説明

吐水装置

【課題】供給される流体の勢いを利用して吐水位置を反復的に変化させることができる吐水装置であって、コンパクトで信頼性が高い吐水装置を提供する。
【解決手段】吐水装置1にハウジング2を設け、ハウジング2の内部を中子11によって2つの圧力室12、13に分割する。また、中子11に対して移動可能な弁体23を設け、弁体23に対して移動可能なバー34及び35と、バー34及び35を左右に付勢する板ばねを設ける。バー34及び35は、それぞれ、弁体23の主弁蓋24及び25を中子11の内部から左右に押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐水装置に関し、特に、シャワーノズルや散水ノズルなどの吐水位置を反復的に変化させる自動往復動作を可能とした吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リラクゼーションや美容健康増進などを目的としたシャワーシステムや吐水・噴霧システムのニーズが高まっている。これらの用途においては、例えば、旋回流などを利用して数10ヘルツ以上の比較的高速で水流を変調させることにより、マッサージ効果などを促進するアプローチがある。また一方、例えば数ヘルツ以下の比較的ゆっくりとした速度でシャワーノズルなどの吐水位置や吐水方向を反復的に変化させると、例えば人体の所定範囲に均一に吐水を噴射してリラクゼーション効果などを促進することが可能である。
【0003】
同様のニーズは、民生用機器、産業用途あるいは農林用途などにおいても広く存在し、洗浄、リンス、冷却、加湿、前処理、育成などの多種多様な目的のために、ゆっくりとした往復動作が必要とされている。
【0004】
往復動作のために、モータやソレノイドなどの電動手段を用いることも可能であるが、浴室などで吐水させるシステムに搭載するためには、電源の確保や、感電や漏電などに対する対策が必要とされ、コストや信頼性の点でも解決すべき課題が多い。
【0005】
これに対して、往復動作を水力により実現できれば、電気や潤滑オイルなどが不要となり、初期コスト、ランニングコスト、信頼性、メンテナンス性などの多くの観点で、改善が期待できる。そこで、本発明者等は、供給される水力により往復動作を実現する吐水装置を開発し、特許文献1において開示した。
【0006】
【特許文献1】特開2006−075678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者等は、特許文献1によって開示した吐水装置に更に改良を加え、よりコンパクトでより信頼性が高い吐水装置を開発することを試みた。
【0008】
本発明の目的は、供給される流体の勢いを利用して吐水位置を反復的に変化させることができる吐水装置であって、コンパクトで信頼性が高い吐水装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、内部に空間を有するハウジングと、前記空間を第1及び第2の圧力室に分割しつつ前記空間内を移動可能とされ、内部に中子内流路を有する中子と、前記中子内流路に連通し前記ハウジングの外側に至る吐水流路を有する吐水筒体と、前記第1の圧力室に流体を導入する第1の入水口と、前記第2の圧力室に流体を導入する第2の入水口と、前記第1の圧力室から前記中子内流路に流体を導入する第1の導入口と、前記第2の圧力室から前記中子内流路に流体を導入する第2の導入口と、前記中子を挿通し前記中子に対して移動可能とされ、その前記中子に対する移動域における前記第1の圧力室側の端部に位置しているときに前記第1の導入口の開度が前記第2の導入口の開度よりも大きく、前記第2の圧力室側の端部に位置しているときに前記第2の導入口の開度が前記第1の導入口の開度よりも大きい弁体と、前記中子の内部から前記弁体を前記第1の圧力室側に向けて押圧する第1の状態と、前記中子の内部から前記弁体を前記第2の圧力室側に向けて押圧する第2の状態と、を選択可能な制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記中子がその移動域における前記第1の圧力室側の端部に達したときに前記第2の状態を選択し、前記中子がその移動域における前記第2の圧力室側の端部に達したときに前記第1の状態を選択することを特徴とする吐水装置が提供される。
なお、中子の移動域とは、吐水装置を作動させたときに中子が実際に移動する空間をいい、移動域の端部とは、中子の移動方向における端部をいう。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、供給される流体の勢いを利用して吐水位置を反復的に変化させることができる吐水装置であって、コンパクトで信頼性が高い吐水装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る吐水装置を例示する斜視図であり、
図2は、この吐水装置を例示する斜視断面図であり、
図3は、この吐水装置を例示する断面図であり、
図4は、図3に示すA−A’線による断面図であり、
図5は、この吐水装置における弁体及びスライドバーを例示する斜視図であり、
図6は、この弁体及びスライドバーを例示する分解斜視図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る吐水装置1においては、外形が例えば直方体形状のハウジング2が設けられている。ハウジング2は、その一面が開口した箱状のハウジング本体3の開口面が、板状のハウジング蓋4によって塞がれることにより構成されている。また、ハウジング2から片側に、円柱状の吐水筒体5が突出している。吐水筒体5の内部は吐水流路6を有する中空構造となっており、先端は開口されている。更に、ハウジング本体3には、入水口7及び8が形成されている。入水口7及び8は、例えば、二叉に分岐された給水配管(図示せず)の分岐端にそれぞれ接続され、水又は湯等の流体が相互に同じ圧力で供給される。例えば、入水口7及び8の内径及び形状は相互に同一であり、従って、流路抵抗も相互に等しい。
【0013】
次に、ハウジング2の内部構造について説明する。
図2乃至図4に示すように、ハウジング2の内部には円柱状のシリンダ空間10が形成されており、この空間10内には中子(なかご)11が、円柱状の空間10の中心軸に沿って移動可能に収容されている。中子11は、空間10を圧力室12と圧力室13とに分割しつつ、空間10内をピストンのように往復運動する。また、中子11の片側には、吐水筒体5が連結されている。吐水筒体5の中心軸は中子11の中心軸と一致しており、吐水筒体5は、中子11から起立し、圧力室12内を通過し、ハウジング本体3を貫通して、ハウジング2の外部に延出している。
【0014】
更に、中子11内には中子内流路14が形成されており、この中子内流路14は吐水筒体5内の吐水流路6に連通され、吐水流路6を介してハウジング2の外部に連通されている。更にまた、入水口7は圧力室12に連通されており、入水口8は圧力室13に連通されている。以下、説明の便宜上、中子11から見て圧力室12側、すなわち吐水筒体5が設けられている側を「左側」といい、圧力室13側、すなわちハウジング蓋4が設けられている側を「右側」という。
【0015】
中子11は、その内部に中子内流路14が形成された中子本体16と、中子内流路14を塞ぐように中子本体16に連結された中子蓋17により構成されている。中子本体16の外周面、すなわち、ハウジング本体3の内壁と摺動する面には、液密を維持しつつ摺動を円滑にするためのリング状のシール18が設けられている。また、吐水筒体5の外周面、すなわち、ハウジング本体3と摺動する面にも、同様の目的でリング状のシール19が設けられている。シール18及び19の材料には、例えば、テフロン(登録商標)、NBR(ニトリルゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)又はPOM(ポリアセタール)などを用いることができる。なお、ここでいう「液密」とは、左右の圧力室に圧力差を生じさせるに足る状態を確保できればよい。
【0016】
次に、中子11の内部構造についてより詳細に説明する。
中子11には、中子内流路14と圧力室12及び13とをそれぞれ連通させる導入口21及び22が設けられている。そして、導入口21、中子内流路14及び導入口22を挿通するように、弁体23が設けられている。弁体23においては、1対の主弁蓋24及び25が設けられており、また、主弁蓋24と主弁蓋25とを相互に連結する主弁筒26が設けられている。
【0017】
図5及び図6に示すように、主弁蓋24及び25はそれぞれ、円板部27と、この円板部27の片側に連結された円筒部28とから構成されている。そして、円板部27及び円筒部28の中心軸に沿って、貫通孔29が形成されている。一方、主弁筒26の外形は略円筒形であり、その両端部に円形の開口部30及び31が形成されており、その中央部を中心軸に直交する方向に貫通する横断開口部32が形成されており、その側面における横断開口部32の開口部を除く領域には、主弁筒26の軸方向に延びる複数本のリブ33が形成されている。そして、主弁筒26の開口部30及び31に、それぞれ主弁蓋24及び25の円筒部28が嵌合している。また、リブ33間の溝部が、導入口21及び22における流体の流通経路となっている。
【0018】
また、弁体23には、1対のバー34及び35が弁体23に対して移動可能に取り付けられている。バー34及びバー35は相互に独立に移動可能であり、バー34及び35によりスライドバーが構成されている。この場合、バー34はスライドバーにおける圧力室12(図4参照)側の部分を構成し、バー35はスライドバーにおける圧力室13(図4参照)側の部分を構成する。バー34及び35はそれぞれ、円柱状の軸部36と、軸部36の一端に連結されたヘッド37とから構成されている。軸部36の中心軸とヘッド37の中心軸とは一致しており、ヘッド37の直径は軸部36の直径よりも大きい。従って、バー34及び35の形状は茸状である。そして、バー34及び35の軸部36はそれぞれ、主弁蓋24及び25の貫通孔29内を挿通しており、ヘッド37は主弁筒26の横断開口部32内に配置されている。これにより、バー34及び35がそれぞれ主弁蓋24及び25に向かって付勢されると、バー34及び35の軸部36は貫通孔29内をスライドし、ヘッド37が主弁蓋24及び25の円筒部28に係合することにより、バー34及び35は、それぞれ主弁蓋24及び25を、中子11の内側から外側に向かって押圧する。
【0019】
そして、図3及び図4に示すように、中子内流路14内には、板ばね40が取り付けられている。板ばね40並びにバー34及び35により、制御手段が構成されている。板ばね40の両端部は中子11に固定されており、中央部は弁体23の主弁筒26の横断開口部32内を挿通している。板ばね40は、その両端が相互に近づく方向に押圧された状態で中子本体16に支持されており、その中央部が左側に凸になるように湾曲した状態及び右側に凸になるように湾曲した状態の2つの状態が安定状態となる。そして、板ばね40が左側に凸になるように湾曲しているときは、板ばね40の中央部が左側のバー34のヘッド37に当接し、バー34を左側に向けて付勢する。これにより、バー34のヘッド37は、弁体23を左側に向けて押圧する。一方、板ばね40が右側に凸になるように湾曲しているときは、板ばね40の中央部が右側のバー35のヘッド37に当接し、バー35を右側に向けて付勢する。これにより、バー35のヘッド37は、弁体23を右側に向けて押圧する。このようにして、バー34及び35並びに板ばね40からなる制御手段は、中子11の内部から弁体23を左側に向けて押圧する状態(以下、この状態を「左向状態」という)と、中子11の内部から弁体23を右側に向けて押圧する状態(以下、この状態を「右向状態」という)と、を選択可能とされている。
【0020】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る吐水装置の動作について説明する。
図7(a)乃至(d)は、本実施形態に係る吐水装置の中子の動作を例示する模式図である。
先ず、図4に示すように、中子11がその移動域の中間位置にあり、板ばね40が右側(圧力室13側)に凸となっているとする。この場合、板ばね40の中央部がバー35を右側に向けて付勢し、バー35のヘッド37が主弁蓋25の円筒部28において係止する。これにより、バー35が弁体23を右側に向けて押圧する状態(右向状態)となる。この結果、弁体23はその移動域における右側の端部に位置し、主弁蓋25の円板部27は中子11から離隔し、主弁蓋24の円板部27は中子11に密着する。これにより、右側の導入口22の開度が最大となり、左側の導入口21の開度は最小となる。すなわち、導入口22の開度が導入口21の開度よりも大きくなる。
【0021】
なお、本願明細書において、導入口の「開度」とは、導入口を流れる流体の流路抵抗を決定するパラメータである。例えば、図4に示す状態においては、導入口21に形成される流路の流路抵抗は、導入口22に形成される流路の流路抵抗よりも高い。この場合、導入口21の開度は、導入口22の開度よりも小さいものとする。また、中子11の移動域とは、吐水装置1を作動させたときに中子11が実際に移動する空間をいう。また、移動域の端部とは、中子11の移動方向における端部をいう。
【0022】
この状態で、入水口7及び8(図3参照)にほぼ同圧に水などの流体を供給すると、入水口8から圧力室13内に導入された水は、導入口22から中子内流路14内に流入し、吐水流路6を介して外部に流出する。一方、入水口7から圧力室12内に導入された水は、導入口21が閉じておりほとんど流出することができない。このため、圧力室12内の圧力は圧力室13内の圧力よりも高くなり、中子11に右向きの力が作用し、中子11は右側に移動する。
【0023】
中子11が右側に移動していき、その移動域の端部付近に到達すると、図7(a)に示すように、バー35の軸部36が圧力室13の内壁、すなわち、ハウジング蓋4に当接する。これにより、バー35はハウジング2に対して停止する。しかしながら、このとき、中子11には依然として右向きの力が作用しているため、中子11は右側に向けて動き続ける。この結果、図7(b)に示すように、バー35が中子11に対して相対的に左側に移動する。これにより、バー35のヘッド37が、板ばね40を左側に向けて押圧し、板ばね40は中立状態となる。
【0024】
その後、図7(c)に示すように、中子11が更に右側に移動すると、バー35が板ばね40を更に左側に向けて押圧する。この結果、ある時点で板ばね40の湾曲方向が反転し、左側に凸となる。そうすると、板ばね40の中央部はバー35から離隔し、バー34に当接してこれを左側に向けて付勢し始める。これにより、バー34のヘッド37が主弁蓋24の円筒部28に係合し、弁体23を左側に向けて押圧する状態(左向状態)となる。この結果、弁体23が中子11に対して左側に向けて移動し、主弁蓋24の円板部27が中子11から離隔し、主弁蓋25の円板部27が中子11に近づく。
【0025】
そして、弁体23がその移動域の中央に到達すると、導入口21の開度と導入口22の開度とが相互に等しくなり、中子11に作用する右向きの力と左向きの力とが等しくなる。これにより、中子11は停止する。しかしながら、このとき、制御手段の作用により弁体23は左向きに付勢されているため、弁体23が更に左側に移動し、導入口21の開度が導入口22の開度よりも大きくなる。これにより、右側の圧力室13内の圧力が左側の圧力室12内の圧力よりも高くなり、中子11に左向きの力が作用する。この結果、中子11は左側に向けて移動し始める。このように、板ばね40並びにバー34及び35からなる制御手段は、中子11がその移動域における右側の端部に達したときに、「右向状態」から「左向状態」に切り替わり、中子11の移動方向を反転させる。
【0026】
そして、図7(d)に示すように、弁体23がその移動域の左側の端部に到達すると、主弁蓋25の円板部27が中子11に密着する。これにより、導入口21の開度が最大となり、導入口22の開度が最小となる。この結果、圧力室12内の圧力と圧力室13内の圧力との差が最大となり、中子11に作用する左向きの力が最大となる。
【0027】
その後、中子11がその移動域における左側の端部付近に到達すると、バー34が圧力室12の内壁、すなわち、ハウジング本体3に当接する。そして、中子11が更に左側に移動すると、上述の図7(a)乃至(d)に示す動作と同様な動作により、板ばね40の湾曲方向が反転し、制御手段の状態が「左向状態」から「右向状態」に切り替わる。この結果、中子11の移動方向が反転する。以後、同様な動作を繰り返すことにより、中子11がハウジング2内を往復運動する。
【0028】
以下、本実施形態の効果について説明する。
上述の如く、本実施形態に係る吐水装置においては、入水口7及び8に水やお湯などの流体を供給することにより、吐水筒体5を往復運動させながら、吐水筒体5の先端から流体を吐出させることができる。従って、ハウジング2を固定すれば、吐水位置が反復的に変化する吐水装置として利用できる。また一方、吐水筒体5を固定すれば、ハウジング2が反復運動することとなり、この運動を、例えばマッサージなどに利用することもできる。
【0029】
また、本実施形態によれば、電気などの機械動力を必要とせず、水(流体)の供給圧力のみで円滑な往復反転運動が可能となり、電源の設置又は感電若しくは漏電など対する対策が不要となる。また、電磁ノイズなどの外乱にも影響されず円滑な動作が可能である。その結果、例えば、浴室や屋外、あるいは各種の産業現場などの様々な環境においても安定して動作させることができる。
【0030】
更に、本実施形態によれば、バー34及び35のヘッド37が主弁筒26の横断開口部32内に配置されているため、バー34及び35(スライドバー)は弁体23を中子11の内側から左右に押圧する。これにより、ヘッド37が中子11の外部に突出することがなく、バー34及び35における中子11の外部に突出する部分の長さはバー34及び35のストローク分だけでよいため、中子11、弁体23及びスライドバーからなる構成物を、コンパクトに形成することができる。この結果、吐水装置全体を小型化することができる。
【0031】
更にまた、本実施形態によれば、バー34とバー35とが分離しており、両者を連結する連結部が不要であるため、バー34及び35を細く形成することができる。これにより、弁体23、中子11を小型化することができ、ひいては吐水装置全体をより一層小型化することができる。また、バー34及び35と弁体23との接触面積が小さくなり、弁体23と中子11との接触面積も小さくなるため、これらの間の摩擦を低減することができる。これにより、吐水装置の動作が円滑になり、信頼性が向上する。
【0032】
更にまた、本実施形態によれば、バー34とバー35とが分離しており、相互に独立して動くことができるため、一時に、バー34及び35のうちいずれか一方のみが移動する。すなわち、中子11がその移動域の左側(圧力室12側)に到達したときは、バー34のみがハウジング2の内壁に押されて弁体23に対して相対的に移動し、中子11が移動域の右側(圧力室13側)に到達したときは、バー35のみが弁体23に対して移動する。このため、スライドバー(バー34及び35)を一体的に形成した場合と比較して、スライドバーと弁体23との間の摩擦が半分になる。更にまた、バー34とバー35とが分離しているため、それぞれのバーの中心軸出しが容易であり、量産性が優れている。
【0033】
更にまた、本実施形態によれば、バー34とバー35とを別体として形成し、板ばね40をバー34とバー35との間に配置しているため、板ばね40にスライドバーを挿通するための貫通孔を形成する必要がない。これにより、板ばね40の強度が向上するため、板ばね40の信頼性を向上させることができると共に、板ばね40を細く形成して吐水装置の小型化を図ることができる。
【0034】
更にまた、本実施形態によれば、ハウジング2内の空間10が略円柱形であり、この空間10内に略円盤形の中子11が移動可能に収容されており、この中子11の中心軸に沿って吐水筒体5が設けられており、吐水筒体5はハウジング2に対して移動可能となっている。このため、中子11及び吐水筒体5は、それらの中心軸を回転軸として自在に回転させることができる。これにより、吐水筒体5の先端にシャワーヘッドなどを取り付けた場合に、このシャワーヘッドの吐水方向を自在に選択することができる。
【0035】
このように、本実施形態によれば、小型で信頼性が高い吐水装置を実現することができる。これにより、吐水装置の設置の自由度が向上し、狭い場所やメンテナンスが困難な場所にも設置することができる。
【0036】
なお、本実施形態においては、ハウジングの片側のみに吐水筒体が設けられた例を示したが、吐水筒体はハウジングの両側に設けられていてもよい。また、本実施形態においては、ハウジング内に設けられた略円柱状の空間に円盤形の中子を収容した例を示したが、本発明はこれには限定されない。例えば、ハウジングの内部空間は、角柱状でも偏平柱状でもよく、中子もこれら形状に合わせて各種の形状とすることができる。更に、吐水筒体の外周形状も円形である必要はなく、多角形状や偏平形状であってもよい。またさらに、吐水筒体は中子の中心に設ける必要はなく、中子の中心から偏心させて設けてもよい。このようにすれば、中子の小型化が容易であり、吐水装置を小型化できる。
【0037】
更にまた、本実施形態においては、付勢手段としての板ばね40が、バー34及び35をその移動域の端部、すなわち、主弁蓋24及び25が導入口21及び22の開度比を(10:0)又は(0:10)とする位置まで押圧する例を示したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、板ばね40は、導入口21と導入口22との間で開度差が生じる程度までバー34及び35を付勢すればよく、後は圧力室間の圧力差によって弁体23が移動して、導入口21と導入口22との間の開度差がより大きくなり、本実施形態と同様な動作を実現できる。
【0038】
更にまた、本実施形態においては、中子の反転に際して、バー34及び35をハウジングの内壁に当接させているが、本発明はこれに限定されない。例えば、バー34及び35の先端部に磁石を設け、ハウジング2の内壁にも磁石を設けて、これらの間に作用する反発力を利用してバー34及び35をハウジング2に対して相対的に停止させることも可能である。この場合には、図7(a)乃至(c)に対応する状態において、バー35がハウジング2の内壁に当接せず、磁石(図示せず)の反発力によりハウジング2の内壁から所定の距離だけ離れた状態にあることとなる。このようにすれば、非接触で中子の反転が可能となる。なお、この場合、中子の移動域とは、仮に磁石がなければ中子が移動したはずの空間ではなく、磁石の作用を受けて中子が実際に移動する空間をいう。
【0039】
次に、本実施形態の第1の変形例について説明する。
図8は、本変形例における弁体を例示する斜視図である。
図8に示すように、本変形例における弁体41は、2つの主弁42により構成されており、主弁42同士は2本の連結棒43によって連結されている。各主弁42においては、円筒部44と、円筒部44よりも直径が大きい円板部45と、円筒部44の外周面に形成されたリブ46とが、一体的に形成されている。円筒部44の中心軸と円板部45の中心軸とは同一の直線をなしており、この中心軸に沿って貫通孔47が形成されており、この貫通孔47にバー34又は35が挿通している。バー34及び35のヘッド37は、主弁42間に配置されている。また、板ばね40(図4参照)は、主弁42間における連結棒43間を通過するように配置されている。本変形例における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0040】
なお、主弁42同士は、連結棒43ではなく、ネジ(図示せず)によって連結されていてもよく、又は、一方の主弁42から延出してその先端が他方の主弁42に係合するラッチ(図示せず)によって連結されていてもよい。また、円筒部44と円板部45とは、別体で成形された後、組み立てられたものであってもよい。
【0041】
次に、本実施形態の第2の変形例について説明する。
図9(a)は、本変形例における弁体を例示する分解斜視図であり、(b)は、この弁体の組立途中の状態を例示する斜視図であり、(c)は、この弁体の組立後の状態を例示する斜視図である。
本変形例は、弁体に一体型のスライドバーを設けた例である。
【0042】
図9(a)に示すように、本変形例における弁体51は、1対の主弁蓋24及び25と、この主弁蓋24と主弁蓋25とを相互に連結する主弁担体52と、主弁蓋24及び25内を挿通するスライドバー53と、から構成されている。主弁担体52においては、主弁蓋24から主弁蓋25に向かう方向に延びる略短冊状の基板54の両端部に、その一部が切り欠かれたリング状の保持部55がそれぞれ設けられており、基板54及び1対の保持部55の外面にリブ56が形成されている。また、スライドバー53には、1個のコ字状部材57が設けられており、このコ字状部材57の両側にそれぞれ挿通部58が連結されている。挿通部58はコ字状部材57から遠ざかる方向に延びる棒状の部材である。コ字状部材57における圧力室12(図4参照)側の部分及びこの部分に連結された1本の挿通部58により、スライドバー53における圧力室12側の部分が構成されており、コ字状部材57における圧力室13(図4参照)側の部分及びこの部分に連結された1本の挿通部58により、スライドバー53における圧力室13側の部分が構成されている。
【0043】
そして、主弁蓋24及び25の円筒部28の外面と、主弁担体52の保持部55の内面には、相互に対応するネジ(図示せず)が形成されており、これにより、主弁蓋24及び25と主弁担体52とが連結されている。なお、主弁蓋24及び25と主弁担体52とは接着されていてもよい。また、スライドバー53の挿通部58は、主弁担体52の保持部55によりスライド可能に保持されつつ、主弁蓋24及び25の貫通孔29内をスライド可能に挿通している。これにより、スライドバー53は、主弁担体52並びに主弁蓋24及び25に対して相対的に移動可能とされている。そして、スライドバー53のコ字状部材57内には、板ばね40(図4参照)が挿通されている。
【0044】
図9(b)に示すように、この弁体51を組み立てる際には、先ず、スライドバー53の挿通部58を、主弁担体52における1対の保持部55の内部に、保持部55の切欠を介して挿入することにより、主弁担体52にスライドバー53を組み込む。次に、主弁蓋24及び25の貫通孔29内に挿通部58を挿通させ、主弁蓋24及び25の円筒部28を主弁担体52の保持部55に螺合して連結する。これにより、図9(c)に示すように、弁体51が形成される。
【0045】
本変形例においては、板ばね40(図4参照)がコ字状部分57におけるいずれかの圧力室側の部分を押圧することにより、スライドバー53が左右のいずれかに付勢される。そして、スライドバー53がその移動域の端部に達すると、コ字状部材57が保持部55に当接し、保持部55を介して主弁蓋24又は25を弁体51の内側から押圧する。本変形例によれば、スライドバー53にコ字状部材57を設けているため、板ばねなどの制御手段を係合させることが可能である。また、保持部55に切欠が形成されているため、一体型のスライドバー53を保持部55内に組み込むことが可能である。本変形例における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
なお、本変形例においては、スライドバー53における板ばねを挿通させる部分の形状をコ字形状とする例を示したが、これに限定されない。この部分の形状は、例えば、矩形の枠状でもよく、楕円形のリング状でもよい。
【0046】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図10(a)乃至(d)は、本実施形態に係る吐水装置の中子の動作を例示する模式図である。
図10(a)に示すように、本実施形態に係る吐水装置においては、スライドバーを左右に付勢する付勢手段として、板ばねの替わりに、回動レバー62及び圧縮ばね63が設けられている。回動レバー62は、その長手方向中央部に設けられた支点62aが中子11に軸支されていることにより、支点62aを中心として回動可能とされている。また、回動レバー62の下端部には、圧縮ばね63の上端部が連結されている。圧縮ばね63の下端部は中子11に支持されている。更に、回動レバー62の上端部には、回動レバー62の回動軸方向に延びる延出部62bが設けられている。そして、回動レバー62が回動することにより、回動レバー62の延出部62bがバー34のヘッド37又はバー35のヘッド37に当接し、これらを左右に付勢するようになっている。
【0047】
圧縮ばね63は、金属線材が螺旋状に成形された「巻ばね」からなり、圧縮された状態で使用される。回動レバー62の上端部がその回動域の両端部に位置しているときは、圧縮ばね63に印加される応力は相対的に小さく、従って圧縮ばね63は圧縮量が少なく反発力が弱い状態にあり、回動レバー62の上端部がその回動域の中央部に位置しているときは、圧縮ばね63に印加される応力は相対的に大きく、従って圧縮ばね63は圧縮量が多く反発量が強い状態にある。これにより、回動レバー62及び圧縮ばね63からなる付勢手段は、バー34を左側に押圧する状態と、バー35を右側に押圧する状態とを、選択する。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0048】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る吐水装置の動作について説明する。
先ず、中子11がその移動域の中間位置にあり、回動レバー62の上端部が右側に回動して、延出部62bがバー35に当接しているとする。この場合、圧縮ばね63が回動レバー62の下端部を上方に向けて付勢し、これにより、回動レバー62の延出部62bがバー35を右側に向けて付勢し、バー35が弁体23を右側に向けて押圧する(右向状態)。この結果、弁体23はその移動域における右側の端部に位置し、右側の導入口22の開度が最大となり、左側の導入口21の開度は最小となる。すなわち、導入口22の開度が導入口21の開度よりも大きくなる。
【0049】
この状態で、入水口7及び8(図3参照)に流体を供給すると、前述の第1の実施形態と同様な原理により左右の圧力室間で圧力差が生じ、中子11に右向きの力が作用する。この結果、中子11は右側に移動し、やがてその移動域の端部付近に到達する。
【0050】
これにより、図10(a)に示すように、バー35がハウジング2の内壁に当接し、ハウジング2に対して停止する。しかしながら、このとき、中子11には依然として右向きの力が作用しているため、中子11は右側に向けて動き続ける。この結果、バー35が中子11に対して相対的に左側に移動する。これにより、バー35が回動レバー62の延出部62bを左側に向けて押圧し、回転レバー62は図示の反時計回りに回動する。このとき、圧縮ばね63はこの回動に対して抵抗する。
【0051】
そして、図10(b)に示すように、回動レバー62が圧縮ばね63の作用に逆らって回動し、その上端部がその回動域の中央部まで到達すると、圧縮ばね63が回動レバー62に印加する力の方向が、回動レバー62の下端部から回動中心に向かう方向となり、圧縮ばね63は回動レバー62の回動に対して抵抗しなくなる。このとき、圧縮ばね63の圧縮量は極大となる。
【0052】
その後、図10(c)に示すように、中子11が更に右側に移動すると、バー35が回動レバー62の延出部62bを更に左側に向けて押圧し、回動レバー62が更に反時計回りに回動する。これにより、圧縮ばね63の圧縮量が極大値を超え、回動レバー62の反時計回りの回動を促進するようになる。そうすると、回動レバー62の延出部62bはバー35から離隔してバー34に当接し、これを左側に向けて付勢するようになる。これにより、バー34が弁体23を左側に向けて押圧する(左向状態)。この結果、弁体23が中子11に対して左側に向けて移動し、やがて導入口21の開度が導入口22の開度よりも大きくなる。この結果、中子11に左向きの力が作用し、中子11は左側に向けて移動し始める。
【0053】
そして、図10(d)に示すように、弁体23がその移動域の左側の端部に到達すると、主弁蓋25の円板部27が中子11に密着する。これにより、導入口21の開度が最大となり、導入口22の開度が最小となる。この結果、左右の圧力室の圧力差が最大となり、中子11に作用する左向きの力が最大となる。
【0054】
その後、中子11がその移動域における左側の端部付近に到達すると、バー34がハウジング2の内壁に当接する。そして、中子11が更に左側に移動すると、上述の図10(a)乃至(d)に示す動作と同様な動作により、中子11の移動方向が反転する。以後、同様な動作を繰り返すことにより、中子11がハウジング2内を往復運動する。本実施形態における上記以外の動作は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0055】
本実施形態においては、バーの変位量に対して圧縮ばねの変形量が少なくて済むため、圧縮ばねの耐久性が高い。このため、吐水装置の信頼性が高い。本実施形態におけるこれ以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0056】
なお、本実施形態においては、回動レバー62の形状は、その上端部から延出部62bが延出するL字形状としたが、回動レバーの形状はこれに限定されない。例えば、回動レバー62の下端部における圧縮ばね63が連結される部分を延出部62bと同じ方向に延出させて全体をC字形状としてもよく、又は、延出部を設けず、上端部に丸みを持たせてI字形状としてもよい。また、本実施形態においては、前述の第1の実施形態と同様に、付勢手段としての圧縮ばね63が、バー34及び35を導入口間の開度差が最大となる位置まで付勢する例を示したが、本発明はこれに限定されず、圧縮ばね63は、バー34及び35を、左右の導入口間である程度の開度差が生じる位置まで付勢すればよい。これは、後述する本実施形態の各変形例についても同様である。
【0057】
次に、本実施形態の第1の変形例について説明する。
図11は、本変形例に係る吐水装置の中子を例示する模式図である。
図11に示すように、本変形例に係る吐水装置においては、前述の第2の実施形態に係る吐水装置と比較して、圧縮ばね63(図10(a)参照)の替わりに、トーションばね64が設けられている。本変形例における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第2の実施形態と同様である。
【0058】
次に、本実施形態の第2の変形例について説明する。
図12は、本変形例に係る吐水装置における弁体及びスライドバーを例示する模式図である。
図12に示すように、本変形例に係る吐水装置においては、前述の第2の実施形態に係る吐水装置と比較して、バー34及び35(図10(a)参照)からなる分離型のスライドバーの替わりに、一体型のスライドバー65が設けられている。スライドバー65においては、中央に環状部66が設けられており、環状部66の両側に挿通部67が設けられている。そして、環状部66の内部に、回動レバー62の延出部62bが位置し、環状部66に係合している。この場合、環状部66における一方の圧力室側の部分、すなわち、回動レバー62の延出部62bがこの一方の圧力室側に付勢されているときに当接する部分と、この部分に連結された1本の挿通部67により、スライドバー65におけるこの一方の圧力室側の部分が構成されている。本変形例における上記以外の構成は、前述の第2の実施形態と同様である。
【0059】
次に、本実施形態の第3の変形例について説明する。
図13は、本変形例に係る吐水装置における弁体及びスライドバーを例示する模式図である。
図13に示すように、本変形例に係る吐水装置においては、前述の第2の実施形態に係る吐水装置と比較して、バー34及び35(図10(a)参照)からなる分離型のスライドバーの替わりに、一体型のスライドバー68が設けられている。スライドバー68の中央部の一方の面には、その両側面が滑らかに傾斜した三角形状の凸部68aが設けられており、スライドバー68の中央部の他方の面には、その両側面が垂直に起立した矩形状の凸部68bが設けられている。また、圧縮ばね63の内部にはガイド69が設けられており、圧縮ばね63の伸縮方向がスライドバー68に向かう方向に規制されている。更に、圧縮ばね63のスライドバー68側の端部には、球体70が取り付けられている。本変形例における上記以外の構成は、前述の第2の実施形態と同様である。
【0060】
本変形例においては、圧縮ばね63が球体70をスライドバー68の凸部68aに押し付けることにより、三角形状の凸部68aがこの球体70の押圧力を左右方向の力に変換し、スライドバー68を左右のいずれかの方向に付勢する。これにより、スライドバー68の矩形状の凸部68bが弁体23に係合し、弁体23を左右に付勢する。本変形例における上記以外の動作及び効果は、前述の第2の実施形態と同様である。
【0061】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図14は、本実施形態に係る吐水装置を例示する斜視図であり、
図15は、この吐水装置を例示する断面図であり、
図16は、図15に示すB−B’線による断面図である。
【0062】
図14乃至図16に示すように、本実施形態に係る吐水装置71においては、ハウジング72が設けられている。ハウジング72は、その両端部が開口した筒状のハウジング本体73と、ハウジング本体73の両端部を塞ぐ板状のハウジング蓋74a及び74bとから構成されている。また、ハウジング72の片側、すなわち、ハウジング蓋74aからは、筒状の吐水筒体75がハウジング蓋74aの表面に垂直な方向に向けて延出している。吐水筒体75は、内部に吐水流路76を有する中空構造となっており、先端にて開口している。更に、ハウジング本体73には、2ヶ所の入水口77及び78が形成されている。入水口77及び78は、例えば、二叉に分岐された給水配管(図示せず)の分岐端にそれぞれ接続され、水又は湯等の流体が相互に同じ圧力で供給される。例えば、入水口77及び78の内径及び形状は相互に同一であり、従って、流路抵抗も相互に等しい。
【0063】
次に、ハウジング72の内部構造について説明する。
ハウジング72の内部には、扇形のハウジング空間80が形成されており、この空間80内に中子81が、空間80の扇形中心を回動中心として回動可能に収容されている。中子81は、空間80を圧力室82と圧力室83とに分割しつつ、往復回動運動する。また、中子81の回動中心部には吐水筒体75が連結されている。更に、中子81内には中子内流路84が形成されており、この中子内流路84は吐水筒体75内の吐水流路76に連通され、ハウジング72の外部に連通されている。更にまた、入水口77は圧力室82に連通されており、入水口78は圧力室83に連通されている。
【0064】
中子81は、その内部に中子内流路84が形成された中子本体86と、中子内流路84を塞ぐように中子本体86に連結された中子蓋87により構成されている。中子本体86におけるハウジング82の内壁と摺動する面には、液密を維持しつつ摺動を円滑にするためのシール88が設けられている。また、ハウジング蓋74a及び74bにおける吐水筒体75と摺動する面にも、同様の目的でシール89が設けられている。シール88及び89の材料には、例えば、テフロン(登録商標)、NBR(ニトリルゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)又はPOM(ポリアセタール)などを用いることができる。
【0065】
中子81には、中子内流路84と圧力室82及び83とをそれぞれ連通させる導入口91及び92が設けられている。そして、導入口91、中子内流路84及び導入口92を挿通するように、弁体23が設けられている。また、弁体23には、スライドバーとして、1対のバー34及び35が取り付けられている。更に、バー34とバー35との間には、板ばね40が設けられている。弁体23、バー34及び35並びに板ばね40の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0066】
次に、本実施形態に係る吐水装置の動作について説明する。
本実施形態に係る吐水装置71においても、前述の第1の実施形態と同様に、入水口77及び78に流体を供給すると、バー34及び35並びに板ばね40からなる制御手段により、弁体23がその移動域の一方の端部側に付勢される。これにより、圧力室82と圧力室83との間に圧力差が生じ、中子81が回動する。そして、中子81がその回動域の端部に到達すると、制御手段の状態が切り替わり、中子81に加わる力の方向が逆転し、中子81の回動方向が反転する。この動作を繰り返すことにより、中子81が空間80内を往復回動運動する。これにより、吐水筒体75をその中心軸を回動中心として回動させつつ、吐水筒体75の先端から流体を吐出させることができる。
【0067】
本実施形態においては、前述の第1の実施形態の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
図17(a)及び(b)は、本実施形態の効果を示す図であり、(a)はバーがハウジングに当接した状態を示し、(b)はこのバーが中子内に押し込まれた状態を示す。
本実施形態に係る吐水装置71においては、中子81はハウジング72内を回動運動する。このため、バー34及び35のスライド方向は、中子81の回動に伴って変化する。一方、バー34及び35は、ハウジング72の内壁から反力を受けてスライドするが、この反力の方向は、ハウジング72の内壁に対して垂直な方向であり、従って一定である。このため、バー34及び35のスライド中に、中子81が回動し、バー34及び35に印加される力の方向が、スライド方向からずれてしまう。
【0068】
すなわち、図17(a)に示すように、バー34がハウジング72の内壁に当接したときに、バー34の長手方向がハウジング72の内壁に対して垂直になるようにして、バー34にスライド方向に平行な力Nが印加されるように吐水装置を設計しても、図17(b)に示すように、バー34が中子81内に押し込まれたときには、中子81は図17(a)に示す状態から角度θだけ回動しているため、バー34に力Nが加わる方向に対して、バー34のスライド方向が角度θだけずれてしまう。一方、バー34が中子81内に押し込まれたときに、バー34にスライド方向の力が加わるように吐水装置を設計しても、バー34がハウジング72の内壁に当接した瞬間には、力の方向とスライド方向とがずれてしまう。このように、本実施形態の吐水装置においては、バーに印加される力の方向をスライド方向と常に一致させることはできない。そして、バーにそのスライド方向からずれた方向の力が加わると、バーが弁体に片当たりしてしまい、摩擦が大きくなる。
【0069】
これに対して、本実施形態においては、バー34とバー35とが相互に独立にスライドできるため、一体型のスライドバーを設ける場合と比較して、片当たり量を半減させることができる。これにより、スライドバーの動きを円滑にし、吐水装置の信頼性を向上させることができる。なお、本実施形態においても、前述の第2の実施形態と同様に、付勢手段として巻ばね又はトーションばねを用いてもよい。
【0070】
なお、前述の第1乃至第3の実施形態及びそれらの変形例において、中子の移動域を規制し、規制された移動域の端部において制御手段を作動させることにより中子を反転させる終端調節手段を設けてもよい。これにより、吐水筒体の往復運動範囲を調節することができ、吐水領域を制御することができる。終端調節手段としては、例えば、ハウジングの外部からハウジングの内部に挿入可能に取り付けられ、中子が近づいてきたときにバーの先端が当接するような位置に配置された棒状部材が考えられる。この棒状部材の挿入量を調節することにより、中子の移動域を制御することができる。
【0071】
また、前述の第1乃至第3の実施形態及びそれらの変形例において、中子又は吐水筒体の動きを制動する制動手段を設けてもよい。これにより、吐水筒体の運動速度を制御したり、任意の位置で停止させたりすることができる。制動手段としては、例えば、中子の動きを機械的に阻止する阻止部材又は吐水筒体に可変の摺動抵抗を与える摺動部材などが考えられる。又は、左右の圧力室の少なくとも一方への流体の流入を停止する弁を設けてもよく、左右の圧力室間を連通するバイパスを設け、このバイパスの流路抵抗を可変とする調節弁を設けてもよい。これらの手段によっても、中子に印加される力を調整することにより、吐水筒体の運動速度を制御することができる。
【0072】
更に、前述の第1及び第2の実施形態並びにそれらの変形例においては、中子の片側にのみ吐水筒体が接合されているため、中子における吐水筒体が接合された面は、反対側の面に比べて受圧面積が小さい。中子が流体から受ける力は、受圧面積と流体圧との積で与えられるため、中子が吐水筒体がある側(左側)から受ける力の最大値は、吐水筒体がない側(右側)から受ける力の最大値よりも小さい。このため、中子が右側に移動する速度は、左側に移動する速度よりも小さくなる。
【0073】
第1及び第2の実施形態においては、この往復の速度差を利用して様々な効果を得ることができる。例えば、吐水装置を洗浄装置に利用する場合には、洗浄方向には吐水筒体をゆっくり動かし、反対方向へは速く動かして吐水位置を素早く元に戻すことにより、洗浄効率を高めることができる。また、吐水装置をシャワーマッサージ装置に利用する場合には、使用者の心臓に向かう方向には吐水筒体をゆっくり動かし、その反対方向には素早く戻すことにより、マッサージ効果を高めることができる。
【0074】
なお、中子の両側に吐水筒体を接合した場合には、中子の両側で受圧面積の差は生じない。また、前述の第3の実施形態のように、ロータリー型の吐水装置においても、中子の両側で受圧面積の差は生じない。これらの場合には、左右の圧力室の入水口の流路抵抗若しくはこれらの入水口に至る配管の流路抵抗を左右で異ならせるか、又は、左右の圧力室から中子内流路への漏洩量を相互に異ならせることにより、往復の速度差をつけることができる。
【0075】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
本実施形態は、前述の第1又は第2の実施形態に係る吐水装置を、シャワー装置として使用する例である。
図18は、本実施形態に係るシャワー装置を例示する斜視図である。
【0076】
図18に示すように、本実施形態に係るシャワー装置101は、浴室の壁面102に取り付けられている。シャワー装置101においては、吐水装置103が設けられている。吐水装置103は、前述の第1又は第2の実施形態に係る吐水装置において、ハウジング2の両側に吐水筒体5を取り付けたものである。また、各吐水筒体5の先端には、円柱形の吐水ノズル104が装着されている。吐水ノズル104は、その側面の一部から水を吐水する。なお、本実施形態において「水」と記載したときは、「湯」も含むものとする。後述する他の実施形態においても同様である。
【0077】
本実施形態に係るシャワー装置101においては、吐水装置103の吐水筒体5が矢印M1で表した方向に往復直線運動すると、これに合わせて吐水ノズル104も反復運動し、吐水位置が周期的に変動する。例えば、吐水ノズル104から吐水された水を使用者の肩などにあてると、吐水位置が周期的に変化するので、いわゆる「打たせ湯」のマッサージ効果をより広範囲に効果的に作用させることができると共に、使用者が自ら身体を揺すって作用部位を変化させる必要がなく、使用感が向上する。また、噴霧状の吐水を広範囲にあてることにより、リラクゼーション効果を得ることも可能であり、使用感が向上する。また一方、吐水ノズル104を固定した場合には、ハウジング2が移動することとなり、この動作をマッサージなどに利用することも可能である。つまり、左右に動くハウジングに身体を押し当てることにより、「もみほぐし」などのマッサージ効果が得られる。更に、吐水ノズル104を矢印M2の方向に回転させることにより、吐水位置のみのならず、吐水方向も使用者の好みに応じて変化させることができる。
【0078】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
本実施形態は、前述の第3の実施形態に係る吐水装置を、シャワー装置として使用する例である。
図19は、本実施形態に係るシャワー装置を例示する斜視図である。
【0079】
図19に示すように、本実施形態に係るシャワー装置111は、浴室の壁面112に取り付けられている。このシャワー装置111においては、吐水装置113が設けられている。この吐水装置113は、前述の第3の実施形態に係る吐水装置である。吐水装置113の吐水筒体75(図14参照)には、シャワーノズル114が装着されており、シャワーノズル114の側面には多数の孔115が形成されており、この多数の孔115から水をシャワー状に吐出する。また、シャワーノズル114における吐水装置113が装着されていない側の端部を保持するように、軸受け部116が設けられている。これにより、シャワーノズル114は、吐水装置113及び軸受け部116により、回動可能に両持梁状に支持されている。なお、軸受け部116の替わりに、他の吐水装置を設け、シャワーノズル114にその両側から水を供給してもよい。
【0080】
本実施形態においては、シャワーノズル114が矢印Rで表したように往復回動運動することにより、コンパクトな形状にてシャワー状の吐水を広範囲に噴射できる。例えば、浴室においてこの吐水装置を用いることにより、使用者は手放しでシャワーを効率的に浴びることができ便利である。また、反復的に変動するシャワーの刺激によるマッサージ効果やリラクゼーション効果も期待できる。
【0081】
一方、シャワーノズル114を壁面112に固定した場合には、吐水装置113のハウジングが回動することとなり、この動作をマッサージなどに利用することも可能である。つまり、往復回動するハウジングに身体を押し当てることにより、「もみほぐし」などのマッサージ効果が得られる。
【0082】
また、自動車の洗浄装置にこのシャワー装置を組み込むと、広範囲に均一にシャワーをかけることができ、便利である。更に、半導体、食品、医療、製紙パルプ、自動車などをはじめとする各種の産業の現場において、このようなシャワー装置を洗浄装置に組み込むことにより、例えば、半導体ウェーハ、液晶パネルの基板、各種の原料、材料、部品などの洗浄を効率良く実施できる。この場合にも、電源や潤滑油などを供給する必要がなく、電磁ノイズも発生せず、またノイズの影響も受けず、衛生的であり、メンテナンス性にも優れるなどの各種の効果が得られる。
【0083】
更にまた、このシャワー装置を撹拌や混合に用いることもできる。例えば、液体槽の中に本実施形態に係るシャワー装置を沈めた状態で、シャワーノズル114を回動させながら吐水させると、液体槽内の液体の撹拌や混合ができる。また、液体槽の中でシャワーノズル114を固定しハウジングを回動させても、撹拌や混合を実施できる。
【0084】
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
図20は、本実施形態に係るシャワー装置を例示する斜視図である。
図20に示すように、本実施形態に係るシャワー装置121においては、垂直方向に延び、浴室の壁面122に取り付けられた円筒形状の筐体123が設けられている。筐体123は上水管(図示せず)に連結されており、水が供給されるようになっている。そして、筐体123の上部には、下方に向けて水をシャワー状に吐出するシャワーヘッド124が装着されており、このシャワーヘッド124は、筐体123内に設けられた吐水装置(図示せず)の吐水筒体に連結されている。この吐水装置は、前述の第3の実施形態に係る吐水装置である。これにより、シャワーヘッド124は、矢印Rで示すように、水平方向に往復回動する。
【0085】
また、筐体123の中央部には、水平方向に向けて水をシャワー状に吐出するボディ用シャワーヘッド125が設けられており、このボディ用シャワーヘッド125は、筐体123内に設けられた他の吐水装置(図示せず)の吐水筒体に連結されている。この吐水装置は、前述の第1又は第2の実施形態に係る吐水装置である。これにより、ボディ用シャワーヘッド125は、矢印Mで示すように、上下方向に往復運動する。
更に、筐体123には、手持ち用シャワーヘッド126も装着されている。この手持ち用シャワーヘッド126は、使用者が自分の手で持って使用するものである。
【0086】
本実施形態に係るシャワー装置121においては、シャワーヘッド124の吐水位置が自動的に往復回動し、ボディ用シャワーヘッド125の吐水位置が自動的に往復上下動するため、使用者は、自ら身体の位置を変えることなく、身体中にまんべんなく水を浴びることができる。また、手持ち用シャワーヘッド126も併用すれば、より高い使用感を得ることができる。
【0087】
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。
図21は、本実施形態に係るシャワー装置を例示する断面図である。
図21に示すように、本実施形態に係るシャワー装置131においては、浴室の壁面132の裏側に設けられた吐水装置133と、壁面132に対して回動可能に支持されたシャワーヘッド134とが設けられている。吐水装置133は、前述の第1又は第2の実施形態に係る吐水装置であり、その吐水筒体5はハウジング2から、壁面132に対して平行な方向に延びている。また、シャワーヘッド134は、その回動中心から外れた部分が吐水装置133の吐水筒体5に係合されていると共に、吐水筒体5から柔軟なチューブ135を介して水が供給されるようになっている。更に、シャワーヘッド134の吐水面134aは、壁面132の一部を構成している。
【0088】
本実施形態のシャワー装置131においては、吐水装置133に水が供給されると、吐水装置133の吐水筒体5が往復直線運動し、この運動がシャワーヘッド134の往復回動運動に変換される。一方、吐水筒体5からシャワーヘッド134に水が供給され、吐水面134aからシャワー状に吐出される。これにより、吐水角度が自動的に変化する壁面埋め込み型のシャワー装置を実現することができる。
【0089】
本実施形態においては、吐水装置の信頼性が高く、小型であるため、浴室の壁面の裏側に配置することができる。なお、浴室の壁面とは、浴室の側面だけでなく、天井なども含むものとする。
【0090】
以上、本発明の実施形態及びその変形例を図面を参照しつつ説明した。しかし、本発明は、これらの実施形態及び変形例に限定されるものではない。すなわち、上述の実施形態又は変形例に係る吐水装置を構成するいずれかの要素について当業者が設計変更を加えたものであっても、本発明の要旨を備えたものであれば、本発明の範囲に包含される。例えば、吐水装置の駆動部若しくは吐水ノズルの外形、構成部品の形状若しくは配置、又は移動のストローク若しくは回動角度などについて当業者が適宜変更を加えたものであっても、本発明の要旨を含む限り、本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る吐水装置を例示する斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る吐水装置を例示する斜視断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る吐水装置を例示する断面図である。
【図4】図3に示すA−A’線による断面図である。
【図5】第1の実施形態に係る吐水装置における弁体及びスライドバーを例示する斜視図である。
【図6】第1の実施形態に係る吐水装置における弁体及びスライドバーを例示する分解斜視図である。
【図7】(a)乃至(d)は、第1の実施形態に係る吐水装置の中子の動作を例示する模式図である。
【図8】第1の実施形態の第1の変形例における弁体を例示する斜視図である。
【図9】(a)は、第1の実施形態の第2の変形例における弁体を例示する分解斜視図であり、(b)は、この弁体の組立途中の状態を例示する斜視図であり、(c)は、この弁体の組立後の状態を例示する斜視図である。
【図10】(a)乃至(d)は、本発明の第2の実施形態に係る吐水装置の中子の動作を例示する模式図である。
【図11】第2の実施形態の第1の変形例に係る吐水装置の中子を例示する模式図である。
【図12】第2の実施形態の第1の変形例に係る吐水装置に係る吐水装置における弁体及びスライドバーを例示する模式図である。
【図13】第2の実施形態の第3の変形例に係る吐水装置における弁体及びスライドバーを例示する模式図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に係る吐水装置を例示する斜視図である。
【図15】第3の実施形態に係る吐水装置を例示する断面図である。
【図16】図15に示すB−B’線による断面図である。
【図17】(a)及び(b)は、第3の実施形態の効果を示す図であり、(a)はバーがハウジングに当接した状態を示し、(b)はこのバーが中子内に押し込まれた状態を示す。
【図18】本発明の第4の実施形態に係るシャワー装置を例示する斜視図である。
【図19】本発明の第5の実施形態に係るシャワー装置を例示する斜視図である。
【図20】本発明の第6の実施形態に係るシャワー装置を例示する斜視図である。
【図21】本発明の第7の実施形態に係るシャワー装置を例示する断面図である。
【符号の説明】
【0092】
1 吐水装置、2 ハウジング、3 ハウジング本体、4 ハウジング蓋、5 吐水筒体、7、8 入水口、10 空間、11 中子、12、13 圧力室、14 中子内流路、16 中子本体、17 中子蓋、18、19 シール、21、22 導入口、23 弁体、24、25 主弁蓋、26 主弁筒、27 円板部、28 円筒部、29 貫通孔、30、31 開口部、32 横断開口部、33 リブ、34、35 バー、36 軸部、37 ヘッド、40 板ばね、41 弁体、42 主弁、43 連結棒、44 円筒部、45 円板部、46 リブ、47 貫通孔、51 弁体、52 主弁担体、53 スライドバー、54 基板、55 保持部、56 リブ、57 コ字状部材、58 挿通部、62 回動レバー、62a 支点、62b 延出部、63 圧縮ばね、64 トーションばね、65 スライドバー、66 環状部、67 挿通部、68 スライドバー、68a、68b 凸部、69 ガイド、70 球体、71 吐水装置、72 ハウジング、73 ハウジング本体、74a、74b ハウジング蓋、75 吐水筒体、76 吐水流路、77、78 入水口、80 空間、81 中子、82、83 圧力室、84 中子内流路、86 中子本体、87 中子蓋、88、89 シール、91、92 導入口、101 シャワー装置、102 壁面、103 吐水装置、104 吐水ノズル、111 シャワー装置、112 壁面、113 吐水装置、114 シャワーノズル、115 孔、116 軸受け部、121 シャワー装置、122 壁面、123 筐体、124 シャワーヘッド、125 ボディ用シャワーヘッド、126 手持ち用シャワーヘッド、131 シャワー装置、132 壁面、133 吐水装置、134 シャワーヘッド、134a 吐水面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空間を有するハウジングと、
前記空間を第1及び第2の圧力室に分割しつつ前記空間内を移動可能とされ、内部に中子内流路を有する中子と、
前記中子内流路に連通し前記ハウジングの外側に至る吐水流路を有する吐水筒体と、
前記第1の圧力室に流体を導入する第1の入水口と、
前記第2の圧力室に流体を導入する第2の入水口と、
前記第1の圧力室から前記中子内流路に流体を導入する第1の導入口と、
前記第2の圧力室から前記中子内流路に流体を導入する第2の導入口と、
前記中子を挿通し前記中子に対して移動可能とされ、その前記中子に対する移動域における前記第1の圧力室側の端部に位置しているときに前記第1の導入口の開度が前記第2の導入口の開度よりも大きく、前記第2の圧力室側の端部に位置しているときに前記第2の導入口の開度が前記第1の導入口の開度よりも大きい弁体と、
前記中子の内部から前記弁体を前記第1の圧力室側に向けて押圧する第1の状態と、前記中子の内部から前記弁体を前記第2の圧力室側に向けて押圧する第2の状態と、を選択可能な制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記中子がその移動域における前記第1の圧力室側の端部に達したときに前記第2の状態を選択し、前記中子がその移動域における前記第2の圧力室側の端部に達したときに前記第1の状態を選択することを特徴とする吐水装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記弁体に対して移動可能に設けられ前記弁体を押圧可能なスライドバーと、
前記スライドバーにおける少なくとも前記第1の圧力室側の部分を前記第1の圧力室側に向けて付勢する第1付勢状態と、前記スライドバーにおける少なくとも前記第2の圧力室側の部分を前記第2の圧力室側に向けて付勢する第2付勢状態と、を選択可能な付勢手段と、
を有し、
前記スライドバーは、前記第1の圧力室の内壁に当接することにより、前記付勢手段を前記第2付勢状態とし、前記第2の圧力室の内壁に当接することにより、前記付勢手段を前記第1付勢状態とし、
前記スライドバーにおける前記第1の圧力室側の部分は、前記第1の圧力室側に向けて付勢されることにより、前記弁体を前記第1の圧力室側に向けて押圧し、前記スライドバーにおける前記第2の圧力室側の部分は、前記第2の圧力室側に向けて付勢されることにより、前記弁体を前記第2の圧力室側に向けて押圧することを特徴とする請求項1記載の吐水装置。
【請求項3】
前記スライドバーにおける前記第1の圧力室側の部分と前記第2の圧力室側の部分とは、相互に独立して移動可能であることを特徴とする請求項2記載の吐水装置。
【請求項4】
前記スライドバーにおける前記第1の圧力室側の部分と前記第2の圧力室側の部分とは、相互に連動して移動することを特徴とする請求項2記載の吐水装置。
【請求項5】
前記付勢手段は、前記第1の圧力室側に凸になるように湾曲する状態と、前記第2の圧力室側に凸になるように湾曲する状態と、を択一的に保持する板ばねを有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の吐水装置記載の吐水装置。
【請求項6】
前記付勢手段は、巻ばねを有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の吐水装置記載の吐水装置。
【請求項7】
前記付勢手段は、トーションばねを有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の吐水装置記載の吐水装置。
【請求項8】
前記空間の形状が柱状であり、前記中子は前記柱状の空間の中心軸に沿って往復運動することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の吐水装置。
【請求項9】
前記空間の形状が扇状であり、前記中子は前記扇状の空間の中心を回動中心として回動運動することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の吐水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−49277(P2008−49277A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228667(P2006−228667)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】