説明

吐出製品

【課題】製品の一部に集光樹脂を用い、特定の部位や方向に光を放出させることにより、内容物の吐出のタイミングや吐出方向を簡単に特定できる、あるいは、光源の弱い環境における製品の確認が簡単にできる吐出製品を提供する。
【解決手段】倒立噴射用のエアゾール容器11と、そのエアゾール容器に取り付けられる噴射装置12とからなる吐出製品10。噴射装置12の先端(噴射孔)に集光樹脂製の先端ノズル(集光部)15が設けられており、先端ノズル15に入射される光が先端ノズルの先端面(放出面)15aから放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吐出製品に関する。
【背景技術】
【0002】
吐出製品は、容器内にある内容物に圧力をかけて外部に噴射するものである。このような吐出製品は、噴射された内容物(以下、噴射物)を目視して、噴射物の行方を確かめる。しかし、噴射物は透明であり、特に霧状に噴射した場合は光源が弱い環境等において噴射物の噴射方向を確認することは困難である。
【0003】
例えば、特許文献1には、噴射ボタンに噴出口位置を示す発光性材料からなる表示が設けられたエアゾール式噴出器が開示されている。また、特許文献2には、発光剤組成物を用いたエアゾール製品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−47295号公報
【特許文献2】特開2005−53484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、製品の一部に集光樹脂を用い、特定の部位や方向に光を放出させることにより、内容物の吐出のタイミングや吐出方向を簡単に特定できる、あるいは、光源の弱い環境における製品の確認が簡単にできる吐出製品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吐出製品は、弁機構を備えた包装容器と、その包装容器の弁機構に連結される噴射部材とを有し、前記噴射部材の一部に、かつ、記噴射部材の噴射口近辺に設けられた集光樹脂製の集光部を備えており、前記集光部が、前記集光部に入射された光を放出する放出面を備えていることを特徴としている。集光樹脂とは、直射光および拡散光を表面で集光し、それを蛍光に変えるものであって、プレート状に成型したものはプレートの表面に入射した光をプレート内でその大部分を全反射しながらプレート端面へ誘導し、濃密化した状態で放出するものである。
このような吐出製品であって、前記集光部が、基端が弁機構と連通し、先端が噴射口である筒状のノズルであり、前記ノズルの先端面が放出面であるものが好ましい。また、前記集光部が、前記噴射口を囲むリング部材であり、
前記リング部材の先端面が放出面であってもよい。
【0007】
本発明の吐出製品の第2の態様は、弁機構を備えた包装容器と、その包装容器の弁機構に連結される噴射部材と、前記包装容器に取り付けられる集光樹脂製のカバー部材と、そのカバー部材に取り付けられる不透明なキャップとを有し、前記カバー部材が、キャップを取り付けることにより覆われ、カバー部材に入射された光を放出する放出面を備えていることを特徴としている。
【0008】
本発明の吐出製品の第2の態様であって、弁機構を備えた透光性の包装容器と、その包装容器の弁機構に連結される噴射部材と、前記包装容器に取り付けられる筒状の集光樹脂製のキャップとを有し、前記キャップが、キャップに入射された光を放出する放出面を備えており、前記包装容器が、その表面に表示部を備えており、前記キャップを包装容器に
取り付けたとき、放出面から放出された光が前記表示部を照射するように構成されていることを特徴としている。
このような吐出製品であって、前記表示部が蛍光塗料によって構成されているものが好ましい。
【0009】
本発明の吐出製品の第3の態様であって、弁機構を備えた包装容器と、その包装容器の弁機構に連結される噴射部材と、前記噴射部材に取り付けられる照明部と、前記照明部を内蔵する、集光樹脂製の略球状のカバー部とを有し、前記噴射部材を操作することにより照明部が点灯し、カバー部から放出されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の吐出製品は、内容物を収納する弁機構を備えた包装容器と、その包装容器の弁機構に連結される噴射部材とを有し、前記噴射部材の一部に、集光樹脂から成形される集光部を備えており、前記集光部が、前記噴射部材の噴射口近辺に設けられており、前記集光部に入射された光を放出する放出面を備えているため、噴射口近辺には光が照射されている。そのため、噴射口から噴射される内容物を確認しやすい。
このような吐出製品であって、前記集光部が、基端が弁機構と連通し、先端が噴射口である筒状のノズルであり、前記ノズルの先端面が放出面である場合、内容物の噴射方向を一層確認しやすい。特に内容物中に液化ガスを含有している場合は、液化ガスがノズルを通過するときに冷却されても放出面が見えやすい。
前記集光部が、前記噴射口を囲むようにリング部材であり、前記リング部材の先端面が放出面である場合、噴射口の周囲を光で照射するため、どの向きからでも噴射口の位置を確認でき、内容物が噴霧されていることを詳細に確認できる。
【0011】
本発明の吐出製品の第2の態様は、弁機構を備えた包装容器と、その包装容器の弁機構に連結される噴射部材と、前記包装容器に取り付けられる集光樹脂製のカバー部材と、そのカバー部材に取り付けられる不透明なキャップとを有し、前記カバー部材が、キャップを取り付けることにより覆われ、カバー部材に入射された光を放出する放出面を備えているため、吐出製品をカバンなどに入れる前にキャップが正常に装着されているか確認しやすく、キャップがカバンの中で外れて吐出されるのを防止できる。
【0012】
本発明の吐出製品の第3の態様は、弁機構を備えた透光性の包装容器と、その包装容器の弁機構に連結される噴射部材と、前記包装容器に取り付けられる筒状の集光樹脂製のキャップとを有し、前記キャップが、キャップに入射された光を放出する放出面を備えており、前記包装容器が、その表面に表示部を備えており、前記キャップを包装容器に取り付けたとき、放出面から放出された光が前記表示部を照射するように構成されているため、製品を店頭で陳列しているときや家庭で製品を置いているときなど、キャップを装着している状態では表示部が見えやすくなり、使用者に表示部を注目させることができる。
このような吐出製品であって、前記表示部が蛍光塗料によって構成されている場合は表示部と他の部分の見え方の差が大きくなり、より一層注目させることができる。
【0013】
本発明の吐出製品の第4の態様は、弁機構を備えた包装容器と、その包装容器の弁機構に連結される噴射部材と、前記噴射部材に取り付けられる照明部と、前記照明部を内蔵する、集光樹脂製の略球状のカバー部とを有し、前記噴射部材を操作することにより照明部が点灯し、カバー部から放出されるため、カバー部の球面が照明部から発せられた光の放出面となって光るため、カバー部を指で押しても光を見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の吐出製品の一実施形態を示す側面断面図である。
【図2】本発明の吐出製品の他の実施形態を示す側面断面図である。
【図3】図3aは、本発明の吐出製品のさらに他の実施形態を示す側面断面図であり、図3b、cは、図3aの吐出製品に用いることができる先端ノズルの他の実施形態を示す一部側面断面図である。
【図4】図4aは本発明の吐出製品のさらに他の実施形態を示す一部断面側面図であり、図4bはその機構を示す側面断面図であり、図4cは本発明の吐出製品のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【図5】本発明の吐出製品のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【図6】図6aは、本発明の吐出製品のさらに他の実施形態を示す正面図、図6b、cは、それぞれその一部正面断面図、一部側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1の吐出製品10は、倒立噴射用のエアゾール容器11と、そのエアゾール容器に取り付けられる噴射装置12とからなる。この吐出製品10は、噴射装置12の先端(噴射孔)に集光樹脂製の先端ノズル(集光部)15が設けられており、先端ノズル15に入射される光が先端ノズルの先端面(放出面)15aから放出されるように構成されている。
【0016】
エアゾール容器11は、耐圧容器13と、その開口部に取り付けられるエアゾールバルブ14とからなり、倒立した状態で使用するものである。
耐圧容器13は、有底筒状の容器であって、上端に開口部を有するものである。例えば、金属板をインパクト加工、絞り・しごき加工などで有底筒状にし、その上部にネッキング加工などで肩部を形成し、その上端にカーリング加工などでビード部(開口部)を形成したものなどが挙げられる。しかし、硬質の合成樹脂や、耐圧ガラスなど他の材質で成形してもよい。
エアゾールバルブ14は、耐圧容器13の開口部に固着されるマウンティングカップ14aと、そのマウンティングカップの中央に保持されるハウジング14bと、そのハウジング内に上下移動可能に収納され、上方に付勢されるステム14cとを備えた倒立状態のときに使用するものである。つまり、このエアゾールバルブ14は、常時耐圧容器13を気密にし、使用時は、倒立状態でステム14cを下方に押し下げる(実際は、上側に押し上げる)ことにより耐圧容器13内と大気とを連通し、耐圧容器内の内容物を吐出するものである。
【0017】
噴射装置12は、エアゾール容器の上部に装着される筒状の噴射装置本体16と、その噴射装置本体16に対して上下動自在に連結され、かつ、エアゾール容器のステム14cに連結されるノズル17とを備えている。
噴射装置本体16は、エアゾール容器のマウンティングカップ14aの外周に装着される筒状のカバー部21と、そのカバー部21に対して上下動自在に連結され、かつ、カバー部の上端に配置される操作部22と、カバー部21と操作部22とを繋ぐヒンジ部23とからなる。ヒンジ部23は、カバー部21と操作部22とを繋ぐように形成された樹脂ヒンジである。しかし、カバー部21および操作部22とは別部材としてもよい。
【0018】
カバー部21は、エアゾールバルブ14のマウンティングカップ14aの外周と係合する筒状の装着部21aと、その装着部21aより径が小さく、エアゾール容器の上部を覆う筒状のガード部21bとからなる。装着部21aとガード部21bを連結する段部21cが、マウンティングカップ14aの外周上端と当接し、装着部21aの下端には、半径方向内側に突出する係合突起21dが形成されている。また、ガード部21bの上端周縁の一部にヒンジ部23の一端が設けられている。
操作部22は、平面状の操作基部22aと、その操作基部22aの中央を貫通し、上方に立ち上がる中心筒22bと、操作基部22aに扇状に形成された押圧部22cとが設けられている。操作基部22aの外周縁であって、押圧部22cと180度相対する部位に、ヒンジ部23の他端が設けられている。押圧部22cは、操作基部22aより若干上方
に立ち上がった平面状の部位である。
【0019】
ノズル17は、筒状のノズル基部25と、その先端に設けられる筒状の先端ノズル15とからなる。
ノズル基部25は、前記中心筒22bに挿入される下筒部25aと、その上端にその下筒部25aより縮径し、先端ノズル15に挿入される中筒部25bと、その上端にその中筒部25bより縮径した上筒部25cとからなる。下筒部25aの下端外周には、半径方向外側に突出したフランジ部25dが形成されており、下端面には、ステム14cと係合するステム係合部25eが形成されている。上筒部25cの上端は塞がれており、その側面を貫通し、上筒部25cの内部と外部とを連通する横連通孔25fが複数個放射状に形成されている。ノズル基部25の中心孔は、ステム係合部25eと横連通孔25fとを連続するノズル内通路25gを構成する。
先端ノズル15は、集光樹脂からなる半透明のものであり、先端ノズル15の外周から入射される光が先端面15aに導かれ、先端面15aから放出されるように構成されている。
【0020】
このように構成されているため、エアゾール容器11を倒立状態とし、噴射装置の操作部22の押圧部22cを下方に押圧することにより、操作部22の中心筒22b、ノズル基部25を介してエアゾールバルブ14のステム14cを下方に移動させることができる。それにより、エアゾールバルブ14が開放され、エアゾール容器11内の内容物がノズル基部25に導入される。導入された内容物は、ノズル内通路25gを通り、上部筒25cの天面に衝突する。この衝突により勢いが減じられた内容物は、横連通孔25fより先端ノズル15に至り、先端ノズル15の開口部から吐出される。
一方、先端ノズル15は集光樹脂製であり、光の入射面となる筒状の露出部分の面積が放出面となる先端面の面積よりも広く、先端ノズル15に入射された光は先端面15aに誘導されるように構成されているため、先端面15aが光って見える。そのため、使用者は先端ノズル15の先端面15aを悪条件(例えば、暗所等)でも目視することができ、先端ノズル15を介して内容物が吐出されるタイミングがわかり、正確に使用することができる。特に、内容物が液化ガスを含んだものである場合、液化ガスが先端ノズル15内で一部が気化し、先端ノズル15を冷却することにより先端ノズル15を曇らすことがある。しかし、そのように先端ノズル15が曇っても吐出物が通過する部分の曇りが取れ、また先端面15aは発光しているため、吐出物が透明であっても噴射口から滴下されるタイミングがわかり、確実に内容物を対象体に投与することができる。
このように集光樹脂製の先端ノズル15が、先端ノズル15の外周から入射される光を先端面15aに導き、先端面15aから放出するため、使用者は対象体への内容物の滴下、あるいは、噴射が容易にできる。本実施形態では、包装容器としてエアゾール容器を挙げているが、ポンプ容器などの吐出容器を用いてもよい。
【0021】
図2の吐出製品30は、正立噴射用のエアゾール容器31と、そのエアゾール容器に取り付けられる噴射装置32とからなり、噴射装置32の中央の噴射孔近辺に集光樹脂製のリング(集光部)33が設けられている。また、リング33は、そのリング33に入射される光を、噴射孔を照らすように放出する傾斜面(放出面)33aを備えている。
エアゾール容器31は、耐圧容器13と、その開口部に取り付けられるエアゾールバルブ34とからなる。耐圧容器13は、実質的に図1の耐圧容器13と同じものである。エアゾールバルブ34は、常時耐圧容器13を気密にし、使用時は、正立状態でステム14cを下方に押し下げることにより耐圧容器13内と大気とを連通し、耐圧容器内の内容物を吐出するものである。
【0022】
噴射装置32は、エアゾール容器31の上部に装着される筒状のカバー部36と、そのカバー部36に対して回動自在に連結され、かつ、エアゾール容器のステム14cに連結
される操作部37とを備えている。
【0023】
カバー部36は、エアゾールバルブ14のマウンティングカップ14aの外周と係合する筒状の装着部36aと、その装着部36aを囲むように設けられた筒状の支持部36bと、径が装着部36aより大きく、支持部36bより小さい、エアゾール容器の上部を覆うガード部36cと、装着部36aの上端、支持部36bの上端およびガード部36cの下端とをつなぐ円板状の基部36dとからなる。
装着部36aの下端には、半径方向内側に突出する係合突起36eが形成されている。つまり、基部36dの下面と装着部36aとでマウンティングカップ14aに装着される。
支持部36bの下端は、エアゾール容器の耐圧容器13の肩部と当接するように構成されている。これにより噴射装置32をエアゾール容器の肩部で支持させ、噴射装置32をエアゾール容器の上部に安定に連結される。
ガード部36cの上端がテーパー状に形成されている。つまり、側端(図2の左端)から他側端(図2の右端)に向かって段々高くなるように構成されている。また、一番低い位置に操作部37の前後(図2の表裏方向)水平方向の軸心を受け入れる軸受け36fが形成されている。
基部36dは、中心にステム14cを通す中心孔を備えた円板状の部位である。
【0024】
操作部37は、円筒状のノズル基部37aと、その上端に水平方向に対して傾いて設けられる円板状の操作基部37bと、その中央に装着されるリング33とからなる。
ノズル基部37aは、下端にステム14cと連結するステム係合部25eが形成されている。
操作基部37bは、中心に噴射孔38aを備えた円状の凹部38bが中央に形成されており、最下点にある縁部に前後水平方向に延びる軸心38cが形成されている。一方、最高点にある縁部が平面状の押圧部38dとなっている。噴射孔38aはノズル基部37aの中心孔と連通している。
つまり、操作部37は、軸心38cをカバー部36の軸受け36fに係合させ、ノズル基部37aをステム14cに係合させることにより、円板状の操作基部37bの押圧部38dが上方を向くように傾いた状態となる。
リング33は集光樹脂からなる半透明のものであり、操作基部の凹部38bに挿入され、上部が凹部38bから突出している。この突出している部分が光の入射面になり、その面積を放出面となる上端の内側に傾斜した傾斜面33aの面積よりも大きくし、リング33に入射した光が傾斜面(放出面)33aから放出されるように構成されている。
【0025】
このように構成されているため、噴射装置32の押圧部38dを下方に押し下げることにより、ノズル基部37aを介してステム14cを押し下げることができる。それにより、エアゾール容器31内の内容物がノズル基部37aの噴射孔38aから内容物が噴霧される。
一方、噴射装置の操作基部の噴射孔38aを囲むようにリング33が設けられており、そのリング33に入射された光は傾斜面33aに誘導されるように構成されているため、リング33が受ける光を傾斜面33aから放出し、噴射孔38aが配置されたリング33内近辺を照らす。そのため、使用者は、噴射孔を確認することができる。特に、噴射装置に押し下げた状態に押圧部38cを保持するロック機構(図2の係止部39(想像線))を備えている場合、使用者は押圧部38cを操作した後、噴射孔38cの向きを確認しながら避難することができる。
【0026】
図3の吐出製品40は、正立噴射用のエアゾール容器41と、そのエアゾール容器に取り付けられる噴射装置42とからなり、噴射装置42の先端(噴射孔)に集光樹脂製の先端ノズル(集光部)15が設けられている。先端ノズル15は、図1の先端ノズル15と
同様に、先端ノズル15に入射される光が先端ノズルの先端面(放出面)15aに導かれ、放出されるように構成されている。
【0027】
エアゾール容器41は、前部に上下方向に延びる表示部41aが設けられている。この表示部41aは、蛍光塗料によりマークや文字、デザインなどの表示を印刷したシールなどをエアゾール容器41やその外部に設けられるシュリンクフィルムなどに貼り付けたものである。他の構成は、図1のエアゾール容器11と実質的に同じものである。
噴射装置42は、筒状のカバー部43と、エアゾールバルブのステム14cに連結される押ボタン44とからなる。
【0028】
カバー部43は、エアゾールバルブ14のマウンティングカップ14aの外周と係合する筒状の装着部43aと、その上端に連続して形成される筒状のガード部43bとからなる。ガード部43bの上部前方には、前方に突出した2枚の突出片45aと、その間に設けられた開口部45bとが形成されている。突出片45aには、後述する回動部の回動軸と連結する軸受け(図示せず)が設けられている。さらに、ガード部43bの上部後方は、押ボタン44を操作するための後方開口部45cが形成されている。
【0029】
押ボタン44は、押ボタン本体46と、その前方上部に連結されるノズル47とからなる。ノズル47は、水平方向の軸心を中心に上下に回動するものである。
押ボタン本体46は、略直方体の形状を有するものであり、下端中央に設けられたステム14cと係合するステム係合部46aと、前方上部に設けられるノズル係合部46bと、ステム係合部46aとノズル係合部46bとを連通するボタン内通路46cとからなる。
ノズル47は、押ボタン本体に連結される回動部48と、その先端に設けられる筒状の先端ノズル15とからなる。
【0030】
回動部48は、先端で先端ノズル15と連結し、基端が回動の中心となる基軸部48aと、先端で基軸部48aの回動を支持し、基端で押ボタン44のノズル係合部46bに連結される筒状の挟持部材48bとからなり、基軸部48aと挟持部48bとでボールソケットジョイントを構成している。基軸部48aには、先端が水平に向いたときノズル47と押ボタン44とを連通させ、先端が下方に向いたときノズル47と押ボタン44とを遮断する通路48cが形成されている。さらに、基軸部48aの外周には、左右方向(図3の表裏方向)に延びる回動軸(図示せず)が突出して設けられている。そのため、回動部48は、基軸部(先端ノズル15)の先端を水平方向と下方向との間を回動軸まわりに90度回動できるように構成されており、先端が水平方向を向いているときは、押ボタン44と先端ノズル15とを連通し、先端が下方向を向いているときは押ボタン44と先端ノズル15とを遮断する。つまり、この噴射装置42は、基軸部48a(先端ノズル15)の先端を水平方向に向けて使用したときに本発明の効果が得られるものである。
先端ノズル15は、回動部48の先端に挿入される円筒状のものであり、先端に段部を設け、先端でリング状に2箇所光るものである。なお段部を複数個設け、3箇所以上光ら
せることもできる。
【0031】
このように構成されているため、先端ノズル15の先端が水平方向に向いた状態で、噴射装置42の押ボタン44を下方に押し下げると、ステム14cが押し下げられ、エアゾールバルブが開放される。それにより、エアゾール容器41内の内容物が先端ノズル42の先端から噴射される。
また、先端ノズル15は、集光樹脂製であり、先端ノズル15の筒状部に入射された光は先端面15aに誘導されるように構成されているため、側面から受ける光を先端面15aから放出し、先端面15aが光る。そのため、使用者は悪条件(例えば、暗所等)でも正確に内容物を対象物に噴射させることができる。さらに、この吐出製品では、エアゾー
ル容器41の前面にも上下に延びる表示部41aを備えているため、使用しておらず、先端ノズル15aの先端を下方に向けたときでもノズルの先端から発せられる光により表示やノズル先端が見やすくなり、吐出製品の状態や位置を目視で確認することができる。
図3bの先端ノズル15は、先端面15aが本体に対して拡径しているものである。このように先端面の表面積を大きくすることにより、先端面15aをより明確に確認することができる。
図3cの先端ノズル15は、ノズル本体15bと、その先端に設けられるノズルチップ15cとからなり、ノズルチップ15cが集光樹脂から成形される。その形状は、図3bのノズル15と同様に先端面15aがノズル本体15bに対して拡径している。この場合も、先端面の表面積を大きくすることができ、先端面15aをより明確に確認できる。ノズル本体15bとしては、透光性の合成樹脂を用いるのが好ましい。しかし、非透光性であってもよく、その材料は特に限定されるものではない。
【0032】
図4aの吐出製品60は、集光樹脂製のキャップ61を備えたものである。詳しくは、エアゾール容器62と、それに取り付けられる押ボタン53と、エアゾール容器62の上部に押ボタン53を覆うように取り付けられるキャップ61とからなり、キャップ61から放出される光でエアゾール容器62の表示を照らすものである。押ボタン53は、図4の押ボタン53と実質的に同じものである。
【0033】
エアゾール容器62は、ポリエチレンテレフタレートなどの透光性を有する合成樹脂製の耐圧容器62aと、耐圧容器に取り付けられるエアゾールバルブ62bとからなる。耐圧容器62aは、底部63a、胴部63b、肩部63cを有し、胴部63aと肩部63cとの間に段部63dが形成されている。また、耐圧容器63は、胴部63bに蛍光塗料によってイラスト、デザイン、マーク、文字等の表示が描かれた表示部62aを備えている。他の構成は、図3のエアゾール容器31と実質的に同じである。
キャップ61は、上面を有し、集光樹脂からなる半透明のものであり、入射した光を下端面61aに誘導するように、光の入射面となるキャップ側面を筒状とし、その面積を、光の放出面となる下端面61aの面積よりも大きくしている。そして、下端面61aがエアゾール容器62の段部62dに係合することによって連結される。
【0034】
このように構成されているため、図4bに示すように、キャップ61をエアゾール容器62に装着しているとき、キャップ61に入射する光(L1)は、キャップ61の集光樹脂内で反射して下端面61aに導かれる。そして、耐圧容器13は、透光性の樹脂からなるため、段部63d(胴部63bの上端)から下方に照射される光は、エアゾール容器の胴部63bに到達し、蛍光塗料によって表示された表示部62aが光る。このようにキャップ61を取り付けたとき、エアゾール容器62の表示部62aが光り、使用者は吐出製品60の表示部を簡単に目認することができる。
一方、キャップ61を取り外した後は、キャップ61からの反射光はなくなるため、表示部62aも消える。
【0035】
図4cの吐出製品60bのように、エアゾール容器62の底部63aに集光樹脂からなる底部材64を取り付けても良い。この場合、耐圧容器63には、底部63aと胴部63bとの間に底部材64の上端面64aと係合する段部63eが設けられる。
これにより、底部材64をエアゾール容器62に装着することにより、底部材64に入射する光は、反射により上端面64aから放出される。そのため、エアゾール容器62の胴部63bの表示部62aが底部材64によって照射され、表示部が光る。また、耐圧容器63が透光性を有するため、耐圧容器内の内容物の残量も目視できる。底部材64をエアゾール容器62の上部に取り付け、キャップを兼ねるようにしてもよい。
【0036】
図5の吐出製品70は、エアゾール容器31と、そのエアゾールバルブに取り付けられ
る噴射装置72と、その噴射装置72を覆う不透明なキャップ73とからなる。キャップ73によって覆われる集光樹脂製のカバー部材74を噴射装置72が備えている。エアゾール容器31は、図3のエアゾール容器31と実質的に同じものである。
【0037】
噴射装置72は、エアゾール容器のエアゾールバルブに装着されるカバー部材74と、押ボタン75とからなる。
カバー部材74は、筒状のものであり、エアゾールバルブに装着される装着部74aと、その上部に設けられ、装着部より縮径したガード部74bとからなり、装着部74aとガード部74bの外周にキャップ73を係合する係合段部74cが形成されている。つまり、キャップ73を装着することにより、ガード部74bが覆われるように構成されている。また、カバー部材73が集光樹脂製であり、カバー部材74に入射した光がガード部材74bの上端面74dに導かれるように構成されている。
キャップ73は、上面を有する筒状のものであり、光を通さない不透明な材料から構成される。
【0038】
このように構成されるため、キャップ73を装着しているときは、カバー部材74に入射した光は、キャップ73内に導かれ、使用者には目視できない。一方、キャップ73を取り外すことにより、カバー部材74の上端面74dが露出され、カバー部材74に入射した光が上端面74dから放出されるのが目視できる。そのため、使用者は、この吐出製品70にキャップ73が正確に装着されているかどうか簡単にわかる。
【0039】
図6a〜cの吐出製品80は、エアゾール容器81と、そのステムに取り付けられる押ボタン82と、その押ボタンに連結された照明部83とからなり、押ボタン82が押圧されることにより、照明部83の照明が点灯するものである。エアゾール容器81は、図3のエアゾール容器31と実質的に同じものであり、押ボタン82は、エアゾールバルブのステムに取り付けられる円柱状のものであり、ステムと連通する噴射孔82aが側面に設けられている。
【0040】
照明部83は、押ボタン82の上部に押ボタン82を覆うように装着される筒状の押ボタン連結部85と、その上部に取り付けられ、LED照明器具90が収納される収納部86と、その上端に取り付けれる球状の点灯部87とからなる。
押ボタン連結部85は、図6bに示すように、押ボタン82を挿入する中心孔85aを有するものであり、下部側面に噴射孔82aを開放するように切欠き85b(図6a参照)が形成されている。
収納部86は、底部88aおよび側壁88bを備えた収納基部88と、その収納基部88を覆うように連結される収納蓋部89とからなり、その中にLED照明器具90が収納される。収納蓋部89の天面中央には、LED灯を通す中心孔89aが形成されている。LED照明器具90は、図6b、cに示すように、基板90aと、その基板上に取り付けられるLED90bと、基板の下に収納される電池90cと、下方へ押圧することによりオン/オフを切り替えるスイッチ90dとを備えている。LED以外の照明を用いても良い。
点灯部87は、内部空間を有する球体状を呈しており、透光性の集光樹脂から成形されている。点灯部87の下端には、スイッチ90と接続する接続脚87aが設けられている。つまり、点灯部87を下方に押圧することにより、接続脚87aがスイッチ90dを押圧し、LEDのオン/オフの切替ができる。
【0041】
このように構成されているため、点灯部87を下方に押圧することにより、スイッチ90cを操作するともに、押ボタン82を下方に移動させることができる。それによりLED90bの点灯および内容物の噴射が同時に行われる。そのため、LEDの光は点灯部87の内部から入光し、点灯部内で反射しながら球体状の表面から光を放出する。そのため
遠く離れている人にも噴射中であることを認識させることができる。
【符号の説明】
【0042】
10 吐出製品
11 エアゾール容器
12 噴射装置
13 耐圧容器
14 エアゾールバルブ
14a マウンティングカップ
14b ハウジング
14c ステム
15 先端ノズル
15a 先端面
15a ノズル本体
15b ノズルチップ
16 噴射装置本体
17 ノズル
21 カバー部
21a 装着部
21b ガード部
21c 段部
21d 係合突起
22 操作部
22a 操作基部
22b 中心筒
22c 押圧部
23 ヒンジ部
25 ノズル基部
25a 下筒部
25b 中筒部
25c 上筒部
25d フランジ部
25e ステム係合部
25f 横連通孔
25g ノズル内通路
30 吐出製品
31 エアゾール容器
32 噴射装置
33 リング
33a 傾斜面
34 エアゾールバルブ
36 カバー部
36a 装着部
36b 支持部
36c ガード部
36d 基部
36e 係合突起
36f 軸受け
37 操作部
37a ノズル基部
37b 操作基部
38a 噴射孔
38b 凹部
38c 軸心
38d 押圧部
40 吐出製品
41 エアゾール容器
41a 発光部
42 噴射装置
43 カバー部
43a 装着部
43b ガード部
44 押ボタン
45a 突出片
45b 開口部
45c 後方開口部
46 押ボタン本体
46a ステム係合部
46b ノズル係合部
46c ボタン内通路
47 ノズル
48 回動部
48a 基軸部材
48b 挟持部材
48c 通路
60 吐出製品
61 キャップ
61a 下端面
62 エアゾール容器
62a 表示部
63 耐圧容器
63a 底部
63b 胴部
63c 肩部
63d 段部
63e 段部
64 底部材
64a 上端面
70 吐出製品
72 噴射装置
73 キャップ
74 カバー部材
74a 装着部
74b ガード部
74c 係合段部
74d 上端面
75 押ボタン
80 吐出製品
81 エアゾール容器
82 押ボタン
82a 噴射孔
83 照明部
85 押ボタン連結部
85a 中心孔
85b 切欠き部
86 収納部
87 点灯部
87a 接続脚
88 収納基部
88a 底部
88b 側壁
89 収納蓋部
89a 中心孔
90 照明器具
90a 基板
90b LED
90c 電池
90d スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁機構を備えた包装容器と、
その包装容器の弁機構に連結される噴射部材とを有し、
前記噴射部材の一部に、かつ、前記噴射部材の噴射口近辺に設けられている集光樹脂製の集光部を備えており、
前記集光部が、前記集光部に入射された光を放出する放出面を備えている、
吐出製品。
【請求項2】
前記集光部が、基端が弁機構と連通し、先端が噴射口である筒状のノズルであり、
前記ノズルの先端面が放出面である、
請求項1記載の吐出製品。
【請求項3】
前記集光部が、前記噴射口を囲むリング部材であり、
前記リング部材の先端面が放出面である、
請求項1記載の吐出製品。
【請求項4】
弁機構を備えた包装容器と、
その包装容器の弁機構に連結される噴射部材と、
前記包装容器に取り付けられる集光樹脂製のカバー部材と、
そのカバー部材に取り付けられる不透明なキャップとを有し、
前記カバー部材が、キャップを取り付けることにより覆われ、カバー部材に入射された光を放出する放出面を備えている、
吐出製品。
【請求項5】
弁機構を備えた透光性の包装容器と、
その包装容器の弁機構に連結される噴射部材と、
前記包装容器に取り付けられる筒状の集光樹脂製のキャップとを有し、
前記キャップが、キャップに入射された光を放出する放出面を備えており、
前記包装容器が、その表面に表示部を備えており、
前記キャップを包装容器に取り付けたとき、放出面から放出された光が前記表示部を照射するように構成されている、
吐出製品。
【請求項6】
前記表示部が蛍光塗料によって構成されている、請求項5記載の吐出製品。
【請求項7】
弁機構を備えた包装容器と、
その包装容器の弁機構に連結される噴射部材と、
前記噴射部材に取り付けられる照明部と、
前記照明部を内蔵する、集光樹脂製の略球状のカバー部とを有し、
前記噴射部材を操作することにより照明部が点灯し、カバー部から放出される
吐出製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−236630(P2012−236630A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106903(P2011−106903)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【出願人】(592245432)スタッフ株式会社 (31)
【Fターム(参考)】