説明

含ハロゲンカルバマート基とアシル基を有するエチレンジアミン誘導体の製造方法、及びそれらの製造中間体

【課題】エチレンジアミン誘導体の工業的生産に有利な方法を提供すること。
【解決手段】ハロゲン置換されたカルバマート基を有するアミノニトリルを酸存在下にて接触水素化反応を行った後に、アシル化を行うことにより含ハロゲンカルバマート基とアシル基を有するエチレンジアミン誘導体を得る。更に、アミノ酸アミドを水存在下で含ハロゲンカルバマート化行い、次いでビルスマイヤー試薬のような脱酸素剤と反応させることにより、収率良く原料のアミノニトリルを調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の属する分野は、含ハロゲンカルバマート基とアシル基を有するエチレンジアミン誘導体に関する製造法、及びそれらの製造中間体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
含ハロゲンカルバマート基とアシル基を有するエチレンジアミン誘導体は、特許文献1に示されるように殺菌剤として有用であることが知られている。こうした化合物群を製造する際には、製造中間体であるカルバマート基を有するエチレンジアミン誘導体を効率良く調製することが非常に重要である。
【0003】
カルバマート基を有するエチレンジアミン誘導体に関して、従来の製造技術を例示すると、(I)含カルバマートアミノアルコールを、フタルイミド、トリフェニルホスフィン、及びジエチルアゾジカルボキシラートを用いてフタルイミド付加体に変換した後に、ヒドラジンにて脱保護を行う方法や(非特許文献1)、(II)含カルバマートアミノニトリルを、アンモニアで飽和したエタノール溶媒中、ラネーニッケル存在下で接触水素化を行う方法(非特許文献2)等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2005042474
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】テトラへドロン アシメトリー 第11巻 、1907〜1910頁、2000年発行(Tetrahedron:Asymmetry,Vol.11,pp.1907〜1910,2000.)
【非特許文献2】シンセティック コミュニケーションズ 第24巻 第12号 1767〜1772頁 1994年発行(Synthetic Communications,Vol.24,No.12,pp.1767〜1772, 1994.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1に記載の上記(I)の方法は、複数かつ大量の反応副生物が産出することや安全性上問題のあるジエチルアゾジカルボキシラートやヒドラジンを使用するために、工業用プロセスに適するとはいい難い。
一方、非特許文献2に記載の上記(II)の方法は、収率も優れており、工業的製造方法にも優位なものである。しかし、上記(II)の方法を、例えば、2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニルアミノニトリル誘導体のような、ハロゲン置換されたカルバマート基を有するアミノニトリルに応用すると、目的とする還元反応は進行せず、カルバマート基がウレイド基に変換された化合物が得られてしまうことが本発明者らの検討により明らかとなった。
つまり、ハロゲン置換されたカルバマート基は、通常の炭化水素系のカルバマート基に比べて反応性に富むために、従来技術を応用することは極めて困難であることが判明した。この際立った反応性はニトリルの還元反応のみならず、ハロゲン置換されたカルバマート基を有する化合物群を調製する際には、共通の問題点となることも明らかとなった。そのため、効率のよい製造法は製造中間体ごとに開発する必要がある。
【0007】
本発明は、含ハロゲンカルバマート基とアシル基を有するエチレンジアミン誘導体を効率的に製造するという新規な課題を解決するものであり、エチレンジアミン誘導体の工業的生産に有利な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討を行った結果、ハロゲン置換されたカルバマート基を有するアミノニトリルを酸存在下にて接触水素化反応を行った後に、アシル化を行うことが、前記課題の有効な解決策であることを見出した。さらに、アミノ酸アミドを水存在下で含ハロゲンカルバマート化を行い、次いでVilsmeier試薬のような脱酸素剤と反応させることにより、収率良く原料のアミノニトリルを調製することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は以下のとおりである。
[1] 一般式(1)
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、R1は少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基、もしくは少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、R2は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリール基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアリールアルキル基、置換されてもよいヘテロアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリールアルキル基を表し、また、R3とR4とが結合し炭素原子数3〜6の環構造を形成してもよく、或いは、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい。)で表される化合物を酸存在下で接触水素化反応を行うことにより、一般式(2)
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、R1、R2、R3およびR4は前記の通り。)で表される化合物に変換し、次いで、一般式(3)
【0014】
【化3】

【0015】
(式中、R5は置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアリールアルキル基、置換されてもよいヘテロアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリールアルキル基を表し、Xは脱離基を表す。)で表される化合物と反応させることにより、一般式(4)
【0016】
【化4】

【0017】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は前記の通り。)で表される化合物を製造する方法。
[2] 上記[1]において、一般式(1)で表される化合物が、一般式(5)
【0018】
【化5】

【0019】
(式中、R1、R2、R3およびR4は前記の通り。)で表される化合物を脱酸素剤と反応させることにより得られることを特徴とする、[1]に記載の製造方法。
[3] 上記[2]において、一般式(5)で表される化合物が、一般式(6)
【0020】
【化6】

【0021】
(式中、R2、R3およびR4は前記の通り。)で表される化合物と一般式(7)
【0022】
【化7】

【0023】
(式中、R1は前記の通りであり、Yはハロゲン原子を表す。)で表される化合物を水存在下で反応させることにより得られることを特徴とする、[2]に記載の製造方法。
[4] 式中、R1は少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基を表し、R2は水素、もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいアリールアルキル基を表し、また、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよく、或いは、R5は置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリール基を表す、[1]に記載の製造方法。
[5] 式中、R1は少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基を表し、R2は水素、もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいアリールアルキル基を表し、また、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよく、或いは、R5は置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリール基を表す、[2]に記載の製造方法。
[6] 式中、R1は少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基を表し、R2は水素、もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいアリールアルキル基を表し、また、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよく、或いは、R5は置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリール基を表す、[3]に記載の製造方法。
[7] 式中、R1が少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基である[4]に記載の製造方法。
[8] 式中、R1が少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基である[5]に記載の製造方法。
[9] 式中、R1が少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基である[6]に記載の製造方法。
[10] 一般式(1)
【0024】
【化8】

【0025】
(式中、R1、R2、R3およびR4は[1]に記載の通り。)で表される化合物を酸存在下で接触水素化反応を行うことにより、一般式(2)
【0026】
【化9】

【0027】
(式中、R1、R2、R3およびR4は[1]に記載の通り。)で表される化合物に変換する製造方法。
[11] 式中、R1は少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基を表し、R2は水素、もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいアリールアルキル基を表し、また、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい、[10]に記載の製造方法。
[12] 式中、R1が少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基である[11]に記載の製造方法。
[13] 一般式(5)
【0028】
【化10】

【0029】
(式中、R1、R2、R3およびR4は[2]に記載の通り。)で表される化合物を脱酸素剤と反応させることにより、一般式(1)
【0030】
【化11】

【0031】
(式中、R1、R2、R3およびR4は[2]に記載の通り。)で表される化合物に変換する製造方法。
[14] 式中、R1は少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基を表し、R2は水素、もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいアリールアルキル基を表し、また、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい、[13]に記載の製造方法。
[15] 式中、R1が少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基である[14]に記載の製造方法。
[16] 一般式(6)
【0032】
【化12】

【0033】
(式中、R2、R3およびR4は[3]に記載の通り。)で表される化合物と一般式(7)
【0034】
【化13】

【0035】
(式中、R1およびYは[3]に記載の通り。)で表される化合物を水存在下で反応させることにより、一般式(5)
【0036】
【化14】

【0037】
(式中、R1、R2、R3およびR4は[3]に記載の通り。)で表される化合物に変換する製造方法。
[17] 式中、R1は少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基を表し、R2は水素、もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいアリールアルキル基を表し、また、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい、[16]に記載の製造方法。
[18] 式中、R1が少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基である[17]に記載の製造方法。
[19] 一般式(2)
【0038】
【化15】

【0039】
(式中、R1は、少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基、もしくは少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、R2は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリール基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアリールアルキル基、置換されてもよいヘテロアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリールアルキル基を表し、また、R3とR4とが結合し炭素原子数3〜6の環構造を形成してもよく、或いは、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい。)で表される化合物。
[20] 式中、R1は少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基を表し、R2は水素、もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいアリールアルキル基を表し、また、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい、[19]に記載の化合物。
[21] 一般式(1)
【0040】
【化16】

【0041】
(式中、R1は、少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基、もしくは少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、R2は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリール基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアリールアルキル基、置換されてもよいヘテロアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリールアルキル基を表し、また、R3とR4とが結合し炭素原子数3〜6の環構造を形成してもよく、或いは、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい。)で表される化合物。
[22] 式中、R1は少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基を表し、R2は水素、もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいアリールアルキル基を表し、また、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい、[21]に記載の化合物。
[23] 一般式(5)
【0042】
【化17】

【0043】
(式中、R1は、少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基、もしくは少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、R2は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリール基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアリールアルキル基、置換されてもよいヘテロアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリールアルキル基を表し、また、R3とR4とが結合し炭素原子数3〜6の環構造を形成してもよく、或いは、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい。)で表される化合物。
[24] 式中、R1は少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基を表し、R2は水素、もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいアリールアルキル基を表し、また、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい、[23]に記載の化合物。
【発明の効果】
【0044】
本発明によると、含ハロゲンカルバマート基とアシル基を有するエチレンジアミン誘導体に関する新規な製造法、および新規な製造中間体を提供することができる。さらに、本発明における接触水素化反応は、触媒リサイクル可能な反応であること、産業上の廃棄物を軽減すること、安全上問題となる試剤を回避すること、または収率良く生産することができる等の利点を有する。そのために、本発明は、環境適合性、経済性、安全性、及び生産性に優れたものであり、工業的製造方法として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、下記一般式(1)で表される化合物を酸存在下で接触水素化反応を行うことにより、下記一般式(2)で表される化合物に変換し、次いで、一般式(3)で表される化合物と反応させることにより、一般式(4)で表される化合物を製造する方法に関する。
【0046】
【化1】

【0047】
(式中、R1は少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基、もしくは少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、R2は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリール基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアリールアルキル基、置換されてもよいヘテロアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリールアルキル基を表し、また、R3とR4とが結合し炭素原子数3〜6の環構造を形成してもよく、或いは、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい。)
【0048】
【化2】

【0049】
(式中、R1、R2、R3およびR4は前記の通り。)
【0050】
【化3】

【0051】
(式中、R5は置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアリールアルキル基、置換されてもよいヘテロアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリールアルキル基を表し、Xは脱離基を表す。)
【0052】
【化4】

【0053】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は前記の通り。)
一般式(1)で表される化合物において、R1は少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基、もしくは少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数3〜6のシクロアルキル基を表す。
【0054】
一般式(1)中のR1におけるハロゲン原子とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等を表す。
【0055】
一般式(1)中のR1における炭素数1〜6のアルキル基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の直鎖状のものや、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基等の分岐したものを表す。これらのアルキル基に少なくとも1つのハロゲン原子があればよい。2箇所以上置換する場合には、同一もしくは2種類以上のハロゲンで置換してもよく、特に制限されることはない。
【0056】
一般式(1)中のR1における炭素数3〜6のシクロアルキル基とは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を表す。
【0057】
一般式(1)で表される化合物において、R2は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリール基を表す。
【0058】
一般式(1)中のR2における炭素数1〜6のアルキル基とは、一般式(1)中のR1で記載したものと同義である。
【0059】
一般式(1)中のR2における炭素数3〜6のシクロアルキル基とは、一般式(1)中のR1で記載したものと同義である。
【0060】
一般式(1)中のR2における置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリール基中の置換基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基等のアルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ブロモジフルオロメチル基、トリフルオロエチル基等のハロゲン置換アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基等のアルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロエトキシ基等のハロゲン置換アルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基、ブタンスルホニル基等のアルキルスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、ジフルオロメタンスルホニル基、トリフルオロエタンスルホニル基等のハロゲン置換アルキルスルホニル基、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基等のアルキルカルボニル基、シクロプロピルカルボニル基、シクロブチルカルボニル基、シクロプロピルカルボニル基、シクロペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基等のシクロアルキルカルボニル基、ベンゾイル基等のアリールカルボニル基等、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基、シクロプロピルカルボニルオキシ基、シクロブチルカルボニルオキシ基、シクロペンチルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基等のシクロアルキルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基が例示される。アリール基もしくはヘテロアリール基上の置換基数は限定されることはない。また、2箇所以上アリール基もしくはヘテロアリール基が置換される場合、同一もしくは2種類以上の置換基で構成されてよく、限定されることはない。
【0061】
一般式(1)中のR2におけるアリール基とは、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナンスリル基等を表す。
【0062】
一般式(1)中のR2におけるヘテロアリール基とは、ピリジル基、ピリミジル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、イミダゾリル基、インドリル基、キノリル基、キノキサリル基、ベンズイミダゾリル基等の含窒素ヘテロ環基、テトラヒドロフラニル基、フラニル基、ピラニル基、ジオキサニル基、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシニル基、ベンゾフラニル基等の含酸素へテロ環基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソキサゾリル基等の2種以上のヘテロ原子を含むヘテロ環基が挙げられる。
【0063】
一般式(1)で表される化合物において、R3およびR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアリールアルキル基、置換されてもよいヘテロアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリールアルキル基を表す。また、R3とR4とが結合し炭素原子数3〜6の環構造を形成してもよく、或いは、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい。
【0064】
一般式(1)中のR3およびR4における、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアリールアルキル基、置換されてもよいヘテロアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリールアルキル基における置換基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基等のアルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ブロモジフルオロメチル基、トリフルオロエチル基等のハロゲン置換アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基等のアルコキシ基、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等のシクロアルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロエトキシ基等のハロゲン置換アルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、シクロプロポキシカルボニル基、シクロブトキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等のシクロアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基、ブタンスルホニル基等のアルキルスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、ジフルオロメタンスルホニル基、トリフルオロエタンスルホニル基等のハロゲン置換アルキルスルホニル基、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基等のアルキルカルボニル基、シクロプロピルカルボニル基、シクロブチルカルボニル基、シクロプロピルカルボニル基、シクロペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基等のシクロアルキルカルボニル基、ベンゾイル基等のアリールカルボニル基、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基、シクロプロピルカルボニルオキシ基、シクロブチルカルボニルオキシ基、シクロペンチルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基等のシクロアルキルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等ハロゲン等が例示される。アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、アリール基、もしくはヘテロアリール基に対して、置換基数は限定されることはない。アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、アリール基、もしくはヘテロアリール基に対して、置換基が2箇所以上ある場合、同一もしくは2種類以上の置換基で構成されてよく、限定されることはない。ただし、R3もしくはR4がトリフルオロメチル基になることを除き、接触水素化を受けるようなハロゲン置換がされた芳香族類、例えば、クロルフェニル、ブロモフェニルフェニル等のハロゲン化アリール基、もしくはクロルピリジン等のハロゲン化ヘテロアリール基も除く。
【0065】
一般式(1)中のR3もしくはR4における炭素数1〜6のアルキル基とは、一般式(1)中のR1で記載したものと同義である。
【0066】
一般式(1)中のR3もしくはR4における炭素数3〜6のシクロアルキル基とは、一般式(1)中のR1で記載したものと同義である。
【0067】
一般式(1)中のR3もしくはR4におけるアリール基とは、一般式(1)中のR2で記載したものと同義である。
【0068】
一般式(1)中のR3もしくはR4におけるアリールアルキル基に関しては、アリール部位は一般式(1)中のR2で記載したアリール基と同義であり、アルキル部位は炭素数1〜4のものを表す。
【0069】
一般式(1)中のR3もしくはR4におけるヘテロアリール基とは、ピリジル基、ピリミジル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、イミダゾリル基、インドリル基、キノリル基、キノキサリル基、ベンズイミダゾリル基等の含窒素ヘテロ環基、テトラヒドロフラニル基、フラニル基、ピラニル基、ジオキサニル基、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシニル基、ベンゾフラニル基等の含酸素へテロ環基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソキサゾリル基等の2種以上のヘテロ原子を含むヘテロ環基が挙げられる。
【0070】
一般式(1)中のR3もしくはR4におけるヘテロアリールアルキル基とは、ヘテロアリール部位は一般式(1)中のR2で記載したヘテロアリール基と同義であり、アルキル部位は炭素数1〜4のものを表す。
【0071】
一般式(1)で表される化合物が不斉点を有する場合には、光学活性体、またはラセミ体を使用することができる。
【0072】
一般式(1)で表される化合物を酸存在下で接触水素化反応を行い、一般式(2)で表される化合物に変換することができる。
これにより、副生成物の生成が抑制され、一般式(2)で表される化合物を高い収率で得ることができる。
【0073】
一般式(2)で表される化合物における、R1、R2、R3およびR4は一般式(1)で記載したものと同義である。
【0074】
使用する酸は、一般式(1)もしくは一般式(2)で表される化合物を分解しないものであれば制限はないが、例えば、有機酸または無機酸を使用することができる。
【0075】
有機酸としては、蟻酸、酢酸、メタンスルホン酸等を、無機酸としては、塩酸、硫酸、リン酸等を例示することができる。
【0076】
酸の使用量は、目的とする反応が進行するように設定すれば制限されることはないが、通常1当量以上20当量以下である。
【0077】
接触水素化法に関しては、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム等の金属類で行う方法が例示される。これらの金属は、金属酸化物、金属塩化物等の形態で用いることもできる。
【0078】
接触水素化法を行う際に使用する金属類の量は、反応が進行すれば特に限定されることはないが、経済的観点から一般式(1)の重量に対して同等以下が好ましい。
【0079】
使用する金属の形態は、活性炭、SiO、Al、BaSO、TiO、ZrO、MgO、ThO、ケイソウ土等で担持したものを使用することができる。その形態は問わないが、経済的観点から、再利用可能な担持体を使用することが好ましい。
【0080】
接触水素化法を行う際に使用する溶媒は、反応が進行するものであれば特に限定されることはない。具体例として、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒、水が挙げられる。単独で使用することもできるし、2種類以上を任意の割合で混合することも可能である。
【0081】
溶媒の使用量に関しては特に限定されることはないが、通常、一般式(1)の重量に対して3〜40倍の重量が好ましい。
【0082】
反応形態は特に限定されることはないが、一般式(1)もしくは上記溶媒で希釈した一般式(1)を、水素源存在下で金属と酸を含む溶媒に滴下することが好ましい。
【0083】
反応温度に関しては、化合物が分解しないように設定すれば特に限定されることはないが、通常、−10℃以上150℃以下もしくは溶媒の沸点以下である。
【0084】
反応圧力に関しては、特に限定されることはなく、常圧でも加圧でもよい。
【0085】
接触水素化に使用する水素源は、反応が進行すれば特に制限されることはないが、水素ガスの他に、シクロヘキセン、蟻酸及び蟻酸塩等を使用した内部水素発生方法を使用することができる。
【0086】
内部水素発生方法で反応を行う際に使用するシクロヘキセン、蟻酸及び蟻酸塩当量は、発生させる水素量が2当量以上なるように設定すれば特に制限されることはないが、経済的観点から2当量以上10当量以下が好ましい。
【0087】
上記反応にて得られた一般式(2)で表される化合物に関して、次工程における使用形態は特に制限されることはない。一般式(2)で表される化合物を含有する反応溶液に対して、溶媒留去、分液等の通常の後処理操作を行った後に単離精製をせずに次工程に使用することや、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸や、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、蟻酸、酢酸、メタンスルホン酸等の有機酸で塩の形態にしたものを次工程に使用することが可能である。
【0088】
一般式(2)で表される化合物は、無機酸や有機酸で形成される塩も含む。無機酸としては、塩酸、硫酸、リン酸等を、有機酸としてはシュウ酸、フマル酸、マレイン酸、蟻酸、酢酸、メタンスルホン酸等が挙げられる。
【0089】
一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物を反応させることにより、一般式(4)で表される化合物に変換することができる。
【0090】
一般式(3)で表される化合物において、R5は置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアリールアルキル基、置換されてもよいヘテロアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリールアルキル基を表す。
【0091】
R5中、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリールアルキル基、置換されてもよいヘテロアリールアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリール基における置換基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基等のアルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ブロモジフルオロメチル基、トリフルオロエチル基等のハロゲン置換アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基等のアルコキシ基、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等のシクロアルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロエトキシ基等のハロゲン置換アルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、シクロプロポキシカルボニル基、シクロブトキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等のシクロアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基等のアルキルチオ基、トリフルオロメチルチオ基、ジフルオロメチルチオ基、トリフルオロエチルチオ基等のハロゲン置換アルキルチオ基、メタンスルフィニル基、エタンスルフィニル基、プロパンスルフィニル基、ブタンスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基、トリフルオロメタンスルフィニル基、ジフルオロメタンスルフィニル基、トリフルオロエタンスルフィニル基等のハロゲン置換アルキルスルフィニル基、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基、ブタンスルホニル基等のアルキルスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、ジフルオロメタンスルホニル基、トリフルオロエタンスルホニル基等のハロゲン置換アルキルスルホニル基、メチルカルボニル基、エチルカルボニル、プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基等のアルキルカルボニル基、シクロプロピルカルボニル基、シクロブチルカルボニル基、シクロプロピルカルボニル基、シクロペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基等のシクロアルキルカルボニル基、ベンゾイル基等のアリールカルボニル基等、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基、シクロプロピルカルボニルオキシ基、シクロブチルカルボニルオキシ基、シクロペンチルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基等のシクロアルキルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子が例示される。アリール基もしくはヘテロアリール基上の置換基数は限定されることはない。また、2箇所以上アリール基もしくはヘテロアリール基が置換される場合、同一もしくは2種類以上の置換基で構成されてよく、限定されることはない。
【0092】
一般式(3)中のR5における炭素数1〜6のアルキル基とは、一般式(1)中のR1で記載したものと同義である。
【0093】
一般式(3)中のR5における炭素数3〜6のシクロアルキル基とは、一般式(1)中のR1で記載したものと同義である。
【0094】
一般式(3)中のR5におけるアリール基とは、一般式(1)中のR2で記載したものと同義である。
【0095】
一般式(3)中のR5におけるアリールアルキル基について、アリール部位は一般式(1)中のR2で記載したアリール基と同義であり、アルキル部位は炭素数1〜4のものを表す。
【0096】
一般式(3)中のR5におけるヘテロアリール基とは、ピリジル基、ピリミジル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、イミダゾリル基、インドリル基、キノリル基、キノキサリル基、ベンズイミダゾリル基等の含窒素ヘテロ環基、テトラヒドロチエニル基、チエニル基、チオピラニル基、ベンゾチエニル基等の含硫黄ヘテロ環、テトラヒドロフラニル基、フラニル基、ピラニル基、ジオキサニル基、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシニル基、ベンゾフラニル基等の含酸素へテロ環基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル等の2種以上のヘテロ原子を含むヘテロ環基が挙げられる。
【0097】
一般式(3)中のR5におけるヘテロアリールアルキル基について、ヘテロアリール部位は一般式(3)中のR5のヘテロアリール基と同義であり、アルキル部位は炭素数1〜4のものを表す。
一般式(3)で表される化合物において、Xは脱離基を表す。
【0098】
一般式(3)中のXで表される脱離基に関しては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、4−ニトロフェニル基等のアリールオキシ基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、イソブチルオキシカルボニルオキシ基等のアルコキシカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基、メチルチオ基等のアルキルチオ基、2,5−ジオキソピロリジニルオキシ基、ベンゾトリアゾリルオキシ基ならびにイミダゾリル基等を例示することができる。
【0099】
一般式(4)で表される化合物において、R1、R2、R3、R4は一般式(1)で記載したものと同義であり、R5は一般式(3)で記載したものと同義である。
【0100】
一般式(3)で表される化合物の使用量は、一般式(2)で表される化合物と同当量以上あれば特に限定されることがないが、経済的観点から1当量以上3当量以下が好ましい。
【0101】
一般式(2)で表される化合物が酸と塩を形成している場合や、一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物を反応させる際に酸が発生する場合には、塩基を使用することができる。
【0102】
使用する塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基や、ピリジン、コリジン、ピコリン、4−ジメチルアミノピリジン、ルチジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデセ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,0]オクタン、イミダゾール等の有機塩基が例示される。単独で使用することもできるし、2種類以上を任意の割合で混合することも可能である。
【0103】
塩基の使用量は、一般式(2)で表される化合物が酸と塩を形成している場合には、その酸に対して1当量以上を使用することができ、また、反応中に酸が発生する場合には、発生する酸に対して1当量以上を使用することができる。その上限は、経済的観点から10当量以下が好ましい。
【0104】
一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物を反応させる際に使用する溶媒は、一般式(4)で表される化合物が生成するものであれば特に制限されることはない。溶媒の具体例として、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶媒、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピロリジノン等のウレア系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、イソプロパノール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、及び水を挙げることができる。単独で使用することもできるし、2種類以上を任意の割合で混合することも可能である。
【0105】
溶媒の使用量は特に限定されることはないが、通常、一般式(2)で表される化合物に対して3倍重量以上40倍重量以下である。
【0106】
一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物を反応させる際の反応温度に関しては、化合物が分解しないように設定すれば特に限定されることはないが、通常、−10℃以上150℃以下もしくは溶媒の沸点以下である。
【0107】
一般式(1)で表される化合物の入手法は特に制限を設けるものではなく、市販品を購入、或いは、特開2002−34593号公報や、テトラへドロン アシメトリー 第12巻 219〜228頁 2001年発行(Tetrahedron:Asymmetry,Vol.12,pp.219〜228,2001.)や、ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサエティー 第124巻 34号 10012〜10014頁 2002年発行(Journal of American Chemcal Society,Vol.124,No.34,pp.10012〜10014,2002.)等に例示されるストレッカー反応を参考にして得られる、一般式(8)
【0108】
【化18】

【0109】
(式中、R2、R3およびR4は、一般式(1)で記載したものと同義である。)で表される化合物と、一般式(7)
【0110】
【化19】

【0111】
(式中、R1は一般式(1)で記載したものと同義であり、Yは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子を表す。)で表される化合物を反応させることにより調製した、一般式(1)で表される化合物を利用してもよい。
【0112】
その他、一般式(5)
【化10】

で表される化合物と脱酸素剤と反応させることにより、一般式(1)で表される化合物を調製することができる。
【0113】
以下、一般式(5)で表される化合物と脱酸素剤との反応を説明する。
一般式(5)で表される化合物におけるR1、R2、R3およびR4は一般式(1)で記載したものと同義である。
【0114】
脱酸素剤とは、塩化チオニル、オキザリルクロライド、ホスゲン、オキシ塩化リン、三塩化リン、五塩化リン、臭化チオニル、三臭化リン、塩化メシル、塩化トシル等のハロゲン化剤、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N'−ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等のカルボジイミド誘導体、無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸等の無水物や、Vilsmeier試薬等である。
【0115】
Vilsmeier試薬とは、ジメチルホルムアミド等のホルムアミド誘導体とハロゲン化剤から調製される一般式(9)
【0116】
【化20】

【0117】
(式中、R6とR7はそれぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基を表し、Yはハロゲン原子を表す)で表される化合物である。
一般式(9)で表される化合物はハロゲン化剤由来の塩も含む。
【0118】
一般式(9)中のR6およびR7における炭素数1〜3のアルキル基とは、メチル基、エチル基、プロピル基等を表す。
【0119】
一般式(9)中のYにおけるハロゲン原子とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等である。
【0120】
脱酸素剤の使用形態は特に制限されるものではなく、脱酸素剤を基質に加える方法や、基質に脱酸素剤を加える方法のいずれでもよい。
【0121】
脱酸素剤がVilsmeier試薬である場合の使用形態も、特に制限されるものでない。予め、溶媒中でVilsmeier試薬を調製した後に一般式(5)で表される化合物を加える方法や、一般式(5)で表される化合物とホルムアミド誘導体を含む溶媒中にハロゲン化剤を装入する方法で行うことができる。
【0122】
脱酸素剤の使用量は、一般式(5)で表される化合物に対して1当量以上あれば特に制限されることはないが、通常、1当量以上10当量以下である。
【0123】
脱酸素剤がVilsmeier試薬である場合の使用量は、ハロゲン化剤が一般式(5)で表される化合物に対して1当量以上、ホルムアミド誘導体は触媒量以上あれば特に制限されることはない。通常、ハロゲン化剤は1当量以上10当量以下であり、ホルムアミド誘導体は一般式(5)で表される化合物に対して0.1当量以上10当量以下である。また、ホルムアミド誘導体は溶媒として使用することも可能である。
【0124】
一般式(5)で表される化合物から一般式(1)で表される化合物に変換する際に使用する溶媒は、非プロトン性溶媒であれば特に限定されることはない。具体的には、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピロリジノン等のウレア系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒等である。単独で使用することも可能であり、2種類以上の溶媒を任意の割合で混合して使用することも可能である。
【0125】
本発明に用いられる脱酸素剤の中でも、Vilsmeier試薬は好ましく適用できる。
【0126】
溶媒の使用量に関しては特に限定されることはないが、通常、一般式(5)であらわされる化合物の重量に対して3〜40倍の重量が好ましい。
【0127】
一般式(5)で表される化合物から一般式(1)で表される化合物に変換する際の反応温度は、反応が進行する限りにおいて特に限定されることはないが、−10℃以上150℃以下もしくは溶媒の沸点以下である。
このような簡便な反応により、一般式(1)で表される化合物を高収率で得ることができる。そのため、一般式(1)で表される化合物の工業的な製造方法として有用である。
【0128】
本発明において、上記一般式(5)で表される化合物は、下記一般式(6)で表される化合物と、下記一般式(7)で表される化合物を水存在下で反応させることにより得ることができる。
【0129】
【化12】

【0130】
【化13】

以下、一般式(5)で表される化合物の調製方法について説明する。
一般式(6)におけるR2、R3およびR4は、一般式(1)で記載したものと同義である。
【0131】
一般式(6)で表される化合物は、無機酸や有機酸で形成される塩も含む。無機酸としては、塩酸、硫酸、リン酸等を、有機酸としてはシュウ酸、フマル酸、マレイン酸、蟻酸、酢酸、メタンスルホン酸等が挙げられる。
【0132】
一般式(6)は市販品を利用することができる。その際、フリー体、もしくは塩を形成したものでよい。
【0133】
一般式(7)におけるR1は一般式(1)におけるR1と同義であり、Yはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子である。
【0134】
一般式(5)で表される化合物の調製方法としては、一般式(6)で表される化合物と、一般式(7)で表される化合物とを水存在下で反応させることにより、効率よく得ることができる。水存在下で反応させることは本発明の特色をなしており、これにより一般式(5)で表される化合物の収率を著しく改善する。
【0135】
一般式(7)で表される化合物の使用量は、一般式(6)で表される化合物に対して1当量以上あれば特に制限されることはないが、経済的観点から1当量以上5当量以下である。
【0136】
一般式(6)で表される化合物と一般式(7)で表される化合物を反応させる際に、塩基を使用してもよい。塩基として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基や、ピリジン、コリジン、ピコリン、4−ジメチルアミノピリジン、ルチジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデセ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,0]オクタン等の有機塩基が例示される。単独で使用することもできるし、2種類以上を任意の割合で混合することも可能である。
【0137】
塩基の使用量は、一般式(6)で表される化合物に対して1当量以上、或いは、一般式(6)で表される化合物が塩の場合には、2当量以上あれば特に制限されることはない。その上限は、経済的観点から10当量以下が好ましい。
【0138】
一般式(6)で表される化合物と一般式(7)で表される化合物を反応させる際に使用する溶媒は、水、もしくは水を含有する溶媒である。水を含む2種類以上の溶媒を任意の割合で混合することも可能である。水と混合する溶媒の具体例として、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶媒、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピロリジノン等のウレア系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒等が挙げられる。
【0139】
一般式(7)で表される化合物は溶媒で希釈して滴下することもできる。この際に使用する溶媒は、一般式(7)で表される化合物と反応しない限りにおいて限定されることはない。希釈する溶媒の具体例として、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶媒、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピロリジノン等のウレア系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒などが挙げられる。
【0140】
溶媒の使用量に関しては特に限定されることはないが、通常、一般式(6)であらわされる化合物の重量に対して3〜40倍の重量が好ましい。
【0141】
反応温度に関しては、化合物が分解しないように設定すれば特に限定されることはないが、通常、−30℃以上150℃以下もしくは溶媒の沸点以下である。
【0142】
以上のようにして、一般式(4)で表される化合物、即ち含ハロゲンカルバマート基とアシル基を有するエチレンジアミン誘導体を効率的に製造できることが可能になった。
【実施例】
【0143】
以下に実施例により、本発明を更に詳細に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0144】
以下、テトラヒドロフランをTHF、ジイソプロピルエーテルをIPE、ジメチルホルムアミドをDMF、イソプロピルアルコールをIPAと称する。
[実施例1]
N−(2,2,2−Trifluoroethoxycarbonyl)−L−valinamide(以下、化合物(I)と称する)の合成
【0145】
【化21】

【0146】
バリンアミド塩酸塩25.0gに水325mlを加えて、8重量%水酸化ナトリウム水溶液で反応溶液のpHを8にした。これに、2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニルクロリド31.94gを含むジオキサン35mlと8重量%水酸化ナトリウム水溶液を、室温でpH8±0.5に維持しながら同時に滴下した。滴下終了後、2時間撹拌した後に、析出物を濾過し減圧乾燥した。得られた白色固体の化合物は表題の化合物であった。
収量 37.80g(収率95%)
H NMR(DMSO−d) δ0.84(3H,d,J=6.83Hz),0.86(3H,d,J=6.83Hz),1.98(1H,m),3.78(1H,dd,J=6.83,8.78Hz),4.64(2H,m),7.05(1H,brs),7.37(1H,brs),7.61(1H,d,J=8.78Hz).
【0147】
[比較例1]
水がない状態でのN−(2,2,2−Trifluoroethoxycarbonyl)−L−valinamideの合成
バリンアミド塩酸3.0gを含むTHF30ml溶液にピリジン5.25mlを加えた後に、2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニルクロリド3.83gを含むTHF5mlを滴下した。室温で3時間撹拌した後に水と酢酸エチルを加えて分液した。有機層を1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、飽和食塩水で洗浄した後に、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを除去した後に、IPEを加えて撹拌した。得られた白色の析出物は化合物(I)であり、収率47%(収量2.25g)であった。ピリジンをトリエチルアミンにして、同様に反応を行った場合も、収率30%であった。これらの反応結果に対して、水溶媒で行った実施例1は、反応収率が著しく改善されていることが判る。
【0148】
[実施例2]
N−(2,2,2−Trifluoroethoxycarbonyl)−L−valinonitrile(以下、化合物(II)と称する)の合成
【0149】
【化22】

【0150】
トルエン350mlに化合物(I)35.0gとDMF35mlを加えて室温で撹拌し、オキサリルクロリド22.01gを含むトルエン35mlを注意深く滴下した。同温で2時間撹拌した後に、水350mlを加えて分液した。さらに分離した有機層を水350mlで洗浄した後に、減圧下で溶媒留去した。次いで、蒸留することによって、0.3mmHgにおける116−122℃の留分を分取した。得られた無色透明油状物質は表題の化合物であった。
収量 29.89g(収率92%)
H NMR(CDCl) δ1.10(3H,d,J=6.83Hz),1.12(3H,d,J=6.83Hz),2.09(1H,sept,J=6.83Hz),4.4−4.6(3H,m),5.31(1H,brd).
【0151】
[実施例3]
予めVilsmeierを調製する方法での化合物(II)の合成
DMF1mlを含むトルエン5mlに、オキサリルクロリド433μlを含むトルエン5ml溶液を室温で滴下した。30分間撹拌した後に、化合物(I)1.0gを装入して3時間反応した。水で有機層を洗浄した後に、シリカゲルクロマトグラフィーにて精製することにより、化合物(II)が得られた。
収量 0.92g(収率>99%)
【0152】
[実施例4]
酢酸エチルを溶媒にした化合物(II)の合成
化合物(I)を5.0gスケールにして、溶媒をトルエンから酢酸エチルに、精製方法を蒸留精製からカラムクロマトグラフィーに変更する以外は、実施例2と同様にして合成を行った。その結果、化合物(II)を得ることができた。
収量 4.45g(収率96%)
【0153】
[実施例5]
(2S)−3−Methyl−N−(2,2,2−trifluoroethoxycarbonyl)−butane−1,2−diamine hydrochloride(以下、化合物(III)と称する)の合成(その1)
【0154】
【化23】

【0155】
IPA180mlに酢酸26.8g、5%パラジウムカーボン(水分49.5%、N.E.Chem社製)2.0g、蟻酸アンモニウム14.1gを順次加えて十分に撹拌した。これに化合物(II)10.0gを含むIPA10mlを室温で滴下した後に、同温で2.5時間撹拌した。触媒を濾去した後に減圧下で溶媒留去を行い、残渣に水、酢酸エチルを加えた。次いで、水層のpHが約10になるまで炭酸カリウムを加えて分液した。分離した有機層に硫酸ナトリウムを加えて乾燥し濾過した後に、4Nの塩化水素−酢酸エチル溶液を加えた。減圧下で濃縮すると白色の固体が析出し、これを濾取することにより表題の化合物を得た。
収量 10.5g(収率89%)
H NMR(DMSO−d) δ0.83(3H,d,J=6.83Hz),0.85(3H,d,J=6.83Hz),1.77(1H,sept,J=6.83Hz),2.74(1H,dd,J=9.76,13.17Hz),2.93(1H,dd,J=3.42,13.17Hz),3.54(1H,m),4.55(1H,m),4.73(1H,m),7.67(1H,d,J=9.27Hz),8.02(3H,brs).
【0156】
[実施例6]
化合物(III)の合成(その2)
オートクレーブ中、化合物(II)3.30g、酢酸9.0g、5%パラジウムカーボン(水分49.5%、N.E.Chem社製)0.6gを含むIPA50mlを水素ガスにて2.1MPaにした後に、室温で反応を行った。5時間反応した後に、触媒を除去して減圧下で濃縮を行った。この時点で、高速液体クロマトグラフィーにて化合物(III)のフリー体を定量すると、反応収率95%であった。残渣に水と酢酸エチルを加えて、次いで水層を8重量%水酸化ナトリウム水溶液でpH10.7にした後に分液した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して濾過した後に4Nの塩化水素−酢酸エチル溶液10mlを加えた。減圧下で濃縮すると白色の固体が析出し、これを濾取することにより表題の化合物を得た。
収量 3.60g(収率 92%)
【0157】
[実施例7]
化合物(III)の合成(その3)
IPAをメタノールに、触媒量を5倍にして、実施例6と同様に反応を行った。化合物(III)のフリー体が反応収率93%で得られた。
【0158】
[実施例8]
化合物(III)の合成(その4)
メタノールをエタノールにして実施例7と同様に反応を行った。化合物(III)のフリー体が反応収率91%で得られた。
[参考例1]
【0159】
【化24】

【0160】
非特許文献2を参照に化合物(II)の還元を行った。オートクレーブ中、化合物(II)0.6gとラネーニッケル(和光純薬社製)0.6gを含む飽和アンモニアエタノール30mlを水素ガスにて0.35MPaにした後に室温で反応を行った。5時間反応した後に、触媒を濾過し減圧下で溶媒を留去した。IPEを加えて析出物を濾過すると、得られた化合物は目的とする化合物(III)のフリー体ではなく、N−(aminocarbonyl)−L−valinonitrile(以下、不純物(I)と称する。)であった。このように、従来の方法では目的とする化合物は得ることができないことが判った。
不純物(I)の収量 0.16g(収率 42%)
H NMR(DMSO−d) δ0.95(3H,d,J=6.83Hz),0.98(3H,d,J=6.83Hz),1.94(1H,m),4.43(1H,m),5.78(2H,s),6.75(1H,brs).
【0161】
[実施例9]
(2S)−3−Methyl−N−toluoyl−N−(2,2,2−trifluoroethoxycarbonyl)−butane−1,2−diamine(以下、化合物(IV)と称する)の合成(その1)
【0162】
【化25】

【0163】
炭酸水素ナトリウム1.91gを含む水25mlに、酢酸エチル20mlと化合物(III)2.0gを加えて撹拌し、これにトルイル酸クロリド1.40gを滴下した。室温で2.5時間撹拌した後に、分液した。有機層に硫酸ナトリウムを加えて乾燥し濾過した後に、濾液を減圧下で濃縮した。さらにIPE30mlを加えて、析出物を十分に洗浄した後に濾取した。得られた白色固体は表題の化合物であった。
収量2.33g(収率89%)
【0164】
[実施例10]
化合物(IV)の合成(その2)
酢酸エチル20mlと水30mlの混合溶液に化合物(III)2.0gを加えた後に、8重量%水酸化ナトリウム溶液でpH8に調製した。次いで、トルイル酸クロリド1.4gを含む酢酸エチル溶液と8重量%水酸化ナトリウム溶液をpH7.5〜8.5に維持しながら滴下した。反応終了後分液し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを除去した後に減圧下で溶媒留去して、次いでIPEを加えて析出物を濾取した。得られた白色固体は表題の化合物であった。
収量2.19g(収率84%)
【0165】
[実施例11]
(2S)−3−Methyl−N−(1−methyl−3−trifluoromethyl−1H−pyrazole−4−carbony)−N−(2,2,2−trifluoroethoxycarbonyl)−butane−1,2−diamineの合成
【0166】
【化26】

【0167】
化合物(III)を1.0gスケールにして、トルオイル酸クロリドを1−メチル−3−トリフロオロメチル−1H−ピラゾール−4−カルボニル クロリドにする以外は、実施例9と同様に反応を行った。
白色固体 収率1.24g(92%)
H NMR(CDCl) δ0.98(3H,d,J=6.83Hz),1.00(3H,d,J=6.83Hz),1.85(1H,m),3.53(2H,m),3.66(1H,m),3.95(3H,s),4.42(2H,m),5.13(1H,brd),6.30(1H,brs),7.86(1H,s).
【0168】
[実施例12]
(2S)−3−Methyl−N−(2,4−dichlorobenzoyl)−N−(2,2,2−trifluoroethoxycarbonyl)−butane−1,2−diamineの合成
【0169】
【化27】

【0170】
化合物(III)を0.5gスケールにして、トルオイル酸クロリドを2,4−ジクロロベンゾイル クロリドにする以外は、実施例9と同様に反応を行った。
白色固体 収率0.64g(96%)
H NMR(CDCl) δ0.99(3H,d,J=6.83Hz),1.01(3H,d,J=6.83Hz),1.88(1H,m),3.53(1H,m),3.65(1H,m),3.68(1H,m),4.43(2H,m),5.16(1H,d,J=8.78Hz),6.50(1H,brs),7.30(1H,dd,J=1.95,8.29Hz),7.41(1H,d,J=1.95Hz),7.55(1H,d,J=8.23Hz).
【0171】
[実施例13]
N−(2,2,2−Trifluoroethoxycarbonyl)−L−leucinamide(以下、化合物(V)と称する)の合成
【0172】
【化28】

【0173】
バリンアミド塩酸塩をロイシンアミド塩酸塩にして、5.0gスケールで実施例1と同様にして反応を行った。
白色固体 収量7.0g(収率91%)
H NMR(DMSO−d) δ0.85(3H,d,J=6.34Hz),0.87(3H,d,J=6.83Hz),1.47(2H,m),1.59(1H,m),3.96(1H,m),4.69(2H,m),6.98(1H,s),7.36(1H,s),7.74(1H,d,J=8.29Hz).
【0174】
[実施例14]
N−(2,2,2−Trifluoroethoxycarbonyl)−L−leucinonitrile(以下、化合物(VI)と称する)の合成
【0175】
【化29】

【0176】
化合物(I)を化合物(V)に、反応スケールを5.0gにして、実施例2と同様にして反応を行った。その際、蒸留ではなくカラムクロマトグラフィーにて精製を行った。
黄色油状物質 収量4.41g(95%)
H NMR(CDCl) δ0.99(6H,d,J=6.34Hz),1.7−1.9(3H,m),4.47(1H,m),4.53(1H,m),4.62(1H,m),5.31(1H,brd).
【0177】
[実施例15]
(2S)−4−Methyl−N−(2,2,2−trifluoroethoxycarbonyl)−pentane−1,2−diamine hydrochloride(以下、化合物(VII)と称する)の合成
【0178】
【化30】

【0179】
化合物(II)を化合物(VI)に、反応スケールを2.5gにして、実施例5と同様に反応を行った。
白色固体 収量2.32g(収率79%)
H NMR(DMSO−d) δ0.86(3H,d,J=6.34Hz),0.88(3H,d,J=6.34Hz),1.27(1H,m),1.36(1H,m),1.56(1H,m),2.73(1H,dd,J=8.78,12.69Hz),2.82(1H,dd,J=4.39,12.69Hz),3.76(1H,m),4.57(1H,m),4.69(1H,m),7.67(1H,d,J=8.78Hz),8.06(3H,brs).
【0180】
[実施例16]
(2S)−4−Methyl−N−toluoyl−N−(2,2,2−trifluoroethoxycarbonyl)−pentane−1,2−diamineの合成
【0181】
【化31】

【0182】
化合物(III)を化合物(VII)に、反応スケールを0.5gにして、実施例9と同様に反応を行った。
白色固体 収量0.56g(収率87%)
H NMR(CDCl) δ0.94(3H,d,J=6.34Hz),0.95(3H,d,J=6.34Hz),1.38(1H,m),1.43(1H,m),1.70(1H,m),2.39(3H,s),3.49(1H,m),3.53(1H,m),3.92(1H,m),4.41(2H,m),5.19(1H,d,J=8.78Hz),6.71(1H,brs),7.22(2H,d,J=7.81Hz),7.65(2H,d,J=7.81Hz).
【0183】
[実施例17]
(2S)−4−Methyl−N−(1−methyl−3−trifluoromethyl−1H−pyrazole−4−carbony)−N−(2,2,2−trifluoroethoxycarbonyl)−pentane−1,2−diamineの合成
【0184】
【化32】

【0185】
化合物(III)を化合物(VII)に、トルオイル酸クロリドを1−メチル−3−トリフロオロメチル−1H−ピラゾール−4−カルボニル クロリドに、反応スケールを0.3gにして、実施例9と同様に反応を行った。
白色固体 収率0.36g(収率80%)
H NMR(CDCl) δ0.93(3H,d,J=6.34Hz),0.95(3H,d,J=6.34Hz),1.38(2H,m),1.68(1H,m),3.45(1H,m),3.54(1H,m),3.89(1H,m),3.96(3H,s),4.43(2H,m),5.05(1H,d,J=8.78Hz),6.34(1H,brs),7.87(1H,s).
【0186】
[実施例18]
(2S)−4−Methyl−N−(2,4−dichlorobenzoyl)−N−(2,2,2−trifluoroethoxycarbonyl)−pentane−1,2−diamineの合成
【0187】
【化33】

【0188】
化合物(III)を化合物(VII)に、トルオイル酸クロリドを2,4−ジクロロベンゾイル クロリドに、反応スケールを0.2gにして実施例9と同様に反応を行った。
白色固体 収量0.29g(収率97%)
H NMR(CDCl) δ0.94(3H,d,J=5.37Hz),0.96(3H,d,J=6.34Hz),1.42(2H,m),1.71(1H,m),3.54(2H,m),3.93(1H,m),4.42(2H,m),5.08(1H,d,J=8.30Hz),6.57(1H,brs),7.30(1H,dd,J=1.95,8.29Hz),7.41(1H,d,J=1.95Hz),7.56(1H,d,J=8.29Hz).
【0189】
[実施例19]
N−(2,2,2−Trifluoroethoxycarbonyl)−L−isoleucinamide(以下、化合物(VIII)と称する)の合成
【0190】
【化34】

【0191】
バリンアミド塩酸塩をイソロイシンアミド塩酸塩にして、5.0gスケールで実施例1と同様にして反応を行った。
白色固体 収量7.31g(収率95%)
H NMR(DMSO−d) δ0.82(6H,m),1.13(1H,m),1.41(1H,m),1.71(1H,m),3.81(1H,t,J=8.29Hz),4.64(2H,q,J=9.27Hz),7.05(1H,s),7.39(1H,s),7.65(1H,d,J=8.29Hz).
【0192】
[実施例20]
N−(2,2,2−Trifluoroethoxycarbonyl)−L−isoleucinonitrile(以下、化合物(IX)と称する)の合成
【0193】
【化35】

【0194】
化合物(I)を化合物(VIII)にして、5.0gスケールで実施例2と同様にして反応を行った。その際、蒸留ではなく、カラムクロマトグラフィーにて精製を行った。
無色油状物質 収量4.53g(収率97%)
H NMR(CDCl) δ0.98(3H,t,J=7.32Hz),1.10(3H,d,J=6.83Hz),1.34(1H,m),1.59(1H,m),1.83(1H,m),4.48(1H,m),4.53(1H,m),4.59(1H,m),5.35(1H,brd).
【0195】
[実施例21]
(2S,3S)−3−Methyl−N−(2,2,2−trifluoroethoxycarbonyl)−pentane−1,2−diamine hydrochloride(以下、化合物(X)と称する)の合成
【0196】
【化36】

【0197】
化合物(II)を化合物(IX)にして、2.5gスケールで実施例5と同様に反応を行った。
淡桃色固体 収量2.56g(収率92%)
H NMR(DMSO−d) δ0.84(6H,m),1.11(1H,m),1.36(1H,m),1.53(1H,m),2.75(1H,dd,J=10.25,12.69Hz),2.92(1H,dd,J=2.93,12.69Hz),3.60(1H,m),4.55(1H,m),4.72(1H,m),7.73(1H,d,J=8.78Hz),8.10(3H,brs).
【0198】
[実施例22]
(2S,3S)−3−Methyl−N1−toluoyl−N−(2,2,2−trifluoroethoxycarbonyl)−pentane−1,2−diamineの合成
【0199】
【化37】

【0200】
化合物(III)を化合物(X)にして、0.5gスケールで実施例9と同様にして反応を行った。
白色固体 収量0.56g(収率87%)
【0201】
[実施例23]
(2S,3S)−3−Methyl−N−(1−methyl−3−trifluoromethyl−1H−pyrazole−4−carbony)−N−(2,2,2−trifluoroethoxycarbonyl)−pentane−1,2−diamineの合成
【0202】
【化38】

【0203】
化合物(III)を化合物(X)に、トルオイル酸クロリドを1−メチル−3−トリフロオロメチル−1H−ピラゾール−4−カルボニル クロリドにして、0.3gスケールで実施例9と同様にして反応を行った。
白色固体 収量0.45g(収率>99%)
H NMR(CDCl) δ0.94(3H,t,J=7.32Hz),0.97(3H,d,J=6.83Hz),1.19(1H,m),1.5−1.6(2H,m),3.53(2H,m),3.72(1H,m),3.95(3H,s),4.43(2H,m),5.16(1H,brd),6.30(1H,brs),7.85(1H,s).
【0204】
[実施例24]
(2S,3S)−3−Methyl−N−(2,4−dichlorobenzoyl)−N−(2,2,2−trifluoroethoxycarbonyl)−pentane−1,2−diamineの合成
【0205】
【化39】

【0206】
化合物(III)を化合物(X)に、トルオイル酸クロリドを2,4−ジクロロベンゾイル クロリドにして、0.2gスケールで実施例9と同様にして反応を行った。
白色固体 収量0.27g(収率90%)
H NMR(CDCl) δ0.95(3H,t,J=7.32Hz),0.99(3H,d,J=6.83Hz),1.22(1H,m),1.55(1H,m),1.67(1H,m),3.52(1H,m),3.64(1H,m),3.76(1H,m),4.42(2H,m),5.21(1H,d,J=8.78Hz),6.50(1H,brs),7.29(1H,dd,J=1.95,8.29Hz),7.41(1H,d,J=1.95Hz),7.54(1H,d,J=8.29Hz).
【0207】
[実施例25]
N−(2,2,2−Trifluoroethoxycarbonyl)−L−phenylalaninamide(以下、化合物(XI)と称する)の合成
【0208】
【化40】

【0209】
バリンアミド塩酸塩をフェニルアラニンアミド塩酸塩にして、5.0gスケールで実施例1と同様にして反応を行った。
白色固体 6.67g 収量6.76g(収率93%)
H NMR(DMSO−d) δ2.75(1H,m),2.99(1H,m),4.15(1H,m),4.57(2H,m),7.09(1H,brs),7.20(1H,m),7.24(1H,m),7.27(3H,m),7.51(1H,brs),7.85(1H,d,J=8.19Hz).
【0210】
[実施例26]
N−(2,2,2−Trifluoroethoxycarbonyl)−L−phenylalaninonitrile(以下、化合物(XII)と称する)の合成
【0211】
【化41】

【0212】
化合物(I)を化合物(XI)にして、5.0gスケールで実施例2と同様にして反応を行った。その際、蒸留ではなく、カラムクロマトグラフィーにて精製を行った。
白色固体 3.97g (収量85%)
H NMR(CDCl) δ3.13(2H,m),4.49(2H,m),4.86(1H,m),5.29(1H,brd),7.28(2H,m),7.37(3H,m).
【0213】
[実施例27]
(2S)−N−(2,2,2−Trifluoroethoxycarbonyl)−3−phenyl−propane−1,2−diamine hydrochloride(以下、化合物(XIII)と称する)の合成
【0214】
【化42】

【0215】
化合物(II)を化合物(XII)にして、2.0gスケールで実施例5と同様に反応を行った。
白色固体 収量2.04g(収率88%)
H NMR(DMSO−d) δ2.72(1H,m),2.85(3H,m),3.91(1H,m),4.56(2H,m),7.21(3H,m),7.30(2H,m),7.80(1H,d,J=8.78Hz),8.09(3H,brs).
【0216】
[実施例28]
(2S)−N−Toluoyl−N−(2,2,2−trifluoroethoxycarbonyl)−3−phenyl−propane−1,2−diamineの合成
【0217】
【化43】

【0218】
化合物(III)を化合物(XIII)にして、0.3gスケールで実施例9と同様にして反応を行った。
白色固体 0.35g(収率93%)
H NMR(CDCl) δ2.39(3H,s),2.83(1H,dd,J=7.81,14.15Hz),3.00(1H,dd,J=6.83,14.15Hz),3.53(1H,m),3.59(1H,m),4.11(1H,m),4.40(2H,m),5.63(1H,d,J=7.81Hz),6.52(1H,brs),7.24(5H,m),7.33(2H,m),7.62(2H,d,J=7.81Hz).
【0219】
[実施例29]
(2S)−N−(1−Methyl−3−trifluoromethyl−1H−pyrazole−4−carbony)−N−(2,2,2−trifluoro−ethoxycarbonyl)−3−phenyl−propane−1,2−diamineの合成
【0220】
【化44】

【0221】
化合物(III)を化合物(XIII)に、トルオイル酸クロリドを1−メチル−3−トリフロオロメチル−1H−ピラゾール−4−カルボニル クロリドにして、0.2gスケールで実施例9と同様にして反応を行った。
白色固体 収量0.28g(収率97%)
H NMR(CDCl) δ2.81(1H,dd,J=7.81,14.15Hz),2.97(1H,dd,J=6.83,14.15Hz),3.52(2H,m),3.96(3H,s),4.03(1H,m),4.41(2H,m),5.50(1H,d,J=7.81Hz),6.30(1H,brs),7.20(2H,m),7.24(1H,m),7.33(2H,m),7.88(1H,s).
【0222】
[実施例30]
N−(2,2,2−Trifluoroethoxycarbonyl)−L−alaninamide(以下、化合物(XIV)と称する)の合成
【0223】
【化45】

【0224】
アラニンアミド塩酸塩15.0gを、炭酸水素ナトリウム25.29gを含む水250mlと酢酸エチル300mlに加えて、均一になるまで撹拌した。これに、2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニルクロリド23.48gを含む酢酸エチル溶液を30分かけて室温で滴下した。同温で2時間撹拌した後に分液した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し濾過を行った後に、減圧下で溶媒留去を行った。残渣にヘキサンを加えて撹拌した。後に析出物を濾取し、表題の化合物を得た。
白色固体 収量24.61g(収率95%)
H NMR(DMSO−d) δ1.21(3H,d,J=7.32Hz),3.96(1H,m),4.62(2H,m),6.98(1H,brs),7.33(1H,brs),7.76(1H,d,J=7.81Hz).
【0225】
[実施例31]
N−(2,2,2−Trifluoroethoxycarbonyl)−L−alaninonitrile(以下、化合物(XV)と称する)の合成
【0226】
【化46】

【0227】
化合物(I)を化合物(XIV)にして、31.0gスケールで実施例2と同様にして反応を行った。その際、蒸留ではなく、カラムクロマトグラフィーにて精製を行った。
白色固体 収量25.83g(収率91%)
H NMR(CDCl) δ1.61(3H,d,J=7.32Hz),4.47(1H,m),4.53(1H,m),4.67(1H,m),5.38(1H,brd).
【0228】
[実施例32]
(2S)−N−(2,2,2−Trifluoroethoxycarbonyl)−propane−1,2−diamine hydrochloride(以下、化合物(XVI)と称する)の合成
【0229】
【化47】

【0230】
化合物(II)を化合物(XV)にして、2.0gスケールで実施例5と同様に反応を行った。
白色固体 収量2.05g(収率85%)
H NMR(DMSO−d) δ1.12(3H,t,J=6.83Hz),2.81(2H,m),3.79(1H,m),4.60(1H,m),4.67(1H,m),7.76(1H,d,J=8.29Hz),8.12(3H,brs).
【0231】
[実施例33]
(2S)−N−Toluoyl−N−(2,2,2−trifluoroethoxycarbonyl)−propane−1,2−diamineの合成
【0232】
【化48】

【0233】
化合物(III)を化合物(XVI)にして、0.5gスケールで実施例9と同様にして反応を行った。
白色固体 収量0.56g(収率84%)
H NMR(CDCl) δ1.26(3H,d,J=6.83Hz),2.39(3H,s),3.53(2H,m),3.95(1H,m),4.41(2H,m),5.50(1H,brd,J=7.32Hz),6.74(1H,brs),7.22(2H,d,J=7.81Hz),7.66(2H,d,J=7.81Hz).
【0234】
[実施例34]
(2S)N−(1−Methyl−3−trifluoromethyl−1H−pyrazole−4−carbony)−N−(2,2,2−trifluoroethoxycarbonyl)−propane−1,2−diamineの合成
【0235】
【化49】

【0236】
化合物(III)を化合物(XVI)に、トルオイル酸クロリドを1−メチル−3−トリフロオロメチル−1H−ピラゾール−4−カルボニル クロリドにして、0.3gスケールで実施例9と同様にして反応を行った。
橙色固体 収量0.38g(収率79%)
H NMR(CDCl) δ1.24(3H,d,J=6.83Hz),3.50(2H,m),3.93(1H,m),3.96(3H,s),4.42(2H,m),5.34(1H,d,J=7.32Hz),6.39(1H,brs),7.89(1H,s).
【0237】
[実施例35]
N−(2,2,2−Trifluoroethoxycarbonyl)−L−prolinamide(以下、化合物(XV−2)と称する)の合成
【0238】
【化50】

【0239】
プロリンアミド5.0gを含む水65mlに、2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニルクロリド8.54gを含むジオキサン7mlを室温で滴下した。反応液のpHが8になった時点で8重量%水酸化ナトリウム水溶液の滴下も同時に開始して、反応液のpHを8±0.5に維持した。滴下終了後、2時間撹拌した後に、酢酸エチルを加えて分液した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し濾過した後に、濾液を減圧下で溶媒留去した。得られた固体は表題の化合物であった。
白色固体 収量8.48g(収率81%)
H NMR(DMSO−d) δ1.82(3H,m),2.16(1H,m),3.38(1H,m),3.46(1H,m),4.13(1H,m),4.6−4.7(2H,m),6.99(1H,s),7.41(1H,s).
【0240】
[実施例36]
N−(2,2,2−Trifluoroethoxycarbonyl)−L−prolinonitrile(以下、化合物(XVI−2)と称する)の合成
【0241】
【化51】

【0242】
化合物(I)を化合物(XV−2)にして、5.0gスケールで実施例2と同様にして反応を行った。その際、蒸留ではなく、カラムクロマトグラフィーにて精製を行った。
黄色透明油状物質 収量4.13g(収率89%)
H NMR(CDCl) δ2.1−2.3(4H,m),3.46(1H,m),3.63(1H,m),4.49(1H,m),4.61(2H,m).
【0243】
[実施例37]
(2S)−N−(2,2,2−Trifluoroethoxycarbonyl)−2−(aminomethyl)−pyrrolidine hydrochloride(以下、化合物(XVII)と称する)の合成
【0244】
【化52】

【0245】
化合物(2)を化合物(XVI−2)にして、2.0gスケールで実施例5と同様に反応を行った。
白色固体 収量1.67g(収率71%)
H NMR(DMSO−d) δ1.8−2.0(4H,m),2.86(1H,m),2.96(1H,m),3.38(2H,m),4.03(1H,m),4.69(2H,m),8.19(3H,brs).
【0246】
[実施例38]
(2S)−N−(2,2,2−Trifluoroethoxycarbonyl)−2−(N−toluoyl−aminomethyl)−pyrrolidineの合成
【0247】
【化53】

【0248】
化合物(III)を化合物(XVII)にして、0.5gスケールで実施例9と同様にして反応を行った。
白色固体 収量0.50g(収率80%)
H NMR(CDCl) δ1.8−2.2(4H,m),2.39(3H,s),3.4−3.5(3H,m),3.68(1H,m),4.19(1H,m),4.52(2H,m),7.23(2H,d,J=8.29Hz),7.72(2H,d,J=8.29Hz),7.79(1H,brs).
【0249】
[実施例39]
(2S)−N−(2,2,2−Trifluoroethoxycarbonyl)−2{N−(1−methyl−3−trifluoromethyl−1H−pyrazole−4−carbony)−aminomethyl}−pyrrolidineの合成
【0250】
【化54】

【0251】
化合物(III)を化合物(XVII)に、トルオイル酸クロリドを1−メチル−3−トリフロオロメチル−1H−ピラゾール−4−カルボニル クロリドにして、0.3gスケールで実施例9と同様にして反応を行った。
無色透明オイル 収量0.46g(収率>0.99%)
H NMR(CDCl) δ1.8−2.2(4H,m),3.4−3.7(4H,m),3.96(3H,s),4.10(1H,m),4.49(2H,m),7.11(1H,brs),7.80(1H,s).
【0252】
[実施例40]
(2S)−N−(2,2,2−Trifluoroethoxycarbonyl)−2{N−(2,4−dichlorobenzoyl)−aminomethyl}−pyrrolidineの合成
【0253】
【化55】

【0254】
化合物(III)を化合物(XVII)に、トルオイル酸クロリドを2,4−ジクロロベンゾイル クロリドにして、0.3gスケールで実施例9と同様にして反応を行った。
白色固体 収量0.37g(収率81%)
H NMR(CDCl) δ1.7−2.2(4H,m),3.4−3.8(4H,m),4.13(1H,m),4.48(2H,m),7.29(1H,dd,J=1.95,8.30Hz),7.34(1H,brd),7.42(1H,d,J=1.95Hz),7.53(1H,d,J=8.30Hz).
【0255】
[実施例41]
N−Methyl−N−(2,2,2−trifluoroethoxycarbonyl)−L−valinamide(以下、化合物(XVIIIと称する)の合成
【0256】
【化56】

【0257】
N−メチル−L−バリンアミド3.0g、炭酸水素ナトリウム4.54gを含む水60mlに、2,2,2−トリフロオロエトキシカルボニルクロリド3.51gを含むジオキサン6mlを、室温で20分間かけて滴下した。2時間撹拌した後に酢酸エチルを加えて分液した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、濾過した後に、減圧下で溶媒留去した。得られた化合物は表題の化合物であった。
無色油状物質 収量4.61g(収率>99%)
H NMR(CDCl) δ0.89(3H,d),0.99(3H,d),2.28(1H,m),2.94(3H,s,major),2.95(3H,s,minor),4.09(1H,d),4.51(2H,m),5.60(1H,brs),6.04(1H,brs).
【0258】
[実施例42]
N−Methyl−N−(2,2,2−trifluoroethoxycarbonyl)−L−valinonitrile(以下、化合物(XIX)と称する)の合成
【0259】
【化57】

【0260】
化合物(I)を化合物(XVIII)にして、4.27gスケールで実施例2と同様にして反応を行った。その際、蒸留ではなく、カラムクロマトグラフィーにて精製を行った。
無色油状物質 収量3.36g(収率85%)
H NMR(CDCl) δ0.94(3H,d,J=6.34Hz),1.18(3H,d,J=6.34Hz),2.13(1H,m),3.01(3H,s),4.4−4.6(2H,m),4.80(1H,d,J=10.73Hz).
【0261】
[実施例43]
(2S)−3−Methyl−N−methyl−N−(2,2,2−trifluoroethoxycarbonyl)−butane−1,2−diamine hydrochloride(以下、化合物(XX)と称する)の合成
【0262】
【化58】

【0263】
化合物(II)を化合物(XIX)にして、2.40gスケールで実施例5と同様に反応を行った。
白色固体 収量2.49g(収率89%)
H NMR(DMSO−d)δ0.77(3H,d,J=6.34Hz),0.93(3H,d,J=6.34Hz),1.83(1H,m),2.76(3H,s),3.00(2H,m),3.77(1H,m),4.60(1H,m),4.77(1H,m),7.99(3H,brs).
【0264】
[実施例44]
(2S)−3−Methyl−N−Methyl−N−{4−(trifluoromethyl)benzoyl}−N−(2,2,2−trifluoroethoxycarbonyl)−butane−1,2−diamineの合成
【0265】
【化59】

【0266】
化合物(III)を化合物(XX)に、トルオイル酸クロリドを4−(トリフルオロメチル)ベンゾイル クロリドにして、0.3gスケールで実施例9と同様にして反応を行った。
白色固体 収量0.43g(収率 96%)
H NMR(CDCl) δ0.93(3H,m),1.07(3H,m),1.95(1H,m),2.85(3H,s,major),2.86(3H,s,minor),3.55(1H,m),3.78−3.89(2H,m),4.45(1H,m),4.53(1H,m),6.15(1H,brs,J=minor),6.55(1H,brs,major),7.78(2H,m),7.81(2H,m).
【0267】
[実施例45]
(2S)−3−Methyl−N−{4−(trifluoromethyl)benzoyl}−N−(benzofuran−2−carbonyl)−butane−1,2−diamineの合成
【0268】
【化60】

【0269】
ベンゾフラン−2−カルボン酸0.28g含むTHF5mlに、N,N'−カルボニルジイミダゾール0.33gを加えて1時間撹拌し、N−(ベンゾフラン−2−カルボニル)−イミダゾールを調製した。これにイミダゾール0.23g、化合物(III)0.3gを順に加えて3時間反応した。酢酸エチルと水を加えて分液した後に、有機層を1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で分液した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、濾過した後に、減圧下で溶媒留去した。残渣にIPEを加えて白色の析出物を濾取した。得られた化合物は表題の化合物であった。
白色固体 収量0.35g(収率84%)
【0270】
本発明は、含ハロゲンカルバマート基とアシル基を有するエチレンジアミン誘導体に関して、工業的生産に有利な方法を提供することが可能であり、産業上の利用価値は高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、R1は少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基、もしくは少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、R2は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリール基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアリールアルキル基、置換されてもよいヘテロアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリールアルキル基を表し、また、R3とR4とが結合し炭素原子数3〜6の環構造を形成してもよく、或いは、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい。)で表される化合物を酸存在下で接触水素化反応を行うことにより、一般式(2)
【化2】

(式中、R1、R2、R3およびR4は前記の通り。)で表される化合物に変換し、次いで、一般式(3)
【化3】

(式中、R5は置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアリールアルキル基、置換されてもよいヘテロアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリールアルキル基を表し、Xは脱離基を表す。)で表される化合物と反応させることにより、一般式(4)
【化4】

(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は前記の通り。)で表される化合物を製造する方法。
【請求項2】
請求項1において、一般式(1)で表される化合物が、一般式(5)
【化5】

(式中、R1、R2、R3およびR4は前記の通り。)で表される化合物を脱酸素剤と反応させることにより得られることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
請求項2において、一般式(5)で表される化合物が、一般式(6)
【化6】

(式中、R2、R3およびR4は前記の通り。)で表される化合物と一般式(7)
【化7】

(式中、R1は前記の通りであり、Yはハロゲン原子を表す。)で表される化合物を水存在下で反応させることにより得られることを特徴とする、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
式中、R1は少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基を表し、R2は水素、もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいアリールアルキル基を表し、また、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよく、或いは、R5は置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリール基を表す、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
式中、R1は少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基を表し、R2は水素、もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいアリールアルキル基を表し、また、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよく、或いは、R5は置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリール基を表す、請求項2に記載の製造方法。
【請求項6】
式中、R1は少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基を表し、R2は水素、もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいアリールアルキル基を表し、また、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよく、或いは、R5は置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリール基を表す、請求項3に記載の製造方法。
【請求項7】
式中、R1が少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基である請求項4に記載の製造方法。
【請求項8】
式中、R1が少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基である請求項5に記載の製造方法。
【請求項9】
式中、R1が少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基である請求項6に記載の製造方法。
【請求項10】
一般式(1)
【化8】

(式中、R1は少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基、もしくは少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、R2は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリール基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアリールアルキル基、置換されてもよいヘテロアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリールアルキル基を表し、また、R3とR4とが結合し炭素原子数3〜6の環構造を形成してもよく、或いは、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい。)で表される化合物を酸存在下で接触水素化反応を行うことにより、一般式(2)
【化9】

(式中、R1、R2、R3およびR4は前記の通り。)で表される化合物に変換する製造方法。
【請求項11】
式中、R1は少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基を表し、R2は水素、もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいアリールアルキル基を表し、また、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
式中、R1が少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基である請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
一般式(5)
【化10】

(式中、R1は少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基、もしくは少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、R2は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリール基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアリールアルキル基、置換されてもよいヘテロアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリールアルキル基を表し、また、R3とR4とが結合し炭素原子数3〜6の環構造を形成してもよく、或いは、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい。)で表される化合物を脱酸素剤と反応させることにより、一般式(1)
【化11】

(式中、R1、R2、R3およびR4は前記の通り。)で表される化合物に変換する製造方法。
【請求項14】
式中、R1は少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基を表し、R2は水素、もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいアリールアルキル基を表し、また、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
式中、R1が少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基である請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
一般式(6)
【化12】

(式中、R2は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリール基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアリールアルキル基、置換されてもよいヘテロアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリールアルキル基を表し、また、R3とR4とが結合し炭素原子数3〜6の環構造を形成してもよく、或いは、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい。)で表される化合物と一般式(7)
【化13】

(式中、R1は少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基、もしくは少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、Yはハロゲン原子を表す。)で表される化合物を水存在下で反応させることにより、一般式(5)
【化14】

(式中、R1、R2、R3およびR4は前記の通り。)で表される化合物に変換する製造方法。
【請求項17】
式中、R1は少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基を表し、R2は水素、もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいアリールアルキル基を表し、また、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい、請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
式中、R1が少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基である請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
一般式(2)
【化15】

(式中、R1は、少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基、もしくは少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、R2は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリール基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアリールアルキル基、置換されてもよいヘテロアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリールアルキル基を表し、また、R3とR4とが結合し炭素原子数3〜6の環構造を形成してもよく、或いは、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい。)で表される化合物。
【請求項20】
式中、R1は少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基を表し、R2は水素、もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいアリールアルキル基を表し、また、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
一般式(1)
【化16】

(式中、R1は、少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基、もしくは少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、R2は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリール基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアリールアルキル基、置換されてもよいヘテロアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリールアルキル基を表し、また、R3とR4とが結合し炭素原子数3〜6の環構造を形成してもよく、或いは、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい。)で表される化合物。
【請求項22】
式中、R1は少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基を表し、R2は水素、もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいアリールアルキル基を表し、また、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
一般式(5)
【化17】

(式中、R1は、少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基、もしくは少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し、R2は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリール基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基、置換されてもよいアリール基、置換されてもよいアリールアルキル基、置換されてもよいヘテロアリール基、もしくは置換されてもよいヘテロアリールアルキル基を表し、また、R3とR4とが結合し炭素原子数3〜6の環構造を形成してもよく、或いは、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい。)で表される化合物。
【請求項24】
式中、R1は少なくとも1つのフッ素原子で置換されている炭素数1〜6のアルキル基を表し、R2は水素、もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、R3とR4はそれぞれ独立して、水素、置換されてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換されてもよいアリール基、もしくは置換されてもよいアリールアルキル基を表し、また、R3またはR4のどちらか一方とR2とが結合し総原子数5〜6(炭素原子数4〜5、窒素原子数1)の環構造を形成してもよい、請求項23に記載の化合物。

【公開番号】特開2011−184464(P2011−184464A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141517(P2011−141517)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【分割の表示】特願2008−507376(P2008−507376)の分割
【原出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(303020956)三井化学アグロ株式会社 (70)
【Fターム(参考)】