説明

吐出装置および2液式吐出製品

【課題】本発明は、2本のエアゾール容器に装着され、各容器内の内容物を同時に吐出するものであって、その内容物が通る通路を簡単に洗浄することができる吐出装置を提供する。
【解決手段】吐出装置11は、ノズル部27(筒部)を有するノズル部材18と、そのノズル部材18に着脱自在に装着される通路形成部材19とを備えている。この吐出装置11は、通路形成部材19をノズル部材18に装着することにより、各エアゾール容器内の内容物をノズル部材18内に導入する2つの導入部と、ノズル部材18内に導入された内容物を吐出する吐出孔と、前記吐出孔と導入部とを連通する吐出通路とが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吐出装置および2液式吐出製品に関する。詳しくは、2本のエアゾール容器の内容物を同時に吐出するための吐出装置およびその吐出装置を備えた2液式吐出製品に関する。
【背景技術】
【0002】
2種類の内容物を別々の容器に充填して保存し、使用直前に混合して使用する製品として、2液式染毛剤、2液式接着剤等の2液式製品が知られている。このような2液式製品は、2液を混ぜることにより2液が反応して効果を発揮する。しかし、これらの製品は、使用時以外で一度反応したり、一方の内容物が空気(酸素)と反応したりすると効果を発揮することができなくなる。
そのような2液式製品を包装する製品として、例えば、特許文献1に示すように、それぞれの内容物を充填した2本のエアゾール製品と、それらのエアゾール製品を連結し、同時に開放する吐出装置とからなる2液吐出製品が知られている。
【0003】
このような2液吐出製品は、2液を同時に吐出して使用時に2液を混合させることができるため、一方の内容物を余らせることなく2液を効率良く混合、使用できる。一方、一度使用した後は、吐出装置の吐出ノズル等に残留物が残ってしまうため、最初の使用と同程度の効果を得るためには、これらの残留物を除去する必要がある。このような吐出装置内の残留物を除去するための技術として、例えば、特許文献2、3などが知られている。
【0004】
特許文献2の吐出装置は、2本のエアゾール容器を連結する束縛部材と、その上部に設けられ、2本のエアゾール容器のステムと係合する一対のノズルが設けられたヘッドとからなる。このものはヘッドのノズルが開くように構成されており、それによりノズル内の洗浄を可能としている。
特許文献3の吐出装置は、2本のエアゾール容器を連結するカバーと、そのカバー内に取り付けられ、2本のエアゾール容器のステムと係合するノズルと、そのノズルの上に取り付けられるレバーとからなる。このものは、ノズルがカバーから取り外し可能となっているため、レバーをノズルの上から外した後、ノズルをカバーから取り外すことによりノズル内の洗浄を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2533920号
【特許文献2】特許第3969517号
【特許文献3】特許第3751125号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2の吐出装置は、ノズルを開くことによりノズル内の一部が開放され、その開口部近辺の洗浄ができるものであり、ノズルの根元部の洗浄を行うにはノズルをエアゾール容器のステムから取り外さなければならない。また、特許文献3の吐出装置もノズルを洗浄するためにはノズルを一度エアゾール容器のステムから取り外さなければならない。
【0007】
一方、ノズルは、搬送時等において、外力が加わっても簡単に取り外せないように構成されている。例えば、特許文献2のノズルは、その外周が束縛部材によって囲まれており、特許文献3のノズルは、その外周がカバーによって囲まれている。このようにノズルの取り外しは非常に困難になっており、ノズルの洗浄は非常に煩雑な作業である。
【0008】
本発明は、2本のエアゾール容器に装着され、各容器内の内容物を同時に吐出するものであって、内容物同士を混合しやすくすると共に、その内容物が通る通路を簡単に洗浄することができる吐出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の吐出装置は、2本のエアゾール容器に装着され各エアゾール容器内の内容物を同時に吐出するための吐出装置であって、筒部を有するノズル部材と、そのノズル部材に着脱自在に装着される通路形成部材とを備え、前記通路形成部材がノズル部材に装着されることにより、各エアゾール容器内の内容物をノズル部材内に導入する2つの導入部と、ノズル部材内に導入された内容物を吐出する吐出孔と、前記吐出孔と導入部とを連通する吐出通路とが形成されることを特徴としている。
本発明の吐出装置であって、前記2本のエアゾール容器を連結する連結部材と、その連結部材に固着され、エアゾール容器の上端を保護する保護部材とからなるカバー部材を有し、前記カバー部材が前記ノズル部材を上下動可能に内挿するものが好ましい。前記通路形成部材とノズル部材の内面とにより前記吐出通路が形成されるものが好ましいが、前記通路形成部材が吐出通路を備えていてもよい。
【0010】
本発明の吐出装置であって、前記通路形成部材をノズル部材の外部から挿入して装着するもの、前記通路形成部材をノズル部材の下端から挿入して装着するものが挙げられる。前記通路形成部材がノズル部材から取り外すための掴み部を備えたものが好ましい。
本発明の吐出装置であって、前記吐出孔が複数形成されており、前記一方の導入部と、吐出孔の一部とを連通する一方の吐出通路と、前記他方の導入部と、吐出孔の残りとを連通する他方の吐出通路とがそれぞれ独立しているものが挙げられる。前記ノズル部材は、筒部と、その側面から突出した押部とからなるものが好ましい。
本発明の2液式吐出製品は、本発明の吐出装置と、その吐出装置に連結される2本のエアゾール製品とからなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の吐出装置は、筒部を有するノズル部材と、そのノズル部材に着脱自在に装着される通路形成部材とからなり、前記通路形成部材をノズル部材に装着することにより、各エアゾール容器内の内容物をノズル部材内に導入する2つの導入部と、ノズル部材内に導入された内容物を吐出する吐出孔と、前記吐出孔と導入部とを連通する吐出通路とが形成されるため、ノズル部材から通路形成部材を取り外すことにより、内容物が通る吐出通路の洗浄等を簡単に行える。
【0012】
本発明の吐出装置であって、2本のエアゾール容器を連結する連結部材と、その連結部材に固着されエアゾール容器の上端を保護する保護部材とからなるカバー部材を有し、前記カバー部材は前記ノズル部材を上下動可能に内挿する場合、2本のエアゾール容器を強固に連結され、また、カバー部材はノズル部材を操作するときの支持部として作用するため、操作しやすくなる。また、吐出通路が、前記通路形成部材の外面とノズル部材の内面とにより形成される場合、または、前記通路形成部材が吐出通路を備えている場合、通路形成部材を取り外すだけで吐出通路が分離され、その洗浄が一層容易に行える。
【0013】
本発明の通路形成部材がノズル部材に外部から挿入して装着される場合、あるいは、ノズル部材に下端から挿入して装着される場合、その取り外し、取り付けの構造を簡単にすることができる。さらに、通路形成部材が作動部材から取り外すための掴み部を備えている場合、その掴み部をつまむことで通路形成部材を簡単にノズル部材から分離できる。
【0014】
前記吐出孔が複数形成されており、前記一方の導入部と、吐出孔の一部とを連通する一方の吐出通路と、前記他方の導入部と、吐出孔の残りとを連通する他方の吐出通路とがそれぞれ独立している場合、2つのエアゾール製品の内容物をそれぞれ独立して少量ずつ吐出させることができ、混合しやすくなる。前記ノズル部材が、筒部と、その側面から突出した押部とからなる場合、この吐出装置の操作者は、ノズル先端から吐出される内容物に触れないように、人差し指と中指等の指でノズル部を挟みながら、その指の腹で押部を押すことで操作でき、使い勝手が良い。
本発明の2液式吐出製品は、本発明の吐出装置と、その吐出装置に連結される2本のエアゾール製品とからなるため、その洗浄が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1a、b、cはそれぞれ本発明の吐出装置を備えた2液吐出製品を示す正面図、上面図、下面図である。
【図2】図2aは本発明の吐出装置の一実施形態を示す正面図であり、図2bはその分解図である。
【図3】図3a、bはそれぞれ図2の連結部材を示す上面図、正面図であり、図3c、dはそれぞれ図2のカバー部材を示す上面図、X−X線断面図である。
【図4】図4a、b、cはそれぞれ図2のノズル部材を示す斜視図、上面図、側面図である。
【図5】図5a、b、cは、それぞれ図2の通路形成部材を示す上面図、斜視図、下面図であり、図5dはその通路形成部材の分解図であり、図5e、fは、その分解体の一方の正面図、下面図であり、図5gは、その分解体の他方の正面図である。
【図6】図6a、bは、ノズル部材と通路形成部材の非連結状態、連結状態を示す、上面図、側面図である。
【図7】図7a、bは、本発明の吐出装置に用いることができる吐出チップを示す上面図、側面図であり、図7c、dは、本発明の吐出装置の通路形成部材の他の形態を示す上面図、正面図であり、図7e、fは、本発明の吐出装置の通路形成部材のさらに他の形態を示す上面図、正面図である。
【図8】図8a、bは、本発明の吐出装置の他の実施形態を示す側面断面図、上面図であり、図8cは吐出孔のさらに他の実施形態を示す上面図である。
【図9】図9aは本発明の吐出装置のさらに他の実施形態を示す側面断面図であり、図9bはそのノズル部材の展開図である。
【図10】図10aは本発明の吐出装置のさらに他の実施形態を示す斜視図であり、図10bはノズル部材の分解図であり、図10cは通路形成部材の斜視図である。
【図11】図11aは本発明の吐出装置のさらに他の実施形態を示す正面図であり、図11bはその吐出装置の一部の斜視図であり、図11c、dはその通路形成部材の側面図、上面図でありであり、図11eはその吐出装置を備えた2液吐出製品の一部を示す一部断面側面図であり、図11fは本発明の吐出装置を備えた2液吐出製品のさらに他の実施形態の一部を示す一部断面側面図であり、図11gはそのノズル部材を示す側面図である。
【図12】図12a、bは本発明の吐出装置のさらに他の実施形態を示す断面図、正面図であり、図12cはそのノズル部材の断面図であり、図12dはその通路形成部材の断面図である。
【図13】図13a〜eは本発明の吐出装置に用いられる通路形成部材の他の実施形態を示す上面図である。
【図14】図14aは本発明の吐出装置のさらに他の実施形態を示す正面図であり、図14bはそのノズル部材の側面図であり、図14cは通路形成部材とノズル部との連結前の状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1の2液吐出製品10は、本発明の吐出装置11と、その吐出装置に連結される2本のエアゾール製品12とからなる。この2液吐出製品10は、2本のエアゾール製品12内に充填されているエアゾール組成物を同時に吐出するものである。エアゾール製品12は、エアゾール容器と、その内部に充填される内容物とからなり、エアゾール容器は、耐圧性の容器本体と、その容器本体の開口部に取り付けられるエアゾールバルブとからなる従来公知のものである。エアゾールバルブは、常時上向きに付勢されているステムを備えており、このステムを押し下げることにより開放される従来公知のものである。
【0017】
吐出装置11は、図2に示すように、2本のエアゾール容器の容器本体を支持して保持する連結部材16と、その連結部材を下端で固定する保護部材17と、前記保護部材に内挿されるノズル部材18と、そのノズル部材内に着脱自在に外部から装着される通路形成部材19とからなる。この実施形態では、連結部材16と保護部材17によってカバー部材が構成される。
【0018】
連結部材16は、図3a、bに示すように、2本の容器の肩部を通して支持する支持孔21を備えた筒状のものである。また、側面に保護部材17とクリップ嵌合するための係止部22が外方に突出して形成されている。
保護部材17は、図3c、dに示すように、上面17aを有する断面が長円状の筒体である。上面17aには、十字型の中心孔23が形成されている。また、下部内面には、前記連結部材の係止部22と連結するための内側に凹んだ係合溝24が形成されている。
【0019】
ノズル部材18は、保護部材17内を上下に移動するものであり、図4a、b、cに示すように、長円状の下面26と、その下面中央から突出した断面矩形状で筒状のノズル部27(筒部)と、そのノズル部の相対する側面下部から垂直に延びる2つの押部28とからなる。ノズル部27と押部28とを横から見ると「凸」字となり(図4c参照)、上から見ると「十」字となる(図4b参照)。
ノズル部27は、下端が下面26で閉じられた筒状体であり、ノズル部27の押部28と相対する両側面27aには上端から下面までスリット27bが形成されている(図4a参照)。つまり、ノズル部27には、十字状の中心孔30が形成されており、かつ、側面の一部(スリット27b)が開口している。このノズル部27の先端に、後述する通路形成部材が挿入され、吐出孔となる。
押部28には、スリット27bと連続し、下端が下面26で閉じられた溝31が形成されている。また、溝31の下端の下面26には、エアゾール製品のバルブのステムと連結する導入孔32が2個形成されている。
【0020】
図2に戻って、このように構成されているため、ノズル部材18が保護部材17内を上下に移動するとき、ノズル部27および押部28が保護部材の中心孔23に沿って上下する。一方、ノズル部材の下面26の形状は中心孔23の形状を通ることができないように設計されているため、ノズル部材18は保護部材17から上に抜けることがない。
また、ノズル部材18は、筒状のノズル部27と、フランジ状の押部28とを備えているため、ノズル部材18を上方に付勢されたステムに対して押し下げる場合、保護部材17を把持しながら人差し指と中指等でノズル部27を挟むようにして、その指で押部28を下方に押圧することにより、ノズル部27の先端を塞ぐことなくノズル部材18を押し下げることができる。それにより2本のエアゾール製品のバルブを同時に開放させることができる。また、ノズル部材18のノズル部27および押部28と、保護部材の中心孔23が共に十字状であるため、押部28を押し下げるとノズル部材は中心孔23により十字方向に規制されて垂直下方に案内され、2つのステムを同時に押し下げ、2つの内容物を同時に吐出できる。
さらに、エアゾール製品を倒立させた状態で使用できるため、吐出量の調整が行いやすく、また、その場合エアゾール製品のバルブのディップチューブを省略することができる。
【0021】
通路形成部材19は、図5a、b、cに示すように、断面が十字状の吐出部36と、その十字状の対向する一対の腕部36aの下部から突出する2つの肩部37とからなる。この吐出部36と肩部37とを、横から見ると「凸」字となり(図5b参照)、上から見ると「十」字となる(図5a参照)。
【0022】
吐出部36の上端には、一方のエアゾール容器の内容物を吐出する3つの吐出孔41aと、他方のエアゾール容器の内容物を吐出する3つの吐出孔41bとが形成されている(図5a参照)。吐出孔41aと、吐出孔41bとは、吐出部36の断面長方形の向かい合う短い辺の中心を結ぶ中心線40を挟んで直線状に並んでいる。また、それぞれの肩部37の下端には、導入溝42a、bが形成されている(図5c参照)。導入溝42aと導入溝42bとは、遮断壁43によって遮断されている。さらに、吐出孔41aと導入溝42a、および、吐出孔41bと導入溝42bは、それぞれ後述する2本の通路溝48a、bによって連通されている。この実施形態では、通路溝48aと通路溝48bとは独立している(図5e、g参照)。
【0023】
通路形成部材19は、図5dに示すように、中心線40を含む面によって分割される2つの分割体44a、44bと、その間に介在される遮断板45とを組み合わせて構成されている。つまり、分割体44a(44b)は、それぞれ相対して吐出部41aを構成する係合面46a(46b)を有する当接部47a(47b)と、肩部37とからなる。
【0024】
係合面46aには、図5e、fに示すように、3本の通路溝48aと、それらの通路溝の下端を連通する通路溝と同じ深さの合流溝49aとが形成され、その合流溝の下端に、合流溝より浅く設けられた遮断板支持部50aが形成されている。この遮断板支持部50aは、肩部の導入溝42aに連通している。また、係合面46bにも、同様に、3本の通路溝48bと、合流溝49bと、遮断板支持部50bとが形成されている(図5g参照)。
一方、係合面46aの通路溝48aは、係合面46aと係合面46bとを当接させたとき、それぞれ係合面46bの通路溝48bの間に位置するように構成されている。そのため、係合面46aと係合面46bとを当接させるとき、通路溝48a(吐出孔41a)と、通路溝48b(吐出孔41b)とは独立している。
【0025】
遮断板45は、係合面46aの合流溝49aおよび遮断板支持部50aの範囲と、係合面46bの合流溝49bおよび遮断板支持部50bの範囲に配置されるものであり、前述の遮断壁43を構成するものである。その厚さは、遮断板支持部50a、50bの深さの2倍の厚みを有する。
【0026】
このように構成されているため、通路形成部材19は両肩部37の下端の導入溝42a、42bから吐出孔41a、41bまでの吐出通路がそれぞれ独立している。つまり、一方のエアゾール容器の内容物は、導入溝42aを水平に進み、遮断壁43の一方の面に当たり、遮断壁43と合流溝49aの空間を介して、その上の通路溝48aを通り、吐出孔41aから吐出される。他方のエアゾール容器の内容物も、同様に、導入溝42b、遮断壁43の他方の面に当たり、遮断壁43と合流溝49bの空間を介して、通路溝48bを通り、吐出孔41bから吐出される。
【0027】
図6a、bに示すように、通路形成部材19とノズル部材18とは、通路形成部材の吐出部36がノズル部材のノズル部の中心孔30内に外部から装着され、通路形成部材の肩部37がノズル部材の押部の溝31内に外部から挿入されることにより、装着される。つまり、ノズル部27の一部(ノズル部27の上面、および、ノズル部27の両側面27a)および押部28の一部(押部28の上面)がそれぞれ外部に露出するようにして装着される。このとき、通路形成部材の肩部の導入溝42a、bの下端開口(図5c参照)は、ノズル部材の下面26によって閉じられる。そのため、エアゾール容器の内容物は、下面26に形成された導入孔32を介して通路形成部材19の導入溝42a、bに導入される。
また、通路形成部材の腕部36aは、ノズル部のスリット27bから外部に露出されているため、この両腕部36aを指で掴んで上方に持ち上げることにより通路形成部材19をノズル部材18から容易に取り外すことができる。
【0028】
このように吐出装置11は、内容物が通る通路形成部材19を簡単に取り外すことができ、さらに、通路形成部材19は、2つの分割体44a、bからなり、内容物の通路は係合面と通路溝で構成されるため、通路形成部材19を取り外した後のそれぞれの通路、分割体44a、bおよび遮断板45の洗浄が簡単である。特にこの実施の形態のように、各内容物を少量ずつ吐出して混合しやすくするために各内容物の通路を複数個設けても容易に洗浄することができる。
洗浄した後も、通路形成部材19を組み立て、取り外しと同様に通路形成部材の腕部36aを摘みながらノズル部材18に挿入するだけで、簡単に取り付けることができる。
さらに、上述したようにノズル部材18は、人差し指と中指等でノズル部27を挟むようにして、押部28を下方に押圧するが、そのとき、同時に押部28に挿入された通路形成部材の肩部37も同時に押すことになるため、吐出時でも通路形成部材19が外れることがない。なお、保護部材に回動式のレバーを設け、レバーと容器を摘むようにしてレバーで2つのノズル部材の押部28および/または通路形成部材の肩部37を押し下げて吐出できるようにしてもよい。
【0029】
図1の吐出装置11は、通路形成部材19とノズル部材18とを嵌合により連結させているが、例えば、図7a、bに示すように、吐出装置のノズル部材(例えば、図4aのノズル部材18)の上端開口部の内面とクリップ嵌合する吐出チップ51を設けても良い。これにより、通路形成部材19の飛び出しを防止することができる。
吐出チップ51は、ノズル部材の中心孔30と同じ大きさの十字状の平板52からなり、平板の中央に吐出孔41a、41bに合わせて噴射孔53が形成されており、平板の端部に上方に広がるように傾斜した係合突起54が突出して形成されている。この係合突起54が、ノズル部材の上端開口部の内面と係合することにより、吐出チップ51をノズル部材18に取り付けることができる。この場合、ノズル部材の上端開口部の内面に嵌合凹部を設けるのが好ましい。
また、図7c、dに示す通路形成部材56a、または、図7e、fに示す通路形成部材56bのように、吐出部36の上部側面、または、肩部37の上部側面に係合突起57a、bを設けてもよい。この場合も、対応するノズル部材の内面に嵌合突起を設けるのが好ましい。
【0030】
図1の吐出装置10は、通路形成部材19をノズル部材18の上から下方にスライドさせながら挿入して装着するものであったが、通路形成部材19をノズル部材18の横から平行にスライドさせながら挿入したり、ノズル部材18の下から上方にスライドさせながら挿入するように構成してもよい。
【0031】
図8の吐出装置60は、ノズル部材61の下端開口から通路形成部材62を装着するものである。カバー部材63は、連結部材と保護部材とが一体のものである。しかし、この実施形態において、連結部材と保護部材とを別部材としてもよい。
ノズル部材61は、断面矩形で筒状のノズル部66と、そのノズル部の相対する側面下部から垂直に延びる2つの押部67とからなり、下端は開口部68となっている。ノズル部66と押部67とを横から見ると「凸」字となり(図8a参照)、上から見ると「一」字となる(図8b参照)。
通路形成部材62は、前記開口部68から挿入されるものであり、平面状の基部71と、その基部の外周に形成された係合部72と、その中央から上方に延び、ノズル部66内に挿入される隔壁73と、基部の底面に隔壁を隔てて形成される2つの導入孔74とからなる。係合部72は、開口部68の下端と係合する段部72aから構成されている。また、隔壁73には、上下に延びる溝73aが形成されている。
カバー部材63は、図8a、bに示すように、2つのエアゾール製品を連結する連結部76と、エアゾール容器のバルブを保護する保護部77とからなる。
【0032】
このように構成されているため、ノズル部材61に通路形成部材62を挿入すると、隔壁73の溝73aと、ノズル部66の内面とがノズル部内を上下に延びるノズル部内通路66aを形成し、かつ、ノズル部材の押部の天面61aと基部71とが押部内を左右に延びる押部内通路67aを形成する(吐出通路)。
このように吐出装置60も、通路形成部材62をノズル部材61から簡単に取り外すことができるため、その通路の洗浄が容易にできる。さらに、洗浄した後も、通路形成部材62を簡単に取り付けることができる。
また、隔壁73に溝を形成するのではなく、図8cのように、ノズル部66内に溝66aを形成してもよい。
【0033】
図9の吐出装置80は、ノズル部材81が図8の通路形成部材62を格納するものである。ノズル部材81は、上部材83と、下部材84とからなり、上部材83の下端と、下部材84の上端とは係合可能に構成されている。また、上部材83と下部材84とはヒンジ85で連結されている(図9b参照)。上部材83は、図8のノズル部材61と実質的に同じものである。下部材83は、図8の通路形成部材62の導入孔74と係合する凹部86を備えており、その中心に連通孔87が形成されている。
このように構成されているため、通路形成部材62をノズル部材81の上部材83に挿入後、上部材83と下部材84とを係合させることにより、通路形成部材62をノズル部材81内に収容することができる。
この吐出装置80に、図8のカバー部材63などを用いて、エアゾール容器のバルブ等を保護し、エアゾール容器を連結させてもよい。
この吐出装置80も、通路形成部材62をノズル部材81から簡単に取り外し、取り付けができ、それぞれの部材を洗浄することにより、吐出通路をきれいにできる。このノズル部材81では、上部材83と下部材84とをヒンジ85により連結しているが、ヒンジ85はなくてもよい。
【0034】
図10の吐出装置90は、2つのエアゾール製品から内容物を導入する導入部から吐出孔までの吐出通路が独立していないものである。この吐出装置90に、図8のカバー部材63等を用いてもよい。
ノズル部材91は、断面矩形の筒状のノズル部91aと、そのノズル部の相対する側面下部から垂直に延びる2つの押部91bと、その下端を閉じる底部91cとからなっている。底部91cには、左右対称となるように導入孔91dが形成されており、中央に導入孔91dを区切るように鍵形に形成された凹部91eが形成されている。押部91bの天面と、底部91cとの間には隙間が形成されており、ノズル部材91は内部に「凸」字状の空間を内部に有する。また、底部91cは、ノズル部91aおよび押部91bとは別部材となっている。
【0035】
通路形成部材92は、図10cに示すように、通路形成部93と、その上端にノズル部材91の上端開口部と係合する係止部94とからなる。通路形成部93は、表裏が凹凸となった下部93aと、その表裏の凹凸が逆となった上部93bと、上部と下部の凹部をつなぐ貫通孔93cとからなる。係止部94は、ノズル部材の上端を覆う筒状の被せ部94aと、その被せ部93aと上部93bとをつなぐ連結部94bとからなる。
【0036】
通路形成部材92の上部93bと、下部93aは、ノズル部材91のノズル部91a内に表裏隙間を残すように挿入される。そして、ノズル部材91に通路形成部材92を挿入すると、通路形成部材92の下部93aの下端がノズル部材の底部91cと当接するように構成されている。このとき、底部91に形成された鍵状の凹部91eを外すように下部93aの下端は底部91cと当接する。これにより、それぞれの導入孔91dと、通路形成部材の下部93aのそれぞれの面の溝とが連通する。これにより、通路形成部材の下部93aは、導入孔91dを区切る隔壁として作用する。その後、ノズル部91aの一方の内面と、通路形成部材92の一方の表面とによって一方の内容物の吐出通路を形成し、ノズル部91aの他方の内面と、通路形成部材92の他方の表面によって他方の内容物の吐出通路を形成する。さらに、通路形成部材92は、上部93bと下部93aとを連通する貫通孔93cを有しているため、一方の内容物の一部が他方の吐出通路に貫通孔93cを介して送られ、他方の内容物の一部も一方の吐出通路に貫通孔93cを介して送られる。そのため、ノズル部91a内に2つの内容物が混合される。
【0037】
このように構成されているため、吐出直後はノズル部材91内に混合した内容物が残存することになるが、ノズル部材91と通路形成部材92とは、着脱自在であるため、それぞれの洗浄が簡単であり、繰り返し使用することができる。
【0038】
図11の吐出装置100は、ノズル部材101の上下移動がカバー部材102によって案内されるものである。符号100aは、この吐出装置100を覆い、製品全体を保護するキャップである。
ノズル部材101は、断面矩形の筒状のノズル部101aと、そのノズル部の相対する側面下部に突出して形成されたフランジ状の押部101bと、その下端を閉じる底部101cとからなっている。また、押部101bの側面には、案内突起103が形成されている。さらに、底部101cには、左右対称となるように導入孔(図示せず)が形成されている。また、底部101cは、ノズル部101aおよび押部101bとは別部材となっている。押部101bの天面と、底部101cとの間には隙間が形成されており、ノズル部材101は、「凸」字状の空間を内部に有する。
【0039】
通路形成部材105は、側面に溝部106aが形成された通路形成部106と、その上端にノズル部材101の上端開口部と係合する係止部107とからなる。このものは、ノズル部材101の上端から挿入され、ノズル部材内の空間を左右に区切るものである。係止部107は、ノズル部材の上端を覆う筒状の被せ部107aと、その被せ部107aと通路形成部106の上端とをつなぐ連結部107bとからなる。
カバー部材102は、図8のカバー部材63であって、上端に案内突起103を案内する案内溝108が形成されている。
【0040】
このように構成されているため、この吐出装置100は、2つのエアゾール製品の内容物を少量ずつ独立して吐出させる。また、ノズル部材101と、通路形成部材105とは簡単に取り外し、取り付けができるため、その洗浄が容易である。また、ノズル部材101の案内突起103が、カバー部材102の案内溝108に挿入されているため、ノズル部材101は、カバー部材102に案内されて上下動する。そのため、ノズル部材101の押部101bを押すとき、ノズル部材101は傾くことなく真っ直ぐ上下し、2つのエアゾール容器のステムを均等に押すことができる。これにより、内容物を均等に出すことができる。
【0041】
図11f、gは、ノズル部材101のノズル部101aが水平方向に向いており、円筒状である。通路形成部材105も、ノズル部101a内の空間を左右に区切るように、同様に水平に挿入される。他の構成は、図11の吐出装置100と実質的に同じである。また、符号100aは、吐出装置100を覆うキャップである。
【0042】
図12a、bの吐出装置110は、ノズル部材111のノズル部117が円筒状であり、水平に向いており、ノズル部材111内で2つの内容物を混合するものであり、通路形成部材112をノズル部材111の開口部へ横にスライドさせて挿入するものである。
【0043】
ノズル部材111は、図12cに示すように、空洞を有する矩形状の押部116と、その中央上端に基端が設けられたノズル部117とからなり、押部116内とノズル部117内は連通している。また、押部116とノズル部117との連結部分は段部118が形成されている。押部116の下端には、導入孔119aが2個形成されており、押部116の空間120に連通している。ノズル部117内には、内容物を撹拌するための邪魔板117aが形成されている。
通路形成部材112は、図12cのノズル部117の先端から挿入するものであり、ノズル係止部120aと、中心軸120bと、それらを連結する連結部120c(図12b参照)とからなる。中心軸120bには、渦巻き状に設けられた羽根121が複数形成されている。通路形成部材112の先端が吐出孔112aとなっている。
【0044】
このように構成されているため、導入孔119aより導入された内容物は、ノズル部材の押部116内で混じりあう。そして、ノズル部113内に送り込まれることにより、邪魔板117aおよび羽根121によって均等に混合され、吐出孔112aより吐出される。このノズル部材111と通路形成部材112とも、ノズル部材111内には混合された内容物が残存することになるが、ノズル部材111と通路形成部材112とは、容易に着脱自在であるため、それぞれの洗浄が簡単であり、繰り返し使用することができる。
【0045】
図13a〜eは、図13の通路形成部材112の代替となりうる通路形成部材125a〜eである。いずれの通路形成部材125a〜eも、ノズル部材の筒部先端と係合する係合部126と、その係合部と連結し、軸方向に延びる隔壁127とからなる。通路形成部材125a、eは、2つの内容物を独立して吐出するものであり、通路形成部材125b、c、dは、2つの内容物をノズル部材内で混合するものである。
【0046】
図14aの吐出装置130は、ノズル部材131のノズル部134bが水平に向いており、導入された2つの内容物を独立にして吐出孔まで押し出すものである。その吐出孔から通路形成部材132を水平にスライドさせながら挿入するものである。
ノズル部材131は、図14bに示すように、筒状の基部133と、その上端開口を閉じる蓋部134とからなる。基部133は、下端に二個の導入孔133aを左右対称に備えており、中央には隔壁133bが設けられている。蓋部134は、基部の上端と係合するように構成された覆い部134aと、その前方から水平に延びるノズル部134bとからなる(図14c参照)。
【0047】
通路形成部材132は、図14a、cに示すように、ノズル部134bの先端から挿入するものであり、ノズル係止部132aと、中心壁132bとからなる。通路形成部材132の先端が吐出孔132cとなっている。ノズル係止部132aは、ノズル部134bの先端を覆う外枠135aと、ノズル部134bを左右に分ける隔壁135bと、外枠135aと隔壁135bとを先端で連結する連結部135cとからなる。
このように構成されているため、導入孔133aより導入された内容物は、吐出孔から独立して吐出される。この通路形成部材132もノズル部材131から着脱自在であるため、それぞれの洗浄が簡単であり、繰り返し使用することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 2液吐出製品
11 吐出装置
12 エアゾール製品
16 連結部材
17 保護部材
17a 上面
18 ノズル部材
19 通路形成部材
21 支持孔
22 係止部
23 中心孔
24 係合溝
25 下面
27 ノズル部
27a 両側面
27b スリット
28 押部
30 中心孔
31 溝
32 導入孔
36 吐出部
36a 腕部
37 肩部
41a、41b 吐出孔
40 中心線
導入溝42a、b
43 遮断壁
44a、44b 分割体
45 遮断板
46a、46b 係合面
47a、47b 当接部
48a、48b 通路溝
49a 合流溝
50a、50b 遮断板支持部
51 吐出チップ
52 平板
53 噴射孔
54 係合突起
56a、56b 通路形成部材
57a、57b 係合突起
60 吐出装置
61 ノズル部材
61a 天面
62 通路形成部材
63 カバー部材
66 ノズル部
66a ノズル部内通路
67 押部
67a 押部内通路
68 開口部
71 基部
72 係合部
72a 段部
73 隔壁
73a 溝
74 導入孔
76 連結部
77 保護部
81 ノズル部材
83 上部材
84 下部材
85 ヒンジ
86 凹部
87 連通孔
91 ノズル部材
91a ノズル部
91b 押部
91c 底部
91d 導入孔
91e 凹部
92 通路成形部材
93 通路形成部
93a 下部
93b 上部
93c 貫通孔
94 係止部
94a 被せ部
94b 連結部
100 吐出装置
100a キャップ
101 ノズル部材
101a ノズル部
101b押部
101c 底部
102 カバー部材
103 案内突起
105 通路形成部材
106 通路形成部
106a 溝部
107 係止部
107a 被せ部
107b 連結部
108 案内溝
111 ノズル部材
112 通路形成部材
112a 吐出孔
116 押部
117 ノズル部
117a 邪魔板
118 段部
119a 導入孔
120 空間
120a ノズル係止部
120b 中心軸
120c 連結部
121 羽根
131 ノズル部材
132 通路形成部材
132a ノズル係止部
132b 中心壁
133 基部
133a 導入孔
133b 隔壁
134 蓋部
134a 覆い部
134b ノズル部
135a 外枠
135b 隔壁
135c 連結部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本のエアゾール容器に装着され各エアゾール容器内の内容物を同時に吐出するための吐出装置であって、
筒部を有するノズル部材と、
そのノズル部材に着脱自在に装着される通路形成部材とを備え、
前記通路形成部材がノズル部材に装着されることにより、各エアゾール容器内の内容物をノズル部材内に導入する2つの導入部と、ノズル部材内に導入された内容物を吐出する吐出孔と、前記吐出孔と導入部とを連通する吐出通路とが形成される、吐出装置。
【請求項2】
前記2本のエアゾール容器を連結する連結部材と、その連結部材に固着され、エアゾール容器の上端を保護する保護部材とからなるカバー部材を有し、
前記カバー部材は、前記ノズル部材を上下動可能に内挿する、請求項1記載の吐出装置。
【請求項3】
前記通路形成部材とノズル部材の内面とにより、前記吐出通路が形成される、請求項1記載の吐出装置。
【請求項4】
前記通路形成部材が吐出通路を備えている、請求項1記載の吐出装置。
【請求項5】
前記通路形成部材をノズル部材の外部から挿入して装着される、請求項1記載の吐出装置。
【請求項6】
前記通路形成部材をノズル部材の下端から挿入して装着される、請求項1記載の吐出装置。
【請求項7】
前記通路形成部材がノズル部材から取り外すための掴み部を備えている、請求項1記載の吐出装置。
【請求項8】
前記吐出孔が複数形成されており、
前記一方の導入部と、吐出孔の一部とを連通する一方の吐出通路と、前記他方の導入部と、吐出孔の残りとを連通する他方の吐出通路とがそれぞれ独立している、請求項1記載の吐出装置。
【請求項9】
前記ノズル部材が、筒部と、その側面から突出した押部とからなる、請求項1記載の吐出装置。
【請求項10】
請求項1記載の吐出装置と、
その吐出装置に連結される2本のエアゾール製品とからなる、2液式吐出製品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−105384(P2011−105384A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265727(P2009−265727)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】