説明

含フッ素オリゴマー並びにその製造方法

【課題】潤滑剤として有用な、新規な含フッ素オリゴマー及びその製造方法を提供する。
【解決手段】一般式(2)で表される含フッ素オリゴマーを製造し、それを用い一般式(1)で示される新規な含フッ素オリゴマーを製造する。




[上記一般式(1)中、Rは2−ヒドロキシエトキシ基、ジベンジルアミノ基または1−ピリミジルピペラジン基を示し、n及びmは各々独立して2〜500の整数を示す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は含フッ素オリゴマー並びにその製造方法に関する。含フッ素オリゴマーは様々な用途で潤滑剤として用いられる有用な化合物である。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、含フッ素オリゴマーに関する数多くの特許及び文献が知られているが、(CFCFO)基、(CFO)基及びCFCHOCHCH(OH)CH基から構成されるオリゴマーとしては後記一般式(1)のRがジエタノールアミノ基、3−トリエトキシシリルプロピルアミノカルボニルオキシ基のものが知られており、その原料となる中間体のジグリシジルエーテル体の合成についても記載されている[特許文献1]。
【0003】
また、市販品として(CFCFO)基、(CFO)基及びCFCHOCHCH(OH)CHOH基から構成されるオリゴマーが知られている。
【特許文献1】米国特許第5,959,058号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の特許文献1に記載のオリゴマーについては、耐熱性の悪いエタノールアミノ基を有するか、耐薬品性悪いエステル基やアミド基を有する問題がある。
【0005】
一方、市販品の(CFCFO)基、(CFO)基及びCFCHOCHCH(OH)CHOH基から構成されるオリゴマーは、凝集性の問題が指摘されており、また、用途によっては接着性の不良の問題も指摘されている。
【0006】
さらに、特許文献1に記載の中間体のジグリシジルエーテルの製法については、数平均分子量(Mn)が1,000以下のものについては適用可能であるが、1,000以上のものについては、反応時に原料の一般式(3)で表されるジオール体や高分子量体の反応系からの分離が発生し、目的とするジグリシジルエーテル体を高純度、高収率で得ることができない問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決する方法について鋭意検討した結果、耐熱性及び耐薬品性が優れた構造を見出し、また凝集性を改善し、接着性の優れる構造を見出した。また、中間体のジグリシジルエーテル体の製造方法についても過剰の溶剤存在下で実施することにより分子量に関係なく高純度、高収率で目的のジグリシジルエーテル体が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下に示すとおりの含フッ素オリゴマー並びにその製造方法に関するものである。
【0009】
[1] 下記一般式(1)
【0010】
【化1】

【0011】
[上記一般式(1)中、Rは2−ヒドロキシエトキシ基、ジベンジルアミノ基または1−ピリミジルピペラジン基を示し、n及びmは各々独立して2〜500の整数を示す]
で表される含フッ素オリゴマー。
【0012】
[2] 下記一般式(2)
【0013】
【化2】

【0014】
[上記一般式(2)中、R、m及びnは前記に同じ]
で表されるジグリシジル誘導体とエチレングリコール、ジベンジルアミンまたは1−ピリミジルピペラジンとを反応させることを特徴とする項1に記載の含フッ素オリゴマーの製造方法。
【0015】
[3] 項2に記載の一般式(2)で表されるジグリシジル誘導体と、エチレングリコールを、溶媒中、触媒存在下、反応させることを特徴とする項1に記載の一般式(1)で示されるRが2−ヒドロキシエチル基である含フッ素オリゴマーの製造方法。
【0016】
[4] 項2に記載の一般式(2)で表されるジグリシジル誘導体と、ジベンジルアミンまたは1−ピリミジルピペラジンを、溶媒中、加熱下、反応させることを特徴とする項1に記載の一般式(1)で示されるRがジベンジルアミノ基または1−ピリミジルピペラジン基である含フッ素オリゴマーの製造方法。
【0017】
[5] 下記一般式(3)
【0018】
【化3】

【0019】
[上記一般式(3)中、m及びnは前記に同じ]
で表される含フッ素オリゴマーとエピハロヒドリンとを、塩基存在下、一般式(3)で表される含フッ素オリゴマーに対して5重量倍量以上の2級または3級アルコール溶媒中で反応させることを特徴とする項2に記載の含フッ素オリゴマーまたはポリマーの製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、既存の材料と比較し耐熱性が優れ、耐薬品性、耐久性の改善が期待される潤滑剤用含フッ素オリゴマーが提供できた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】
本発明の上記一般式(1)で表されるオリゴマーとしては、m及びnが2〜50で、具体的には重量平均分子量(Mw)が700〜10,000、数平均分子量(Mn)が350〜9,000でMw/Mnが1.0〜3.0のオリゴマーである。
【0023】
本発明において、上記一般式(1)で表される含フッ素オリゴマーの製造は、合成または市販の一般式(3)で表される両末端に水酸基を有する含フッ素オリゴマーにエピハロヒドリンを反応させ一般式(2)で表されるジグリシジルエーテル体を得、次いでエチレングリコール、ジベンジルアミン、1−ピリミジンピペラジンと反応させることにより一般式(1)で表される含フッ素オリゴマーを得る。
【0024】
本発明の一般式(2)で表されるジグリシジル誘導体の製造方法は、2級または3級のアルコール類に溶解させた一般式(3)で表される重量平均分子量(Mw)2,000〜10,000、Mw/Mnが1.00〜3.0の両末端が水酸基の含フッ素オリゴマーと塩基とを反応の後、同液をエピハロヒドリンを溶解させた2級または3級のアルコール類の溶液に滴下し反応を行う。
【0025】
本発明の一般式(2)で表されるジグリシジル誘導体の製造に使用可能なエピハロヒドリンとしては、具体的には、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンで各々単独で用いても良いし、混合して用いても良い。エピハロヒドリンの使用量としては、反応に供する一般式(3)で表される含フッ素オリゴマーに対して、理論的には2モル倍量以上で実施可能であるが、高分子量化を避けかつ経済的な理由で、好ましくは4モル倍量〜20モル倍量の範囲である。
【0026】
本発明の一般式(2)で表されるジグリシジル誘導体の製造に使用可能な塩基としては、特に規定はないが、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、水素化リチウム、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウムイソプロポキシド、リチウムtert−ブトキシド、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、水素化カリウム、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムイソプロポキシド、カリウムtert−ブトキシドがあげられるが、好ましくは、水素化ナトリウム、ナトリウムtert−ブトキシド、水素化カリウム、カリウムtert−ブトキシドである。塩基の使用量としては、反応に供する一般式(3)で表される含フッ素オリゴマーに対して、理論的には2モル倍量以上が使用可能であるが、反応を完結させかつ経済的な理由で、2.2モル倍量〜3.0モル倍量を使用することが好ましい。
【0027】
本発明の一般式(2)で表されるジグリシジル誘導体の製造に使用可能な2級また3級のアルコール類としては、特に規定はないが具体的には、イソプロパノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、tert−ブタノールがあげられ、好ましくはtert−ブタノールである。アルコール類の使用量としては、一般式(3)で表される含フッ素オリゴマーの溶解に用いる量及びエピハロヒドリンを溶解させる量を合わせて反応に供する一般式(3)で表される含フッ素オリゴマーに対して5重量倍量以上で問題なく反応は実施可能であるが、生成物の反応系からの分離を避けるために、6重量倍量以上使用することが好ましく、通常は一般式(3)で表される含フッ素オリゴマーの溶解及びエピハロヒドリンの溶解それぞれに半量ずつ用いる。
【0028】
本発明の一般式(2)で表される含フッ素オリゴマーの製造の反応温度及び時間としては、一般式(3)で表される含フッ素オリゴマーと塩基との反応は10〜50℃で1〜5時間で実施し、次いで一般式(3)で表される含フッ素オリゴマーと塩基の反応液の滴下を50℃〜90℃の温度範囲に加熱したエピハロヒドリンの溶液に1〜8時間かけて滴下、さらに同温度で1〜4時間保持し反応を完結させる。
【0029】
本発明の一般式(2)で表される含フッ素オリゴマーの反応液は、室温まで冷却の後、使用した塩基と等モル以上の水を添加、ろ過、濃縮することにより高純度の一般式(2)で表される含フッ素オリゴマーのジグリシジルエーテルを得る。
【0030】
本発明の一般式(1)で表される含フッ素オリゴマーの内、Rが2−ヒドロキシエチル基の化合物の製造については、一般式(2)で表されるジグリシジル誘導体のジグリシジルエーテルとエチレングリコールを触媒存在下反応させることにより製造することができる。
【0031】
本発明の一般式(1)で表される含フッ素オリゴマーの内、Rが2−ヒドロキシエチル基の化合物の製造に適用可能な触媒としては、特に規定はないが、具体的には、テトラエチルアンモニムクロライド、テトラエチルアンモニムブロマイド、テトラエチルアンモニムアイオダイド、n−ブチルジメチルアンモニウムクロライド、n−ブチルジメチルアンモニウムブロマイド、n−ブチルジメチルアンモニウムアイオダイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムアイオダイド、トリフェニルフォスフィン、テトラフェニルフォスフォニウムクロライド、テトラフェニルフォスフォニウムブロマイド、テトラフェニルフォスフォニウムアイオダイド、テトラフェニルフォスフォニウムヒドロキサイドがあげられ、反応に供する一般式(2)で表されるジグリシジル誘導体のジグリシジルエーテルに対して、通常0.01モル〜20モル%使用する。
【0032】
本発明の一般式(1)で表される含フッ素オリゴマーの内、Rが2−ヒドロキシエチル基の化合物の製造に使用するエチレングリコールの使用量としては、反応に供する一般式(2)で表されるジグリシジル誘導体に対して10−800モル倍量である。
【0033】
本発明の一般式(1)で表される含フッ素オリゴマーの内、Rが2−ヒドロキシエチルの化合物の製造の反応温度及び時間は、触媒の種類及び量により異なるが、通常、140〜200℃の温度範囲で、4〜60時間の範囲である。
【0034】
本発明の一般式(1)で表される含フッ素オリゴマーの内、Rが2−ヒドロキシエチルの化合物の反応液は、分液、洗浄、乾燥、ろ過、濃縮の後、目的物を得る。
【0035】
本発明の一般式(1)で表される含フッ素オリゴマーの内、Rがジベンジルアミノ基または1−ピリミジルピペラジン基の化合物の製造については、一般式(2)で表される含フッ素オリゴマーのジグリシジルエーテルとジベンジルアミンまたは1−ピリミジルピペラジンを混合し、70℃〜130℃の温度範囲で1〜12時間反応を行うことにより可能である。
【0036】
本発明の一般式(1)で表される含フッ素オリゴマーの内、Rがジベンジルアミノ基または1−ピリミジルピペラジン基の化合物の製造時のジベンジルアミンまたは1−ピリミジルピペラジンの使用量としては、理論的には、反応に供する一般式(2)で表される含フッ素オリゴマーのジグリシジルエーテルに対して2倍モル量で十分であるが、反応を完結させるために通常は、1.1倍量以上を使用する。
【0037】
本発明の一般式(1)で表される含フッ素オリゴマーの内、Rがジベンジルアミノ基または1−ピリミジルピペラジン基の化合物の製造に溶剤は特に必要はないが、攪拌性等を改善する目的で反応に不活性な2−ブタノール、tert−ブタノール、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、N,N−ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルホキシドを用いても良い。
本発明の一般式(1)で表される含フッ素オリゴマーの内、Rがジベンジルアミノ基または1−ピリミジルピペラジン基の化合物の製造後は、加熱及び減圧下、溶剤及び余剰のジベンジルアミノまたは1−ピリミジルピペラジンを留去することにより目的物を得る。
【0038】
一般式(1)で表される含フッ素オリゴマーは必要に応じて、シリカゲルカラム、ゲルパーミエーションカラム、アルミナカラム、活性炭等を用い、精製しても良い。
【実施例】
【0039】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0040】
なお分析は下記機器で実施した。
1H−NMR、19F−NMR:BRUKER製AVANCE II 400。
分子量分布(GPC):装置;東ソー製HLC8120GPC、カラム;東ソー製TSKgel super AW(6.0mmID×150mmL、2本)、検出器;RI8020(示差屈折率計)、溶媒;トリフルオロエタノール、流量;0.6ml/min、サンプル注入量;20μL(濃度1mg/ml)、システム・カラム温度;40℃、検量線;標準PMMA。
熱安定性(TG−DTA):リガク製system8100、試料量5mg、標準試料Al(5mg)、昇温速度5℃/min、窒素または空気雰囲気(50ml/min)、測定範囲rt〜550℃。
【0041】
実施例1 一般式(2)で表されるジグリシジル誘導体(Mw=2,400)のジグリシジルエーテルの調製
攪拌子を備えた500mlのナス型フラスコにフォンブリン−Z−DOL2000(ソルベー製テトラフルオロエチレングリコール−ジフルオロメタンジオール共重合体、重量平均分子量Mw=2,000、Mw/Mn=1.5、70g)、カリウムtert−ブトキシド(15.35g)及びtert−ブタノール(315g)を仕込み、窒素気流下、20℃で3時間攪拌し、溶解させた。
【0042】
攪拌機及び滴下ロートを備えた別の1Lの3つ口丸底フラスコを窒素置換した後、これにエピクロロヒドリン(48.7g)及びtert−ブタノール(325ml)を仕込み、オイルバス上で加熱し、70℃とした後、これに前記調製したフォンブリン−Z−DOL2000及びカリウムtert−ブトキシドからなるtert−ブタノール溶液を滴下ロートを用い、4時間かけて滴下し、さらに同温度で2時間保持した。
【0043】
反応終了後、室温まで冷却、次いで水15mlを添加、セライトでろ過、濃縮することにより目的物の一般式(2)で表されるジグリシジル誘導体を黄色オイルとして得た(62g)。
【0044】
H−NMR(400MHz,C)σ2.51(dd,2.6Hz,5.0Hz,2H),2.69(dd,3.0Hz,6.2Hz,2H),3.02−3.03(m,2H),3.46−3.51(m,2H),3.88−3.96(m,6H)。
【0045】
19F−NMR(376MHz,C)σ−91.89,−90.21,−82.04,−80.05,−56.63,−54.89,−53.30。
【0046】
GPC:重量平均分子量(Mw)=2.4×10、数平均分子量(Mn)=1.8×10、Mw/Mn=1.4。
【0047】
実施例2 一般式(2)で表されるジグリシジル誘導体(Mw=4,200)のジグリシジルエーテルの調製
攪拌子を備えた500mlのナス型フラスコにフォンブリン−Z−DOL4000(ソルベー製テトラフルオロエチレングリコール−ジフルオロメタンジオール共重合体、重量平均分子量Mw=4,000、Mw/Mn=1.15、30g)、カリウムtert−ブトキシド(7.23g)及びtert−ブタノール(280g)を仕込み、窒素気流下、20℃で3時間攪拌し、溶解させた。
【0048】
攪拌機及び滴下ロートを備えた別の1Lの3つ口丸底フラスコを窒素置換した後、これにエピクロロヒドリン(30.3g)及びtert−ブタノール(325ml)を仕込み、オイルバス上で加熱し、80℃とした後、これに前記調製したフォンブリン−Z−DOL4000及びカリウムtert−ブトキシドからなるtert−ブタノール溶液を滴下ロートを用い、4時間かけて滴下し、さらに同温度で1時間保持した。
【0049】
反応終了後、室温まで冷却、次いで水15mlを添加、セライトでろ過、濃縮することにより目的物の一般式(2)で表されるジグリシジル誘導体を黄色オイルとして得た(28g)。
【0050】
H−NMR(400MHz,C)σ2.51(dd,2.5Hz,5.0Hz,2H),2.67(dd,3.0Hz,6.2Hz,2H),3.00−3.03(m,2H),3.46−3.55(m,2H),3.88−3.96(m,6H)。
【0051】
19F−NMR(376MHz,C)σ−91.9,−90.25,−81.9,−80.0,−56.7,−55.0,−53.4。
【0052】
GPC:重量平均分子量(Mw)=4.2×10、数平均分子量(Mn)=3.5×10、Mw/Mn=1.2。
【0053】
実施例3 一般式(1)で表されるRが2−ヒドロキシエチル基の含フッ素オリゴマーの調製(1)
攪拌子を備えた300mlのナス型フラスコに、実施例1で調製した一般式(2)で表されるジグリシジル誘導体(重量平均分子量(Mw)=2.4×10、35.0g)、エチレングリコール(136g)、テトラフェニルフォスフォニウムアイオダイド(1.1g)及びNaOH(100mg)を仕込み、攪拌しながら190℃で12時間反応を行った。
【0054】
反応終了後、室温まで冷却、分液、50gのエチレングリコールで洗浄、ろ過、濃縮することにより目的物の一般式(1)で表されるRが2−ヒドロキシエチル基の含フッ素オリゴマーを得た(37.2g)。
【0055】
H−NMR(400MHz,C)σ3.30−5.00(m,11H)。
【0056】
19F−NMR(376MHz,C)σ−91.80,−90.14,−82.00,−80.00,−56.56,−54.83,−53.23。
【0057】
GPC:重量平均分子量(Mw)=2.8×10、数平均分子量(Mn)=1.7×10、Mw/Mn=1.7。
【0058】
実施例4 一般式(1)で表されるRが2−ヒドロキシエチル基の含フッ素オリゴマーの調製(2)
実施例2で調製した一般式(2)で表されるジグリシジル誘導体(重量平均分子量(Mw)=4.2×10、35.0g)を用い、テトラフェニルフォスフォニウムアイオダイド(1.1g)をテトラブチルアンモニウムアイオダイド(0.32g)に替えた以外実施例3と同じ操作を行い、目的物の一般式(1)で表されるRが2−ヒドロキシエチル基の含フッ素オリゴマーを得た(37.2g)。
【0059】
H−NMR(400MHz,C)σ3.30−5.00(m,11H)。
【0060】
19F−NMR(376MHz,C)σ−91.80,−90.14,−82.18,−80.12,56.56,54.83,53.23。
【0061】
GPC:重量平均分子量(Mw)=4.5×10、数平均分子量(Mn)=3.4×10、Mw/Mn=1.3。
【0062】
実施例5 一般式(1)で表されるRがジベンジルアミノ基の含フッ素オリゴマー(Mw=2,600)の調製
攪拌子を備えた300mlのナス型フラスコに、実施例1と同じ方法で調製した一般式(2)で表されるジグリシジル誘導体のジグリシジルエーテル(46.5g)、ジベンジルアミン(16.2g)及びtert−ブタノール(90ml)を仕込み、攪拌しながら90℃で1時間反応を行った。
【0063】
反応終了後、140℃に加熱し減圧下、余剰のジベンジルアミンを留去し、目的物の一般式(1)で表されるRがジベンジルアミノ基の含フッ素オリゴマーを得た(34.6)。
【0064】
H−NMR(400MHz,C)σ2.44−2.48(m,2H),2.53−2.59(m,2H),2.65−3.0(b,2H)3.41−3.75(m,16H),7.20−7.26(m,10H)。
【0065】
19F−NMR(376MHz,C)σ−91.78,−90.09,−82.13,−80.12,−56.56,−54.82,−53.20。
【0066】
GPC:重量平均分子量(Mw)=5.8×10、数平均分子量(Mn)=3.7×10、Mw/Mn=1.6。
【0067】
実施例6 一般式(1)で表されるRが1−ピリミジルピペラジン基の含フッ素オリゴマー(Mw=2,500)の調製
攪拌子を備えた300mlのナス型フラスコに、実施例1と同じ方法で調製した一般式(2)で表されるジグリシジル誘導体のジグリシジルエーテル(26.0g)、1−ピリミジルピペラジン(6.4g)及びtert−ブタノール(78ml)を仕込み、攪拌しながら90℃で2時間反応を行った。
【0068】
反応終了後、140℃に加熱し減圧下、余剰の1−ピリミジルピペラジンを留去し、目的物の一般式(1)で表されるRが1−ピリミジルピペラジン基の含フッ素オリゴマーを得た(29.6g)。
【0069】
H−NMR(400MHz,C)σ2.49−2.71(m,12H),2.72−3.60(bs,2H),3.64−4.02(m,18H),6.38(s,2H),8.07(s,4H)。
【0070】
19F−NMR(376MHz,C)σ−91.89,−90.22,−82.27,−80.29,−56.68,−54.95,−53.34。
【0071】
GPC:重量平均分子量(Mw)=4.6×10、数平均分子量(Mn)=2.8×10、Mw/Mn=1.7。
【0072】
実施例7 熱安定性試験
実施例3,4,5,6で得られた一般式(1)で表される含フッ素オリゴマー及び市販品Fomblin−Z−TETRAOL(ソルベー製テトラフルオロエチレングリコール−ジフルオロメタンジオール共重合体−末端2,3−ジヒドロキシプロパン修飾体)について、窒素中および空気中での熱安定性試験を実施したところ実施例3,4,5,6で得られた一般式(1)で表される含フッ素オリゴマーは市販品Fomblin−Z−TETRAOLに比較して、分解開始温度、重量5%減少温度、重量50%減少温度が高く、耐熱性が優れていた。熱安定性試験の結果を表1及び表2に示す。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の新規な含フッ素オリゴマーは、既存の材料と比較し耐熱性が優れ、耐薬品性、耐久性の改善が期待されるので、潤滑剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

[上記一般式(1)中、Rは2−ヒドロキシエトキシ基、ジベンジルアミノ基または1−ピリミジルピペラジン基を示し、n及びmは各々独立して2〜50の整数を示す]
で表される含フッ素オリゴマー。
【請求項2】
下記一般式(2)
【化2】

[上記一般式(2)中、R、m及びnは前記に同じ]
で表されるジグリシジル誘導体とエチレングリコール、ジベンジルアミンまたは1−ピリミジルピペラジンとを反応させることを特徴とする請求項1に記載の含フッ素オリゴマーの製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の一般式(2)で表されるジグリシジル誘導体と、エチレングリコールを、溶媒中、触媒存在下、反応させることを特徴とする請求項1に記載の一般式(1)で示されるRが2−ヒドロキシエチル基である含フッ素オリゴマーの製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載の一般式(2)で表されるジグリシジル誘導体と、ジベンジルアミンまたは1−ピリミジルピペラジンを、溶媒中、加熱下、反応させることを特徴とする請求項1に記載の一般式(1)で示されるRがジベンジルアミノ基または1−ピリミジルピペラジン基である含フッ素オリゴマーの製造方法。
【請求項5】
下記一般式(3)
【化3】

[上記一般式(3)中、m及びnは前記に同じ]
で表される含フッ素オリゴマーとエピハロヒドリンとを、塩基存在下、一般式(3)で表される含フッ素オリゴマーに対して5重量倍量以上の2級または3級アルコール溶媒中で反応させることを特徴とする請求項2に記載の含フッ素オリゴマーの製造方法。

【公開番号】特開2009−29980(P2009−29980A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197084(P2007−197084)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(591180358)東ソ−・エフテック株式会社 (91)
【Fターム(参考)】