説明

含フッ素共重合体、塗料用組成物および塗装物品

【課題】耐溶剤性を維持したまま耐折れ曲げ性が向上した塗膜を与える含フッ素共重合体を提供する。
【解決手段】(a)テトラフルオロエチレン構造単位20モル%以上で49モル%以下、(b)水酸基とカルボキシル基とを含まない非芳香族系のビニルエステルモノマー構造単位25モル%以上で69.9モル%以下、(c)水酸基含有ビニルモノマー構造単位10.5モル%以上で15モル%未満、(d)水酸基とカルボキシル基とを含まない芳香族基含有モノマー構造単位2モル%以上で15モル%以下、(e)水酸基と芳香族基とを含まないカルボキシル基含有モノマー構造単位0.1モル%以上で2.0モル%以下および(f)その他モノマー構造単位0モル%または10モル%以下からなり、数平均分子量が14000〜25000である含フッ素共重合体、該共重合体を塗膜形成成分として含む塗料用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な含フッ素共重合体、該含フッ素共重合体を含む塗料用組成物、および該塗料用組成物を塗装して得られる塗装物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、含フッ素共重合体は分子内のC−F結合の高い結合エネルギーおよび低い分極率が故に耐候性、耐薬品性、撥水撥油性、耐汚染性などに優れており、種々の用途に用いられている。近年、通常の有機溶剤に可溶で室温で架橋しうる含フッ素樹脂塗料が開発された。たとえば、特許文献1にはフルオロオレフィン、アルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテルの共重合体が耐候性のある塗料用樹脂として開示されている。また、特許文献2〜6にはフルオロオレフィン、ビニルエステル、アルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテルなどの共重合体が開示されている。
【0003】
また、先行文献7には、(a)テトラフルオロエチレン(TFE)単位、(b)非芳香族系ビニルエステルモノマー単位、(c)水酸基含有ビニルモノマー単位、(d)芳香族基含有モノマー単位、(e)カルボキシル基含有モノマー単位および(f)その他モノマー構造単位を含み、(a)が20モル%以上で49モル%以下、(b)が25モル%以上で69.9モル%以下、(c)が8モル%以上で30モル%以下であり、(d)〜(f)を適宜組み合わせた含フッ素共重合体が、塗料用組成物の他の配合剤との相溶性が良好でかつ耐候性、硬度、耐汚染性に優れた塗膜を与えることができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭57−34107号公報
【特許文献2】特開昭61−275311号公報
【特許文献3】特開昭62−7767号公報
【特許文献4】特開平3−121107号公報
【特許文献5】特開平6−184243号公報
【特許文献6】中国特許公開第1244556号公報
【特許文献7】特開2009−144173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記共重合体のなかでもテトラフルオロエチレン共重合体はアルキルビニルエーテルに基づく単位を多く含むため、共重合体はアクリル樹脂、硬化剤、分散剤との相溶性が悪いという欠点があった。また塩素を含んだクロロトリフルオロエチレン共重合体の場合は相溶性に優れるものの共重合体の耐候性、耐熱黄変性に劣るという問題があった。また、テトラフルオロエチレンと芳香族系ビニルエステルを含む共重合体の場合、芳香族ビニルエステルの含有量が多いため長期の耐候性に劣るという問題もあった。
【0006】
また、特許文献7に記載の含フッ素共重合体を用いた塗料組成物を基材に塗布し硬化して得られる塗膜は比較的硬く、耐折れ曲げ性に改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らはかかる問題点に鑑み鋭意検討した結果、塗膜形成成分である含フッ素共重合体において架橋点を形成する水酸基含有ビニルモノマー単位の含有量を少なくして架橋密度を下げることにより塗膜の柔軟性を向上させると共に、架橋密度の低下に伴う耐溶剤性の低下を分子量の増大により補うときに、耐溶剤性を維持したまま耐折り曲げ性が向上することを見出した。
【0008】
すなわち本発明は、(a)テトラフルオロエチレン構造単位、(b)水酸基とカルボキシル基とを含まない非芳香族系のビニルエステルモノマー構造単位、(c)水酸基含有ビニルモノマー構造単位、(d)水酸基とカルボキシル基とを含まない芳香族基含有モノマー構造単位、(e)水酸基と芳香族基とを含まないカルボキシル基含有モノマー構造単位および(f)その他モノマー構造単位からなり、(a)が20モル%以上で49モル%以下、(b)が25モル%以上で69.9モル%以下、(c)が10.5モル%以上で15モル%未満、(d)が2モル%以上で15モル%以下、(e)が0.1モル%以上で2.0モル%以下、および(f)が0モル%または10モル%以下であり、数平均分子量が14000〜25000である含フッ素共重合体に関する。
【0009】
また、本発明において、水酸基含有ビニルモノマー構造単位(c)が芳香族基とカルボキシル基とを含まない水酸基含有ビニルモノマー構造単位であることが好ましい。
【0010】
本発明はまた、含フッ素共重合体を塗膜形成成分として含む塗料用組成物にも関する。
【0011】
本発明の塗料用組成物は、アクリル樹脂をさらに含んでいてもよいし、硬化剤を含む硬化型塗料用組成物の形態としてもよい。
【0012】
さらに本発明は、本発明の塗料用組成物を基材、好ましくは金属板に塗布して得られる塗装物品にも関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の含フッ素共重合体は、塗料用組成物の塗膜形成成分として用いるとき、耐溶剤性を維持したまま耐折れ曲げ性が向上した塗膜を与えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の含フッ素共重合体は、(a)テトラフルオロエチレン(TFE)構造単位、(b)水酸基とカルボキシル基とを含まない非芳香族系のビニルエステルモノマー構造単位、(c)水酸基含有ビニルモノマー構造単位、(d)水酸基とカルボキシル基とを含まない芳香族基含有モノマー構造単位、(e)水酸基と芳香族基とを含まないカルボキシル基含有モノマー構造単位、そして任意構造単位として構造単位(a)〜(e)以外の他のモノマー構造単位(f)とからなる。
【0015】
TFE単位(a)はフッ素樹脂としての種々の特性、たとえば耐候性、耐溶剤性、耐熱性、耐汚染性などを含フッ素共重合体に付与する作用を有している。その下限は20モル%、好ましくは30モル%、より好ましくは40モル%、特に好ましくは42モル%であり、上限は49モル%、好ましくは47モル%である。20モル%より少なくなると耐候性などのフッ素樹脂の特性が得にくくなる。
【0016】
水酸基とカルボキシル基とを含まない非芳香族系ビニルエステルモノマー単位(b)を与えるモノマーとしては、たとえば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニルなどの1種または2種以上があげられる。これらのモノマーは水酸基とカルボキシル基とを含まない非芳香族系モノマーであり、得られる含フッ素共重合体を用いて塗料用組成物を調製した場合、共重合体と塗料用組成物の他の成分であるアクリル樹脂や硬化剤、分散剤との相溶性を改善する作用を有する。特に好ましい非芳香族系ビニルエステルモノマーは、耐候性、相溶性、廉価性に優れる点からバーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル、酢酸ビニルである。これらのなかでも耐薬品性の点から、非芳香族系カルボン酸ビニルエステル、特にカルボン酸の炭素数が6以上のカルボン酸ビニルエステル、さらに好ましくはカルボン酸の炭素数が9以上のカルボン酸ビニルエステルが好ましい。カルボン酸ビニルエステルにおけるカルボン酸の炭素数の上限は20以下、さらには15以下が好ましい。具体例としてはバーサティック酸ビニルが最も好ましい。
【0017】
単位(b)の下限は25モル%、好ましくは30モル%であり、上限は69.9モル%、好ましくは60モル%、より好ましくは43モル%、特に好ましくは40モル%である。25モル%より少なくなると塗料の汎用配合剤であるアクリル樹脂や硬化剤、分散剤との相溶性に劣る。
【0018】
水酸基含有ビニルモノマー単位(c)を与えるモノマーはカルボキシル基を含まない非芳香族系のモノマーが好ましく、たとえば式(I):
CH2=CHR1 (I)
(式中、R1は−OR2または−CH2OR2(ただし、R2は水酸基を有するアルキル基である)で表わされるヒドロキシアルキルビニルエーテルやヒドロキシアルキルアリルエーテルがあげられる。R2としては、たとえば炭素数1〜8の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基に1〜3個、好ましくは1個の水酸基が結合したものである。これらの例としては、たとえば2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテルなどの1種または2種以上があげられる。これらのなかでも、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルが好ましい。
【0019】
この水酸基含有ビニルモノマー単位(c)は、含フッ素共重合体に架橋点与える構造単位であり、塗膜の耐折れ曲げ性、硬度、機械的強度、加工性、耐衝撃性、耐汚染性を改善する作用を有する。
【0020】
本発明の含フッ素共重合体においては、単位(c)を従来の含有量よりも少なくしている点に特徴がある。単位(c)の上限は15モル%未満である。単位(c)を15モル%以上含む含フッ素共重合体で形成される塗膜は比較的硬く、耐折れ曲げ性が改善されない。下限は10.5モル%、好ましくは12モル%である。10.5モル%より少なくなると、この共重合体を使用して得られる塗膜が硬度および耐溶剤性に劣るものになる。
【0021】
構造単位(d)は芳香族基を含み水酸基とカルボキシル基とを含まないものであり、この点で他の単位と異なる。芳香族基含有モノマー単位(d)は含フッ素共重合体に高光沢、高相溶性という特性を与える。具体例としては、たとえば安息香酸ビニル、パラ−t−ブチル安息香酸ビニルなどの安息香酸ビニルモノマーなどの1種または2種以上があげられ、特にパラ−t−ブチル安息香酸ビニル、さらには安息香酸ビニルが好ましい。
【0022】
芳香族基含有モノマー単位(d)の割合の下限は2モル%、好ましくは4モル%であり、上限は15モル%、好ましくは10モル%、より好ましくは8モル%である。15モル%を超えると得られる含フッ素共重合体の耐候性が劣る。
【0023】
構造単位(e)はカルボキシル基を含み水酸基と芳香族基とを含まないものであり、この点で他の単位と異なる。カルボキシル基含有モノマー単位(e)は、塗料用組成物に調整する場合、含フッ素共重合体の水への分散性、硬化反応性や顔料の共重合体溶液への分散性を改善し、得られる塗膜の光沢、硬度、基材への密着性などを改善する作用を有する。
【0024】
カルボキシル基含有モノマー単位(e)としては、たとえば式(II):
【化1】

(式中、R3、R4およびR5は同じかまたは異なり、いずれも水素原子、アルキル基、カルボキシル基またはエステル基、nは0または1である)、または式(III):
【化2】

(式中、R6およびR7は同じかまたは異なり、いずれも飽和または不飽和の直鎖または環状アルキル基、nは0または1、mは0または1である)で表わされるカルボキシル基含有ビニルモノマーなどがあげられる。
【0025】
具体例としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、桂皮酸、3−アリルオキシプロピオン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸無水物、フマル酸、フマル酸モノエステル、フタル酸ビニル、ピロメリット酸ビニルなどの1種または2種以上があげられ、それらのなかでも単独重合性の低いクロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、3−アリルオキシプロピオン酸が好ましい。
【0026】
カルボキシル基含有モノマー単位(e)の割合の下限は0.1モル%、好ましくは0.4モル%であり、上限は2.0モル%、好ましくは1.5モル%である。2.0モル%を超えると塗膜の硬化速度、ポットライフの点で好ましくない。
【0027】
他の共重合可能なモノマー単位(f)は上記単位(a)〜(e)以外の構造単位であり、この構造単位(f)を与えるモノマーとしては、たとえばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル;エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレンなどの非フッ素系のオレフィンなどがあげられる。
【0028】
構造単位(f)を共重合する場合は10モル%以下、好ましくは5モル%未満、さらに好ましくは4モル%以下である。たとえばこの任意成分(f)としてアルキルビニルエーテルを使用してもよいが、その共重合割合が多くなると、前述のとおり、アクリル樹脂や硬化剤、分散剤との相溶性がわるくなる。
【0029】
本発明の含フッ素共重合体は、テトラヒドロフランを溶離液として用いるゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定する数平均分子量が14000〜25000である。数平均分子量が14000より小さくなると耐溶剤性が悪くなるほか、耐摩耗性の点で不利となる。また、25000よりも大きくなれば、組成物の粘度が大きくなり取扱いが困難となる。
【0030】
また、本発明の含フッ素共重合体は、示差走査熱量計(DSC)により求めるガラス転移温度(Tg)(2nd run)が10〜60℃、好ましくは20〜40℃のものである。
【0031】
具体的な各構造単位の組合せとしては、つぎの含フッ素共重合体が例示できる。
(1)テトラフルオロエチレン/バーサティック酸ビニル/安息香酸ビニル/ヒドロキシブチルビニルエーテル/クロトン酸=20〜49/25〜69.9/2〜15/10.5〜15/0.1〜2.0(モル%比)の共重合体
(2)テトラフルオロエチレン/バーサティック酸ビニル/ 安息香酸ビニル/ヒドロキシブチルビニルエーテル/ウンデシレン酸=20〜49/25〜69.9/2〜15/10.5〜15/0.1〜2.0(モル%比)の共重合体
(3)テトラフルオロエチレン/酢酸ビニル/安息香酸ビニル/ヒドロキシブチルビニルエーテル/クロトン酸=20〜49/25〜69.9/2〜15/10.5〜15/0.1〜2.0(モル%比)の共重合体
(4)テトラフルオロエチレン/酢酸ビニル/安息香酸ビニル/ヒドロキシブチルビニルエーテル/ウンデシレン酸=20〜49/25〜69.9/2〜15/10.5〜15/0.1〜2.0(モル%比)の共重合体
【0032】
本発明の含フッ素共重合体は、前記の構造単位(a)〜(e)、更に要すれば構造単位(f)を与えるモノマーを通常、重合溶媒や重合開始剤を用いて、乳化、懸濁または溶液重合法により重合することにより製造されるが、分子量を大きくするために、重合開始剤の使用量を少なくする。重合温度は、いずれの重合方法でも通常0〜150℃、好ましくは5〜95℃である。重合圧は、いずれの重合方法でも通常0.1〜10MPaG(1〜100kgf/cm2G)である。
【0033】
重合溶媒としては、乳化重合法では水、懸濁重合法では、たとえば水、tert−ブタノール、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンまたはこれらの混合物などが用いられる。溶液重合法では、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリットなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ソルベントナフサなどの芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、tert−ブタノール、iso−プロパノール、エチレングリコールモノアルキルエーテルなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサンなどの環状エーテル類;ジメチルスルホキシドなど、またはこれらの混合物などがあげられる。
【0034】
重合開始剤としては、たとえば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩類(さらに必要に応じて亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ナフテン酸コバルト、ジメチルアニリンなどの還元剤も併用できる);酸化剤(たとえば過酸化アンモニウム、過酸化カリウムなど)と還元剤(たとえば亜硫酸ナトリウムなど)および遷移金属塩(たとえば硫酸鉄など)からなるレドックス開始剤類;アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類;イソプロポキシカルボニルパーオキサイド、tert−ブトキシカルボニルパーオキサイドなどのジアルコキシカルボニルパーオキサイド類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド類;tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレートなどのアルキルパーオキシエステル類;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]、4,4’−アゾビス(4−シアノペンテン酸)などのアゾ系化合物などが使用できる。
【0035】
本発明において、得られる含フッ素共重合体の分子量を大きくするために、重合開始剤の使用量を少なくする。特許文献7などでは、通常、重合溶媒1リットルに対し重合開始剤の有効量として15〜17g程度使用しているが、本発明においては、重合溶媒1リットルに対し7〜15g、好ましくは11〜13g使用する。
【0036】
いずれの重合法においても、重合中に単量体または重合体からフッ化水素などの酸性物質が脱離して重合溶液が酸性になり重合体がゲル化することがあるので、系内に炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、金属酸化物、ハイドロタルサイト類などの無機塩類;ジエチルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミンなどの有機アミン類;塩基性陰イオン交換樹脂を添加して、脱離したフッ化水素や塩化水素などの酸性物質を中和してもよい。
【0037】
本発明の含フッ素共重合体はそれぞれ前記のごとく、種々の特性に優れており、種々の態様で各種の用途に使用できる。特に塗膜形成成分として塗料用組成物に調製することができる。
【0038】
塗料用組成物としては、たとえば有機溶媒に溶解した溶液型塗料、水性溶媒に分散した水分散型組成物、非水分散型ディスパージョン、粉体化した粉体型組成物、さらにこれらに硬化剤を配合した硬化型組成物などの態様で利用することができる。
【0039】
本発明の含フッ素共重合体は前記のごとく使用する溶媒の種類や条件の制限が大きく緩和される。本発明の共重合体に好適に使用できる有機溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;プロピレングリコールメチルエーテルなどのアルコール類;ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素類;これらの混合溶媒などがあげられる。有機溶媒溶液とする場合は、含フッ素共重合体の濃度を5〜95質量%、好ましくは10〜70質量%とすればよい。
【0040】
また、水分散型の組成物とする場合は、水または水と親水性溶媒との混合溶媒に、要すれば乳化剤を用いて分散させ、濃度10〜80質量%とするのが好ましい。親水性溶媒としては、たとえばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール、3−ペンタノール、オクチルアルコール、3−メチル−3−メトキシブタノールなどのアルコール類;メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、セロソルブアセテート、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、メチルセロソルブアセテート、酢酸カルビトールなどのエステル類などがあげられる。
【0041】
乳化剤としては、たとえばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、リン酸エステル塩、パーフルオロアルキル脂肪酸塩などのアニオン系界面活性剤;アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド・ブロック共重合体などのノニオン系界面活性剤などのほか、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、エチレン−無水マレイン酸共重合体などの水溶性高分子化合物を保護コロイドとして使用できる。
【0042】
さらに、作業性や加工性の点から、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムなどの分散剤(分散安定剤);前記のノニオン系界面活性剤などの湿潤剤;前記の保護コロイド用の水溶性高分子化合物などの増粘剤;シリコーン油、鉱油などの消泡剤;ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ブチルカルビトールフタレート、メチルセロソルブなどの可塑剤や造膜助剤;酸化チタンに代表される通常の着色剤;炭酸カルシウム、クレー、シリカなどの通常の充填剤;通常の防腐剤;防ばい剤;pH調整剤;さらにはアクリルモノマー、酢酸ビニル、塩化ビニルなどの単独または共重合体、アクリル−スチレン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体などを配合してもよい。
【0043】
この水分散型組成物は、たとえば常温や加熱硬化型の塗料などの用途に適するものである。
【0044】
粉体型組成物とする場合、含フッ素共重合体を常法により、たとえば衝撃ハンマーミルなどを用いて平均粒径0.05〜10μmの粉体とする。この粉体型組成物はたとえば熱硬化型粉体塗料などの用途に適するものである。
【0045】
また、本発明の共重合体は他の樹脂とブレンドしてもよく、たとえばスチレンを含有していてもよい(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキッド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリイソシアネート系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂(たとえば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体など)、ケトン樹脂、石油樹脂のほか、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン類の塩素化物などの有機系樹脂;シリカゲルやケイ酸などの無機系樹脂;本発明の含フッ素共重合体以外の各種フッ素樹脂(たとえばテトラフルオロエチレンやクロロトリフルオロエチレンの単独重合体またはこれらと他の単量体との共重合体など)などの1種または2種以上とブレンドできるが、これらのみに限定されるものではない。ブレンドする他の樹脂の割合は、本発明の含フッ素共重合体100質量部に対し、900質量部以下、好ましくは500質量部以下である。下限は目的とする特性を得るのに必要な量であり、樹脂の種類によって決まる。アクリル系重合体の場合は通常5質量部以上、好ましくは10質量部以上である。
【0046】
これらの樹脂のうち、特に相溶性に優れたアクリル系重合体との混合系が好ましく、得られる塗膜に高光沢、高硬度、仕上り外観のよさを与える。
【0047】
アクリル系重合体としては従来より塗料用に使用されているものがあげられるが、特に(i)(メタ)アクリル酸の炭素数1〜10のアルキルエステルの単独重合体または共重合体、および(ii)側鎖および/または主鎖末端に硬化性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましく採用される。
【0048】
前記(i)のアクリル系重合体としては、たとえばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの単独および共重合体、あるいはこれらと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとの共重合体があげられる。
【0049】
重合溶媒として弱溶剤を使用する場合は、溶剤溶解性、耐候性、密着性、フッ素樹脂との相溶性などの点で優れることから、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの単独および共重合体、あるいはこれらと共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体が好ましく、特に溶剤溶解性、耐候性、密着性、フッ素樹脂との相溶性、耐薬品性、耐水性などに優れる点でシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの単独および共重合体、あるいはこれらと共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体が好ましい。
【0050】
なお、本明細書において「弱溶剤」とは、労働安全衛生法の第三種有機溶剤およびそれに相当する溶剤である。特に弱溶剤としては、脂肪族炭化水素系溶剤を含み、さらには芳香族炭化水素系溶剤の含有量が50質量%以下である溶剤が、人体、環境への安全性が良好な点と、塗装作業時の下地塗膜、旧塗膜への悪影響、すなわちリフティングやチヂミの現象が生じ難いなどの点で優れることから好ましい。脂肪族炭化水素系溶剤や芳香族炭化水素系溶剤としては、重合溶媒の説明で例示したものがあげられる。弱溶剤の市販品としては、たとえばSW#310(丸善石油(株)製。商品名)、HAWSおよびLAWS(いずれもシェル化学社製。商品名)、Aソルベント(日本石油(株)製。商品名)、エクソンナフサNo.6、エクソンナフサNo.5、エクソンナフサNo.3、エクソールD40、エクソールD80(いずれもエクソン化学社製。商品名)、アイソパーE、アイソパーG(いずれも日本石油(株)製。商品名)、IPソルベント1620、IPソルベント2028(いずれも出光石油(株)製。商品名)などがあげられる。
【0051】
共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとしては、たとえば芳香族基を有する(メタ)アクリレート類、α位にフッ素原子または塩素原子を有する(メタ)アクリレート類、アルキル基がフッ素原子で置換されたフルオロアルキル(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレンなどの芳香族ビニルモノマー類、エチレン、プロピレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのオレフィン類、フマル酸ジエステル類、マレイン酸ジエステル類、(メタ)アクリロニトリルなどがあげられる。
【0052】
前記(ii)のアクリル共重合体としては、前記(i)で説明したアクリル重合体を与える単量体と共に、硬化性官能基を有する単量体を共重合したものが例示できる。硬化性官能基含有単量体としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基などを有する単量体があげられる。アクリル共重合体(ii)の具体例としては、たとえばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレートなどの硬化性官能基を有する単量体と前記(メタ)アクリル酸の炭素数1〜10のアルキルエステルとの共重合体、または、これらと前記エチレン性不飽和単量体との共重合体があげられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0053】
(メタ)アクリル酸の炭素数1〜10のアルキルエステルの共重合体(i)および(ii)の場合、(メタ)アクリル酸の炭素数1〜10のアルキルエステルの含有量が5質量%以上、好ましくは10質量%以上とすることが、溶剤溶解性、耐候性、耐水性、耐薬品性、フッ素樹脂との相溶性などに優れることから好ましく、また、また密着性、耐候性、耐薬品性などに優れる点から98質量%以下、特に96質量%以下とするのが好ましい。とりわけ、(メタ)アクリル酸の炭素数1〜10のアルキルエステルとしてシクロヘキシル(メタ)アクリレートを用いる場合、シクロヘキシル(メタ)アクリレートの含有量が5質量%以上、好ましくは10質量%以上とすることが、溶剤溶解性、耐候性、密着性、フッ素樹脂との相溶性、耐水性、耐薬品性に優れることから好ましく、また、フッ素樹脂との相溶性、可とう性などの点から90質量%以下、特に80質量%以下とするのが好ましい。この場合、好ましい共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとしては、溶剤溶解性、耐薬品性、密着性などに優れる点から、たとえば芳香族基を有する(メタ)アクリレート類、α位にフッ素原子または塩素原子を有する(メタ)アクリレート類、アルキル基がフッ素原子で置換されたフルオロアルキル(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレンなどの芳香族ビニルモノマー類、エチレン、プロピレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのオレフィン類、フマル酸ジエステル類、マレイン酸ジエステル類、(メタ)アクリロニトリルなどが好ましい。また、硬化性官能基を有する単量体としては、密着性、耐薬品性、硬化性などに優れる点から、たとえば水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基などを有する単量体があげられる。具体例としては、たとえばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレートなどの硬化性官能基含有単量体が好ましく、耐水性、溶剤溶解性、耐薬品性、耐候性、フッ素樹脂との相溶性、密着性などの点で優れることから50質量%以下、好ましくは40質量%以下、また耐水性、耐薬品性、密着性、耐候性などの点から2質量%以上、好ましくは4質量%以上含有していることが好ましい。
【0054】
アクリル系重合体(i)の市販アクリル共重合体としては、たとえばヒタロイド1005、ヒタロイド1206、ヒタロイド2330−60、ヒタロイド4001、ヒタロイド1628Aなど(いずれも日立化成工業(株)製。商品名);ダイヤナールLR−1065、ダイヤナールLR−90など(いずれも三菱レイヨン(株)製。商品名);パラロイドB−44、パラロイドA−21、パラロイドB−82など(いずれもローム&ハース社製。商品名);ELVACITE 2000など(デュポン社製。商品名)などがある。
【0055】
アクリル共重合体(ii)の市販品としては、ヒタロイド3004、ヒタロイド3018、ヒタロイド3046C、ヒタロイド6500B、ヒタロイド6500など(いずれも日立化成工業(株)製。商品名);アクリディックA810−45、アクリディックA814、アクリディック47−540など(いずれもDIC(株)製。商品名);ダイヤナールLR−620、ダイヤナールSS−1084、ダイヤナールSS−792など(いずれも三菱レイヨン(株)製。商品名);オレスターQ166、オレスターQ185など(いずれも三井東圧化学(株)製。商品名);ハリアクロン8360G−55、ハリアクロン8360HS−130、ハリアクロン8160(いずれもハリマ化成(株)製。商品名)などがある。
【0056】
アクリル系重合体の数平均分子量はGPCで測定して1000〜200000、好ましくは2000〜100000であり、大きくなると溶剤溶解性が低下する傾向にあり、小さくなると耐候性に問題が生じる傾向にある。
【0057】
本発明の含フッ素共重合体とこれらのアクリル系重合体との混合物も前記の有機溶剤型組成物、水分散型組成物、粉体型組成物、非水分散型ディスパージョンなどの態様で使用できる。
【0058】
本発明の含フッ素共重合体は硬化剤を配合して硬化型塗料用組成物とすることができる。用いる硬化剤としては含フッ素共重合体の硬化反応性基と反応して架橋する化合物であり、たとえばイソシアネート類やアミノ樹脂類、酸無水物類、ポリエポキシ化合物、イソシアネート基含有シラン化合物などが通常用いられる。
【0059】
前記イソシアネート類の具体例としては、たとえば2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、これらの三量体、これらのアダクト体やビュウレット体、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、さらにブロック化されたイソシアネート類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
前記アミノ樹脂類の具体例としては、たとえば尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、グリコールウリル樹脂のほか、メラミンをメチロール化したメチロール化メラミン樹脂、メチロール化メラミンをメタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類でエーテル化したアルキルエーテル化メラミン樹脂などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
酸無水物類の具体例としては、たとえば無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水メリット酸などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
ポリエポキシ化合物やイソシアネート基含有シラン化合物としては、たとえば特開平2−232250号公報、特開平2−232251号公報などに記載されているものが使用できる。好適な例としては、たとえば
【化3】

などがあげられる。
【0063】
硬化剤の配合量は、前記含フッ素共重合体中の化学的硬化反応性基1当量に対して0.1〜5当量、好ましくは0.5〜1.5当量である。本発明の組成物は通常0〜200℃で数分間ないし10日間程度で硬化させることができる。
【0064】
硬化型組成物には、さらに各種の添加剤を配合することができる。添加剤としては、硬化促進剤、顔料、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、ゲル化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、親水化剤などがあげられる。
【0065】
硬化促進剤としては、たとえば有機スズ化合物、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルとアミンとの反応物、飽和または不飽和の多価カルボン酸またはその酸無水物、有機チタネート化合物、アミン系化合物、オクチル酸鉛などがあげられる。
【0066】
前記有機スズ化合物の具体例としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジオクチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズフタレート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ、ジブチルスズメトキシドなどがあげられる。
【0067】
また前記酸性リン酸エステルとは、
【化4】

部分を含むリン酸エステルのことであり、たとえば
【化5】

(式中、bは1または2、R8は有機残基を示す)で示される有機酸性リン酸エステルなどがあげられる。具体的には
【化6】

などがあげられる。
【0068】
前記有機チタネート化合物としては、たとえばテトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、トリエタノールアミンチタネートなどのチタン酸エステルがあげられる。
【0069】
さらに前記アミン系化合物の具体例としては、たとえばブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(DBU)などのアミン系化合物、さらにはそれらのカルボン酸などの塩、過剰のポリアミンと多塩基酸よりえられる低分子量ポリアミド樹脂、過剰のポリアミンとエポキシ化合物の反応生成物などがあげられる。
【0070】
硬化促進剤は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。硬化促進剤の配合割合は共重合体100質量部に対して1.0×10-6〜1.0×10-2質量部程度が好ましく、5.0×10-5〜1.0×10-3質量部程度がさらに好ましい。
【0071】
顔料の具体例としては、たとえば酸化チタン、炭酸カルシウムもしくはカーボンブラックなどの無機顔料;フタロシアニン系、キナクリドン系もしくはアゾ系などの有機顔料などがあげられるが、これらのみに限定されるものではない。顔料の添加量は通常共重合体100質量部に対して約200質量部までである。
【0072】
前記親水化剤としてはメチルシリケート、エチルシリケート、フルオロアルキルシリケート、それらの縮合体が使用できる。市販品としては、たとえばコルコート社製のET40、ET48など、三菱化学(株)製のMS56、MS56S、MS57など、ダイキン工業(株)製のGH700などがあげられる。
【0073】
溶剤としては、たとえばキシレン、トルエン、ソルベントナフサなどの芳香族炭化水素系溶剤;n−ヘキサン、n−ペンタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、ミネラルスピリットなどの脂肪族炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;エチルセロソルブなどのグリコールエーテル系溶剤;カルビトールアセテートなどのジエチレングリコールエステル系溶剤などがあげられるが、これらのみに限定されるものではない。特に前記の理由から、弱溶剤を使用することが好ましい。
【0074】
硬化型組成物は、前記有機溶剤型組成物、水分散型組成物、粉体型組成物、非水分散型ディスパージョンなどの態様に調製できる。
【0075】
本発明の含フッ素共重合体を用いた硬化型組成物は、溶剤溶解性に優れ、基材に塗布硬化して形成された塗膜は耐折曲げ性に優れ、耐溶剤性、耐候性を有し、耐汚染性や耐薬品性、光学的性質、機械的性質、基材への密着性、耐熱黄変性などに優れたものである。
【0076】
本発明の硬化型塗料用組成物は、通常の硬化型組成物と同じく建材、内装材などの屋内用あるいは建材、自動車、航空機、船舶、電車などの屋外用の塗料として金属、コンクリート、プラスチックなどに直接、あるいはウォッシュプライマー、錆止め塗料、エポキシ塗料、アクリル樹脂塗料、ポリエステル樹脂塗料などの下塗り塗料の上に重ねて塗装することができる。さらにシーリング剤やフィルム形成剤としても使用できる。
【0077】
本発明によれば、基材上に本発明の硬化型組成物の硬化塗膜を設けた塗装物品を提供することができる。本発明の硬化型組成物の硬化塗膜は基材に直接、またはプライマー、さらに要すれば下塗り層を介在させた層として存在し得る。最外層の硬化塗膜の膜厚は、通常10〜100μm、好ましくは20〜50μmである。
【0078】
プライマーとしては、フッ素樹脂塗料用の公知のプライマーが使用でき、たとえばエポキシ系プライマー、ジンクリッチプライマーなどが例示できる。
【0079】
下塗り層としてもフッ素樹脂塗料用の公知のプライマーが使用でき、たとえばアクリル系塗料、ウレタン系塗料、ポリエステル系塗料、エポキシ系塗料などが例示できる。
【0080】
基材は塗装する対象によって異なるが、金属板、コンクリート、プラスチック、さらには石材、木材、紙などがあげられる。なかでも、本発明の塗装物品は、折り曲げ加工に供されるプレコート金属板として有用である。
【実施例】
【0081】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
【0082】
本明細書に記載された物性は以下の測定方法で測定したものである。
【0083】
(1)NMR分析:
測定装置:NMR測定装置:VARIAN社製
1H−NMR測定条件:400MHz(テトラメチルシラン=0ppm)
【0084】
(2)元素分析(フッ素含有量(質量%)の測定)
測定装置:自動試料燃焼装置(三菱化学(株)製 AQF−100) イオンクロマト(DIONEX社製 ICS−1500 Ion Chromatography System)内蔵
試料 3mg
【0085】
(3)分子量
測定装置:昭和電工(株)製Shodex GPC−104
測定条件:溶離液としてはテトラヒドロフランを使用し、分子量の標準サンプルとしては分子量既知のポリスチレンを使用する。
【0086】
(4)ガラス転移温度
ASTM E1356−98に従い、METLER TOLEDO製のDSC測定装置を使用してセカンドランにおける熱吸収から中点法によってガラス転移温度および結晶融点を決定した。
測定条件
昇温速度;20℃/min
試料量;10mg
ヒートサイクル;−50℃〜150℃、昇温、冷却、昇温
【0087】
実施例1
3Lステンレス製オートクレーブに酢酸ブチル882g、炭素数9のカルボン酸からなるバーサティック酸ビニル(VV9)70.4g、安息香酸ビニル(VBz)8.8g、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)16.0g、クロトン酸(CA)の10%酢酸ブチル溶液8.0gを入れ、窒素置換し、テトラフルオロエチレン140gを加え、槽内を60℃まで昇温した。これに撹拌下パーブチルPV(日油(株)製のラジカル重合開始剤)3.6gを加え、反応を開始した。反応中は槽内が0.80MPaとなるようにテトラフルオロエチレンを連続供給した。また、バーサティック酸ビニル(VV9)384.2g、安息香酸ビニル(VBz)46.8g、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)85.8g、クロトン酸(CA)の10%酢酸ブチル溶液43.5gの混合物を11時間かけて連続供給した。反応開始後1時間後にパーブチルPV3.6gを追加、反応開始後4時間後にパーブチルPV4.0gを追加、反応開始後8時間後にパーブチルPV4.0gを追加し反応を継続した。重合開始11時間後にテトラフルオロエチレンが合計256g供給された時点でテトラフルオロエチレンの供給を止めた。反応開始後12時間後にパーブチルPV2.7gを追加した後に、槽内を75℃まで昇温して3時間加熱した。その後槽内を常温常圧に戻して重合を停止し、含フッ素共重合体の酢酸ブチル溶液1870.7g(固形分濃度47.7質量%)を得た。
【0088】
得られた含フッ素共重合体は、テトラフルオロエチレン45.0モル%、バーサティック酸ビニル35.9モル%、安息香酸ビニル5.4モル%、ヒドロキシブチルビニルエーテル12.8モル%、クロトン酸0.9モル%の組成で、数平均分子量(Mn)16000、ガラス転移温度(Tg)30℃、であった(以下、「含フッ素共重合体1」という)。
【0089】
1H−NMR:
既知のピークの面積を示す。
1H−NMR(300.133MHz,acetone−d6):8.2〜7.4ppm(面積4.68;安息香酸ビニルの5H由来);6.6〜4.8ppm(面積8.03;VeoVa9の1Hと安息香酸ビニルの1H由来);3.8〜3.4ppm(面積10.24;ヒドロキシブチルビニルエーテルの5H由来)
元素分析:フッ素含有量25.2質量%
【0090】
比較例1
3Lステンレス製オートクレーブに酢酸ブチル882g、炭素数9のカルボン酸からなるバーサティック酸ビニル(VV9)75.3g、安息香酸ビニル(VBz)8.8g、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)12.8g、クロトン酸(CA)の10%酢酸ブチル溶液8.0gを入れ、窒素置換し、テトラフルオロエチレン140gを加え、槽内を60℃まで昇温した。これに撹拌下パーブチルPV(日油(株)製のラジカル重合開始剤)3.6gを加え、反応を開始した。反応中は槽内が0.80MPaとなるようにテトラフルオロエチレンを連続供給した。また、バーサティック酸ビニル(VV9)410.6g、安息香酸ビニル(VBz)46.8g、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)68.6g、クロトン酸(CA)の10%酢酸ブチル溶液43.5gの混合物を11時間かけて連続供給した。反応開始後1時間後にパーブチルPV3.6gを追加、反応開始後4時間後にパーブチルPV4.0gを追加、反応開始後8時間後にパーブチルPV4.0gを追加し反応を継続した。重合開始11時間後にテトラフルオロエチレンが合計256g供給された時点でテトラフルオロエチレンの供給を止めた。反応開始後12時間後にパーブチルPV2.7gを追加した後に、槽内を75℃まで昇温して3時間加熱した。その後槽内を常温常圧に戻して重合を停止し、含フッ素共重合体の酢酸ブチル溶液1870.3g(固形分濃度48.5質量%)を得た。
【0091】
得られた含フッ素共重合体は、テトラフルオロエチレン45.0モル%、バーサティック酸ビニル38.4モル%、安息香酸ビニル5.5モル%、ヒドロキシブチルビニルエーテル10.2モル%、クロトン酸0.9モル%の組成で、数平均分子量(Mn)15000、ガラス転移温度(Tg)36℃、フッ素含有量が24.8質量%であった(以下、「含フッ素共重合体2」という)。
【0092】
1H−NMR(300.133MHz,acetone−d6):8.2〜7.4ppm(面積3.93;安息香酸ビニルの5H由来);6.6〜4.8ppm(面積6.99;VeoVa9の1Hと安息香酸ビニルの1H由来);3.8〜3.4ppm(面積6.78;ヒドロキシブチルビニルエーテルの5H由来)
【0093】
比較例2
3Lステンレス製オートクレーブに酢酸ブチル944g、炭素数9のカルボン酸からなるバーサティック酸ビニル(VV9)65.7g、安息香酸ビニル(VBz)8.8g、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)19.2g、クロトン酸(CA)の10%酢酸ブチル溶液8.0gを入れ、窒素置換し、テトラフルオロエチレン140gを加え、槽内を60℃まで昇温した。これに撹拌下パーブチルPV(日油(株)製のラジカル重合開始剤)4.8gを加え、反応を開始した。反応中は槽内が0.80MPaとなるようにテトラフルオロエチレンを連続供給した。また、バーサティック酸ビニル(VV9)355.8g、安息香酸ビニル(VBz)46.8g、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)102.9g、クロトン酸(CA)の10%酢酸ブチル溶液43.5gの混合物を11時間かけて連続供給した。反応開始後1時間後にパーブチルPV4.8gを追加、反応開始後4時間後にパーブチルPV5.4gを追加、反応開始後8時間後にパーブチルPV5.4gを追加し反応を継続した。重合開始11時間後にテトラフルオロエチレンが合計256g供給された時点でテトラフルオロエチレンの供給を止めた。反応開始後12時間後にパーブチルPV2.7gを追加した後に、槽内を75℃まで昇温して3時間加熱した。その後槽内を常温常圧に戻して重合を停止し、含フッ素共重合体の酢酸ブチル溶液1967.1g(固形分濃度48.7質量%)を得た。
【0094】
得られた含フッ素共重合体は、テトラフルオロエチレン45.0モル%、バーサティック酸ビニル33.3モル%、安息香酸ビニル5.5モル%、ヒドロキシブチルビニルエーテル15.3モル%、クロトン酸0.9モル%の組成で数平均分子量(Mn)16000、ガラス転移温度(Tg)30℃、フッ素含有量が27.0質量%であった(以下、「含フッ素共重合体3」という)。
【0095】
1H−NMR(300.133MHz,acetone−d6):8.2〜7.4ppm(面積6.45;安息香酸ビニルの5H由来);6.6〜4.8ppm(面積11.0;VeoVa9の1Hと安息香酸ビニルの1H由来);3.8〜3.4ppm(面積16.42;ヒドロキシブチルビニルエーテルの5H由来)
【0096】
比較例3
3Lステンレス製オートクレーブに酢酸ブチル944g、イソプロピルアルコール13.2g、炭素数9のカルボン酸からなるバーサティック酸ビニル(VV9)65.7g、安息香酸ビニル(VBz)8.8g、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)19.2g、クロトン酸(CA)の10%酢酸ブチル溶液8.0gを入れ、窒素置換し、テトラフルオロエチレン140gを加え、槽内を60℃まで昇温した。これに撹拌下パーブチルPV(日油(株)製のラジカル重合開始剤)4.8gを加え、反応を開始した。反応中は槽内が0.80MPaとなるようにテトラフルオロエチレンを連続供給した。また、バーサティック酸ビニル(VV9)355.8g、安息香酸ビニル(VBz)46.8g、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)102.9g、クロトン酸(CA)の10%酢酸ブチル溶液43.5gの混合物を11時間かけて連続供給した。反応開始後1時間後にパーブチルPV4.8gを追加、反応開始後4時間後にパーブチルPV5.4gを追加、反応開始後8時間後にパーブチルPV5.4gを追加し反応を継続した。重合開始11時間後にテトラフルオロエチレンが合計256g供給された時点でテトラフルオロエチレンの供給を止めた。反応開始後12時間後にパーブチルPV2.7gを追加した後に、槽内を75℃まで昇温して3時間加熱した。その後槽内を常温常圧に戻して重合を停止し、含フッ素共重合体の酢酸ブチル溶液1967.1g(固形分濃度48.7質量%)を得た。
【0097】
得られた含フッ素共重合体は、テトラフルオロエチレン45.0モル%、バーサティック酸ビニル33.3モル%、安息香酸ビニル5.5モル%、ヒドロキシブチルビニルエーテル15.3モル%、クロトン酸0.9モル%の組成で数平均分子量(Mn)10000、ガラス転移温度(Tg)30℃フッ素元素含有量が27.1質量%であった(以下、「含フッ素共重合体4」という)。
【0098】
1H−NMR(300.133MHz,acetone−d6):8.2〜7.4ppm(面積4.3;安息香酸ビニルの5H由来);6.6〜4.8ppm(面積7.33;VeoVa9の1Hと安息香酸ビニルの1H由来);3.8〜3.4ppm(面積10.95;ヒドロキシブチルビニルエーテルの5H由来)
【0099】
実施例2(塗料用組成物の調製と評価)
得られた各含フッ素共重合体1〜4の酢酸ブチル溶液を濃度50質量%に調整し、この溶液10gに硬化剤として日本サイテックインダストリーズ(株)製サイメル303(樹脂/メラミン=8/2)1.0gと硬化剤触媒として三井化学(株)製キャタリスト602を0.1g加えて硬化型組成物を調製した。この組成物をアルミニウム板(JIS H 4000A−1050P AM−713)0.5mm上に塗布し、230℃で30分加熱して硬化させることによりクリア塗膜を形成した。このクリア塗膜について耐折り曲げ性試験および耐溶剤磨耗性試験を行なった。結果を表1に示す。
【0100】
(耐折り曲げ性試験)
塗面を外側にし、試験板を180°折り曲げ、折り曲げ部分に割れが発生しなくなるT数を示した。T数は、折り曲げ部分の内側に何も挟まずに180°の折り曲げを行った場合、割れが発生しないとき0T,試験板と同じ厚さの板をn枚挟んで折り曲げた場合、nT(1T、2T、3T・・・)と表示した。nが小さいほど耐折り曲げ性に優れている。
【0101】
(耐溶剤磨耗性)
塗膜をエチルメチルケトンを含ませた綿布で、1kgの荷重をかけながらラビングし、塗膜がはがれたときの回数を示す。
【0102】
【表1】

【0103】
表1から耐折り曲げ性と耐溶剤磨耗性が両立した塗膜が得られていることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)テトラフルオロエチレン構造単位、(b)水酸基とカルボキシル基とを含まない非芳香族系のビニルエステルモノマー構造単位、(c)水酸基含有ビニルモノマー構造単位、(d)水酸基とカルボキシル基とを含まない芳香族基含有モノマー構造単位、(e)水酸基と芳香族基とを含まないカルボキシル基含有モノマー構造単位および(f)その他モノマー構造単位からなり、(a)が20モル%以上で49モル%以下、(b)が25モル%以上で69.9モル%以下、(c)が10.5モル%以上で15モル%未満、(d)が2モル%以上で15モル%以下、(e)が0.1モル%以上で2.0モル%以下、および(f)が0モル%または10モル%以下であり、数平均分子量が14000〜25000である含フッ素共重合体。
【請求項2】
水酸基含有ビニルモノマー構造単位(c)が、芳香族基とカルボキシル基とを含まない水酸基含有ビニルモノマー構造単位である請求項1記載の含フッ素共重合体。
【請求項3】
請求項1または2記載の含フッ素共重合体を塗膜形成成分として含む塗料用組成物。
【請求項4】
アクリル樹脂を含む請求項3記載の塗料用組成物。
【請求項5】
硬化剤を含む硬化型塗料用組成物である請求項3または4記載の塗料用組成物。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれかに記載の塗料用組成物を基材に塗布して得られる塗装物品。
【請求項7】
基材が金属板である請求項6記載の塗装物品。

【公開番号】特開2011−213799(P2011−213799A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81494(P2010−81494)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】