説明

吐水装置

【課題】ノズルの摩耗を低減できる、あるいはノズルの回転を安定化できる吐水装置を提供する。
【解決手段】洗浄水が流入する流入室12と、流入室の内部と外部とを連通する開口部14とを有するガイド部材10と、縮径部の先端を開口部からガイド部材の外部に突出させた状態で、流入室の内部に設けられ、洗浄水を縮径部の先端から流出可能な筒体40とを備え、筒体は、縮径部の先端に筒体の中心軸に対して非対称な関係で傾斜し、縮径部に連通した吐水孔52を有し、筒体は、ガイド壁22と天井壁と開口壁とに当接した状態で、流入室の中心軸に対して傾きながら流入室の中心軸のまわりに首振り公転し、且つ筒体自身の中心軸のまわりに自転し、筒体が首振り公転及び自転しているときの筒体と天井壁との当接状態は、略直線状態または略曲線状態であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、吐水方向(吐水軌跡)を変化させながらシャワー状の吐水流を吐水する吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
少ない流量で広範囲に密度のより高い吐水を実現するため、ノズルやシャワーヘッドなどを揺動させて吐水する吐水装置がある。そして、吐水体(ノズル)が収容された旋回室(チャンバー)内に形成される旋回流によって、ノズルを公転させたり自転させながら吐水を行わせる吐水装置や流体噴出装置がある(特許文献1および特許文献2)。また、ウォブリングタービンが収容されたチャンバー内に形成される旋回流によって、ウォブリングタービンを揺動させながら吐水を行わせる流体送出装置がある(特許文献3)。
【0003】
しかしながら、ノズルが公転や自転などの回転を長期間行った場合には、そのノズルの回転力により、ノズルの姿勢をガイドする部材(例えば、旋回室を有する部材など)やノズル自体が摩耗する。その結果、吐水軌道および吐水範囲が乱れるという問題がある。吐水範囲が予め設定された吐水範囲よりも大きくなると、水(湯も含まれる。以下、本願明細書において同じ。)が広範囲に飛散するため、吐水のエネルギーは効率的に使用されない。さらに、吐水範囲が広がることにより水の密度が低くなるため、水が外気の影響を受けやすく放熱して、吐水のエネルギーは効率的に使用されない。
【0004】
また、ノズルの回転力により発生する摩擦力を利用した回転(例えば、自転など)においても、ノズルの姿勢をガイドする部材やノズル自体が摩耗することにより、そのノズルの回転の安定性が損なわれ、回転数が変化するという問題がある。ノズルの回転数(自転数)が小さくなると、吐水が当たらない「疎」の部分が生じ、水膜が満遍なく形成されない。その結果、吐水のエネルギーが効率良く伝わらず、温まり感(加温力)や洗浄力が劣るおそれがある。一方、ノズルの回転数(自転数)が大きくなると、例えばシャワーを浴びる使用者が、吐水の動きから得られる刺激を感じにくくなり、マッサージ感を得にくくなるおそれがある。
【特許文献1】特許第3518542号公報
【特許文献2】特許第3422786号公報
【特許文献3】特表2002−520156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の態様は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、ノズルの摩耗を低減させることで、ノズルの回転を安定化できる吐水装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、洗浄水が流入する流入室と、前記流入室の内部と外部とを連通する開口部と、を有するガイド部材と、前記開口部より小径な縮径部を有し、前記縮径部の先端を前記開口部から前記ガイド部材の外部に突出させた状態で前記流入室の内部に設けられ、前記流入室に流入した洗浄水を前記縮径部の先端から流出可能な筒体と、を備え、前記筒体は、前記縮径部の先端に前記筒体の中心軸に対して非対称な関係で傾斜し、前記縮径部に連通した吐水孔を有し、前記流入室は、前記筒体の動きを案内するガイド壁を有し、前記開口部は、前記流入室に近接して設けられ前記筒体の動きを案内する天井壁と、前記天井壁よりも前記外部の側に設けられ前記筒体の動きを案内する開口壁と、を有し、前記筒体は、前記ガイド壁と前記天井壁と前記開口壁とに当接した状態で前記流入室の中心軸に対して傾きながら前記流入室の中心軸のまわりに首振り公転し、且つ前記筒体自身の中心軸のまわりに自転し、前記筒体が前記首振り公転及び自転しているときの前記筒体と前記天井壁との当接状態は、略直線状態または略曲線状態であることを特徴とする吐水装置が提供される。
【0007】
また、本発明の他の一態様によれば、洗浄水が流入する流入室と、前記流入室の内部と外部とを連通する開口部と、を有するガイド部材と、前記開口部より小径な縮径部を有し、前記縮径部の先端を前記開口部から前記ガイド部材の外部に突出させた状態で前記流入室の内部に設けられ、前記流入室に流入した洗浄水を前記縮径部の先端から流出可能な筒体と、前記縮径部の先端から流出した洗浄水が導入されるバッファ室と、前記筒体の中心軸に対して互いに非対称な関係で各々が傾斜すると共に前記バッファ室に連通した複数の吐水孔が形成され前記縮径部よりも径方向に大きな散水板と、を有する前記縮径部の先端に設けられたヘッドと、を備え、前記流入室は、前記筒体の動きを案内するガイド壁を有し、前記開口部は、前記流入室に近接して設けられ前記筒体の動きを案内する天井壁と、前記天井壁よりも前記外部の側に設けられ前記筒体の動きを案内する開口壁と、を有し、前記筒体は、前記ガイド壁と前記天井壁と前記開口壁とに当接した状態で前記流入室の中心軸に対して傾きながら前記流入室の中心軸のまわりに首振り公転し、且つ前記筒体自身の中心軸のまわりに自転し、前記筒体が前記首振り公転及び自転しているときの前記筒体と前記天井壁との当接状態は、略直線状態または略曲線状態であることを特徴とする吐水装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、ノズルの摩耗を低減させることで、ノズルの回転を安定化できる吐水装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、洗浄水が流入する流入室と、前記流入室の内部と外部とを連通する開口部と、を有するガイド部材と、前記開口部より小径な縮径部を有し、前記縮径部の先端を前記開口部から前記ガイド部材の外部に突出させた状態で前記流入室の内部に設けられ、前記流入室に流入した洗浄水を前記縮径部の先端から流出可能な筒体と、を備え、前記筒体は、前記縮径部の先端に前記筒体の中心軸に対して非対称な関係で傾斜し、前記縮径部に連通した吐水孔を有し、前記流入室は、前記筒体の動きを案内するガイド壁を有し、前記開口部は、前記流入室に近接して設けられ前記筒体の動きを案内する天井壁と、前記天井壁よりも前記外部の側に設けられ前記筒体の動きを案内する開口壁と、を有し、前記筒体は、前記ガイド壁と前記天井壁と前記開口壁とに当接した状態で前記流入室の中心軸に対して傾きながら前記流入室の中心軸のまわりに首振り公転し、且つ前記筒体自身の中心軸のまわりに自転し、前記筒体が前記首振り公転及び自転しているときの前記筒体と前記天井壁との当接状態は、略直線状態または略曲線状態であることを特徴とする吐水装置である。
【0010】
この吐水装置によれば、筒体と天井壁との接触面積を大きくすることで、筒体と天井壁との摩耗を低減できる。そのため、吐水装置の運転時間(吐水時間)が増加しても、筒体と天井壁との接触状態の変化を低減できる。すなわち、筒体の自転数の変化を低減することができ、筒体の回転を安定化できる。また、吐水孔は筒体の中心軸に対して非対称な関係で傾斜しているため、筒体が首振り公転および自転することにより広範囲に吐水することができる。
【0011】
また、第2の発明は、洗浄水が流入する流入室と、前記流入室の内部と外部とを連通する開口部と、を有するガイド部材と、前記開口部より小径な縮径部を有し、前記縮径部の先端を前記開口部から前記ガイド部材の外部に突出させた状態で前記流入室の内部に設けられ、前記流入室に流入した洗浄水を前記縮径部の先端から流出可能な筒体と、前記縮径部の先端から流出した洗浄水が導入されるバッファ室と、前記筒体の中心軸に対して互いに非対称な関係で各々が傾斜すると共に前記バッファ室に連通した複数の吐水孔が形成され前記縮径部よりも径方向に大きな散水板と、を有する前記縮径部の先端に設けられたヘッドと、を備え、前記流入室は、前記筒体の動きを案内するガイド壁を有し、前記開口部は、前記流入室に近接して設けられ前記筒体の動きを案内する天井壁と、前記天井壁よりも前記外部の側に設けられ前記筒体の動きを案内する開口壁と、を有し、前記筒体は、前記ガイド壁と前記天井壁と前記開口壁とに当接した状態で前記流入室の中心軸に対して傾きながら前記流入室の中心軸のまわりに首振り公転し、且つ前記筒体自身の中心軸のまわりに自転し、前記筒体が前記首振り公転及び自転しているときの前記筒体と前記天井壁との当接状態は、略直線状態または略曲線状態であることを特徴とする吐水装置である。
【0012】
この吐水装置によれば、吐水孔を複数備えたヘッドの場合、自転作用を付与することで、広範囲に密な吐水を実現できる。また、筒体と天井壁との接触面積を大きくすることで、筒体と天井壁との摩耗を低減できる。そのため、吐水装置の運転時間(吐水時間)が増加しても、筒体と天井壁との接触状態の変化を低減できる。すなわち、筒体の自転数の変化を低減して安定化でき、吐水軌跡の乱れを低減できる。
【0013】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記筒体が前記首振り公転及び自転しているときの前記筒体と前記ガイド壁との当接状態は、略直線状態であることを特徴とする吐水装置である。
この吐水装置によれば、筒体とガイド壁との接触面積を大きくすることで、筒体とガイド部材全体との接触面積をより大きくでき、筒体とガイド部材との摩耗をより低減できる。そのため、吐水装置の運転時間(吐水時間)が増加しても、筒体とガイド部材との接触状態の変化をより低減できる。すなわち、筒体の自転数の変化を低減することができ、筒体の回転を安定化できる。
【0014】
また、第4の発明は、第1または第2の発明において、前記筒体が前記首振り公転及び自転しているときの前記筒体と前記開口壁との当接状態は、略直線状態であることを特徴とする吐水装置である。
この吐水装置によれば、筒体と開口壁との接触面積を大きくすることで、筒体とガイド部材全体との接触面積をより大きくでき、筒体とガイド部材との摩耗をより低減できる。そのため、吐水装置の運転時間(吐水時間)が増加しても、筒体とガイド部材との接触状態の変化をより低減できる。すなわち、筒体の自転数の変化を低減することができ、筒体の回転を安定化できる。
【0015】
また、第5の発明は、第1または第2の発明において、前記筒体が前記首振り公転及び自転しているときの前記筒体と前記ガイド壁との当接状態は、略直線状態であり、前記筒体が前記首振り公転及び自転しているときの前記筒体と前記開口壁との当接状態は、略直線状態であることを特徴とする吐水装置である。
この吐水装置によれば、筒体とガイド部材との全ての当接箇所において接触面積を大きくすることで、筒体とガイド部材全体との接触面積をより大きくでき、筒体とガイド部材との摩耗をより低減できる。そのため、吐水装置の運転時間(吐水時間)が増加しても、筒体とガイド部材との接触状態の変化をより低減できる。すなわち、筒体の自転数の変化をより低減することができ、筒体の回転をより安定化できる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる吐水装置の内部を表す模式図である。
また、図2は本実施形態にかかる吐水装置の一部を表す模式図である。なお、図2(a)は、ガイド部材の開口部を拡大して眺めた模式拡大図であり、図2(b)は、筒体を表す模式図である。
【0017】
本実施形態の吐水装置は、ガイド部材10と、ガイド蓋30と、筒体(ノズル)40と、を備えている。ガイド部材10は、内部に孔が形成された構造を有する。ガイド部材10の内部には、その直径方向に延びる旋回室(流入室)12が形成されている。旋回室12の軸方向の一端部には、旋回室12の内部と外部とを連通する開口部14が設けられている。旋回室12の開口部14側には、図2(a)に表したように、ガイド壁22が設けられている。また、開口部14には、旋回室12に近接して設けられた天井壁24と、天井壁24よりも外側に設けられた開口壁26と、が設けられている。天井壁24と開口壁26は、それぞれ旋回室12の中心軸C1に対して傾いた状態で形成されている。
【0018】
旋回室12の軸方向の他端部側には旋回室壁18が形成され、その径外方には流入孔16が形成されている。流入孔16は、旋回室12の内部及びガイド部材10の外部に通じている。ガイド部材10の外部から流入孔16に導かれた水(洗浄水)は、流入孔16を介して旋回室12に対して接線方向から流入し、旋回室12の内部には水の旋回流が形成される。これについては、後に詳述する。なお、本願明細書において「水」というときは、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。
【0019】
開口部14の内壁28の内径寸法D1は旋回室壁18の内径寸法D2より小さく、開口部14はその中心軸を旋回室12の中心軸C1と一致させている。ガイド部材10とガイド蓋30との間には、シールリング35が介在し、ガイド部材10とガイド蓋30とは互いに液密に固定されている。なお、ガイド部材10については、例えば樹脂や金属などにより形成することができる。ガイド部材10を金属により形成した場合には、ガイド部材10の質量が重くなるため、後に詳述する筒体40の揺動による振動は外部へ伝わり難くなる。
【0020】
筒体40は、図2(b)に表したように、縮径部42と傾斜部44と大径部46とを有する概略ボトル形状に形成されている。大径部46の外径寸法D4は、旋回室壁18の内径寸法D2およびガイド壁22の内径寸法D3より小さく、大径部46は旋回室12の内部に収容されている。その大径部46に一体に設けられた縮径部42の外径寸法D5は、開口部14の内壁28の内径寸法D1より小さく、縮径部42は開口部14を貫通して、その先端がガイド部材10の外部に突出している。縮径部42および傾斜部44については、例えば金属などにより形成することができ、一方、大径部46については、例えば樹脂などにより形成することができる。また、縮径部42、傾斜部44、および大径部46は、樹脂や金属などにより一体構造として形成されていてもよい。さらに、図2(b)に表した傾斜部44は、図2(c)に表した筒体40aの傾斜部44aのような球面状であってもよい。
【0021】
筒体40と旋回室12とが互いの中心軸を一致させた状態では、縮径部42の外周面と開口部14の内壁28との間に僅かな隙間が形成され、さらに大径部46の外周面と旋回室壁18との間にも隙間が形成される。筒体40は、ガイド部材10に対して固定されておらず、自由に自転したり揺動を行う首振り公転することが可能となっている。
【0022】
筒体40の軸方向の両端は開口され、図1に表した矢印のように、大径部46側の開口48から筒体40内部に流入した水は、筒体40内部を軸方向に流れて、縮径部42側の吐水孔52から筒体40の外部に流出可能である。また、筒体40の大径部46の周面(側面)には、周方向に等間隔で間欠的に配置された複数の貫通孔54が形成され、旋回室12内に流入した水は、それら貫通孔54を介しても筒体40の内部に導かれて縮径部42側の吐水孔52から流出可能である。
【0023】
そして、後に詳述するように、旋回室12の内部に形成された水の旋回流の力を受けることで、筒体40は、図1に表したように旋回室12の中心軸C1に対して傾きながら、その中心軸C1のまわりに公転する。なお、本願明細書において、旋回室12の中心軸C1に対して傾きながら、その中心軸C1のまわりに公転することを「首振り公転」と称する。また、筒体40が首振り公転しているとき、大径部46の側面(周面)がガイド壁22に接触し、傾斜部44が天井壁24に接触し、且つ縮径部42が開口壁26に接触して動摩擦力を受けることで、筒体40は自身の中心軸C2のまわりに自転する。つまり、筒体40は、ガイド壁22と、天井壁24と、開口壁26と、に案内(ガイド)されつつ首振り公転および自転する。
【0024】
吐水孔52は、筒体40の中心軸C2に対して非対称な関係で傾斜し、縮径部42に連通している。そのため、筒体40が首振り公転および自転することにより、縮径部42の外径寸法D5あるいは大径部46の外径寸法D4よりも大きな円を描くように吐水流は移動する。すなわち、吐水孔52が傾斜していることにより、本実施形態にかかる吐水装置は広範囲に吐水することができる。
【0025】
図3は、筒体の傾斜部近傍を拡大して眺めた拡大模式図である。なお、図3(a)は、本実施形態にかかる吐水装置の筒体の傾斜部近傍を表しており、図3(b)は、比較例にかかる吐水装置の筒体の傾斜部近傍を表している。
【0026】
前述したように、大径部46側の開口48から筒体40内部に流入した水は、筒体40内部を軸方向に流れて、縮径部42側の吐水孔52から筒体40の外部に流出する。このとき、筒体40は、その内部に流入した水の水圧を受け、旋回室12の開口部14側へ力を受ける。また、筒体40は、首振り公転および自転するため、その回転による遠心力を受ける。その結果、筒体40の傾斜部44は、水圧と遠心力とを受けてガイド部材10の天井壁24に押し付けられる。そして、筒体40は、天井壁24に押し付けられた状態で首振り公転および自転する。そのため、筒体40の傾斜部44と、ガイド部材10の天井壁24と、は互いに摩擦力を受ける。
【0027】
ここで、図3(b)に表したように、比較例のガイド部材70が、天井壁ではなく略円弧状のラウンド部74を有している場合には、傾斜部44とラウンド部74とは略点で当接する。傾斜部44とラウンド部74とが略直線ではなく略点で当接するのは、傾斜部44とラウンド部74との径が異なるためである。そして、筒体40は、傾斜部44とラウンド部74とが略点で当接した状態で首振り公転および自転する。また、ガイド部材70が天井壁を有していても、中心軸C1に対する天井壁の傾きが、中心軸C1に対する首振り公転時の傾斜部44の傾きと異なる場合には、傾斜部44とその天井壁とは略点で当接する。
【0028】
傾斜部44とラウンド部74とが略点で当接した場合には、接触面積がより小さいため押し付け力による圧力はより大きい。そのため、吐水装置の運転時間(吐水時間)が増加するにつれて、傾斜部44とラウンド部74とは、より大きく摩耗するおそれがある。例えば、傾斜部44およびラウンド部74の製造過程において「バリ」や「傷」などが付いていた場合には、その「バリ」や「傷」などにより大きく摩耗するおそれがある。
【0029】
これにより、傾斜部44とラウンド部74との接触状態が変化し、筒体40の自転数が変化するおそれがある。このように、筒体40の回転の安定性が損なわれ、自転数が低下すると、吐水が当たらない「疎」の部分が生じ、水膜が満遍なく形成されないおそれがある。その結果、吐水のエネルギーが効率良く伝わらず、加温力や洗浄力が劣るおそれがある。一方、筒体40の回転の安定性が損なわれ、自転数が上昇すると、例えばシャワーを浴びる使用者が、吐水の動きから得られる刺激を感じにくくなり、マッサージ感を得にくくなるおそれがある。
【0030】
これに対して、本実施形態のガイド部材10は、ラウンド部ではなく天井壁44を有している。ガイド部材10を軸方向に切断した場合における天井壁44の断面形状は、図3(a)に表したように、所定長さを有する略直線形状を有している。そして、中心軸C1に対する天井壁24の傾きは、中心軸C1に対する首振り公転時の傾斜部44の傾きと略同じである。
【0031】
そのため、筒体40の傾斜部44と天井壁24とは、略直線で当接する。傾斜部44と天井壁24とが略面ではなく略直線で当接するのは、傾斜部44と天井壁24との径が異なるためである。そして、筒体40は、傾斜部44と天井壁24とが略直線で当接した状態で首振り公転および自転する。傾斜部44と天井壁24とが略直線で当接した場合には、接触面積がより大きいため押し付け力による圧力はより小さい。そのため、本実施形態の吐水装置は、傾斜部44と天井壁24との摩耗を低減できる。
【0032】
また、図2(c)に表した筒体40aのように球面状の傾斜部44aを有する場合であって、軸方向に切断した傾斜部44aの断面形状の曲率と、軸方向に切断した天井壁の断面形状の曲率と、が略同じである場合には、傾斜部44aと天井壁とは略曲線(略円弧)で当接する。この場合であっても、傾斜部44aと天井壁との接触面積はより大きいため、押し付け力による圧力はより小さい。そのため、傾斜部44aと天井壁との摩擦を低減できる。
【0033】
これより、吐水装置の運転時間(吐水時間)が増加しても、傾斜部44と天井壁24との接触状態の変化を低減できる。そのため、筒体40の自転数の変化を低減することができ、筒体40の回転を安定化できる。筒体40の回転が安定化すると、少ない流量で広範囲に密度のより高い吐水を実現できる。その結果、吐水のエネルギーを効率よく伝えることができ、加温力や洗浄力をより高めることができる。そして例えば、本実施形態の吐水装置を浴室のシャワーとして使用した場合には、使用者の温まり感をより高めることができ、さらに吐水の動きからの刺激を感じやすくなり、マッサージ感を得ることができる。
【0034】
図4は、筒体の大径部近傍を拡大して眺めた拡大模式図である。なお、図4(a)は、本実施形態にかかる吐水装置の筒体の大径部近傍を表しており、図4(b)は、比較例にかかる吐水装置の筒体の大径部近傍を表している。
図3に関して前述したように、筒体40は、水の水圧と自身の首振り公転による遠心力とを受ける。そのため、筒体40の大径部46は、ガイド壁22に押し付けられる。そして、筒体40は、ガイド壁22に押し付けられた状態で首振り公転および自転する。そのため、筒体40の大径部46と、ガイド壁22と、は互いに摩擦力を受ける。
【0035】
ここで、図4(b)に表したように、比較例のガイド部材80のガイド壁82が、旋回室12の中心軸C1と略平行した状態で形成されている場合には、図4(b)に表した領域Eにおいて、大径部46とガイド壁82とは略点で当接する。大径部46とガイド壁82とが略直線ではなく略点で当接するのは、大径部46とガイド壁82との径が異なるためである。そして、筒体40は、大径部46とガイド壁82とが略点で当接した状態で首振り公転および自転する。
【0036】
また、ガイド壁82が、旋回室12の中心軸C1に対して傾いた状態で形成されていても、その傾きが、中心軸C1に対する首振り公転時の大径部46の傾きと異なる場合には、大径部46とガイド壁82とは略点で当接する。このように、大径部46とガイド壁82とが略点で当接した状態で、筒体40が首振り公転および自転すると、図3に関して前述したように、大径部46とガイド壁82とは、より大きく摩耗するおそれがある。その結果、大径部46とガイド壁82との接触状態が変化し、筒体40の自転数が変化するおそれがある。
【0037】
これに対して、本実施形態の吐水装置においては、中心軸C1に対するガイド壁22の傾きは、図4(a)に表したように、中心軸C1に対する首振り公転時の大径部46の傾きと略同じである。そのため、筒体40の大径部46とガイド壁22とは、略直線で当接する。大径部46とガイド壁22とが略面ではなく略直線で当接するのは、大径部46とガイド壁22との径が異なるためである。そして、筒体40は、大径部46とガイド壁22とが略直線で当接した状態で首振り公転および自転する。大径部46とガイド壁22とが略直線で当接した場合には、接触面積がより大きいため押し付け力による圧力はより小さい。そのため、本実施形態の吐水装置は、大径部46とガイド壁22との摩耗を低減できる。
【0038】
これより、吐水装置の運転時間(吐水時間)が増加しても、大径部46とガイド壁22との接触状態の変化を低減できる。そのため、筒体40の自転数の変化を低減することができ、筒体40の回転を安定化できる。筒体40の回転が安定化すると、図3に関して前述したように、吐水のエネルギーを効率よく伝えることができ、加温力や洗浄力をより高めることができる。また、その他の効果についても同様に得ることができる。
【0039】
図5は、筒体の縮径部近傍を拡大して眺めた拡大模式図である。なお、図5(a)は、本実施形態にかかる吐水装置の筒体の縮径部近傍を表しており、図5(b)は、比較例にかかる吐水装置の筒体の縮径部近傍を表している。
前述したように、筒体40が首振り公転しているとき、縮径部42は開口部14の開口壁26に接触して動摩擦力を受ける。そして、筒体40は、この動摩擦力を受けることで自身の中心軸C2のまわりに自転する。そのため、筒体40の縮径部42と、開口壁26と、は互いに摩擦力を受ける。
【0040】
ここで、図5(b)に表したように、比較例のガイド部材90の開口壁96が、筒体40の吐水孔52(図1参照)に向かって大きく開いた状態で形成されている場合には、図5(b)に表した領域Fにおいて、縮径部42と開口壁96とは略点で当接する。縮径部42と開口壁96とが略直線ではなく略点で当接するのは、縮径部42と開口壁96との径が異なるためである。そして、筒体40は、縮径部42と開口壁96とが略点で当接した状態で首振り公転および自転する。
【0041】
また、比較例のガイド部材90の開口壁96が、筒体40の吐水孔52に向かって大きく開いた状態で形成されていなくとも、中心軸C1に対する開口壁96の傾きが、中心軸C1に対する首振り公転時の縮径部42の傾きと異なる場合には、縮径部42と開口壁96とは略点で当接する。このように、縮径部42と開口壁96とが略点で当接した状態で、筒体40が首振り公転および自転すると、図3に関して前述したように、縮径部42と開口壁96とは、より大きく摩耗するおそれがある。その結果、縮径部42と開口壁96との接触状態が変化し、筒体40の自転数が変化するおそれがある。
【0042】
これに対して、本実施形態の吐水装置においては、中心軸C1に対する開口壁26の傾きは、図5(a)に表したように、中心軸C1に対する首振り公転時の縮径部42の傾きと略同じである。そのため、筒体40の縮径部42と開口壁26とは、略直線で当接する。縮径部42と開口壁26とが略面ではなく略直線で当接するのは、縮径部と開口壁26との径が異なるためである。そして、筒体40は、縮径部42と開口壁26とが略直線で当接した状態で首振り公転および自転する。縮径部42と開口壁26とが略直線で当接した場合には、接触面積がより大きいため押し付け力による圧力はより小さい。そのため、本実施形態の吐水装置は、縮径部42と開口壁26との摩耗を低減できる。
【0043】
これより、吐水装置の運転時間(吐水時間)が増加しても、縮径部42と開口壁26との接触状態の変化を低減できる。そのため、筒体40の自転数の変化を低減することができ、筒体40の回転を安定化できる。筒体40の回転が安定化すると、図3に関して前述したように、吐水のエネルギーを効率よく伝えることができ、加温力や洗浄力をより高めることができる。また、その他の効果についても同様に得ることができる。
【0044】
なお、傾斜部44と天井壁24との接触状態、大径部46とガイド壁22との接触状態、および縮径部42と開口壁26との接触状態が、図3〜図5に関して前述したような略直線であるか否かについては、例えばマーキングペンなどで筒体40の傾斜部44、大径部46、および縮径部42に塗料(しるし)を付けた状態で運転(吐水)させ、その塗料の付着状態(残った状態)を見ることで判断できる。このときの流量については通常の使用状態に設定し、運転時間(吐水時間)については約10分間〜20分間程度に設定すればよい。
【0045】
そして、傾斜部44、大径部46、および縮径部42に付けた塗料(しるし)が、吐水終了後にそれぞれ略全部剥がれていた場合には、それぞれの接触状態は略直線であったと判断できる。これに対して、塗料(しるし)が略直線的に剥がれていた場合には、それぞれの接触状態は略点であったと判断できる。なお、「しるし」として付ける塗料は、吐水によって剥がれない、例えば油性のマーキングペンなどがより好ましい。
【0046】
次に、吐水装置の筒体の動作および水の流れについて、図面を参照しつつ説明する。
図6〜図8は、旋回室およびこの内部に収容された筒体(の大径部)を平面方向から眺めた模式図であり、図1におけるA−A断面に対応する。
【0047】
配管15から導かれた水は、ガイド部材10に形成された流入孔16を介して、断面形状略円形状の旋回室12に対して接線方向からその内部に流入し、これにより、旋回室12の中心軸C1のまわりに旋回した水の流れ(旋回流)が旋回室12の内部に形成される(図6(a))。旋回室12の内部に収容された筒体40(の大径部46)は、旋回流から力(抗力)を受ける。また、筒体40が旋回流から抗力を受けて動き始めると、筒体40は僅かに揚力と遠心力とを受ける(図6(a))。
【0048】
そうすると、筒体40は、図1に表したように旋回室12の中心軸C1に対して傾きながら、旋回流の方向と同じ方向に旋回室12の中心軸C1のまわりに公転を始める(図6(b))。そして、筒体40は、旋回流に乗って順次抗力と揚力と遠心力とを受けて、中心軸C1のまわりに公転する(図7および図8)。このとき、筒体40の傾斜部44が開口部14の天井壁24に当接し、大径部46がガイド壁22に当接し、且つ縮径部42が開口壁26に当接することで、旋回室12の中心軸C1の対する筒体40のそれ以上の傾きが規制される。
【0049】
旋回室12の中心軸C1に対して筒体40が傾きながら中心軸C1のまわりに公転すると、筒体40は、縮径部42が開口壁26と接触する部分近傍(旋回室12の中心軸C1と筒体40の中心軸C2との交点)を中心にして縮径部42の先端が首を振っているように揺動する。したがって、縮径部42の吐水孔52から吐水された水は、後に詳述するように、首振り公転に起因する軌跡を描く。
【0050】
図9〜図11は、旋回室およびこの内部に収容された筒体(の大径部)を平面方向から眺めた模式図であり、図1におけるB−B断面に対応する。
旋回室12の中心軸C1と筒体40の中心軸C2とが一致している状態(図9(a))から、筒体40が、図6〜図8に関して前述したように首振り公転を始めると、筒体40の大径部46はガイド壁22に当接する(図9(b))。そして、筒体40がさらに首振り公転すると、筒体40の大径部46はガイド壁22との接触部分において摩擦力を受ける。この摩擦力の方向は、筒体40の首振り公転の方向と反対方向である。
【0051】
この摩擦力により、筒体40はガイド壁22との接触部位を変えずにそのまま接触した状態で旋回室12内を滑って移動していくのではなく、ガイド壁22を転がりながら首振り公転する。筒体40がガイド壁22を転がるということは、筒体40が自身の中心軸C2のまわりに自転するということである。その自転の方向は、図9(b)に表したように、摩擦力と同じ方向、すなわち首振り公転と反対方向である。続いて、筒体40は、首振り公転をしながら順次摩擦力を受けて、中心軸C2のまわりに自転する(図10および図11)。
【0052】
すなわち、筒体40は自身の中心軸C2のまわりに自転しつつ、旋回室12の中心軸C1のまわりに首振り公転する。旋回室12の中心軸C1のまわりの筒体40の公転方向は、旋回室12に形成される旋回流の旋回方向と同方向であり、筒体40の自身の中心軸C2のまわりの自転方向は公転方向とは逆方向である。尚、この自転に関しては、筒体40はガイド壁22との接触面の動摩擦係数や、筒体40の大径部46の材質、形状や、流入孔16からの流入速度や、旋回室12と大径部46との隙間、などで自転方向や自転数を制御することができる。
【0053】
次に、本実施形態の変形例について図面を参照しつつ説明する。
図12は、本実施形態の変形例にかかる吐水装置を例示する模式図である。
また、図13は、本変形例の吐水装置が有する筒体を表す模式図である。なお、図13(a)は、本変形例の吐水装置が有する筒体を一部破断して表した断面模式図であり、図13(b)は、図13(a)における矢視Xの方向に眺めた平面模式図である。
【0054】
本変形例にかかる吐水装置は、筒体の首振り公転と自転とを起こすエネルギを、流体(洗浄水)から筒体に直接与える。そこで、本変形例にかかる吐水装置では、ガイド部材210の内部に、洗浄水が流入する円筒状に形成された回転室(流入室)212が形成されている。洗浄水は、この回転室212に流入路253を経て流入する。そのため、回転室212には、図1に表した旋回室12のようには、流入孔16は形成されていない。流入路253は、回転室212の中心に接続されている。そして、流入路253の通路断面積は、回転室212へと流体を導く通路257の通路断面積より小さい。よって、回転室212に流入する洗浄水の流速を高めることができる。
【0055】
本変形例の吐水装置が有する筒体240は、図13に表したように、図2(b)に表した筒体40と同様に縮径部42と傾斜部44と大径部46とを有する概略ボトル形状に形成されている。この筒体240は、回転室212内の洗浄水を吐水孔52へと導くための十字状の導入管路228および軸方向管路230を有する。そして、筒体240には、図2(b)に表した筒体40のようには、周面に貫通孔54は形成されておらず、開口48も形成されていない。したがって、本変形例においては、回転室212に流入した洗浄水は、導入管路228および軸方向管路230を経て筒体240の内部に導かれて吐水孔52から流出可能である。
【0056】
また、筒体240は、大径部46の下端に軸流羽根264を有する。この軸流羽根264は、流入路253から回転室212に入り込んだ洗浄水の流れを直接受け、これを筒体240の駆動力に変える。洗浄水は、小径の流入路253から回転室212に入り込むので、高い流速で軸流羽根264にうち当たる。よって、筒体240は、大きな駆動力を受けて、筒体240自身の中心軸C2のまわりに自転する。なお、その他の構造については、図1〜図5に関して前述した吐水装置の構造と同様である。
【0057】
この筒体240の挙動について、さらに詳細に説明する。流入路253から回転室212に洗浄水が供給されると、回転室212の内圧が高まり、筒体240の傾斜部44はガイド部材210の天井壁24(図2参照)に押し付けられる。そして、軸流羽根264が回転室212への洗浄水の流れを駆動力に変えるので、筒体240は、この駆動力を受けて筒体240自身の中心軸C2周りの自転運動を起こす。こうした自転運動を起こすと、傾斜部44と天井壁24との接触部で摩擦力が発生するので、この摩擦力を受けて、筒体240は、回転室212内でその中心軸C1周りの首振り公転運動を開始する。
【0058】
本変形例の吐水装置のように、旋回流ではなく、軸流羽根264が回転室212への洗浄水の流れを駆動力に変える場合であっても、傾斜部44は開口部14の天井壁(図2参照)に略直線で当接し、大径部46はガイド壁22に略直線で当接し、縮径部42は開口部14の開口壁(図2参照)に略直線で当接しつつ、筒体240は首振り公転および自転する。
【0059】
したがって、本変形例にかかる吐水装置においても、それぞれの当接箇所における摩耗を低減することができる。そのため、筒体240の回転を安定化させることができ、自転数の変化を低減できる。その結果、吐水のエネルギーを効率よく伝えることができ、加温力や洗浄力をより高めることができる。また、その他の効果についても同様に得ることができる。
【0060】
図14は、本実施形態の他の変形例にかかる吐水装置を例示する模式図である。
本変形例にかかる吐水装置は、筒体の首振り公転と自転とをモータにて起こす。そこで、本変形例の吐水装置は、回転室(流入室)312の底面に、ディスク373を回転室312の中心軸C1を中心に回転自在に備え、このディスク373をガイド部材310の底面のモータ374にて回転駆動させる。ディスク373は、その回転軸から偏心した位置にピン375を有し、このピン375を、筒体340下端のピン孔384に挿入させている。したがって、筒体340は、モータ374の駆動力をディスク373のピン375から直接受けて、首振り公転する。また、流入孔16から回転室312に洗浄水が流入すると、回転室312の内圧が高まり、筒体340の傾斜部44はガイド部材310の天井壁24(図2参照)に押し付けられる。
【0061】
モータ374により筒体340が首振り公転すると、筒体340とガイド部材310との接触により摩擦力が発生するので、筒体340は、この摩擦力により筒体340自身の中心軸C2のまわりに自転する。よって、本変形例にかかる吐水装置は、筒体340を回転室312の中心軸C1周りに首振り公転させつつ筒体340自身の中心軸C2周りに自転させ、流入孔16から流入した洗浄水を吐水孔52から流出させることができる。なお、その他の構造については、図1〜図5に関して前述した吐水装置の構造と同様である。また、筒体340は、図12および図13に表した筒体240と同様に、回転室312内の洗浄水を吐水孔52へと導くための十字状の導入管路228および軸方向管路230を有する。
【0062】
本変形例の吐水装置のように、旋回流ではなく、筒体340の首振り公転と自転とをモータにて起こす場合であっても、傾斜部44は開口部14の天井壁(図2参照)に略直線で当接し、大径部46はガイド壁22に略直線で当接し、縮径部42は開口部14の開口壁(図2参照)に略直線で当接しつつ、筒体340は首振り公転および自転する。
【0063】
したがって、本変形例にかかる吐水装置においても、それぞれの当接箇所における摩耗を低減することができる。そのため、筒体340の回転を安定化させることができ、自転数の変化を低減できる。その結果、吐水のエネルギーを効率よく伝えることができ、加温力や洗浄力をより高めることができる。また、その他の効果についても同様に得ることができる。
【0064】
図15は、本実施形態のさらに他の変形例にかかる吐水装置を例示する模式図である。 また、図16は、本変形例の吐水装置の要部の概略を表す斜視模式図である。
図15に表したように、本変形例にかかる吐水装置では、ガイド部材410に形成した円筒状の回転室(流入室)412に、流入孔16から洗浄水が流入する。本変形例にかかる吐水装置では、回転室412を円盤状の蓋体493で塞ぎ、この蓋体493は筒体440を保持している。蓋体493は、図16に表したように、その周壁に小径のベアリング494を収納し、回転室412の周壁において、回転室412を水密にしたまま回転室412の中心軸C1周りを回転自在とされている。
【0065】
筒体440は、自身の中心軸C2と交差する導入管路228と、この筒体440の中心軸C2と略並行した軸方向管路230と、を有する。また、吐水孔52は、筒体440の中心軸C2の対して非対称な関係で傾斜している。そして、流入孔16から回転室412に流入した洗浄水は、導入管路228および軸方向管路230を経て吐水孔52から流出可能である。また、この筒体440は、蓋体493に対してベアリング405を介して回転自在に組み付けられ、その組み付けは、回転室412の中心軸C1に対して所定の傾斜角度で傾くようにされている。さらに、この筒体440は、下端にギヤ歯406を有し、回転室412の内周壁の内輪ギヤ496と噛み合うようにされている。
【0066】
筒体440は、ガイド部材410の下面のモータ497と、鈎状の伝達シャフト498と、にて係合され、モータ駆動力を受けて駆動する。伝達シャフト498は、遊びを持って筒体440の下端に係合し、モータ497が回転すると、回転室412の中心軸C1から偏心してこの中心軸C1周りの回転を筒体440に伝達する。
【0067】
本変形例にかかる吐水装置では、モータ497の回転により筒体440が回転室412の中心軸C1周りに回転する。この際、筒体440は、前述したように所定の傾斜角度で中心軸C1から傾斜していることから、この所定の傾斜角度で首振り状に公転することになる。そして、こうした首振り公転を起こしている際に、ギヤ歯406と内輪ギヤ496との噛み合いにより、筒体440は筒体440自身の中心軸C2周りの自転運動を起こす。よって、本変形例にかかる吐水装置は、筒体440を中心軸C1周りに首振り公転させつつ筒体440自身の中心軸C2周りに自転させ、洗浄水を吐水孔52から流出させることができる。なお、その他の構造については、図1〜図5に関して前述した吐水装置の構造と同様である。
【0068】
本変形例の吐水装置のように、旋回流ではなく、モータ497の駆動力を鈎状の伝達シャフト498を介して伝達して、筒体440の首振り公転と自転とを起こす場合であっても、傾斜部44は開口部14の天井壁(図2参照)に略直線で当接し、大径部46はガイド壁22に略直線で当接し、縮径部42は開口部14の開口壁(図2参照)に略直線で当接しつつ、筒体440は首振り公転および自転する。
【0069】
したがって、本変形例にかかる吐水装置においても、それぞれの当接箇所における摩耗を低減することができる。そのため、筒体440の回転を安定化させることができ、自転数の変化を低減できる。その結果、吐水のエネルギーを効率よく伝えることができ、加温力や洗浄力をより高めることができる。また、その他の効果についても同様に得ることができる。
【0070】
図17は、通水時間に対する筒体の自転数の実測値を例示するグラフ図である。
なお、図17(a)は、本実施形態にかかる吐水装置の筒体の自転数を例示するグラフ図であり、図17(b)は、比較例にかかる吐水装置の筒体の自転数を例示するグラフ図である。また、横軸は通水時間(吐水時間)を表しており、縦軸は筒体の自転数を表している。
【0071】
本実施形態にかかる吐水装置おいては、前述したように、傾斜部44は天井壁24に略直線で当接し、大径部46はガイド壁22に略直線で当接し、縮径部42は開口壁26に略直線で当接しつつ、筒体40は首振り公転および自転する。そのため、それぞれの当接箇所における摩耗を低減することができる。その結果、本実施形態にかかる吐水装置は、図17(a)に表したように、筒体40の回転を安定化させることができ、自転数の変化を低減できる。
【0072】
図17(a)に表したように、本実施形態にかかる吐水装置おいては、筒体40の自転数は、通水時間が500時間以内に約2Hz程度から約3Hz程度へ変化しているが、その後は約3Hz前後を推移している。すなわち、筒体40の自転数は、約3Hz前後で比較的安定している。
【0073】
これに対して、比較例にかかる吐水装置においては、図3〜図5に関して前述したように、筒体40とガイド部材10とがそれぞれ略点で当接しつつ首振り公転および自転する。そのため、それぞれの当接箇所における摩耗はより大きい。その結果、比較例にかかる吐水装置においては、図17(b)に表したように、通水時間が増加するにつれて筒体40の回転の安定性は損なわれ、自転数は変化する。
【0074】
図17(b)に表したように、比較例にかかる吐水装置においては、筒体40の自転数は、通水時間が500時間以内に約1Hz程度から約2Hz程度へ変化し、通水時間が1500時間近傍になると3Hzへ変化している。さらに、通水時間が2000時間近傍になると、4Hzを超える場合もある。このように、比較例にかかる吐水装置においては、通水時間が増加するにつれて筒体40の自転数が増加していく。
【0075】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図18は、本発明の第2の実施の形態にかかる吐水装置の内部を表す模式図である。
また、図19は、本実施形態にかかる吐水装置から吐水される吐水流の挙動を説明するための模式図である。
【0076】
本実施形態の吐水装置は、第1の実施の形態にかかる吐水装置に対して、さらにヘッド140を備えている。その他の構造については、第1の実施の形態にかかる吐水装置の構造と同様である。
ヘッド140は筒体40よりも径方向寸法が大きな扁平状に形成され、その径方向の中心を筒体40の中心軸C2に一致させている。ヘッド140は、漏斗状のバッファ部材141と散水板144とヘッドカバー147とを有する。バッファ部材141の細管部142の内部に筒体40の縮径部42の先端が嵌合固定され、これにより、筒体40及びヘッド140は両者一体となって自転したり揺動を行う首振り公転する。
【0077】
バッファ部材141の内部にはバッファ室143が形成され、筒体40の縮径部42の先端の開口56はバッファ室143に臨んでいる。バッファ室143の径方向寸法は筒体40の径方向寸法より大きく、バッファ室143には縮径部42の先端から流出した水が一時的に貯留可能となっている。
【0078】
散水板144は、バッファ室143における細管部142とは反対側の開口を塞ぐ蓋状に設けられている。散水板144は筒体40よりも径方向寸法が大きな円盤状に形成され、散水板144にはその厚さ方向を貫通する複数の吐水孔145が形成されている。吐水孔145の一端はバッファ室143に連通し、他端はヘッド140の外部に臨んでいる。
【0079】
複数の吐水孔145は、散水板144における少なくとも外周側部分に周方向に沿って形成されている。各々の吐水孔145は、その軸方向が筒体40の中心軸C2に対して平行ではなく傾いている。本実施形態では、すべての吐水孔145が同じ方向に傾斜している。したがって、各々の吐水孔145は、筒体40の中心軸C2に対して非対称な関係で傾斜している。すなわち、筒体40の中心軸C2を中心にしてその中心軸C2まわりに散水板144を180度回転させたときと、180度回転させる前とで吐水孔145の傾斜方向が一致しない関係となっている。
【0080】
旋回室12に流入した水の一部は、前述したように、筒体40の大径部46側の端部の開口48および側面に形成された貫通孔54から筒体40の内部に流入して、筒体40の軸方向を縮径部42の先端に向かって流れる。そして、縮径部42の先端から流出した水は、ヘッド140内部のバッファ室143に流入する。旋回室12内の水が筒体40の内部に流入して筒体40の内部を流れるときには、まだ旋回成分を持っている。また、縮径部42という比較的狭い流路を流れる際には流速が速くなる。
【0081】
バッファ室143は、旋回室12及び筒体40に比べて径方向寸法が大きな扁平状の空間であるので、縮径部42の先端から流れ込んでくる水の勢いを減少させることができる。すなわち、特別な機構や部品を追加することなくバッファ室143に水を一時的に貯留することのみで、水の流速を大きく落とすことができ、また旋回成分も失わせることができる。このようにしてバッファ室143で整流された水は、バッファ室143に連通する複数の吐水孔145からシャワー状に外部に吐水される。
【0082】
筒体40及びヘッド140は、前述したように首振り公転と自転とを組み合わせた動きをするため、本実施形態に係る吐水装置によって得られるシャワー状の吐水流の吐水軌跡(例えば人体等に対する吐水流の衝突部位の人体表面上における移動軌跡)は、自転に起因する軌跡と、首振り公転に起因する軌跡とを組み合わせたものとなる。
【0083】
その吐水軌跡を図19に模式的に示す。なお、図19において、吐水装置は、可動部分である筒体40とヘッド140のみを示し、旋回室12が形成されたガイド部材10などは図示を省略している。
【0084】
筒体40及びヘッド140の自らの中心軸C2のまわりの一体となった自転により、その自転方向と同じb方向に、図19において実線で示されるような円状の軌跡を描いて移動する吐水流が形成される。ここで、吐水孔145が筒体40の中心軸C2に対して傾いていることから、吐水孔145が形成された散水板144の径よりも大きな円を描くように吐水流は移動する。
【0085】
なお、本実施形態の吐水装置においては、すべての吐水孔145が同じ方向に傾斜している場合を例示しているが、これだけに限定されず、少なくとも1つの吐水孔145が他の吐水孔145とは異なる方向に傾斜していてもよい。但し、すべての吐水孔145が同じ方向に傾斜していると、各吐水孔145からの吐水流は同じ方向に進むため、分散することなく、面内分布が均一でまとまり感のある吐水流を浴びることができる。そのため、すべての吐水孔145が同じ方向に傾斜していることがより好ましく、その吐水流を受ける部分をむら無く洗浄したり温めることができる。
【0086】
また、本実施形態の吐水装置では、筒体40及びヘッド140の、旋回室12の中心軸C1のまわりの首振り公転により、図19において点線で示すように比較的狭い範囲を移動する吐水流が形成される。筒体40とガイド壁22によって規制される公転角より、吐水孔145の傾斜で決定される自転角の方が大きく設定されている場合には、これにより、この首振り公転により形成される吐水流は、自転により形成される吐水流の移動範囲より狭い範囲を、自転により形成される吐水流の移動方向bとは反対方向のa方向に、b方向の移動よりも高速に移動する。したがって、吐水流は全体として、比較的狭い範囲を図14において矢印a方向に高速に移動しつつ、その移動範囲よりも大きな範囲をa方向とは逆方向のb方向にゆっくりと移動する。
【0087】
首振り公転によって形成される吐水流によって、自転によって形成される吐水流だけではカバーしきれない、より内側の範囲をカバーすることができ、吐水流がいわゆる中抜けせずに、むらの無い面状の吐水流を得ることができる。このように、本実施形態にかかる吐水装置によれば、中抜けなく、より広範囲を面状にカバーするシャワー状の吐水流を実現できる。
【0088】
また、第1の実施の形態に関して前述したように、傾斜部44は天井壁24に略直線で当接し、大径部46はガイド壁22に略直線で当接し、縮径部42は開口壁26に略直線で当接しつつ、筒体40は首振り公転および自転する。また、球面状の傾斜部44aは天井壁に略曲線で当接しつつ、筒体40aは首振り公転および自転する。したがって、通水時間が増加しても筒体40の回転を安定化させることができ、むらの無い面状の吐水流をより維持することができる。
【0089】
次に、本実施形態にかかる吐水装置の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図20は、浴室やシャワーブースの壁に取り付けた吐水装置を例示する模式図である。 本具体例では、保持部材151、152、153を介して、例えば浴室やシャワーブースの壁150に対してガイド部材10およびガイド蓋30が保持されている。ガイド部材10およびガイド蓋30の外周面と保持部材152との間にはシールリング155が介在され、保持部材151と保持部材152との間にはシールリング156が介在されている。そして、ガイド部材10およびガイド蓋30は保持部材151、152、153に対して上下方向や左右方向あるいは斜め方向に回動可能となっている。また、ガイド部材10およびガイド蓋30は保持部材152に対して、液密に回動可能となっている。ガイド部材10およびガイド蓋30が回動することにより、散水板144の表面部が向く方向を変えることができ、その散水板144に形成された吐水孔145から吐水される吐水流の吐水方向の調節が可能となる。
【0090】
図示しない配管等を導かれてきた水は、保持部材151に形成された図示しない流入孔から保持部材151の内部に流入する。そして、その水は、流入孔16を介して旋回室12に対して接線方向から流入し旋回室12内で旋回流となる。旋回室12に流入した水は、開口48および貫通孔54から筒体40の内部に流入してバッファ室143に流入し、吐水孔145を通って吐水される。
【0091】
本具体例の吐水装置は、前述したように、傾斜部44は天井壁24に略直線で当接し、大径部46はガイド壁22に略直線で当接し、縮径部42は開口壁26に略直線で当接しつつ、筒体40は首振り公転および自転する。そのため、通水時間が増加しても筒体40の回転を安定化させることができる。したがって、自転によって形成される吐水流だけではカバーしきれない、より内側の範囲をカバーすることができ、吐水流がいわゆる中抜けせずに、むらの無い面状の吐水流をより維持することができる。
【0092】
このような本具体例の吐水装置を複数個、例えば浴室やシャワーブースの壁に取り付け、それら各吐水装置からの吐水流を浴びれば、フリーハンドの状態で体の広範囲をむら無く一度に温め、通水時間が増加してもその状態を安定化できる。そのため、シャワー流だけで十分な入浴感を得ることが可能となる。このようなシャワー浴は、浴槽に浸かっての入浴と異なり、体への水圧の圧迫感(心肺への負担)やおぼれる心配がなく、特に小さな子供や高齢者にとって安心である。
【0093】
なお、本発明の吐水装置は、浴室やシャワーブースにおけるシャワー装置として用いる以外にも、例えば、キッチンや洗浄機能付き便器やスプリンクラーなどにも用いることが可能である。
【0094】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、ヘッド140などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや吐水装置の壁への設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる吐水装置の内部を表す模式図である。
【図2】本実施形態にかかる吐水装置の一部を表す模式図である。
【図3】筒体の傾斜部近傍を拡大して眺めた拡大模式図である。
【図4】筒体の大径部近傍を拡大して眺めた拡大模式図である。
【図5】筒体の縮径部近傍を拡大して眺めた拡大模式図である。
【図6】旋回室およびこの内部に収容された筒体(の大径部)を平面方向から眺めた模式図である。
【図7】旋回室およびこの内部に収容された筒体(の大径部)を平面方向から眺めた模式図である。
【図8】旋回室およびこの内部に収容された筒体(の大径部)を平面方向から眺めた模式図である。
【図9】旋回室およびこの内部に収容された筒体(の大径部)を平面方向から眺めた模式図である。
【図10】旋回室およびこの内部に収容された筒体(の大径部)を平面方向から眺めた模式図である。
【図11】旋回室およびこの内部に収容された筒体(の大径部)を平面方向から眺めた模式図である。
【図12】本実施形態の変形例にかかる吐水装置を例示する模式図である。
【図13】本変形例の吐水装置が有する筒体を表す模式図である。
【図14】本実施形態の他の変形例にかかる吐水装置を例示する模式図である。
【図15】本実施形態のさらに他の変形例にかかる吐水装置を例示する模式図である。
【図16】本変形例の吐水装置の要部の概略を表す斜視模式図である。
【図17】通水時間に対する筒体の自転数の実測値を例示するグラフ図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態にかかる吐水装置の内部を表す模式図である。
【図19】本実施形態にかかる吐水装置から吐水される吐水流の挙動を説明するための模式図である。
【図20】浴室やシャワーブースの壁に取り付けた吐水装置を例示する模式図である。
【符号の説明】
【0096】
10 ガイド部材、 12 旋回室(流入室)、 14 開口部、 15 配管、 16 流入孔、 18 旋回室壁、 22 ガイド壁、 24 天井壁、 26 開口壁、 28 内壁、 30 ガイド蓋、 35 シールリング、 40 筒体、 42 縮径部、 44 傾斜部、 44 天井壁、 46 大径部、 48 開口、52 吐水孔、 54 貫通孔、 56 開口、 70 ガイド部材、 74 ラウンド部、 80 ガイド部材、 82 ガイド壁、 90 ガイド部材、 96 開口壁、 140 ヘッド、 141 バッファ部材、 142 細管部、 143 バッファ室、 144 散水板、 145 吐水孔、 147 ヘッドカバー、 150 壁、 151、152、153 保持部材、 155、156 シールリング、 210 ガイド部材、 212 回転室(流入室)、 228 導入管路、 230 軸方向管路、 240 筒体、 253 流入路、 257 通路、 264 軸流羽根、 310 ガイド部材、 312 回転室(流入室)、 340 筒体、 373 ディスク、 374 モータ、 375 ピン、 384 ピン孔、 405 ベアリング、 406 ギヤ歯、 410 ガイド部材、 412 回転室(流入室)、 440 筒体、 493 蓋体、 494 ベアリング、 496 内輪ギヤ、 497 モータ、 498 伝達シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水が流入する流入室と、前記流入室の内部と外部とを連通する開口部と、を有するガイド部材と、
前記開口部より小径な縮径部を有し、前記縮径部の先端を前記開口部から前記ガイド部材の外部に突出させた状態で前記流入室の内部に設けられ、前記流入室に流入した洗浄水を前記縮径部の先端から流出可能な筒体と、
を備え、
前記筒体は、前記縮径部の先端に前記筒体の中心軸に対して非対称な関係で傾斜し、前記縮径部に連通した吐水孔を有し、
前記流入室は、前記筒体の動きを案内するガイド壁を有し、
前記開口部は、前記流入室に近接して設けられ前記筒体の動きを案内する天井壁と、前記天井壁よりも前記外部の側に設けられ前記筒体の動きを案内する開口壁と、を有し、
前記筒体は、前記ガイド壁と前記天井壁と前記開口壁とに当接した状態で前記流入室の中心軸に対して傾きながら前記流入室の中心軸のまわりに首振り公転し、且つ前記筒体自身の中心軸のまわりに自転し、
前記筒体が前記首振り公転及び自転しているときの前記筒体と前記天井壁との当接状態は、略直線状態または略曲線状態であることを特徴とする吐水装置。
【請求項2】
洗浄水が流入する流入室と、前記流入室の内部と外部とを連通する開口部と、を有するガイド部材と、
前記開口部より小径な縮径部を有し、前記縮径部の先端を前記開口部から前記ガイド部材の外部に突出させた状態で前記流入室の内部に設けられ、前記流入室に流入した洗浄水を前記縮径部の先端から流出可能な筒体と、
前記縮径部の先端から流出した洗浄水が導入されるバッファ室と、前記筒体の中心軸に対して互いに非対称な関係で各々が傾斜すると共に前記バッファ室に連通した複数の吐水孔が形成され前記縮径部よりも径方向に大きな散水板と、を有する前記縮径部の先端に設けられたヘッドと、
を備え、
前記流入室は、前記筒体の動きを案内するガイド壁を有し、
前記開口部は、前記流入室に近接して設けられ前記筒体の動きを案内する天井壁と、前記天井壁よりも前記外部の側に設けられ前記筒体の動きを案内する開口壁と、を有し、
前記筒体は、前記ガイド壁と前記天井壁と前記開口壁とに当接した状態で前記流入室の中心軸に対して傾きながら前記流入室の中心軸のまわりに首振り公転し、且つ前記筒体自身の中心軸のまわりに自転し、
前記筒体が前記首振り公転及び自転しているときの前記筒体と前記天井壁との当接状態は、略直線状態または略曲線状態であることを特徴とする吐水装置。
【請求項3】
前記筒体が前記首振り公転及び自転しているときの前記筒体と前記ガイド壁との当接状態は、略直線状態であることを特徴とする請求項1または2に記載の吐水装置。
【請求項4】
前記筒体が前記首振り公転及び自転しているときの前記筒体と前記開口壁との当接状態は、略直線状態であることを特徴とする請求項1または2に記載の吐水装置。
【請求項5】
前記筒体が前記首振り公転及び自転しているときの前記筒体と前記ガイド壁との当接状態は、略直線状態であり、
前記筒体が前記首振り公転及び自転しているときの前記筒体と前記開口壁との当接状態は、略直線状態であることを特徴とする請求項1または2に記載の吐水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−69445(P2010−69445A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241819(P2008−241819)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】