説明

吐出装置

【課題】ストッパ部材にバージン機能を付与した吐出装置を提供する。
【解決手段】 容器体口頸部2へ装着筒20を装着させ、前記容器体内へ垂下するシリンダ部材10内から起立する作動部材30を前記装着筒頂壁22へ上下動自在に貫設させて、該作動部材上部に押下げヘッド40を装着させた吐出装置において、前記押下げヘッド40外周面下部に設けた連結部51を介してストッパ部材50を前記押下げヘッド40へ一体成形し、前記ストッパ部材50は、該ストッパ部材の押下げによる回動で、前記押下げヘッド40下端面と前記装着筒頂壁22上面との間へ嵌入して前記押下げヘッド40の押下げを阻止する阻止位置を取ることが可能に設け、阻止位置で前記ストッパ部材50を後方へ引くことで破断可能に設けて、不正使用表示可能に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器体へ装着したポンプを利用して容器体内容物を吐出可能に設けた吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
押下げヘッドの不用意な押下げを防止すべく、ストッパ部材を押下げヘッド外面へ嵌合可能に設けた吐出装置が従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−194317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術はストッパ部材が装置本体とは別体に設けられているため、不正使用表示用のバージン機構をストッパ部材にもたせることができないという課題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ストッパ部材にバージン機能を付与した吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、容器体口頸部2へ装着筒20を装着させ、前記容器体内へ垂下するシリンダ部材10内から起立する作動部材30を前記装着筒頂壁22へ上下動自在に貫設させて、該作動部材上部に押下げヘッド40を装着させた吐出装置において、
前記押下げヘッド40外周面下部に設けた連結部51を介してストッパ部材50を前記押下げヘッド40へ一体成形し、
前記ストッパ部材50は、該ストッパ部材の押下げによる回動で、前記押下げヘッド40下端面と前記装着筒頂壁22上面との間へ嵌入して前記押下げヘッド40の押下げを阻止する阻止位置を取ることが可能に設け、
前記連結部51は、前記阻止位置で前記ストッパ部材50を後方へ引くことで破断可能に設けて、不正使用表示可能に設けた
ことを特徴する。
【0006】
また、本発明は、前記連結部は、前記ストッパ部材50の前記押下げ操作で引き延ばされることが可能に設けたことを特徴とする。
【0007】
さらに、本発明は、前記連結部51を棒状ないし細帯状の破断容易材で形成すると共に、前記連結部の上下方向の位置と該連結部の前後方向への長さとのそれぞれを任意に設定することで、前記連結部の引き延ばし寸法を任意の値に設定可能に設けたことを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、前記装着筒頂壁22から前記作動部材30を囲む案内筒23を起立すると共に、前記ストッパ部材50を前記案内筒23後面へ嵌合可能な後面開口の横断面C字状に形成して、前記連結部51破断後の前記ストッパ部材50が前記案内筒23へ嵌合可能に設けたことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記連結部51を左右一対の破断容易材で構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、ストッパ部材の連結部を、ストッパ部材を引くことで破断可能に設けたので、消費者が開封する前の不正使用が表示されることとなりバージン機能を発揮することができる。
また、本発明は、装着筒頂壁から案内筒を起立すると共に、ストッパ部材を案内筒後面へ嵌合可能な後面開口の横断面C字状に形成したので、連結部破断によるバージン機能消失後もストッパ部材に押下げヘッドの押下げ阻止機能をもたせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る一部切欠き側面図である。
【図2】ストッパ部材の平面図である。
【図3】ストッパ部材の阻止位置を示す作用説明図である。
【図4】ストッパ部材が押下げヘッドから分離破断した状態を示す作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1において、1は容器体で、肩部を介して口頸部2を起立する。
10はシリンダ部材で、周壁11上端に付設した図示しない外向きフランジを容器体口頸部上端へ係合させて周壁11を容器体1内へ垂下させている。
【0014】
20は装着筒で、周壁21を容器体口頸部外面へ螺合させると共に、周壁21上面の内向きフランジ状頂壁22でシリンダ周壁11の外向きフランジを容器体口頸部上端へ圧接させ、さらに内向きフランジ状頂壁22から案内筒23を起立させている。該案内筒は装着筒20に対し一体に設けてもよく、あるいは別体に設けてもよい。
【0015】
30は作動部材で、シリンダ部材10内へ上下動自在に嵌合させた公知の筒状ピストンから起立するステム31を内向きフランジ状頂壁22の透孔を介して案内筒23内へ上下動自在に挿通させている。
【0016】
40は押下げヘッドで、頂壁41から内外二重筒42、43を垂下して、内筒42をステム31上端部へ嵌合させると共に、外筒43を案内筒23の上端部外面へ上下動自在に挿入させ、さらにステム31へ連通するノズル44を外周壁43から前方突設させている。
【0017】
50はストッパ部材で、図2にも示すように、押下げヘッド40の外周壁43の下端後部から後方へ突設する連結部51を介してストッパ部52を外周壁43へ一体成形している。
【0018】
連結部51は棒状ないし細帯状の破断容易材からなり、左右に一対形成されている。破断容易材の数としては一対であることが好ましいが、この数に限定されるものではない。一対を選定したのは、ストッパ部材50を支持するのに十分な強度と後述する破断の容易さとを考慮したものである。
【0019】
ストッパ部52は横断面形状がC字状ないし半円形状で、かつ案内筒23へ嵌合可能に形成されている。ストッパ部52の上端は後述の理由により上方へ凸の円弧状にすることが好ましく、また、ストッパ部52の左右両部は樹脂量低減の観点からくり抜き部53に形成するのが好ましい。なお、ストッパ部52の前部下端から左右に指掛け棒54を突設させるようにする。
【0020】
次に作用について述べる。
図1は成形時の状態を示すもので、連結部51が水平状態でストッパ部材50を支持している。吐出は押下げヘッド40を押し下げることで行う。不用意な押下げヘッドの押下げを防止するためには、ストッパ部材50を押下げて前方へ回動させて反転(180度回転)させることにより押下げヘッド40下端面と装着筒頂壁22上面との間へ嵌合させると共に、案内筒23後面へ嵌合させればよい(この嵌合位置がストッパ部材50の阻止位置である)。
【0021】
ストッパ部材50の押下げによる回動時に、ストッパ部材50は装着筒20の内向きフランジ状頂壁22上面を摺動するが、該ストッパ部52上端は、上述したように円弧状に形成されているため押下げヘッド40と装着筒20との間への嵌入が円滑に行われる。
【0022】
本発明では、ストッパ部材50にバージン機能をもたせることに1つの意義があることから、ストッパ部材50の押下げ操作時において連結部51が引き延ばされて、上記ストッパ部材50の阻止位置では連結部51が、ストッパ部材50を後方へ引くことで破断可能になるようにすることが必要である。
【0023】
これは連結部51の上下方向の位置と該連結部の前後方向への長さとのそれぞれを適宜に設定することで連結部51の引き延ばし寸法を任意の値に定めて、ストッパ部材50の阻止位置では連結部51が、ストッパ部52を後方へ引くことで破断可能になるようにすることで達成される。また連結部51を上記のように定めることで押下げヘッド40と装着筒20との間隔に対するストッパ部材50の嵌め合いを緩い状態から固い状態の間で任意に設定することが可能である。
【0024】
吐出するには、図4に示すようにストッパ部材50を後方へ引けばよく、すると連結部51が破断するため、ストッパ部材50を案内筒23および押下げヘッド40と装着筒20との間から後方へ離脱させることができる。吐出後はストッパ部材50を押下げヘッド40と装着筒20との間へ嵌入させて案内筒23へ嵌合させることで、不使用時のストッパとして使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、ポンプ式の押下げヘッドを備えた吐出容器の分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 容器体
2 口頸部
10 シリンダ
11 周壁
20 装着筒
22 内向きフランジ状頂壁
23 案内筒
30 作動部材
31 ステム
40 押下げヘッド
44 ノズル
50 ストッパ部材
51 連結部
52 ストッパ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体口頸部2へ装着筒20を装着させ、前記容器体内へ垂下するシリンダ部材10内から起立する作動部材30を前記装着筒頂壁22へ上下動自在に貫設させて、該作動部材上部に押下げヘッド40を装着させた吐出装置において、
前記押下げヘッド40外周面下部に設けた連結部51を介してストッパ部材50を前記押下げヘッド40へ一体成形し、
前記ストッパ部材50は、該ストッパ部材の押下げによる回動で、前記押下げヘッド40下端面と前記装着筒頂壁22上面との間へ嵌入して前記押下げヘッド40の押下げを阻止する阻止位置を取ることが可能に設け、
前記連結部51は、前記阻止位置で前記ストッパ部材50を後方へ引くことで破断可能に設けて、不正使用表示可能に設けた
ことを特徴する吐出装置。
【請求項2】
前記連結部は、前記ストッパ部材50の前記押下げ操作で引き延ばされることが可能に設けたことを特徴とする請求項1記載の吐出装置。
【請求項3】
前記連結部51を棒状ないし細帯状の破断容易材で形成すると共に、前記連結部の上下方向の位置と該連結部の前後方向への長さとのそれぞれを任意に設定することで、前記連結部の引き延ばし寸法を任意の値に設定可能に設けたことを特徴とする請求項2記載の吐出装置。
【請求項4】
前記装着筒頂壁22から前記作動部材30を囲む案内筒23を起立すると共に、前記ストッパ部材50を前記案内筒23後面へ嵌合可能な後面開口の横断面C字状に形成して、前記連結部51破断後の前記ストッパ部材50が前記案内筒23へ嵌合可能に設けたことを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の吐出装置。
【請求項5】
前記連結部51を左右一対の破断容易材で構成したことを特徴とする請求項3又は4記載の吐出装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−260576(P2010−260576A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111138(P2009−111138)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】