説明

含ケイ素アルミナ担体、その調製法、ならびに、当該アルミナ担体を含む触媒

本発明は含ケイ素アルミナ担体、当該担体を調製するプロセス、そして当該担体を含む触媒に関する。本発明におけるアルミナ担体は、その表面に添加物のケイ素を濃縮された状態で含み、アルミナ担体の表面におけるケイ素のアルミニウムに対する原子比とアルミナ担体のそれとの差分は、少なくとも0.10である。含ケイ素アルミナ担体の調製プロセスは、超微細のケイ素化合物を加えるステップを含む。本発明のアルミナ担体を用いることで、優れた物理化学特性および性能を有する、炭化水素の水素化処理用触媒を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含ケイ素アルミナ担体、その調製方法、ならびに、当該担体を含む触媒(特に、炭化水素を水素化処理するための触媒)に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミナは、触媒のために一般的に使用される担体である。その表面特性(比表面積、表面酸量および表面酸強度)と細孔特性(例えば、平均の孔径および細孔分布)とは、それを含む触媒の性能に対して決定的な影響を与える。そして、アルミナ担体の特性を向上させるためには、それを、ケイ素、リン、ホウ素、チタンそしてジルコニウムを用いて変化させる。変化を生じさせるための作用物質の中で、最も広く用いられるのはケイ素である。ケイ素は、アルミナ担体の表面特性を変化させることが知られている。しかし、先行技術に従ってアルミナ担体にケイ素を導入すると、アルミナ担体の微細構造に悪影響を与える。例えば、アルミナ担体の細孔分布を拡散させてしまい、その結果として、表面特性に悪影響がもたらされるのである。
【0003】
アルミナ担体は一般に、炭化水素を水素化処理するための触媒において用いられる。炭化水素を水素化処理するための触媒における有効成分は、元素周期表の第6B族からの金属と第8族からの金属との酸化物である。触媒の性能を向上させるためのアプローチの1つとして、アルミナ担体を変化させる、というものがある。アルミナ担体にシリカ(二酸化ケイ素)を導入すると、アルミナ担体を含む触媒に対し、酸性度、金属の分散、そして細孔分布の点で重要な効果を有する、ということが知られている。具体的には、最小エネルギーの理論に従って、アルミナ担体に導入されたシリカは先ず、アルミナ表面の強い活性中心と相互作用し、そして、その強度を下げる。その結果、アルミナ担体と活性金属との間の相互作用は穏やかになる。そして、その結果、金属の分散状態はより良くなり、さらに高い活性を示すことになる。このように、炭化水素を水素化処理するための触媒を改良する方策の1つは、ケイ素でアルミナ担体を変化させることである。
【0004】
炭化水素を水素化処理するための触媒に導入されるケイ素について、その主要な源としてケイ酸塩またはケイ素ゾル(silicon sol)がある。ケイ素を導入するには、含アルミニウム化合物をケイ酸ナトリウム(または水ガラス)と共沈殿させて、含ケイ素アルミナを生じさせる。または、別の形として、水酸化アルミニウムまたはアルミナをケイ素ゾルと混合することで、含ケイ素アルミナ水酸化物を生じさせる。一般的に、触媒におけるシリカの含量は、重量で1〜10%である。
【0005】
米国特許:第4,758,544号には、共沈殿によって担体(すなわち、アルミナ−アルミニウムリン酸塩−シリカ)を調製し、担体にW−Ni−Fを与えることで触媒を作る、というプロセスが開示されている。元素のケイ素およびリンは、共沈殿によって担体に導入されるため、それらは必然的に、アルミナ担体のバルク内で分散することとなり、そのため、それらの有効性および効果は低減されることになる。加えて、アルミナ担体の中にケイ素とリンとが両方とも存在することが、アルミナ担体の微細構造に影響を及ぼし、それは、細孔分布が拡散する、あるいは、細孔容積および比表面積が小さくなる、という結果につながる。そうして、添加物(PおよびSi)の分散および効果が損なわれる。
【0006】
CN1048651Cには、ケイ素およびリンを含むアルミナ担体を硫酸アルミニウムおよびメタアルミン酸ナトリウムから沈殿によって調製する方法が開示されている。ケイ素の源がケイ酸ナトリウムであるため、このプロセスについても、上で述べたのと同様の問題が存在する。
米国特許:4,134,856号には、シリカを含むアルミナ担体を共沈殿によって調製するプロセスが開示されている。このプロセスに関しても、上で述べたのと同様の問題が存在する。特に、当該プロセスで調製されるアルミナ担体は、細孔分布が拡散し、比表面積および細孔容積が大きくなって、不定形となる。
【0007】
CN1030395Cには、担体または触媒を調製するプロセスが開示されており、そこでは、アルミナ担体または触媒を成形する手順の間に、ケイ素ゾルが水酸化アルミニウムに導入される。しかし、ケイ素ゾルは、その後に続く乾燥手順または仮焼手順において、アルミナ担体または触媒の孔を広げる形で作用する。したがって、得られるアルミナ担体または触媒は細孔分布が拡散することになり、これは触媒の性能に好ましくない影響を及ぼす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、従来技術において指示供給源のケイ素をアルミナ担体に導入する手順には、以下のような共通の問題がある。すなわち、アルミナ担体のバルクにおいてケイ素の含量が比較的大きく、その一方で、表面におけるそれは比較的小さくなっており、それが、担体の表面特性を変化させるケイ素の効果に悪影響を与える、ということである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従来技術の問題に対処するために、本発明は、含ケイ素アルミナ担体であって、当該アルミナ担体の表面では添加的なケイ素が濃縮(enrich)されている、という担体と、そうしたアルミナ担体を調製するプロセスと、そして、そうしたアルミナ担体から作られる炭化水素の水素化処理用の触媒と、を提供する。
【発明の効果】
【0010】
よって、本発明の第1の側面として、ここで提供する含ケイ素アルミナ担体は、γ−アルミナを主成分、シリカを添加物として含み、以下の点を特徴とする。すなわち、担体の重さを基準として、アルミナ担体は0.5〜10.0%のシリカを含み、添加的なケイ素はアルミナ担体の表面で濃縮されている。そして、表面におけるケイ素のアルミニウムに対する原子比と、アルミナ担体のケイ素のアルミニウムに対する平均原子比との差は、少なくとも0.10であり、通常は0.10〜0.25、そして好ましくは0.12〜0.20である。
【0011】
また、本発明の第2の側面として、以下に述べるステップを有する含ケイ素アルミナ担体調製プロセスを提供する。すなわち、水酸化アルミニウムまたはアルミナを、超微細のケイ素化合物を加えながら、混合および/または混練するステップと、peptizing用の酸を加えて全ての素材を混ぜ合わせ、可塑性の塊を形成するステップと、そして、その塊を成形加工し、乾燥および仮焼して、本発明の含ケイ素アルミナ担体を生成するステップと、を有するプロセスである。
【0012】
また、本発明の第3の側面として、本発明の含ケイ素アルミナ担体を水素化処理(例えば、炭化水素の水素化分解および水素化精製)用の触媒の製造に用いる用法を提供する。
また、本発明の第4の側面として、炭化水素を水素化処理するための触媒を提供する。当該触媒は、担体として、本発明の含ケイ素アルミナ担体を、そして、有効成分として、元素周期表における第6B族の金属および第8族の金属を有する、というものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明による含ケイ素アルミナ担体は、γ−アルミナを主成分、シリカを添加物として有しており、以下の点を特徴とする。すなわち、担体の全重量を基準として、アルミナ担体におけるシリカの含量は0.5〜10.0%、そして、好ましくは1.0〜7.0%であり、添加的なケイ素はアルミナ担体の表面で濃縮されている。そして、表面におけるケイ素のアルミニウムに対する原子比と、アルミナ担体のケイ素のアルミニウムに対する平均原子比との差は、少なくとも0.10であり、通常は0.10〜0.25、そして好ましくは0.12〜0.20である。本発明の含ケイ素アルミナ担体では、表面におけるケイ素のアルミニウムに対する原子比は、少なくとも0.15であり、通常は0.15〜0.30、そして好ましくは0.16〜0.25である。
【0014】
本発明の含ケイ素アルミナ担体は、0.55〜0.68ml/gの細孔容積、270〜320m2/gの比表面積、そして、6.5〜9.5nmの平均孔径を有し、3〜15nmのサイズを有する孔の容積が、アルミナ担体が有する孔の全容積の少なくとも90%、通常90〜95%を形作っている。
本発明による含ケイ素アルミナ担体は、任意に添加的なリン(リン五酸化物と推測される)を含み、その量は重量で0.3〜3.0%である。
【0015】
加えて、本発明による含ケイ素アルミナ担体は任意に、添加物としてチタン、ホウ素、ジルコニウムなどを含む。
本発明による場合、含ケイ素アルミナ担体の調製方法は以下に述べるステップを有する。すなわち、水酸化アルミニウムまたはアルミナを、超微細のケイ素化合物を加えながら、混合および/または混練するステップと、peptizing用の酸を加えて全ての素材を混ぜ合わせ、可塑性の塊を形成するステップと、そして、その塊を成形加工したうえで乾燥および仮焼して、本発明の含ケイ素アルミナ担体を生成するステップと、である。
【0016】
前記超微細のケイ素化合物は、以下に示す方法のうちの1つによって加えることができる。
(a)超微細のケイ素化合物を、アルミニウムを含んだ出発原料(すなわち、水酸化アルミニウムまたはアルミナ)と混合する、という方法;
(b)超微細のケイ素化合物を脱イオン水で湿らせてから、アルミニウムを含んだ出発原料に湿らせた化合物を加える、という方法;
(c)超微細のケイ素化合物をpeptizing用の酸溶液と混合して混合物を生成し、アルミニウムを含んだ出発原料に当該混合物を加える、という方法;
(d)孔の小さい水酸化アルミニウム、peptizing用の酸溶液、そして、超微細のケイ素化合物の全体または一部を混合してペプタイザを得てから、孔の大きい水酸化アルミニウムと当該ペプタイザとを混合する、という方法;そして、
(e)上記のステップ(a)、(b)、(c)および(d)のうち少なくとも2つのステップにおいて、超微細のケイ素化合物を、部分的に加える、という方法。
【0017】
本発明において用いられる超微細のケイ素化合物は、好ましくは、6〜100nmの粒径を有した、超微細のシリカである。アルミナ担体に加える超微細のシリカの量については、アルミナ担体の最終的な用途を考慮して決定することができる。たとえば、発明のプロセスによって得られるアルミナ担体は、重量で0.5〜40%(一般に0.5〜10%、好ましくは1.0〜7.0%)の割合のシリカを含む。
【0018】
アルミナ担体の調製プロセスの間にリンを加えることもできるが、その場合は、例えば、リンを含む水酸化アルミニウムの形で加える。リンを含んだ水酸化アルミニウムは、以下に示すステップを有するプロセスで調製することができる。すなわち、何らかの既知の中和プロセスによって、例えば、硫化アルミニウムとメタアルミン酸ナトリウムとの間の反応、あるいは、アルミニウム三塩化物とアンモニアとの間の反応から、水酸化アルミニウムを調製するステップと;水酸化アルミニウム沈殿物を濾過して、水酸化アルミニウムのケークを得るステップと;水酸化アルミニウムケークをスラリー化し、その結果得られたスラリーの温度を30〜90℃に維持しながら、当該スラリーにリンを含む化合物を加えるステップと;濾過および乾燥した上で乾燥後のスラリーを仮焼して、リンを含む水酸化アルミニウムを生じさせるステップと、である。リンを含む水酸化アルミニウムは通常、重量で0.3〜3.0%の割合の五酸化リンを含む。
【0019】
本発明の好適な実施の形態では、含ケイ素アルミナ担体は以下の手順で調製される:
・孔の細かい水酸化アルミニウム粉末および/または孔の大きい水酸化アルミニウム粉末を混合して混合物を作る;
・上記の混合物に対し、超微細のシリカを含むペプタイザを加える;あるいは、その代わりに、無機酸の水溶液および超微細のシリカを加えた上で、全ての素材を混合して可塑性の塊を作る;
・その塊を押し出し成形してペレットを作る;そして、
・ペレットを90〜150℃の温度で8〜16時間乾燥させ、その後、乾燥させたペレットを450〜650℃の温度で1〜6時間仮焼することで、本発明の含ケイ素アルミナ担体を作る。
【0020】
上記のプロセスに用いられる孔の大きい水酸化アルミニウムは、0.7〜1.1ml/gの細孔容積、6.0〜11.0nmの平均孔径、そして、300〜380m2/gの比表面積を有する。また、上記のプロセスに用いられる孔の細かい水酸化アルミニウムは、0.2〜0.6ml/gの細孔容積、2.0〜10.0nmの平均孔径、そして、200〜300m2/gの比表面積を有する。本発明のプロセスにおいて、孔の大きい水酸化アルミニウムの孔の細かい水酸化アルミニウムに対する重量混合比は、1:1から1:5までの値である。一方で混合に用いられる孔の大きい水酸化アルミニウムおよび孔の細かい水酸化アルミニウムの総重量と、他方でペプタイザの調製に用いられる孔の大きい水酸化アルミニウムおよび孔の細かい水酸化アルミニウムの総重量との間の比率は、5:1から25:1の値である。
【0021】
含ケイ素アルミナ担体の調製に従来用いられていたプロセスとは異なり、本発明のプロセスでは、新しいケイ素源を用いると共に、それを加える際の方法もユニークなものとなっている。それによって、アルミナ担体の表面において、ケイ素は濃縮されていると共に、均一に分布することになる。その結果、アルミナ担体の表面特性は改良され、最終的な触媒においては、活性金属とアルミナ担体との間の相互作用に有効な影響を及ぼす。具体的には、本発明のプロセスは以下に述べる効果を有する:
(1)従来技術のプロセスと比較して、操作が単純および簡単であって、新たなステップが追加されることもない;
(2)微細構造にほとんど変化のないアルミナ担体を作ることができ、そのため、担体の細孔径分布が均一となる;そのため、アルミナ担体の特性に対して有効な制御が行える;アルミナ担体の先駆物質を選択する際の幅が広がり(例:擬ベーマイト)、超微細のシリカの良好な安定性、高い分散度、そして粒径の細かさのおかげで、コストも下がることになる;
(3)表面においてケイ素が濃縮され、しかも均一に分布している、というアルミナ担体を作ることができる;よって、アルミナ担体の表面特性を効果的に改良することができるが、それは、アルミナまたは水酸化アルミニウムがすでに形成された後に超微細のシリカが加えられる、というプロセスのおかげである;
(4)触媒の調合に使用される場合、活性金属とアルミナ担体との相互作用の向上と、それによる表面での活性中心の増加とを示す、という担体を作ることができる;そして、
(5)ケイ素およびリンを含むアルミナ担体を調製する好適な実施の形態においては、ケイ素とリンとの両方を担体に導入することで孔径が拡散する、という従来技術の問題を克服することができる。これは、追加のリンが超微細のケイ素化合物より前に導入される、というプロセスだからである。
【0022】
本発明のプロセスにおけるケイ素の追加方法に関する思想は、その他の添加物を追加する場合にも当てはまる。そうした添加物の例としては、チタン、ホウ素、ジルコニウム、そして、リンがあり、それらは例えば、チタンを含む超微細の化合物、ホウ素を含む超微細の化合物、ジルコニウムを含む超微細の化合物、そして、リンを含む超微細の化合物、という形を取る。そうして、1つ以上の添加物を含んだアルミナ担体が調製される。
【0023】
本発明による含ケイ素アルミナ担体は、炭化水素(例:石油系炭化水素)を水素化処理するための触媒を作るのに用いることができ、その触媒とは、例えば、炭化水素を水素化分解または水素化精製するための触媒である。
本発明による炭化水素の水素化処理用の触媒は、担体として本発明の含ケイ素アルミナ担体を、有効成分として、元素周期表の第8族からの金属と第6B族からの金属とを含み、そして、必須ではないが、添加的なリンを含む。本発明による炭化水素の水素化処理用の触媒では、第6B族からの金属については、タングステンおよび/またはモリブデンとするのが好ましく、第8族からの金属については、ニッケルおよび/またはコバルトとするのが好ましい。完成した触媒は、重量による割合で、第6B族の金属(例:Wおよび/またはMo)の酸化物を18.0〜28.0%、第8族の金属(例:Niおよび/またはCo)の酸化物を2.0〜6.0%、そして、シリカを0.3〜7.0%含み、バランスはアルミナ担体となっている。好ましい実施の形態では、完成した触媒は0.5〜8.0%のリン五酸化物を含む。
【0024】
本発明による触媒は150〜200m2/gの比表面積、そして、0.30〜0.40ml/g(好ましくは、0.32〜0.38ml/g)の細孔容積を有し、触媒の孔の全容積の少なくとも90%(好ましくは、92〜96%)を3〜15nmのサイズの孔の容積が占めている。表面におけるケイ素のアルミニウムに対する原子比として、本触媒は、少なくとも0.15(好ましくは、0.15〜0.25)の値を有する。触媒表面におけるケイ素のアルミニウムに対する原子比と、触媒におけるケイ素のアルミニウムに対する平均原子比との差分は0.10〜0.20である。
【0025】
本発明による炭化水素の水素化処理用の触媒は、以下に示すステップを有するプロセスによって調製することができる。すなわち、公知の方法によって、含ケイ素アルミナ担体に有効金属(例えば、モリブデンおよびニッケル)と、そして必須ではないが、リンとを含む溶液をしみ込ませるステップと、そのアルミナ担体を90〜150℃の温度で1〜5時間の間乾燥させるステップと、そして、乾燥したアルミナ担体を430〜550℃の温度で1〜5時間にわたって仮焼することで、本発明による炭化水素の水素化処理用の完成品の触媒を作るステップと、を有するプロセスである。
【0026】
本発明による炭化水素の水素化処理用の触媒に見られる活性は、かなり向上しており、例えば、従来技術の触媒に比べると、hydro - denitrogenizingの活性は20%高くなっている。
・分析および特性
本発明のアルミナ担体および触媒に関する測定は以下のように行われる:
シリカの含量については測色法を用いる;
孔構造については、自動式の物理的吸収機器(アメリカ合衆国ジョージア州のMicromeritics Instrument Co.から入手できるModel ASAP 2400)を用いて吸窒法を実行する;
酸の酸性度および分布状態については、NH3−TG−TPD技術(アンモニアの昇温脱離および真空下での吸収)を用いる;
酸化状態での触媒のバルクにおける元素の分布状態については、JSW−6310Fの冷陰極電界放出型走査電子顕微鏡を使って観察する;
担体または触媒の表面におけるケイ素のアルミニウムに対する原子比については、以下に挙げる方法を用いる:サンプルの測定には、X線光電子分光測定法(XPS)を用いる。一方、アルミナ担体におけるケイ素のアルミニウムに対する平均原子比は、アルミナまたは触媒の含量に対するシリカの含量から算出する。
【0027】
表面における原子比とアルミナ担体または触媒におけるケイ素およびアルミニウムの平均原子比との差分は、ΔSi/Alで表される(原子比が意味するのは、ケイ素の原子数とアルミニウムとの原子数との比である)。
以下に示す例は、本発明をさらに詳しく説明することを意図したものであり、決して本発明を限定するものではない。
【0028】
(例1)
先ず、以下のものを充分に混合して混合物を作った:188.0gの孔の大きな水酸化アルミニウム粉末(細孔容積は0.825ml/g、平均の孔径は9.4nm、そして、比表面積は350m2/g)であって、硫酸アルミニウムでメタケイ酸ナトリウム(sodium meta-silicate)を中和することで調製したもの;266.0gの孔の小さい水酸化アルミニウム粉末(細孔容積は0.458ml/g、平均の孔径は8.0nm、そして、比表面積は228m2/g);完成時のアルミナ担体の総重量を基本として、4.0%の超微細シリカ(平均粒径は30nm);そして、75.0gの脱イオン水および8gのクエン酸。次いで、その混合物に対し、26.0gの40%硝酸溶液と325.0gの脱イオン水とを加えた。その後、この混合物を混練して可塑性の塊を作ってから、この塊を押出成形処理してペレット化した。そのペレットを110℃で8時間乾燥させてから、500℃で4時間仮焼すると、表1にまとめた通りの特性を備えたサンプル1が得られた。
【0029】
(例2)
超微細のシリカの含量を、4.0%ではなく6.2%(平均の粒径15nm)とした。それ以外の点では例1の繰り返しである。
(例3)
超微細のシリカの含量を、4.0%ではなく2.3%(平均の粒径45nm)とした。それ以外の点では例1の繰り返しである。
【0030】
(例4)
超微細のシリカの含量を8.5%とし、仮焼の温度を550℃とした。それ以外の点では例1の繰り返しである。
(例5)
仮焼の温度を580℃とした。それ以外の点では例1の繰り返しである。
【0031】
(例6)
超微細のシリカについては、先ず硝酸溶液と混合し、その後、孔の大きい水酸化アルミニウムおよび孔の小さい水酸化アルミニウムに加えた。それ以外の点では例1の繰り返しである。
(例7)
超微細のシリカの含量を5.5%とした。さらに、シリカと、孔の小さい水酸化アルミニウム粉末の10%と、硝酸溶液とを混合してペプタイザを形成し、その後、当該ペプタイザを孔の大きな水酸化アルミニウムおよび孔の小さい水酸化アルミニウムの残り部分と混合した。それ以外の点では例1の繰り返しである。
【0032】
(例8)
超微細のシリカの含量を3.0%とした。さらに、シリカを2等分した上で、そのうちの一方を脱イオン水で湿らせてから水酸化アルミニウムに加え、もう一方は、孔の小さい水酸化アルミニウム粉末の5%および硝酸溶液と混合してペプタイザを形成してから、水酸化アルミニウムに加えた。それ以外の点では例1の繰り返しである。
【0033】
(比較例1)
超微細のシリカの代わりに20%のシリカを含む85.0gのケイ素ゾルを、325gの水の代わりに340gの水を使用した。それ以外の点では例1の繰り返しである。
(比較例2)
孔の大きい水酸化アルミニウムの代わりに、孔の大きな含ケイ素水酸化アルミニウム粉末(アルミニウム三塩化物、アンモニアおよびケイ酸ナトリウムから沈殿によって調製され、5.2%のシリカ含量を有するもの)を使用し、超微細のシリカは使用せず、水は400g使用した。それ以外の点では例1の繰り返しである。
【0034】
(比較例3)
ケイ素ゾルを130.0g使用した。それ以外の点では例1の繰り返しである。
(例9)
・ステップ1
清潔な容器に脱イオン水を1200ml加えた。その水を65℃まで加熱した。撹拌した水を65℃、そしてpH8.5に維持して、そこに、1.35の比重を有するメタケイ酸ナトリウムの水溶液を30ml/分のペースで、1.15の比重を有する硫酸アルミニウムの水溶液を65ml/分のペースで、90分にわたり同時に加えた。
・ステップ2
上記の処理が完了すると、反応システムを上記の温度およびpHに保って、90分の時間を置く。そして、内容物を濾過すると、フィルターケークが得られた。そのケークを脱イオン水の中でスラリー処理し、さらに、5回にわたってaqueous炭酸ナトリウム溶液および/またはアンモニアで洗浄した。そして最終的に、アルミナ担体のNa+含量は0.05mol%を下回り、SO42-含量は1.2mol%を下回り、そして、Fe3+含量は0.08%を下回った。
・ステップ3
当該ケークを、脱イオン水に85mol%のリン酸を42g入れた2.5リットルの溶液に加えてから、システムを40分間、65℃でスラリー処理した。その後、濾過を行うと、含リン水酸化アルミニウムのケークが得られた。
・ステップ4
ステップ3で得られたケークを、120℃で8時間乾燥させると、さらなる処理を行わなくても、次のステップで用いることができた。
・ステップ5
ステップ4までに得られた含リン水酸化アルミニウムを142g、上で述べたような、孔の小さい水酸化アルミニウムを252g、超微細のシリカ(平均粒径30nm)を7.5g、そして、90gの脱イオン水を充分に混ぜ合わせて、混合物を作った。その混合物に、24gの40%硝酸溶液と340gの脱イオン水とから成る溶液を加えた。そこから、混合物を混練して可塑性の塊を形成し、さらに形成処理を施してペレットを作った。そのペレットを120℃で8時間乾燥させ、さらに500℃で4時間仮焼処理するとアルミナ担体が得られた。その特性は表2に示す通りである。
【0035】
(例10)
・ステップ1
例9におけるステップ1、2と同じである。
・ステップ2
例9のステップ3とほぼ同じであるが、42.0gの85mol%リン酸の代わりに、56gの85mol%リン酸を用いた。
・ステップ3
例9のステップ4、5と同じである。
【0036】
生成物は、表2に示す特性を有するものとなった。
(例11)
・ステップ1
例9のステップ1、2と同じである。
・ステップ2
例9のステップ3とほぼ同じであるが、42.0gの85mol%リン酸の代わりに、75gの85mol%リン酸を用いた。
・ステップ3
例9のステップ4、5と同じである。
【0037】
生成物は、表2に示す特性を有するものとなった。
(例12)
・ステップ1
例9のステップ1〜4と同じである。
・ステップ2
例9のステップ5とほぼ同じであるが、ペレットを550℃で4時間仮焼処理した点で異なる。
【0038】
生成物は、表2に示す特性を有するものとなった。
(例13)
・ステップ1
例9のステップ1〜4と同じである。
・ステップ2
例9のステップ5とほぼ同じであるが、ペレットを600℃で3時間仮焼した点で異なる。
【0039】
生成物は、表2に示す特性を有するものとなった。
(例14)
超微細のシリカ(平均粒径20nm)を13g用い、これを硝酸溶液と混ぜ合わせた。そして、その混合物を、孔の大きい水酸化アルミニウムおよび孔の小さい水酸化アルミニウムに加えた。それ以外の点では例9の繰り返しである。
【0040】
(例15)
超微細のシリカ(平均粒径45nm)を20g用いて、これを孔の小さい水酸化アルミニウムのうち10%および硝酸溶液と混ぜ合わせてペプタイザを形成し、このペプタイザを、孔の大きい水酸化アルミニウムおよび孔の小さい水酸化アルミニウムに加えた。それ以外の点では例9の繰り返しである。
【0041】
(例16)
以下の点を除いて例9の繰り返しである。すなわち本例では、超微細のシリカを25g用い、その超微細のシリカを2等分したうえで、その一方は、脱イオン水によって湿らせたうえで水酸化アルミニウムに加え、もう一方は、孔の小さい水酸化アルミニウムのうち5%および硝酸溶液と混ぜ合わせてペプタイザを形成し、その後、水酸化アルミニウムに加えた。
【0042】
(比較例4)
以下の点を除いて例9の繰り返しである。すなわち本例では、ステップ5において、超微細のシリカの代わりに95gの20%シリカゾルを用い、また、390gの脱イオン水を使用し、さらに、添加的なリンは共沈殿によって導入した(USP:4,758,544号に開示された方法と同様)。
【0043】
(例17)
例1、2、3、7、9、12、14、15および比較例2、4のそれぞれから得られる100gのアルミナについて、38g/100mlのMoO3、7.2g/100mlのNiO、そして3.0g/100mlのPを含む250mlの溶液を2.0時間にわたって含浸させたうえで、これを110℃で4時間乾燥させ、さらに500℃で4時間仮焼して水素化処理用の触媒C1〜C10を作った(ただし、例9、12、14、15および比較例4から得られるリンを含むアルミナ担体の場合、浸すための溶液におけるPの含量は2.0g/100mlであった)。触媒の構成および特性は、表3にまとめた通りである。酸化状態での触媒のバルクにおける元素の分布状態は、電子顕微鏡検査法を用いて観察し、その結果を表4にまとめた。
【0044】
表3からは、触媒におけるシリカの総含量が1.7〜5.0%である場合、表面におけるアルミニウムに対するケイ素の比率が高くなり、おおよそ0.16〜0.20の値となったことが分かる。言い換えると、ケイ素が触媒の表面で濃縮されたということであり、表面におけるケイ素のアルミニウムに対する原子比と、ケイ素のアルミニウムに対する平均原子比との差は少なくとも0.10となって、従来技術のそれよりも高くなった。それに加えて、表4にまとめた、酸化状態での触媒のバルクにおける元素分布状態の電子顕微鏡検査法による観察結果からは、触媒のペレットは、径方向に見た場合、内側から外側に向かっての元素の勾配が小さい、ということが分かる。さらに、本発明に従って導入された超微細のシリカが、元素分布の均一化および表面特性の均一化を促進した、という事実が見て取れる。
【0045】
(例18)
例17で得られた触媒の評価を行った。
評価に先立って、触媒は1.8%の二硫化炭素を含んだ灯油で事前に硫化させておいた。その際の条件は、水素分圧が13.7MPa、容積空間速度(volume space velocity)が1.2h-1、そして、水素/油の容積比が1200:1であった。この事前の硫化は、230℃で8時間、360℃で4時間にわたって進行させた。
【0046】
事前の硫化に続き、この触媒を用いてイラン製のVGO油(1.1%の硫黄、0.12%の窒素、そして、42.8%の芳香族を含むもの)を処理した。その際の反応条件は、水素分圧が14.7MPa、容積空間速度が1.0h-1、そして、水素/油の容積比が1000:1であった。その結果を表5にまとめた。
【0047】
【表1】

【0048】
表1:例1〜8および比較例1〜3の担体が有する物理化学特性
(注):
1.PV:細孔容積
2.SSA:比表面積
3.APS:平均孔径
4.ROP3〜15nm:全ての孔の容積に対する、3〜15nmのサイズを有する孔の容積の比率
5.TA:総酸性度
6.TC−SiO2:SiO2の総量
7.A−Si/Al:ケイ素のアルミニウムに対する平均原子比
8.Sur−Si/Al:表面におけるケイ素のアルミニウムに対する原子比
9.ΔSi/Al:表面におけるケイ素のアルミニウムに対する原子比とケイ素
のアルミニウムに対する平均原子比との差分
10.1C:比較例1(その他の比較例も同様)
【0049】
【表2】

【0050】
表2:例9〜16および比較例4の担体が有する物理化学特性
【0051】
【表3】

【0052】
表3:例17の触媒が有する構造および特性
【0053】
【表4】

【0054】
表4:酸化状態にある触媒のバルクにおける元素分布状態を
電子顕微鏡検査法で観察した結果(*)

(*)酸化状態での元素の含量は、酸化状態における触媒の元素の総質量に対する、触媒のバルクの断面におけるマイクロエリアでの元素の質量のパーセンテージとして定義した。
【0055】
【表5】

【0056】
表5:触媒の評価

(例19、例20)
超微細のシリカの量を増やし、含ケイ素アルミナ担体におけるシリカの含量を10%および15%とした。それ以外の点では例1の繰り返しである。当該アルミナ担体の特性は表6にまとめてある。
【0057】
(比較例5、比較例6)
ケイ素ゾルの量を増やし、含ケイ素アルミナ担体におけるシリカの含量を10%および15%とした。それ以外の点では比較例1の繰り返しである。当該アルミナ担体の特性は表6にまとめてある。
【0058】
【表6】

【0059】
表6:例19、20および比較例5、6のアルミナ担体が有する物理化学特性

【特許請求の範囲】
【請求項1】
含ケイ素アルミナ担体であって、特徴となるのは、
担体の重量を基準として、アルミナ担体が0.5〜10.0%のシリカを含むこと、そして、
アルミナ担体の表面におけるケイ素のアルミニウムに対する原子比とアルミナ担体のケイ素のアルミニウムに対する平均原子比との差分は、少なくとも0.10となること、である、
という前記アルミナ担体。
【請求項2】
アルミナ担体の表面におけるケイ素のアルミニウムに対する原子比とアルミナ担体のケイ素のアルミニウムに対する平均原子比との差分は、0.10〜0.25であること、
を特徴とする請求項1に記載のアルミナ担体。
【請求項3】
アルミナ担体の表面におけるケイ素のアルミニウムに対する原子比とアルミナ担体のケイ素のアルミニウムに対する平均原子比との差分は、0.12〜0.20であること、
を特徴とする請求項1に記載のアルミナ担体。
【請求項4】
担体の重量を基準として、アルミナ担体は1.0〜7.0%のシリカを含むこと、
を特徴とする請求項1に記載のアルミナ担体。
【請求項5】
アルミナ担体の表面におけるケイ素のアルミニウムに対する原子比は、少なくとも0.15であること、
を特徴とする請求項1に記載のアルミナ担体。
【請求項6】
アルミナ担体の表面におけるケイ素のアルミニウムに対する原子比は、0.15〜0.30であること、
を特徴とする請求項5に記載のアルミナ担体。
【請求項7】
担体は、270〜320m2/gの比表面積、そして、0.55〜0.68ml/gの細孔容積を有し、3〜15nmのサイズを有する孔の容積が、担体の有する孔の総容積の少なくとも90%を占めること、
を特徴とする請求項1に記載のアルミナ担体。
【請求項8】
3〜15nmのサイズを有する孔の容積は、担体の孔の全容積の90〜96%を占めること、
を特徴とする請求項7に記載のアルミナ担体。
【請求項9】
含ケイ素アルミナ担体の調製プロセスであって、
超微細のケイ素化合物を加えながら、水酸化アルミニウムまたはアルミナを混合および/または混練するステップと、
peptizing酸を加え、全ての素材を混合して可塑性の塊を形成するステップと、
塊を成形処理し、さらに、それを乾燥および仮焼することで、含ケイ素アルミナ担体を作るステップと、を有し、
前記超微細のケイ素化合物を加える際の量は、アルミナ担体の有するシリカが担体の重量を基準として0.5〜40.0%の割合となるような量であること、
を特徴とする前記プロセス。
【請求項10】
前記超微細のケイ素化合物とは、6〜100nmの粒径を有する超微細のシリカであること、
を特徴とする請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
担体は、重量を基準として0.5〜10%のシリカを含むこと、
を特徴とする請求項9に記載のプロセス。
【請求項12】
前記水酸化アルミニウムは含リン水酸化アルミニウムであって、重量を基準として0.3〜3.0%のリン五酸化物を含んでおり、その調製方法は、水酸化アルミニウム沈殿物をスラリー処理するステップと、それにリン化合物を加えるステップと、スラリーを30〜90℃の温度に維持するステップと、スラリーを濾過および乾燥させた後に、乾燥したスラリーを仮焼して、含リン水酸化アルミニウムを得るステップと、を有すること、
を特徴とする請求項9に記載のプロセス。
【請求項13】
超微細のケイ素化合物は、以下に挙げる方法のいずれか1つによって加えられ、それら方法とは、
(a)超微細のケイ素化合物とアルミニウムを含む出発原料とを混合する、という方法、
(b)超微細のケイ素化合物を脱イオン水で湿らせてから、アルミニウムを含む出発原料にこの湿らせた化合物を加える、という方法、
(c)超微細のケイ素化合物をpeptizing酸溶液と混合して混合物を作り、アルミニウムを含む出発原料に当該混合物を加える、という方法、
(d)孔の細かい水酸化アルミニウムの全部または部分と、peptizing酸溶液と、超微細のケイ素化合物とを混合してペプタイザを生成し、当該ペプタイザを孔の大きい水酸化アルミニウムと混合する、という方法、そして、
(e)超微細のケイ素化合物を、部分で、ステップ(a)、(b)、(c)、(d)のうち少なくとも2つのステップにおいて加える、という方法、であること、
を特徴とする請求項9に記載のプロセス。
【請求項14】
孔の大きな水酸化アルミニウムは、0.7〜1.1ml/gの細孔容積、6.0〜11.0nmの平均孔径、そして、300〜380m2/gの比表面積を有し、
孔の小さい水酸化アルミニウムは、0.2〜0.6ml/gの細孔容積、2.0〜10.0nmの平均孔径、そして、200〜300m2/gの比表面積を有し、
大きい水酸化アルミニウムの孔の小さい水酸化アルミニウムに対する混合比は、重量を基準として1:1から1:5の値となり、
一方で混合に用いられる孔の大きい水酸化アルミニウムの総重量と孔の小さい水酸化アルミニウムとの間の比率、そして、他方でペプタイザの調製に用いられる孔の大きな水酸化アルミニウムと孔の小さい水酸化アルミニウムとのそれは、5:1から25:1の値であること、
を特徴とする請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記の乾燥処理は90〜150℃で8〜16時間、前記仮焼処理は450〜650℃で1〜6時間、進行させられること、
を特徴とする請求項9に記載のプロセス。
【請求項16】
チタン、ホウ素、ジルコニウム、そしてリンから成るグループから選択された1つ以上の添加物を、アルミナまたは偽ベーマイトと超微細の添加物の源とを混合する形で担体に導入し、その添加物の源は、超微細の含チタン化合物、超微細の含ホウ素化合物、超微細の含ジルコニウム化合物、そして、超微細の含リン化合物から成るグループから選択されること、
を特徴とする請求項9に記載のプロセス。
【請求項17】
請求項1に記載のアルミナ担体を触媒の製造に用いる用法。
【請求項18】
触媒は、炭化水素を水素化処理するための触媒であること、
を特徴とする請求項17に記載の用法。
【請求項19】
炭化水素を水素化処理するための触媒であって、
担体として、請求項1に記載の含ケイ素アルミナ担体を有し、
有効成分として、元素周期表の第6B族からの金属および第8族からの金属を有すること、
を特徴とする前記触媒。
【請求項20】
触媒は、触媒の重量を基準として0.3〜7.0%のシリカを含み、表面におけるケイ素のアルミニウムに対する原子比として少なくと0.15の値を有し、
細孔容積は0.30〜0.40ml/gであって、3〜15nmのサイズを有する孔の容積が、触媒の孔の全容積の少なくとも90%を占めること、
を特徴とする請求項19に記載の触媒。
【請求項21】
表面におけるケイ素のアルミニウムに対する原子比として、0.15〜0.25の値を有すること、
を特徴とする請求項19に記載の触媒。
【請求項22】
触媒の表面におけるケイ素のアルミニウムに対する原子比と触媒のケイ素のアルミニウムに対する平均原子比との差分は、0.10〜0.20の値であること、
を特徴とする請求項20に記載の触媒。
【請求項23】
触媒はさらに、添加物のリンを含むこと、
を特徴とする請求項19に記載の触媒。
【請求項24】
触媒は、第6B族からの金属としてタングステンおよび/またはモリブデンの酸化物を、触媒の重量を基準として18.0〜28.0%、さらに、第8族からの金属としてニッケルおよび/またはコバルトの酸化物を2.0〜6.0%、そして、0.5〜8.0%のリン五酸化物を有すること、
を特徴とする請求項19に記載の触媒。
【請求項25】
150〜200m2/gの比表面積、0.32〜0.38ml/gの細孔容積を有し、3〜15nmのサイズを有する孔の容積は、触媒の孔の総容積の少なくとも92〜96%を占めること、
を特徴とする請求項19に記載の触媒。

【公表番号】特表2006−502858(P2006−502858A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−545680(P2004−545680)
【出願日】平成15年9月29日(2003.9.29)
【国際出願番号】PCT/CN2003/000839
【国際公開番号】WO2004/037408
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(504144932)中国石油化工股▲分▼有限公司 (5)
【出願人】(505131533)中国石油化工股▲分▼有限公司 撫順石油化工研究院 (2)
【Fターム(参考)】