説明

含フッ素ポリマーの製造方法

【課題】水素原子を有さない環構造を有する含フッ素ポリマーの製造方法の提供。
【解決手段】一般式(I)で表される化合物を重合させて一般式(II−A)〜(II−D)で表される構造単位を有するポリマーを製造しフッ素化処理をする。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な含フッ素ポリマーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
含フッ素ポリマーは化学的安定性、低誘電率、低屈折率、低粘性、潤滑性、撥水発油性、非粘着性などに優れており、種々の材料に応用されている。特に、実質的に水素原子を有さない含フッ素ポリマーは、水素原子を有する含フッ素ポリマーに比べて、とりわけ化学的安定性、低誘電率、低屈折率などが優れており、近年、その研究が活発になされている。さらに、含フッ素ポリマーのうち、主鎖に環状構造を有する含フッ素ポリマーは上記の性能に加えて、溶媒への溶解性、透明性(非晶質性)等が優れており、特に光ファイバーや反射防止膜に利用されている。
【0003】
環状構造を有する実質的に水素原子を有さない含フッ素ポリマーの製造法の一つに、含フッ素ジエンの環化重合がある。環化重合で製造される含フッ素ポリマーとしては、例えば、CF=CFO−(CFCF=CF(n=1、2)(特許文献1)、CF=CF−(CF−CF=CF(m=1〜5)(非特許文献1)、CF=CF−CFCFClCF−CF=CF(非特許文献1)、CF=CFO−CFCF−OCF=CF(特許文献2)、CF=CFO−CF−OCF=CF(特許文献3)等が報告されている。しかし、これらの合成は非常に難しいため、安価に合成することは困難であった。また、環化重合は、場合によっては1000MPaもの高圧や、希釈条件を必要とする問題点があった。
【0004】
ポリマーのフッ素化の例として、ペルフルオロアルキル基を有するポリマーのフッ素化の例が報告されている(特許文献4参照)。しかし、この方法で合成できるポリマーは、重合体側鎖にエステル基を有する構造に限定されるため、主鎖に環状構造を有する含フッ素ポリマーを合成することができなかった。
【0005】
【特許文献1】特開平1−131214
【特許文献2】英国特許第1,106,344号公報
【特許文献3】米国特許第5,589,557号公報
【特許文献4】国際公開第WO2002/079,274号パンフレット
【非特許文献1】Jounal of Polymer Science,Polymer Physics Edition. 1969,7(4),601−608.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、これまで製造が困難であった実質的に水素原子を有さない含フッ素ポリマーの安価かつ効率的な製造法を提供することである。また環状構造を有する繰返し単位よりなるポリマーの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題を解決するため種々検討した結果、下記手段により達成されることを見出した。
【0008】
(1)一般式(I)で表される化合物を重合させて一般式(II−A)〜(II−D)で表される構造単位のうち少なくとも一つを有するポリマーを製造し、その後、フッ素化処理をすることを特徴とする一般式(III−A)〜(III−D)のいずれかで表される構造単位の少なくとも一つを有する含フッ素ポリマーの製造方法。
【0009】
【化1】

【0010】
一般式(I)中、X、X、X、X、X及びXは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアルコキシ基を表す。Yは主鎖に酸素原子を有してもよいアルキレン基又はシクロアルキレン基である。
【0011】
【化2】

【0012】
一般式(II−A)〜(II−D)中、X、X、X、X、X、X及びYは一般式(I)中のX、X、X、X、X、X及びYと同義である。
【0013】
【化3】

【0014】
一般式(III−A)〜(III−D)中、X1F、X2F、X3F、X4F、X5F及びX6Fはハロゲン原子、実質的に水素を含まない含フッ素アルキル基、含フッ素シクロアルキル基及び含フッ素アルコキシ基を表す。ただし、フッ素化処理の前後において、X(n=1〜6の整数)が変化しない場合、XnFは一般式(I)中のXと同義である。Yは実質的に水素原子を有さず、且つ、主鎖に酸素原子を有してもよい含フッ素アルキレン基又はシクロアルキレン基である。ただし、フッ素化処理の前後においてYが変化しない場合、Yは一般式(I)中のYと同義である。
(2)フッ素化処理のフッ素源がフッ素ガスであることを特徴とする(1)記載の一般式(III)で表される構造単位を有する含フッ素ポリマーの製造方法。
(3)重合反応が、単独重合(一般式(II−A)〜(II−D)のいずれかで表されるもののみからなる構成単位のポリマーを生成する重合をいう。)であることを特徴とする(1)、(2)のいずれか一項に記載の一般式(III−A)〜(III−D)のいずれかで表される構造単位の少なくとも一つを有する含フッ素ポリマーの製造方法。
(4)X、X、X、X、X及びXが水素原子又はフッ素原子であり、少なくとも一つは水素原子を含み、且つ、X1F、X2F、X3F、X4F、X5F及びX6Fがフッ素原子であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載の一般式(III−A)〜(III−D)で表される構造単位のうち少なくとも一つを有する含フッ素ポリマーの製造方法。
(5)Yが一般式(IV−A)、(IV−B)又は(IV−C)のいずれか一つで表されることを特徴とし、Yが一般式(V−A)、(V−B)又は(V−C)のいずれか一つで表されることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一項に記載の一般式(III−A)〜(III−D)で表される構造単位のうち少なくとも一つを有する含フッ素ポリマーの製造方法。
【0015】
【化4】

【0016】
一般式(IV−A)、(IV−B)及び(IV−C)中、A、B及びCは各々独立に、−CR−又は−O−から選ばれる一つを表す。R及びRは各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。
【0017】
【化5】

【0018】
一般式(V−A)、(V−B)及び(V−C)中、A、B及びCは各々独立に、−CR1F2F−又は−O−から選ばれる一つを表す。R1F及びR2Fは各々独立に、ハロゲン原子、実質的に水素原子を有さない含フッ素アルキル基、実質的に水素原子を有さない含フッ素シクロアルキル基又は実質的に水素原子を有さない含フッ素アルコキシ基を表す。ただし、フッ素化処理の前後においてA、B及びCが変化しない場合、A、B及びCは一般式(IV−A)、(IV−B)中のR及びRと同義である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の製造方法により、構成単位に環状構造を有する含フッ素ポリマーが安価かつ効率的に製造することが可能となる。本発明によれば主鎖は環状構造を有する(環状構造の構成炭素原子がポリマーの主鎖に組込まれた)含フッ素ポリマーが煩雑な工程によらずに製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0021】
以下に本発明の一般式(I)で表される化合物について詳しく述べる。
一般式(I)中、X、X、X、X、X及びXは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアルコキシ基を表す。X、X、X、X、X及びXにおけるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子である。
【0022】
、X、X、X、X及びXにおけるアルキル基は、直鎖又は分岐のアルキル基であり、無置換のアルキル基であっても、置換基を有するアルキル基であってもよい。該アルキル基は、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が1〜30のアルキル基が好ましく、1〜20のアルキル基がより好ましく、1〜10のアルキル基が特に好ましい。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル等が挙げられる。
【0023】
置換基を有するアルキル基の該置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルフィノ基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィノ基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基などが挙げられる。
【0024】
置換基を有するアルキル基の上記置換基を以下に、さらに詳細に説明する。
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルキル基で、好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜10の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチルが挙げられ、多シクロアルキル基、例えば、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素原子数5〜30、より好ましくは炭素原子数5〜15の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基で、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)やトリシクロアルキル基等の多環構造の基が挙げられる。好ましくは単環のシクロアルキル基、ビシクロアルキル基であり、単環のシクロアルキル基が特に好ましい。)、シクロアルキル基は3〜10員環が好ましい。
【0025】
アルケニル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルケニル基で、好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10のアルケニル基であり、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜10の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基で、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)が挙げられ、多シクロアルケニル基、例えば、ビシクロアルケニル基(好ましくは、炭素原子数5〜30、より好ましくは炭素原子数5〜15の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基で、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)]、やトリシクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基であり、単環のシクロアルケニル基が特に好ましい。)アルキニル基(好ましくは、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜15の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、
【0026】
アリール基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基で、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5〜7員の置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、芳香族もしくは非芳香族、単環もしくは縮環のヘテロ環基であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子および硫黄原子から選択され、かつ窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかのヘテロ原子を少なくとも一個有するヘテロ環基であり、更に好ましくは、炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数5〜12の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、
【0027】
アルコキシ基(好ましくは、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換もしくは無置換のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素原子数3〜20、より好ましくは炭素原子数3〜10のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数5〜12の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、
【0028】
アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜12の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基であり、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基で、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素原子数7〜30、より好ましくは炭素原子数7〜15の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、
【0029】
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜12の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、炭素原子数0〜30のヘテロ環アミノ基であり、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、N−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜12の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基であり、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、
【0030】
アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数7〜30、より好ましくは炭素原子数7〜10の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素原子数0〜30、より好ましくは炭素原子数0〜10の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基で、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基であり、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、
【0031】
アルキルチオ基(好ましくは、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換もしくは無置換のアルキルチオ基で、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜12の置換もしくは無置換のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素原子数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基で、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルフィノ基、スルホ基、
【0032】
アルキル及びアリールスルフィノ基(好ましくは、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換または無置換のアルキルスルフィノ基、6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換または無置換のアリールスルフィノ基であり、例えば、メチルスルフィノ、エチルスルフィノ、フェニルスルフィノ、p−メチルフェニルスルフィノ)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜10の置換または無置換のアリールスルホニル基であり、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素原子数7〜30、より好ましくは炭素原子数7〜13の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基であり、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素原子数7〜30、より好ましくは炭素原子数7〜13の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、
【0033】
アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素原子数1〜30、より好ましくは炭素原子数1〜10の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜12の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜10の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基(ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましい)、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換もしくは無置換のイミド基で、例えばN−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜15の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換もしくは無置換のホスフィニル基で、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、
【0034】
ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基で、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数2〜30、より好ましくは炭素原子数2〜10の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基で、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素原子数3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜10の置換もしくは無置換のシリル基で、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)が挙げられる。
【0035】
上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられ、具体的には、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
【0036】
、X、X、X、X及びXにおけるシクロアルキル基には、置換基を有するシクロアルキル基及び無置換のシクロアルキル基が含まれる。前記シクロアルキル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が好ましくは、3〜30、より好ましくは炭素原子数3〜10のシクロアルキル基が好ましい。シクロアルキル基の例には、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが含まれる。これらシクロアルキル基が有してもよい置換基の例は、前記アルキル基の置換基の例として挙げたものがあげられる。
【0037】
、X、X、X、X及びXにおけるアルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基及び無置換のアルコキシ基が含まれる。前記シクロアルキル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が、1〜30、特に炭素原子数1〜10のアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシなどが含まれる。これらアルコキシ基が有してもよい置換基の例は、前記アルコキシ基の置換基の例として挙げたものがあげられる。
【0038】
、X、X、X、X及びXは、好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基及び炭素数1〜5のアルコキシ基から選ばれるが、少なくとも一つは水素原子であることが、重合性の点からが好ましく、水素原子及びフッ素原子であり、少なくとも一つは水素原子であることが特に好ましい。X、X、X、X、X及びXのうち、1〜4個が水素原子であることが好ましく、1〜2個が水素原子であることがより好ましい。またXおよび/またはXが水素原子であることが好ましい。X、X、X、X、X及びXのうち、2〜6個がフッ素原子であることが好ましく、3〜5個がフッ素原子であることがより好ましい。またX、X、X、Xの一部または全部がフッ素原子であることが好ましい。
【0039】
Yは主鎖に酸素原子を有してもよいアルキレン基又はシクロアルキレン基あり、炭素数1〜10、特に炭素原子数1〜10の主鎖に酸素原子を有してもよいアルキレン基及びシクロアルキレン基が好ましく、とりわけ、Yは一般式(IV−A)〜(IV−C)で表される構造が好ましい。
【0040】
【化6】

【0041】
一般式(IV−A)〜(IV−C)中、A、B及びCは、各々独立に、−C(R)R−又は−O−から選ばれる一つを表す。R及びRは各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアルコキシ基を表す。
【0042】
及びRにおけるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。R及びRにおけるアルキル基には、置換基を有するアルキル基及び無置換のアルキル基が含まれる。前記アルキル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が1〜30、特に炭素原子数1〜10のアルキル基が好ましい。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルなどが含まれる。これらアルキル基が有してもよい置換基の例には、前記アルキル基の置換基の例として挙げたものが挙げられる。
【0043】
及びRにおけるシクロアルキル基には、置換基を有するシクロアルキル基及び無置換のシクロアルキル基が含まれる。前記シクロアルキル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が3〜30、特に炭素原子数1〜10のシクロアルキル基が好ましい。シクロアルキル基の例には、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが含まれる。これらシクロアルキル基が有してもよい置換基の例は、前記アルキル基の置換基の例として挙げたものがあげられる。
【0044】
及びRにおけるアルケニル基には、置換基を有するアルケニル基及び無置換のアルケニル基が含まれる。前記アルケニル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が2〜30、特に炭素原子数2〜10のアルケニル基が好ましい。アルケニル基の例には、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイルなどが含まれる。これらアルケニル基が有してもよい置換基の例には、前記アルキル基の置換基の例として挙げたものが挙げられる。
【0045】
及びRにおけるアルキニル基には、置換基を有するアルキニル基及び無置換のアルキニル基が含まれる。前記アルキニル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が2〜30、特に炭素原子数2〜10のアルキニル基が好ましい。アルキニル基の例には、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基などが含まれる。これらアルキニル基が有してもよい置換基の例には、前記アルキニル基の置換基の例として挙げたものが挙げられる。
【0046】
及びRにおけるアルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基及び無置換のアルコキシ基が含まれる。前記アルコキシ基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が1〜30、特に炭素原子数1〜10のアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシなどが含まれる。これらアルコキシ基が有してもよい置換基の例は、前記アルキル基の置換基の例として挙げたものがあげられる。
【0047】
及びRとしては、水素原子、フッ素原子、塩素原子、含フッ素アルキル基、含フッ素シクロアルキル基及び含フッ素アルコキシ基が好ましく、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5の実質的に水素原子を含まない含フッ素アルキル基、炭素数4〜10の実質的に水素原子を含まない含フッ素シクロアルキル基及び炭素数1〜5の実質的に水素原子を含まない含フッ素アルコキシ基が最も好ましい。
本発明において、基全般について「実質的に水素原子を有さない(もしくは含まない)」とは、基について水素原子が1H NMR測定による測定限界以下であることを意味する。
【0048】
本発明の一般式(II−A)〜(II−D)で表される構造単位について詳しく述べる。一般式(II−A)〜(II−D)は、一般式(I)を重合してできたポリマーが有する構造単位である。このポリマーは、一般式(II−A)〜(II−D)から選ばれる少なくとも一つの構造単位を有する。ポリマーがどの構造を有するかは、一般式(I)で表されるモノマーの長さや置換基、重合条件により異なるため一義的に決定することは困難であるが、(II−A)、(II−B)及び(II−C)が好ましい。一般式(II−A)〜(II−D)中、X、X、X、X、X、X及びYは一般式(I)中のX、X、X、X、X、X及びYと同義である。
【0049】
一般式(III−A)〜(III−D)で表される構造について詳しく述べる。一般式(III−A)〜(III−D)は、(II−A)〜(II−D)から選ばれる少なくとも一つの構造を有するポリマーをフッ素化してできるポリマーが有する構造単位である。一般式(II−m)(m=A、B、C及びD)の構造単位を有するポリマーをフッ素化した場合、一般式(III−m)の構造単位を有するポリマーが得られる。一般式(III−A)〜(III−D)中、X1F、X2F、X3F、X4F、X5F及びX6Fはハロゲン原子、実質的に水素原子を含まない含フッ素アルキル基、実質的に水素原子を有さない含フッ素シクロアルキル基及び実質的に水素原子を有さない含フッ素アルコキシ基を表す。ただし、フッ素化処理の前後において、X(n=1〜6の整数)が変化しない場合、XnFは一般式(I)中のXと同義である。
【0050】
1F、X2F、X3F、X4F、X5F及びX6Fにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。X1F、X2F、X3F、X4F、X5F及びX6Fにおける実質的に水素原子を含まない含フッ素アルキル基には、置換基を有する含フッ素アルキル基及び無置換の含フッ素アルキル基が含まれる。前記の実質的に水素原子を含まない含フッ素アルキル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が1〜30の含フッ素アルキル基が好ましい。実質的に水素原子を有さない含フッ素アルキル基の例には、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ペルフルオロ−n−プロピル、ペルフルオロイソプロピル、ペルフルオロ−t−ブチル、ペルフルオロ−sec−ブチル、ペルフルオロ−n−ペンチル、ペルフルオロ−n−ヘキシル、ペルフルオロ−n−ヘプチル、ペルフルオロ−n−オクチルなどが含まれる。これら実質的に水素原子を含まない含フッ素アルキル基が有してもよい置換基の例には、前記アルキル基の置換基の例として挙げたものが挙げられる。
【0051】
1F、X2F、X3F、X4F、X5F及びX6Fにおける実質的に水素原子を含まない含フッ素シクロアルキル基には、置換基を有する含フッ素シクロアルキル基及び無置換の含フッ素シクロアルキル基が含まれる。前記の実質的に水素原子を含まない含フッ素シクロアルキル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が3〜30の含フッ素シクロアルキル基が好ましい。実質的に水素原子を含まない含フッ素シクロアルキル基の例には、ペルフルオロシクロペンチル、ペルフルオロシクロヘキシル、ペルフルオロシクロヘプチル、ペルフルオロシクロオクチルなどが含まれる。これら実質的に水素原子を含まない含フッ素シクロアルキル基が有してもよい置換基の例は、前記アルキル基の置換基の例として挙げたものがあげられる。
【0052】
1F、X2F、X3F、X4F、X5F及びX6Fにおける実質的に水素原子を含まない含フッ素アルコキシ基には、置換基を有する含フッ素アルコキシ基及び無置換の含フッ素アルコキシ基が含まれる。前記実質的に水素原子を含まない含フッ素アルコキシ基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が1〜30の含フッ素アルコキシ基が好ましい。アルコキシ基の例には、トリフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシ、ペルフルオロイソプロポキシ、ペルフルオロ−t−ブトキシ、ペルフルオロ−n−オクチルオキシ、ペルフルオロ−2−メトキシエトキシなどが含まれる。これら実質的に水素原子を含まないアルコキシ基が有してもよい置換基の例は、前記アルキル基の置換基の例として挙げたものがあげられる。
1F、X2F、X3F、X4F、X5F及びX6Fは、フッ素原子、含フッ素アルキル基及び含フッ素アルコキシ基が好ましく、フッ素原子であることが特に好ましい。
【0053】
は、実質的に水素原子を有さず、且つ、主鎖に酸素原子を有してもよい含フッ素アルキレン基又はシクロアルキレン基である。これらのうち、実質的に水素原子を含まない炭素数1〜10の実質的に水素原子を有さず、且つ、主鎖に酸素原子を有してもよい含フッ素アルキレン基又はシクロアルキレン基が好ましく、特に、Yは一般式(V−A)〜(V−C)で表される構造であることが好ましい。
【0054】
【化7】

【0055】
一般式(V−A)〜(V−C)中、AF、B及びCは、各々独立に、−CR1F2F−又は−O−から選ばれる一つを表す。R1F及びR2Fは各々独立に、ハロゲン原子、実質的に水素原子を含まない含フッ素アルキル基、含フッ素シクロアルキル基及び含フッ素アルコキシ基を表す。
【0056】
1F及びR2Fにおけるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子である。R1F及びR2Fにおける実質的に水素原子を含まないアルキル基には、置換基を有する含フッ素アルキル基及び無置換の含フッ素アルキル基が含まれる。前記の実質的に水素原子を含まない含フッ素アルキル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が1〜30のアルキル基が好ましい。実質的に水素原子を含まない含フッ素アルキル基の例には、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ペルフルオロ−n−プロピル、ペルフルオロイソプロピル、ペルフルオロ−tetr−ブチル、ペルフルオロ−sec−ブチル、ペルフルオロ−n−ペンチル、ペルフルオロ−n−ヘキシル、ペルフルオロ−n−ヘプチル、ペルフルオロ−n−オクチルなどが含まれる。これら実質的に水素原子を含まない含フッ素アルキル基が有してもよい置換基の例には、前記アルキル基の置換基の例として挙げたものが挙げられる。
【0057】
1F及びR2Fにおける実質的に水素原子を含まない含フッ素シクロアルキル基には、置換基を有する含フッ素シクロアルキル基及び無置換の含フッ素シクロアルキル基が含まれる。前記の実質的に水素を含まない含フッ素シクロアルキル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が3〜30の含フッ素シクロアルキル基が好ましい。実質的に水素原子を含まない含フッ素シクロアルキル基の例には、ペルフルオロシクロペンチル、ペルフルオロシクロヘキシル、ペルフルオロシクロヘプチル、ペルフルオロシクロオクチルなどが含まれる。これら実質的に水素原子を含まない含フッ素シクロアルキル基が有してもよい置換基の例は、前記アルキル基の置換基の例として挙げたものがあげられる。
【0058】
1F及びR2Fにおける実質的に水素原子を含まない含フッ素アルコキシ基には、置換基を有する含フッ素アルコキシ基及び無置換の含フッ素アルコキシ基が含まれる。前記の実質的に水素原子を含まない実質的に水素原子を含まない含フッ素アルコキシ基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が1〜30の含フッ素アルコキシ基が好ましい。アルコキシ基の例には、トリフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシ、ペルフルオロイソプロポキシ、ペルフルオロ−tert−ブトキシ、ペルフルオロ−n−オクチルオキシ、ペルフルオロ−2−メトキシエトキシなどが含まれる。これら実質的に水素原子を含まないアルコキシ基が有してもよい置換基の例は、前記アルキル基の置換基の例として挙げたものがあげられる。
【0059】
1F及びR2Fとしては、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜5の実質的に水素原子を含まない含フッ素アルキル基、炭素数4〜10の実質的に水素原子を含まない含フッ素シクロアルキル基及び炭素数1〜5の実質的に水素原子を含まない含フッ素アルコキシ基が好ましく、フッ素原子、炭素数1〜3の実質的に水素原子を含まない含フッ素アルキル基が最も好ましい。
【0060】
以下に、本発明の一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、これによって本発明が限定されるものではない。
【0061】
【化8】

【0062】
以下に、本発明の一般式(II−A)で表される構造単位の具体例を示すが、これによって本発明が限定されるものではない。また、ここに挙げた一般式(II−A)の構造異性体である一般式(II−B)〜一般式(II−D)も例として挙げられる。
【0063】
【化9】

【0064】
以下に、本発明の一般式(III−A)で表される構造の具体例を示すが、これによって本発明が限定されるものではない。また、ここに挙げた一般式(III−A)の構造異性体である一般式(III−B)〜一般式(III−D)も例として挙げられる。
【0065】
【化10】

【0066】
次に本発明における一般式(I)の重合による一般式(II−A)〜(II−D)で表される構造単位のうち少なくとも一つを有するポリマーの製造方法について詳しく述べる。本発明における重合反応は、特に限定されないが、ラジカル重合で行うことが特に好ましい。ラジカル重合には、光を照射して行う方法及び重合開始剤を用いる方法等があるが、重合開始剤を用いて行うのが好ましい。重合開始剤は、一般的なラジカル重合用のラジカル開始剤を用いることができ、例えば有機過酸化物(例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、過酸化tert−ブチル、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、(CCOO−)、(CCOO−)、(CCOO−)、(C13COO−)、((CFCO−)等)、無機過酸化物(例えば、K、Na、(NH等)アゾ化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミノプロパン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸−2−ペルフルオロオクチルエチル)等)、金属−過酸化物系(例えば、鉄(II)イオン−過酸化水素等)が好ましい。
【0067】
重合方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合及び乳化重合等が挙げられ、特に制限なく用いることができる。重合反応に溶媒を用いる場合、溶媒としては、水、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(例えば、ペンタン、ヘキサン等)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン、メシチレン等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオンニトリル等)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)、カルボン酸類(例えば、酢酸、プロピオン酸等)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、3−メチルブタノール等)、フッ素系溶媒(例えば、ペルフルオロアルカン(構造異性体混合物であっても良い。例えばペルフルオロペンタン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロヘプタン、ペルフルオロオクタン等)、ペルフルオロシクロアルカン(構造異性体であっても良い。例えば、ペルフルオロシクロペンタン、ペルフルオロシクロヘキサン、ペルフルオロシクロヘプタン、ペルフルオロシクロオクタン)、ペルフルオロエーテル(構造異性体であっても良い。例えば、FluorinertTM FC−75(商品名、スリーエム社製)、KrytoxTM(商品名、デュポン社製))、ペルフルオロアルキルアミン(構造異性体混合物であっても良い。例えばペルフルオロトリブチルアミン)等が挙げられる。重合反応に用いる溶媒は、単独で用いても二種類以上を混合して用いても良い。
【0068】
重合反応における温度は、特に制限はないが、−30℃〜200℃で重合を行うことが好ましく、0℃〜150℃が最も好ましい。また、重合反応における圧力(内圧)は、特に制限はないが、常圧〜5MPaが好ましく、常圧〜2MPaが最も好ましい。重合反応には、単独重合(一種類の一般式(I)で表される化合物のみの重合)か共重合(二種類以上のモノマーが存在する系での重合)がある。一般式(I)で表される化合物を共重合させる場合、他方のモノマーとしては、その他の一般式(I)で表される化合物、及び、炭化水素系モノマー(例えば、オレフィン系(例えば、エチレン、プロピレン等)、ビニル系(例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル等)、共役エステル系(例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等)、環状オレフィン系(例えば、2−ノルボルネン、シクロペンテン等)、共役ジエン系(ブタジエン、イソブテン等)、アセチレン系(アセチレン、アセチレンジカルボン酸ジメチル等))、含フッ素系モノマー(例えば、含フッ素オレフィン系(例えば、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン等)、含フッ素アルキルビニルエーテル系(例えば、ペルフルオロプロピルビニルエーテル等)、環状オレフィン系(例えばペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソノール)等))等が挙げられる。これらのうち、特にオレフィン系、環状オレフィン系、含フッ素オレフィン系、含フッ素環状オレフィン系が特に好ましい。共重合させる場合、他方のモノマーは単独でも二種類以上であっても良い。共重合でのモノマー組成比は、使用モノマーのモル比、反応条件等で調節することができる。重合反応としては、単独重合が好ましい。
【0069】
次に、本発明における一般式(II−A)〜(II−D)で表される構造単位のうち少なくとも一つを有するポリマーのフッ素化処理による一般式(III−A)〜(III−D)で表される構造単位のうち少なくとも一つを有する含フッ素ポリマーの製造方法について詳しく述べる。
フッ素化剤は、炭素−水素結合と反応して炭素−フッ素結合に変換できるものなら特に制限なく用いることができる。このようなフッ素化剤の例としては、フッ素ガス、XeF、CoF等が挙げられるが、フッ素ガスが経済的な観点から特に好ましい。フッ素化の方法としては、特に制限がないが、次の二つの方法が考えられる。
(方法1)ポリマーを含む系にフッ素化剤を添加していく方法。
(方法2)溶媒に、ポリマーを含む系とフッ素化剤を同時に添加して反応させる方法。
これらのうち、方法2が効率の点から最も好ましい。フッ素化剤の使用量は、ポリマーの反応点に対し、1.0〜5.0モル当量であることが好ましく、1.0〜2.0モル当量であることが最も好ましい。フッ素化の反応温度は、−50〜100℃で行うことが好ましく、−10℃〜50℃で行うのが最も好ましい。
【0070】
ポリマーをフッ素化する際、ポリマーは、固体もしくは溶融した状態でフッ素化剤を反応させる方法、含フッ素ポリマーを溶解した溶液をフッ素化剤と反応させる方法、及び、含フッ素ポリマーを分散した(つまり不均一の状態で)フッ素化剤と反応させる方法が挙げられる。これらのうち、反応効率の点から、含フッ素ポリマーを溶解した溶液をフッ素化剤と反応させる方法が特に好ましい。
【0071】
含フッ素ポリマーを溶解させる溶媒は、オゾン層を破壊することがなく、かつ実質的にフッ素と反応しない溶媒であることが好ましい。それらの例として、ペルフルオロアルカン(構造異性体混合物であっても良い。例としてはペルフルオロペンタン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロヘプタン、ペルフルオロオクタン)、ペルフルオロシクロアルカン(構造異性体であっても良い。例としては、ペルフルオロシクロペンタン、ペルフルオロシクロヘキサン、ペルフルオロシクロヘプタン、ペルフルオロシクロオクタン)、ペルフルオロエーテル(構造異性体であっても良い。例としては、FluorinertTM FC−75(商品名、スリーエム社製)、KrytoxTM(商品名、デュポン社製))、ペルフルオロアルキルアミン(構造異性体混合物であっても良い。例としてはペルフルオロトリブチルアミン)、ペルフルオロ酸フルオリド(構造異性体混合物であっても良い。例としては、ペルフルオロ(2−メチル−3−オキサヘキサノイル)フルオリド、ペルフルオロ(2,5,8−トリメチル−3,6,9−トリオキサドデカノイル)フルオリドなど)、フッ化水素、水、トリフルオロ酢酸、超臨界二酸化炭素、アセトニトリルなどが挙げられる。上記に挙げた溶媒のうち、一部のフッ素を水素に置き換えたもの(例えば、6H−トリデカフルオロヘキサン、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピオニルフルオリドなど)や、一部のフッ素をハロゲンに置き換えたもの(例えば、ペルフルオロオクチルヨージド、ペルフルオロヘキシルブロミドなど)などといった、部分的にフッ素と反応する箇所を有する溶媒も、場合により用いることが可能である。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いても良い。上記にあげた溶媒のうち、ペルフルオロアルカン、ペルフルオロシクロアルカン、ペルフルオロエーテル、ペルフルオロアルキルアミン及びペルフルオロ酸フルオリドが最も好ましい。用いる溶媒の量としては、好ましくは注入する基質体積の0.1〜500倍の体積であり、より好ましくは1〜300倍の体積であり、さらに好ましくは3〜200倍である。
【0072】
フッ素化反応が進行しにくい場合は、単独ですみやかにフッ素化反応が進行する基質の存在下で反応を行うと、フッ素化反応を促進することができる。単独ですみやかにフッ素化反応が進行する基質とは、フッ素と容易に反応できる箇所を多く有している化合物をいう。それらの例として、フッ素原子、酸素原子および不飽和結合を含んでもよい炭素数5〜30の直鎖、分岐鎖、または環状の炭化水素化合物(但し、分子内に一つ以上の不飽和結合または一つ以上のC−H結合を有している)であり、具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘキセン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルエチルエーテル、ベンゼン、トルエン、フルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、4-フルオロトリメチルベンゼン、ヘキサフルオロベンゼンを挙げることができる。これらの化合物は、溶媒に可溶であっても不溶であっても、反応を加速することができれば特に制限なく使用することができるが、溶媒に可溶であることが好ましい。単独ですみやかにフッ素化反応が進行する基質は、固体や溶融した含フッ素ポリマーに混合したり、含フッ素ポリマー溶液に添加する方法がある。
【0073】
本発明の反応ではフッ素ガスを希釈せずそのまま用いても良いが、不活性ガスと混合して用いる方が安全である。不活性ガスとしては窒素ガスまたはヘリウムガスが好ましく、経済的観点から窒素ガスが好ましい。不活性ガス中のフッ素ガスの濃度としては、好ましくは10〜50体積%であり、より好ましくは20〜30体積%である。
【0074】
反応終了後、フッ素化が完全に進行していない場合は、前記の単独ですみやかにフッ素化反応が進行する基質をフッ素化剤と同時に反応系に添加することによって反応を終了させることができる。単独ですみやかにフッ素化反応が進行する基質の使用量は、原料のポリマーの反応性に依存するため、一概には決定できないが、概ね、基質の反応点に対し、単独ですみやかにフッ素化反応が進行する基質の反応点が0.010〜1.0モル当量になるように用いることが好ましく、0.10〜0.50モル当量になるように用いることが最も好ましい。単独ですみやかにフッ素化反応が進行する基質の導入方法は、溶媒に溶解もしくは分散させて導入してもよく、ニートで導入しても良い。
本発明の製造方法によって得られる含フッ素ポリマーは、光ファイバーや反射防止膜等の材料として利用可能である。
【実施例】
【0075】
以下に本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0076】
【化11】

【0077】
(合成例1)化合物Aの合成
【0078】
水酸化ナトリウム10N溶液(100mL)に、2−クロロ−2,2−ジフルオロエタノール116g(1.0mol)を氷冷下で加え、30分間攪拌した。その後、チオホスゲン46mL(600mmol)を塩化メチレン60mLに溶解させ、氷冷下で滴下し、2時間攪拌した。次に、酢酸エチル100mLを加え、分液操作を行い、有機層を濃縮した。その後、減圧蒸留することにより、化合物Aが102.9g(374mmol、収率62%)が得られた。
【0079】
以下に得られた化合物Aのスペクトルデータを記す。
H NMR(300MHz,溶媒 CDCl)δ4.93(t,J=10.1Hz,2H)
19F NMR(282MHz,溶媒 CDCl)δ−61.97(t,J=10.1Hz,2F)
【0080】
(合成例2)化合物Bの合成
【0081】
化合物A(100.0g、363.5mmol)を塩化メチレン200mLに加えた。その溶液に、塩素ガスを室温で6時間吹き込んだ。その後、セライト(商品名、和光純薬社製)を用いて反応溶液をろ過し、水100mLを加えて分液操作を行い、有機層を濃縮した。その後、減圧蒸留することにより、化合物Bが97.0g(309mmol、収率85%)が得られた。
【0082】
以下に得られた化合物Bのスペクトルデータを記す。
H NMR(300MHz,溶媒 CDCl)δ4.43(t,J=10.0Hz,2H)
19F NMR(282MHz,溶媒 CDCl)δ−62.12(t,J=10.0Hz,2F)
【0083】
(合成例3)化合物Cの合成
SbF(1.79g,10mmol)、アセトニトリル10mL、臭素(0.01g、0.063mmol)の混合溶液に、化合物B(3.16g、10mmol)を室温で滴下した。3時間攪拌後、酢酸エチル20mL、水20mLを加え、分液操作を行い、有機層を濃縮した。その後、常圧蒸留することにより、化合物Cが2.19g(7.81mmol、収率78%)得られた。
【0084】
以下に得られた化合物Cのスペクトルデータを記す。
H NMR(300MHz,溶媒 CDCl)δ4.13(t,J=10.0Hz,2H)
19F NMR(282MHz,溶媒 CDCl)δ−62.1(t,J=10.0Hz,2F)
【0085】
(合成例4)化合物(I−10)の合成
化合物C(10.0g、35.6mmol)を水酸化カリウム(4.20g、75.0mmol)及びジメチルスルホキシド5.0mLに加え、外温100℃に加熱した。1時間反応させた後、常圧蒸留により化合物(I−10)が4.12g(19.7mmol)得られた。
【0086】
以下に得られた化合物(I−10)のスペクトルデータを記す。
H NMR(300MHz,溶媒 CDCl)δ4.10(m,2H)
19F NMR(282MHz,溶媒 CDCl)δ−65.57(t,J=2.1Hz,2F)、−93.54(m,2F)、−112.32(m,2F)
【0087】
(実施例1)化合物(I−10)のポリマー化
化合物(I−10)4.00g(19.2mmol)に過酸化ペルフルオロベンゾイル0.015g(0.036mmol)を加えた。この混合物を−196℃に冷却し、真空ポンプで吸引し、窒素置換をして室温に戻した。この操作をさらに2回行った。その後、50℃で5日間加熱を行った。得られたポリマーをヘキサフルオロベンゼンに溶解させ、クロロホルム中で沈殿させた。その結果、構造(II−A−10)〜(II−D−10)で表される構造単位のうち少なくとも一つを有するポリマーが2.62g得られた。
【0088】
(実施例2)ポリマーのフッ素化
実施例1で得られたポリマー2.00gをFluorinertTM FC−75(商品名、スリーエム社製)に溶解し、30mLの溶液を得た。次に、ヘリウムガスで脱気したFluorinertTM FC−75(175mL)に窒素で20%に希釈したフッ素ガスを100ml/minで導入した。そこに、ポリマー溶液30mLを16.6ml/hで加えた。ポリマー溶液を全て注入した後、フッ素ガスの流速を50ml/minにした。そこに、ヘキサフルオロベンゼン0.12g(0.64mmol)のFluorinertTM FC−75溶液5.0mLを5.0mL/hで加えた。反応終了後、FC−75を濃縮することにより、ポリマーが1.79g得られた。このポリマーは、H NMRで水素原子が完全に消失していた。このポリマーは非晶質、透明性で重量平均分子量は35000であった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で表される化合物を重合させて一般式(II−A)〜(II−D)で表される構造単位のうち少なくとも一つを有するポリマーを製造し、その後、フッ素化処理をすることを特徴とする一般式(III−A)〜(III−D)のいずれかで表される構造単位の少なくとも一つを有する含フッ素ポリマーの製造方法。
【化1】

一般式(I)中、X、X、X、X、X及びXは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアルコキシ基を表す。Yは主鎖に酸素原子を有してもよいアルキレン基又はシクロアルキレン基である。
【化2】

一般式(II−A)〜(II−D)中、X、X、X、X、X、X及びYは一般式(I)中のX、X、X、X、X、X及びYと同義である。
【化3】

一般式(III−A)〜(III−D)中、X1F、X2F、X3F、X4F、X5F及びX6Fはハロゲン原子、実質的に水素を含まない含フッ素アルキル基、含フッ素シクロアルキル基及び含フッ素アルコキシ基を表す。ただし、フッ素化処理の前後において、X(n=1〜6の整数)が変化しない場合、XnFは一般式(I)中のXと同義である。Yは実質的に水素原子を有さず、且つ、主鎖に酸素原子を有してもよい含フッ素アルキレン基又はシクロアルキレン基である。ただし、フッ素化処理の前後においてYが変化しない場合、Yは一般式(I)中のYと同義である。
【請求項2】
フッ素化処理のフッ素源がフッ素ガスであることを特徴とする請求項1記載の一般式(III−A)〜(III−D)で表される構造単位のうち少なくとも一つを有する含フッ素ポリマーの製造方法。
【請求項3】
重合反応が、単独重合であることを特徴とする請求項1〜2のいずれか一項に記載の一般式(III−A)〜(III−D)のいずれかで表される構造単位の少なくとも一つを有する含フッ素ポリマーの製造方法。
【請求項4】
、X、X、X、X及びXが水素原子又はフッ素原子であり、少なくとも一つは水素原子を含み、且つ、X1F、X2F、X3F、X4F、X5F及びX6Fがフッ素原子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の一般式(III−A)〜(III−D)で表される構造単位のうち少なくとも一つを有する含フッ素ポリマーの製造方法。
【請求項5】
Yが一般式(IV−A)、(IV−B)又は(IV−C)のいずれか一つで表されることを特徴とし、Yが一般式(V−A)、(V−B)又は(V−C)のいずれか一つで表されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の一般式(III−A)〜(III−D)で表される構造単位のうち少なくとも一つを有する含フッ素ポリマーの製造方法。
【化4】

一般式(IV−A)、(IV−B)及び(IV−C)中、A、B及びCは各々独立に、−CR−又は−O−から選ばれる一つを表す。R及びRは各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。
【化5】

一般式(V−A)、(V−B)及び(V−C)中、A、B及びCは各々独立に、−CR1F2F−又は−O−から選ばれる一つを表す。R1F及びR2Fは各々独立に、ハロゲン原子、実質的に水素原子を有さない含フッ素アルキル基、実質的に水素原子を有さない含フッ素シクロアルキル基又は実質的に水素原子を有さない含フッ素アルコキシ基を表す。ただし、フッ素化処理の前後においてA、B及びCが変化しない場合、A、B及びCは一般式(IV−A)、(IV−B)中のR及びRと同義である。

【公開番号】特開2007−262228(P2007−262228A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−88701(P2006−88701)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】