説明

向上した質量分解能を有する多重極マスフィルタ

向上した質量分解能を有する多重極マスフィルタ。多重極マスフィルタは、少なくともRF電圧源に結合される第1の電極一式と、第1の電極一式に挟入され、並列である第2の電極一式とを有する。第2の電極一式は、第2の電極一式の2つの半径方向に対向する電極に結合される可変AC電圧を有する。上記第1の電極一式の複数の伝導性ロッドのそれぞれは、横断面が略円形であり、上記第2の電極一式の複数の伝導性ロッドのそれぞれは、横断面が略T字形である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
概して、正方形の角からの中心およびその対向する極が電気的に接続されるように配設される、4つの並列伝導性ロッドまたは細長い電極からなる四重極マスフィルタに関する。これらのロッドに印加される電圧は、典型的には、静的ポテンシャルと正弦波無線周波数(RF)ポテンシャルとの重なり合いからなる。これらのマスフィルタに沿ったイオンのXおよびY方向への運動は、マシュー方程式によって説明され、その解は、特定の質量対電荷比の範囲内にあるイオンは、z軸に沿って伝達され得ることを示す。例えば、Paulの特許文献1を参照されたい。
【0002】
従来、四重極等の多重極マスフィルタにおける分解能を向上させるためには、伝導性ロッドを延長することにより、z軸に沿った場が延長されている。しかしながら、伝導性ロッドの長さを増加することにより、マスフィルタのサイズが大型化し、またこのマスフィルタを格納するために必要な真空チャンバが対応する大きさとなるため、関連する製造コストが増大する。さらに、従来のマスフィルタの物理的なサイズが大型化すると、その内部で必要な低圧環境を維持するために、より大きな、および/または追加の真空ポンプがさらに必要となる。またさらには、必要とされる許容値を備えたより長い伝導性ロッドの製造に関連する対応するコストが増大する。最後に、伝導性ロッドの延長によって、関連する質量分析計の全体的なサイズが大きくなり、これは多くの研究室設置の据え付けを制限することとなり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第2,939,952号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
故に、出願人の教示は、全体的なサイズおよびシステムのコストを過度に増大させることなく、マスフィルタの質量分解能を向上するための方法および装置を提供する。これを達成するために、いくつかの実施形態では、中心軸のまわりに等距離に配設される細長い電極の第1の群、および細長い電極の第1の群と並列に、交互のパターンで配設される第2の群電極を有するマスフィルタが提供される。電極の第1の群にRF電圧が印加されてもよく、第2の群の2つの半径方向に対向する電極に可変AC電圧が印加されてもよい。これにより、本願に記載されるとおり、質量分解能およびマスフィルタの規定の質量範囲の感度が最適化される。この最適化を通して、従来のマスフィルタと比較して、より短い電極が使用されることができる。またさらには、この最適化を通して、従来のマスフィルタにおいて使用されるには許容値を超えているとして周知の電極が、出願人の教示によれば、ここで提供される可制御性の向上の結果として、マスフィルタにおいて使用されることができ、これは製造コストおよび廃棄物を削減する。
【0005】
本願において提供される説明により、適用のさらなる範囲が明確となろう。説明および特定の実施例は、説明を目的とすることのみを意図するものであり、出願人の教示の範囲を限定することを意図するものでないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
当業者であれば、以下の図面は説明のみを目的とするものであると理解されよう。この図面は、出願人の教示の範囲をいかなる意味においても限定することを意図するものでない。
【図1】図1は、出願人の教示のいくつかの実施形態による、多重極マスフィルタを示す斜視図である。
【図2】図2は、出願人の教示のいくつかの実施形態による、図1の多重極マスフィルタの端面図である。
【図3】図3は、多重極マスフィルタ出願人の教示のいくつかの実施形態による、第1の代替の構成を示す端面図である。
【図4】図4は、多重極マスフィルタ出願人の教示のいくつかの実施形態による、第2の代替の構成を示す端面図である。
【図5】図5は、多重極マスフィルタ出願人の教示のいくつかの実施形態による、第3の代替の構成を示す端面図である。
【図6】図6は、出願人の教示のいくつかの実施形態による、質量分析計の制限されない実施例を示すブロック図である。
【図7】図7は、出願人の教示のいくつかの実施形態による、タンデム質量分析計の制限されない実施例を示すブロック図である。
【図8】図8A〜図8Cは、出願人の教示のいくつかの実施形態による、質量スペクトルデータの制限されない実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の説明は、本質として例示的なものに過ぎず、出願人の教示、用途または使用の制限を意図するものではない。出願人の教示は、いくつかの実施形態では質量分析およびマスフィルタに関連して議論されるが、かかる議論は出願人の教示をかかる用途のみに限定するものであると見なされないものとする。さらに、出願人の教示は、例えば、四重極、六重極、および八重極またはより高強度場を有する多重極を含む種々の多重極計器と併用して使用されることができることを理解されたい。図面全体において、対応する参照番号は、同様のまたは対応する部品および外観を示すことを理解されたい。
【0008】
本願において引用されるすべての参考文献は、参照することによって全体としてすべての目的について本願に組み込まれる。本願における参考文献の引用は、それらの参考文献が、従来の技術であるか、または本願に開示される出願人の教示の特許性に何らかの関連を持つものであるという承認をなすものではない。1つ以上の組み込まれた参考文献、特許文献および類似の材料が、定義された用語、用語の使用、記載された技術等を含む本願明と異なるか、または矛盾する場合、本願が優先するものとする。
【0009】
(装置)
図1および図2を参照すると、出願人の教示による、マスフィルタ10の実施例が示され、これは第1のロッド一式15および第2のロッド一式55を有する多重極マスフィルタであってもよい。いくつかの実施形態では、第1のロッド一式15は、中心軸44を等距離に取り囲み、並列に伸長する、4つの主要ロッド20、21、22、23(ロッドは、当業者によって電極または極と称され得る)を備えてもよい。同様に、いくつかの実施形態では、第2のロッド一式55は、中心軸44を等距離に取り囲み、並列に伸長する、4つの相補的ロッド60、61、62、63を備えてもよい。
【0010】
引き続き図1および図2を参照して、主要ロッド20、21、22、23はそれぞれ、長さ28を有する実質的に円形の横断面を備えてもよい。いくつかの実施形態では、主要ロッド20、21、22、23はそれぞれ、サイズおよび形状において、互いに実質的に同等物であってもよい。主要ロッド20、21、22、23は、電気的に伝導性であり、したがって、金属または合金等のあらゆる伝導性の材料から作られることができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、相補的ロッド60、61、62、63のそれぞれは、長さ58を有する種々の断面形状のうちのいかなる1つを備えてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、相補的ロッド60、61、62、63の断面形状は、円形、楕円形、涙滴形、三角形、または場12の特性のパッケージング、実装、および/または調整に対して伝導性である、あらゆる他の形状であってもよい。いくつかの実施形態では、相補的ロッド60、61、62、63の断面形状は、付随の図に図示されるように、実質的にT字形であってもよい。出願人の教示のT字形の横断面は、いくつかの利点を提供する。特に、上端直交部分40および伸長する脚部分42(図2)を有するT字形は、上端直交部分40のあらゆる外部支持筐体への接続を依然として提供しつつ、隣接する主要ロッド20、21、22、23の間に、伸長する脚部分42がその間に伸長し、場12の直接隣接する点に達するように、便宜的に配置されることができる。最後に、相補的ロッド60、61、62、63のT字形は、主要ロッド20、21、22、23とあわせて、マスフィルタ10の全体的な本体サイズを最小化し、したがって、製造コストを最小化し、場12のフリンジ効果を最小化する。
【0012】
下記で詳細に議論されるとおり、相補的ロッド60、61、62、63は、主要ロッド20、21、22、23と並列に配列されてもよい。いくつかの実施形態では、相補的ロッド60、61、62、63は、主要ロッド20、21、22、23の間に、代替的な、または挟入されるパターンで位置付けられてもよい。相補的ロッド60、61、62、63は、電気的に伝導性であり、したがって、例えば、金属、合金、またはドープファイバ等のあらゆる伝導性材料から作られてもよい。いくつかの実施形態では、隣接する主要ロッド20、21、22、23の間、隣接する相補的ロッド60、61、62、63の間、および/または個々の主要ロッドおよび個々の相補的ロッドの間に絶縁体(図示せず)が配置されてもよい。
【0013】
出願人の教示のロッドは、単一のロッドまたはロッドの組み合わせに電位が印加されることができるように、1つ以上の電圧源に電気的に結合されてもよい。この目的を達成するために、各電圧源は、それぞれ対応する1つのまたは一群のロッドに電気的に結合される、1つ以上の電源供給装置を備えてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、図2に図示されるように、第1の電源供給装置30は、そこに同一の電位を印加することができるように、半径方向に対向する主要ロッド20、22に電気的に結合されてもよい。同様に、いくつかの実施形態では、第2の電源供給装置32は、半径方向に対向する主要ロッド21、23に電気的に結合されてもよい。図2に図示されるように、第1の電源供給装置30は、V(t)=+(U−Wcos Ωt)の電位を印加してもよく、第2の電源供給装置32は、V(t)=−(U−Wcos Ωt)の電位を印加してもよく、ここで、UはDC電圧、Wは無線周波数(RF)振幅、Ωは、RF角周波数、tは時間である。その結果、いくつかの実施形態では、第1の電源供給装置30および/または第2の電源供給装置32は、AC電圧の産物として無線周波数(RF)を生成することができる。
【0014】
同様に、いくつかの実施形態では、第2の電圧源は、第3の電源供給装置73、第4の電源供給装置75および第5の電源供給装置70を備えてもよい。図2に図示されるように、第3の電源供給装置73は、その離散制御を提供することができるように、相補的ロッド60に電気的に直接結合されてもよい。同様に、第4の電源供給装置75は、その離散制御を提供することができるように、相補的ロッド62に電気的に直接結合されてもよい。いくつかの実施形態では、第3の電源供給装置73は、V(t)=A^(Bi cos Ωt)の電位を提供することができ、第4の電源供給装置75は、V(t)=A−(B cos Ωt)の電位を提供することができ、ここで、AはDC電圧、(B cos Ωt)はAC電圧、Bは振幅、cos Ωは周波数、tは時間である。いくつかの実施形態では、マスフィルタ10の向上した質量分解能を少なくとも部分的に提供するために、一定周波数および変動振幅を有する可変AC電圧を提供するために、Bは変動であってよく、cos Ωtは一定に保たれてもよい。
【0015】
第3の電源供給装置73および第4の電源供給装置75の電位出力端には、マスフィルタ10の質量分解能をさらに向上させるために使用されることができる、いくつかの変形例が存在することを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、相補的ロッド60に印加される可変AC電圧は、相補的ロッド62に印加される可変AC電圧と位相がずれてもよい。いくつかの実施形態では、BはBiよりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、B/Biの比率は、例えば、2、3、4、5または6などの整数であってもよい。いくつかの実施形態では、第2のロッド一式55に印加されるAC電圧の周波数は、第1のロッド一式15に印加されるRF電圧の電圧と異なってもよい。最後に、いくつかの実施形態では、可変AC電圧は、半径方向に対向する相補的ロッド60、62のうちの1つのみに提供されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、第5の電源供給装置70は、その複合制御を提供するため、残りの相補的ロッド61、63に電気的に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の電源供給装置30、第2の電源供給装置32、第3の電源供給装置73、第4の電源供給装置75および第5の電源供給装置70は、単一の電圧源に結合されてもよいということを理解されたい。いくつかの実施形態では、第3の電源供給装置73および第4の電源供給装置75は、第5の電源供給装置70が一定のDC電圧を提供しながらも、または電圧を提供せずとも、可変AC電圧を提供することができる。加えて、主要ロッドおよび相補的ロッドのそれぞれは、制御性および設定可能性を最大にするため、個々のおよび別個の電源装置に結合されてもよいということを理解されたい。
【0017】
再び図1を参照すると、いくつかの実施形態では、相補的ロッド60、61、62、63の長さは、主要ロッド20、21、22、23の長さに相対して縮小されてもよく、それでもマスフィルタ10の全体的な分解能は、相補的ロッド60、62に供給されるAC電圧の変動によって、維持および/または向上される。したがって、相補的ロッド60、61、62、63の長さ58は、主要ロッド20、21、22、23の長さ28よりも顕著に短くなることができる。非制限的な実施例では、第1のロッド一式15の主要ロッド20、21、22、23は、長さ28が約20cmであってもよく、第2のロッド一式55の相補的ロッド60、61、62、63は、長さ58が約5cmであってもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、AC電圧振幅(B)は、質量分解能およびマスフィルタ10の規定の質量範囲の感度を最適化するため、系統的に可変であってもよい。出願人の教示は、従来のマスフィルタにおいて使用されるよりも短い主要ロッド20、21、22、23を用いて、信頼できる結果を達成することができるマスフィルタ10を提供することができる。非制限的な実施例では、マスフィルタ10は、約5cmの長さ28を有する主要ロッド20、21、22、23および約5cmの長さ58を有する相補的ロッド60、61、62、63を含んでもよい。この非制限的な実施例に記載されるマスフィルタ10は、約20cmの長さを有する電極を含む従来の多重極マスフィルタを上回るか、または同等の質量分解能を有することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、従来のマスフィルタにおいて使用されるには許容値を超えているとして周知の主要ロッド20、21、22、23が、マスフィルタ10において使用され、満足な結果を提供することができる。これは、相補的ロッド60、62に供給されるAC電圧の変動によって提供される、マスフィルタ10の向上した可制御性および分解能のためである。出願人の教示を適用することにより、そうでなければ使用不能なロッドの価値が保持され得る。
【0020】
図3を参照すると、マスフィルタ10は、図示されるミラーイメージ等の種々の構成のうちのいかなる1つをも画定することができるということを理解されたい。かかる配列において、第5の電源供給装置70は、相補的ロッド61、63ではなく、相補的ロッド60、62に電気的に結合されてもよい。同様に、第3の電源供給装置73は、その離散制御を提供するために、相補的ロッド60ではなく、相補的ロッド61に電気的に直接結合されてもよい。同様に、第4の電源供給装置75は、その離散制御を提供するために、相補的ロッド62ではなく、相補的ロッド63に電気的に直接結合されてもよい。
【0021】
当業者であれば、第3の電源供給装置73および第4の電源供給装置75に結合される、半径方向に対向する相補的ロッドの異なる組み合わせを選択することにより、他の同等の構成が存在することが理解されよう。例えば、相補的ロッド62は第3の電源供給装置73に結合されてもよく、相補的ロッド60は第4の電源供給装置75に結合されてもよく、残りの相補的ロッド61、63は第5の電源供給装置70に結合されてもよい。同様に、相補的ロッド63は、第3の電源供給装置73,に結合されてもよく、相補的ロッド61は第4の電源供給装置75に結合されてもよく、残りの相補的ロッド60、62は第5の電源供給装置70に結合されてもよい。
【0022】
図4および図5を参照すると、出願人の教示によるマスフィルタ10の実施例が図示され、これは一対の半径方向に対向する相補的ロッド61、63のみを有する第2のロッド一式55を備える。図4において、第1のロッド一式15は、図1および図2に関連して説明される第1のロッド一式15と同一であり、第2のロッド一式55は、第3の電源供給装置73に結合される相補的ロッド61および第4の電源供給装置75に結合される相補的ロッド63を備える。本配列は、4つの個々の相補的ロッドを必要としない用途向けの簡略構造を提供することができる。
【0023】
図5を参照すると、第1のロッド一式15は、やはり図1および図2に関連して説明される第1のロッド一式15と同一であり、第2のロッド一式55は、第3の電源供給装置73に結合される相補的ロッド60および第4の電源供給装置75に結合される相補的ロッド62を備える。当業者であれば、本願に記載されるものと類似の構成を明示する、図示されない他の同等の構成が使用されてもよいということが理解されよう。
(システム)
図6を参照すると、出願人の教示による質量分析計システム100が図示される。いくつかの実施形態では、質量分析計システム100は、イオン源101、マスフィルタ10、16、18、および検出器システム102を備えてもよい。いくつかの実施形態では、データシステム103は、検出器システム102から受信したデータを受信および/または解析するために、検出器システム102に協働し得るように結合される。
【0024】
概して、解析中において、イオン源101に試料が導入されてもよく、これは試料に含有される分子をイオン化してイオンを生成する。これらのイオンは、本願に記載のとおり、イオンを質量対電荷比に応じて分離するために、マスフィルタ10内に注入されてもよい。分離されたイオンは、検出器システム102によって検出され、その信号はデータシステム103に送信されてもよく、そこで検出された質量対電荷比が、のちに質量スペクトルおよび/またはデータ解析として提示するために、対応するイオンの相対存在量とともに収集される。
【0025】
イオン源101への試料導入の方法は、使用されるイオン化法、ならびに解析される試料のタイプおよび複雑性に依存するということを理解されたい。いくつかの実施形態では、試料は、いかなる前処理もなしに、全体としてイオン源101に直接挿入されてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、試料は、イオン源101への挿入前に、この試料を成分構成要素に分離するクロマトグラフィ法を経てもよい。試料導入のためにクロマトグラフィ法を使用する場合、かかる方法は、イオン源を経由して高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)、ガスクロマトグラフィ(GC)、またはキャピラリー電気泳動法(CE)分離カラムに直接結合される質量分析計システム100を必要とすることがあると予測される。この点において、試料はクロマトグラフィ法により、一連の成分構成要素に分離され、この一連の成分構成要素のそれぞれは、質量分析計システム100に入ることができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、イオン源101は、大気圧化学イオン化(APCI)、化学イオン化(Cl)、電子衝撃イオン化(El)、大気圧光イオン化(APPI)、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、高速原子衝撃(FAB)、フィールドデソープション/フィールドイオン化(FD/FI)、マトリクス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)、サーモスプレーイオン化(TSP)、ナノスプレーイオン化等に操作可能な源となり得る。いくつかの実施形態では、イオン源101は、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)、マイクロ波プラズマ、または直流プラズマ(DCP)等のプラズマ、グロー放電源、アーク光源、スパーク光源、またはイオンを生成することができるあらゆる他の原子発光デバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、イオン源101は、ガスカーテン、1つ以上のスキマーコーン、オリフィス、噴霧器、スイープガス、イオン化ガス、コロナ放電デバイス、または真空ポンプ(本願に記載のとおり)を備えてもよい。いくつかの実施形態では、イオン源101は、大気条件、低圧条件で動作してもよく、または大気条件と低圧条件の間で置き換え可能である。いくつかの実施形態では、イオン源101は、少なくとも1つのイオンガイドまたはレンズを備える。いくつかの実施形態では、イオン源101は、レーザ光源を備える。いくつかの実施形態では、イオン源101は、2つ以上の種類のイオン化法動作可能であり、例えばESIに動作可能であり、また、MALDIおよび/またはAPCIに動作可能である。
【0027】
いくつかの実施形態では、ESIに動作可能なイオン源101は、100Da未満から1,000,000Da以上の範囲の分子量極性分子の解析に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、試料は極性の揮発性溶剤に溶解され、ステンレス鋼キャピラリチューブ(典型的には、内径約75〜約150マイクロメータ)を約1L/分〜1mL/分の間の流速で送られる。約3kV〜約4kVの電圧が、質量分析計システム100のイオン源101内に位置付けられるキャピラリチューブの先端に印加される。強電場が発生するため、キャピラリチューブの先端から表に出た試料は分散して高電荷の液滴のエアロゾルとなり、これはキャピラリチューブの外側を流れる、同軸上に導入される噴霧ガス(乾性ガスまたはスイープガスとしても周知である)によって方向付けられる。典型的には、窒素または不活性ガスであるこのガスは、キャピラリチューブの先端から表に出たエアロゾルのマスフィルタ10への方向付けを支援する。高電荷の液滴は、噴霧ガスの暖かい流れによって補助される溶媒蒸発によってサイズが減少する。最終的に、溶媒のない荷電試料イオンが液滴から放出され、スキマーコーンまたはオリフィスを通って中間真空領域に入り、最終的に小さい開口を通って質量分析計システム100のマスフィルタ10に達する。ESIの手順に関する議論については、例えば、Labowskyらの米国特許第4,531,056号、Fennらの第4,542,293号、Fennらの第5,130,538、Jolliffeの第6,586,731号、およびSchneiderの第7,098,452号を参照されたい。加えて、例えば、ナノスプレー等の低減された流速によるESIは、例えば、Jorgensonらの米国特許第5,115,131号、およびZhaoらの第7,105,812に示されるとおり、マイクロフルイディクスの使用によって達成されることができることが証明されている。
【0028】
いくつかの実施形態では、MADLIのために動作可能なイオン源101は、例えば、タンパク質、ペプチド、糖等の生体分子の解析に使用されてもよく、試料のイオン化をもたらすレーザ光線による試料の照射に基づく。いくつかの実施形態では、試料はマトリクスとして周知の光吸収化合物と予混合され、試料標的に加えられ、次いで、乾燥されてから質量分析計システム100の低圧に挿入される。レーザは、試料/マトリクスの表面にエネルギーを提供することができる。マトリクスは、レーザエネルギーを試料の励起エネルギーへと転換し、これは試料/マトリクスの表面からマトリクスイオンを放出する試料のスパッタリングをもたらす。イオンを含むマトリクスは揮発性であり、したがって、蒸発するため、残ったイオンがマスフィルタ10に入る。MADLIはソフトイオン化の方法であるため、エネルギーの伝達は効果的であるが、試料はさもなければ分解を引き起こす過度の直接エネルギーを受けない。MALDIの手順に関する議論については、例えば、Tanakaの日本国特許第62043562号、およびHillenkampらの米国特許第4,214,159号、Hillenkampの第5,777,324号、Doneganらの第6,995,363号、およびVestalらの第7,109,480号を参照されたい。
【0029】
いくつかの実施形態では、質量分析計システム100は、バックグラウンドガスの分散損失を最小限にするため、イオン源101のあらゆる組み合わせを取り囲む真空システム104、マスフィルタ10検出器システム102、およびデータシステム103を備えてもよい。真空システム104は、真空チャンバ105、およびそこに低圧を作るために、真空チャンバ105を真空にするための1つ以上の真空ポンプ106を備えてもよい。いくつかの実施形態では、真空チャンバ105内の圧力は、5X10トール未満であり、5X10−5トール未満であってもよい。概して、いくつかの実施形態では、真空チャンバ105内の圧力は、約5X10−4トール〜約1X10−6トールの間の範囲であってもよい。より低圧が使用されてもよいが、1X10トールを下回る分散損失の減少は、通常、主な用途においてごくわずかである。真空ポンプ106は、例えば、油拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ、低温ポンプ等、いくつかのポンプの種類のうちのいずれかを備えてもよく、個々にまたはタンデムで使用されてもよい。
【0030】
依然として図6を参照すると、いくつかの実施形態では、検出器システム102は、検出器システム102内でイオンの通過または衝突が検出された場合、データを出力するために、誘導された電荷または産生されたイオン電流を監視および記録する。このデータは、質量スペクトルおよび/またはデータ解析としてのちに提示するために、データシステム103に送信されてもよい。検出器システム102は、光電子増倍管、ファラデーカップ、電子倍増間、マイクロチャネルプレート等であってもよい。
【0031】
図7を参照すると、出願人の教示によるタンデム質量分析計システム200が図示されている。タンデム質量分析計システム200は、構造または配列研究において使用するために、2つ以上のマスフィルタを備えてもよい。いくつかの実施形態では、タンデム質量分析計システム200は、イオン源101、第1のマスフィルタシステム201、質量分析器202、第2のマスフィルタシステム203、検出器システム102、およびデータシステム103を備えてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、第1のマスフィルタシステム201および第2のマスフィルタシステム203は、実質的に同等物であってもよい。いくつかの実施形態では、第1のマスフィルタシステム201および第2のマスフィルタシステム203は、マスフィルタ10であってもよい。
【0033】
動作時、第1のマスフィルタシステム201は、選択されるイオンを伝達し、選択されるイオンを質量分析器202に向けて加速させてもよい。いくつかの実施形態では、質量分析器202は、選択されるイオンが衝突誘起解離(CID)によって断片化されるように、衝突セルである。いくつかの実施形態では、選択されるイオンの断片は、次いで、第2のマスフィルタシステム203に進入するように、質量分析器202から加速して退出する。第2のマスフィルタシステム203は、所定の質量範囲を走査してもよく、これにより選択されるイオンの断片を分離し、この断片を検出器システム102に出力する。検出器システム102は、検出器システム102内で選択されたイオンの断片の通過または衝突が検出された場合、データを出力するために、誘導された電荷または産生されたイオン電流を監視および記録する。このデータは、質量スペクトルおよび/またはデータ解析としてのちに提示するために、データシステム103に送信されてもよく、または構造情報または元試料の識別をさらに提供してもよい。
【0034】
タンデム質量分析計システム200は、特定の用途向けに調製された変形例を含んでもよいということを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、第2のマスフィルタシステム203は、例えば、Chernushevichらの米国特許第6,285,027号および6,507,019号に記載の飛行時間質量分析計(TOF)であってもよい。いくつかの実施形態では、第2のマスフィルタシステム203は、磁場型質量分析計、イオントラップ質量分析計、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計、または他のあらゆる種類の質量分析計であってもよい。いくつかの実施形態では、第2のマスフィルタシステム203は、直列の2つ以上の質量分析器またはマスフィルタであってもよい。いくつかの実施形態では、イオンが第2のマスフィルタシステム203内でトラップされることができ、MS分析をもたらす複数のMSステップに曝露されることができる。例えば、本発明の譲受人に譲渡されたCousinsらの米国特許第6,992,285号およびHagerの第7,069,972号を参照されたい。
【0035】
(方法)
出願人の教示の動作の方法に関する以下の議論に関連して、主要ロッドおよび相補的ロッドに関連する上記に記載の式を、参照のために以下に繰り返す。
第1の電源供給装置30:V(t)=+(U−Wcos Ωt)、
第2の電源供給装置32:V(t)=−(U−Wcos Ωt)、
第3の電源供給装置73:V(t)=A+(Bcos Ωt)、
第4の電源供給装置75:V(t)=A−(BCOS Ωt)、および
第5の電源供給装置70:一定のDC電圧または電圧ゼロ
第1の電源供給装置30および第2の電源供給装置32は、そこに電位を電荷することができるように、第1のロッド一式15の個々のロッドにそれぞれ電気的に結合される。同様に、第3の電源供給装置73は、その離散制御を提供するために、第2のロッド一式55の第1のロッドに電気的に直接結合されてもよい。同様に、第4の電源供給装置75は、その離散制御を提供するために、第2のロッド一式55の第2の半径方向に対向するロッドに電気的に直接結合されてもよい。最後に、第5の電源供給装置70は、第2のロッド一式55の残りのロッドに電気的に結合されてもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、マスフィルタ10は、特定のRF角周波数(Ω)およびマスフィルタ10に供給されるRF振幅(W)とDC電圧振幅(U)の比率に応じて、所定の質量対電荷比のイオンの通過を許可するように調整されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、マスフィルタ10は、RF振幅(W)とDC電圧振幅(U)の比率を一定に保ちながら、DC電圧(U)を一定とし、RF角周波数(Ω)を一定の時間(t)スイープすることにより、またはRF角周波数(Ω)を一定とし、DC電圧(U)を一定の時間(t)スイープすることにより、マスフィルタ10が、定期的に質量対電荷比を増加(または減少)させるイオンを連続して通過させることができるように、ある質量範囲にわたって走査されてもよい。またさらには、いくつかの実施形態では、AC電圧振幅(B)は、マスフィルタ10の質量分解能および規定の質量範囲の感度を最適化するために、系統的に変動であってもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1のロッド一式15および/または第2のロッド一式55に、追加的なDC電圧(すなわちオフセット)が加えられてもよい。いくつかの実施形態では、本願に記載の出願人の教示を適用することにより、従来の多重極マスフィルタに使用されている従来の分解能オフセットチューニングに比べて、マスフィルタ10を調節するほうが簡単であり得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、マスフィルタ10における変動を修正する方法は、一式のイオンをマスフィルタ10に導入するステップと、得られたイオンを出力するステップを備えてもよい。この方法は、得られたイオンを注目のイオンと比較して、制御因子を確定するステップと、可変AC電圧を第2のロッド一式55に印加するために、制御因子に応じて第2の電圧源を作動させるステップをさらに備えてもよく、得られたイオンは着目イオンと同等物となる。
【0039】
いくつかの実施形態では、従来のマスフィルタにおいて使用されるには許容値を超えているとして周知の複数の主要ロッドが、マスフィルタ10において使用されてもよい。出願人の教示の原理を採用することにより、向上したマスフィルタ10の可制御性を通して、かかる許容値を超えている主要ロッドの効果の不十分さが克服されることができ、これによりそうでなければ使用不能なロッドの価値が保持される。
【実施例】
【0040】
出願人の教示の側面は、以下の実施例に照らせばさらに理解されるであろうが、これは出願人の教示の範囲を何ら制限するように解釈されるものではない。
【0041】
図8A〜図8Cに図示されるように、経時的な全イオン数を示すグラフ(図8A)、可変AC電圧制御を持たない一式の主要ロッドのみを有する従来のマスフィルタを使用した、609質量対電荷比のときのレセルピンイオンの質量スペクトル(図8B)、および本願に記載の(図8C)第1のロッド一式15および第2のロッド一式55を有するマスフィルタ10を使用した、609質量対電荷比のときのレセルピンイオンの質量スペクトルが提供されている。
【0042】
図8Bを特に参照して、従来のマスフィルタを使用すると、電圧およびオフセットは、従来の主要ロッド一式に印加される。主要ロッドに印加されるRF周波数は1MHzである。50%で得られるピーク幅は、0.658原子質量単位(amu)である。
【0043】
図8Cを特に参照して、マスフィルタ10を使用すると、図8Bと同一の電圧およびオフセットが第1のロッド一式15に印加され、可変AC電圧が第2のロッド一式55に印加される。一対の半径方向に対向する相補的ロッドに印加されるAC電圧振幅(B,B)間の比率は、B/B=3である。すべての相補的ロッドに印加されるDC電圧は一定であり、第1のロッド一式15に印加されるオフセットに等しい。第1のロッド一式15に印加されるRF周波数は1MHzであり、第2のロッド一式55に印加されるAC電圧周波数は263KHzである。50%で得られるピーク幅は、0.318amuである。故に、このデータから、マスフィルタ10を使用することによって達成される質量分解能は、従来のマスフィルタを使用して達成されるものの2倍以上であることがわかる。
【0044】
本願に記載されるいくつかの実施形態および実施例は、例示的であり、出願人の教示の構成および方法の全体の範囲を説明することを制限することを意図するものではない。いくつかの実施形態、材料、構成および方法の同等の変更、修正および変形は、出願人の教示の範囲内で行われることができ、実質的に類似する結果を得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重極マスフィルタであって、
複数の伝導性ロッドを有する第1のロッド一式と、
交互パターンで該第1のロッド一式に挟入され、並列に配列される、複数の伝導性ロッドを有する第2のロッド一式であって、該第1のロッド一式および該第2のロッド一式は、イオンを受容するための入力端および出力端を画定する、第2のロッド一式と、
該第1のロッド一式に電気的に結合される第1の電圧系統であって、該第1のロッド一式にRF電圧を印加する、第1の電圧系統と、
該第2のロッド一式に電気的に結合される第2の電圧系統であって、該第2のロッド一式の該複数の伝導性ロッドの半径方向に対向する一対に、可変AC電圧を印加する、第2の電圧系統と
を備える、多重極マスフィルタ。
【請求項2】
前記第1のロッド一式の前記複数の伝導性ロッドのそれぞれは、横断面が略円形である、請求項1に記載の多重極マスフィルタ。
【請求項3】
前記第2のロッド一式の前記複数の伝導性ロッドのそれぞれは、横断面が略T字形である、請求項1に記載の多重極マスフィルタ。
【請求項4】
前記第2のロッド一式の前記複数の伝導性ロッドの残りに一定の電圧を印加する前記第2の電圧系統をさらに備える、請求項1に記載の多重極マスフィルタ。
【請求項5】
前記RF電圧は、所定の質量のイオンが前記入力端から前記出力端を通過可能にするための手段を提供する、請求項1に記載の多重極マスフィルタ。
【請求項6】
前記AC電圧は、前記マスフィルタの分解能を増大させるための手段を提供する、請求項1に記載の多重極マスフィルタ。
【請求項7】
前記第1のロッド一式は、4つの伝導性ロッドを備え、前記第2のロッド一式は、4つの伝導性ロッドを備える、請求項1に記載の多重極マスフィルタ。
【請求項8】
前記第2のロッド一式の前記複数の伝導性ロッドの前記半径方向に対向する一対に印加される、前記第1の電圧系統からの前記可変AC電圧は、質量対電荷比および質量分解能の関数である、請求項1に記載の多重極マスフィルタ。
【請求項9】
前記第1のロッド一式の前記複数の伝導性ロッドは、中心軸から等距離である、請求項1に記載の多重極マスフィルタ。
【請求項10】
前記第2のロッド一式の前記複数の伝導性ロッドは、中心軸から等距離で離間している、請求項1に記載の多重極マスフィルタ。
【請求項11】
質量分析計システムであって、
略大気圧領域内でイオンを発生させるイオン源と、
真空チャンバと、
該真空チャンバに配置される第1のマスフィルタであって、複数の伝導性ロッドを有する第1のロッド一式と、該第1のロッド一式に挟入され、並列に配列され、半径方向に対向する、複数の伝導性ロッドを有する第2のロッド一式とを含む、第1のマスフィルタであって、該第1のロッド一式および第2のロッド一式は、該イオンを受容する入力端および該イオンの少なくとも1つを渡す出力端を画定し、該第1のマスフィルタは、該第1のロッド一式の該複数の伝導性ロッドのそれぞれに電気的に接続される第1の電圧源をさらに有し、該第1の電圧源は、該第1のロッド一式にRF電圧を印加し、該第1のマスフィルタは、該第2のロッド一式の該複数の伝導性ロッドの該それぞれに電気的に接続される第2の電圧源をさらに有し、該第2の電圧源は、可変AC電圧が該第2のロッド一式の2つの半径方向に対向する伝導性ロッドに印加されるように、該第2のロッド一式にAC電圧を印加する、第1のマスフィルタと、
少なくとも1つのイオンを検出する検出器と
を備える、質量分析計システム。
【請求項12】
前記真空チャンバに配置される衝突セルであって、前記第1のマスフィルタから前記イオンのうちの前記少なくとも1つの分離を誘起する衝突セルであって、前記マスフィルタの前記出力端に接続される入力と、そこから断片化したイオンを放出するための出力端とを有する、衝突セルと、
該真空チャンバに配置される第2のマスフィルタであって、複数の伝導性ロッドを有する第3のロッド一式と、該第3のロッド一式に挟入され、並列に配列され、半径方向に対向する、複数の伝導性ロッドを有する第4のロッド一式とを備える、第2のマスフィルタであって、該第3のロッド一式と第4のロッド一式は、該断片化したイオンを受容する入力端および少なくとも1つのイオンを渡す出力端を画定し、該第2のマスフィルタは、該第3のロッド一式の該複数の伝導性ロッドのそれぞれに電気的に接続される第3の電圧源をさらに有し、該第3の電圧源は、該第3のロッド一式にRF電圧を印加し、該第2のマスフィルタは、該第4のロッド一式の前記複数の伝導性ロッドのそれぞれに電気的に接続される第4の電圧源をさらに有し、該第4の電圧源は、可変AC電圧が該第4のロッド一式の2つの半径方向に対向する伝導性ロッドに印加されるように、該第4のロッド一式にAC電圧を印加する、第2のマスフィルタと
をさらに備える、請求項11に記載の質量分析計システム。
【請求項13】
前記第3のロッド一式の前記複数の伝導性ロッドのそれぞれは、横断面が略円形である、請求項12に記載の質量分析計システム。
【請求項14】
前記第4のロッド一式の前記複数の伝導性ロッドのそれぞれは、横断面が略T字形である、請求項12に記載の質量分析計システム。
【請求項15】
前記第2のロッド一式の前記複数の伝導性ロッドの残りに一定のRF電圧を供給する前記第2の電圧源をさらに備える、請求項11に記載の質量分析計システム。
【請求項16】
前記第1のロッド一式の前記複数の伝導性ロッドのそれぞれは、横断面が略円形である、請求項11に記載の質量分析計システム。
【請求項17】
前記第2のロッド一式の前記複数の伝導性ロッドのそれぞれは、横断面が略T字形である、請求項11に記載の質量分析計システム。
【請求項18】
マスフィルタの質量分解能を向上させる方法であって、
中心軸の周囲に等距離で配設される、第1の複数の細長い電極を提供することと、
交互パターンで、該第1の複数の細長い電極と実質的に並列であり、挟入される、第2の複数の細長い電極を提供することと、
該第1の複数の細長い電極にRF電圧を印加することと、
該第2の複数の細長い電極の2つの半径方向に対向する電極に可変AC電圧を印加することと
を含む、方法。
【請求項19】
前記RF電圧を変動させるように、少なくとも1つの波形を印加することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記可変AC電圧を変動させるように、前記複数の電極の前記2つの半径方向に対向する電極に少なくとも1つの波形を印加することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の複数の細長い電極の残りに一定のRF電圧を印加することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
選択された質量対電荷比および質量分解能の両方の関数を使用して、前記2つの半径方向に対向する相補的な電極に前記可変AC電圧を印加することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
複数のイオンを前記マスフィルタに導入し、質量対電荷比に基づいて前記イオンを分離することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記質量対電荷比によって分離された前記イオンを検出することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記可変AC電圧は、変動振幅を含む、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−526413(P2010−526413A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506298(P2010−506298)
【出願日】平成20年4月29日(2008.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/005501
【国際公開番号】WO2008/136969
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(509245740)エムディーエス アナリティカル テクノロジーズ (6)
【出願人】(509130413)アプライド バイオシステムズ, エルエルシー (48)
【Fターム(参考)】