説明

含フッ素プロピオン酸誘導体の製造方法

【課題】本発明は、含フッ素プロピオン酸誘導体の製造方法に関する。
【解決手段】下記一般式[式中、Rは水素原子、フッ素原子または置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表し、Rは置換されていても良い炭素数1〜10のアルキル基または置換していてもよいフェニル基を表す。]で示される含フッ素プロピオン酸誘導体の製造方法を提供する。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医農薬等の生物活性物質及び機能性材料の原料として有用な含フッ素プロピオン酸誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
含フッ素有機化合物は、フッ素原子の持つ立体効果(ミミック効果)、電子的効果(ブロック効果)及び脂溶性効果により特異な生理活性や機能を発現することが知られており、医薬、農薬、機能性材料分野で幅広く用いられている化合物群である。
【0003】
含フッ素有機化合物を合成する方法としては、合成原料としてフッ素原子を既に有している含フッ素ビルディングブロックを用いる方法が有効である。中でも含フッ素プロピオン酸誘導体は、種々の含フッ素有機化合物合成の原料として(非特許文献1および2)、更に含フッ素機能性材料の原料として用いられおり(非特許文献3)、有用な含フッ素ビルディングブロックである。従来、その含フッ素プロピオン酸誘導体は、1,1−ジフルオロエチレンから合成する方法(非特許文献4)やペルフルオロアルキルマロン酸誘導体から合成する方法(特許文献1)などが報告されているが、合成に多段階を要したり、高価な試薬の使用が必要であったり、反応の収率が低いという問題点があった。
【0004】
【特許文献1】特開2004−115377号公報
【非特許文献1】T.Yokozawa,T.Nakai,N.Ishikawa, Tetrahedron Letters、1984年、25巻、p.3991〜3994
【非特許文献2】H.Yamanaka,T.Takekawa,K.Morita,T.Ishihara,J.T.Gupton,Tetrahedron Letters、1996年、37巻、p.1829〜1832
【非特許文献3】A.L.Henne,C.J.Fox,J.Am.Chem.Soc.、1951年、73巻、p.2323〜2325
【非特許文献4】C.Wakselman,M.Tordeux,J.Fluorine Chem.、1982年、21巻、p.99〜106
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、医農薬等の生物活性物質及び機能性材料の原料として有用な含フッ素プロピオン酸誘導体を簡便にかつ経済的に製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を鑑み鋭意検討を重ねた結果、一般式(1)で表される1,1−ジフルオロ−2,2,3−トリハロプロパン誘導体を、一般式(2)で表される金属アルコキシドで処理することにより、一般式(3)で表される含フッ素プロピオン酸誘導体を製造できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち本発明は、下記の発明を提供する。
【0008】
1.下記一般式(1)
【0009】
【化4】

【0010】
[上記一般式(1)中、Rは水素原子、フッ素原子または置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す。X及びXは同一または相異なってハロゲン原子を表す。]で示される1,1−ジフルオロ−2,2,3−トリハロプロパン誘導体と、下記一般式(2)
【0011】
【化5】

【0012】
[上記一般式(2)中、Rは置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。nが1の場合、Mはアルカリ金属を表し、nが2の場合、Mはアルカリ土類金属を表す。]で示される金属アルコキシドとを反応させることを特徴とする、下記一般式(3)
【0013】
【化6】

【0014】
[上記一般式(3)中、R及びRは前記と同義である。]で示される含フッ素プロピオン酸誘導体の製造方法。
2.一般式(2)で示される化合物が、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはカリウムエトキシドである前項1に記載の製造方法。
3.X及びXが同一または相異なって塩素原子または臭素原子である前項1または2に記載の製造方法。
4.Rがフッ素原子である前項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明の製造方法によれば、医農薬あるいは機能性材料の製造原料として産業上極めて有用な含フッ素プロピオン酸誘導体を簡便かつ経済的に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の製造方法における化学反応式を以下に示す。本発明は、下記一般式(1)で表される1,1−ジフルオロ−2,2,3−トリハロプロパン誘導体と下記一般式(2)で表される金属アルコキシドと反応させることにより下記一般式(3)で表される含フッ素プロピオン酸誘導体を製造する方法である。
【0017】
【化7】

【0018】
上記反応式中、Rは、水素原子、フッ素原子または置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す。Rで表される置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状、分岐状または環状構造のいずれであってもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等を例示することができる。
【0019】
で表されるアルキル基は、反応に害を及ぼさない置換基で置換されていてもよい。当該置換基として、例えば、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアシル基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基等を例示することができる。
【0020】
で表されるアルキル基はフッ素原子で置換されているものが好ましい。当該フッ素原子で置換されたアルキル基として、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロイソブチル基、ペルフルオロ−sec−ブチル基、ペルフルオロ−tert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘプチル基、ペルフルオロオクチル基、ペルフルオロデシル基、ペルフルオロシクロヘキシル基、ペルフルオロシクロヘキシルメチル基、ペルフルオロベンジル基等を例示することができる。
【0021】
上記反応式中、X及びXは同一または相異なってハロゲン原子を表す。X及びXで表されるハロゲン原子として、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を例示することができる。収率が高い点で、塩素原子、臭素原子が好ましい。また、収率が高いX及びXの組み合わせ(X、X)として、(臭素原子、塩素原子)、(臭素原子、臭素原子)、(塩素原子、塩素原子)の組み合わせが好ましい。
【0022】
上記一般式(1)で表される1,1−ジフルオロ−2,2,3−トリハロプロパン誘導体は、上記一般式(4)で表される3,3−ジフルオロ−2−ハロプロペン誘導体のハロゲン化反応により調製することができる。一般式(4)で表される3,3−ジフルオロ−2−ハロプロペン誘導体は一部市販されているが、市販されている3,3−ジフルオロプロペン誘導体のハロゲン化反応、続く脱離反応により容易に調製することができる。(A.L.Henne,M.Nager,J.Am.Chem.Soc.、1951年、73巻、p.1042〜1043)
【0023】
上記反応式中、Rは、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、または置換されていてもよいフェニル基を表す。Rで表される置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状、分岐状または環状構造のいずれであってもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ベンジル基等を例示することができ、収率が高い点でメチル基、エチル基が好ましい。また、該アルキル基はハロゲン原子等で置換されていてもよい。
【0024】
で表される置換されていてもよいフェニル基の置換基としては、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子等を例示することができる。
【0025】
上記一般式(2)中、Mは金属を示す。一般式(2)において、nが1の場合、Mはアルカリ金属を表し、nが2の場合、Mはアルカリ土類金属を表す。Mで表されるアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等を例示することができ、収率が高い点でナトリウム、カリウムが好ましい。また、該アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム等を例示することができる。
【0026】
一般式(2)で表される金属アルコキシドは一部市販されているが、対応するアルコールとナトリウムやカリウムなどの金属あるいは水素化ナトリウム、n−ブチルリチウムなどの塩基との反応で容易に調製することができる。
【0027】
本発明の製造方法において、上記一般式(2)で表される金属アルコキシドは、上記一般式(1)で表される1,1−ジフルオロ−2,2,3−トリハロプロパン誘導体に対して求核剤およびハロゲン化水素捕捉剤として働いており、該1,1−ジフルオロ−2,2,3−トリハロプロパン誘導体に対して0.1〜20倍モル量用いることにより、目的とする含フッ素プロピオン酸誘導体を製造することができるが、収率が高い点で3〜4倍モル量使用することが好ましい。
【0028】
本発明の製造方法における反応は有機溶媒中で行うことが好ましい。該有機溶媒としては、反応に害を及ぼさない有機溶媒であれば特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒等を例示でき、これら2種類以上を混合してもよい。
【0029】
本発明の製造方法における反応は、−78℃〜溶媒還流温度から適宜選ばれた温度で円滑に進行するが、収率が高い点で室温付近で実施することが好ましい。本発明の製造方法において、一般式(1)で表される1,1−ジフルオロ−2,2,3−トリハロプロパン誘導体と下記一般式(2)で表される金属アルコキシドとの反応時間は温度、圧力、容量等によって異なるが、通常は滴下終了後瞬時〜3時間が好ましく、瞬時〜30分がより好ましい。
【0030】
本発明の製造方法における後処理の方法としては、例えば、本発明の製造方法の反応液に水、塩酸等を添加することで反応を停止することができる。
【0031】
本発明の製造方法の反応後の混合溶液から目的物である一般式(3)で表される含フッ素プロピオン酸誘導体を単離する方法は、特に限定されないが、例えば溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、蒸留等の公知の方法を適宜適用して目的物を得ることができる。
【0032】
本発明の製造方法により製造される含フッ素プロピオン酸誘導体の分子量は好ましくは124〜1500、より好ましくは124〜700である。
【0033】
以下、実施例及び参考例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでない。
【実施例】
【0034】
実施例1
500ml容の2口フラスコにカリウムエトキシド(5.0g、59.1mmol)のジエチルエーテル懸濁液(200ml)を入れ、2,2,3−トリブロモ−1,1,1−トリフルオロプロパン(6.0g、17.9mmol)のジエチルエーテル溶液(50ml)を室温下でゆっくり滴下し、15分間攪拌した。その後、1M塩酸(50ml)を反応溶液に加え、さらに室温下30分間攪拌して反応を停止させた。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した残渣を蒸留により精製し、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸エチルを無色液体として得た[2.0g、収率72%、沸点106℃]。
【0035】
H−NMR(CDCl):δ1.30(t、J=7.0Hz、3H)、3.17(q、J=10.0Hz、2H)、4.24(q、J=7.0Hz,2H)
19F−NMR(CDCl):δ−63.9
MS(EI,M):156
【0036】
【化8】

【0037】
実施例2
100ml容の2口フラスコにカリウムエトキシド(349mg、4.15mmol)のテトラヒドロフラン懸濁液(15ml)を入れ、2,2,3−トリブロモ−1,1,1−トリフルオロプロパン(432mg、1.26mmol)およびデカン(179mg、1.26mmol)のテトラヒドロフラン溶液(10ml)を室温下でゆっくり滴下し、15分間攪拌した。その後、1M塩酸(10ml)を反応溶液に加え、さらに室温下30分間攪拌して反応を停止させた。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した残渣を蒸留により精製した。内部標準物質(デカン)を基準として、GCおよびH−NMRにより、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸エチルが生成されていることを確認した[収率75%]。
【0038】
実施例3
10ml容の2口フラスコにナトリウムエトキシド(50mg、0.73mmol)のテトラヒドロフラン溶液(3ml)を入れ、2,2,3−トリブロモ−1,1,1−トリフルオロプロパン(70mg、0.21mmol)およびデカン(30mg、0.21mmol)のテトラヒドロフラン溶液(2ml)を室温下でゆっくり滴下し、15分間攪拌した。その後、1M塩酸(2ml)を反応溶液に加え、さらに室温下30分間攪拌して反応を停止させた。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した残渣を蒸留により精製した。内部標準物質(デカン)を基準として、GCおよびH−NMRにより、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸エチルが生成されていることを確認した[収率72%]。
【0039】
【化9】

【0040】
実施例4
10ml容の2口フラスコにナトリウムエトキシド(50mg、0.73mmol)のジエチルエーテル懸濁液(3ml)を入れ、2,2,3−トリブロモ−1,1,1−トリフルオロプロパン(70mg、0.21mmol)およびデカン(30mg、0.21mmol)のジエチルエーテル溶液(2ml)を室温下でゆっくり滴下し、15分間攪拌した。その後、1M塩酸(2ml)を反応溶液に加え、さらに室温下30分間攪拌して反応を停止させた。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した残渣を蒸留により精製した。内部標準物質(デカン)を基準として、GCおよびH−NMRにより、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸エチルが生成されていることを確認した[収率56%]。
【0041】
実施例5
10ml容の2口フラスコにナトリウムエトキシド(50mg、0.73mmol)のヘキサン懸濁液(3ml)を入れ、2,2,3−トリブロモ−1,1,1−トリフルオロプロパン(70mg、0.21mmol)およびデカン(30mg、0.21mmol)のヘキサン溶液(2ml)を室温下でゆっくり滴下し、15分間攪拌した。その後、1M塩酸(2ml)を反応溶液に加え、さらに室温下30分間攪拌して反応を停止させた。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した残渣を蒸留により精製した。内部標準物質(デカン)を基準として、GCおよびH−NMRにより、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸エチルが生成されていることを確認した[収率52%]。
【0042】
実施例6
10ml容の2口フラスコにナトリウムエトキシド(50mg、0.73mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(3ml)を入れ、2,2,3−トリブロモ−1,1,1−トリフルオロプロパン(70mg、0.21mmol)およびデカン(30mg、0.21mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(2ml)を室温下でゆっくり滴下し、15分間攪拌した。その後、1M塩酸(2ml)を反応溶液に加え、さらに室温下30分間攪拌し反応を停止させた。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した残渣を蒸留により精製した。内部標準物質(デカン)を基準として、GCおよびH−NMRにより、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸エチルが生成されていることを確認した[収率51%]。
【0043】
実施例7
100ml容の2口フラスコにカリウムエトキシド(349mg、4.15mmol)のテトラヒドロフラン懸濁液(15ml)を入れ、2−ブロモ−2,3−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロプロパン(309mg、1.26mmol)およびデカン(179mg、1.26mmol)のテトラヒドロフラン溶液(10ml)を室温下でゆっくり滴下し、15分間攪拌した。その後、1M塩酸(10ml)を反応溶液に加え、さらに30分間攪拌し反応を停止させた。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した残渣を蒸留により精製した。内部標準物質(デカン)を基準として、GCおよびH−NMRにより、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸エチルが生成されていることを確認した[収率65%]。
【0044】
【化10】

【0045】
参考例1
500ml容の2口フラスコに2−ブロモー3,3,3−トリフルオロプロペン(30.6g、0.175mmol)の塩化メチレン溶液(300ml)を入れ、氷冷下で臭素(10.8ml、0.21mmol)を滴下し、混合液を室温下一晩攪拌した。その後、15%チオ硫酸ナトリウム水溶液(50ml)を反応溶液に加えて反応を停止させた。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した残渣を蒸留により精製し、2,2,3−トリブロモ−1,1,1−トリフルオロプロパンを無色液体として得た[49.1g、収量84%、沸点79−81℃(80mmHg)]。
【0046】
H−NMR(CDCl):δ4.17(s、2H)
19F−NMR(CDCl):δ−73.3
MS(EI):334(M+2)、336(M+4)
【0047】
【化11】

【0048】
参考例2
300ml容の2口フラスコに2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン(5.0g、0.029mmol)の塩化メチレン溶液(100ml)を入れ、塩素ガス雰囲気下室温にて一晩攪拌した。その後15%チオ硫酸ナトリウム水溶液(30ml)を反応溶液に加えて反応を停止させた。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した残渣を蒸留により精製し、2−ブロモ−2,3−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロプロパンを無色液体として得た[3.82g、収率54%、沸点112℃]。
【0049】
H−NMR(CDCl):δ4.16(s、2H)
19F−NMR(CDCl):δ−75.1
MS(EI):246(M+2)
【0050】
【化12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

[上記一般式(1)中、Rは水素原子、フッ素原子または置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す。X及びXは同一または相異なってハロゲン原子を表す。]で示される1,1−ジフルオロ−2,2,3−トリハロプロパン誘導体と、下記一般式(2)
【化2】

[上記一般式(2)中、Rは置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。nが1の場合、Mはアルカリ金属を表し、nが2の場合、Mはアルカリ土類金属を表す。]で示される金属アルコキシドとを反応させることを特徴とする、下記一般式(3)
【化3】

[上記一般式(3)中、R及びRは前記と同義である。]で示される含フッ素プロピオン酸誘導体の製造方法。
【請求項2】
一般式(2)で示される化合物が、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはカリウムエトキシドである請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
及びXが同一または相異なって塩素原子または臭素原子である請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
がフッ素原子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。

【公開番号】特開2008−19213(P2008−19213A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−192828(P2006−192828)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(000173762)財団法人相模中央化学研究所 (151)
【出願人】(591180358)東ソ−・エフテック株式会社 (91)
【Fターム(参考)】