55から機能液71が供給される。ヘッド隔壁57と圧力室58と吐出ノズル24と供給口56との組は、液たまり55に沿って1列に並んでおり、1列に並んだ吐出ノズル24がノズル列24Aを形成している。図2(b)では図示省略したが、図示した吐出ノズル24を含むノズル列24Aに対して液たまり55に関して略対称位置に、1列に並んで配設された吐出ノズル24がもう1列のノズル列24Aを形成している。当該ノズル列24Aに対応するヘッド隔壁57と圧力室58と供給口56との組が、1列に並んでいる。
【0027】
振動板52の圧力室58を構成する部分には、それぞれ圧電素子59の一端が固定されている。圧電素子59の他端は、固定板(図示省略)を介して液滴吐出ヘッド20全体を支持する基台(図示省略)に固定されている。
圧電素子59は、電極層と圧電材料とを積層した活性部を有している。圧電素子59は、電極層に駆動電圧を印加することで、活性部が長手方向(図2(b)又は(c)における振動板52の厚さ方向)に縮む。電極層に印加されていた駆動電圧が解除されることで、活性部が元の長さに戻る。
【0028】
電極層に駆動電圧が印加されて、圧電素子59の活性部が縮むことで、圧電素子59の一端が固定された振動板52が圧力室58と反対側に引っ張られる力を受ける。振動板52が圧力室58と反対側に引っ張られることで、振動板52が圧力室58の反対側に撓む。これにより、圧力室58の容積が増加することから、機能液71が液たまり55から供給口56を経て圧力室58に供給される。次に、電極層に印加されていた駆動電圧が解除されると、活性部が元の長さに戻ることで、圧電素子59が振動板52を押圧する。振動板52が押圧されることで、圧力室58側に戻る。これにより、圧力室58の容積が急激に元に戻る。すなわち増加していた容積が減少することから、圧力室58内に充填されていた機能液71に圧力が加わり、当該圧力室58に連通して形成された吐出ノズル24から機能液71が液滴となって吐出される。
【0029】
吐出ノズル24の開口に臨む機能液71の圧力が適切な値に維持されることで、機能液71が吐出ノズル24から流出することが抑制されて、機能液71が圧力室58内に充填されている状態が維持される。また、振動板52が圧力室58の反対側に撓んだ際に、機能液71が液たまり55から供給口56を経て圧力室58に供給される。さらに、振動板52が圧力室58側に戻った際に、吐出ノズル24から機能液71が液滴となって吐出される。
【0030】
<ヘッドユニット>
次に、ヘッド機構部2が備えるヘッドユニット21の概略構成について、図3を参照して説明する。図3は、ヘッドユニットの概略構成を示す平面図である。図3に示したX軸方向及びY軸方向は、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸方向及びY軸方向と一致している。
【0031】
図3に示したように、ヘッドユニット21は、ユニットプレート23と、ユニットプレート23に搭載された9個の液滴吐出ヘッド20と、を有している。液滴吐出ヘッド20は、図示省略したヘッド保持部材を介してユニットプレート23に固定されている。固定された液滴吐出ヘッド20は、ヘッド本体がユニットプレート23に形成された孔(図示省略)に遊嵌して、ノズル基板25が、ユニットプレート23の面より突出した位置に位置している。図3は、ノズル基板25の側から見た図である。9個の液滴吐出ヘッド20は、Y軸方向に分かれて、それぞれ3個ずつの液滴吐出ヘッド20を有するヘッド組20Aを3群、形成している。それぞれの液滴吐出ヘッド20のノズル列24Aは、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、Y軸方向に延在している。
【0032】
一つのヘッド組20Aが有する3個の液滴吐出ヘッド20は、Y軸方向において、互いに隣り合う液滴吐出ヘッド20の、一方の液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24に対して、もう一方の液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24が半ノズルピッチずれて位置する位置に、配設されている。ヘッド組20Aが有する3個の液滴吐出ヘッド20において、全ての吐出ノズル24のX軸方向の位置を同じにすると、吐出ノズル24は、Y軸方向に半ノズルピッチの等間隔で並ぶ。すなわち、X軸方向の同じ位置において、それぞれの液滴吐出ヘッド20が有するそれぞれのノズル列24Aを構成する吐出ノズル24から吐出された液滴は、設計上では、Y軸方向に等間隔に並んで一直線上に着弾する。
【0033】
一つのヘッド組20Aが備える3個の液滴吐出ヘッド20が有する6列のノズル列24Aは、1本のノズル列として扱うこともできる。当該ノズル列は、例えば180個の6倍、1080個の吐出ノズル24を有し、Y軸方向におけるノズルピッチは、70μmであり、Y軸方向の両端の吐出ノズル24の中心間距離(ノズル列長さ)は、約75.5mmである。液滴吐出ヘッド20は、Y軸方向において互いに重なるため、X軸方向に階段状に並んでヘッド組20Aを構成している。
【0034】
ヘッドユニット21が有する3つのヘッド組20Aは、それぞれが有する1本のノズル列とみなせるノズル列が、Y軸方向において、ノズル列24Aの半ノズルピッチずれて位置する位置に、配設されている。言い換えると、それぞれのヘッドユニット21は、互いに隣り合うヘッド組20Aを構成する液滴吐出ヘッド20の、一方のヘッド組20Aにおける液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24に対して、もう一方のヘッド組20Aにおける液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24が、Y軸方向において、半ノズルピッチずれた位置に、配設されている。
【0035】
一つのヘッドユニット21が備える3つのヘッド組20Aにおける9個の液滴吐出ヘッド20が有する18列のノズル列24Aは、1本のノズル列として扱うこともできる。当該ノズル列を「ユニットノズル列240A」と表記する。ユニットノズル列240Aは、例えば180個の18倍、3240個の吐出ノズル24を有し、Y軸方向におけるノズルピッチは、例えば70μmであり、Y軸方向の両端の吐出ノズル24の中心間距離(ノズル列長さ)は、約226.7mmである。即ち、一つのヘッドユニット21の吐出ノズル24から一滴ずつ吐出させて、X軸方向が同じ位置になるように着弾させると、3240個の点が70μmのピッチ間隔で連なる直線が形成される。
【0036】
液滴吐出装置1は、1個のヘッドユニット21を備えており、1個のユニットノズル列240Aを備えている。当該ユニットノズル列240Aによって、1回の走査の間に、例えば3240個の点が70μmのピッチ間隔で連なる直線を形成することができる。
【0037】
<機能液供給部>
次に、吐出装置に相当する液滴吐出装置1における液状体供給システムに相当する機能液供給部4の構成について、図4を参照して説明する。図4は、機能液供給部の構成を示す説明図である。
図4に示すように、機能液供給部4は、供給部枠40と、タンクユニット41Aと、シリンダーユニット42Aと、給液管48とを備えている。
【0038】
シリンダーユニット42Aは、給液シリンダー42と、給液ピストン43と、給液錘44と、給液管46と、給液管バルブ63とを備えている。給液シリンダー42は、円筒形状を有し、一端が開口し、もう一端が閉じられている。給液シリンダー42は、円筒の軸方向が略鉛直方向であり、開口側が重力加速度方向の上側になる姿勢で、図示省略した取り付け部材を介して、供給部枠40に固定されている。
給液ピストン43は、円柱形状を有し、円筒形状の給液シリンダー42の内側に、摺動自在に嵌合している。給液ピストン43は、給液シリンダー42の円筒の軸方向に摺動可能である。したがって、略鉛直方向に摺動可能である。給液ピストン43は、給液シリンダー42の開口側から給液シリンダー42に挿入され、給液ピストン43と給液シリンダー42とで液室42aを形成している。液室42aには、機能液71が充填されている。
【0039】
給液ピストン43の外周面(側壁)と給液シリンダー42の内面とは、図示省略したシール環を介して嵌合している。シール環は、環形状を有し、給液ピストン43の側壁に周方向を一周して構成された溝に嵌合している。シール環は、ゴム状弾性体で構成されており、給液ピストン43の溝に密着している。シール環の外周は、給液ピストン43の外周面(側壁)より突出しており、給液ピストン43の側壁と給液シリンダー42の内壁との間で弾性変形させられている。シール環は、給液ピストン43の外周面(側壁)の溝と給液シリンダー42の内壁との間で弾性変形させられることにより、給液ピストン43の側壁と給液シリンダー42の内壁との間を気体や液体の通過を略阻止する状態に封止している。
給液シリンダー42が、シリンダーに相当する。給液ピストン43が、ピストンに相当する。液室42aが、液溜室に相当する。
【0040】
給液シリンダー42の円筒形状の閉じられた一端の近くの側壁には、給液管46の一端が接続されている。給液管46は管流路46aが形成された管形状を有し、管流路46aが、給液シリンダー42に形成された液室42aと連通している。
給液管46のもう一端は、給液管バルブ63を介して、給液管48と接続されている。管流路46aと給液管48の管流路とは、給液管バルブ63を開閉することによって、連通状態又は封止状態にすることができる。
給液管48は、図示省略した配管接続部材を介して液滴吐出ヘッド20に接続されている。給液管48の管流路は、液滴吐出ヘッド20の液たまり55に連通している。液室42aと、管流路46aと、給液管48の管流路と、液たまり55と、供給口56と、圧力室58とは、連通しており、機能液71で満たされている。管流路46aと、給液管バルブ63の流路と、給液管48の管流路とが、液状体流路に相当する。
【0041】
給液ピストン43の上面には、給液錘44が固定されている。給液ピストン43の重量と、給液錘44の重量とによって、給液ピストン43は、液室42a側に付勢されている。液室42aに充填された機能液71には、給液ピストン43が液室42a側に付勢されていることによる圧力が作用している。給液錘44は、給液ピストン43に着脱可能であり、固定する給液錘44の重量を選択可能である。給液錘44の重量を調整することで、給液ピストン43の重量と、給液錘44の重量とによって液室42a内の機能液71に加えられている圧力を調整することができる。液室42a内の機能液71の液圧を調整することで、液室42aに連通する圧力室58の機能液71の液圧を調整することができる。すなわち、圧力室58を構成するノズル基板25に開口する吐出ノズル24に臨む機能液71の液圧を調整することができる。給液錘44と給液ピストン43とが、錘に相当し、錘付勢手段に相当する。
【0042】
タンクユニット41Aは、機能液タンク41と、給液管47と、タンクバルブ61と、逆流防止弁62と、を備えている。
機能液タンク41は、タンク室41aを有し、図示省略した供給口から注入された機能液71をタンク室41aに貯留している。機能液タンク41は、鉛直方向において、シリンダーユニット42Aやヘッドユニット21より高い位置で、図示省略した取り付け部材を介して、供給部枠40に固定されている。
機能液タンク41の底面には、給液管47の一端が接続されている。給液管47は管流路47aが形成された管形状を有し、管流路47aが、タンク室41aと連通している。
給液管47のもう一端は、給液管46と接続されており、管流路47aが管流路46aと連通している。
タンクバルブ61は、給液管47の途中に配設されている。タンクバルブ61を開閉することによって、管流路47aを開閉することができる。管流路47aを開閉することで、タンク室41aと管流路46aなどとを連通状態又は封止状態にすることができる。
逆流防止弁62は、給液管47の途中の、タンクバルブ61と給液管46との接続部との間に配設されている。逆流防止弁62によって、機能液71が管流路46aからタンク室41aに戻ることを防止している。
タンクバルブ61と、給液管バルブ63とは、吐出装置制御部7と電気的に接続されている。タンクバルブ61及び給液管バルブ63は、吐出装置制御部7によって制御されて開閉させられる。
【0043】
<機能液の供給>
次に、機能液供給部4からヘッドユニット21の液滴吐出ヘッド20に機能液71を供給する過程について説明する。
最初に、タンク室41aに機能液71を供給する。このとき、タンクバルブ61は閉じた状態にしておく。次に、給液管バルブ63を閉じて、タンクバルブ61を開く。タンクバルブ61を開くことで、タンク室41a内の機能液71が、管流路46aを経由して、シリンダーユニット42Aの液室42aに供給される。機能液タンク41は、鉛直方向において、シリンダーユニット42Aやヘッドユニット21より高い位置で固定されているため、タンク室41a内の機能液71は、水頭差によってシリンダーユニット42Aの液室42aに供給される。給液管バルブ63が閉じられているため、機能液71が液滴吐出ヘッド20の方に流出することは、実質的にない。
このとき、液室42a内の大気を抜いて、液室42a内が機能液71で満たされた状態にすることが好ましい。液室42a内の大気は、例えば、給液シリンダー42又は給液ピストン43に、気体抜き用の孔などを設けることによって抜くことができる。
【0044】
次に、タンクバルブ61を閉じて、給液管バルブ63を開く。給液管バルブ63を開くことで、液室42a内の機能液71が、給液管46の管流路46a、及び給液管48の管流路を経由して、ヘッドユニット21の液滴吐出ヘッド20に供給される。機能液71は、給液ピストン43の重量と、給液錘44の重量とによって液室42a内の機能液71に加えられている圧力によって、液室42aから液滴吐出ヘッド20に送出される。
給液錘44の重量を適切に選択して、給液ピストン43の重量に給液錘44の重量を加えた重量を適切に選択することで、吐出ノズル24の開口に臨む機能液71の圧力が適切な値に維持される。タンクバルブ61を閉じていることで、タンク室41aに貯留されている機能液71が当該圧力に影響を与えることは、実質的にない。液滴吐出ヘッド20から機能液71が吐出されると、吐出された量と同じ量の機能液71が、給液ピストン43の重量と、給液錘44の重量とによって液室42a内の機能液71に加えられている圧力によって、液室42aから液滴吐出ヘッド20に送出される。
【0045】
吐出ノズル24の開口に臨む機能液71の圧力は、液室42a内の機能液71の量によって定まる給液ピストン43(液室42a内の機能液71の上面)の位置と、吐出ノズル24の位置との水頭差の影響を受ける。このため、液室42a内の機能液71が送出されることによって液室42a内の機能液71の量が減ることによって、吐出ノズル24の開口に臨む機能液71の圧力が変化する。吐出ノズル24の開口に臨む機能液71の圧力は、当該変化の範囲内で維持することができる。当該変化の大きさは、液室42a内の機能液71の液位の変化を抑制することで小さくすることができる。例えば、給液シリンダー42のシリンダー径(断面積)を大きくすることで、小さくすることができる。
【0046】
<他の機能液供給部その1>
次に、機能液供給部4とは異なる構成を備える機能液供給部104の構成について、図5を参照して説明する。図5は、機能液供給部の構成を示す説明図である。機能液供給部104が、液状体供給システムに相当する。
図5に示すように、機能液供給部104は、供給部枠140と、タンクユニット41Aと、シリンダーユニット142Aと、給液管48とを備えている。
【0047】
シリンダーユニット142Aは、給液シリンダー142と、給液ピストン143と、錘装置151と、給液管46と、給液管バルブ63とを備えている。
給液シリンダー142は、円筒形状を有し、一端が開口し、もう一端が閉じられている。給液シリンダー142は、円筒の軸方向が略水平方向になる姿勢で、図示省略した取り付け部材を介して、供給部枠140に固定されている。
給液ピストン143は、円柱形状を有し、円筒形状の給液シリンダー142の内側に、摺動自在に嵌合している。給液ピストン143は、給液シリンダー142の円筒の軸方向に摺動可能である。したがって、略水平方向に摺動可能である。給液ピストン143は、給液シリンダー142の開口側から給液シリンダー142に挿入され、給液ピストン143と給液シリンダー142とで液室142aを形成している。液室142aには、機能液71が充填されている。
【0048】
給液ピストン143の外周面(側壁)と給液シリンダー142の内面とは、図示省略したシール環を介して嵌合している。シール環は、環形状を有し、給液ピストン143の側壁に周方向を一周して構成された溝に嵌合している。シール環は、ゴム状弾性体で構成されており、給液ピストン143の溝に密着している。シール環の外周は、給液ピストン143の外周面(側壁)より突出しており、給液ピストン143の側壁と給液シリンダー142の内壁との間で弾性変形させられている。シール環は、給液ピストン143の外周面(側壁)の溝と給液シリンダー142の内壁との間で弾性変形させられることにより、給液ピストン143の側壁と給液シリンダー142の内壁との間を気体や液体の通過を略阻止する状態に封止している。
給液シリンダー142が、シリンダーに相当する。給液ピストン143が、ピストンに相当する。液室142aが、液溜室に相当する。
【0049】
給液シリンダー142の円筒形状の閉じられた一端には、給液管46の一端が接続されている。給液管46は、機能液供給部4を構成する給液管46と同等のものである。上述したように、給液管46は管流路46aが形成された管形状を有している。管流路46aは、給液シリンダー142に形成された液室142aと連通している。
給液管バルブ63は、機能液供給部4を構成する給液管バルブ63と同等のものである。給液管48も、機能液供給部4を構成する給液管48と同等のものである。上述した機能液供給部4と同様に、給液管46のもう一端は、給液管バルブ63を介して、給液管48と接続されている。管流路46aと給液管48の管流路とは、給液管バルブ63を開閉することによって、連通状態又は封止状態にすることができる。
給液管48は、図示省略した配管接続部材を介して液滴吐出ヘッド20に接続されている。給液管48の管流路は、液滴吐出ヘッド20の液たまり55に連通している。液室142aと、管流路46aと、給液管48の管流路と、液たまり55と、供給口56と、圧力室58とは、連通しており、機能液71で満たされている。管流路46aと、給液管バルブ63の流路と、給液管48の管流路とが、液状体流路に相当する。
【0050】
錘装置151は、ピストン歯車体153と、中継歯車155と、錘支持枠154と、給液錘144と、を備えている。
ピストン歯車体153には、ラックが形成されている。ピストン歯車体153は、給液ピストン143における液室142aを構成する面の反対側の面に、立設されている。ピストン歯車体153は、ラックの歯の並び方向が給液ピストン143の軸方向と略平行となる方向で、立設されている。ピストン歯車体153のラックの歯の並び方向は、略水平方向である。ピストン歯車体153の給液ピストン143に固定された端と反対側の端は、ラックの歯の並び方向、すなわち水平方向に摺動自在に、図示省略した支持部材を介して、供給部枠140に支持されている。
錘支持枠154は、錘支持体156と錘歯車体157とを備えている。錘支持体156は図示省略した固定部材を備え、載置された給液錘144を支持している。錘歯車体157には、ラックが形成されている。錘歯車体157は、錘支持体156における給液錘144の支持面と反対側に立設されている。錘歯車体157は、ラックの歯の並び方向が略鉛直方向となる方向で、当該略鉛直方向に摺動自在に、図示省略した支持部材を介して、供給部枠140に支持されている。錘支持枠154は、錘歯車体157が供給部枠140に支持されていることによって、供給部枠140に支持されている。
中継歯車155は、錘側歯車155aとピストン側歯車155bとを有する段歯車である。錘側歯車155aとピストン側歯車155bとは、ピッチ円の軸が共通である。中継歯車155は、当該軸まわりに回動自在に、図示省略した支持部材を介して、供給部枠140に支持されている。錘側歯車155aは、錘歯車体157のラックと噛合っている。ピストン側歯車155bは、ピストン歯車体153のラックと噛合っている。
【0051】
錘支持枠154は、自重と錘歯車体157の重量と給液錘144の重量とによって、鉛直方向の下方向の力を受けている。当該力は、錘歯車体157にかかっている。中継歯車155の錘側歯車155aは、錘歯車体157のラックと噛合っており、ピストン側歯車155bは、ピストン歯車体153のラックと噛合っている。錘歯車体157にかかる鉛直方向下向きの力は、中継歯車155を介して、ピストン歯車体153に伝えられる。錘歯車体157にかかる鉛直方向下向きの力は、ピストン歯車体153を略水平方向に押す力として、ピストン歯車体153に加えられる。当該力によって、ピストン歯車体153が立設された給液ピストン143に、給液ピストン143を液室142a側に付勢する力が加えられる。液室142aに充填された機能液71には、給液ピストン143が液室142a側に付勢されていることによる圧力が作用している。
【0052】
給液錘144は、錘支持枠154に着脱可能であり、固定する給液錘144の重量を選択可能である。給液錘144の重量を調整することで、錘支持枠154の重量と、錘歯車体157の重量と、給液錘144の重量とによって液室142a内の機能液71に加えられている圧力を調整することができる。液室142a内の機能液71の液圧を調整することで、液室142aに連通する圧力室58の機能液71の液圧を調整することができる。すなわち、圧力室58を構成するノズル基板25に開口する吐出ノズル24に臨む機能液71の液圧を調整することができる。
錘支持枠154と、錘歯車体157と、給液錘144とが、錘に相当する。錘装置151が、錘付勢手段に相当する。
【0053】
タンクユニット41Aは、機能液供給部4が備えるタンクユニット41Aと同等であり、機能液タンク41と、給液管47と、タンクバルブ61と、逆流防止弁62と、を備えている。機能液供給部4と同様に給液管46と接続されており、機能液71を供給することができる。
機能液供給部4と同様にタンクバルブ61と、給液管バルブ63とは、吐出装置制御部7と電気的に接続されている。タンクバルブ61及び給液管バルブ63は、吐出装置制御部7によって制御されて開閉させられる。
【0054】
<機能液の供給>
次に、機能液供給部104からヘッドユニット21の液滴吐出ヘッド20に機能液71を供給する過程について説明する。
機能液供給部104から液滴吐出ヘッド20への機能液71の供給は、機能液供給部4の場合と同様にして液室142aに機能液71を充填して実施することができる。液室142a内の機能液71は、給液管46の管流路46a、及び給液管48の管流路を経由して、ヘッドユニット21の液滴吐出ヘッド20に供給される。液室142a内の機能液71は、錘支持枠154及び給液錘144の重量によって給液ピストン143が液室142a側に付勢されることで、液室142a内の機能液71に加えられている圧力によって、液室142aから液滴吐出ヘッド20に送出される。
【0055】
給液錘144の重量を適切に選択して、錘支持枠154の重量に給液錘144の重量を加えた重量を適切に選択することで、吐出ノズル24の開口に臨む機能液71の圧力が適切な値に維持される。タンクバルブ61を閉じていることで、タンク室41aに貯留されている機能液71が当該圧力に影響を与えることは、実質的にない。液滴吐出ヘッド20から機能液71が吐出されると、吐出された量と同じ量の機能液71が、錘支持枠154の重量と給液錘144の重量とによって液室142a内の機能液71に加えられている圧力によって、液室142aから液滴吐出ヘッド20に送出される。
【0056】
吐出ノズル24の開口に臨む機能液71の圧力は、液室142a内の機能液71の位置と、吐出ノズル24の位置との水頭差の影響を受ける。しかし、給液ピストン143の摺動方向は略水平方向である。このため、液室142a内の機能液71の鉛直方向の位置は、液室142a内の機能液71の量に関わりなく一定である。吐出ノズル24の開口に臨む機能液71の圧力は、液室142a内の機能液71の量に関わりなく略一定に維持することができる。
【0057】
<他の機能液供給部その2>
次に、機能液供給部4及び機能液供給部104とは異なる構成を備える機能液供給部204の構成について、図6を参照して説明する。図6は、機能液供給部の構成を示す説明図である。機能液供給部204が、液状体供給システムに相当する。
図6に示すように、機能液供給部204は、供給部枠240と、タンクユニット41Aと、シリンダーユニット242Aと、給液管48と、を備えている。
【0058】
シリンダーユニット242Aは、給液シリンダー242と、給液ピストン243と、錘装置251と、給液管46と、給液管バルブ63とを備えている。
給液シリンダー242は、円筒形状を有し、両端が、液滴吐出ヘッド20又は錘装置251に連通する孔が形成された壁によって閉じられている。給液シリンダー242は、円筒の軸方向が略水平方向になる姿勢で、図示省略した取り付け部材を介して、供給部枠240に固定されている。
給液ピストン243は、円柱形状を有し、円筒形状の給液シリンダー242の内側に、摺動自在に嵌合している。給液ピストン243は、給液シリンダー242の円筒の軸方向に摺動可能である。したがって、略水平方向に摺動可能である。給液ピストン243は、給液シリンダー242の内部を分割して、液室242aと加圧液室242bとを形成している。液室242aには、機能液71が充填されている。加圧液室242bには、加圧液73が充填されている。
【0059】
給液ピストン243の側壁と給液シリンダー242の内壁とは、上述した給液ピストン143の側壁と給液シリンダー142の内壁との組み合わせと同様に、シール環を用いて、間を気体や液体の通過を略阻止する状態に組み合わされている。
給液シリンダー242が、シリンダーに相当する。給液ピストン243が、ピストンに相当する。液室242aが、液溜室に相当する。
【0060】
給液シリンダー242の円筒形状における液室242aが形成された側の閉じられた一端には、給液管46の一端が接続されている。給液管46は、機能液供給部4を構成する給液管46と同等のものである。上述したように、給液管46は管流路46aが形成された管形状を有している。管流路46aは、給液シリンダー242に形成された液室242aと連通している。
給液管バルブ63は、機能液供給部4を構成する給液管バルブ63と同等のものである。給液管48も、機能液供給部4を構成する給液管48と同等のものである。上述した機能液供給部4と同様に、給液管46のもう一端は、給液管バルブ63を介して、給液管48と接続されている。管流路46aと給液管48の管流路とは、給液管バルブ63を開閉することによって、連通状態又は封止状態にすることができる。
給液管48は、図示省略した配管接続部材を介して液滴吐出ヘッド20に接続されている。給液管48の管流路は、液滴吐出ヘッド20の液たまり55に連通している。液室242aと、管流路46aと、給液管48の管流路と、液たまり55と、供給口56と、圧力室58とは、連通しており、機能液71で満たされている。管流路46aと、給液管バルブ63の流路と、給液管48の管流路とが、液状体流路に相当する。
【0061】
錘装置251は、錘シリンダー262と、錘ピストン263と、給液錘244と、加圧液管256と、を備えている。錘シリンダー262は、円筒形状を有し、一端が開口し、もう一端が閉じられている。錘シリンダー262は、円筒の軸方向が略鉛直方向であり、開口側が重力加速度方向の上側になる姿勢で、図示省略した取り付け部材を介して、供給部枠240に固定されている。
錘ピストン263は、円柱形状を有し、円筒形状の錘シリンダー262の内側に、摺動自在に嵌合している。錘ピストン263は、錘シリンダー262の円筒の軸方向に摺動可能である。したがって、略鉛直方向に摺動可能である。錘ピストン263は、錘シリンダー262の開口側から錘シリンダー262に挿入され、錘ピストン263と錘シリンダー262とで加圧液室262aを形成している。加圧液室262aには、加圧液73が充填されている。
【0062】
錘ピストン263の側壁と錘シリンダー262の内壁とは、上述した給液ピストン43の側壁と給液シリンダー42の内壁との組み合わせと同様に、シール環を用いて、間を気体や液体の通過を略阻止する状態に組み合わされている。
【0063】
錘シリンダー262の円筒形状の閉じられた一端の近くの側壁には、加圧液管256の一端が接続されている。加圧液管256は加圧管流路256aが形成された管形状を有し、加圧管流路256aが、錘シリンダー262に形成された加圧液室262aと連通している。加圧液管256のもう一端は、上述した給液シリンダー242の円筒形状における加圧液室242bが形成された側の閉じられた一端に接続されている。加圧液管256の加圧管流路256aは、給液シリンダー242の加圧液室242bと連通している。
錘シリンダー262に形成された加圧液室262aと、給液シリンダー242の加圧液室242bとは、加圧液管256の加圧管流路256aを介して連通している。加圧液室262aと、加圧液室242bと、加圧管流路256aとは、加圧液73が充填されている。
【0064】
加圧液室262a内の加圧液73には、錘ピストン263の重量と、給液錘244の重量とによる圧力が加えられている。当該圧力は、加圧液室242b及び加圧管流路256aに充填されている加圧液73を介して給液ピストン243に伝えられる。当該圧力によって、給液ピストン243は、液室242a側に付勢される。液室242aに充填された機能液71には、給液ピストン243が液室242a側に付勢されていることによる圧力が作用している。
給液錘244は、錘ピストン263に着脱可能であり、固定する給液錘244の重量を選択可能である。給液錘244の重量を調整することで、錘ピストン263の重量と、給液錘244の重量とによって加圧液室262a内の加圧液73に加えられている圧力を調整することができる。すなわち、液室242aに充填された機能液71に、給液ピストン243を介して加えられている圧力を調整することができる。液室242a内の機能液71の液圧を調整することで、液室242aに連通する圧力室58の機能液71の液圧を調整することができる。すなわち、圧力室58を構成するノズル基板25に開口する吐出ノズル24に臨む機能液71の液圧を調整することができる。
錘ピストン263と、給液錘244とが、錘に相当する。錘装置251が、錘付勢手段に相当する。
【0065】
タンクユニット41Aは、機能液供給部4が備えるタンクユニット41Aと同等であり、機能液タンク41と、給液管47と、タンクバルブ61と、逆流防止弁62と、を備えている。機能液供給部4と同様に給液管46と接続されており、機能液71を供給することができる。
機能液供給部4と同様にタンクバルブ61と、給液管バルブ63とは、吐出装置制御部7と電気的に接続されている。タンクバルブ61及び給液管バルブ63は、吐出装置制御部7によって制御されて開閉させられる。
【0066】
<機能液の供給>
次に、機能液供給部204からヘッドユニット21の液滴吐出ヘッド20に機能液71を供給する過程について説明する。
機能液供給部204から液滴吐出ヘッド20への機能液71の供給は、機能液供給部4又は機能液供給部104の場合と同様にして液室242aに機能液71を充填して実施することができる。液室242a内の機能液71は、給液管46の管流路46a、及び給液管48の管流路を経由して、ヘッドユニット21の液滴吐出ヘッド20に供給される。液室242a内の機能液71は、錘ピストン263の重量及び給液錘244の重量によって給液ピストン243が液室242a側に付勢されることで液室242a内の機能液71に加えられている圧力によって、液室242aから液滴吐出ヘッド20に送出される。
【0067】
給液錘244の重量を適切に選択して、錘ピストン263の重量に給液錘244の重量を加えた重量を適切に選択することで、吐出ノズル24の開口に臨む機能液71の圧力が適切な値に維持される。タンクバルブ61を閉じていることで、タンク室41aに貯留されている機能液71が当該圧力に影響を与えることは、実質的にない。液滴吐出ヘッド20から機能液71が吐出されると、吐出された量と同じ量の機能液71が、錘ピストン263の重量及び給液錘244の重量によって液室242a内の機能液71に加えられている圧力によって、液室242aから液滴吐出ヘッド20に送出される。
【0068】
吐出ノズル24の開口に臨む機能液71の圧力は、液室242a内の機能液71の位置と、吐出ノズル24の位置との水頭差の影響を受ける。しかし、給液ピストン243の摺動方向は略水平方向である。このため、液室242a内の機能液71の鉛直方向の位置は、液室242a内の機能液71の量に関わりなく一定である。吐出ノズル24の開口に臨む機能液71の圧力は、液室242a内の機能液71の量に関わりなく略一定に維持することができる。
【0069】
吐出ノズル24の開口に臨む機能液71の圧力は、また、加圧液室262a内の加圧液73の量によって定まる錘ピストン263(加圧液室262a内の加圧液73の上面)の位置と、吐出ノズル24の位置との水頭差の影響を受ける。このため、液室242a内の機能液71が送出されることによって液室242a内の機能液71の量が減り、加圧液室262a内の加圧液73が加圧液室242bに移動することによって、吐出ノズル24の開口に臨む機能液71の圧力が変化する。当該圧力の変化量は、加圧液室262a内の加圧液73の鉛直方向の高さの変動量と加圧液73の比重との積に比例する。したがって、加圧液73として比重が小さい液体を選ぶことで、加圧液室262a内の加圧液73の増減が吐出ノズル24の開口に臨む機能液71の圧力に及ぼす影響を抑制することができる。加圧液73に代えて気体を用いることもできる。気体の比重は液体に比べて非常に小さいため、加圧液73に代えて気体を用いることで、加圧液室262aの容積の増減が吐出ノズル24の開口に臨む機能液71の圧力に及ぼす影響を抑制することができる。
【0070】
以下、実施形態による効果を記載する。本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)機能液供給部4においては、給液ピストン43の重量と、給液錘44の重量とによって、液室42a内の機能液71に圧力が加えられる。給液ピストン43の重量と、給液錘44の重量とは、時間的に変動する要因がなく、常に一定の値である。これにより、液室42a内の機能液71に加えられる圧力を一定の値にすることができる。
【0071】
(2)機能液供給部4においては、給液ピストン43の重量と、給液錘44の重量とによって、液室42a内の機能液71に圧力が加えられる。当該圧力によって、液室42aから液滴吐出ヘッド20に送出される。液滴吐出ヘッド20における機能液71には、液室42a内の機能液71に加えられた圧力と、液室42aから液滴吐出ヘッド20に至る間の圧力損失とによって定まる圧力がかかっている。給液ピストン43の重量と、給液錘44の重量とは、時間的に変動する要因がなく常に一定の値である。液室42aから液滴吐出ヘッド20に至る間の圧力損失は、時間的に変動する要因がなく常に一定の値である。これにより、液滴吐出ヘッド20における機能液71にかかる圧力が時間的に変動することを抑制して、略一定の値に維持することができる。
【0072】
(3)機能液供給部4のタンクユニット41Aが備える機能液タンク41は、鉛直方向において、シリンダーユニット42Aやヘッドユニット21より高い位置で、供給部枠40に固定されている。これにより、機能液タンク41に予め供給した機能液71を、重力によってシリンダーユニット42Aに供給することができる。
【0073】
(4)機能液供給部4においては、給液ピストン43の重量と、給液錘44の重量とによって、液室42a内の機能液71に圧力が加えられる。給液錘44は、給液ピストン43に着脱可能であり、固定する給液錘44の重量を選択可能である。これにより、給液錘44の重量を選択して、液室42a内の機能液71に圧力が加えられる圧力を調整することができる。
【0074】
(5)機能液供給部104は錘装置151を備えており、錘装置151によって力の方向を変えることができる。錘装置151によって、錘支持枠154及び給液錘144の重量による重力加速度方向の力を、略水平方向の力に変えることができる。この構成によって、錘支持枠154及び給液錘144の重量によって、給液ピストン143に、略水平方向の押圧力を加えることができる。
【0075】
(6)機能液供給部104においては、錘支持枠154及び給液錘144の重量によって給液ピストン143が液室142a側に付勢されることで、液室142a内の機能液71に圧力が加えられている。錘支持枠154及び給液錘144の重量は、時間的に変動する要因がなく常に一定の値である。これにより、液室142a内の機能液71に加えられる圧力を一定の値にすることができる。
【0076】
(7)機能液供給部104においては、錘支持枠154及び給液錘144の重量によって給液ピストン143が液室142a側に付勢されることで、液室142a内の機能液71に圧力が加えられている。液室142a内の機能液71は、当該圧力によって、液室142aから液滴吐出ヘッド20に送出される。液滴吐出ヘッド20における機能液71には、液室142a内の機能液71に加えられた圧力と、液室142aから液滴吐出ヘッド20に至る間の圧力損失とによって定まる圧力がかかっている。錘支持枠154及び給液錘144の重量は、時間的に変動する要因がなく常に一定の値である。液室142aから液滴吐出ヘッド20に至る間の圧力損失は、時間的に変動する要因がなく常に一定の値である。これにより、液滴吐出ヘッド20における機能液71にかかる圧力が時間的に変動することを抑制して、を略一定の値に維持することができる。
【0077】
(8)機能液供給部104は錘装置151を備えており、錘装置151によって力の方向を変えることができる。錘装置151によって、錘支持枠154及び給液錘144の重量による重力加速度方向の力を、略水平方向の力に変えることができる。錘装置151によれば、給液ピストン143に加えられる略水平方向の押圧力の大きさは、錘支持枠154及び給液錘144の重力加速度方向の位置の影響を受けない。これにより、液室142a内の機能液71の量が変化して給液ピストン143が移動することに起因して、錘支持枠154及び給液錘144の重力加速度方向の位置が変わっても、給液ピストン143に加えられる略水平方向の押圧力の大きさを一定の値に維持することができる。
【0078】
(9)吐出ノズル24の開口に臨む機能液71の圧力は、液室142a内の機能液71の位置と、吐出ノズル24の位置との水頭差の影響を受ける。しかし、機能液供給部104においては、給液ピストン143の摺動方向は略水平方向である。このため、液室142a内の機能液71の鉛直方向の位置は、液室142a内の機能液71の量に関わりなく一定である。これにより、吐出ノズル24の開口に臨む機能液71の圧力を、液室142a内の機能液71の量に関わりなく略一定に維持することができる。
【0079】
(10)錘装置251においては、加圧液73を介して力が伝達される。これにより、錘ピストン263の重量と給液錘244の重量とによる鉛直方向の力を、容易に、水平方向の力に変換することができる。
【0080】
(11)錘装置251においては、加圧液73を介して力が伝達される。これにより、加圧液室262aに臨む錘ピストン263の面積と、加圧液室242bに臨む給液ピストン243の面積と、の比を変えることで、給液ピストン243に加える力に対する、錘ピストン263の重量と給液錘244の重量との和を変えることができる。錘ピストン263の面積を大きくすることで、錘ピストン263の重量と給液錘244の重量との和のばらつきが給液ピストン243に加える力に及ぼす影響を抑制することができる。
【0081】
以上、添付図面を参照しながら好適な実施形態について説明したが、好適な実施形態は、前記実施形態に限らない。実施形態は、要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
【0082】
(変形例1)前記実施形態においては、機能液タンク41は、鉛直方向において、シリンダーユニット42Aやヘッドユニット21より高い位置で固定されており、タンク室41a内の機能液71は、水頭差によってシリンダーユニット42Aの液室42aに供給されていた。液状体を供給するための装置は、液状体の貯留タンクから液溜室に液状体を供給する際に水頭差を利用する構成であることは必須ではない。ポンプなどを用いて、液状体の貯留タンクから液溜室に液状体を供給する構成であってもよい。
【0083】
(変形例2)前記実施形態においては、液滴吐出装置1は、ヘッドユニット21を1個備えていた。しかし、描画装置が備えるヘッドユニットが1個であることは必須ではない。描画装置が備えるヘッドユニットは、いくつであってもよい。
【0084】
(変形例3)前記実施形態においては、機能液供給部4などの機能液供給部が機能液71を供給する液滴吐出ヘッド20の数については特に規定していない。1個の機能液供給部が液状体を供給する吐出手段の数は、供給能力に支障が生じない範囲で、いくつであってもよい。
【0085】
(変形例4)前記実施形態においては、ヘッドユニット21は、液滴吐出ヘッド20を9個備えていたが、ヘッドユニットが備える吐出ヘッドが9個であることは必須ではない。ヘッドユニットが備える吐出ヘッドは、いくつであってもよい。
【0086】
(変形例5)前記実施形態においては、液滴吐出ヘッド20は、多数の吐出ノズル24が略一直線状に並んだノズル列24Aを2列備えていたが、吐出ヘッドが備えるノズル列は何列であってもよい。また、液滴吐出ヘッド20が備える吐出ノズル24は、ノズル列24Aの延在方向において互いの位置がずれていたが、吐出ヘッドは、ノズル列の延在方向において、略同一位置に位置する吐出ノズルを複数備える構成であってもよい。
【0087】
(変形例6)前記実施形態においては、液滴吐出装置1は、ヘッドユニット21を備えており、ヘッドユニット21が備える液滴吐出ヘッド20が吐出する機能液71は単一の機能液であった。しかし、ヘッドユニットが備える吐出ヘッドが吐出する液状体が同一であることは必須ではない。描画装置においては、色が異なるなど、複数種類の異なる液状体を吐出してもよい。色が異なる複数種類の液状体を吐出することでカラー描画も可能である。液状体の種類は、液滴吐出装置が複数のヘッドユニットを備えて、ヘッドユニットごとに異ならせてもよいし、ヘッド組ごとに異ならせてもよいし、液滴吐出ヘッドごとに異ならせてもよいし、ノズル列ごとに異ならせてもよい。吐出ノズルごとに液状体を個別に供給できる液滴吐出ヘッドを用いて、吐出ノズルごとに異なる液状体を吐出してもよい。なお、カラー描画を実施する際には、同じ着弾位置に、複数の、例えば色が異なる液状体を着弾させることができる構成のヘッドユニット又は液滴吐出ヘッドを用いたり、走査方法を用いたりすることで、より微細な描画が可能となる。
【0088】
(変形例7)前記実施形態においては、液滴吐出装置1は、機能液71を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド20を備えていた。しかし、吐出手段が、液状体を液滴として吐出する装置であることは必須ではない。例えば、液状体を連続して吐出するような装置であっても、上述した機能液供給部4や機能液供給部104や機能液供給部204のような液状体供給システムを用いて好適に液状体を供給することができる。
【0089】
(変形例8)前記実施形態においては、液滴吐出装置1が備える液滴吐出ヘッド20は、圧電素子59が電気信号を受けて変形する性質を利用した、いわゆる電気機械変換方式の液滴吐出ヘッドであった。しかし、吐出手段の駆動方式が電気機械変換方式であることは必須ではない。吐出手段の駆動方式としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気熱変換方式、静電吸引方式等であっても、上述した機能液供給部4や機能液供給部104や機能液供給部204のような液状体供給システムを用いて好適に液状体を供給することができる。
【0090】
(変形例9)前記実施形態においては、機能液供給部104の錘装置151では、中継歯車155によって力の方向を変えて、給液ピストン143に力を伝えていた。機能液供給部204の錘装置251においては、加圧液73を介して力を伝えることで、力の方向を変えて、給液ピストン243に力を伝えていた。力の方向を変えて伝える構成は、他の構成であってもよい。例えば、ワイヤーのような、軸方向の力に対する合成が高く、容易に曲げることができる部材を介して力を伝えることによって、力の方向を変えて伝えることができる。
【符号の説明】
【0091】
1…液滴吐出装置、2…ヘッド機構部、3…ワーク機構部、4…機能液供給部、7…吐出装置制御部、20…液滴吐出ヘッド、21…ヘッドユニット、24…吐出ノズル、40…供給部枠、41…機能液タンク、41A…タンクユニット、41a…タンク室、42…給液シリンダー、42A…シリンダーユニット、42a…液室、43…給液ピストン、44…給液錘、46,47,48…給液管、46a,47a…管流路、53…液供給孔、56…供給口、58…圧力室、61…タンクバルブ、62…逆流防止弁、63…給液管バルブ、71…機能液、73…加圧液、104…機能液供給部、140…供給部枠、142…給液シリンダー、142A…シリンダーユニット、142a…液室、143…給液ピストン、144…給液錘、151…錘装置、153…ピストン歯車体、154…錘支持枠、155…中継歯車、155a…錘側歯車、155b…ピストン側歯車、156…錘支持体、157…錘歯車体、204…機能液供給部、240…供給部枠、242…給液シリンダー、242A…シリンダーユニット、242a…液室、242b…加圧液室、243…給液ピストン、244…給液錘、251…錘装置、256…加圧液管、256a…加圧管流路、262…錘シリンダー、262a…加圧液室、263…錘ピストン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状体を吐出する吐出手段と、
シリンダーと、
前記シリンダーの内壁に、前記内壁との間を気体又は液体が通過することを略阻止するとともに、摺動自在に勘合したピストンと、
前記シリンダーと前記ピストンとで形成された液溜室と、前記吐出手段と、を連通させる液状体流路と、
錘によって前記ピストンを前記液溜室側に付勢する錘付勢手段と、を備えることを特徴とする吐出装置。
【請求項2】
前記ピストンの摺動方向が、略水平方向であることを特徴とする、請求項1に記載の吐出装置。
【請求項3】
液状体を吐出する吐出手段に前記液状体を供給する液状体供給システムであって、
シリンダーと、
前記シリンダーの内壁に、前記内壁との間を気体又は液体が通過することを略阻止するとともに、摺動自在に勘合したピストンと、
前記シリンダーと前記ピストンとで形成された液溜室と、前記吐出手段と、を連通させる液状体流路と、
錘によって前記ピストンを前記液溜室側に付勢する錘付勢手段と、を備えることを特徴とする液状体供給システム。
【請求項4】
前記ピストンの摺動方向が、略水平方向であることを特徴とする、請求項3に記載の液状体供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−250158(P2012−250158A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123479(P2011−123479)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】