吐出装置および液体分注装置並びに液体分注方法
【課題】微量の液滴を高精度に飛翔吐出することができ、しかも異なる種類の試料・試薬をコンタミネーションの問題なく吐出することができる装置及び方法の提供。
【解決手段】複数回吐出する分量の吐出液体を吸引し、微量の液滴を連続的に飛翔吐出する吐出装置であって、ノズル部と、調圧された圧力伝達媒質をノズル部側に供給する貯留部と、調圧された加圧気体を貯留部側に供給する加圧部と、ポンプ機構と、ノズル部、貯留部及びポンプ機構を連通する分岐部と、分岐部とノズル部とを連通または遮断する吐出バルブと、分岐部と貯留部とを連通または遮断する供給バルブを備え、吐出バルブを閉じ、供給バルブを開いた状態で、加圧部により調圧された加圧気体を貯留部側に供給するとともに貯留部により調圧された圧力伝達媒質を供給バルブ側に供給し、続いて吐出バルブを所定のタイミングで開閉して微量の液滴を連続的に飛翔吐出する装置及び方法。
【解決手段】複数回吐出する分量の吐出液体を吸引し、微量の液滴を連続的に飛翔吐出する吐出装置であって、ノズル部と、調圧された圧力伝達媒質をノズル部側に供給する貯留部と、調圧された加圧気体を貯留部側に供給する加圧部と、ポンプ機構と、ノズル部、貯留部及びポンプ機構を連通する分岐部と、分岐部とノズル部とを連通または遮断する吐出バルブと、分岐部と貯留部とを連通または遮断する供給バルブを備え、吐出バルブを閉じ、供給バルブを開いた状態で、加圧部により調圧された加圧気体を貯留部側に供給するとともに貯留部により調圧された圧力伝達媒質を供給バルブ側に供給し、続いて吐出バルブを所定のタイミングで開閉して微量の液滴を連続的に飛翔吐出する装置及び方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出液体を一のノズルより吸引し、一回で吸引した吐出液体を複数回にわたって微量ずつ非接触吐出する技術に関する。より詳細には、例えば、吐出液体とは別の液体を圧力伝達媒質とし、複数種の吐出液体を単一のノズルで圧力の作用により数十μL(マイクロリットル)以下の微量ないし数十nL(ナノリットル)以下の極微量ずつ飛翔吐出する卓上型の液体分注装置および液体分注方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生物学、化学、医療の分野において分析、検査を行うために液体試料や液体試薬を試験管やマイクロプレート等の容器へ微量ずつ小分けにするものとして分注装置と呼ばれるものが用いられている。特に、動物や植物の遺伝情報の解析、創薬におけるスクリーニング、医療における血液検査やウイルス検査などの検体検査等の膨大な量のサンプル、試薬などを分注する用途において注目されている。これは、人間がピペットなどを用いて手作業で行うことが困難な多量の操作を分注装置が高速かつ正確に行えるからである。上述のように多量の分注を行うことから、一般に高価で稀少な試料を有効に活用するために、一滴の吐出量は微量(例えば、μL(マイクロリットル)からnL(ナノリットル)のオーダー)であることが要求され、分注装置にも微量で正確な吐出が要求される。また、多量の操作を効率的に進める観点から、一度に多数の種類の分析、検査を行うこともあり、そのために一台の分注装置で多種の液体を吐出することも要求される。
【0003】
一般的に分注装置は、液体試料や液体試薬を貯留する容器から試料・試薬を抽出するポンプや抽出した試料・試薬の吐出を行うノズル、それらを接続する配管などからなる吐出部、ノズルや分注対象の容器などを相対移動させる機構である駆動部、ポンプや駆動部などの機器類の動作を制御する制御部から主に構成される。上記構成の中でも特に重要なのが、直接に液体試料や液体試薬を扱う吐出部である。
吐出部には様々なタイプがあるが、試料・試薬が供給される方向で大まかに二つに分けることができる。一つは、試料・試薬の供給が排出口(ノズル)の反対端からされるタイプ、もう一つは、試料・試薬の供給が排出口(ノズル)と同一端からされるタイプ、すなわち、排出口(ノズル)から試料・試薬を吸引し、排出口(ノズル)から試料・試薬を吐出するタイプである。特に、試料・試薬が高価或いは稀少であって少量しか用意できない場合にポンプや配管等を動作に必要な試料・試薬で満たすことができないとき、または吐出する試料・試薬の種類が多くあってポンプや配管等に満たした動作に必要な試料・試薬の除去や洗浄に手間がかかるとき等には、試料・試薬の供給が排出口(ノズル)と同一端からされるタイプ、すなわち、排出口(ノズル)から試料・試薬を吸引し、排出口(ノズル)から試料・試薬を吐出するタイプが用いられることが多い。
このようなタイプの分注装置では、微量で正確な吐出を行うため、排出口(ノズル)から吐出される試料・試薬を目標に到達する前に排出口(ノズル)先端から離間させ、飛翔させながら目標に向かうように吐出させることが多い。本明細書内では、このような吐出を「飛翔吐出」または「非接触吐出」と呼ぶこととする。
【0004】
ところで、特許文献1には、ピストンの往復動により吐出させる分注装置では分注誤差が現れるため、数μL未満の精度が要求される分注作業に適さないという課題があることが記載される。そこで、特許文献1では、圧力気体供給源からの正圧付与(またはこれと共にシリンダ装置からの正圧付与)によって液体吐出することにより200μL程度の吐出を一定の精度で行うことを可能とする分注装置が提案されている。しかし、特許文献1の装置では気体(空気)が圧力伝達の媒質となっているため、その圧縮性により応答性や精度が問題となる場合がある。そのため特許文献2のような液体を圧力伝達の媒質とする分注装置も提案されている。さらに、液体を圧力伝達の媒質とする分注装置の中でも、ポンプのピストン(プランジャ)の作用により直接吐出させるのではなく、配管の途中にバルブを設けて、ポンプや他の加圧手段により予め加圧しておき、バルブの開閉により吐出を行う特許文献3や特許文献4のような分注装置も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−182665号公報
【特許文献2】特開平10−96735号公報
【特許文献3】特開2006−308374号公報
【特許文献4】特開2006−284426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一滴の量が微量(例えば、数十μL以下)、特に極微量(例えば、数十nL以下)の「飛翔吐出」または「非接触吐出」を行う場合、ピストン(プランジャ)の作用で吐出させる構成においては、移動距離が短いために十分な加速ができず、液滴を飛翔させられるだけの力(圧力)を与えることができなかった。
他方で、特許文献3に記載される分注装置のように液状の伝達媒質(システムリキッド)をポンプで加圧する構成の場合、センサなどの機器を設け、液体の圧力変化をフィードバックする制御が必要であり(例えば、同文献[0030]参照)、圧力を一定に保つ仕組みが複雑になってしまうという問題があった。また、液体を連続吐出する間は常にポンプを動作させた状態であるので、ポンプへの負荷が大きく、ポンプの寿命が短命になるという問題もある。
さらに、特許文献4に記載される分注装置のように液状の伝達媒体を気体で直接加圧する構成の場合、気体加圧の作用が直接試料に伝わってしまうことの問題がある。すなわち、バッファタンク内の液状の伝達媒体が減ることによる水頭差の影響を受けてしまうこと、気体の圧縮性の影響を受けてしまうこと、気体加圧源の圧力変動(脈動)の影響を受けてしまうこと、などの問題が起きていた。そして、これらの影響を受けると、水頭差および気体の圧縮性に起因する応答性の悪さや、気体加圧源の圧力変動(脈動)に起因する安定性の悪さを有する圧力が付与された伝達媒体がバルブに供給されてしまうため、分注精度が損なわれるという問題があった。
【0007】
異なる種類の試料・試薬を吐出する際の、ノズルでの試料・試薬の混交(コンタミネーション)の問題も解決されるべき課題である。特許文献2には、洗浄液を流路内に流す構成が開示されるが、それだけではノズル先端(特に外面)に洗浄液が残り、試料・試薬吸引時に試料・試薬を混交してしまうおそれがあった。また、廃液の処理、洗浄液の供給、ノズルの乾燥も含めた一連の洗浄作業を実現することができる分注装置が求められていた。特に、一連の洗浄作業を実現することができる卓上型の分注装置が求められていた。
【0008】
そこで本発明は、上記課題を解決した吐出装置および液体分注装置並びに液体分注方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、流路内に圧力伝達媒質が充填されたノズル部の吐出口から空隙を介して複数回吐出する分量の吐出液体を吸引し、微量の液滴を連続的に飛翔吐出する吐出装置であって、吐出口と連通する流路を有するノズル部と、調圧された液状の圧力伝達媒質をノズル部側に供給する貯留部と、調圧された加圧気体を貯留部側に供給する加圧部と、貯留部およびノズル部と流体的に連通されるポンプ機構と、ノズル部、貯留部およびポンプ機構を連通する分岐流路が設けられた分岐部と、分岐部とノズル部とを連通または遮断する吐出バルブと、分岐部と貯留部とを連通または遮断する供給バルブと、制御部と、を備え、前記制御部が、吐出バルブを閉じ、供給バルブを開いた状態で、加圧部により調圧された加圧気体を貯留部側に供給するとともに貯留部により調圧された液状の圧力伝達媒質を供給バルブ側に供給し、続いて吐出バルブを所定のタイミングで開閉することにより微量の液滴を連続的に飛翔吐出することを特徴とする吐出装置である。
第2の発明は、第1の発明において、前記加圧部が気体用レギュレータを備え、前記貯留部が液体用レギュレータを備えることを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明において、前記加圧部がディスペンスコントローラを備えることを特徴とする。
第4の発明は、第1ないし3の発明において、前記分岐部をブロック状部材で構成し、当該ブロック状部材、前記供給バルブ、前記ポンプ機構、前記吐出バルブおよび前記ノズル部を一つのベースに対して一体的に配設して構成したヘッド部を備えることを特徴とする。
第5の発明は、第1ないし4のいずれかの発明に係る吐出装置と、分注目標容器と吐出液体容器とを載置するワークテーブルと、ノズル部とワークテーブルとを相対的に移動させるXYZ移動機構と、を備えることを特徴とする液体分注装置である。
第6の発明は、第5の発明において、前記ノズル部から吐出された液体を受ける排出部および洗浄液湧出口を備える洗浄ユニットと、前記ノズル部の先端に吸引力を作用させて乾燥させる乾燥ユニットと、をさらに備えることを特徴とする。
第7の発明は、第5または6の発明において、卓上型であることを特徴とする。
【0010】
第8の発明は、吐出口と連通する流路を有するノズル部と、調圧された液状の圧力伝達媒質をノズル部側に供給する貯留部と、調圧された加圧気体を貯留部側に供給する加圧部と、貯留部およびノズル部と流体的に連通されるポンプ機構と、ノズル部、貯留部およびポンプ機構を連通する分岐流路が設けられた分岐部と、分岐部とノズル部とを連通または遮断する吐出バルブと、分岐部と貯留部とを連通または遮断する供給バルブと、分注目標容器と吐出液体容器とを載置するワークテーブルと、ノズル部とワークテーブルとを相対的に移動させるXYZ移動機構と、を備えた液体分注装置を用いて吐出液体を連続的に吐出する液体分注方法であって、流路内に圧力伝達媒質が充填されたノズル部の吐出口から空隙を介して複数回吐出する分量の吐出液体を吸引する第1の工程、吐出バルブを閉じ、供給バルブを開いた状態で、加圧部により調圧された加圧気体を貯留部側に供給するとともに貯留部により調圧された液状の圧力伝達媒質を供給バルブ側に供給する第2の工程、ノズル部とワークテーブルとを相対的に移動しながら、吐出バルブを所定のタイミングで開閉することにより微量の液滴を連続的に飛翔吐出する第3の工程、を含んでなる液体分注方法である。
第9の発明は、吐出口と連通する流路を有するノズル部と、調圧された液状の圧力伝達媒質をノズル部側に供給する貯留部と、調圧された加圧気体を貯留部側に供給する加圧部と、貯留部およびノズル部と流体的に連通されるポンプ機構と、ノズル部、貯留部およびポンプ機構を連通する分岐流路が設けられた分岐部と、分岐部とノズル部とを連通または遮断する吐出バルブと、分岐部と貯留部とを連通または遮断する供給バルブと、分注目標容器と吐出液体容器とを載置するワークテーブルと、ノズル部とワークテーブルとを相対的に移動させるXYZ移動機構と、前記ノズル部から吐出された液体を受ける排出部および洗浄液湧出口を備える洗浄ユニットと、前記ノズル部の先端に吸引力を作用させて乾燥させる乾燥ユニットと、を備えた液体分注装置を用いて複数種類の吐出液体を連続的に吐出する液体分注方法であって、第1の吐出液体について、流路内に圧力伝達媒質が充填されたノズル部の吐出口から空隙を介して複数回吐出する分量の吐出液体を吸引する第1の工程、吐出バルブを閉じ、供給バルブを開いた状態で、加圧部により調圧された加圧気体を貯留部側に供給するとともに貯留部により調圧された液状の圧力伝達媒質を供給バルブ側に供給する第2の工程、ノズル部とワークテーブルとを相対的に移動しながら、吐出バルブを所定のタイミングで開閉することにより微量の液滴を連続的に飛翔吐出する第3の工程、ノズル部を洗浄ユニットへ移動し、ノズル部内に残存する吐出液体を排出し、ノズル部の先端を洗浄する第4の工程、ノズル部を乾燥ユニットへ移動し、ノズル部の先端を乾燥する第5の工程、ノズル部を洗浄ユニットへ移動し、供給バルブを閉じ、吐出バルブを開いた状態で、圧力伝達媒質を吐出口から排出する第6の工程、第2の吐出液体について、第1ないし第3の工程を実行する第7の工程、を含んでなる液体分注方法である。
第10の発明は、第8または9の発明において、一回に吐出される液滴の分量が1μL以下であることを特徴とする。
第11の発明は、第10の発明において、一回に吐出される液滴の分量が数十nL以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、圧力センサ等を設けず、測定値をフィードバックさせる必要がないので、圧力を一定に保つ構成が簡素かつ制御が簡単となる。
また、ポンプで液体を吐出するための加圧を行わないのでポンプに負荷がかからず、各機器(特にポンプやアクチュエータ)の長寿命化につながる。
さらに、気体の圧力と液体の圧力を別々に調節するため、気体加圧の作用が直接試料・試薬に伝わることがないので、圧力の印加に対する応答性や安定性がよくなり、高精度な吐出を実現することができる。
【0012】
また、洗浄液でのノズル内外の洗浄に加え、洗浄後にノズル先端の乾燥を行うので、コンタミネーションを確実に防ぐことができる。
また、廃液の処理や洗浄液の供給も含めた洗浄と乾燥を行うユニットをノズル可動範囲に設けた構成においては、ノズル先端の洗浄から乾燥までの一連の作業を自動化することができる。くわえて、複数種の吐出液体の分注作業も自動化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る分注装置を構成する吐出装置を説明する説明図である。
【図2】本発明に係る分注装置の洗浄乾燥ユニットを示す概略斜視図である。
【図3】本発明に係る分注装置の洗浄ユニットを説明する上面図である。
【図4】本発明に係る分注装置の洗浄ユニットを説明する断面図である。
【図5】本発明に係る分注方法における媒質供給工程の前半を説明する説明図である。
【図6】本発明に係る分注方法における媒質供給工程の後半を説明する説明図である。
【図7】本発明に係る分注方法における吸引工程を説明する説明図である。
【図8】本発明に係る分注方法における加圧工程を説明する説明図である。
【図9】本発明に係る分注方法における吐出工程を説明する説明図である。
【図10】本発明に係る分注方法における排出洗浄乾燥工程を説明する説明図である。
【図11】本発明に係る分注方法における初期化工程を説明する説明図である。
【図12】本発明に係る分注装置の全体構成を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための形態の一例を説明する。以下では、液体試料や液体試薬をまとめて吐出液体と呼ぶ。
[構成]
図1に本実施の形態に係る分注装置の吐出装置1を説明する図を示す。吐出装置1を構成するヘッド部34(図1中点線で囲った部分。詳細は後述)は、XYZ移動機構によりXYZ方向に移動自在とされ、ヘッド部34と分注目標容器42とを相対移動することにより液体の分注が行われる。
本実施の形態に係る分注装置の吐出装置1は、吐出口と連通する流路を有するノズル部と、調圧された液状の圧力伝達媒質をノズル部側に供給する貯留部と、調圧された加圧気体を貯留部側に供給する加圧部と、貯留部およびノズル部と流体的に連通されるポンプ機構と、ノズル部、貯留部およびポンプ機構を連通する分岐流路が設けられた分岐部と、分岐部とノズル部とを連通または遮断する吐出バルブと、分岐部と貯留部とを連通または遮断する供給バルブ6と、制御部13と、ノズル12先端外面の洗浄及び乾燥を行う洗浄乾燥ユニット14と、を備えて構成される。
ノズル部は、吐出液体30を吸引して一時的に溜め込んだあと吐出を行うノズル12を有する。
貯留部は、圧力伝達媒質2を貯留する貯留容器3、貯留容器3と供給バルブ6との間に設置されて貯留容器3から供給される圧力伝達媒質2を所望の圧力に調整する液体用レギュレータ7を有する。
加圧部は、貯留容器3に気体配管を介して接続されて加圧気体を供給する加圧気体源4、貯留容器3と加圧気体源4との間に設置されて加圧気体源4からの加圧気体を所望の圧力に調整する気体用レギュレータ5を有する。
分岐部は、貯留容器3から供給される圧力伝達媒質2をポンプ9方向とノズル12方向へ分岐させる分岐ブロック8を有する。
ポンプ機構は、分岐ブロック8の口の一つに接続されて圧力伝達媒質2を介して吐出液体30を吸引および排出を行うポンプ9、ポンプ9を作動させるアクチュエータ10を有する。
制御部13は、アクチュエータ10や供給バルブ6、吐出バルブ11を制御する。以下、各機器の詳細について説明する。
【0015】
本実施の形態の貯留容器3は密閉容器を用いており、その内部に圧力伝達媒質2を貯留している。圧力伝達媒質2は液体からなり、バルブ(6、11)やポンプ9、ノズル12、これらを接続する配管を満たし、圧力の作用をノズル12に吸引した吐出液体30へ伝える役割を果たす。また、圧力伝達媒質2は洗浄液も兼ねており、ノズル12から吐出液体30と共に排出することにより、ノズル12内部(特に吐出液体30を吸引した部分)の洗浄を行う。圧力伝達媒質2としては、例えば水や水と同程度の粘度を有する液体を用いる。洗浄を良好に行うために界面活性剤等を含むものを用いてもよい。
貯留容器3の上部には、加圧気体を供給する加圧気体源4が気体配管を介して接続されており、その気体配管の途中には加圧気体を所望の圧力に調整する気体用レギュレータ5が設置されている。気体用レギュレータ5としては、周知の気体用レギュレータを用いることができる。なお、気体用レギュレータ5には、調整値確認のためゲージ(圧力計)15が付属していることが好ましい。ゲージ(圧力計)15は、アナログ式でもデジタル式でもどちらも用いることができるのは言うまでもない。また、調圧に際しては、レギュレータに付属のツマミを回して調節してもよいし、電空式を用いて制御部13にて調節するようにしてもよい。ここで、気体用レギュレータ5の代わりにディスペンスコントローラを用いてもよい。ディスペンスコントローラを用いることで、圧力値の設定・変更などが容易に行えるようになる。
【0016】
貯留容器3の下部には、後述するポンプ9や後述するノズル12への圧力伝達媒質2の供給開始および停止を行う供給バルブ6が液体配管を介して接続されている。本実施の形態においては、供給バルブ12に電磁式の開閉バルブを用いており、バルブの開閉により圧力伝達媒質2の供給開始および停止を行う。なお、開閉の制御は後述する制御部13にて行う。
貯留容器3と供給バルブ6とを接続する液体配管の途中には液体用レギュレータ7が設置されている。液体用レギュレータ7としては、周知の液体用レギュレータを用いることができる。なお、液体用レギュレータ7には気体用レギュレータ5と同様に、調整値確認のためゲージ(圧力計)15が付属していることが好ましい。ゲージ(圧力計)15は、アナログ式でもデジタル式でもどちらも用いることができるのは言うまでもない。また、調圧に際しては、レギュレータに付属のツマミを回して調節してもよいし、電空式を用いて制御部13にて調節するようにしてもよい。この液体用レギュレータ7と上述の気体用レギュレータ5を二段階で設けることで、加圧気体源4から供給される加圧気体を気体用レギュレータ5で調圧・安定させ、その安定した加圧気体が作用する圧力伝達媒質2を液体用レギュレータ7でさらに調圧・安定させることができる。これにより、貯留容器3での水頭差や加圧源4の圧力変動(脈動)、圧縮性の影響などを除去することができる。また、液体用レギュレータ7を供給バルブ6の入口手前に設けることで、調圧・安定させた圧力伝達媒質2を吐出に関係する供給バルブ6およびその出口側に接続された機器へ供給することができ、吐出の精度や安定性を向上させることができる。
【0017】
供給バルブ6の出口側には、貯留容器3から供給バルブ6を通して供給される圧力伝達媒質2を後述するポンプ9の方向および同じく後述するノズル12の方向へ分岐させる流路を内設した分岐ブロック8が接続されている。本実施の形態では、分岐ブロック8内の流路は略T字状に形成されている。配管を用いずにブロック状部材に穿孔することで、第一に、管に比べて壁を厚くすることができるので、耐圧性が向上する。それにより、圧力が印加されることによる流路の膨張(或いは収縮)を減少させ、耐久性や精度を向上することができる。第二に、ブロック8にバルブ(6、11)やポンプ9を直接設置することもできるので、継ぎ手を極力用いない構成とすることができ、継ぎ手がある場合に比べて漏れや破損を減少でき、メンテナンス性を向上できる。第三に、流路を直線的に形成することで流路を短くでき、圧力印加に対する応答性を向上することができる。
分岐ブロック8の開口の一つ(図1の上方側の開口)には、圧力伝達媒質2を介して吐出液体30を吸引および排出を行うポンプ9が流体的に連通されている。ポンプ9としては、例えばシリンジポンプ、ピストンポンプ(プランジャポンプ)などの往復式容積型ポンプを用いることができる。本実施の形態においては、ポンプ9は吐出には使用せず、吐出液体30の吸引および排出のみに用いる。また、圧力伝達媒質2の加圧にも使用しない。すなわち、ポンプ9が吐出時の動作には関与することがないので、吐出のための細かな制御が不要となり、ポンプ9では吐出のための加圧を行わないので、加圧による負荷がポンプ9にはかからない。
上記ポンプ9にはこれを動作させるアクチュエータ10が設けられている。アクチュエータ10としては、往復式容積型ポンプに対応して、例えばボールネジとモータ(電動機)の組み合わせ、或いはエアシリンダなど直動式のものを用いる。なお、後述する制御部13にてアクチュエータ10の動作を制御することによりポンプ9の動作を制御する。
卓上型の分注装置を構成する際には、ポンプ9およびアクチュエータ10をノズル12の上方に配置することが好ましい。このような配置とすることにより、後述するヘッド部34を縦長にスリムに構成でき、ヘッド部34を横並びに配置することも容易になるからである。また、ヘッド部34をZ軸に取り付けたときの見栄えも縦長のヘッド部の方がよい。
【0018】
分岐ブロック8の他の開口(図1の下方側の開口)には、その開閉により吐出を制御する吐出バルブ11が流体的に連通されている。本実施の形態では、吐出バルブ11に小型のプランジャバルブを用いている。ここで、他種のバルブを用いてもよいが、その場合は高速に開閉できるものであることが好ましい。この吐出バルブ11を高速に開閉することにより吐出を行う。なお、開閉の制御は後述する制御部13にて行う。
吐出バルブ11の分岐ブロック8と接続される開口と反対側の開口には、ノズル12が流体的に連通されている。ノズル12は、吐出液体30を吐出液体容器41から吸引して一時的に溜め込んだあと、分注目標容器42へ吐出を行うためのものである。本実施の形態では、異なる種類の吐出液体を分注する際にもノズル12を交換することなく、分注(吐出)の都度洗浄を行いながら一つのノズル12で吐出を行う。ノズル12先端部は撥水性を有する材料でコーティングされていることが好ましい。材料としては、フッ素系樹脂やシリコン系樹脂などが例示される。ノズル12先端部が撥水性を有する材料でコーティングされていることで、吐出液体30の吸引や洗浄の際、ノズル12外面に吐出液体30や洗浄液2が付着したまま残ることが少なくなり、不要な垂れや混交を防ぐことができる。
【0019】
上記した吐出バルブ11からノズル12までを連通する流路の距離はできる限り短く構成することが好ましい。なぜなら、後述する吐出動作時に、圧力の伝達が速やかに行われるようになり、飛翔しやすく吐出量の安定した吐出が行えるようになるからである。
上述の二種のバルブ(6、11)やポンプ9を動作させるアクチュエータ10には動作を制御する制御部13が接続されている。この制御部13によりバルブ(6、11)の開閉、アクチュエータ10の速度や移動距離などを制御する。また、レギュレータ(5、7)を電空式にした場合は、その制御も行うとよい。なお、以下ではこの制御部13を吐出に関する制御を行うことから「吐出制御部」と呼ぶことがある。
【0020】
本実施の形態では、上記の各機器に加え、ノズル12先端外面の洗浄等を行う洗浄乾燥ユニット14を備えている。その詳細を図2等を参照しながら説明する。この洗浄乾燥ユニット14は、ノズル12先端外面の洗浄および分注し終えて残った吐出液体30の排出ならびにノズル12先端内面の洗浄を行う洗浄ユニット16と、洗浄後のノズル12先端外面の乾燥を行う乾燥ユニット17とに分かれている。
洗浄ユニット16はさらに、洗浄部18と排出部20とからなる。はじめに洗浄部18は、洗浄液2が供給される配管19が連通する湧出口18を備える。洗浄液貯留容器36に貯留された洗浄液2は、ポンプ38の補助により、図2の符号23の方向から洗浄ユニット16へ供給され、湧出口18から上向きに洗浄液2を湧出する(符号24)。ここで、湧出する洗浄液2は、湧き水程度の水勢であり、噴水のように高々と水柱を形成するような水勢ではない。この洗浄液2が湧出している部分にノズル12を浸すことで、ノズル12外面を洗浄することができる。湧出口18では洗浄液2が連続的に湧出しているので吐出液体等の洗い落とされたものは洗浄液供給側には逆流しないようになっている。なお、洗浄液2は、前述の圧力伝達媒質2と同一の液体であることが好ましい。つぎに排出部20は、図3に示すように、洗浄部(湧出口)18の周囲に形成された上面視コの字状の溝となっている。図4に示すように、湧出口18と配管19をつなぐ断面L字状の流路の外壁は洗浄ユニット16の内底に接しており、この断面L字状の流路部分は、洗浄液2が溢れ出ないよう一段低くなっているが、排出部20とは異なり溝とはなっていない。湧出口18から湧出した洗浄液2は排出部20の溝を通ってユニット壁面に開けられた排出口21より排出される(符号25の矢印方向)。また、分注し終えて残った吐出液体30の排出もこの排出部20で行う。排出された洗浄液2や吐出液体30は、排出口21に接続された配管22を通じて廃液容器37へと流入する。このとき、洗浄部18と同様に、ポンプ39の補助により廃液を確実に送出することが好ましい。
【0021】
乾燥ユニット17は、その上面にノズル12先端を挿し込むのに十分な大きさを持つ孔、言い換えるとその径がノズル12の外径よりも大きな孔26が開いており、孔26はユニット内部から配管27を通じて真空源44と流体的に連通している。この孔26を挿入孔と呼ぶ。この挿入孔26にノズル12先端を挿し込み、周囲の空気を吸い込むことでノズル12先端外面に付着した洗浄液等を吸い込みノズル12先端を乾燥した状態にする。図2において、空気の流れを符号28で示す。なお、乾燥ユニット17と真空源44の間には、吸い込んだ空気から液体を取り分けるフィルターに相当するものが設けられている。
このように、廃液の処理や洗浄液の供給も含めた洗浄と乾燥を行うユニット14をノズル可動範囲に設けているため、容易にノズル12先端の洗浄から乾燥までを行うことができ、かつ一連の動作を自動化することができる。くわえて、ノズル12内部および外部の洗浄ならびに乾燥を一つのユニット14で一括して行うことができるので、複数種の吐出液体30の吐出を行う場合の洗浄乾燥作業も自動化することができる。
【0022】
[分注方法]
図5〜11に本実施の形態に係る分注方法を説明する図を示す。これらの図では液体用レギュレータ5からノズル12までの間の機器類を示し、それ以外は省略している。
(1)圧力伝達媒質の供給(図5および6)
吐出を行う前の準備段階として、空の状態の流路(供給バルブ6からポンプ9およびノズル12までの略T字状の流路)に圧力伝達媒質2を満たす。
まず初めに、吐出装置1を構成する各機器のうち、ポンプ9のピストン29を外し、吐出バルブ11を「閉」状態に、供給バルブ6を「閉」状態にそれぞれしておく。次に、圧力伝達媒質2の入った貯留容器3を供給バルブ6入口側に接続し、貯留容器3に加圧気体源4を接続する。このとき、気体用レギュレータ5はゼロに調整した状態にしておく。また、液体用レギュレータ7は後述する吐出圧力に調整した状態にしておく。そして、気体用レギュレータ5を所定圧力へ調整すると、加圧気体の作用により供給バルブ6入口まで圧力伝達媒質2が供給される。なお、気体用レギュレータ5の設定圧力は、下流側に設置してある液体用レギュレータ7などでの損失分を考慮して、液体用レギュレータ7での設定圧力より少し高めに設定しておくとよい。ついで、ノズル12先端をXYZ移動機構にて洗浄乾燥ユニット14の洗浄ユニット16の排出部20上へ移動する。そして、供給バルブ6を「開」状態にすると、加圧気体の作用により、供給バルブ6の先(出口側)へと圧力伝達媒質2が供給される。すると、圧力伝達媒質2は、図5に示すように、一部はノズル12方向へも流れるが、まずポンプ9方向へ流れる。そして、圧力伝達媒質2がポンプ9の上端に達するか溢れ出てきたら供給バルブ6を「閉」状態にする。そこへ外してあったピストン29を差し込み、ピストン端をアクチュエータに固定する。吐出バルブ11および供給バルブ6を共に「開」状態にすると、図6に示すように、圧力伝達媒質2はノズル12方向へと流れ、ついにノズル12先端から流出するに至る。圧力伝達媒質2がノズル12先端より流出することを確認したら、供給バルブ6を「閉」状態にする。最後に、ピストン29を「進出」位置にする。以上で、流路に圧力伝達媒質2を満たす作業は完了する。
【0023】
(2)吐出液体の吸引(図7)
圧力伝達媒質の供給を終えたら、実際に分注する吐出液体30を必要量吸引する作業を行う。
まず、ノズル12先端をXYZ移動機構にて分注を行う吐出液体30が蓄えられている容器41上へ移動する。次に、吐出液体30の吸引を行う前に、空気中でポンプ9のピストン29を微量後退させ、ノズル12先端に空気を微量吸引し、空隙31を形成する。これは、圧力伝達媒質2と吐出液体30との混交を防ぐためである。吸引する空気量は、多すぎると吐出量が不安定となるし、逆に少なすぎると圧力伝達媒質2と吐出液体30との混交を起こしてしまうので、滴量を選択する。具体例を挙げると、本実施の形態では一滴の量の10%前後の量を吸引している。ついで、ノズル12先端を吐出する吐出液体30に浸し、ポンプ9のピストン29を後退させて吐出液体30を吸引する。吸引量の調整はポンプ9のピストン29の後退量によって行う。ここで、吸引する吐出液体30の量は、分注する全体の量よりも少し多めにすることが好ましい。なぜなら、吸引量と分注量が一致していると、分注の終わりに近づくに従い、吐出液体30吸引前に吸引した空気31の影響を受けて吐出量が不安定になったり、最後の吐出で空気31の部分に達してしまい、吐出時に飛び散りを起こしたりすることがあるからである。
ここで、ノズル12の先端部分は、一回で分注する量(例えば、複数の凹部を一体的に設けたプレートの全ての凹部に吐出しようとする場合はその合計量)を蓄えられる長さとすることが好ましい。また、ノズル12の径は吐出する一滴の量に応じて適宜選択する。例えば、本実施の形態では、内径0.1[mm]前後で長さ5〜10[mm]の先端部分を有する先細りの円錐形状ノズルを用いている。
【0024】
(3)圧力伝達媒質の加圧(図8)
吐出液体30の吸引の次は、圧力伝達媒質2を吐出圧力まで加圧する。
初めに、吐出バルブ11を「閉」状態としたあと、つづけて供給バルブ6を「開」状態とする。すると、加圧気体の作用により、供給バルブ6から吐出バルブ11入口までの流路内の圧力伝達媒質2が加圧される。貯留容器3と供給バルブ6との間には液体用レギュレータ7が設置してあるので、液体用レギュレータ7出口から吐出バルブ11入口までの流路内の圧力伝達媒質2は、液体用レギュレータ7の設定圧力(=吐出圧力)に加圧される。この液体用レギュレータ7と上述の気体用レギュレータ5を二段階で設けることで、加圧気体源4から供給される加圧気体を気体用レギュレータ5で調圧・安定させ、その安定した加圧気体が作用する圧力伝達媒質2を液体用レギュレータ7でさらに調圧・安定させることになるので、貯留容器3での水頭差や加圧源4の圧力変動(脈動)、圧縮性の影響などを除去することができる。一方で、吐出バルブ11出口側からノズル12までの流路内にある吐出液体30はまだ加圧されていない。しかし前述のように、吐出バルブ11からノズル12までの距離はできる限り短く構成されているので、吐出時の圧力の伝達が速やかに行われるようになっている。なお、液体用レギュレータ7の圧力の設定値については、一滴の量や飛翔するか否かによって予め実験などで求めておく。ただし、後述するバルブ開閉時間と併せて考えることが必要である(具体的数値例は下記(4)を参照)。
【0025】
(4)吐出液体の吐出(図9)
圧力伝達媒質の加圧を終えたところで吐出を開始する。
まず、ノズル12先端が分注を行う目標容器42の上方に位置するようXYZ移動機構により後述するヘッド部34を移動する。ついで、吐出バルブ11を「開」状態にすると、吐出バルブ11出口側のノズル12内にある吐出液体30に圧力伝達媒質2を介して圧力が伝達し、吐出液体30がノズル12より流出し始める。所定時間経過後、吐出バルブ11を「閉」状態にすると、圧力の伝達が止まり、吐出液体30のノズル12よりの流出が止まる。ポンプ9のピストン29の作用で吐出させる構成よりも高い圧力を印加し、かつ、吐出バルブ11を高速に開閉することで、吐出液体30を滴状にしてノズル12より飛翔させて分注目標容器42の分注位置へと吐出することができる。また、加圧気体源4からの圧力の作用による吐出方法であれば、ピストン29の作用による吐出方法では難しい一滴の量が微量である飛翔吐出も可能である。分注目標容器42に複数の分注位置がある場合は、上記のノズル12の移動と吐出バルブ11の開閉を繰り返す。なお、時間の設定値については、圧力値と同様、一滴の量や飛翔するか否かによって予め実験などによって求めておく。ここで、吐出量の調整はバルブ開閉時間によって主に行う。言い換えると、圧力設定は一度決定したらほとんど変更しない。これは、時間の方が圧力に比べ応答性がよいからである。また、時間と吐出量はほぼ比例関係にあるので、比較的容易に設定を調整できるからでもある。具体例を挙げると、約1[mPa・s](ミリパスカル秒)の粘度の吐出液体に、30[kPa](キロパスカル)の圧力を印加し、1[msec](ミリ秒)吐出バルブを開閉すると約60[nL](ナノリットル)吐出される。同じ液体に同じ圧力を印加し、バルブ開閉時間を2[msec](ミリ秒)とすると約120[nL](ナノリットル)吐出される。
【0026】
(5)排出・洗浄・乾燥(図10)
分注目標容器42の全ての分注位置へ吐出を終えた場合、或いは別種の吐出液体30を吐出したい場合など、ノズル12内に残った吐出液体30を排出し、同時にノズル12内外の洗浄を行う。
初めに、吐出バルブ11を「閉」状態とし、ノズル12先端が洗浄乾燥ユニット14の洗浄ユニット16の排出部20へ位置するようXYZ移動機構により後述するヘッド部34を移動する。続いて、吐出バルブ11を「開」状態にしてノズル12内に残っている吐出液体30を排出する。このとき、ノズル12内の吐出液体30を圧力伝達媒質2で押し出しながら圧力伝達媒質2と共に排出する。そうすることで、洗浄液2を兼ねている圧力伝達媒質2がノズル12先端内面の洗浄を行うことができる。また、排出する際は周囲に飛び散らないよう、XYZ移動機構にてノズル12を洗浄ユニット14の排出部20の壁面上端より下に位置させてから排出するとよい。排出を終えたら、吐出バルブ11を「閉」状態にする。次に、ノズル12先端をXYZ移動機構にて洗浄乾燥ユニット14の洗浄ユニット16の洗浄部18へ移動し、洗浄部18より湧出している洗浄液2でノズル12外面の洗浄を行う。ノズル12を洗浄する際には、ノズル12を湧出口18の中にまで挿入するのではなく、湧出口18の上に湧き出している部分に浸せばよい。洗浄するノズル12の領域を変更したい場合は、洗浄液2が湧出する水勢を調整することで変更すればよい。洗浄液2は圧力伝達媒質2と同じものを用いることが好ましい。もし洗浄液2と圧力伝達媒質2が異なると、ノズル12先端の洗浄液2へ浸した部分で洗浄液2と圧力伝達媒質2の混交が起きてしまうからである。
続いて、ノズル12先端をXYZ移動機構にて洗浄乾燥ユニット14の乾燥ユニット17上へ移動し、ノズル12先端を挿入孔26へ挿し込む。そして、ノズル12周囲の空気を吸い込んでノズル12外面に付着した余分の液体(主に洗浄液2)を吸引することで、ノズル12先端の乾燥を行う。このように、ノズル12先端外面に洗浄液等を付着したままにしておかず、乾燥した状態にすることで、次に吐出液体30の吸引を行うときには、洗浄液2と吐出液体30との混交を確実に防ぐことが可能となる。
【0027】
(6)初期化(図11)
排出・洗浄・乾燥後、次の吸引を行うために、それまでの圧力の除去および初期状態に戻す操作を行う。
まず、ノズル12先端をXYZ移動機構にて洗浄乾燥ユニット14の洗浄ユニット16の排出部20上へ移動し、供給バルブ6を「閉」状態にし、吐出バルブ11を「開」状態にする。すると、圧力伝達媒質2の供給は停止され、供給バルブ6出口からノズル12までの流路内の圧力が除去された状態(圧力=0、大気圧)になる。ついで、ポンプ9のピストン29を進出させ、ノズル12の吐出口から吐出液体30を吸引できる状態とする。このときにピストン29が進出した分の圧力伝達媒質2がノズル12より洗浄ユニット16の排出部20に排出される。ここまでの操作を終えると、上記(1)の最後の状態と同じになり、いつでも次の操作が行えるよう準備が整う。
【0028】
別種の吐出液体30の吐出を行う場合は上記(2)〜(6)を吐出液体30の種類を変える毎に繰り返す。同種の吐出液体30において、一度の吸引では吐出液体30が不足するときにも上記(2)〜(6)を繰り返すことが好ましい。なぜなら、吸引をする際にポンプ9のピストン29を一度下げなければならないからである。
【0029】
以上に説明したように、本発明では、圧力調整のために液体用レギュレータ7と気体用レギュレータ5を二段階で設けているため、加圧気体源4から供給される加圧気体を気体用レギュレータ5で調圧・安定させ、その安定した加圧気体が作用する圧力伝達媒質2を液体用レギュレータ7でさらに調圧・安定させることになるので、貯留容器3での水頭差や加圧源4の圧力変動(脈動)、圧縮性の影響などを除去することができる。また、液体用レギュレータ7を供給バルブ6の入口手前に設けることで、調圧・安定させた圧力伝達媒質2を吐出に関係する供給バルブ6およびその出口側に接続された機器へ供給することができ、吐出の精度や安定性を向上させることができる。
【0030】
また、廃液の処理や洗浄液の供給も含めた洗浄と乾燥を行うユニット14をノズル可動範囲に設けているため、迅速かつ容易にノズル12先端の洗浄から乾燥までを行うことができ、かつ一連の動作を自動化することができる。そして、ノズル12先端外面に洗浄液等を付着したままにしておかず、乾燥した状態にすることで、次に吐出液体の吸引を行うときには、洗浄液と吐出液体との混交を確実に防ぐことが可能となる。くわえて、ノズル12内部および外部の洗浄ならびに乾燥を一つのユニット14で一括して行うことができるので、複数種の吐出液体30の吐出を行う場合の洗浄乾燥作業も自動化することができる。
さらに、ポンプ9のピストン29の作用によるよりも高い圧力を印加でき、かつ、吐出バルブ11を高速に開閉することができるので、吐出液体30を滴状にしてノズル12より飛翔させて目標へと吐出することが可能である。また、圧力の作用による吐出方法であるので、ピストン29の作用による吐出方法では難しい一滴の量が微量である飛翔吐出も可能である。
【0031】
以下では、本発明の詳細を実施例により説明するが、本発明は何ら実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0032】
[全体構成]
図12に本実施例に係る分注装置の全体構成を説明する図を示す。
本実施例に係る分注装置33は、吐出液体30の吸引および吐出並びにノズル12の洗浄等を行う吐出装置1、分注目標容器42や吐出液体容器41をその上に載置するワークテーブル40、ノズル12とワークテーブル40とを相対的に移動させるXYZ移動機構を主要な要素とする。以下、それぞれの詳細について説明する。
【0033】
(1)吐出装置
基本的な構成は図1に示したものと同じであるが、機器毎に設置箇所が異なる。
まず、ノズル12、分岐ブロック8、ポンプ9、アクチュエータ10、供給バルブ6は一つのベースに対して一体的に取り付けられ、後述するZ移動機構47に設置される。このベースに取り付けられたひとまとまりをヘッド部34(図1の点線で囲った部分)と呼ぶ。ヘッド部34はノズル12部分を除き、カバーで覆われている。
つぎに、液体用レギュレータ7、貯留容器3、気体用レギュレータ5は分注装置33の筐体側面に設置される。ここで、レギュレータ(5、7)や貯留容器3をヘッド部34とは別に設置しているのは、レギュレータ(5、7)や貯留容器3までヘッド部34に含めてしまうと、ヘッド部34が重量化、大型化してしまい、XYZ移動機構の位置決め精度や耐久性などに影響を及ぼしてしまうためである。貯留容器3は、実施の形態で述べたように密閉容器であればよく、その材質、形状等を問わない。例えば、タンクやビン或いはエア式ディスペンサで用いるシリンジを用いてもよい。また図12では、各レギュレータ(5、7)に付属のゲージ(圧力計)15としてアナログ式を描いているが、デジタル式を用いてもよいことは言うまでもない。ここで、実施の形態で述べたように、気体用レギュレータの代わりにディスペンスコントローラを用いてもよい。
上記ヘッド部34の供給バルブ6と液体用レギュレータ7の間は、点線で図示する配管35で接続される。配管35はヘッド部34が移動することを考慮して可撓性を有する材料により構成することが好ましい。
加圧気体源4は、分注装置33とは別に設けられており、配管を介して気体用レギュレータ5に接続される。ここでは簡略化して図示している。具体例を挙げると、一般的な圧縮機を用いたり、工場設備から直接供給を受けたりすることが開示される。
洗浄乾燥ユニット14は、ワークテーブル40横の筐体上面のテーブル移動に干渉しない位置に設置される。洗浄乾燥ユニット14は図2と同じ構成であり、洗浄ユニット16と乾燥ユニット17とから構成される。洗浄ユニット16に付属する洗浄液容器36、廃液容器37、洗浄液ポンプ38、廃液ポンプ39は分注装置33の本体側面でレギュレータ(5、7)とは反対側の筐体側面の洗浄乾燥ユニット14に隣接した位置に設置される。
上記洗浄ユニット16と洗浄液容器36および廃液容器37とは洗浄液ポンプ38および廃液ポンプ39をそれぞれ経由して配管で接続されている。配管は洗浄液容器36から洗浄液2を洗浄液ポンプ38により洗浄部18へ送出する系統、および排出部20から排出される廃液を廃液ポンプ39により廃液容器37へ送出する系統の二系統が存在する。
吐出制御部13は、分注装置33筐体の洗浄乾燥ユニット14側の側面に設置される。吐出制御部13は、ポンプ9を動作させるアクチュエータ10や二種のバルブ(6、11)の動作を制御する。また、この吐出制御部13は、上述の洗浄ユニット16が備える洗浄液ポンプ38、廃液ポンプ39の動作の制御も行う。
【0034】
(2)ワークテーブル
ワークテーブル40はその上面に吐出液体容器41、分注目標容器42が載置される。本実施例においてこれら容器(41、42)は、複数の凹部(ウェル)を一体的に設けたプレート状をしており、その複数の凹部に複数種の試料・試薬や検体が入っている。そして、凹部内の試料・試薬を吸引したり、或いは凹部へ向けて試料・試薬を吐出したりすることにより分析、検査を行う。
上記各容器(41、42)を固定する方法としては、テーブル40内部から上面に通じる複数の孔を開け、その孔から空気を吸い込むことで容器を吸着固定する方法、容器を固定用部材で挟み込み、その部材をネジ等の固定手段でテーブル40に固定することで容器を固定する方法などが挙げられる。なお、吸着固定の場合は別途真空源44を接続する必要がある。また、吸着のオンオフを制御する必要もある。取り扱いの簡便さを考慮するならば、吸着固定を採用するとよい。本実施例では、吸着固定する場合を示しており、上記乾燥ユニット17での吸引およびワークテーブル40での吸着固定で用いる負圧気体を制御するための真空制御部43を分注装置33の筐体側面に設置している。真空源44は、分注装置33とは別に設けられており、配管で真空制御部43と接続される。
上記各容器(41、42)は、洗浄乾燥ユニット14のようにワークテーブル40の移動に干渉しない位置に載置することも可能であるが、ワークテーブル40にスペースが充分あるならば一緒に載せてしまう方がよい。なぜなら、その方が吐出液体容器41と分注目標容器42との間を移動する距離が短くなり、その分作業時間の短縮につながるからである。
【0035】
(3)XYZ移動機構
XYZ移動機構は、門型のフレーム上に設置され、ヘッド部34の設置されたZ移動機構47を符号48の方向へ移動させるX移動機構45、そのX移動機構45の下方に設置され、ワークテーブル40を符号49の方向へ移動させるY移動機構46、X移動機構45上に設置され、ヘッド部34を符号50の方向へ移動させるZ移動機構47から構成される。
Y移動機構46下の筐体内には移動機構のための制御部(図示せず)が内設される。この制御部はXYZ移動動作の制御および吐出装置1を制御する吐出制御部13への動作信号の発信も行う。また、XYZ移動動作や吐出動作タイミングなどをルーチン化した塗布プログラムを記憶する記憶装置(図示せず)を有する。
【0036】
[分注動作]
上記分注装置33の一連の動作を簡単に説明する。基本的動作は実施の形態で示したものとほぼ同じである。本実施例の吐出液体は血液や尿、並びにそれらの中から抗原や抗体を検出するための試薬であり、20〜30nL(ナノリットル)の分注量で96個(8×12)のウェルが形成されたマイクロプレートへの分注を行う。
最初に、吐出液体容器41と分注目標容器42とをワークテーブル40の上に載置し、固定する。また、圧力伝達媒質2の入った貯留容器3、洗浄液容器36、廃液容器37を設置し、配管をポンプ(38、39)やヘッド部34等へと接続する。
ついで、実施の形態で示した図5〜図11の手順に従い、圧力伝達媒質2の供給、吐出液体30の吸引、加圧を行う。
そして、分注目標容器42に対してヘッド部34を移動させて吐出液体30の吐出を行う(図9参照)。この際、複数の凹部へ連続して吐出を行う場合には、凹部の上方に位置するたびにヘッド部34を停止させるのではなく、移動しながら吐出を行うと作業時間の短縮を図ることができる。
【0037】
分注作業の途中で別種の吐出液体30の吐出を行う場合は、実施の形態で示した排出・洗浄・乾燥の手順に従い、分注し終えた吐出液体30を排出・洗浄・乾燥し、新たな吐出液体30の吸引を行って、吐出を行う(図10、図11参照)。さらに他の吐出液体30の吐出をするのであれば上記した排出・洗浄・乾燥・吸引・吐出の工程を繰り返す。作業を終える場合には、排出・洗浄・乾燥の工程を終えた後に全体の作業を終えるとよい。
このような自動化された分注装置33を用いれば、人間がピペットなどを用いて手作業で行うことが困難な多量の操作を高速に行うことが可能である。実施例1の分注装置33により、分注精度も吐出量のばらつきとして約1〜0.5%の高精度を実現できることが確認された。
【符号の説明】
【0038】
1 吐出装置/2 圧力伝達媒質、洗浄液/3 貯留容器/4 加圧気体源/5 気体用レギュレータ/6 供給バルブ/7 液体用レギュレータ/8 分岐ブロック/9 ポンプ/10 アクチュエータ/11 吐出バルブ/12 ノズル/13 吐出制御部/14 洗浄乾燥ユニット/15 ゲージ(圧力計)/16 洗浄ユニット/17 乾燥ユニット/18 洗浄部、湧出口/19 洗浄液供給配管/20 排出部/21 排出口/22 廃液送出配管/23 洗浄液流入方向/24 洗浄液湧出方向/25 廃液流出方向/26 挿入孔/27 吸引空気流出配管/28 吸引空気流出方向/29 ピストン/30 吐出液体(液体試料、液体試薬)/31 空隙(混交防止用空気)/32 加圧領域/33 分注装置/34 ヘッド部/35 配管(供給バルブ―液体用レギュレータ間)/36 洗浄液容器/37 廃液容器/38 洗浄液ポンプ/39 廃液ポンプ/40 ワークテーブル/41 吐出液体容器/42 分注目標容器/43 真空制御部/44 真空源/45 X移動機構/46 Y移動機構/47 Z移動機構/48 X移動方向/49 Y移動方向/50 Z移動方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出液体を一のノズルより吸引し、一回で吸引した吐出液体を複数回にわたって微量ずつ非接触吐出する技術に関する。より詳細には、例えば、吐出液体とは別の液体を圧力伝達媒質とし、複数種の吐出液体を単一のノズルで圧力の作用により数十μL(マイクロリットル)以下の微量ないし数十nL(ナノリットル)以下の極微量ずつ飛翔吐出する卓上型の液体分注装置および液体分注方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生物学、化学、医療の分野において分析、検査を行うために液体試料や液体試薬を試験管やマイクロプレート等の容器へ微量ずつ小分けにするものとして分注装置と呼ばれるものが用いられている。特に、動物や植物の遺伝情報の解析、創薬におけるスクリーニング、医療における血液検査やウイルス検査などの検体検査等の膨大な量のサンプル、試薬などを分注する用途において注目されている。これは、人間がピペットなどを用いて手作業で行うことが困難な多量の操作を分注装置が高速かつ正確に行えるからである。上述のように多量の分注を行うことから、一般に高価で稀少な試料を有効に活用するために、一滴の吐出量は微量(例えば、μL(マイクロリットル)からnL(ナノリットル)のオーダー)であることが要求され、分注装置にも微量で正確な吐出が要求される。また、多量の操作を効率的に進める観点から、一度に多数の種類の分析、検査を行うこともあり、そのために一台の分注装置で多種の液体を吐出することも要求される。
【0003】
一般的に分注装置は、液体試料や液体試薬を貯留する容器から試料・試薬を抽出するポンプや抽出した試料・試薬の吐出を行うノズル、それらを接続する配管などからなる吐出部、ノズルや分注対象の容器などを相対移動させる機構である駆動部、ポンプや駆動部などの機器類の動作を制御する制御部から主に構成される。上記構成の中でも特に重要なのが、直接に液体試料や液体試薬を扱う吐出部である。
吐出部には様々なタイプがあるが、試料・試薬が供給される方向で大まかに二つに分けることができる。一つは、試料・試薬の供給が排出口(ノズル)の反対端からされるタイプ、もう一つは、試料・試薬の供給が排出口(ノズル)と同一端からされるタイプ、すなわち、排出口(ノズル)から試料・試薬を吸引し、排出口(ノズル)から試料・試薬を吐出するタイプである。特に、試料・試薬が高価或いは稀少であって少量しか用意できない場合にポンプや配管等を動作に必要な試料・試薬で満たすことができないとき、または吐出する試料・試薬の種類が多くあってポンプや配管等に満たした動作に必要な試料・試薬の除去や洗浄に手間がかかるとき等には、試料・試薬の供給が排出口(ノズル)と同一端からされるタイプ、すなわち、排出口(ノズル)から試料・試薬を吸引し、排出口(ノズル)から試料・試薬を吐出するタイプが用いられることが多い。
このようなタイプの分注装置では、微量で正確な吐出を行うため、排出口(ノズル)から吐出される試料・試薬を目標に到達する前に排出口(ノズル)先端から離間させ、飛翔させながら目標に向かうように吐出させることが多い。本明細書内では、このような吐出を「飛翔吐出」または「非接触吐出」と呼ぶこととする。
【0004】
ところで、特許文献1には、ピストンの往復動により吐出させる分注装置では分注誤差が現れるため、数μL未満の精度が要求される分注作業に適さないという課題があることが記載される。そこで、特許文献1では、圧力気体供給源からの正圧付与(またはこれと共にシリンダ装置からの正圧付与)によって液体吐出することにより200μL程度の吐出を一定の精度で行うことを可能とする分注装置が提案されている。しかし、特許文献1の装置では気体(空気)が圧力伝達の媒質となっているため、その圧縮性により応答性や精度が問題となる場合がある。そのため特許文献2のような液体を圧力伝達の媒質とする分注装置も提案されている。さらに、液体を圧力伝達の媒質とする分注装置の中でも、ポンプのピストン(プランジャ)の作用により直接吐出させるのではなく、配管の途中にバルブを設けて、ポンプや他の加圧手段により予め加圧しておき、バルブの開閉により吐出を行う特許文献3や特許文献4のような分注装置も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−182665号公報
【特許文献2】特開平10−96735号公報
【特許文献3】特開2006−308374号公報
【特許文献4】特開2006−284426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一滴の量が微量(例えば、数十μL以下)、特に極微量(例えば、数十nL以下)の「飛翔吐出」または「非接触吐出」を行う場合、ピストン(プランジャ)の作用で吐出させる構成においては、移動距離が短いために十分な加速ができず、液滴を飛翔させられるだけの力(圧力)を与えることができなかった。
他方で、特許文献3に記載される分注装置のように液状の伝達媒質(システムリキッド)をポンプで加圧する構成の場合、センサなどの機器を設け、液体の圧力変化をフィードバックする制御が必要であり(例えば、同文献[0030]参照)、圧力を一定に保つ仕組みが複雑になってしまうという問題があった。また、液体を連続吐出する間は常にポンプを動作させた状態であるので、ポンプへの負荷が大きく、ポンプの寿命が短命になるという問題もある。
さらに、特許文献4に記載される分注装置のように液状の伝達媒体を気体で直接加圧する構成の場合、気体加圧の作用が直接試料に伝わってしまうことの問題がある。すなわち、バッファタンク内の液状の伝達媒体が減ることによる水頭差の影響を受けてしまうこと、気体の圧縮性の影響を受けてしまうこと、気体加圧源の圧力変動(脈動)の影響を受けてしまうこと、などの問題が起きていた。そして、これらの影響を受けると、水頭差および気体の圧縮性に起因する応答性の悪さや、気体加圧源の圧力変動(脈動)に起因する安定性の悪さを有する圧力が付与された伝達媒体がバルブに供給されてしまうため、分注精度が損なわれるという問題があった。
【0007】
異なる種類の試料・試薬を吐出する際の、ノズルでの試料・試薬の混交(コンタミネーション)の問題も解決されるべき課題である。特許文献2には、洗浄液を流路内に流す構成が開示されるが、それだけではノズル先端(特に外面)に洗浄液が残り、試料・試薬吸引時に試料・試薬を混交してしまうおそれがあった。また、廃液の処理、洗浄液の供給、ノズルの乾燥も含めた一連の洗浄作業を実現することができる分注装置が求められていた。特に、一連の洗浄作業を実現することができる卓上型の分注装置が求められていた。
【0008】
そこで本発明は、上記課題を解決した吐出装置および液体分注装置並びに液体分注方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、流路内に圧力伝達媒質が充填されたノズル部の吐出口から空隙を介して複数回吐出する分量の吐出液体を吸引し、微量の液滴を連続的に飛翔吐出する吐出装置であって、吐出口と連通する流路を有するノズル部と、調圧された液状の圧力伝達媒質をノズル部側に供給する貯留部と、調圧された加圧気体を貯留部側に供給する加圧部と、貯留部およびノズル部と流体的に連通されるポンプ機構と、ノズル部、貯留部およびポンプ機構を連通する分岐流路が設けられた分岐部と、分岐部とノズル部とを連通または遮断する吐出バルブと、分岐部と貯留部とを連通または遮断する供給バルブと、制御部と、を備え、前記制御部が、吐出バルブを閉じ、供給バルブを開いた状態で、加圧部により調圧された加圧気体を貯留部側に供給するとともに貯留部により調圧された液状の圧力伝達媒質を供給バルブ側に供給し、続いて吐出バルブを所定のタイミングで開閉することにより微量の液滴を連続的に飛翔吐出することを特徴とする吐出装置である。
第2の発明は、第1の発明において、前記加圧部が気体用レギュレータを備え、前記貯留部が液体用レギュレータを備えることを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明において、前記加圧部がディスペンスコントローラを備えることを特徴とする。
第4の発明は、第1ないし3の発明において、前記分岐部をブロック状部材で構成し、当該ブロック状部材、前記供給バルブ、前記ポンプ機構、前記吐出バルブおよび前記ノズル部を一つのベースに対して一体的に配設して構成したヘッド部を備えることを特徴とする。
第5の発明は、第1ないし4のいずれかの発明に係る吐出装置と、分注目標容器と吐出液体容器とを載置するワークテーブルと、ノズル部とワークテーブルとを相対的に移動させるXYZ移動機構と、を備えることを特徴とする液体分注装置である。
第6の発明は、第5の発明において、前記ノズル部から吐出された液体を受ける排出部および洗浄液湧出口を備える洗浄ユニットと、前記ノズル部の先端に吸引力を作用させて乾燥させる乾燥ユニットと、をさらに備えることを特徴とする。
第7の発明は、第5または6の発明において、卓上型であることを特徴とする。
【0010】
第8の発明は、吐出口と連通する流路を有するノズル部と、調圧された液状の圧力伝達媒質をノズル部側に供給する貯留部と、調圧された加圧気体を貯留部側に供給する加圧部と、貯留部およびノズル部と流体的に連通されるポンプ機構と、ノズル部、貯留部およびポンプ機構を連通する分岐流路が設けられた分岐部と、分岐部とノズル部とを連通または遮断する吐出バルブと、分岐部と貯留部とを連通または遮断する供給バルブと、分注目標容器と吐出液体容器とを載置するワークテーブルと、ノズル部とワークテーブルとを相対的に移動させるXYZ移動機構と、を備えた液体分注装置を用いて吐出液体を連続的に吐出する液体分注方法であって、流路内に圧力伝達媒質が充填されたノズル部の吐出口から空隙を介して複数回吐出する分量の吐出液体を吸引する第1の工程、吐出バルブを閉じ、供給バルブを開いた状態で、加圧部により調圧された加圧気体を貯留部側に供給するとともに貯留部により調圧された液状の圧力伝達媒質を供給バルブ側に供給する第2の工程、ノズル部とワークテーブルとを相対的に移動しながら、吐出バルブを所定のタイミングで開閉することにより微量の液滴を連続的に飛翔吐出する第3の工程、を含んでなる液体分注方法である。
第9の発明は、吐出口と連通する流路を有するノズル部と、調圧された液状の圧力伝達媒質をノズル部側に供給する貯留部と、調圧された加圧気体を貯留部側に供給する加圧部と、貯留部およびノズル部と流体的に連通されるポンプ機構と、ノズル部、貯留部およびポンプ機構を連通する分岐流路が設けられた分岐部と、分岐部とノズル部とを連通または遮断する吐出バルブと、分岐部と貯留部とを連通または遮断する供給バルブと、分注目標容器と吐出液体容器とを載置するワークテーブルと、ノズル部とワークテーブルとを相対的に移動させるXYZ移動機構と、前記ノズル部から吐出された液体を受ける排出部および洗浄液湧出口を備える洗浄ユニットと、前記ノズル部の先端に吸引力を作用させて乾燥させる乾燥ユニットと、を備えた液体分注装置を用いて複数種類の吐出液体を連続的に吐出する液体分注方法であって、第1の吐出液体について、流路内に圧力伝達媒質が充填されたノズル部の吐出口から空隙を介して複数回吐出する分量の吐出液体を吸引する第1の工程、吐出バルブを閉じ、供給バルブを開いた状態で、加圧部により調圧された加圧気体を貯留部側に供給するとともに貯留部により調圧された液状の圧力伝達媒質を供給バルブ側に供給する第2の工程、ノズル部とワークテーブルとを相対的に移動しながら、吐出バルブを所定のタイミングで開閉することにより微量の液滴を連続的に飛翔吐出する第3の工程、ノズル部を洗浄ユニットへ移動し、ノズル部内に残存する吐出液体を排出し、ノズル部の先端を洗浄する第4の工程、ノズル部を乾燥ユニットへ移動し、ノズル部の先端を乾燥する第5の工程、ノズル部を洗浄ユニットへ移動し、供給バルブを閉じ、吐出バルブを開いた状態で、圧力伝達媒質を吐出口から排出する第6の工程、第2の吐出液体について、第1ないし第3の工程を実行する第7の工程、を含んでなる液体分注方法である。
第10の発明は、第8または9の発明において、一回に吐出される液滴の分量が1μL以下であることを特徴とする。
第11の発明は、第10の発明において、一回に吐出される液滴の分量が数十nL以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、圧力センサ等を設けず、測定値をフィードバックさせる必要がないので、圧力を一定に保つ構成が簡素かつ制御が簡単となる。
また、ポンプで液体を吐出するための加圧を行わないのでポンプに負荷がかからず、各機器(特にポンプやアクチュエータ)の長寿命化につながる。
さらに、気体の圧力と液体の圧力を別々に調節するため、気体加圧の作用が直接試料・試薬に伝わることがないので、圧力の印加に対する応答性や安定性がよくなり、高精度な吐出を実現することができる。
【0012】
また、洗浄液でのノズル内外の洗浄に加え、洗浄後にノズル先端の乾燥を行うので、コンタミネーションを確実に防ぐことができる。
また、廃液の処理や洗浄液の供給も含めた洗浄と乾燥を行うユニットをノズル可動範囲に設けた構成においては、ノズル先端の洗浄から乾燥までの一連の作業を自動化することができる。くわえて、複数種の吐出液体の分注作業も自動化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る分注装置を構成する吐出装置を説明する説明図である。
【図2】本発明に係る分注装置の洗浄乾燥ユニットを示す概略斜視図である。
【図3】本発明に係る分注装置の洗浄ユニットを説明する上面図である。
【図4】本発明に係る分注装置の洗浄ユニットを説明する断面図である。
【図5】本発明に係る分注方法における媒質供給工程の前半を説明する説明図である。
【図6】本発明に係る分注方法における媒質供給工程の後半を説明する説明図である。
【図7】本発明に係る分注方法における吸引工程を説明する説明図である。
【図8】本発明に係る分注方法における加圧工程を説明する説明図である。
【図9】本発明に係る分注方法における吐出工程を説明する説明図である。
【図10】本発明に係る分注方法における排出洗浄乾燥工程を説明する説明図である。
【図11】本発明に係る分注方法における初期化工程を説明する説明図である。
【図12】本発明に係る分注装置の全体構成を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための形態の一例を説明する。以下では、液体試料や液体試薬をまとめて吐出液体と呼ぶ。
[構成]
図1に本実施の形態に係る分注装置の吐出装置1を説明する図を示す。吐出装置1を構成するヘッド部34(図1中点線で囲った部分。詳細は後述)は、XYZ移動機構によりXYZ方向に移動自在とされ、ヘッド部34と分注目標容器42とを相対移動することにより液体の分注が行われる。
本実施の形態に係る分注装置の吐出装置1は、吐出口と連通する流路を有するノズル部と、調圧された液状の圧力伝達媒質をノズル部側に供給する貯留部と、調圧された加圧気体を貯留部側に供給する加圧部と、貯留部およびノズル部と流体的に連通されるポンプ機構と、ノズル部、貯留部およびポンプ機構を連通する分岐流路が設けられた分岐部と、分岐部とノズル部とを連通または遮断する吐出バルブと、分岐部と貯留部とを連通または遮断する供給バルブ6と、制御部13と、ノズル12先端外面の洗浄及び乾燥を行う洗浄乾燥ユニット14と、を備えて構成される。
ノズル部は、吐出液体30を吸引して一時的に溜め込んだあと吐出を行うノズル12を有する。
貯留部は、圧力伝達媒質2を貯留する貯留容器3、貯留容器3と供給バルブ6との間に設置されて貯留容器3から供給される圧力伝達媒質2を所望の圧力に調整する液体用レギュレータ7を有する。
加圧部は、貯留容器3に気体配管を介して接続されて加圧気体を供給する加圧気体源4、貯留容器3と加圧気体源4との間に設置されて加圧気体源4からの加圧気体を所望の圧力に調整する気体用レギュレータ5を有する。
分岐部は、貯留容器3から供給される圧力伝達媒質2をポンプ9方向とノズル12方向へ分岐させる分岐ブロック8を有する。
ポンプ機構は、分岐ブロック8の口の一つに接続されて圧力伝達媒質2を介して吐出液体30を吸引および排出を行うポンプ9、ポンプ9を作動させるアクチュエータ10を有する。
制御部13は、アクチュエータ10や供給バルブ6、吐出バルブ11を制御する。以下、各機器の詳細について説明する。
【0015】
本実施の形態の貯留容器3は密閉容器を用いており、その内部に圧力伝達媒質2を貯留している。圧力伝達媒質2は液体からなり、バルブ(6、11)やポンプ9、ノズル12、これらを接続する配管を満たし、圧力の作用をノズル12に吸引した吐出液体30へ伝える役割を果たす。また、圧力伝達媒質2は洗浄液も兼ねており、ノズル12から吐出液体30と共に排出することにより、ノズル12内部(特に吐出液体30を吸引した部分)の洗浄を行う。圧力伝達媒質2としては、例えば水や水と同程度の粘度を有する液体を用いる。洗浄を良好に行うために界面活性剤等を含むものを用いてもよい。
貯留容器3の上部には、加圧気体を供給する加圧気体源4が気体配管を介して接続されており、その気体配管の途中には加圧気体を所望の圧力に調整する気体用レギュレータ5が設置されている。気体用レギュレータ5としては、周知の気体用レギュレータを用いることができる。なお、気体用レギュレータ5には、調整値確認のためゲージ(圧力計)15が付属していることが好ましい。ゲージ(圧力計)15は、アナログ式でもデジタル式でもどちらも用いることができるのは言うまでもない。また、調圧に際しては、レギュレータに付属のツマミを回して調節してもよいし、電空式を用いて制御部13にて調節するようにしてもよい。ここで、気体用レギュレータ5の代わりにディスペンスコントローラを用いてもよい。ディスペンスコントローラを用いることで、圧力値の設定・変更などが容易に行えるようになる。
【0016】
貯留容器3の下部には、後述するポンプ9や後述するノズル12への圧力伝達媒質2の供給開始および停止を行う供給バルブ6が液体配管を介して接続されている。本実施の形態においては、供給バルブ12に電磁式の開閉バルブを用いており、バルブの開閉により圧力伝達媒質2の供給開始および停止を行う。なお、開閉の制御は後述する制御部13にて行う。
貯留容器3と供給バルブ6とを接続する液体配管の途中には液体用レギュレータ7が設置されている。液体用レギュレータ7としては、周知の液体用レギュレータを用いることができる。なお、液体用レギュレータ7には気体用レギュレータ5と同様に、調整値確認のためゲージ(圧力計)15が付属していることが好ましい。ゲージ(圧力計)15は、アナログ式でもデジタル式でもどちらも用いることができるのは言うまでもない。また、調圧に際しては、レギュレータに付属のツマミを回して調節してもよいし、電空式を用いて制御部13にて調節するようにしてもよい。この液体用レギュレータ7と上述の気体用レギュレータ5を二段階で設けることで、加圧気体源4から供給される加圧気体を気体用レギュレータ5で調圧・安定させ、その安定した加圧気体が作用する圧力伝達媒質2を液体用レギュレータ7でさらに調圧・安定させることができる。これにより、貯留容器3での水頭差や加圧源4の圧力変動(脈動)、圧縮性の影響などを除去することができる。また、液体用レギュレータ7を供給バルブ6の入口手前に設けることで、調圧・安定させた圧力伝達媒質2を吐出に関係する供給バルブ6およびその出口側に接続された機器へ供給することができ、吐出の精度や安定性を向上させることができる。
【0017】
供給バルブ6の出口側には、貯留容器3から供給バルブ6を通して供給される圧力伝達媒質2を後述するポンプ9の方向および同じく後述するノズル12の方向へ分岐させる流路を内設した分岐ブロック8が接続されている。本実施の形態では、分岐ブロック8内の流路は略T字状に形成されている。配管を用いずにブロック状部材に穿孔することで、第一に、管に比べて壁を厚くすることができるので、耐圧性が向上する。それにより、圧力が印加されることによる流路の膨張(或いは収縮)を減少させ、耐久性や精度を向上することができる。第二に、ブロック8にバルブ(6、11)やポンプ9を直接設置することもできるので、継ぎ手を極力用いない構成とすることができ、継ぎ手がある場合に比べて漏れや破損を減少でき、メンテナンス性を向上できる。第三に、流路を直線的に形成することで流路を短くでき、圧力印加に対する応答性を向上することができる。
分岐ブロック8の開口の一つ(図1の上方側の開口)には、圧力伝達媒質2を介して吐出液体30を吸引および排出を行うポンプ9が流体的に連通されている。ポンプ9としては、例えばシリンジポンプ、ピストンポンプ(プランジャポンプ)などの往復式容積型ポンプを用いることができる。本実施の形態においては、ポンプ9は吐出には使用せず、吐出液体30の吸引および排出のみに用いる。また、圧力伝達媒質2の加圧にも使用しない。すなわち、ポンプ9が吐出時の動作には関与することがないので、吐出のための細かな制御が不要となり、ポンプ9では吐出のための加圧を行わないので、加圧による負荷がポンプ9にはかからない。
上記ポンプ9にはこれを動作させるアクチュエータ10が設けられている。アクチュエータ10としては、往復式容積型ポンプに対応して、例えばボールネジとモータ(電動機)の組み合わせ、或いはエアシリンダなど直動式のものを用いる。なお、後述する制御部13にてアクチュエータ10の動作を制御することによりポンプ9の動作を制御する。
卓上型の分注装置を構成する際には、ポンプ9およびアクチュエータ10をノズル12の上方に配置することが好ましい。このような配置とすることにより、後述するヘッド部34を縦長にスリムに構成でき、ヘッド部34を横並びに配置することも容易になるからである。また、ヘッド部34をZ軸に取り付けたときの見栄えも縦長のヘッド部の方がよい。
【0018】
分岐ブロック8の他の開口(図1の下方側の開口)には、その開閉により吐出を制御する吐出バルブ11が流体的に連通されている。本実施の形態では、吐出バルブ11に小型のプランジャバルブを用いている。ここで、他種のバルブを用いてもよいが、その場合は高速に開閉できるものであることが好ましい。この吐出バルブ11を高速に開閉することにより吐出を行う。なお、開閉の制御は後述する制御部13にて行う。
吐出バルブ11の分岐ブロック8と接続される開口と反対側の開口には、ノズル12が流体的に連通されている。ノズル12は、吐出液体30を吐出液体容器41から吸引して一時的に溜め込んだあと、分注目標容器42へ吐出を行うためのものである。本実施の形態では、異なる種類の吐出液体を分注する際にもノズル12を交換することなく、分注(吐出)の都度洗浄を行いながら一つのノズル12で吐出を行う。ノズル12先端部は撥水性を有する材料でコーティングされていることが好ましい。材料としては、フッ素系樹脂やシリコン系樹脂などが例示される。ノズル12先端部が撥水性を有する材料でコーティングされていることで、吐出液体30の吸引や洗浄の際、ノズル12外面に吐出液体30や洗浄液2が付着したまま残ることが少なくなり、不要な垂れや混交を防ぐことができる。
【0019】
上記した吐出バルブ11からノズル12までを連通する流路の距離はできる限り短く構成することが好ましい。なぜなら、後述する吐出動作時に、圧力の伝達が速やかに行われるようになり、飛翔しやすく吐出量の安定した吐出が行えるようになるからである。
上述の二種のバルブ(6、11)やポンプ9を動作させるアクチュエータ10には動作を制御する制御部13が接続されている。この制御部13によりバルブ(6、11)の開閉、アクチュエータ10の速度や移動距離などを制御する。また、レギュレータ(5、7)を電空式にした場合は、その制御も行うとよい。なお、以下ではこの制御部13を吐出に関する制御を行うことから「吐出制御部」と呼ぶことがある。
【0020】
本実施の形態では、上記の各機器に加え、ノズル12先端外面の洗浄等を行う洗浄乾燥ユニット14を備えている。その詳細を図2等を参照しながら説明する。この洗浄乾燥ユニット14は、ノズル12先端外面の洗浄および分注し終えて残った吐出液体30の排出ならびにノズル12先端内面の洗浄を行う洗浄ユニット16と、洗浄後のノズル12先端外面の乾燥を行う乾燥ユニット17とに分かれている。
洗浄ユニット16はさらに、洗浄部18と排出部20とからなる。はじめに洗浄部18は、洗浄液2が供給される配管19が連通する湧出口18を備える。洗浄液貯留容器36に貯留された洗浄液2は、ポンプ38の補助により、図2の符号23の方向から洗浄ユニット16へ供給され、湧出口18から上向きに洗浄液2を湧出する(符号24)。ここで、湧出する洗浄液2は、湧き水程度の水勢であり、噴水のように高々と水柱を形成するような水勢ではない。この洗浄液2が湧出している部分にノズル12を浸すことで、ノズル12外面を洗浄することができる。湧出口18では洗浄液2が連続的に湧出しているので吐出液体等の洗い落とされたものは洗浄液供給側には逆流しないようになっている。なお、洗浄液2は、前述の圧力伝達媒質2と同一の液体であることが好ましい。つぎに排出部20は、図3に示すように、洗浄部(湧出口)18の周囲に形成された上面視コの字状の溝となっている。図4に示すように、湧出口18と配管19をつなぐ断面L字状の流路の外壁は洗浄ユニット16の内底に接しており、この断面L字状の流路部分は、洗浄液2が溢れ出ないよう一段低くなっているが、排出部20とは異なり溝とはなっていない。湧出口18から湧出した洗浄液2は排出部20の溝を通ってユニット壁面に開けられた排出口21より排出される(符号25の矢印方向)。また、分注し終えて残った吐出液体30の排出もこの排出部20で行う。排出された洗浄液2や吐出液体30は、排出口21に接続された配管22を通じて廃液容器37へと流入する。このとき、洗浄部18と同様に、ポンプ39の補助により廃液を確実に送出することが好ましい。
【0021】
乾燥ユニット17は、その上面にノズル12先端を挿し込むのに十分な大きさを持つ孔、言い換えるとその径がノズル12の外径よりも大きな孔26が開いており、孔26はユニット内部から配管27を通じて真空源44と流体的に連通している。この孔26を挿入孔と呼ぶ。この挿入孔26にノズル12先端を挿し込み、周囲の空気を吸い込むことでノズル12先端外面に付着した洗浄液等を吸い込みノズル12先端を乾燥した状態にする。図2において、空気の流れを符号28で示す。なお、乾燥ユニット17と真空源44の間には、吸い込んだ空気から液体を取り分けるフィルターに相当するものが設けられている。
このように、廃液の処理や洗浄液の供給も含めた洗浄と乾燥を行うユニット14をノズル可動範囲に設けているため、容易にノズル12先端の洗浄から乾燥までを行うことができ、かつ一連の動作を自動化することができる。くわえて、ノズル12内部および外部の洗浄ならびに乾燥を一つのユニット14で一括して行うことができるので、複数種の吐出液体30の吐出を行う場合の洗浄乾燥作業も自動化することができる。
【0022】
[分注方法]
図5〜11に本実施の形態に係る分注方法を説明する図を示す。これらの図では液体用レギュレータ5からノズル12までの間の機器類を示し、それ以外は省略している。
(1)圧力伝達媒質の供給(図5および6)
吐出を行う前の準備段階として、空の状態の流路(供給バルブ6からポンプ9およびノズル12までの略T字状の流路)に圧力伝達媒質2を満たす。
まず初めに、吐出装置1を構成する各機器のうち、ポンプ9のピストン29を外し、吐出バルブ11を「閉」状態に、供給バルブ6を「閉」状態にそれぞれしておく。次に、圧力伝達媒質2の入った貯留容器3を供給バルブ6入口側に接続し、貯留容器3に加圧気体源4を接続する。このとき、気体用レギュレータ5はゼロに調整した状態にしておく。また、液体用レギュレータ7は後述する吐出圧力に調整した状態にしておく。そして、気体用レギュレータ5を所定圧力へ調整すると、加圧気体の作用により供給バルブ6入口まで圧力伝達媒質2が供給される。なお、気体用レギュレータ5の設定圧力は、下流側に設置してある液体用レギュレータ7などでの損失分を考慮して、液体用レギュレータ7での設定圧力より少し高めに設定しておくとよい。ついで、ノズル12先端をXYZ移動機構にて洗浄乾燥ユニット14の洗浄ユニット16の排出部20上へ移動する。そして、供給バルブ6を「開」状態にすると、加圧気体の作用により、供給バルブ6の先(出口側)へと圧力伝達媒質2が供給される。すると、圧力伝達媒質2は、図5に示すように、一部はノズル12方向へも流れるが、まずポンプ9方向へ流れる。そして、圧力伝達媒質2がポンプ9の上端に達するか溢れ出てきたら供給バルブ6を「閉」状態にする。そこへ外してあったピストン29を差し込み、ピストン端をアクチュエータに固定する。吐出バルブ11および供給バルブ6を共に「開」状態にすると、図6に示すように、圧力伝達媒質2はノズル12方向へと流れ、ついにノズル12先端から流出するに至る。圧力伝達媒質2がノズル12先端より流出することを確認したら、供給バルブ6を「閉」状態にする。最後に、ピストン29を「進出」位置にする。以上で、流路に圧力伝達媒質2を満たす作業は完了する。
【0023】
(2)吐出液体の吸引(図7)
圧力伝達媒質の供給を終えたら、実際に分注する吐出液体30を必要量吸引する作業を行う。
まず、ノズル12先端をXYZ移動機構にて分注を行う吐出液体30が蓄えられている容器41上へ移動する。次に、吐出液体30の吸引を行う前に、空気中でポンプ9のピストン29を微量後退させ、ノズル12先端に空気を微量吸引し、空隙31を形成する。これは、圧力伝達媒質2と吐出液体30との混交を防ぐためである。吸引する空気量は、多すぎると吐出量が不安定となるし、逆に少なすぎると圧力伝達媒質2と吐出液体30との混交を起こしてしまうので、滴量を選択する。具体例を挙げると、本実施の形態では一滴の量の10%前後の量を吸引している。ついで、ノズル12先端を吐出する吐出液体30に浸し、ポンプ9のピストン29を後退させて吐出液体30を吸引する。吸引量の調整はポンプ9のピストン29の後退量によって行う。ここで、吸引する吐出液体30の量は、分注する全体の量よりも少し多めにすることが好ましい。なぜなら、吸引量と分注量が一致していると、分注の終わりに近づくに従い、吐出液体30吸引前に吸引した空気31の影響を受けて吐出量が不安定になったり、最後の吐出で空気31の部分に達してしまい、吐出時に飛び散りを起こしたりすることがあるからである。
ここで、ノズル12の先端部分は、一回で分注する量(例えば、複数の凹部を一体的に設けたプレートの全ての凹部に吐出しようとする場合はその合計量)を蓄えられる長さとすることが好ましい。また、ノズル12の径は吐出する一滴の量に応じて適宜選択する。例えば、本実施の形態では、内径0.1[mm]前後で長さ5〜10[mm]の先端部分を有する先細りの円錐形状ノズルを用いている。
【0024】
(3)圧力伝達媒質の加圧(図8)
吐出液体30の吸引の次は、圧力伝達媒質2を吐出圧力まで加圧する。
初めに、吐出バルブ11を「閉」状態としたあと、つづけて供給バルブ6を「開」状態とする。すると、加圧気体の作用により、供給バルブ6から吐出バルブ11入口までの流路内の圧力伝達媒質2が加圧される。貯留容器3と供給バルブ6との間には液体用レギュレータ7が設置してあるので、液体用レギュレータ7出口から吐出バルブ11入口までの流路内の圧力伝達媒質2は、液体用レギュレータ7の設定圧力(=吐出圧力)に加圧される。この液体用レギュレータ7と上述の気体用レギュレータ5を二段階で設けることで、加圧気体源4から供給される加圧気体を気体用レギュレータ5で調圧・安定させ、その安定した加圧気体が作用する圧力伝達媒質2を液体用レギュレータ7でさらに調圧・安定させることになるので、貯留容器3での水頭差や加圧源4の圧力変動(脈動)、圧縮性の影響などを除去することができる。一方で、吐出バルブ11出口側からノズル12までの流路内にある吐出液体30はまだ加圧されていない。しかし前述のように、吐出バルブ11からノズル12までの距離はできる限り短く構成されているので、吐出時の圧力の伝達が速やかに行われるようになっている。なお、液体用レギュレータ7の圧力の設定値については、一滴の量や飛翔するか否かによって予め実験などで求めておく。ただし、後述するバルブ開閉時間と併せて考えることが必要である(具体的数値例は下記(4)を参照)。
【0025】
(4)吐出液体の吐出(図9)
圧力伝達媒質の加圧を終えたところで吐出を開始する。
まず、ノズル12先端が分注を行う目標容器42の上方に位置するようXYZ移動機構により後述するヘッド部34を移動する。ついで、吐出バルブ11を「開」状態にすると、吐出バルブ11出口側のノズル12内にある吐出液体30に圧力伝達媒質2を介して圧力が伝達し、吐出液体30がノズル12より流出し始める。所定時間経過後、吐出バルブ11を「閉」状態にすると、圧力の伝達が止まり、吐出液体30のノズル12よりの流出が止まる。ポンプ9のピストン29の作用で吐出させる構成よりも高い圧力を印加し、かつ、吐出バルブ11を高速に開閉することで、吐出液体30を滴状にしてノズル12より飛翔させて分注目標容器42の分注位置へと吐出することができる。また、加圧気体源4からの圧力の作用による吐出方法であれば、ピストン29の作用による吐出方法では難しい一滴の量が微量である飛翔吐出も可能である。分注目標容器42に複数の分注位置がある場合は、上記のノズル12の移動と吐出バルブ11の開閉を繰り返す。なお、時間の設定値については、圧力値と同様、一滴の量や飛翔するか否かによって予め実験などによって求めておく。ここで、吐出量の調整はバルブ開閉時間によって主に行う。言い換えると、圧力設定は一度決定したらほとんど変更しない。これは、時間の方が圧力に比べ応答性がよいからである。また、時間と吐出量はほぼ比例関係にあるので、比較的容易に設定を調整できるからでもある。具体例を挙げると、約1[mPa・s](ミリパスカル秒)の粘度の吐出液体に、30[kPa](キロパスカル)の圧力を印加し、1[msec](ミリ秒)吐出バルブを開閉すると約60[nL](ナノリットル)吐出される。同じ液体に同じ圧力を印加し、バルブ開閉時間を2[msec](ミリ秒)とすると約120[nL](ナノリットル)吐出される。
【0026】
(5)排出・洗浄・乾燥(図10)
分注目標容器42の全ての分注位置へ吐出を終えた場合、或いは別種の吐出液体30を吐出したい場合など、ノズル12内に残った吐出液体30を排出し、同時にノズル12内外の洗浄を行う。
初めに、吐出バルブ11を「閉」状態とし、ノズル12先端が洗浄乾燥ユニット14の洗浄ユニット16の排出部20へ位置するようXYZ移動機構により後述するヘッド部34を移動する。続いて、吐出バルブ11を「開」状態にしてノズル12内に残っている吐出液体30を排出する。このとき、ノズル12内の吐出液体30を圧力伝達媒質2で押し出しながら圧力伝達媒質2と共に排出する。そうすることで、洗浄液2を兼ねている圧力伝達媒質2がノズル12先端内面の洗浄を行うことができる。また、排出する際は周囲に飛び散らないよう、XYZ移動機構にてノズル12を洗浄ユニット14の排出部20の壁面上端より下に位置させてから排出するとよい。排出を終えたら、吐出バルブ11を「閉」状態にする。次に、ノズル12先端をXYZ移動機構にて洗浄乾燥ユニット14の洗浄ユニット16の洗浄部18へ移動し、洗浄部18より湧出している洗浄液2でノズル12外面の洗浄を行う。ノズル12を洗浄する際には、ノズル12を湧出口18の中にまで挿入するのではなく、湧出口18の上に湧き出している部分に浸せばよい。洗浄するノズル12の領域を変更したい場合は、洗浄液2が湧出する水勢を調整することで変更すればよい。洗浄液2は圧力伝達媒質2と同じものを用いることが好ましい。もし洗浄液2と圧力伝達媒質2が異なると、ノズル12先端の洗浄液2へ浸した部分で洗浄液2と圧力伝達媒質2の混交が起きてしまうからである。
続いて、ノズル12先端をXYZ移動機構にて洗浄乾燥ユニット14の乾燥ユニット17上へ移動し、ノズル12先端を挿入孔26へ挿し込む。そして、ノズル12周囲の空気を吸い込んでノズル12外面に付着した余分の液体(主に洗浄液2)を吸引することで、ノズル12先端の乾燥を行う。このように、ノズル12先端外面に洗浄液等を付着したままにしておかず、乾燥した状態にすることで、次に吐出液体30の吸引を行うときには、洗浄液2と吐出液体30との混交を確実に防ぐことが可能となる。
【0027】
(6)初期化(図11)
排出・洗浄・乾燥後、次の吸引を行うために、それまでの圧力の除去および初期状態に戻す操作を行う。
まず、ノズル12先端をXYZ移動機構にて洗浄乾燥ユニット14の洗浄ユニット16の排出部20上へ移動し、供給バルブ6を「閉」状態にし、吐出バルブ11を「開」状態にする。すると、圧力伝達媒質2の供給は停止され、供給バルブ6出口からノズル12までの流路内の圧力が除去された状態(圧力=0、大気圧)になる。ついで、ポンプ9のピストン29を進出させ、ノズル12の吐出口から吐出液体30を吸引できる状態とする。このときにピストン29が進出した分の圧力伝達媒質2がノズル12より洗浄ユニット16の排出部20に排出される。ここまでの操作を終えると、上記(1)の最後の状態と同じになり、いつでも次の操作が行えるよう準備が整う。
【0028】
別種の吐出液体30の吐出を行う場合は上記(2)〜(6)を吐出液体30の種類を変える毎に繰り返す。同種の吐出液体30において、一度の吸引では吐出液体30が不足するときにも上記(2)〜(6)を繰り返すことが好ましい。なぜなら、吸引をする際にポンプ9のピストン29を一度下げなければならないからである。
【0029】
以上に説明したように、本発明では、圧力調整のために液体用レギュレータ7と気体用レギュレータ5を二段階で設けているため、加圧気体源4から供給される加圧気体を気体用レギュレータ5で調圧・安定させ、その安定した加圧気体が作用する圧力伝達媒質2を液体用レギュレータ7でさらに調圧・安定させることになるので、貯留容器3での水頭差や加圧源4の圧力変動(脈動)、圧縮性の影響などを除去することができる。また、液体用レギュレータ7を供給バルブ6の入口手前に設けることで、調圧・安定させた圧力伝達媒質2を吐出に関係する供給バルブ6およびその出口側に接続された機器へ供給することができ、吐出の精度や安定性を向上させることができる。
【0030】
また、廃液の処理や洗浄液の供給も含めた洗浄と乾燥を行うユニット14をノズル可動範囲に設けているため、迅速かつ容易にノズル12先端の洗浄から乾燥までを行うことができ、かつ一連の動作を自動化することができる。そして、ノズル12先端外面に洗浄液等を付着したままにしておかず、乾燥した状態にすることで、次に吐出液体の吸引を行うときには、洗浄液と吐出液体との混交を確実に防ぐことが可能となる。くわえて、ノズル12内部および外部の洗浄ならびに乾燥を一つのユニット14で一括して行うことができるので、複数種の吐出液体30の吐出を行う場合の洗浄乾燥作業も自動化することができる。
さらに、ポンプ9のピストン29の作用によるよりも高い圧力を印加でき、かつ、吐出バルブ11を高速に開閉することができるので、吐出液体30を滴状にしてノズル12より飛翔させて目標へと吐出することが可能である。また、圧力の作用による吐出方法であるので、ピストン29の作用による吐出方法では難しい一滴の量が微量である飛翔吐出も可能である。
【0031】
以下では、本発明の詳細を実施例により説明するが、本発明は何ら実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0032】
[全体構成]
図12に本実施例に係る分注装置の全体構成を説明する図を示す。
本実施例に係る分注装置33は、吐出液体30の吸引および吐出並びにノズル12の洗浄等を行う吐出装置1、分注目標容器42や吐出液体容器41をその上に載置するワークテーブル40、ノズル12とワークテーブル40とを相対的に移動させるXYZ移動機構を主要な要素とする。以下、それぞれの詳細について説明する。
【0033】
(1)吐出装置
基本的な構成は図1に示したものと同じであるが、機器毎に設置箇所が異なる。
まず、ノズル12、分岐ブロック8、ポンプ9、アクチュエータ10、供給バルブ6は一つのベースに対して一体的に取り付けられ、後述するZ移動機構47に設置される。このベースに取り付けられたひとまとまりをヘッド部34(図1の点線で囲った部分)と呼ぶ。ヘッド部34はノズル12部分を除き、カバーで覆われている。
つぎに、液体用レギュレータ7、貯留容器3、気体用レギュレータ5は分注装置33の筐体側面に設置される。ここで、レギュレータ(5、7)や貯留容器3をヘッド部34とは別に設置しているのは、レギュレータ(5、7)や貯留容器3までヘッド部34に含めてしまうと、ヘッド部34が重量化、大型化してしまい、XYZ移動機構の位置決め精度や耐久性などに影響を及ぼしてしまうためである。貯留容器3は、実施の形態で述べたように密閉容器であればよく、その材質、形状等を問わない。例えば、タンクやビン或いはエア式ディスペンサで用いるシリンジを用いてもよい。また図12では、各レギュレータ(5、7)に付属のゲージ(圧力計)15としてアナログ式を描いているが、デジタル式を用いてもよいことは言うまでもない。ここで、実施の形態で述べたように、気体用レギュレータの代わりにディスペンスコントローラを用いてもよい。
上記ヘッド部34の供給バルブ6と液体用レギュレータ7の間は、点線で図示する配管35で接続される。配管35はヘッド部34が移動することを考慮して可撓性を有する材料により構成することが好ましい。
加圧気体源4は、分注装置33とは別に設けられており、配管を介して気体用レギュレータ5に接続される。ここでは簡略化して図示している。具体例を挙げると、一般的な圧縮機を用いたり、工場設備から直接供給を受けたりすることが開示される。
洗浄乾燥ユニット14は、ワークテーブル40横の筐体上面のテーブル移動に干渉しない位置に設置される。洗浄乾燥ユニット14は図2と同じ構成であり、洗浄ユニット16と乾燥ユニット17とから構成される。洗浄ユニット16に付属する洗浄液容器36、廃液容器37、洗浄液ポンプ38、廃液ポンプ39は分注装置33の本体側面でレギュレータ(5、7)とは反対側の筐体側面の洗浄乾燥ユニット14に隣接した位置に設置される。
上記洗浄ユニット16と洗浄液容器36および廃液容器37とは洗浄液ポンプ38および廃液ポンプ39をそれぞれ経由して配管で接続されている。配管は洗浄液容器36から洗浄液2を洗浄液ポンプ38により洗浄部18へ送出する系統、および排出部20から排出される廃液を廃液ポンプ39により廃液容器37へ送出する系統の二系統が存在する。
吐出制御部13は、分注装置33筐体の洗浄乾燥ユニット14側の側面に設置される。吐出制御部13は、ポンプ9を動作させるアクチュエータ10や二種のバルブ(6、11)の動作を制御する。また、この吐出制御部13は、上述の洗浄ユニット16が備える洗浄液ポンプ38、廃液ポンプ39の動作の制御も行う。
【0034】
(2)ワークテーブル
ワークテーブル40はその上面に吐出液体容器41、分注目標容器42が載置される。本実施例においてこれら容器(41、42)は、複数の凹部(ウェル)を一体的に設けたプレート状をしており、その複数の凹部に複数種の試料・試薬や検体が入っている。そして、凹部内の試料・試薬を吸引したり、或いは凹部へ向けて試料・試薬を吐出したりすることにより分析、検査を行う。
上記各容器(41、42)を固定する方法としては、テーブル40内部から上面に通じる複数の孔を開け、その孔から空気を吸い込むことで容器を吸着固定する方法、容器を固定用部材で挟み込み、その部材をネジ等の固定手段でテーブル40に固定することで容器を固定する方法などが挙げられる。なお、吸着固定の場合は別途真空源44を接続する必要がある。また、吸着のオンオフを制御する必要もある。取り扱いの簡便さを考慮するならば、吸着固定を採用するとよい。本実施例では、吸着固定する場合を示しており、上記乾燥ユニット17での吸引およびワークテーブル40での吸着固定で用いる負圧気体を制御するための真空制御部43を分注装置33の筐体側面に設置している。真空源44は、分注装置33とは別に設けられており、配管で真空制御部43と接続される。
上記各容器(41、42)は、洗浄乾燥ユニット14のようにワークテーブル40の移動に干渉しない位置に載置することも可能であるが、ワークテーブル40にスペースが充分あるならば一緒に載せてしまう方がよい。なぜなら、その方が吐出液体容器41と分注目標容器42との間を移動する距離が短くなり、その分作業時間の短縮につながるからである。
【0035】
(3)XYZ移動機構
XYZ移動機構は、門型のフレーム上に設置され、ヘッド部34の設置されたZ移動機構47を符号48の方向へ移動させるX移動機構45、そのX移動機構45の下方に設置され、ワークテーブル40を符号49の方向へ移動させるY移動機構46、X移動機構45上に設置され、ヘッド部34を符号50の方向へ移動させるZ移動機構47から構成される。
Y移動機構46下の筐体内には移動機構のための制御部(図示せず)が内設される。この制御部はXYZ移動動作の制御および吐出装置1を制御する吐出制御部13への動作信号の発信も行う。また、XYZ移動動作や吐出動作タイミングなどをルーチン化した塗布プログラムを記憶する記憶装置(図示せず)を有する。
【0036】
[分注動作]
上記分注装置33の一連の動作を簡単に説明する。基本的動作は実施の形態で示したものとほぼ同じである。本実施例の吐出液体は血液や尿、並びにそれらの中から抗原や抗体を検出するための試薬であり、20〜30nL(ナノリットル)の分注量で96個(8×12)のウェルが形成されたマイクロプレートへの分注を行う。
最初に、吐出液体容器41と分注目標容器42とをワークテーブル40の上に載置し、固定する。また、圧力伝達媒質2の入った貯留容器3、洗浄液容器36、廃液容器37を設置し、配管をポンプ(38、39)やヘッド部34等へと接続する。
ついで、実施の形態で示した図5〜図11の手順に従い、圧力伝達媒質2の供給、吐出液体30の吸引、加圧を行う。
そして、分注目標容器42に対してヘッド部34を移動させて吐出液体30の吐出を行う(図9参照)。この際、複数の凹部へ連続して吐出を行う場合には、凹部の上方に位置するたびにヘッド部34を停止させるのではなく、移動しながら吐出を行うと作業時間の短縮を図ることができる。
【0037】
分注作業の途中で別種の吐出液体30の吐出を行う場合は、実施の形態で示した排出・洗浄・乾燥の手順に従い、分注し終えた吐出液体30を排出・洗浄・乾燥し、新たな吐出液体30の吸引を行って、吐出を行う(図10、図11参照)。さらに他の吐出液体30の吐出をするのであれば上記した排出・洗浄・乾燥・吸引・吐出の工程を繰り返す。作業を終える場合には、排出・洗浄・乾燥の工程を終えた後に全体の作業を終えるとよい。
このような自動化された分注装置33を用いれば、人間がピペットなどを用いて手作業で行うことが困難な多量の操作を高速に行うことが可能である。実施例1の分注装置33により、分注精度も吐出量のばらつきとして約1〜0.5%の高精度を実現できることが確認された。
【符号の説明】
【0038】
1 吐出装置/2 圧力伝達媒質、洗浄液/3 貯留容器/4 加圧気体源/5 気体用レギュレータ/6 供給バルブ/7 液体用レギュレータ/8 分岐ブロック/9 ポンプ/10 アクチュエータ/11 吐出バルブ/12 ノズル/13 吐出制御部/14 洗浄乾燥ユニット/15 ゲージ(圧力計)/16 洗浄ユニット/17 乾燥ユニット/18 洗浄部、湧出口/19 洗浄液供給配管/20 排出部/21 排出口/22 廃液送出配管/23 洗浄液流入方向/24 洗浄液湧出方向/25 廃液流出方向/26 挿入孔/27 吸引空気流出配管/28 吸引空気流出方向/29 ピストン/30 吐出液体(液体試料、液体試薬)/31 空隙(混交防止用空気)/32 加圧領域/33 分注装置/34 ヘッド部/35 配管(供給バルブ―液体用レギュレータ間)/36 洗浄液容器/37 廃液容器/38 洗浄液ポンプ/39 廃液ポンプ/40 ワークテーブル/41 吐出液体容器/42 分注目標容器/43 真空制御部/44 真空源/45 X移動機構/46 Y移動機構/47 Z移動機構/48 X移動方向/49 Y移動方向/50 Z移動方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路内に圧力伝達媒質が充填されたノズル部の吐出口から空隙を介して複数回吐出する分量の吐出液体を吸引し、微量の液滴を連続的に飛翔吐出する吐出装置であって、
吐出口と連通する流路を有するノズル部と、
調圧された液状の圧力伝達媒質をノズル部側に供給する貯留部と、
調圧された加圧気体を貯留部側に供給する加圧部と、
貯留部およびノズル部と流体的に連通されるポンプ機構と、
ノズル部、貯留部およびポンプ機構を連通する分岐流路が設けられた分岐部と、
分岐部とノズル部とを連通または遮断する吐出バルブと、
分岐部と貯留部とを連通または遮断する供給バルブと、
制御部と、
を備え、
前記制御部が、吐出バルブを閉じ、供給バルブを開いた状態で、加圧部により調圧された加圧気体を貯留部側に供給するとともに貯留部により調圧された液状の圧力伝達媒質を供給バルブ側に供給し、続いて吐出バルブを所定のタイミングで開閉することにより微量の液滴を連続的に飛翔吐出することを特徴とする吐出装置。
【請求項2】
前記加圧部が気体用レギュレータを備え、前記貯留部が液体用レギュレータを備えることを特徴とする請求項1の吐出装置。
【請求項3】
前記加圧部がディスペンスコントローラを備えることを特徴とする請求項1の吐出装置。
【請求項4】
前記分岐部をブロック状部材で構成し、当該ブロック状部材、前記供給バルブ、前記ポンプ機構、前記吐出バルブおよび前記ノズル部を一つのベースに対して一体的に配設して構成したヘッド部を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの吐出装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかの吐出装置と、分注目標容器と吐出液体容器とを載置するワークテーブルと、ノズル部とワークテーブルとを相対的に移動させるXYZ移動機構と、を備えることを特徴とする液体分注装置。
【請求項6】
前記ノズル部から吐出された液体を受ける排出部および洗浄液湧出口を備える洗浄ユニットと、前記ノズル部の先端に吸引力を作用させて乾燥させる乾燥ユニットと、をさらに備えることを特徴とする請求項5の液体分注装置。
【請求項7】
卓上型であることを特徴とする請求項5または6の液体分注装置。
【請求項8】
吐出口と連通する流路を有するノズル部と、調圧された液状の圧力伝達媒質をノズル部側に供給する貯留部と、調圧された加圧気体を貯留部側に供給する加圧部と、貯留部およびノズル部と流体的に連通されるポンプ機構と、ノズル部、貯留部およびポンプ機構を連通する分岐流路が設けられた分岐部と、分岐部とノズル部とを連通または遮断する吐出バルブと、分岐部と貯留部とを連通または遮断する供給バルブと、分注目標容器と吐出液体容器とを載置するワークテーブルと、ノズル部とワークテーブルとを相対的に移動させるXYZ移動機構と、を備えた液体分注装置を用いて吐出液体を連続的に吐出する液体分注方法であって、
流路内に圧力伝達媒質が充填されたノズル部の吐出口から空隙を介して複数回吐出する分量の吐出液体を吸引する第1の工程、
吐出バルブを閉じ、供給バルブを開いた状態で、加圧部により調圧された加圧気体を貯留部側に供給するとともに貯留部により調圧された液状の圧力伝達媒質を供給バルブ側に供給する第2の工程、
ノズル部とワークテーブルとを相対的に移動しながら、吐出バルブを所定のタイミングで開閉することにより微量の液滴を連続的に飛翔吐出する第3の工程、
を含んでなる液体分注方法。
【請求項9】
吐出口と連通する流路を有するノズル部と、調圧された液状の圧力伝達媒質をノズル部側に供給する貯留部と、調圧された加圧気体を貯留部側に供給する加圧部と、貯留部およびノズル部と流体的に連通されるポンプ機構と、ノズル部、貯留部およびポンプ機構を連通する分岐流路が設けられた分岐部と、分岐部とノズル部とを連通または遮断する吐出バルブと、分岐部と貯留部とを連通または遮断する供給バルブと、分注目標容器と吐出液体容器とを載置するワークテーブルと、ノズル部とワークテーブルとを相対的に移動させるXYZ移動機構と、前記ノズル部から吐出された液体を受ける排出部および洗浄液湧出口を備える洗浄ユニットと、前記ノズル部の先端に吸引力を作用させて乾燥させる乾燥ユニットと、を備えた液体分注装置を用いて複数種類の吐出液体を連続的に吐出する液体分注方法であって、
第1の吐出液体について、流路内に圧力伝達媒質が充填されたノズル部の吐出口から空隙を介して複数回吐出する分量の吐出液体を吸引する第1の工程、
吐出バルブを閉じ、供給バルブを開いた状態で、加圧部により調圧された加圧気体を貯留部側に供給するとともに貯留部により調圧された液状の圧力伝達媒質を供給バルブ側に供給する第2の工程、
ノズル部とワークテーブルとを相対的に移動しながら、吐出バルブを所定のタイミングで開閉することにより微量の液滴を連続的に飛翔吐出する第3の工程、
ノズル部を洗浄ユニットへ移動し、ノズル部内に残存する吐出液体を排出し、ノズル部の先端を洗浄する第4の工程、
ノズル部を乾燥ユニットへ移動し、ノズル部の先端を乾燥する第5の工程、
ノズル部を洗浄ユニットへ移動し、供給バルブを閉じ、吐出バルブを開いた状態で、圧力伝達媒質を吐出口から排出する第6の工程、
第2の吐出液体について、第1ないし第3の工程を実行する第7の工程、
を含んでなる液体分注方法。
【請求項10】
一回に吐出される液滴の分量が1μL以下であることを特徴とする請求項8または9の液体分注方法。
【請求項11】
一回に吐出される液滴の分量が数十nL以下であることを特徴とする請求項10の液体分注方法。
【請求項1】
流路内に圧力伝達媒質が充填されたノズル部の吐出口から空隙を介して複数回吐出する分量の吐出液体を吸引し、微量の液滴を連続的に飛翔吐出する吐出装置であって、
吐出口と連通する流路を有するノズル部と、
調圧された液状の圧力伝達媒質をノズル部側に供給する貯留部と、
調圧された加圧気体を貯留部側に供給する加圧部と、
貯留部およびノズル部と流体的に連通されるポンプ機構と、
ノズル部、貯留部およびポンプ機構を連通する分岐流路が設けられた分岐部と、
分岐部とノズル部とを連通または遮断する吐出バルブと、
分岐部と貯留部とを連通または遮断する供給バルブと、
制御部と、
を備え、
前記制御部が、吐出バルブを閉じ、供給バルブを開いた状態で、加圧部により調圧された加圧気体を貯留部側に供給するとともに貯留部により調圧された液状の圧力伝達媒質を供給バルブ側に供給し、続いて吐出バルブを所定のタイミングで開閉することにより微量の液滴を連続的に飛翔吐出することを特徴とする吐出装置。
【請求項2】
前記加圧部が気体用レギュレータを備え、前記貯留部が液体用レギュレータを備えることを特徴とする請求項1の吐出装置。
【請求項3】
前記加圧部がディスペンスコントローラを備えることを特徴とする請求項1の吐出装置。
【請求項4】
前記分岐部をブロック状部材で構成し、当該ブロック状部材、前記供給バルブ、前記ポンプ機構、前記吐出バルブおよび前記ノズル部を一つのベースに対して一体的に配設して構成したヘッド部を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの吐出装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかの吐出装置と、分注目標容器と吐出液体容器とを載置するワークテーブルと、ノズル部とワークテーブルとを相対的に移動させるXYZ移動機構と、を備えることを特徴とする液体分注装置。
【請求項6】
前記ノズル部から吐出された液体を受ける排出部および洗浄液湧出口を備える洗浄ユニットと、前記ノズル部の先端に吸引力を作用させて乾燥させる乾燥ユニットと、をさらに備えることを特徴とする請求項5の液体分注装置。
【請求項7】
卓上型であることを特徴とする請求項5または6の液体分注装置。
【請求項8】
吐出口と連通する流路を有するノズル部と、調圧された液状の圧力伝達媒質をノズル部側に供給する貯留部と、調圧された加圧気体を貯留部側に供給する加圧部と、貯留部およびノズル部と流体的に連通されるポンプ機構と、ノズル部、貯留部およびポンプ機構を連通する分岐流路が設けられた分岐部と、分岐部とノズル部とを連通または遮断する吐出バルブと、分岐部と貯留部とを連通または遮断する供給バルブと、分注目標容器と吐出液体容器とを載置するワークテーブルと、ノズル部とワークテーブルとを相対的に移動させるXYZ移動機構と、を備えた液体分注装置を用いて吐出液体を連続的に吐出する液体分注方法であって、
流路内に圧力伝達媒質が充填されたノズル部の吐出口から空隙を介して複数回吐出する分量の吐出液体を吸引する第1の工程、
吐出バルブを閉じ、供給バルブを開いた状態で、加圧部により調圧された加圧気体を貯留部側に供給するとともに貯留部により調圧された液状の圧力伝達媒質を供給バルブ側に供給する第2の工程、
ノズル部とワークテーブルとを相対的に移動しながら、吐出バルブを所定のタイミングで開閉することにより微量の液滴を連続的に飛翔吐出する第3の工程、
を含んでなる液体分注方法。
【請求項9】
吐出口と連通する流路を有するノズル部と、調圧された液状の圧力伝達媒質をノズル部側に供給する貯留部と、調圧された加圧気体を貯留部側に供給する加圧部と、貯留部およびノズル部と流体的に連通されるポンプ機構と、ノズル部、貯留部およびポンプ機構を連通する分岐流路が設けられた分岐部と、分岐部とノズル部とを連通または遮断する吐出バルブと、分岐部と貯留部とを連通または遮断する供給バルブと、分注目標容器と吐出液体容器とを載置するワークテーブルと、ノズル部とワークテーブルとを相対的に移動させるXYZ移動機構と、前記ノズル部から吐出された液体を受ける排出部および洗浄液湧出口を備える洗浄ユニットと、前記ノズル部の先端に吸引力を作用させて乾燥させる乾燥ユニットと、を備えた液体分注装置を用いて複数種類の吐出液体を連続的に吐出する液体分注方法であって、
第1の吐出液体について、流路内に圧力伝達媒質が充填されたノズル部の吐出口から空隙を介して複数回吐出する分量の吐出液体を吸引する第1の工程、
吐出バルブを閉じ、供給バルブを開いた状態で、加圧部により調圧された加圧気体を貯留部側に供給するとともに貯留部により調圧された液状の圧力伝達媒質を供給バルブ側に供給する第2の工程、
ノズル部とワークテーブルとを相対的に移動しながら、吐出バルブを所定のタイミングで開閉することにより微量の液滴を連続的に飛翔吐出する第3の工程、
ノズル部を洗浄ユニットへ移動し、ノズル部内に残存する吐出液体を排出し、ノズル部の先端を洗浄する第4の工程、
ノズル部を乾燥ユニットへ移動し、ノズル部の先端を乾燥する第5の工程、
ノズル部を洗浄ユニットへ移動し、供給バルブを閉じ、吐出バルブを開いた状態で、圧力伝達媒質を吐出口から排出する第6の工程、
第2の吐出液体について、第1ないし第3の工程を実行する第7の工程、
を含んでなる液体分注方法。
【請求項10】
一回に吐出される液滴の分量が1μL以下であることを特徴とする請求項8または9の液体分注方法。
【請求項11】
一回に吐出される液滴の分量が数十nL以下であることを特徴とする請求項10の液体分注方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−209153(P2011−209153A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78176(P2010−78176)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(390026387)武蔵エンジニアリング株式会社 (56)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(390026387)武蔵エンジニアリング株式会社 (56)
【Fターム(参考)】
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