説明

吐出製品

【課題】本発明は吐出物が状態変化により変色することにより、これまでにない美観を演出することのできる吐出製品を提供すること。
【解決手段】顔料および/または色素ならびに液化ガスを含有する内容物を有し、吐出物が状態変化により変色する吐出製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出製品に関する。さらに詳しくは、吐出物の状態変化により変色する吐出製品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2には、チタン雲母などの雲母(マイカ)および色素を含有する塗髪用カラーエアゾールが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−255414号公報
【特許文献2】特公昭63−17806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1および特許文献2には毛髪を着色することを目的とする塗髪用カラーエアゾールが記載されているに過ぎず、状態変化により変色する吐出物については記載されていない。
【0005】
そこで、本発明は吐出物が状態変化により変色することにより、これまでにない美観を演出することのできる吐出製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吐出製品は、顔料および/または色素ならびに液化ガスを含有する内容物を有し、吐出物が状態変化により変色する吐出製品である。
【0007】
前記内容物を吐出したときの状態変化により内容物が変色することが好ましい。
【0008】
前記状態変化が吐出物の発泡および破泡であることが好ましい。
【0009】
前記状態変化が吐出物の凍結および融解であることが好ましい。
【0010】
前記内容物が顔料を含有し、前記顔料が2層以上の構造を有する多層顔料であることが好ましい。
【0011】
前記内容物が顔料および色素を含有し、前記色素が顔料とは異なる色を示す色素であることが好ましい。
【0012】
前記内容物が顔料および色素を含有し、前記顔料が2層以上からなる多層顔料であり、前記色素の色が、色相環において多層顔料の反射光の色を0度とした場合に90〜270度の位置にある色であることが好ましい。
【0013】
前記多層顔料が低屈折率層と高屈折率層からなることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の吐出製品によれば、吐出物の状態変化により変色することで、これまでにない美観を演出することのできる吐出製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明における実施態様の一例として、発泡性の吐出物の状態変化による変色を示す写真である。図1(a)は内容物の写真である。図1(b)は吐出後に発泡した吐出物の状態の写真である。図1(c)は吐出物(泡)が破泡し、不揮発性成分が吐出面に残存した状態の写真である。
【図2】本発明における実施態様の一例として、凍結性の吐出物の状態変化による変色を示す写真である。図2(a)は内容物の写真である。図2(b)は吐出後に凍結した吐出物の状態の写真である。図2(c)は吐出物が融解し、不揮発性成分が吐出面に残存した状態の写真である。
【図3】色相環の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の吐出製品は、顔料および/または色素ならびに液化ガスを含有する内容物を有し、吐出物が状態変化により変色する吐出物であることを特徴とする。
【0017】
本発明の吐出製品によれば、前記内容物を吐出することで、吐出物の色が吐出物の状態変化により変化する吐出製品とすることができる。この吐出物の色は内容物に含有する顔料または色素に由来する色と吐出物の状態とが組み合わさったものであり、顔料および色素の色を適宜選択することでこれまでにない美観を有する吐出製品とすることができる。なお、本発明において、内容物は耐圧容器内に充填されているものをいい、吐出物は内容物を吐出したものをいう。
【0018】
前記内容物は、顔料および/または色素を含有する原液ならびに液化ガスを含有しており、耐圧容器内では液体、クリーム、ゲルなどの状態である。前記内容物中に顔料が分散および/または色素が溶解しており、内容物の色は顔料の反射光や色素による色である。なお、顔料が平板状(鱗片状)である場合、顔料の平面は内容物中でランダムな方向に向いているため反射光は弱く、他の成分の色を示す。
【0019】
前記内容物を吐出すると、吐出物は内容物から液化ガスが気化して発泡物となったり、冷却されてシャーベット状(凍結物)となり状態が変化する。内容物の色は明度が5〜9であり、彩度が0〜8である場合は、吐出したときの泡になるあるいはシャーベット状になる状態変化により吐出物は白く変化しやすい。特に発泡により内容物の容積が20〜50倍に大きくなる場合や、凍結により内容物中の水が吐出物の表面で凍る場合は白く変化する効果が得られやすい。
【0020】
前記吐出物が発泡物である場合は破泡により液状に状態変化する。このとき白く見えていた吐出物は元の内容物の色に戻る。特に内容物中に平板状の顔料を分散している場合は、顔料が平面状に付着して反射色が見えやすくなり、色が変化する。また、吐出物がシャーベット状である場合は表面の氷が溶けて液状に状態変化する。このとき白く見えていた吐出物は元の内容物の色に戻る。特に内容物中に平板状の顔料を分散している場合は、顔料が平面状に付着して反射色が見えやすくなり、色が変化する。
【0021】
吐出物の状態変化による変色について添付図面を参照し具体的に説明するが、これらに限定されるものではない。
【0022】
図1は発泡性の吐出製品による内容物および吐出物の状態変化による変色を示す写真である。この発泡性の吐出製品の内容物には、緑色の顔料および赤色の色素が含有されているために、図1(a)に示すように内容物では色相2.5R、明度が8、彩度が4のうすい赤色を示し、図1(b)に示すように発泡物の状態では色相1R、明度が9、彩度が1の赤みの白色を示し、さらに図1(c)に示すように破泡し塗布面に付着した状態では、顔料の反射色である色相4G、明度が8、彩度が6の緑色を示す。
【0023】
図2は凍結性の吐出製品による内容物および吐出物の状態変化による変色を示す写真である。この発泡性の吐出製品の内容物には、青色の顔料および黄色の色素が含有されているために、図2(a)に示すように内容物では色相8Y、明度が9、彩度が8のうすい黄色を示し、図2(b)に示すように凍結物の状態では色相3Y、明度が9、彩度が1の黄みの白色を示し、さらに図2(c)に示すように融解し塗布面に付着した状態では、顔料の反射色である色相9B、明度が6、彩度が8の青色を示す。
【0024】
前記内容物は、顔料および/または色素の他にも吐出製品の目的に応じて界面活性剤、有効成分、水溶性高分子、油剤などが溶媒に溶解した原液を含有することができる。
【0025】
前記顔料および色素は内容物および吐出物を着色することで、吐出物の美観を演出することを目的として含有する。
【0026】
前記顔料としては、たとえば、マイカ、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、黄酸化鉄、ベンガラ(赤色顔料)、黒酸化鉄、グンジョウ、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、カオリン、ベントナイト、カーボンブラックなどの無機顔料などが挙げられる。
【0027】
前記顔料の構造としては、単層構造のものや2層以上の構造を有する平板状の顔料が挙げられ、層の膜厚等の調整により干渉色を調整することで、反射光の色を調整することができる点から2層以上の構造を有する多層顔料とすることが好ましい。また、これらの顔料に色素を含有させた色素含有顔料も挙げられ、内容物を着色する効果が得られる点から色素含有顔料を用いることが好ましい。なお、色素含有顔料は色素を含有していない前述の平板状の顔料と共に配合することが好ましい。
【0028】
前記2層以上の構造を有する顔料としては、酸化チタン層を有するマイカ、酸化鉄層を有するマイカ、シリカ層を有するマイカなどの2層構造を有するマイカ、酸化チタン層および酸化鉄層を有するマイカなどの3層構造を有するマイカなどが挙げられ、吐出物の状態変化により色の変化が得られやすい点から、マイカの表面を酸化チタンや酸化鉄などの高屈折率の金属酸化物で被覆した多層顔料を用いることが好ましい。
【0029】
前記顔料の含有量は原液中0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜15質量%であることがより好ましい。顔料の含有量が0.01質量%よりも少ない場合は顔料による色の変化が得られにくくなる傾向があり、20質量%よりも多い場合はバルブや噴射ボタンの孔で詰まりやすく、また均一に分散しにくくなるため均一な組成で吐出しにくくなる傾向がある。また、単層顔料および/または色素含有顔料を用いる場合は含有量を0.01〜0.1質量%にすることで、吐出物の状態変化により変色する効果が得られやすい。
【0030】
前記色素としては、たとえば、アマランス(赤色2号)、エリスロシン(赤色3号)、ニューコクシン(赤色102号)、ローズベンガル(赤色105号)、アシッドレッド(赤色106号)、ローズベンカルK(赤色232号)、ビオラミンR(赤色401号)、レゾルシンブラウン(かっ色201号)、オレンジI(だいだい色402号)、オレンジII(だいだい色205号)、タートラジン(黄色4号)、サンセットイエロー(黄色5号)、ウラニン(黄色202号)、キノリンイエローWS(黄色203号)、ナフト−ルイエローS(黄色403号)、ファストグリーン(緑色3号)、アリザリンシアニングリーンF(緑色201号)、ピラニンコンク(緑色204号)、ナフトールグリーンB(緑色401号)、ブリリアントブルーFCF(青色1号)、インジゴカルミン(青色2号)、パテントブルー(青色203号)、アリズロールパープル(紫色401号)、ナフトールブルーブラック(黒色401号)などが挙げられる。
【0031】
前記色素の含有量は原液中0.0001〜0.5質量%であることが好ましく、0.0005〜0.1質量%であることがより好ましい。色素の含有量が0.0001質量%よりも少ない場合は着色効果が得られにくくなる傾向があり、0.5質量%よりも多い場合は色素による着色が濃くなりすぎ、状態変化しても色が変化しにくくなる傾向がある。特に吐出物の状態変化がシャーベット状である場合、含有量を0.005〜0.05%にすることで凍結時に白く変色する効果が得られやすい。
【0032】
前記顔料および/または色素の色としては、目的などに応じて適宜選択することができるが、たとえば、図1および図2に示すように、内容物が色素の色を示し、吐出物が状態変化した後で塗布面に付着した状態で顔料の色を示す場合などには、それぞれの状態において異なる色を示すことができる点から顔料と色素の色を異なる色とすることが好ましい。さらに、たとえば図1および図2に示す吐出物は内容物が色素の色を主に示し、吐出物が状態変化した後で塗布面に付着した状態では顔料の色を主に示すが、色素の色を顔料の反射光を弱くする色とすることで内容物中での顔料の反射色を抑えることができ、吐出物が状態変化した後では塗布面に付着して顔料が表面に露出し、顔料の反射色を示すことができる。
【0033】
前記色素が顔料の反射光を弱くする色としては、図3に示すような色相環において一方の色を0度とした場合に、他方の色を90〜270度の位置にある色とすることが好ましく、135〜225度の位置にある色とすることがより好ましく、180度の位置にある色(補色)とすることがさらに好ましい。なお、顔料として色素含有顔料を用いる場合、この顔料が含有する色素の色としては、前記の色素と同様に、色素を含有していない平板状の顔料の反射光の色を0度とした場合に、90〜270度の位置にある色とすることが好ましい。
【0034】
前記界面活性剤は、内容物中では液化ガスを原液に乳化させておき、吐出したときに内容物を発泡させる、あるいはシャーベット状に状態を変化させるなどの目的で用いることができ、たとえば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエートなどのソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビットテトラオレエートなどのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;デカグリセリルモノラウレート、デカグリセリルモノオレエート、ジグリセリルモノオレエート、ヘキサグリセリルモノラウレート、ヘキサグリセリルモノミリステートなどのポリグリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリルモノオレエートなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンモノラウレートなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンセチルエーテルなどのポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどの非イオン性界面活性剤;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体などのシリコーン系界面活性剤などが挙げられる。
【0035】
前記界面活性剤の含有量は、原液中0.1〜10質量%であることが好ましく、さらには0.5〜8質量%であることが好ましい。前記界面活性剤の含有量が0.1質量%よりも少ない場合は液化ガスによる状態変化が得られにくく、吐出物の色の変化が得られにくくなる傾向があり、10質量%よりも多い場合は塗布面で残留しやすくなり、使用感が悪くなりやすい傾向がある。
【0036】
前記有効成分は塗布面やその近辺で効果を発揮するものであり、たとえば、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマーなどのアニオン性樹脂、ビニルピロリドン/N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、塩化メチルビニルイミダゾリウム/ビニルピロリドン共重合体、メチルビニルイミダゾリウム/ビニルピロリドン共重合体メチル硫酸塩などのカチオン性樹脂、(アクリル酸オクチルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマーなどのアクリル酸系両性樹脂、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル/ビニルピロリドン共重合体、ポリビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン/メタクリルアミド/N−ビニルイミダゾール共重合体、(ジアセトンアクリルアミド/炭素数4〜18の脂肪族アルコールとアクリル酸もしくはメタクリル酸とのエステル/少なくとも1種のアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸/少なくとも1種の炭素数1〜3のアクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル)コポリマー、(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマーなどのノニオン性樹脂
などのスタイリング剤;パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、オキシベンゾンなどの紫外線吸収剤;酸化亜鉛、酸化チタンなどの紫外線散乱剤;レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、dl−α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロールおよびこれらの混合物などのビタミン類;アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤;シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの抽出液;天然香料、合成香料などの各種香料;パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジンなどの殺菌・消毒剤;l−メントール、カンフルなどの清涼剤;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、コラーゲン、キシリトール、ソルビトール、ヒアルロン酸、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、レシチン、尿素などの保湿剤;などの1種または2種以上を用いることができる。特に前記スタイリング剤は顔料を頭髪などの塗布面に付着させることができ、顔料の反射光が得られやすい。
【0037】
前記有効成分を含有する場合の含有量は、原液中0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%であることがより好ましい。前記有効成分の含有量が0.1質量%よりも少ない場合は効果が充分に得られ難く、20質量%よりも多い場合は有効成分濃度が高くなりすぎ、有効成分によっては人体へ悪影響を及ぼす場合がある。
【0038】
前記水溶性高分子は原液の粘度を調製し、顔料の分散性を調整するなどの目的で用いることができ、たとえば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース類、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、グアガムなどのガム類、デキストリン、ペクチン、デンプン、ゼラチン、ゼラチン加水分解物、アルギン酸ナトリウム、変性ポテトスターチ、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス−20)コポリマー、(アクリレーツ/イタコン酸セテス−20)コポリマーなどのアクリル酸エステルなどがあげられる。
【0039】
前記水溶性高分子を含有する場合の含有量は、原液中0.01〜5質量%であることが好ましく、さらには0.05〜3質量%であることが好ましい。前記水溶性高分子の含有量が0.01質量%よりも少ない場合は原液の粘度を調整する効果が得られにくくなる傾向があり、5質量%よりも多い場合は原液の粘度が高くなりすぎ、状態変化しにくくなる傾向がある。
【0040】
なお、カルボキシビニルポリマー、(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス−20)コポリマー、(アクリレーツ/イタコン酸セテス−20)コポリマーなどの会合型高分子を用いる場合は水相のpHを調整するpH調整剤を用いることが好ましい。前記pH調整剤としては、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1、3−プロパンジオールなどの有機アルカリ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどの無機アルカリなどの水溶液があげられる。
【0041】
前記油剤は使用感を向上させるなどの目的で用いることができ、たとえば、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、イソパラフィンなどの炭化水素油;アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、乳酸セチル、ステアリン酸イソセチル、セトステアリルアルコール、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸ジエトキシエチル、リンゴ酸ジイソステアリルなどのエステル油;メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、イソステアリン酸などの脂肪酸;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコールなどの高級アルコール;アボガド油、マカダミアナッツ油、シア脂、オリーブ油、ツバキ油などの油脂;ミツロウ、ラノリンロウなどのロウ類などが挙げられる。
【0042】
前記油剤を含有する場合の含有量は、原液中0.1〜10質量%であることが好ましく、さらには0.5〜8質量%であることが好ましい。前記油剤の含有量が0.1質量%よりも少ない場合は油剤の配合効果が得られにくくなる傾向があり、10質量%よりも多い場合は発泡しにくくなる、凍結しにくくなるなど、状態変化しにくくなる傾向がある。
【0043】
前記溶媒は内容物が発泡したときの液膜、凍結するときの凍結体を構成し、たとえば、水やアルコール類およびこれらの混合物などがあげられる。前記水としては、精製水、イオン交換水、生理食塩水などがあげられる。また、前記アルコール類としては、エタノール、イソプロパノールなどの1価の低級アルコールや、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコールなどがあげられる。
【0044】
前記溶媒の含有量は、原液中60〜99質量%であることが好ましく、さらには70〜98質量%であることが好ましい。前記溶媒の含有量が60質量%よりも少ない場合は状態変化しにくくなる傾向があり、99質量%よりも多い場合は顔料や色素、界面活性剤などの状態変化と色の変化に関与する成分を必要量配合できなくなる傾向がある。
【0045】
前記原液は、色素や界面活性剤、有効成分などを溶媒に溶解させ、顔料を分散させることにより調製することができる。
【0046】
前記液化ガスは、耐圧容器内では蒸気圧を有する液体であり、噴射剤として作用し、さらに大気圧下に吐出されると気化して内容物を発泡させる効果、または、気化熱により内容物を凍結させる効果を有することから、吐出時の状態変化を促すことができ、さらに、発泡または凍結後は揮発することで吐出物を状態変化させ、塗布面に付着させることができる。
【0047】
発泡性の吐出物とする場合の前記液化ガスの含有量は、内容物中3〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましい。液化ガスの含有量が3質量%よりも少ない場合は発泡量が少なく、内容物を白く変色させる効果が得られにくくなる傾向があり、50質量%よりも多い場合は泡が粗くなり、内容物を白く変色させる効果が得られにくくなる傾向がある。
【0048】
凍結する吐出物とする場合の前記液化ガスの含有量は、内容物中50〜95質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましい。液化ガスの含有量が50質量%よりも少ない場合は内容物が凍結せず状態変化しにくくなる傾向があり、95質量%よりも多い場合は凍結する原液が少なくなり、色の変化がわかりにくくなる傾向がある。
【0049】
前記液化ガスとしては、たとえば、ブタン、プロパン、およびこれらの混合物などの液化石油ガス、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン、トランス−2,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エンなどのハイドロフルオロオレフィン、1,1−ジフルオロエタン、ジメチルエーテル、およびこれらの混合物などが挙げられる。特に吐出物がシャーベット状である場合は、液化ガス中にジメチルエーテルを含有することで吐出物が凍って白くなる時間が調整できる。
【0050】
本発明の吐出製品は、前記原液を耐圧容器に充填し、耐圧容器にバルブを取り付けて密封し、液化ガスを充填することにより製造することができる。
【0051】
前記耐圧容器としては、内容物の色を目視で確認できる点から、ポリエチレンテレフタレートなどの透明〜半透明の合成樹脂製容器やガラス製容器を用いることが好ましい。
【0052】
本発明の吐出製品は、吐出物が状態変化して色が変化する、さらには内容物が吐出時の状態変化により色が変化する効果が得られるため、内容物や吐出物の見た目と仕上がり(塗布面での色)が大きく違うため、消費者を驚かせ強い印象を与えることができる。このため、スタイリング剤、トリートメント剤、カラーリング剤などの頭髪用吐出製品などとして好適である。また、凍結する吐出物とする場合はハンカチやティッシュペーパーに吐出すると周囲の水分と共に凍結して白くなるため使用するタイミングが分かりやすく、日焼け止め、ほてり止めや冷却剤などの皮膚用吐出製品などとしても好適である。
【0053】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0054】
評価方法を下記に示す。
【0055】
(色の変化)
内容物の状態、吐出物(発泡物または凍結物)の状態、ならびに吐出物が状態変化(破泡または融解)し塗布面に付着した状態における色を目視により評価した。なお、色は、JIS Z8102付図における「色の三属性による表示と系統色名の関係」に準じて表現した「系統色名」、ならびに、JIS Z8721の「三属性による色の表示方法」における色相(図3の色相環参照)、明度および彩度の表示方法に準じて表現した「色相、明度、彩度」を示す。
【実施例】
【0056】
実施例1〜12、比較例1および2(発泡性エアゾール製品)
表1に示す原液45g(90質量%)をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填し、耐圧容器にエアゾールバルブを固着した後、液化ガスとして液化石油ガス(0.4MPa(25℃))5g(10質量%)を充填し、エアゾール製品を製造した。得られたエアゾール製品について色の変化の評価を行った。実施例1〜12の評価結果を表3に、比較例1および2の評価結果を表4に示す。また、実施例8の結果を図1として示す。
【0057】
【表1】

*1:SH3771(商品名)、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製
*2:カーボポール940(商品名)、NOVEON社製
*3:トリエタノールアミン−S(商品名)、大倉ケミテック株式会社製
*4:Flamenco Summit Red R30D(商品名)、BASFジャパン株式会社製
*5:Flamenco Summit TURQUOIS(商品名)、BASFジャパン株式会社製
*6:Flamenco WINTER SPARKLE(商品名)、BASFジャパン株式会社製
*7:Flamenco Summit Blue B30D(商品名)、BASFジャパン株式会社製
*8:MICA BLACK(商品名)、メルクジャパン株式会社製
*9:黄色4号(商品名)、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製
*10:赤色102号(商品名)、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製
*11:青色1号(商品名)、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製
【0058】
実施例13〜15(発泡性エアゾール製品)
表2に示す原液31.5g(70質量%)をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填し、耐圧容器にエアゾールバルブを固着した後、液化ガスとして液化石油ガス(0.4MPa(25℃))13.5g(30質量%)を充填し、エアゾール製品を製造した。得られたエアゾール製品について色の変化の評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0059】
【表2】

*12:CALORONA Light Blue(商品名)、メルクジャパン株式会社製
*13:Flamenco Summit GOLD(商品名)、BASFジャパン株式会社製
*14:DESERT REFLECTIONS CANYON SUNSET(商品名)、BASFジャパン株式会社製
*15:CALORONA Carmine Red(商品名)、メルクジャパン株式会社製
*16:Flamenco Summit Green(商品名)、BASFジャパン株式会社製
【0060】
【表3】

【0061】
【表4】

【0062】
実施例16〜19(凍結性エアゾール製品)
表5に示す原液10g(25質量%)をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填し、耐圧容器にエアゾールバルブを固着した後、液化ガスとして液化石油ガス(0.2MPa(25℃))30g(75質量%)を充填し、エアゾール製品を製造した。得られたエアゾール製品について色の変化の評価を行った。評価結果を表7に示す。また、実施例19の結果を図2として示す。
【0063】
【表5】

*17:PBC−44(商品名)、日光ケミカルズ株式会社製
*18:クラウンタルクPP(商品名)、松村産業株式会社製
【0064】
実施例20および21(凍結性エアゾール製品)
表6に示す原液6g(15質量%)をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填し、耐圧容器にエアゾールバルブを固着した後、液化ガスとして液化石油ガスとジメチルエーテルの混合液化ガス(液化石油ガス/ジメチルエーテル=70/30、0.4MPa(25℃))を34g(85質量%)充填し、エアゾール製品を製造した。得られたエアゾール製品について色の変化の評価を行った。評価結果を表7に示す。
【0065】
なお、実施例20および21では噴射直後に形成されたシャーベットの色が内容物の色と同等であった。その後徐々に液化ガスが気化することによりシャーベットが白くなった。
【0066】
【表6】

*19:HEC−SE850(商品名)、ダイセル工業株式会社製
【0067】
【表7】

【0068】
処方例1(ヘアフォーム)
以下の原液35g(70質量%)をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填し、耐圧容器にエアゾールバルブを固着し液化ガスとして液化石油ガス(0.40MPa(25℃))を15g(30質量%)充填した。さらに、前記エアゾールバルブに噴射部材を取り付けエアゾール製品を製造した。得られたエアゾール製品について色の変化の評価を行った。評価結果を表8に示す。
【0069】
(原液)
精製水 27.23
95%エタノール 31.00
ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体(*1) 1.00
カルボキシビニルポリマー(0.5%aq)(*2) 32.60
トリエタノールアミン(2%aq)(*3) 5.20
(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)
コポリマーAMP(*20) 2.10
色素含有多層構造マイカ(色素:赤色)(*12) 0.07
多層構造マイカ(反射光:金色)(*13) 0.80
合計 100.00(質量%)
*20:プラスサイズ L−53P(商品名)互応化学工業株式会社製
【0070】
処方例2(UVカットフォーム)
以下の原液40g(80質量%)をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填し、耐圧容器にエアゾールバルブを固着し液化ガスとして液化石油ガス(0.5MPa(25℃))を10g(20質量%)充填した。さらに、前記エアゾールバルブに噴射部材を取り付けエアゾール製品を製造した。得られたエアゾール製品について色の変化の評価を行った。評価結果を表8に示す。
【0071】
(原液)
精製水 25.33
95%エタノール 30.00
ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体(*1) 1.00
カルボキシビニルポリマー(0.5%aq)(*2) 32.60
トリエタノールアミン(2%aq)(*3) 5.20
パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(*21) 5.00
色素含有多層構造マイカ(色素:橙色)(*14) 0.07
多層構造マイカ(反射光:青色)(*13) 0.80
合計 100.00(質量%)
*21:Uvinul MC80N(商品名)BASFジャパン株式会社製
【0072】
処方例3(アイスファンデーションスプレー)
以下の原液10g(25質量%)をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填し、耐圧容器にエアゾールバルブを固着し液化ガスとして液化石油ガス(0.2MPa(25℃))を30g(75質量%)充填した。さらに、前記エアゾールバルブに噴射部材を取り付けエアゾール製品を製造した。得られたエアゾール製品について色の変化の評価を行った。評価結果を表8に示す。
【0073】
(原液)
精製水 95.89
95%エタノール 1.00
ポリオキシエチレンポリオキシ
プロピレンアルキルエーテル(*12) 1.00
タルク(*18) 0.10
多層構造マイカ(反射光:青色)(*7) 2.00
色素(黄色)(*9) 0.01
合計 100.00(質量%)
【0074】
【表8】

【符号の説明】
【0075】
1 うすい赤色
2 赤みの白色
3 緑色
4 うすい黄色
5 黄みの白色
6 青色

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料および/または色素ならびに液化ガスを含有する内容物を有し、吐出物が状態変化により変色する吐出製品。
【請求項2】
内容物を吐出したときの状態変化により内容物が変色する請求項1記載の吐出製品。
【請求項3】
前記状態変化が吐出物の発泡および破泡である請求項1記載の吐出製品。
【請求項4】
前記状態変化が吐出物の凍結および融解である請求項1記載の吐出製品。
【請求項5】
前記内容物が顔料を含有し、
前記顔料が2層以上の構造を有する多層顔料である請求項1記載の吐出製品。
【請求項6】
前記内容物が顔料および色素を含有し、
前記色素が顔料とは異なる色を示す色素である請求項1記載の吐出製品。
【請求項7】
前記内容物が顔料および色素を含有し、
前記顔料が2層以上からなる多層顔料であり、
前記色素の色が、色相環において多層顔料の反射光の色を0度とした場合に90〜270度の位置にある色である請求項1記載の吐出製品。
【請求項8】
前記多層顔料が低屈折率層と高屈折率層からなる請求項5または7記載の吐出製品。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−236775(P2012−236775A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104658(P2011−104658)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】