説明

吐水システム

【課題】エネルギー消費を低減できる吐水システムを提供すること。
【解決手段】吐水システム1は、タンク5と、給水源からタンク5内に給水する電磁弁3と、タンク5内の水を加熱するヒータ6と、タンク5内の水を吐水口9から吐出するポンプ8と、電磁弁3、ヒータ6、ポンプ8を制御する制御装置11とを備える。制御装置11は、ユーザーが操作することで、給水スイッチ13から出力されるユーザーからの給水指示に基づいた信号により、電磁弁3を開弁することで、タンク5内へ給水を行い、ヒータ6を加熱することで、タンク5内の水の加熱を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水を吐出する吐水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温水を吐出するものとして、例えば特許文献1,2に示すようなものがある。特許文献1にかかるジャーポットは、貯水用の容器の水位が設定値よりも下であると給水され、貯水用の容器内の水をヒータにより加熱し、保温するものである。また、特許文献2にかかる貯湯式温水器は、給水源から貯湯槽内に供給された水をヒータにより加熱し、略一定温度の温水に保つものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−140854号公報
【特許文献2】特開2003−106673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1,2に示すような従来技術では、ユーザーが使いたいときに直ぐに、温水を提供することを目的として、ヒータなどを用いて溜めた温水の温度が低下しないように保温し、タンク内に温水を常に溜めておくこととなる。従って、タンク内に溜められている温水を保温するために、例えば保温電力などのエネルギーを消費する。保温のためのエネルギーは、実際に温水を生成するためのエネルギーとは、別途に必要である。つまり、タンク内に温水を常に溜めておくことは、温水を生成する場合と比較してエネルギー消費が増加するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、エネルギー消費を低減できる吐水システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、タンクと、給水源から前記タンク内に給水する給水装置と、前記タンク内の水を加熱するヒータと、前記タンク内の水を吐水口から吐出する吐水装置と、少なくとも前記給水装置、ヒータを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、ユーザーからの給水指示に基づいた信号により、前記給水装置による給水および前記ヒータによる加熱を行うことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、ユーザーからの給水指示に基づいた信号により、給水装置による給水およびヒータによる加熱を行い、タンク内に温水を生成し、吐水装置により温水を吐出するので、予めタンク内に温水を溜めておくことがなく、保温のためのエネルギーを消費しない。従って、保温のためのエネルギーを消費しないので、保温のためにエネルギーを消費してタンク内に温水を常に溜めておく場合と比較して、エネルギー消費を低減できる。
【0008】
また、上記吐水システムにおいて、前記タンク内への給水量を検出する流量計をさらに備え、前記制御装置は、前記タンク内への給水量をユーザーからの給水量指示に基づいた信号に応じた給水量に、前記検出された給水量に基づいて調整することが好ましい。これによれば、タンク内への給水量をユーザーの給水量指示に基づいて調整することができる。従って、タンク内でユーザーの温水の使用量に応じた温水を生成し、吐水装置により吐出することができる。これにより、ユーザーの使用しない温水がタンク内に残ることを抑制することができ、エネルギー消費をさらに低減できる。
【0009】
また、上記吐水システムにおいて、前記タンクは、収納台に収納された状態で前記給水装置および前記吐水装置と接続されるものであり、前記タンクは、前記収納台に対して着脱可能に構成されていることが好ましい。これによれば、収納台からタンクを取り外すことで、給水装置および吐水装置からタンクを切り離すことができる。従って、ユーザーがタンクに容易に触れることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる吐水システムは、エネルギー消費を低減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本実施形態にかかる吐水システムの概略構成例を示す図である。
【図2】図2は、本実施形態にかかる吐水システムの適用例を示す図である。
【図3】図3は、本実施形態にかかる吐水システムの制御方法のフローチャートを示す図である。
【図4】図4は、本実施形態にかかる吐水システムの他の概略構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
本実施形態にかかる吐水システムは、ユーザーからの給水指示に基づいて、給水源からタンク内に水を供給し、タンク内の水をヒータにより加熱し、タンク内の温水を吐水口から吐出するものである。図1は、実施形態にかかる吐水システムの概略構成例を示す図である。図2は、実施の形態にかかる吐水システムの適用例を示す図である。なお、図2においては、吐水システム1を構成する機器の一部のみを図示している。
【0014】
本実施形態では、図2に示すように、吐水システム1を収納台である洗面化粧台100に搭載した場合について説明する。吐水システム1は、図1に示すように、止水栓2と、電磁弁3と、流量計4と、タンク5と、ヒータ6と、温度センサ7と、ポンプ8と、吐水口9と、感知センサ10と、制御装置11と、表示部12と、給水スイッチ13とを含んで構成されている。なお、20は、表示部12および給水スイッチ13が設けられている操作表示パネルである。
【0015】
止水栓2は、給水源と、電磁弁3との間に設けられる水栓である。ここで、本実施形態では、給水源は、電磁弁3を開弁することのみでタンク5内に水を供給することができるように、予めポンプなどで水に圧力を与えることができるものであり、例えば住宅内に設けられた図示しない給水設備などである。
【0016】
電磁弁3は、給水源からタンク5内に給水する給水装置である。電磁弁3は、止水栓2を介して給水源と、流量計4を介してタンク5との間に設けられ、制御装置11に接続されている。電磁弁3は、制御装置11により開閉が制御されるものである。電磁弁3は、後述する給水指示信号に基づいて制御装置11により開弁される。
【0017】
流量計4は、タンク5内への給水量Qを検出するものである。流量計4は、電磁弁3と、タンク5との間に設けられ、制御装置11に接続されている。流量計4は、電磁弁3が開弁することで、タンク5内に供給される水の量、すなわち給水量Qを検出し、制御装置11に出力する。
【0018】
タンク5は、水を溜めるものである。タンク5は、ポンプ8が停止している状態で、電磁弁3が開弁することで内部に給水され、水が溜まるものである。タンク5には、内部にヒータ6および温度センサ7が設けられている。ここで、タンク5は、本実施形態では、図2に示すように、洗面化粧台100に対して着脱可能に構成されている。タンク5は、その一面が洗面化粧台100の表面の一部となるように、洗面化粧台100に収納され、密閉状態ではなく大気に解放されている。タンク5は、洗面化粧台100に収納された状態で、流量計4を介して電磁弁3およびポンプ8と接続されるように構成されている。つまり、タンク5が洗面化粧台100に収納された状態では、タンク5内へ給水することができ、ヒータ6により生成されたタンク5内の温水をポンプ8が駆動することにより吐水口9から吐出することができる。一方、タンク5が洗面化粧台100から取り外された状態では、タンク5内へ給水することができず、タンク5内で生成された温水をポンプ8が駆動することにより吐水口9から吐出することができないが、電磁弁3およびポンプ8からタンク5を切り離すことができる。従って、ユーザーは、タンク5に容易に触れることができる。これにより、例えば、タンク5内に残った温水を排水することや、タンク5の内部を露出させることができるので、ユーザーがタンク5内を洗浄することができ、衛生面での向上を図ることができる。
【0019】
なお、タンク5を洗面化粧台100から取り外すことができる場合は、電磁弁3の開弁時やポンプ8の駆動時に、タンク5を洗面化粧台100から取り外すことができないように、洗面化粧台100に対するタンク5の移動を規制するロック機構を備えることが好ましい。ロック機構は、電磁弁3およびポンプ8の動作に連動して作動するように、制御装置11により制御する。
【0020】
ヒータ6は、図1に示すように、タンク5内の水を加熱するものである。ヒータ6は、タンク5の内部、例えばタンク5の底部に設けられており、制御装置11に接続されている。ヒータ6は、タンク5内の水を直接加熱して温水とするものである。つまり、タンク5は、ヒータ6により加熱された水、すなわち温水を溜めるものである。また、ヒータ6は、制御装置11により動作が制御されるものである。ヒータ6は、後述する給水指示信号に基づいて制御装置11により作動し、タンク5内の水を加熱する。なお、ヒータ6は、タンク5が洗面化粧台100に収納された状態で、制御装置11と接続されるように構成されている。つまり、ヒータ6は、タンク5が洗面化粧台100に収納された状態で、タンク5内の水を加熱することができる。
【0021】
温度センサ7は、タンク5内の水の温度Tを検出するものであり、制御装置11に接続されている。温度センサ7は、ヒータ6により加熱されているタンク5内の水の温度Tを検出し、制御装置11に出力する。なお、温度センサ7は、タンク5が洗面化粧台100に収納された状態で、制御装置11と接続されるように構成されている。つまり、温度センサ7は、タンク5が洗面化粧台100に収納された状態で、タンク5内の水の温度を検出することができる。
【0022】
ポンプ8は、タンク5内の水を吐水口9から吐出する吐水装置である。つまり、ポンプ8は、ヒータ6により加熱されることで生成されたタンク5内の温水を吐水口9から吐出するものである。ポンプ8は、タンク5と、吐水口9との間に設けられ、制御装置11に接続されている。ポンプ8は、制御装置11により駆動が制御されるものである。ポンプ8は、本実施形態では、後述する使用要求信号に基づいて制御装置11により駆動され、あるいは制御装置11が出力する後述する排水指示信号により駆動される。
【0023】
吐水口9は、タンク5内の水を吐出するものである。吐水口9は、図2に示すように、洗面化粧台100の洗面器101に対向して配置されている。吐水口9より吐出された水は、洗面器101を介して排水される。また、吐水口9には、本実施形態では、図1に示すように、ユーザーを感知する感知センサ10が設けられている。
【0024】
感知センサ10は、ユーザーによるタンク5内の温水の使用要求を判断するものであり、制御装置11に接続されている。感知センサ10は、制御装置11により駆動され、洗面化粧台100で温水を使用するユーザーを感知、例えば吐水口9に対向する領域内に人体の一部が侵入すると、ユーザーの使用要求に基づいた信号である使用要求信号を制御装置11に出力する。
【0025】
制御装置11は、電磁弁3による給水、ヒータ6による加熱、ポンプ8による吐水を制御するものである。制御装置11は、後述する給水指示信号、流量計4により検出された給水量Q、温度センサ7により検出された温度T、使用要求信号などが入力値として入力され、入力値に基づいて電磁弁3の開閉制御、ヒータ6の動作制御、ポンプ8の駆動制御が行われ、後述する準備完了信号を表示部12に出力する。また、制御装置11は、タンク5内に温水が生成され、ユーザーにより使用の準備が完了となってから、設定時間X1が経過すると、ポンプ8を駆動してタンク5内から水を排水するために排水指示信号をポンプ8に出力する。ここで、設定時間X1は、予め設定されている制御変数であり、洗面化粧台100でユーザーが温水を使用しないと判断できる程度の時間であり、数分から十数分程度である。なお、制御装置11は、電源装置としても機能し、上述の電磁弁3の開閉動作を行う図示しないアクチュエータ、ヒータ6、ポンプ8を駆動する図示しないモータなどの電力を必要とする機器に電力を供給する。
【0026】
表示部12は、タンク5内に温水が生成され、ユーザーによる使用の準備が完了したことを表示するものであり、制御装置11と接続されている。表示部12は、実施の形態では、洗面化粧台100の表面の一部として形成された操作表示パネル20に設けられており、例えばLEDなどの光源により構成され、制御装置11から出力される準備完了信号により光源が点灯(点滅も含む)する。ここで、制御装置11は、本実施形態では、温度センサ7により検出されたタンク5内の水の温度Tが設定温度T1以上となった場合、すなわち温水が生成された場合に、準備完了信号を表示部12に出力する。ここで、設定温度T1は、予め設定されている制御変数であり、ユーザーが直接触れても影響がない温度をいい、例えば40℃程度の水をいう。つまり、温水とは、ユーザーが直接触れても影響がない温度をいう。
【0027】
給水スイッチ13は、ユーザーからの給水指示を判断するものであり、制御装置11に接続されている。給水スイッチ13は、洗面化粧台100の表面の一部として形成された操作表示パネル20に設けられており、例えばユーザーが押圧することでONとなり、ユーザーからの給水指示に基づいた信号である給水指示信号を制御装置11に出力する。
【0028】
次に、本実施形態にかかる吐水システムの制御方法、すなわち動作について説明する。図3に示すように、制御装置11は、まず、給水スイッチ13がONされたか否かを判断する(ステップST1)。ここでは、制御装置11は、給水スイッチ13がユーザーによりONされ、給水指示信号を取得したか否かを判断することで、ユーザーからの給水指示があったか否かを判断する。
【0029】
次に、制御装置11は、給水スイッチ13がONであると判断(ステップST1肯定)すると、電磁弁3を開弁するとともに、ヒータ6を作動させる(ステップST2)。ここでは、制御装置11は、ユーザーからの給水指示があった場合、電磁弁3を開弁してタンク5内へ給水を開始するとともに、タンク5内の水に対するヒータ6による加熱を開始する。つまり、制御装置11は、ユーザーからの給水指示があった場合、タンク5内への給水およびタンク5内の水の加熱を同時に行う。なお、給水スイッチ13がONでないと判断(ステップST1否定)すると、給水スイッチ13がONされるまで、ステップST1を繰り返す。
【0030】
次に、制御装置11は、タンク5への給水量Qが設定給水量Q1であるか否かを判断する(ステップST3)。ここでは、制御装置11は、流量計4により検出された給水量Qが設定給水量Q1以上となったか否かを判断する。ここで、設定給水量Q1は、予め設定されている制御変数であり、少なくともタンク5の容量以下の値である。
【0031】
次に、制御装置11は、タンク5への給水量Qが設定給水量Q1であると判断(ステップST3肯定)すると、電磁弁3を閉弁する(ステップST4)。なお、タンク5への給水量Qが設定給水量Q1でないと判断(ステップST3否定)すると、タンク5への給水量Qが設定給水量Q1となるまで、電磁弁3の開弁を維持する。
【0032】
次に、制御装置11は、タンク5内の水の温度Tが設定温度T1であるか否かを判断する(ステップST5)。ここでは、制御装置11は、温度センサ7により検出されたタンク5内の水の温度Tが設定温度T1以上となったか否かを判断することで、タンク5内に温水が生成されたか否かを判断する。
【0033】
次に、制御装置11は、タンク5内の水の温度Tが設定温度T1であると判断(ステップST5肯定)すると、ヒータ6を停止する(ステップST6)。ここで、制御装置11は、タンク5内の水の温度Tが設定温度T1であると判断(ステップST5肯定)すると、経過時間Xの計測を開始する。なお、タンク5内の水の温度Tが設定温度T1でないと判断(ステップST5否定)すると、タンク5内の水の温度Tが設定温度T1となるまで、ヒータ6の作動を維持する。
【0034】
次に、制御装置11は、準備が完了したことを表示部12により表示する(ステップST7)。ここでは、制御装置11は、タンク5内に温水が生成された場合に、準備完了信号を表示部12に出力し、表示部12が例えば点灯する。これにより、ユーザーは、タンク5内に温水が生成され、ユーザーによる使用の準備が完了したことを認識することができる。なお、タンク5内に温水が生成された場合には、表示部12による表示とともに、スピーカーから音声(ブザー音を含む)を出力しても良い。
【0035】
次に、制御装置11は、感知センサ10を駆動する(ステップST8)。ここでは、制御装置11は、ユーザーからの給水指示があった後、タンク5内に温水が生成されてから感知センサ10を駆動する。従って、ヒータ6により加熱中のタンク5内の水がポンプ8により吐水口9から吐出されることを防止することができる。また、感知センサ10の駆動は、ユーザーからの給水指示があった後、タンク5内に温水が生成されてからであるので、感知センサ10において使用する電力を低減でき、エネルギー消費を低減することができる。
【0036】
次に、制御装置11は、感知センサ10によりユーザーを感知したか否かを判断する(ステップST9)。ここでは、制御装置11は、駆動している感知センサ10がユーザーを感知し、使用要求信号を取得したか否かを判断することで、ユーザーによるタンク5内の温水の使用要求があるか否かを判断する。
【0037】
次に、制御装置11は、感知センサ10によりユーザーを感知したと判断(ステップST9肯定)すると、ポンプ8を駆動する(ステップST10)。ここでは、制御装置11は、ユーザーによるタンク5内の温水の使用要求がある場合、ポンプ8を駆動して、タンク5内の温水を吐水口9から吐出する。これにより、ユーザーは、タンク5内に生成された温水を使用することができる。
【0038】
次に、制御装置11は、設定時間X1を経過しているか否かを判断する(ステップST11)。ここでは、制御装置11は、上記計測している経過時間Xが設定時間X1以上となるか否かを判断することで、洗面化粧台100でユーザーが温水を使用しないと判断でき、タンク5内の温水を排水しても良いか否かを判断する。なお、制御装置11は、感知センサ10によりユーザーを感知していないと判断(ステップST9否定)しても、設定時間X1を経過しているか否かを判断する。つまり、制御装置11は、ユーザーによりタンク5内に生成された温水が使用されたか否かに拘わらず、タンク5内の温水を排水しても良いか否かを判断する。
【0039】
次に、制御装置11は、設定時間X1を経過していると判断(ステップST11肯定)すると、ポンプ8を駆動する(ステップST12)。ここでは、制御装置11は、洗面化粧台100でユーザーが温水を使用しないと判断でき、タンク5内の温水を排水しても良い場合、ポンプ8を駆動して、タンク5内の温水を吐水口9から吐出し、吐水口9より吐出された水が洗面器101を介して排水される。ここで、タンク5内に水が長時間残ると、タンク5内に雑菌が繁殖する虞がある。しかしながら、本実施形態では、タンク5内の温水を排水するので、タンク5内に水が長時間残ることがなく、タンク5内を常に良好な衛生状態に保つことができる。なお、このとき、感知センサ10の駆動を停止する。また、設定時間X1を経過していないと判断(ステップST11否定)すると、設定時間X1を経過するまで、感知センサ10の駆動および経過時間Xの計測を維持する。
【0040】
以上のように、本実施形態にかかる吐水システムでは、ユーザーからの給水指示があった場合に、タンク5内への給水およびタンク5内の水の加熱を行い、タンク5内に温水を生成し、ポンプ8により吐水口9から温水を吐出するので、予めタンク5内に温水を溜めておくことがない。従って、保温のための電力が必要ないので、保温のためのエネルギーを消費しない。つまり、保温のためにエネルギーを消費してタンク5内に温水を常に溜めておく場合と比較して、エネルギー消費を低減でき、必要最小限のエネルギーで、ユーザーに温水を提供することができる。これにより、吐水システムにおけるCO排出量を大きく削減することができる。
【0041】
なお、上記実施形態では、設定給水量Q1は、ユーザーにより変更可能であっても良い。例えば、設定給水量Q1を複数の値に変更することができるスイッチあるいは回転つまみを操作表示パネル20に設け、制御装置11がこれらから出力されるユーザーからの給水量指示に基づいた信号に基づいて設定給水量Q1に対応する制御変数を変更しても良い。この場合、制御装置11は、タンク5内への給水量をユーザーからの給水量指示に基づいた信号に応じた給水量である設定給水量Q1に、流量計4により検出された給水量Qに基づいて調整することとなる。従って、タンク5内への給水量をユーザーの給水量指示に基づいて調整することができるので、タンク5内でユーザーの温水の使用量に応じた温水を生成し、ポンプ8により吐出することができる。これにより、ユーザーの使用しない温水がタンク5内に残ることを抑制することができ、エネルギー消費をさらに低減できる。
【0042】
また、上記実施形態では、タンク5により生成された温水のみをポンプ8を介して吐水口9より吐出するがこれに限定されるものではない。図4は、実本施形態にかかる吐水システムの他の概略構成例を示す図である。同図に示すように、給湯源からの温水を給湯装置14により吐水口9から吐出するようにしても良い。ここで、給湯源は、例えば上記給水源から給水された水をヒータにより加熱し保温する貯湯タンクなどの常に温水を供給できるものである。給湯装置14は、給湯源と、吐水口9との間に設けられ、例えば制御装置11により制御されるポンプである。つまり、吐水口9は、タンク5内の温水をポンプ8により吐出することができるとともに、給湯源の温水を給湯装置14により吐出することもできる。例えば、ユーザーが直ぐに温水を使いたい場合は、吐水口9を介して給湯装置14から温水を吐出させる。また、ユーザーがタンク5内に温水が生成されるのを待てる場合は、吐水口9を介してポンプ8から温水を吐出させる。従って、ユーザーにおける温水の使用用途に応じてタンク5内の温水と給湯源の温水を使い分けることができる。なお、給湯装置14を備える吐水システム1では、吐水口9に対するポンプ8と給湯装置14との接続をユーザーの操作あるいは指示により切り替える切り替え弁を備えることが好ましい。
【0043】
また、上記実施形態では、設定給水量Q1と同様に、設定温度T1、設定時間X1は、ユーザーにより変更可能であっても良い。例えば、設定温度T1、設定時間X1を複数の値に変更することができるスイッチあるいは回転つまみを操作表示パネル20に設け、制御装置11がこれらから出力される信号に基づいて設定温度T1、設定時間X1に対応する制御変数を変更しても良い。
【0044】
また、上記実施形態では、吐水口9は感知センサ10が設けられておらず、ユーザーの操作により、ユーザーによるタンク5内の温水の使用要求が判断できる操作部が設けられていても良い。
【0045】
また、上記実施形態では、設定時間X1を経過すると、タンク5内の温水を排水するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、再度ユーザーからの給水指示があった場合に、タンク5内への給水およびタンク5内の水の加熱を行う前に排水するようにしても良い。また、洗面化粧台100の前にユーザーが立っていることを感知するセンサを備え、センサの出力に基づいて洗面化粧台100の前からユーザーがいなくなったと判断できた場合に、タンク5内の温水を排水しても良い。また、上記実施形態では、タンク5内の温水を吐水口9から排水するが本発明はこれに限定されるものではなく、タンク5内の温水を排水する排水経路をタンク5から吐水口9までの経路と別に設けても良い。
【0046】
また、上記実施形態では、設定給水量Q1が一定であれば流量計4を設けなくても良い。例えば、給水源からタンク5内に供給される水の流量が一定である場合は、制御装置11は、電磁弁3の開弁からの経過時間に基づいて給水量Qを算出することができる。また、タンク5の最大容量を設定給水量とする場合は、タンク5の最大容量に対応する位置に水位を検出するセンサを設け、制御装置11は、センサにより水が検出されたことで、タンク5内への給水量Qが設定給水量Q1となったと判断しても良い。
【0047】
また、上記実施形態では、吐水システム1が洗面化粧台100に搭載された場合について説明したがこれに限定されるものではない。例えば、ノズルより温水を吐出し、人体の局部を洗浄する温水洗浄器に本実施形態に係る吐水システムを搭載しても良い。この場合、タンク5内の温水を排水する際に、排水する温水を温水洗浄器のノズル洗浄に用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明にかかる吐水システムは、温水を吐出する吐水システムに有用であり、特に、エネルギー消費を低減するのに適している。
【符号の説明】
【0049】
1 吐水システム
2 止水栓
3 電磁弁(給水装置)
4 流量計
5 タンク
6 ヒータ
7 温度センサ
8 ポンプ(吐水装置)
9 吐水口
10 感知センサ
11 制御装置
12 表示部
13 給水スイッチ
20 操作表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクと、
給水源から前記タンク内に給水する給水装置と、
前記タンク内の水を加熱するヒータと、
前記タンク内の水を吐水口から吐出する吐水装置と、
少なくとも前記給水装置、ヒータを制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、ユーザーからの給水指示に基づいた信号により、前記給水装置による給水および前記ヒータによる加熱を行うことを特徴とする吐水システム。
【請求項2】
前記タンク内への給水量を検出する流量計をさらに備え、
前記制御装置は、前記タンク内への給水量をユーザーからの給水量指示に基づいた信号に応じた給水量に、前記検出された給水量に基づいて調整することを特徴とする請求項1に記載の吐水システム。
【請求項3】
前記タンクは、収納台に収納された状態で前記給水装置および前記吐水装置と接続されるものであり、
前記タンクは、前記収納台に対して着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の吐水システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−33237(P2011−33237A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178125(P2009−178125)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】