説明

向上した流動性を有する中間蒸留物のための低温用添加剤

本発明の対象は、
A) 次式(A1)の少なくとも一種のポリエステル、
【化1】


[式中、
〜R基のうちの一つは、線状C16−C40−アルキルまたはアルケニル基を表し、そして
〜R基のうちの残りは、互いに独立して、水素または炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、
は、C−C結合または炭素原子数1〜6のアルキレン基を表し、
16は、炭素原子数2〜10の炭化水素基を表し、
nは、1〜100の数を表し、
mは、3〜250の数を表し、
pは、0または1を表し、そして
qは、0または1を表す]
B) エチレン及び少なくとも一種のエチレン性不飽和エステルからなる少なくとも一種のコポリマー、但し、この際、該コポリマーは、140℃で測定して最大でも5,000mPasの溶融粘度を有し、及び
C) 少なくとも一種の有機溶剤、
を含む、中間蒸留物のための低温用添加剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温で向上した取り扱い性を示す、中間蒸留物用の低温用添加剤、中間蒸留物の低温特性を向上するためのそれの使用、及び対応する中間蒸留物に関する。
【背景技術】
【0002】
減少する世界的な石油の埋蔵量の趨勢から、一層重質でそれ故パラフィンリッチな原油が採掘、加工されており、これは、その結果、パラフィンリッチな燃料油を招いている。特に原油及び中間蒸留物、例えば軽油、ディーゼル及び加熱油中に含まれるパラフィンは、油の温度が下がると晶出して、油を中に含んで集塊化する恐れがある。この結晶化及び集塊化によって、特に冬期には、エンジン及び燃焼システムのフィルターの閉塞を招き、それによって燃料の確実な計量供給が妨げられ、そして場合によっては、動力用燃料または加熱燃料供給の完全な中断が起こり得る。この際、通常は、動力用燃料フィルターが詰まるのには、油中の晶出したパラフィン0.1〜0.3重量%で既に十分である。加えて、このパラフィンの問題は、環境保護の理由から硫黄含有量を減らす目的で行う必要のある燃料油の水素化脱硫によって悪化している。水素化脱硫は、燃料油中で、低温時に問題を起こすパラフィンの割合を高め及びパラフィンの溶解性を高める単環式及び多環式芳香族類の割合を減少させる。
【0003】
低温流動性を向上するために、中間蒸留物にはしばしば化学的な添加剤、いわゆる低温流動性向上剤または流動性向上剤が加えられる。これは、析出するパラフィンの結晶構造及び集塊化傾向を改質して、こうして添加剤配合された油を、添加剤を配合していない油の場合よりもしばしば20℃以上低い温度でもなおもポンプ輸送または使用し得ることを可能とする。低温流動性向上剤としては、通常は、エチレン及び不飽和エステルからなる油溶性コポリマーが使用される。
【0004】
例えば、DE1147799A(特許文献1)では、沸騰範囲が約120〜400℃の石油蒸留物−動力用燃料もしくは−燃料に、分子量が約1,000〜3,000のエチレン及び酢酸ビニルからなる油溶性コポリマーを添加している。好ましいものは、エチレンを約60〜99重量%及び酢酸ビニルを約1〜40重量%含むコポリマーである。
【0005】
特に比較的長鎖のパラフィンを高含有量で含む中間蒸留物の添加剤配合のためには、エチレン及び不飽和エステルからなるこれらのコポリマーは、しばしば櫛形ポリマーと一緒に使用される。櫛形ポリマーとは、直鎖状主鎖上に、多かれ少なかれ規則的な間隔で、比較的長鎖の互いに程度の差はあれ同じ長さのアルキル鎖を有する分枝状高分子の特殊な形態と理解される。しばしば、エチレン及び不飽和エステルからなるコポリマーと櫛形ポリマーとの併用では、低温用添加剤として相乗的に強まった効果が報告されており、これは、どうやら、これらの櫛形ポリマーのパラフィン結晶化成核機能に基づくもののようである。これは、特に非常に長鎖の側鎖を有する櫛形ポリマーの使用時に起こる。
【0006】
US3447916(特許文献2)は、炭化水素油の流動点を降下するためのアルケニルコハク酸無水物、ポリオール及び脂肪酸からなる縮合ポリマーを開示している。これらのポリマーは、ポリオールのヒドロキシル基がほぼ完全にエステル化されているため、高い側鎖密度を有する。この文献には、更に別の添加剤と一緒に使用することについての示唆はない。
【0007】
DE1920849A(特許文献3)は、炭化水素油の流動点を降下させるための、アルケニルコハク酸無水物、OH基数が少なくとも4のポリオール及び脂肪酸からなる縮合ポリマーを開示している。好ましくは、縮合に使用される反応体の化学理論量は、OH基及びカルボキシル基のモル数が同じになるように、すなわち本質的にエステル化が完全に起きるように選択される。多価アルコールの使用及びそれに伴う側鎖密度の更なる増加によって、これらのポリマーは、その公開明細書の記載によると、US3447916(特許文献2)の添加剤に勝る効果を有している。この文献もまた、更に別の添加剤と一緒に使用することについては示唆はない。
【0008】
DE2451047A(特許文献4)は、残渣を含まず及びエチレンコポリマー並びにC18−C44−側鎖を持つ櫛形ポリマーが添加剤配合された、軽質の低粘性蒸留物燃料油を開示している。櫛形ポリマーとしては、中でも、C16−C44−アルキル(アルケニル)基を持つアルキル(アルケニル)コハク酸無水物、OH基数2〜6のポリオール、及びC20−C44−モノカルボン酸からなるエステル−縮合ポリマーが使用される。ポリエステルの三種の成分は好ましくは等モル量で縮合されて、そうしてOH基とCOOH基が実質的に完全にエステル化される。例えば、C22−28−アルケニルコハク酸無水物、トリメチロールプロパン及びC20−22−脂肪酸の等モル量からなる重縮合物が実証されている(ポリマーG)。
【0009】
しかし、通常は、OH基数が2超のポリオールの使用は、重縮合の際に、添加剤の溶解性及びそれで添加剤配合された油の濾過性を損なう割合の分枝状の高分子量でかつ一部は架橋もされた構造を与える。エステルの製造の際の適切な反応の管理によっては、この問題には不完全にしか対抗できない。
【0010】
中間蒸留物の低温特性の向上に使用される、エチレン及び不飽和エステルからなるコポリマーと櫛形コポリマーとの添加剤コンビネーションは、それの取り扱い性を向上するために、通常は、有機溶剤中の濃厚物として使用される。この際、しばしば添加剤濃厚物を加温するための手段が無い僻地でこのような添加剤濃厚物を使用する時には特に、可能な限り低い温度下において流動性でありかつ同様に低温の燃料中に混入可能なままであることが重要である。しかし、同時に、濃厚物中の有効物質濃度は、輸送及び貯蔵するべき添加剤濃厚物の体積を出来るだけ小さく保つために、出来る限り高いものであるべきでもある。
【0011】
重縮合によって製造される従来技術の櫛形ポリマーは、有機溶剤中の濃厚物としても、並びに有機溶剤中でのエチレン及び不飽和エステルからなるコポリマーとの混合物においても、しばしば、一部では20℃を超える比較的高い固有流動点(Eigenstockpunkt)を示す。しかし、ガソリンスタンドにおいても、また僻地、例えば山地や北極地方では、添加剤濃厚物を加熱して貯蔵することがしばしば不可能である。添加剤を薄めることは物流的に望ましくない。なぜならば、輸送及び貯蔵すべき体積が大きく増加するからである。それに加え、特にOH基数が3またはそれ以上のポリオールから誘導された櫛形ポリマーは、添加剤配合された中間蒸留物の濾過性を損ねる高分子量部分をしばしば含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】DE1147799A
【特許文献2】US3447916
【特許文献3】DE1920849A
【特許文献4】DE2451047A
【特許文献5】US4211534
【特許文献6】EP0398101A
【特許文献7】EP0154177A
【特許文献8】EP0777712A
【特許文献9】EP0413279B1
【特許文献10】EP0606055A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、効果が高く、低い周囲温度下でも問題なく扱うことが可能で、かつ中間蒸留物の低温流動性を出来るだけ少ない配合量で向上する、中間蒸留物用の低温用添加剤に対する要望がある。これらの添加剤は、低温下でも流動性で、かつ添加剤配合すべき中間蒸留物中に容易に可溶性であるべきである。加えて、添加剤配合された中間蒸留物の濾過性を、全く損なわないか、または少なくとも出来るだけ少ししか損なわないべきである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
驚くべきことに、エチレン及び不飽和エステルからなるコポリマーと、線状C16−C40−アルキル基もしくはC16−C40−アルケニル基を有するジカルボン酸またはジカルボン酸無水物とジオールとの重縮合によって製造されるポリエステルとの有機溶剤中の溶液もしくは分散液を含む添加剤コンビネーションが、10℃未満、しばしば0℃未満、一部では−10℃未満、例えば−20℃またはそれ以下の低温下でも、濃厚化された形態で流動性でありかつ中間蒸留物中に良好に可溶性であることが見出された。加えて、これらは、それらで添加剤配合される油の濾過性を損ねることなく、低温流動性向上剤として優れた性質を有する。多くの場合に、低温流動性向上剤としての効果は、従来技術の櫛形ポリマーに対して向上される。このことは、明らかに、側鎖の低められた密度、及びそれ故、油から晶出したパラフィンとの向上した相互作用の所以と考えられる。
【0015】
本発明の対象は、
A) 次式の少なくとも一種のポリエステル
【0016】
【化1】

【0017】
[式中、
〜R基のうちの一つは、線状C16−C40−アルキルもしくはアルケニル基を表し、そして
〜R基のうちの残りは、互いに独立して、水素または炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、
は、C−C結合または炭素原子数1〜6のアルキレン基を表し、
16は、炭素原子数2〜10の炭化水素基を表し、
nは、1〜100の数を表し、
mは、3〜250の数を表し、
pは、0または1を表し、そして
qは、0または1を表す]
B) エチレン及び少なくとも一種のエチレン性不飽和エステルからなる少なくとも一種のコポリマー、但し、該コポリマーは、140℃で測定して、最大でも5,000mPasの溶融粘度を有する、及び
C) 少なくとも一種の有機溶剤、
を含む、中間蒸留物用の低温用添加剤である。
【0018】
本発明の更に別の対象の一つは、中間蒸留物に低温用添加剤を添加することによって、燃料油の低温特性を向上するための方法であって、該添加剤が、
A) 次式の少なくとも一種のポリエステル、
【0019】
【化2】

【0020】
[式中、
〜R基のうちの一つは、線状C16−C40−アルキルまたはアルケニル基を表し、そして
〜R基のうちの残りは、互いに独立して、水素または炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、
は、C−C結合または炭素原子数1〜6のアルキレン基を表し、
16は、炭素原子数2〜10の炭化水素基を表し、
nは、1〜100の数を表し、
mは、3〜250の数を表し、
pは、0または1を表し、及び
qは、0または1を表す]
B) エチレン及び少なくとも一種のエチレン性不飽和エステルからなる少なくとも一種のコポリマー、但し、該コポリマーは、140℃で測定して、最大でも5,000mPasの溶融粘度を有し、及び
C) 少なくとも一種の有機溶剤、
を含む、前記方法である。
【0021】
本発明の更に別の対象の一つは、中間蒸留物及び低温用添加剤を含む燃料油であって、前記低温用添加剤が、
A) 次式の少なくとも一種のポリエステル、
【0022】
【化3】

【0023】
[式中、
〜R基のうちの一つは、線状C16−C40−アルキルまたはアルケニル基を表し、そして
〜R基のうちの残りは、互いに独立して、水素または炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、
は、C−C結合または炭素原子数1〜6のアルキレン基を表し、
16は、炭素原子数2〜10の炭化水素基を表し、
nは、1〜100の数を表し、
mは、3〜250の数を表し、
pは、0または1を表し、そして
qは、0または1を表す]
B) エチレン及び少なくとも一種のエチレン性不飽和エステルからなる少なくとも一種のコポリマー、但し、該コポリマーは、140℃で測定して最大でも5,000mPasの溶融粘度を有し、及び
C) 少なくとも一種の有機溶剤、
を含む、前記燃料油である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ポリエステルA)の製造に適した好ましいジカルボン酸は、以下の一般式1に相当する。
【0025】
【化4】

【0026】
[式中、R〜R基のうちの一つは、線状C16−C40−アルキルまたはアルケニル基を表し、R〜R基のうちの残りは、互いに独立して、水素または炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、そして
は、C−C結合または炭素原子数1〜6のアルキレン基を表す。
【0027】
特に好ましくは、R〜R基のうちの一つは、線状C16−C40−アルキルまたはアルケニル基(これは、以下、まとめて、C16−C40−アルキル(アルケニル)基とも称する)を表し、一つはメチル基を、そして残りは水素を表す。特定の実施形態の一つでは、R〜R基のうちの一つは線状C16−C40−アルキル基またはアルケニル基を表し、そして残りは水素を表す。特に好ましい実施形態の一つでは、RはC−C単結合を表す。特に、R〜R基のうちの一つは、線状C16−C40−アルキルまたはアルケニル基を表し、残りの基R〜Rは水素を表し、そしてRはC−C単結合を表す。
【0028】
アルキル及び/またはアルケニル基を有するジカルボン酸またはそれの無水物の製造は、既知の方法に従い行うことができる。例えば、これらは、エチレン性不飽和ジカルボン酸をオレフィンと(“エン反応”)またはクロロアルカンと一緒に加熱することによって製造することができる。好ましいのは、エチレン性不飽和ジカルボン酸へのオレフィンの熱付加であり、これは、通常は、100〜250℃の温度で行われる。この際生ずるアルケニル基含有ジカルボン酸及びジカルボン酸無水物は、アルキル基含有ジカルボン酸及びジカルボン酸無水物へと水素化できる。オレフィンとの反応に好ましいジカルボン酸及びそれの無水物は、マレイン酸、特に好ましくはマレイン酸無水物である。更に、イタコン酸、シトラコン酸及びこれらの無水物、並びに上記の酸のエステル、特に低級C−C−アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノールまたはブタノールとのエステルも適している。
【0029】
アルキル基含有ジカルボン酸またはそれらの無水物の製造のためには、好ましくは炭素原子数16〜40、特に炭素原子数18〜36、例えば炭素原子数19〜32の線状オレフィンが使用される。特に好ましい実施形態の一つでは、様々な鎖長を有するオレフィンの混合物が使用される。好ましくは、炭素原子数18〜36のオレフィン、特にα−オレフィンの混合物、例えばC20〜C22、C20〜C24、C24〜C28、C26〜C28、C30〜C36の範囲の混合物が使用される。これらのオレフィンは、副次的な割合でより短鎖及び/またはより長鎖のオレフィンも含むことができるが、好ましくはこれらの含有量は、10重量%以下、特に0.1〜5重量%以下である。好ましいオレフィンは、線状または少なくともほぼ線状のアルキル鎖を有する。線状もしくはほぼ線状とは、オレフィンの少なくとも50重量%、好ましくは70〜99重量%、特に75〜95重量%、例えば80〜90重量%が、炭素原子数16〜40の線状の部分を有することと解される。オレフィンとしては、好ましくは工業的なアルケン混合物が適している。これらは、好ましくは少なくとも50重量%、特に好ましくは60〜99重量%、特に70〜95重量%、例えば75〜90重量%の末端二重結合を含む(α−オレフィン)。加えて、これらは、50重量%まで、好ましくは1〜40重量%、特に5〜30重量%、例えば10〜25重量%の割合で、内部二重結合を有するオレフィン、例えば構造要素R17−CH=C(CH(式中、R17は、炭素原子数12〜36、特に炭素原子数14〜32、例えば炭素原子数15〜28のアルキル基を表す)を有するビニリデン二重結合を有するオレフィンを含んでもよい。更に、副次的な量の技術的理由由来の副成分、例えばパラフィンも存在し得るが、それの含有量は好ましくは5重量%以下である。特に好ましいものは、C20〜C24の範囲の炭素鎖長を有する線状α−オレフィンを少なくとも75重量%含むオレフィン混合物である。
【0030】
好ましいポリエステルA)は、線状C16−C40−アルキルもしくはアルケニル基含有アルキルもしくはアルケニルコハク酸及び/またはそれらの無水物をジオールと反応させることによって製造することができる。
【0031】
第一の好ましい実施形態では、nは1を表す。このような好ましいジオールは、炭素原子数が2〜10、特に好ましくは炭素原子数が2〜6、特に炭素原子数が2〜4である。これらは、脂肪族または芳香族炭化水素から誘導することができる。好ましくは、前記炭化水素基は更に別のヘテロ原子を含まない。ヒドロキシル基は、炭化水素基の様々なC原子上に存在する。好ましくは、これらは、脂肪族炭化水素基の隣接する炭素原子または末端の炭素原子上に存在するか、あるいは芳香族炭化水素のオルト−及びパラ位に存在する。脂肪族炭化水素基が好ましい。脂肪族炭化水素基は、線状、分枝状または環状であることができる。好ましくはこれらは線状である。更に好ましくは、これらは飽和である。好ましいジオールの例は、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール及びこれらの混合物である。特に好ましいものはエチレングリコールである。
【0032】
第二の好ましい実施形態では、nは2〜100の数、特に好ましくは3〜50の数、特に4〜20の数、例えば5〜15の数を表す。この実施形態では、ジオールは、好ましくはC−C−アルキレンオキシドのオリゴマー及びポリマー、特にエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドのオリゴマー及びポリマーである。好ましくは、これらのオリゴマー及びポリマーの縮合度は2〜100、特に好ましくは3〜50、特に4〜20、例えば5〜15である。C−C−アルキレンオキシドの好ましいオリゴマー及びポリマーの例は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(エチレングリコール−co−プロピレングリコール)及びこれらの混合物である。
【0033】
アルキル基含有ジカルボン酸またはそれらの無水物もしくはそれらのエステルとジオールとの反応は、好ましくは1:2〜2:1のモル比で、特に好ましくは1:1.5〜1.5:1のモル比で、特に1:1.2〜1.2:1のモル比で、就中1:1.1〜1.1:1のモル比で、例えば等モル比で行われる。特に好ましくは、ジオールを僅かに過剰で反応を行う。この際、使用するジカルボン酸の量を基準にして1〜10モル%、特に1.5〜5モル%のモル過剰が特に有効であることが判明した。縮合は、好ましくは、C16−C40−アルキルまたはアルケニル置換ジカルボン酸またはそれらの無水物もしくはエステルをジオールと一緒に100℃超の温度に、好ましくは120〜320℃の温度に、例えば150〜290℃の温度に加熱することによって行われる。
【0034】
効果に重要な、ポリエステルA)の分子量の調節のためには、通常は、反応水もしくは−アルコールの除去が必要であり、これは、例えば、蒸留による分離によって行うことができる。これにはまた、適当な有機溶剤を用いた共沸分離も適している。重縮合を加速するためには、多くの場合に、反応混合物に触媒を添加することが有効であることが判明した。この際、触媒としては、既知の酸性、塩基性または有機金属化合物が適している。
【0035】
好ましくは、ポリエステルA)の酸価は、40mgKOH/g未満、特に好ましくは30mgKOH/g未満、例えば20mgKOH/g未満である。酸価は、例えば、キシレン/イソプロパノール中のアルコール性テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド溶液を用いてポリマーを滴定することによって測定できる。更に好ましくは、該ポリエステルA)のヒドロキシル価は、40mgKOH/g未満、特に好ましくは30mgKOH/g未満、特に20mgKOH/g未満である。ヒドロキシル価は、遊離のOH基をイソシアネートと反応させた後に、H−NMR−スペクトロスコピーを用いて、生じたウレタンを定量することによって求めることができる。
【0036】
好ましい実施形態の一つでは、反応混合物中で、分子量の調節のために、副次的な量のアルキル基含有ジカルボン酸、それらの無水物またはそれらのエステルを、C〜C30モノカルボン酸、特に好ましくはC〜C18モノカルボン酸、特にC〜C16モノカルボン酸、就中C〜C14モノカルボン酸、例えばC〜C12モノカルボン酸またはそれらと低級アルコールとのエステルと交換する。しかし、この際、最大でも20モル%、好ましくは0.1〜10モル%、例えば0.5〜5モル%のアルキル(アルケニル)含有ジカルボン酸またはそれらの無水物もしくはエステルを、モノカルボン酸またはそれらのエステルと交換する。このためには、様々なカルボン酸の混合物も適している。重縮合の後、ポリマーのヒドロキシル価は、好ましくは10mgKOH/g未満、特に5mgKOH/g未満、例えば2mgKOH/g未満である。特に好ましくは、ポリエステルA)はモノカルボン酸の不存在下に製造される。更に、副次的な量、例えば10モル%まで、特に0.01〜5モル%のアルキル基含有ジカルボン酸、それらの無水物またはそれらのエステルを、更に別のジカルボン酸、例えばコハク酸、グルタル酸、マレイン酸及び/またはフマル酸と交換することもできる。
【0037】
更に別の好ましい実施形態の一つでは、反応混合物中で、分子量の調節のために、副次的な量のジオールを、C〜C30モノアルコール、特に好ましくはC〜C24モノアルコール、特にC〜C18モノアルコール、例えばC〜C12モノアルコールと交換する。このためには、異なるアルコールの混合物も適している。重縮合の後は、ポリマーの酸価は、好ましくは10mgKOH/g未満、特に5mgKOH/g未満、例えば2mgKOH/g未満である。この際、好ましくは、最大でも20モル%、特に好ましくは0.1〜10モル%、例えば0.5〜5モル%のポリオールを、一種またはそれ以上のモノアルコールと交換する。特に好ましくは、ポリエステルA)は、モノアルコールの不存在下に製造される。
【0038】
本発明のポリマーA1の平均縮合度は、好ましくは4〜200、特に好ましくは5〜150、特に7〜100、例えば10〜50である。ポリ(エチレングリコール)標準に対してGPCにより測定したポリエステルA)の重量平均分子量Mwは、好ましくは1,500〜100,000g/モル、特に2,500〜50,000g/モル、例えば4,000〜20,000g/モルである。
【0039】
エチレン及びオレフィン性不飽和エステルからなる好ましいコポリマーB)は、特に、エチレンの他に、8〜21モル%、特に10〜19モル%のオレフィン性不飽和エステルをコモノマーとして含むものである。
【0040】
オレフィン性不飽和エステルは、好ましくは、ビニルエステル、アクリルエステル及び/またはメタクリルエステルである。一種またはそれ以上のエステルがコモノマーとしてポリマー中に含まれてもよい。
【0041】
ビニルエステルは、好ましくは、次式2で表されるものである。
【0042】
CH=CH−OCOR12 (2)
【0043】
式中、R12は、C〜C30アルキル、好ましくはC〜C16アルキル、特にC〜C12アルキルを意味する。更に別の実施形態の一つでは、上記のアルキル基は、一つまたはそれ以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい。
【0044】
特に好ましいビニルエステルは、カルボニル基に対してアルファ位置に分枝がある第二、特に第三カルボン酸から誘導される。前記ビニルエステルにおいて、好ましくはR12は、C〜C16アルキル、特にC〜C12アルキルを表す。更に別の好ましい実施形態の一つでは、R12は、炭素原子数7〜11、特に炭素原子数8、9または10の、分枝状アルキル基またはネオアルキル基を表す。適当なビニルエステルには、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、ヘプタン酸ビニル、オクタン酸ビニル、ピルビン酸ビニルエステル、2−エチルヘキサン酸ビニルエステル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、並びにバーサティック酸エステル、例えばネオノナン酸ビニルエステル、ネオデカン酸ビニルエステル、ネオウンデカン酸ビニルエステルなどが挙げられる。
【0045】
更に別の好ましい実施形態の一つでは、これらのエチレンコポリマーは、酢酸ビニル、及び式2の少なくとも一種の更に別のビニルエステルを含み、但しここでR12は、C〜C30アルキル、好ましくはC〜C16アルキル、特にC〜C12アルキルを表す。この更に別のビニルエステルは、特に好ましくは、アルファ位置で分枝している。
【0046】
アクリル及びメタクリルエステル(以下では、(メタ)アクリルエステルと総称する)は、好ましくは、次式3のものである。
【0047】
CH=CR13−COOR14 (3)
【0048】
式中、R13は水素またはメチルを意味し、そしてR14は、C〜C30アルキル、好ましくはC〜C16アルキル、特にC〜C12アルキルを意味する。適当なアクリルエステルには、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−及びiso−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル−、オクチル−、2−エチルヘキシル−、デシル−、ドデシル−、テトラデシル−、ヘキサデシル−、オクタデシル(メタ)アクリレート並びにこれらのコモノマーの混合物などが挙げられる。更に別の実施形態の一つでは、上記のアルキル基は、一つまたはそれ以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい。このようなアクリルエステルの一例は、ヒドロキシエチルメタクリレートである。
【0049】
コポリマーB)は、オレフィン性不飽和エステルの他に、更に別のオレフィン性不飽和化合物もコモノマーとして含んでもよい。この種の好ましいコモノマーはアルキルビニルエーテル及びアルケンである。
【0050】
アルキルビニルエーテルは、好ましくは、次式4の化合物である。
【0051】
CH=CH−OR15 (4)
【0052】
式中、R15は、C〜C30アルキル、好ましくはC〜C16アルキル、特にC〜C12アルキルを意味する。例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、iso−ブチルビニルエーテルなどが挙げられる。更に別の実施形態の一つでは、上記のアルキル基は、一つまたはそれ以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい。
【0053】
アルケンは、好ましくは、炭素原子数3〜30、特に炭素原子数4〜16、就中炭素原子数5〜12のモノ不飽和の炭化水素である。適当なアルケンには、プロペン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘキセン、4−メチルペンテン、オクテン、ジイソブチレン並びにノルボルネン及びこれらの誘導体、例えばメチルノルボルネン及びビニルノルボルネンが挙げられる。更に別の実施形態の一つでは、上記のアルキル基は、一つまたはそれ以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい。
【0054】
特に好ましいものは、エチレン以外に、3.5〜20モル%、特に8〜15モル%の酢酸ビニル、及び0.1〜12モル%、特に0.2〜5モル%の少なくとも一種のより長鎖の、好ましくは分枝状のビニルエステル、例えば2−エチルヘキサン酸ビニルエステル、ネオノナン酸ビニルエステルまたはネオデカン酸ビニルエステルを含むターポリマーである。ここで、前記ターポリマーの総コモノマー含有量は、好ましくは8.1〜21モル%、特に8.2〜19モル%、例えば12〜18モル%である。更に別の特に好ましいコポリマーは、エチレン及び8〜18モル%のC〜C12カルボン酸のビニルエステルの他に、更に0.5〜10モル%のオレフィン、例えばプロペン、ブテン、イソブチレン、ヘキセン、4−メチルペンテン、オクテン、ジイソブチレン及び/またはノルボルネンを含み、この際、総コモノマー含有量は、好ましくは8.5〜21モル%、特に8.2〜19モル%である。
【0055】
好ましくは、これらのエチレンコポリマー及びターポリマーは、140℃で20〜2,500mPas、特に30〜1,000mPas、就中50〜500mPasの溶融粘度を有する。H−NMRスペクトロスコピーで測定した分枝度は、好ましくは、コモノマーに由来しないものとして、1〜9CH/100CH基、特に2〜6CH/100CH基である。
【0056】
好ましくは、上記のエチレンコポリマーの二種またはそれ以上の混合物を使用する。この際、特に好ましくは、この混合物がベースとするポリマーは、少なくとも一つの特徴において異なっている。例えば、これらは、異なるコモノマーを含み、異なるモノマー含有率、分子量及び/または分枝度を有する。例えば、コモノマー含有率が少なくとも2モル%、特に3モル%超相違する、異なるコモノマー含有率を有するエチレンコポリマーの混合物が特に有効であることが判明した。
【0057】
本発明の低温用添加剤は、好ましくは25〜95重量%、好ましくは28〜80重量%、例えば35〜70重量%の割合で少なくとも一種の有機溶剤C)を含む。好ましい溶剤は、比較的高沸点であり、低粘性の有機溶剤である。好ましくは、これらの溶剤は、副次的な量でのみヘテロ芳香族類を含み、そして特に炭化水素のみからなる。更に好ましくは、20℃で測定したそれらの動粘度は、10mm2/s未満、特に6mm2/s未満である。特に好ましい溶剤は、脂肪族及び芳香族炭化水素並びにこれらの混合物である。溶剤として好ましい脂肪族炭化水素は、炭素原子数が9〜20、特に炭素原子数が10〜16である。これらは線状、分枝状及び/または環状であることができる。更にこれらは、飽和または不飽和であることができ、好ましくはこれらは飽和または少なくともほぼ飽和である。溶剤として好ましい芳香族炭化水素は、炭素原子数が7〜20、特に炭素原子数が8〜16、例えば炭素原子数が9〜13である。好ましい芳香族炭化水素は、単環式、二環式、三環式または多環式芳香族類である。好ましい実施形態の一つでは、これらは、一つまたはそれ以上、例えば二つ、三つ、四つ、五つまたはそれ以上の置換基を有する。複数の置換基の場合には、これらは同一でも異なっていてもよい。好ましい置換基は、炭素原子数1〜20、特に炭素原子数1〜5のアルキル基、例えばメチル−、エチル−、n−プロピル−、iso−プロピル−、n−ブチル−、iso−ブチル−、tert.−ブチル−、n−ペンチル−、iso−ペンチル−、tert.−ペンチル−及びネオペンチル基である。適当な芳香族類の例は、アルキルベンゼン及びアルキルナフタレンである。例えば、脂肪族及び/または芳香族炭化水素または炭化水素混合物、例えばベンジン留分、ケロシン、デカン、ペンタデカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンまたは商業的な溶剤混合物、例えばソルベントナフサ、Shellsoll(登録商標)AB、Solvesso(登録商標)150、Solvesso(登録商標)200、Exxsol(登録商標)、ISOPAR(登録商標)−及びShellsol(登録商標)Dタイプが特に適している。上記の溶剤混合物は、様々な量で脂肪族及び/または芳香族炭化水素を含む。場合により、溶剤C)は、極性可溶化剤、例えばアルコール、有機酸、エーテル及び/または有機酸のエステルも含むことができる。好ましい可溶化剤は、炭素原子数4〜24、特に好ましくは炭素原子数6〜18、特に炭素原子数8〜16である。適当な可溶化剤の例は、ブタノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、iso−デカノール、iso−トリデカノール、ノニルフェノール、安息香酸、オレイン酸、ジヘキシルエーテル、ジオクチルエーテル、2−エチルヘキシル酸−ブチレート、オクタン酸エチルエステル、ヘキサン酸エチルエステル、2−エチルヘキシル酸ブチルエステル及び2−エチルヘキシルブチレート並びにより高級なエーテル及び/またはより高級なエステル、例えばジ−(2−エチルヘキシル)エーテル、2−エチルヘキシル酸−2−エチルヘキシルエステル及び2−エチルヘキシルステアレートである。溶剤C)中の極性可溶化剤の割合は、好ましくは5〜80重量%、特に10〜65重量%である。鉱油に基づく溶剤の他に、再生可能な原料に基づく溶剤、例えば植物油及びそれから誘導されるメチルエステル、特にナタネ油酸メチルエステル、並びに合成炭化水素、例えばフィッシャー・トロプシュ法から得ることができる合成炭化水素も溶剤C)として適している。上記の溶剤の混合物も適している。
【0058】
本発明の低温用添加剤は、好ましくは1.5〜73.5重量%、特に15〜70重量%、就中25〜60重量%の割合の構成分B)を含む。
【0059】
本発明の低温用添加剤は、好ましくは0.1〜50重量%、特に0.5〜30重量%、就中1〜20重量%の割合で構成分A)を含む。
【0060】
本発明の低温用添加剤は、好ましくは0.001〜1.0重量%、特に好ましくは0.002〜0.5重量%、例えば0.005〜0.2重量%の量で中間蒸留物に加えられる。
【0061】
本発明の低温用添加剤は、一種またはそれ以上の更に別の低温流動性向上剤と一緒に使用することができる。好ましくは、これらは、低温流動性向上剤III)〜VII)の一種またはそれ以上と一緒に使用される。
【0062】
更に別の低温流動性向上剤としては、油溶性極性窒素化合物(構成分III)が適している。この際、これらは、好ましくは、脂肪アミンと、アシル基を含む化合物との反応生成物である。好ましいアミンは、式NRの化合物であり、式中、R、R及びRは、同一かまたは異なることができ、そしてこれらの基のうちの少なくとも一つは、C−C36−アルキル、C−C36−シクロアルキル、C−C36−アルケニル、特にC12−C24−アルキル、C12−C24−アルケニルまたはシクロヘキシルを表し、そして残りの基は、水素、C−C36−アルキル、C−C36−アルケニル、シクロヘキシル、または式−(A−O)−Eもしくは−(CH−NYZの基のいずれかを意味し、但し、Aは、エチルまたはプロピル基を表し、xは1〜50の数を意味し、Eは、H、C−C30−アルキル、C−C12−シクロアルキルまたはC−C30−アリールを意味し、そしてkは、2、3または4を意味し、そしてY及びZは、互いに独立して、H、C−C30−アルキルまたは−(A−O)を意味する。前記のアルキル及びアルケニル基は、線状または分枝状であることができ、そして二つまでの二重結合を含んでよい。好ましくは、これらは線状でかつほぼ飽和であり、すなわちヨウ素価が75gI/g未満、好ましくは60gI/g未満、特に1〜10gI/gである。特に好ましいものは第二脂肪アミンであり、その場合、R、R及びR基のうちの二つは、C−C36−アルキル、C−C36−シクロアルキル、C−C36−アルケニル、特にC12−C24−アルキル、C12−C24−アルケニルまたはシクロヘキシルを表し、他の一つは水素を表す。適当な脂肪アミンは、例えばオクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、エイコシルアミン、ベヘニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ジオクタデシルアミン、ジエイコシルアミン、ジベヘニルアミン、及びこれらの混合物である。特に、アミンは、天然の原料に基づく鎖分を含み、例えばココ脂肪アミン、タロー脂肪アミン、水素化タロー脂肪アミン、ジココ脂肪アミン、ジタロー脂肪アミン及びジ(水素化タロー脂肪アミン)である。特に好ましいアミン誘導体は、アミン塩、イミド及び/またはアミド、例えば第二脂肪アミン、特にジココ脂肪アミン、ジタロー脂肪アミン及びジステアリルアミンのアミド−アンモニウム塩である。
【0063】
ここで、アシル基とは、次の式の官能性基と理解される。
【0064】
>C=O
【0065】
アミンとの反応に適したカルボニル化合物は、一つまたはそれ以上のカルボキシル基を有するモノマー性及びポリマー性化合物である。モノマー性カルボニル化合物には、2、3または4つのカルボニル基を有するものが好ましい。これらは、ヘテロ原子、例えば酸素、硫黄及び窒素を含むこともできる。適当なカルボン酸は、例えば、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、コハク酸、C−C40−アルキル(アルケニル)コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、セバシン酸及びマロン酸、並びに安息香酸、フタル酸、トリメリット酸及びピロメリット酸、ニトリロトリ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸及びこれらの反応性誘導体、例えばエステル、無水物及び酸ハロゲン化物である。ポリマー性カルボニル化合物としては、特に、エチレン性不飽和酸のコポリマー、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸のコポリマーが有用であることが判明した。特に好ましいものは、マレイン酸無水物のコポリマーである。コモノマーとしては、コポリマーに油溶性を付与するものが適している。ここで油溶性とは、コポリマーが、脂肪アミンとの反応の後で、実施の際に重要な配量率で、添加剤配合するべき中間蒸留物中に残渣を残すことなく溶解することと理解される。適当なコモノマーは、例えば、それぞれアルキル基中に2〜75個、好ましくは4〜40個、特に8〜20個の炭素原子を有するオレフィン、アクリル酸及びメタクリル酸のアルキルエステル、アルキルビニルエステル及びアルキルビニルエーテルである。オレフィンの場合は、この炭素数は二重結合に結合したアルキル基に関する。ポリマー性カルボニル化合物の分子量は、好ましくは400〜20,000、特に好ましくは500〜10,000、例えば1,000〜5,000である。
【0066】
特に、脂肪族または芳香族アミン、好ましくは長鎖脂肪族アミンと脂肪族または芳香族モノ−、ジ−、トリ−もしくはテトラカルボン酸またはそれらの無水物とを反応させることによって得られる油溶性極性窒素化合物が有用であることが判明した(US4211534(特許文献5)参照)。同様に、アミノアルキレンポリカルボン酸、例えばニトリロトリ酢酸またはエチレンジアミンテトラ酢酸と、第二アミンとのアミド及びアンモニウム塩も油溶性極性窒素化合物として適している(EP0398101A(特許文献6)参照)。他の油溶性極性窒素化合物は、マレイン酸無水物とα,β−不飽和化合物とのコポリマー(これは、場合により、第一モノアルキルアミン及び/または脂肪族アルコールと反応させることができる)(EP0154177A(特許文献7)、EP0777712A(特許文献8)参照)、アルケニルスピロビスラクトンとアミンとの反応生成物(EP0413279B1(特許文献9)参照)、及びEP0606055A2(特許文献10)に従い、α,β−不飽和ジカルボン酸無水物、α,β−不飽和化合物、及び低級不飽和アルコールのポリオキシアルキレンエーテルに基づくターポリマーの反応生成物である。
【0067】
本発明の低温用添加剤と構成分IIIとしての油溶性極性窒素化合物との間の混合比率は用途に応じて変わり得る。このような添加剤混合物は、好ましくは、有効成分に基づいて、A)とB)からなる本発明の添加剤コンビネーション1重量部あたり、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部の少なくとも一種の油溶性極性窒素化合物(構成分III)を含む。
【0068】
他の好ましい更に別の低温流動性向上剤は、構成分IVとしての、アルキル基含有フェノール誘導体とアルデヒドからなる樹脂である。本発明の好ましい実施形態の一つでは、これは、以下の式の繰り返し構造単位を有するオリゴマーまたはポリマーを含む、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂である。
【0069】
【化5】

【0070】
式中、R11は、C−C200−アルキルまたは−アルケニル、O−R10またはO−C(O)−R10を表し、R10は、C−C200−アルキルまたは−アルケニルを表し、そしてhは、2〜100の数を表す。R10は、好ましくはC−C20−アルキルまたは−アルケニルを表し、特にC−C16−アルキルまたは−アルケニルを表し、例えばC−C12−アルキルまたは−アルケニルを表す。特に好ましくは、R11は、C−C20−アルキルまたは−アルケニル、特にC−C16−アルキルまたは−アルケニルを表し、例えばC−C12−アルキルまたは−アルケニルを表す。好ましくは、hは2〜50の数、特に3〜25の数、例えば5〜15の数を表す。
【0071】
特に好ましい実施形態の一つでは、構成分IVは、OH基に対してオルト−及び/またはパラ位に一つまたは二つのアルキル基を有するアルキルフェノールから誘導される樹脂である。この際、原料として特に好ましいものは、芳香族部分にアルデヒドとの縮合が可能な少なくとも二つの水素原子を有するアルキルフェノール、特にモノアルキル化フェノールである。特に好ましくは、アルキル基は、フェノール性OH基に対してパラ位に存在する。このアルキル基(以下、構成分IVに関しては一般に、以下の定義に従い炭化水素基と解される)は、本発明の方法で使用可能なアルキルフェノール−アルデヒド樹脂では、同一かまたは異なることができ、これらは飽和または不飽和であることができ、そして1〜200個、好ましくは1〜20個、特に4〜16個、例えば6〜12個の炭素原子を有することができ、好ましくは、n−、iso−及びtert.−ブチル−、n−及びiso−ペンチル−、n−及びiso−ヘキシル−、n−及びiso−オクチル−、n−及びiso−ノニル−、n−及びiso−デシル−、n−及びiso−ドデシル−、テトラデシル−、ヘキサデシル−、オクタデシル−、トリプロペニル−、テトラプロペニル−、ポリ(プロペニル)−及びポリ(イソブテニル)基である。好ましい実施形態の一つでは、アルキルフェノール樹脂の製造には、異なるアルキル基を有するアルキルフェノールの混合物が使用される。例えば、1:10〜10:1のモル比で、一方ではブチルフェノールに、他方ではオクチル−、ノニル−及び/またはドデシルフェノールに基づく樹脂が特に有効であることが判明した。
【0072】
構成分IVとして適した樹脂は、更に別のフェノール類似物の構造単位、例えばサリチル酸、ヒドロキシ安息香酸、アミノフェノール並びにこれらの誘導体、例えばエステル、アミド及び塩の構造単位も含むか、またはこれらからなることができる。
【0073】
該樹脂の製造のために適したアルデヒドは、炭素原子数が1〜12のもの、好ましくは炭素原子数が1〜4のもの、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、2−エチルヘキサナール、ベンズアルデヒド、グリオキサル酸、並びにこれらの反応性等価物、例えばパラホルムアルデヒド及びトリオキサンである。特に好ましいものは、パラホルムアルデヒド及び特にホルマリンの形のホルムアルデヒドである。
【0074】
THF中でポリ(スチレン)標準に対しゲル透過クロマトグラフィで測定した適当な樹脂の分子量は、好ましくは500〜25,000g/モル、特に好ましくは800〜10,000g/モル、就中1,000〜5,000g/モル、例えば1500〜3,000g/モルである。この際、前提条件は、該樹脂が、少なくとも0.001〜1重量%の用途に重要な濃度において油溶性であることである。
【0075】
これらの樹脂は、既知の方法で入手でき、例えば対応するアルキル基含有フェノール誘導体をホルムアルデヒドと縮合することによって得ることができる。
【0076】
更に別の低温流動性向上剤としては、櫛形ポリマーも適している。このような櫛形ポリマー(構成分V)は、例えば次式で表すことができる。
【0077】
【化6】

【0078】
ここで、
Aは、R’、COOR’、OCOR’、R’’−COOR’、OR’を意味し;
Dは、H、CH、AまたはR’’を意味し;
Eは、H、Aを意味し;
Gは、H、R’’、R’’−COOR’、アリール基またはヘテロ環式基を意味し;
Mは、H、COOR’’、OCOR’’、OR’’、COOHを意味し;
Nは、H、R’’、COOR’’、OCOR、アリール基を意味し;
R’は、炭素原子数8〜50の炭化水素鎖を意味し、
R’’は、炭素原子数1〜10の炭化水素鎖を意味し;
aは、0.4〜1.0の数を意味し; そして
bは、0〜0.6の数を意味する。
【0079】
これらは、特に、各モノマー間のC−C結合形成下にラジカル重合することによって入手できる付加ポリマーである。適当な櫛形ポリマーは、例えば、エチレン性不飽和ジカルボン酸、例えばマレイン酸またはフマル酸と他のエチレン性不飽和モノマー、例えばオレフィンまたはビニルエステル、例えば酢酸ビニルとのコポリマーである。この際、特に好適なオレフィンは、炭素原子数10〜36、特に炭素原子数12〜24のα−オレフィン、例えば1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン及びこれらの混合物である。オリゴマー化されたC〜Cオレフィンに基づくより長鎖のオレフィン、例えば末端二重結合を高い割合で含むポリ(イソブチレン)もコモノマーとして適している。通常は、これらのコポリマーは、少なくとも50%までが炭素原子数10〜22のアルコールでエステル化されている。適当なアルコールには、n−デカン−1−オール、n−ドデカン−1−オール、n−テトラデカン−1−オール、n−ヘキサデカン−1−オール、n−オクタデカン−1−オール、n−エイコサン−1−オール及びこれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいものは、n−テトラデカン−1−オールとn−ヘキサデカン−1−オールとの混合物である。また同様に、炭素原子数12〜20のアルコールから誘導されるポリ(アルキルアクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート)及びポリ(アルキルビニルエーテル)、並びに炭素原子数12〜20の脂肪酸から誘導されるポリ(ビニルエステル)も櫛形ポリマーとして好適である。
【0080】
同様に、更に別の低温流動性向上剤として、炭素原子数2〜30のオレフィンのホモポリマー及びコポリマーも適している(構成分VI)。これらは、モノエチレン性不飽和モノマーから直接誘導できるか、またはポリ不飽和モノマー、例えばイソプレンまたはブタジエンから誘導されるポリマーの水素化によって間接的に製造できる。好ましいコポリマーは、エチレンの他に、炭素原子数3〜24のα−オレフィンから誘導される構造単位を含み、そして120,000g/モルまでの分子量を有する。好ましいα−オレフィンは、プロピレン、ブテン、イソブテン、n−ヘキセン、イソヘキセン、n−オクテン、イソオクテン、n−デセン、イソデセンである。オレフィンのコモノマー含有率は、好ましくは15〜50モル%、特に好ましくは20〜35モル%、特に30〜45モル%である。これらのコポリマーは、少量の、例えば10モル%までの更に別のコモノマー、例えば非末端オレフィンまたは非共役オレフィンを含んでもよい。特に好ましいものは、エチレン−プロピレンコポリマーである。更に別の好ましいものは、炭素原子数5〜30の異なるオレフィンのコポリマー、例えばポリ(ヘキセン−co−デセン)である。これらのオレフィンホモポリマー及びコポリマーは、既知の方法で製造でき、例えばチィーグラー触媒またはメタロセン触媒を用いて製造できる。
【0081】
更に別の好適なオレフィンコポリマーは、オレフィン性不飽和の芳香族モノマーからなるブロックA及び水素化ポリオレフィンからなるブロックBを含む、ブロックコポリマーである。特に好適なものは、構造(AB)A及び(AB)のブロックコポリマーであり、ここでcは1〜10の数、そしてdは2〜10の数である。
【0082】
同様に、更に別の低温流動性向上剤として、油溶性ポリオキシアルキレン化合物(構成分VII)、例えば炭素原子数12〜30のアルキル基を少なくとも一つ有するポリオールのエステル、エーテル及びエーテル/エステルも好適である。好ましい実施形態の一つでは、該油溶性ポリオキシアルキレン化合物は、少なくとも2つ、例えば3、4または5つの脂肪族炭化水素基を有する。好ましくは、これらの基は、互いに独立して、16〜26個の炭素原子、例えば17〜24個の炭素原子を有する。好ましくは、該油溶性ポリオキシアルキレン化合物のこれらの基は線状である。更に好ましくは、これらはほぼ飽和であり、特にこれらはアルキル基である。エステルが特に好ましい。
【0083】
本発明において特に好適なポリオールは、約100〜約5,000g/モル、好ましくは200〜2,000g/モルの分子量を有する、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール及びこれらのコポリマーである。特に好ましい実施形態の一つでは、該油溶性ポリオキシアルキレン化合物は、OH基数が3またはそれ以上のポリオール、好ましくはOH基数が3〜約50、例えばOH基数が4〜10のポリオール、特にネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビタン、ペンタエリトリトール、並びにこれらを縮合して得ることができるモノマー単位数2〜10のオリゴマー、例えばポリグリセリンから誘導される。より高級のポリオール、例えばソルビトール、サッカロース、グルコース、フルクトース、並びにこれらのオリゴマー、例えばシクロデキストリンもポリオールとして好適であるが、それらのエステル化またはエーテル化されたアルコキシレートが、少なくとも用途に重要な量において油溶性である限りである。それ故、好ましいポリオキシアルキレン化合物は、分枝したポリオキシアルキレンコアを有し、それに、油溶性を供する複数のアルキル基が結合している。
【0084】
上記ポリオールは、一般的に、ポリオールのヒドロキシル基当たり、3〜70モルのアルキレンオキシド、好ましくは4〜50モル、特に5〜20モルのアルキレンオキシドと反応させる。好ましいアルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/またはブチレンオキシドである。アルコキシル化は、既知の方法に従い行われる。
【0085】
アルコキシル化されたポリオールのエステル化に適した脂肪酸は、好ましくは12〜30個、特に16〜26個の炭素原子を有する。適当な脂肪酸は、例えば、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸及びベヘン酸、オレイン酸及びエルカ酸、パルミトレイン酸、ミリストレイン酸、リシノール酸、並びに天然の油脂から得られる脂肪酸混合物である。好ましい脂肪酸混合物は、炭素原子数が少なくとも20の脂肪酸を50モル%超の割合で含む。好ましくは、エステル化に使用する脂肪酸の50モル%未満、特に10モル%未満が二重結合を含み、就中、これらはほぼ飽和である。エステル化は、脂肪酸の反応性誘導体、例えば低級アルコールとのエステル(例えばメチルエステルもしくはエチルエステル)または無水物から出発しても、行うことができる。
【0086】
“ほぼ飽和”とは、本発明の意味において、使用する脂肪酸または使用する脂肪アルコールのヨウ素価が、脂肪酸または脂肪アルコール100g当たり5gのIまでであることと理解される。
【0087】
ポリオール及び脂肪酸は、一方ではヒドロキシル基の及び他方ではカルボキシル基の含量に基づいて、1.5:1〜1:1.5の比率、好ましくは1.1:1〜1:1.1の比率、特に等モルでエステル化に使用される。生じたエステルの酸価は、一般的に15mgKOH/g未満、好ましくは10mgKOH/g未満、特に5mgKOH/g未満である。エステルのOH価は、好ましくは20mgKOH/g未満、特に10mgKOH/g未満である。
【0088】
好ましい実施形態の一つでは、ポリオールのアルコキシル化の後に、末端ヒドロキシル基を、例えば酸化によってまたはジカルボン酸との反応によって、末端カルボキシル基に転化する。炭素原子数8〜50、特に12〜30、就中16〜26の脂肪アルコールとの反応によっても、同様に、本発明のポリオキシアルキレンエステルが得られる。好ましい脂肪アルコールまたは脂肪アルコール混合物は、炭素原子数が少なくとも20の脂肪アルコールを50モル%超の割合で含む。好ましくは、エステル化に使用される脂肪アルコールの50モル%未満、特に10モル%未満が二重結合を含み、就中、これらはほぼ飽和である。上記の割合のポリ(アルキレンオキシド)を含みかつ脂肪アルコール及び脂肪酸が上記のアルキル鎖長及び飽和度を有する、アルコキシル化された脂肪アルコールと脂肪酸とのエステルも、本発明において適している。
【0089】
更に、上記のアルコキシル化されたポリオールは、炭素原子数が8〜50、特に12〜30、就中16〜26の脂肪アルコールとのエーテル化によって、本発明に適したポリオキシアルキレン化合物に転化することができる。これに好ましい脂肪アルコールは線状であり、ほぼ飽和である。好ましくは、エーテル化は、完全にまたは少なくともほぼ完全に行われる。エーテル化は、既知の方法に従い行われる。
【0090】
特に好ましいポリオキシアルキレン化合物は、ポリオールのヒドロキシル基当たりエチレンオキシドから誘導された約5〜10モルの構造単位を有しかつほぼ飽和のC17−C24脂肪酸でほぼ完全にエステル化された、OH基数が3、4または5のポリオールから誘導される。更に別の特に好ましいポリオキシアルキレン化合物は、ほぼ飽和のC17−C24脂肪酸でエステル化され及び約350〜1,000g/モルの分子量を有するポリエチレングリコールである。特に適したポリオキシアルキレン化合物の例は、ステアリン酸及び特にベヘン酸でエステル化され及び350〜800g/モルの分子量を有するポリエチレングリコール; ネオペンチルグリコール−14−エチレンオキシド−ジステアレート(14モルのエチレンオキシドでアルコキシル化され、次いで2モルのステアリン酸でエステル化されたネオペンチルグリコール)、特にネオペンチルグリコール−14−エチレンオキシド−ジベヘネート; グリセリン−20−エチレンオキシド−トリステアレート、グリセリン−20−エチレンオキシド−ジベヘネート、特にグリセリン−20−エチレンオキシド−トリベヘネート; トリメチロールプロパン−22−エチレンオキシド−トリベヘネート; ソルビタン−25−エチレンオキシド−トリステアレート、ソルビタン−25−エチレンオキシド−テトラステアレート、ソルビタン−25−エチレンオキシド−トリベヘネート、特にソルビタン−25−エチレンオキシド−テトラベヘネート; ペンタエリトリトール−30−エチレンオキシド−トリベヘネート、ペンタエリトリトール−30−エチレンオキシド−テトラステアレート、特にペンタエリトリトール−30−エチレンオキシド−テトラベヘネート、及びペンタエリトリトール−20−エチレンオキシド−10−プロピレンオキシド−テトラベヘネートである。
【0091】
本発明の低温用添加剤と更に別の低温流動性向上剤IV、V、VI及びVIIとの間の混合重量比は、(A+B):(IV、V、VI及びVII)の重量を基準にして、一般的にそれぞれ50:1〜1:1、好ましくは10:1〜2:1である。
【0092】
本発明の低温用添加剤は、特に、原油を蒸留することによって得られかつ約150〜410℃の範囲、特に約170〜380℃の範囲で沸騰するか、または主としてこれらからなる中間蒸留物、例えばケロシン、ジェット燃料、ディーゼル及び加熱油の低温特性を向上する。通常、中間蒸留物は、約5〜50重量%、例えば約10〜35重量%のn−パラフィンを含み、そのうち比較的長鎖のものが、冷却時に晶出して、中間蒸留物の流動性を損なわせる恐れがある。本発明の低温用添加剤は、炭素原子数が16またはそれ以上の炭素鎖長を有するn−アルキル鎖を持つ低温時に問題を起こす構成分を高い含有量で含む中間蒸留物中で特に有利である。これには、例えば、化石起源のn−パラフィン、及び動物性及び/または植物性脂肪の水素化または共水素化によって得られたn−パラフィン、並びに飽和脂肪酸と低級アルコール、例えばメタノールまたはエタノールとのエステルが挙げられる。特に、これらの低温時に問題を起こす構成分を4重量%超、就中6〜20重量%、例えば7〜15重量%の割合で含む中間蒸留物において、本発明の低温用添加剤が特に有用であることが分かった。更に、本発明の低温用添加剤は、パラフィン結晶化に自然の成核剤として機能する炭素原子数が28またはそれ以上の鎖長が非常に長いn−パラフィンをごく僅かのみ含む油中で特に有利である。この際、本発明の低温用添加剤は、炭素原子数が28またはそれ以上の長鎖n−パラフィンを1重量%未満、特に0.5重量%未満、例えば0.3重量%未満で含む油中で特に有効であることが判明した。本発明の低温用添加剤は、特に、炭素原子数が16またはそれ以上のn−アルキル鎖を有する低温で問題を起こす構成分を高含有量で並びに同時に炭素原子数が28またはそれ以上の鎖長が非常に長いn−パラフィンを非常に僅かな割合で含む油中で、格別な利点を示す。n−パラフィン、場合により及び低温で問題を起こす更に別の成分、例えば脂肪酸メチルエステルの含有量は、通常は、ガスクロマトグラフィーによって測定される。更に、本発明の組成物は、低い終点(Siedeende)を有する中間蒸留物、すなわち90%蒸留点が360℃未満、特に350℃未満、特殊な場合には340℃未満の中間蒸留物中で、更には、20%及び90%蒸留体積間の沸騰範囲が120℃未満、特に110℃未満の中間蒸留物中で、特に有利である。これらの中間蒸留物は、副次的な量で、例えば40体積%まで、好ましくは1〜20体積%、特に2〜15体積%、例えば3〜10体積%の割合で、以下により詳しく述べる動物及び/または植物起源の油、例えば脂肪酸メチルエステルも含んでいてもよい。好ましくは、該中間蒸留物は、鉱油の蒸留からの残留物、例えば常圧蒸留及び/または減圧蒸留からの残留物を含まない。
【0093】
本発明の低温用添加剤は、再生可能な原料に基づく動力用燃料(バイオ動力用燃料)の低温特性の向上にも同様に適している。バイオ動力用燃料とは、動力用燃料として、特にディーゼルまた加熱油として使用できる、動物性、好ましくは植物性材料からあるいはこれらの両者から得られる油、並びにこれの誘導体と解される。これらは、特に、炭素原子数10〜24の脂肪酸のトリグリセリド、並びにこれらをエステル交換することによって得ることができる低級アルコール、例えばメタノールまたはエタノールの脂肪酸エステルである。
【0094】
適当なバイオ動力用燃料の例は、ナタネ油、コリアンダー油、ダイズ油、綿実油、ヒマワリ油、ヒマシ油、オリーブ油、ピーナッツ油、マイズ油、アーモンド油、パーム核油、ココナッツ油、カラシダネ油、ウシ獣脂、骨油、魚油、及び使用済みの調理油である。更なる例には、小麦、ジュート、ゴマ、シアの木の実、アラキス油、及びアマニ油から誘導される油も挙げられる。バイオディーゼルとも称される脂肪酸アルキルエステルは、これらの油から従来技術で既知の方法に従い誘導することができる。グリセリンでエステル化された脂肪酸の混合物であるナタネ油が好ましい。なぜならば、これは大量に入手できかつ簡単な方法で菜種の圧搾によって得ることができるからである。更に、同様に広く流通しているヒマワリ、ヤシ及びダイズの油、並びにこれらとナタネ油との混合物も好ましい。
【0095】
バイオ動力用燃料として特に適しているのは脂肪酸の低級アルキルエステルである。ここで、例えば、炭素原子数14〜22の脂肪酸、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトール酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リシノール酸、エレオステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサン酸、ガドレイン酸、ドコサン酸またはエルカ酸のエチル−、プロピル−、ブチル−、及び特にメチルエステルの商業的な混合物が考慮される。好ましいエステルは、50〜150、特に90〜125のヨウ素価を有する。特に有利な性質を持つ混合物は、主として、すなわち少なくとも50重量%までの割合で炭素原子数16〜22及び二重結合数1、2または3の脂肪酸のメチルエステルを含むものである。好ましい脂肪酸の低級アルキルエステルは、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及びエルカ酸のメチルエステルである。
【0096】
本発明の低温用添加剤は、単独で、あるいは他の共添加剤、例えば他の流動点降下剤または脱ワックス助剤、清浄剤、酸化防止剤、セタン価向上剤、曇り除去剤、解乳化剤、分散剤、消泡剤、着色料、腐食防止剤、潤滑添加剤、スラッジ防止剤、臭気剤及び/または曇点の低下のための添加剤と一緒に使用することができる。
【0097】
本発明の低温用添加剤並びにこれを利用する方法の利点は、従来技術の対応する添加剤コンビネーションと比べて明らかに向上した低温時の固有流動性と、それと同時に向上された効果にある。そのため、これらの低温用添加剤は、加温する必要なく、従来技術の添加剤と比べて、同じ有効物質含有量においてより低い温度下でも使用することができる。またその代わりに、同じ温度下に、より高度に濃厚な添加剤を使用することができ、そのため、輸送及び貯蔵のための費用が低減される。更には、本発明の低温用添加剤は、驚くべきことに、中間蒸留物の低温流動性を向上しながら、向上した効果を示す。この事は、従来技術(DE1920849A(特許文献3)、DE2451047A(特許文献4))の追加的に脂肪酸でエステル化された櫛形ポリマーの場合と比べて、本発明の櫛形ポリマーB)の側鎖密度はかなり小さいだけに、一層より予期できないことである。また、本発明の低温用添加剤で処理された燃料油の濾過性は、驚くべきことに、同じ条件下での従来技術の添加剤での添加剤配合の場合と比べて、明らかにより僅にしか損なわれない。
【実施例】
【0098】
ポリエステルA)
α−オレフィンとして、以下に記載の組成を持つ1−アルケンの商業的に入手できる混合物を使用した。酸価は、反応混合物の一定分量を、キシレン/イソプロパノール中のアルコール性テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド溶液を用いて滴定することによって測定した。ヒドロキシル価は、ポリマーの遊離のOH基をイソシアネートと反応させた後に、H−NMRスペクトロスコピーを用いて、生じたウレタンの定量によって求めた。以下に記載の値は、溶剤を含まないポリマーの値である。分子量は、ポリ(エチレングリコール)標準に対してのTHF中での親油性ゲル透過クロマトグラフィ及びRI検出器を用いた検出によって測定した。
【0099】
A1) C20/24−アルケニルコハク酸無水物(主成分として43%C20−、35%C22−及び17%C24−オレフィンを含み、この際、90%がα−オレフィン及び7.5%が線状内部オレフィンである工業的なC20/24−オレフィンでマレイン酸無水物を熱縮合することによって製造したもの)と、エチレングリコールとの等モル割合からなるコポリマー。これらの反応体は、Shellsol(登録商標)AB(高沸点芳香族溶剤混合物)中の50%濃度溶液として、攪拌下に、酸価が一定になるまで150℃に加熱した。この際生じた水は留去した。こうして製造されたポリマーの酸価は10.0mgKOH/g、ヒドロキシル価は6mgKOH/g、及び重量平均分子量は8,300g/モルであった。
【0100】
A2) C26/28−アルケニルコハク酸無水物(主成分として57 %C26−、39%C28−及び2.5%C30+−オレフィンを含み、この際、85%がα−オレフィン、4%が線状内部オレフィン及び9%が分枝状オレフィンである、工業的なC26−28−オレフィンでマレイン酸無水物を熱縮合して製造したもの)と、エチレングリコールとの等モル割合からなる、例A1)と同様に製造されたコポリマー。このポリマーの酸価は12.7mgKOH/g、ヒドロキシル価は5mgKOH/g、及び重量平均分子量は5,800g/モルであった。
【0101】
A3) C30+−アルケニルコハク酸無水物(主成分として、C24〜C28範囲のオレフィン9%及び少なくともC30の炭素鎖長を有するものを90%含み、この際、82%がα−オレフィン、3%が線状内部オレフィンそして14%が分枝状オレフィンである工業的なC30+−オレフィンでマレイン酸無水物を熱縮合して製造したもの)と、エチレングリコールとの等モル割合からなる、例A1)と同様に製造されたコポリマー。このポリマーの酸価は11.6mgKOH/g、ヒドロキシル価は11mgKOH/g、そして重量平均分子量は7,400g/モルであった。
【0102】
A4) C20/24−アルケニルコハク酸無水物(主成分として43%C20−、35%C22−及び17%C24−オレフィンを含み、この際、90%がα−オレフィン及び7.5%が線状内部オレフィンである工業的なC20/24−オレフィンでマレイン酸無水物を熱縮合して製造されたもの)とジエチレングリコールとの等モル割合からなる、例A1)と同様に製造されたコポリマー。このポリマーの酸価は9.4mgKOH/g、ヒドロキシル価は10mgKOH/g、そして重量平均分子量は9,400g/モルであった。
【0103】
A5) 1モルのC20/24−アルケニルコハク酸無水物(主成分として43%C20−、35%C22−及び17%C24−オレフィンを含み、この際、90%がα−オレフィンであり、7.5%が線状内部オレフィンである工業的なC20/24−オレフィンでマレイン酸無水物を熱縮合して製造されたもの)、0.95モルのエチレングリコール及び0.05モルのベヘニルアルコールからなる、例A1)と同様に製造されたコポリマー。このポリマーの酸価は5.3mgKOH/g、ヒドロキシル価は3mgKOH/g、そして重量平均分子量は6,900g/モルであった。
【0104】
A6) DE2451047A(特許文献4)のポリマーGと同様の、例A1のC20/24−アルケニルコハク酸無水物、グリセリン及びベヘン酸の等モル割合からなるコポリマー。このポリマーの酸価は15mgKOH/g、ヒドロキシル価は6mgKOH/g、そして重量平均分子量は8,300g/モルであった(比較例)。
【0105】
A7) マレイン酸無水物及びC20/24−オレフィンの等モル割合からなり、2モル当量のベヘニルアルコールでエステル化された付加コポリマー。このポリマーの酸価は9mgKOH/g、ヒドロキシル価は11mgKOH/g、そして重量平均分子量は7,900g/モルであった(比較例)。
【0106】
エチレンコポリマー(B)
【0107】
B1) 140℃で測定して95mPasの溶融粘度を有する、エチレン、13.5モル%の酢酸ビニル及び1.5モル%のネオノナン酸ビニルエステルからなるターポリマー。
【0108】
B2) 140℃で測定して200mPasの溶融粘度を有する、エチレン、12モル%の酢酸ビニル及び5モル%のプロペンからなるターポリマー。
【0109】
B3) 140℃で測定して125mPasの溶融粘度を有する、エチレン及び13モル%の酢酸ビニルからなるコポリマー。
【0110】
B4) 140℃で測定して170mPasの溶融粘度を有する、エチレン、12.5モル%の酢酸ビニル及び4モル%の4−メチルペンテン−1からなるターポリマー。
【0111】
エチレンコポリマーB)の溶融粘度の測定は、回転式粘度計を用いて140℃の温度で行う。測定の前に、エチレンコポリマーB)から全ての揮発性の成分を150℃/100mbarで除く。
【0112】
溶剤C)
【0113】
C1) Solvesso(登録商標)150: 高沸点芳香族類混合物(約98%の芳香族類、0.7%のナフタレン、沸騰範囲175〜205℃、引火点65℃)
【0114】
C2) 石油ベンジン: C10〜C16範囲の主としてパラフィン系及びナフテン系の炭化水素からなる混合物(芳香族類含有率16%、沸騰範囲182〜212℃、引火点63℃)
【0115】
低温用添加剤の低温特性を測定するために、それの流動点をDIN ISO3016に従い測定した。この際、低い流動点は、良好な流動性、それゆえ低温時の良好な取り扱い性を意味する。添加剤について示したパーセンテージは、使用した添加剤構成分の重量割合についての値である。この際、ポリマーについて示した重量割合は、溶剤不含の有効物質についての値である。場合により合成由来でポリマー中に含まれる溶剤の割合は、溶剤C)として示す。
【0116】
【表1】

【0117】
添加剤の効果は、表2に記載の特性データを有する低硫黄中間蒸留物中でのDIN EN116に従うCFPP値の降下を用いて調べた。≧C16のn−アルキル基を有する成分及び≧C28のn−パラフィンの測定は、ガスクロマトグラフィーを用いて行った。
【0118】
【表2】

【0119】
【表3】

【0120】
【表4】

【0121】
【表5】

【0122】
低温用添加剤の溶解性の比較のために、200mlの試験油3(表2)を、250mlのメスシリンダー中で、表6に記載の温度下に、表1の添加剤1,000ppmと混合した。添加剤の添加は、特に比較添加剤の高い粘度を扱い得るように、直接置換式ピペットを用いて行った。メスシリンダーを10回、180°振った後に、未溶解の添加剤構成分について目視検査した。
【0123】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A) 次式の少なくとも一種のポリエステル、
【化1】

[式中、
〜R基のうちの一つは、線状C16−C40−アルキルまたはアルケニル基を表し、そして
〜R基のうちの残りは、互いに独立して、水素または炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、
は、C−C結合または炭素原子数1〜6のアルキレン基を表し、
16は、炭素原子数2〜10の炭化水素基を表し、
nは、1〜100の数を表し、
mは、3〜250の数を表し、
pは、0または1を表し、そして
qは、0または1を表す]
B) エチレン及び少なくとも一種のエチレン性不飽和エステルからなる少なくとも一種のコポリマー、但し、この際、該コポリマ−は、140℃で測定して最大でも5,000mPasの溶融粘度を有し、及び
C) 少なくとも一種の有機溶剤、
を含む、中間蒸留物のための低温用添加剤。
【請求項2】
が、C16〜C40アルキルまたはアルケニル基を表し、R、R及びRが水素を表し、そしてRが単結合を表す、請求項1の低温用添加剤。
【請求項3】
16がエチレン基を表す、請求項1及び/または2の低温用添加剤。
【請求項4】
16がC〜Cアルキレン基を表し、そしてnが2〜100の数を表す、請求項1及び/または2の低温用添加剤。
【請求項5】
ポリマーB)が、エチレンと、ビニルエステル、アクリルエステル及び/またはメタクリルエステルから選択される8〜21モル%の少なくとも一種のオレフィン性不飽和化合物とからなるコポリマーである、請求項1〜4の一つまたはそれ以上の低温用添加剤。
【請求項6】
溶剤C)が、炭素原子数9〜20の脂肪族炭化水素及び炭素原子数7〜20の芳香族炭化水素から選択される、請求項1〜5の一つまたはそれ以上の低温用添加剤。
【請求項7】
溶剤C)が追加的に可溶化剤を含み、該可溶化剤が4〜24個の炭素原子を含みそしてアルコール、有機酸、エーテル及び有機酸のエステル、またはこれらの混合物から選択される、請求項1〜6の一つまたはそれ以上の低温用添加剤。
【請求項8】
0.1〜50重量%のA)、1.5〜73.5重量%のB)及び25〜95重量%のC)が含まれる、請求項1〜7の一つまたはそれ以上の低温用添加剤。
【請求項9】
追加的に少なくとも一種の更に別の低温流動性向上剤が含まれ、該低温流動性向上剤が、
III) 油溶性極性窒素化合物、
IV) アルキル基含有フェノール誘導体とアルデヒドとの樹脂、
V) 次式の櫛形ポリマー、
【化2】

[式中、
Aは、R’、COOR’、OCOR’、R’’−COOR’、OR’を意味し;
Dは、H、CH、AまたはR’’を意味し;
Eは、H、Aを意味し;
Gは、H、R’’、R’’−COOR’、アリール基または複素環式基を意味し;
Mは、H、COOR’’、OCOR’’、OR’’、COOHを意味し;
Nは、H、R’’、COOR’’、OCOR、アリール基を意味し;
R’は、炭素原子数8〜50の炭化水素鎖を意味し;
R’’は、炭素原子数1〜10の炭化水素鎖を意味し;
aは、0.4〜1.0の数を意味し;そして
bは、0〜0.6の数を意味する]
VI) 炭素原子数2〜30のオレフィンのホモポリマーまたはコポリマー、
VII) 炭素原子数12〜30の少なくとも一つのアルキル基を有するアルコキシル化されたポリオールのエステル、エーテル及びエステル/エーテル、
からなる群から選択される、請求項1〜8の一つまたはそれ以上の低温用添加剤。
【請求項10】
燃料油の低温流動性を向上する方法であって、請求項1〜9の一つまたはそれ以上に記載の低温用添加剤を中間蒸留物に添加する上記方法。
【請求項11】
中間蒸留物と、請求項1〜9の一つまたはそれ以上に記載の少なくとも一種の低温用添加剤とを含む、燃料油。
【請求項12】
中間蒸留物中、炭素原子数16またはそれ以上のn−アルキル鎖を有する構成分の含有率が4重量%超である、請求項11の燃料油。
【請求項13】
中間蒸留物中、炭素原子数28またはそれ以上の長鎖n−パラフィンの割合が1重量%未満である、請求項11及び/または12の燃料油。

【公表番号】特表2013−515792(P2013−515792A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545126(P2012−545126)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007406
【国際公開番号】WO2011/076337
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】