説明

含ハロゲン樹脂組成物

【課題】特に、耐熱性および耐揮発性に優れた含ハロゲン樹脂組成物を提供する。
【解決手段】含ハロゲン樹脂100重量部に対し、少なくとも、フタル酸ジアルキルエステル及び/又はアジピン酸ジアルキルエステル1〜200重量部、アルキルの炭素鎖が8〜10であるフマル酸ジアルキルエステル0.1〜10重量部、金属化合物0.01〜10重量部、エポキシ系化合物0.01〜50重量部を配合して成り、フタル酸ジアルキルエステル及び/又はアジピン酸ジアルキルエステルに対するフマル酸ジアルキルエステルの割合が0.05〜30重量%である含ハロゲン樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含ハロゲン樹脂組成物に関し、詳しくは、特に、耐熱性および耐揮発性に優れた含ハロゲン樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
塩化ビニル樹脂に代表される含ハロゲン樹脂は、その優れた加工性、透明性と共に、低コストである等の観点から、種々の用途で使用されている。
【0003】
含ハロゲン樹脂には、一般に、可塑剤としてフタル酸ジアルキルエステル及び/又はアジピン酸ジアルキルエステルが配合され、その割合は、可塑化の程度に応じて適宜選択されるが、通常、含ハロゲン樹脂100重量部に対して1〜200重量部である。また、耐熱性や耐揮発性が要求される場合は、含ハロゲン樹脂100重量部に対し、金属化合物0.01〜10重量部およびエポキシ系化合物0.01〜50重量部が配合される。
【0004】
耐熱性が改良された含ハロゲン樹脂組成物として、含ハロゲン樹脂100重量部に対し、ジイソノニルフマレート0.01〜200重量部、亜鉛化合物0.01〜10重量部、エポキシ系化合物0.01〜10重量部を配合して成る組成物が提案されている(特許文献1)。そして、実施例として具体的に効果が確認された組成物の塩化ビニル樹脂100重量部に対するジイソノニルフマレート配合量は40重量部である。
【特許文献1】WO2002/077099号公報
【0005】
しかしながら、汎用されているフタル酸ジアルキルエステルやアジピン酸ジアルキルエステルに比して蒸気圧の高いフマル酸ジアルキルエステルを上記のように多量使用した場合は、耐揮発性が問題となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、特に、耐熱性および耐揮発性に優れた含ハロゲン樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意検討した結果、意外にも、汎用されている可塑剤(フタル酸ジアルキルエステルやアジピン酸ジアルキルエステル)の一部を少量のフマル酸ジアルキルエステルに置き換えることにより、上記の目的を達成し得るとの知見を得、本発明の完成に至った。
【0008】
すなわち、本発明の要旨は、含ハロゲン樹脂100重量部に対し、少なくとも、フタル酸ジアルキルエステル及び/又はアジピン酸ジアルキルエステル1〜200重量部、アルキルの炭素鎖が8〜10であるフマル酸ジアルキルエステル0.1〜10重量部、金属化合物0.01〜10重量部、エポキシ系化合物0.01〜50重量部を配合して成り、フタル酸ジアルキルエステル及び/又はアジピン酸ジアルキルエステルに対するフマル酸ジアルキルエステルの割合が0.05〜30重量%であることを特徴とする含ハロゲン樹脂組成物に存する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特に、耐熱性および耐揮発性に優れた含ハロゲン樹脂組成物を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明における含ハロゲン樹脂とは、ポリ塩化ビニル及びポリ塩化ビニリデンが代表的である。その他、塩化ビニル及びこれと共重合し得るモノマーとの共重合物が挙げられる。ここで、塩化ビニルと共重合し得るモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン等のオレフィン系、酢酸ビニル、ラウリン酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸メチルエステル等の飽和カルボン酸ビニルエステル、不飽和カルボン酸アルキルエステル、ラウリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル、マレイン酸、アクリロニトリル、スチレン、メチルスチレン、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等が挙げられる。また、塩化ビニルのグラフトポリマー、ブロックポリマーが挙げられる。更に、ポリ塩化ビニルと三元ポリマー(例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、メタクリル酸メチルエステル−ブタジエン−スチレン)、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合物などとのポリマーブレンド、ポリ塩化ビニルのアルコール等による後処理物、後塩素化物などが挙げられる。
【0011】
フタル酸ジアルキルエステルは、フタル酸と1価アルコールの1種または2種以上とのエステル化合物であり、1価アルコールとしては、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ヘキシルアルコール、シクロヘキシルアルコール、オクチルアルコール、イソオクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、イソノニルアルコール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキシルアルコール、デシルアルコール、イソデシルアルコール、2−プロピルヘプチルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、ベンジルアルコール等が挙げられる。アジピン酸ジアルキルエステルは、上記と同様、アジピン酸と1価アルコールの1種または2種以上とのエステル化合物である。これらは併用してもよいが、フタル酸ジアルキルエステルの単独使用が好ましく、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシルが更に好ましい。
【0012】
本発明におけるフマル酸ジアルキルエステルは、フマル酸と1価アルコールの1種または2種以上とのエステル化合物である。本発明の効果を損ねない範囲でフマル酸以外の酸を含有してもよい。フマル酸以外の酸としては、例えば、工業原料の不純物であるマレイン酸などが挙げられる。含ハロゲン樹脂への配合量を少量に抑えて高い効果を達成するには、フマル酸以外の酸は全カルボン酸中の30重量%以下にしておくことが好ましい。
【0013】
フマル酸ジアルキルエステルにおけるアルキル基の炭素鎖、すなわち、使用する1価アルコールの炭素鎖は8〜10であることを必須とする。炭素鎖が7以下の場合は、得られるフマル酸ジアルキルエステルの揮発性が高く問題となり、他方、炭素鎖が11以上の場合は、含ハロゲン樹脂との相溶性(混錬性)が悪くなる傾向がある。炭素鎖が8〜10の1価アルコールの具体例としては、オクチルアルコール、イソオクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、イソノニルアルコール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキシルアルコール、デシルアルコール、イソデシルアルコール、2−プロピルヘプチルアルコール等が挙げられ、これらは併用してもよい。これら1価アルコールのうち、得られるフマル酸ジアルキルエステルの凝固点が低くなること、及び工業的な入手のし易さから、分岐鎖を有する1価アルコールが好ましく、特に好ましい1価アルコールとしては、2−エチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、イソデシルアルコールが挙げられる。
【0014】
本発明の効果を損ねない範囲で上記以外のアルコールを含有してもよく、例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコールのような脂肪族アルコール、ベンジルアルコールのような芳香族アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルのようなエーテル結合を持ったアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテルのような二重結合を持ったアルコールが挙げられる。含ハロゲン樹脂への配合量を少量に抑えて高い効果を達成するには、炭素鎖が8〜10の1価アルコール以外のアルコールは全アルコール中の30重量%以下にしておくことが好ましい。
【0015】
本発明において、フマル酸ジアルキルエステル中の未反応アルコール、例えば、フマル酸ビス(2−エチルヘキシル)であれば未反応の2−エチルヘキシルアルコールの量は、検出器をFID(水素炎イオン化検出器)としたときのガスクロマトグラフの面積比から求めた量として、0.5%以下であることが好ましい。未反応アルコールが0.5%を超える場合は、含ハロゲン樹脂からの揮発分として問題となることがある。未反応アルコールの好ましい量は好ましくは0.1%以下である。未反応アルコールの下限値は、工業的な製造し易さからすれば50ppm程度である。フマル酸ジアルキルエステル中の未反応アルコールは、公知の方法で低減することが出来る。例えば、エステル化反応終了後、適当な温度、圧力下において、水蒸気や不活性ガス(窒素、ヘリウム等)を吹き込んで除去すればよい。同様な処理は、一度抜出した製品あるいは市販の製品についても適当な反応器を使用して行うことが出来る。
【0016】
本発明における金属化合物の金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、錫などが挙げられる。金属化合物としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、多価カルボン酸、フェノール系化合物およびこれらの化合物に置換基を有する酸との化合物、フェノール系化合物、配位子となる化合物との塩化合物、金属の無機塩、配位した化合物などが挙げられる。これらの化合物の具体例としては、オクチル酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ジブチルジチオ亜リン酸亜鉛、ジデシル亜リン酸カリウム、ジ(オクチル亜リン酸)亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、塩化亜鉛、水酸化亜鉛、亜リン酸亜鉛、炭酸亜鉛、硼酸亜鉛塩、カルシウムオクトエート、カルシウムステアレート、カルシウムヒドロキシステアレート、カルシウムベヘネート、カルシウムベンゾエート、カルシウムミリステート、バリウムオクトエート、バリウムステアレート、バリウムヒドロキシステアレート、バリウムベヘネート、バリウムベンゾエート、バリウムミリステート、バリウムノニルフェネート、マグネシウムオクトエート、マグネシウムステアレート、マグネシウムヒドロキシステアレート、マグネシウムベヘネート、マグネシウムベンゾエート、マグネシウムミリステート、リチウムオクトエート、リチウムステアレート、リチウムヒドロキシステアレート、リチウムベヘネート、リチウムベンゾエート、リチウムミリステート、硫酸バリウム、デヒドロ酢酸カルシウム、硫酸カルシウム、デヒドロ酢酸バリウムジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート等が挙げられる。好ましい金属化合物は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛および錫の化合物であり、安全性、衛生性の観点から、より好ましい金属化合物は、カルシウム、バリウム、亜鉛の化合物であり、具体的には、オクチル酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、カルシウムオクトエート、カルシウムステアレート、バリウムオクトエート、バリウムステアレートが挙げられる。
【0017】
本発明におけるエポキシ系化合物としては、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸、メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3−(2−キセノキシ)−1,2−エポキシプロパン−9,10−12,13−ジエポキシステアリン酸、3,4−エポキシシクロヘキシルメタノール、3,4−エポキシシクロヘキシル−9,10−エポキシステアレート、エビクロルヒドリンとビスフェノールAの縮合物、エポキシステアリン酸tert−ブチルフェニル、エポキシステアリン酸2−エチルブチル、エポキシステアリン酸2−エチルヘキシル、エポキシステアリン酸アセトキシエチル、エポキシステアリン酸イソオクチル、エポキシステアリン酸イソデシル、エポキシステアリン酸シクロヘキシル、エポキシステアリン酸テトラヒドロフリル、エポキシステアリン酸フェニル、エポキシステアリン酸
、エポキシステアリン酸ベンゾイル、エポキシステアリン酸メトキシエチル、エポキシ化トール油酸−2−エチルヘキシル、エポキシトール油酸オクチル、エポキシ化トール油酸イソオクチル、エポキシ化トール油酸ブチル、エポキシトリアセトモノリシノレイン酸グリセリド、エポキシヘキサヒドロフタル酸ブチルデシル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジブチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジヘキシル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ビス(9,10−エポキシステアリル)、エポキシ化アマニ油、エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチル、エポキシ化サフラワー油、エポキシ化ジアセトモノオレイン、エポキシ化トール油、エポキシ化ヒマワリ油、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化牛脂油、エポキシ化魚油、エポキシ化鯨油、エポキシ化大豆油、エポキシ化大豆油のジアセトモノグリセリド、エポキシ化豚脂油、エポキシ化綿実油、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、安息香酸エポキシステアリルエステル等が挙げられる。好ましいエポキシ系化合物は、エポキシ化アマニ油、エポキシ化大豆油である。
【0018】
本発明の含ハロゲン樹脂組成物において、上記の各成分の配合量は、含ハロゲン樹脂100重量部に対する値として、次の通りである。
【0019】
フタル酸ジアルキルエステル及び/又はアジピン酸ジアルキルエステルの配合量は、可塑化の程度に応じて選択され、1〜200重量部、好ましくは1〜150重量部、更に好ましくは1〜100重量部である。金属化合物およびエポキシ系化合物の配合量は、耐熱性や耐揮発性の他に、分散性などの観点から決定され、金属化合物の配合量は、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、更に好ましくは0.1〜3重量部で、エポキシ系化合物の配合量は、0.01〜50重量部、好ましくは0.05〜30重量部、更に好ましくは0.1〜20重量部である。
【0020】
本発明において、フマル酸ジアルキルエステルの配合量は、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜7重量部、更に好ましくは1〜5重量部である。また、フタル酸ジアルキルエステル及び/又はアジピン酸ジアルキルエステルに対するフマル酸ジアルキルエステルの割合は、0.05〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%である。フマル酸ジアルキルエステルの配合量が上記の条件を逸脱して余りに少ない場合は耐熱性向上の効果が小さくなり、余りに多い場合は揮発性が問題になる。
【0021】
本発明の含ハロゲン樹脂組成物においては、本発明の効果に悪影響を与えない範囲で、上記以外各種の可塑剤や助剤などを配合することが出来る。可塑剤としては、安息香酸系、テレフタル酸系、イソフタル酸系、トリメリット酸系、ピロメリット酸系、コハク酸系、セバシン酸系、アゼライン酸系、マレイン酸系、フマル酸系、クエン酸系、リンゴ酸系、リン酸系などの可塑剤が挙げられる。これらは、それぞれのカルボン酸とプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ヘキシルアルコール、シクロヘキシルアルコール、オクチルアルコール、イソオクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、イソノニルアルコール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキシルアルコール、デシルアルコール、イソデシルアルコール、2−プロピルヘプチルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、ベンジルアルコール等の1価アルコールのエステル化合物である。このエステル化反応においては必要に応じて酢酸などの1価カルボン酸を併用してもよい。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと安息香酸、酢酸、ラウリン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸のような1価カルボン酸とのエステル化合物を使用してもよい。
【0022】
助剤としては、リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸化防止剤、防曇剤、帯電防止剤、滑剤、充填剤、加工助剤、難燃剤、希釈剤、安定剤、界面活性剤、減粘剤、顔料などが挙げられる。
【実施例】
【0023】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、使用したフマル酸ジアルキルエステル及びフタル酸ジアルキルエステルにおける、1価アルコールの種類と未反応アルコールの含有量を表1に示す。
【0024】
【表1】

【0025】
表1におけるフマル酸ジアルキルエステル及びフタル酸ジアルキルの未反応1価アルコール含有量は、以下の方法に従って分析した。
【0026】
GC(ガスクロマトグラフ)法で測定した。機器は株式会社島津製作所製「GC−14B」を使用し、カラムには株式会社島津製作所製「キャピラリー CBP1−W25−500」を使用した。カラム温度は、50℃(10分保持)→昇温速度10℃/分で昇温→250℃(30分保持)とした。注入器および検出器の温度は250℃とし、検出器にはFID(水素炎イオン化検出器)を使用し、ピークの面積比から未反応1価アルコールの含有量(ppm)を求めた。なお、水素圧、空気圧、ヘリウム圧は、何れも50kPaとした。
【0027】
表1において、フマル酸ジアルキルエステル(1)〜(4)の合成に使用した1価アルコールを表2に示す。
【0028】
【表2】

【0029】
実施例1〜3及び比較例1〜5:
表3の配合に従い、ポリ塩化ビニル樹脂のコンパウンドシートを作成した。なお、原料の配合部数はそれぞれ重量部を指す。また、後述する方法で耐熱性、揮発量、機械的強度の評価を行い、結果を表3に記した。
【0030】
【表3】

【0031】
表3で使用した原料の種類を表4に示す。
【0032】
【表4】

【0033】
コンパウンドシートの作成は、以下の条件で行った。
【0034】
(1)コンパウンド作成条件:
井上製作所製の混錬用2本ロールを使用し、160℃/5分間の条件で行った。
【0035】
(2)プレス成型条件:
丸七鉄工所製の50トン油圧式成型機を使用し、175℃/(60kg/cm)/5分間の条件で行った。金型寸法は、220×220×1mmとした。
【0036】
表3において、それぞれの評価は以下の方法で行った。
【0037】
(1)耐熱性:
コンパウンドシートを約30×30mmに切り出し、160℃のオーブンに入れた後に時間を追ってシートの黒変を観察した。即ち、オーブンに入れてから90分目より30分おきにシートを観察し、黒変が無ければ「○」、シートの約50%未満が黒変していれば「△」、シートの約50%以上が黒変していれば「×」とした。なお、比較例1のコンパウンドシートは、シート作成の段階で既に薄く黒変してしまい、それ以上の評価が出来なかった。
【0038】
(2)揮発量:
コンパウンドシートを約30×30mmに切り出して重量を測定した後、100℃のオーブンに3日間保管した。取り出して再び重量を測定して揮発量を求めた。
【0039】
(3)機械的強度:
機械的強度はJIS A73111995を参考にして測定した。なお、引張試験片はJIS K7113 2号に準拠し、引裂試験片はJIS K7311 3号に準拠して測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
含ハロゲン樹脂100重量部に対し、少なくとも、フタル酸ジアルキルエステル及び/又はアジピン酸ジアルキルエステル1〜200重量部、アルキルの炭素鎖が8〜10であるフマル酸ジアルキルエステル0.1〜10重量部、金属化合物0.01〜10重量部、エポキシ系化合物0.01〜50重量部を配合して成り、フタル酸ジアルキルエステル及び/又はアジピン酸ジアルキルエステルに対するフマル酸ジアルキルエステルの割合が0.05〜30重量%であることを特徴とする含ハロゲン樹脂組成物。
【請求項2】
フマル酸ジアルキルエステルのアルキルが分岐鎖である請求項1に記載の含ハロゲン樹脂組成物。
【請求項3】
フマル酸ジアルキルエステル中の未反応アルコールの量が、ガスクロマトグラフの面積比から求めた濃度で0.5%以下である請求項1又は2に記載の含ハロゲン樹脂組成物。
【請求項4】
金属化合物が、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛および錫の群から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜3のに何れかに記載の含ハロゲン樹脂組成物。
【請求項5】
含ハロゲン樹脂がポリ塩化ビニルである請求項1〜4の何れかに記載の含ハロゲン樹脂組成物。

【公開番号】特開2009−132853(P2009−132853A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−713(P2008−713)
【出願日】平成20年1月7日(2008.1.7)
【出願人】(000199795)川崎化成工業株式会社 (133)
【Fターム(参考)】