説明

向上した光出力を有するLEDデバイス

白色発光マイクロキャビティ発光ダイオードデバイスは、基板上に形成された反射電極(12)と半透明電極(16)と、この反射電極と半透明電極との間に形成された非パターン化白色発光層(14)を含んでおり、反射電極と半透明電極及び非パターン化白色発光層は光学キャビティを形成する。反射又は半透明電極は、独立して制御可能な発光サブピクセル素子(50、52、54、56)を形成するためにパターン化されている。カラーフィルタ(40R、40G、40B)は、有色サブピクセルを形成するために、非パターン化白色発光層側とは反対側の半透明電極上に、発光素子と対応して形成されている。少なくとも1個の発光素子は、白色光を発光して白色サブピクセルを形成するために、少なくとも2個の共通に制御される部分(56Y、56B)を有している。白色サブピクセルは、一つの発光角において異なる補色波長で発光するように同調された光学マイクロキャビティ(66Y、66B)を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)デバイスに関し、更に特定すると、光出力、周囲コントラスト比および製造可能性を向上させるためのLEDデバイス構造に関する。
【背景技術】
【0002】
発光性のフラットパネルディスプレイデバイスは、計算装置及び特に携帯装置と共に広く使用されている。これらのディスプレイは往々にして、著しい周囲照明下にある公共の場で使用され且つ幅広い角度から観察される。
【0003】
有機発光ダイオード(OLED)はフラットパネルディスプレイデバイスとして多くの有用性を有し且つ光学システムにおいて有用である。Tang等に対して2002年5月7日に発行された米国特許第6、384、529号は、OLED発光素子(ピクセル)のアレイを含むOLEDカラーディスプレイを示している。有機材料を電流が流れると光がピクセルから放射され、その光の周波数は使用した有機材料の性質に依存する。有機材料は電極間の基板上に配置され、カバー層或いはプレートによって封入されている。このようなディスプレイにおいて、光は基板を通して(底面発光体)、或いは封入カバーを通して(上面発光体)、或いはその両方から放出される。放射された光はランバート放射、即ち全ての方向に均等に放射されるものである。LEDデバイスは高い光学指数材料を用いているために、放射された光の多くの部分(例えば50%以上)は、全面的な内部反射に基づいてデバイス中に捕獲され、その結果、デバイス効率を低下させる。
【0004】
光学空洞(キャビティ)構造が、OLEDデバイス構造から放射される光を増加させることは既知である。このような光学キャビティ構造は、薄膜で形成された場合、マイクロキャビティ即ち光学マイクロキャビティとして知られている。LEDデバイス中に形成された場合、異なる色の発光有機材料が、基板上の反射電極と半透明電極との間にパターン状に堆積される。このようにして、異なる色の発光体が光学キャビティ内に形成され、このキャビティは、通常、パターン化された有機材料によって放射される光の色に相当する所望のピーク光波長に同調されている。米国特許第6、680、570号は、光学キャビティを形成するためにスペーサ層を使用する、改良されたカラー制御を有する有機発光デバイスについて記載している。図9は、このような従来の底面発光光学キャビティデバイスを示しており、このデバイスは、アクティブマトリックス薄膜構成部材30、平坦化構造32及び34及び半透明電極16を有する基板10を使用している。赤、緑及び青の発光を提供するパターン化された有機材料14R、14Gおよび14Bが発光層14中に堆積される。光学スペーサ26R、26G及び26Bが光学キャビティ60、62及び64を形成するために使用され、これのキャビティは、それぞれ赤の光80、緑の光82及び青の光84を発光するために、赤、緑及び青の所望のピーク波長に同調されている。カバー20を、デバイスを保護し封止するために使用することができる。このような設計は有用であるが、その一方で、大きな基板に拡大するのが困難なパターン化有機材料堆積技術(例えば、金属のシャドーマスクを介した真空蒸着)を必要とする。更に、光学キャビティデバイスは通常、受け入れがたい角度色依存性を有している。その上、例えば米国特許第7、189、238号で教示されているように、光学キャビティ構造にカラーフィルタを使用することが知られている。しかしながら、このようなアプローチは有用ではあるけれど、デバイスの製造可能性を向上することは無く、ある照明条件下で不適切な周囲コントラスト比を提供する。その上、カラーフィルタは発光層から放射された光を吸収し、その結果、デバイス効率を低下させる。
【0005】
“Light−emitting elements”と題された米国特許第5、554、911号は、発光波長を決定するそれぞれに異なる光学長を持った、少なくとも2個の光学キャビティ構造を有する多色発光素子を記載している。各光学キャビティ構造は、発光領域として有機材料を含んでおり、この領域はその素子中で均一な厚さを有する単一の膜であっても良い。“Tuned microcavity color OLED display”と題された米国特許第6、861、800号は、少なくとも2個の異なるカラーピクセルセットに分割されたピクセルアレイを有する、マイクロキャビティOLEDデバイスを記載している。このカラーピクセルセットのそれぞれは、共通基板上で、予め決定された異なる色の光を発光する。アレイ中の各ピクセルは、基板上に配置された金属の底面電極層と、この金属底面電極層から間隔を置いて離れた金属電極層とを含んでいる。半透明金属電極層のための材料は、Ag、Au或いはこれらの合金を含む。半透明金属電極層の厚さ、有機層と透明導電相の層とを結合した厚さ、及び発光層の配置は、ディスプレイ中の各ピクセルが、マイクロキャビティを有さない比較可能なOLEDデバイスの発光出力効率よりも高い発光出力効率を有する、同調されたマイクロキャビティOLEDデバイスを形成するように選択される。米国特許第5、949、187号は、第1のマイクロキャビティを有するOLEDを記載している。このマイクロキャビティは、第1の透明スペーサと第1のミラースタックを含み、このミラースタックは、第1のスペーサ上に配置され、光をOLED中に反射して戻し、且つ第1のマイクロキャビティの光学長を規定する。第1のマイクロキャビティの光学長は、第1のマイクロキャビティから放射された光が第1のスペクトルを有するようなものである。第2のマイクロキャビティは、第1のマイクロキャビティに隣接して配置される第2の透明スペーサを含み、第2のスペーサ上に配置された第2のミラースタックは光を第2のOLEDに向かって反射し且つ第2のマイクロキャビティの光学長を規定する。第2のマイクロキャビティの光学長は、第2のマイクロキャビティから放射された光が第2のスペクトルを有するようなものである。更に光スペクトルを強化し変更するために、この構造中に更にマイクロキャビティを配置しても良い。このような設計は、しかしながら、法線に対して角度を有して進行する光に対して有効光路長に変化が生じることに基づく異なる視角での著しい色変化と同様に、製造コストを増加させ、希望したものよりも光出力を低下させ、希望したよりも反射率を大きくする。
【0006】
Antoniadisによる“Reducing or eliminating color change for microcavity OLED devices”と題された米国特許出願公開第2006/0066228A1は、異なる視角における色変化を最小にし、或いは取り除いたマイクロキャビティOLEDデバイスを開示している。このOLEDデバイスは、例えば、エリア照明に使用されるOLEDディスプレイ又はOLED光源となり得る。このOLEDデバイスは、基板上に多層ミラーを含んでおり、この各層は非吸収性の材料で形成されている。このOLEDデバイスは更に、多層化された第1のミラー上に第1の電極を含み、この第1の電極は実質的に透明である。発光層は第1の電極上にある。第2の電極は発光層上にあり、第2の電極は実質的に反射性であり、ミラーとして機能する。多層ミラーと第2の電極はマイクロキャビティを構成する。光変調薄膜が基板の前面上にある。光変調薄膜は、カットオフカラーフィルタ、バンドパスカラーフィルタ、輝度増強膜、認識される色変化が存在する角度における発光スペクトルを減衰させるマイクロ構造、又は、出力された発光スペクトルが同じ認識された色を有するように波長を再分配するマイクロ構造、の何れかである。先と同様に、このような設計はパターン化堆積プロセスに基づいて、製造コストを増加させることがある。更に、相当の光がカラーフィルタによって吸収され、効率を低下させる。
【0007】
大きな基板上に材料を堆積する問題を克服する一つのアプローチは、Cokによる“Stacked OLED Display having Improved Efficiency”と題された米国特許第6、987、355号において教示されているように、例えば、白色発光体のような単一の発光層を、フルカラーディスプレイを構成するためにカラーフィルタと共に使用することである。しかしながら、カラーフィルタの使用はデバイスの効率をかなり低下させる。更に、例えば、Cok等による“Color OLED Display with Improved Power Efficiency”と題された米国特許第6、919、681号において教示されているように、カラーフィルタを含まない白色サブ−ピクセルを使用することも既知である。しかしながら、この開示は角度色問題又は大量のトラップ光についての対処はない。
【0008】
Winters等による“OLED device having microcavity gamut sub−pixels and a within gamut sub−pixel”と題された米国特許第7、030、553号は、従来のマイクロキャビティデバイスの一例を開示している。この開示は、発光ピクセルのアレイを含むOLEDデバイスについて記載しており、ここにおいて各ピクセルは、光を生成する少なくとも1個の発光層と間隔を置いた電極層とを含む有機層を備えたサブ−ピクセルを含んでいる。色域を規定する色を生成する少なくとも3個の全域サブピクセルと、全域サブ−ピクセルによって生成される色域内で光を生成する少なくとも1個のサブ−ピクセルがある。少なくとも1個の色域サブ−ピクセルは、マイクロキャビティを形成するように機能する反射体と半透明反射体を含む。しかしながら、この設計は、上面発光形式において製造が困難であるパターン化半透明電極を使用する。更に、角度色変化について対処されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、従来技術の欠点を克服し、且つ、光出力、角度色性能およびLEDデバイスの製造可能性を向上する、改良された発光構造に対する必要性が依然として残っている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態において、上記必要性は、以下のものを含む白色発光マイクロキャビティ発光ダイオードデバイスによって達成される。即ち、このデバイスは、
a)基板と、
b)前記基板上に形成された反射電極と半透明電極及び前記反射電極と前記半透明電極との間に形成された非パターン化白色発光層とであって、前記反射電極、半透明電極及び非パターン化白色発光層は光学キャビティを形成し、前記反射電極又は半透明電極の何れかは複数の独立に制御可能な発光サブピクセル素子を形成するためにパターン化されている、反射電極、半透明電極及び非パターン化白色発光層と、
c)有色サブピクセルを形成するために、前記半透明電極の前記非パターン化白色発光層とは反対側の一側面上で前記独立に制御可能な発光素子と対応して形成される複数のカラーフィルタであって、前記複数のカラーフィルタは少なくとも2個の異なる色を有し、更に、少なくとも1個の前記独立に制御可能な発光素子は少なくとも2個の共通に制御される部分を有しこの部分は白色サブピクセルを形成するために実質的に白色の光を共に発光する、複数のカラーフィルタと、を備え、
d)前記白色サブピクセルの1個又はそれ以上の共通に制御される部分の光学キャビティは複数の光学マイクロキャビティを備え、それぞれの光学マイクロキャビティは異なる補色波長と発光角で発光するように同調されている。
【0011】
本発明の別の実施形態は、光学マイクロキャビティを有する白色サブピクセルの1個又はそれ以上の共通に制御される部分の光学キャビティを設ける。それぞれの光学マイクロキャビティは、複数の発光角度で異なる相補型波長で光を発光するように同調されている。
【0012】
本発明の第3の実施形態は、以下のステップを含むLEDデバイスの製造方法を提供する。即ち、この方法は、
a)基板を提供するステップと、
b)反射電極と半透明電極を前記基板上に形成し且つ前記反射電極と半透明電極との間に非パターン化白色発光層を形成するステップであって、前記反射電極、半透明電極及び非パターン化白色発光層は光学キャビティを形成し、前記反射電極又は半透明電極の何れかは複数の独立に制御可能な発光サブピクセル素子を形成するためにパターン化されているステップと、
c)有色サブピクセルを形成するために、前記半透明電極の前記非パターン化白色発光層とは反対側の一側面上で前記独立に制御可能な発光素子と対応して複数のカラーフィルタを形成するステップであって、前記複数のカラーフィルタは少なくとも2個の異なる色を有し、更に、少なくとも1個の前記独立に制御可能な発光素子は少なくとも2個の共通に制御される部分を有しこの部分は白色サブピクセルを形成するために実質的に白色の光を共に発光する、ステップと、を備え、
d)d)前記白色サブピクセルの1個又はそれ以上の共通に制御される部分の光学キャビティは複数の光学マイクロキャビティを備え、それぞれの光学マイクロキャビティは複数の発光角度において異なる補色波長で発光するように同調されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、LEDデバイスの光出力と製造可能性を増加させ、且つ、角度色変化を減少させると言う効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る、上面発光LEDデバイスの部分断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係る、図1に示す上面発光LEDデバイスの部分断面図である。
【図3】本発明の種々の実施形態に有用な光学スペーサを示す。
【図4】本発明の種々の実施形態におけるCIExおよびCIEy空間での発光波長を示す。
【図5】本発明の種々の実施形態の理解に有用である、黄色と青の周波数の種々の組合せに対する一定D65光出力を示す。
【図6A】本発明の種々の実施形態に有用なマイクロキャビティ構造を持たない白色発光体の、法線視角におけるスペクトルを示す。
【図6B】マイクロキャビティを有する白色発光体の法線視角と、これとは異なる視角とにおけるスペクトルを、本発明の種々の実施形態に有用なカラーフィルタのスペクトルと共に示すグラフである。
【図6C】カラーフィルタを組み込んだ本発明の一実施形態のCIExとCIEy空間における発光波長を示すグラフである。
【図7】図6Cの種々の部分を示すグラフである。
【図8】本発明の種々の実施形態に従って、共通に制御可能な部分で異なる相対サイズを有する白色サブピクセルの、視角に伴う白色点変化を示すグラフである。
【図9】従来技術の底面発光LEDデバイスの部分断面図を示す。
【図10】本発明の方法にかかるフロー図である。
【図11】本発明に従ってLEDデバイスを使用するシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
個々の層は非常に薄く、且つ、種々の層の厚さにおける相違は縮尺比通りに描写するには大きすぎるため、それぞれの図面は縮尺比通りではないことを理解する必要がある。
【0016】
図1を参照すると、本発明に係る発光ダイオードの一実施例は、基板10、反射電極12、及び基板10上に形成された半透明電極16を備えている。反射電極12又は半透明電極16の何れかは、独立して制御可能な発光素子50、52、54および56を形成するためにパターン化されている。例えば、図1に示す様に、反射電極12がパターン化される。独立して制御可能な発光素子は、例えば、基板10上に形成された薄膜要素30によって制御される。他方の電極(例えば、16)はパターン化されず、発光素子50、52、54及び56の全てに対して電気的に共通である。反射電極12と半透明電極16間にパターン化されない白色発光層14が形成され、且つ、半透明電極16は複数の層を有することができる。反射電極12、半透明電極16及びパターン化されない白色発光層14は光学キャビティ60、62、64及び66を形成する。光学キャビティ66は更に、以下に説明するように、複数の追加のマイクロキャビティ、例えば、66Y及び66Bを有している。複数のカラーフィルタ40R、40G及び40Bが、半透明電極16のパターン化されていない白色発光層14の反対側の一面の上方に、独立して制御可能な発光素子50、52、54に対応して形成され、有色ピクセルを形成する。この複数のカラーフィルタは少なくとも異なる2つの色を有している。少なくとも1個の、独立して制御可能な発光素子56は少なくとも2個の共通に制御可能な部分56Y、56Bを有しており、これらは共に実質的に白色光を発光して白色のサブピクセルを形成する。白色サブピクセルの1個又はそれ以上の共通に制御される部分56Y、56Bは複数の光学マイクロキャビティ66Y、66Bを有しており、それぞれのマイクロキャビティは異なる補色波長と異なる発光角度で発光するように同調されている。本発明の更なる実施形態において、白色サブピクセル56の共通に制御可能な部分56Y、56Bの共通に制御可能な光学マイクロキャビティ66Y、66Bは、複数の角度で又は全ての視角で、補色波長の光を発光する。
【0017】
本発明において用いられているように、ピクセルは、3個又はそれ以上のサブピクセルを備える多色画素である。それぞれのサブピクセルは、異なる色の光を発光する、独立して制御可能な発光素子を含む。通常、ピクセルは赤、緑、及び青のサブピクセルを含む(RGB構造)。更に、この開示において用いられているように、それぞれのピクセル内に白色サブピクセルが含まれ(RGBW構造)、少なくとも1個の独立に制御可能な発光素子サブピクセルに対応している。RGBW構造において白色サブピクセルが使用される場合、その白色サブピクセルが赤、緑或いは青の何れよりも大きな輝度効率を有すると(白色サブピクセル上にカラーフィルタが無いことによって、普通はこの状態が正しい)、低から中程度の色飽和(即ち、かなりのグレイ成分を有する)を有する画像に対して、輝度が増加し又は出力利用性は減少する。発光素子50、52、54、56はサブピクセルに対応する。
【0018】
本発明は従って、例えばディスプレイのような情報表示装置において個々のピクセルを形成するために、RGBW(赤、緑、青及び白)サブピクセル構造を使用する。共通のパターン化されていない白色発光体14を使用する。有色光は、それぞれの色に対して別個に同調されたマイクロキャビティとカラーフィルタ40R、40G、40B(有色サブピクセルに対して)との組合せによって形成される。発光素子50、52、54及び56との間で周囲光を吸収するために、ブラックマトリックス40Kを用いることができる。個別に(独立して)制御可能な発光素子を電気的に分離するために、平坦化層と絶縁層32、34を設けることができる。光学マイクロキャビティ66Y、66Bは補色を形成するので、共通に制御可能な部分56Y、56Bに対してカラーフィルタを必要としない場合もある。しかしながら、本発明の他の実施形態において及び以下に記載するように、1個又はそれ以上の別個のカラーフィルタ40WY、40WBを、白色サブピクセル56の共通に制御可能な部分56Y、56Bと共に、或いは別個に使用することができる。
【0019】
本発明の一実施形態では、共通の白色発光体は、有色サブピクセルの少なくとも1個より、更に効率的である。更に、光学マイクロキャビティの補色対の1個又は両方は、有色サブピクセルの少なくとも1個よりも更に効率的な1個又は両方の発光素子を有していても良い。この発光は、有色サブピクセルがカラーフィルタを含まない場合であっても、有色サブピクセルに比べて更に効率的である。共通白色発光体の効率は、放射効率即ち発光効率に関して規定される。
【0020】
図1の一部分のより詳細な図面である図2を参照すると、基板(図示せず)上に反射電極12が光学キャビティに対するスペーサ26と共に形成される。光学キャビティ60、62、64、66Y、66Bのそれぞれは、例えば、赤、緑、青、黄色及び青それぞれの光学マイクロキャビティを形成するために、対応するスペーサ26R、26G、26B、26WY、26WBと同調される。
【0021】
図1に示す様に、本発明は、反射電極12と発光層14との間で異なる厚さを有するスペーサ層26R、26G、26B及び26Wを用いることができる。異なる厚さは、異なる光学キャビティ60、62、64の光学的応答に同調させるように選択される。本発明の別の実施形態では、図3に示す様に、光学キャビティは、反射層11と透明導電層15との間の透明スペーサ層13R、13G、13B、13WY、13WBを用いて同調させることができる。この反射層11と透明導電層15とは反射電極12を構成する。他の実施形態(図示せず)では、スペーサ層を別の位置、例えば、発光層14と半透明電極16との間に配置することができる。これらの例示的な実施形態の全てにおいて、反射層と導電層とが同じ層か、隣接する層か、或いはスペーサ層によって分離されているか否かに拘わらず、この反射層と導電層は共に反射電極を構成する。
【0022】
この開示において、光の補色波長は、一緒に観察した場合、プランクの軌跡上又はその近くの光のような、実質的に白色に見える光を形成する。例えば、青と黄色は補色対を形成し、同様にシアンと赤およびマジェンタと緑も補色対を形成する。赤、緑及び青は、補色三重項を形成する。したがって、サブピクセル56の共通に制御可能な部分56Y、56Bの共通に制御可能な光学マイクロキャビティ66Y、66Bは、一緒に観察した場合、白色光を発光する。本発明の種々の例示的な実施形態によれば、このサブピクセルはディスプレイ中にピクセルを形成することができる。この場合、このサブピクセルは設計された観察距離において眼によって個々に識別されることはなく、また、白色サブピクセル56の共通に制御可能な部分56Y、56Bでもない。したがって、白色サブピクセル56から発光した光は、それが実際は補色を組み合わせたものであっても、普通の人間の眼によって白色として観察される。図面では簡潔さのために、青及び黄色の発光光学マイクロキャビティ66Y、66Bを示しているが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0023】
動作時において、例えば薄膜トランジスタ30を介して供給される電流は、電極12と16を介して発光層14を通過し、光を放射させる。放射された光のある部分は、デバイスから直接出射し、或いはカラーフィルタを通してデバイスから出射する。他の光は反射電極12によって反射されてデバイスを出射する。法線に対して高い角度で放射された他の光は、全内部反射によってトラップされる。光学キャビティ構造は、放射された光の放出角を減少するように作用し、それによってトラップされる光の量を減少させ、且つ、より多くの所望の光を進行方向に集中させる。白色ピクセル56の共通に制御可能な部分56Y及び56Bは、同時に同じ電気制御装置(例えば、トランジスタ30)によって駆動される。その結果、これらは別々に励起されず、それ故、異なる光学成分を有するにも関わらず1個のサブピクセルを表すようになる。本発明は、アクティブマトリックス及びパッシブマトリックス制御回路の両方を用いることができる。
【0024】
特に、本発明は、法線からの種々の角度において白色として観察される、実質的な白色光を形成するための手段を提供する。各マイクロキャビティ66Y、66Bからの光出力は、光が放射される角度が基板に対する法線(90度)から増加するに従って、周波数を増加(波長を減少)させる。半透明電極の反射率に従って強度が変化するように、マイクロキャビティを形成できることが、従来技術の範囲内で理解される。強いマイクロキャビティを有するデバイスは飽和(非白色)光を放出するであろう。しかしながら、弱いマイクロキャビティを有するデバイスは、これをパターン化されていない白色発光素子を用いて形成した場合、比較的白色の光を形成することができる。従来技術によれば、弱いマイクロキャビティ内に配置した場合、白色発光体層は白色光を形成するが、しかしながら、このような単一要素白色発光体は、反射電極12の法線に対して測定した場合の0度より大きな角度で観察したとき、短波長側にシフトする光を放出する傾向がある。白色発光体は本質的に広帯域であり、法線に対してより高い角度において、周波数の広い範囲において一般的なシフトが見られる。更に、人間の眼のシステムは、緑に対して最も感度が高く、したがってこのようなデバイスは、反射電極に対する法線から0度よりも大きな角度で観察する場合、見かけは通常、緑又はシアンとなる。
【0025】
しかしながら、本発明の一実施形態では、2個又はそれ以上の異なる光学マクロキャビティから白色発光体を形成するために、より強いマイクロキャビティを用いることができる。この、2個又はそれ以上の異なる光学マイクロキャビティは、それぞれが著しい色飽和を示す光を発光し、且つ、白色発光体単独よりも狭いバンド幅を有する。白色サブピクセル56の異なる光学マイクロキャビティは、出力周波数におけるシフトを相互に補償する。このシフトは、個々のマイクロキャビティのそれぞれにおいて、それらを0度よりも大きな角度で見た場合に発生する。より正確には、白色サブピクセル56の共通に制御可能な部分56Y、56Bのそれぞれから発光した光の波長又は効率は、異なる視角において変化するが、しかし、共通に制御可能な部分56Y、56Bからの結合された発光の白色点が、共通に制御される部分56Y、56Bの個々の色変化に比べて比較的小さい変化を経験するような相補的な方法において変化する。
【0026】
図4を参照すると、CIE1931x、y色度図が、単色光源の位置を示し、且つ、赤と青の光の境界206を結合するスペクトル軌跡205によって示されている。スペクトル軌跡205と紫の境界206とによって囲まれた領域は、全ての視認できる色を含んでいる。シアン/青の発光光学マイクロキャビティ(例えば、光学マイクロキャビティ66Bから)の発光210が、x、y座標0.160、0.253の法線において始まり、x、y座標0.186、0.116の60度で終わる、基板法線に対する増加する複数の角度で示されている。特に、ここで留意すべきは、光学マイクロキャビティの視角が増加するに伴って、光の知覚色は、高い周波数と短い波長を有する青になることである。同様に、黄色/緑発光光学マイクロキャビティ(例えば、光学マイクロキャビティ66Yから)のCIE座標215が、複数の角度で示されている。この場合も同様に、光学マイクロキャビティの視角が増加すると、光の知覚色は、x、y座標が0.469、0.389において始まり、x、y座標が0.233、0.598で終わる、高い周波数と短い波長を有する緑となる。共通に制御可能な部分のそれぞれから発光する光は色を有しているが、これらの色は補色であるため、結合された光は白色に見える。この白色は、CIE座標220として示すように、視角0度で見た場合、CIE1931色度座標0.267、0.300を有し、且つ、角度60度で見た場合0.1987、0.246を有する。視角が変化すると、青及び黄色の発光体の両方がその色を著しく変化させる。しかしながら、結合された色は比較的一定で且つ実質的に白色に留まる。点225は、基板の法線角において白色点を示し、点230は、基板法線に対して角度60度の白色点を示している。これらの曲線は、モデル化された異なる角度で色変化を有する、出願人によって製造された実際の白色光OLEDデバイスから取ったものである。
【0027】
このグラフから分かるように、白の色度座標はy次元において殆ど変化せず、反対に幾分大きな変化がx次元において見られる。しかしながら、その全体の変化は、青又は黄色の発光体の変化よりも小さく、その色は実質的に白に留まる。図5を参照すると、コンスタントD65白色点200のグラフが、補色の黄色と青の異なる発光周波数で示されている。このグラフから理解されるように、白色点を維持するためには、黄色の波長における大きな変化が青の波長における小さな変化を相殺することを必要とする。更に、出願人によって実施された実験では、観察者は、白色又は中間色における青方向への色変化に対して、黄色方向よりもより寛容であることを示している。図4に示す発光体は、これらの効果を利用することによって、青方向へのある程度の偏向を許しながら、青−黄色貢献のバランスを取って黄色へのシフトを最小としている。この変化は、共通に制御された部分56Y、56Bの1個の上に形成されたカラーフィルタを用いて、物理的に制御することができる。これらの部分56Y、56Bは、基板の法線角において発光する光を選択的に透過し、法線以外の角度で発光する光を選択的に吸収する。例えば、フィルタ(図1の40WY)を、黄色発光光学マイクロキャビティ66Y上に用いることができる。このカラーフィルタは、例えば、570nm、560nm、又は550nmよりも小さい波長を有する、緑がかった光を吸収する。このことにより、白色点が短い波長の方へ移動することを制限する効果、又は、同じように、青色発光体の相対的インパクトを増加させる効果が発生する。他の実施形態において且つ出願人によってモデル化されたように、500nm、490nm、480nmよりも小さい波長を有する、青みがかった光を吸収するフィルタ(例えば、図1の40WB)を用いることもできる。
【0028】
有色サブピクセル50、52、54に対して且つ白色サブピクセル56の光学マイクロキャビティの両方に対して、光学キャビティサイズの豊富な選択の幅と共に、種々の白色発光材料を本発明に合わせて使用することができる。本発明の一実施形態において、白色サブピクセル56の共通に制御される部分56Y、56Bの1個は、基板の法線角において実質的に青又はシアンの光を放射することができ、且つ共通に制御される部分のもう一方は、基板の法線角において実質的に黄色、オレンジ又は赤の光を発光することができる。サブピクセル56の共通に制御された部分の1個は、基板の法線角において550nmより大きなピーク波長発光を有する光を発光することができ、白色サブピクセルの共通に制御される部分の他方は、基板の法線角において550nmより小さなピーク波長発光を有する光を発光することができる。他の実施形態では、白色サブピクセルの光学マイクロキャビティは、赤、緑及び青の光を、又は、黄色及び青の光を、或いは、赤及びシアンの光を、又は、オレンジ及びシアンの光、又は、マジェンタ及び緑の光を発光するように同調されている。特に、白色サブピクセルの共通に制御された部分の1個は、法線角度で550nmよりも大きなピーク波長を有する光を発光するように同調されており、白色サブピクセルの共通に制御される部分上に形成されたカラーフィルタを含んでおり、このカラーフィルタは550nmよりも小さい波長を有する光のかなりの部分を吸収する。
【0029】
本発明において、種々の白色発光体を用いることができ、更に、これらの白色発光体から白色発光素子を形成するために、種々のマイクロキャビティを形成することができる。例えば、図6Aは、出願人によって製造され且つ本発明に対して有用な、白色発光体のスペクトル250のグラフである。図6Bを参照すると、スペクトル252は、白色サブピクセルの黄色の共通に制御された部分として有用な1個のマイクロキャビティからの光出力である。シフトしたスペクトル255によって示されるように、視角が大きくなると、発光周波数も大きくなる。共通に制御される部分の1個(例えば、56Y)上に形成されたハイパススペクトル260を有するカラーフィルタを使用することによって、光は、基板の法線角においてカラーフィルタを通って選択的に透過することができ、更に、このカラーフィルタによって、法線以外の角度において選択的に吸収される。そのため、法線角での発光量を減少させること無く、視角によるカラーシフトを減少させることができる。図6Cを参照すると、カラーフィルタ無しで黄色発光に同調されているマイクロキャビティにおける白色発光体の角度264でのカラーシフトは、カラーフィルタによって黄色の発光に同調されたマイクロキャビティにおける白色エミッタの角度262でのカラーシフトよりも長い。これらのカラーフィルタ(有色サブピクセルのカラーフィルタを含む)は、しかしながら、法線から離れた角度においてデバイスの輝度を減少させる。しかしながら留意すべきことは、各部分の相対輝度効率と同様に白色サブピクセルの共通に制御される部分のそれぞれの色度座標は視角の関数として変化する、と言うことである。このようなデバイスの幾つかでは、黄色のフィルタを用いて視角の関数として黄色の共通に制御される部分の輝度を減少させることが、比較的一定の輝度を保つためには有用である。何故なら、人間の眼の輝度効率は、黄色のピークが550nmの方向に移動するに伴って増加するからである。
【0030】
白色サブピクセル56のそれぞれの共通に制御される部分56Y、56Bに対して異なるサイズの領域を使用することによって、本発明のデバイスからの発光を更に制御することが可能である。図7に示す様に、境界線270及び275は関心のある最小及び最大角度で青及び黄色の発光体のCIEx及びy座標を接続し、点290において共通の接点を有する領域280と285を形成する。共通に制御される部分56Y、56Bの領域の相対的なサイズを変更することによって、白色点の相対位置は交点290の近くに或いは遠くへ移動する。従って、白色点が交点290に近づくと、白色点における変化の量は減少する。同様に、白色点が交点290から離れると、白色点における変化の量は増加する。典型的なオレンジの発光ダイオードシステム(OLEDs)では黄色発光体は青色発光体よりも効率的であるため、白色点が更に変化しようとも、白色点の変化が容認できる限りにおいて発光体を黄色発光点に向かって移動させることが有利である。図8を参照すると、白色発光体(図7のものとは異なる白色発光体)に対する最小の視角から最大の視角までの白色点変化を表すCIEx及びyのグラフにおいて、3個の曲線が示されている。共通制御部分の黄色56Y対青色56Bの領域の相対サイズは、曲線296に対して等しく、曲線295に対して1.3であり、曲線297に対して0.7である。D65白色点は点298として示されている。曲線295における相対的発光およびカラーシフトは、曲線296又は297に対するものよりも比較的大きい。
【0031】
本発明の光学キャビティからの発光は、発光材料のスペクトル、カラーフィルタピーク透過率及び光学マイクロキャビティ応答を一致させることによって増加させることができる。即ち、有色サブピクセルの光学キャビティは、キャビティの光路長を変更することによって、対応するカラーフィルタのピーク透過波長にほぼ対応するピーク波長に同調させることができる。同様に、白色サブピクセルの光学マイクロキャビティを、白色発光層のピーク発光波長にほぼ対応する1個又はそれ以上のピーク波長に同調させることができる。同様に、白色発光層のピーク発光波長を対応するカラーフィルタのピーク透過波長に一致させることができる。
【0032】
しかしながら、システム全体の最適化は、発光層のピーク発光、ピークカラーフィルタ透過率及び光学キャビティピークの全てが一致していることが必要なわけではない。白色サブピクセル56の共通制御部分56Y、56Bの少なくとも1個が、有色サブピクセルのピーク波長とは異なるピーク波長で発光するように同調させることも、また可能である。1個又はそれ以上の光学キャビティのサイズが同じであれば(例えば、青色サブピクセルに対するキャビティ64と白色サブピクセル56の青色発光部分56B)、製造工程の多くを減らすことができる一方で、光学キャビティが異なる長さを有していれば、例えば、白色サブピクセルが青色サブピクセルのキャビティよりもよりシアン色の光を発光するように同調された部分キャビティを有していると、全体のシステムを最適化することができる。
【0033】
白色サブピクセルの通常の発光が特定の白色点、例えばD65であるように、システムを設計することもまた可能である。このような設計における所望の白色点からの視角による色変化又は平均発光の色変化は、別の設計の場合、即ち、発光が所望の白色点により近く留まっており或いは視角変化に伴う白色点の変化が小さいけれども決して所望の白色点の光を実際に発光することが無い場合よりも、大きいことがある。このような設計、即ち、平均の効率が優れていることが望ましい。平均の発光とは、応用における重要性によって重み付けし或いは重み付けしていない、全ての関心ある視角に対する白色点の平均を意味する。従って、好ましい設計では、白色サブピクセルの発光を単一の視角における所望の白色点に一致させるよりもむしろ、白色サブピクセルの平均発光と1個の角度以上における好ましいデバイスの白色点との間の相違を最小とするように、白色サブピクセルの発光を同調する方が良い。
【0034】
本発明では種々の発光材料を使用することができる。例えば、白色発光層は、小分子又は高分子有機材料のような有機材料、又は、多結晶半導体マトリックス中に形成された無機量子ドットを有している。光学キャビティを規定するために適切な透明層を形成する場合と同様に、通常のフォトリソグラフィー技術を、基板上に制御構造(例えば、バス、トランジスタ、コンデンサ、電極)を形成するために用いることができる。キャビティを規定する適切な透明材料としては、例えば、二酸化シリコン又はインジウムスズ酸化物が含まれる。有機材料はこの分野で既知の種々の手段、例えば真空蒸着、によって堆積させることができる。しかしながら、このような手段は、光学キャビティの一貫性のある製造を可能とするために、充分な精密さと正確性を提供する必要がある。特に、Kodak Vapor Injection Systemは、有用に使用することができる1%以内の均一性と正確性で有機層の堆積を提供する、線形有機真空蒸着源である。適切な半透明陰極は、例えば、銀、マグネシウム、アルミニウム又はその他の金属又は合金の、この分野で既知の蒸着又はスパッタ技術によって形成することができる。これらの半透明電極は、通常、20%以上の反射率を有し、理想的には10%以下の吸収率を有している。本発明に有用な有機及び無機材料に対する封入技術は、この技術分野において既知である。本発明は、例えば円偏光子(図1の18)のような、デバイスの周囲コントラスト比を改善するために適切な種々の素子と共に用いることができる。本発明は、一実施形態では図1に示す様に上面発光デバイスである。別の実施形態では、このデバイス(図示せず)は底面発光デバイスである。
【0035】
図10を参照すると、本発明に係るLEDデバイスの製造方法は、基板を提供するステップ400、反射電極を形成するステップ410、反射電極上にパターン化されていない白色発光層を形成するステップ420を備えている。ステップ430において、半透明電極を、パターン化しない白色発光層が反射電極とこの半透明電極間に形成されるように、反射電極上に形成することができる。反射電極と半透明電極およびパターン化しない白色発光層は光学キャビティを形成し、更に、反射電極又は半透明電極の何れかをパターン化して複数の独立に制御可能な発光サブピクセル素子を形成する。ステップ440では、半透明電極の非パターン化白色発光層の反対側の一側面上に有色サブピクセルを形成するために、独立に制御可能な発光素子に対応して複数のカラーフィルタを形成する。このカラーフィルタは少なくとも2個の異なるカラーであっても良い。独立に制御可能な発光素子の少なくとも1個は、共に実質的な白色光を発光して白色サブピクセルを形成する少なくとも2個の共通制御部分を有しており、白色サブピクセルの共通に制御可能な部分の1個又はそれ以上の光学キャビティは、複数の光学マイクロキャビティを備えており、それぞれのマイクロキャビティは1個の発光角度で或いは複数の発光角度で補色波長の異なる光を発光するように同調されている。本発明の別の実施形態では、非パターン化白色発光層は半透明電極上に形成される。
【0036】
消費者リサーチ及び白色発光体の最適化を通して、且つ、慎重に光学キャビティを選択することによって、出願人は、本発明のマイクロキャビティを使用する白色発光体での色変化が消費者に容認されることを明らかにした。このようなマイクロキャビティ構造は、半透明電極(例えば、銀の薄層によって形成される)が完全透明電極(例えば、インジウムスズ酸化物のような透明導電性酸化物を含む)よりも遥かに電気伝導性を有するので、特に上面発光構造において利点を有している。本発明では、マイクロキャビティ構造からの光出力を向上し、角度カラーシフトを減少し、更に、有機又は無機の何れかの非パターン化発光層を使用することによってコストを削減する。
【0037】
図11を参照すると、本発明は、LEDディスプレイデバイス300(図1にその詳細を示す)と、情報信号320(例えば、テキスト及びイメージの)を受信し、ディスプレイ300がこの情報信号320を表示するように駆動するための制御装置310とを有する、情報表示システムにおいて使用することができる。
【0038】
パターン化されたデバイスでは、電流に応答して異なる色の光を発光させるために異なる材料を使用することができる。反対に、非パターン化デバイスでは、有色サブピクセルによって例えば白色である単一色を発光させ、発光した光を白色発光体と組み合わせたカラーフィルタを用いて色づけすることにより、同じ材料を用いて単一光を発光させることができる。白色発光体は1個又はそれ以上の非パターン化層において材料の組合せを含んでいることが多い。この非パターン化層は、全体で白として認識される光を発光するために、それぞれが異なる色、例えば、青及び黄、又は赤及びシアンを発光する。重要な点は、しかしながら、多くの発光材料が単一の層中に含まれていても、又は、多くの層が含まれていても、その層は非パターン化されており、且つ、それらの発光の集合が、全てのピクセル中の全てのサブピクセルにおいて使用されることである。
【0039】
従来技術において、LEDデバイスでは、光は、実際に光を発光する高光学指数層、又は高光学指数電荷制御層、又は高光学指数透明電極における全内部反射によってトラップされることが知られている。法線に対して低い角度で発光する光はデバイスから出射することができるが、一方で、法線に対して比較的高い角度で発光する光は高光学指数層によってトラップされる。光学キャビティ構造を使用することによって、高い角度での光の発光を減少させることができ、その結果、より多くの光を法線に対して比較的低い角度でデバイスから発光させることができる。
【0040】
更に、光学キャビティ構造から発光する光の色が視角に対する依存性を有していることも又真実である。この角度依存性は、観察者を、特に大きな視角が価値のある応用において極度に不愉快にさせる。この角度によるカラーシフトは、白色発光体を使用する有色サブピクセルに対して特に顕著である。しかしながら、本発明で有色サブピクセルに対して使用されるカラーフィルタは、周囲光を吸収するのみでなく、光学キャビティデバイスによって見られる、光の色の角度に対する観察依存性を減少させる。
【0041】
しかしながら、本発明によって提供される有色サブピクセルにおいて角度の増加に伴って見られるカラーシフトの減少は、これらの有色サブピクセルの輝度をも減少させる。輝度におけるこのような減少は、色におけるシフトよりも顕著ではなく観察者に対して不愉快でもない。更に、有色サブピクセルが輝度を減少させる限りにおいて、視角を変化させても白色サブピクセルの輝度が一定である間は(白色点シフトは起こり得るが)、正味の影響は全体の色飽和における減少である。このような色飽和の減少は、ある種のイメージ(即ち、殆ど飽和しないカラーを有するイメージ)に対しては無視することができ、且つ、強く飽和したカラーを有するイメージに対する色変化よりも顕著ではない。従って、イメージ品質を向上させることができる。更に、殆どのイメージは比較的飽和していないため、正味の輝度効果は比較的小さい場合が多い。
【0042】
出願人は、パターン化され且つ有色の発光体と白色発光体の両方のマイクロキャビティを使用する多くのOLEDデバイスを製作し、それらの性能を、円偏光子及びカラーフィルタの性能と共に研究してきた。更に、種々の状況下での本発明の性能を理解するために、光学的モデリングツールを使用してきた。一般に、光学キャビティ及びカラーフィルタを用いる白色発光の、非パターン化OLEDデバイスは、光学キャビティとカラーフィルタを有さない白色発光、非パターン化OLEDデバイスに比べて、有色ピクセルの光出力のほぼ2倍を期待することができる。有色サブピクセルは最も光出力を増加させるが、一方で白色発光サブピクセルは、ほぼ0.6から1.2の倍数因子だけ光出力を変化させる。これは、光学キャビティ構造では、狭帯域の光よりも広帯域の光出力を増加させることがより難しいためである。しかしながら、白色発光サブピクセルは有色サブピクセルよりもより(約3倍)効率的である(白色サブピクセルではカラーフィルタを使用しないので)ために、白色サブピクセルを使用することによって、OLEDデバイスの全体の性能を向上させることができる。これは、大部分のイメージは飽和した色を殆ど持たず且つより効率的な白色発光体を過度に使用しているためである。出願人は、カラーフィルタの設計においてこのような白色サブピクセルを使用することにより、ある種のイメージ応用に対して約2倍、全体のデバイス性能を向上させることができた。
【0043】
2個のピークを有するOLED発光体(例えば図6に示すような)を使用するデバイスの明確な光学モデリング計算が、反射アルミニウム背面電極12と、薄い銀の半透明電極16によって実施された。商業的に入手可能なカラーフィルタセットによって、軸上の赤の光出力は2.8倍増加し、緑の光出力は2.0倍増加し、更に青の光出力は1.75倍増加し、且つ、色域が向上した。出願人によって開発され且つ独占占有権を有し、さらに、幾分の効率の減少を犠牲にして色域を向上させることができるカラーフィルタセットと共に、本発明の光学キャビティ構造を使用した場合、軸上の光出力を増加させる因子が更に、赤、青、及び緑のサブピクセルに対して5−15%増加する。この場合も同様に、光学キャビティによって色域が更に向上する。
【0044】
Ag反射背面電極を使用することによって、デバイスの性能は更に5−20%の向上が期待される。従って、独占占有権を有するカラーフィルタをAg反射背面電極と共に使用すると、赤の光出力は約3.5倍増加し、緑の光出力は約2.4倍増加し、更に青の光出力は約2.1倍増加する一方で、白の光出力は構造に依存して約0.7から1.6倍増加する。
【0045】
出願人は、本発明の種々の属性の性能を測定し、このデバイスの統合された性能をモデル化した。従来技術と比較した本発明の種々の実施形態の性能を、以下の表に纏める。この表において、“相対発光輝度”は、軸上で発光した光の量(更に、赤、緑、青及び白のサブピクセルに対して利得因子を等しく重み付した平均値を取ることによって推測される)を示し、“RGBカラー”は複数の有色サブピクセルに言及し、“白色”は白の正確さ(即ち、白色光がD65のような標準の白色点にどのくらい近いか)に言及し、“反射率”はデバイスから反射された周囲光の尺度であり、更に、“角度色白色”は法線角以外の角度から観察した場合の白色発光における色変化に言及する。“WRGBW”は、赤、緑、及び青の有色サブピクセル及び例えば米国特許第6、897、876号において示されているような白色発光サブピクセルを有する非パターン化白色発光LED材料に言及し、“WRGB”は、赤、緑及び青の有色サブピクセルのみを有する非パターン化白色発光LED材料に言及する。サブピクセルは全て同じサイズであり、同じように使用されると仮定し、更に、比較は、上記の最も良い評価を使用して相対輝度1.0を有する従来構造に対して行われた。44%の単一パス透過率を有し、理想的な背面反射体を有するデバイスに入射しデバイスから反射される1.6%の周辺光を許す、円偏光子が使用される。上記で参照した独占占有権を有するフィルタを、カラーフィルタとして使用する。背面マトリックスは使用しないが、もし存在すれば、反射光の品質を更に低下する。
【表1】

【0046】
上記の表から明らかなように、本発明は有用な特徴の優れた組合せを提供する。表に示す様に、円偏光子がもし用いられたならほぼ同じ量の光を吸収するけれども、円偏光子が無い場合、光出力は約1.0倍から約2.27倍に増加し、その結果反射率も増加する。本発明は重要なこととして、従来技術と次の点で異なっている:1)特に白色を含む全てのサブピクセルの形成に、狭帯域のスペクトル応答を有するマイクロキャビティを使用すること、及び、2)白色点を狭帯域マイクロキャビティ発光体から形成するのみではなく、白色点を、これらの発光体の応答のバランスを、多くの視角上で観察者に受け入れられ且つ満足される方法で慎重に取ることによって、多くの視角上で維持することである。
【0047】
出願人は、本発明の白色サブピクセルに対して発光角に基づく予想色変化をモデル化した。このモデルにおいて、白色サブピクセルに対する複数の光学マイクロキャビティは、キャビティ長において160nmまで変化する。白色サブピクセルに対する発光角に基づく色シフトは、非光学マイクロキャビティデバイスに見られるシフトまで、又はそれよりも更に減少するが、一方で光出力は増加する。
【0048】
円偏光子およびカラーフィルタの使用に関する更なる詳細は、共通の出願人による、同時出願中の書類番号94202および94208に開示されており、その全体は参照によってここに組み入れられる。
【0049】
もし希望すれば、本発明のLEDデバイスは、その特性を強化するために種々の既知の光学効果を使用することができる。これには、最大の光透過率を得るために層の厚さを最適化すること、誘電ミラー構造を設けること、ディスプレイ上にグレア又は反射防止コーティングを設けること、減光フィルタを設けること、又はディスプレイ上に色変換フィルタを設けること、が含まれる。フィルタ、偏光子、およびグレア又は反射防止コーティングは、特に、カバー又は基板上に或いはその一部上に設けることができる。
【0050】
本発明は、アクティブ又はパッシブマトリックスOLEDデバイスと共に実施することができ、更に、特に情報ディスプレイデバイスにおいて有用である。好ましい実施形態において、本発明は、1988年9月6日発行のTan等の米国特許第4、769、292号及び1991年10月29日発行のVanSlyke等の米国特許第5、061、569号に開示されているように、しかしこれに限定されるものではなく、小分子又は高分子OLEDによって形成されたフラットパネルOLEDデバイスに使用される。例えば、多結晶半導体マトリックスによって形成された量子ドットを使用する(たとえば、Kahenによる米国特許出願公開第2007/0057263号に教示されているように)無機デバイス及び有機又は無機電荷制御層を使用する無機デバイス、又はハイブリッドの有機/無機デバイスを使用することができる。このようなデバイスを形成するために、上面又は底面発光構造の何れかを有するアクティブ及びパッシブマトリックスでの両方を含む、有機又は無機の発光ディスプレイの多くの組合せ及び種々の変形を使用することができる。
【符号の説明】
【0051】
10 基板
11 反射層
12 反射電極
13、13R、13G、13B、13WY、13WB スペーサ
14 発光層
14R、14G、14B パターン化された発光層
15 透明導電層
16 半透明電極
18 円偏光子
20 カバー
26 スペーサ
26R、26G、26B、26WY、26WB スペーサ
30 薄膜回路
32 絶縁体
34 絶縁体
40 カラーフィルタ
40R、40G、40B、40WY、40WG カラーフィルタ
40K ブラックマトリックス
50、52、54、56 発光素子、サブピクセル
56Y、56B 共通制御部分
60、62、64、66、66B、66Y 光学キャビティ
80、82、84 光
200 D65白色点
205 スペクトル軌跡
206 紫境界
210 青色発光曲線のCIE座標
215 黄色発光曲線のCIE座標
220 白色点曲線
225 法線視角における白色点
230 最大視角における白色点
250 白色発光スペクトル
252 白色マイクロキャビティ発光スペクトル
255 シフトした白色マイクロキャビティ発光スペクトル
260 カラーフィルタ透過スペクトル
262 角度による色シフト
264 角度による色シフト
270 境界線
275 境界線
280 領域
285 領域
290 交点
295 発光曲線
296 発光曲線
297 発光曲線
298 D65白色点
300 デバイス
310 制御装置
320 信号
400 処理ステップ:基板の提供
410 処理ステップ:電極の形成
420 処理ステップ:パターン化しない白色発光層の形成
430 処理ステップ:半透明電極の形成
440 処理ステップ:カラーフィルタの形成

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色発光マイクロキャビティ発光ダイオードデバイスであって、
a)基板と、
b)前記基板上に形成された反射電極と半透明電極及び前記反射電極と前記半透明電極との間に形成された非パターン化白色発光層とであって、前記反射電極、半透明電極及び非パターン化白色発光層は光学キャビティを形成し、前記反射電極又は半透明電極の何れかは複数の独立に制御可能な発光サブピクセル素子を形成するためにパターン化されている、反射電極、半透明電極及び非パターン化白色発光層と、
c)有色サブピクセルを形成するために、前記半透明電極の前記非パターン化白色発光層とは反対側の一側面上で前記独立に制御可能な発光素子と対応して形成される複数のカラーフィルタであって、前記複数のカラーフィルタは少なくとも2個の異なる色を有し、更に、少なくとも1個の前記独立に制御可能な発光素子は少なくとも2個の共通に制御される部分を有しこの部分は白色サブピクセルを形成するために実質的に白色の光を共に発光する、複数のカラーフィルタと、を備え、
d)前記白色サブピクセルの1個又はそれ以上の共通に制御される部分の光学キャビティは複数の光学マイクロキャビティを備え、それぞれの光学マイクロキャビティは異なる補色波長と発光角で発光するように同調されている、白色発光マイクロキャビティ発光ダイオードデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスであって、前記白色サブピクセルの共通に制御される部分の1個は前記基板の法線角度で実質的に青色又はシアンの光を発光し、且つ、前記共通に制御される部分の他方は前記基板の法線角度で実質的に黄色、オレンジ、又は赤の光を発光する、白色発光マイクロキャビティ発光ダイオードデバイス。
【請求項3】
請求項2に記載のデバイスであって、前記白色サブピクセルの共通に制御される部分の1個は基板の法線角度で550nmよりも大きなピーク波長発光を有する光を発光し、且つ、前記白色サブピクセルの共通に制御される部分の他方は前記基板の法線角度で500nmより小さいピーク波長発光を有する光を発光する、白色発光マイクロキャビティ発光ダイオードデバイス。
【請求項4】
請求項1に記載のデバイスであって、更に、前記共通に制御される部分の1個の上に形成されるカラーフィルタを備え、このカラーフィルタは前記基板の法線角において発光した光を選択的に透過し、法線以外の角度において発光した光を選択的に吸収する、白色発光マイクロキャビティ発光ダイオードデバイス。
【請求項5】
請求項1に記載のデバイスであって、前記白色サブピクセルの共通に制御される部分の1個は前記白色サブピクセルの共通に制御される部分の他方とは異なるサイズの面積を有する、白色発光マイクロキャビティ発光ダイオードデバイス。
【請求項6】
請求項1に記載のデバイスであって、前記白色サブピクセルの共通に制御される部分の少なくとも1個は前記有色サブピクセルのピーク波長とは異なるピーク波長で発光するように同調されている、白色発光マイクロキャビティ発光ダイオードデバイス。
【請求項7】
請求項1に記載のデバイスであって、前記白色サブピクセルの発光は好ましいデバイス白色点で発光するように同調されている、白色発光マイクロキャビティ発光ダイオードデバイス。
【請求項8】
請求項1に記載のデバイスであって、前記白色サブピクセルの発光は前記デバイスの好ましい白色点以外の白色点で発光するように同調されている、白色発光マイクロキャビティ発光ダイオードデバイス。
【請求項9】
請求項1に記載のデバイスであって、前記白色サブピクセルの発光は前記白色サブピクセルの平均の発光と1個以上の角度における好ましいデバイス白色点との間の差を最小とするように同調されている、白色発光マイクロキャビティ発光ダイオードデバイス。
【請求項10】
請求項1に記載のデバイスであって、前記白色サブピクセルの共通に制御される部分のそれぞれから発光された光の波長は異なる視角において変化し、且つ、前記共通に制御される部分からの結合された発光の白色点変化は少なくとも1個の共通に制御された部分の波長変化に基づく白点変化よりも小さい、白色発光マイクロキャビティ発光ダイオードデバイス。
【請求項11】
請求項1に記載のデバイスであって、前記有色サブピクセルの光学キャビティは対応するカラーフィルタのピーク透過波長にほぼ対応するピーク波長に同調されている、白色発光マイクロキャビティ発光ダイオードデバイス。
【請求項12】
請求項1に記載のデバイスであって、前記白色サブピクセルの光学マイクロキャビティは前記白色発光層のピーク発光波長にほぼ対応する1個又はそれ以上のピーク波長に同調されている、白色発光マイクロキャビティ発光ダイオードデバイス。
【請求項13】
請求項1に記載のデバイスであって、前記白色発光層のピーク発光波長は対応するカラーフィルタのピーク透過波長と一致している、白色発光マイクロキャビティ発光ダイオードデバイス。
【請求項14】
請求項1に記載の発光ダイオードデバイスであって、前記白色サブピクセルの光学マイクロキャビティは赤、緑及び青の光又は黄色及び青の光、又は赤及びシアンの光、又はオレンジ及びシアンの光を発光するように同調されている、発光ダイオードデバイス。
【請求項15】
請求項1に記載の発光ダイオードデバイスであって、前記白色サブピクセルの共通に制御される部分の1個は法線角において550nmよりも大きいピーク波長を有する光を発光するように同調されおり、更に、前記白色サブピクセルの共通に制御される部分の上に形成されるカラーフィルタを備え、前記カラーフィルタは550nmよりも短い波長を有する光の相当量を吸収する、発光ダイオードデバイス。
【請求項16】
請求項1に記載の発光ダイオードデバイスであって、前記白色発光層は2個又はそれ以上のピークを有するスペクトルを持った光を発光する、発光ダイオードデバイス。
【請求項17】
請求項1に記載の発光ダイオードデバイスであって、前記LEDでは情報ディスプレイデバイスである、発光ダイオードデバイス。
【請求項18】
請求項1に記載の発光ダイオードデバイスであって、前記白色発光層は有機材料又は多結晶半導体マトリックス中に形成された無機量子ドットを備えている、発光ダイオードデバイス。
【請求項19】
a)基板と、
b)前記基板上に形成された反射電極と半透明電極及び前記反射電極と前記半透明電極との間に形成された非パターン化白色発光層とであって、前記反射電極、半透明電極及び非パターン化白色発光層は光学キャビティを形成し、前記反射電極又は半透明電極の何れかは複数の独立に制御可能な発光サブピクセル素子を形成するためにパターン化されている、反射電極、半透明電極及び非パターン化白色発光層と、
c)有色サブピクセルを形成するために、前記半透明電極の前記非パターン化白色発光層とは反対側の一側面上で前記独立に制御可能な発光素子と対応して形成される複数のカラーフィルタであって、前記複数のカラーフィルタは少なくとも2個の異なる色を有し、更に、少なくとも1個の前記独立に制御可能な発光素子は少なくとも2個の共通に制御される部分を有しこの部分は白色サブピクセルを形成するために実質的に白色の光を共に発光する、複数のカラーフィルタと、を備え、
d)前記白色サブピクセルの1個又はそれ以上の共通に制御される部分の光学キャビティは複数の光学マイクロキャビティを備え、それぞれの光学マイクロキャビティは複数の発光角度において異なる補色波長で発光するように同調されている、白色発光マイクロキャビティ発光ダイオードデバイス。
【請求項20】
LEDデバイスを製造する方法であって、
a)基板を提供するステップと、
b)反射電極と半透明電極を前記基板上に形成し且つ前記反射電極と半透明電極との間に非パターン化白色発光層を形成するステップであって、前記反射電極、半透明電極及び非パターン化白色発光層は光学キャビティを形成し、前記反射電極又は半透明電極の何れかは複数の独立に制御可能な発光サブピクセル素子を形成するためにパターン化されているステップと、
c)有色サブピクセルを形成するために、前記半透明電極の前記非パターン化白色発光層とは反対側の一側面上で前記独立に制御可能な発光素子と対応して複数のカラーフィルタを形成するステップであって、前記複数のカラーフィルタは少なくとも2個の異なる色を有し、更に、少なくとも1個の前記独立に制御可能な発光素子は少なくとも2個の共通に制御される部分を有しこの部分は白色サブピクセルを形成するために実質的に白色の光を共に発光する、ステップと、を備え、
d)前記白色サブピクセルの1個又はそれ以上の共通に制御される部分の光学キャビティは複数の光学マイクロキャビティを備え、それぞれの光学マイクロキャビティは複数の発光角度において異なる補色波長で発光するように同調されている、LEDデバイスを製造するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−539653(P2010−539653A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524892(P2010−524892)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/010790
【国際公開番号】WO2009/038704
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(510059907)グローバル オーエルイーディー テクノロジー リミティド ライアビリティ カンパニー (45)
【Fターム(参考)】