説明

向上した安定性を有する成形物品

高温での保管時のより小さいTgの変化および低減した収縮の形態の向上した安定性を有するポリ[(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレート]またはポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ−ジカルボキシレート)を含む成形物品を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形物品、特に、ポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレートまたはポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ−ジカルボキシレート)を含む、高められた安定性を有する繊維に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、現在係属中の、2002年12月19日に出願された米国仮特許出願第60/434,599号の本出願である。米国国内出願は、2003年6月10日に出願され、現在係属中である。
【背景技術】
【0003】
米国特許公報(特許文献1)のシャーボノー(Charbonneau)らは、以下その慣用名「イソソルビド」で呼ぶ1,4:3,6−ジアンヒドロソルビトールなどのジアンヒドロ糖アルコールを組入れると、ポリ(1,3−プロパンジオールテレフタレート)などのテレフタレートポリエステルのガラス転移温度(T)を著しく上昇させることがあることを示している。ポリ(トリメチレンテレフタレート)としても知られているポリ(1,3−プロパンジオールテレフタレート)を、以下、3GTと略記する。3GTの比較的低いガラス転移温度(Tg)(約45−50℃)は、高温で保管されるときにポリマーのわずかな粘着性をもたらすことがある。この一例が、熱帯の国の暑い天候において倉庫内に保管された繊維のスプール上で示されることがある。Tgの上昇は、粘着性を低下させる。さらに、低いTgは、暑い条件下で保管されるときに紡糸繊維の不安定性をもたらす。そのような保管条件下の部分延伸繊維は、結晶化する傾向があり、より高密度の相を形成し、繊維収縮、デニールの変化、および保管時の他の望ましくない物理特性の変化を引起す。しかしながら、イソソルビドとテレフタル酸とのエステル化、またはジアルキルテレフタレートとのエステル交換反応は、二次ヒドロキシルの反応を伴い、エチレングリコールまたは1,3−プロピレングリコールなどの主グリコールの反応と比較して遅い。これは、イソソルビドの非効率的な組入れをもたらす傾向がある。未反応のイソソルビドがその後の重合に有害であるので、従来の縮合重合を用いると、このより低い反応性は、より低い分子量を有する最終ポリエステルをもたらすことがある。
【0004】
エーデルマン(Adelman)らの米国特許公報(特許文献2)は、以下3GITと略記するポリ(1,3−プロピレン−コ−イソソルビド)テレフタレートの調製のプロセスの改良を記載している。しかし、二塩基酸またはそのジアルキルエステルを有するイソソルビドの二次ヒドロキシル基の反応性は、1,3−プロパンジオールの主ヒドロキシル基の対応する反応性よりかなり低い。この反応性の差は、いくつかの影響があり、その1つは、固相重合工程、すなわち、ポリマーの固有粘度を、良好な紡糸特性のための約1.1dl/gに増加させる最終手順に必要な時間を長くすることである。
【0005】
低レベルの色および3GTの45−50℃のTgより高いTg、最も重要なことには、低レベルの色およびより高いTgの両方を有する、3GITなどの、ジアンヒドロ糖アルコールを組入れたポリエステルを調製することが望ましい。そのような向上した特性は、飲料ボトル、フィルムまたはシート、繊維、モノフィラメント、および光学物品(たとえば、コンパクトディスクまたはディジタル多目的ディスク)を含む、多くの市場における成形物品でのそのようなポリエステルの使用を助ける。
【0006】
中にジアンヒドロ糖アルコールが組入れられたポリエステル、特に、繊維、および部分配向ヤーン、紡糸延伸ヤーン、およびかさ高加工連続フィラメントヤーンなどのヤーン、ならびにステープルファイバーを含む成形物品の安定性を高め、フィラメント特性およびヤーン特性を劣化させることなく、高速紡糸プロセスを用いることを可能にすることが特に望ましい。これらのヤーンが、より遅い速度で準備されたヤーンに用いられる条件と同じまたは同様の条件下で、テクスチャー加工ヤーン、ファブリック、およびカーペットなどの製品を準備するのに有用であることがさらに望ましい。
【0007】
【特許文献1】米国特許第6063464号明細書
【特許文献2】米国特許出願第10/172112号明細書
【特許文献3】米国特許第6,166,170号明細書
【特許文献4】米国特許出願第10/131,910号明細書
【特許文献5】米国特許第6,063,464号明細書
【特許文献6】米国特許第6,287,688号明細書
【特許文献7】米国特許第6,333,106号明細書
【特許文献8】米国特許公報第2001/30378号明細書
【特許文献9】米国特許第5,645,782号明細書
【特許文献10】米国特許第6,109,015号明細書
【特許文献11】米国特許第6,113,825号明細書
【特許文献12】米国特許出願第09/895,906号明細書
【特許文献13】米国特許出願第09/708,209号明細書
【特許文献14】米国特許出願第09/938,760号明細書
【特許文献15】米国特許出願第10/099,373号明細書
【特許文献16】国際公開第99/19557号パンフレット
【特許文献17】米国特許出願第09/934,904号明細書
【特許文献18】米国特許出願第09/934,905号明細書
【特許文献19】国際公開第01/68962号パンフレット
【特許文献20】国際公開第01/76923号パンフレット
【特許文献21】国際公開第02/22925号パンフレット
【特許文献22】国際公開第02/22927号パンフレット
【特許文献23】米国特許第5,340,909号明細書
【特許文献24】EP 1 167 594号明細書
【特許文献25】国際公開第2001/75200号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、そのような向上した安定性を有するエステル変性ジカルボキシレートポリマーを含む成形物品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレートまたはポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ−ジカルボキシレート)を含む成形物品を含む。この物品は、繊維、ヤーン、フィルム、不織布、またはモールド成形(molded)物品である。繊維は、ステープルファイバーまたはフィラメントおよびホモポリマーまたはマルチフィラメントである。繊維は、部分配向ヤーン、紡糸延伸ヤーン、または紡糸テクスチャー加工ヤーンの形態である。
【0010】
本発明は、そのような繊維から準備されたファブリックまたはカーペットをさらに含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、高められた安定性を有する成形物品の形態のエステル変性ジカルボキシレートポリマーを含む。特に、このポリマーは、中にジアンヒドロ糖アルコールのエステルが組入れられたポリエステルである。好ましいのは、ポリ[(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)テレフタレート]またはポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ−テレフタレート)である。
【0012】
ジオールモノマーである1,4:3,6−ジアンヒドロソルビトールは、ここでイソソルビドと呼ぶ。ポリ(1,3−プロパンジオールテレフタレート)は、3GTと呼ぶ。ポリ(1,3−プロピレン−コ−1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトールテレフタレート)は、3GITと呼ぶ。ジ−1,3−プロピレングリコールは、DPGと呼ぶ。1,3−プロピレングリコールは、また、1,3−プロパンジオールまたは「3G」と呼ぶ。商標は大文字で示されている。
【0013】
構造安定性は、さまざまな成形物品、特に繊維(部分配向ヤーン)に重要である。向上した構造安定性は、ポリエステルにアンヒドロ糖アルコール部分を含めることから生じる上昇したTgによって達成される。本発明の成形物品に使用されるエステル変性ジカルボキシレートポリマーは、アンヒドロ糖またはジアンヒドロ糖アルコールをポリマーに導入するための2つの方法によって調製される。実施形態1は、アンヒドロ糖をポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖ジカルボキシレート)に直接導入する。実施形態2は、予め形成されたエステル架橋部分を使用して、アンヒドロ糖のポリエステルへの導入を容易にする。
【0014】
第1の実施形態において、このポリマーは、アルキレンジオール、好ましくは1,3−プロパンジオール;糖アルコール無水物または二無水物(sugar alcohol anhydride or dianhydride)、好ましくはイソソルビド;ジカルボン酸、好ましくはテレフタル酸またはそのアルキルエステル;ならびに任意に他のジオールおよび二酸またはジエステルを含むモノマーから調製される。好ましい3GITポリマーは、3GITを基準にして、少なくとも約3、好ましくは少なくとも約4モル%のイソソルビド単位を含有する。それは、3GITを基準にして、約20モル%まで、より好ましくは約15モル%まで、さらに好ましくは約12モル%まで、最も好ましくは約10モル%までのイソソルビド単位を含有する。
【0015】
3GITポリマーは、テレフタル酸またはそのアルキルエステル、1,3−プロパンジオール、およびイソソルビドから調製される。反応混合物は、小量の他の反応物を含有することができる。二酸またはジエステルは、総3GITを基準にして、約15モル%まで、好ましくは10モル%以下、最も好ましくは2モル%以下の量で使用することができる。例としては、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、およびそれらの誘導体、たとえばこれらのジカルボン酸のジメチルエステル、ジエチルエステル、またはジプロピルエステルなどが挙げられる。小量の三官能性酸、たとえば1,3,5−ベンゼントリカルボン酸も使用してもよい。
【0016】
同様に、15モル%まで、好ましくは10モル%以下、最も好ましくは2%以下の、他の3〜12炭素原子脂肪族ジオールを、1,3−プロパンジオールの代わりに使用してもよい。例としては、経験式HO−(C2n)−OH(nは2−12の整数)を有するジオール、たとえば、エタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、および1,10−デカンジオールが挙げられる。2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール;シスまたはトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールならびにシスおよびトランス異性体の混合物;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール;トリエチレングリコール;2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン;1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン;9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの分枝ジオールも挙げられる。好ましいジオール部分は、エチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、およびシクロヘキサンジメタノールから得られる。2を超える官能価を有する小量のアルコール、たとえばトリメチロールプロパンおよびペンタエリトリトールも使用してもよい。
【0017】
さらに、15モル当量%まで、好ましくは10モル当量%以下、最も好ましくは2モル当量%以下の、他のアンヒドロ糖アルコールを、イソソルビドを基準にして使用してもよい。他のアンヒドロ糖アルコールの例としては、1,4:3,6−ジアンヒドロマンニトール;1,4:3,6−ジアンヒドロイジトール;および1,4−アンヒドロエリトリトールが挙げられる。
【0018】
触媒が重縮合に必要である。それは、いつでも加えられる。使用される重縮合触媒としては、酢酸塩などの、Li、Ca、Mg、Zr,Mn、Zn、Pb、Sb、Sn、およびTiの塩、ならびに、グリコール付加物を含む、酸化物、ならびにTiアルコキシドおよびキレートが挙げられる。好ましい触媒は、Sb(III)塩;Ti(IV)塩;Co(II)、Zn(II)、またはSb(II)の酢酸塩;Co(II)またはSb(Ill)のアルカノエート塩;Sb(II)、Sb(III)、またはGe(IV)の酸化物;Sb(ll)、Ge(IV)、またはSb(III)のグリコール可溶化酸化物;オルトチタネートエステル(好ましくは、テトラブチルチタネートまたはテトライソプロピルチタネートなどのTi(OR)、ここで、Rは、2〜12の炭素原子を有するアルキル基である);溶媒ベースのキレート化有機チタネート(たとえば、タイザー(TYZOR)AAまたはTE触媒(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,DE)の本願特許出願人));水ベースのキレート化有機チタネート(たとえば、タイザーLA触媒(デラウェア州ウィルミントンの本願特許出願人)、または、参照により本明細書に援用する米国特許公報(特許文献3)のプッツィグ(Putzig)によって記載されたような触媒);オルトジルコネートエステル(好ましくは、Zr(OR)は、テトラ−n−プロピルジルコネートまたはテトラ−n−ブチルジルコネート(本願特許出願人)などの、2〜12の炭素原子を有するアルキル基である);溶媒ベースのキレート化有機ジルコネート;および水ベースのキレート化有機ジルコネート;ならびにそれらの組合せである。Tiの酸化物が好ましい。有用な触媒としては、参照により本明細書に援用する、2002年4月25日に出願された同時係属中の米国特許公報(特許文献4)に記載されたものが挙げられる。最も好ましいのは、溶媒ベースのキレート化有機チタネートおよび水ベースのキレート化有機チタネートである。
【0019】
重縮合触媒の好ましい量は、一般に約10〜300ppm、またはより具体的には、触媒とテレフタル酸とのモル比が、約1:1,000から約1:7,300、好ましくは少なくとも約1:2,200および好ましくは約1:4,400までである。
【0020】
触媒を、エステル化またはエステル交換反応を向上させるために使用することもでき、重縮合触媒がエステル交換反応に特に有用である。上述された重縮合触媒は、また、エステル交換反応を触媒するために使用することができ、かつ、直接エステル化の間存在することができる。スズ触媒および亜鉛触媒などの、エステル化反応を触媒するのに有用であると当該技術において知られている触媒も使用することができる。触媒を、混合物に、および/またはプロセスの任意の適切な段階で加えることができる。
【0021】
ジオール(好ましくは1,3−プロパンジオールおよびイソソルビド)とジカルボン酸(好ましくはテレフタル酸)またはそのアルキルエステルとのモル比は、約1.1:1から約1.6:1、好ましくは少なくとも約1.2:1および好ましくは約1.4:1までである。ジオール、好ましくはl,3−プロパンジオールと、ジアンヒドロ糖アルコール、好ましくはイソソルビドとのモル比は、約2:1から約10:1、好ましくは少なくとも約4:1および好ましくは約8:1までである。他のジオール、アンヒドロ糖アルコール、二酸またはジエステルを使用する場合、それらは、同じモル比をもたらすために、同じモル数のジオール(1,3−プロパンジオールおよびイソソルビド)またはテレフタル酸もしくはそのアルキルエステルに取って代わるべきである。
【0022】
着色剤、好ましくは染料および/または顔料を使用して、ポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレートの色を向上させることができる。色は、通常、サンプルの明るさまたは暗さ(「L」)、赤色−緑色スケールに関する色値(「a」)、および黄色−青色スケールに関する色値(「b」)に相当するハンター(Hunter)数で表現され、これらは、以下で説明されるように測定される。「L」が少なくとも70のポリマーを生成することが通常望ましい。同様に、低色ポリマーの場合、「a」および「b」は、好ましくは約2.0未満〜約−2.0である。色補正添加剤の使用によって、3GITについてこれらの目標を満たすことができることがわかっている。任意の適切な着色剤を単独でまたは組合せて使用することができる。低色の場合、モノマー出発材料中に存在する色形成不純物をなくすか、または少なくとも最小にすることも重要である。好ましくは、1,3−プロパンジオールおよびイソソルビドのUV吸光度は、220nmで0.20未満、より好ましくは0.10未満である。
【0023】
ポリマーは、赤外線吸収剤、着色剤、染料、顔料,つや消し剤、難燃剤、およびUV安定剤からなる群から選択される添加剤をさらに含む。これらの添加剤は、ポリマーを成形物品または他の製品に製造するときを含む、いつでも加えることができる。1つの好ましい代替例では、赤外線吸収剤、着色剤、染料、顔料、つや消し剤、難燃剤、および/またはUV安定剤を、縮合反応から得られた水の少なくとも80%を除去した後、プロセスに加える。赤外線吸収剤は、好ましくは黒鉛またはカーボンブラックである。
【0024】
ポリマーを製造する重合プロセスは、(1)エステル化またはエステル交換反応と、(2)真空重縮合とを含む。このプロセスは、バッチ、連続、または半連続ベースで行うことができる。エステル化またはエステル交換反応は、典型的には、約180〜約245℃の範囲内の温度、不活性雰囲気下、および周囲圧力で行う。除去された水またはアルカノールを、分留塔によって反応混合物から蒸留し、分留塔は、ジオールおよびジアンヒドロ糖アルコールを反応に戻す。水またはアルカノールの大部分(少なくとも約80%)が蒸留すると、圧力を低下させて、水およびアルカノールの除去を完了し、かつ余分なジオールを蒸留除去する。重縮合という用語は、ジオール、ジアンヒドロ糖アルコール、および水を除去しながら、オリゴマーを縮合してポリマーを形成するプロセスを説明するために使用される。重縮合触媒が、この段階で、赤外線吸収剤、着色剤、染料、顔料、つや消し剤、難燃剤、UV安定剤、および他の熱安定添加剤などの、この段階で任意に加えられる任意の他の所望の添加剤とともに、必要である。反応混合物を、所望の固有粘度(IV)に達するまで、典型的には約1〜約6時間、撹拌下で加熱する間、真空下で保持する。IVが増加するにつれて、溶融粘度も増加する。高温での時間を最小にすることも、色発生を最小にするのに役立つ。典型的には、いったんIVが、少なくとも約0.5dl/g、より好ましくは少なくとも約0.6dl/gの値に達すると、重縮合を完了する。
【0025】
参照により本明細書に援用する米国特許公報(特許文献5)のシャーボノー(Charbonneau)によって記載されているように、重縮合の間に製造されるポリマーのIVを上昇させるために、固体重合を用いることができる。遊離酸またはエステルプロセスからのポリマーを、重縮合段階の終わりに反応器から取出し、いくつかの従来のプロセスのいずれかで、ストランド、ペレット、またはフレークとして単離する。十分な結晶性でない場合、単離されたポリマー、好ましくは3GITを、約80℃〜約120℃の範囲内の温度に加熱することによって、結晶化することができる。結晶化されたポリマーを、真空下または不活性ガス流中で、約190℃(典型的には170℃〜195℃)であるが結晶化されたポリマーの溶融温度より低い高温で加熱して、固体重合生成物を生じさせる。固体重合において、真空下での加熱を続けて、多くの最終用途のために、IVを約0.8から約1.1dl/gに上昇させる。
【0026】
第2の実施形態において、最初に、ジアンヒドロ糖アルコールを酸またはジアルキルエステルと接触させて、エステル(以下、架橋部分と示す)を生じさせ、その後、前記架橋部分をポリアルキレンジカルボキシレートオリゴマーと重縮合することによって、ポリ[(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)]ジカルボキシレートポリマーを調製する。架橋部分は、式1の構造を有し、
X−I−(A−I)−A−X 式1
式中、
Aは、アンヒドロ糖アルコールまたはジアンヒドロ糖アルコールからのエステル残基であり、
Iは、二酸またはそのジアルキルエステルからのエステル残基であり、
Xは、A残留物に結合された場合、Hであり、二塩基酸から得られたI残留物に結合された場合、OHであり、二塩基酸のジアルキルエステルから得られたI残留物に結合された場合、ORであり、
Rは、C1−C4直鎖または分枝鎖アルキル基であり、
aおよびbは、独立して0または1であり、
nは、1〜10である。
【0027】
アルコールからのエステル残基は、ヒドロキシル基の水素が除去されたアルコールである。二酸からのエステル残基は、ヒドロキシル基が除去された二酸である。
【0028】
a=0、b=0、かつnが1〜10である架橋モノマーの一例が、下記式IIの構造を有し、イソソルビドをイソフタル酸またはジアルキルイソフタレートと反応させることによって調製される。
【0029】
【化1】

【0030】
式IIの架橋部分は、典型的には、nの値が1〜約10である上記エステルと、n=1が優勢であるエステルとの混合物である。
【0031】
第2の実施形態の手順は、第1の実施形態で説明されたような、テレフタル酸またはジメチルテレフタレートとのイソソルビドの直接エステル化またはエステル交換反応の遅い反応速度によって生じる問題を回避する。これは、予め形成された架橋部分を調製することによって、ジアンヒドロ糖アルコールをポリエステルに組入れることを著しく向上させる。架橋部分は、糖アルコール無水物または二無水物、好ましくはイソソルビドとの、二酸のエステル化、または二酸のエステルのエステル交換反応によって調製する。
【0032】
次に、架橋部分を、不活性ガス雰囲気下でポリ(アルキレンエステル)オリゴマーと混合し、溶融混合物を、210〜280℃、好ましくは240〜260℃で、および約0.4mmHg(0.05kPa)未満の圧力で、固有粘度(IV)が少なくとも約0.8dl/gに達するまで、典型的には1〜2時間、加熱することによって、重縮合する。上記第1の実施形態の場合のように、触媒および添加剤を加えてもよい。
【0033】
未反応のジアンヒドロ糖アルコールを、真空加熱の間に除去し、重縮合工程のために最小にするべきである。溶融サンプルに対して行われる重縮合工程の間、固有粘度および分子量は、最大平衡レベルに増加する。最後に、実施形態1について説明されたような窒素下での固相重合によって、実施形態2のポリマーの固有粘度を約1.2dl/g以上に上昇させる。
【0034】
架橋部分中の二酸基としては、ナフタレート、テレフタレート、イソフタレート、およびベンゾエートから得られたものが挙げられるが、これらに限定されない。二酸基の具体的な例としては、イソフタル酸、フタル酸、2,5−フランジカルボン酸、2,5−チオフェンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、3,4'−および4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、3,4'−および4,4'−ジフェニルスルフィドジカルボン酸、3,4'−および4,4'−ジフェニルスルホンジカルボン酸、3,4'−および4,4'−ベンゾフェノンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシル)ジカルボン酸、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)エタン、4,4'−メチレン−ビス(安息香)酸、トランス−4,4'−スチルベンジカルボン酸、フマル酸、ダイマー酸、レソルシノール二酢酸、およびスルホイソフタル酸、ならびに4,4'−二安息香酸(bibenzoic acid)が挙げられる。二酸は、テレフタル酸もしくはジメチルテレフタレート、またはテレフタロイル部分を含有する他の化合物から得なくてもよい。小量の多官能性酸または無水物、たとえば、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、ピロメリト酸、およびピロメリト酸二無水物(pyromellitic dianhydride)も、使用してもよい。さらに、「芳香族」および「脂環式」とは、置換された芳香族または脂環式化合物、たとえば、脂肪族基で置換された芳香族化合物を含むことを意味する。好ましい二酸部分はイソフタル酸である。
【0035】
架橋部分中のアンヒドロまたはジアンヒドロ糖アルコール基としては、イソソルビド、1,4:3,6−ジアンヒドロマンニトール;1,4:3,6−ジアンヒドロイジトール;および1,4−アンヒドロエリトリトールが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいジアンヒドロ糖アルコール基はイソソルビドである。
【0036】
架橋モノマーは、触媒の存在下で、二酸およびジアンヒドロ糖アルコールを加熱することによって調製する。イソフタル酸およびイソソルビドについてここで説明される手順は、不活性ガス雰囲気下で、n−ブチルスズ酸(butylstannoic acid)などの適切な触媒の形態のスズ約90−140マイクログラム/gの存在下で、0〜100モル%過剰のイソソルビド、好ましくは20〜40モル%過剰のイソソルビドを、イソフタル酸とともに加熱することを伴う。温度は、約210〜290℃、好ましくは240〜260℃である。水が発生される。約30分後、透明な溶液が得られ、エステル化反応の終わりを示す、さらに水が発生しなくなるまで、典型的には約1〜2時間、加熱を続ける。
【0037】
ジアンヒドロ糖アルコール:ジアルキルエステルのモル比は、好ましくは約1.4:1である。撹拌混合物を窒素パージ下で約250℃に加熱すると、アルコール(ジメチルイソフタレートを使用する特定の場合はメタノール)が発生し始める。エステル交換反応の完了を示す、それ以上アルコールが発生しなくなるまで(典型的にはさらに約2時間)、250℃での加熱および撹拌を続ける。
【0038】
二酸方法およびジアルキルエステル方法の両方において、必要であれば、真空下で加熱することによって、未反応のジアンヒドロ糖アルコールをすぐに除去することができるが、典型的には、これを、好ましくはその後の重縮合の間に除去する。
【0039】
次に、上記のように形成された架橋部分を、ポリ(アルキレンエステル)プレポリマーまたはオリゴマーを、ポリ(アルキレンエステル)プレポリマーの重量を基準にして、0.5〜50%、好ましくは2〜20%、最も好ましくは4〜10%の架橋モノマーと混合することによって、重縮合する。プレポリマーは、好ましくはポリ(アルキレンテレフタレート)である。ポリ(アルキレンテレフタレート)プレポリマーは、固有粘度が約0.02〜約0.06dl/gであり、好ましくはポリ(1,3−プロピレンテレフタレート)オリゴマーである。ポリエステルプレポリマーが、NMRによる測定により1重量%未満とされるような未反応のジオールを含有することが重要であり、というのは、そのような未反応のジオールが、重縮合の間に生じるエステル交換反応プロセスを妨げるからである。未反応のジオールは、真空ストリッピングによって、またはプレポリマーを粉砕し、水でジオールを抽出し、乾燥させることによって除去することができる。プレポリマー/架橋モノマー混合物の重量を基準にして、チタン10〜200マイクログラム/gの量の、アルキルチタネートの形態の触媒を加える。不活性ガス雰囲気下で、混合物を、約210〜290℃、好ましくは240〜260℃で、および約0.4mmHg(0.05kPa)未満の圧力で、固有粘度(IV)が少なくとも0.8dl/gに達するまで、典型的には1〜2時間、溶融加熱する。真空加熱の間、未反応のジアンヒドロ糖アルコールを除去する。溶融サンプルに対して行われる重縮合工程の間、固有粘度(および分子量)は、最大平衡レベルに増加する。
【0040】
生成物のどんな黄色っぽい色合いも、上記実施形態1について説明されたように、着色剤、好ましくは染料および/または顔料を使用して補正することができる。低色生成物の場合、モノマー出発材料中に存在する色形成不純物をなくすか、または少なくとも最小にすることも重要である。好ましくは、出発材料のUV吸光度は、220nmで0.20未満、より好ましくは220nmで0.10未満である。
【0041】
ポリマーは、赤外線吸収剤、着色剤、染料、顔料,つや消し剤、難燃剤、およびUV安定剤からなる群から選択される添加剤をさらに含む。これらの添加剤は、ポリマーを成形物品または他の製品に製造するときを含む、いつでも加えることができる。
【0042】
重縮合工程後、いかなるジアンヒドロ糖アルコールも含有しない対照サンプルと比較して、結果として生じるポリマーの測定は、その組入れが、より高いガラス転移温度(T)およびより高い冷結晶化温度(Tcc)をもたらし、繊維、フィルム、表面、および工学熱可塑性構成要素におけるいくつかの最終用途について著しい値をもたらすことを示した。ガラス転移温度(T)および冷結晶化温度(Tcc)の両方が、ポリマー中のジアンヒドロ糖アルコール単位の増加とともに上昇する。
【0043】
重縮合ポリマー生成物の固有粘度、約0.8dl/gは、紡糸繊維などのいくつかの最終製品の製造のための最適な特性には低すぎる。したがって、次に、重縮合生成物を、真空オーブン内で、融点より約20℃低い温度(約190℃)で、約300mmHg(39kPa)で、遅い窒素流下で、固相重合する。具体的な温度は、重縮合生成物の融点に基く。約0.85以下の最終IVで、ポリマーは劣った繊維特性を示す。約1.2以上の最終IVが、処理および紡糸問題を生じる。
【0044】
本発明の他の実施形態において、架橋部分を、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)、およびポリ(アルキレン1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)、ならびに同様のオリゴマーを含むがこれらに限定されない、さまざまなポリエステルオリゴマーと重縮合することができる。
【0045】
本発明の架橋部分とポリ(アルキレンエステル)プレポリマーとの重縮合によって生成されたポリ[(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレート]と呼ばれる最終重縮合ポリマーは、成形物品の製造における出発材料として使用される。
【0046】
本発明の別の実施形態において、式1の構造のポリ[(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレート]は、また、少なくとも30モル%のポリ[(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレート]単位を含有するコポリマーを含む。好ましいポリマーは、少なくとも85モル%、より好ましくは少なくとも90モル%、さらに好ましくは少なくとも95または少なくとも98モル%、最も好ましくは約100モル%のポリ[(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレート]繰返し単位を含有する。
【0047】
本発明のポリ[(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレート]組成物は、3つのモノマー、すなわち、アルキレンジオール、アンヒドロ糖アルコールエステル、およびジカルボン酸を含有する。別の実施形態において、コポリマーが、各々が2つのエステル形成基を有する4つ以上の反応物を使用して製造されたコポリエステルを含んでもよい。たとえば、コポリ[(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレート]を使用することができ、コポリエステルを製造するために使用されるコモノマーは、4−12の炭素原子を有する、直鎖、環状、および分枝鎖脂肪族ジカルボン酸(たとえば、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ドデカン二酸、および1,4−シクロ−ヘキサンジカルボン酸);テレフタル酸以外の、8−12の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸(たとえばイソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸);2−8の炭素原子を有する、直鎖、環状、および分枝鎖脂肪族ジオール(1,3−プロパンジオール以外、たとえば、エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、および1,4−シクロヘキサンジオール);ならびに4−10の炭素原子を有する脂肪族および芳香族エーテルグリコール(たとえば、ヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、または、ジエチレンエーテルグリコールを含む、分子量が約460未満のポリ(エチレンエーテル)グリコール)からなる群から選択される。コモノマーは、典型的には、約0.5−約15モル%の範囲内のレベルでコポリエステル中に存在し、30モル%までの量で存在することができる。
【0048】
さらに別の実施形態において、ポリ[(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレート]を、30モルパーセントまでの他のポリマーと混合する。例としては、上述されたような他のジオールから調製されたポリエステルである。好ましいポリ[(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレートは、少なくとも85モル%、より好ましくは少なくとも90モル%、さらに好ましくは少なくとも95または少なくとも98モル%、最も好ましくは約100モル%のポリ[(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレート]ポリマーを含有する。
【0049】
エステル変性ジカルボキシレートポリマーを、従来のプロセスを使用するかまたは適合させて、繊維、ヤーン、フィルム、不織布、またはモールド成形物品を含むさまざまな成形物品に形成する。特に関心のあるのは、高温で保管されるときに向上した安定性を有する繊維およびヤーンを提供する際のポリマーの使用である。繊維は、モノフィラメントまたはマルチフィラメントである。向上した安定性は、製造操作においてより高い紡糸速度を用いることを可能にする。
【0050】
本発明の成形物品のTgは、少なくとも55、好ましくは少なくとも60、より好ましくは少なくとも70である。高いTgは、温かい温度で保管されるときの物品の安定性に寄与する。成形物品のIVは、約1.5〜約2.5である。
【0051】
「マルチフィラメント」とは、1つが連続相を形成し、残りが繊維全体にわたって分散した1つ以上の不連続相である少なくとも2つのポリマーから形成され、少なくとも2つのポリマーが同じ押出機からブレンドとして押出されたフィラメントを意味する。
【0052】
本発明は、より低い速度で準備されたヤーンに用いられる条件と同様の条件下での、後の処理操作に使用することができるフィラメントの製造を可能にする。本発明に使用されるポリマーは、少なくとも2500m/mの速度で紡糸することを含む、マルチフィラメントヤーンを準備するプロセスに有用である。
【0053】
本発明の成形物品は、部分配向ヤーンを含む。ポリ(トリメチレンテレフタレート)の部分配向ヤーンが、米国特許公報(特許文献6)および米国特許公報(特許文献7)、ならびに米国特許公報(特許文献8)に記載されており、これらのすべてを参照により本明細書に援用する。フィラメントを紡糸し、組合せ(interlacing)、巻くことを含む、部分配向ヤーンを製造する基本工程が、そこに記載されている。本発明は、それらの工程、または部分配向ポリエステルヤーンを製造するために従来用いられる他の工程を用いて実施することができるが、安定したパッケージ特性およびヤーン特性で、プロセスを実施するという利点をもたらす。
【0054】
好ましくは、紡糸前に、ポリマーを、その融点より高い温度に加熱し、スピナレットを通して、約235〜約295℃の温度で押出す。より高い温度が、少ない滞留時間で有用である。
【0055】
部分配向ヤーンは、マルチフィラメントヤーンである。ヤーン(「束」としても知られている)は、好ましくは、少なくとも約10、さらに好ましくは少なくとも約25のフィラメントを含み、典型的には、約150以上まで、好ましくは約100まで、より好ましくは約80までのフィラメントを含有することができる。34、48、68、または72のフィラメントを含有するヤーンが一般的である。ヤーンの総デニールは、典型的には少なくとも約5、好ましくは少なくとも約20、好ましくは少なくとも約50、および約1,500以上まで、好ましくは約250までである。
【0056】
フィラメントは、好ましくは少なくとも約0.5dpf、より好ましくは少なくとも約1dpf、および約10dpf以上まで、より好ましくは約7dpfまでである。典型的なフィラメントは、約3〜7dpfであり、微細なフィラメントは、約0.5〜約2.5dpfである。
【0057】
紡糸速度は、約1,800〜約8000メートル/分(「m/m」)以上まで及ぶことができ、好ましくは少なくとも約2,000m/m、より好ましくは少なくとも約2500m/mである。
【0058】
部分配向ヤーンは、通常、パッケージ上に巻かれ、織布または不織布ファブリックを製造するために使用されるか、さらに処理されて、テクスチャー加工ヤーンなどの他のタイプのヤーンにされる。それらは、また、ファブリックを準備するか、またはさらに処理する前に、金属製容器(can)に保管することができるか、または、パッケージもしくは他の保管場所を形成することなく、直接使用することができる。
【0059】
本発明の成形物品は、また、紡糸延伸ヤーンを含む。ここで使用されるエステル変性テレフタレートポリマーのためのフィラメントを紡糸し、延伸し、任意におよび好ましくはアニールし、任意に組合せ、巻くことを含む、紡糸延伸ヤーンを製造する好ましい工程は、ポリ(エチレンテレフタレート)ヤーンを準備するために用いられる工程と同様である。
【0060】
好ましくは、紡糸前に、ポリマーを、その融点より高い温度に加熱し、約235〜約295℃の温度でスピナレットを通して押出す。より高い温度が、短い滞留時間で有用である。
【0061】
これらのヤーンも、マルチフィラメントヤーンである。ヤーン(「束」としても知られている)は、好ましくは、少なくとも約10、さらに好ましくは少なくとも約25のフィラメントを含み、典型的には、約150以上まで、好ましくは約100まで、より好ましくは約80までのフィラメントを含有することができる。34、48、68、または72のフィラメントを含有するヤーンが一般的である。ヤーンの総デニールは、典型的には少なくとも約5、好ましくは少なくとも約20、好ましくは少なくとも約50、および約1,500以上まで、好ましくは約250までである。
【0062】
フィラメントは、好ましくは少なくとも約0.1dpf、より好ましくは少なくとも約0.5dpf、より好ましくは少なくとも約0.8dpf、および約10dpf以上まで、より好ましくは約5dpfまで、最も好ましくは約3dpfまでである。
【0063】
延伸比は、少なくとも1.01、好ましくは少なくとも約1.2、より好ましくは少なくとも約1.3である。延伸比は、好ましくは約5まで、より好ましくは約3まで、最も好ましくは約2.5までである。
【0064】
延伸速度は、(延伸工程の終わりのローラでの測定により)約2500m/m以上から、好ましくは約8000m/mまで及ぶことができる。紡糸延伸ヤーンは、通常、パッケージ上に巻かれ、織布または不織布ファブリックを製造するために使用されるか、またはさらに処理されて、テクスチャー加工ヤーンなどの他のタイプのヤーンにされる。
【0065】
本発明の成形物品は、また、テクスチャー加工ヤーンを含む。テクスチャー加工ヤーンは、部分配向ヤーンまたは紡糸延伸ヤーンから準備することができる。主な差は、部分配向ヤーンが通常延伸を必要とするのに対し、紡糸延伸ヤーンがすでに延伸されていることである。
【0066】
そのすべてを参照により本明細書に援用する米国特許公報(特許文献6)および米国特許公報(特許文献7)、ならびに米国特許公報(特許文献8)は、部分配向ヤーンからテクスチャー加工ヤーンを製造する基本工程を記載している。本発明は、それらの工程、または部分配向ポリエステルヤーンを製造するために従来用いられる他の工程を用いて実施することができる。基本工程は、パッケージからヤーンを巻出し、延伸し、撚り、ヒートセットし、撚りを戻し、パッケージ上に巻くことを含む。テクスチャー加工は、仮撚り(false twist)テクスチャー加工として通常知られているプロセスによって、撚り、ヒートセットし、撚りを戻すことによって、クリンプを与える。仮撚りテクスチャー加工は、過度のヤーンおよびフィラメントの破損を回避するように注意深く制御される。
【0067】
摩擦仮撚りの好ましいプロセスが、米国特許公報(特許文献6)および米国特許公報(特許文献7)、ならびに米国特許公報(特許文献8)に記載されており、部分配向ヤーンを140℃〜220℃の温度に加熱し、撚り挿入装置を使用して、撚り挿入装置とヒータの入口との間の領域において、ヤーンの撚り角度が約46°〜52°となるように、ヤーンを撚り、ワインダ上にヤーンを巻くことを含む。紡糸延伸ヤーンから準備する場合、プロセスは、延伸を非常に低いレベルに低下させる(たとえば、延伸比は1.01ほどの低さであることができる)以外は、同じである。
【0068】
これらのテクスチャー加工ヤーン(「束」としても知られている)は、それらが製造される部分配向ヤーンおよび紡糸延伸ヤーンと同じ数のフィラメントを含む。したがって、それらは、好ましくは、少なくとも約10、さらに好ましくは少なくとも約25のフィラメントを含み、典型的には、約150以上まで、好ましくは約100まで、より好ましくは約80までのフィラメントを含有することができる。ヤーンの総デニールは、典型的には少なくとも約1、より好ましくは少なくとも20、好ましくは少なくとも約50、および約1,500以上まで、好ましくは約250までである。
【0069】
フィラメントは、好ましくは少なくとも約0.1dpf、より好ましくは少なくとも約0.5dpf、より好ましくは少なくとも約0.8dpf、および約10dpf以上まで、より好ましくは約5dpfまで、最も好ましくは約3dpfまでである。
【0070】
部分配向ヤーンから準備する場合、延伸比は、少なくとも1.01、好ましくは少なくとも約1.2、より好ましくは少なくとも約1.3である。延伸比は、好ましくは約5まで、より好ましくは約3まで、最も好ましくは約2.5までである。延伸速度は、(延伸工程の終わりのローラでの測定により)約50〜約1,200m/m以上まで及ぶことができ、好ましくは少なくとも約300m/mおよび好ましくは約1,000m/mまでである。
【0071】
紡糸延伸ヤーンから準備する場合、速度は、(繊維が接触する第1のゴデットでの測定により)約50〜約1,200m/m以上まで及ぶことができ、好ましくは少なくとも約300m/mおよび好ましくは約800m/mまでである。
【0072】
テクスチャー加工ヤーンは、織布もしくは不織布ファブリックまたは他のテキスタイルを製造するために使用される。
【0073】
本発明の成形物品は、また、かさ高加工連続フィラメントを含む。かさ高加工連続フィラメント(「BCF」)ヤーンおよびそれらの製造は、米国特許公報(特許文献9)ハウエル(Howell)ら、米国特許公報(特許文献10)ロアーク(Roark)ら、および米国特許公報(特許文献11)チュア(Chuah);米国特許公報(特許文献12)、米国特許公報(特許文献13)、米国特許公報(特許文献14)、および米国特許公報(特許文献15)(それぞれ、代理人事件番号CH2783、RD7850、CH2800、およびCH2848);ならびに(特許文献16)に記載されており、これらのすべてを参照により本明細書に援用する。BCFヤーンは、すべてのタイプのカーペット、ならびに、織布および不織布ファブリックを含むテキスタイルを準備するために使用される。
【0074】
かさ高加工連続フィラメントを準備する際に伴われる好ましい工程は、紡糸し(たとえば、フィラメントを押出し、冷却し、コーティングする(紡糸仕上げ(spin finish))、約80〜約200℃で、ならびに約3〜約5、好ましくは少なくとも約3.4および好ましくは約4.5までの延伸比で、1段または多段延伸し(好ましくは、加熱されたロール、加熱されたピン、または熱流体補助(たとえば流れまたは空気)で)、約120〜約200℃の温度でアニールし、かさ高加工し、絡ませ(かさ高加工との1工程またはその後の別個の工程で行うことができる)、任意に緩め、その後の用途のためにフィラメントをパッケージ上に巻くことを含む。
【0075】
かさ高加工連続フィラメントヤーンは、周知の技術を用いて、カーペットに製造する。典型的には、いくつかのヤーンを、ともにケーブル撚りし、オートクレーブ、スエッセン(SUESSEN)またはスパーバ(SUPERBA)などの装置にヒートセットし、次に、主バッキングに房状にする。次に、ラテックス接着剤および二次バッキングを付与する。
【0076】
本発明の成形物品は、ステープルファイバーを含む。ステープルファイバーおよび製品は、参照により本明細書に援用する、2001年8月22日に出願された米国特許公報(特許文献17)および米国特許公報(特許文献18)、ならびに(特許文献19)、(特許文献20)、(特許文献21)、および(特許文献22)に記載されたプロセスを用いて準備する。ステープルファイバーは、約245〜約285℃の温度でポリマーをフィラメントに溶融紡糸し、フィラメントを急冷し、急冷されたフィラメントを延伸し、延伸されたフィラメントをクリンピングし、フィラメントを、好ましくは長さが約0.2〜約6インチ(約0.5〜約15cm)のステープルファイバーに切断することによって準備する。
【0077】
1つの好ましいプロセスは、(a)ポリマーを提供し、(b)約245〜約285℃の温度で溶融ポリマーをフィラメントに溶融紡糸し、(c)フィラメントを急冷し、(d)急冷されたフィラメントを延伸し、(e)1インチあたり約8〜約30のクリンプ(約3〜約12のクリンプ/cm)のクリンプレベルで、機械クリンパを使用して、延伸されたフィラメントをクリンピングし、(f)約50〜約120℃の温度で、クリンピングされたフィラメントを緩め、(g)緩められたフィラメントを、好ましくは長さが約0.2〜約6インチ(約0.5〜約15cm)のステープルファイバーに切断することを含む。このプロセスの1つの好ましい実施形態において、延伸されたフィラメントを、クリンピング前に、約85〜約115℃でアニールする。好ましくは、アニールは、加熱されたローラを使用して、張力下で行う。別の好ましい実施形態において、延伸されたフィラメントを、クリンピング前にアニールしない。
【0078】
ステープルファイバーは、テキスタイルヤーンおよびテキスタイル織布ファブリックまたはテキスタイル不織布ファブリックを準備するのに有用であり、また、繊維充填用途およびカーペット製造に使用することができる。
【0079】
本発明の成形物品は、また、モノフィラメントを含む。好ましくは、モノフィラメントは、10〜200dpfである。モノフィラメント、モノフィラメントヤーン、およびそれらの使用が、米国特許公報(特許文献23)、(特許文献24)、および(特許文献25)に記載されており、これらを参照により本明細書に援用する。本発明は、主として、マルチフィラメントヤーンに関して説明するが、ここで説明される選択および使用が、モノフィラメントに適用可能であることが理解されるべきである。
【0080】
フィラメントは、丸いか、または、オクタローバル(octalobal)、デルタ、サンバースト(ゾル(sol)としても知られている)、スカラップ楕円形(scalloped oval)、トリローバル(trilobal)、テトラチャネル(tetra−channel)(カトラチャネル(quatra−channel)としても知られている)、スカラップリボン(scalloped ribbon)、リボン、星形などの他の形状を有することができる。それらは、中実、中空、または多中空であることができる。
【0081】
より安定した繊維を提供することに加えて、ポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレートポリマーは、射出成形、ブロー成形、押出および圧縮成形、および反応押出による、熱可塑性樹脂、成形物品の製造、コーティング、積層体、および接着剤の製造、パッケージングおよび産業用フィルムの製造、ポリウレタン、ポリエーテルアミド、およびポリウレタン尿素繊維などの、他の溶融加工可能な製品の製造、ならびにフォームおよびキャストエラストマーの製造に有用である。
【0082】
本発明を、次の実施例で示すが、実施例は、限定することは意図されていない。実施例において、パーセンテージ、部などはすべて、特に明記しない限り、重量による。
【実施例】
【0083】
次の分析技術および材料を実施例に用いた。
【0084】
(ガラス転移温度(Tg))
示差走査熱量測定(DSC)を用いて、Tg値を測定した。20メッシュ(7.9cm−1)のスクリーンを通過するように粉砕されたポリマーの10mgサンプルを、10℃/分の加熱速度を用いて、室温から280℃まで、制御冷却用の冷却された冷却付属物を備えたTAインストルメンツ(Instruments)2920 DSCで分析した。次に、サンプルを280℃で2分間保持し、液体窒素中で急冷し、次に、室温から280℃に再加熱した。関連ソフトウェアは、Tg、Tc(結晶化の温度)、およびTm(融点)を計算した。2920 DSC用TAインストルメンツマニュアルに記載されたように、Tgおよび融点の測定の手順を用いた。
【0085】
(ポリマー組成)
3GITのプロトンNMRスペクトルの分析によって、モルパーセントのイソソルビドおよびジ−1,3−プロピレングリコール(DPG)含有量を測定した。3GIT約20mgを1mLのトリフルオロ酢酸−d(CFCOOD、99.5原子%、下記の材料を参照のこと)に溶解した。このサンプルを、バリアン(Varian)(カリフォルニア州パロアルト(Palo Alto,CA))の500MHz分光計を使用して、室温で分析した。
【0086】
(色および明度)
拡散反射率付属物を備えたバリアン(カリフォルニア州パロアルト)のケアリー(Cary)5 UV/Vis/NIR分光光度計を使用して、3GITサンプルの色および明度を測定した。2度の観測角度およびCIE A光源で、グラムズ(Grams)/32ソフトウェア内の色分析アプリケーションを使用して、反射率データを処理した。ハンターL、a、およびbを計算した。L座標は明度を示し、0は黒であり、100は白であった。a値は、正または負であることができ、正の値は赤色を示し、負は緑色を示した。b値は同様であり、正の値は黄色を示し、負の値は青色を示した。
【0087】
(固有粘度(IV))
ビスコテックの強制流粘度計(Viscotek Forced Flow Viscometer)モデルY−900を使用して、固有粘度を測定した。ポリマーを、50/50 w/w トリフルオロ酢酸/塩化メチレンに、0.4%(wt/vol)の濃度で溶解し、19℃でテストした。用いられた方法は、ASTM D2857.95に記載されている。
【0088】
(収縮張力分析器)
収縮張力分析器(Shrinkage−Tension Analyzer)は、ヤーン張力と温度との関係を分析するために、本願特許出願人(ノースカロライナ州キンストン(Kinston,NC))によって製造された。この分析器は、加熱室の温度を制御するための温度制御装置(0−600℃、ペンシルバニア州フェニックスビルのバリー・フォージ・インストルメント・カンパニー(Valley Forge Instrument Company,Phoenixville,PA)、張力を測定するための張力センサとしてのステイサムのロードセル(Statham Load Cell)(モデルUL4−0.5)およびステイサムのユニバーサル変換(Statham Universal Transducing)CEUモデルUC3(ゴールド・セル(Gold Cell))、ならびにヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)の7035BX−Y記録装置(Recorder)を装備した。
【0089】
ヤーンサンプルを、100mmの一定の長さで、ループとして取付けた。予張力(pre−tension)を、0.01グラム/デニールで、ループに与えた。ヤーン張力を、25〜225℃の範囲内で、30℃/分の加熱速度で測定した。ピーク温度は、張力が最大値に達した温度であった。
【0090】
(材料)
イソソルビドを、ロケット・フレール(Roquette Freres)(フランスのレストレム(Lestrem,France))から得た。
【0091】
1,3−プロパンジオールを、デラウェア州ウィルミントンの本願特許出願人から得た。
【0092】
TA−33−LPテレフタル酸を、アモコ(Amoco)(イリノイ州ネーパービル(Naperville,Illinois))から得た。
【0093】
トリフルオロ酢酸−d(CFCOOD)99.5原子%を、アルドリッチ(Aldrich)(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee,Wisconsin))から得た。
【0094】
HS−325サンドプラスト赤(SANDOPLAST Red)BB、HS−510サンドプラスト青(SANDOPLAST Blue)2B、ポリシンスレン青(POLYSYNTHREN Blue)R、およびクラリアント(CLARIANT)RSB紫を、クラリアント・コーポレイション(Clariant Corporation)(ロードアイランドのコベントリー(Coventry,Rhode Island))から得た。
【0095】
ジメチルテレフタレートを、コサ(Kosa)(ノースカロライナ州ウィルミントン(Wilmington NC))から得た。
【0096】
タイザー(TYZOR)LA(ジヒドロキシビスアンモニウムラクタートチタン(dihydroxybisammoniumlactato titanium)水溶液)を、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,DE)の本願特許出願人から得た。
【0097】
触媒Aは、537gの酢酸亜鉛を1200gの水と混合して溶液を生じさせ、この溶液を、室温(約25℃)で、手で撹拌しながら、244gのタイザーLA(上記)に加え、次に、43gの乳酸を溶液に加えることによって調製された触媒溶液であった。
【0098】
触媒Bは、150gの次亜リン酸ナトリウムを150gの水と混合して溶液を生じさせ、この溶液を、室温(約25℃)で、手で撹拌しながら、1,000gのタイザーLA(上記)に加えることによって調製された触媒溶液であった。
【0099】
(実施例1)
この実施例は、ペレットの形態の本発明のポリマーの調製、ペレットの固体重合、およびポリエステルの紡糸を示した。
【0100】
2Lの撹拌ステンレス鋼容器に、747.45gのテレフタル酸、367.08gの1,3−プロパンジオール、149.94gのイソソルビド、1.08mLの触媒B、0.27mLの水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(25重量%)、0.0079gのサンドプラスト青2B、および0.0019gのサンドプラスト赤を加えた。バッチ温度を最大240℃に上昇させ、一方、水をカラムを通して除去した。凝縮液69gを除去すると、反応器の中身を2.0mmHg(0.27kPa)に下げ、250℃で重縮合した。IVを0.54と測定し、Tgは60.4℃であった。ハンター色値は、L=69.2、a=−0.89、およびb=1.64であった。イソソルビド含有量は5.56モル%であり、このポリマーは0.3モル%のDPGを含有した。
【0101】
このポリマーを、窒素圧力下でダイを通して押出して、ストランドを形成し、それを、冷水トラフを通してカッタ内に引いて、1/8インチ(3.2mm)のペレットを製造することによってペレット化した。結晶化されたペレットを、5日間、真空オーブン内で190℃の温度で、約300mmHg(39kPa)の真空で、遅い窒素流下で、固体重合した。2日後に結果として生じるIVは0.92dl/gであり、5日後の最終IVは1.071dl/gであった。結果として生じるポリマーは、上述されたような成形物品を製造するのに適した。
【0102】
固相重合工程後、ポリマーを、真空オーブン内で最小16時間120℃で乾燥させた。乾燥ポリマーを、室温で維持された窒素ブランケット(blanketed)供給ホッパーに迅速に移送し、35g/分で二軸再溶融装置(twin screw remelter)に供給した。バレル加熱セクションを、ゾーン1を250℃に、ゾーン2〜8を260℃に、ポンプブロックを260℃に、パックヒータを265℃に設定した。2500m/分で95デニールを紡糸するために、定量ポンプを29.0g/分に設定し、バラストポンプを6g/分に設定して、35g/分の総処理量を維持した。紡糸定量ポンプは、ポリマーを、サンドフィルタ紡糸パック、ならびに、264℃で維持された、0.010インチ(0.25mm)の直径および0.040インチ(1mm)の毛管深さの穴を有する34丸穴スピナレットを通して押出した。スピナレットを出るフィラメント流を、21℃で空気で急冷し、束に収束し、紡糸仕上げを付与した。2500m/分の表面下速度でロールを送ることにより、ヤーン束を組合せジェットに送出し、次に、2550m/分で走行するワインドアップ(windup)上に送出した。
【0103】
紡糸条件および紡糸特性は、下記表1に要約されている。
【0104】
(実施例2)
実施例1のプロセスを繰返した。紡糸条件および紡糸特性は、表1に要約されている。
【0105】
(比較例A)
この比較例は、DMTからの3GTポリマー(すなわち、イソソルビドのない)の調製を示す。
【0106】
2−リットルの撹拌ガラス容器に、388.40gのジメチルテレフタレート、197.86gの1,3−プロパンジオール、および0.33mLの触媒Aを加えた。この容器を、加熱された油浴中に沈めた。バッチ温度を最大240℃に上昇させ、一方、メタノールをカラムを通して除去した。頭上蒸気温度が67℃を超えると、凝縮液バルブが閉じて、頭上の1,3−プロパンジオールの損失を防止した。メタノールの可能な162mLのうちの161mLが、5時間以内に除去されると、反応器の中身を<1mmHg(<0.13kPa)に下げ、260℃で重縮合した。IVを0.64dl/gと測定し、Tgは47.9℃であった。ハンター色値は、L=86.1、a=0.97、およびb=2.54であった。このポリマーは、イソソルビドを含有せず、DPG含有量が0.19モル%であった。
【0107】
このポリマーを、実施例1のポリマーの場合のように、固体重合し、繊維に紡糸した。
【0108】
(比較例B)
比較例Aのプロセスを繰返した。紡糸条件および紡糸特性は、表1に要約されている。
【0109】
【表1】

【0110】
表1は、実施例が、比較例に対して、より低い融点、より高いTg、およびより高いテナシティを有すること示す。この変化は、POYのエイジング安定性を向上させる。
【0111】
**TgおよびTmは、DSCによって測定した。
【0112】
(実施例3)
(POY繊維構造安定性テスト)
比較例Aのドフ(doff)7および実施例1のドフ10のPOYを使用して、暑い環境下でのPOY繊維構造安定性を比較した。暑い環境をシミュレートするために、POYパッケージを、オーブン内で41℃の熱に、0、0.5、2.5、17、48、および73時間曝した。30℃/分の加熱速度で、0.01グラム/デニールの初期張力で、上述された分析器を使用して、収縮張力を測定した。張力は、表2に示されているように、25−225℃の温度範囲内で特徴づけられた。41℃での73時間の加熱後、イソソルビドのない3GTのピーク張力の47%の降下に対して、イソソルビドを有する3GTのピーク張力は、9%の降下であり、イソソルビドを有する3GTの著しく安定した構造を示す。
【0113】
収縮張力の突然の増加があった場合、ガラス転移温度(Tg)が示された。以下で示されるように、17時間の加熱後、イソソルビドのない3GTの場合、52.4から60.2℃への著しいTgシフトがあり、イソソルビドを有する3GTの場合、59.4から61.1℃へのわずかなシフトしかなかった。Tgシフトの量は、また、48および73時間の加熱後、イソソルビドのない3GTと比較して、イソソルビドを有する3GTの場合、比較的穏やかである。加熱後のより安定したTgは、繊維が、暑い環境下でのエイジング後、より安定した構造を有することを示唆する。表2に示されたような収縮張力も、イソソルビドのない3GTと比較して、イソソルビドを有する3GTのより安定した構造を示唆する。
【0114】
【表2】

【0115】
表2において、実施例1は、比較例Aに対して、長時間の加熱時の、より小さいTgの変化および大きく低減した収縮張力を示した。これらの特性の両方が、イソソルビドを含有する繊維の向上した安定性を示す。Tgの変化およびより高い収縮張力は、繊維中の結晶化が発生したこと、すなわち、保管時の望ましくない繊維不安定性と関連する変化を示す。収縮張力データは、図1に示されており、Aが比較例Aを示し、Bが実施例1を示す。
【0116】
(実施例4)
2Lの撹拌ステンレス鋼容器に、873.90gのジメチルテレフタレート、367.08gの1,3−プロパンジオール、149.94gのイソソルビド、0.75mLの触媒A、および1.8mLの水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(25重量%)を加えた。バッチ温度を最大240℃に上昇させ、一方、メタノールをカラムを通して除去した。凝縮液288gを除去すると、反応器の中身を2.6mmHg(0.35kPa)に下げ、250℃の温度で重縮合した。IVを0.50dl/gと測定し、Tgは63.5℃であった。ハンター色値は、L=78.5、a=0.02、およびb=7.7であった。イソソルビド含有量は5.07モル%であり、このポリマーは、ジ−1,3−プロピレングリコール0.07モル%を含有した。
【0117】
本発明を特定の実施形態に関して説明したが、それらは、限定することは意図されていないこと、また、本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変更および修正が可能であることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】Bと示されたイソソルビドを含有する本発明の実施例1の組成物対Aと示されたイソソルビドのない比較例Aの対照組成物の、元の長さの繊維収縮のパーセンテージ対41℃での時間単位での加熱時間のグラフを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ[(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレート]またはポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ−ジカルボキシレートを含むことを特徴とする成形物品。
【請求項2】
ポリ[(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)テレフタレート]またはポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ−テレフタレート)を含むことを特徴とする請求項1に記載の成形物品。
【請求項3】
約0.5〜約2.5であるI.V.を有することを特徴とする請求項1に記載の成形物品。
【請求項4】
繊維、ヤーン、フィルム、不織布、またはモールド成形物品であることを特徴とする請求項1に記載の成形物品。
【請求項5】
ステープルまたはフィラメントであることを特徴とする請求項4に記載の繊維。
【請求項6】
Tgが少なくとも55であることを特徴とする請求項4に記載の繊維。
【請求項7】
Tgが少なくとも60であることを特徴とする請求項4に記載の繊維。
【請求項8】
Tgが少なくとも70であることを特徴とする請求項4に記載の繊維。
【請求項9】
部分配向ヤーンの形態である請求項5に記載のステープルファイバー。
【請求項10】
紡糸延伸ヤーンの形態である請求項5に記載のステープルファイバー。
【請求項11】
紡糸テクスチャー加工ヤーンの形態である請求項5に記載のステープルファイバー。
【請求項12】
着色剤、染料、顔料、つや消し剤、難燃剤、赤外線吸収剤、またはUV安定剤をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載のステープルファイバー。
【請求項13】
ポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)テレフタレートまたはポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖テレフタレート)のマルチフィラメントを含むことを特徴とするマルチフィラメントヤーン。
【請求項14】
前記ヤーンが部分配向ヤーンであることを特徴とする請求項13に記載のヤーン。
【請求項15】
前記ヤーンが、延伸工程のローラ端での測定により約2500〜約8000m/分とされるような延伸速度で、フィラメントを延伸することによって準備された紡糸延伸ヤーンであることを特徴とする請求項13に記載のヤーン。
【請求項16】
a)部分配向ヤーンのパッケージを準備し、(b)前記パッケージから前記ヤーンを巻出し、(c)前記マルチフィラメントヤーンを延伸して、延伸ヤーンを形成し、(d)前記延伸ヤーンを仮撚りテクスチャー加工して、テクスチャー加工ヤーンを形成し、(e)前記ヤーンをパッケージ上に巻くことによって、テクスチャー加工されることを特徴とする請求項13に記載のヤーン。
【請求項17】
a)延伸工程のローラ端での測定により約2500〜約8000m/mとされるような延伸速度で、フィラメントを延伸することによって紡糸延伸ヤーンのパッケージを準備し、(b)前記パッケージから前記ヤーンを巻出し、(c)前記延伸ヤーンを仮撚りテクスチャー加工して、テクスチャー加工ヤーンを形成し、(e)前記ヤーンをパッケージ上に巻くことによって、テクスチャー加工されることを特徴とする請求項13に記載のヤーン。
【請求項18】
かさ高加工連続フィラメントの形態である請求項13に記載のヤーン。
【請求項19】
着色剤、赤外線吸収剤、またはUV安定剤をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載のヤーン。
【請求項20】
約30モルパーセントまでのコポリマーをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の成形物品。
【請求項21】
請求項9、10、または11に記載の繊維から構成されるファブリック。
【請求項22】
請求項14、15、16、17、または18に記載のヤーンから構成されるファブリック。
【請求項23】
織布または不織布であることを特徴とする請求項20に記載のファブリック。
【請求項24】
織布または不織布であることを特徴とする請求項21に記載のファブリック。
【請求項25】
請求項9、10、または11に記載のヤーンを含むことを特徴とするカーペット。
【請求項26】
請求項14、15、16、17、または18に記載のヤーンを含むことを特徴とするカーペット。

【図1】
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【公表番号】特表2006−511736(P2006−511736A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508515(P2005−508515)
【出願日】平成15年6月12日(2003.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2003/018623
【国際公開番号】WO2004/061174
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】