説明

吐水装置

【課題】新規な発想に基づき、コンパクト且つシンプルな構造で、水力を利用した反復的な直線動作あるいは回動動作を可能とした吐水装置を提供する。
【解決手段】内部に柱状の空間を有するハウジング2と、柱状の空間を第1及び第2の圧力室16,18に分割しつつ空間内を移動可能とされ、内部に中子内流路を有する中子20と、中子内流路に連通しハウジングの外側に至る吐水流路を有する吐水筒体と、第1の圧力室16に流体を導入する第1の入水口12と、第2の圧力室18に流体を導入する第2の入水口14と、第1の圧力室から中子内流路に流体を導入する第1の導入口と、第2の圧力室から中子内流路に流体を導入する第2の導入口34と、第1及び第2の導入口の開度を変化させる弁体42と、中子の移動方向の反転時に第1及び第2の導入口の開度の比率を変化させる制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐水装置に関し、特に、シャワーノズルや散水ノズルなどの吐水位置や吐水方向を反復的に変化させる自動往復動作を可能とした吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リラクゼーションや美容健康増進などを目的としたシャワーシステムや吐水・噴霧システムのニーズが高まっている。これらの用途においては、例えば、旋回流などを利用して数10ヘルツ以上の比較的高速で水流を変調させることにより、マッサージ効果などを促進するアプローチがある。また一方、例えば数ヘルツ以下の比較的ゆっくりとした速度でシャワーノズルなどの吐水位置や吐水方向を反復的に変化させると、例えば人体の所定範囲に均一に吐水を噴射してリラクゼーション効果などを促進することが可能である。
【0003】
同様のニーズは、民生用機器、産業用途あるいは農林用途などにおいても広く存在し、洗浄、リンス、冷却、加湿、前処理、育成などの多種多様な目的のために、ゆっくりとした往復動作が必要とされている。
【0004】
往復動作のために、モータやソレノイドなどの電動手段を用いることも可能であるが、浴室などで吐水させるシステムに搭載するためには、電源の確保や、感電や漏電などに対する対策が必要とされ、コストや信頼性の点でも解決すべき課題が多い。
【0005】
これに対して、往復動作を水力により実現できれば、電気や潤滑オイルなどが不要となり、初期コスト、ランニングコスト、信頼性、メンテナンス性などの多くの観点で、改善が期待できる。
【0006】
上下往復動作を可能としたシャワー装置として、ピストンと4方弁とを組み合わせたものが開示されている(特許文献1)。このシャワー装置は、シリンダー内に設けられたピストンを水圧により上下動作させ、ワイヤーを介してシャワーヘッドを上下に移動させる。ピストンの上下動作の切替は、シリンダーに対する給水流路を4方弁により切り替えることにより実施される。
【特許文献1】特開平2−134119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、このシャワー装置の場合、シリンダーと4方弁とが別体として設けられ、システムが大型且つ複雑である。また、流路が長くなるために、圧力損失が大きく、吐水力が低下するという点でも改善の余地がある。
【0008】
本発明はかかる課題の認識に基づいてなされたものであり、その目的は、新規な発想に基づき、コンパクト且つシンプルな構造で、水力を利用した反復的な直線動作あるいは回動動作を可能とした吐水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一態様によれば、内部に柱状の空間を有するハウジングと、前記柱状の空間を第1及び第2の圧力室に分割しつつ前記空間内を移動可能とされ、内部に中子内流路を有する中子と、前記中子内流路に連通し前記ハウジングの外側に至る吐水流路を有する吐水筒体と、前記第1の圧力室に流体を導入する第1の入水口と、前記第2の圧力室に流体を導入する第2の入水口と、前記第1の圧力室から前記中子内流路に流体を導入する第1の導入口と、前記第2の圧力室から前記中子内流路に流体を導入する第2の導入口と、前記第1及び第2の導入口の開度を変化させる弁体と、前記中子の移動方向の反転時に前記第1及び第2の導入口の開度の比率を変化させる制御手段と、を備えたことを特徴とする吐水装置が提供される。
【0010】
上記構成によれば、中子の移動に伴い吐水筒体を移動させることができ、吐水位置を水力により変化させる吐水装置を提供できる。また、第1及び第2の導入口の開度の比率を変化させることにより、コンパクトでシンプルな構成で往復直線運動を生じさせることができる。
【0011】
一方、本発明の他の一態様によれば、内部に扇状の空間を有するハウジングと、前記扇状の空間を第1及び第2の圧力室に分割しつつ前記空間内を回動可能とされ、内部に中子内流路を有する中子と、前記中子内流路に連通し前記ハウジングの外側に至る吐水流路を有する吐水筒体と、前記第1の圧力室に流体を導入する第1の入水口と、前記第2の圧力室に流体を導入する第2の入水口と、前記第1の圧力室から前記中子内流路に流体を導入する第1の導入口と、前記第2の圧力室から前記中子内流路に流体を導入する第2の導入口と、前記第1及び第2の導入口の開度を変化させる弁体と、前記中子の回動方向の反転時に前記第1及び第2の導入口の開度の比率を変化させる制御手段と、を備えたことを特徴とする吐水装置が提供される。
【0012】
上記構成によれば、中子の回動に伴い吐水筒体を回転させることができ、吐水方向を水力により変化させる吐水装置を提供できる。また、第1及び第2の導入口の開度の比率を変化させることにより、コンパクトでシンプルな構成で往復回動運動を生じさせることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コンパクト且つシンプルな構造で、水力を利用した反復的な直線動作あるいは回動動作を可能とした吐水装置を提供することができ、産業上のメリットは多大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の吐水装置の全体構成を例示する模式図である。
すなわち、本発明の吐水装置10は、ハウジング2と、ハウジング2から突出した吐水筒体80と、を有する。図1には、吐水筒体80がハウジング2の両側から突出した吐水装置を表したが、本発明はこれには限定されず、後に具体例を挙げて説明するように、吐水筒体80はハウジング2の一方のみに設けてもよい。そして、吐水筒体80の中には吐水流路82が設けられ、その先端にシャワーノズルなどの吐水ノズル800を接続することにより、吐水W2が得られる。
【0015】
ハウジング2には、2つの入水口12、14が設けられている。これら入水口12、14を並列に接続し、水やお湯などの流体W1をこれら入水口12、14にほぼ同圧に供給すると、吐水筒体80が矢印Mで表したように、左右に往復運動をしながら、吐水ノズル800から流体Wを吐水する。従って、ハウジング2を固定すれば、吐水位置が反復的に変化する吐水装置として利用できる。また一方、吐水ノズル800を固定すれば、ハウジング2が反復運動することとなり、この運動を、例えばマッサージなどに利用することもできる。
【0016】
なお、本発明においては、往復直線運動のみならず、往復回動運動も可能である。この点については、後に具体例を挙げて詳述する。
【0017】
図2乃至図5は、本発明の吐水装置の動作メカニズムを説明するための模式図である。 すなわち、本発明の吐水装置は、ハウジング2の中に移動可能に設けられた中子(なかご)20を有する。ハウジング2の内部は、中子20によって2つの圧力室16、18に分割されている。中子20は中空構造を有し、その中空空間は、吐水筒体80に設けられた吐水流路82と連通した中子内流路24を構成している。また、中子内流路24は、導入口32、34を介してそれぞれ圧力室16、18と連通する。
【0018】
中子20には、導入口32、34の開度を変化させる弁体42、44が設けられている。また、中子20には、これら弁体42、44を制御する制御手段が設けられている。制御手段によって導入口32、34の開度に差を設けることにより、入水口から中子内流路24に至る左右の流路の流路抵抗を異ならせ、これにより左右の圧力室16、18に生ずる圧力差を利用して中子20を移動させることができる。図2に表した状態においては、制御手段は弁体42、44をそれぞれ右端に付勢された状態とし、中子20の右側に流体の導入口34が開かれている。従って、入水口14から供給された水などの流体は、圧力室18から矢印Cで表した経路で中子20の中子内流路24に流入し、吐水筒体80に設けられた吐水流路82を通って矢印D、Eで表したように流出する。一方、ハウジングの入水口12から供給された流体は流出経路がないため、圧力室16の圧力は圧力室18の圧力よりも上昇する。その結果として、中子20は矢印Mの方向に動く。
【0019】
図6は、導入口32、34の開度に差を設けることの作用効果を説明するための模式図である。
すなわち、図6(a)に例示したように、弁体42、44が中立的な状態にあり、導入口32、34の開度がほぼ同一の状態においては、これら導入口32、34を介した流路の流路抵抗もほぼ同一となるので、中子20の左右で圧力差は生じない。従って、何らかの外力が作用しないと中子20は動かない。
【0020】
これに対して、図6(b)に例示したように、弁体42、44が中立的な状態から外れて導入口32、34の開度に差が生ずると、流路抵抗にも差が生ずるために、中子20の左右で圧力差が生ずる。
【0021】
なお、本願明細書において、導入口の「開度」とは、導入口と弁体との間を流れる流体の流路抵抗を決定するパラメータであるものとする。例えば、図6(b)に表した状態においては、導入口32と弁体42との間に形成される流路の流路抵抗は、導入口34と弁体44との間に形成される流路の流路抵抗よりも高い。この場合、導入口32の開度は、導入口34の開度よりも小さいものとする。
図6(b)に表した具体例の場合には、導入口34の開度が導入口32の開度よりも大きいので、導入口32を介した流路のほうが流路抵抗が高くなる。その結果として、中子20の左側のほうが右側よりも圧力が高くなる。その結果として、中子20及び弁体42に圧力差による力がそれぞれ作用する。
【0022】
従って、中子20にかかる力が摺動抵抗を上回る時には、中子20は右側に動くこととなる。また一方、弁体42も中子20に対して移動可動であるので、弁体42にかかる力が弁体42の摺動抵抗を上回る時には、弁体42が中子20に対して相対的に右側に移動する。弁体42が右側に移動すると導入口32を介する流路抵抗がますます高くなるために圧力差が拡大する。つまり、中子20及び弁42にかかるそれぞれの力は増加することとなり、中子20と弁体42の移動が促進される。
そして遂には、図6(c)に表したように、導入口32が全閉状態となる。この時、左右の流路抵抗の差が最も大きい状態となり、中子20及び弁体42には、最大の圧力差に対応した力がそれぞれ作用する。
【0023】
以上説明したように、本発明において中子20を動かすためには、導入口32、34の開度に差を設けて移動に必要な圧力差を生じさせればよい。このとき、導入口の一方を開状態、他方を閉状態とすることで最大の圧力差が得られ、最も確実且つ安定的な移動力が得られる。
【0024】
再び図3に戻って説明を続けると、同図に表したように中子20がハウジング2内をその移動ストロークの右端または右端近傍まで動くと、制御手段の制御によって、弁体42、44が左側に移動する。すると、中子20の右側の導入口34は閉じられ、左側の導入口32が開かれる。この状態においては、入水口12から供給された流体は矢印Cで表したように圧力室16から導入口32を介して中子20の中子内流路24に流入し、矢印D、Eで表したように吐水筒体80から流出する。一方、入水口14から供給された流体は流出経路がないために圧力室18の圧力が上昇する。その結果として、中子20は、図3及び図4に矢印Mで表したように左方向に動く。
【0025】
中子20が左側に動き続け、図5に表したように、ハウジング2の左端または左端近傍に至ると、制御手段の制御によって、弁体42、44が右側に移動する。すると、図2に関して前述したように、中子20の左側の導入口32が閉じて右側の導入口34が開く。その結果として、圧力室18の圧力が低下し、圧力室16の圧力が上昇して中子20は矢印Mで表したように右側に動く。この後、図2乃至図5に関して前述した動作を繰り返すことにより、中子20は、ハウジング2の中を左右に反復して動き続ける。
【0026】
以上説明したように中子20がハウジング2の中で反転する際には、制御手段によって弁体42、44が制御される。このような制御は、例えば、磁石を利用して実現できる。
【0027】
図7は、磁石によって中子の反転動作を制御するメカニズムを説明するための模式図である。
すなわち、図7(a)は、中子20が向かって左側から右側に向けて移動し、ハウジング本体2の内壁に弁体44が当接した状態を表す。なお、この具体例の場合、中子20には磁石70が設けられ、ハウジング2には磁石(または強磁性体)74が設けられている。図7(a)の状態においては、中子20に対して圧力差による力が働くので、中子20はさらに右側に移動する。すなわち、弁体44をハウジング2に当接させ移動方向に対して固定した状態で、中子20はさらに右側に移動する。
【0028】
すると遂には図7(b)に表した状態になる。この状態においては、導入口32、34の開度はほぼ同一であるので、流路抵抗の差による圧力差は生じない。しかしこの時、磁石70と磁石(または強磁性体)74との間に作用する引力によって中子20をさらに右側に引き寄せることが可能である。
【0029】
なおこの場合、中子20の摺動抵抗の値によっては、図7(b)に表した状態になる前に中子20が停止することもあり得る。このような場合には、図7(a)と図7(b)の間の状態において磁石70と磁石(または強磁性体)74との間に作用する引力により中子20を引き寄せることが望ましい。
【0030】
さて、図7(b)に表した状態から中子20が磁石の引力によって右側に引き寄せられると、図7(c)に表したように導入口32の開度が導入口34の開度よりも大きい状態が形成される。すると、これら導入口32、34の流路抵抗に差が生じ、圧力差が生ずる。すなわち、中子20の右側の圧力のほうが高くなり、中子20は向かって左側に動き始める。つまり、導入口32、34の開度差の大小関係を逆転させることにより、中子20を反転させることが可能となる。
【0031】
またこの時、図6に関して前述したように、圧力差は弁体44にも作用し、弁44を閉じる方向の力が働く。その結果として、図7(d)に表したように、弁体44が完全に閉じられ、中子20の右側の圧力は最大値に上昇する。つまり、中子20を反転させた後、左側への最大の駆動力が得られる。
【0032】
以上説明したように、磁石70と磁石(または強磁性体)74との間に作用する引力によって、中子20を図7(c)に表した状態まで引き寄せることができれば、導入口32、34の開度差の大小関係を逆転させることができ、中子20を反転させることができる。つまり、中子20をハウジング2の中で往復直線運動させることができる。
【0033】
なお、この場合、反転後に中子20が磁石の引力に打ち勝って移動する必要がある。つまり、圧力差により中子20に作用する力と、磁石により得られる引力とのバランスを適宜設定することが望ましい。
【0034】
また、図7に表した具体例の場合、弁体42、44の表面(ハウジング2との当接面)は曲面状に突出し、ハウジング2に当接した状態でも隙間が生ずるようにしている。このように、ハウジング2への当接面積を小さくすることによって、弁体が受ける圧力差を有効に活用でき、開度の大小を逆転させるという弁体の反転動作を円滑に行うことができる。
【0035】
また、図7に表した具体例の場合、中子20の反転に際して、弁体42、44をハウジング2の内壁に当接させているが、本発明はこれに限定されない。例えば、弁体42、44に磁石を設け、一方、ハウジング2の内壁にも磁石を設け、これらの間に作用する反発力を利用して弁体42、44をハウジング2に対して相対的に停止させることも可能である。つまりこの場合には、図7(a)乃至(c)に対応する状態において、弁体42、44がハウジング2の内壁に当接せず、磁石(図示せず)の反発力によりハウジング2の内壁から所定の距離だけ離れた状態にあることとなる。このようにすれば、非接触で中子を反転させることができる。
【0036】
以上説明したように、中子20を動かすためには、導入口32、34の開度に差を設けて移動に必要な圧力差を生じさせればよい。また同様に、中子20の移動方向を反転させる際にも、制御手段によって、導入口32、34の開度の大小関係を逆転させればよい。例えば、導入口32及び34の開度の比率を制御手段によって、70:30から30:70に変化させることにより、反転動作が可能である。またさらに、制御手段によって、開度を100:0から0:100に変化させれば、最も確実且つ安定的反転動作が可能となる。
【0037】
本発明によれば、ハウジング2に収容した中子に弁体42、44と制御手段を設け、両側の圧力室に流体を供給することにより、中子20を往復運動させることができる。このとき、中子20の移動方向と弁体42、44の可動方向とを略同一とすることにより、中子20の移動動作と開度制御動作とを連動させ、中子20の反転のための導入口32、34の開度の大小関係を逆転させるという弁体の反転動作を確実且つ容易なものとし、シンプルでコンパクトな弁体と制御手段を実現している。
【0038】
本発明によれば、電気などの機械動力を必要とせず、水(流体)の供給圧力のみで円滑な往復反転運動が可能となり、電源の設置や感電あるいは漏電など対する対策が不要となる。また、電磁ノイズなどの外乱にも影響されず円滑な動作が可能である。その結果、例えば、浴室や屋外、あるいは各種の産業現場などの様々な環境においても安定して動作させることができる。
【0039】
またさらに、本発明の吐水装置は、弁体42、44や制御手段が中子20に付属して設けられているので、例えば外付けの4方弁などが不要となり、シンプルな構成で円滑な往復反転運動を実現できる。その結果として、小型化が容易となり、また流路がシンプルになるため、圧力損失を抑えることができ、吐水量や吐水圧を確保できる点でも有利である。また、弁体42、44や制御手段がハウジング2の中に内蔵されている構造であるため、外乱に強く円滑な動作を実現できる。その結果として、例えば、浴室や屋外、あるいは各種の産業現場などの様々な環境においても安定して動作させることができる。
【0040】
また、給水に関し、同一の給水源から分岐して2つの入水口に接続するだけでよく、施工性に優れる。
さらに、移動する中子と吐水筒体の内部に流体の流路が形成されているため、吐水筒体の先端に様々な吐水ノズルを接続するだけで吐水位置や吐水方向を往復運動させることが可能であり、特別な接続部材が不要である点でも、施工性に優れる。
【0041】
以下、具体例を参照しつつ本発明の吐水装置についてさらに詳細に説明する。
まず、本発明の第1の実施例として、磁石と板ばねとを組み合わせた制御手段を有する吐水装置について説明する。
図8乃至図11は、本発明の第1の実施例の吐水装置の要部を表す模式図である。すなわち、図8は、本実施例の吐水装置の斜視図であり、図9は、その斜視切断図、図10は、断面図、図11は、図10のA−A線断面図である。
本実施例の吐水装置100は、ハウジング本体102とハウジング蓋104により形成されるハウジングから左右に吐水筒体180が突出した例を有する。吐水筒体180は、内部に吐水流路182を有する中空構造となっており、先端にて開口している。なお、吐水筒体180は、必ずしも円柱状である必要はなく、角柱状や偏平形状など、各種の例を与えることができる。
【0042】
ハウジング本体102に設けられた入水口112、114に水などの流体を導入すると、左右に突出した吐水筒体180が矢印Mの方向に往復直線運動をする。従って、吐水筒体180の先端にシャワーノズルなどの吐水ノズルを設ければ、吐水位置が反復的に移動する吐水装置を構成できる。
【0043】
その内部構造について説明すると、図9乃至図11に表したように、ハウジング本体102及びハウジング蓋104により形成されるシリンダ空間に、中子本体120と中子蓋122とからなる中子が移動可能に収容されている。中子本体120と中子蓋122は、ハウジングから左右に突出する吐水筒体180とそれぞれ連結され、ハウジング内を第1の圧力室116と第2の圧力室118とに分割してピストンのように動く。これら圧力室116、118のそれぞれには、入水口112、114からそれぞれ水などの流体が導入される。中子本体120とハウジング本体102の内壁との摺動部には、液密を維持しつつ摺動を円滑にするためのシール126が設けられている。また、吐水筒体180とハウジング本体102(ハウジング蓋104)との摺動部にも、同様の目的でシール184が設けられている。これらシール126、184の材料としては、例えば、テフロン(登録商標)やPOM(ポリアセタール)などを用いることができる。
【0044】
次に、中子の構造について説明する。
中子本体120に中子蓋122を組合せることにより中子内流路124が形成され、この中子内流路124は、左右の吐水筒体180に設けられた吐水流路182に連通している。中子本体120及び中子蓋122には、中子内流路124と圧力室116、118とを連通させる導入口132、134が設けられている。そして、この中子内流路124を横断するように、弁体352、354が設けられている。
【0045】
左右の弁体352、354は、図11に表したように、板ばね160をはさんで連結され、導入口132、134を貫通して左右に移動可能に設置されている。なお、板ばね160は、その両端が中子本体120に支持されており、弁体352、354は、板ばね160を介して中子に対して相対的に移動する。弁体352、354は、圧縮された板ばね160により付勢され、導入口132、134を全開状態あるいは全閉状態のいずれかに択一的に制御する。
【0046】
図12は、これら弁体を表す斜視図である。弁体352、354にはリブ353が形成されており、弁体352、354が導入口132、134に対して同軸に移動するように構成されている。弁体352、354がそれぞれ中子蓋122、中子本体120から離れる方向に移動すると、これらリブ353の間に設けられている溝部355が導入口132、134の開口部となり流体の流路を形成する。
【0047】
また一方、中子には、磁石370が埋め込まれている。そして、これに対応して、ハウジング本体102、ハウジング蓋104には、磁石(あるいは強磁性体)374、372がそれぞれ埋め込まれている。なお、図示した具体例において、磁石(あるいは強磁性体)374、372を円環状に設けたのは、中子を吐水筒体180を軸として回転可能とするためである。
図9乃至図11に例示したように、弁体354が中子本体120から離れる方向に付勢されている時、導入口134が開かれる。一方、これとは逆に、弁体352が中子蓋122から離れる方向に付勢されている時は、導入口132が開かれる。
そして、本実施例においては、磁石370と、磁石(あるいは強磁性体)372、374との引力を付与することより、板ばね160を確実に反転させて弁体352、354を付勢することにより、導入口132、134を全開状態あるいは全閉状態の択一的な状態に制御することができる。
【0048】
以下、本実施例の吐水装置の動作について説明する。
図13は、本実施例の吐水装置の往復直線運動を表す模式図である。図1乃至図5に関して前述した吐水装置と同様に、本実施例においても、中子が往復直線運動をする。
すなわち、同図(a)の状態においては、弁体352、354は板ばね160の付勢力によって右側に付勢され、導入口132は閉じ、導入口134が開いた状態とされている。この状態で入水口112、114にほぼ同圧に水などの流体を供給すると、矢印Bで表したように入水口114から圧力室118に導入された水は、矢印Cで表したように導入口134から中子内流路124に流入し、左右に連通する吐水流路182、182を介して矢印D、Eで表したように流出する。
これに対して、矢印Aで表したように入水口112から圧力室116に導入された水は、導入口132が閉じているために流出経路がなく、圧力室116の圧力を上昇させる。
つまり、導入口132、134の開度に差を設けることにより流路抵抗に差が生じ圧力差が生ずる。その結果として、圧力室118よりも圧力室116の圧力のほうが高くなり、中子は矢印Mの方向に押されて移動する。
【0049】
なお、中子が矢印Mの方向に移動すると、圧力室116の容積が増大し、その分だけ圧力室118の容積が縮小する。このため、矢印Aの経路による圧力室116への流体の流入量の分、圧力室118内の流体も押し出され、流路182から流出する流体の吐水量に含まれることとなる。
【0050】
そしてさらに中子が移動を続けると、弁体354がハウジング本体102の内壁に当接し、中子に対して押される。またこの時、中子に内蔵された磁石370と、ハウジング本体102に設けられた磁石(あるいは強磁性体)374との間に引力が作用し、中子が右側に引き寄せられる。これらの作用の相乗により、中子がハウジング本体102の右端方向に移動し、弁体354が中子に対して押されることによって、板ばね160の湾曲方向が反転し、図13(b)に表したように、弁体352、354は、向かって左側に向けて付勢される。すなわち、導入口132が開き、導入口134が閉じる。
【0051】
図13(b)に表した状態においては、矢印Aで表したように入水口112から圧力室116に導入された流体は、導入口132を介して流出する。これに対して、矢印Bで表したように、入水口114から圧力室118に導入された流体は、導入口134が閉じているために流出経路がなく、圧力室118の圧力を上昇させる。その結果として、中子は矢印Mで表したように左側に向けて移動を開始する。
【0052】
中子が移動すると、図13(c)に表したように、弁体352がハウジング蓋104の内壁に当接する位置まで移動する。この状態からさらに中子が移動し、板ばね160を押し始める。また同時に、中子に内蔵されている磁石370と、ハウジング蓋104に設けられている磁石(強磁性体)372との間に作用する引力によって中子はさらに左側に引きよせられる。その結果として、弁体352が中子に対して押されて板ばね160の湾曲方向が反転し、弁体352、354が反対方向に付勢される。
【0053】
以上説明したように、本実施例によれば、中子に内蔵した磁石370と、ハウジング本体102、ハウジング蓋104に設けた磁石(あるいは強磁性体)374、372との間に作用する引力を利用することにより、導入口の開度差の大小を逆転させて流路抵抗の大小の差を逆転させることにより、圧力差を逆転させて、中子を左右に反復的に動作させることができる。
【0054】
次に、本実施例における制御手段の作用についてさらに詳しく説明する。
図14は、本実施例における制御手段の動作を説明するための模式図である。
すなわち、同図(a)は、弁体354がハウジング本体102の内壁に当接した瞬間を表す。この時、板ばね160は向かって右側に湾曲しており、また、導入口134のほうが導入口132よりも開度が大きい状態である。従って、中子には右側に向けた水圧が印加されている。
【0055】
この状態から、板ばね160の付勢力に打ち勝って中子がさらに右側に移動すると、弁体354が中子に対して押されて図14(b)に表したように導入口132と導入口134の開度がほぼ等しい状態になる。すなわち、中子には水圧による駆動力がかからない状態となる。この時、板ばね160も左側に押されて変形するが、同図に例示したような略S字状の準安定な中立状態となる場合がある。また、板ばね160は、図14(a)に表した状態と図14(b)に表した状態の中間にあることもある。つまり、板ばね160は左側に反転することができないまま、中子が停止してしまう。
【0056】
これに対して、本実施例においては、中子に内蔵した磁石370と、ハウジング本体102に設けた磁石(または強磁性体)374との間に働く引力によって中子を右側に引き寄せることができる。つまり、図14(b)に表したように、弁体352の動作により導入口132が開き始めた段階で、磁力を作用させることにより中子を右側に引き寄せることができる。
【0057】
中子が右側に引き寄せられていくと、板ばね160が準安定な中立状態を脱して、図14(c)に表したように左側への反転を開始する。そして、図14(d)に表したように左側に湾曲した状態に反転すると、弁体352の動作により導入口132が全開し、弁体354の動作により導入口134が閉じた状態が形成される。
【0058】
この後は、中子の両側に圧力差が生ずるので、中子は左側に向けて動く。なお、この時に、圧力差による駆動力が磁石370と磁石(あるいは強磁性体374)との引力を上回るように設定する必要がある。
【0059】
以上説明したように、本実施例によれば、磁石370及び磁石(あるいは強磁性体)372、374の引力を利用して、中子を引き寄せることにより、弁体352、354を中子に対して押して板ばね160を確実に反転させることができる。つまり、磁石の引力を利用して弁体352、354の状態を制御することができ、導入口132、134の開度差の大小関係を逆転させ、流路抵抗の差の大小関係を逆転させて圧力差を逆転させることにより、円滑な往復直線運動を実現できる。
【0060】
また、中子の移動方向と、弁体352、354の可動方向、板ばね160の付勢方向、さらに磁石370、372、374の引力の作用方向を略同一とすることにより、力の働き方に無駄がなく、受圧面積の大きな中子の移動力を有効に活用でき、円滑かつ安定した動作が可能となる。つまり、中子の移動動作と開度制御動作とを連動させ、中子の反転のための導入口132、134の開度の大小関係を逆転させる制御動作を確実且つ容易なものとし、シンプルでコンパクトな弁体と制御手段を実現している。
【0061】
また、このようにすると、中子がその移動ストロークの中間付近などに停止している状態から吐水を開始させるような場合においても、吐水開始時に板ばね160により弁体352、354を制御して導入口132、134のいずれかが択一的に開かれた状態にあり、中子の両側に圧力差を形成させて安定した初期動作を開始させることができる。つまり、導入口132の開度よりも導入口134の開度が大なる状態と、導入口134の開度よりも導入口132の開度が大なる状態と、を択一的に保持可能とすることができる。
【0062】
なお、本実施例の吐水装置の場合、図9などに表したように、吐水筒体180とハウジング本体102(ハウジング蓋104)との間のシール184をハウジング本体102(ハウジング蓋104)の側に設けているので、ストローク方向のサイズを短くでき、小型化できる。
【0063】
また、本実施例の場合、中子の反転に際して、弁体352、354をハウジングの内壁に当接させているが、本発明はこれに限定されない。例えば、弁体352、354に磁石を設け、一方、ハウジングの内壁にも磁石を設け、これらの間に作用する反発力を利用して弁体352、354をハウジングに対して相対的に停止させることも可能である。つまりこの場合には、図14(a)乃至(c)に対応する状態において、弁体354がハウジング102の内壁に当接せず、磁石(図示せず)の反発力によりハウジング102の内壁から所定の距離だけ離れた状態にあることとなる。このようにすれば、非接触で中子の反転が可能となる。
【0064】
また一方、本実施例においては、往復直線動作において得られる推力は、中子に負荷される流体の圧力と中子の受圧面積との積により決定される。従って、中子の受圧面積を増加させれば、それに応じた大きな推力を得ることが可能となる。
【0065】
また、図9乃至図11及び図14においては、ハウジング内に設けられた略円筒状の空間に円形の中子を収容した具体例を表したが、本発明はこれには限定されない。例えば、ハウジング本体102の内部空間は、角柱状でも偏平柱状でもよく、中子もこれら形状に合わせて各種の形状とすることができる。
【0066】
また、吐水筒体180の外周形状も円形である必要はなく、多角形状や偏平形状であってもよい。またさらに、吐水筒体180は中子の中心に設ける必要はなく、中子の中心から偏心させて設けてもよい。このようにすれば、中子の小型化が容易であり、吐水装置を小型化できる。
【0067】
なお、本具体例の如くハウジング内空間を円柱状とし、吐水筒体180を円筒状の中子の中心に設けた場合には、吐水筒体180を回転できる。つまり、吐水筒体180の先端に吐水ノズルを設けた場合に、中子の往復直線運動によってその吐水位置を反復的に変化させることができると同時に、吐水筒体180を回転させることにより、その吐水方向を変化させることも可能である。例えば、突起と溝とからなるカム構造などを設けることにより、中子の移動に伴って中子及び吐水筒体をその中心軸の回りに回転させることも可能となる。このようにすれば、使用者の好みに応じた多種多様な吐水態様を実現できる。
【0068】
また、本実施例において、後に図28に関して詳述するように、吐水筒体180を中子本体120の一端側のみに設けてもよい。このようにすれば、一端のみから吐水を得たい場合に特に便利である。
【0069】
次に、本発明の第2の実施例として、磁石と板ばねとを組み合わせた制御手段を有し往復回動運動をする吐水装置について説明する。
図15乃至図18は、本発明の第2の実施例にかかる吐水装置の要部を表す模式図である。すなわち、図15は、本実施例の吐水装置の斜視図であり、図16は、その斜視切断図、図17は、縦断面図、図18は、図17のB−B線断面図である。
本実施例の吐水装置200は、ハウジング本体202とハウジング蓋203、204により形成されるハウジングから一方に吐水筒体280が突出した例を有する。吐水筒体280は、内部に吐水流路282を有する中空構造となっており、先端にて開口している。ハウジング本体202に設けられた入水口212、214に水など流体を導入すると、吐水筒体280が矢印Mの方向に往復回動運動をする。従って、吐水筒体280の先端にシャワーノズルなどの吐水ノズルを設ければ、吐水方向が反復的に変化する吐水装置を形成できる。
【0070】
その内部構造について説明すると、図16乃至図18に表したように、ハウジング本体202及びハウジング蓋203、204により形成される扇状のハウジング空間に、中子本体220と中子蓋222とからなる中子が吐水筒体280を中心軸として回動可能に収容されている。すなわち、中子は、ハウジング内を貫通する吐水筒体280と連結され、扇状のハウジング内を第1の圧力室216と第2の圧力室218に分割して回動する。これら圧力室216、218のそれぞれには、入水口212、214からそれぞれ水などの流体が導入される。中子本体220とハウジング本体202、ハウジング蓋203、204の内壁との摺動部には、液密を維持しつつ摺動を円滑にするためのシール227が設けられている。また、吐水筒体280とハウジング蓋203、204との摺動部にも、同様の目的でシール226が設けられている。これらシール227、226の材料としても、例えば、テフロン(登録商標)やPOM(ポリアセタール)などを用いることができる。
【0071】
次に、中子の構造について説明する。
本実施例においても、中子は、第1実施例と同様の制御手段を備える。
すなわち、中子本体220に中子蓋222を組合せることにより中子内流路224が形成され、この中子内流路224は、吐水筒体280に設けられた吐水流路282に連通している。中子本体220及び中子蓋222には、中子内流路224と圧力室216、218とを連通させる導入口232、234が設けられている。
【0072】
そして、左右の弁体452、454は図16及び図17に表したように、板ばね260をはさんで連結され、中子本体220及び中子蓋222に設けられた導入口232、234を貫通して左右に移動可能に設置されている。なお、板ばね260は、その両端が中子本体220に支持されており、弁体452、454は、板ばね260を介して中子に対して相対的に移動する。弁体452、454は、圧縮された板ばね260により、導入口232、234を全開状態あるいは全閉状態のいずれかに択一的に制御する。これら弁体452、454の形状は、図12に関して前述した如くである。
【0073】
また一方、中子本体220には、磁石470が埋め込まれている。そして、これに対応して、ハウジング本体202には、磁石(あるいは強磁性体)474、472がそれぞれ埋め込まれている。
図16及び図18に例示したように、弁体454が中子本体220から離れる方向に付勢されている時、導入口234が開かれる。一方、これとは逆に、弁体452が中子蓋222から離れる方向に付勢されている時は、導入口232が開かれる。
そして、本実施例においても、磁石470と、磁石(あるいは強磁性体)472、474との引力を付与することより、板ばね260を確実に反転させて弁体452、454を付勢し、導入口232、234を全開状態あるいは全閉状態の択一的な状態に制御する。
【0074】
図19は、本実施例の吐水装置の往復動作を表す模式図である。本実施例においては、中子本体220が吐水筒体280を中心として往復回動運動をする。
まず、図19(a)は、弁体452、454が板ばね260により左側に付勢された状態を表す。この時、導入口232は閉じ、導入口234が開いた状態が形成される。
【0075】
この状態で入水口212、214にほぼ同圧に水などの流体を供給すると、矢印Aで表したように入水口214から圧力室218に導入された水は、矢印Cで表したように導入口234から中子内流路224に流入し、矢印Dで表したように吐水流路282を介して流出する。
これに対して、矢印Bで表したように入水口212から圧力室216に導入された水は、導入口232が閉じているために流出経路がなく、圧力室216の圧力を上昇させる。
つまり、導入口232、234の開度に差を設けることにより流路抵抗に差が生じ圧力差が生ずる。その結果として、圧力室218よりも圧力室216の圧力のほうが高くなり、中子は矢印Mの方向に押されて回動する。
【0076】
なお、中子が矢印Mの方向に移動すると、圧力室216の容積が増大し、その分だけ圧力室218の容積が縮小する。このため、矢印Aの経路による圧力室216への流体の流入量の分、圧力室218内の流体も押し出され、流路282から流出する流体の吐水量に含まれることとなる。
【0077】
そしてさらに中子が回動を続け、弁体454がハウジング本体202の内壁に当接し、中子に対して押されると、板ばね260もその湾曲方向を反転する方向に押される。そしてこの時、中子本体220に設けられた磁石470と、ハウジング本体202に設けられた磁石(あるいは強磁性体)474との間に引力が作用し、中子がハウジング本体202の内壁に引き寄せられる。すると、弁体454がさらに押され、それにつれて板ばね260が押されることにより板ばね260の湾曲方向が反転する。すると、図19(b)に表したように、弁体454により導入口234が閉じて弁体452により導入口232が全開する。この制御動作の詳細は、図14に関して前述したものと同様である。
【0078】
図19(b)に表した状態においては、矢印Bで表したように入水口212から圧力室216に導入された流体は、矢印Cで表したように、導入口232から中子内流路224に流入し、矢印Dで表したように吐水流路282を介して流出する。これに対して、矢印Aで表したように、入水口214から圧力室218に導入された流体は、導入口234が閉じているために流出経路がなく、圧力室218の圧力を上昇させる。その結果として、圧力室216、218に圧力差が生じ、中子は矢印Mで表したように右側に向けて回動を開始する。
【0079】
中子が回動すると、図19(c)に表したように、弁体452がハウジング本体202の内壁に当接する。そしてこの時、中子に設けられた磁石470と、ハウジング本体202に設けられた磁石(あるいは強磁性体)472との間に引力が作用し、中子がハウジング本体202の内壁に引き寄せられる。すると、弁体452が中子に対してさらに押され、それにつれて板ばね260が押されることにより板ばね260の湾曲方向が反転する。すると、図19(a)に表した状態と同様に、弁体452により導入口232が閉じて弁体454により導入口234が開いた状態となり、中子は左側に向けて回動を開始する。これ以降、図19(a)〜(c)に表した状態を繰り返すことにより、中子は往復回動運動を続ける。
【0080】
以上説明したように、本実施例においても、磁石370及び磁石(あるいは強磁性体)372、374の引力を利用して、中子本体220を引き寄せることにより、弁体452、454を押して板ばね260を確実に反転させることができる。つまり、磁石の引力を利用して弁体452、454の状態を制御することができ、導入口の開度差の大小を逆転させて流路抵抗の大小の差を逆転させることにより、圧力差を逆転させて、円滑な往復回動運動を実現できる。
【0081】
また、中子の回動方向と、弁体452、454の可動方向、板ばね260の付勢方向、さらに磁石370、372、374の引力の作用方向を略同一とすることにより、力の働き方に無駄がなく、受圧面積の大きな中子の移動力を有効に活用でき、円滑かつ安定した動作が可能となる。つまり、中子がハウジング本体202に内壁に接近した時、中子の動く方向と、弁体452、454の可動方向、板ばね260の付勢方向、さらに磁石370、372、374の引力の作用方向とを略同一とすることにより、中子の回動動作と開度制御動作とを連動させ、中子の反転のための導入口232、234の開度の大小関係を逆転させる制御動作を確実且つ容易なものとし、シンプルでコンパクトな弁体と制御手段を実現している。
【0082】
また、このようにすると、中子がその回動ストロークの中間付近などに停止している状態から吐水を開始させるような場合においても、吐水開始時に板ばね260により弁体452、454を制御して導入口232、234のいずれかが択一的に開かれた状態にあり、中子の両側に圧力差を形成させて安定した初期動作を開始させることができる。つまり、導入口232の開度よりも導入口234の開度が大なる状態と、導入口234の開度よりも導入口232の開度が大なる状態と、を択一的に保持可能とすることができる。
【0083】
なお、本実施例における中子の回動運動のストローク(回動角度)は、ハウジング本体202の扇状空間の開き角度により適宜設定できる。また、本実施例においても、回動動作により得られる推力は、中子に付加される流体の圧力と中子の受圧面積との積により決定される。従って、中子の受圧面積を増加させれば、それに応じた大きな推力を得ることが可能となる。
【0084】
また、図15乃至図19においては、吐水筒体280がハウジングの一方のみに突出して設けられた具体例を表したが、本発明はこれには限定されず、第1実施例に関して前述したものと同様に、吐水筒体280をハウジングの両側に突出させ、これらそれぞれの吐水筒体280から吐水させるようにしてもよい。
【0085】
また、後に図35に関して詳述するように、本実施例においても、中子が直線運動ではなく、回動運動をするので、弁体452、454とハウジング本体202の内壁との当接角度を調整するとよい。
【0086】
すなわち、ハウジング本体202の内壁の当接面を湾曲凹状に形成すると、中子の回動に応じて、常に弁体452、454を垂直に当接させることが可能となる。つまり、弁体452、454を円滑にスライドさせることができる。これにより、反転制御動作を円滑にし、より確実なものとすることができる。この点については、後に図35を挙げて詳述する。
【0087】
また、本実施例においても、中子の反転に際して、弁体452、454をハウジングの内壁に当接させているが、本発明はこれに限定されない。例えば、弁体452、454に磁石を設け、一方、ハウジング本体202の内壁にも磁石を設け、これらの間に作用する反発力を利用して弁体452、454をハウジング本体202の内壁に対して相対的に停止させることも可能である。つまりこの場合には、中子の反転の際に、弁体452、454がハウジング本体202の内壁に当接せず、磁石の反発力によりハウジング本体202の内壁から所定の距離だけ離れた状態にあることとなる。このようにすれば、非接触で中子の反転が可能となり、ハウジング本体202の内壁の当接面の形状によらず、弁体452、454を円滑にスライドさせることが可能となる。
【0088】
以上、本発明の第1及び第2の実施例として、板ばねと磁石とを組み合わせた制御手段を有する吐水装置について説明した。
次に、本発明の第3及び第4の実施例として、板ばねとスライドバーとを組み合わせた制御手段を有する吐水装置について説明する。
【0089】
図20乃至図23は、本発明の第3の実施例の吐水装置の要部を表す模式図である。すなわち、図20は、本実施例の吐水装置の斜視図であり、図21は、その斜視切断図、図22は、断面図、図23は、図22のA−A線断面図である。
本実施例の吐水装置300は、第1実施例と類似した構造を有する。そこで、図8乃至図14に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0090】
本実施例の吐水装置300も、ハウジング本体102とハウジング蓋104により形成されるハウジングから左右に吐水筒体180が突出した例を有する。そして、ハウジング本体102に設けられた入水口112、114に水などの流体を導入すると、左右に突出した吐水筒体180が矢印Mの方向に反復運動をする。
【0091】
そして、本実施例においては、制御手段として板ばねとスライドバーとが中子に設けられている。
すなわち、中子本体120に中子蓋122を組合せることにより中子内流路124が形成され、この中子内流路124は、左右の吐水筒体180に設けられた吐水流路182に連通している。中子本体120及び中子蓋122には、中子内流路124と圧力室116、118とを連通させる導入口132、134が設けられている。そして、この中子内流路124を横断するように、主弁142、144、スライドバー146、148が設けられている。
【0092】
図24は、これら主弁及びスライドバーを表す斜視図である。
左右の主弁142、144は連結棒149により連結され、中子本体120及び中子蓋122に設けられた導入口132、134を貫通して左右に移動可能に設置されている。つまり、弁体としての主弁142、144は、中子本体120に対して、所定のストロークで左右に移動可能に設置されている。主弁142、144にはリブ143が形成されており、主弁142、144が導入口132、134に対して同軸に移動するように構成されている。主弁142、144がそれぞれ中子蓋122、120から離れる方向に移動すると、これらリブ143の間に設けられている溝部145が導入口132、134の開口部となり流体の流路を形成する。そして、これら主弁142、144を同軸状に貫通するスライドバー146、148が、やはり左右に移動可能に設置されている。つまり、スライドバー146、148は、主弁142、144の動作ストロークよりも長いストロークで左右に移動可能に設置されている。
【0093】
図21乃至図23に例示したように、主弁144が中子本体120から離れる方向に移動すると導入口134が開かれる。一方、これとは逆に、主弁142が中子蓋122から離れる方向に移動すると導入口132が開かれる。
これら導入口132、134は、いずれも中子内流路124に連通している。つまり、導入口132は、ハウジング内の圧力室116と中子内流路124とを連通させ、導入口134は、圧力室118と中子内流路124とを連通させる。
【0094】
そして、これら導入口132、134の開度を変化させる主弁142、144の動作は、同軸に設置されたスライドバー146、148により決定される。すなわち、図23に表したように、左右のスライドバー146、148は圧縮された板ばね160をはさんで連結され、板ばね160の湾曲方向に応じて右端あるいは左端に向けた付勢力を受ける。なお、板ばね160は、その両端が中子本体120に支持されており、スライドバー146、148は、板ばね160を介して中子本体120に対して相対的に移動する。主弁142、144は、スライドバー146、148からこの付勢力を受けて、導入口132、134を全開状態あるいは全閉状態の択一的な状態にする。すなわち、スライドバー146、148と板ばね160が制御手段として作用し、弁体である主弁142、144を制御する。
【0095】
以下、本実施例の吐水装置の動作について説明する。
図25は、本実施例の吐水装置の動作を説明するための模式図である。
【0096】
すなわち、同図は、スライドバー146、148が板ばね160の作用により向かって右側に向けて付勢された状態を表す。この時、主弁142、144もスライドバー146により右側に向けて付勢されるので、導入口132は閉じ、導入口134が開いた状態が形成される。
【0097】
この状態で入水口112、114にほぼ同圧に水などの流体を供給すると、矢印Bで表したように入水口114から圧力室118に導入された水は、矢印Cで表したように導入口134から中子内流路124に流入し、左右に連通する吐水流路182、182を介して矢印D、Eで表したように流出する。
これに対して、矢印Aで表したように入水口112から圧力室116に導入された水は、導入口132が閉じているために流出経路がなく、圧力室116の圧力を上昇させる。
つまり、導入口132、134の開度に差を設けることにより流路抵抗に差が生じ圧力差が生ずる。その結果として、圧力室118よりも圧力室116の圧力のほうが高くなり、中子は矢印Mの方向に押されて移動する。
【0098】
なお、中子が矢印Mの方向に移動すると、圧力室116の容積が増大し、その分だけ圧力室118の容積が縮小する。このため、矢印Aの経路による圧力室116への流体の流入量の分、圧力室118内の流体も押し出され、流路182から流出する流体の吐水量に含まれることとなる。
【0099】
図26は、本実施例の吐水装置の往復動作を表す模式図である。
すなわち、同図(a)は、図25に関して前述した状態と同様であり、中子は矢印Mで表したように、向かって右側に移動する。そしてさらに移動を続け、スライドバー148がハウジング本体102の内壁に当接し、中子に対して押されると、板ばね160の湾曲方向が反転し、図26(b)に表したように、スライドバー146、148は、向かって左側に向けて付勢される。すると、スライドバー148が主弁144を押すことにより、主弁142、144も左側に移動する。すなわち、導入口132が開き、導入口134が閉じる。
図26(b)に表した状態においては、矢印Aで表したように入水口112から圧力室116に導入された流体は、矢印Cで表したように、導入口132から中子内流路124に流入し、吐水流路182、182を介して矢印D、Eで表したように流出する。これに対して、矢印Bで表したように、入水口114から圧力室118に導入された流体は、導入口134が閉じているために流出経路がなく、圧力室118の圧力を上昇させる。その結果として、圧力室116、118に圧力差が生じ、中子は矢印Mで表したように左側に向けて移動を開始する。
【0100】
中子が移動を続けると、図26(c)に表したように、スライドバー146がハウジング蓋104の内壁に当接する位置まで移動する。この状態からさらに中子が移動し、スライドバー146が中子に対して押されることにより、板ばね160の湾曲方向が反転して、右側に付勢される。すると、図26(a)に表した状態と同様に、導入口132が閉じて導入口134が開いた状態となり、中子は右側に向けて移動を開始する。
【0101】
以上説明したように、本実施例によれば、中子に弁体としての主弁142、144と、スライドバー146、148及び板ばね160からなる制御手段を設けることにより、中子本体120の移動に応じて導入口132、134の開度差の大小関係を適宜逆転させ、中子を左右に反復的に動作させることができる。本実施例の吐水装置における中子の往復運動のストロークは、ハウジング本体102の長さと、中子の厚み(幅)とにより適宜設定できる。
【0102】
次に、本実施例における制御手段の作用についてさらに詳しく説明する。
図27は、本実施例における制御手段の動作を説明するための模式図である。
すなわち、同図(a)は、板ばね160が向かって右側に湾曲してスライドバー146、148をこの方向に付勢している状態を表す。この時、主弁142により導入口132は閉じ、主弁144により導入口134は開いた状態とされる。
さて、この状態で中子が向かって右側に移動していくと、同図に表したようにハウジングの内壁にスライドバー148が当接する。中子には圧力差が働いているため、スライドバー148をハウジング内壁に当接した状態で、中子はさらに右に移動し、図27(b)に表した状態になる。すなわち、板ばね160の付勢力に打ち勝って中子とスライドバー148との相対位置を変化させ、中子に対してスライドバー148が押される。この結果、板ばね160も左側に押されて変形し、同図に例示したような略S字状の状態となる。このとき、主弁142、144には中子と同様に圧力差が働いており、導入口132、134の開閉状態を変化させない。
【0103】
この後、中子がさらに移動することにより、中子に対してスライドバー148がさらに押されると、図27(c)に表したように、板ばね160の湾曲方向が左側に反転を開始し、スライドバー146、148を左側に付勢する。
【0104】
すると、図27(d)に表したように、板ばね160の付勢力によって主弁142、144が左側に移動し、導入口132が全開となり導入口134が全閉の状態となる。
【0105】
以上説明したように、本実施例においては、圧縮した板ばね160の湾曲方向をスライドバー146、148により適宜反転させ、その付勢力を利用して主弁142、144を動作させることにより導入口132、134を全開及び全閉のいずれかの状態に択一的に制御する。つまり、板ばね160の付勢力を利用することで、中子の反転のために左右の導入口132、134の開度差を確実に形成している。
【0106】
スライドバー146、148を介して主弁142、144を制御する本具体例の機構は、本実施例の吐水装置の円滑な動作に対して極めて重要な役割を有する。すなわち、圧縮された板ばね160は、右側あるいは左側に湾曲した状態が安定状態であるが、図27(b)に表したようにこれら安定状態の中間付近において、準安定な中立状態となる場合がある。つまり、この状態において、板ばね160には、左あるいは右への付勢力があまり発生しない。従って、この状態において、仮に導入口132、134の開度がほぼ同一の状態となると、中子の両側の導入口132、134から流体が流入するために圧力差が無くなり、中子の移動が停止してしまう。つまり、主弁142、144の動作開始のタイミングが板ばね160の反転のタイミングよりも早いと、中子の動作が停止してしまうことがある。
【0107】
これに対して、本具体例によれば、スライドバー146、148を設け、そのストロークを適宜調整することにより、図27(b)のような準安定な中立状態においては、主弁142、144がまだ移動せず、中子に圧力がかかって動き続ける状態を維持できる。そして、この中立状態を越えて板ばね160が反転を開始した時に主弁142、144が移動を始めるようにすることができる。つまり、主弁142、142の動作開始のタイミングを、板ばね160の反転のタイミングに同期させることができる。
【0108】
言い換えれば、中子を移動させるに足る開度差がなくなる前に板ばね160を反転させ、その反転力(付勢力)によりスライドバー146、148を介して主弁142、144を移動させ、導入口132、134の開度差を、中子を逆方向に移動させるに足る開度差に逆転させることができる。
【0109】
このようにすれば、板ばね160が中立状態の時に導入口132、134の開度がほぼ等しい状態となり中子が停止してしまう、という問題を解消して、円滑な反復運動を実現できる。
【0110】
また、このようにすると、中子がその移動ストロークの中間付近などに停止している状態から吐水を開始させるような場合においても、吐水開始時に板ばね160により主弁142、144を制御して導入口132、134のいずれかが択一的に開かれた状態にあり、中子の両側に圧力差を形成させて安定した初期動作を開始させることができる。つまり、導入口132の開度よりも導入口134の開度が大なる状態と、導入口134の開度よりも導入口132の開度が大なる状態と、を択一的に保持可能とすることができる。
【0111】
以上説明したように、本実施例においても、中子の移動方向と、主弁142、144の可動方向、スライドバー146、148の可動方向、板ばね160の付勢方向を略同一とすることにより、力の働き方に無駄がなく、受圧面積の大きな中子の移動力を有効に活用でき、円滑かつ安定した動作が可能となる。つまり、中子の移動動作と開度制御動作とを連動させることにより、中子の反転のための導入口132、134の開度の大小関係を逆転させる制御動作を確実且つ容易なものとし、シンプルでコンパクトな弁体と制御手段を実現している。
【0112】
なお、図20乃至図27に表した具体例の場合、中子の反転に際して、スライドバー146、148をハウジングの内壁に当接させているが、本発明はこれに限定されない。例えば、スライドバー146、148に磁石を設け、一方、ハウジングの内壁にも磁石を設け、これらの間に作用する反発力を利用してスライドバー146、148をハウジングに対して相対的に停止させることも可能である。つまりこの場合には、図27(a)乃至(c)に対応する状態において、スライドバー146、148がハウジング102の内壁に当接せず、磁石(図示せず)の反発力によりハウジング102の内壁から所定の距離だけ離れた状態にあることとなる。このようにすれば、非接触で中子の反転が可能となる。
【0113】
また一方、本実施例においては、往復直線動作において得られる推力は、中子に負荷される流体の圧力と中子の受圧面積との積により決定される。従って、中子の受圧面積を増加させれば、それに応じた大きな推力を得ることが可能となる。
【0114】
また、図8乃至図13及び図20乃至図26においては、ハウジング内に設けられた略円筒状の空間に円形の中子を収容した具体例を表したが、本発明はこれには限定されない。例えば、ハウジング本体102の内部空間は、角柱状でも偏平柱状でもよく、中子もこれら形状に合わせて各種の形状とすることができる。
【0115】
また、吐水筒体180の外周形状も円形である必要はなく、多角形状や偏平形状であってもよい。またさらに、吐水筒体180は中子の中心に設ける必要はなく、中子の中心から偏心させて設けてもよい。このようにすれば、中子の小型化が容易であり、吐水装置を小型化できる。
【0116】
なお、本具体例の如くハウジング内空間を円柱状とし、吐水筒体180を円筒状の中子の中心に設けた場合には、吐水筒体180を回転できる。つまり、吐水筒体180の先端に吐水ノズルを設けた場合に、中子の往復直線運動によってその吐水位置を反復的に変化させることができると同時に、吐水筒体180を回転させることにより、その吐水方向を変化させることも可能である。例えば、突起と溝とからなるカム構造などを設けることにより、中子の移動に伴って中子及び吐水筒体をその中心軸の回りに回転させることも可能となる。このようにすれば、使用者の好みに応じた多種多様な吐水態様を実現できる。
【0117】
図28は、本実施例の吐水装置の変型例を表す模式断面図である。
同図については、図1乃至図27に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
本変型例においては、吐水筒体180が中子本体120の側のみに設けられている。本変型例は、一端のみから吐水を得たい場合に特に便利である。
【0118】
次に、本発明の第4の実施例の吐水装置について説明する。
図29乃至図33は、本発明の第4の実施例の吐水装置の要部を表す模式図である。すなわち、図29は、本実施例の吐水装置の斜視図であり、図30は、その斜視切断図、図31は、底面側から眺めた斜視図及び切断図、図32は、縦断面図、図33は、図32のB−B線断面図である。
本実施例の吐水装置400は、前述した第2実施例の吐水装置に類似する。そこで、図15乃至図19に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0119】
本実施例の吐水装置200も、ハウジング本体202とハウジング蓋203、204により形成されるハウジングから一方に吐水筒体280が突出した例を有する。吐水筒体280は、内部に吐水流路282を有する中空構造となっており、先端にて開口している。ハウジング本体202に設けられた入水口212、214に水などの流体を導入すると、吐水筒体280が矢印Mの方向に往復回動運動をする。
【0120】
その内部構造について説明すると、図30乃至図33に表したように、ハウジング本体202及びハウジング蓋203、204により形成される扇状のハウジング空間に中子本体220と中子蓋222とからなる中子が吐水筒体280を中心軸として回動可能に収容されている。
そして、本実施例においても、中子は、第3実施例と同様の弁体と制御手段とを備える。すなわち、中子本体220に中子蓋222を組合せることにより中子内流路224が形成され、この中子内流路224は、吐水筒体280に設けられた吐水流路282に連通している。中子本体220及び中子蓋222には、中子内流路224と圧力室216、218とを連通させる導入口232、234が設けられている。そして、この中子内流路224を横断するように、主弁242、244、スライドバー246、248が設けられている。これら主弁及びスライドバーの形状は、図24に関して前述した如くである。また、これら要素からなる弁体と制御手段の動作についても、第3実施例に関して前述したものと同様である。
すなわち、図33に例示したように、主弁244が中子本体220から離れる方向に移動すると、導入口234が開かれる。一方、これとは逆に、主弁242が中子本体220から離れる方向に移動すると、導入口232が開かれる。
これら導入口232、234は、いずれも中子内流路に連通している。つまり、導入口232は、ハウジング内の圧力室216と中子内流路224とを連通させ、導入口234は、圧力室218と中子内流路224とを連通させる。
【0121】
そして、これら導入口232、234の開度を変化させる主弁242、244の動作は、同軸に設置されたスライドバー246、248により決定される。すなわち、図30及び図32に表したように、左右のスライドバー246、248は圧縮された板ばね260をはさんで連結され、板ばね260の湾曲方向に応じて右端あるいは左端に向けた付勢力を受ける。なお、板ばね260は、その両端が中子本体220に支持されており、スライドバー246、248は、板ばね260を介して中子本体220に対して相対的に移動する。主弁242、244は、スライドバー246、248からこの付勢力を受けて、導入口232、234を全開状態あるいは全閉状態の択一的な状態に制御する。
【0122】
以下、本実施例の吐水装置400の動作について説明する。
図34は、本実施例の吐水装置の動作を説明するための模式図である。
【0123】
まず、同図(a)は、スライドバー246、248が板ばね260の作用により向かって左側に向けて付勢された状態を表す。この時、主弁242、244もスライドバー246により左側に向けて付勢されるので、導入口232は閉じ、導入口234が開いた状態が形成される。
【0124】
この状態で入水口212、214にほぼ同圧に水などの流体を供給すると、矢印Aで表したように入水口214から圧力室218に導入された水は、矢印Cで表したように導入口234から中子内流路224に流入し、矢印Dで表したように吐水流路282を介して流出する。
これに対して、矢印Bで表したように入水口212から圧力室216に導入された水は、導入口232が閉じているために流出経路がなく、圧力室216の圧力を上昇させる。
つまり、導入口232、234の開度に差を設けることにより流路抵抗に差が生じ圧力差が生ずる。その結果として、圧力室218よりも圧力室216の圧力のほうが高くなり、中子は矢印Mの方向に押されて回動する。
【0125】
なお、中子本体220が矢印Mの方向に移動すると、圧力室216の容積が増大し、その分だけ圧力室218の容積が縮小する。このため、矢印Bの経路による圧力室216への流体の流入量の分、圧力室218内の流体も押し出され、流路282から流出する流体の吐水量に含まれることとなる。
【0126】
そしてさらに中子が回動を続け、スライドバー248がハウジング本体202の内壁に当接し、中子に対して押されると、板ばね260の湾曲方向が反転し、図34(b)に表したように、スライドバー246、248は、反対側に向けて付勢される。すると、スライドバー248が主弁244を押すことにより、主弁242、244も右側(向かって時計回り方向)に移動する。すなわち、導入口232が開き、導入口234が閉じる。
図34(b)に表した状態においては、矢印Bで表したように入水口212から圧力室216に導入された流体は、矢印Cで表したように、導入口232から中子内流路224に流入し、矢印Dで表したように吐水流路282を介して流出する。これに対して、矢印Aで表したように、入水口214から圧力室218に導入された流体は、導入口234が閉じているために流出経路がなく、圧力室218の圧力を上昇させる。その結果として、圧力室216、218に圧力差が生じ、中子は矢印Mで表したように右側に向けて回動を開始する。
【0127】
中子がさらに回動すると、図34(c)に表したように、スライドバー246がハウジング本体202の内壁に当接する位置まで移動する。この状態からさらに中子が移動し、スライドバー246が中子に対して押されることにより、板ばね260の湾曲方向が反転して、反対側に付勢される。すると、図34(a)に表した状態と同様に、導入口232が閉じて導入口234が開いた状態となり、中子は左側に向けて回動を開始する。
【0128】
以上説明したように、本実施例においても、中子に主弁242、244からなる弁体と、制御手段とを設けることにより、中子の移動に応じて導入口の開度差の大小関係を適宜逆転させ、中子を左右に反復的に動作させることができる。なお、本実施例においても、図27に関して前述したように、主弁242、242の反転動作開始のタイミングを、板ばね260の反転のタイミングに同期させることができる。このようにすれば、板ばね260が中立状態の時に主弁242、244の開度がほぼ等しい状態となり中子が停止してしまう、という問題を解消して、円滑な反復運動を実現できる。
【0129】
言い換えれば、中子を移動させるに足る開度差がなくなる前に板ばね260を反転させ、その反転力(付勢力)によりスライドバー246、248を介して主弁242、244を移動させ、導入口232、234の開度差を、中子を逆方向に移動させるに足る開度差に逆転させることができる。
【0130】
本実施例においても、中子の回動方向と、主弁242、244の可動方向、スライドバー246、248の可動方向、板ばね260の付勢方向を略同一とすることにより、力の働き方に無駄がなく、受圧面積の大きな中子の移動力を有効に活用でき、円滑かつ安定した動作が可能となる。つまり、中子がハウジング本体202に内壁に接近した時、中子の動く方向と、主弁242、244の可動方向、板ばね260の付勢方向、スライドバー246、248の可動方向とを略同一とすることにより、中子の回動動作と開度制御動作とを連動させる、中子の反転のための導入口232、234の開度の大小関係の反転動作を確実且つ容易なものとし、シンプルでコンパクトな弁体と制御手段を実現している。
【0131】
また、このようにすると、中子がその回動ストロークの中間付近などに停止している状態から吐水を開始させるような場合においても、吐水開始時に板ばね260により主弁242、244を制御して導入口232、234のいずれかが択一的に開かれた状態にあり、中子の両側に圧力差を形成させて安定した初期動作を開始させることができる。つまり、導入口232の開度よりも導入口234の開度が大なる状態と、導入口234の開度よりも導入口232の開度が大なる状態と、を択一的に保持可能とすることができる。
【0132】
なお、本実施例における中子の回動運動のストローク(回動角度)は、ハウジング本体202の扇状空間の開き角度により適宜設定できる。また、本実施例においても、回動動作により得られる推力は、中子に付加される流体の圧力と中子の受圧面積との積により決定される。従って、中子の受圧面積を増加させれば、それに応じた大きな推力を得ることが可能となる。
【0133】
また、図29乃至図34においては、吐水筒体280がハウジングの一方のみに突出して設けられた具体例を表したが、本発明はこれには限定されず、第1実施例に関して前述したものと同様に、吐水筒体280をハウジングの両側に突出させ、これらそれぞれの吐水筒体280から吐水させるようにしてもよい。
【0134】
ここで、本実施例においては、中子が直線運動ではなく、回動運動をするので、スライドバー246、248とハウジング本体202の内壁との当接角度を調整するとよい。
【0135】
図35は、本実施例におけるスライドバー246、248とハウジング本体202の内壁との当接角度を説明するための模式図である。
すなわち、本実施例においては、中子が吐水筒体280を中心軸とした回動運動をするので、スライドバー246、248のスライド方向が、中子の回動に応じて変化する。従って、図35(a)に表したように、ハウジング本体202の内壁面を平面状にすると、ハウジング本体202の内壁面に対するスライドバー246、248のスライド方向が常に垂直とはならず、スライドバー246、248に対して横方向の応力が発生して円滑にスライドしない場合もあり得る。
【0136】
これに対して、図35(b)に表したように、ハウジング本体202の内壁の当接面を湾曲凹状に形成すると、中子の回動に応じて、常にスライドバー246、248を垂直に当接させることが可能となる。つまり、スライドバー246、248を円滑にスライドさせることができる。これにより、中子の反転のための制御動作を円滑にし、より確実なものとすることができる。
【0137】
なお、本実施例においても、中子の反転に際して、スライドバー246、248をハウジングの内壁に当接させているが、本発明はこれに限定されない。例えば、スライドバー246、248に磁石を設け、一方、ハウジング本体202の内壁にも磁石を設け、これらの間に作用する反発力を利用してスライドバー246、248をハウジング本体202の内壁に対して相対的に停止させることも可能である。つまりこの場合には、図35(a)あるいは(b)に対応する状態において、スライドバー246、248がハウジング本体202の内壁に当接せず、磁石(図示せず)の反発力によりハウジング本体202の内壁から所定の距離だけ離れた状態にあることとなる。このようにすれば、非接触で中子の反転が可能となり、ハウジング本体202の内壁の当接面の形状によらず、スライドバー246、248を円滑にスライドさせることが可能となる。
【0138】
以上、本発明の第1乃至第4の実施例として、本発明の吐水装置について説明した。これら吐水装置は、様々なノズル部と組み合わせることができる。以下、本発明の吐水装置の具体例のいくつかについて説明する。
【0139】
図36は、本発明の吐水装置の第1の具体例を表す模式図である。
すなわち、本具体例においては、第1実施例あるいは第3実施例として前述した吐水装置100、300が設けられている。ハウジングの両側に吐水筒体180が突出し、それぞれの先端に吐水ノズル810が装着されている。吐水筒体180が矢印M1で表した方向に往復直線運動すると、これにあわせて吐水ノズル810も反復運動し、吐水位置が周期的に変動する。例えば、このような吐水装置を浴室などの壁面900に設置し、使用者の肩などに吐水をあてると、吐水位置が周期的に変化するので、いわゆる「打たせ湯」のマッサージ効果をより広範囲に効果的に作用させることができると共に、使用者が自ら身体を揺すって作用部位を変化させる必要がなく、使用感が向上する。また、噴霧状の吐水を広範囲にあてることにより、リラクゼーション効果を得ることも可能であり、使用感が向上する。また一方、吐水ノズル810を固定した場合には、ハウジングが移動することとなり、この動作をマッサージなどに利用することも可能である。つまり、左右に動くハウジングに身体を押し当てることにより、「もみほぐし」などのマッサージ効果が得られる。
なお、本具体例においては、吐水ノズル810を矢印M2の方向に回転させることにより、吐水位置のみのならず、吐水方向も使用者の好みに応じて変化させることが可能である。
【0140】
図37は、本発明の吐水装置の第2の具体例を表す模式図である。
本具体例においては、第1実施例あるいは第3実施例として前述した吐水装置100、300が台部910の上に設けられている。この吐水装置は、図15に関して前述したように、ハウジングから一方向のみに吐水筒体180が突出し、その先端は蛇口状に開口している。吐水筒体180が矢印Mの方向に往復直線運動し、吐水位置が周期的に変化する。この吐水装置は、例えば流し場などに設置することにより、使用者が手洗いや、食器などを洗浄する際に、吐水範囲を広げて洗浄効率を上げることが可能である。また、本具体例においても、吐水筒体180を回転させることにより、吐水位置のみのならず、吐水方向も使用者の好みに応じて変化させることが可能である。
【0141】
図38は、本発明の吐水装置の第3の具体例を表す模式図である。
本具体例においては、第2実施例あるいは第4実施例に関して前述した吐水装置200、400が設けられている。吐水装置200、400は、壁面900に設置され、吐水筒体にシャワーノズル820が装着されている。なお、本具体例において、シャワーノズル820の両側に吐水装置の駆動部を設けてもよく、あるいは一方のみに駆動部を設け、他方は単なる軸受け部としてもよい。
【0142】
本具体例においては、シャワーノズル820が矢印Mで表したように往復回動運動することにより、コンパクトな形状にてシャワー状の吐水を広範囲に噴射できる。例えば、浴室においてこの吐水装置を用いることにより、使用者は手放しでシャワーを効率的に浴びることができ便利である。また、反復的に変動するシャワーの刺激によるマッサージ効果やリラクゼーション効果も期待できる。
また一方、シャワーノズル820を固定した場合には、吐水装置200、400のハウジングが回動することとなり、この動作をマッサージなどに利用することも可能である。つまり、往復回動するハウジングに身体を押し当てることにより、「もみほぐし」などのマッサージ効果が得られる。
【0143】
あるいは、自動車の洗浄装置にこの吐水装置を組み込むと、広範囲に均一にシャワーをかけることができ、便利である。またさらに、半導体、食品、医療、製紙パルプ、自動車などをはじめとする各種の産業の現場において、このような吐水装置を洗浄装置に組み込むことにより、例えば、半導体ウェーハや、液晶パネルの基板や、各種の原料、材料、部品などの洗浄を効率良く実施できる。この場合にも、電源や潤滑油などを供給する必要がなく、電磁ノイズも発生せず、またノイズの影響も受けず、衛生的であり、メンテナンス性にも優れるなどの各種の効果が得られる。
【0144】
またさらに、本具体例の吐水装置を撹拌や混合に用いることもできる。例えば、液体槽の中に本具体例の吐水装置を沈めた状態で、ノズル820を回動させながら吐水させると、液体槽内の液体の撹拌や混合ができる。また、液体槽の中でノズル820を固定しハウジングを回動させても撹拌や混合を実施できる。
【0145】
図39は、本発明の吐水装置の第4の具体例を表す模式図である。
本具体例においては、第2実施例あるいは第4実施例に関して前述した吐水装置200、400が水平面920の上に設置され、上方に突出する吐水筒体280の先端に吐水ノズル830が装着されている。給水配管700から水などの流体を供給すると、吐水ノズル830が矢印Mの方向に往復回動運動をしながら吐水を広範囲に散布する。この吐水装置は、例えば、庭や畑などにおいて植物に給水散布したり、グラウンドの散水などの用途に用いて好適である。すなわち、小型コンパクトで持ち運び性に優れ、また外乱にも強いシステムを実現でき、給水配管としてのホースなどに接続するだけで駆動させることができるという点で、「後付け性」に優れた吐水装置を実現できる。
【0146】
図40は、本発明の吐水装置の第5の具体例を表す模式図である。
本具体例においては、第1乃至第4実施例の吐水装置が便器の人体洗浄装置に組み込まれている。すなわち、便器930の上には便座932、便座蓋934が設けられ、便座932の後方に人体洗浄装置940が設けられている。人体洗浄装置940は、第1乃至第4実施例に関して前述したいずれかの吐水装置を内蔵し、その吐水筒体には吐水ノズル840が装着されている。
【0147】
図40は、人体洗浄装置の使用状態を表し、非使用時は吐水ノズルは、便座932の後方に格納されている。使用者が所定のスイッチを操作すると、吐水ノズル840が図示の如くせり出して使用者の臀部などにお湯を噴射することにより洗浄する。この時、例えば、第1あるいは第3実施例の吐水装置を動作させると、矢印M1で表したように吐水ノズル840を往復直線運動させながら洗浄できる。また、第2あるいは第4実施例の吐水装置を動作させると、矢印M2で表したように吐水ノズルを往復回動運動させながら洗浄できる。これら往復運動の有無は、例えば、吐水ノズル840に至る水路を複数系統設け、水路を適宜切り替えることにより、往復運動させたい時は、本発明の吐水装置を経由して吐水ノズル840から吐水させ、往復運動が不要な時は、本発明の吐水装置をバイパスして吐水ノズル840から吐水させればよい。
【0148】
本具体例によれば、水力のみで吐水ノズル840を往復運動できるのでモータなどが不要となり、電力も不要となる。例えば、ホテルなどの便器に人体洗浄装置を設置する場合、給湯設備が整っているため、人体洗浄装置を電池駆動式とすることがある。このような場合に、本発明の吐水装置を用いれば、電池の限られた電力を消費することなく、吐水ノズルを往復運動させて快適且つ効率的な人体洗浄が可能となる。
【0149】
図41は、本発明の吐水装置の第6の具体例を表す模式図である。
本具体例においては、第1あるいは第3実施例の吐水装置が太陽電池パネルに付設されている。すなわち、太陽電池パネル950が屋根960の上に設置され、この太陽電池パネル950の上方に本発明の吐水装置100、300が設置されている。吐水装置100、300には、複数の吐水開口が直線上に整列した吐水ノズル830が装着され、矢印Mの方向に往復直線運動しながら、太陽電池パネル950の表面に散水する。
【0150】
太陽電池パネル950は、その取り出し電力の低下を防ぐために、常に表面に清浄に保つ必要がある。すなわち、埃や雨水による「しみ」あるいは鳥の糞などが付着すると、太陽光が遮られるために出力電力が低下する。
また、太陽電池の温度が上昇すると光電変換効率が低下するために、太陽電池パネルを均一に冷却することが望ましい。このとき、気化熱を効果的に利用する観点や、省資源の観点から、できるだけ少量の水で均一に広範囲に吐水する必要がある。これに対して、本具体例によれば、複数の吐水開口が直線上に整列した吐水ノズルを往復直線運動させることにより、少ない水量で、太陽電池パネル950の表面に均一に吐水することができる。その結果として、優れた洗浄効果と、均一な冷却効果が得られ、太陽電池パネルの出力を常にベストの状態に維持できる。
【0151】
なお、本具体例において往復直線運動のストロークは、吐水ノズル830の吐水開口のピッチと同程度以上とすると、太陽電池パネル950の表面に均一に吐水できる。また、本具体例においても、吐水ノズル830の両側に駆動部を設けてもよく、あるいは一方のみに駆動部を設け、他方は単なる軸受け部としてもよい。
【0152】
また、本具体例における吐水装置は、太陽電池パネルの他にも例えば、ビルや家屋などの屋根や壁面の洗浄あるいは冷却のために用いて好適である。すなわち、少ない水量で所定の面積に均一に吐水することにより、優れた洗浄あるいは冷却効果が得られ、例えば、「ヒートアイランド現象」などを効率的に抑制することが可能となる。
【0153】
以上具体例を参照しつつ本発明の実施例について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
すなわち、本発明の吐水装置を構成するいずれかの要素について当業者が設計変更を加えたものであっても、本発明の要旨を備えたものであれば、本発明の範囲に包含される。
【0154】
例えば、吐水装置の駆動部及び吐水ノズルの外形や、構成部品の形状あるいは配置、ストロークや回動角度、などについて当業者が適宜変更を加えたものであっても、本発明の要旨を含む限り、本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】本発明の吐水装置の全体構成を例示する模式図である。
【図2】本発明の吐水装置のメカニズムを説明するための模式図である。
【図3】本発明の吐水装置のメカニズムを説明するための模式図である。
【図4】本発明の吐水装置のメカニズムを説明するための模式図である。
【図5】本発明の吐水装置のメカニズムを説明するための模式図である。
【図6】導入口32、34の開度に差を設けることの作用効果を説明するための模式図である。
【図7】磁石によって中子の反転動作を制御するメカニズムを説明するための模式図である。
【図8】本発明の第1の実施例にかかる吐水装置の斜視図である。
【図9】第1実施例の吐水装置の斜視切断図である。
【図10】第1実施例の吐水装置の断面図である。
【図11】図10のA−A線断面図である。
【図12】弁体を表す斜視図である。
【図13】第1実施例における吐水装置の往復動作を表す模式図である。
【図14】第1実施例における制御手段の動作を説明するための模式図である。
【図15】本発明の第2の実施例にかかる吐水装置の斜視図である。
【図16】第2実施例の吐水装置の斜視切断図である。
【図17】第2実施例の吐水装置の縦断面図である。
【図18】図17のB−B線断面図である。
【図19】第2実施例の吐水装置の往復動作を表す模式図である。
【図20】本発明の第3実施例の吐水装置の斜視図である。
【図21】第3実施例の吐水装置の斜視切断図である。
【図22】第3実施例の吐水装置の断面図である。
【図23】図9のA−A線断面図である。
【図24】主弁及びスライドバーを表す斜視図である。
【図25】第3実施例の吐水装置の動作を説明するための模式図である。
【図26】第3実施例の吐水装置の往復動作を表す模式図である。
【図27】第3実施例における制御手段の動作を説明するための模式図である。
【図28】第3実施例の吐水装置の変型例を表す模式断面図である。
【図29】本発明の第4の実施例にかかる吐水装置の斜視図である。
【図30】第4実施例の吐水装置の斜視切断図である。
【図31】第4実施例の吐水装置の底面側から眺めた斜視図及び切断図である。
【図32】第4実施例の吐水装置の縦断面図である。
【図33】図19のB−B線断面図である。
【図34】第4実施例の吐水装置の動作を説明するための模式図である。
【図35】第4実施例におけるスライドバー246、248とハウジング本体202の内壁との当接角度を説明するための模式図である。
【図36】本発明の吐水装置の第1の具体例を表す模式図である。
【図37】本発明の吐水装置の第2の具体例を表す模式図である。
【図38】本発明の吐水装置の第3の具体例を表す模式図である。
【図39】本発明の吐水装置の第4の具体例を表す模式図である。
【図40】本発明の吐水装置の第5の具体例を表す模式図である。
【図41】本発明の吐水装置の第6の具体例を表す模式図である。
【符号の説明】
【0156】
12、14 入水口
16、18 圧力室
20 中子
32、34 導入口
42、44 弁体
10、100、200、300、400 吐水装置
2 ハウジング
102、202、 ハウジング本体
104、203、204、 ハウジング蓋
112、114、212、214 入水口
116、118、216、218 圧力室
120、220 中子本体
122、222 中子蓋
124、224 中子内流路
126、226、227 シール
132、134、232、234 導入口
142、144、242、244 主弁
146、148、246、248 スライドバー
149 連結棒
160、260 板ばね
180、280 吐水筒体
182、282 吐水流路
184 シール
352、354 弁体
370 磁石
372、374 磁石(強磁性体)
452、454 弁体
470 磁石
472、474 磁石(強磁性体)
700 給水配管
800、810 吐水ノズル
820 シャワーノズル
830、840 吐水ノズル
900 壁面
910 台部
920 水平面
930 便器
932 便座
934 便座蓋
940 人体洗浄装置
950 太陽電池パネル
960 屋根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に柱状の空間を有するハウジングと、
前記柱状の空間を第1及び第2の圧力室に分割しつつ前記空間内を移動可能とされ、内部に中子内流路を有する中子と、
前記中子内流路に連通し前記ハウジングの外側に至る吐水流路を有する吐水筒体と、
前記第1の圧力室に流体を導入する第1の入水口と、
前記第2の圧力室に流体を導入する第2の入水口と、
前記第1の圧力室から前記中子内流路に流体を導入する第1の導入口と、
前記第2の圧力室から前記中子内流路に流体を導入する第2の導入口と、
前記第1及び第2の導入口の開度を変化させる弁体と、
前記中子の移動方向の反転時に前記第1及び第2の導入口の開度の比率を変化させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする吐水装置。
【請求項2】
内部に扇状の空間を有するハウジングと、
前記扇状の空間を第1及び第2の圧力室に分割しつつ前記空間内を回動可能とされ、内部に中子内流路を有する中子と、
前記中子内流路に連通し前記ハウジングの外側に至る吐水流路を有する吐水筒体と、
前記第1の圧力室に流体を導入する第1の入水口と、
前記第2の圧力室に流体を導入する第2の入水口と、
前記第1の圧力室から前記中子内流路に流体を導入する第1の導入口と、
前記第2の圧力室から前記中子内流路に流体を導入する第2の導入口と、
前記第1及び第2の導入口の開度を変化させる弁体と、
前記中子の回動方向の反転時に前記第1及び第2の導入口の開度の比率を変化させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする吐水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2008−260010(P2008−260010A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72345(P2008−72345)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【分割の表示】特願2004−260012(P2004−260012)の分割
【原出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】