説明

含ハロゲン芳香族化合物

【課題】耐熱性、耐薬品性、撥水性、低誘電性、低屈折率性に優れる樹脂原料として有用であるハロゲン含有ナフタレン化合物を提供する。
【解決手段】下記式:


で示される、含ハロゲン芳香族化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、耐熱性、耐薬品性、撥水性、低誘電性や低屈折率性に優れた樹脂の原料として有用な含ハロゲン芳香族化合物の製造方法に関するものである。
【0002】
本発明はまた、高いガラス転移温度を有し、耐薬品性、撥水性、低屈折率性に優れる樹脂原料として有用な新規ハロゲン含有ナフタレン化合物に関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来、含ハロゲン芳香族化合物、特にジフルオロアルキル基やブロモジフルオロアルキル基を有する含ハロゲン芳香族化合物は、例えば、耐熱性、耐薬品性、撥水性、低誘電性や低屈折率性に優れた樹脂の原料として有用であることが知られている。なかでも、α,α’−ジブロモ−α,α,α’,α’−テトラフルオロ−p−キシレンは、ポリ(α,α,α’,α’−テトラフルオロ−p−キシレン)の前駆体であるパー−α−フルオロ[2.2]パラシクロファンの原料となることが知られている。例えば、非特許文献1には、含ハロゲン芳香族化合物から誘導されるパー−α−フルオロ[2,2]パラシクロファンが、ポリ(α,α,α’,α’−テトラフルオロ−p−キシレン)(本明細書では、単に「パリレンF」と称する)の前駆体として使用でき、これを重合したパリレンFが低誘電率を有し、次世代の半導体の層間絶縁膜として使用できる旨が記載されている。このような含ハロゲン芳香族化合物の製造方法としては、CXH基(Xは、FまたはClを表わす)を有する芳香族化合物を、臭素(Br)をブロモ化剤としてUVを照射する方法(非特許文献2)やN−ブロモスクシンイミドをブロモ化剤として光照射する方法(非特許文献2,3)が知られている。
【0004】
しかしながら、臭素(Br)をブロモ化剤とする前者の方法では、得られる目的化合物の収率が低い(27〜30%)という問題があった。また、N−ブロモスクシンイミドをブロモ化剤とする後者の方法では、反応は高収率で進むものの、反応の進行と共にスクインイミドがガラス製反応器の入射光側に堆積し、反応の進行(光の入射)を防げるという問題や、N−ブロモスクシンイミドが高価であり、ゆえにこのような方法で製造される目的生成物のコストが高くなってしまうという問題がある。したがって、高収率でかつ安価に含ハロゲン芳香族化合物を製造する方法は知られていなかった。
【0005】
一方で、例えば、半導体技術は、現在ある微細加工、大量生産の最先端技術の代表であり、その製造技術は、微細加工技術と高密度実装技術とに集約され、これが半導体の高集積化、高機能化、高信頼化、低コスト化を進めてきた。特に高集積化の発展に伴い多層配線形成を行うためには、耐熱性に優れること、電気絶縁性が高いこと、誘電率が低いこと、化学的、機械的に安定であり微細加工が容易であること等が求められる。
【0006】
しかしながら、パリレンFは、絶縁性に優れるものの耐熱安定性が450℃しかないため、例えば、半導体製造工程でこれ以上の耐熱性が要求される場合には、耐熱性不足のためその用途が制限される。一方、加工性や各種特性の添加のしやすさなどから有機高分子重合体が各種開発され、現在多方面で使用されている。したがって、より耐熱性に優れる樹脂または樹脂原料の開発に対する要求性は極めて高いといえる。
【非特許文献1】ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー、62巻、7500〜7502頁、1997(J. Org. Chem., 62, 7500−7502,1997)
【非特許文献2】Zhurnal Organicheskoi Khimii, 1993, 29, 1999
【非特許文献3】J. Org.Chem., 1993, 58, 1827−1830
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、含ハロゲン芳香族化合物、特にブロモジフルオロアルキル基を有する含ハロゲン芳香族化合物を、高収率でかつ安価に製造する方法を提供することである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、耐熱性、耐薬品性、撥水性、低誘電性、低屈折率性に優れる樹脂原料として有用であるハロゲン含有ナフタレン化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、(CHCXH基(ただし、Xはフッ素または塩素原子を表わし、この際、Xは同一または異なるものであってもよく、nは0〜4の整数を表わす)を有する芳香族化合物(I)をブロモ化剤と光ブロモ化反応するにより(CHCXBr基を有する芳香族化合物(II)を製造するにあたって、反応系中に発生する臭化水素を除去しながら;および/または反応系中に存在する酸素を反応前に除去することによりおよび/または反応系中に存在する酸素を除去することにより、酸素含量の低い雰囲気中で;さらに必要であれば光源として蛍光灯を照射する工程を適宜組み合わせて光ブロモ化反応を行うことによって、目的の芳香族化合物(II)を高収率で得ることができることを発見した。
【0010】
また、本発明者らは、パリレンFが1,4−ビス(ブロモジフルオロ)ベンゼンの還元、二量体化、環化等を経て製造することができることから、1,4−ビス(ブロモジフルオロ)ベンゼンに代えて各種化合物を用いてガラス転移温度を測定したところ、ベンゼン環に代えてナフタレン環を用いたハロゲン含有ナフタレン化合物が、ガラス転移温度特性に優れる樹脂原料として優れた特性を有することをも見い出した。上記知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、上記目的は、下記式:
【0012】
【化1】

【0013】
で示される、含ハロゲン芳香族化合物によって達成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の方法によると、耐熱性、耐薬品性、撥水性、低誘電性や低屈折率性に優れた樹脂の原料として有用な含ハロゲン芳香族化合物、特にブロモジフルオロアルキル基を有する含ハロゲン芳香族化合物が、高い収率でかつ安価に製造できる。特に、光ブロモ化反応により含ハロゲン芳香族化合物(II)を製造するにあたって、i)反応系中に発生する臭化水素を除去しながら;および/またはii)特に、反応系中に存在する酸素を反応前に除去することによりおよび/または反応系中に存在する酸素を除去することにより、酸素含量の低い雰囲気中で;さらに必要であればiii)光源として蛍光灯を照射する工程を適宜組み合わせて光ブロモ化反応を行うことによって、目的の芳香族化合物(II)を高収率で得ることができ、また、芳香族化合物(II)が高収率で得られるため、精製が容易になり、製造コストが抑制できる。
【0015】
また、本発明によれば、新規なハロゲン含有ナフタレン化合物が提供される。本発明のハロゲン含有ナフタレン化合物は、耐熱性、耐薬品性、撥水性、低誘電性、低屈折率性に優れる樹脂原料として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の詳細に説明する。
【0017】
本発明は、下記式:
【0018】
【化2】

【0019】
で示される、含ハロゲン芳香族化合物を提供するものである。本発明の上記化合物は、耐熱性、耐薬品性、撥水性、低誘電性、低屈折率性に優れる樹脂原料として有用である。
【0020】
本発明の化合物の製造方法は、特に制限されないが、以下の方法を使用することが好ましい。すなわち、(CHCXH基(ただし、Xはフッ素または塩素原子を表わし、この際、Xは同一または異なるものであってもよく、nは0〜4の整数を表わす)を有する芳香族化合物(I)をブロモ化剤と光ブロモ化反応することからなる(CHCXBr基を有する芳香族化合物(II)の製造方法において、光ブロモ化反応を反応系中に発生する臭化水素を除去しながらおよび/または酸素含量の低い雰囲気中で行う。
【0021】
上記方法に原料として使用される芳香族化合物(I)は、芳香族環内の水素原子が(CHCXH基で置換された化合物である。上記(CHCXH基において、Xは、フッ素または塩素原子、好ましくはフッ素原子を表わし、この際は、Xはそれぞれ同一であってあるいは異なるものであってもよい。また、nは、0〜4、好ましくは0〜2の整数を表わし、最も好ましくはnは0である。
【0022】
上記方法に原料として使用される芳香族化合物(I)における芳香族環としては、特に制限されるものではないが、例えば、ベンゼン、ビフェニル、フェニルエーテル、インデン、インダン、ナフタレン、1,4−ジヒドロナフタレン、テトラリン、ビフェニレン、アセナフチレン、アセナフテン、フルオレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、アセアントレン、ピレン、1−フェニルナフタリン及び2−フェニルナフタリンなどが挙げられる。これらのうち、ベンゼン、ナフタレン及びアントラセンが芳香族環として好ましく使用され、特にベンゼン及びナフタレンが好ましく使用される。
【0023】
芳香族化合物(I)は、(CHCXH基を有することを必須とするが、(CHCXH基の芳香族環への結合数は、特に制限されるものではなく、結合する芳香族環の種類や所望の特性などによって異なるが、例えば、ベンゼン環では、通常、1〜6、好ましくは1または2であり、ナフタレン環では、通常、1〜8、好ましくは1または2であり、およびアントラセン環では、通常、1〜10、好ましくは1または2である。
【0024】
また、芳香族化合物(I)は、(CHCXH基以外の他の置換基を有していてもよい。他の置換基としては、ホルミル基(−CHO)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)及びフッ素原子(F)等のハロゲン原子、炭素原子数1〜5、好ましくは炭素原子数1〜3のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル及びペンチル、これらのハロゲン化アルキル基、例えば、ブロモジフルオロメチル、ブロモジクロロメチル、クロロジフルオロメチル、フルオロジクロロメチル、トリクロロメチル及びトリフルオロメチル、炭素原子数1〜5、好ましくは炭素原子数1〜3のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ及びペントキシ、ならびにこれらのハロゲン化アルコキシ基、例えば、ブロモジフルオロメトキシ、ブロモジクロロメトキシ、クロロジフルオロメトキシ、フルオロジクロロメトキシ、トリクロロメトキシ及びトリフルオロメトキシなどが挙げられる。これらのうち、ホルミル基、ハロゲン原子、特に好ましくはフッ素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、メチル、エチル及びイソプロピル、これらのハロゲン化アルキル基、特に好ましくはブロモジフルオロメチル(−CFBr基)及びブロモジクロロメチル(−CClBr基)が他の置換基として好ましく使用される。
【0025】
さらに、芳香族化合物(I)における(CHCXH基及び他の置換基の結合位置は、特に制限されるものではなく、結合する芳香族環の種類や所望の特性などによって異なるが、その後に行う重合反応性や形成される重合膜の諸特性を考慮すると、環状骨格部において対称の位置となることが望ましい。
【0026】
したがって、本発明の原料として好適な芳香族化合物(I)の具体例としては、例えば、α,α,α’,α’−テトラフルオロ−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラクロロ−p−キシレン、2,6−ビス(ジフルオロメチル)ナフタレン、2,6−ビス(ジクロロメチル)ナフタレン、2,6−ビス(クロロフルオロメチル)ナフタレン、2−ジフルオロメチル−6−ブロモジフルオロメチル−ナフタレン、2−ジクロロメチル−6−ブロモジフルオロメチル−ナフタレン、2−クロロフルオロメチル−6−ブロモジフルオロメチル−ナフタレン、2−ジフルオロメチル−6−ブロモジクロロメチル−ナフタレン、2−ジクロロメチル−6−ブロモジクロロメチル−ナフタレン、2−クロロフルオロメチル−6−ブロモジクロロメチル−ナフタレン、6−ジフルオロメチル−2−ホルミルナフタレン、6−ジクロロメチル−2−ホルミルナフタレン、6−クロロフルオロメチル−2−ホルミルナフタレン、2,7−ビス(ジフルオロメチル)ナフタレン、2,7−ビス(ジクロロメチル)ナフタレン、2,7−ビス(クロロフルオロメチル)ナフタレン、2−ジフルオロメチル−7−ブロモジフルオロメチル−ナフタレン、2−ジクロロメチル−7−ブロモジフルオロメチル−ナフタレン、2−クロロフルオロメチル−7−ブロモジフルオロメチル−ナフタレン、2−ジフルオロメチル−7−ブロモジクロロメチル−ナフタレン、2−ジクロロメチル−7−ブロモジクロロメチル−ナフタレン、2−クロロフルオロメチル−7−ブロモジクロロメチル−ナフタレン、7−ジフルオロメチル−2−ホルミルナフタレン、7−ジクロロメチル−2−ホルミルナフタレン、7−クロロフルオロメチル−2−ホルミルナフタレン、1,5−ビス(ジフルオロメチル)ナフタレン、1,5−ビス(ジクロロメチル)ナフタレン、1,5−ビス(クロロフルオロメチル)ナフタレン、1−ジフルオロメチル−5−ブロモジフルオロメチル−ナフタレン、1−ジクロロメチル−5−ブロモジフルオロメチル−ナフタレン、1−クロロフルオロメチル−5−ブロモジフルオロメチル−ナフタレン、1−ジフルオロメチル−5−ブロモジクロロメチル−ナフタレン、1−ジクロロメチル−5−ブロモジクロロメチル−ナフタレン、1−クロロフルオロメチル−5−ブロモジクロロメチル−ナフタレン、1−ジフルオロメチル−5−ホルミルナフタレン、1−ジクロロメチル−5−ホルミルナフタレン、1−クロロフルオロメチル−5−ホルミルナフタレン、1,4−ビス(ジフルオロメチル)−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン、1,4−ビス(ジクロロメチル)−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン、1,4−ビス(クロロフルオロメチル)−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン、1,4−ビス(ジフルオロメチル)−2,3,5,6−テトラクロロベンゼン、1,4−ビス(ジクロロメチル)−2,3,5,6−テトラクロロベンゼン、及び1,4−ビス(クロロフルオロメチル)−2,3,5,6−テトラクロロベンゼン;ならびに残位がハロゲン原子、特にフッ素原子で置換される化合物などが挙げられる。この際、芳香族化合物(I)が置換されていない残位の水素原子がハロゲン原子で置換される化合物である場合において、耐熱性、耐薬品性、撥水性、低誘電性及び低屈折率などを考慮すると、すべての残位の水素原子がハロゲン原子、特にフッ素原子で置換されることが好ましい。
【0027】
これらのうち、α,α,α’,α’−テトラフルオロ−p−キシレン、及び下記式(1):
【0028】
【化3】

【0029】
ただし、Yは−CFH、−CFBrまたは−CHOを表わし、Z及びZは、それぞれ独立して、ハロゲン原子を表わし、およびp及びqは、それぞれ独立して、0〜3の整数である、
で示されるハロゲン含有ナフタレン化合物が芳香族化合物(I)として好ましく使用される。
【0030】
特に、上記式(1)で示されるハロゲン含有ナフタレン化合物は新規であり、耐熱性、耐薬品性、撥水性、低誘電性、低屈折率性に優れるため、本発明の他の概念を形成するものである。すなわち、本発明の他の概念によると、下記式(1):
【0031】
【化4】

【0032】
ただし、Yは−CFH、−CFBrまたは−CHOを表わし、Z及びZは、それぞれ独立して、ハロゲン原子を表わし、およびp及びqは、それぞれ独立して、0〜3の整数である、
で示されるハロゲン含有ナフタレン化合物が提供される。なお、上記式(1)は、置換基「Y」、「−CFH」、「Z」及び「Z」はナフタレン環の任意の位置に結合できることを意味する。
【0033】
上記式(1)において、Yは、−CFH、−CFBrまたは−CHO、好ましくは−CFHまたは−CHO、より好ましくは−CFHを表わし、Z及びZは、それぞれ独立して、塩素、臭素及びフッ素原子等のハロゲン原子、好ましくは塩素またはフッ素原子、より好ましくはフッ素原子を表わし、およびp及びqは、それぞれ独立して、0〜3の整数である。
【0034】
上記式(1)で示されるハロゲン含有ナフタレン化合物において、−CFH基及び置換基Yの結合位置は、特に制限されないが、ガラス転移温度などを考慮すると、環状骨格部において対称の位置、即ち、2,6位であることが好ましい。また、特に2位および6位の双方にジフルオロメチル基が結合する式(1)のハロゲン含有ナフタレン化合物は、加熱等により二量体となり、これを減圧下に加熱すると容易に高分子重合体が得られ、このようにして得られる高分子重合体は、高いガラス転移温度を有し、耐薬品性、撥水性、低屈折率性に優れるため、耐熱性等の特性を有する高分子重合体の製造原料として有用であるため、本発明において好ましく使用される。さらに、ジフルオロメチル基及びホルミル基を有する式(1)のハロゲン含有ナフタレン化合物もまた、医薬品中間体、液晶中間体等として有用であるため、本発明において好ましく使用される。
【0035】
したがって、本発明において特に好適に使用される式(1)のハロゲン含有ナフタレン化合物としては、下記6種の化合物が挙げられる。
【0036】
【化5】

【0037】
本発明において、上記式(1)で表されるハロゲン含有ナフタレン化合物の製造方法は、特に制限されず、公知の方法と同様の方法を使用することができるが、例えば、2,6−ナフタレンジカルバルデヒド(以下、単に「NDA」ともいう)を原料として製造する方法が使用できる。なお、NDAは、日本化学会誌、3巻、603〜605頁(1974)に記載の方法により製造することができる。
【0038】
より具体的には、NDAは以下により合成できる。まず、2,6−ナフタレンジカルボン酸を塩化ホスホリルに分散し、撹拌しつつジメチルホルムアミド(DMF)を添加し湯浴上で還流し、反応終了後塩化ホスホリルを留去すると2,6−ジクロロホルミルナフタレンが得られる。2,6−ジクロロホルミルナフタレンとN−メチルアニリンをベンゼン中、湯浴上で還流し、反応生成物をろ過し、ベンゼンによる洗浄、乾燥を経て、2,6−ナフタレンジカルボン−N−メチルアニリドが得られる。得られた2,6−ナフタレンジカルボン−N−メチルアニリドをTHFに分散し、これにTHFにLi[AlH]を溶解したものを0℃で滴下し、0℃に保ったまま2時間反応させ、反応混合液を希塩酸中で加水分解する。これをエーテル抽出し、溶媒を留去した後、アセトンに溶解し、水を加えて20%アセトン水溶液で再沈澱することにより、NDAを得る。
【0039】
次に、このようにして合成されたNDAをジクロロメタンに溶解し、低温に維持しながらジエチルアミノ硫黄トリフルオリドをアルゴンガス下に作用させると、反応液中に、2,6−ビス(ジフルオロメチル)ナフタレンと6−ジフルオロメチル−2−ホルミルナフタレンとが共に合成される。2,6−ビス(ジフルオロメチル)ナフタレンと6−ジフルオロメチル−2−ホルミルナフタレンとは、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどで分離精製することができる。
【0040】
さらに、このようにして得られた2,6−ビス(ジフルオロメチル)ナフタレンを四塩化炭素に溶解し、臭素をアルゴンガス下に作用させ、反応液をチオ硫酸ナトリウムで洗浄すると反応液中に、2,6−ビス(ブロモジフルオロメチル)ナフタレンと2−ブロモジフルオロメチル−6−ジフルオロメチルナフタレンとを製造することができる。これら両者もシリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの公知の方法により分離精製することができる。
【0041】
このようにして得られた式(1)で表されるハロゲン含有ナフタレン化合物は、加熱、還元操作などにより重合するため、高分子重合体の製造原料として有用である。得られた高分子重合体は、高いガラス転移温度を有するため、これらの樹脂を用いて耐熱性の要求される光通信などの分野に応用できる。
【0042】
ここで、本発明の方法による光ブロモ化反応について説明する。
【0043】
本発明において、光ブロモ化反応は、芳香族化合物(I)とブロモ化剤とを反応させる方法であれば特に制限されず、従来公知の反応が使用できるが、この際、本発明の方法は、(ア)反応系中に発生する臭化水素を除去しながら光ブロモ化反応を行う態様(第一の実施態様);または(イ)酸素含量の低い雰囲気中で光ブロモ化反応を行う態様(第二の実施態様)の少なくとも一方の態様を含むことを必須とする。また、本発明の方法は、(ウ)光源として蛍光灯を照射しながら光ブロモ化反応を行う態様(第三の実施態様)を、上記(ア)および/または(イ)の態様に組み合わせて含むことが好ましい。上記(ア)〜(ウ)の態様の組み合わせは、特に制限されないが、(ア)及び(イ);(ア)及び(ウ);ならびに(ア)、(イ)及び(ウ)の組合せが好ましい。
【0044】
本発明において、ブロモ化反応は、光反応であることが必須である。すなわち、ブロモ化反応が光反応でない場合には、芳香族化合物(II)が高収率で得られないという問題が起こる。また、反応の選択性が向上し、高温加熱の必要性がないので生成物の熱安定性の拘わらず、適用の範囲が広い点からも、ブロモ化反応は光反応である。
【0045】
以下、本発明の方法において共通する構成要件についてまず説明した後、上記第一から第三の実施態様の異なる構成要件について実施態様毎に説明する。
【0046】
最初に、本発明の方法において共通する態様を詳細に説明する。
【0047】
本発明に使用されるブロモ化剤は、特に制限されることなく、公知のブロモ化剤が使用できる。具体的には、臭素(Br)、N−ブロモスクシンイミドやブロモトリクロロメタンなどが挙げられる。これらのうち、安価に入手できる、言い換えると目的の芳香族化合物(II)が安価に製造できる点および反応の煩雑さ、選択性や収率を考慮すると、臭素を含むブロモ化剤、特に臭素(Br)をブロモ化剤として使用することが好ましい。特に、下記に詳細に説明する第三の実施態様においては、臭素の光吸収スペクトルと蛍光灯からでる光のスペクトルが似ており、蛍光灯からの光を有効に光ブロモ化反応に使用することができるため、ブロモ化剤としては、臭素を用いる、即ち、臭素を含むブロモ化剤、特に臭素であるブロモ化剤を使用することが好ましい。なお、本発明において、臭素をブロモ化剤として使用しない場合には、反応が煩雑になったり、反応の選択性や収率が低くなったりする。また、本発明においては、臭素以外のブロモ化剤として、例えば、N−ブロモスクシンイミドを用いる場合、反応の進行とともにスクシンイミドがガラス製反応器の入射光側に堆積し反応の進行(光の入射)を妨げることがあるため、ブロモ化剤としてN−ブロモスクシンイミドを用いる場合には、可視光を吸収する光増感剤を併用することができる。
【0048】
また、本発明において、ブロモ化剤の使用量は、芳香族化合物(I)内に存在する(CHCXH基の数などに依存し特に限定されないが、例えば、使用される芳香族化合物(I)内に(CHCXH基がZ個存在する場合には、ブロモ化剤の使用量は、通常、芳香族化合物(I)1モルに対し、0.5×Z〜50×Zモル、望ましくは1×Z〜20×Zモル、より望ましくは1×Z〜10×Zモルの範囲である。より具体的には、(CHCXH基が2個存在する芳香族化合物(I)を使用する場合には、ブロモ化剤の使用量は、通常、芳香族化合物(I)1モルに対し、1〜100モル、望ましくは2〜40モル、より望ましくは2〜20モルの範囲である。この際、ブロモ化剤の量が上記範囲の下限未満であると、ブロモ化反応の速度が遅く、作業が著しく低下するために好ましくなく、これに対して、ブロモ化剤の量が上記範囲の上限を超えると、過剰なブロモ化剤が無駄になり、不経済であり、やはり好ましくない。
【0049】
本発明によると、ブロモ化剤が2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。この場合における、ブロモ化剤の各成分の混合比は特に制限されないが、例えば、ブロモ化剤が臭素を含む場合の、臭素の混合比は、全ブロモ化剤に対して、1〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%の割合を占めることが好ましい。また、例えば、N−ブロモスクシンイミドを臭素以外のブロモ化剤として使用する際には、反応の進行と共にスクシンイミドがガラス製反応器の入射光側に堆積し、反応の進行(光の入射)を妨げることがある。
【0050】
また、本発明において、ブロモ化剤は、反応前に一括投入されてもよいが、光によるブロモ化反応の進行と共に、徐々に反応系に添加していくことが好ましい。
【0051】
本発明において使用される反応器としては、特に制限はなく、公知の材料を用いることができる。例えば、光ブロモ化反応であるので、反応液に光を照射または光源を反応液中に浸漬して照射できるような反応容器であることが好ましい。このような反応容器としては、例えば、透明なパイレックスガラスで反応容器内部と遮断された光源室を備える反応容器が好適に使用される。この場合、光源室は直接反応液に接していても、あるいは接していなくともよい。
【0052】
また、本発明において、光ブロモ化反応は、溶媒を用いずに行うことができるが、臭化水素の除去効率を上げるためには溶媒を用いることが好ましい。この際使用できる溶媒としては、390〜600nm、望ましくは390〜500nmの波長の光を実質的に吸収せずに、ブロモ化されない溶媒であれば制限なく用いることができる。例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタン、四塩化炭素、トリクロロフルオロメタンなどのハロゲン含有溶媒などが挙げられ、これらのうち、四塩化炭素が好ましい。また、溶媒の使用量は、芳香族化合物(I)1質量部に対し、1〜100質量部、より好ましくは5〜30質量部用いることが好ましい。
【0053】
さらに、本発明による光ブロモ化反応の反応条件は、ブロモ化剤による芳香族化合物(I)のブロモ化が効率よく起こる条件であれば特に制限されないが、光ブロモ化反応は、通常、40℃以上の温度で、より好ましくは45〜200℃の温度で、最も好ましくは70〜150℃の温度で行うことが好ましい。反応温度が40℃未満の場合には、反応の進行が非常に遅くなり、実質的に芳香族化合物(II)が高収率で得られない場合がある。また、反応は、常圧下、加圧下または減圧下のいずれで行われてもよいが、設備面などを考慮すると、常圧下で行われることが好ましい。さらに、反応時間は、光源の照射量、反応温度、原料としての芳香族化合物(I)やブロモ化剤の濃度などによって異なり、下記に示されるような転化率が得られるような時間であればよい。
【0054】
本発明による光ブロモ化反応は、任意の時点で終了することができるが、目的の芳香族化合物(II)へ転化率が90%以上で終了することが好ましい。
【0055】
ここで、上記第一から第三の実施態様を各態様毎に詳細に説明する。
【0056】
まず、本発明の第一の実施態様を以下に説明する。
【0057】
第一の実施態様による光ブロモ化反応は、反応融液または溶液などの反応系中に発生する臭化水素を除去しながら行う必要がある。臭化水素を除去しながら行わない場合は、芳香族化合物(II)が高収率で得られないという問題が起こる。
【0058】
第一の実施態様において、反応系中から臭化水素を除去する手段は、特に制限されることなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば、1)窒素やアルゴン等の不活性ガスを反応系中に吹き込み、発生した臭化水素を系外に追い出す方法;2)反応を有機相/水相の多相とし、有機相中で発生した臭化水素を水相に追い出す方法;3)反応系中に炭酸カルシウムや炭酸カリウム等の固体塩基を共存させ、発生した臭化水素を中和する方法;および4)反応系中に酸化剤を共存させ、発生した臭化水素を臭素に変換する方法などを挙げることができる。これらのうち、1)及び2)の方法が反応系を複雑にせず、目的の芳香族化合物(II)が高選択的に得られるため、好ましい。また、これらの方法を併用してもよい。
【0059】
上記反応系中から臭化水素を除去する手段のうち、1)において、不活性ガスを反応系中に吹き込む速度は、溶液100mlに対して、通常、1〜100ml/分、好ましくは5〜50ml/分である。この際、不活性ガスを反応系中に吹き込む速度が1ml/分未満であると、臭化水素を十分量除去することができず、好ましくなく、逆に、100ml/分を超えると、臭素や反応溶媒などが不活性ガスに同伴されてしまい無駄に消費されてしまうため、やはり好ましくない。また、2)において、有機相として使用できる有機溶剤としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタン、及び四塩化炭素などが挙げられる。または、2)においては、有機溶剤を使用せずに水相のみの単相を用いて、反応により発生した臭化水素をこの水相中に追い出してもよい。これらのうち、有機溶剤として四塩化炭素を使用する方法及び有機溶剤を使用しない無溶媒が好ましい。さらに、3)において、固体塩基の存在量は、通常、発生する臭化水素を中和しうる量以上であれば特に制限されない。さらにまた、4)において、酸化剤としては、公知の酸化剤が同様に使用でき、過ヨウ素酸ナトリウムが好ましい。また、この際の酸化剤の使用量は、臭化水素を臭素に酸化しうる量以上であれば特に制限されない。
【0060】
第一の実施態様において、光ブロモ化反応に使用される光源としては、蛍光灯、高圧水銀灯、ハロゲンランプなどが挙げられるが、これらのうち、臭素(Br)の光吸収スペクトルと蛍光灯から出る光のスペクトルが似ており、蛍光灯からの光が有効にブロモ化反応に使用できるため、蛍光灯が光源として好ましく使用される。これらの光源は、390〜600nm、望ましくは390〜500nmの波長を発する公知の蛍光材料を塗布した蛍光灯が好ましい。また、色温度は、通常、5000K以上、好ましくは5000〜10000Kの範囲が好ましい。
【0061】
上述したように、第一の実施態様による光ブロモ化反応は、酸素含量の低い雰囲気中で行われることが好ましい。この際、反応系中の酸素含量は、反応系中に存在する酸素分子を反応前に予めおよび/または反応中に除去することによって減少することができる。なお、酸素を反応前にも、反応中にも除去しない場合には、芳香族化合物(II)が高選択率で得られず、好ましくない。この際、反応系中から酸素を除去する手段としては、特に制限されることなく、従来公知の方法が使用でき、具体的には、下記に詳細に記載するが、1)窒素やアルゴン等の不活性ガスを反応系中に吹き込み、酸素を系外に追い出す方法;および2)反応系を減圧にし、酸素を追い出す方法などを挙げることができる。
【0062】
次に、本発明の第二の実施態様を以下に説明する。
【0063】
第二の実施態様による光ブロモ化反応では、好ましくは反応融液または溶液などの反応系中に存在する酸素を反応前に予め除去して反応系中の酸素含量を下げた後および/または反応系中に存在する酸素を除去することにより反応系中の酸素含量を下げながら、好ましくは酸素を反応前に予め除去して反応系中の酸素含量を下げた後に行う必要があるが、酸素を反応前にも、反応中にも除去しない場合には、芳香族化合物(II)が高選択率で得られないという問題が起こる。
【0064】
第二の実施態様において、反応系中から酸素を除去する手段としては、特に制限されることなく、従来公知の方法が使用でき、具体的には、1)窒素やアルゴン等の不活性ガスを反応系中に吹き込み、酸素を系外に追い出す方法;2)反応系を減圧にし、酸素を追い出す方法;3)超音波照射若しくは激しい撹拌またはこれらの併用などを挙げることができる。また、これらの方法を併用してもよく、併用する際には、酸素の除去効率を考慮すると、1)及び2)、1)及び3)、ならびに1)、2)及び3)の組合せが好ましい。
【0065】
また、上記反応系中から酸素を除去する手段のうち、1)において、不活性ガスを反応系に吹き込む速度は、溶液100mlに対して、通常、1〜100ml/分、好ましくは5〜50ml/分である。この際、不活性ガスを反応系中に吹き込む速度が1ml/分未満であると、酸素の除去を十分行うことができず、好ましくなく、逆に、100ml/分を超えると、臭素や反応溶媒などが不活性ガスに同伴されてしまい無駄に消費されてしまうため、やはり好ましくない。なお、不活性ガスを反応系に吹き込む速度は、反応前及び反応中で等しいものであってもあるいは異なるものであってもよい。また、不活性ガスを反応系に吹き込む時間は、反応系から酸素を除去しながら光ブロモ化反応を行う場合には、光ブロモ化反応時間と等しく、また、反応前に予め酸素を除去する場合には、特に制限されず、反応系内の酸素を十分量除去する時間であればよいが、例えば、10分以上、好ましくは30分以上である。また、2)において、反応系内の圧力は、通常、10〜100,000Pa、好ましくは100〜50,000Paである。さらに、3)において、超音波照射方法としては、特に制限されず、反応系内の酸素を十分量除去できる方法であればよいが、例えば、20〜100KHz、好ましくは20〜50KHzの超音波を10分以上、好ましくは30分以上照射する方法が使用できる。また、3)において、攪拌方法としては、特に制限されず、反応系内の酸素を十分量除去できる方法であればよいが、攪拌は、例えば、0.1W/m以上、好ましくは0.1〜1000W/mの攪拌動力で、10分以上、好ましくは30分以上、行われる。
【0066】
第二の実施態様において、光ブロモ化反応に使用される光源としては、蛍光灯、高圧水銀灯、ハロゲンランプなどが挙げられるが、これらのうち、蛍光灯、特に臭素(Br)の光吸収スペクトルと蛍光灯から出る光のスペクトルが似ており、蛍光灯からの光が有効にブロモ化反応に使用できるため、蛍光灯が光源として好ましく使用される。これらの光源は、390〜600nm、望ましくは390〜500nmの波長を発する公知の蛍光材料を塗布した蛍光灯が好ましい。また、色温度は、通常、5000K以上、好ましくは5000〜10000Kの範囲が好ましい。
【0067】
第二の実施態様による光ブロモ化反応は、上述したように、系中に発生する臭化水素を除去しながら行われることが好ましい。系中に発生する臭化水素を除去せずに光ブロモ化反応を行う場合には、目的とする芳香族化合物(II)が高収率で得られず、好ましくない。この際、反応系中から臭化水素を除去する手段は、特に制限されることなく、従来公知の方法を用いることができ、より具体的には、上記第一の実施態様と同様である。
【0068】
さらに、本発明の第三の実施態様を以下に説明する。
【0069】
第三の実施態様では、光ブロモ化反応において蛍光灯を光源として使用する必要があるが、この理由は、臭素(Br)の光吸収スペクトルと蛍光灯から出る光のスペクトルが似ている点、及び蛍光灯からの光が有効にブロモ化反応に使用できることにある。この際使用される蛍光灯としては、390〜600nm、望ましくは390〜500nmの波長を発する公知の蛍光材料を塗布した蛍光灯が好ましく使用される。
【0070】
第三の実施態様による光ブロモ化反応は、上述したように、反応融液または溶液などの系中に発生する臭化水素を除去しながら行うことが好ましい。臭化水素を除去しながら行わない際は、芳香族化合物(II)が高収率で得られないという問題が起こる。この際、反応系中から臭化水素を除去する手段は、特に制限されることなく、従来公知の方法を用いることができ、より具体的には、上記第一の実施態様と同様である。
【0071】
第三の実施態様による光ブロモ化反応はまた、上述したように、反応系から酸素を反応前に除去しておよび/または反応中に除去しながら行うことが好ましい。酸素を反応前にも、反応中にも除去しない場合には、芳香族化合物(II)が高選択率で得られず、好ましくない。この際、反応系中から酸素を除去する手段としては、特に制限されることなく、従来公知の方法が使用でき、より具体的には、上記第二の実施態様と同様である。
【0072】
このようにして本発明の方法によって製造される芳香族化合物(II)は、芳香族化合物(I)内の(CHCXH基の末端の水素原子がブロモ化される、言い換えると、(CHCXBr基(ただし、Xはフッ素または塩素原子を表わし、この際、Xは同一または異なるものであってもよく、nは0〜4の整数を表わす)を有することを必須とする。中でも、少なくとも2個の(CHCXBr基を有する芳香族化合物(II)は、樹脂の原料としての適用範囲が広いために好ましい。
【0073】
本発明の方法によって製造される芳香族化合物(II)が2個の(CHCXBr基を有する場合、これらの(CHCXBr基は芳香族環上で最も離れた位置に存在することが好ましい。例えば、芳香族環がベンゼン環の場合、(CHCXBr基がお互いにパラの位置に置換されていることが好ましい。芳香族環がナフタレン環の場合には、(CHCXBr基が2,6位、2,7位、または1,5位、最も好ましくは2,6位で置換されていることが好ましい。
【0074】
また、(CHCXBr基としては、CFBr基が、耐熱性樹脂、低撥水性樹脂や低誘電性樹脂などの原料といった適用範囲の広さから好ましい。
【0075】
したがって、本発明の方法によって好適に製造される芳香族化合物(II)としては、例えば、α,α’−ジブロモ−α,α,α’,α’−テトラフルオロ−p−キシレン、α,α’−ジブロモ−α,α,α’,α’−テトラクロロ−p−キシレン、2,6−ビス(ブロモジフルオロメチル)ナフタレン、2,6−ビス(ブロモジクロロメチル)ナフタレン、2−ブロモジクロロメチル−6−ブロモジフルオロメチル−ナフタレン、6−ブロモジフルオロメチル−2−ホルミルナフタレン、6−ブロモジクロロメチル−2−ホルミルナフタレン、2,7−ビス(ブロモジフルオロメチル)ナフタレン、2,7−ビス(ブロモジクロロメチル)ナフタレン、2−ブロモジクロロメチル−7−ブロモジフルオロメチル−ナフタレン、7−ブロモジフルオロメチル−2−ホルミルナフタレン、7−ブロモジクロロメチル−2−ホルミルナフタレン、1,5−ビス(ブロモジフルオロメチル)ナフタレン、1,5−ビス(ブロモジクロロメチル)ナフタレン、1−ブロモジクロロメチル−5−ブロモジフルオロメチル−ナフタレン、5−ブロモジフルオロメチル−1−ホルミルナフタレン、5−ブロモジクロロメチル−1−ホルミルナフタレン、1,4−ビス(ブロモジフルオロメチル)−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン、1,4−ビス(ブロモジクロロメチル)−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン、1,4−ビス(ブロモジフルオロメチル)−2,3,5,6−テトラクロロベンゼン、及び1,4−ビス(ブロモジクロロメチル)−2,3,5,6−テトラクロロベンゼンなどが挙げられる。
【0076】
芳香族化合物(II)は、分子内にベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などの芳香族環を有するものである。芳香族化合物(II)は、芳香族環に(CHCXBr基が直接置換されたものであることが好ましい。この際、芳香族化合物(II)は、芳香族環の水素が(CHCXBr基以外の官能基で置換されたものであってもよく、このような官能基としては、フルオロ基、ブロモ基、クロロ基等のハロゲン基;メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等のパーフルオロアルキル基;メトシキ基、エトキシ基、パーフルオロメトキシ基、パーフルオロエトキシ基等のアルコキシ基が挙げられ、これらの中の1種又は2種以上であってもよい。上記官能基のうち、フルオロ基やトリフルオロメチル基が、耐熱性樹脂、低撥水性樹脂や低誘電性樹脂などの原料といった適用範囲の広さから好ましい。
【0077】
上記ブロモ化反応が終了した後、目的の芳香族化合物(II)は、公知の単離・精製方法によって、単離・精製される。使用される単離・精製方法としては、例えば、蒸留、カラムクロマトグラフィー、再結晶化、再沈などが挙げられる。
【実施例】
【0078】
以下、本発明の実施例により具体的に説明する。なお、実質的に反応の進行が認められない点を終点とし、その時点で収率を算出した。
【0079】
実施例1:2,6−ナフタレンジカルバルデヒドの合成
2,6−ナフタレンジカルバルデヒドを、日本化学会誌3巻、603〜605ページ(1974)に記載の方法と同様にして合成する。具体的な方法を以下に述べる。
【0080】
まず、2,6−ナフタレンジカルボン酸80gを塩化ホスホリル400gに分散し、よく撹拌しながらジメチルホルムアミド(DMF)8gを徐々に添加し、湯浴上で2.5時間還流する。反応終了後、塩化ホスホリルを留去し、ベンゼンから再結晶することによって、61g(収率:65%)の2,6−ジクロロホルミルナフタレンを針状結晶として得る(融点:186℃)。
【0081】
次に、このようにして得られた2,6−ジクロロホルミルナフタレン61g(0.24モル)及びN−メチルアニリン54g(0.5モル)をベンゼン250ml中、湯浴上で3.5時間還流する。冷却後、反応混合物を濾過し、ベンゼンでよく洗浄し、乾燥する。さらにこれをジオキサンから再結晶することによって、86g(収率:91%)の2,6−ナフタレンジカルボン−N−メチルアニリドを得る(融点:221〜223℃)。
【0082】
このようにして得られた2,6−ナフタレンジカルボン−N−メチルアニリド1.25gを30mlのテトラヒドロフラン(THF)に分散する。さらに、この分散液に、0.16gのLi[AlH]を30mlのTHFに分散した液を0℃で滴下する。反応温度を0℃に維持しながら2時間攪拌した後、反応混合液を希塩酸中に注いで加水分解する。放置後、これをエーテル抽出し、溶媒を留去した後、残留物をアセトンに溶解し、水を加えて20%アセトン水溶液として再沈澱することにより、0.31g(収率:50%)の2,6−ナフタレンジカルバルデヒド(NDA)を得る(融点:172.5〜173.5℃)。
【0083】
実施例2:2,6−ビス(ジフルオロメチル)ナフタレンおよび6−ジフルオロメチル−2−ホルミルナフタレンの合成
1リットル容のガラス製三ツ口フラスコを密封し、このフラスコの内部を減圧ポンプを用いて1333.2Pa(10mmHg)まで減圧し、さらにアルゴンガス(水分含有量18volppm)を常圧(大気圧)になるまで充満した。次に、三ツ口フラスコにアルゴンガスを流しながら撹拌器を取り付け、実施例1で合成したNDA 7.52g(40.9mmol)と脱水したジクロロメタン500mlを仕込み、撹拌して完全に溶解した。
【0084】
この三ツ口フラスコを3.0℃の氷水中に浸し、この温度に維持しながら三弗化ジエチルアミノ硫酸(DAST)17ml(129mmol)をゆっくりと添加した。続いて、上記フラスコ中にアルゴンガスを流しながら、23℃で12時間撹拌し続けた。この反応溶液をゆっくりと氷水中に移し、ジクロロメタンで抽出を行い、反応液Aを得た。
【0085】
この反応液Aをガスクロマトグラフィーマススペクトロメトリー(GC−MS)で分析したところ、生成物として6−ジフルオロメチル−2−ホルミルナフタレン(生成物2)と、2,6−ビス(ジフルオロメチル)ナフタレン(生成物1)の生成を確認した。
【0086】
さらに、上記反応液Aをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離、精製して2,6−ビス(ジフルオロメチル)ナフタレン5.9g(収率63%)を得た。
【0087】
生成物1及び2の結果を下記に示す。また、これらの生成物1及び2のGC−MSスペクトルを図1及び図2に、生成物1のH−NMR、13C−NMR及び19F−NMRのチャートを図5〜10にそれぞれ示す。
【0088】
(1)2,6−ビス(ジフルオロメチル)ナフタレン(生成物1):
(a)マス・スペック 228(M
(b)H−NMR;
化学シフトδ(ppm):(溶媒;CDCl、内部標準物質;TMS)
(c)13C−NMR;
化学シフトδ(ppm):(溶媒;CDCl、内部標準物質;TMS)
(d)19F−NMR;
化学シフトδ(ppm):(溶媒;CDCl、内部標準物質;トリフルオロ酢酸)
(2)6−ジフルオロメチル−2−ホルミルナフタレン(生成物2):
(a)マス・スペック 206(M
実施例3:2,6−ビス(ブロモジフルオロメチル)ナフタレンおよび2−ブロモジフルオロメチル−6−ジフルオロメチルナフタレンの合成
冷却器、ガス導入管、リボンヒーターを備えた100mlのセパラブルフラスコに、実施例2で合成した2,6−ビス(ジフルオロメチル)ナフタレン0.21g(0.9mmol)と四塩化炭素20mlを仕込み撹拌して完全に溶解させた。30分間アルゴンガスを溶液中にバブリングさせた後、臭素を0.5ml(9.7mmol)添加し、80℃まで昇温した。
【0089】
その後、アルゴンガスをバブリングしながらセパラブルフラスコの底面から25Wの蛍光灯を120時間照射した。
【0090】
反応後溶液をチオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した後、GC−MSで分析した。その結果、2,6−ビス(ブロモジフルオロメチル)ナフタレン(生成物3)と2−ブロモジフルオロメチル−6−ジフルオロメチルナフタレン(生成物4)の生成を確認した。
【0091】
さらに、上記反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離、精製することにより、2,6−ビス(ブロモジフルオロメチル)ナフタレン0.17g(収率50%)を得た。
【0092】
生成物3及び4の結果を下記に示す。また、生成物3及び4のGC−MSスペクトルを図3及び図4にそれぞれ示す。
【0093】
(3)2,6−ビス(ブロモジフルオロメチル)ナフタレン(生成物3):
(a)マス・スペック 387(M
(4)2−ブロモジフルオロメチル−6−ジフルオロメチルナフタレン(生成物4):
(a)マス・スペック 307(M
実施例4:臭化水素の除去効果
冷却器、アルゴンガス導入管を備えたパイレックスガラス製の反応装置に、四塩化炭素60ml、1,4−ビス(ジフルオロメチル)ベンゼン8.9g(0.05モル)を仕込み、30分間アルゴンバブリング(流速10ml/min)を行った。四塩化炭素が還流するまで昇温した後、臭素5.1ml(0.1モル)を添加し、反応容器の内側に設置されたハロゲンランプ(500W)で光照射を行った。反応温度は80℃であった。反応途中もアルゴンバブリングを続け、発生する臭化水素を除去しながら反応を行った。臭化水素の除去は、トラップ水50mlのpHが反応後に酸性側(pH2以下)に変化することにより確認した。また、臭素を、反応途中、6時間おきに2ml(0.039モル)ずつ添加した。
【0094】
ハロゲンランプ(500W)で6時間、光照射した後、反応溶液のGC−MSの結果、1,4−ビス(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン(生成物5)と1−ブロモジフルオロメチル−4−ジフルオロメチルベンゼン(生成物6)の生成が確認された。別途行ったGC分析において、原料、生成物5と生成物6の相対比は、70/25/5であった。
【0095】
同様にしてハロゲンランプ(500W)で48時間光照射後の反応溶液を濃縮、精製、分離することによって、生成物5が14.3g(収率:85%)得られた。
【0096】
比較例1:臭化水素飽和系
実施例4において、ハロゲンランプ(500W)の代わりにUVランプを光源として使用しかつアルゴンによるバブリングを行わない以外は、実施例4と同様にして光ブロモ化反応を行った。
【0097】
得られた反応溶液について、実施例4と同様にして、GC−MS分析及びGC分析を行った結果、生成物5の収率は25%であった。
【0098】
比較例2
比較例1において、光源をUVランプから蛍光灯に代えること以外は、比較例1と同様にして光ブロモ化反応を行った。生成物5の収率は30%であった。
【0099】
実施例5:水添加による臭化水素の除去
実施例4において、アルゴンによるバブリングの代わりに、反応系にさらに水を5ml添加してハロゲンランプ(500W)で光照射を行い、光ブロモ化反応を行った。48時間照射後、水層のpHを測定すると、反応前に比べて酸性側に変化(pH3)していた。
【0100】
また、このようにして得られた反応溶液について、実施例4と同様にして、濃縮、精製、分離することによって、生成物5が14.0g(収率:83%)が得られた。
【0101】
比較例3:臭化水素飽和の系による臭化水素の除去
実施例4において、アルゴンによるバブリングの代わりに、反応系にさらに臭化水素飽和の水を5g添加し、蛍光灯で光照射を行い、光ブロモ化反応を行った。48時間光照射を行ったが、生成物5及び生成物6はいずれも生成が確認されなかった。
【0102】
実施例6:NaIOによる臭化水素の除去
実施例4において、アルゴンによるバブリングの代わりに、10%過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO)水溶液5ml添加し、光ブロモ化反応を行った。48時間光照射後の反応溶液について、実施例4と同様にして、濃縮、精製、分離することによって、生成物5が13.5g(収率:80%)が得られた。
【0103】
実施例7:酸素除去
冷却器、アルゴンガス導入管を備えたパイレックスガラス製の反応装置に、四塩化炭素60ml、1,4−ビス(ジフルオロメチル)ベンゼン8.9g(0.05モル)を仕込み、激しく撹拌しながら30分間アルゴンバブリング(流速10ml/min)を行い、溶液中の酸素を除去した。四塩化炭素が還流するまで昇温した後、臭素5.1ml(0.1モル)を添加し、反応容器の内側に設置されたハロゲンランプ(500W)で光照射を行った。反応温度は80℃であった。反応途中もアルゴンバブリングを続け、発生する臭化水素を除去しながら反応を行った。臭化水素の除去は、トラップ中の水50mlのpHが反応後に酸性側(pH2以下)に変化することにより確認した。また、臭素を、反応途中、6時間おきに2ml(0.039モル)ずつ添加した。
【0104】
6時間、ハロゲンランプ(500W)による光照射後、反応溶液のGC−MSの結果、1,4−ビス(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン(生成物5)と1−ブロモジフルオロメチル−4−ジフルオロメチルベンゼン(生成物6)の生成が確認された。別途行ったGC分析において、原料、生成物5、生成物6のエリアの相対値は、70/25/5であった。
【0105】
48時間光照射後の反応溶液を濃縮、精製、分離することによって、生成物5が14.3g(収率:85%)得られた。
【0106】
比較例4:Arバブリングなし(Oの影響)
冷却器を備えたパイレックスガラス製の反応装置(実施例7の反応装置において、アルゴンガス導入管を備えていない反応装置)に、四塩化炭素60ml、1,4−ビス(ジフルオロメチル)ベンゼン8.9gを仕込んだ。四塩化炭素が還流するまで昇温し、臭素5.1ml(0.1モル)を添加した。次に、反応溶液の内部に設置されたハロゲンランプ(500W)で光照射を行った。48時間光照射後に生成した白色沈殿を瀘過した。濾液のGC−MSの結果、1,4−ビス(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン(生成物5)と1−ブロモジフルオロメチル−4−ジフルオロメチルベンゼン(生成物6)の生成が確認された。
【0107】
48時間光照射後の反応溶液を濃縮、精製、分離することによって、生成物5が5.1g(収率:30%)が得られた。
【0108】
また、上記白色沈殿について、別途IR分析を行った結果、カルボキシル基に由来する吸収が確認された。これから、反応中間体と酸素との反応により、カルボン酸が副生したものと考えられる。
【0109】
比較例5:臭化水素飽和系
実施例7において、ハロゲンランプ(500W)の代わりにUVランプを光源として使用しかつアルゴンによるバブリングを行わない以外は、実施例7と同様にして光ブロモ化反応を行った。
【0110】
得られた反応溶液について、実施例7と同様にして、GC−MS分析及びGC分析を行った結果、生成物1の収率は25%であった。
【0111】
比較例6
比較例5において、光源をUVランプから蛍光灯に代えること以外は、比較例5と同様にして光ブロモ化反応を行った。生成物5の収率は30%であった。
【0112】
実施例8:蛍光灯の効果
冷却器、アルゴンガス導入管を備えたパイレックスガラス製の反応装置に、四塩化炭素60ml、1,4−ビス(ジフルオロメチル)ベンゼン8.9g(0.05モル)を仕込み、30分間アルゴンバブリング(流速10ml/min)を行った。四塩化炭素が還流するまで昇温した後、臭素5.1ml(0.1モル)を添加し、反応容器の内側に設置された蛍光灯(7.5W)で光照射を行った。反応温度は80℃であった。反応途中もアルゴンバブリングを続け、発生する臭化水素を除去しながら反応を行った。臭化水素の除去は、トラップ水500mlのpHが反応後に酸性側(pH2以下)に変化することにより確認した。また、臭素を、反応途中、6時間おきに2ml(0.039モル)ずつ添加した。
【0113】
6時間、光照射後、反応溶液のGC−MSの結果、1,4−ビス(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン(生成物5)と1−ブロモジフルオロメチル−4−ジフルオロメチルベンゼン(生成物6)の生成が確認された。別途行ったGC分析において、原料、生成物5と生成物6の相対比は、50/40/10であった。
【0114】
48時間光照射後の反応溶液を濃縮、精製、分離することによって、生成物5が14.0g(収率83%)得られた。
【0115】
実施例9
実施例8において、蛍光灯(7.5W)の代わりにハロゲンランプ(500W)を光源として使用した以外は、実施例8と同様な操作を行った。48時間光照射後の反応溶液を濃縮、精製、分離することによって、生成物5が14.3g(収率85%)が得られた。
【0116】
比較例7
実施例8において、蛍光灯(7.5W)の代わりにUVランプを光源として使用しかつアルゴンによるバブリングを行わない以外は、実施例8と同様にして光ブロモ化反応を行った。
【0117】
得られた反応溶液について、実施例8と同様にして、GC−MS分析及びGC分析を行った結果、生成物5の収率は25%であった。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】2,6−ビス(ジフルオロメチル)ナフタレン(生成物1)のGC−MSスペクトルである。
【図2】6−ジフルオロメチル−2−ホルミルナフタレン(生成物2)のGC−MSスペクトルである。
【図3】2,6−ビス(ブロモジフルオロメチル)ナフタレン(生成物3)のGC−MSスペクトルである。
【図4】2−ブロモジフルオロメチル−6−ジフルオロメチルナフタレン(生成物4)のGC−MSスペクトルである。
【図5】2,6−ビス(ジフルオロメチル)ナフタレン(生成物1)のH−NMRのチャートである。
【図6】溶媒のみのH−NMRのチャートである。
【図7】2,6−ビス(ジフルオロメチル)ナフタレン(生成物1)の19F−NMRのチャートである。
【図8】2,6−ビス(ジフルオロメチル)ナフタレン(生成物1)の19F−NMRのチャートである。
【図9】2,6−ビス(ジフルオロメチル)ナフタレン(生成物1)の13C−NMRのチャートである。
【図10】溶媒の13C−NMRのチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式:
【化1】

で示される、含ハロゲン芳香族化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−63082(P2006−63082A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−286496(P2005−286496)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【分割の表示】特願平11−298134の分割
【原出願日】平成11年10月20日(1999.10.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パイレックス
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】