説明

吐出量制御方法、吐出圧制御方法、注入装置、微小体の製造方法、吐出量制御装置および吐出量制御プログラム

【課題】マイクロインジェクション装置の、吐出量を精度よく安定して制御する方法の提供。
【解決手段】バルブa4とバルブb7とが閉鎖された状態からバルブb7が開放される事で、インジェクション圧生成圧力と維持圧とが混合してインジェクション圧が生成され、当該インジェクション圧によってキャピラリ9から吐出対象の吐出が開始される。その後、レギュレータ3の出力圧力をインジェクション圧に設定した上でバルブa4を開放する事で、インジェクション圧をキャピラリ9に加え、バルブa4とバルブb7とが閉鎖された状態からバルブb7が開放され、維持圧生成圧力とインジェクション圧とが混合して維持圧が生成されて、当該維持圧によって吐出対象の吐出が終了される。その後、レギュレータ3の出力圧力を維持圧に設定した上でバルブa4を開放する事で、維持圧をキャピラリ9に加えて、吐出量を制御する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、吐出量制御方法、吐出圧制御方法、注入装置、微小体の製造方法、吐出量制御装置および吐出量制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、再生医療および新薬開発などの分野において、所定の物質(DNAや薬剤など)を顕微鏡下で細胞に導入するマイクロインジェクション法が知られている。マイクロインジェクション法は、予め所定の物質を含む溶液が充填されたキャピラリを加圧することにより、キャピラリが穿刺された細胞内に当該溶液を吐出させ、当該所定の物質を細胞に導入する方法である。これにより、例えば、導入した物質が細胞に及ぼす影響を調べることが可能となる。従って、マイクロインジェクション法において定量的に溶液を細胞に吐出させることは大変重要であり、吐出量を簡便に精度よく、また再現性よく調整する液体吐出量制御方法の開発が行なわれている。
【0003】
例えば、特許文献1では、雄ねじを回転させることによりプランジャを移動させ、これによりキャピラリに圧力を加えて液体を吐出させるマイクロインジェクション装置が開示されている。具体的には、マイクロインジェクション装置が備える制御ボックスに設置されたボタンがオペレータにより押されることで電気信号が発生し、発生した電気信号が圧電素子に作用して雄ねじを回転させる駆動力を生じさせ、その結果、プランジャが移動してキャピラリに充填された液体を吐出させるものである。これにより、マイクロインジェクション装置のオペレータは、ボタンを操作するだけで細胞に穿刺したキャピラリから液体を簡便に吐出することができる。
【0004】
【特許文献1】特開平3−119989号公報(段落0010〜0014、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した従来の技術は、プランジャをボタン操作により移動させ、液体を簡便に吐出させるが、吐出量の調整に関しては、マイクロインジェクション装置のオペレータが、キャピラリが穿刺された細胞を顕微鏡により観察し、細胞が膨張する加減により吐出量を推定して、所定の液体量が吐出されたか否かを判断するので、依然として液体の吐出量に定量性はないという問題点があった。
【0006】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、液体吐出量を精度よく安定して制御することが可能になる吐出量制御方法、吐出圧制御方法、注入装置、微小体の製造方法、吐出量制御装置および吐出量制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に係る発明は、圧力を調整して出力するレギュレータと内部に吐出対象を充填したキャピラリとが管によって接続され、前記管における前記レギュレータ側から前記キャピラリの方向に第一のバルブと第二のバルブとが設置されたマイクロインジェクション装置を制御して、前記キャピラリからの吐出量を制御する吐出量制御方法であって、前記第一のバルブと前記第二のバルブとが閉鎖された状態から当該第二のバルブが開放されることで、前記キャピラリから前記溶液を微小体内に吐出させる圧力であるインジェクション圧を生成するために必要な圧力として前記第一のバルブと前記第二のバルブとの間に貯留されていたインジェクション圧生成圧力と、前記キャピラリへの前記吐出対象の逆流を防止する圧力として前記キャピラリに加えられていた維持圧とが混合して前記インジェクション圧が生成されて、当該インジェクション圧によって前記キャピラリから前記吐出対象の吐出が開始された後に、前記レギュレータの出力圧力を前記インジェクション圧に設定したうえで前記第一のバルブを開放することで、前記インジェクション圧を前記キャピラリに加えるインジェクション圧調整工程と、前記第一のバルブと前記第二のバルブとが閉鎖された状態から当該第二のバルブが開放されることで、前記維持圧を生成するために必要な圧力として前記第一のバルブと前記第二のバルブとの間に貯留されていた維持圧生成圧力と、前記キャピラリに加えられていた前記インジェクション圧とが混合して前記維持圧が生成されて、当該維持圧によって前記吐出対象の吐出が終了された後に、前記レギュレータの出力圧力を前記維持圧に設定したうえで前記第一のバルブを開放することで、前記維持圧を前記キャピラリに加える維持圧調整工程と、を含んだことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、上記の発明において、前記マイクロインジェクション装置が、前記第一のバルブと前記第二のバルブとの間を接続する管の内部圧力を検知する第一の圧力センサと、前記第二のバルブと前記キャピラリとの間を接続する管の内部圧力を前記キャピラリに加えられるキャピラリ側圧力として検知する第二の圧力センサとをさらに備えるものであって、前記インジェクション圧生成圧力として前記レギュレータが出力した実測値を前記第一の圧力センサにより検知し、前記維持圧として前記キャピラリに加えられている圧力の実測値を前記第二の圧力センサにより検知し、前記第二のバルブを開放して生成された混合圧力の値を前記第二の圧力センサにより検知して、これらの値から補正した体積比を用いて前記インジェクション圧生成圧力を補正する補正インジェクション圧生成圧力算出工程と、前記維持圧生成圧力として前記レギュレータが出力した圧力の実測値を前記第一の圧力センサにより取得し、前記インジェクション圧として前記キャピラリに加えられている圧力の実測値を前記第二の圧力センサにより検知し、生成された混合圧力の値を前記第二の圧力センサにより検知して、これらの値から補正した体積比を用いて前記維持圧生成圧力を補正する補正維持圧算出工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、上記の発明において、前記補正インジェクション圧生成圧力算出工程は、前記維持圧として前記キャピラリに加えられている圧力の実測値として前記第二のバルブが閉鎖される直前に前記第一の圧力センサが検知した値を採用し、前記第二のバルブを開放して生成された混合圧力の値として前記第一の圧力センサが検知した値を採用して前記インジェクション圧生成圧力を補正し、前記補正維持圧生成圧力算出工程は、前記インジェクション圧として前記キャピラリに加えられている圧力の実測値として前記第二のバルブが閉鎖される直前に前記第一の圧力センサが検知した値を採用し、前記第二のバルブを開放して生成された混合圧力の値として前記第一の圧力センサが検知した値を採用して前記維持圧生成圧力を補正することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、上記の発明において、前記第一のバルブと前記第二のバルブとを開放して前記レギュレータが生成した前記維持圧を前記キャピラリに加えた状態で、前記第一のバルブを閉鎖して前記第一の圧力センサにより所定時間における前記維持圧の変動を測定して圧力のリークを検知するリーク検知工程をさらに含むことを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に係る発明は、上記の発明において、前記マイクロインジェクション装置を構成する前記管は、体積変化がない素材で形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に係る発明は、上記の発明において、圧力を調整して出力するレギュレータと内部に液体を充填したキャピラリとが管によって接続され、前記管における前記レギュレータ側から前記キャピラリの方向に第一のバルブと第二のバルブとが設置されたマイクロインジェクション装置を制御して、前記キャピラリからの液体吐出量を制御する液体吐出量制御装置であって、前記第一のバルブと前記第二のバルブとが閉鎖された状態から当該第二のバルブが開放されることで、前記キャピラリから前記溶液を細胞内に吐出させる圧力であるインジェクション圧を生成するために必要な圧力として前記第一のバルブと前記第二のバルブとの間に貯留されていたインジェクション圧生成圧力と、前記キャピラリへの前記液体の逆流を防止する圧力として前記キャピラリに加えられていた維持圧とが混合して前記インジェクション圧が生成されて、当該インジェクション圧によって前記キャピラリから前記液体の吐出が開始された後に、前記レギュレータの出力圧力を前記インジェクション圧に設定したうえで前記第一のバルブを開放することで、前記インジェクション圧を前記キャピラリに加えるインジェクション圧調整手段と、前記第一のバルブと前記第二のバルブとが閉鎖された状態から当該第二のバルブが開放されることで、前記維持圧を生成するために必要な圧力として前記第一のバルブと前記第二のバルブとの間に貯留されていた維持圧生成圧力と、前記キャピラリに加えられていた前記インジェクション圧とが混合して前記維持圧が生成されて、当該維持圧によって前記液体の吐出が終了された後に、前記レギュレータの出力圧力を前記維持圧に設定したうえで前記第一のバルブを開放することで、前記維持圧を前記キャピラリに加える維持圧調整手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に係る発明は、上記の発明において、圧力を調整して出力するレギュレータと内部に液体を充填したキャピラリとが管によって接続され、前記管における前記レギュレータ側から前記キャピラリの方向に第一のバルブと第二のバルブとが設置されたマイクロインジェクション装置を制御して、前記キャピラリからの液体吐出量を制御する液体吐出量制御方法をコンピュータに実行させる液体吐出量制御プログラムであって、前記第一のバルブと前記第二のバルブとが閉鎖された状態から当該第二のバルブが開放されることで、前記キャピラリから前記溶液を細胞内に吐出させる圧力であるインジェクション圧を生成するために必要な圧力として前記第一のバルブと前記第二のバルブとの間に貯留されていたインジェクション圧生成圧力と、前記キャピラリへの前記液体の逆流を防止する圧力として前記キャピラリに加えられていた維持圧とが混合して前記インジェクション圧が生成されて、当該インジェクション圧によって前記キャピラリから前記液体の吐出が開始された後に、前記レギュレータの出力圧力を前記インジェクション圧に設定したうえで前記第一のバルブを開放することで、前記インジェクション圧を前記キャピラリに加えるインジェクション圧調整手順と、前記第一のバルブと前記第二のバルブとが閉鎖された状態から当該第二のバルブが開放されることで、前記維持圧を生成するために必要な圧力として前記第一のバルブと前記第二のバルブとの間に貯留されていた維持圧生成圧力と、前記キャピラリに加えられていた前記インジェクション圧とが混合して前記維持圧が生成されて、当該維持圧によって前記液体の吐出が終了された後に、前記レギュレータの出力圧力を前記維持圧に設定したうえで前記第一のバルブを開放することで、前記維持圧を前記キャピラリに加える維持圧調整手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、例えば、混合して生成されたインジェクション圧や維持圧に誤差が生じていた場合でも、インジェクション圧や維持圧を改めてキャピラリに加えることで誤差が吸収でき、液体の吐出量をより精度よく安定して制御することが可能になる。
【0015】
また、本発明によれば、インジェクションの設定条件ごとに実測された圧力値から改めてインジェクション圧もしくは維持圧を生成するためにレギュレータが出力すべき圧力を再計算でき、いかなる設定条件においても液体の吐出量を安定させることが可能になる。
【0016】
また、本発明によれば、キャピラリに出力された圧力を検知する圧力センサを別途設置することなく当該圧力を検知することができ、設備投資のコストを低く抑えることが可能になる。
【0017】
また、本発明によれば、インジェクションの操作前の準備段階でキャピラリの接続不良や管の劣化による空気漏れを検知することができ、空気漏れによる液体吐出量が不安定な状態でのインジェクション操作を回避することが可能になる。
【0018】
また、本発明によれば、レギュレート室、バルブおよびキャピラリなどを接続する管の体積変動を抑止しすることができ、液体の吐出量を安定させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る液体吐出方法の実施例を詳細に説明する。なお、以下では、この発明に係る液体吐出量制御方法を含んで構成される液体吐出量制御装置を実施例として説明する。また、以下では、実施例1における液体吐出量制御装置の構成および処理の手順、実施例1の効果を順に説明し、次に実施例1と同様に、実施例2に係る液体吐出量制御装置、実施例3に係る液体吐出量制御装置、実施例4に係る液体吐出量制御装置について順に説明する。
【実施例1】
【0020】
[用語の説明]
まず最初に、マイクロインジェクション装置の一例を説明する。本願の出願人の発明である「細胞内への液体吐出方法及びマイクロインジェクション装置」(特願2006−133512号)に開示したように、溶液を細胞内に吐出させるための圧力(以下、インジェクション圧と記述する)と、キャピラリへの溶液の逆流を防止するための圧力(以下、維持圧と記述する)との2つの圧力を順次切り替えて制御することで吐出量を調整する液体吐出量制御方法も考えられる。ここで、「溶液」とは、特許請求の範囲に記載の「吐出対象」に対応し、「細胞」とは、特許請求の範囲に記載の「微小体」に対応する。
【0021】
具体的には、キャピラリに維持圧が加えられている状態から、インジェクション圧を速やかに生成してキャピラリからの液体吐出を開始させ、さらに所定の時間が経過した時点で速やかに維持圧にまで減圧してキャピラリからの液体吐出を終了させることでキャピラリから細胞内への液体吐出量を定量的に制御する液体吐出量制御方法を開示している。ここで、この液体吐出量制御方法について簡単に説明する。図11は、先行発明の実施例におけるマイクロインジェクション装置の概略構成図を説明するための図である。図11の(A)に示すように、このマイクロインジェクション装置100は、正圧ポンプ1および負圧ポンプ2に接続され、これらのポンプにより生成される圧力を一定に維持するレギュレータ3と、レギュレータ3により維持された圧力を貯留するレギュレート室5と、溶液を充填したキャピラリ9と、レギュレータ3およびレギュレート室5の間に設置されるバルブa4と、レギュレート室5およびキャピラリ9の間に設置されるバルブb7と、レギュレート室5の圧力を検知する圧力センサa6と、キャピラリに印加される圧力を検知する圧力センサb8とから構成され、レギュレータ3、バルブa4、レギュレート室5、圧力センサa6、バルブb7、圧力センサb8およびキャピラリ9は、管10(太黒線で示す)により接続される。そして、この液体吐出量制御方法を含んで構成される液体吐出量制御装置20は、このマイクロインジェクション装置100の動作を制御する。ここで、バルブa4およびバルブb7は、例えば電磁ソレノイドを用いたものが使用され、液体吐出量制御装置20は、電気信号を発生させることでバルブa4およびバルブb7の開閉動作をそれぞれ制御する。
【0022】
なお、実際には、マイクロインジェクション装置100は、レギュレート室5を設置せずに、図11の(B)に示すように、管10のうち、同図に示す点線で囲われた領域の部分(バルブa4、圧力センサa6およびバルブb7を接続している管10の一部分)をレギュレート室5としている。以下、レギュレート室5として記述する場合は、図11の(B)に示す点線で囲われた領域の部分を示す。
【0023】
続いて、図12−1と図12−2とを用いてこの液体吐出量制御方法について説明する。図12−1と図12−2とは、先行発明の実施例における液体吐出量制御装置の概要および特徴を説明するための図である。
【0024】
まず、図12−1を用いてキャピラリ9にインジェクション圧Piを印加させるまでの段階について説明する。液体吐出量制御装置20は、正圧ポンプ1と負圧ポンプ2とを使ってレギュレータ3に維持圧Pcを生成させ、さらに液体吐出量制御装置20は、バルブa4およびバルブb7を開放する(図12−1の(1)を参照)。この段階の後、オペレータは、溶液が充填されたキャピラリ9を管10に接続する。これによりキャピラリ9に充填された液体は逆流することなく、キャピラリ9に維持される。なお、顕微鏡下でオペレータが細胞にキャピラリ9を穿刺して液体を吐出する(インジェクション)状況が整うまでは、この図12−1の(1)の状態で保持する。
【0025】
続いて、オペレータがキャピラリ9を細胞に穿刺してインジェクションを開始できる状況が整うと、オペレータのインジェクション開始要求に基づき液体吐出量制御装置20は、図12−1の(2)に示すように、バルブb7を閉鎖してキャピラリ9に維持圧Pcが印加されている状態を保持し、正圧ポンプ1と負圧ポンプ2とを使ってレギュレータ3にインジェクション圧Piを発生させるために必要な圧力であるインジェクション圧生成圧力Ph(後述)を生成させる(図12−1の(3)を参照)。
【0026】
そして、図12−1の(4)に示すように、液体吐出量制御装置20は、バルブa4を閉鎖してレギュレート室5を圧力Phに保持した状態にしたうえで、バルブb7を開放する。この結果、インジェクション圧生成圧力Phと維持圧Pcとが混合されることでインジェクション圧Piが生成され、キャピラリ9にインジェクション圧Piが加わることで液体が吐出される(図12−1の(5)を参照)。このように、バルブa4とバルブb7とを瞬時に開閉することで、キャピラリに印加される圧力は維持圧Pcからインジェクション圧Piに速やかに移行できる。
【0027】
続いて、図12−2を用いてインジェクション圧Piから維持圧Pcに減圧してキャピラリからの液体の吐出を終了するまでの段階について説明する。図12−2の(6)に示すように、液体吐出量制御装置20は、バルブb7を閉鎖して、キャピラリ9にインジェクション圧Piが印加されている状態を保持しておき、バルブa4を開放する(図12−2の(7)を参照)。さらに、液体吐出量制御装置20は、正圧ポンプ1と負圧ポンプ2とを使ってレギュレータ3に、維持圧Pcを発生させるために必要な維持圧生成圧力PL(後述)を生成させる(図12−2の(8)を参照)。
【0028】
そして、図12−2の(9)に示すように、液体吐出量制御装置20は、バルブa4を閉鎖してレギュレート室5を維持圧生成圧力PLに保持しておき、バルブb7を開放する(図12−2の(10)を参照)。この結果、維持圧生成圧力PLとインジェクション圧Piとが混合されることで維持圧Pcが生成され、キャピラリ9からの液体吐出が終了する。このように、バルブa4とバルブb7とを瞬時に開閉することで、キャピラリに印加される圧力はインジェクション圧から維持圧に速やかに移行するので、インジェクション圧を矩形波状としてキャピラリ9に印加することができる。従って、インジェクション圧とインジェクション圧の印加時間(上述した図12−1の(5)から図12−2の(10)までに要する時間)とを調整することで、液体の吐出量を精度よく制御することが可能となる。
【0029】
さらに、引き続き、連続して別の細胞に液体を吐出するには、液体吐出量制御装置20は、レギュレータ3に維持圧Pcを生成させ、さらに、バルブa4を開放することで、図12−2の(10)から図12−1の(1)と同じ状態に移行させ、以下同様の段階からなる動作制御を行なえばよい。このように、インジェクションを連続して行なう場合でも、速やかに維持圧Pcに減圧した状態で異なる細胞にキャピラリ9を穿刺し、インジェクションの段階に移行できるので、次のサイクルにおいても液体の吐出量を精度よく制御することが可能となる。
【0030】
ここで、上記したインジェクション圧Piを生成するためのインジェクション圧生成圧力Phと、維持圧Pcを生成するための維持圧生成圧力PLとについて説明する。バルブb7開放前の圧力と、バルブb7開放後の圧力との関係は、気体状態方程式により求めることができる。図11の(B)に示すように、キャピラリ9側の気体の体積をV1、バルブb7開放前のキャピラリ9側の圧力をP1、レギュレート室5の気体の体積をV2、バルブb7開放前のレギュレート室5の圧力をP2とする。この場合、バルブb7開放後の圧力をPと、体積比η(イータ=V2/V1)との関係は、それぞれ図13に示す(1)式と(2)式で表される。従って、バルブb7開放後に圧力Pを生成するためにバルブb7開放前にレギュレート室5に貯留させておかなければならない圧力P2は、図13に示す(3)式で表すことができる。
【0031】
一方、バルブb7開放前のキャピラリ9側の圧力P1は、圧力センサb7により求めることができ、バルブb7開放前のレギュレート室5の圧力P2は、圧力センサa6により求めることができ、また、バルブb7開放後の圧力Pは、圧力センサb7および圧力センサa6から求めることができる。従って、予備的に液体吐出を行なうことで、各圧力値を求めておき、図13に示す(2)式から予め体積比ηを求めることができる。
【0032】
このようにして求めた体積比ηと図13に示す(3)式とを用い、インジェクション圧生成圧力Phもしくは維持圧生成圧力PLを算出する。インジェクション圧生成圧力Phは、バルブb7開放後の圧力Pとしてインジェクション圧Piを図13に示す(3)式に代入し、さらに、バルブb7開放前のキャピラリ9側の圧力P1として維持圧Pcを図13に示す(3)式に代入することで算出される。また、維持圧生成圧力PLは、バルブb7開放後の圧力Pとして維持圧Pcを図3に示す(3)式に代入し、さらに、バルブb7開放前のキャピラリ9側の圧力P1としてインジェクション圧Piを図13に示す(3)式に代入することで算出される。液体吐出量制御装置20は、レギュレータ3によって、このようにして算出したインジェクション圧生成圧力Phを図12−1の(3)の段階で生成させ、また、維持圧生成圧力PLを図12−2の(8)の段階で生成させる。
【0033】
しかしながら、上記した手法では、管10の素材の柔軟性や、圧力値、印加時間といった要素により「体積比η」が変動するので、インジェクション圧生成圧力Phおよび/または維持圧生成圧力PLを算出しても実際に生成されるインジェクション圧Piもしくは維持圧Pcと目標圧力との間に若干の誤差が生じる結果、液体の吐出量の精度が安定しないという問題点がある。
【0034】
また、上記した手法は、レギュレート室5に貯留される圧力を調整するレギュレータの出力誤差を考慮していないので、細胞ごとに連続して液体を吐出させる場合に出力誤差が累積する結果、液体の連続吐出量の精度が安定しないという問題点がある。すなわち、連続して吐出を行なう場合、初期吐出圧をP0、1回目の吐出圧をP1、2回目の吐出圧をP2とし、各誤差をD1、D2とすると、P1=P0+D1、P2=P1+D2となり、n回目の吐出圧には、図14の式に示すように、n回分の累積誤差が蓄積されている。
【0035】
[実施例1における液体吐出量制御装置の概要および特徴]
続いて、図1および図2を用いて、実施例1における液体吐出量制御装置の主たる特徴を具体的に説明する。図1は実施例1におけるマイクロインジェクション装置の概略構成図を説明するための図であり、図2は、実施例1における液体吐出量制御方法の概要および特徴を説明するための図である。
【0036】
図1に示すように、実施例1におけるマイクロインジェクション装置100は、正圧ポンプ1および負圧ポンプ2に接続され、これらのポンプにより生成される圧力を一定に維持するレギュレータ3と、レギュレータ3により維持された圧力を貯留するレギュレート室5と、溶液を充填したキャピラリ9と、レギュレータ3とレギュレート室5の間に設置されるバルブa4と、レギュレート室5とキャピラリ9の間に設置されるバルブb7と、レギュレート室5の圧力を検知する圧力センサa6とから構成され、レギュレータ3、バルブa4、レギュレート室5、圧力センサa6、バルブb7およびキャピラリ9は管10(太黒線で示す)により接続される。ここで、レギュレート室5とは、バルブa4、圧力センサa6およびバルブb7を接続している管10の部分のことである。そして、液体吐出量制御装置20は、このマイクロインジェクション装置100の動作を制御する。なお、バルブa4およびバルブb7は、例えば電磁ソレノイドを用いたものが使用され、液体吐出量制御装置20は、電気信号を発生させることでバルブa4およびバルブb7の開閉動作をそれぞれ制御する。
【0037】
さて、実施例1における液体吐出量制御装置20は、先行発明のように液体の吐出量を精度よく制御することを概要とするが、この先行発明と比較して、液体の吐出量をより精度よく安定して制御することが可能になることに主たる特徴がある。
【0038】
この主たる特徴について簡単に説明すると、まず、実施例1の液体吐出量制御装置20は、マイクロインジェクション装置100に対し、図2−1に示す動作制御を行なうことで、インジェクション圧Piをキャピラリ9に加え、液体吐出を開始する。具体的には、液体吐出量制御装置20は、正圧ポンプ1と負圧ポンプ2とを使ってレギュレータ3に維持圧Pcを生成させ、さらに液体吐出量制御装置20は、バルブa4およびバルブb7を開放する(図2−1の(1)を参照)。この段階の後、オペレータは溶液が充填されたキャピラリ9を管10に接続する。これによりキャピラリ9に充填された液体は逆流することなく、キャピラリ9に維持される。なお、顕微鏡下でオペレータが細胞にキャピラリ9を穿刺して液体を吐出する(インジェクション)状況が整うまでは、この図2−1の(1)の状態で保持する。
【0039】
続いて、オペレータがキャピラリ9を細胞に穿刺してインジェクションを開始できる状況が整うと、オペレータのインジェクション開始要求に基づき液体吐出量制御装置20は、図2−1の(2)に示すように、バルブb7を閉鎖してキャピラリ9に維持圧Pcが印加されている状態を保持し、正圧ポンプ1と負圧ポンプ2とを使ってレギュレータ3に、インジェクション圧Piを発生させるために必要な圧力であるインジェクション圧生成圧力Ph(後述)を生成させる(図2−1の(3)を参照)。
【0040】
そして、図2−1の(4)に示すように、液体吐出量制御装置20は、バルブa4を閉鎖してレギュレート室5を圧力Phに保持した状態にしたうえで、バルブb7を開放する。この結果、インジェクション圧生成圧力Phと維持圧Pcとが混合されることで混合圧力Pi’が生成され、キャピラリ9から液体が吐出される(図2−1の(5)を参照)。このように、バルブa4とバルブb7とを瞬時に開閉することで、キャピラリに印加される圧力は維持圧からインジェクション圧に速やかに移行できる。なお、これら一連の動作は、本願の出願人の発明である『細胞への液体吐出方法及びマイクロインジェクション装置』(特願2006−133512号)にも開示されている。
【0041】
しかし、管10の素材の柔軟性や、圧力値、印加時間といった要素による「体積比η」の変動や、レギュレート室5に貯留される圧力を調整するレギュレータの出力誤差といった要因により、生成した混合圧力Pi’にはインジェクション圧Piとは若干の誤差が生じている可能性がある。
【0042】
そこで、実施例1の液体吐出量制御装置20は、図2−2の(6)に示すように、レギュレータ3の出力をインジェクション圧Piに設定して、バルブa4を開放することで改めてキャピラリ9にインジェクション圧Piを加える。これにより、図2−1の(5)で生成された混合圧力Pi’に含まれるインジェクション圧Piとの誤差を解消する。
【0043】
続いて、実施例1の液体吐出量制御装置20は、図2−2の(7)に示すように、バルブb7を閉鎖してキャピラリ9にインジェクション圧Piが印加されている状態に保持し、レギュレータ3に、維持圧Pcを発生させるために必要な維持圧生成圧力PL(後述)を生成させる(図2−2の(8)を参照)。
【0044】
そして、図2−2の(9)に示すように、液体吐出量制御装置20は、バルブa4を閉鎖してレギュレート室5を維持圧生成圧力PLに保持しておき、バルブb7を開放する(図2−2の(10)を参照)。この結果、維持圧生成圧力PLとインジェクション圧Piとが混合されることで混合圧力Pc’が生成され、キャピラリ9からの液体吐出が終了する。このように、バルブa4とバルブb7とを瞬時に開閉することで、キャピラリに印加される圧力はインジェクション圧から維持圧に速やかに移行するので、インジェクション圧を矩形波状としてキャピラリ9に印加することができる。従って、インジェクション圧とインジェクション圧の印加時間(上述した図2−1の(5)から図2−2の(10)までに要する時間)とを調整することで、液体の吐出量を精度よく制御することが可能となる。なお、上記した混合圧力Pi’の場合と同様に、生成した混合圧力Pc’には維持圧Pcとは若干の誤差が生じている可能性がある。
【0045】
さらに、引き続き、連続して別の細胞に液体を吐出するには、液体吐出量制御装置20は、レギュレータ3に維持圧Pcを生成させ、さらに、バルブa4を開放することで、図2−2の(10)から図2−1の(1)と同じ状態に移行させ、以下同様の段階からなる動作制御を行なえばよい。なお、図2−2の(10)から図2−1の(1)に移行することは、次のインジェクションサイクルを開始するまでの待機状態にすることであるとともに、図2−2の(10)の段階で生成した混合圧力Pc’に含まれる可能性がある維持圧Pcとの誤差を解消する動作でもある。従って、新たなインジェクション作業を行なわない場合でも、この動作を行なうことでキャピラリ9に改めて維持圧を加えることができる。
【0046】
なお、上記した図2−1の(1)〜(5)の段階と図2−2の(6)〜(9)の段階とにおける、バルブa4の開閉動作、バルブb7の開閉動作、レギュレータ3が出力する圧力、レギュレート室5に加えられている圧力およびキャピラリ9に加えられる圧力を図2−3にまとめて示す。横軸のSTEPにある1〜10は、それぞれ図2−1および図2−2に示す(1)〜(10)に対応する。
【0047】
このようなことから、実施例1における液体吐出量制御方法は、混合して生成されたインジェクション圧もしくは維持圧に誤差が生じていた場合でも、インジェクション圧もしくは維持圧を改めてキャピラリ9に加えることで誤差が吸収でき、上記した主たる特徴の通り、液体の吐出量をより精度よく安定して制御することが可能になる。
【0048】
なお、図1に示す実施例1におけるマイクロインジェクション装置100には、図11の(B)に示す先行発明の実施例におけるマイクロインジェクション装置100と比較して、圧力センサb8が設置されていない。これは、バルブb7を開放しているときに圧力センサa6が検知する圧力値は、同じ時点で圧力センサb8が検知する圧力値(キャピラリ側圧力)と同じ値であるので、バルブb7を閉鎖する直前に圧力センサa6が検知する圧力値をバルブb7閉鎖時のキャピラリ側圧力として採用することで、圧力センサa6に圧力センサb8の機能を代替させているためである。
【0049】
ここで、上記したインジェクション圧Piを生成するためのインジェクション圧生成圧力Phと、維持圧Pcを生成するための維持圧生成圧力PLとについて説明する。バルブb7開放前の圧力と、バルブb7開放後の圧力との関係は、気体状態方程式により求めることができる。図1に示すように、キャピラリ9側の気体の体積をV1、バルブb7開放前のキャピラリ9側の圧力をP1、レギュレート室5の気体の体積をV2、バルブb7開放前のレギュレート室5の圧力をP2とする。この場合、バルブb7開放後の圧力をPと、体積比η(イータ=V2/V1)との関係は、それぞれ図13に示す(1)式と(2)式で表される。従って、バルブb7開放後に圧力Pを生成するためにバルブb7開放前にレギュレート室5に貯留させておかなければならない圧力P2は、図13に示す(3)式で表すことができる。
【0050】
一方、バルブb7が閉鎖されてから開放されるまでのキャピラリ9側の圧力P1は、バルブb7が閉鎖される直前に圧力センサa6が検知する圧力値として求めることができ、バルブb7開放前のレギュレート室5の圧力P2は、圧力センサa6により求めることができ、また、バルブb7開放後の圧力Pは、圧力センサa6から求めることができる。従って、予備的に液体吐出を行なうことで、各圧力値を求めておき、図13に示す(2)式から予め体積比ηを求めることができる。
【0051】
このようにして求めた体積比ηと図13に示す(3)式とを用い、インジェクション圧生成圧力Phもしくは維持圧生成圧力PLを算出する。インジェクション圧生成圧力Phは、バルブb7開放後の圧力Pとしてインジェクション圧Piを図13に示す(3)式に代入し、さらに、バルブb7開放前のキャピラリ9側の圧力P1として維持圧Pcを図13に示す(3)式に代入することで算出される。また、維持圧生成圧力PLは、バルブb7開放後の圧力Pとして維持圧Pcを図3に示す(3)式に代入し、さらに、バルブb7開放前のキャピラリ9側の圧力P1としてインジェクション圧Piを図13に示す(3)式に代入することで算出される。
【0052】
[実施例1における液体吐出量制御装置の構成]
次に、図3を用いて、実施例1における液体吐出量制御装置を説明する。図3は、実施例1における液体吐出量制御装置の構成を示すブロック図である。
【0053】
図3に示すように、実施例1における液体吐出量制御装置20は、入力部21と、出力部22と、入出力制御I/F部23と、算出部24と、記憶部25と、制御部26とから構成され、さらに、マイクロインジェクション装置100とに接続される。
【0054】
入力部21は、オペレータからのインジェクションの諸条件(例えば、インジェクション圧Piと印加時間により設定される液体吐出量や、キャピラリ9に充填された液体の粘性などにより設定される維持圧Pcなど)や、オペレータからのインジェクション開始要求を受け付け、キーボートやマウスなどで構成される。
【0055】
出力部22は、後述する制御部26からの制御命令をマイクロインジェクション装置100に出力し、その動作を制御する。
【0056】
入出力制御I/F部23は、入力部21および出力部22と、算出部24、記憶部25および制御部26とのとの間におけるデータ転送を制御する。
【0057】
記憶部25は、算出部24による各種処理に用いるデータと、算出部24による各種処理結果と、制御部26による各種制御記録とを記憶し、特に本発明に密接に関連するものとしては、図3に示すように、圧力センサa6出力記憶部251と、算出体積比記憶部252と、インジェクション圧生成圧力記憶部253と、維持圧生成圧力記憶部254とを備える。
【0058】
圧力センサa6出力記憶部251は、後述する圧力センサa6出力検知部261が圧力センサa6から取得する圧力値とともに、後述するバルブa4開閉制御部263がバルブa4に対し行った開閉制御の記録と、後述するバルブb7開閉制御部264がバルブb7に対し行った開閉の制御記録とを記憶する。
【0059】
算出体積比記憶部252は、後述する体積比算出部241が算出した体積比を記憶し、インジェクション圧生成圧力記憶部253は、後述するインジェクション圧生成圧力算出部242が算出したインジェクション圧生成圧力を記憶し、維持圧生成圧力記憶部254は、後述する維持圧生成圧力算出部243が算出した維持圧生成圧力を記憶する。なお、各部については、後に詳述する。
【0060】
制御部26は、入出力制御I/F部23から転送されたオペレータの要求に基づき各種制御を実行し、特に本発明に密接に関連するものとしては、図3に示すように、圧力センサa6出力検知部261と、レギュレータ3出力圧力制御部262と、バルブa4開閉制御部263と、バルブb7開閉制御部264とを備える。
【0061】
圧力センサa6出力検知部261は、圧力センサa6が検知した圧力値を圧力センサa6から取得し、その結果を圧力センサa6出力記憶部251に記憶する。
【0062】
レギュレータ3出力圧力制御部262は、正圧ポンプ1および負圧ポンプ2を使ってレギュレータ3に所定の圧力を生成させる。すなわち、レギュレータ3出力圧力制御部262は、入力部21に入力された設定条件であるインジェクション圧Piや維持圧Pcや、インジェクション圧生成圧力記憶部253に記憶されているインジェクション圧生成圧力Ph、あるいは、維持圧生成圧力記憶部254に記憶されている維持圧生成圧力PLをレギュレータ3に生成させる。
【0063】
バルブa4開閉制御部263は、バルブa4の開閉動作を制御する。具体的には、図2−1および図2−2で示す一連のバルブa4の開放および閉鎖の制御を、例えば、電気信号を介して行なう。また、バルブa4開閉制御部263は、バルブa4の開閉制御記録を圧力センサa6出力記憶部251に送信し、圧力センサa6出力記憶部251は、バルブa4の開閉制御記録を格納する。
【0064】
バルブb7開閉制御部264は、バルブb7の開閉動作を制御する。具体的には、図2−1および図2−2で示す一連のバルブb7の開放および閉鎖の制御を、例えば、電気信号を介して行なう。また、バルブb7開閉制御部264は、バルブb7の開閉制御記録を圧力センサa6出力記憶部251に送信し、圧力センサa6出力記憶部251は、バルブb7の開閉制御記録を格納する。
【0065】
算出部24は、入出力制御I/F部23から転送されたオペレータの要求に基づき各種処理を実行し、特に本発明に密接に関連するものとしては、図3に示すように、体積比算出部241と、インジェクション圧生成圧力算出部242と、維持圧生成圧力算出部243とを備える。
【0066】
体積比算出部241は、圧力センサa6出力記憶部251に記憶されている圧力センサa6が検知した圧力値の出力記録と、バルブa4開閉制御部263の制御記録と、バルブb7開閉制御部264の制御記録とから体積比ηを算出し、その結果を算出体積比記憶部252に記憶する。
【0067】
具体的に、体積比の算出について説明する。バルブa4開閉制御部263は、バルブa4を開放し、バルブb7開閉制御部264は、バルブb7を開放し、レギュレータ3出力圧力制御部262は、レギュレータ3に適当な圧力P1を生成させる。さらに、バルブb7開閉制御部264は、バルブb7を閉鎖して、キャピラリ9に圧力P1が加えられた状態を保持する。圧力P1の値は、バルブb7開閉制御部264の制御記録を参照して、バルブb7が閉鎖する直前の圧力センサa6が検知した圧力値を採用する。そして、レギュレータ3出力圧力制御部262は、レギュレータ3に適当な圧力P2生成させ、バルブa4開閉制御部263は、バルブa4を閉鎖し、レギュレート室5に圧力P2を保持させておいた状態にする。圧力P2の値は、バルブa4開閉制御部263の制御記録と、バルブb7開閉制御部264の制御記録とを参照して、この段階で圧力センサa6が検知した値を採用する。続いて、バルブb7開閉制御部264は、バルブb7を開放して圧力P1と圧力P2とを混合させて新たな圧力Pを生成し、この圧力Pがキャピラリ9に加えられる。圧力Pの値は、バルブa4開閉制御部263の制御記録と、バルブb7開閉制御部264の制御記録とを参照して、この段階で圧力センサa6が検知した値を採用する。これらP1、P2およびPの実測値と図13の(2)式とから、体積比ηを算出する。
【0068】
インジェクション圧生成圧力算出部242は、算出体積比記憶部252に記憶されている体積比ηを用い、維持圧Pcと混合してインジェクション圧Piを生成するために必要なインジェクション圧生成圧力Phを算出し、その結果をインジェクション圧生成圧力記憶部253に記憶する。具体的には、インジェクション圧生成圧力算出部242は、体積比ηと図13に示す(3)式とを用い、バルブb7開放後の圧力Pとしてインジェクション圧Piを図13に示す(3)式に代入し、さらに、バルブb7開放前のキャピラリ9側の圧力P1として維持圧Pcを図13に示す(3)式に代入することでインジェクション圧生成圧力Phを算出する。すなわち、Ph=((η+1)Pi−Pc)/ηとなる。
【0069】
維持圧生成圧力算出部243は、算出体積比記憶部252に記憶されている体積比ηを用い、インジェクション圧Piと混合して維持圧Pcを生成するために必要な維持圧生成圧力PLを算出し、その結果を維持圧生成圧力記憶部254に記憶する。具体的には、維持圧生成圧力算出部243は、バルブb7開放後の圧力Pとして維持圧Pcを図3に示す(3)式に代入し、さらに、バルブb7開放前のキャピラリ9側の圧力P1としてインジェクション圧Piを図13に示す(3)式に代入することで維持圧生成圧力PLを算出する。すなわち、PL=((η+1)Pc−Pi)/ηとなる。
【0070】
[実施例1における液体吐出量制御装置による処理の手順]
次に、図4を用いて、実施例1における液体吐出量制御装置20による処理を説明する。図4は、実施例1における液体吐出量制御装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【0071】
まず、実施例1における液体吐出量制御装置20は、キーボードやマウスから新たにオペレータからのインジェクションの諸条件(例えば、インジェクション圧Piと印加時間により設定される液体吐出量や、キャピラリ9に充填された液体の粘性などにより設定される維持圧Pcなど)を受け付けると(ステップS401肯定)、インジェクション圧生成圧力算出部242および維持圧生成圧力算出部243は、それぞれインジェクション圧生成圧力Phおよび維持圧生成圧力PLを算出する(ステップS402)。
【0072】
そして、レギュレータ3出力圧力制御部262は、レギュレータ3に正圧ポンプ1と負圧ポンプ2とを使って維持圧Pcを生成させ、バルブa4開閉制御部263はバルブa4を開放し、バルブb7開閉制御部264はバルブb7を開放する(ステップS403)。これによりキャピラリ9に充填された液体がキャピラリ9に逆流することを防止する。
【0073】
その後、実施例1における液体吐出量制御装置20は、オペレータが細胞にキャピラリ9を穿刺してインジェクションを開始する状況が整い、実施例1における液体吐出量制御装置20が、オペレータからのインジェクション開始要求を受け付けるまでは、この状態を維持する(ステップS404否定)。
【0074】
これとは反対に、オペレータが細胞にキャピラリ9を穿刺してインジェクションを開始する状況が整い、実施例1における液体吐出量制御装置20が、オペレータからのインジェクション開始要求を受け付けると(ステップS404肯定)、バルブb7開閉制御部264はバルブb7を閉鎖し、レギュレータ3出力圧力制御部262は、レギュレータ3に正圧ポンプ1と負圧ポンプ2とを使ってインジェクション圧生成圧力Phを生成させる(ステップS405)。
【0075】
そして、バルブa4開閉制御部263はバルブa4を閉鎖し、レギュレート室5をインジェクション圧生成圧力Phに保持したうえで、バルブb7開閉制御部264はバルブb7を開放してインジェクション圧生成圧力Phと維持圧Pcとを混合し、新たに生成された混合圧力がキャピラリ9に加えられる(ステップS406)。これにより、キャピラリ9に加えられる圧力は維持圧Pcから速やかに上昇し、キャピラリ9からの液体吐出が開始する。
【0076】
続いて、レギュレータ3出力圧力制御部262は、レギュレータ3に正圧ポンプ1と負圧ポンプ2とを使ってインジェクション圧Piを生成させるとともに、バルブa4開閉制御部263はバルブa4を開放する(ステップS407)。この操作により、ステップS406で生成された混合圧力とインジェクション圧Piとに誤差が生じていた場合でも、その誤差を修正してインジェクション圧Piをキャピラリ9に加えることができる。
【0077】
そして、バルブb7開閉制御部264はバルブb7を閉鎖して(ステップS408)、キャピラリ9にインジェクション圧Piが加えられた状態を保持したうえで、レギュレータ3出力圧力制御部262は、レギュレータ3に正圧ポンプ1と負圧ポンプ2とを使って維持圧生成圧力PLを生成させる(ステップS409)。
【0078】
さらに、バルブa4開閉制御部263はバルブa4を閉鎖し、レギュレート室5を維持圧生成圧力PLに保持したうえで、バルブb7開閉制御部264はバルブb7を開放して維持圧生成圧力PLとインジェクション圧Piとを混合し、新たに生成された混合圧力がキャピラリ9に加えられる(ステップS410)。これにより、キャピラリ9に加えられる圧力はインジェクション圧Piから速やかに下降し、キャピラリ9からの液体吐出が終了する。
【0079】
そして、レギュレータ3出力圧力制御部262は、レギュレータ3に正圧ポンプ1と負圧ポンプ2とを使って維持圧Pcを生成させるとともに、バルブa4開閉制御部263はバルブa4を開放する(ステップS411)。この操作により、ステップS410で生成された混合圧力と維持圧Pcとに誤差が生じていた場合でも、その誤差を修正して維持圧Pcをキャピラリ9に加えることができる。
【0080】
その後、実施例1における液体吐出量制御装置20は、オペレータからの新たなインジェクション開始要求を受け付けると(ステップS412肯定)、再びステップS405からの処理を行い、新たなインジェクション開始要求がない場合は(ステップS412否定)、処理を終了する。
【0081】
[実施例1の効果]
上記したように、実施例1によれば、バルブa4とバルブb7とが閉鎖された状態からバルブb7が開放されることで、バルブa4とバルブb7との間に貯留されていたインジェクション圧生成圧力と、キャピラリ9に加えられていた維持圧とが混合してインジェクション圧が生成されて、当該インジェクション圧によってキャピラリ9から液体の吐出が開始された後に、レギュレータ3の出力圧力をインジェクション圧に設定したうえでバルブa4を開放することで、インジェクション圧をキャピラリ9に加え、バルブa4とバルブb7とが閉鎖された状態からバルブb7が開放されることで、バルブa4とバルブb7との間に貯留されていた維持圧生成圧力と、キャピラリ9に加えられていたインジェクション圧とが混合して維持圧が生成されて、当該維持圧によって液体の吐出が終了された後に、レギュレータ3の出力圧力を維持圧に設定したうえでバルブa4を開放することで、維持圧をキャピラリ9に加えるので、例えば、混合して生成されたインジェクション圧や維持圧に誤差が生じていた場合でも、インジェクション圧や維持圧を改めてキャピラリ9に加えることで誤差が吸収でき、液体の吐出量をより精度よく安定して制御することが可能になる。
【0082】
また、実施例1によれば、キャピラリ9に加えられている圧力の実測値としてバルブb7が閉鎖される直前に圧力センサa6が検知した値を採用し、バルブb7を開放して生成された混合圧力の値として圧力センサa6が検知した値を採用して体積比を算出するので、キャピラリに出力された圧力を検知する圧力センサを別途設置することなく当該圧力を検知することができ、設備投資のコストを低く抑えることが可能になる。
【実施例2】
【0083】
上述した実施例1では、予め算出した体積比からインジェクション圧生成圧力Phもしくは維持圧生成圧力PLを算出する場合について説明したが、実施例2では、入力した圧力条件下での体積比を改めて算出してインジェクション圧生成圧力Phもしくは維持圧生成圧力PLを算出する場合について説明する。
【0084】
[実施例2における追跡信頼度判定装置の概要および特徴]
まず最初に、図5を用いて、実施例2における液体吐出量制御装置の主たる特徴を具体的に説明する。図5は、実施例2における液体吐出量制御装置の概要および特徴を説明するための図である。
【0085】
実施例2における液体吐出量制御装置は、実施例1における液体吐出量制御装置と同様に、オペレータが入力したインジェクション圧Piおよび維持圧Pcとから、すでに算出されている体積比ηと図13の(3)式とから、インジェクション生成圧力Phおよび維持圧生成圧力PLを算出する。
【0086】
そして、実施例2における液体吐出量制御装置は、マイクロインジェクション装置100の動作を制御して、図5の(A)の上図に示すように、レギュレート室5にインジェクション生成圧力Phが保持され、さらにキャピラリ9に維持圧Pcが加えられている状態から、図5の(B)の下図に示すように、バルブb7を開放して混合圧力を生成する。この際、インジェクション生成圧力Phの実測値と、維持圧Pcの実測値と、混合圧力Pi’の値とを圧力センサa6から取得する。なお、維持圧Pcの実測値は、バルブb7が閉鎖されて図5の(A)の上図に示す状態になる直前に、圧力センサa6が検知した値を採用する。
【0087】
続いて、実施例2における液体吐出量制御装置は、維持圧Pcとインジェクション圧生成圧力Phとが管10に印加されている条件下での体積比であるインジェクション圧補正体積比ηiを、図13の(2)式を用いて算出する。すなわち、図13の(2)式において、Pとして実測値Pi’を代入し、P1として維持圧Pcの実測値を代入し、P2としてインジェクション圧生成圧力Phの実測値を代入して算出する。すなわち、ηi=(Pc−Pi’)/(Pi’―Ph)となる。なお、この場合のPcとPhは実測値である。このインジェクション圧補正体積比ηiを用いて、改めてインジェクション圧Piを生成するために必要な補正インジェクション圧生成圧力Ph’を算出する。すなわち、図13の(3)式において、Pとしてオペレータが入力した圧力値であるPiを代入し、P1として維持圧Pcを代入し、体積比ηとしては上記したインジェクション圧補正体積比ηiを代入して算出する。すなわち、Ph’=((ηi+1)Pi―Pc)/ηiとなる。
【0088】
さらに、実施例2における液体吐出量制御装置は、マイクロインジェクション装置100の動作を制御して、図5の(B)の上図に示すように、レギュレート室5に維持圧生成圧力PLが保持され、さらにキャピラリ9にインジェクション圧Piが加えられている状態から、図5の(B)の下図に示すように、バルブb7を開放して混合圧力を生成させる。この際、維持圧生成圧力PLの実測値と、インジェクション圧Piの実測値と、混合圧力Pc’の値とを圧力センサa6から取得する。なお、インジェクション圧Piの実測値は、バルブb7が閉鎖されて図5の(B)の上図に示す状態になる直前に、圧力センサa6が検知した値を採用する。
【0089】
続いて、実施例2における液体吐出量制御装置は、インジェクション圧Piと維持圧生成圧力PLとが管10に印加されている条件下での体積比である維持圧補正体積比ηcを、図13の(2)式を用いて算出する。すなわち、図13の(2)式において、Pとして実測値Pc’を代入し、P1としてインジェクション圧Piの実測値を代入し、P2として維持圧生成圧力PLの実測値を代入して算出する。すなわち、ηc=(Pi−Pc’)/(Pc’―PL)となる。なお、この場合のPiとPLは実測値である。この維持圧補正体積比ηcを用いて、改めて維持圧Pcを生成するために必要な補正維持圧生成圧力PL’を算出する。すなわち、図13の(3)式において、Pとしてオペレータが入力した圧力値であるPcを代入し、P1としてインジェクション圧Piを代入し、体積比ηとしては上記した維持圧補正体積比ηcを代入して算出する。すなわち、PL’=((ηc+1)Pc―Pi/ηcとなる。
【0090】
そして、実施例2における液体吐出量制御装置は、上述した補正インジェクション圧生成圧力Ph’と補正維持圧生成圧力PL’とを用いて、オペレータからのインジェクション開始要求に基づき、細胞への液体吐出を行なう。
【0091】
なお、本実施例では一回の操作から得られた混合圧力などの実測値から補正インジェクション圧生成圧力Ph’と補正維持圧生成圧力PL’を算出しているが、図5の(A)や図5の(B)に示す操作を複数回繰り返し、それから得られた混合圧力の平均値から補正インジェクション圧生成圧力Ph’と補正維持圧生成圧力PL’とを算出してもよい。
【0092】
このようなことから、実施例2における液体吐出量制御装置は、インジェクションの設定条件ごとに実測された圧力値から体積比を補正してインジェクション圧もしくは維持圧を生成するためにレギュレータが出力すべき圧力を再計算でき、いかなる設定条件においても液体の吐出量を安定させることが可能になる。
【0093】
[実施例2における液体吐出量制御装置の構成]
次に、図3を用いて、実施例2における液体吐出量制御装置を説明する。図3は、実施例1における液体吐出量制御装置の構成を示すブロック図である。
【0094】
実施例2における液体吐出量制御装置20は、図3に示す実施例1における液体吐出量制御装置20の構成と同じであるが、体積比算出部241と、インジェクション圧生成圧力算出部242と、維持圧生成圧力算出部243との処理内容が異なる。以下、これらを中心に説明する。
【0095】
体積比算出部241は、インジェクション圧補正体積比ηiと維持圧補正体積比ηcとを新たに算出し、この結果を算出体積比記憶部252に新たに格納する。すなわち、図5の(A)に示す段階で検知され圧力センサa6出力記憶部251に格納された圧力の実測値から、体積比算出部241は、インジェクション圧生成圧力Phと維持圧Pcとが管10に印加されている条件下での体積比であるインジェクション圧補正体積比ηiを、圧力センサa6出力記憶部251に格納された圧力の実測値と、図13の(2)式とを用いて算出し、その結果を算出体積比記憶部252に格納する。すなわち、図13の(2)式において、Pとして実測値Pi’を代入し、P1として維持圧Pcの実測値を代入し、P2としてインジェクション圧生成圧力Phの実測値を代入してインジェクション圧補正体積比ηiを算出する。
【0096】
また、図5の(B)に示す段階で検知され圧力センサa6出力記憶部251に格納された圧力の実測値から、体積比算出部241は、維持圧生成圧力PLとインジェクション圧Piとが管10に印加されている条件下での体積比である維持圧補正体積比ηcを、圧力センサa6出力記憶部251に格納された圧力の実測値と、図13の(2)式とを用いて算出し、その結果を算出体積比記憶部252に格納する。すなわち、図13の(2)式において、Pとして実測値Pc’を代入し、P1としてインジェクション圧Piの実測値を代入し、P2として維持圧生成圧力PLの実測値を代入して維持圧補正体積比ηcを算出する。
【0097】
インジェクション圧生成圧力算出部242は、算出体積比記憶部252に格納されているインジェクション圧補正体積比ηiを用いて、改めてインジェクション圧Piを生成するために必要な補正インジェクション圧生成圧力Ph’を算出する。すなわち、図13の(3)式において、Pとしてオペレータが入力した圧力値であるPiを代入し、P1として維持圧Pcを代入し、体積比ηとしてインジェクション圧補正体積比ηiを代入して算出する。
【0098】
維持圧生成圧力算出部243は、算出体積比記憶部252に格納されている維持圧補正体積比ηcを用いて、改めて維持圧Pcを生成するために必要な補正維持圧生成圧力PL’を算出する。すなわち、図13の(3)式において、Pとしてオペレータが入力した圧力値であるPcを代入し、P1としてインジェクション圧Piを代入し、体積比ηとして維持圧補正体積比ηcを代入して算出する。
【0099】
[実施例2における液体吐出量制御装置による処理の手順]
次に、図6を用いて、実施例2における液体吐出量制御装置20による処理を説明する。図6は、実施例2における液体吐出量制御装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【0100】
まず、実施例2における液体吐出量制御装置20は、キーボードやマウスから新たにオペレータからのインジェクションの諸条件(例えば、インジェクション圧Piと印加時間により設定される液体吐出量や、キャピラリ9に充填された液体の粘性などにより設定される維持圧Pcなど)を受け付けると(ステップS601肯定)、実施例1と同様(図4に示したステップS402〜ステップS403と同様)に、「インジェクション圧生成圧力Phおよび維持圧生成圧力PLの算出」と、「維持圧Pcの生成」および「バルブa4とバルブb7との開放」を行なう(ステップS602〜ステップS603)。
【0101】
続いて、実施例2における液体吐出量制御装置20は、オペレータからの補正インジェクション圧力生成圧力および補正維持圧生成圧力補正圧力の算出要求を受け付けるまでは、この状態を維持する(ステップS604否定)。
【0102】
これとは反対に、実施例2における液体吐出量制御装置20は、オペレータからの補正インジェクション圧力生成圧力および補正維持圧生成圧力補正圧力の算出要求を受け付けると(ステップS604肯定)、バルブb7開閉制御部264はバルブb7を閉鎖し、レギュレータ3出力圧力制御部262は、正圧ポンプ1と負圧ポンプ2とを使ってレギュレータ3にインジェクション圧生成圧力Phを生成させる(ステップS605)。
【0103】
そして、バルブa4開閉制御部263は、バルブa4を閉鎖し、レギュレート室5をインジェクション圧生成圧力Phに保持したうえで、バルブb7開閉制御部264は、バルブb7を開放してインジェクション圧生成圧力Phと維持圧Pcとを混合し、新たに生成された混合圧力がキャピラリ9に加えられる(ステップS606)。
【0104】
さらに、圧力センサa6出力検知部261は、新たに生成された混合圧力の実測値Pi’などを圧力センサa6から取得して、その値を圧力センサa6出力記憶部251に記憶し(ステップS607)、体積比算出部241は、圧力センサa6出力記憶部251が記憶した実測値を用いてインジェクション圧補正体積比ηiを算出し、インジェクション圧生成圧力算出部242は、インジェクション圧補正体積比ηiを用いて補正インジェクション圧生成圧力Ph’を算出する(ステップS608)。
【0105】
続いて、レギュレータ3出力圧力制御部262は、レギュレータ3に正圧ポンプ1と負圧ポンプ2とを使ってインジェクション圧Piを生成させるとともに、バルブa4開閉制御部263はバルブa4を開放する(ステップS609)。
【0106】
そして、バルブb7開閉制御部264は、バルブb7を閉鎖して(ステップS610)、キャピラリ9にインジェクション圧Piが加えられた状態を保持したうえで、レギュレータ3出力圧力制御部262は、正圧ポンプ1と負圧ポンプ2とを使ってレギュレータ3に維持圧生成圧力PLを生成させる(ステップS611)。
【0107】
さらに、バルブa4開閉制御部263は、バルブa4を閉鎖し、レギュレート室5を維持圧生成圧力PLに保持したうえで、バルブb7開閉制御部264は、バルブb7を開放して維持圧生成圧力PLとインジェクション圧Piとを混合し、新たに生成された混合圧力がキャピラリ9に加えられる(ステップS612)。
【0108】
そして、圧力センサa6出力検知部261は、新たに生成された混合圧力の実測値Pc’などを圧力センサa6から取得して、その値を圧力センサa6出力記憶部251に記憶し(ステップS613)、体積比算出部241は、圧力センサa6出力記憶部251に記憶した実測値を用いて維持圧補正体積比ηc算出し、維持圧生成圧力算出部243は、維持圧補正体積比ηcを用いて補正インジェクション圧生成圧力Ph’を算出する(ステップS614)。
【0109】
そして、レギュレータ3出力圧力制御部262は、正圧ポンプ1と負圧ポンプ2とを使ってレギュレータ3に維持圧Pcを生成させるとともに、バルブa4開閉制御部263はバルブa4を開放する(ステップS615)。
【0110】
その後、実施例2における液体吐出量制御装置20は、オペレータからのインジェクション開始要求を受け付けると(ステップS616肯定)、図4に示すステップS405からの処理を行い、新たなインジェクション開始要求がない場合は(ステップS616否定)、処理を終了する。
【0111】
[実施例2の効果]
上記したように、実施例2によれば、インジェクション圧生成圧力としてレギュレータ3が出力した圧力の実測値を圧力センサa6により検知し、維持圧としてキャピラリ9に加えられている圧力の実測値をバルブb7が閉鎖される直前に圧力センサa6により検知し、バルブb7を開放して生成された混合圧力の値を圧力センサa6により検知して、インジェクション圧生成圧力を補正し、維持圧生成圧力としてレギュレータ3が出力した圧力の実測値を圧力センサa6により取得し、インジェクション圧としてキャピラリ9に加えられている圧力の実測値をバルブb7が閉鎖される直前に圧力センサa6により検知し、生成された混合圧力の値を圧力センサa6により検知して、維持圧生成圧力を補正する
ので、インジェクションの設定条件ごとに実測された圧力値から改めてインジェクション圧もしくは維持圧を生成するためにレギュレータ3が出力すべき圧力を再計算でき、いかなる設定条件においても液体の吐出量を安定させることが可能になる。
【実施例3】
【0112】
実施例3では、上述した実施例1における場合にさらに空気漏れを検知する機能を備えた場合について説明する。
【0113】
[実施例3における追跡信頼度判定装置の概要および特徴]
まず最初に、図7を用いて、実施例3における液体吐出量制御装置の主たる特徴を具体的に説明する。図7は、実施例3における液体吐出量制御装置の概要および特徴を説明するための図である。
【0114】
実施例3における液体吐出量制御装置は、まず、実施例1における液体吐出量制御装置と同様に、オペレータが入力したインジェクション圧Piおよび維持圧Pcから、すでに算出されている体積比ηと図13の(3)式とから、インジェクション生成圧力Phおよび維持圧生成圧力PLを算出する。そして、液体吐出量制御装置20は、レギュレータ3に正圧ポンプ1と負圧ポンプ2とを使って維持圧Pcを生成させ、さらに液体吐出量制御装置20は、バルブa4およびバルブb7を開放する(図7の(A)を参照)。
【0115】
続いて、液体吐出量制御装置は、図7の(B)に示すように、バルブa4を閉鎖し、所定の一定時間後(例えば、1分間後)でのキャピラリ9に加えられている圧力値を圧力センサa6から取得して、維持圧Pcから取得した圧力値を減じて差分値を算出する。ここで、算出された差分が設定閾値より小さい値の場合は、液体吐出量制御装置は、空気漏れは生じていないと判定する。そして、液体吐出量制御装置20は、レギュレータ3に正圧ポンプ1と負圧ポンプ2とを使って維持圧Pcを生成させ、さらに液体吐出量制御装置20は、バルブa4およびバルブb7を開放して、図7の(A)に示す状態に戻り、インジェクション開始要求を受け付けるまで、この状態で待機する。
【0116】
一方、液体吐出量制御装置は、算出された差分値が設定閾値以上の値ならば、空気漏れが生じていると判定し、その旨を通知する警告をマイクロインジェクション装置100に送出する。これにより、オペレータは、キャピラリ9の接続不良や管10の劣化による空気漏れが生じている状態でインジェクションを開始することを回避する。
【0117】
このようなことから、実施例3における液体吐出量制御装置はインジェクションの操作前の準備段階でキャピラリの接続不良や管の劣化による空気漏れを検知することができ、空気漏れによる液体吐出量が不安定な状態でのインジェクション操作を回避することが可能になる。
【0118】
[実施例3における液体吐出量制御装置の構成]
次に、図8を用いて、実施例3における液体吐出量制御装置を説明する。図8は、実施例3における液体吐出量制御装置の構成を示すブロック図である。
【0119】
実施例3における液体吐出量制御装置20は、図3に示した実施例1における液体吐出量制御装置20と基本的に同様であり、減少維持圧算出部244と、減少維持圧算出結果記憶部259と、減少維持圧閾値記憶部2510と、リーク警告送出部265とを新たに備えているところが相違する。以下、これらを中心に説明する。
【0120】
減少維持圧算出部244は、図7の(B)に示すように、バルブa4を閉鎖してから所定の一定時間後(例えば、1分間後)にキャピラリ9に加えられている圧力値を圧力センサa6出力記憶部251から取得して、維持圧Pcから取得した圧力値を減じて差分値を算出し、その結果を減少維持圧算出結果記憶部259に格納する。
【0121】
減少維持圧閾値記憶部2510は、後述するリーク警告送出部265による処理に用いる設定閾値を記憶する。具体的には、空気漏れが生じているか否かを判定するために用いられる設定閾値を記憶する。
【0122】
リーク警告送出部265は、減少維持圧算出結果記憶部259に記憶された差分値と、減少維持圧閾値記憶部2510に記憶された設定閾値とを比較し、差分値が設定閾値以上の値である場合に、空気漏れが生じていると判定し、その旨を通知する警告をマイクロインジェクション装置100に送出する。これにより、オペレータは、キャピラリ9の接続不良や管10の劣化による空気漏れが生じている状態でインジェクションを開始することを回避する。
【0123】
[実施例3における液体吐出量制御装置による処理の手順]
次に、図9を用いて、実施例3における液体吐出量制御装置20による処理を説明する。図9は、実施例3における液体吐出量制御装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【0124】
まず、実施例3における液体吐出量制御装置20は、キーボードやマウスから新たにオペレータからのインジェクションの諸条件(例えば、インジェクション圧Piと印加時間により設定される液体吐出量や、キャピラリ9に充填された液体の粘性などにより設定される維持圧Pcなど)を受け付けると(ステップS901肯定)、実施例1と同様(図4に示したステップS402〜ステップS403と同様)に、「インジェクション圧生成圧力Phおよび維持圧生成圧力PLの算出」と、「維持圧Pcの生成」および「バルブa4とバルブb7との開放」を行なう(ステップS902〜ステップS903)。
【0125】
続いて、バルブa4開閉制御部263はバルブa4を閉鎖し、減少維持圧算出部244は、バルブa4を閉鎖してから所定の一定時間後(例えば、1分間後)にキャピラリ9に加えられている圧力値を圧力センサa6出力記憶部251から取得して、維持圧Pcから当該取得した圧力値を減じて差分値を算出する(ステップS904)。
【0126】
そして、リーク警告送出部265は、差分値と設定閾値とを比較して、差分値が設定閾値以上の値か否かを判断する(ステップS905)。ここで、差分値が設定閾値より小さい値であった場合には(ステップS905否定)、レギュレータ3出力圧力制御部262は、レギュレータ3に正圧ポンプ1と負圧ポンプ2とを使って維持圧Pcを生成させるとともに、バルブa4開閉制御部263はバルブa4を開放し(ステップS907)、キャピラリ9に維持圧Pcが加えられた状態を保持して、インジェクション開始要求があるまでこの状態で待機する(図4に示すステップS404を参照)。
【0127】
これとは反対に、差分値が設定閾値以上の値であった場合には(ステップS905肯定)、リーク警告送出部265は、空気漏れが生じていると判定し、その旨を通知する警告をマイクロインジェクション装置100に送出し(ステップS906)、処理を終了する。
【0128】
[実施例3の効果]
上記したように、実施例3によれば、バルブa4とバルブb7とを開放してレギュレータ3が生成した維持圧をキャピラリ9に加えた状態で、バルブa4を閉鎖して圧力センサa6により所定時間における維持圧の変動を測定して圧力のリークを検知するので、インジェクションの操作前の準備段階でキャピラリ9の接続不良や管10の劣化による空気漏れを検知することができ、空気漏れによる液体吐出量が不安定な状態でのインジェクション操作を回避することが可能になる。
【実施例4】
【0129】
さて、これまで実施例1〜3における液体吐出量制御装置について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、実施例4における液体吐出量制御装置として、種々の異なる実施例を(1)〜(5)に区分けして説明する。
【0130】
(1)管10の構成素材
上記の実施例1〜3では、マイクロインジェクション装置100を構成する管10の体積が加えられる圧力によって変動する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、マイクロインジェクション装置100を構成する管10は体積変化がない素材で形成されている場合であってもよい。これにより、レギュレート室5、バルブa4、バルブb7およびキャピラリ9などを接続する管10の体積変動を抑止しすることができ、液体の吐出量を安定させることが可能になる。
【0131】
(2)インジェクション圧生成圧力と維持圧生成圧力
上記の実施例1および実施例3では、予め算出されて格納されている体積比に基づいて、オペレータが入力したインジェクション圧Piからインジェクション圧生成圧力Phを算出し、オペレータが入力した維持圧Pcから維持圧生成圧力PLを算出する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、様々なインジェクション圧Piに対応するインジェクション圧生成圧力Phを体積比に基づいて予め算出した結果と、様々な維持圧Pcに対応する維持圧生成圧力PLを体積比に基づいて予め算出した結果とを格納したテーブルを保持しておき、オペレータはテーブルにリスト化されているインジェクション圧と維持圧とをそれぞれ選択し、液体吐出量制御装置20は、テーブルを参照して、選択されたインジェクション圧と維持圧とから、それぞれインジェクション圧生成圧力と維持圧生成圧力とを対応付ける場合でもよい。
【0132】
(3)適用対象
また、上記の実施例では、マイクロインジェクション装置を制御する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、一定量の液体を連続して分注する液体分注装置であれば本発明を同様に適用することができる。
【0133】
また、上記の実施例では、「溶液」を「細胞」内に吐出する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、「気体」を「微細な構造物」内に吐出する場合であってもよい。
【0134】
(4)システム構成等
また、上記の実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動でおこなうこともでき(例えば、所定の一定時間後に空気漏れが生じているか否かを判定するのではなく、オペレータがインジェクション開始要求を入力した際に判定を行うなど)、あるいは、手動的におこなうものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。例えば、この他、上記文章中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、図6に示す、補正インジェクション圧生成圧力の算出(ステップS608)は、補正維持圧生成圧力の算出(ステップS613)と同時に処理を開始してもよい。
【0135】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各処理部および各記憶部の分散・統合の具体的形態(例えば、図3の形態など)は図示のものに限られず、例えば、インジェクション圧生成圧力算出部242と維持圧生成圧力算出部243とを統合するなど、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0136】
(5)液体吐出量制御プログラム
ところで上記の実施例1〜3では、ハードウェアロジックによって各種の処理を実現する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータで実行するようにしてもよい。そこで以下では、図10を用いて、上記の実施例1に示した液体吐出量制御装置20と同様の機能を有する液体吐出量制御プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図10は、実施例1における液体吐出量制御プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【0137】
図10に示すように、情報処理装置としてのコンピュータ110は、キーボード111、ディスプレイ112、CPU113、ROM114、HDD115およびRAM116をバス117などで接続して構成され、さらにマイクロインジェクション装置100とに接続される。
【0138】
ROM114には、上記の実施例1に示した液体吐出量制御装置20と同様の機能を発揮する液体吐出量制御プログラム、つまり、図10に示すように、圧力センサa6出力検知プログラム114a、レギュレータ3出力圧力制御プログラム114b、バルブa4開閉制御プログラム114c、バルブb7開閉制御プログラム114d、体積比算出プログラム114e、インジェクション圧生成圧力算出プログラム114f、維持圧生成圧力算出プログラム114gが予め記憶されている。なお、これらのプログラム114a〜114gについては、図3に示した液体吐出量制御装置20の各構成要素と同様、適宜統合または分散してもよい。
【0139】
そして、CPU113が、これらのプログラム114a〜114gをROM114から読み出して実行することで、図10に示すように、各プログラム114a〜114gは、圧力センサa6出力検知プロセス113a、レギュレータ3出力圧力制御プロセス113b、バルブa4開閉制御プロセス113c、バルブb7開閉制御プロセス113d、体積比算出プロセス113e、インジェクション圧生成圧力算出プロセス113f、維持圧生成圧力算出プロセス113gとして機能するようになる。なお、各プロセス113a〜113gは、図2に示した、圧力センサa6出力検知部261、レギュレータ3出力制御部262、バルブa4開閉制御部263、バルブb7開閉制御部264、体積比算出部241、インジェクション圧生成圧力算出部242、維持圧生成圧力算出部243にそれぞれ対応する。
【0140】
また、HDD115には、図10に示すように、圧力センサa6出力データ115aと、算出体積比データ115bと、インジェクション圧生成圧力データ115cと、維持圧生成圧力データ115dとが設けられる。この圧力センサa6出力データ115aは、図3に用いた圧力センサa6出力記憶部251に対応し、算出体積比データ115bは算出体積比記憶部252に対応し、インジェクション圧生成圧力データ115cはインジェクション圧生成圧力記憶部253に対応し、維持圧生成圧力データ115dは維持圧生成圧力記憶部254に対応する。そして、CPU113は、圧力センサa6出力データ116aを圧力センサa6出力データ115aに対して登録し、算出体積比データ116bを算出体積比データ115bに対して登録し、インジェクション圧生成圧力データ116cをインジェクション圧生成圧力データ115cに対して登録し、維持圧生成圧力データ116dを維持圧生成圧力データ115dに対して登録し、この圧力センサa6出力データ116aと、算出体積比データ116bと、インジェクション圧生成圧力データ116cと、維持圧生成圧力データ116dとに基づいて液体吐出量制御処理を実行する。
【0141】
なお、上記した各プログラム114a〜114gについては、必ずしも最初からROM114に記憶させておく必要はなく、例えばコンピュータ110に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」、または、コンピュータ110の内外に備えられるHDDなどの「固定用物理媒体」、さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ110に接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」などに各プログラムを記憶させておき、コンピュータ110がこれらから各プログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0142】
(付記1)圧力を調整して出力するレギュレータと内部に吐出対象を充填したキャピラリとが管によって接続され、前記管における前記レギュレータ側から前記キャピラリの方向に第一のバルブと第二のバルブとが設置されたマイクロインジェクション装置を制御して、前記キャピラリからの吐出量を制御する吐出量制御方法であって、
前記第一のバルブと前記第二のバルブとが閉鎖された状態から当該第二のバルブが開放されることで、前記キャピラリから前記溶液を微小体内に吐出させる圧力であるインジェクション圧を生成するために必要な圧力として前記第一のバルブと前記第二のバルブとの間に貯留されていたインジェクション圧生成圧力と、前記キャピラリへの前記吐出対象の逆流を防止する圧力として前記キャピラリに加えられていた維持圧とが混合して前記インジェクション圧が生成されて、当該インジェクション圧によって前記キャピラリから前記吐出対象の吐出が開始された後に、前記レギュレータの出力圧力を前記インジェクション圧に設定したうえで前記第一のバルブを開放することで、前記インジェクション圧を前記キャピラリに加えるインジェクション圧調整工程と、
前記第一のバルブと前記第二のバルブとが閉鎖された状態から当該第二のバルブが開放されることで、前記維持圧を生成するために必要な圧力として前記第一のバルブと前記第二のバルブとの間に貯留されていた維持圧生成圧力と、前記キャピラリに加えられていた前記インジェクション圧とが混合して前記維持圧が生成されて、当該維持圧によって前記吐出対象の吐出が終了された後に、前記レギュレータの出力圧力を前記維持圧に設定したうえで前記第一のバルブを開放することで、前記維持圧を前記キャピラリに加える維持圧調整工程と、
を含んだことを特徴とする吐出量制御方法。
【0143】
(付記2)前記マイクロインジェクション装置が、前記第一のバルブと前記第二のバルブとの間を接続する管の内部圧力を検知する第一の圧力センサと、前記第二のバルブと前記キャピラリとの間を接続する管の内部圧力を前記キャピラリに加えられるキャピラリ側圧力として検知する第二の圧力センサとをさらに備えるものであって、
前記インジェクション圧生成圧力として前記レギュレータが出力した実測値を前記第一の圧力センサにより検知し、前記維持圧として前記キャピラリに加えられている圧力の実測値を前記第二の圧力センサにより検知し、前記第二のバルブを開放して生成された混合圧力の値を前記第二の圧力センサにより検知して、これらの値から補正した体積比を用いて前記インジェクション圧生成圧力を補正する補正インジェクション圧生成圧力算出工程と、
前記維持圧生成圧力として前記レギュレータが出力した圧力の実測値を前記第一の圧力センサにより取得し、前記インジェクション圧として前記キャピラリに加えられている圧力の実測値を前記第二の圧力センサにより検知し、生成された混合圧力の値を前記第二の圧力センサにより検知して、これらの値から補正した体積比を用いて前記維持圧生成圧力を補正する補正維持圧算出工程とを含むことを特徴とする付記1に記載の吐出量制御方法。
【0144】
(付記3)前記補正インジェクション圧生成圧力算出工程は、前記維持圧として前記キャピラリに加えられている圧力の実測値として前記第二のバルブが閉鎖される直前に前記第一の圧力センサが検知した値を採用し、前記第二のバルブを開放して生成された混合圧力の値として前記第一の圧力センサが検知した値を採用して前記インジェクション圧生成圧力を補正し、
前記補正維持圧生成圧力算出工程は、前記インジェクション圧として前記キャピラリに加えられている圧力の実測値として前記第二のバルブが閉鎖される直前に前記第一の圧力センサが検知した値を採用し、前記第二のバルブを開放して生成された混合圧力の値として前記第一の圧力センサが検知した値を採用して前記維持圧生成圧力を補正することを特徴とする付記2に記載の吐出量制御方法。
【0145】
(付記4)前記第一のバルブと前記第二のバルブとを開放して前記レギュレータが生成した前記維持圧を前記キャピラリに加えた状態で、前記第一のバルブを閉鎖して前記第一の圧力センサにより所定時間における前記維持圧の変動を測定して圧力のリークを検知するリーク検知工程をさらに含むことを特徴とする付記3に記載の吐出量制御方法。
【0146】
(付記5)前記マイクロインジェクション装置を構成する前記管は、体積変化がない素材で形成されていることを特徴とする付記1から4に記載の吐出量制御方法。
【0147】
(付記6)圧力を調整するレギュレータに接続され、微小体に吐出対象を注入するキャピラリからの吐出対象吐出圧を制御する吐出圧制御方法において、
前記キャピラリ内の圧力を第一の圧力に維持した状態で、前記レギュレータと前記キャピラリとの間に設けられた第一のバルブを閉鎖する工程と、
前記レギュレータにより第二の圧力を生成する工程と、
前記第一のバルブに対して前記レギュレータ寄りに設けられた第二のバルブを閉鎖する工程と、
前記第一のバルブを開放し、前記第一の圧力と前記第二の圧力とを加えた第三の圧力により、前記吐出対象を前記キャピラリから吐出する工程と、
前記レギュレータにより前記第三の圧力を生成する工程と、
前記第二のバルブを開放する工程と、
前記第一のバルブを閉鎖する工程と、
前記レギュレータにより第四の圧力を生成する工程と、
前記第二のバルブを閉鎖する工程と、
前記第一のバルブを開放し、前記キャピラリ内圧力を前記第一の圧力に維持する工程と、
を備えることを特徴とする吐出圧制御方法。
【0148】
(付記7)圧力を調整するレギュレータに接続され、吐出対象を吐出注入するキャピラリからの吐出対象吐出圧を制御する吐出圧制御方法において、
前記キャピラリ内の圧力を第一の圧力に維持した状態で、前記レギュレータと前記キャピラリとの間に設けられた第一のバルブを閉鎖する工程と、
前記レギュレータにより第二の圧力を生成する工程と、
前記第一のバルブに対して前記レギュレータ寄りに設けられた第二のバルブを閉鎖する工程と、
前記第一のバルブを開放し、前記第一の圧力と前記第二の圧力とを加えた第三の圧力により、前記吐出対象を前記キャピラリから吐出する工程と、
前記キャピラリから前記吐出対象を吐出した状態で、前記レギュレータにより前記第三の圧力を生成する工程と、
を備えることを特徴とする吐出圧制御方法。
【0149】
(付記8)圧力を調整するレギュレータに接続され、吐出対象を吐出するキャピラリからの吐出対象吐出圧を制御する吐出圧制御方法において、
前記キャピラリ内の圧力を第一の圧力に維持した状態で、前記レギュレータにより第二の圧力を生成し、前記第一の圧力と前記第二の圧力とを加えた第三の圧力により前記吐出対象を前記キャピラリから吐出する工程と、
前記キャピラリから吐出対象を吐出している状態で、前記レギュレータにより前記第三の圧力を生成し、キャピラリ内圧力を前記第三の圧力に維持する工程と、
を備えたことを特徴とする吐出圧制御方法。
【0150】
(付記9)圧力を調整するレギュレータに接続され、吐出対象を吐出するキャピラリからの吐出圧を制御する吐出圧制御方法において、
前記キャピラリ内の圧力を第一の圧力に維持した状態で、前記レギュレータと前記キャピラリとの間の流路に設けられた第一のバルブを閉鎖する工程と、
前記第一のバルブと前記キャピラリとの間に設けられた圧力計により、前記第一のバルブと前記キャピラリとの間の圧力を計測する工程と、
前記計測の結果、所定時間内に前記圧力が所定値を下回った場合、その旨を通報する工程と、
を備えたことを特徴とする吐出圧制御方法。
【0151】
(付記10)微小体に吐出対象を注入する注入装置において、
前記微小体に吐出対象を注入するキャピラリと、
前記吐出対象の圧力を調整するレギュレータと、
前記キャピラリと、前記レギュレータとの間の流路に設けられた第一のバルブと、
前記第一のバルブと前記レギュレータとの間に設けられた第二のバルブと、
前記レギュレータ、前記第一のバルブ及び前記第二のバルブの動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記キャピラリ内の圧力を第一の圧力に維持した状態で前記第一のバルブを閉鎖し、
前記レギュレータにより第二の圧力を生成させ、
前記第二のバルブを閉鎖する工程と、
前記第一のバルブを開放し、前記第一の圧力と前記第二の圧力とを加えた第三の圧力により、前記吐出対象を前記キャピラリから吐出させ、
前記キャピラリから前記吐出対象を吐出している状態で、前記レギュレータにより前記第三の圧力を生成させる制御を実行することを特徴とする注入装置。
【0152】
(付記11)注入対象が注入された微小体を製造する方法において、
前記微小体に前記注入対象を注入するキャピラリ内の圧力を第一の圧力に維持した状態で、前記キャピラリを前記微小体に挿し入れる工程と、
レギュレータにより第二の圧力を生成し、前記第一の圧力と前記第二の圧力とを加えた第三の圧力により前記注入対象を前記キャピラリから前記微小体に注入する工程と、
前記注入対象を注入している状態で、前記レギュレータにより前記第三の圧力を生成し、キャピラリ内圧力を前記第三の圧力に維持する工程と、
前記レギュレータにより第四の圧力を生成し、前記第三の圧力と前記第四の圧力を加えることによって前記キャピラリ内圧力を前記第一の圧力に維持する工程と、
前記キャピラリを前記微笑体から取り外す工程と、
を備えたことを特徴とする微小体の製造方法。
【0153】
(付記12)圧力を調整して出力するレギュレータと内部に吐出対象を充填したキャピラリとが管によって接続され、前記管における前記レギュレータ側から前記キャピラリの方向に第一のバルブと第二のバルブとが設置されたマイクロインジェクション装置を制御して、前記キャピラリからの吐出量を制御する吐出量制御装置であって、
前記第一のバルブと前記第二のバルブとが閉鎖された状態から当該第二のバルブが開放されることで、前記キャピラリから前記溶液を微小体内に吐出させる圧力であるインジェクション圧を生成するために必要な圧力として前記第一のバルブと前記第二のバルブとの間に貯留されていたインジェクション圧生成圧力と、前記キャピラリへの前記吐出対象の逆流を防止する圧力として前記キャピラリに加えられていた維持圧とが混合して前記インジェクション圧が生成されて、当該インジェクション圧によって前記キャピラリから前記吐出対象の吐出が開始された後に、前記レギュレータの出力圧力を前記インジェクション圧に設定したうえで前記第一のバルブを開放することで、前記インジェクション圧を前記キャピラリに加えるインジェクション圧調整手段と、
前記第一のバルブと前記第二のバルブとが閉鎖された状態から当該第二のバルブが開放されることで、前記維持圧を生成するために必要な圧力として前記第一のバルブと前記第二のバルブとの間に貯留されていた維持圧生成圧力と、前記キャピラリに加えられていた前記インジェクション圧とが混合して前記維持圧が生成されて、当該維持圧によって前記吐出対象の吐出が終了された後に、前記レギュレータの出力圧力を前記維持圧に設定したうえで前記第一のバルブを開放することで、前記維持圧を前記キャピラリに加える維持圧調整手段と、
を備えたことを特徴とする吐出量制御装置。
【0154】
(付記13)圧力を調整して出力するレギュレータと内部に吐出対象を充填したキャピラリとが管によって接続され、前記管における前記レギュレータ側から前記キャピラリの方向に第一のバルブと第二のバルブとが設置されたマイクロインジェクション装置を制御して、前記キャピラリからの吐出量を制御する吐出量制御方法をコンピュータに実行させる吐出量制御プログラムであって、
前記第一のバルブと前記第二のバルブとが閉鎖された状態から当該第二のバルブが開放されることで、前記キャピラリから前記溶液を微小体内に吐出させる圧力であるインジェクション圧を生成するために必要な圧力として前記第一のバルブと前記第二のバルブとの間に貯留されていたインジェクション圧生成圧力と、前記キャピラリへの前記吐出対象の逆流を防止する圧力として前記キャピラリに加えられていた維持圧とが混合して前記インジェクション圧が生成されて、当該インジェクション圧によって前記キャピラリから前記吐出対象の吐出が開始された後に、前記レギュレータの出力圧力を前記インジェクション圧に設定したうえで前記第一のバルブを開放することで、前記インジェクション圧を前記キャピラリに加えるインジェクション圧調整手順と、
前記第一のバルブと前記第二のバルブとが閉鎖された状態から当該第二のバルブが開放されることで、前記維持圧を生成するために必要な圧力として前記第一のバルブと前記第二のバルブとの間に貯留されていた維持圧生成圧力と、前記キャピラリに加えられていた前記インジェクション圧とが混合して前記維持圧が生成されて、当該維持圧によって前記吐出対象の吐出が終了された後に、前記レギュレータの出力圧力を前記維持圧に設定したうえで前記第一のバルブを開放することで、前記維持圧を前記キャピラリに加える維持圧調整手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする吐出量制御プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0155】
以上のように、本発明に係る吐出量制御方法、吐出圧制御方法、注入装置、微小体の製造方法、吐出量制御装置および吐出量制御プログラムは、マイクロインジェクションに有用であり、特に、吐出対象の吐出量をより精度よく安定して制御することに適する。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】実施例1におけるマイクロインジェクション装置の概略構成図である。
【図2−1】実施例1における液体吐出量制御装置の概要および特徴を説明するための図である。
【図2−2】実施例1における液体吐出量制御装置の概要および特徴を説明するための図である。
【図2−3】実施例1における液体吐出量制御装置の概要および特徴を説明するための図である。
【図3】実施例1における液体吐出量制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】実施例1における液体吐出量制御装置の処理を説明するための図である。
【図5】実施例2における液体吐出量制御装置の概要および特徴を説明するための図である。
【図6】実施例2における液体吐出量制御装置の処理を説明するための図である。
【図7】実施例3における液体吐出量制御装置の概要および特徴を説明するための図である。
【図8】実施例3における液体吐出量制御装置の構成を示すブロック図である。
【図9】実施例3における液体吐出量制御装置の処理を説明するための図である。
【図10】実施例1の液体吐出量制御プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【図11】先行発明の実施例におけるマイクロインジェクション装置の概略構成図である。
【図12−1】先行発明の実施例における液体吐出量制御装置の概要および特徴を説明するための図である。
【図12−2】先行発明の実施例における液体吐出量制御装置の概要および特徴を説明するための図である。
【図13】インジェクション圧生成圧力および維持圧生成圧力の算出を説明するための図である。
【図14】連続吐出における累積誤差を説明するための図である。
【符号の説明】
【0157】
100 マイクロインジェクション装置
1 正圧ポンプ
2 負圧ポンプ
3 レギュレータ
4 バルブa
5 レギュレート室
6 圧力センサa
7 バルブb
8 圧力センサb
9 キャピラリ
10 管
20 液体吐出量制御装置
21 入力部
22 出力部
23 入出力制御I/F部
24 算出部
241 体積比算出部
242 インジェクション圧生成圧力算出部
243 維持圧生成圧力算出部
25 記憶部
251 圧力センサa6出力記憶部
252 算出体積比記憶部
253 インジェクション圧生成圧力記憶部
254 維持圧生成圧力記憶部
26 制御部
261 圧力センサa6出力検知部
262 レギュレータ3出力圧力制御部
263 バルブa4開閉制御部
264 バルブb7開閉制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力を調整して出力するレギュレータと内部に吐出対象を充填したキャピラリとが管によって接続され、前記管における前記レギュレータ側から前記キャピラリの方向に第一のバルブと第二のバルブとが設置されたマイクロインジェクション装置を制御して、前記キャピラリからの吐出量を制御する吐出量制御方法であって、
前記第一のバルブと前記第二のバルブとが閉鎖された状態から当該第二のバルブが開放されることで、前記キャピラリから前記溶液を微小体内に吐出させる圧力であるインジェクション圧を生成するために必要な圧力として前記第一のバルブと前記第二のバルブとの間に貯留されていたインジェクション圧生成圧力と、前記キャピラリへの前記吐出対象の逆流を防止する圧力として前記キャピラリに加えられていた維持圧とが混合して前記インジェクション圧が生成されて、当該インジェクション圧によって前記キャピラリから前記吐出対象の吐出が開始された後に、前記レギュレータの出力圧力を前記インジェクション圧に設定したうえで前記第一のバルブを開放することで、前記インジェクション圧を前記キャピラリに加えるインジェクション圧調整工程と、
前記第一のバルブと前記第二のバルブとが閉鎖された状態から当該第二のバルブが開放されることで、前記維持圧を生成するために必要な圧力として前記第一のバルブと前記第二のバルブとの間に貯留されていた維持圧生成圧力と、前記キャピラリに加えられていた前記インジェクション圧とが混合して前記維持圧が生成されて、当該維持圧によって前記吐出対象の吐出が終了された後に、前記レギュレータの出力圧力を前記維持圧に設定したうえで前記第一のバルブを開放することで、前記維持圧を前記キャピラリに加える維持圧調整工程と、
を含んだことを特徴とする吐出量制御方法。
【請求項2】
前記マイクロインジェクション装置が、前記第一のバルブと前記第二のバルブとの間を接続する管の内部圧力を検知する第一の圧力センサと、前記第二のバルブと前記キャピラリとの間を接続する管の内部圧力を前記キャピラリに加えられるキャピラリ側圧力として検知する第二の圧力センサとをさらに備えるものであって、
前記インジェクション圧生成圧力として前記レギュレータが出力した実測値を前記第一の圧力センサにより検知し、前記維持圧として前記キャピラリに加えられている圧力の実測値を前記第二の圧力センサにより検知し、前記第二のバルブを開放して生成された混合圧力の値を前記第二の圧力センサにより検知して、これらの値から補正した体積比を用いて前記インジェクション圧生成圧力を補正する補正インジェクション圧生成圧力算出工程と、
前記維持圧生成圧力として前記レギュレータが出力した圧力の実測値を前記第一の圧力センサにより取得し、前記インジェクション圧として前記キャピラリに加えられている圧力の実測値を前記第二の圧力センサにより検知し、生成された混合圧力の値を前記第二の圧力センサにより検知して、これらの値から補正した体積比を用いて前記維持圧生成圧力を補正する補正維持圧算出工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の吐出量制御方法。
【請求項3】
前記補正インジェクション圧生成圧力算出工程は、前記維持圧として前記キャピラリに加えられている圧力の実測値として前記第二のバルブが閉鎖される直前に前記第一の圧力センサが検知した値を採用し、前記第二のバルブを開放して生成された混合圧力の値として前記第一の圧力センサが検知した値を採用して前記インジェクション圧生成圧力を補正し、
前記補正維持圧生成圧力算出工程は、前記インジェクション圧として前記キャピラリに加えられている圧力の実測値として前記第二のバルブが閉鎖される直前に前記第一の圧力センサが検知した値を採用し、前記第二のバルブを開放して生成された混合圧力の値として前記第一の圧力センサが検知した値を採用して前記維持圧生成圧力を補正することを特徴とする請求項2に記載の吐出量制御方法。
【請求項4】
前記第一のバルブと前記第二のバルブとを開放して前記レギュレータが生成した前記維持圧を前記キャピラリに加えた状態で、前記第一のバルブを閉鎖して前記第一の圧力センサにより所定時間における前記維持圧の変動を測定して圧力のリークを検知するリーク検知工程をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の吐出量制御方法。
【請求項5】
前記マイクロインジェクション装置を構成する前記管は、体積変化がない素材で形成されていることを特徴とする請求項1から4に記載の吐出量制御方法。
【請求項6】
圧力を調整するレギュレータに接続され、微小体に吐出対象を注入するキャピラリからの吐出対象吐出圧を制御する吐出圧制御方法において、
前記キャピラリ内の圧力を第一の圧力に維持した状態で、前記レギュレータと前記キャピラリとの間に設けられた第一のバルブを閉鎖する工程と、
前記レギュレータにより第二の圧力を生成する工程と、
前記第一のバルブに対して前記レギュレータ寄りに設けられた第二のバルブを閉鎖する工程と、
前記第一のバルブを開放し、前記第一の圧力と前記第二の圧力とを加えた第三の圧力により、前記吐出対象を前記キャピラリから吐出する工程と、
前記レギュレータにより前記第三の圧力を生成する工程と、
前記第二のバルブを開放する工程と、
前記第一のバルブを閉鎖する工程と、
前記レギュレータにより第四の圧力を生成する工程と、
前記第二のバルブを閉鎖する工程と、
前記第一のバルブを開放し、前記キャピラリ内圧力を前記第一の圧力に維持する工程と、
を備えることを特徴とする吐出圧制御方法。
【請求項7】
圧力を調整するレギュレータに接続され、吐出対象を吐出注入するキャピラリからの吐出対象吐出圧を制御する吐出圧制御方法において、
前記キャピラリ内の圧力を第一の圧力に維持した状態で、前記レギュレータと前記キャピラリとの間に設けられた第一のバルブを閉鎖する工程と、
前記レギュレータにより第二の圧力を生成する工程と、
前記第一のバルブに対して前記レギュレータ寄りに設けられた第二のバルブを閉鎖する工程と、
前記第一のバルブを開放し、前記第一の圧力と前記第二の圧力とを加えた第三の圧力により、前記吐出対象を前記キャピラリから吐出する工程と、
前記キャピラリから前記吐出対象を吐出した状態で、前記レギュレータにより前記第三の圧力を生成する工程と、
を備えることを特徴とする吐出圧制御方法。
【請求項8】
圧力を調整するレギュレータに接続され、吐出対象を吐出するキャピラリからの吐出対象吐出圧を制御する吐出圧制御方法において、
前記キャピラリ内の圧力を第一の圧力に維持した状態で、前記レギュレータにより第二の圧力を生成し、前記第一の圧力と前記第二の圧力とを加えた第三の圧力により前記吐出対象を前記キャピラリから吐出する工程と、
前記キャピラリから吐出対象を吐出している状態で、前記レギュレータにより前記第三の圧力を生成し、キャピラリ内圧力を前記第三の圧力に維持する工程と、
を備えたことを特徴とする吐出圧制御方法。
【請求項9】
微小体に吐出対象を注入する注入装置において、
前記微小体に吐出対象を注入するキャピラリと、
前記吐出対象の圧力を調整するレギュレータと、
前記キャピラリと、前記レギュレータとの間の流路に設けられた第一のバルブと、
前記第一のバルブと前記レギュレータとの間に設けられた第二のバルブと、
前記レギュレータ、前記第一のバルブ及び前記第二のバルブの動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記キャピラリ内の圧力を第一の圧力に維持した状態で前記第一のバルブを閉鎖し、
前記レギュレータにより第二の圧力を生成させ、
前記第二のバルブを閉鎖する工程と、
前記第一のバルブを開放し、前記第一の圧力と前記第二の圧力とを加えた第三の圧力により、前記吐出対象を前記キャピラリから吐出させ、
前記キャピラリから前記吐出対象を吐出している状態で、前記レギュレータにより前記第三の圧力を生成させる制御を実行することを特徴とする注入装置。
【請求項10】
注入対象が注入された微小体を製造する方法において、
前記微小体に前記注入対象を注入するキャピラリ内の圧力を第一の圧力に維持した状態で、前記キャピラリを前記微小体に挿し入れる工程と、
レギュレータにより第二の圧力を生成し、前記第一の圧力と前記第二の圧力とを加えた第三の圧力により前記注入対象を前記キャピラリから前記微小体に注入する工程と、
前記注入対象を注入している状態で、前記レギュレータにより前記第三の圧力を生成し、キャピラリ内圧力を前記第三の圧力に維持する工程と、
前記レギュレータにより第四の圧力を生成し、前記第三の圧力と前記第四の圧力を加えることによって前記キャピラリ内圧力を前記第一の圧力に維持する工程と、
前記キャピラリを前記微笑体から取り外す工程と、
を備えたことを特徴とする微小体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2−1】
image rotate

【図2−2】
image rotate

【図2−3】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12−1】
image rotate

【図12−2】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2008−86242(P2008−86242A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−270053(P2006−270053)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】