説明

吐水装置

【課題】吐水軌跡を変化させながら広範囲に面状にシャワー状の吐水流を吐水する吐水装置を提供する。
【解決手段】洗浄水が流入する流入室と、流入室の内外部に通じた開口部とを有するガイド部材と、開口部より小径な縮径部の先端を開口部からガイド部材の外部に突出させた状態で流入室の内部に設けられ、流入室に流入した洗浄水を縮径部の先端から流出可能な筒体と、縮径部の先端から流出した洗浄水一時貯留のバッファ室と、筒体の中心軸に対して非対称な関係で各々が傾斜すると共にバッファ室に連通した複数の吐水孔が形成され、縮径部の先端に設けられ径方向に大きな散水板とを有する縮径部ヘッドと、を備え、筒体は流入室へ流入した洗浄水により、少なくとも縮径部の一部を開口部に接触させた状態で流入室の中心軸に対して傾きながら流入室の中心軸のまわりにヘッドと一体に首振り公転し、且つ筒体は自身の中心軸のまわりにヘッドと一体に自転する吐水装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐水方向(吐水軌跡)を変化させながらシャワー状の吐水流を吐水する吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ノズルが収容された旋回室内に形成される旋回流によってノズルを首振り公転させたり自転させながら吐水を行わせる吐水装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特許第3518542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に開示された吐水装置では、一つのノズル孔から線(点)状の吐水流が吐水され、その吐水流が人体等に当たる範囲も狭く、例えばその吐水装置を使ってシャワー浴を行おうとしても体の広範囲を効率よく温めるような入浴感が得られ難い。
【0004】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、吐水軌跡を変化させながら広範囲に面状にシャワー状の吐水流を吐水することができる吐水装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、洗浄水が流入する流入室と、前記流入室の内部及び外部に通じて設けられた開口部とを有するガイド部材と、前記開口部より小径な縮径部を有し、前記縮径部の先端を前記開口部から前記ガイド部材の外部に突出させた状態で前記流入室の内部に設けられ、前記流入室に流入した洗浄水を前記縮径部の前記先端から流出可能な筒体と、前記縮径部の前記先端から流出した洗浄水が一時的に貯留されるバッファ室と、前記筒体の中心軸に対して非対称な関係で各々が傾斜すると共に前記バッファ室に連通した複数の吐水孔が形成され、前記縮径部より径方向に大きな散水板とを有する、前記縮径部の先端に設けられたヘッドと、を備え、前記筒体は前記流入室へ流入した洗浄水により、少なくとも前記縮径部の一部を前記開口部に接触させた状態で前記流入室の中心軸に対して傾きながら前記流入室の中心軸のまわりに前記ヘッドと一体に首振り公転し、且つ前記筒体は自身の中心軸のまわりに前記ヘッドと一体に自転することを特徴とする吐水装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、吐水軌跡を変化させながら広範囲に面状にシャワー状の吐水流を吐水することができる吐水装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0008】
図1は、本発明の実施形態に係る吐水装置の模式断面図を示す。
本実施形態に係る吐水装置は、主として、ガイド部材1と、筒体20と、ヘッド40とを備えている。
【0009】
ガイド部材1は、球体部2の内部に貫通孔が形成された構造を有する。球体部2の内部には、球体部2の直径方向に延びる旋回室(流入室)3が形成されている。旋回室3の軸方向の一端部には、旋回室3の内部及び外部に通じる開口部4が設けられている。開口部4の内径寸法は旋回室3の内径寸法より小さく、開口部4はその中心軸を旋回室3の中心軸と一致させている。旋回室3の軸方向の他端部側の径外方には流入孔5が形成されている。流入孔5は、旋回室3の内部及び球体部2の外部に通じている。ガイド部材1の外部から流入孔5に導かれた洗浄水は、流入孔5を介して旋回室3に対して接線方向から流入し、旋回室3の内部には洗浄水の旋回流が形成される。開口部4はガイド部材1の外部に対して開放され、旋回室3の他端側の開口は封止部材6によって閉塞されている。
【0010】
筒体20は、縮径部21と大径部22とを有する概略ボトル形状に形成されている。大径部22の外径寸法は旋回室3の内径寸法より小さく、大径部22は旋回室3の内部に収容されている。その大径部22に一体に設けられた縮径部21の外径寸法は開口部4の内径寸法より小さく、縮径部21は開口部4を貫通して、その先端が球体部2の外部に突出している。
【0011】
図1に示すように、筒体20と旋回室3とが互いの中心軸を一致させた状態では、縮径部21の外周面と開口部4の内壁面との間に隙間が形成され、さらに大径部22の外周面と旋回室3の内壁面との間にも隙間が形成される。筒体20は、ガイド部材1に対して固定されておらず、自由に自転したり揺動を行う首振り公転することが可能となっている。
【0012】
筒体20の軸方向の両端は開口され、大径部22側の開口24から筒体20内部に流入した洗浄水は、筒体20内部を軸方向に流れて、縮径部21側の開口から筒体20の外部に流出可能である。また、筒体20の大径部22の周面(側面)には、周方向に等間隔で間欠的に配置された複数の貫通孔23が形成され、旋回室3内に流入した洗浄水は、それら貫通孔23を介しても筒体20の内部に導かれて縮径部21の先端から流出可能である。
【0013】
ヘッド40は筒体20よりも径方向寸法が大きな扁平状に形成され、その径方向の中心を筒体20の中心軸C1に一致させている。ヘッド40は、漏斗状のバッファ部材41と散水板44とを有する。バッファ部材41の細管部42の内部に筒体20の縮径部21の先端が嵌合固定され、これにより、筒体20及びヘッド40は両者一体となって自転したり揺動を行う首振り公転する。
【0014】
バッファ部材41の内部にはバッファ室43が形成され、筒体20の縮径部21の先端の開口はバッファ室43に臨んでいる。バッファ室43の径方向寸法は筒体20の径方向寸法より大きく、バッファ室43には縮径部21の先端から流出した洗浄水が一時的に貯留可能となっている。
【0015】
散水板44は、バッファ室43における細管部42とは反対側の開口を塞ぐ蓋状に設けられている。散水板44は筒体20よりも径方向寸法が大きな円盤状に形成され、散水板44にはその厚さ方向を貫通する複数の吐水孔45が形成されている。吐水孔45の一端はバッファ室43に連通し、他端はヘッド40の外部に臨んでいる。
【0016】
複数の吐水孔45は、散水板44における少なくとも外周側部分に周方向に沿って形成されている。各々の吐水孔45は、その軸方向が筒体20の中心軸C1に対して平行ではなく傾いている。本実施形態では、すべての吐水孔45が同じ方向に傾斜している。したがって、各々の吐水孔45は、筒体20の中心軸C1に対して非対称な関係で傾斜している。すなわち、筒体20の中心軸C1を中心にしてその中心軸C1まわりに散水板44を180度回転させたときと、180度回転させる前とで吐水孔45の傾斜方向が一致しない関係となっている。
【0017】
次に、本実施形態に係る吐水装置の動作および吐水流の動き(軌跡)について説明する。
【0018】
図2は、前述した旋回室3及びこの内部に収容された筒体20(の大径部22)を平面方向から見た模式図であり、図3におけるAA−AA断面に対応する。
【0019】
図示しない配管等から導かれた洗浄水(湯も含む)は、ガイド部材1に形成された流入孔5を介して、断面形状略円形状の旋回室3に対して接線方向からその内部に流入し、これにより、旋回室3の中心軸C2のまわりに旋回した洗浄水の流れが旋回室3の内部に形成される。
【0020】
旋回室3の内部に収容された筒体20(の大径部22)は、上記旋回流の力を受けることで、図3に示すように旋回室3の中心軸C2に対して傾きながら、例えば図2において矢印Aで示す方向に旋回室3の中心軸C2のまわりに公転する。図3に示すように、筒体20の縮径部21の一部が開口部4に接触し、且つ大径部22の側面(周面)の一部が旋回室3のガイド面3aに接触することで、旋回室3の中心軸C2に対する筒体20のそれ以上の傾きが規制される。
【0021】
本明細書において、旋回室3の中心軸C2に対して筒体20が傾きながら中心軸C2のまわりに公転することを「首振り公転」と称する。すなわち、旋回室3の中心軸C2に対して筒体20が傾きながら中心軸C2のまわりに公転すると、筒体20は、縮径部21が開口部4と接触する部分近傍を中心にして縮径部21の先端が首を振っているように揺動する。したがって、縮径部21の先端に固定されたヘッド40も、筒体20と一体となって旋回室3の中心軸C2のまわりに首振り公転する。
【0022】
筒体20が首振り公転しているとき、縮径部21の外周面の一部が開口部4の内壁面に接触し、且つ大径部22の側面(周面)の一部が旋回室3のガイド面3aに接触しているため、それら接触部分に生じる動摩擦力が筒体20に作用する。この動摩擦力により、筒体20は開口部4やガイド面3aとの接触部位を変えずにそのまま接触した状態で旋回室3内をすべって移動していくのではなく、開口部4の内壁面やガイド面3aを転がりながら首振り公転をする。筒体20が開口部4の内壁面やガイド面3aを転がるということは、筒体20が自身の中心軸C1のまわりに自転するということである。
【0023】
すなわち、筒体20は自身の中心軸C1のまわりに自転しつつ、旋回室3の中心軸C2のまわりに首振り公転する。旋回室3の中心軸C2のまわりの筒体20の公転方向(図2において矢印A方向)は、旋回室3に形成される旋回流の旋回方向と同方向であり、筒体20の自身の中心軸C1のまわりの自転方向(図2において矢印B方向)は公転方向Aとは逆方向である。尚、この自転に関しては、接触面の動摩擦係数や、筒体20の大径部22の材質、形状や、流入孔5からの流入速度や、旋回室3と大径部22との隙間、などで自転方向や自転数を制御することができる。
【0024】
旋回室3に流入した洗浄水の一部は、筒体20の大径部22側の端部の開口24および側面に形成された貫通孔23から筒体20の内部に流入して、筒体20の軸方向を縮径部21の先端に向かって流れる。そして、縮径部21の先端から流出した洗浄水は、ヘッド40内部のバッファ室43に流入する。旋回室3内の洗浄水が筒体20の内部に流入して筒体20の内部を流れるときには、まだ旋回成分を持っている。また、縮径部21という比較的狭い流路を流れる際には流速が速くなる。
【0025】
バッファ室43は、旋回室3及び筒体20に比べて径方向寸法が大きな扁平状の空間であるので、縮径部21の先端から流れ込んでくる洗浄水の勢いを減少させることができる。すなわち、特別な機構や部品を追加することなくバッファ室43に洗浄水を一時的に貯留することのみで、洗浄水の流速を大きく落とすことができ、また旋回成分も失わせることができる。このようにしてバッファ室43で整流された洗浄水は、バッファ室43に連通する複数の吐水孔45からシャワー状に外部に吐水される。
【0026】
筒体20及びヘッド40は、前述したように首振り公転と自転とを組み合わせた動きをするため、本実施形態に係る吐水装置によって得られるシャワー状の吐水流の吐水軌跡(例えば人体等に対する吐水流の衝突部位の人体表面上における移動軌跡)は、自転に起因する軌跡と、首振り公転に起因する軌跡とを組み合わせたものとなる。
【0027】
その吐水軌跡を図4に模式的に示す。なお、図4において、吐水装置は、可動部分である筒体20とヘッド40のみを示し、旋回室3が形成されたガイド部材1は図示を省略している。
【0028】
筒体20及びヘッド40の自らの中心軸C1のまわりの一体となった自転により、その自転方向と同じb方向に、図4において実線で示されるような円状の軌跡を描いて移動する吐水流が形成される。ここで、吐水孔45が筒体20の中心軸C1に対して傾いていることから、吐水孔45が形成された散水板44の径よりも大きな円を描くように吐水流は移動する。
【0029】
ここで比較例として、複数の吐水孔45が中心軸C1に対して対称な関係で傾斜、もしくはすべての吐水孔45が筒体20の中心軸C1に対して平行な場合には、その中心軸C1に対して対称的な広がりを有する吐水流が吐水され、筒体20及びヘッド40が中心軸C1のまわりに自転しても、吐水流は人体等における同じ部位に当たり続けたままである。
【0030】
これに対して本実施形態では、複数の吐水孔45が中心軸C1に対して非対称な関係で傾斜しているため、中心軸C1に対して非対称的な広がりを有する吐水流が吐水され、筒体20及びヘッド40の中心軸C1のまわりの自転に伴って、吐水流が人体等に対して当たる部位が中心軸C1のまわりを移動し、比較的広範囲にわたってシャワー流を浴びせることができる。
【0031】
複数の吐水孔45が中心軸C1に対して非対称な関係で傾斜しているという表現には、すべての吐水孔45が同じ方向に傾斜していることに限らず、少なくとも1つの吐水孔45が他の吐水孔45とは異なる方向に傾斜した構造も含まれる。ただし、複数の吐水孔45間で傾斜方向が異なると、吐水流の到達箇所が分散しやすく、ある面内で均一に吐水流が当たるような感じ(吐水流のまとまり感)は得にくい。
【0032】
これに対して、すべての吐水孔45が同じ方向に傾斜していると、各吐水孔45からの吐水流は同じ方向に進むため、分散することなく、面内分布が均一でまとまり感のある吐水流を浴びることができ、その吐水流を受ける部分をむら無く洗浄したり温めることができる。また、吐水流の分散を抑えることは、吐水流の熱が空気中に逃げるのを抑制して吐水流の飛翔中における温度低下を抑制することにもつながる。
【0033】
旋回室3内に流入した洗浄水は旋回して筒体20を自転及び首振り公転させる役割を担うだけでなく、その洗浄水自体が筒体20及びヘッド40を通過して吐水孔45から吐水される吐水流となる。ここで、その洗浄水が旋回成分を持ったまま吐水孔45に至ってしまうと、吐水孔45の傾斜方向以外の方向にも分散して吐水され、面内分布が不均一なまとまり感の感じられない吐水流になりやすい。
【0034】
そこで、本実施形態では、筒体20と散水板44との間にバッファ室43を設け、そのバッファ室43に洗浄水を一時的に貯留することで、洗浄水の流速を大きく落とすことができ、また旋回成分も失わせることができる。吐水孔45を通過する洗浄水が旋回成分を失うことで、吐水孔45の傾斜方向に確実に吐水させることができ、吐水流の分散を抑えて、面内分布が均一でまとまり感のある吐水流が得られる。
【0035】
例えば、吐水孔45が散水板44の中心部近傍に形成されていると、筒体20の先端から流出した洗浄水がバッファ室43で十分な整流作用を受けずに、旋回成分を持ったまま吐水孔45に流れ込んでしまうことが懸念される。したがって、吐水孔45は、なるべく散水板44の外周側部分に形成するのが望ましい。また、散水板44の外周側部分に吐水孔45を形成した場合には、前述した自転及び首振り公転によって生じる遠心力によって、より広範囲に吐水流を吐水することができる。
【0036】
また、本実施形態では、筒体20及びヘッド40の、旋回室3の中心軸C2のまわりの首振り公転により、図4において点線で示すように比較的狭い範囲を移動する吐水流が形成される。筒体20とガイド面3aによって規制される公転角より、吐水孔45の傾斜で決定される自転角の方が大きく設定されており、これにより、この首振り公転により形成される吐水流は、自転により形成される吐水流の移動範囲より狭い範囲を、自転により形成される吐水流の移動方向bとは反対方向のa方向に、b方向の移動よりも高速に移動する。したがって、吐水流は全体として、比較的狭い範囲を図4において矢印a方向に高速に移動しつつ、その移動範囲よりも大きな範囲をa方向とは逆方向のb方向にゆっくりと移動する。
【0037】
首振り公転によって形成される吐水流によって、自転によって形成される吐水流だけではカバーしきれない、より内側の範囲をカバーすることができ、吐水流がいわゆる中抜けせずに、むらの無い面状の吐水流を得ることができる。このように、本実施形態によれば、中抜けなく、より広範囲を面状にカバーするシャワー状の吐水流を実現できる。このような本実施形態に係る吐水装置を複数個、例えば浴室やシャワーブースの壁に取り付け、それら各吐水装置からの吐水流を浴びれば、フリーハンドの状態で体の広範囲をむら無く一度に温めることができ、シャワー流だけで十分な入浴感を得ることが可能となる。このようなシャワー浴は、浴槽に浸かっての入浴と異なり、体への水圧の圧迫感(心肺への負担)やおぼれる心配がなく、特に小さな子供や高齢者にとって安心である。
【0038】
筒体20及びヘッド40の首振り公転に際しては、筒体20及びヘッド40は、縮径部21と開口部4との接触部近傍を中心として首振り(揺動)を行う。その際に慣性モーメントをより小さくして筒体20及びヘッド40の首振り(揺動)を効率よく確実に行わせるためには、筒体20及びヘッド40の系の重心が、首振り(揺動)の中心となる縮径部21と開口部4との接触部近傍にあるのが望ましい。ヘッド40はより広範囲に吐水を行うために扁平形状に形成され、筒体20は旋回流の力を確実に受けるためにその中心軸C1方向に長く形成されている。
【0039】
したがって、筒体20及びヘッド40の系の重心が縮径部21と開口部4との接触部近傍に位置するようにするためには、図1における長さL1とL2との関係を、L1<L2とする必要がある。ここで、L1は、縮径部21において開口部4の内側に位置する部分と、散水板44の表面との間の長さであり、L2は、縮径部21において開口部4の内側に位置する部分と、筒体20における縮径部21とは反対側の端との間の長さである。
【0040】
また、筒体20が傾いた際に自転を行うためには、少なくとも縮径部21の外周面と開口部4の内壁面とが接触すればよいが、自転をより確実に行わせるためには、大径部22も旋回室3の内壁面(ガイド面3a)に接触するようにし、筒体20とガイド部材1との接触部の摩擦力がより大きくなるようにすることが望ましい。
【0041】
図5は、本発明の他の実施形態に係る吐水装置の模式断面図である。なお、前述した実施形態と同じ構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0042】
本実施形態では、保持部材51、52を介して、例えば浴室やシャワーブースの壁50に対して球体部2が保持されている。球体部2の外周面と保持部材52との間にはシールリング55が介在され、球体部2の外周面と保持部材51との間にはシールリング56が介在され、球体部2は保持部材51、52に対して液密に上下方向や左右方向あるいは斜め方向に回動可能となっている。球体部2が回動することにより、散水板44の表面部が向く方向を変えることができ、その散水板44に形成された吐水孔45から吐水される吐水流の吐水方向の調節が可能となる。
【0043】
図示しない配管等を導かれてきた洗浄水は、保持部材51に形成された流入孔53から保持部材51の内部に流入し、さらに封止部材6に形成された流入孔54に流入する。封止部材6に形成された流入孔54において旋回室3に通じる下流側は旋回室3の中心軸に対して傾斜しているため、その流入孔54を通過した洗浄水は、旋回室3に対して接線方向から流入し旋回室3内で旋回流となる。
【0044】
また、本実施形態では、バッファ室43内における散水板44の裏側に、散水板44に対して離間してバッファ板61を設けている。すなわち、散水板44とバッファ板61との間には隙間が形成されている。バッファ板61には、散水板44に形成された吐水孔45に対応して貫通孔62が形成されている。各貫通孔62は、吐水孔45の上流側の入口に位置をほぼ一致させている。貫通孔62の軸方向は、傾斜しておらず、筒体20の中心軸に対して略平行である。
【0045】
筒体20の先端からバッファ室43に流入した洗浄水は、吐水孔45に至る前に、バッファ板61に形成された貫通孔62を経由する。このため、筒体20の先端から流出して吐水孔45に向かう洗浄水にとって抵抗がより増大した構造となっており、特に流量が多い場合であっても旋回成分を確実に失わせて、吐水孔45の傾斜方向に沿って確実に吐水させることができる。
【0046】
図6は、本発明のさらに他の実施形態にかかる吐水装置の模式断面図である。
また、図7は、比較例にかかる吐水装置の模式断面図である。
なお、前述した実施形態と同じ構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0047】
本実施形態では、ヘッド40は筒体20側に向かって延伸する突起部46を、そのヘッド40の外周面(側面)に有する。突起部46は、図6に表したように、バッファ部材41の外周面に設けられていてもよいし、一方、散水板45の外周面に設けられていてもよい。また、本実施形態では、バッファ板61(図5参照)を設けていないが、図5に関して前述した実施形態のようにバッファ板61を適宜設けてもよい。その他の構造については、図5に表した吐水装置と同様の構造を有する。
【0048】
ここで、前述したように、筒体20と旋回室3とが互いの中心軸を一致させた状態では、縮径部21の外周面と開口部4の内壁面との間に隙間が形成されている。これにより、筒体20およびヘッド40は、ガイド部材1に対して自由に自転したり揺動を行う首振り公転することができる。そのため、流入孔54から旋回室3に流入した洗浄水であって、筒体20に流入できなかった洗浄水は、図7に表した矢印Fや矢印Gのように、縮径部21の外周面と開口部4の内壁面との間の隙間を通ってヘッド40の外周面に伝わっていく場合がある。
【0049】
ヘッド40に伝わった洗浄水76は、ヘッド40の首振り公転あるいは自転による遠心力を受けて、図7に表したように、ヘッド40の円周方向に飛散する場合がある。さらに、洗浄水がヘッド40の円周方向に飛散しない場合であっても、ヘッド40の外周面に溜まった洗浄水78が、図7に表したように、垂れる場合がある。
【0050】
このように飛散した洗浄水76や垂れた洗浄水78は、バッファ室43に一時的に貯留された洗浄水ではなく、ヘッド40の外周面を伝わった洗浄水であるため、吐水孔45から吐水された洗浄水よりも温度が低い。そのため、使用者が、飛散した洗浄水76や垂れた洗浄水78を浴びると、その洗浄水に対して冷たさを感じるおそれがある。
【0051】
これに対して、本実施形態にかかる吐水装置では、ヘッド40は前述したように突起部46を有している。そのため、洗浄水が、縮径部21の外周面と開口部4の内壁面との間の隙間を通って、図6に表した矢印Dあるいは矢印Eのようにヘッド40の外周面に伝わったとしても、本実施形態の吐水装置は、ヘッド40の円周方向に飛散する洗浄水や垂れる洗浄水の量を抑えることができる。
【0052】
また、洗浄水が飛散した場合であっても、その洗浄水72の飛散方向は、図6に表したように、例えば壁50に略沿うように飛散するため、飛散した洗浄水72を使用者が浴びるおそれは少ない。さらに、洗浄水が垂れた場合であっても、その洗浄水74は、図6に表したように、例えば壁50に略沿うように垂れるため、垂れた洗浄水74を使用者が浴びるおそれは少ない。
【0053】
これにより、使用者は、バッファ室43に一時的に貯留され、吐水孔45から吐水された洗浄水を多く浴びることができる。そのため、使用者が洗浄水に対して冷たさを感じるおそれは少ない。したがって、本実施形態の吐水装置は、人体等の広範囲を効率よく温めることができる。また、周囲に飛散する洗浄水を抑えることができるため、例えば水垢等の汚れの発生や付着を抑えることができる。さらに、揺動する吐水の動きを綺麗に見せることができるため、吐水状態のデザイン性もより向上する。
【0054】
次に、本実施形態の変形例について図面を参照しつつ説明する。なお、前述した実施形態と同じ構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図8は、本実施形態の変形例にかかる吐水装置を例示する模式図である。
また、図9は、本変形例の吐水装置が有する筒体を表す模式図である。なお、図9(a)は、本変形例の吐水装置が有する筒体を側面から眺めた側面模式図であり、図9(b)は、図9(a)における筒体を矢視Xの方向に眺めた平面模式図である。
【0055】
本変形例にかかる吐水装置は、筒体の首振り公転と自転とを起こすエネルギを、流体(洗浄水)から筒体に直接与える。そこで、本変形例にかかる吐水装置では、ガイド部材101の内部に、洗浄水が流入する円筒状に形成された回転室(流入室)103が形成されている。洗浄水は、封止部材106に形成された流入路109を経て回転室103に流入する。そのため、回転室103には、図1に表した旋回室3のようには、流入孔5は形成されていない。流入路109は、回転室103の中心に接続されている。そして、流入路109の通路断面積は、回転室103へと流体を導く通路108の通路断面積より小さい。よって、回転室103に流入する洗浄水の流速を高めることができる。
【0056】
本変形例の吐水装置が有する筒体120は、図9に表したように、図1に表した筒体20と同様に縮径部21と大径部22とを有する概略ボトル形状に形成されている。この筒体120の大径部22側は、開口されていない。そのため、本変形例においては、回転室103に流入した洗浄水は、貫通孔23を介して筒体120の内部に導かれて縮径部21の先端から流出可能である。
【0057】
そして、縮径部21の先端から流出した洗浄水は、ヘッド40内部のバッファ室43に流入する。バッファ室43は、回転室103及び筒体120に比べて径方向寸法が大きな扁平状の空間であるので、縮径部21の先端から流れ込んでくる洗浄水の勢いを減少させることができる。すなわち、特別な機構や部品を追加することなくバッファ室43に洗浄水を一時的に貯留することのみで、洗浄水の流速を大きく落とすことができ、また旋回成分も失わせることができる。このようにしてバッファ室43で整流された洗浄水は、バッファ室43に連通する複数の吐水孔45からシャワー状に外部に吐水される。
【0058】
また、筒体120は、大径部22の下端に軸流羽根122を有する。この軸流羽根122は、流入路109から回転室103に入り込んだ洗浄水の流れを直接受け、これを筒体120の駆動力に変える。洗浄水は、小径の流入路109から回転室103に入り込むので、高い流速で軸流羽根122にうち当たる。よって、筒体120は、大きな駆動力を受けて公転し、筒体120に発生する摩擦力により筒体120自身の中心軸C1のまわりに自転する。なお、その他の構造については、図1〜図4に関して前述した吐水装置の構造と同様である。
【0059】
この筒体120の挙動について、さらに詳細に説明する。流入路109から回転室103に洗浄水が供給されると、回転室103の内圧が高まり、縮径部21の外周面の一部は開口部4の内壁面に押し付けられ、且つ大径部22の側面(周面)の一部は回転室103のガイド面103aに押し付けられる。そして、軸流羽根122が回転室103への洗浄水の流れを駆動力に変えるので、筒体120は、この駆動力を受けて筒体120は回転室103の中心軸C2周りの首振り公転運動を起こす。こうした公転運動を起こすと縮径部21と開口部4との接触部分、および大径部22と回転室103との接触部分に摩擦力が発生するので、この摩擦力を受けて、筒体120は、回転室103内で筒体120自身の中心軸C1周りの自転運動を開始する。
【0060】
本変形例の吐水装置のように、旋回流ではなく、軸流羽根122が回転室103への洗浄水の流れを駆動力に変える場合であっても、首振り公転によって形成される吐水流によって、自転によって形成される吐水流だけではカバーしきれない、より内側の範囲をカバーすることができ、吐水流がいわゆる中抜けせずに、むらの無い面状の吐水流を得ることができる。このように、本変形例においても、中抜けなく、より広範囲を面状にカバーするシャワー状の吐水流を実現できる。また、複数の吐水孔45が中心軸C1に対して非対称な関係で傾斜しているため、図3に関して前述したように、中心軸C1に対して非対称的な広がりを有する吐水流が吐水され、筒体120及びヘッド40の中心軸C1のまわりの自転に伴って、吐水流が人体等に対して当たる部位が中心軸C1のまわりを移動し、比較的広範囲にわたってシャワー流を浴びせることができる。
【0061】
図10は、本実施形態の他の変形例にかかる吐水装置を例示する模式図である。
本変形例にかかる吐水装置は、水流により水車と歯車とを駆動させることにて、筒体の首振り公転と自転とを起こす。そこで、本変形例の吐水装置は、筒体の首振り公転と自転とを起こすエネルギを、流体(洗浄水)から筒体に直接与える。本変形例にかかる吐水装置では、ガイド部材201の内部に、洗浄水が流入する円筒状に形成された回転室(流入室)203が形成されている。洗浄水は、回転室(流入室)203に形成された流入孔205を経て回転室203に流入する。流入孔205は、図1に表した流入孔5のように、傾斜して形成されていても良い。
【0062】
本変形例の吐水装置が有する筒体170は、図10に表したように、図1に表した筒体20と同様に縮径部21と大径部22とを有する概略ボトル形状に形成されている。この筒体170の大径部22側は、開口されていない。そのため、本変形例においては、回転室203に流入した洗浄水は、貫通孔23を介して筒体170の内部に導かれて縮径部21の先端から流出可能である。
【0063】
回転室203の下部(封止部材156の上部)には、羽車163が回転室203の中心軸C2を中心に回転自在に設けられ、この羽車163は流入孔205から回転室203に入り込んだ洗浄水の流れで直接回転駆動する。羽車163には、軸163aを介して、中心軸C2を中心に回転自在とした歯車164が設けられ、この歯車164は羽車163の回転駆動と同期して駆動する。歯車164は、筒体170の大径部22の下端に設けられたギヤ歯165と噛み合うようにされている。
【0064】
筒体170は、回転室203の下部に設けられた歯車164と、筒体170の大径部22の下端に設けられたギヤ歯165と、にて係合され、流入孔205から回転室203に入り込んだ洗浄水の流れを羽車163で受けて駆動する。このように、羽車163が回転すると、回転室203の中心軸C2から偏心してこの中心軸C2周りの回転を筒体170に伝達する。この際、筒体170は、前述したように所定の傾斜角度で中心軸C2から傾斜していることから、この所定の傾斜角度で首振り状に公転することになる。
【0065】
そして、こうした首振り公転を起こしている際に、ギヤ歯165と歯車164との噛み合いにより、筒体170は筒体170自身の中心軸C1周りの自転運動を起こす。よって、本変形例にかかる吐水装置は、筒体170を中心軸C2周りに首振り公転させつつ筒体170自身の中心軸C1周りに自転させ、洗浄水を縮径部21の先端から流出させることができる。なお、その他の構造については、図1〜図4に関して前述した吐水装置の構造と同様である。
【0066】
本変形例の吐水装置のように、旋回流ではなく、流入孔205から回転室203に入り込んだ洗浄水の流れを直接受ける羽車163の駆動力を歯車164を介して伝達して、筒体170の首振り公転と自転とを起こす場合であっても、図8および図9に関して前述したように、首振り公転によって形成される吐水流によって、自転によって形成される吐水流だけではカバーしきれない、より内側の範囲をカバーすることができ、吐水流がいわゆる中抜けせずに、むらの無い面状の吐水流を得ることができる。また、複数の吐水孔45が中心軸C1に対して非対称な関係で傾斜しているため、図8および図9に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0067】
図11は、本実施形態のさらに他の変形例にかかる吐水装置を例示する模式図である。 本変形例にかかる吐水装置は、水流により水車と歯車とを駆動させることにて、筒体の首振り公転と自転とを起こす。そこで、本変形例の吐水装置は、筒体の首振り公転と自転とを起こすエネルギを、流体(洗浄水)から筒体に直接与える。本変形例にかかる吐水装置では、ガイド部材201の内部に、洗浄水が流入する円筒状に形成された回転室(流入室)203が形成されている。洗浄水は、回転室(流入室)203に形成された流入孔205を経て回転室203に流入する。流入孔205は、図1に表した流入孔5のように、傾斜して形成されていても良い。
【0068】
本変形例の吐水装置が有する筒体220は、図11に表したように、図1に表した筒体20と同様に縮径部21と大径部22とを有する概略ボトル形状に形成されている。この筒体220の大径部22側は、開口されていない。そのため、本変形例においては、回転室3に流入した洗浄水は、貫通孔23を介して筒体220の内部に導かれて縮径部21の先端から流出可能である。
【0069】
回転室(流入室)203の下部(封止部材156の上部)には、羽車263が回転室203の中心軸C2から偏心した位置に回転自在に設けられ、この羽車263は流入孔205から回転室203に入り込んだ洗浄水の流れで直接回転駆動する。羽車263には軸263aを介して、偏心した位置にある羽車263の中心軸を中心に回転自在とした歯車264が設けられ、この歯車264は羽車263の回転駆動と同期して駆動する。
【0070】
ギヤ歯265が設けられた伝達ディスク225は、ギヤ歯265と歯車264と係合することで、中心軸C2を中心に回転自在に設けられている。さらに、伝達ディスク225には中心軸C2から偏心した位置に支持部235が設けられ、筒体220の大径部22の下端に設けられた伝達シャフト215が回転自在に係合されている。そして、伝達ディスク225は、流入孔205から回転室203に入り込んだ洗浄水の流れを羽車263で受けて駆動する。このように、羽車263が回転すると、回転室203の中心軸C2から偏心してこの中心軸C2周りの回転を筒体220に伝達する。この際、筒体220は、前述したように所定の傾斜角度で中心軸C2から傾斜していることから、この所定の傾斜角度で首振り状に公転することになる。そして、こうした首振り公転を起こしている際に、筒体220は、大きな駆動力を受けて、筒体220とガイド部材201との接触部分に発生する摩擦力により、筒体220自身の中心軸C1のまわりに自転する。
【0071】
よって、本変形例にかかる吐水装置は、筒体220を中心軸C2周りに首振り公転させつつ筒体220自身の中心軸C1周りに自転させ、洗浄水を縮径部21の先端から流出させることができる。なお、その他の構造については、図1〜図4に関して前述した吐水装置の構造と同様である。
【0072】
本変形例の吐水装置のように、旋回流ではなく、流入孔205から回転室203に入り込んだ洗浄水の流れを直接受ける羽車263の駆動力を歯車264を介して伝達して、筒体220の首振り公転と自転とを起こす場合であっても、図8および図9に関して前述したように、首振り公転によって形成される吐水流によって、自転によって形成される吐水流だけではカバーしきれない、より内側の範囲をカバーすることができ、吐水流がいわゆる中抜けせずに、むらの無い面状の吐水流を得ることができる。また、複数の吐水孔45が中心軸C1に対して非対称な関係で傾斜しているため、図8および図9に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0073】
さらに、本発明では旋回室及び回転室内で、公転する筒体に洗浄水が流入することで、洗浄水は旋回成分を持つ。そのため、バッファ室に洗浄水を一時的に貯留することで、洗浄水の流速を大きく落とし、旋回成分も失わせることができる。そして、吐水孔45を通過する洗浄水が旋回成分を失うことで、吐水孔45の傾斜方向に確実に吐水させることができ、吐水流の分散を抑えて、面内分布が均一でまとまり感のある吐水流が得られる。
【0074】
なお、本発明の吐水装置は、浴室やシャワーブースにおけるシャワー装置として用いる以外にも、例えば、洗浄機能付き便器などにも用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施形態に係る吐水装置の模式断面図。
【図2】同実施形態に係る吐水装置における旋回室及びこの内部に収容された筒体(の大径部)を平面方向から見た模式図。
【図3】図1と同様の模式断面図であり、筒体が旋回室の中心軸に対して傾いた状態を示す。
【図4】同実施形態に係る吐水装置から吐水される吐水流の挙動を説明するための模式図。
【図5】本発明の他の実施形態に係る吐水装置の模式断面図。
【図6】本発明のさらに他の実施形態に係る吐水装置の模式断面図。
【図7】比較例にかかる吐水装置の模式断面図。
【図8】本実施形態の変形例にかかる吐水装置を例示する模式図である。
【図9】本変形例の吐水装置が有する筒体を表す模式図である。
【図10】本実施形態の他の変形例にかかる吐水装置を例示する模式図である。
【図11】本実施形態のさらに他の変形例にかかる吐水装置を例示する模式図である。
【符号の説明】
【0076】
1…ガイド部材、3…旋回室(流入室)、4…開口部、5…洗浄水の流入孔、20…筒体、21…縮径部、40…ヘッド、43…バッファ室、44…散水板、45…吐水孔、46…突起部、72、74、76、78…洗浄水、101…ガイド部材、103…回転室(流入室)、106…封止部材、108…通路、109…流入路、120…筒体、122…軸流羽根、156…封止部材、163…羽車、163a…軸、164…歯車、165…ギヤ歯、170…筒体、201…ガイド部材、203…回転室(流入室)、205…流入孔、215…伝達シャフト、220…筒体、225…伝達ディスク、235…支持部、263…羽車、263a…軸、264…歯車、265…ギヤ歯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水が流入する流入室と、前記流入室の内部及び外部に通じて設けられた開口部とを有するガイド部材と、
前記開口部より小径な縮径部を有し、前記縮径部の先端を前記開口部から前記ガイド部材の外部に突出させた状態で前記流入室の内部に設けられ、前記流入室に流入した洗浄水を前記縮径部の前記先端から流出可能な筒体と、
前記縮径部の前記先端から流出した洗浄水が一時的に貯留されるバッファ室と、前記筒体の中心軸に対して非対称な関係で各々が傾斜すると共に前記バッファ室に連通した複数の吐水孔が形成され、前記縮径部より径方向に大きな散水板とを有する、前記縮径部の先端に設けられたヘッドと、
を備え、
前記筒体は前記流入室へ流入した洗浄水により、少なくとも前記縮径部の一部を前記開口部に接触させた状態で前記流入室の中心軸に対して傾きながら前記流入室の中心軸のまわりに前記ヘッドと一体に首振り公転し、且つ前記筒体は自身の中心軸のまわりに前記ヘッドと一体に自転することを特徴とする吐水装置。
【請求項2】
前記複数の吐水孔はすべて同じ方向に傾斜していることを特徴とする請求項1記載の吐水装置。
【請求項3】
前記縮径部の外周面と前記開口部の内壁面との間に隙間が形成された状態で、前記縮径部は前記開口部を貫通していることを特徴とする請求項1または2に記載の吐水装置。
【請求項4】
前記筒体が前記流入室の中心軸に対して傾いた際に、前記筒体は、前記縮径部が前記開口部に接触することに加えて、前記縮径部より大径部分の側面の一部が前記流入室の内壁面に接触した状態で自身の中心軸のまわりに自転することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の吐水装置。
【請求項5】
前記ヘッドは、その外周面において、前記筒体側に向かって延伸する突起部をさらに有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の吐水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−106732(P2009−106732A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241820(P2008−241820)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】