説明

向上した接着性を有する光配向材料

本開示は、基材への向上した接着性を示す新規光配向(コ)ポリマー材料を規定する。この(コ)ポリマー構造は、少なくとも1つの光化学活性発色団および少なくとも1つの接着促進性基を含む。該光配向(コ)ポリマー材料から作られる少なくとも1つの光配向層を含む製造物品、光学素子、眼科用素子および液晶セル、ならびに形成方法も開示する。本開示のさらに他の実施形態は、光学素子、例えば、眼科用素子、表示素子、窓、鏡、能動液晶素子または受動液晶素子を規定する。前記光学素子は、基材と、該基材の表面の少なくとも一部分の上の第一の少なくとも部分的な層とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
本開示は、光配向層としての使用に適する新規(コ)ポリマー材料に関する。該新規光配向材料は、基材表面への向上した接着性を示すとともにより濃稠なモノマー液晶層およびポリマー液晶層を配向させることができる、光指向性で構造的に異方性のポリマーネットワークを含む。該新規光配向材料の製造および塗布方法も開示する。
【背景技術】
【0002】
液晶材料は様々な用途に用いられ、これらの用途では液晶材料が基材の表面に層として堆積する。液晶装置の機能の成功は、層内の液晶分子の特定の配向または向きをとりかつ維持する能力に、少なくとも一部は、依存する。様々な方法を用いてこれらの液晶層を配向または指向させることができる。1つのアプローチは、液晶層の塗布に先立つ、基材の表面への指向層のコーティングである。その後、その指向層を用いて、例えばラビングまたは偏波の照射により、基材上の液晶材料を指向させることができる。指向層は、その層の液晶分子の指向方向を規定し、その結果、それらの分子の縦軸がその指向層によって規定される指向方向に配向した状態になる。二方向配向に加えて、前記指向層が液晶分子のチルト角度も付与し得るので、前記分子は、前記指向層の表面に平行に存するのではなく、それら自体を該表面に対してある一定の角度で配向させる。
【0003】
偏波の照射によるポリマー層の指向は公知である。照射に基づく指向は、例えばほこり発生、熱発生、薄膜破壊および構造化能力欠如などの、一方向ラビングによる指向に付随する一定の欠点を克服する。さらに、照射による指向は、隣接領域に対して異なる向きを有する別個の領域を生じさせることを可能にすることもできる。光指向性配向材料の例としては、ポリマー結合型光活性桂皮酸誘導体、クマリン誘導体、cis/trans異性化可能なアゾ誘導体、および光化学分解性ポリイミド誘導体が挙げられる。
【0004】
特許文献1は、3−アリール−アクリル酸エステルおよびアミドから構成される架橋性光活性ポリマー材料に、ならびに液晶層用の指向層としてのそれらの使用に関する。そのような材料は、光学素子および多層システム、例えば液晶表示装置の生産に使用される。
【0005】
特許文献2には、(a)アクリレート、メタクリレート、アクリルアミドおよびメタクリルアミドのそれぞれに対し光化学的異性化可能分子もしくは二量体化可能分子が直接または架橋基を介して共有結合している、当該アクリレート、メタクリレート、アクリルアミドおよびメタクリルアミドの群からの少なくとも1つのモノマーと、(b)エチレン性不飽和モノマーもしくはジカルボン酸の少なくとも1つのポリオキシアルキルエステルもしくは1つのポリオキシアルキルアミド、またはエチレン性不飽和アルコールの1つのポリオキシアルキルエーテルと、(c)場合により、他のエチレン性不飽和コモノマーとの、光架橋性コポリマーが開示されている。前記コポリマーは、70℃以下、好ましくは70℃未満のガラス転移温度を有する。そのような材料は、電気光学素子、例えば液晶表示装置、補償フィルム、光学的遅延フィルタ、コレステリックフィルタ、および反射防止フィルタなどの生産に用いられる液晶のための配向層として適している。
【0006】
特許文献3は、液晶フィルムへの向上した接着性を有する配向層、そのような層の調製に使用される前駆体材料、そのような層と少なくとも1つの液晶ポリマーフィルムとから構成される積層体、ならびに光学、電気光学、装飾またはセキュリティ用途および装置のための前記配向層および前記積層体の使用を提供する。前記配向層および前駆体材料は、モノマー、オリゴマーまたはポリマー形態の少なくとも1つの反応性メソゲンを含む。前記反応性メソゲンは、好ましくは、配向フィルムを形成するために使用される溶媒和組成物に組み込まれる。あるいは、一般にポリマー層ではないが自己組織化単層または多層であるコマンド層を形成するために使用される組成物中の成分として前記反応性メソゲンを使用することができる。前記コマンド層による液晶配向の促進は、一般にバルク効果でなくむしろ表面効果であり、コマンド層分子は、表面に係留され、概して単層の厚みしかない。
【0007】
上述の光配向性コポリマーおよび結果として得られる配向層は、(それらが塗布される基材に対する、および後に塗布される液晶層に対する)多少向上した接着性を示すが、一部の用途に、例えば、レンズなどの眼科用装置の生産での使用には、十分な接着をいずれの層にももたらさない。液晶装置に使用される、先行技術によるこれらの配向層材料は、依然としてそのような用途で不良な接着を一般に示し、多くの場合、特定の基材、例えばプラスチック光学基材が適合できない高い加工温度(200℃から250℃)を用いて生産される。前に述べたように、液晶層または他の層が光配向層の表面に堆積する用途では層間の接着も必要である。利用の際、接着レベルが十分でない場合、基材表面からの光配向層の剥離および/または光配向層の表面からの後続の層の剥離が観察されることがある。
【0008】
さらに、眼科用途などの特定の用途は、厚さが20マイクロメートルより厚い液晶層を用いる。これらの用途では、厚さが1,000マイクロメートル以下の接着性液晶層を配向させることができる光配向層が望まれる。従って、公知光配向材料に比べて向上した接着特性を有する層およびより厚い配向液晶層を形成するために使用することができる光配向材料が望まれる。本発明の光配向材料は、従前から公知である光配向性コポリマーおよびそれらを含む配向層の短所を克服し、望ましい向上した接着特性を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,107,427号明細書
【特許文献2】国際公開第2004/060861号
【特許文献3】国際公開第2005/015298号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、式:
【0011】
【化1】

によって表される構造を含む(コ)ポリマーに関し、式中、
、MおよびMは各々、それぞれ独立して、置換もしくは非置換アクリロイル単位(前記アクリロイルの置換基は、C〜Cアルキル、フェニル、−O−およびこれらの組み合わせから選択される)、置換もしくは非置換スチレン単位、置換もしくは非置換エポキシ単位、置換もしくは非置換ウレタン単位、置換もしくは非置換ポリカルボン酸、置換もしくは非置換ポリオール単位、置換もしくは非置換ポリアミン単位または置換もしくは非置換ヒドロキシアルカン酸単位(前記置換基は、C〜C20アルキル、C〜C20アルコキシ、C〜C10シクロアルキル、C〜C20アルキル(C〜C20)アルコキシ、ハロ(C〜C20)アルキル、ヘテロシクロ(C〜C10)アルキル、ハロアリール、ハロ(C〜C20)アルキルアリール、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシアリール、ヘテロアリール、アリール(C〜C20)アルキル、ヘテロアリール(C〜C20)アルキルから選択される)から選択されるモノマー単位の残基であり;
、LおよびLは、単結合、−(CH−、−(CF−、−Si(Z’)(CH−もしくは−(Si(CHO)−、−N(R)−、−C(R)=C(R)−、−C(R)=N−、−C(R’)−C(R’)−、−O−、−C(O)−、−C≡C−、−N=N−、−S−、−S(O)−、−S(O)(O)−、−(O)S(O)O−、−O(O)S(O)O−、直鎖もしくは分岐C〜C24アルキレン残基、アリーレン、C〜C10シクロアルキレンまたはこれらの様々な組み合わせからそれぞれ独立して選択されるスペーサー基であり、ここで、Z’は、水素、C〜C18アルキル、C〜C10シクロアルキルまたはアリールから各存在について独立して選択され;Rは、Z、水素、C〜C18アルキル、C〜C10シクロアルキルまたはアリールから各存在について独立して選択され;R’は、Z、C〜C18アルキル、C〜C10シクロアルキルまたはアリールから各存在について独立して選択され;上記C〜C24アルキレン残基は、Z、シアノもしくはハロにより一置換されているか、またはZもしくはハロにより多置換されており;「g」は、1から20より各存在について独立して選択され、「h」は、1から16(1および16を含む)の自然数であり;
各Zは、独立して、二量体化可能な置換もしくは非置換シンナメートまたは置換もしくは非置換クマリン、cis/trans異性化可能な置換もしくは非置換アゾ、光化学分解性置換もしくは非置換ポリイミドまたは光フリース転位し得る置換もしくは非置換芳香族エステルから選択される光化学活性発色団であり;
各Zは、ヒドロキシ、カルボン酸、無水物、イソシアナト、ブロック化イソシアナト、チオイソシアナト、ブロック化チオイソシアナト、アミノ、チオ、有機官能性シラン、有機官能性チタネート、有機官能性ジルコネートまたはエポキシから独立して選択される接着促進性基であり、前記各有機官能基は、ビニル、アリル、ビニル官能性炭化水素基、エポキシ官能性炭化水素基、アリル官能性炭化水素基、アクリロイル官能性炭化水素基、メタクリロイル官能性炭化水素基、スチリル官能性炭化水素基、メルカプト官能性炭化水素基または前述の有機官能基の組み合わせから独立して選択され、前記炭化水素基は、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルコキシ、C〜C20アルキル(C〜C20)アルコキシ、C〜C20アルコキシ(C〜C20)アルキル、アリール、ヘテロアリールおよび前述の炭化水素基の組み合わせから選択されるが、但し、Zが、ヒドロキシまたはカルボン酸であるとき、該(コ)ポリマーが少なくとも1つの他の接着促進性基を含むことを条件とし;
は、剛直棒状液晶基、剛性屈曲棒状液晶基、または剛性円板状液晶基から選択されるメソゲン構造であり;ならびに
「x」は、0<x≦1の値を有し、「y」は、0≦y<1の値を有し、「z」は、0≦z<1の値を有し、x+y+z=1であり、「n」は、10から10,000の範囲の値を有し;
x=1のときには、LおよびZの少なくとも一方が、少なくとも1つのZ接着促進性基でさらに置換されており、ならびにy=0のときには、L、Z、LおよびZのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのZ接着促進性基でさらに置換されている。
【0012】
1つの実施形態によると、本開示は、zが0である(コ)ポリマーを提供する。
【0013】
もう1つの実施形態において、本開示は、zが0より大きい(コ)ポリマーを規定する。
【0014】
本開示のさらなる実施形態は、製造物品を規定する。前記製造物品は、上の式(式中の変数M、M、M、L、L、L、Z、Z、Z、x、y、zおよびnは本明細書中で説明するとおりである)によって表される構造を有する(コ)ポリマーを含む少なくとも1つの光配向性部分を含む。
【0015】
本開示のさらに他の実施形態は、光学素子、例えば、眼科用素子、表示素子、窓、鏡、能動液晶素子または受動液晶素子を規定する。前記光学素子は、基材と、該基材の表面の少なくとも一部分の上の第一の少なくとも部分的な層とを含む。前記少なくとも部分的な層は、上の式(式中、変数M、M、M、L、L、L、Z、Z、Z、x、y、zおよびnは本明細書に詳細に示すとおりである)によって表される構造を有する(コ)ポリマー材料を含む。特定の実施形態において、前記光学素子は、基材の表面の少なくとも一部分の上に1つ以上の追加の少なくとも部分的な層をさらに含むことがある。
【0016】
本開示のなおもさらなる実施形態は、液晶セルを規定する。前記液晶セルは、第一の表面と、前記第一の表面の反対側の第二の表面と、前記第二の表面に対向する前記第一の表面の少なくとも一部分の上の第一の少なくとも部分的な層と、前記第一の表面に対向する前記第二の表面の少なくとも一部分の上の第二の少なくとも部分的な層と(前記第一の少なくとも部分的な層および前記第二の少なくとも部分的な層は空間を規定する)、前記第一の少なくとも部分的な層および前記第二の少なくとも部分的な層の間の空間内の液晶材料とを含む。前記第一の少なくとも部分的な層および前記第二の少なくとも部分的な層は、配向層であり、ならびに前記第一の少なくとも部分的な層および前記第二の少なくとも部分的な層の少なくとも一方は、上の式(式中、変数M、M、M、L、L、L、Z、Z、Z、x、y、zおよびnは本明細書に詳細に示すとおりである)によって表される構造を有する(コ)ポリマーを含む。特定の実施形態において、前記液晶材料は、二色性材料またはフォトクロミック二色材料の少なくとも一方を含む。
【0017】
本開示のさらに他の実施形態において、光学素子への光配向材料の塗布方法を提供する。この方法は、基材の表面の少なくとも一部分に光配向(コ)ポリマー材料の少なくとも部分的な層を塗布する工程、前記光配向(コ)ポリマー材料上の1つ以上の接着促進性基と前記基材の表面の適合基との間に引力結合(attractive bond)を形成する工程;および前記光配向(コ)ポリマー材料の少なくとも第一の部分を、該少なくとも部分的な層の偏光UV線への曝露により、少なくとも部分的に配向させる工程を含む。前記光配向(コ)ポリマー材料は、上の式(式中、変数M、M、M、L、L、L、Z、Z、Z、x、y、zおよびnは本明細書に詳細に示すとおりである)によって表される構造を有する。
【0018】
本明細書に開示する様々な実施形態は、図面とともに読むと、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本開示による光学素子の1つの実施形態を図示するものである。
【図2】図2は、本開示による光学素子の第二の実施形態を図示するものである。
【図3】図3は、本開示による液晶セルの1つの実施形態を図示するものである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(詳細な説明)
本開示は、基材上に層として堆積することに適する新規光指向型構造異方性ポリマーネットワークであって、より濃稠なモノマー液晶層およびポリマー液晶層を配向させることができ、かつ一般的に使用される基材へのおよび前記ポリマー層の表面に堆積させる後続の層への向上した接着性を示すことができるポリマーネットワークを生産するための、構造および方法に関する。
【0021】
液晶材料は、様々な用途に利用される。液晶(「LC])は、優先方向に互いに配向して、異方性の光学的、電磁的および/または機械的性質を有する流体材料を生じさせる傾向がある。メソゲンは、液晶材料における構造的秩序を誘導するLCの基本単位である。LCのメソゲン部分は、LC組成物中の他の成分と同じ方向に配向する剛性部を概して含み、それによってLC分子を1つの特定の方向に配向させる。メソゲンのこの剛性部分は、剛性分子構造、例えば、単環式または多環式芳香環構造をはじめとする単環式または多環式環構造から成り得る。本明細書に開示する様々な実施形態に関連して使用することに適している液晶メソゲンは、サーモトロピック液晶メソゲンおよびリオトロピック液晶メソゲンを含む。本明細書に開示する様々な実施形態に関連して使用することに適しているサーモトロピック液晶メソゲンの例としては、カラマティック(columatic)(すなわち棒状)液晶メソゲン、ディスコティック(すなわち円盤状)液晶メソゲンおよびコレステリック液晶メソゲンが挙げられる。可能性のあるメソゲンの例は、例えば、米国特許出願第12/163,116号の段落[0024]−[0047]により詳細に示されており;Demusら、「Fluessige Kristalle in Tabellen」、VEB Deutscher Verlag Fuer Grundstoffindustrie、Leipzig、Germany、1974および「Fluessige Kristalle in Tabellen II」、VEB Deutscher Verlag Fuer Grundstoffindustrie、Leipzig、Germany、1984に記載されているものを含む。
【0022】
LCは、無秩序状態で存在することもあり、また秩序(配向)状態で存在することもある。無秩序状態のLC分子は、本質的にランダムな向きをとるだろう、すなわち、LC分子に一般的な向きがない。秩序または配向状態のLC分子は、LC分子のメソゲン部分がそのLC材料の配向部分全域で少なくとも部分的に配向される向きを一般にとる。本明細書において用いる場合、用語「配向する」または「配向した」は、別の材料、化合物または構造との相互作用によって適する配列または位置にすることを意味する。ある場合には、LC分子のメソゲン部分は、平行指向で少なくとも部分的に配向されるであろう。他の場合、LC分子のメソゲン部分は、らせん指向で少なくとも部分的に配向されるであろう。
【0023】
液晶ポリマー(「LCP」)は、液相でありながら高秩序構造領域を形成することができるポリマーである。LCPは、液晶モノマー(「LCM」)化合物から作ることができ、このLCM化合物を重合してLCPを形成することができる。あるいは、液晶材料の存在下で重合性材料を、該液晶材料が該ポリマー内に捕捉されるように、重合することによってLCPを形成することができる。LC、LCMおよびLCPには、強いエンジニアリングプラスチックとしての使用からLC表示装置用の繊細なゲルまで多岐にわたる広範な使い道がある。これらの材料を、例えば、光学素子、例えば眼科用素子、表示素子、窓および鏡にも使用することができる。液晶材料を、例えば、基材の少なくとも一部分の上の少なくとも部分的な層、コーティングまたはフィルムとして使用し、フォトマスクまたは加飾性顔料として光学データ記憶用途において使用するためのものなどの基材に一定の所望の特性を付与することができ;化粧品においておよびセキュリティ用途のために使用することができ(例えば、米国特許第6,217,948号参照);医療、歯科、接着剤およびステレオリソグラフィー用途のために硬化性樹脂として使用することができ(例えば、米国特許第7,238,831号参照);製造物品、例えば、上述の用途および様々な関連装置において使用するための成形組立品(molded assemble)または注型品として使用することができる。ある場合には、LC材料を、光学素子、例えば、眼科用素子、表示素子、窓、鏡、能動および受動液晶セル、素子および装置など、ならびに目的の他のLCまたはLCP含有物品、例えば、偏光子、光学補償子(例えば、米国特許第7,169,448号参照)、光学リターダー(例えば、米国特許再発行番号第39,605E号参照)、カラーフィルタ、および光波回路用波長板(例えば、米国特許第7,058,249号参照)に組み込むことができる。特定のメソゲン化合物は、特に、二色性もしくはフォトクロミック−二色性材料または二色性もしくはフォトクロミック−二色性化合物をさらに含む眼科用素子の形成のためにLCMおよびLCPとして使用することができる。二色性化合物は、平面偏光の二つの直交成分の一方を優先的に吸収することができる。
【0024】
所望の効果を達成するためには、例えば二色性化合物を含む、メソゲン分子またはLC分子を適切に配置または配列することが一般に必要である。すなわち、棒状または線状メソゲンについては、メソゲン化合物の少なくとも部分的に配向した分子の長軸がおおむね互いに平行しているように、前記化合物の分子を少なくとも部分的に配向させる必要が一般にある。LC材料または他の異方性材料の少なくとも部分的な配向は、前記材料の少なくとも一部分を磁場に曝露すること、前記材料の少なくとも一部分を剪断力にさらすこと、前記材料の少なくとも一部分を電場に曝露すること、前記材料の少なくとも一部分を平面偏光紫外(UV)線に曝露すること、前記材料の少なくとも一部分を赤外線に曝露すること、前記材料の少なくとも一部分を乾燥させること、前記材料の少なくとも一部分をエッチングすること、前記材料の少なくとも一部分をラビングすること、および前記材料の少なくとも一部分を別の構造または材料、例えば少なくとも部分的に秩序ある配向を有する材料と同じ方向に配向させることのうちの少なくとも1つによって果たすことができる。LC材料または他の異方性材料を指向表面、例えば少なくとも部分的に秩序ある配向を有する材料でコーティングした表面と同じ方向に配向させることもできる。すなわち、例えばラビング、グルービングまたは光配向法によって指向させた表面に液晶分子をコーティング、層またはフィルムとして液晶分子を塗布し、その結果、それぞれの液晶分子の長軸がその表面の一般的な配向方向に対しておおむね平行である向きをとるように配向させることができる。
【0025】
光配向材料などの配向材料を基材の表面または該表面の一部分に対するコーティングとして使用することができ、この場合、前記配向材料を少なくとも部分的に配向させることができ、およびその後、それを用いて、その配向材料層の一部分に塗布される後続の層中の一つ以上の液晶材料を配向させることができる。しかし、従来の光配向材料は、その光配向材料の表面へのおよび/または該表面にコーティングされ得る後続の層への不十分な接着性を示し得る。これは、前記表面および/または後続の層からの光配向層の剥離または分離、ならびに製品の効用および寿命の総合損失につながり得る。本開示の様々な実施形態は、新規(コ)ポリマー光配向材料を規定する。これらの(コ)ポリマー光配向材料は、該材料がコーティングされる基材の表面への向上した接着性、および該材料と光配向材料層の表面に堆積させる後続の層との向上した接着性を示す。向上した接着特性は、光配向材料の(コ)ポリマー構造内への接着促進性基の組み込みによる影響を受ける。
【0026】
1つの実施形態によると、本開示は、式Iによって表される構造を含む(コ)ポリマーを提供する。
【0027】
【化2】

式Iに言及すると、MおよびMは、モノマー単位の残基を表す。MおよびMはそれぞれ、置換または非置換アクリロイル単位から選択され、前記アクリロイルの置換基は、C〜Cアルキル、フェニル、−O−およびこれらの組み合わせから選択される。そのようなアクリロイル単位の例としては、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシおよびシンナメートが挙げられる。MおよびMはそれぞれ、置換もしくは非置換スチレン単位、置換もしくは非置換エポキシ単位、置換もしくは非置換ウレタン単位、置換もしくは非置換ポリカルボン酸、置換もしくは非置換ポリオール単位、置換もしくは非置換ポリアミン単位、または置換もしくは非置換ヒドロキシアルカン酸単位からも選択され、前記置換基は、C〜C20アルキル、C〜C20アルコキシ、C〜C10シクロアルキル、C〜C20アルキル(C〜C20)アルコキシ、ハロ(C〜C20)アルキル、ヘテロシクロ(C〜C10)アルキル、ハロアリール、ハロ(C〜C20)アルキルアリール、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシアリール、ヘテロアリール、アリール(C〜C20)アルキル、およびヘテロアリール(C〜C20)アルキルから選択される。本明細書において用いる場合、用語「残基」は、モノマーまたはモノマー単位に関して用いるとき、ポリマー鎖に組み込まれた後の該モノマー単位のうち残存するものを意味する。本明細書において用いる場合、用語「誘導体」は、カルボン酸またはポリカルボン酸に関して用いるとき、アミド、エステル、アシルハライド、アシル無水物、およびシアノ誘導体を含む。式I中のMおよびM基は、前記(コ)ポリマーのポリマー主鎖を構成する。特定の実施形態によると、MおよびM基は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換アクリロイルオキシ単位または置換もしくは非置換メタクリロイルオキシ単位の残基であり得る。
【0028】
式Iによって表されるような(コ)ポリマーは、ペンダント基−L−Zおよび−L−Zを有し、ここで、L基は、モノマー残基(すなわち、MおよびM)とZおよびZ基の間のスペーサー基を表す。様々な実施形態によると、LおよびL基は、単結合、−(CH−、−(CF−、−Si(Z’)(CH−もしくは−(Si(CHO)−、−N(R)−、−C(R)=C(R)−、−C(R)=N−、−C(R’)−C(R’)−、−O−、−C(O)−、−C≡C−、−N=N−、−S−、−S(O)−、−S(O)(O)−、−(O)S(O)O−、−O(O)S(O)O−、直鎖もしくは分岐C〜C24アルキレン残基、アリーレン、C〜C10シクロアルキレン、またはこれらの様々な組み合わせからそれぞれ独立して選択され得るスペーサー基である。これらの構造によると、Z’を水素、C〜C18アルキル、C〜C10シクロアルキルまたはアリールから各存在について独立して選択することができ;RをZ、水素、C〜C18アルキル、C〜C10シクロアルキルまたはアリールから各存在について独立して選択することができ;R’をZ、C〜C18アルキル、C〜C10シクロアルキルまたはアリールから各存在について独立して選択することができ;前記C〜C24アルキレン残基は、Z、シアノもしくはハロにより一置換されていることがあるか、またはZもしくはハロにより多置換されていることがある。さらに、前記スペーサー基LおよびLによると、「g」を1〜20、例えば2〜15または5〜10より、各存在について独立して選択することができ;「h」は、1〜16(1および16を含む)、例えば2〜12または4〜10の自然数によって表され得る。
【0029】
各Z基は、光化学活性発色団を表す。本明細書において用いる場合、句「光化学活性発色団」は、化学線を吸収すると(例えば、それら自体と、または別の活性部分、例えば別の光化学活性発色団と)化学的に反応する分子またはポリマーの構造または部分を含む。本明細書において用いる場合、用語「化学線」は、応答を生じさせることができる電磁線を意味する。化学線は、例えば、可視および紫外線を含む。光化学活性発色団は、光化学的cis/trans異性化、光化学的[2+2]付加環化(ポリマーもしくはオリゴマーの架橋につながる)、光化学分解または光化学転位し得る。様々な実施形態によると、適する光化学活性発色団としては、二量体化可能な置換もしくは非置換シンナメートまたは二量体化可能な置換もしくは非置換クマリン誘導体、cis/trans異性化可能な置換または非置換アゾ、光化学分解性置換または非置換ポリイミド、および光化学転位可能な置換または非置換芳香族エステル、例えば、光フリース転位し得るものが挙げられる。特定の実施形態において、光化学活性発色団は、二量体化可能な置換もしくは非置換シンナメートまたは二量体化可能な置換もしくは非置換クマリンであり得る。シンナメートおよびクマリンは、「Alignment Technologies and Applications of Liquid Crystal Devices」、Kohki Takotahら、Taylor and Francis、New York、2005、61−63頁に記載されているように、化学線への曝露により反応して[2+2]二量体化され得る。適するシンナメートの例は、米国特許第5,637,739号の第6欄、第19から32行、および同第7,173,114号の第3欄、第13行から第5欄、第2行において見つけることができ、ならびにクマリンは、米国特許第5,231,194号の第1欄、第37行から第3欄、第50行;同第5,247,099号の第1欄、第66行から第4欄、第28行;同第5,300,656号の第1欄、第13行から第10欄、第15行;および同第5,342,970号の第1欄、第6行から第7欄、第34行において見つけることができる。
【0030】
光化学活性発色団のさらなる例としては、光異性化可能なアゾ化合物、例えば、Macromol.Chem.Phys.2009、210、1484−1492頁に記載されているポリ((n−ブチルメタクリレート−コ−(E)−4−(フェニルジアゼニル)フェニルメタクリレート)−b−スチレン);光分解性ポリイミド、例えば、Macromolecules 1994、27、832−837頁に記載されているポリ(2−メチル−6−(4−(p−トリルオキシ)フェニル)ピロロ[3,4−f]イソインドール−1,3,5,7(2H,6H)−テトラオン)、ポリ(5−(2−(1,3−ジオキソ−2−(4−(p−トリルオキシ)フェニル)イソインドリン−5−イル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル)−2−メチルイソインドリン−1,3−ジオン)、ポリ(5−(2−(1,3−ジオキソ−2−(4−(2−(p−トリル)プロパン−2−イル)フェニル)イソインドリン−5−イル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル)−2−メチルイソインドリン−1,3−ジオン);およびポリ(5−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(2−(4−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(p−トリル)プロパン−2−イル)フェニル)−1,3−ジオキソイソインドリン−5−イル)プロパン−2−イル)−2−メチルイソインドリン−1,3−ジオン);光反応性ポリイミド、例えば、Macromolecules 2003、36、6527−6536頁に記載されている(2E,2’E)−4−(5−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(2−メチル−1,3−ジオキソイソインドリン−5−イル)プロパン−2−イル)−1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−4’−メチル−[1,1’−ビフェニル]−3,3’−ジイル ビス(3−フェニルアクリレート);光分解性ポリイミド、例えば、K.TakatohらによるThe Liquid Crystal Book Series:Alignment Technologies and Application of Liquid Crystal Devices、2005、Taylor and Francis、63頁に記載されている7−メチル−2−(4−(4−メチルベンジル)フェニル)テトラヒドロ−1H−5,9−メタノピリド[3,4−d]アゼピン−1,3,6,8(2H,4H,7H)−テトラオンおよび2−メチル−5−(4−(4−(2−(4−(p−トリルオキシ)フェニル)プロパン−2−イル)フェノキシ)フェニル)ヘキサヒドロシクロブタ[1,2−c:3,4−c’]ジピロール−1,3(2H,3aH)−ジオンを挙げることができ;ならびに光フリース転位し得る芳香族エステルとしては、Molecular Crystal and Liquid Crystal、2007、第479巻、121頁に記載されているポリ(5−メタクリルアミドナフタレン−1−イルメタクリレート);ポリ(4−メタクリルアミドナフタレン−1−イルメタクリレート);ポリ(4−メタクリルアミドフェニルメタクリレート);ポリ(4−メタクリルアミドフェネチルメタクリレート);およびポリ(4−(2−メタクリルアミドエチル)フェニルメタクリレート)が挙げられる。
【0031】
各Z基は、接着促進性基を表す。本明細書において用いる場合、用語「接着促進性」は、(コ)ポリマー構造とそれがコーティングされる基材との間の、その接着促進性基を含有するポリマーの表面にコーティングされるポリマーフィルムへの、または同ポリマーフィルム上への接着性を向上させる基または構造を意味する。接着促進性基は、(コ)ポリマーと基材または後続のコーティングとの間に分子または原子レベルで少なくとも部分的な引力を形成することによって作用することができる。引力の例としては、共有結合、極性共有結合、イオン結合、水素結合、静電引力、疎水性相互作用およびファンデルワールス引力が挙げられる。すなわち、前記接着促進性基Z上の官能基は、前記表面の官能基または後続のコーティング上の官能基と引力相互作用を形成することができる。本明細書における様々な実施形態によるコポリマーの構造内での複数の接着促進性基Zと前記基材表面または後続のコーティング材料との間の引力相互作用は、結果として、コポリマーと該基材表面および/または後続のコーティングとの間の接着性を向上させる。接着促進性基Zについての適する構造の様々な実施形態としては、ヒドロキシ、カルボン酸、無水物、イソシアナト、ブロック化イソシアナト、チオイソシアナト、ブロック化チオイソシアナト、アミノ、チオ、有機官能性シラン、有機官能性チタネート、有機官能性ジルコネート、およびエポキシが挙げられ、前記の各有機官能基は、ビニル、アリル、ビニル官能性炭化水素基、エポキシ官能性炭化水素基、アリル官能性炭化水素基、アクリロイル官能性炭化水素基、メタクリロイル官能性炭化水素基、スチリル官能性炭化水素基、メルカプト官能性炭化水素基または前述の有機官能基の組み合わせから独立して選択され、前記炭化水素基は、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルコキシ、C〜C20アルキル(C〜C20)アルコキシ、C〜C20アルコキシ(C〜C20)アルキル、アリール、ヘテロアリールおよび前述の炭化水素基の組み合わせから選択されるが、但し、Zが、ヒドロキシまたはカルボン酸であるとき、該(コ)ポリマーが、少なくとも1つの他の接着促進性基、例えば、米国特許第6,025,026号の第6欄、第5行から第8欄、第65行、同第6,150,430号の第2欄、第59行から第5欄、第44行、および同第7,410,691号の第6欄、第4行から第8欄、第19行に開示されている促進剤をさらに含むことを条件とする。本明細書において用いる場合、用語「ブロック化された」は、イソシアナトまたはチオイソシアナト基に関して用いるとき、イソシアナトまたはチオイソシアナト基を、ブロッキング基が除去されるまでそのイソシアナトまたはチオイソシアナト基が反応しないように保護するための基と可逆的に反応させた構造を指す。一般に、イソシアナトまたはチオイソシアナト基をブロック化するために使用される化合物は、活性水素原子を有する有機化合物、例えば、揮発性アルコール、イプシロン−カプロラクタムまたはケトオキシム化合物であり得る。ブロッキング基の例としては、X.Tasselら、「A New Blocking Agent of Isocyanates」、European Polymer Journal、2000、36、1745−1751およびZ.W.Wicks Jr.、Progress in Organic Coatings、1975、3、73−99に記載されているものを含む、アミン、ヒドロキサム酸エステル(hydrooxamic esters)、置換または非置換ピラゾール基、フェノール、クレゾール、ノニルフェノール、カプロラクタム、トリアゾール、イミダゾリン、オキシム、ホルメートおよびジアセトンが挙げられる。
【0032】
式Iにさらに言及すると、様々な実施形態によると、「n」は、10から10,000、例えば100から5,000または500から2,000の範囲の値を有することができる。特定の実施形態によると、「x」は、0<x≦1の値を有することができ、「y」は、0≦y<1の値を有することができ、x+y=1である。すなわち、これらの特定の実施形態によると、前記(コ)ポリマーは、MおよびMモノマー残基しか含有しない。他の実施形態、例えば本明細書に記載するものにおいて、前記(コ)ポリマーは、追加のモノマー残基を含むことがある。これらの実施形態において、x=1の場合(すなわち、y=0のとき)には、LおよびZの少なくとも一方が、少なくとも1つのZ接着促進性基でさらに置換されている。
【0033】
本明細書に記載する(コ)ポリマーのさらに他の実施形態において、式Iによって表されるコポリマー構造は、構造:
【0034】
【化3】

を有する置換モノマー単位Mの残基をさらに含むことがあり、ここで、各Mは、独立して、置換または非置換アクリロイル単位(前記アクリロイルの置換基は、C〜Cアルキル、フェニル、−O−およびこれらの組み合わせから選択される)、置換もしくは非置換スチレン単位、置換もしくは非置換エポキシ単位、置換もしくは非置換ウレタン単位、置換もしくは非置換ポリカルボン酸単位、置換もしくは非置換ポリオール単位、置換もしくは非置換ポリアミン単位または置換もしくは非置換ヒドロキシアルカン酸単位(前記置換基は、C〜C20アルキル、C〜C20アルコキシ、C〜C10シクロアルキル、C〜C20アルキル(C〜C20)アルコキシ、ハロ(C〜C20)アルキル、ヘテロシクロ(C〜C10)アルキル、ハロアリール、ハロ(C〜C20)アルキルアリール、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシアリール、ヘテロアリール、アリール(C〜C20)アルキル、ヘテロアリール(C〜C20)アルキルから選択される)から選択されるモノマー単位の残基であり得る。各Lは、本明細書に記載するスペーサー基から独立して選択され得るスペーサー基である。様々な実施形態によると、前記Z基は、剛直棒状液晶基、剛性屈曲棒状液晶基、または剛性円板状液晶基から選択され得るメソゲン構造である。これらの実施形態によると、「z」は、x+y+z=1であるように0<z<1の値を有することができる。すなわち、このコポリマーは、M、MおよびMによって表されるモノマー構造の残基から成り得る。これらの実施形態において、y=0である場合には、L、Z、LおよびZのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのZ接着促進性基でさらに置換されている。すなわち、前記コポリマーのすべての実施形態において、前記コポリマーのモノマー残基は、少なくとも1つのZ接着促進性基を有する置換基を有するであろう。
【0035】
本開示のさらに他の実施形態は、式II:
【0036】
【化4】

によって表される構造を含む(コ)ポリマーを規定し、この式中、基M、M、M、L、L、L、Z、ZおよびZは、本明細書に示すとおりの構造を有する。「n」の値は、10から10,000、例えば100から5,000、または500から2,000の範囲である。式IIによると、「x」は、0<x≦1の値を有することができ;「y」は、0≦y<1の値を有することができ;「z」は、0≦z<1の値を有することができ、x+y+z=1であるが、但し、x=1のときには、LおよびZの少なくとも一方が、少なくとも1つのZ接着促進性基でさらに置換されていること、ならびにy=0のときには、L、Z、LおよびZのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのZ接着促進性基でさらに置換されていることを条件とする。
【0037】
特定の実施形態において、M、MおよびMは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換アクリロイルオキシ単位または置換もしくは非置換メタクリロイルオキシ単位の残基であり得、ならびにZは、二量体化可能な置換もしくは非置換シンナメートまたは二量体化可能な置換もしくは非置換クマリンから選択される光化学活性発色団であり得る。
【0038】
本明細書に記載する(コ)ポリマーの様々な実施形態によると、Zメソゲン構造は、
−[G−[Sj’−[G−[Sd’−[G−[Se’−[S
によって表される構造を有することができる。前記Zメソゲン構造によると、G、GおよびGをそれぞれ、非置換もしくは置換芳香族基、非置換もしくは置換脂環式基、非置換もしくは置換複素環式基およびこれらの混合物から選択される二価の基(この場合の置換基は、ヒドロキシ;アミノ;ハロゲン;C〜C18アルケニル;C〜C18アルキニル;アジド;シリル;シロキシ;シリルヒドリド;(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ;チオ;イソシアナト;チオイソシアナト;アクリロイルオキシ;メタクリロイルオキシ;2−(アクリロイルオキシ)エチルカルバミル;2−(メタクリロイルオキシ)エチルカルバミル;アジリジニル;アリルオキシカルボニルオキシ;エポキシ;カルボン酸;カルボン酸エステル;アクリロイルアミノ;メタクリロイルアミノ;アミノカルボニル;C〜C18アルキルアミノカルボニル;アミノカルボニル(C〜C18)アルキル;C〜C18アルコキシカルボニル;C〜C18アルキルカルボニル;アリールオキシカルボニルオキシ;ペルフルオロ(C〜C18)アルキルアミノ;ジ−(ペルフルオロ(C〜C18)アルキル)アミノ;C〜C18アセチル;C〜C10シクロアルキル;C〜C10シクロアルコキシ;C〜C18アルキルオキシカルボニルオキシ;ハロカルボニル;水素;アリール;ヒドロキシ(C〜C18)アルキル;C〜C18アルキル;C〜C18アルコキシ;アミノ(C〜C18)アルキル;C〜C18アルキルアミノ;ジ−(C〜C18)アルキルアミノ;C〜C18アルキル(C〜C18)アルコキシ;C〜C18アルコキシ(C〜C18)アルコキシ;ニトロ;ポリ(C〜C18)アルキルエーテル;(C〜C18)アルキル(C〜C18)アルコキシ(C〜C18)アルキル;ポリ(C〜C18)アルコキシ;エチレン;アクリロイルオキシ(C〜C18)アルキル;メタクリロイルオキシ(C〜C18)アルキル(methacryloxyloxy(C〜C18)alkyl);2−クロロアクリロイルオキシ;2−フェニルアクリロイルオキシ;アクリロイルオキシフェニル;2−クロロアクリロイルアミノ;2−フェニルアクリロイルアミノカルボニル;オキセタニル(oxtanyl);グリシジル;シアノ;イソシアナト(C〜C18)アルキル;イタコン酸エステル;ビニルエーテル;ビニルエステル;スチレン誘導体;主鎖または側鎖液晶ポリマー;シロキサン誘導体;エチレンイミン誘導体;マレイン酸誘導体;フマル酸誘導体;シアノ、ハロもしくはC〜C18アルコキシで一置換されているか、またはハロで多置換されている、直鎖または分岐C〜C18アルキル;非置換桂皮酸誘導体;メチル、メトキシ、シアノまたはハロゲンのうちの少なくとも1つで置換されている桂皮酸誘導体から選択される);ステロイド基、テルペノイド基、アルカロイド基もしくはこれらの混合物から選択される、置換されているかもしくは非置換であるキラルもしくは非キラルの一価もしくは二価の基(この場合の置換基は、C〜C18アルキル、C〜C18アルコキシ(allkoxy)、アミノ、C〜C10シクロアルキル、C〜C18アルキル(C〜C18)アルコキシ、フルオロ(C〜C18)アルキル、シアノ、シアノ(C〜C18)アルキル、シアノ(C〜C18)アルコキシまたはこれらの混合物から独立して選択される);または次の式のうちの1つを含む基:−M(T)(t−1)および−M(OT)(t−1)(これらの式中、Mは、アルミニウム、アンチモン、タンタル、チタン、ジルコニウムおよびケイ素から選択され、Tは、有機官能性基、有機官能性炭化水素基、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択され、「t」は、Mの原子価である)から、各存在について独立して選択することができる。メソゲン構造Zにさらに言及すると、Rは、H、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、ハロアルキル、アリール、C〜C18アルキル、またはC〜C18アルコキシであり得る。さらに、変数「j」、「d」、「e」および「f」は、0から20(0および20を含む)の範囲の整数から選択される値をそれぞれ独立して有することができ、ならびに「j’」、「d’」および「e’」は、それぞれ独立して0から4の整数であり得るが、但し、j’+d’+e’の合計が少なくとも1であることを条件とする。Zメソゲン構造にさらに言及すると、S、S、SおよびSはそれぞれ、(a)−(CH−、−(CF−、−Si(Z’)(CH−、または−(Si(CHO)−(これらの式中、Z’は、水素、C〜C18アルキル、C〜C10シクロアルキルまたはアリールから各存在について独立して選択され、「g」は、1から20より各存在について独立して選択され、および「h」は、1から16(1および16を含む)の自然数である);(b)−N(Y)−、−C(Y)=C(Y)−、−C(Y)=N−、−C(Y’)−C(Y’)−、または単結合(これらの式中、各Yは、水素、C〜C18アルキル、C〜C10シクロアルキルおよびアリールから各存在について独立して選択され、ならびに各Y’は、C〜C18アルキル、C〜C10シクロアルキルおよびアリールから各存在について独立して選択される);あるいは(c)−O−、−C(O)−、−C≡C−、−N=N−、−S−、−S(O)−、−S(O)(O)−、−(O)S(O)O−、−O(O)S(O)O−、アリーレン、C〜C10シクロアルキレン、または直鎖もしくは分岐C〜C24アルキレン残基(該C〜C24アルキレン残基は、非置換であるか、シアノもしくはハロにより一置換されているか、またはハロにより多置換されている)から選択されるスペーサー単位より各存在について独立して選択され得るスペーサー単位であるが、但し、ヘテロ原子を含む2つのスペーサー単位が一つに連結されているとき、これらのスペーサー単位は、ヘテロ原子が互いに直接連結されないように連結されていること、ならびにSおよびSが別の基に連結されているとき、それらは、2個のヘテロ原子が互いに直接連結されないように連結されていることを条件とする。
【0039】
メソゲンZについての他の適する構造の例は、例えば、米国特許出願第12/489,811号の段落[0018]−[0040]において見つけることができ;ならびにDemusら、「Fluessige Kristalle in Tabellen」、VEB Deutscher Verlag Fuer Grundstoffindustrie、Leipzig、Germany、1974および「Fluessige Kristalle in Tabellen II」、VEB Deutscher Verlag Fuer Grundstoffindustrie、Leipzig、Germany、1984に記載されているものを含む。本開示に基づいて、当該技術分野の技術者には、これらの参考文献に示されているメソゲン構造の前記モノマー単位Mの構造への組み込み方がわかるであろう。
【0040】
本明細書における様々な実施形態による(コ)ポリマーは、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、線状コポリマー、分岐コポリマー、多分岐コポリマー、樹状コポリマーまたは星型コポリマーのポリマー形態を有し得る。特定の実施形態において、前記(コ)ポリマーは、異なる区画が、例えばランダムポリマー区画およびブロックポリマー区画などの異なる形態を有し得るポリマー鎖を含むことがある。列挙した形態の1つ以上を有する(コ)ポリマーの形成は、付加重合、縮重合、制御「リビング」重合、アニオン重合、カチオン重合およびラジカル重合をはじめとする当該技術分野において公知の重合法を用いて果たすことができる。
【0041】
本明細書に記載する様々な実施形態の(コ)ポリマーは、フォトクロミック化合物、二色性化合物、フォトクロミック−二色性化合物ならびに感光性材料および非感光性材料のうちの少なくとも1つのものの残基をさらに含むことがある。本明細書に記載する(コ)ポリマーは、1つ以上の添加剤をさらに含む組成物中に存在することがある。前記添加剤を、フォトクロミック化合物、二色性化合物、フォトクロミック−二色性化合物、感光性材料、液晶、液晶特性制御用添加剤、非線形光学材料、染料、配向促進剤、反応速度増進剤(kinetic enhancer)、光開始剤、熱開始剤、界面活性剤、重合抑制剤、溶剤、光安定剤、熱安定剤、離型剤、レオロジー制御剤、ゲル化剤、レベリング剤、フリーラジカルスカベンジャー、カップリング剤、チルト制御用添加剤(tilt control additive)、ブロックポリマー材料または非ブロックポリマー材料、および接着促進剤から成る群より選択することができる。適するフォトクロミック化合物、二色性化合物、フォトクロミック−二色性化合物、感光性材料、非感光性材料の例は、例えば、2008年12月8日出願の「Alignment Facilities for Optical Dyes」と題する米国特許出願第12/329,197号の段落[0090]−[0102]およびそこに引用されている参考文献;ならびに2008年6月27日出願の「Formulations Comprising Mesogen Containing Compounds」と題する米国特許出願第12/163,180号の段落[0064]−[0084]およびそこに引用されている参考文献において見つけることができる。本明細書に開示する様々な実施形態に関連して使用することができる二色性染料の他の例としては、米国特許第7,044,599号の第7欄、第18−56行に開示されているものが挙げられる。本明細書に開示する様々な実施形態に関連して使用することができるフォトクロミック−二色性染料の例としては、米国特許出願公開第2005/0004361号の第27段落から第158段落、および同第2005/0012998号A1の第89段落から第251段落に示され記載されている材料が挙げられる。前記1つ以上の添加剤についての適する組成物の例は、2008年6月27日出願の「Formulations Comprising Mesogen Containing Compounds」と題する米国特許出願第12/163,180号の段落[0085]−[0108]およびそこに引用されている参考文献に詳細に記載されている。
【0042】
本開示のさらに他の実施形態は、少なくとも1つの光配向可能な部分を含む製造物品を規定する。前記光配向可能な部分は、式Iまたは式IIのいずれかによって表される構造を有する(コ)ポリマーを含むことができ、これらの式中の基M、M、M、L、L、L、Z、ZおよびZは、本明細書に示すとおりの構造を有する。「n」の値は、10から10,000の範囲であり、ならびに「x」、「y」および「z」の値は、本明細書に記載するとおりである。
【0043】
前記製造物品は、光配向層を内蔵しており、基材および/または後続のコーティングの表面への該光配向層の接着が該物品の効用および寿命にとって重要である、任意のタイプの商用物品であり得る。例えば、特定の実施形態において、前記製造物品は、能動液晶セル、受動液晶セル、光学素子、または眼科用素子であり得る。光学素子の例としては、眼科用素子および装置、表示素子および装置、窓、鏡、ならびに能動および受動液晶セル素子および装置が挙げられる。眼科用素子の例としては、矯正レンズおよび非矯正レンズ[単焦点レンズまたは多焦点レンズを含み、該多焦点レンズは、セグメント型多焦点レンズであっても非セグメント型多焦点レンズ(例えば、二焦点レンズ、三焦点レンズおよび累進レンズ)であってもよい]、ならびに視力を(美容のためにまたは別様に)矯正するか、保護するかまたは向上させる他の素子[コンタクトレンズ、眼内レンズ、拡大鏡および保護レンズまたはバイザを含む]が挙げられ;部分的に形成されるレンズおよびレンズブランクも挙げることができる。本明細書において用いる場合、用語「表示」は、語、数、記号、デザインまたは図での情報の目で見ることができるまたは機械で読み取ることができる描出を意味する。表示素子および装置の例としては、スクリーン、モニターおよびセキュリティ素子(セキュリティマークおよび認証マークを含む)が挙げられる。本明細書において用いる場合、「窓」は、そこを通して放射線を透過させ得ることに即した開口部を意味する。窓の例としては、自動車および航空機の透明材、フィルタ、シャッター、光スイッチが挙げられる。本明細書において用いる場合、用語「鏡」は、入射光の大部分を正反射する表面を意味する。本明細書において用いる場合、用語「液晶セル」は、秩序をもたせることができる液晶材料を含有する構造物を指す。能動液晶セルは、外力、例えば電場または磁場を加えることにより液晶材料を秩序状態と無秩序状態との間または2つの秩序状態間で切り替えが可能であるセルである。受動液晶セルは、液晶材料が秩序状態を維持するセルである。能動液晶セル素子またはデバイスの一例は、液晶表示装置である。
【0044】
本明細書に記載するように、特定の実施形態において光学素子はセキュリティ素子である。セキュリティ素子の例としては、基材の少なくとも一部分に接続されているセキュリティマークおよび認証マーク、例えば、入場許可証および通行証、例えばチケット、バッジ、身分証明書または会員証、デビットカードなど;有価証券および非有価証券、例えば為替手形、小切手、債権、約束手形、譲渡性定期預金証明書、株券など;公文書、例えば通貨、免許証、身分証明書、給付書(benefit cards)、ビザ、パスポート、公的証明書、証書など;消費財、例えばソフトウェア、コンパクトディスク(「CD」)、デジタル・ビデオ・ディスク(「DVD」)、電化製品、大衆消費電子製品、運動具、車など;クレジットカード;ならびに商品タグ、ラベルおよび包装が挙げられる。
【0045】
透明基材および反射基材から選択される基材の少なくとも一部分にセキュリティ素子を接続することができる。あるいは、反射基材を必要とする特定の実施形態によると、基材が反射性でない場合または所期の用途にとって十分な反射性でない場合、先ず反射材をその基材の少なくとも一部分に塗布し、その後、そこにセキュリティマークをつけることができる。例えば、反射性アルミニウムコーティングを基材の少なくとも一部分に塗布し、その後、その上にセキュリティ素子を形成することができる。なお、さらに、色の付いていない基材、色付き基材、フォトクロミック基材、色付きフォトクロミック基材、直線偏光基材、円偏光基材、および楕円偏光基材から選択される基材の少なくとも一部分にセキュリティ素子を接続することができる。
【0046】
さらに、上述の実施形態によるセキュリティ素子は、米国特許第6,641,874号に記載されているような視角依存特性を有する多層反射セキュリティ素子を形成するための1つ以上の他のコーティングまたはシートをさらに含むことができる。
【0047】
他の実施形態によると、本開示は、光学素子を規定する。これらの実施形態によると、光学素子は、基材と該基材の少なくとも一部分の上の第一の少なくとも部分的な層を含むことがある。前記第一の少なくとも部分的な層は、本明細書に記載するようなコポリマー材料、例えば、本明細書に記載するとおりの式Iまたは式IIのいずれか一方によって表される構造を有するコポリマーを含み得る。本明細書に記載する場合、光学素子は、眼科用素子、表示素子、窓、鏡、能動液晶セル素子または受動液晶セル素子を意味する。
【0048】
本明細書において用いる場合、用語「層」または「コーティング」は、均一な厚みを有しても有さなくともよい、流動性組成物から誘導される支持されたフィルムを意味し、具体的にはポリマーシートを除外する。層またはコーティングを光学素子の表面への塗布後に硬化させて、硬化層またはコーティングを形成することができる。本明細書において用いる場合、用語「シート」は、おおむね均一な厚みを有する自立可能な予備成形フィルムを意味する。さらに、本明細書において用いる場合、用語「に接続されている」は、物体と直接接触している状態、または1つ以上の他の構造物もしくは材料を介して物体と間接的に接触しており、該1つ以上の他の構造物もしくは材料の少なくとも1つが該物体と直接接触している状態を意味する。従って、本明細書に開示する様々な実施形態によると、前記少なくとも部分的なコーティングは、前記基材の少なくとも一部分と直接接触していることがあるか、または1つ以上の他の構造物もしくは材料を介して前記基材の少なくとも一部分と間接的に接触していることがある。例えば、前記少なくとも部分的なコーティングは、1つ以上の他の少なくとも部分的なコーティング、ポリマーシートまたはこれらの組み合わせと接触していることがあり、これらのうちの少なくとも1つが、前記基材の少なくとも一部分と直接接触している。本明細書において用いる場合、句「少なくとも部分的な」は、その層またはコーティングに関して用いるとき、層またはコーティングが、基準コーティング面積の5%から100%の面積を覆っていることを意味する。本明細書において用いる場合、句「少なくとも一部分」は、基材の表面に関して用いるとき、その基材表面の総面積の1%から100%にわたる範囲の表面積を意味する。
【0049】
本明細書において論ずる場合、本明細書に記載するコポリマー材料は、基材表面への向上した接着性を示し、そして/または後続のコーティング材料層の向上した接着性に必要なものを提供する。コーティング材料の接着性、例えば、基材表面へのコーティングの接着性またはコーティング材料の表面に対する後続のコーティングの接着性を測定するための1つの方法は、クロスハッチ接着テープ試験によるものである。この方法に従って、例えばナイフ、小刀、かみそりの刃、クロス・ハッチ・カッターまたは他の切断器具を用いて、コーティング材料にクロス・ハッチ・パターンの切り目を入れる。コーティング表面のその切り目の上に感圧テープを貼り、迅速に除去する(ASTM D3359により記載されているとおり)。次に、そのクロスハッチ切り目を有する領域をコーティング除去について点検し、査定する。様々な実施形態において、本明細書に記載する基材の表面のコポリマー材料の少なくとも部分的な層は、クロスハッチ接着性試験法によって測定して、10%から100%接着性を示すであろう。他の実施形態は、25%から100%の接着性を示すことがあっても、50%から100%の接着性を示すことがあってもよく、特定の実施形態では100%接着性を示すことさえある。当該技術分野において理解されているであろうような他の接着性試験法を用いて、基材表面へのコポリマー材料の接着性またはコポリマー材料層への後続のコーティングの接着性を測定してもよい。これらの方法としては、例えば、ナイフ試験、引き離し(pull off)試験、引っ掻き試験または他の試験法が挙げられる。代替接着法は、クロスハッチ接着性試験で見られるのと同等の結果を生じさせるであろう。
【0050】
特定の実施形態によると、前記第一の少なくとも部分的な層は、後続の配向可能なコーティングの塗布および配向度の判定によって判定して、少なくとも部分的に配向させることができる。本明細書において用いる場合、句「少なくとも部分的に」は、層中の配向可能な材料の配向度に関して用いるとき、該材料の配向可能な要素の10%から100%が配向されることを意味する。他の実施形態は、25%から100%配向を示すことがあっても、50%から100%配向を示すことがあってもよく、特定の実施形態では100%配向を示すことさえある。前記第一の少なくとも部分的な層を平行指向、楕円形、扇形、垂直またはらせん指向で少なくとも部分的に配向させることができる。前記第一の少なくとも部分的な層を少なくとも部分的に配向させることに適する方法は、前記組成物の少なくとも一部分を磁場に曝露すること、前記組成物の少なくとも一部分を剪断力にさらすこと、前記組成物の少なくとも一部分を電場に曝露すること、前記組成物の少なくとも一部分を平面偏光紫外線に曝露すること、前記組成物の少なくとも一部分を赤外線に曝露すること、前記組成物の少なくとも一部分を乾燥させること、前記組成物の少なくとも一部分をエッチングすること、前記組成物の少なくとも一部分をラビングすること、および前記組成物の少なくとも一部分を別の構造または材料、例えば少なくとも部分的に秩序ある配向を有する媒体と同じ方向に配向させることのうちの少なくとも1つを含む。層についての適する配向方法は、より詳細に米国特許第7,097,303号の第27欄、第17行から第28欄、第45行に記載されている。特定の実施形態では、前記少なくとも部分的な層を偏波への曝露によって少なくとも部分的に配向させることができる。
【0051】
少なくとも第一の部分的な層を偏波への曝露によって少なくとも部分的に配向させる実施形態によると、式IおよびIIの構造で表されるような(コ)ポリマー中の光化学活性発色団Zは、光化学反応を受けて該(コ)ポリマー中に少なくとも部分的に配向した構造を形成することができる。例えば、Zが二量体化可能なシンナメートまたはクマリンである構造では、該シンナメートまたはクマリンが、隣接ポリマー鎖上のシンナメートもしくはクマリンとともに、または同ポリマー鎖上の隣接部位のシンナメートもしくはクマリンとともに、光化学的に[2+2]付加環化/二量体化して少なくとも部分的に配向した構造を形成することができる。Zがcis/trans異性化可能なアゾである場合、前記構造が光化学的にcis/trans異性化して少なくとも部分的に配向した構造を生じさせることができる。Zが光化学分解性ポリイミドである場合、該ポリイミドが光化学分解されて少なくとも部分的に配向した構造を生じさせることができる。Zが、光化学的光フリース転位し得る芳香族エステルである場合、該芳香族エステルは、光化学転位して少なくとも部分的に配向した構造を生じさせることができる。
【0052】
特定の実施形態では、前記第一の少なくとも部分的な層の少なくとも一部分を、例えば該部分を偏波に曝露することにより、第一の方向に配向させることができ、前記第一の少なくとも部分的な層の少なくとも第二の部分を、例えば異なる方向に偏光される電磁線への該第二の部分の曝露により、前記第一の方向とは異なる方向に配向させることができる。当業者には理解されるように、この方法を用いて前記第一の少なくとも部分的な層の様々な部分を使用者の望みどおりに様々な方向に配向させることができる。
【0053】
特定の実施形態によると、本明細書に記載するように少なくとも部分的に配向させることができる第一の少なくとも部分的な層を有する光学素子は、基材の表面の少なくとも一部分の上に1つ以上の追加の少なくとも部分的な層をさらに含むことがある。本明細書において用いる場合、句「基材の表面の少なくとも一部分の上に」は、基材の表面に直接塗布された層、および基材の表面の1つ以上の層に塗布されたコーティング層を含む。すなわち、1つ以上の追加の層を基材表面、または基材表面に以前に塗布された1つ以上の中間層に直接塗布することができ、それによって層状多層コーティングを形成することができる。様々な実施形態によると、前記1つ以上の追加の少なくとも部分的な層は、タイ層、プライマー層、耐摩耗性コーティング、硬質コーティング、保護コーティング、反射コーティング、フォトクロミックコーティング、二色性コーティング、フォトクロミック−二色性コーティング、反射防止コーティング、直線偏光コーティング、円偏光コーティング、楕円偏光コーティング、遷移コーティング、液晶材料層、配向材料層、相溶化コーティング、機能性有機コーティング、リターダー層、またはこれらのうちの任意のものの組み合わせから選択することができる。もう1つの実施形態において、前記追加の層は、プライマー層、保護コーティング、遷移コーティングおよび前述のコーティングの組み合わせから選択される。さらなる実施形態において、前記プライマー層は、ポリウレタンである。
【0054】
本明細書に開示する様々な実施形態によると、前記機能性有機コーティングは、配向液晶コーティングと配向二色性染料とを含む偏光コーティングであることがある。本明細書において用いる場合、「偏光コーティング」は、光波の磁気ベクトルの振動を1つの方向または面に制限することに即するコーティングを指す。欠かせなくはないが、一般に、従来の二色性染料を含む偏光コーティングは、その二色性染料の存在に起因して、一定の(または固定された)色合いまたは色を有するだろう。例えば、偏光コーティングは、褐色を帯びたまたは青みを帯びた色または色合いを有することがある。本明細書に開示する様々な実施形態に関連して使用することができる配向液晶材料と二色性染料とを含む偏光コーティングの例は、米国特許出願公開第2005/0151926号の第10段落から第159段落に記載されている。
【0055】
本明細書に開示する様々な実施形態による偏光コーティングは、フォトクロミック材料をさらに含むことがある。これらの実施形態によると、コーティングは、偏光コーティングでもありフォトクロミックコーティングでもある、すなわち、従来の偏光特性も従来のフォトクロミック特性も示すものであることがある。例えば、本明細書に開示する様々な実施形態によると、前記偏光およびフォトクロミックコーティングは、化学線に曝露されていないときには主として二色性染料の色合いに起因する第一の有色偏光状態を有し得、および化学線に曝露されたときには二色性染料の色合いと化学線に曝露されたときのフォトクロミック材料の色の総合作用に起因する第二の有色偏光状態を有し得る。例えば、前記光学素子が、偏光およびフォトクロミックコーティングを含む眼科用レンズである場合、該レンズは、着用者が日光からのUVまたは化学線に曝露されていないときの第一の有色偏光状態から、着用者が日光からのUVまたは化学線に曝露されているときの第二の有色状態、偏光状態に可逆的に切り替わることができる。
【0056】
従来のフォトクロミックコーティングの例としては、下で詳細に論ずる従来のフォトクロミック化合物のいずれかを含むコーティングが挙げられる。例えば、フォトクロミックコーティングは、フォトクロミック・ポリウレタン・コーティング、例えば米国特許第6,187,444号に記載されているもの;フォトクロミックアミノプラスト樹脂コーティング、例えば米国特許第4,756,973号、同第6,432,544号および同第6,506,488号に記載されているもの;フォトクロミック・ポリシラン・コーティング、例えば米国特許第4,556,605号に記載されているもの;フォトクロミック・ポリ(メタ)アクリレート・コーティング、例えば米国特許第6,602,603号、同第6,150,430号および同第6,025,026号、ならびにWO 01/02449に記載されているもの;ポリ酸無水物フォトクロミックコーティング、例えば米国特許第6,436,525号に記載されているもの;フォトクロミック・ポリアクリルアミド・コーティング、例えば米国特許第6,060,001号に記載されているもの;フォトクロミックエポキシ樹脂コーティング、例えば米国特許第4,756,973号および同第6,268,055号に記載されているもの;ならびにフォトクロミック・ポリ(ウレア−ウレタン)コーティング、例えば米国特許第6,531,076号に記載されているものであり得る。
【0057】
さらに、本明細書に開示する様々な実施形態によると、前記機能性有機コーティングは、配向フォトクロミック−二色性材料を含む配向液晶コーティングを含むフォトクロミック−二色性コーティングであることがある。本明細書において用いる場合、用語「フォトクロミック−二色性コーティング」は、少なくとも化学線に応答してフォトクロミック特性と偏光特性の両方を示すことに即するコーティングを指す。例えば、本明細書に開示する様々な実施形態によると、機能性有機コーティングは、第一の光学的に明澄な非偏光状態から少なくとも化学線に応答して第二の有色偏光状態に可逆的に切り替わることに即するフォトクロミック−二色性コーティングであり得る。例えば、光学素子が、フォトクロミック−二色性コーティングを含む眼科用レンズである場合、該レンズは、着用者が例えば日光から出るUVまたは化学線に曝露されていないときの光学的に明澄な非偏光状態から、着用者が例えば日光からのUVまたは化学線に曝露されているときの有色偏光状態に可逆的に切り替わることができる。そのようなコーティングの例は、米国特許出願公開第2005/0012998号、第11段落から第442段落に記載されている。
【0058】
本明細書に開示する様々な実施形態に関連して使用することができるプライマー層の例としては、カップリング剤、カップリング剤の少なくとも部分的な加水分解物およびこれらの混合物を含むコーティングが挙げられる。本明細書において用いる場合、「カップリング剤」は、少なくとも1つの表面の基と反応、結合、そして/または会合することができる少なくとも1つの基を有する材料を意味する。1つの実施形態において、カップリング剤は、同種表面であっても異種の表面であってもよい少なくとも2つの表面の界面で分子架橋としての役割を果たすことができる。もう1つの実施形態において、カップリング剤は、モノマー、オリゴマー、プレポリマーおよび/またはポリマーであり得る。そのような材料としては、有機金属、例えばシラン、チタネート、ジルコネート、アルミネート、アルミン酸ジルコニウム、これらの加水分解物およびこれらの混合物が挙げられる。本明細書において用いる場合、句「カップリング剤の少なくとも部分的な加水分解物」は、カップリング剤上の加水分解性の基のうちの少なくともいくつか以上全てまでが加水分解されることを意味する。カップリング剤および/またはカップリング剤の加水分解物に加えて、プライマー層は、他の接着促進成分を含むことがある。例えば、プライマー層は、接着促進量のエポキシ含有材料をさらに含むことがある。接着促進量のエポキシ含有材料は、カップリング剤含有コーティング組成物に添加されると、後に塗布されるコーティングの接着性を、該エポキシ含有材料が本質的に含まれないカップリング剤含有コーティング組成物と比較して、向上させることができる。本明細書に開示する様々な実施形態に関連して使用することに適しているプライマー層の他の例としては、米国特許第6,150,430号、米国特許第6,042,737号および米国特許第6,025,026号に記載されているものが挙げられる。プライマー層のなおもさらなる例としては、ポリウレタンコーティング組成物、例えば米国特許第6,187,444号に記載されているもの、およびポリ(ウレア−ウレタン)コーティング組成物、例えば米国特許第6,532,076号に記載されているものが挙げられ、これらのコーティング組成物の両方をフォトクロミック材料とともに、またはフォトクロミック材料なしで使用することができる。
【0059】
本明細書に開示する様々な実施形態に関連して使用することができる機能性有機コーティングの他のタイプとしては、ペイント、例えば、基材の装飾、保護および/または識別のために使用される着色液またはペースト;ならびにインク、例えば、基材上への書き込みおよび印刷に、例えば、本物であることの認証または照合が望まれ得るセキュリティ文書、例えば銀行券、パスポートおよび運転免許証などの文書上に照合用マークを作成する際に使用される着色液またはペーストが挙げられる。さらに、上で論じたように、配向液晶コーティングは、二色性を示すことに即した材料を含むことがあり、二色性を示すことに即した材料の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に配向した液晶材料の少なくとも一部分と同じ方向に、少なくとも部分的に配向させることができる。
【0060】
本明細書において用いる場合、用語「遷移コーティング」は、2つのコーティング間の特性の勾配を生じさせることを助長するコーティングを指す。例えば、遷移コーティングは、相対的に硬質のコーティングと相対的に軟質のコーティングとの間の硬度の勾配を生じさせることを助長することができる。遷移コーティング(「タイ層」または「タイ層コーティング」と呼ばれることもある)の例としては、放射線硬化アクリレート系薄膜、例えば、米国特許出願公開第2003/0165686号の第79段落から第173段落;同第2004/0207809号の第108段落から第204段落;同第2005/0196616号の第107段落から第158段落;同第2005/196617号の第24段落から第129段落;同第2005/196618号の第28段落から第291段落;同第2005/0196626号の第164段落から第217段落;および同第2005/196696号の第24段落から第141段落に示されているものなどが挙げられる。
【0061】
本明細書において用いる場合、用語「反射防止コーティング」は、基材を通る光の透過率を、該基材によって反射される光の量を減少させることにより増加させるコーティングを指す。反射防止コーティングの例としては、例えば、金属酸化物、金属フッ化物または他のそのような材料の単層または多層が挙げられる。適する反射防止コーティングの例は、米国特許第5,580,819号の第2欄、第50行から第11欄、第44行において見つけることができる。
【0062】
さらに、本明細書に開示する特定の実施形態によると、前記追加のコーティングは、保護コーティング、例えば、耐摩耗性コーティング、例えば、それらの外面の「ハードコート」であることがある。例えば、市販の熱可塑性ポリカーボネート眼科用レンズ基材は、その外面に耐摩耗性コーティングを既に塗布して販売されることが多い。なぜならこれらの表面は、容易に掻き傷がつく、磨耗する、またはすり傷がつく傾向があるからである。そのようなレンズ基材の例は、GENTEX(商標)ポリカーボネートレンズ(Gentex Opticsから入手可能)である。従って、本明細書において用いる場合、用語「基材」は、その表面(単数または複数)に保護コーティング、例えば耐摩耗性コーティングを有する基材を含む。保護コーティングの他の例としては、有機シランを含む耐摩耗性コーティング;放射線硬化アクリレート系薄膜を含む耐摩耗性コーティング;無機材料、例えばシリカ、チタニアおよび/またはジルコニアを基本とする耐摩耗性コーティング;紫外光硬化性、酸素遮断コーティング、UV遮蔽コーティングおよびこれらの組み合わせであるタイプの有機耐摩耗性コーティングが挙げられる。例えば、1つの実施形態によると、保護コーティングは、UV遮蔽特性を有する放射線硬化アクリレート系薄膜の第一のコーティングと、有機シランを含む第二のコーティングとを含むことがある。商用保護コーティング製品の例としては、SDC Coatings,Inc.およびPPG Industries,Inc.からそれぞれ入手できる、SILVUE(登録商標)124およびHI−GARD(登録商標)コーティングが挙げられる。
【0063】
様々な実施形態によると、前記1つ以上の追加の少なくとも部分的な層は、第一の少なくとも部分的な層の表面に第二の少なくとも部分的な層を含むことがある。これらの実施形態において、前記第二の少なくとも部分的な層は、少なくとも1つの液晶材料を含むことがある。本明細書に記載するような第一の少なくとも部分的な層を少なくとも部分的に配向させた実施形態では、前記第二の少なくとも部分的なコーティングの少なくとも1つの液晶材料を、その第一の少なくとも部分的な層の配向と同じ方向に、少なくとも部分的に配向させることができる。これらの実施形態によると、前記第一の少なくとも部分的な層は、前記第二の少なくとも部分的な層中の液晶材料のための光配向層としての役割を果たすことができる。本明細書に開示する様々な実施形態による光配向材料とともに使用することに適する液晶材料の例としては、メソゲン含有化合物またはそれらの残基、液晶ポリマー、液晶プレポリマー、液晶モノマー、液晶メソゲン、二色性材料、およびフォトクロミック−二色性材料が挙げられる。本明細書において用いる場合、用語「プレポリマー」は、部分的に重合した材料を意味する。
【0064】
本明細書に開示する様々な実施形態によると、前記第二の少なくとも部分的な層が配向液晶層である場合、該配向液晶層は、二色性を示すことに即した材料を含むことがあり、該二色性を示すことに即した材料の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に配向した液晶材料の少なくとも一部分と同じ方向に、少なくとも部分的に配向させることができる。本明細書において用いる場合、用語「二色性を示すことに即した材料」は、少なくとも透過放射線の2つの直行する平面偏光成分の一方を他方より強く吸収することに即する材料を意味する。二色性を示すことに即する材料の例としては、二色性材料、例えば染料、およびフォトクロミック−二色性材料、例えば染料が挙げられる。特定の実施形態において、前記第二の層中の少なくとも1つの液晶材料は、少なくとも1つの二色性材料および/またはフォトクロミック−二色性材料、例えば本明細書に記載するものであり得る。本明細書において用いる場合、用語「二色性材料」は、おおむね一定の吸収スペクトルを有する材料であって、少なくとも透過放射線の2つの直行する平面偏光成分の一方を他方より強く吸収することに即する材料を意味する。本明細書において用いる場合、用語「フォトクロミック−二色性材料」は、少なくとも化学線に応答して変わる少なくとも可視線の吸収スペクトルを有する材料であって、少なくとも化学線に応答して少なくとも透過放射線の2つの直行する平面偏光成分の一方を他方より強く吸収する材料を意味する。
【0065】
図1は、本明細書に記載する1つの実施形態による光学素子100を図示する。図1では、基材110の上面の少なくとも一部分に、第一の少なくとも部分的なコーティング120が塗布される。そのコーティング120の基材110とは反対側の表面に、第二の少なくとも部分的な層130がコーティングされる。
【0066】
少なくとも1つの液晶材料を含む第二の少なくとも部分的な層を含む特定の実施形態によると、前記1つ以上の追加の少なくとも部分的な層は、第二の配向材料を含む少なくとも部分的に配向した第三の少なくとも部分的な層、および少なくとも1つの第二の液晶材料を含む第四の少なくとも部分的な層をさらに含むことがある。これらの実施形態において、前記少なくとも部分的に配向した第三の層を前記少なくとも部分的に配向した第一の層とは異なる方向に配向させることができる。その後、少なくとも1つの第二の液晶材料を、その少なくとも部分的に配向した第三の層と同じ方向に配向させることができる。前記第二の配向材料は、本明細書に記載するコポリマー材料のいずれかによって表される(式IおよびIIによって表される)構造を有することができ、第一の少なくとも部分的な層中の配向材料と構造の点で同じものを有することもあり、または異なるものを有することもある。あるいは、前記第三の少なくとも部分的な層は、本明細書に記載するコポリマー材料とは構造の点で異なる配向材料を含むことがある。さらに、前記第四の層の少なくとも1つの第二の液晶材料は、前記第二の層の少なくとも1つの液晶材料と同じこともあり、または異なることもある。前記第四の層中の少なくとも1つの第二の液晶材料の例としては、本明細書に記載するような、少なくとも1つの二色性材料および/またはフォトクロミック−二色性材料が挙げられる。
【0067】
特定の実施形態では、基材の表面の少なくとも一部分の上の部分的な層を該基材の表面に積み重ねてまたは積層状に配列することができる。例えば、第一の少なくとも部分的な層、第二の少なくとも部分的な層、第三の少なくとも部分的な層、および第四の少なくとも部分的な層が、基材の表面に積み重なっていることがある。この実施形態による光学素子200を図示する図2に言及すると、第一の少なくとも部分的な層220が基材210の上面にコーティングされる。その層220の基材210とは反対側の表面に、第二の少なくとも部分的な層230がコーティングされる。その第二の層230の第一の層220とは反対側の表面に、第三の少なくとも部分的な層240がコーティングされ、その第三の層240の第二の層230とは反対側の表面に、第四の少なくとも部分的な層250がコーティングされる。他の実施形態では、1つ以上の追加の層が、前記第四の少なくとも部分的な層の表面の少なくとも一部分に塗布されることがある。
【0068】
一般的に言うと、本明細書に開示する様々な実施形態に関連して使用することに適している基材としては、有機材料、無機材料またはこれらの組み合わせ(例えば複合材料)から形成された基材が挙げられる。本明細書に開示する様々な実施形態に従って使用することができる基材の例を下でより詳細に説明する。
【0069】
本明細書に開示する基材を形成するために使用することができる有機材料の特定の例としては、ポリマー材料、例えば、上で詳細に論じたもの、例えば、米国特許第5,962,617号におよび米国特許第5,658,501号、第15欄、第28行から第16欄、第17行に開示されているモノマーおよびモノマーの混合物から調製される、ホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。例えば、そのようなポリマー材料は、熱可塑性または熱硬化性ポリマー材料であることがあり、透明または光学的に明澄であることがあり、および要求される任意の屈折率を有することができる。そのような開示モノマーおよびポリマーの例としては、ポリオール(アリルカーボネート)モノマー、例えば、アリルジグリコールカーボネート、例えばジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)[このモノマーは、PPG Industries,Inc.により商標CR−39で販売されている];例えばポリウレタンプレポリマーとジアミン硬化剤との反応によって調製される、ポリウレア−ポリウレタン(ポリウレア−ウレタン)ポリマー[1つのこのようなポリマーについての組成物は、PPG Industriesにより商標TRIVEXで販売されている];ポリオール(メタ)アクリロイル末端カーボネートモノマー;ジエチレングリコールジメタクリレートモノマー;エトキシ化フェノールメタクリレートモノマー;ジイソプロペニルベンゼンモノマー;エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマー;エチレングリコールビスメタクリレートモノマー;ポリ(エチレングリコール)ビスメタクリレートモノマー;ウレタンアクリレートモノマー;ポリ(エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート);ポリ酢酸ビニル;ポリビニルアルコール;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリウレタン;ポリチオウレタン;熱可塑性ポリカーボネート、例えば、ビスフェノールAおよびホスゲンから誘導されるカーボネート結合樹脂[1つのこのような材料は、商標LEXANで販売されている];ポリエステル、例えば、商標MYLARで販売されている材料;ポリ(エチレンテレフタレート);ポリビニルブチラール;ポリ(メチルメタクリレート)、例えば、商標PLEXIGLASで販売されている材料;ならびにホモ重合された、またはポリチオール、ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネートおよび場合によりエチレン性不飽和モノマーもしくはハロゲン化芳香族含有ビニルモノマーと共重合および/もしくは三元共重合された、多官能性イソシアネートとポリチオールまたはポリエピスルフィドモノマーとの反応によって調製されたポリマーが挙げられる。そのようなモノマーのコポリマー、ならびに記載したポリマーおよびコポリマーと他のポリマーとのブレンドも、例えばブロックコポリマーまたは相互貫入ネットワーク生成物を形成するために、考えられる。
【0070】
本明細書に開示する様々な実施形態によると、前記基材は、眼科用基材であることがある。本明細書において用いる場合、用語「眼科用基材」は、レンズ、部分的に形成されるレンズ、およびレンズブランクを意味する。本明細書に開示する様々な実施形態による眼科用基材の形成の際の使用に適する有機材料の例としては、眼科用基材として有用である当該技術分野において認知されているポリマー、例えば、光学用途のための光学的に明澄な注型品を作製するために使用される有機光学レンズ、例えば眼科用レンズが挙げられる。
【0071】
本明細書に開示する様々な実施形態による基材の形成の際の使用に適する有機材料の他の例としては、不透明または半透明ポリマー材料、天然および合成テキスタイル、ならびにセルロース材料、例えば紙および木材、を含む、合成および天然の有機材料の両方が挙げられる。
【0072】
本明細書に開示する様々な実施形態による基材の形成の際の使用に適する無機材料の例としては、ガラス、鉱物、セラミックおよび金属が挙げられる。例えば、1つの実施形態において、前記基材は、ガラスを含むことがある。他の実施形態において、前記基材は、反射面、例えば磨きセラミック基材、金属基材または鉱物基材、を有することがある。他の実施形態では、反射コーティングまたは層を無機または有機基材の表面に堆積させてまたは別様に塗布して、それを反射性にすることまたはその反射能を強化することができる。
【0073】
なお、さらに、本明細書に開示する様々な実施形態による基材は、色の付いていない、色付き、直線偏光、円偏光、楕円偏光、フォトクロミックまたは色付きフォトクロミック基材であることがある。基材に関して本明細書において用いる場合、用語「色の付いていない」は、着色剤添加物(例えば、従来の染料)が本質的に無い基材であって、化学線に応答して有意に変動しない可視線の吸収スペクトルを有する基材を意味する。さらに、基材に関して、用語「色付き」は、着色剤添加物(例えば、従来の染料)を有する基材であって、化学線に応答して有意に変動しない可視線の吸収スペクトルを有する基材を意味する。
【0074】
本明細書において用いる場合、基材に関して、用語「直線偏光」は、放射線を直線偏光する(すなわち、光波の電気ベクトルの振動を一方向に制限する)ことに即する基材を指す。本明細書において用いる場合、基材に関して、用語「円偏光」は、放射線を円偏光させることに即する基材を指す。本明細書において用いる場合、基材に関して、用語「楕円偏光」は、放射線を楕円偏光させることに即する基材を指す。さらに、本明細書において用いる場合、基材に関して、用語「色付きフォトクロミック」は、着色剤添加ばかりでなくフォトクロミック材料を含有する基材であって、少なくとも化学線に応答して変動する可視線の吸収スペクトルを有する基材を意味する。従って、例えば、色付きフォトクロミック基材は、着色剤に特有の第一の色、および着色剤と化学線に曝露されたときのフォトクロミック材料との組み合わせに特有の第二の色を有し得る。
【0075】
本開示のさらに他の実施形態は、液晶セルに関する。これらの実施形態によると、液晶セルは、第一の表面を含む第一の基材と、前記第一の基材の第一の表面とは反対側に第二の表面を含む第二の基材と、前記第二の表面に対向する前記第一の表面の少なくとも一部分の上の第一の少なくとも部分的な層と、前記第一の表面に対向する前記第二の表面の少なくとも一部分の上の第二の少なくとも部分的な層と、(前記第一の少なくとも部分的な層および前記第二の少なくとも部分的な層は、それらの間の空間を規定する)、前記第一の少なくとも部分的な層と前記第二の少なくとも部分的な層との間の空間内の液晶材料とを含むことがある。様々な実施形態によると、前記第一の少なくとも部分的な層および前記第二の少なくとも部分的な層は、配向層である。特定の実施形態において、前記第一の少なくとも部分的な層および前記第二の少なくとも部分的な層の少なくとも一方は、本明細書に示すとおりの式Iおよび式IIの一方によって表される構造を有する(コ)ポリマーを含むことができ、これらの式中の基M、M、M、L、L、L、Z、ZおよびZは、本明細書に示すとおりの構造を有する。「n」の値は、10から10,000の範囲であり、ならびに「x」、「y」および「z」についての値は、本明細書に記載するとおりである。前記液晶セルの第一および第二の基材に適する基材としては、本明細書に記載する任意の基材を挙げることができる。特定の実施形態において、前記第一および第二の基材は、その基材材料を通っての電磁線の透過が可能であり得る(すなわち、前記基材は、光学的に明澄であるか、透明であるか、半透明である)。
【0076】
特定の実施形態では、前記第一の少なくとも部分的な層と前記第二の少なくとも部分的な層の両方が、式IおよびIIの一方によって表される構造を有する(コ)ポリマーを含むことがある。前記第一および第二の層両方が、本明細書に記載するような(コ)ポリマー材料を含む特定の実施形態において、前記第一の表面の上の(コ)ポリマーは、前記第二の表面の上の(コ)ポリマーと同じポリマー構造を有することがある。すなわち、前記第一および第二の表面両方の上の(コ)ポリマーが、M、M、M、L、L、L、Z、ZおよびZについて同じモノマー構造を有する。他の実施形態において、前記第一の表面の上の(コ)ポリマーのポリマー構造は、前記第二の表面の上の(コ)ポリマーのポリマー構造とは異なることがある。すなわち、前記第一および第二の表面両方の上の(コ)ポリマーは、式IおよびIIの一方によって表すことができる構造を有し得るが、各表面の上のポリマー構造は、M、M、M、L、L、L、Z、ZおよびZのうちの少なくとも1つについて構造の点で異なることがある。
【0077】
特定の実施形態では、前記第一の少なくとも部分的な層および前記第二の部分的な層の少なくとも一方を少なくとも部分的に配向させる。例えば、前記第一および第二の層の一方または両方を、少なくとも部分的に配向させる。前記第一および第二の層は、本明細書に記載する配向方法のいずれかによって配向させることができる。特定の実施形態では、それらの表面を偏波、例えば平面偏光UV線への曝露によって配向させることができる。1つの実施形態において、前記第一の少なくとも部分的な層の配向は、前記第二の部分的な層の配向と同じ方向であることがある。他の実施形態において、前記第一の少なくとも部分的な層の配向は、前記第二の部分的な層の配向とは異なる方向であることがある。
【0078】
特定の実施形態において、前記液晶セルは、能動液晶セルまたは受動液晶セルであることがある。様々な実施形態によると、本明細書に記載する液晶セル中の液晶材料は、当該技術分野において公知の任意の液晶材料、例えば本明細書に記載するもの、であり得る。特定の実施形態において、前記液晶材料は、第一の層を含む配向層、第二の層を含む配向層、または両方の配向層(すなわち、第一および第二の層)によって配向させることができる液晶材料であり得る。特定の実施形態によると、前記液晶材料は、本明細書において記載または参照する任意の二色性材料またはフォトクロミック−二色性材料を含む、二色性材料またはフォトクロミック−二色性材料の少なくとも1つを含み得る。
【0079】
前記液晶セルを、例えば、スクリーン、モニターまたはセキュリティエレメントを含む、表示素子として利用することができる。特定の実施形態によると、前記液晶セルは、画素化セルであることがある。本明細書において用いる場合、用語「画素化」は、物品、例えば表示素子または液晶セル、を多数の個々の画素(すなわち、表示、画像またはセル内の特定の位置を占める単点)に分解することができることを意味する。特定の実施形態において、前記液晶セルは、多数の領域または区画(すなわち画素)を含む画素化セルであることがある。個々の画素の特徴、例えば色、および偏光など、をその表示素子、液晶または物品の他の画素に対して制御することができる。
【0080】
本開示による液晶セルの1つの実施形態を図3に図示する。この実施形態によると、液晶セル300は、第一の表面310、および第一の表面310の反対側に第二の表面320を含む。第一の表面310は、第二の表面320に対向する配向材料の層330を有し、該第二の表面320は、該第一の表面に対向する配向材料の層340を有する。セル300は、底部基材360も含むことができ、前記第一および第二の表面によって規定される空間内に液晶材料350を含有する。
【0081】
本開示のさらなる実施形態は、光学素子、例えば本明細書に記載する光学素子のいずれか、に光配向材料を塗布する方法を規定する。特定の実施形態によると、前記方法は、基材の表面の少なくとも一部分に光配向(コ)ポリマー材料の少なくとも部分的な層を塗布する工程、前記光配向(コ)ポリマー材料のポリマー構造上の1つ以上の接着促進性基(Z)と前記基材の表面の適合基との間に引力結合を形成する工程、および前記光配向(コ)ポリマー材料の少なくとも第一の部分を、該少なくとも部分的な層の偏光UV線への曝露により、少なくとも部分的に配向させる工程を含み得る。これらの実施形態によると、前記光配向材料は、本明細書に示すとおりの式IまたはIIによって表されるものなどの、本明細書に記載する(コ)ポリマー構造によって表される構造を有することができ、これらの式中の基M、M、M、L、L、L、Z、ZおよびZは、本明細書に示すとおりの構造を有する。「n」の値は、10から10,000の範囲であり、ならびに「x」、「y」および「z」についての値は、本明細書に記載するとおりである。
【0082】
これらの実施形態によると、前記基材は、本明細書に詳細に記載する光学素子のための基材のいずれかであり得る。本明細書において用いる場合、用語「適合基」は、前記接着基と引力を形成することができる官能基、部分または分子構成を意味し、該引力としては、共有結合、極性共有結合、イオン結合、水素結合、静電引力、疎水性相互作用、ファンデルワールス引力、またはこれらの引力の2種以上の組み合わせが挙げられる。
【0083】
基材の表面の少なくとも一部分に、本明細書に記載するような光配向(コ)ポリマーの少なくとも部分的な層を塗布するための特定の方法は、米国特許第7,342,112号、第83欄、第16行から第84欄、第10行に詳細に記載されている。これらの開示方法は、当該技術分野において公知の様々な方法、例えば、吸水膨潤、コーティング、オーバーモールディング、回転コーティング、スプレーコーティング、スプレーおよび回転コーティング、カーテンコーティング、フローコーティング、浸漬コーティング、射出成型、注型、ロールコーティング、延展コーティング、注型−コーティング、反転ロールコーティング、転写ロールコーティング、キス/スクイズコーティング、グラビアロールコーティング、スロットダイコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、ならびにロッド/バーコーティングおよびワイヤコーティングによる、二色性化合物またはフォトクロミック−二色性化合物の少なくとも一方を含み得る物品、例えば光学素子および眼科用素子、を形成するための方法を含む。本開示の特定の実施形態での使用に適する様々なコーティング方法が、「Coating Processes」、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第7巻、1−35頁、2004に記載されている。吸水膨潤方法は、米国特許第6,433,043号、第1欄、第31行から第13欄、第54行に記載されている。特定の実施形態によると、前記少なくとも部分的にコーティングされた基材は、本明細書に記載するものなどの光学素子の一部であることがある。特定の実施形態において、前記光学素子は、眼科用素子、例えば、矯正および非矯正レンズ[単焦点レンズまたは多焦点レンズを含み、該多焦点レンズは、セグメント型または非セグメント型多焦点レンズ(例えば、二焦点レンズ、三焦点レンズおよび累進レンズ)を含む]、ならびに視力を(美容のためにまたは別様に)矯正する、保護するまたは向上させる他の素子[コンタクトレンズ、眼内レンズ、拡大鏡および保護レンズまたはバイザを含む]であることがあり、部分的に形成されたレンズおよびレンズブランクも含むことがある。他の実施形態では、前記少なくとも部分的にコーティングされた基材を、本明細書に記載するような製造物品に組み込むことができる。
【0084】
特定の実施形態において、前記方法は、光配向(コ)ポリマー材料の少なくとも部分的な層の第二の部分を偏光UV線に曝露することにより、前記光配向(コ)ポリマー材料の少なくとも第二の部分を少なくとも部分的に配向させる工程をさらに含むことがあり、この場合、前記光配向(コ)ポリマー材料の第一の部分の配向方向は、該光配向(コ)ポリマー材料の第二の部分の配向方向とは異なる。例えば、第一の部分を配向させるために用いる偏光UV線とは異なる方向に偏光される偏光UV線に該光配向(コ)ポリマー材料の第二の部分を選択曝露することにより、前記第一および第二(および後続の部分)は、異なる配向を有することができる。ある部分の選択曝露は、例えば、配向させないか、または異なる方向に配向させるかのいずれかの基材の部分を曝露しないようにマスクまたはブロックすることによって、容易に果たすことができる。この方法を用いて、光配向(コ)ポリマー材料にパターンを形成することができ、この場合、該光配向(コ)ポリマー材料の様々な部分の配向がそのパターンを規定する。
【0085】
本明細書に記載する様々な方法のさらに他の実施形態によると、該方法は、液晶材料を含む第二の少なくとも部分的な層を、光配向(コ)ポリマー材料の表面の少なくとも一部分に塗布する工程、および前記液晶材料を、少なくとも部分的に配向した光配向(コ)ポリマー材料の配向と同じ方向に、少なくとも部分的に配向させる工程を含む。前記液晶材料は、当該技術分野において有用な任意の液晶、例えば、本明細書において引用または参照する液晶材料のいずれかであり得る。特定の実施形態において、前記液晶材料は、二色性材料またはフォトクロミック−二色性材料の少なくとも一方であり得る。
【0086】
本明細書において論ずるように、特定の実施形態において、前記(コ)ポリマー材料の接着促進性基は、第二の少なくとも部分的な層と引力結合を形成することもできる。多くの場合、それは第一の層中の光配向材料と基材との間の向上した接着性を有するばかりでなく、第一の層中の光配向材料と第二の層中の材料との間の向上した接着性も有することが望ましい。これらの特定の実施形態によると、前記方法は、光配向(コ)ポリマー材料の表面の1つ以上の接着促進性基と第二の少なくとも部分的な層中の適合基との間に引力結合(例えば、本明細書に記載するもの)を形成する工程をさらに含み得る。前記適合基は、第二の少なくとも部分的な層を形成する材料、例えば、コーティングまたはフィルム材料、例えばポリマー材料、の構造内にある場合もある。
【0087】
本開示の方法の様々な実施形態は、光配向(コ)ポリマー材料の表面の少なくとも一部分に少なくとも1つの追加の層を塗布する工程をさらに含むことがある。本明細書に記載するように、前記少なくとも1つの追加の層を、前記光配向(コ)ポリマー材料の表面に直接塗布することができ、または代替的に、前記光配向(コ)ポリマー材料の表面に塗布された層の表面に塗布することができる。この方法により、異なる層のスタックまたは積層体を光配向(コ)ポリマー材料の表面に塗布することができる。様々な実施形態において、前記少なくとも1つの追加の層を、タイ層、プライマー層、耐摩耗性コーティング、硬質コーティング、保護コーティング、反射コーティング、フォトクロミックコーティング、反射防止コーティング、直線偏光コーティング、円偏光コーティング、楕円偏光コーティング、遷移コーティング、液晶材料コーティング、配向材料コーティング、またはこれらのうちの任意のものの組み合わせから選択することができる。これらの実施形態では、前記追加の層を光配向(コ)ポリマー材料の表面に直接塗布し、この追加のコーティングは1つ以上の適合基を含むことができるので、この方法は、該光配向(コ)ポリマー材料の表面の1つ以上の接着促進性基と該追加の層中の1つ以上の適合基との間に引力結合を形成する工程を含み得る。
【0088】
一般に、前記少なくとも部分的なコーティングの厚さは、前記製造物品または光学素子にとって望ましい厚さを達成するために必要な任意の厚さであり得る。例えばおよび、様々な実施形態によると、前記第一の少なくとも部分的なコーティングは、0.005から1000μm、0.05から100μm、0.5から50μm、またはさらに2から8μmの範囲の厚さを有することがある。さらに、特定の実施形態によると、前記第一の少なくとも部分的なコーティングの厚さは、前記少なくとも1つの追加の少なくとも部分的なコーティングの厚さより厚いまたは薄いことがある。前記第二の少なくとも部分的なコーティングおよび任意の追加のコーティングは、0.5から10μm、1から10μm、またはさらに0.5から5μmの範囲の厚さを有することがある。前記第二の少なくとも部分的なコーティングの厚さは、前記第一の少なくとも部分的なコーティングと同じであることがあり、または本明細書に記載するように、特定の実施形態では前記第一の少なくとも部分的なコーティングの厚さより厚いもしくは薄いことがある。
【0089】
特定の実施形態によると、本開示は、以下の光配向材料を規定する:
a)ポリ[((E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート)−コ−(2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート)];
b)ポリ[((E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート)−コ−(2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート)−コ−(γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン)];
c)ポリ[((E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート)−コ−(2−イソシアナトエチルメタクリレート)];
d)ポリ[((E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート)−コ−(2−イソシアナトエチルメタクリレート)−コ−(γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン)];
e)ポリ[((E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート)−コ−(γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン)];
f)ポリ[((E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート)−コ−(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)−コ−(γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン)];
g)ポリ[((E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート)−コ−(3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート)];
h)ポリ[((E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート)−コ−(2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート)];
i)ポリ[((E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート)−コ−(2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート)−コ−(4−メトキシフェニル4−((6−(アクリロイルオキシ)ヘキシル)オキシ)ベンゾエート];
j)ポリ[((E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート)−コ−(メチルメタクリレート)−コ−(グリシジルメタクリレート)];および
k)ポリ[((E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート)−コ−(2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート)−コ−(ヘキシルメタクリレート)]。
【0090】
本開示にかんがみて、式IおよびIIによって表される構造を有する他のポリマー材料を、向上した接着特性を有する光配向層として使用できることが、当業者にはわかるであろう。
【0091】
本発明の様々な実施形態、それらの態様、を以下の実施例においてより詳しく説明する。
【実施例】
【0092】
実施例のパート1では、本開示の光配向材料の調製を実施例1〜9および比較例(CE)として説明する。パート2では、液晶コーティング成分および配合物を、液晶モノマー、フォトクロミック材料および二色性染料を含めて、説明する。パート3は、光配向材料のみのコーティングの調製および塗布を、異なる基材上の液晶コーティング配合物(LCCF)と共に、またはポリカーボネートレンズ上のコーティングの「スタック」と共に説明する。パート4は、光配向材料の接着性試験および結果を別々に、および表1の塗布した液晶コーティング配合物(「LCCF」)と共に、および表2のコーティングスタックに関して説明する。
【0093】
パート1 光配向材料
(実施例1)
ポリ[((E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート)−コ−(2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート)]
【0094】
【化5】

50mLシュレンク管に次の材料を添加した:(E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート(2.83g、0.0057モル)、昭和電工株式会社(Showa Denko)から入手できるCAS#78279−10−4を有する2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート(0.478g、0.0019モル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(0.0062g、0.000038モル)およびシクロペンタノン(14.17g)。この管をドライアイス−アセトン浴で冷却し、真空ポンプによって脱気し、その後、Nを充填した。この工程を5回繰り返した。管を60℃で維持した油浴内に置き、16時間攪拌した。ポリスチレン標準物質で較正したカラムを用いてゲル透過クロマトグラフィー(「GPC」)によりポリマー分子量を分析した。結果は次のとおりであった:Mn=43,864;Mw=123,738;Mw/Mn=2.82。
【0095】
(実施例2)
ポリ[((E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート)−コ−(2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート)−コ−(γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン)]
【0096】
【化6】

次の材料を指定する量で使用したことを除き、実施例1の手順に従った:(E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート(1g、0.002モル)、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート(0.1807g、0.00074モル)、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(0.0357g、0.0001モル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(0.0047g、0.00003モル)および溶剤シクロペンタノン(5g)。ポリスチレン標準物質で較正したカラムを用いてGPCによりポリマー分子量を分析した。結果は次のとおりであった:M=54,144;M=116,402;およびM/M=2.15。
【0097】
(実施例3)
ポリ[((E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート)−コ−(2−イソシアナトエチルメタクリレート)]
【0098】
【化7】

次の材料を指定する量で使用したことを除き、実施例1の手順に従った:(E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート(1g、0.002モル)、2−イソシアナトエチルメタクリレート(0.104g、0.00067モル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(0.0044g、0.00003モル)および溶剤シクロペンタノン(5g)。ポリスチレン標準物質で較正したカラムを用いてGPCによりポリマー分子量を分析した。結果は次のとおりであった:M=57,351;M=149,825;およびM/M=2.61。
【0099】
(実施例4)
ポリ[((E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート)−コ−(2−イソシアナトエチルメタクリレート)−コ−(γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン)]
【0100】
【化8】

次の材料を指定する量で使用したことを除き、実施例1の手順に従った:(E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート(1g、0.002モル)、2−イソシアナトエチルメタクリレート(0.104g、0.00067モル)、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(0.033g、0.00013モル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(0.0044g、0.00003モル)および溶剤シクロペンタノン(5g)。ポリスチレン標準物質で較正したカラムを用いてGPCによりポリマー分子量を分析した。結果は次のとおりであった:M=58,015;M=153,397;およびM/M=2.64。
【0101】
(実施例5)
ポリ[((E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート)−コ−(γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン)]
【0102】
【化9】

次の材料を指定する量で使用したことを除き、実施例1の手順に従った:(E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート(1g、0.002モル)、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(0.150g、0.0006モル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(0.0066g、0.00004モル)および溶剤シクロペンタノン(5g)。ポリスチレン標準物質で較正したカラムを用いてGPCによりポリマー分子量を分析した。結果は次のとおりであった:Mn=56,498;Mw=139,980;およびMw/Mn=2.47。
【0103】
(実施例6)
ポリ[((E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート)−コ−(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)−コ−(γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン)]
【0104】
【化10】

次の材料を指定する量で使用したことを除き、実施例1の手順に従った:(E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート(1g、0.002モル)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(0.131g、0.00101モル)、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(0.150g、0.0006モル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(0.0066g、0.00004モル)および溶剤シクロペンタノン(5g)。ポリスチレン標準物質で較正したカラムを用いてGPCによりポリマー分子量を分析した。結果は次のとおりであった:M=70,329;M=193,335;およびM/M=2.74。
【0105】
(実施例7)
ポリ[((E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート)−コ−(3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート)]
【0106】
【化11】

次の材料を指定する量で使用したことを除き、実施例1の手順に従った:(E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート(0.5g、0.001モル)、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート(0.0608g、0.0003モル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(0.0033g、0.00002モル)および溶剤シクロペンタノン(2.5g)。ポリスチレン標準物質で較正したカラムを用いてGPCによりポリマー分子量を分析した。結果は次のとおりであった:M=6,480;M=8,702;およびM/M=1.34。
【0107】
(実施例8)
ポリ[((E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート)−コ−(2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート)]
【0108】
【化12】

次の材料を指定する量で使用したことを除き、実施例1の手順に従った:(E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート(0.5g、0.001モル)、2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート(0.056g、0.0003モル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(0.0033g、0.00002モル)および溶剤シクロペンタノン(2.5g)。ポリスチレン標準物質で較正したカラムを用いてGPCによりポリマー分子量を分析した。結果は次のとおりであった:M=5,435;M=10,793;およびM/M=1.98。
【0109】
(実施例9)
ポリ[((E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート)−コ−(2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート)−コ−(4−メトキシフェニル4−((6−(アクリロイルオキシ)ヘキシル)オキシ)ベンゾエート]
【0110】
【化13】

次の材料を指定する量で使用したことを除き、実施例1の手順に従った:(E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート(4g、0.008モル)、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート(0.778g、0.003モル)、4−メトキシフェニル4−((6−(アクリロイルオキシ)ヘキシル)オキシ)ベンゾエート(0.4069g、0.0012モル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(0.0204g、0.00012モル)および溶剤シクロペンタノン(20g)。ポリスチレン標準物質で較正したカラムを用いてGPCによりポリマー分子量を分析した。結果は次のとおりであった:M=68,687;M=310,178;およびM/M=4.51。
【0111】
比較例(CE)
ポリ[(E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート]
【0112】
【化14】

接着促進剤として役立つものとして可能な基が無いホモポリマーを比較例として調製した。次の材料を指定する量で使用したことを除き、実施例1の手順に従った:(E)−2−メトキシ−4−(3−メトキシ−3−オキソプロパ−1−エニル)フェニル4−(6−(メタクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート(5g、0.010モル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(0.0083g、0.00005モル)および溶剤シクロペンタノン(25g)。ポリスチレン標準物質で較正したカラムを用いてGPCによりポリマー分子量を分析した。結果は次のとおりであった:M=78,058;M=171,016;およびM/M=2.19。
【0113】
パート2 − 液晶コーティング成分および配合物
「LCM」は、液晶モノマーを表す。
「DD」は、二色性染料を表す。
「PC」は、フォトクロミック材料を表す。
「LCCF]は、液晶コーティング配合物を表す。
【0114】
LCM−1は、米国特許公開第2009/0323011号の実施例17に記載されている手順に従って調製した1−(6−(6−(6−(6−(6−(6−(6−(6−(8−(4−(4−(4−(8−アクリロイルオキシヘキシル)オキシ)ベンゾイルオキシ)フェニルオキシカルボニトリル)フェノキシ)オクチルオキシ)−6−オキソヘキシルオキシ)−6−オキソヘキシルオキシ)−6−オキソヘキシルオキシ)−6−オキソヘキシルオキシ)−6−オキソヘキシルオキシ)−6−オキソヘキシルオキシ)−6−オキソヘキシルオキシ)−6−オキソヘキサン−1−オールであり、この液晶モノマー開示は参照により本明細書に援用されている。
【0115】
LCM−2は、C333210の分子式を有する、EMD Chemicals,Inc.から入手できる、4−(3−アクリロイルオキシプロピルオキシ)安息香酸2−メチル−1,4−フェニレンエステルであると報告されている市販RM257である。
【0116】
LCM−3は、C2326の分子式を有する、EMD Chemicals,Inc.から入手できる、4−メトキシ−3−メチルフェニル4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエートであると報告されている市販RM105である。
【0117】
LCM−4は、C2323NOの分子式を有する、EMD Chemicals,Inc.から入手できる、4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)安息香酸(4−シアノフェニルエステル)であると報告されている市販RM23である。
【0118】
LCM−5は、C394410の分子式を有する、EMD Chemicals,Inc.から入手できる、2−メチル−1,4−フェニレンビス(4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾエート)であると報告されている市販RM82である。
【0119】
DD−1は、エチル4−((4−((E)−(4−((E)−フェニルジアゼニル)ナフタレン−1−イル)ジアゼニル)フェノキシ)メチル)ベンゾエートであると報告されており、これを米国特許出願公開第2009/0146104号A1の段落[0221]に記載されている(この開示は参照により本明細書に援用されている)ように調製した。
【0120】
PC−1は、2−フェニル−2−{4−[4−(4−メトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]−フェニル}−5−(2−メトキシエチルオキシカルボニル)−6−メチル−8−(4−(4−(4−(trans)−ペンチルシクロヘキシル)ベンゾイルオキシ)フェニル−2H−ナフト[1,2−b]ピランであると報告されており、これを米国特許第7,342,112号に記載されている手順(この開示は参照により本明細書に援用されている)に従って調製した。
【0121】
PC−2は、3−(4−フルオロフェニル−3−(4−ピペラジノフェニル)−13−エチル−13−メトキシ−6−メトキシ−7−(4−(4−(4−(trans)ペンチルシクロヘキシル)ベンゾイルオキシ)−フェニル)ベンゾイルオキシ−インデノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−b]ピランであると報告されており、これを米国特許第7,342,112号に記載されている手順(この開示は参照により本明細書に援用されている)に従って調製した。
【0122】
LCCF−1は、次のように調製した:
工程1−アニソール(3.5g)とBYK(登録商標)−346添加剤(0.035g、BYK Chemie,USAから入手できるポリエーテル変性ポリ−ジメチル−シロキサンであると報告されているもの)の混合物が入っている適するフラスコに、LCM−2(3.25g)、LCM−3(3.25g)、DD−1(0.39g)、4−メトキシフェノール(0.0098g)およびIRGACURE(登録商標)819(0.0975g、Ciba−Geigy Corporationから入手できる光開始剤)を添加した。得られた混合物を2時間、80℃で攪拌し、約26℃に冷却した。
【0123】
工程2−ヒドロキシエチルメタクリレート(0.65g)およびジブチルすずジラウレート(0.008g)を添加し、得られた混合物を30分間、約26℃で攪拌した。
【0124】
LCCF−2は、次のように調製した。DD−1を前記混合物に添加しなかったことを除き、LCCF−1を調製するために用いた手順に従った。
【0125】
LCCF−3は、次のように調製した:
工程1−アニソール(3.4667g)とBYK(登録商標)−346添加剤(0.0347g、BYK Chemie,USAから入手できるポリエーテル変性ポリ−ジメチル−シロキサンであると報告されているもの)の混合物が入っている適するフラスコに、LCM−2(1.3g)、LCM−3(1.3g)、LCM−4(1.3g)、LCM−5(1.3g)、4−メトキシフェノール(0.0078g)およびIRGACURE(登録商標)819(0.078g、Ciba−Geigy Corporationから入手できる光開始剤)を添加した。得られた混合物を2時間、80℃で攪拌し、約26℃に冷却した。
【0126】
工程2−ヒドロキシエチルメタクリレート(0.65g)およびジブチルすずジラウレート(0.008g)を添加し、得られた混合物を30分間、約26℃で攪拌した。
【0127】
LCCF−4は、次のように調製した。工程1においてPC−2(0.31g)も前記反応混合物に添加したことを除き、LCCF−3を調製するために用いた手順に従った。
【0128】
LCCF−5は、次のように調製した。工程1においてPC−1(0.312g)も前記反応混合物に添加したことを除き、LCCF−3を調製するために用いた手順に従った。
【0129】
LCCF−6は、次のように調製した。アニソール(1.4808g)とBYK(登録商標)−346添加剤(0.0148g、BYK Chemie,USAから入手できるポリエーテル変性ポリ−ジメチル−シロキサンであると報告されているもの)の混合物が入っている適するフラスコに、LCM−2(1.0g)、LCM−3(1.0g)、LCM−1(1.0g)、DD−1(0.165g)、4−メトキシフェノール(0.0041g)およびIRGACURE(登録商標)819(0.0413g、Ciba−Geigy Corporationから入手できる光開始剤)を添加した。得られた混合物を2時間、80℃で攪拌した。
【0130】
LCCF−7は、次のように調製した。アニソール(1.7407g)とBYK(登録商標)−346添加剤(0.0174g、BYK Chemie,USAから入手できるポリエーテル変性ポリ−ジメチル−シロキサンであると報告されているもの)の混合物が入っている適するフラスコに、LCM−1(0.5g)、LCM−2(0.5g)、LCM−3(0.5g)、LCM−4(0.5g)、LCM−5(0.5g)、PC−2(0.156g)、4−メトキシフェノール(0.0039g)およびIRGACURE(登録商標)819(0.0392g、Ciba−Geigy Corporationから入手できる光開始剤)を添加した。得られた混合物を2時間、80℃で攪拌した。
【0131】
パート3 − 配向液晶コーティング基材のためのコーティングの調製
パート3−1 − プライマーの調製
磁気攪拌棒を装備した250mL琥珀色ガラスビンの中に、次の材料を指示する量で添加した:
ポリアクリレートポリオール(15.2334g)(米国特許第6,187,444号における実施例1の組成物D;このポリオールの開示は、参照により本明細書に援用されている);
旭化成ケミカルズ株式会社(Asahi Kasei Chemicals)からのポリアルキレンカーボネートジオール(40.0000g)T−5652;
Bayer Material ScienceからのDESMODUR(登録商標)PL340(33.7615g);
BaxendenからのTRIXENE(登録商標)BI7960(24.0734g);
BYK−Chemie GmbHからのポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(0.0658g)BYK(登録商標)−333;
King Industriesからのウレタン触媒(0.8777g)KKAT(登録商標)348;
Momentive Performance Materialsからのγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3.5109g)A−187;
Ciba Specialty Chemicalsからの光安定剤(7.8994g)TINUVIN(登録商標)928;および
Sigma−Aldrichからの1−メチル−2−ピロリジノン(74.8250g)。
この混合物を室温で2時間攪拌して溶液を得、この溶液は、この溶液の総重量に基づき50重量%の最終固形分を有した。
【0132】
パート3−2 − 光配向コーティングの調製
実施例1および9のならびに比較例の各光配向材料の溶液を、その溶液の総重量に基づき、シクロペンタノンで4重量%に希釈することによって調製した。
【0133】
パート3−3 − 液晶コーティング配合物
液晶コーティング配合物(LCCF)1から7は、本明細書において上のパート2で説明したように調製した。
【0134】
パート3−4 − 遷移層コーティング配合物(TLCF)
TLCFは、次のように調製した:
磁気攪拌棒を装備した50mL琥珀色ガラスビンの中に、次の材料を添加した:
Sigma−Aldrichからのヒドロキシメタクリレート(1.242g);
Sartomerからのネオペンチルグリコールジアクリレート(13.7175g)SR247;
Sartomerからのトリメチロールプロパントリメタクリレート(2.5825g)SR350;
Bayer Material ScienceからのDESMODUR(登録商標)PL 340(5.02g);
Ciba Specialty ChemicalsからのIRGACURE(登録商標)−819(0.0628g);
Ciba Specialty ChemicalsからのDAROCUR(登録商標)TPO(0.0628g);
ポリブチルアクリレート(0.125g);
Momentive Performance Materialsからの3−アミノプロピルプロピルトリメトキシシラン(1.4570g)A−1100;および
Pharmaco−Aaperからの200プルーフ無水(absolute anhydrous)エタノール(1.4570g)。
この混合物を室温で2時間攪拌した。
【0135】
パート3−5 − 保護コーティング配合物(PCF)
PCF(ハードコート)は、次のように調製した:投入材料1を明澄な乾燥したビーカーに添加し、攪拌しながら5℃の氷浴内に置いた。投入材料2を添加し、発熱により反応混合物の温度が50℃に上昇した。得られた反応混合物の温度を20〜25℃に冷却し、投入材料3を攪拌しながら添加した。投入材料4を添加してpHを約3から約5.5に調整した。投入材料5を添加し、その溶液を半時間、混合した。得られた溶液を公称0.45マイクロメートル・カプセル・フィルタによって濾過し、使用するまで4℃で保管した。
【0136】
投入材料1
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 32.4グラム
メチルトリメトキシシラン 345.5グラム
投入材料2
脱イオン水(DI)と硝酸の溶液(硝酸 1g/7000g) 292グラム
投入材料3
DOWANOL(登録商標)PM溶剤 228グラム
投入材料4
TMAOH(メタノール中の25%水酸化テトラメチルアンモニウム) 0.45グラム
投入材料5
BYK(登録商標)−306界面活性剤 2.0グラム
パート3−6 − 表1および2に報告するコーティングおよびコーティングスタックを調製するために用いた手順
パート3−6A − 基材調製
CR−39(登録商標)モノマーから調製した測定値5.08cm×5.08cm×0.318cm(2インチ(in.)×2in.×0.125in.)の正方形基材をHomalite,Inc.から入手した。CR−39(登録商標)モノマーから調製したフィニッシュド単焦点レンズ(6ベース、70mm)も指示どおりに使用した。CR−39(登録商標)モノマーから調製した各基材を、アセトンを吸わせたティッシュで拭くことによって清浄にし、空気流で乾かした。
【0137】
GENTEX OPTICSからのポリカーボネート製のフィニッシュド単焦点レンズ(6ベース、70mm)、およびTRIVEXモノマー製のハードコートを伴わないセミフィニッシュド単焦点レンズ(4ベース、70mm)も指示どおりに使用した。これらのレンズを、イソプロパノールを吸わせたティッシュで拭くことによって清浄にし、空気流で乾かした。
【0138】
高圧変圧器を装備したTantec EST Systemsシリアル番号020270 Power Generator HV 2000シリーズコロナ処理装置内をコンベアベルトで通過させることにより、上述の基材それぞれをコロナ処理した。それらの基材をコンベアでベルト速度3ft/分で進ませながら、53.99KV、500ワットにより発生させたコロナに曝露した。
【0139】
パート3−6B − プライマーについてのコーティング手順
プライマー溶液を試験基材に、おおよそ1.5mLの該溶液の付与および500回毎分(rpm)で3秒間、続いて1,500rpmで7秒間、続いて2,500rpmで4秒間の該基材の回転による、該試験基材の表面の一部分に対する回転コーティングによって、塗布した。Laurell Technologies Cop.からのスピンプロセッサ(WS−400B−6NPP/LITE)を回転コーティングに用いた。その後、125℃に維持したオーブンの中に60分間、それらのコーティング基材を置いた。コーティング基材を約26℃に冷却した。高圧変圧器を装備したTantec EST Systemsシリアル番号020270 Power Generator HV 2000シリーズコロナ処理装置内をコンベアベルトで通過させることにより、それらの基材をコロナ処理した。乾燥したプライマー層をコンベアでベルト速度3ft/分で進ませながら、53.00KV、500ワットにより発生させたコロナに曝露した。
【0140】
パート3−6C − 光配向材料についてのコーティング手順
実施例1および9ならびにパート3−2で調製したCEのコーティング溶液を試験基材に、おおよそ1.0mLの該溶液の付与および800回毎分(rpm)で3秒間、続いて1,000prmで7秒間、続いて4,000rpmで4秒間の該基材の回転による、該試験基材の表面の一部分に対する回転コーティングによって、塗布した。Laurell Technologies Cop.からのスピンプロセッサ(WS−400B−6NPP/LITE)を回転コーティングに用いた。その後、120℃に維持したオーブンの中に30分間、それらのコーティング基材を置いた。コーティング基材を約26℃に冷却した。
【0141】
400ワット電源を有するDYMAX(登録商標)Corp.によるDYMAX(登録商標)UVC−6 UV/コンベアシステムを使用して、直線偏光紫外線への曝露により、各基材上の乾燥した光配向層に少なくとも部分的に秩序をもたせた。放射線が基材の表面に対して垂直な平面で線形偏光されるように、光源を指向させた。各光配向層を曝露した紫外線の量を、EIT IncからのUV Power Puck(商標)高エネルギー放射計(シリアル番号2066)を使用して測定した。それらの量は次のとおりであった:UVA 0.126W/cmおよび5.962J/cm;UVB 0.017W/cmおよび0.078J/cm;UVC 0W/cmおよび0J/cm;ならびにUVV 0.046W/cmおよび2.150J/cm。光指向性ポリマーネットワークの少なくとも一部分に秩序をもたせた後、それらの基材を約26℃に冷却し、カバーをした状態で保持した。
【0142】
パート3−6D − 液晶コーティング配合物についてのコーティング手順
表1に報告する液晶コーティング配合物(「LCCF」)を、試験基材上のパート3−6Cの少なくとも部分的に秩序ある光配向材料の上に、1,200rpm/15秒の速度でそれぞれ回転コーティングした。コーティングされた正方形の各基材を20分間、50℃のオーブンの中に置き、各コーティングレンズを30分間、50℃のオーブンの中に置いた。その後、基材およびレンズを、Dr.Groebel UV−Elektronik GmbHからのIrradiation Chamber BS−03において窒素雰囲気で30分間、紫外線ランプのもと、11〜16ワット/mのUVAピーク強度で硬化させた。110℃で3時間のそれらのコーティング基材の後硬化を終えた。
【0143】
表2に報告する液晶コーティング配合物(「LCCF」)を、試験基材上のパート3−6Cの少なくとも部分的に秩序ある光配向材料の上に、6秒間、400回毎分(rpm)、続いて6秒間、800rpmの速度でそれぞれ回転コーティングした。各コーティングレンズを30分間、60℃のオーブンの中に置いた。その後、それらのレンズを、Belcan Engineeringにより設計され造られたUV Curing Oven Machineにおいて窒素雰囲気で、コンベアベルトで6ft/分の速度で進ませながら、2個の紫外線ランプのもと、0.445ワット/cmのUVAおよび0.179ワット/cmのUVVのピーク強度ならびに2.753ジュール/cmのUVAおよび1.191ジュール/cmのUVVのUV線量で硬化させた。硬化した層をコンベアでベルト速度3ft/分で進ませながら、53.00KV、500ワットにより発生させたコロナに曝露した。
【0144】
パート3−6E − 遷移層についてのコーティング手順
パート3−4において調製した遷移層溶液をLCCFコーティング基材上に1,400回毎分(rpm)の速度で7秒間、回転コーティングした。その後、それらのレンズを、Belcan Engineeringにより設計され造られたUV Curing Oven Machineにおいて窒素雰囲気で、コンベアベルトで6ft/分の速度で進ませながら、2個の紫外線ランプのもと、1.887ワット/cmのUVAおよび0.694ワット/cmのUVVのピーク強度ならびに4.699ジュール/cmのUVAおよび1.787ジュール/cmのUVVのUV線量で硬化させた。硬化したタイ層をコンベアでベルト速度3ft/分で進ませながら、53.00KV、500ワットにより発生させたコロナに曝露した。
【0145】
パート3−6F − 保護コーティング(ハードコート)についてのコーティング手順
パート3−5において調製したハードコート溶液を硬化タイ層コーティング基材上に2,000回毎分(rpm)の速度で10秒間、回転コーティングした。105℃で3時間のそれらのコーティング基材の後硬化を終えた。
【0146】
パート4 − 接着性試験および結果
テープ試験による接着性を試験するためのASTM D−3359−93標準試験法−方法Bを用いて、試験基材表面への層の接着性を判定した。コーティング基材を11のブレードでクロス・ハッチ・パターンに切り目を入れて約200の正方形を作った。3M #600クリアテープを使用して同じ領域に対して3回、テープ引張を行った。Fisher ScientificからのSTEREOMASTER II顕微鏡を用いて3倍倍率で試験表面の検査を行った。合格と示す結果は、正方形のすべてでなかったとしても大部分(すなわち75%より多く)が基材の表面に残存したことを示し、不合格結果は、正方形のすべてでなかったとしても大部分(すなわち75%より多く)がテープにより基材から除去されたことを示した。述べた基材に対する接着性試験からの結果を表1および2に提示する。実施例1〜9および比較例の光配向材料を基材に対して単独で(すなわちLCCFなしで)用いたとき、LCCF#縦列において示される内容は、液晶コーティング配合物を塗布しなかったので、「存在せず」であった。LCCFを実施例1〜9および比較例の光配向材料の層に塗布したとき、個々に塗布および試験した各LCCFのそれぞれの番号を表1に示す。表2は、示されているコーティングのスタックを有するポリカーボネートレンズについての接着性試験結果を含む。すなわち、文字「X」は、そのコーティングが存在したことを意味する。
【0147】
【表1】

【0148】
【表2】

本明細書および実施例が本発明の明瞭な理解に関する本発明の態様を説明することを理解すべきである。当業者には明らかであろうおよび従って本発明のよりよい理解を助長しないであろう本発明の一定の態様は、本記載を単純にするために提示しなかった。本発明を特定の実施形態に関して記載したが、本開示は、本明細書に開示する特定の実施形態または実施例に限定されず、添付の特許請求の範囲によって定義するとおりの本発明の趣旨および範囲内に存する変更を包含することが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化15】

によって表される構造を含む(コ)ポリマー
(式中、
、MおよびMは各々、それぞれ独立して、置換もしくは非置換アクリロイル単位(該アクリロイルの置換基は、C〜Cアルキル、フェニル、−O−およびこれらの組み合わせから選択される)、置換もしくは非置換スチレン単位、置換もしくは非置換エポキシ単位、置換もしくは非置換ウレタン単位、置換もしくは非置換ポリカルボン酸、置換もしくは非置換ポリオール単位、置換もしくは非置換ポリアミン単位または置換もしくは非置換ヒドロキシアルカン酸単位(該置換基は、C〜C20アルキル、C〜C20アルコキシ、C〜C10シクロアルキル、C〜C20アルキル(C〜C20)アルコキシ、ハロ(C〜C20)アルキル、ヘテロシクロ(C〜C10)アルキル、ハロアリール、ハロ(C〜C20)アルキルアリール、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルコキシアリール、ヘテロアリール、アリール(C〜C20)アルキル、ヘテロアリール(C〜C20)アルキルから選択される)から選択されるモノマー単位の残基であり;
、LおよびLは、単結合、−(CH−、−(CF−、−Si(Z’)(CH−もしくは−(Si(CHO)−、−N(R)−、−C(R)=C(R)−、−C(R)=N−、−C(R’)−C(R’)−、−O−、−C(O)−、−C≡C−、−N=N−、−S−、−S(O)−、−S(O)(O)−、−(O)S(O)O−、−O(O)S(O)O−、直鎖もしくは分岐C〜C24アルキレン残基、アリーレン、C〜C10シクロアルキレンまたはこれらの様々な組み合わせからそれぞれ独立して選択されるスペーサー基であり、ここで、Z’は、水素、C〜C18アルキル、C〜C10シクロアルキルまたはアリールから各存在について独立して選択され;Rは、Z、水素、C〜C18アルキル、C〜C10シクロアルキルまたはアリールから各存在について独立して選択され;R’は、Z、C〜C18アルキル、C〜C10シクロアルキルまたはアリールから各存在について独立して選択され;該C〜C24アルキレン残基は、Z、シアノもしくはハロにより一置換されているか、またはZもしくはハロにより多置換されており;「g」は、1から20より各存在について独立して選択され、および「h」は、1から16(1および16を含む)の自然数であり;
各Zは、独立して、二量体化可能な置換もしくは非置換シンナメート、二量体化可能な置換もしくは非置換クマリン、cis/trans異性化可能な置換もしくは非置換アゾ、光化学分解性置換もしくは非置換ポリイミドまたは光フリース転位し得る置換もしくは非置換芳香族エステルから選択される光化学活性発色団であり;
各Zは、ヒドロキシ、カルボン酸、無水物、イソシアナト、ブロック化イソシアナト、チオイソシアナト、ブロック化チオイソシアナト、アミノ、チオ、有機官能性シラン、有機官能性チタネート、有機官能性ジルコネートまたはエポキシから独立して選択される接着促進性基であり、該各有機官能基は、ビニル、アリル、ビニル官能性炭化水素基、エポキシ官能性炭化水素基、アリル官能性炭化水素基、アクリロイル官能性炭化水素基、メタクリロイル官能性炭化水素基、スチリル官能性炭化水素基、メルカプト官能性炭化水素基または前述の有機官能基の組み合わせから独立して選択され、該炭化水素基は、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルコキシ、C〜C20アルキル(C〜C20)アルコキシ、C〜C20アルコキシ(C〜C20)アルキル、アリール、ヘテロアリールおよび前述の炭化水素基の組み合わせから選択されるが、但し、Zが、ヒドロキシまたはカルボン酸であるとき、該(コ)ポリマーが少なくとも1つの他の接着促進性基を含むことを条件とし;
は、剛直棒状液晶基、剛性屈曲棒状液晶基、または剛性円板状液晶基から選択されるメソゲン構造であり;ならびに
「x」は、0<x≦1の値を有し、「y」は、0≦y<1の値を有し、「z」は、0≦z<1の値を有し、x+y+z=1であり、「n」は、10から10,000の範囲の値を有し;
x=1のときには、LおよびZの少なくとも一方が、少なくとも1つのZ接着促進性基でさらに置換されており、ならびにy=0のときには、L、Z、LおよびZの少なくとも1つが、少なくとも1つのZ接着促進性基でさらに置換されている)。
【請求項2】
少なくとも1つのフォトクロミック化合物、二色性化合物、フォトクロミック−二色性化合物、感光材料および非感光材料のうちの少なくとも1つのものの残基をさらに含む、請求項1に記載の(コ)ポリマー。
【請求項3】
ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、線状コポリマー、分岐コポリマー、多分岐コポリマー、樹状コポリマーまたは星型コポリマーの形態である、前記請求項のいずれかに記載の(コ)ポリマー。
【請求項4】
、MおよびMが、それぞれ独立して、アクリロイルオキシ単位またはメタクリロイルオキシ単位の残基であり、ならびにZが、二量体化可能な置換もしくは非置換シンナメートまたは二量体化可能な置換もしくは非置換クマリンから選択される光化学活性発色団である、前記請求項のいずれかに記載の(コ)ポリマー。
【請求項5】
メソゲン構造が、
−[G−[Sj’−[G−[Sd’−[G−[Se’−[S
(式中、
(i)各G、GおよびGは、非置換もしくは置換芳香族基、非置換もしくは置換脂環式基、非置換もしくは置換複素環式基およびこれらの混合物から選択される二価の基(この場合の置換基は、ヒドロキシ;アミノ;ハロゲン;C〜C18アルケニル;C〜C18アルキニル;アジド;シリル;シロキシ;シリルヒドリド;(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ;チオ;イソシアナト;チオイソシアナト;アクリロイルオキシ;メタクリロイルオキシ;2−(アクリロイルオキシ)エチルカルバミル;2−(メタクリロイルオキシ)エチルカルバミル;アジリジニル;アリルオキシカルボニルオキシ;エポキシ;カルボン酸;カルボン酸エステル;アクリロイルアミノ;メタクリロイルアミノ;アミノカルボニル;C〜C18アルキルアミノカルボニル;アミノカルボニル(C〜C18)アルキル;C〜C18アルコキシカルボニル;C〜C18アルキルカルボニル;アリールオキシカルボニルオキシ;ペルフルオロ(C〜C18)アルキルアミノ;ジ−(ペルフルオロ(C〜C18)アルキル)アミノ;C〜C18アセチル;C〜C10シクロアルキル;C〜C10シクロアルコキシ;C〜C18アルキルオキシカルボニルオキシ;ハロカルボニル;水素;アリール;ヒドロキシ(C〜C18)アルキル;C〜C18アルキル;C〜C18アルコキシ;アミノ(C〜C18)アルキル;C〜C18アルキルアミノ;ジ−(C〜C18)アルキルアミノ;C〜C18アルキル(C〜C18)アルコキシ;C〜C18アルコキシ(C〜C18)アルコキシ;ニトロ;ポリ(C〜C18)アルキルエーテル;(C〜C18)アルキル(C〜C18)アルコキシ(C〜C18)アルキル;ポリ(C〜C18)アルコキシ;エチレン;アクリロイルオキシ(C〜C18)アルキル;メタクリロイルオキシ(C〜C18)アルキル;2−クロロアクリロイルオキシ;2−フェニルアクリロイルオキシ;アクリロイルオキシフェニル;2−クロロアクリロイルアミノ;2−フェニルアクリロイルアミノカルボニル;オキセタニル;グリシジル;シアノ;イソシアナト(C〜C18)アルキル;イタコン酸エステル;ビニルエーテル;ビニルエステル;スチレン;主鎖または側鎖液晶ポリマー;シロキサン誘導体;エチレンイミン;マレイン酸;フマル酸;シアノ、ハロもしくはC〜C18アルコキシで一置換されている、またはハロで多置換されている、直鎖または分岐C〜C18アルキル;非置換桂皮酸;メチル、メトキシ、シアノまたはハロゲンのうちの少なくとも1つで置換されている桂皮酸から選択される);ステロイド基、テルペノイド基、アルカロイド基もしくはこれらの混合物から選択される、置換もしくは非置換キラルもしくは非キラル一価もしくは二価の基(この場合の置換基は、C〜C18アルキル、C〜C18アルコキシ、アミノ、C〜C10シクロアルキル、C〜C18アルキル(C〜C18)アルコキシ、フルオロ(C〜C18)アルキル、シアノ、シアノ(C〜C18)アルキル、シアノ(C〜C18)アルコキシまたはこれらの混合物から選択される);または次の式のうちの1つを含む基:−M(T)(t−1)および−M(OT)(t−1)(これらの式中、Mは、アルミニウム、アンチモン、タンタル、チタン、ジルコニウムおよびケイ素から選択され、Tは、有機官能性基、有機官能性炭化水素基、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選択され、および「t」は、Mの原子価である)から、各存在について独立して選択され;
(ii)Rは、−H;ヒドロキシ;アミノ;ハロゲン;ハロアルキル;アリール;C〜C18アルキル;またはC〜C18アルコキシであり;
(iii)「j」、「d」、「e」および「f」は、0から20(0および20を含む)の範囲の整数からそれぞれ独立して選択され、「j’」、「d’」および「e’」は、それぞれ独立して、0から4の整数であるが、但し、j’+d’+e’の合計が少なくとも1であることを条件とし;ならびに
(iv)各S、S、SおよびSは、スペーサー単位から各存在について独立して選択され、該スペーサー単位は、
(A)−(CH−、−(CF−、−Si(Z’)(CH−、または −(Si(CHO)−(これらの式中、Z’は、水素、C〜C18アルキル、C〜C10シクロアルキルまたはアリールから各存在について独立して選択され;「g」は、1から20より各存在について独立して選択され、および「h」は、1から16(1および16を含む)の自然数である);
(B)−N(Y)−、−C(Y)=C(Y)−、−C(Y)=N−、−C(Y’)−C(Y’)−、または単結合(これらの式中、Yは、水素、C〜C18アルキル、C〜C10シクロアルキルおよびアリールから各存在について独立して選択され、ならびにY’は、C〜C18アルキル、C〜C10シクロアルキルおよびアリールから各存在について独立して選択される);あるいは
(C)−O−、−C(O)−、−C≡C−、−N=N−、−S−、−S(O)−、−S(O)(O)−、−(O)S(O)O−、−O(O)S(O)O−または直鎖もしくは分岐C〜C24アルキレン残基(該C〜C24アルキレン残基は、非置換であるか、シアノまたはハロにより一置換されているか、ハロにより多置換されている)
から選択されるが、但し、ヘテロ原子を含む2つのスペーサー単位が互いに連結されているとき、これらのスペーサー単位は、ヘテロ原子が互いに直接連結されないように連結されていること、ならびにSおよびSが別の基に連結されているとき、それらは、2個のヘテロ原子が互いに直接連結されないように連結されていることを条件とする)
によって表される構造を有する、前記請求項のいずれかに記載の(コ)ポリマー。
【請求項6】
製造物品であって、
基材と;
該基材の表面の少なくとも一部分の上の第一の少なくとも部分的な層であって、請求項1から5のいずれかに記載の(コ)ポリマーを含む層であり、偏波曝露によって場合より少なくとも部分的に配向されるものである第一の少なくとも部分的な層と;
場合により、該基材の表面の少なくとも一部分の上の1つ以上の追加の少なくとも部分的な層であって、タイ層、プライマー層、耐摩耗性コーティング、硬質コーティング、保護コーティング、反射コーティング、フォトクロミックコーティング、反射防止コーティング、直線偏光コーティング、円偏光コーティング、楕円偏光コーティング、遷移コーティング、液晶材料層、配向材料層、リターダー層、またはこれらのうちの任意のものの組み合わせから選択されるものである1つ以上の追加の少なくとも部分的な層
とを含む、製造物品。
【請求項7】
能動液晶セル、受動液晶セル、表示素子、窓、鏡または眼科用素子から選択される光学素子である、請求項6に記載の製造物品。
【請求項8】
前記1つ以上の追加の少なくとも部分的な層が存在し、ならびに
− 第一の少なくとも部分的な層の表面の第二の少なくとも部分的な層であって、少なくとも1つの二色性材料またはフォトクロミック−二色性材料を場合により含む少なくとも1つの液晶材料を含むものである、第二の少なくとも部分的な層と;
− 場合により、第二の配向材料を含む少なくとも部分的に配向した第三の少なくとも部分的な層と;
− 場合により、少なくとも第二の液晶材料を含む第四の少なくとも部分的な層と;
を含み、
該少なくとも部分的に配向した第三の層が存在する場合、前記少なくとも部分的に配向した第一の層とは異なる方向に配向しており、ならびに該第一、第二、第三および第四の少なくとも部分的な層が、場合により、前記基材の表面に積み重なっている、請求項6および7のいずれかに記載の製造物品。
【請求項9】
− 第一の表面を有する第一の基材と、
− 該第一の表面の反対側に第二の表面を有する第二の基材と、
− 該第二の表面に対向する該第一の表面の少なくとも一部分の上の第一の少なくとも部分的な層と、
− 該第一の表面に対向する該第二の表面の少なくとも一部分の上の第二の少なくとも部分的な層であって、該第一の少なくとも部分的な層および該第二の少なくとも部分的な層は空間を規定する、第二の少なくとも部分的な層と、
− 該第一の少なくとも部分的な層と該第二の少なくとも部分的な層との間の空間内の、少なくとも1つの二色性材料またはフォトクロミック−二色性材料を場合により含む液晶材料と
を含む液晶セルであり;
前記第一の少なくとも部分的な層および前記第二の少なくとも部分的な層が、配向層であり、前記第一の少なくとも部分的な層および前記第二の少なくとも部分的な層の少なくとも一方、好ましくは両方、が、請求項1から4のいずれかに記載の(コ)ポリマーを含み;ならびに
前記第一の少なくとも部分的な層および前記第二の少なくとも部分的な層の少なくとも一方が、場合により少なくとも部分的に配向され、前記第一の少なくとも部分的な層の配向が、好ましくは、前記第二の少なくとも部分的な層の配向とは異なる方向である、
請求項6および7のいずれかに記載の製造物品。
【請求項10】
光配向材料を光学素子に塗布する方法であって、
− 請求項1から5のいずれかに記載の(コ)ポリマーを含む光配向材料の少なくとも部分的な層を基材の表面の少なくとも一部分に塗布する工程;
− 該光配向(コ)ポリマー材料上の1つ以上の接着促進性基と該基材の表面の適合基との間に引力結合を形成する工程;および
− 該光配向(コ)ポリマー材料の少なくとも第一の部分を、該少なくとも部分的な層の偏光UV線への曝露により、少なくとも部分的に配向させる工程
を含む方法。
【請求項11】
前記光配向(コ)ポリマー材料の少なくとも第二の部分を、前記少なくとも部分的な層の偏光UV線への曝露により、少なくとも部分的に配向させる工程をさらに含み、該光配向(コ)ポリマー材料の第一の部分の配向方向が、該光配向(コ)ポリマー材料の第二の部分の配向方向と異なる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
− 液晶材料を含む第二の少なくとも部分的な層を前記光配向(コ)ポリマー材料の表面の少なくとも一部分に塗布する工程;および
− 該液晶材料を、前記少なくとも部分的に配向した光配向(コ)ポリマー材料の配向と同じ方向に少なくとも部分的に配向させる工程
をさらに含む、請求項10および11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記液晶材料が、二色性材料またはフォトクロミック−二色性材料の少なくとも一方を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
− 前記光配向(コ)ポリマー材料の表面の1つ以上の接着促進性基と前記第二の少なくとも部分的な層中の適合基との間に引力結合を形成する工程
をさらに含む、請求項12および13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記光配向(コ)ポリマー材料の表面の少なくとも一部分に少なくとも1つの追加の層を塗布する工程をさらに含み、該少なくとも1つの追加の層が、タイ層、プライマー層、耐摩耗性コーティング、硬質コーティング、保護コーティング、反射コーティング、フォトクロミックコーティング、反射防止コーティング、直線偏光コーティング、円偏光コーティング、楕円偏光コーティング、遷移コーティング、液晶材料コーティング、配向材料コーティング、またはこれらのうちの任意のものの組み合わせから選択される、請求項10および11のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
1つ以上の添加剤をさらに含み、該1つ以上の添加剤が、フォトクロミック化合物、二色性化合物、フォトクロミック−二色性化合物、感光性材料、液晶、液晶特性制御用添加剤、非線形光学材料、染料、配向促進剤、反応速度増進剤、光開始剤、熱開始剤、界面活性剤、重合抑制剤、溶剤、光安定剤、熱安定剤、離型剤、レオロジー制御剤、ゲル化剤、レベリング剤、フリーラジカルスカベンジャー、カップリング剤、チルト制御用添加剤、ブロックまたは非ブロックポリマー材料、および接着促進剤から成る群より選択される、請求項1から5のいずれかに記載の(コ)ポリマーの組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−513017(P2013−513017A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543178(P2012−543178)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/059035
【国際公開番号】WO2011/071794
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(504175051)トランジションズ オプティカル, インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】