説明

吐水装置

【課題】 吐水装置の使用前において、検出頻度の高い吐水部に対応する操作部の応答性を良くしておけば、他の吐水部に対応した操作部の応答性を落としておいても、吐水装置としての応答性に影響を与えないという知見に基く。
【解決手段】 複数の吐水口に夫々繋がる独立した給水路と、この給水路に夫々設けられた流路開閉弁と、この流路開閉弁の夫々を開閉操作するために設けられた検知センサと、前記検知センサの検知状態に基づいて、対応する前記流路開閉弁の状態を切替える制御部と、を備えた吐水装置において、前記制御部は、前記流路開閉弁の全てが閉弁状態であるときに、前記検知センサの内の1つを第一駆動周期で間欠動作させ、他の検知センサを前記第一駆動周期より周期の長い第二駆動周期にて間欠動作させると共に、前記第一駆動周期で間欠動作している検知センサが使用者を検知すると他の検知センサを第二駆動周期よりも短い周期で駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に検知センサを備えた吐水装置に関し、具体的には検知センサの検知状況に応じて吐水および止水を自動的に行なう吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者のタッチ操作や使用者の接近を検知センサにより検出し、吐水・止水を行う吐水装置において、消費電力を抑えるため、1日をある時間帯ごとに区分し、ある時間帯ごとの検出頻度の統計から検知センサの駆動周期を長く設定したり、短く設定することにより、低消費かつ応答性に優れた使い勝手のよい吐水装置の制御方式が記載されている(例えば、特許文献1参照)。
使用者のタッチ操作や使用者の接近を検知するため、検知センサは常に通電を必要とするため消費電力が大きい。これに対して、上述した制御方式によれば、使い勝手を低下させることなく、省電力化を図ることができる。
【0003】
一方、複数の吐水先と、どの吐水先から吐水させるかを選択する複数の操作部を有する吐水装置においては、全ての吐水部が均等に利用される訳ではなく、好みの吐水部からの吐水だけで使用が終わる事が多く、他の吐水部は特定の吐水部の使用中や使用が終わってから、補助的に使われることが多い。
その結果、複数の操作部の検出頻度にばらつきが出るが、前述のように、検出頻度の高い操作部は、その吐水装置が使用されるときに、最初に操作される操作部となる可能性が高いものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−278200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の吐水装置の使用形態に着目したものであり、吐水装置の使用前(止水状態)において、検出頻度の高い吐水部に対応する操作部の応答性を良くしておけば、他の吐水部に対応した操作部の応答性を落としておいても、吐水装置としての応答性に影響を与えないという知見に基く発明である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述目的を達成するために請求項1記載の発明によれば、複数の吐水口と、この複数の吐水口に夫々繋がる独立した給水路と、この独立した給水路に夫々設けられた流路開閉弁と、この流路開閉弁の夫々を開閉操作するために、使用者の接触または近接を検出するために設けられた検知センサと、前記検知センサの検知状態に基づいて、対応する前記流路開閉弁の状態を切替える制御部と、を備えた吐水装置において、前記制御部は、前記流路開閉弁の全てが閉弁状態であるときに、前記検知センサの内の1つを第一駆動周期で間欠動作させ、他の検知センサを前記第一駆動周期より周期の長い第二駆動周期にて間欠動作させると共に、前記第一駆動周期で間欠動作している検知センサが使用者を検知すると他の検知センサを第二駆動周期よりも短い周期で駆動することを特徴とする吐水装置が提供される。
【0007】
これにより、全ての吐水部が止水状態である待機状態においては、最初に使われる可能性が高い検知センサのみの周期を周期の短い第一駆動周期で間欠駆動させ、他の検知センサの周期を周期の長い第二駆動周期で間欠駆動させることで省電力化を図ることができ、また、第一駆動周期で間欠動作している検知センサが使用者を検知すると、装置が使用状態となって他の検知センサが使用される可能性が高まるため、他の検知センサを第二駆動周期よりも短い周期で駆動することで応答性の低下を抑えることができる。
【0008】
また、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明において、前記制御部は、前記検知センサのうち、いずれか1つの検知センサが使用者を検出したと判断し、前記流路開閉弁の1つを開弁すると、前記検知センサの全てを前記第一駆動周期、若しくは、この第一駆動周期より周期の短い第三駆動周期にて間欠動作させることを特徴としている。
【0009】
これにより、いずれか1つの検知センサが使用者を検出した際は、他の検知センサが使用者を検出する可能性が高まるため、一時的に全ての検知センサの駆動周期を短くすることで優れた使用感を得ることができる。
【0010】
また、請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明において、前記制御部は、前記検知センサが再度使用者を検出したと判断し、開弁状態であった前記流路開閉弁を閉弁状態として吐水を終了すると、所定期間のあいだ前記検知センサの全てを前記第一駆動周期、若しくは、この第一駆動周期より周期の短い第三駆動周期にて間欠動作させることを特徴としている。
【0011】
これにより、止水直後に再度使用される場合であっても、所定期間のあいだ全ての検知センサの駆動周期を短くすることで使用者の状態を迅速に検知でき、優れた使用感を得ることができる。
【0012】
また、請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の発明において、前記制御部は、前記検知センサのそれぞれの過去の検出頻度を記憶する記憶手段を備え、前記複数の吐水口が止水状態であるときに、前記検知センサのうち、検出頻度の最も高い検知センサを第一駆動周期で間欠動作し、他の検知センサを前記第一駆動周期より周期の長い第二駆動周期にて間欠動作させることを特徴としている。
【0013】
これにより、全ての吐水部が止水状態である待機状態においては、過去の検出頻度の統計データなどから、最も使われる可能性が高い検知センサのみの周期を周期の短い第一駆動周期で間欠駆動しておけば、他の検知センサの駆動周期を周期の長い第二駆動周期で間欠駆動していても、応答性が損なわれる可能性が低く、省電力化を図ることができる。
【0014】
また、請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の発明において、前記制御部は、前記検知センサのそれぞれの過去の検出頻度を、1日を複数の時間帯ごとに区分し、その区分された時間帯ごとの検出頻度によって、検知センサの駆動周期を変更させることを特徴としている。
【0015】
これにより、複数の検知センサの1日のある時間帯ごとの検出頻度は、過去の同じ時間帯ごとの検出頻度と概ね同じことから、それぞれの検知センサの検出を予測し、検出頻度の高い時間帯においては、検知センサの駆動周期を短い周期で間欠駆動させることで使用者を迅速に検出することができ、検出頻度の低い時間帯においては、検知センサの駆動周期を長い周期で間欠駆動させることで、省電力化を図ることができる。
【0016】
また、請求項6記載の発明によれば、請求項4又は請求項5記載の発明において、前記制御部は、前記検知センサのそれぞれの過去の検出頻度が、予め決められた検出頻度以下であると、前記検知センサの全ての駆動周期を第二駆動周期にて間欠動作させることを特徴としている。
【0017】
これにより、全ての吐水部が止水状態である待機状態においては、過去の検出頻度の統計データなどから、どの検知センサも検出する可能性が極めて低ければ、全ての検知センサの駆動周期を周期の長い第二駆動周期で間欠駆動していても、応答性が損なわれる可能性が低く、省電力化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、使い勝手を損ねることなくかつ省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態にかかる吐水装置を備えたシャワーを例示する斜視模式図である。
【図2】第1の実施の形態にかかる吐水装置の動作を示すタイムチャートである。
【図3】第1の実施の形態の変形例にかかる吐水装置の動作を示すタイムチャートである。
【図4】第1の実施の形態の補足にかかる吐水装置の動作を示すタイムチャートである。
【図5】第1の実施の形態の補足にかかる吐水装置の動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる吐水装置を備えたシャワーを例示する斜視模式図である。
図2は、本発明の実施の形態にかかる吐水装置を例示するタイムチャートである。
【0021】
図1に示すように、シャワー1は、本発明の実施形態に係る吐水装置を備えており、具体的には、オーバヘッドシャワー部3およびボディシャワー部5およびハンドシャワー部7と、を備えている。
図1に示すように、オーバヘッドシャワー部3およびボディシャワー部5およびハンドシャワー部7は、それぞれのシャワー部に対応したオーバヘッドシャワー吐水口4およびボディシャワー吐水口6およびハンドシャワー吐水口8と、これらの吐水口に独立して接続された通水路P1〜P3と、これらの通水路にそれぞれ設けられた流路開閉弁V1〜V3と、複数の検知センサSENS1〜SENS3と、制御部100と、を備えている。
なお、図1に示したシャワー1では、オーバヘッドシャワー部3およびボディシャワー部5およびハンドシャワー部7の検知センサとして、3つの検知センサSENS1〜SENS3が設けられている。
以下の説明では、複数の検知センサSENS1〜SENS3を総称して検知センサSENSということとする。
【0022】
図1に示すように、通水路P1〜P3には水または湯が供給されており、通水路P1〜P3に接続された流路開閉弁V1〜V3を経由して、オーバヘッドシャワー部3およびボディシャワー部5およびハンドシャワー部7のそれぞれの吐水口(オーバヘッドシャワー吐水口4およびボディシャワー吐水口6およびハンドシャワー吐水口8)から水または湯が吐水される。
【0023】
流路開閉弁V1〜V3は、通水路P1〜P3を通る湯水をオーバヘッドシャワー部3およびボディシャワー部5およびハンドシャワー部7のそれぞれの吐水口からの吐水および止水を切替える。流路開閉弁V1〜V3は制御部100から送られる電気信号に基づいて弁の開閉を行ない、吐水及び止水の切替えを行なう。
【0024】
検知センサSENSは、それぞれの検知センサSENSに近接もしくは接触される使用者の手などの物体の有無を検知する。
なお、検知センサSENSは、例えば使用者の手などの人体が近接もしくは接触される場合の静電容量の変化を検出する静電容量式センサと呼ばれるセンサである。なお、センサの種類にはこれに限られる訳ではなく、赤外線反射式積分型センサ、マイクロ波センサや超音波センサ、測距式や焦電式センサなどに適宜変更してもよいものとする。
【0025】
制御部100は、複数の検知センサSENSのそれぞれに、使用者の手などの人体が近接もしくは接触される前の静電容量と、複数の検知センサSENSに使用者の手などの人体が近接もしくは接触された場合の静電容量の差と、を予め定められた検知閾値と比較し、検知閾値以上であれば使用者ありと判断し、検知閾値以下であれば使用者なしと判断し、流路開閉弁V1〜V3の弁の開くための電気信号を、流路電磁弁V1〜V3へ送る。
なお、検知センサSENSを駆動させる電力や使用者の検知閾値は、検知センサSENSの設置環境や検知センサSENSの経時変化によって可変させてもよいものとする。
【0026】
制御部100は、前述で示したように、検知センサSENSの使用者の検知によって流路電磁弁V1〜V3の開閉を行なうほか、更にはモード切替操作部から出力される電気信号に基づいても流路開閉弁V1〜V3の開閉を行なう。
また、制御部100は、オーバヘッドシャワー部3およびボディシャワー部5およびハンドシャワー部7のそれぞれの吐水口が止水状態であるときに、複数の検知センサSRの内の1つを第一駆動周期にて間欠動作させ、他の検知センサについては、第一駆動周期よりも周期の長い第二駆動周期にて間欠動作させる。
【0027】
以下、本実施形態の具体例について図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施形態)
図2は、第1の実施形態にかかる吐水装置の動作を示すタイムチャートである。
【0028】
図2に示すタイムチャートでは、3つの検知センサSENS1〜検知センサSENS3の検知性能を規定する駆動周期と、検知信号、電磁弁の開閉タイミングを示している。 図2において、時間t1からt2までは、吐水装置は待機状態にある。この状態においては、検知センサSENS1については、第一駆動周期にて間欠的に検知動作を繰り返す。例えば、4Hz(ヘルツ)とすることができる。また、検知センサSENS2および検知センサSENS3については、第一駆動周期よりも周期の長い第二駆動周期にて間欠的に検知動作を繰り返している。例えば、2Hzとすることができる。なお、第一駆動周期および第二駆動周期で実行されるそれぞれの検出動作は、複数の検出信号を含むものとしてもよい。例えば、第一駆動周期は4Hzの感覚で実行される検出動作のそれぞれが、3階の検出信号を含むものとすることができる。
【0029】
再び図2に戻って説明を続けると、吐水装置に使用者が近づき、時刻t2において、使用者の手などの人体が、検知センサSENS1に近接もしくは接触すると、検知センサSENS1の検知信号のレベルが検知閾値を超え検知となる。すなわち、制御部100は検知センサSENS1の静電容量の変化レベルを判定し、使用者ありと判断する。すると、制御部100からの出力に基づいて、流路開閉弁V1を開く制御を実行する。
オーバヘッドシャワー部3は、流路開閉弁V1が開かれたことにより、オーバヘッドシャワー吐水口4より水もしくは湯が吐水される。
また、制御部100は、検知センサSENS1が使用者と判断し、流路開閉弁V1を開
く制御を実行すると同時に、複数の検知センサSRの全ての駆動周期を第一駆動周期よりも周期の短い第3の駆動周期にて間欠動作させる。例えば、8Hzとすることができる。
【0030】
このとき、検知センサSENS2および検知センサSENS3は、まだ検知していない。つまり、使用者の手などの人体が、検知センサSENS2および検知センサSENS3の検知領域に入っていないことを示している。
図2に表した具体例の場合、その後時刻t3に至るまで、検知センサSENS1以外の検知センサは、使用者の手などの人体を検出していない。つまり、オーバヘッドシャワー吐水口4から水もしくは湯が継続して吐水されている。
【0031】
一方、時刻t3において、使用者の手などの人体が、検知センサSENS2に近接もしくは接触したことが検出されている。これは例えば、使用者がシャワー1が設置された浴室に入り、まず洗髪行為のために検知センサSENS1を操作し、オーバヘッドシャワー部3の吐水口4から吐水される湯水で洗髪をおこった後、続いて洗剤などで身体を洗う行為をおこった際に身体に付着した洗剤を洗い流すために、検知センサSENS2を操作し、ボディシャワー部5の吐水口6から吐水される湯水を利用する行為に相当する。
時刻t3にて、検知センサSENS2が使用者の手などの人体を検出すると、制御部100からの出力に基づいて、流路開閉弁をV1を閉じる制御を実行する。すなわち、オーバヘッドシャワー部3は、流路開閉弁V1が閉じられたことにより、オーバヘッドシャワー吐水口4からの吐水を止水する。同時に、制御部100からの出力に基づいて、流路開閉弁V2を開ける制御を実行する。すなわち、ボディシャワー部5は、流路開閉弁V2が開かれたことにより、ボディシャワー吐水口6からの吐水を開始する。
【0032】
再び図2に戻って説明を続けると、時刻t4において、使用者の手などの人体が、検知センサSENS3に近接もしくは接触したことが検出されている。これは例えば、使用者が洗髪や身体を洗う行為をおこなった後に、浴室の壁に飛散もしくは床に滞留した洗剤残りを洗い流すために、検知センサSENS3を操作し、ハンドシャワー部7の吐水口8から吐水される湯水を利用する行為に相当する。
時刻t4にて、検知センサSENS2が使用者の手などの人体を検出すると、制御部100からの出力に基づいて、流路開閉弁をV2を閉じる制御を実行する。すなわち、ボディシャワー部5は、流路開閉弁V2が閉じられたことにより、ボディシャワー吐水口6からの吐水を止水する。同時に、制御部100からの出力に基づいて、流路開閉弁V3を開ける制御を実行する。すなわち、ハンドシャワー部7は、流路開閉弁V3が開かれたことにより、ハンドシャワー吐水口8からの吐水を開始する。
【0033】
その後、時刻t5において、使用者の手などの人体が、再度検知センサSENS3に近接もしくは接触したことが検出されている。これは例えば、使用者が浴室の壁に飛散もしくは床に滞留した洗剤残りを洗い流した後、使用者が浴室から退室するために、検知センサSENS3を操作し、ハンドシャワー部7の吐水口8から吐水される湯水を止水する行為に相当する。
時刻t5にて、検知センサSENS3が使用者の手などの人体を検出すると、制御部100からの出力に基づいて、流路開閉弁をV3を閉じる制御を実行する。すなわち、ハンドシャワー部7は、流路開閉弁V3が閉じられたことにより、ハンドシャワー吐水口8からの吐水を止水する。
また、制御部100は、検知センサSENS3が使用者を検知し、全ての吐水口からの水もしくは湯の吐水が止水となったと判断すると(時刻t5)、複数の検知センサSRの全ての駆動周期を複数の検知センサSRが使用者を検知する前の駆動周期にて間欠駆動させる。
図2によると、検知センサSENS1の駆動周期は、第一駆動周期で間欠駆動させ、検知センサSENS2および検知センサSENS3の駆動周期は、第二駆動周期で間欠駆動される。
【0034】
以上説明したように、図2に表した具体例の場合、複数の検知センサSRのいずれも使用者を検知していない状態、すなわち複数の吐水口のいずれからも水もしくは湯を吐水していない待機状態においては、複数の検知センサSRのいずれか1つの駆動周期を他の検知センサの駆動周期よりも短い周期で駆動させる。
これは、複数の検知センサSRと複数の吐水部を備えた吐水装置において、すべての吐水部が止水状態である待機状態においては、一度にすべての吐水部が使用されることはないため、すべての検知センサSRの駆動周期を短くする必要がない。そのため、最初に使われる可能性の高い吐水部に対応する検知センサのみの駆動周期を短い周期で間欠駆動しておけば、他の検知センサの駆動周期を長い周期で間欠駆動していても、応答性が損なわれることなく省電力化を図ることができる。
また、図2に表した具体例の場合、複数の検知センサSRのうち、いずれか1つの検知センサが使用者を検出すると、その検知したセンサに対応する吐水口から吐水を開始すると共に、複数の検知センサSRのすべての駆動周期を複数の検知センサSRが使用者を検知するまえの駆動周期より短い周期で間欠動作させる。
これは、複数の検知センサSRを備えた吐水装置においては、いずれか1つの検知センサが使用者を検知し、その検知したセンサに対応する吐水口から吐水を開始し、その吐水が行われている最中に関しては、他の検知センサも使用者を検出する可能性が高まるため、一時的にすべての検知センサの駆動周期を短くすることで優れた使用感を得ることができる。
【0035】
(第1の実施形態の変化例)
第1の実施形態の変化例による吐水装置の基本構成については、図1の模式図を参照しつつ説明した内容と同様でよいため、その説明は省略する。
【0036】
図3は、第1の実施形態の変化例にかかる吐水装置の動作を示すタイムチャートである。
図3にタイムチャートでは、3つの検知センサSENS1〜検知センサSENS3の検知性能を規定する駆動周期と、検知信号、電磁弁の開閉タイミングを示している。
【0037】
前述した第1の実施形態においては、すべての吐水部が止水状態における検知センサの駆動周期を最初に使用される可能性が高い検知センサのみ周期を短くし間欠動作させる。さらに、検知センサが使用者の手などの人体を検出し、いずれかの吐水部から吐水を行っている最中の全ての検知センサの駆動周期を止水状態における検知センサの駆動周期よりも短い周期で間欠動作させる。これに対し、第1の実施形態の変化例では、一旦、いずれかの検知センサの検知によりいずれかの吐水部からの吐水を行った後、再度検知センサの検知によりいずれの吐水部からの吐水が止水されてからの所定期間、全ての検知センサSRの駆動周期を短い周期で間欠駆動させている。
【0038】
図3に例示したタイムチャートは、図4で表したタイムチャートと比較すると、止水後所定期間における複数の検知センサSRの駆動周期が異なっている。
その他の動作については、第一の実施形態と同様とすることができるので、その詳細な説明は省略する。
【0039】
図3の時刻t5において、使用者の手などの人体を検知センサSENS3が検知すると、ハンドシャワー部7の吐水口8から吐水されていた水もしくは湯の吐水が止水される。
制御部100は、すべての吐水部が止水となったと判断すると、すべての検知センサSRの駆動周期をいずれかの吐水部から吐水されている最中の駆動周期で継続させるとともに、時間の計測を開始する。
そして、時間の計測の開始(時刻t5)から所定時間が経過すると、すべての検知センサSRの駆動周期を前回の吐水が行われる前(時刻t1〜時刻t2)の検知センサそれぞれの駆動周期に戻す。
【0040】
以上説明したように、図3に表した具体例の場合、いずれかの吐水部からの吐水が終了し、いずれの吐水部も止水状態となった場合であっても、止水から一定期間のあいだは、すべての検知センサSRの駆動周期を吐水中の短い駆動周期を継続させる。
これは検知センサを備えた吐水装置において、止水直後に再度使用される場合であっても、使用者の手などの人体を迅速に検出できる。
【0041】
(第1の実施形態の補足)
第1の実施形態の補足による吐水装置の基本構成については、図1の模式図を参照しつつ説明した内容と同様でよいため、その説明は省略する。
【0042】
図4は、第1の実施形態の補足にかかり、すべての吐水部が止水状態における検知センサの1日の時間帯毎の駆動周期を示す図面である。
図5は、第1の実施形態の補足にかかる検知センサの1日の時間帯毎の検知センサの動作を示すタイムチャートである。
図4に示す図面では、1日をある時間帯毎に分割し、その分割された時間帯毎のそれぞれの検知センサの検知頻度から、すべての吐水部が止水状態における時間帯毎のそれぞれの検知センサの駆動周期の長さを示している。
図5に示すタイムチャートでは、3つの検知センサSENS1〜検知センサSENS3の検知性能を規定する駆動周期を示している。
【0043】
前述した第1の実施形態においては、すべての吐水部が止水状態における検知センサの駆動周期を最初に使用される可能性が高い検知センサのみ周期を短くし間欠動作させる。
具体的には、第一の実施形態の説明で用いた図2を用いて説明すると、最初に使用される可能性が高い検知センサは、駆動周期を第一駆動周期で間欠駆動させる。例えば、第一駆動周期は4Hzとすることができる。さらに、検知センサが使用者の手などの人体を検出し、いずれかの吐水部から吐水を行っている最中の全ての検知センサの駆動周期を止水状態における検知センサの駆動周期よりも短い周期で間欠動作させる。具体的には、第一の実施形態の説明で用いた図2を用いて説明すると、いずれかの吐水部から吐水を行っている最中の全ての検知センサは、駆動周期を第3の駆動周期で間欠駆動させる。例えば第三駆動周期は8Hzとすることができる。これに対し、第1の実施形態の補足として、すべての吐水部が止水状態における検知センサのそれぞれの駆動周期は、過去の検出頻度から検出頻度の最も高い検知センサを第一駆動周期で間欠駆動し、他の検知センサを第一駆動周期よりも周期の長い第二駆動周期にて間欠動作させている。具体的には、第一の実施形態の説明で用いた図2を用いて説明すると、例えば、第二駆動周期は2Hzとすることができる。
【0044】
図4に例示した図面は、1日をある時間毎に等分割した際の複数の検知センサSRのそれぞれの駆動周期を示した図である。例えば、1日を1時間毎に24分割することができる。
図5に例示したタイムチャートは、図4で示しされた時間帯毎の複数の検知センサの駆動周期を示した図である。
図4では、検知センサの駆動周期が2つの周期で表されており、ある時間帯における過去の検出頻度の統計から予め定められた頻度以上であれば、制御部100は検出頻度が高いと判断し、図4の図中で該当する時間帯を「短(駆動周期が短い)」と示す。一方で、ある時間帯における過去の検出頻度の統計から予め定められた頻度以下であれば、制御部100は検出頻度が低いと判断し、図4の該当する時間帯を「長(駆動周期が長い)」と示している。ここで示す「短」の時間帯においては、検知センサの駆動周期が短い周期で駆動されており、第一の実施例の説明で用いた図2で説明すると、第一駆動周期で間欠駆動され(例えば、4Hzとすることができる)、使用者の手などの人体を迅速に捉える状態となっている。一方、「長」が示す時間帯においては、検知センサの駆動周期が長い周期で駆動されており、同じく図2で説明すると、第2の駆動周期で間欠駆動され(例えば2Hzとすることができる)、使用者の手などの人体を長い周期で検出することで省電力化を図っている。
再び図4に戻って説明を続けると、時刻t22〜時刻t23(区分22)における検知センサSENS1および検知センサSENS2の駆動周期は「短」となっており、この時間帯における検知センサSENS1および検知センサ2の駆動周期は短い周期で間欠駆動されている。一方、時刻t22〜時刻t23(区分22)における検知センサSENS3の駆動周期は「長」となっており、この時間帯に関してはいずれの検知センサも駆動周期は長い周期で間欠駆動されている。
図5では、時刻t22〜時刻t23(区分22)における検知センサSENS1および検知センサSENS2の駆動周期は、第一区駆動周期にて間欠駆動されている。例えば、第一駆動周期は4Hzとすることができる。一方、時刻t22〜時刻t23(区分22)における検知センサSENS3の駆動周期は第二駆動周期にて間欠駆動されている。例えば、第二駆動周期は2Hzとすることができる。
再び図4に戻って説明を続けると、時刻t23〜時刻t5(区分23〜区分5)において、制御部100は全ての検知センサSRの駆動周期を「長」からへ切り替えて駆動する。これは、時間区分23〜区分5における過去の検出頻度の統計から予め定められた検出頻度以下であった場合に、制御部100は検出頻度が低いと判断し、該当する検知センサの駆動周期を周期の短い第一駆動周期から、駆動周期の長い第二駆動周期へ切替える制御を行う。
図5では、時刻t23〜時刻t5(区分23〜区分5)において、制御部100は全ての検知センサSRの駆動周期を第二駆動周期にて間欠駆動させる。例えば、第二駆動周期は2Hzとすることができる。
【0045】
その後、翌日の時刻t6に至るまで、全ての検知センサSRは、駆動周期を第二駆動周期にて間欠駆動を継続させる。
【0046】
以上説明したように、図4および図5に表した具体例の場合、制御部は過去の検知頻度を記憶する手段を備え、1日をある時間毎に等分割した際のある時間帯における複数の検知センサSRのそれぞれの駆動周期は、制御部にて記憶された過去の検知頻度の統計から、予め定められた頻度以上であれば、検知センサの駆動周期を短い周期で間欠駆動させ、去の検知頻度の統計から、予め定められた頻度以下であれば、検知センサの駆動周期を長い周期で間欠駆動させる。
これは、1日をある時間毎に等分割した際のある時間毎の使用頻度は、過去の同じ時間帯毎の検出頻度と概ね同じであることから、それぞれの検知センサの検出を予測し、検出頻度の高い時間帯においては、検知センサの駆動周期を短い周期で間欠駆動させることで使用者を迅速に検出することができ、検出頻度の低い時間帯においては、検知センサの駆動周期を長い周期で間欠駆動させることで、省電力化を図ることができる。
また、1日をある時間毎に等分割した際のある時間帯における複数の検知センサSRのそれぞれの使用頻度が、予め定められた頻度以下であった場合は、複数の検知センサSRの全ての検知周期を周期の長い駆動周期へ切替える制御を行う。
これは、前述にもあるとおり、1日をある時間毎に等分割した際のある時間毎の使用頻度は、過去の同じ時間帯毎の検出頻度と概ね同じであり、予め定められた検出頻度以下であれば全ての検知センサの駆動周期を長い周期で間欠駆動させても、応答性が損なわれる可能性は低く、全ての検知センサの駆動周期を長い周期で間欠駆動させることで、低消費化を図ることができる。
【符号の説明】
【0047】
1…シャワー装置
2…本体
3…オーバヘッドシャワー部
4…オーバヘッド吐水口
5…ボディシャワー部
6…ボディシャワー吐水口
7…ハンドシャワー部
8…ハンドシャワー吐水口
9…シャワーハンガー
10…モード切替操作部
11…温度調整操作部
100…制御部
P1…給水路
P2…給水路
P3…給水路
SENS1…検知センサ
SENS2…検知センサ
SENS3…検知センサ
V1…流路開閉弁
V2…流路開閉弁
V3…流路開閉弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吐水口と、
この複数の吐水口に夫々繋がる独立した給水路と、
この独立した給水路に夫々設けられた流路開閉弁と、
この流路開閉弁の夫々を開閉操作するために、使用者の接触または近接を検出するために設けられた検知センサと、
前記検知センサの検知状態に基づいて、対応する前記流路開閉弁の状態を切替える制御部と、
を備えた吐水装置において、
前記制御部は、前記流路開閉弁の全てが閉弁状態であるときに、前記検知センサの内の1つを第一駆動周期で間欠動作させ、他の検知センサを前記第一駆動周期より周期の長い第二駆動周期にて間欠動作させると共に、前記第一駆動周期で間欠動作している検知センサが使用者を検知すると他の検知センサを第二駆動周期よりも短い周期で駆動することを特徴とする吐水装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記検知センサのうち、いずれか1つの検知センサが使用者を検出したと判断し、前記流路開閉弁の1つを開弁すると、前記検知センサの全てを前記第一駆動周期、若しくは、この第一駆動周期より周期の短い第三駆動周期にて間欠動作させることを特徴とする請求項1記載の吐水装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記検知センサが再度使用者を検出したと判断し、開弁状態であった前記流路開閉弁を閉弁状態として吐水を終了すると、所定期間のあいだ前記検知センサの全てを前記第一駆動周期、若しくは、この第一駆動周期より周期の短い第三駆動周期にて間欠動作させることを特徴とする請求項2記載の吐水装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記検知センサのそれぞれの過去の検出頻度を記憶する記憶手段を備え、前記複数の吐水口が止水状態であるときに、前記検知センサのうち、検出頻度の最も高い検知センサを第一駆動周期で間欠動作し、他の検知センサを前記第一駆動周期より周期の長い第二駆動周期にて間欠動作させることを特徴とする請求項1記載の吐水装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記検知センサのそれぞれの過去の検出頻度を、1日を複数の時間帯ごとに区分し、その区分された時間帯ごとの検出頻度によって、検知センサの駆動周期を変更させることを特徴とする請求項4記載の吐水装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記検知センサのそれぞれの過去の検出頻度が、予め決められた検出頻度以下であると、前記検知センサの全ての駆動周期を第二駆動周期にて間欠動作させることを特徴とする請求項4又は請求項5記載の吐水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−11124(P2013−11124A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145434(P2011−145434)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】