説明

向代謝性グルタミン酸受容体のピラゾール系調節剤

本発明は、mGluR5受容体を含めた向代謝性グルタミン酸受容体のアロステリック調節剤であり、グルタミン酸機能障害に関連した神経学的及び精神医学的障害並びに向代謝性グルタミン酸受容体が関与する疾患の治療に有用な化合物を対象とする。本発明はまた、これらの化合物を含む医薬品組成物並びに向代謝性グルタミン酸受容体の関与するこのような疾患の予防又は治療におけるこれらの化合物及び組成物の使用を対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、向代謝性グルタミン酸受容体5(mGluR5)の受容体活性をアロステリックに調節し、作用薬結合性に影響を及ぼしたり、作用薬自体として作用したりせずに、作用薬に対するmGluR5受容体の感度に影響を及ぼす化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
アミノ酸L−グルタミン酸(ここでは、簡単にグルタミン酸と称する)は、哺乳動物中枢神経系(CNS)における主要な興奮性神経伝達物質である。CNS内で、グルタミン酸はシナプス可塑性(たとえば、長期増強(学習及び記憶の基礎)、運動制御及び感覚的知覚を含めた様々なプロセスにおいて重要な役割を果たす。様々な神経学的及び精神医学的障害がグルタミン酸系の変更に関連することが次第に明らかになってきた。これらの病理にグルタミン酸系が関与することから、この系を調節することが重要な治療目標となる。グルタミン酸は、2種類の異なる受容体を介して作用する。第1の種類は、向イオン性グルタミン酸受容体と称され、興奮性シナプス後電流を媒介するマルチサブユニットリガンド開口型イオンチャンネルである。3種類の向イオン性グルタミン酸受容体が同定されており、グルタミン酸は3種類の受容体全ての作用薬であるが、それぞれの種類を活性化する選択的リガンドが発見されている。向イオン性グルタミン酸受容体は、これらの種類選択的作用薬からカイニン酸受容体、AMPA受容体及びNMDA受容体と名付けられている。
【0003】
グルタミン酸受容体の第2の種類は、向代謝性受容体(mGluR)と称され、位置するところがシナプス前かシナプス後かによって神経伝達物質の放出又はシナプス伝達の強度を調節するG蛋白質共役型受容体(GPCR)である。mGluRは、GPCRファミリーCの構成要素で、受容体のアミノ末端部分に大きな(アミノ酸約560個の)作用薬結合ドメインを有する。この大きな作用薬結合ドメインによって、ファミリーCはその他のGPCRファミリーから区別され、この作用薬結合部位は7回膜を貫通する(7TM)領域又はこの領域の鎖に結合する細胞外ループと関係がある。8種類の異なるmGluRが同定され、クローニングされ、配列決定された。これらには、構造的類似性、主要なシグナル伝達経路及び薬理に基づいて3種類の群が割り当てられた。群I(mGluR1及びmGluR5)受容体は主にシナプス後に位置し、イオンチャンネル活性及び神経興奮性を調節する。群I mGluRは、Galphaq及びホスホリパーゼCなどの関連エフェクターと共役する。群II(mGluR2及びmGluR3)及び群III(mGluR4、mGluR6、mGluR7及びmGluR8)受容体は主にシナプス前に位置し、グルタミン酸を含めた神経伝達物質の放出を制御する。群II及び群III mGluRは、Galphai及びアデニル酸シクラーゼなどの関連エフェクターと共役する。
【0004】
シナプス後mGluRは、シナプス後向イオン性グルタミン酸受容体と機能的に相互作用することが知られている。たとえば、選択的作用薬によるmGluR5の活性化は、NMDA受容体によって伝達されるシナプス後電流を増大させることが示された(Mannaioni他、J.Neurosci.21:5925〜5934(2001))。したがって、mGluRの調節は、グルタミン酸による伝達を調節する1つの方法である。発表された報告によって、mGluR5は不安(Spooren他、J.Phamacol.Exp Therapeut.295:1267〜1275(2000)、Tatarczynska他、Br.J.Pharmacol.132:1423〜1430(2001))、統合失調症(Chavez−Noriega他、Curret Drug Targets:CNS & Neurological Disorders 1:261〜281(2002)に概説されている)、コカイン中毒(Chiamulera他、Nature Neurosci.4:873〜874(2001))、パーキンソン病(Awad他、J.Neurosci.20:7871〜7879(2000)、Ossowska他、Neuropharmacol.41:413〜420(2001)、Breysse他、J.Neurosci.22:5669〜5678(2002))及び疼痛(Salt and Binns Neurosci.100:375〜380(2000)、Bhave他、Nature Neuroscience 4:417〜423(2001))を含めたいくつかの疾患で役割を果たしていることが示さている。いくつかのmGluR作用薬及び拮抗薬は、グルタミン酸、キスカル酸又はフェニルグリシンの類縁体から開発されたことが既に報告されている(Schoepp他、Neuropharmacol.38:1431〜1476(1999)に概説されている)。しかし、これらのリガンドは、該受容体の作用薬結合部位(orthosteric site)に結合し、したがって、一般的に単一の群の個々のmGluRに対して選択的ではない。他の取り組みは、受容体のアロステリック部位、すなわち、orthosteric部位とは異なる部位に結合することによってmGluR活性を調節する化合物を発見することである。アロステリックな調節は、正か負であることができ、作用薬に対する受容体の感度を増加させるか、又は減少させる。mGluRでは、アロステリック部位と相互作用することが明らかに示された最初の化合物は、7−(ヒドロキシイミノ)−シクロ−プロパ[b]クロメン−1a−カルボキシレート−エチルエステル(mGluR1選択的、Litschig他、Mol Pharmacol 55:453〜461(1999))及び2−メチル−6−(フェニルエチニル)ピリジン(mGluR5選択的、Gasparini他、Neuropharmacol 38:1493〜1503(1999))であった。これらの化合物は、それぞれの受容体のorthosteric結合部位には結合せず、むしろ負のアロステリック調節剤として作用し、同族受容体の7TMドメインの部位に結合して、阻害作用を及ぼす。正のアロステリック調節剤はまた、mGluR1(Knoflach他、Proc Natl Acad Sci USA 98:13402〜13407(2001)及びmGluR5(O’Brien他、Mol.Pharmacol.64:731〜740(2003))について示された。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、mGluR5受容体を含めた向代謝性グルタミン酸受容体のアロステリック調節剤であり、グルタミン酸機能障害に伴う神経学的及び精神医学的障害並びに向代謝性グルタミン酸受容体が関与する疾患の治療に有用な化合物を対象とする。本発明はまた、これらの化合物を含む医薬品組成物並びに向代謝性グルタミン酸受容体の関与するこのような疾患の予防又は治療におけるこれらの化合物及び組成物の使用を対象とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、式Iの化合物、
【0007】
【化6】

(式中、R
(1)水素、
(2)置換されていない又はハロゲン、ヒドロキシ若しくはフェニルで置換されたC1〜6アルキル、
(3)置換されていない又はハロゲン、ヒドロキシ若しくはフェニルで置換されたC3〜7シクロアルキル、及び
(4)置換されていない又は
(a)−C1〜6アルキル、
(b)−O−C1〜6アルキル、
(c)ハロ、
(d)ヒドロキシ、
(e)トリフルオロメチル、
(f)−OCF
(g)−CO
(式中、Rは独立して、
(i)水素、
(ii)置換されていない又は1〜6個のフルオロで置換された−C1〜6アルキル、
(iii)ベンジル、及び
(iv)フェニルから選択される。)
(h)−NR1011
(式中、R10及びR11は独立して、
(i)水素、
(ii)置換されていない又は1〜6個のフルオロで置換された−C1〜6アルキル、
(iii)−C5〜6シクロアルキル、
(iv)ベンジル、
(iv)フェニル、
(v)−S(O)−C1〜6アルキル、
(vi)−S(O)−ベンジル、及び
(vii)−S(O)−フェニルから選択される)
(i)−CONR1011、及び
(j)−NOから選択された1個又は複数個の置換基で置換されたフェニル、
(5)置換されていない又は
(a)−C1〜6アルキル、
(b)−O−C1〜6アルキル、
(c)ハロ、
(d)ヒドロキシ、
(e)フェニル、
(f)トリフルオロメチル、
(g)−OCF
(h)−CO
(i)−NR1011、及び
(j)−CONR1011から独立して選択された1個又は複数の置換基で置換されたベンゾイミダゾリル、ベンゾイミダゾロニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル(carbolinyl)、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル(indolazinyl)、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフタピリジニル(naphthpyridinyl)、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル(tetrazolopyridyl)、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロチエニルから選択された複素環及びそれらのN−オキシドから成る群から選択され、
及びRは独立して、
(1)水素、
(2)置換されていない又はハロゲン、ヒドロキシ若しくはフェニルで置換された−C1〜6アルキル、
(3)置換されていない又はハロゲン、ヒドロキシ若しくはフェニルで置換されたC3〜7シクロアルキル、及び
(4)置換されていない又は
(a)置換されてない又は−NR1011で置換された−C1〜6アルキル、
(b)−O−C1〜6アルキル、
(c)ハロ、
(d)ヒドロキシ、
(e)トリフルオロメチル、
(f)−OCF
(g)−CO
(h)−NR1011
(i)−C(O)NR1011、及び
(j)−NOから独立して選択された1個又は複数の置換基で置換されたフェニル、
(5)置換されていない又は
(a)−C1〜6アルキル、
(b)−O−C1〜6アルキル、
(c)ハロ、
(d)ヒドロキシ、
(e)フェニル、
(f)トリフルオロメチル、
(g)−OCF
(h)−CO
(i)−NR1011、及び
(j)−CONR1011から独立して選択された1個又は複数の置換基で置換されたベンゾイミダゾリル、ベンゾイミダゾロニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル(carbolinyl)、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル(indolazinyl)、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフタピリジニル(naphthpyridinyl)、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル(tetrazolopyridyl)、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロチエニルから選択された複素環及びそれらのN−オキシドから成る群から選択され、
複素環及びそれらのN−オキシドから成る群から選択され、
は独立して、
(1)水素、及び
(2)C1〜6アルキルから成る群から選択され、
は、
(1)置換されていない又はハロゲン、ヒドロキシ、フェニル若しくは複素環で置換された−C1〜6アルキル、
(2)置換されていない又はハロゲン、ヒドロキシ若しくはフェニルで置換されたC3〜7シクロアルキル、及び
(3)置換されていない又は
(a)−C1〜6アルキル、
(b)−O−C1〜6アルキル、
(c)ハロ、
(d)ヒドロキシ、
(e)トリフルオロメチル、
(f)−OCF
(g)−CO
(h)−CN、
(i)−NR1011
(j)−C(O)NR1011、及び
(k)−NOから独立して選択された1個又は複数の置換基で置換されたフェニル、
(4)置換されていない又は
(a)−C1〜6アルキル、
(b)−O−C1〜6アルキル、
(c)ハロ、
(d)ヒドロキシ、
(e)フェニル、
(f)トリフルオロメチル、
(g)−OCF
(h)−CO
(i)−NR1011、及び
(j)−CONR1011から独立して選択された1個又は複数の置換基で置換されたベンゾイミダゾリル、ベンゾイミダゾロニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル(carbolinyl)、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル(indolazinyl)、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフタピリジニル(naphthpyridinyl)、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル(tetrazolopyridyl)、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロチエニルから選択された複素環及びそれらのN−オキシドから成る群から選択される)
及び薬剤として許容されるそれらの塩及びそれらの個々のジアステレオマーを対象とする。
【0008】
本発明の一実施形態は、式Iaの化合物、
【0009】
【化7】

(式中、R、R、R及びRは本明細書で定義されている。)
及び薬剤として許容されるそれらの塩及びそれらの個々のエナンチオマー及びジアステレオマーを含む。
【0010】
本発明の一実施形態は、式Ibの化合物、
【0011】
【化8】

(式中、R、R及びRは本明細書で定義されている。)
及び薬剤として許容されるそれらの塩及びそれらの個々のエナンチオマー及びジアステレオマーを含む。
【0012】
本発明の一実施形態は、式Icの化合物、
【0013】
【化9】

(式中、Rは本明細書定義されている。)
及び薬剤として許容されるそれらの塩及びそれらの個々のエナンチオマー及びジアステレオマーを含む。
【0014】
本発明の具体的な実施形態は、Rが水素である化合物を含む。
【0015】
本発明の具体的な実施形態は、Rがフェニルである化合物を含む。
【0016】
本発明の具体的な実施形態は、Rがフェニルである化合物を含む。
【0017】
本発明の具体的な実施形態は、Rが水素である化合物を含む。
【0018】
本発明の一実施形態は、Rがフェニルであり、該フェニルが置換されていない、又は
(a)−C1〜6アルキル、
(b)−O−C1〜6アルキル、
(c)ハロ、
(d)ヒドロキシ、
(e)トリフルオロメチル、
(f)−OCF
(g)−CO−C1〜6アルキル、
(h)−CN、
(i)−NH
(j)−NH−C1〜6アルキル、
(k)−CONH、及び
(l)−CONH−C1〜6アルキルから独立して選択された1個若しくは複数の置換基で置換されている化合物を含む。
【0019】
この実施形態の中で、本発明はRがフェニルであり、該フェニルが置換されていない又はハロ若しくは−CNで置換された化合物を対象とする。
【0020】
この実施形態の中で、本発明はRがフェニルである化合物を対象とする。
【0021】
本発明の他の実施形態は、Rがピリジルである化合物を含む。
【0022】
本発明の具体的な実施形態は、Rが水素である化合物を含む。
【0023】
本発明の具体的な実施形態は、本明細書の実施例の表題化合物及び薬剤として許容されるそれらの塩から成る群から選択された化合物を含む。
【0024】
本発明の化合物は、向代謝性グルタミン酸(mGluR)受容体機能のアロステリック調節剤であり、特にmGluR5受容体のアロステリック調節剤である。アロステリックな調節は、正又は負であってよい。正のアロステリック調節剤とは、本明細書では「作用増強剤」のことであり、負のアロステリック調節剤とは、本明細書では「非競合的拮抗剤」のことである。「作用増強剤」という用語は、作用薬活性を増加又は増強させるが、それ自体は受容体を活性化しない化合物のことである。すなわち、本発明の化合物はmGluR受容体上のグルタミン酸認識部位に結合しないものと思われるが、グルタミン酸又はその他のmGluR作用薬が亜飽和濃度で存在する場合、本発明の化合物はmGluR受容体の応答性を増加させる。本発明の作用増強剤は、このような受容体のグルタミン酸又はその他のmGluR作用薬に対する感受性を増強する能力によって、mGluR受容体に効果をもたらし、受容体の機能を高めることが期待される。本発明の作用増強剤によって、グルタミン酸及びmGluR受容体のその他の作用薬の効果の増加が期待されると考えられる。本発明の非競合的拮抗剤は、このような受容体のグルタミン酸又はその他のmGluR作用薬に対する応答性を減少させる能力によって、mGluR受容体に効果をもたらし、受容体の機能を抑えることが期待される。本発明の非競合的拮抗剤によって、グルタミン酸及びmGluR受容体のその他の作用薬の効果の減少が期待されると考えられる。したがって、当業者に明らかなように、本発明の作用増強剤又は非競合的拮抗剤は、本明細書で治療すべきであると記載されたグルタミン酸機能障害に関連した様々な神経学的及び精神学的障害並びにこのような作用増強剤によって治療することができるその他の障害の治療に有用であると期待される。
【0025】
本発明の化合物は、1個又は複数の非対称中心を含有し、したがってラセミ化合物、ラセミ化合物の混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして生じることができる。他の非対称中心は、該分子の様々な置換基の特性に応じて存在し得る。このような非対称中心はそれぞれ、独立して2個の光学異性体を生成し、混合物中の、及び純粋な、又は部分的に精製された化合物としての可能な光学異性体及びジアステレオマーは全て、本発明の範囲内に含まれるものとする。本発明は、これらの化合物のこのような異性体型全てを包含することを意味する。式Iは、立体化学的な選択性のない化合物種の構造を示す。
【0026】
これらのジアステレオマーの独立した合成法又はクロマトグラフィーによるそれらの分離は、本明細書で開示した方法を適切に変更することによって当業界で知られているように実施することができる。絶対的な立体化学は、必要であれば、公知の絶対的配置の非対称中心を含有する試薬で誘導体化した結晶生成物又は結晶中間体のx線結晶学によって決定することができる。
【0027】
所望するならば、該化合物のラセミ混合物は分離することが可能で、したがって個々のエナンチオマーは単離される。該分離は、当業界で周知の方法、たとえば、化合物のラセミ混合物を鏡像的に純粋な化合物に結合させて、ジアステレオマー混合物を形成させた後、標準的な方法、たとえば、結晶化分画又はクロマトグラフィーによって個々のジアステレオマーを分離する方法によって実施することができる。該結合反応では、鏡像的に純粋な酸又は塩基を使用して塩を形成することが多い。該ジアステレオマー誘導体は次に、付加したキラル残基を切断することによって純粋なエナンチオマーに変換されることができる。該化合物のラセミ混合物はまた、当業界で周知の方法であるキラル固定相を使用したクロマトグラフィー法によって直接分離することができる。
【0028】
あるいは、化合物のいかなるエナンチオマーも、当業界で周知の方法によって、光学的に純粋な開始物質又は公知の構造を有する試薬を使用して立体選択的合成法によって得ることができる。
【0029】
当業者に認識されるように、本明細書で使用したハロ又はハロゲンは、フルオロ、クロロ、フルオロ、ブロモ及びヨードを含むものとする。同様に、C1〜6アルキルにおけるようなC1〜6は、1、2、3、4、5又は6個の炭素を直線又は分岐配置で有するような基として特定するように定義され、したがってC1〜8アルキルは具体的にメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、及びヘキシルを含む。置換基で独立して置換されていると指定された基は、複数のこのような置換基で独立して置換されていてよい。
【0030】
「薬剤として許容される塩」という用語は、無機塩基又は有機塩基及び無機酸又は有機酸を含めた薬剤として許容される非毒性の塩基又は酸から調製された塩のことである。無機塩基から得られた塩には、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、第二マンガン塩、第一マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩などが含まれる。特に好ましいのは、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、及びナトリウム塩である。固体形態の塩は、複数の結晶構造で存在することができ、水和物の形態であってもよい。薬剤として許容される非毒性有機塩基から誘導される塩類としては、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N′−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノ−エタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの第一級、第二級及び第三級アミン類、天然に生じる置換アミン類を含む置換アミン類、環状アミン類及び塩基性イオン交換樹脂の塩類が含まれる。
【0031】
本発明の化合物が塩基性である場合、塩類は、無機酸及び有機酸を含む、薬剤として許容される非毒性酸から調製され得る。このような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンホスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが含まれる。特に好ましいのは、クエン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、フマル酸及び酒石酸である。本明細書で使用したように、式Iの化合物について触れる場合は、薬剤として許容される塩もまた含むことを意味することが理解されよう。
【0032】
本発明の例証は、実施例及び本明細書で開示された化合物の使用である。本発明内にある具体的な化合物には、以下の実施例に開示された化合物並びに薬剤として許容されるそれらの塩及びそれらの個々のジアステレオマーからなる群から選択された化合物が含まれる。
【0033】
主題化合物は、有効量の該化合物の投与を含み、向代謝性グルタミン酸受容体活性の増強を、そのような増強を必要とする哺乳動物などの患者において行う方法において有用である。本発明は、本明細書で開示した化合物の、向代謝型グルタミン酸受容体活性の作用増強剤としての使用を対象とする。霊長類、特にヒトに加えて、様々なその他の哺乳動物を本発明の方法に従って治療することができる。
【0034】
同様に、主題の非競合的拮抗剤化合物は、有効量の該化合物の投与を含み、向代謝グルタミン酸受容体活性の阻害を、そのような阻害を必要とする哺乳動物などの患者において行う方法において有用である。本発明は、本明細書に開示した化合物の、向代謝性グルタミン酸受容体活性の非競合的拮抗剤としての使用を対象とする。霊長類、特にヒトに加えて、様々なその他の哺乳動物を本発明の方法に従って治療することができる。
【0035】
本発明はさらに、本発明の化合物を医薬担体又は希釈剤と一緒にすることを含む、ヒト及び動物において向代謝性グルタミン酸受容体活性を増強又は阻害するための医薬品の製造方法を対象とする。
【0036】
本発明の方法において治療を受ける対象は、一般に哺乳動物、好ましくは、向代謝性グルタミン酸受容体活性の増強又は阻害が望ましいヒト、男性又は女性、である。「治療有効量」という用語は、研究者、獣医、医師又はその他の臨床医師によって求められている組織、系、動物又はヒトの生物学的応答又は薬効応答を惹起する主題化合物の量を意味する。有効量の本発明の化合物で現在障害を患う患者を治療することにより、又はこのような障害を患う患者を予防的に治療することにより、当業者が神経学的及び精神医学的障害に影響を及ぼし得ることが認められる。本明細書では、「治療」及び「治療する」という用語は、本明細書で説明した神経学的及び精神医学的障害の進行を遅延、妨害、阻止、制御又は停止することはできるが、必ずしも障害症状全ての完全な排除を示すものではない方法全て、並びに、特に、このような疾患又は障害に対する素因を有する患者における前述の状態の予防的治療を意味する。
【0037】
本明細書では、「治療」及び「治療する」という用語は、障害の進行を遅延、妨害、阻止、制御、又は停止することはできるが、必ずしも障害症状全ての完全な排除を示すものではない、全プロセスを緩和又は制御するための記載した状態の処置、並びに、特に、このような疾患又は障害に対する素因を有する患者における、記載した状態の進行を遅延させるか、又は危険性を減少させるための防御若しくは予防的治療を表す。
【0038】
本明細書では、「組成物」という用語は、特定の量における特定の成分を含む製品、並びに特定の量の特定の成分の組合せから、直接的又は間接的に生ずる任意の生成物を包含するものとする。医薬品組成物に関するこのような用語は、活性成分(類)及び担体を形成する不活性成分(類)を含む生成物、並びに直接的又は間接的に、任意の2種類以上の成分の組み合わせ、錯体化又は凝集によって、或いは1種又は複数の成分の解離によって、或いは1種又は複数の成分のその他の種類の反応又は相互作用によって生じるいかなる生成物をも包含するものとする。したがって、本発明の医薬品組成物は、本発明の化合物を薬剤として許容される担体と混合することによって作製されたいかなる組成物も包含する。「薬剤として許容される」ことによって、担体、希釈剤又は医薬品添加物は、製剤のその他の成分に適合し、それらの受容者に無害でなければならない。
【0039】
化合物の「投与」及び又は「投与すること」という用語は、本発明の化合物又は本発明の化合物のプロドラッグを、治療を必要とする個体に提供することを意味するものと理解されたい。
【0040】
本発明による化合物の向代謝性グルタミン酸受容体活性、特にmGluR5活性の作用増強剤又は非競合的拮抗剤としての用途は、当業界で公知の方法によって示すことができる。ヒト又はラットmGluR5でトランスフェクトしたチャイニーズハムスター卵巣細胞を、蛍光測定プレートリーダー(FLIPR)で測定するための底の透明なアッセイ用プレートに入れた。該細胞にCa2+感受性蛍光色素(たとえば、Fluo−4)を添加し、該プレートを洗浄して、FLIPR装置に入れた。10秒間、蛍光基準を確立した後、本発明の化合物を該細胞に添加し、該細胞の応答性を測定した。5分後、mGluR5作用薬(たとえば、グルタミン酸、3,5−ジヒドロキシフェニルグリシン又はキスカル酸)を該細胞に添加し、該細胞の応答性を測定した。本発明の化合物によるmGluR5の作用薬応答性の増強作用は、化合物が無いときの作用薬の応答性と比較した化合物存在下での非最大濃度の作用薬に対する応答性の増加として観察された。同様に、本発明の化合物によるmGluR5の作用薬応答性の拮抗作用は、化合物が無いときの作用薬の応答性と比較した化合物存在下での非最大濃度の作用薬に対する応答性の減少として観察された。
【0041】
前述した測定法は、2種類の様式で実施された。第1の様式では、様々な濃度の本発明の化合物を該細胞に添加し、次に1種類の固定濃度の作用薬を添加した。該化合物が作用増強剤として作用した場合、作用増強のEC50値及びこの濃度の作用薬での該化合物による作用増強の最大範囲は、非線形曲線当て嵌め法によって測定された。該化合物が非競合的拮抗剤として作用した場合、IC50値は、非線形曲線当て嵌め法によって測定された。第2の様式では、いくつかの固定濃度の本発明の化合物をプレート上の様々なウェルに添加し、その後本発明のそれぞれの濃度について様々な濃度の作用薬を添加した。化合物の各濃度での作用薬のEC50値は、非線形曲線当て嵌め法によって測定した。本発明の化合物の濃度を増加させるにつれて作用薬のEC50値が減少すること(作用薬の濃度応答曲線の左側への移行)は、本発明の化合物の所与の濃度でのmGluR5作用増強の程度を示す。本発明の化合物の濃度を増加させるにつれて作用薬のEC50値が増加すること(作用薬の濃度応答曲線の右側への移行)は、本発明の化合物の所与の濃度でのmGluR5拮抗の程度を示す。後者の様式はまた、本発明の化合物がまた、作用薬に対するmGluR5の最大応答性に影響を与えるかどうかを示す。
【0042】
特に、以下の実施例の化合物は、前述の測定法においてmGluR5受容体を増強又は阻害する活性を有し、一般的に、増強についてのEC50又は阻害についてのIC50は約10μM未満である。本発明の好ましい化合物は、前述の測定法においてmGluR5受容体を増強又は阻害する活性を有し、増強についてのEC50又は阻害についてのIC50は約1μM未満である。好ましい化合物は、EC50値の約3倍を上回る作用薬の変化(増加又は減少)を引き起こした。これらの化合物は、作用薬がないとmGluR5の応答を引き起こさず、作用薬に対するmGluR5の最大応答の著しい増加も引き起こさなかったが、非競合的拮抗剤は、作用薬に対する最大応答の減少をもたらした。これらの化合物は、ラットmGluR5並びにヒトmGluR5の作用増強剤又は作用増強剤として作用した。これらの化合物は、その他の向代謝性グルタミン酸受容体と比較してmGluR5に対して選択的であった。このような結果によって、該化合物は、mGluR5受容体活性の作用増強剤又は非競合的拮抗剤としての使用において本来活性を有することが示唆される。
【0043】
mGluR5受容体を含めた向代謝性グルタミン酸受容体は、広範な生物学的機能に関係してきた。このことは、ヒト又はその他の種における様々な疾患プロセスにおけるこれらの受容体の潜在的な役割を示唆してきた。
【0044】
本発明の化合物は、以下の状態又は疾患の1種又は複数を含めたグルタミン酸機能障害に関連する様々な神経学的及び精神医学的障害の治療に有用である。(アルツハイマー病、虚血、外傷、血管の問題又は脳卒中、HIV疾患、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト−ヤコブ病、周産期低酸素症、その他の一般的な医学的状態又は物質乱用に関連した)認知症を含めた認知障害;譫妄、記憶喪失障害又は年齢に関連した認識力低下、急性ストレス障害を含めた不安障害、広所恐怖症、全般性不安障害、強迫性障害、不安発作、パニック障害、心的外傷後ストレス症候群、分離不安障害、社会恐怖症、特定の恐怖症、物質誘導性不安障害及び一般的な医学的状態による不安;統合失調症又は統合失調症を含めた精神病(偏執傾向、解体型、緊張型又は未分化型)、分裂病様障害、分裂情動性障害、妄想障害、短期精神障害、二人組精神病、一般的な医学的状態による精神病及び物質誘導性精神病、(物質誘導性譫妄、持続性認知症、持続性記憶喪失障害、精神障害又は不安障害、寛容、アルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、ハルシノゲン、吸入剤、ニコチン、オピオイド、フェンシクリジン、鎮静剤、睡眠薬又は抗不安薬を含めた物質への依存又は禁断症状を含めた)物質関連疾患及び嗜癖行動;(パーキンソン病、薬物誘導性パーキンソン病、脳炎後パーキンソン病、進行性核上性麻痺、多系統萎縮、皮質延髄変性、パーキンソン病−ALS痴呆症候群及び大脳基底核石灰化を含めた)無動症及び無動硬直性症候群を含めた運動障害、(神経遮断薬誘発パーキンソン病、悪性症候群、神経遮断薬誘発急性ジストニア、神経遮断薬誘発急性アカシジア、神経遮断薬誘発遅発性ジスキネジア及び薬剤誘発体位性振戦などの)薬剤誘発パーキンソン病、ジルドラトゥレット症候群、てんかん及び((安静時振戦、体位性振戦及び企図振戦などの)振戦、(シドナム舞踏病、ハンチントン病、良性遺伝性舞踏病、神経有棘赤血球症、症候性舞踏病、薬剤誘導性舞踏病及び片側バリズムなどの)舞踏病、(全身性ミオクローヌス及び限局性ミオクローヌスなどの)ミオクローヌス、単純性チック、複雑性チック及び症候性チックなどの)チック、及び(突発性ジストニア、薬剤誘発ジストニア、症候性ジストニア及び発作性ジストニアなどの全身性ジストニア並びに眼瞼痙攣、口顎ジストニア、痙攣性発生障害、痙性斜頚、軸性ジストニア、ジストニア性書痙及び片麻痺性ジストニアなどの限局性ジストニアを含めた)ジストニア)を含めた)ジスキネジア;肥満、神経性大食症及び過食症、骨及び関節痛を含めた疼痛(変形性関節症)、反復性運動疼痛、歯痛、癌疼痛、筋筋膜痛(筋肉損傷、繊維筋痛症)、周術期疼痛(一般的手術、婦人科的)、慢性疼痛、神経因性頭痛、外傷後疼痛、三叉神経痛、偏頭痛及び片頭痛、肥満又は過剰食品摂取に関連した摂食障害及びそれらに関連した合併症;注意欠陥多動性障害;行動障害;うつ病性障害、双極性障害、一般的医学的状態による気分障害及び物質誘発気分障害を含めた気分障害、筋肉攣縮及び筋肉痙縮に関連した疾患又は振戦を含めた脱力感;尿失禁;筋萎縮側索硬化症;眼球障害を含めた神経障害、網膜症又は眼の黄斑変性症、聴力損失又は耳鳴り;嘔吐、脳浮腫及びナルコレプシーを含めた睡眠障害。
【0045】
前記の障害のうち、認知障害、不安障害、統合失調症又は精神病、物質使用による障害及び嗜癖行動、パーキンソン病、肥満及び疼痛の治療は特に重要である。
【0046】
具体的な実施形態では、本発明は、認知障害の治療を必要とする患者に有効量の式Iの化合物を投与することを含む認知障害の治療方法を提供する。特定の認知障害は、認知症、譫妄、記憶喪失障害及び年齢に関連した認識力低下である。現在、「the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders第4版改訂版」(DSM−IV−TR)(2000、American Psychiatric Association、Washington DC)は、認知症、譫妄、記憶喪失障害及び年齢に関連した認識力低下を含めた認知障害を含む診断装置を提供している。本明細書では、「認知障害」という用語には、DSM−IV−TRに記載されたような精神疾患の治療が含まれる。当業者であれば、精神障害の他の用語、疾病分類学及び分類系があり、これらの系は医学及び科学の進化によって発展することを認識するであろう。したがって、「認知障害」という用語は、その他の診断情報で記載された類似の疾患を含むものとする。
【0047】
他の具体的な実施形態では、本発明は、不安障害の治療を必要とする患者に有効量の式Iの化合物を投与することを含む不安障害の治療方法を提供する。特定の不安障害は、全般性不安障害、強迫性障害及びパニック発作である。現在、「the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの第4版改訂版」(DSM−IV−TR)(2000、American Psychiatric Association、Washington DC)は、全般性不安障害、強迫性障害及びパニック発作である不安障害を含む診断手段を提供している。本明細書では、「不安障害」という用語には、DSM−IV−TRに記載されたような精神疾患の治療が含まれる。当業者であれば、精神障害の他の用語、疾病分類学及び分類系があり、これらの系は医学及び科学の進化によって発展することを認識するであろう。したがって、「不安障害」という用語は、その他の診断情報で記載された類似の疾患を含むものとする。
【0048】
他の具体的な実施形態では、本発明は、統合失調症又は精神病の治療を必要とする患者に有効量の式Iの化合物を投与することを含む統合失調症又は精神病の治療方法を提供する。特定の統合失調症又は精神病病理は、偏執傾向、解体型、緊張型又は未分化型統合失調症及び物質誘導性精神障害である。現在、「the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの第4版改訂版」(DSM−IV−TR)(2000、American Psychiatric Association、Washington DC)は、偏執傾向、解体型、緊張型又は未分化型統合失調症及び物質誘導性精神障害を含む診断手段を提供している。本明細書では、「統合失調症又は精神病」という用語には、DSM−IV−TRに記載されたような精神障害の治療が含まれる。当業者であれば、精神障害の他の用語、疾病分類学及び分類系があり、これらの系は医学及び科学の進化によって発展することを認識するであろう。したがって、「統合失調症又は精神病」という用語は、その他の診断情報で記載された類似の疾患を含むものとする。
【0049】
他の具体的な実施形態では、本発明は、物質関連障害及び嗜癖行動の治療を必要とする患者に有効量の式Iの化合物を投与することを含む物質関連障害及び嗜癖行動の治療方法を提供する。特定の物質関連障害及び嗜癖行動は、持続型認知症、持続型記憶喪失障害、物質乱用によって誘発された精神障害又は不安障害、並びに物質乱用の寛容、依存又は禁断症状である。現在、「the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders第4版改訂版」(DSM−IV−TR)(2000、American Psychiatric Association、Washington DC)は、持続型認知症、持続型記憶喪失障害、物質乱用によって誘発された精神障害又は不安障害、並びに物質乱用の寛容、依存又は禁断症状を含む診断手段を提供している。本明細書では、「物質関連障害及び嗜癖行動」という用語には、DSM−IV−TRに記載されたような精神疾患の治療が含まれる。当業者であれば、精神障害の他の用語、疾病分類学及び分類系があり、これらの系は医学及び科学の進化によって発展することを認識するであろう。したがって、「物質関連障害及び嗜癖行動」という用語は、その他の診断情報で記載された類似の疾患を含むものとする。
【0050】
他の具体的な実施形態では、本発明は、疼痛の治療を必要とする患者に有効量の式Iの化合物を投与することを含む疼痛の治療方法を提供する。特定の疼痛の実施形態は、骨及び関節の疼痛(骨関節炎)、反復運動疼痛、歯痛、癌疼痛、筋筋膜疼痛(筋肉損傷、繊維筋痛症)、周術期疼痛(一般的手術、婦人科的)、慢性疼痛及び神経因性疼痛である。
【0051】
他の具体的な実施形態では、本発明は、肥満又は過剰食品摂取に関連した摂食障害及びそれらに関連した合併症の治療を必要とする患者に有効量の式Iの化合物を投与することを含む肥満又は過剰食品摂取に関連した摂食障害及びそれらに関連した合併症の治療方法を提供する。現在、肥満は、「the International Classification of Diseases and Related Health Problemsの10版」(ICD−10)(1992 World Health Organization)に一般医学的状態として含まれている。「the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders第4版改訂版」(DSM−IV−TR)(2000、American Psychiatric Association、Washington DC)は、医学的状態に影響を及ぼす心理的要因の存在下での肥満を含む診断手段を提供している。本明細書では、「肥満又は過剰食品摂取に関連した摂食障害」という用語には、ICD−10及びDSM−IV−TRに記載されたような医学的状態及び障害の治療が含まれる。当業者であれば、一般的医学状態には他の用語、疾病分類学及び分類系があり、これらの系は医学及び科学の進化によって発展することを認識するであろう。したがって、「肥満又は過剰食品摂取に関連した摂食障害」という用語は、その他の診断情報で記載された類似の状態及び障害を含むものとする。
【0052】
主題化合物はさらに、本明細書で記載した疾患、障害及び状態の予防、治療、制御、改善又は危険性の減少のための方法に有用である。
【0053】
主題化合物はさらに、mGluR作用薬を含めたその他の薬剤と組み合わせて、前記疾患、障害及び状態の予防、治療、制御、改善又は危険性の減少のための方法に有用である。
【0054】
「作用増強量」という用語は、mGluR作用薬の量、すなわち、本発明の作用増強剤化合物の有効量と組み合わせて投与したとき、本明細書で記載した神経学的及び精神医学的障害の治療に有効な作用薬の投与量を意味する。作用増強量は、有効量の本発明の作用増強剤化合物なしでmGluR作用薬を投与したときに同様の効果をもたらすのに必要な量より少ないことが予測される。
【0055】
作用増強量は、従来の技術を使用し、類似の環境下で得られた結果を考察することによって、当業者のように、主冶診断医によって容易に決定することができる。作用増強量、式Iの化合物と組み合わせて投与するmGluR作用薬の用量の決定において、効能及び選択性を含めた、投与するために選択されたmGluR作用薬、一緒に投与する式Iの化合物、哺乳類の種類、その大きさ、年齢及び一般的な健康状態、関連する特異的な障害、該障害の関与の程度又は重症度、個々の患者の応答性、投与様式、投与する調製物の生物学的利用特性、選択した投与計画、その他の併用薬剤の使用並びにその他の関係のある環境を含めるがそれだけに限定されないいくつかの要素は、主冶主治医によって考慮される。
【0056】
有効量の式Iの化合物と組み合わせて投与するmGluR作用薬の作用増強量は、1日について体重1キログラム当たり約0.1ミリグラム(mg/kg/日)から約100mg/kg/日で変化させることが予測され、有効量の式Iの化合物なしで投与したとき同じ効果をもたらすために必要な量よりも少ないことが予測される。一緒に投与するmGlu作用薬の好ましい量は、当業者が決定することができる。
【0057】
薬剤を一緒に組み合わせるとどちらかの薬剤単独よりも安全で効果的な場合、式Iの化合物又はその他の薬剤が実用できる疾患又は状態の治療、予防、制御、改善又は危険性の減少において、本発明の化合物は、1種又は複数のその他の薬剤と組み合わせて使用することができる。このようなその他の薬剤(類)は、式Iの化合物と同時に、又は逐次的に、それらのために通常使用される経路及び量で投与することができる。式Iの化合物は1種又は複数のその他の薬剤と同時に使用する場合は、このようなその他の薬剤及び式Iの化合物を含有する単位投与形態の医薬品組成物が好ましい。しかし、該併用治療はまた、式Iの化合物及び1種又は複数のその他の薬剤を様々な重複計画で投与する治療法を含む。1種又は複数のその他の活性成分と組み合わせて使用するとき、本発明の化合物及びその他の活性成分は、どちらかを単独で使用するときよりも少ない用量で使用することができることもまた、考えられる。したがって、本発明の医薬組成物には、式Iの化合物に加えて、1種又は複数のその他の活性成分を含有するものが含まれる。
【0058】
前記の組み合わせには、本発明の化合物と1種のその他の活性化合物だけでなく、2種以上のその他の活性化合物の組み合わせが含まれる。同様に、本発明の化合物は、本発明の化合物が有用な疾患又は状態の予防、治療、制御、改善又は危険性の減少に使用されるその他の薬剤と組み合わせて使用することができる。このようなその他の薬剤は、本発明の化合物と同時に、又は逐次的に、それらのために通常使用される経路及び量で投与することができる。本発明の化合物を1種又は複数のその他の薬剤と同時に使用する場合は、本発明の化合物に加えてこのようなその他の薬剤を含有する医薬組成物が好ましい。したがって、本発明の医薬品組成物には、本発明の化合物に加えて、1種又は複数のその他の活性成分もまた含有するものが含まれる。
【0059】
本発明の化合物の化合物の第2の活性成分に対する重量比は、変化させることができ、各成分の有効量によって左右される。一般的に、それぞれの有効量を使用する。したがって、たとえば、本発明の化合物を他の薬剤と一緒にするときは、その他の薬剤に対する本発明の化合物の重量比は一般的に約1000:1から約1:1000の範囲、好ましくは約200:1から約1:200の範囲にする。本発明の化合物とその他の活性成分との組み合わせはまた一般的に、前述の範囲内であるが、それぞれの場合において、各活性成分の有効量を使用するべきである。
【0060】
このような組み合わせにおいて、本発明の化合物及びその他の活性成分は、別々に、又は併用して投与することができる。さらに、1つの成分の投与は、その他の薬剤(類)の前に、同時に、又は後であることができる。
【0061】
したがって、主題化合物は、単独で使用するか、又は対象とする適応症に有益であることが知られているその他の薬剤又は本発明の化合物の効果、安全性、利便性を増大させるか、又は本発明の化合物の望ましくない副作用若しくは毒性を減少させる受容体若しくは酵素に影響を及ぼすその他の薬物と組み合わせて使用することができる。主題化合物及びその他の薬剤は、併用治療又は固定した組み合わせのいずれかにおいて、一緒に投与することができる。
【0062】
一実施形態では、主題化合物は、抗アルツハイマー薬、ベータセクレターゼ阻害剤、ガンマセクレターゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、イブプロフェンを含むNSAID、ビタミンE及び抗アミロイド抗体と組み合わせて使用することができる。
【0063】
一実施形態では、主題化合物は、鎮静剤、睡眠薬、不安緩解薬、抗精神病薬、抗不安薬、シクロピロロン、イミダゾピリジン、ピラゾロピリミジン、弱精神安定剤、メラトニン作用薬及び拮抗薬、メラトニン様物質、ベンゾジアゼピン、バルビツール、5HT−2拮抗薬など、たとえば、アジナゾラム、アロバルビタール、アロニミド、アルプラゾラム、アミトリプチリン、アモバルビタール、アモキサピン、ベンタゼパム、ベンゾクタミン、ブロチゾラム、ブプロピオン、ブスプリオン、ブタバルビタール、ブタルビタール、カプリド、カルボクロラール、ベタインクロラール、抱水クロラール、クロルジアゼポキシド、クロミプラミン、クロナゼパム、クロペリドン、クロラゼパート、クロレタート、クロザピン、シプラゼパム、デシプラミン、デクスクラモール、ジアゼパム、ジクロルアルフェナゾン、ジバルプロエックス、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、エスタゾラム、エトクロルビノール、エトミデート、フェノバム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、フルボキサミン、フルオキセチン、ホスアゼパム、グルテチミド、ハラゼパム、ヒドロキシジン、イミプラミン、リチウム、ロラゼパム、ロルメタゼパム、マプロチリン、メクロカロン、メラトニン、メフォバルビタール、メプロバメート、メタカロン、ミダフルル、ミダゾラム、ネファゾドン、ニソバメート、ニトラゼパム、ノルトリプチリン、オキサゼパム、パラアルデヒド、パラオキセチン、ペントバルビタール、ペルラピン、ペルフェナジン、フェネルジン、フェノバルビタール、プラゼパム、プロメタジン、プロポホール、プロトリプチリン、クアゼパム、レクラゼパム、ロレタミド、セコバルビタール、セルトラリン、スプロクローン、テマゼパム、チオリダジン、トラカゾラート、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリアゾラム、トレピパム、トリセタミド、トリクロホス、トリフルオペラジン、トリメトジン、トリミプラミン、ウルダゼパム、ベンラファキシン、ザレプロン、ゾラゼパム、ゾルピデム及びそれらの塩、並びにそれらの組み合わせなどと組み合わせて使用することができ、或いは主題化合物は、光治療又は電気刺激などの物理的方法の使用と組み合わせて投与することができる。
【0064】
他の実施形態では、主題化合物は、(カルビドーパ又はベンセラジドなどの選択的脳外デカルボキシラーゼ阻害剤と一緒に、又は一緒にせずに)レボドーパ、(場合によって、塩酸塩又は乳酸塩としての)ビペリデンなどの抗コリン作用薬及びトリヘキシルフェニジル(ベンズヘキソール)塩酸塩、エンタカポンなどのCOMT阻害剤、MOA−B阻害剤、抗酸化剤、A2aアデノシン受容体拮抗薬、コリン作用薬、NMDA受容体拮抗薬、セロトニン受容体拮抗薬及びアレンテモール、ブロモクリプチン、フェノルドパム、リスリド、ナキサゴリド、ペルゴリド及びプラミペキソールなどのドーパミン受容体作用薬と組み合わせて使用することができる。ドーパミン作用薬は、薬剤として許容される形態で、たとえば、アレンテモール臭化水素酸塩、メシル酸ブロモクリプチン、メシル酸フェノルドパム、ナキサゴリド塩酸塩及びメシル酸ペルゴリドであってよいことが理解されよう。リスリド及びプラミペキソールは塩ではない形態で通常使用される。
【0065】
他の実施形態では、主題化合物は、アセトフェナジン、アレンテモール、ベンズヘキソール、ブロモクリプチン、ビペリデン、クロルプラマジン、クロルピロチキセン、クロザピン、ジアゼパム、フェノルドパム、フルフェナジン、ハロペリドール、レボドーパ、レボドーパとベンセラジド、レボドーパとカルビドーパ、リスリド、ロキサピン、メソリダジン、モリンドン、ナキサゴリド、オランザピン、ペルゴリド、ペルフェナジン、ピモジド、プラミペキソール、リスペリドン、スルピリド、テトラベナジン、トリヘキシフェニジル、チオリダジン、チオチキセン又はトリフロペラジンと組み合わせて使用することができる。
【0066】
他の実施形態では、主題化合物は、フェノチアジン、チオキサンテン、複素環ジベンズアゼピン、ブチロフェノン、ジフェニルブチルピペリジン及びインドロン種の神経弛緩薬の化合物と組み合わせて使用することができる。フェノチアジンの適切な例には、クロプロマジン、メソリダジン、チオリダジン、アセトフェナジン、フルフェナジン、ペルフェナジン及びトリフルオペラジンが含まれる。チオキサンテンの適切な例には、クロルプロチキセン及びチオチキセンが含まれる。ジベンズアゼピンの一例は、クロザピンである。ブチロフェノンの一例は、ハロペリドールである。ジフェニルブチルピペリジンの一例は、ピモジドである。インドロンの一例は、モリンドロンである。その他の神経弛緩薬には、ロキサピン、スルピリド及びリスペリドンが含まれる。主題化合物と組み合わせて使用するとき、神経弛緩薬は、薬剤として許容される塩の形態、たとえば、クロルプロマジン塩酸塩、メソリダジンベシレート、チオリダジン塩酸塩、アセトフェナジンマレイン酸塩、フルフェナジン塩酸塩、フルフェナジンエナト酸塩、フルフェナジンデカン酸塩、トリフルオペラジン塩酸塩、チオチキセン塩酸塩、ハロペリドールデカン酸塩、ロキサピン琥珀酸塩及びモリンドン塩酸塩であってよい。ペルフェナジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ハロペリドール、ピモジド及びリスペリドンは、塩の形態をとらずに通常使用される。
【0067】
他の実施形態では、主題化合物は、食欲抑制薬、たとえば、アミノレックス、アムフェクロラール(amphechloral)、アンフェタミン、ベンズフェタミン、クロルフェンテルミン、クロベンゾレクス、クロホレクス、クロミノレクス、クロルテルミン、シクレキセドリン(cyclexedrine)、デキスフェンフルラミン、デキストロアンフェタミン、ジエチルプロピオン、ジフェメトキシジン、N−エチルアンフェタミン、フェンブトラザート、フェンフルラミン、フェニソレクス、フェンプロポレクス、フルドレクス、フルミノレクス、フルフリルメチルアンフェタミン、レバンフェタミン、レボファセペラン、マジンドール、メフェノレクス、メタンフェプラモン、メタンフェタミン、ノルシュードエフェドリン、ペントレクス、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミン、ピシロレクス及びシブトラミン、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、クロルフェンテルミン、クロホレクス、クロルテルミン、デキスフェンフルラミン、フェンフルラミン、ピシロレクス及びシブトラミンを含めたハロゲン化アンフェタミン誘導体並びに薬剤として許容されるそれらの塩と組み合わせて使用することができる。
【0068】
他の実施形態では、主題化合物は、(三級アミン三環系及び二級アミン三環系を含めた)ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、モノアミンオキシダーゼの可逆的阻害剤(RIMA)、セロトニン及びノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)、コルチコトロピン放出因子(CRF)拮抗薬、α−アドレナリン受容体拮抗薬、ニューロキニン−1受容体拮抗薬、非定型抗うつ剤、ベンゾジアゼピン、5−HT1A作用薬又は拮抗薬、特に5−HT1A部分的作用薬及びコルチコトロピン放出因子(CRF)拮抗薬を含めた抗うつ剤又は抗不安薬と組み合わせて使用することができる。具体的な薬剤には、アミトリプチリン、クロミプラチン、ドキセピン、イミプラミン及びトリミプラミン;アモキサピン、デシプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリン及びプロトリプチリン;フルオキセチン、フルボキサミン、パラオキセチン及びセルトラリン;イソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミン及びセレギリン;モクロベミド:ベンラファキシン;アプレピタント;ブプロピオン、リチウム、ネファゾドン、トラゾドン及びヴィロキサジン;アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼパート、ジアゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム及びプラゼパム;ブスピリオン、フレシノキサン、ゲピロン及びイプサピロン並びに薬剤として許容されるそれらの塩が含まれる。
【0069】
他の実施形態では、主題化合物は、オピエート作用薬、5−リポキシゲナーゼの阻害剤などのリポキシゲナーゼ阻害剤、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤などのシクロオキシゲナーゼ阻害剤、インターロイキン−1阻害剤などのインターロイキン阻害剤、NMDA拮抗薬、一酸化窒素阻害剤又は一酸化窒素合成阻害剤、非ステロイド系抗炎症剤、又はサイトカインを抑制する抗炎症剤、たとえば、アセトアミノフェン、アスピリン、コーディーン、フェンタニル、イブプロフェン、インドメタシン、ケトロラク、モルヒネ、ナプロキセン、フェナセチン、ピロキシカム、ステロイド系鎮痛薬、スフェンタニル、サンリンダク(sunlindac)、テニダップなどと組み合わせて使用することができる。同様に、主題化合物は、鎮痛剤;カフェイン、H2拮抗薬、シメチコン、水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムなどの作用増強剤;フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、シュードエフェドリン、オキシメタゾリン、エフィネフリン(ephinephrine)、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリン又はレボ−デソキシ−エフェドリンなどのうっ血除去薬;コーディーン、ハイドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタン、又はデキストロメトロファンなどの鎮咳薬;利尿薬及び鎮静作用のある、若しくは鎮静作用のない抗ヒスタミン薬と共に投与することができる。
【0070】
本発明の化合物は、経口によって、非経口によって(たとえば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、大槽内注射若しくは注入、皮下注射又は移植)、吸入噴霧、経鼻、膣内、直腸内、舌下又は局所的投与経路によって投与することができ、単独又は一緒に、通常の非毒性の薬剤として許容される担体、補助剤及びそれぞれの投与経路に適した賦形剤を含有する適切な投与単位製剤で処方することができる。マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サルなどの温血動物の治療に加えて、本発明の化合物は、ヒトに使用すると有効である。
【0071】
本発明の化合物を投与するための医薬品組成物は、投与単位形態で都合良く存在させることが可能で、製薬業界で周知の方法のいずれかによって調製することができる。いずれの方法にも、1種又は複数の補助的成分を構成する担体に活性成分を関連させる段階が含まれる。一般的に、該医薬品組成物は、該活性成分を液体担体又は微粒子固形担体又はその両方と均一かつ十分に関連させること、次に、必要であれば、所望する製剤に該生成物を成形することによって調製される。該医薬品組成物には、活性目標化合物を疾患の過程又は状態に所望する効果をもたらすために十分な量で含める。本明細書では、「組成物」という用語は、特定の量で特定の成分を含む生成物、並びに特定の量で特定の成分の組合せから直接的、又は間接的に生ずる任意の生成物を包含するものとする。
【0072】
活性成分を含有する医薬品組成物は、経口使用に最適な形態、例えば、錠剤、トローチ、舐剤、水性又は油性懸濁液、分散性粉末又は顆粒、乳剤、硬質カプセル又は軟質カプセル、又はシロップ又はエリキシルであってよい。経口使用を企図した組成物は、医薬品組成物の製造に関して当業界で公知の任意の方法に従って調製することができ、このような組成物は、製薬的に優れた味のよい製剤を提供するため、甘味剤、矯味矯臭剤、着色剤及び保存剤からなる群から選択された1種又は複数の薬剤を含有することが可能である。錠剤は、錠剤の製造に適切な薬剤として許容できる非毒性賦形剤と混合した有効成分を含有する。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;顆粒化剤及び崩壊剤、例えば、コーンスターチ、又はアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン又はアラビアゴム、及び潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクであり得る。錠剤は、コーティングされていなくてもよいし、又は胃腸管における崩壊及び吸収を遅らせ、それによってより長時間に亘って持続作用を提供するため、公知の技術によってコーティングされていてもよい。たとえば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルなどの徐放性物質を使用することができる。また、米国特許第4256108号、第4166452号及び第4265874号に記載された技術によってコーティングして、徐放のために浸透圧治療錠剤を形成することができる。
【0073】
経口使用のための製剤はまた、活性成分が不活性な固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンと混合されている硬質ゼラチンカプセルとして、或いは活性成分が、水又は油性媒体、例えば、ピーナッツ油、液体パラフィン若しくはオリーブ油と混合されている軟質ゼラチンカプセルとして存在することもできる。
【0074】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した医薬品添加物と混合して活性物質を含有する。このような賦形剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカントゴム、アラビアゴムであり;分散剤又は湿潤剤は、天然ホスファチド、例えば、レシチン、又はアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えば、ヘプタデカエチレン−オキシセタノール、又はエチレンオキシドと脂肪酸から生じた部分エステル及びヘキシトールとの縮合生成物、例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、又はエチレンオキシドと脂肪酸から生じた部分エステル及び無水ヘキシトールとの縮合生成物、例えば、モノオレイン酸ポリエチレンソルビタンであり得る。水性懸濁液はまた、1種又は複数の保存剤、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチル又はn−プロピル、1種又は複数の着色剤、1種又は複数の矯味矯臭剤、及びスクロース又はサッカリンなどの1種又は複数の甘味剤を含有してもよい。
【0075】
油性懸濁液は、植物油、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油又はココナッツ油、又は液体パラフィンなどの鉱油中に活性成分を懸濁化することにより製剤化できる。前記油性懸濁液は、増粘剤、例えば蜜蝋、固形パラフィン又はセチルアルコールを含有してもよい。前述したものなどの甘味料及び興味矯臭剤を添加して、味の良い経口用調製物を提供することができる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤の添加により保存できる。
【0076】
水の添加により水性懸濁液を調製するのに適した分散性粉末及び顆粒は、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1種又は複数の保存剤と混合して活性成分を提供する。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は、既に前記のものにより例示されている。さらなる賦形剤、例えば、甘味剤、矯味矯臭剤及び着色剤もまた、存在させることができる。
【0077】
本発明の医薬品組成物はまた、水中油乳剤の形態であり得る。該油相は、植物油、たとえば、オリーブ油若しくはラッカセイ油、又は鉱油、たとえば、液体パラフィン又はこれらの混合物であってよい。適切な乳化剤は、天然に生じるゴム、例えば、アラビアゴム又はトラガカントゴム、天然に生じるホスファチド、例えば大豆レシチン、及び脂肪酸及び無水ヘキシトールから得られたエステル又は部分エステル、たとえばモノオレイン酸ソルビタン、及び前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、たとえば、モノオレイン鎖ポリオキシエチレンソルビタンであり得る。乳剤はまた、甘味剤又は矯味矯臭剤を含有できる。
【0078】
シロップ及びエリキシルは、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はシュクロースで製剤化することができる。このような製剤はまた、粘滑剤、保存剤、矯味矯臭剤及び着色剤を含有できる。
【0079】
該医薬品組成物は、滅菌注射水溶液又は油脂性懸濁液の形態であってよい。この懸濁液は、前記のこれら適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて公知の技術により製剤化できる。滅菌注射剤はまた、非毒性の非経口的に許容できる希釈剤又は溶媒、例えば、1,3−ブタンジオールの溶液としての、滅菌した注射可能な溶液又は懸濁液であり得る。使用することができる許容できる媒体及び溶媒の中には、水、リンゲル液及び等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌不揮発性油は従来、溶媒又は懸濁溶媒として使用されている。このために、合成モノ又はジグリセリドを含めた任意の無菌不揮発製油を使用してよい。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射可能な調製物で用途が見いだされる。
【0080】
本発明の化合物はまた、薬物の直腸投与のために座薬の形態で投与できる。これらの組成物は、常温では固体であるが、直腸温度では液体で、したがって直腸内で融解して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と前記薬物を混合することにより調製できる。このような物質は、カカオ脂及びポリエチレングリコールである。
【0081】
局所使用のために、本発明の化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液又は懸濁液などが使用される。(本明細書の目的のために、局所適用は洗口剤及び含そう剤を含むべきである)。
【0082】
本発明の医薬品組成物及び方法はさらに、前述の病理状態の治療に通常適用される本明細書で記載したようなその他の治療的に活性のある化合物を含むことができる。
【0083】
向代謝性グルタミン酸受容体活性の活性増強を必要とする状態の治療においては、適切な投与量濃度は一般的に、1日当たり患者の体重1kg当たり約0.01から500mgで、1回又は複数回で投与することができる。好ましくは、該投与量濃度は、1日当たり約0.1から約250mg/kgで、より好ましくは、1日当たり約0.5から約100mg/kgである。適切な投与量濃度は、1日当たり約0.01から約250mg/kg、1日当たり約0.05から100mg/kg、又は1日当たり約0.1から50mg/kgであってよい。この範囲内で、該投与量は、1日当たり約0.05から0.5、0.5から5又は5から50mg/kgであってよい。経口投与については、治療する患者への投与量を徴候によって調節するために、該組成物は活性成分を1.0から1000ミリグラム、特に1.0、5.0、10、15.20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、750、800、900及び1000mgを含有する錠剤の形態で形成することが好ましい。該化合物は、1日当たり1回から4回、好ましくは1日に1回又は2回の計画で投与してよい。この投与計画は、最適な治療応答をもたらすために調節することができる。しかし、個々の特定の患者について特定の用量濃度及び投与頻度を変化させることができ、使用した具体的な化合物の活性、化合物の代謝安定性及び作用の長さ、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与様式及び投与時間、排泄速度、薬剤の組み合わせ、特定の状態の重症度及び治療を受ける宿主を含めた様々な要素に左右される。
【実施例】
【0084】
化学物質の説明及び以下の実施例で使用した略語は、
CHCl ジクロロメタン
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
PS−DIEA ジイソプロピルエチルアミンポリスチレン
PS−DMAP 4−N,N−ジメチルアミノピリジンポリスチレン
PS−Tris ポリスチレントリスアミン
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
MeOH メタノール
【0085】
本発明の化合物を調製するためのいくつかの方法を以下のスキーム及び実施例に例示する。開始物質及び必要な中間体は、場合によっては市販されているか、又は文献の方法に従って、若しくは本明細書で例示したように調製することができる。
【0086】
本発明の化合物は、文献で知られているか、又は実験的手法で例証されている他の標準的な操作に加えて、以下のスキームで示される反応を使用することにより調製できる。スキームで示した置換基の番号は、クレームで使用したものと関連づける必要はなく、しばしば明確にするために、前記の定義において複数の置換基が可能な場合、1個の置換基が該化合物に結合しているように示す。
【0087】
本発明の化合物を生成するために使用する反応物は、文献で知ることができるか、又は実験的手法で例証されているような、エステル加水分解、保護基の切断などのその他の標準的な操作に加えて、反応スキームIに示される反応を使用することにより調製される。
【0088】
最終生成物が、たとえば、置換基の操作によってさらに変更され得る場合もある。これらの操作には、当業者には通常公知の還元、酸化、アルキル化、アシル化及び加水分解反応を含めることができるが、それだけには限定されない。反応を容易にするため、又は所望しない反応生成物を回避するために、前述の反応スキームを実施する順番を変更できる場合もある。以下の実施例は、本発明をより完全に理解することができるように提供される。これらの実施例は例示するためだけのものであって、本発明のいかなる方法においても本発明を制限するものではない。
【0089】
反応スキームI
【0090】
【化10】

【0091】
反応スキームIに例示したように、適切には2−アミノ−1,3,4−置換ピラゾール1−1は標準的反応条件下でアシル化され、対応するアミド1−2がもたらされる。この場合、2−アミノ−1,3,4−置換ピラゾール1−1及び使用したアシル化剤はいずれも市販されていた。反応を容易にするため、又は所望しない反応生成物を回避するために、前述の反応スキームを実施する順番を変更できる場合もある。以下の実施例は、例示するためだけのものであって、本発明をより完全に理解することができるように提供する。これらの実施例は、本発明のいかなる方法においても本発明を制限するものではない。使用される具体的な物質、種及び条件は、本発明をさらに説明しようとするためのものであり、その妥当な範囲を限定するものではない。
【0092】
スキームI
【0093】
【化11】

【0094】
N−[1−メチル−3−(2−チエニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−4−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(1−2)
CHCl(3mL)に溶かした5−アミノ−1−メチル−3−(チエン−2−イル)ピラゾール、1−1(30mg、0.168mml)、PS−DIEA(57mg、0.168mol、3.0mmol/g)又はDIEA(38μL、0.33mmol)の撹拌懸濁液に、p−トリフルオロメチルベンゾイルクロリド(42μL、0.2mmol)を添加した。1時間後、過剰な酸塩化物を排除するためにPS−トリスアミン(96mg、0.33mmol、3.5mmol/g)を添加した。次に該溶液を濾過して、該樹脂をCHCl(3mL)で洗浄し、濃縮した。次に、粗物質をAgilent1100システムのMass−Guided調製用HPLCによって精製して表題化合物1−2、41.3mg(70%)を形成した。H NMR(300MHz、DMSO−d):δ7.79(m、2H)、7.6(m、1H)、7.03(m、2H)、6.48(s、1H)、3.76(s、3H);分析用LCMS:3.198分に単一ピーク(214nm)(CHCN/HO/1%TFA、勾配4分)、HRMSによるC1612OS(M+H)の計算値、352.0726;実測値352.0735。
【0095】
スキーム2
【0096】
【化12】

N−(1,3−ジフェニル−1H−ピラゾール−5−イル)−3,4−ジフルオロベンズアミド(2−2)
5−アミノ−1,3−ジフェニルピラゾール2−1(100mg、0.425mmol)の撹拌溶液に、DIEA(150μL、0.85mmol)を添加し、15分間撹拌させ、その後3,4−ジフルオロベンゾイルクロリド(890mg、0.51mmol)を添加した。TLCによって完了が確認されるまで該溶液をRTで撹拌し、次にAglient1100システムのmass−guided調製法HPLCによって精製した。H NMR(300MHz、CDCl):δ7.92(m、2H)、7.45(m、12H);分析用LCMS:3.551分に単一ピーク(214nm)(CHCN/HO/1%TFA、勾配4分)、HRMSによるC2215の計算値(M+H)、376.1256;実測値376.1268。
【0097】
表1の化合物は、反応スキームIに示したように合成したが、スキーム1及び2で説明したように適切に置換された酸塩化物を置換した。必要な開始物質は市販されているか、文献で説明されているか、又は有機合成業界の当業者によって容易に合成された。
【0098】
【表1】







【0099】
本発明を説明し、それらのある種の特定の実施形態を参照にして例示したが、当業者には、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、方法及び操作に様々な調節、変更、修飾、置換、欠失又は付加を行うことができることは明らかであろう。たとえば、前記で示した本発明の化合物の指示のいずれかについて、治療する哺乳類の反応性の変動のために、本明細書で前記に説明した特定の投与量以外の有効な投与量を適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、
【化1】

(式中、R
(1)水素、
(2)置換されていない又はハロゲン、ヒドロキシ若しくはフェニルで置換されたC1〜6アルキル、
(3)置換されていない又はハロゲン、ヒドロキシ若しくはフェニルで置換されたC3〜7シクロアルキル、及び
(4)置換されていないフェニル、又は
(a)−C1〜6アルキル、
(b)−O−C1〜6アルキル、
(c)ハロ、
(d)ヒドロキシ、
(e)トリフルオロメチル、
(f)−OCF
(g)−CO
(式中、Rは独立して、
(i)水素、
(ii)置換されていない又は1から6個のフルオロで置換された−C1〜6アルキル、
(iii)ベンジル、及び
(iv)フェニルから選択される。)
(h)−NR1011
(式中、R10及びR11は独立して、
(i)水素、
(ii)置換されていない又は1から6個のフルオロで置換された−C1〜6アルキル、
(iii)−C5〜6シクロアルキル、
(iv)ベンジル、
(v)フェニル、
(vi)−S(O)−C1〜6アルキル、
(vii)−S(O)−ベンジル、及び
(viii)−S(O)−フェニルから選択される。)
(i)−CONR1011、及び
(j)−NO
から独立に選択される1個又は複数個の置換基で置換されたフェニル、
(5)置換されていない、又は
(a)−C1〜6アルキル、
(b)−O−C1〜6アルキル、
(c)ハロ、
(d)ヒドロキシ、
(e)フェニル、
(f)トリフルオロメチル、
(g)−OCF
(h)−CO
(i)−NR1011、及び
(j)−CONR1011
から独立に選択される1個又は複数の置換基で置換された、
ベンゾイミダゾリル、ベンゾイミダゾロニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル(carbolinyl)、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル(indolazinyl)、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフタピリジニル(naphthpyridinyl)、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル(tetrazolopyridyl)、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロチエニルから選択される複素環並びにそれらのN−オキシド;
から成る群から選択され、
及びRは独立して、
(1)水素、
(2)置換されていない又はハロゲン、ヒドロキシ若しくはフェニルで置換された−C1〜6アルキル、
(3)置換されていない又はハロゲン、ヒドロキシ若しくはフェニルで置換されたC3〜7シクロアルキル、及び
(4)置換されていないフェニル、又は
(a)置換されてない、若しくは−NR1011で置換された−C1〜6アルキル、
(b)−O−C1〜6アルキル、
(c)ハロ、
(d)ヒドロキシ、
(e)トリフルオロメチル、
(f)−OCF
(g)−CO
(h)−NR1011
(i)−C(O)NR1011、及び
(j)−NO
から独立して選択された1個又は複数の置換基で置換されたフェニル、
(5)置換されていない、又は
(a)−C1〜6アルキル、
(b)−O−C1〜6アルキル、
(c)ハロ、
(d)ヒドロキシ、
(e)フェニル、
(f)トリフルオロメチル、
(g)−OCF
(h)−CO
(i)−NR1011、及び
(j)−CONR1011
から独立して選択された1個又は複数の置換基で置換された、
ベンゾイミダゾリル、ベンゾイミダゾロニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル(carbolinyl)、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル(indolazinyl)、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフタピリジニル(naphthpyridinyl)、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル(tetrazolopyridyl)、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロチエニルから選択された複素環並びにそれらのN−オキシド;
から成る群から選択され、
は独立して、
(1)水素、及び
(2)C1〜6アルキル;
から成る群から独立に選択され、
は、
(1)置換されていない、又はハロゲン、ヒドロキシ、フェニル若しくは複素環で置換された−C1〜6アルキル、
(2)置換されていない、又はハロゲン、ヒドロキシ若しくはフェニルで置換されたC3〜7シクロアルキル、及び
(3)置換されていないフェニル、又は
(a)−C1〜6アルキル、
(b)−O−C1〜6アルキル、
(c)ハロ、
(d)ヒドロキシ、
(e)トリフルオロメチル、
(f)−OCF
(g)−CO
(h)−CN、
(i)−NR1011
(j)−C(O)NR1011、及び
(k)−NO
から独立して選択された1個又は複数の置換基で置換されたフェニル、
(4)置換されていない、又は
(a)−C1〜6アルキル、
(b)−O−C1〜6アルキル、
(c)ハロ、
(d)ヒドロキシ、
(e)フェニル、
(f)トリフルオロメチル、
(g)−OCF
(h)−CO
(i)−NR1011、及び
(j)−CONR1011
から独立して選択された1個又は複数の置換基で置換された、
ベンゾイミダゾリル、ベンゾイミダゾロニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル(carbolinyl)、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル(indolazinyl)、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフタピリジニル(naphthpyridinyl)、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル(tetrazolopyridyl)、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロチエニルから選択された複素環並びにそれらのN−オキシド、から成る群から選択される。)
並びに薬剤として許容されるそれらの塩及びそれらの個々のジアステレオマー。
【請求項2】
式Iaの請求項1に記載の化合物
【化2】

並びに薬剤として許容されるそれらの塩及びそれらの個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項3】
式Ibの請求項1に記載の化合物
【化3】

並びに薬剤として許容されるそれらの塩及びそれらの個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項4】
式Icの請求項1に記載の化合物
【化4】

並びに薬剤として許容されるそれらの塩及びそれらの個々のエナンチオマー及びジアステレオマー。
【請求項5】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
がフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
がフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
が置換されていないか、又は、
(a)−C1〜6アルキル、
(b)−O−C1〜6アルキル、
(c)ハロ、
(d)ヒドロキシ、
(e)トリフルオロメチル、
(f)−OCF
(g)−CO−C1〜6アルキル、
(h)−CN、
(i)−NH
(j)−NH−C1〜6アルキル、
(k)−CONH、及び
(l)−CONH−C1〜6アルキルから独立して選択された1個若しくは複数の置換基で置換されたフェニルである請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が置換されていないか、又はハロ若しくは−CNで置換されたフェニルである請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
がフェニルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
がピリジルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
【化5】




から成る群から選択された化合物及び薬剤として許容されるそれらの塩。
【請求項15】
不活性担体及び請求項1の化合物を含む医薬品組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の化合物の有効量を投与することを含む、哺乳類における向代謝性グルタミン酸受容体活性の増強方法又は阻害方法。
【請求項17】
請求項1に記載の化合物と医薬品担体又は希釈剤を一緒にすることを含む、哺乳類における向代謝性グルタミン酸受容体活性を増強又は阻害するための薬剤の製造方法。
【請求項18】
請求項1に記載の化合物の治療有効量を患者に投与することを含む、グルタミン酸機能障害に関連した神経学的及び精神医学的障害の治療を必要とする哺乳類患者におけるグルタミン酸機能障害に関連した神経学的及び精神医学的障害の治療方法。
【請求項19】
請求項1に記載の化合物の治療有効量を患者に投与することを含む、統合失調症の治療を必要とする哺乳動物患者における統合失調症の治療方法。
【請求項20】
請求項1に記載の化合物の治療有効量を患者に投与することを含む、不安の治療を必要とする哺乳類患者における不安の治療方法。

【公表番号】特表2007−506741(P2007−506741A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528070(P2006−528070)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/030482
【国際公開番号】WO2005/030128
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】