説明

含フッ素有機溶媒のゲル化剤、及びフッ素含有有機溶媒とフッ素非含有有機溶媒との相溶化剤

【課題】
本発明は、フッ素含有有機溶媒のゲル化剤、及びフッ素含有有機溶媒とフッ素非含有有機溶媒との相溶化剤を提供することを目的とする。
【解決手段】
フッ素含有重合体ブロック(A)と、
フッ素非含有重合体ブロック(B)と
からなるフッ素含有共重合体
を含有するフッ素含有有機溶媒のゲル化剤、またはフッ素含有有機溶媒とフッ素非含有有機溶媒との相溶化剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素含有有機溶媒のゲル化剤、及びフッ素含有有機溶媒とフッ素非含有有機溶媒との相溶化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲル化剤は、液体をゲル化して、その流動性を失わせる剤を意味する。有機溶媒のゲル化剤は、例えば、廃油処理などに利用されている。しかし、これまで、フッ素含有有機溶媒のゲル化剤は知られていない。
また、パーフルオロヘキサン等のフッ素含有有機溶媒は、ヘキサン等の通常の有機溶媒(すなわちフッ素非含有有機溶媒)とは、相溶しない。このようなフッ素含有有機溶媒とフッ素非含有有機溶媒との高分子の相溶化剤は、極めて例が少ない。
なお、フッ素含有共重合体として、非特許文献1、及び非特許文献2等には、フッ素を含有するジブロック共重合体が開示されているが、当該共重合体が上述のようなゲル化剤、又は相溶化剤剤として使用しうることは記載も示唆もされていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Macromolecules、2000年、33、p.8295−8300
【非特許文献2】Macromolecules、2004年、37、p.2256−2267
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、フッ素含有有機溶媒のゲル化剤、及びフッ素含有有機溶媒とフッ素非含有有機溶媒との相溶化剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、
フッ素含有重合体ブロック(A)と、
フッ素非含有重合体ブロック(B)と
からなるフッ素含有共重合体が、フッ素含有有機溶媒のゲル化作用、ならびにフッ素含有有機溶媒とフッ素非含有有機溶媒との相溶化作用を有することを見いだし、更なる研究の結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の項1〜項37にそれぞれ記載の発明等を提供するものである。
[項1]
フッ素含有重合体ブロック(A)と、
フッ素非含有重合体ブロック(B)と
からなるフッ素含有共重合体
を含有するフッ素含有有機溶媒のゲル化剤。
[項2]
フッ素含有重合体ブロック(A)が、
フッ素含有ビニルエーテル系単量体、
フッ素含有アクリル系単量体、
フッ素含有スチレン系単量体、又は
フッ素含有環状エーテル系単量体
に由来する繰り返し単位からなり、かつ
フッ素非含有重合体ブロック(B)が、
フッ素非含有ビニルエーテル系単量体、
フッ素非含有アクリル系単量体、
フッ素非含有スチレン系単量体、
フッ素非含有環状エーテル系単量体、
フッ素非含有ニトリル系含有単量体、又は
フッ素非含有アミド基含有単量体
に由来する繰り返し単位からなる
前記項1に記載のゲル化剤。
[項3]
フッ素含有重合体ブロック(A)が、式
CH2=CXa1−O−Rf1
[式中、Xa1は水素又はメチル基を表し、Rf1はフッ素含有有機基を表す。]
で表されるフッ素含有ビニルエーテル系単量体に由来する繰り返し単位からなり、
フッ素非含有重合体ブロック(B)が、
(i)式
CH2=CXb1−O−Rb1
[式中、
b1は水素又はメチル基を表し、
b1はフッ素非含有有機基を表す。]
で表されるフッ素非含有ビニルエーテル系単量体、
(ii)フッ素非含有スチレン系単量体、又は
(iii)フッ素非含有環状エーテル系単量体
に由来する繰り返し単位からなる
前記項2に記載のゲル化剤。
[項4]
f1が、式
−(CH2−CH2−O)na1−Ra1−Rf1'
[式中、
f1'は、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、又はフルオロポリエーテル基を表し、
a1は、アルキレン鎖を表し、
na1は0〜10の整数を表す。]
で表されるフッ素含有有機基であり、
a1が、水素である
前記項3に記載のゲル化剤。
[項5]
a1が、炭素数1〜3のアルキレン鎖であり、
na1が、1〜3の整数である
前記項4に記載のゲル化剤。
[項6]
a1が、炭素数1〜3のアルキレン鎖であり、
na1が、0である
前記項4に記載のゲル化剤。
[項7]
b1が、−(CH2−CH2−O)nb−Rb1'
[式中、
b1'は、炭素数1〜18のアルキル基、又は炭素数3〜18のシクロアルキル基を表し、
nbは、0〜10の整数を表す。]
で表されるフッ素非含有有機基であり、
b1が、水素である
前記項3〜6のいずれか1項に記載のゲル化剤。
[項8]
フッ素含有重合体ブロック(A)が、式
CH2=CXa2−COO−Ra2−Rf2
[式中、
a2は水素又はメチル基を表し、
a2は単結合又はアルキレン鎖を表し、
f2はフッ素含有有機基を表す。]
で表されるフッ素含有アクリル系単量体に由来する繰り返し単位からなり、
フッ素非含有重合体ブロック(B)が、
(i)式
CH2=CXb2−COO−Rb2
[式中、
b2は水素又はメチル基を表し、
b2はフッ素非含有有機基を表す。]
で表されるフッ素非含有アクリル系単量体、又は
(ii)フッ素非含有スチレン系単量体
に由来する繰り返し単位からなる
前記項2に記載のゲル化剤。
[項9]
f2が、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、又はフルオロポリエーテル基である
前記項8に記載のゲル化剤。
[項10]
フッ素含有重合体ブロック(A)が、式
【化1】

[式中、
a3は水素又はメチル基を表し、
na3は1〜5の整数を表し、
ma3は0〜4の整数を表し、
na3とma3の和は、1〜5であり、
f3は、各出現において同一又は異なって、フッ素又はフッ素含有有機基を表し、
a3は、各出現において同一又は異なって、フッ素非含有有機基を表す。]
で表されるフッ素含有スチレン系単量体に由来する繰り返し単位からなり、
フッ素非含有重合体ブロック(B)が、
(i)式
CH2=CXb3−COORb3
[式中、
b3は水素又はメチル基を表し、
b3は、フッ素非含有有機基を表す]
で表されるフッ素非含有アクリル系単量体、又は
(ii)フッ素非含有スチレン系単量体に由来する繰り返し単位からなる
前記項2に記載のゲル化剤。
[項11]
f3が、フッ素、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、又はフルオロポリエーテル基であり、
a3が、水素である
前記項10に記載のゲル化剤。
[項12]
フッ素含有重合体ブロック(A)が、3〜8員のフッ素含有環状エーテル単量体に由来する繰り返し単位からなり、
フッ素含有重合体ブロック(B)が、
(i)式
CH2=CXb2−COO−Rb2
[式中、
b2は水素又はメチル基を表し、
b2はフッ素非含有有機基を表す。]
で表されるフッ素非含有アクリル系単量体、又は
(ii)フッ素非含有スチレン系単量体
に由来する繰り返し単位からなる
前記項2に記載のゲル化剤。
[項13]
3〜8員のフッ素含有環状エーテル単量体が、式
【化2】

[式中、
4は、各出現において同一又は異なって、フッ素及びフルオロアルキルから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいメチレンを表し、
複数のR4のうち、少なくとも1個のR4はフッ素及びフルオロアルキルから選択される1個以上の置換基で置換されたメチレンであり、
na4は2〜8の整数を表す。]
で表される環状エーテル化合物である
前記項12に記載のゲル化剤。
[項14]
フッ素含有環状エーテル単量体が、テトラフルオロオキセタン、又はヘキサフルオロプロピレンオキシドである
前記項12に記載のゲル化剤。
[項15]
フッ素含有共重合体の数平均分子量が1,000〜1,000,000である
前記項1〜14のいずれか1項に記載のゲル化剤。
[項16]
フッ素含有共重合体の分子量分布が4以下である
前記項1〜15のいずれか1項に記載のゲル化剤。
[項17]
全フッ素含有重合体ブロック(A)中の繰り返し単位と全フッ素非含有重合体ブロック(B)中の繰り返し単位とのモル比が、10:90〜90:10である
前記項1〜16のいずれか1項に記載のゲル化剤。
[項18]
フッ素含有重合体ブロック(A)と、
フッ素非含有重合体ブロック(B)と
からなるフッ素含有共重合体
を含有する、フッ素含有有機溶媒とフッ素非含有有機溶媒との相溶化剤。
[項19]
フッ素含有重合体ブロック(A)が、
フッ素含有ビニルエーテル系単量体、
フッ素含有アクリル系単量体、
フッ素含有スチレン系単量体、又は
フッ素含有環状エーテル系単量体
に由来する繰り返し単位からなり、かつ
フッ素非含有重合体ブロック(B)が、
フッ素非含有ビニルエーテル系単量体、
フッ素非含有アクリル系単量体、
フッ素非含有スチレン系単量体、
フッ素非含有環状エーテル系単量体、
フッ素非含有ニトリル系含有単量体、又は
フッ素非含有アミド基含有単量体
に由来する繰り返し単位からなる
前記項18に記載の相溶化剤。
[項20]
フッ素含有重合体ブロック(A)が、式
CH2=CXa1−O−Rf1
[式中、Xは水素又はメチル基を表し、Rf1はフッ素含有有機基を表す。]
で表されるフッ素含有ビニルエーテル系単量体に由来する繰り返し単位からなり、
フッ素非含有重合体ブロック(B)が、
(i)式
CH2=CXb1−O−Rb1
[式中、
b1は水素又はメチル基を表し、
b1はフッ素非含有有機基を表す。]
で表されるフッ素非含有ビニルエーテル系単量体、
(ii)フッ素非含有スチレン系単量体、又は
(iii)フッ素非含有環状エーテル系単量体
に由来する繰り返し単位からなる
前記項19に記載の相溶化剤。
[項21]
f1が、式
−(CH2−CH2−O)na1−Ra1−Rf1'
[式中、
f1'は、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、又はフルオロポリエーテル基を表し、
a1は、アルキレン鎖を表し、
na1は0〜10の整数を表す。]
で表されるフッ素含有有機基であり、
a1が、水素である
前記項20に記載の相溶化剤。
[項22]
a1は、炭素数1〜3のアルキレン鎖であり、
na1は1〜3の整数である
前記項21に記載の相溶化剤。
[項23]
a1は、炭素数1〜3のアルキレン鎖であり、
na1は0である
前記項21に記載の相溶化剤。
[項24]
b1は、−(CH2−CH2−O)nb−Rb1'
[式中、
b1'は、炭素数1〜18のアルキル基、又は炭素数3〜18のシクロアルキル基を表し、
nbは、0〜10の整数である。]
で表されるフッ素非含有有機基であり、
b1が、水素である
前記項20〜23のいずれか1項に記載の相溶化剤。
[項25]
フッ素含有重合体ブロック(A)が、式
CH2=CXa2−COO−Ra2−Rf2
[式中、
a2は水素又はメチル基を表し、
a2は単結合又はアルキレン鎖を表し、
f2はフッ素含有有機基を表す。]
で表されるフッ素含有アクリル系単量体に由来する繰り返し単位からなり、
フッ素非含有重合体ブロック(B)が、
(i)式
CH2=CXb2−COO−Rb2
[式中、
b2は水素又はメチル基を表し、
b2は、フッ素非含有有機基を表す。]
で表されるフッ素非含有アクリル系単量体、又は
(ii)フッ素非含有スチレン系単量体
に由来する繰り返し単位からなる
前記項19に記載の相溶化剤。
[項26]
f2が、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、又はフルオロポリエーテル基である
前記項25に記載の相溶化剤。
[項27]
フッ素含有重合体ブロック(A)が、式
【化3】

[式中、
a3は水素又はメチル基を表し、
na3は1〜5の整数を表し、
ma3は0〜4の整数を表し、
na3とma3の和は、1〜5であり、
f3は、各出現において同一又は異なって、フッ素又はフッ素含有有機基を表し、
a3は、各出現において同一又は異なって、フッ素非含有有機基を表す。]
で表されるフッ素含有スチレン系単量体に由来する繰り返し単位からなり、
フッ素非含有重合体ブロック(B)が、
(i)式
CH2=CXb3−COORb3
[式中、
b3は水素又はメチル基を表し、
b3は、フッ素非含有有機基を表す]
で表されるフッ素非含有アクリル系単量体、又は
(ii)フッ素非含有スチレン系単量体に由来する繰り返し単位からなる
前記項19に記載の相溶化剤。
[項28]
f3が、フッ素、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、又はフルオロポリエーテル基であり、
a3が、水素である
前記項27に記載の相溶化剤。
[項29]
フッ素含有重合体ブロック(A)が、3〜8員のフッ素含有環状エーテル単量体に由来する繰り返し単位からなり、
フッ素含有重合体ブロック(B)が、
(i)式
CH2=CXb2−COO−Rb2
[式中、
b2は水素又はメチル基を表し、
b2はフッ素非含有有機基を表す。]
で表されるフッ素非含有アクリル系単量体、又は
(ii)フッ素非含有スチレン系単量体
に由来する繰り返し単位からなる
前記項19に記載の相溶化剤。
[項30]
3〜8員のフッ素含有環状エーテル単量体が、式
【化4】

[式中、
4は、各出現において同一又は異なって、フッ素及びフルオロアルキルから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいメチレンを表し、
複数のR4のうち、少なくとも1個のR4はフッ素及びフルオロアルキルから選択される1個以上の置換基で置換されたメチレンであり、
na4は2〜8の整数を表す。]
で表される環状エーテル化合物である前記項29に記載の相溶化剤。
[項31]
フッ素含有環状エーテル単量体が、テトラフルオロオキセタン、又はヘキサフルオロプロピレンオキシドである前記項30に記載の相溶化剤。
[項32]
フッ素含有共重合体の数平均分子量が1,000〜1,000,000である
前記項19〜31のいずれか1項に記載の相溶化剤。
[項33]
フッ素含有共重合体の分子量分布が4以下である
前記項19〜32のいずれか1項に記載の相溶化剤。
[項34]
全フッ素含有重合体ブロック(A)中の繰り返し単位と全フッ素非含有重合体ブロック(B)中の繰り返し単位とのモル比が、10:90〜90:10である
前記項19〜33のいずれか1項に記載の相溶化剤。
[項35]

【化5】

[式中、
f1'は、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、又はパーフルオロポリエーテル基を表し、
a1は、アルキレン鎖を表し、
na1は1〜10の整数を表す。]
で表されるフッ素含有ビニルエーテル系単量体に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(A)と、

【化6】

[式中、
b1は水素又はメチル基を表し、
b1は、フッ素非含有有機基を表す。]
で表されるフッ素非含有ビニルエーテル系単量体に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(B)と
からなり、
数平均分子量が15,000〜100,000,000である
フッ素含有共重合体。
[項36]
a1は、炭素数1〜3のアルキレン鎖であり、
na1は1〜3の整数である
前記項35に記載のフッ素含有共重合体。
[項37]
b1は、式
−(CH2−CH2−O)nb−Rb1'
[式中、Rb1'は、炭素数1〜18のアルキル基、又は炭素数3〜18のシクロアルキル基を表し、
nbは、0〜10の整数を表す。]
である前記項35又は36に記載のフッ素含有共重合体。
【発明の効果】
【0006】
本発明のフッ素含有有機溶媒のゲル化剤は、優れたゲル化作用を有する。
本発明のフッ素含有有機溶媒とフッ素非含有有機溶媒との相溶化剤は、優れた相溶化作用を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、実施例1で合成したフッ素含有共重合体のNMRチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<用語>
本明細書中、「フッ素含有」及び「フッ素非含有」とは、それぞれ、分子中にフッ素を構成原子として含有すること、及び分子中にフッ素を構成原子として含有しないこと、の意味で用いられる。すなわち、例えば、フッ素含有有機溶媒とは、分子を構成する原子としてフッ素原子を含有する有機溶媒を意味し、一方、分子を構成する原子としてフッ素を含有する添加剤等が添加された有機溶媒は、本明細書における「フッ素含有有機溶媒」からは除外される。
本明細書中、「フルオロアルキル基」とは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を意味する。「フルオロアルキル基」は、「パーフルオロアルキル基」を包含する。
本明細書中、「フルオロアルコキシ基」とは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルコキシ基を意味する。「フルオロアルコキシ基」は、「パーフルオロアルコキシ基」を包含する。
本明細書中、「フルオロポリエーテル基」とは、繰り返し単位として複数のアルキレンオキシド鎖を有し、末端にアルキル基もしくは水素原子を有する1価の基であって、当該アルキレンオキシド鎖及び/又は末端のアルキル基もしくは水素原子中の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された基を有する1価の基を意味する。「フルオロポリエーテル基」は、「パーフルオロポリエーテル基」を包含する。
本明細書中、「パーフルオロアルキル基」とは、アルキル基の全ての水素原子がフッ素原子で置換された基、又はアルキル基の末端の1個の水素原子以外の全ての水素原子がフッ素原子で置換された基を意味する。
本明細書中、「パーフルオロアルコキシ基」とは、アルコキシ基の全ての水素原子がフッ素原子で置換された基、又はアルコキシ基の末端の1個の水素原子以外の全ての水素原子がフッ素原子で置換された基を意味する。
本明細書中、「パーフルオロポリエーテル基」とは、繰り返し単位として複数のパーフルオロアルキレンオキシド鎖を有し、末端にパーフルオロアルキル基又はフッ素原子もしくは水素原子を有する1価の基を意味する。
本明細書中、「パーフルオロアルキレンオキシド鎖」は、−O−パーフルオロアルキレン鎖、又はパーフルオロアルキレン−O−鎖を意味する。
【0009】
<フッ素含有共重合体>
本発明のゲル化剤、及び本発明の相溶化剤は、
フッ素含有重合体ブロック(A)と、
フッ素非含有重合体ブロック(B)と
からなるフッ素含有共重合体を含有する。
以下に、当該フッ素含有共重合体を説明する。
【0010】
当該フッ素含有共重合体は、フッ素含有重合体ブロック(A)(以下、単に重合体ブロック(A)と称する場合がある。)及びフッ素非含有重合体ブロック(B)(以下、単に重合体ブロック(B)称する場合がある。)からなるブロック共重合体である。
当該フッ素含有ブロック共重合体は、1以上の重合体ブロック(A)及び1以上の重合体ブロック(B)からなる、あらゆるブロック共重合体を包含する。当該ブロック共重合体として具体的には、例えば、A−Bで表されるジブロック共重合体、A−B−A又はB−A−Bで表されるトリブロック共重合体、(A−B)n(nは、2以上の自然数を表す。)で表されるマルチブロック共重合体、及び以下の図に例示するようなグラフト共重合体が挙げられる。
【化7】

なお、当業者に明らかなように、当該フッ素含有共重合体は、後述する重合開始剤及び/又は重合停止剤等に由来する構造を含有しうる。
【0011】
当該フッ素含有共重合体の数平均分子量は、好ましくは1,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜500,000、さらに好ましくは15,000〜50,000である。
【0012】
当該フッ素含有共重合体の分子量分布は、好ましくは4以下、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.3以下である。
【0013】
当該フッ素含有共重合体は、このような数平均分子量及び/又は分子量分布を有することにより、フッ素含有有機溶媒の優れたゲル化作用、及びフッ素含有有機溶媒とフッ素非含有有機溶媒との優れた相溶化作用を奏する。
【0014】
当該フッ素含有共重合体の平均分子量(数平均分子量及び重量平均分子量)及び分子量分布は、以下のGPC(ゲル濾過クロマトグラフィー)測定に基づいて求められる。
なお、本明細書中、分子量分布とは、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)
の比、Mw/Mnを意味する。
(GPC測定)
以下のカラムを順に直列配管したものを使用して測定する。
TOSOH TSK guardcolumn HXL−L(6.0mm I.D.×30cm)
TOSOH TSKgel G4000HXL(7.8mm I.D.×30cm)
TOSOH TSKgel G3000HXL(7.8mm I.D.×30cm)
TOSOH TSKgel G2000HXL(7.8mm I.D.×30cm)
溶出液:クロロホルム
標準ポリスチレンで分子量を校正する。
HPLC装置:TOSOH DP−8020,デュアルポンプ、流速:1mL/min
【0015】
なお、本発明で用いられるフッ素含有共重合体のうち、数平均分子量が15,000〜1,000,000であるフッ素含有共重合体、例えば、

【化8】

[式中、
f1'は、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、又はパーフルオロポリエーテル基を表し、
a1は、アルキレン鎖を表し、
na1は1〜10の整数を表す。]
で表されるフッ素含有ビニルエーテル系単量体に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(A)と、

【化9】

[式中、
b1は水素又はメチル基を表し、
b1は、フッ素非含有有機基を表す。]
で表されるフッ素非含有ビニルエーテル系単量体に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(B)と
からなり、
数平均分子量が15,000〜100,000,000である
フッ素含有共重合体は、新規の物質である。
【0016】
本発明で用いられるフッ素含有共重合体において、全重合体ブロック(A)中の繰り返し単位と全重合体ブロック(B)中の繰り返し単位とのモル比は、通常10:90〜90:10、好ましくは20:80〜80:20、より好ましくは30:70〜70:30である。
【0017】
以下に、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)の詳細の説明をおこなう。
【0018】
重合体ブロック(A)は、好ましくは、
フッ素含有ビニルエーテル系単量体、
フッ素含有アクリル系単量体、
フッ素含有スチレン系単量体、又は
フッ素含有環状エーテル系単量体
に由来する繰り返し単位からなる。
【0019】
フッ素非含有重合体ブロック(B)は、好ましくは
フッ素非含有ビニルエーテル系単量体、
フッ素非含有アクリル系単量体、
フッ素非含有スチレン系単量体、
フッ素非含有環状エーテル系単量体
フッ素非含有ニトリル系含有単量体、又は
フッ素非含有アミド基含有単量体
に由来する繰り返し単位からなる。
【0020】
本発明で用いられるフッ素含有共重合体として適した分子量及び分子量分布、具体的には分子量1,000〜1,000,000、分子量分布4以下のフッ素含有共重合体を得る観点からは、重合体ブロック(A)を形成する単量体(以下、単量体(A)と称する場合がある。)及び重合体ブロック(B)を形成する単量体(以下、単量体(B)と称する場合がある。)の組み合わせとしては、下記の組み合わせ(I)〜(IV)が好ましい。
【0021】
[組み合わせ(I)]
単量体(A):フッ素含有ビニルエーテル系単量体
単量体(B):フッ素非含有ビニルエーテル系単量体、フッ素非含有スチレン系単量体、又はフッ素非含有環状エーテル(中でも、より好ましくは、フッ素非含有ビニルエーテル単量体)
【0022】
[組み合わせ(II)]
単量体(A):フッ素含有アクリル系単量体
単量体(B):フッ素非含有アクリル系単量体、フッ素非含有スチレン系単量体、フッ素非含有ニトリル系含有単量体、又はフッ素非含有アミド基含有単量体(中でも、より好ましくは、フッ素非含有アクリル系単量体)
【0023】
[組み合わせ(III)]
単量体(A):フッ素含有スチレン系単量体
単量体(B):フッ素非含有アクリル系単量体、又はフッ素非含有スチレン系単量体、フッ素非含有ニトリル系含有単量体、又はフッ素非含有アミド基含有単量体(中でも、より好ましくはフッ素非含有スチレン系単量体)
【0024】
[組み合わせ(IV)]
単量体(A):フッ素含有環状エーテル
単量体(B):フッ素非含有アクリル系単量体、又はフッ素非含有スチレン系単量体、フッ素非含有ニトリル系含有単量体、又はフッ素非含有アミド基含有単量体(中でも、より好ましくはフッ素非含有アクリル系単量体)
【0025】
以下に、組み合わせ(I)〜(IV)の詳細を説明する。
【0026】
[組み合わせ(I)]
(単量体(A))
前記「フッ素含有ビニルエーテル系単量体」としては、例えば、式
CH2=CXa1−O−Rf1
[式中、Xa1は水素又はメチル基を表し、Rf1はフッ素含有有機基を表す。]
で表される単量体が好ましい。
当該単量体に由来する繰り返し単位は、式
【化10】

[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される。
f1で表される「フッ素含有有機基」としては、例えば、式
−(CH2−CH2−O)na1−Ra1−Rf1'
[式中、
f1'は、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、又はフルオロポリエーテル基を表し、
a1は、アルキレン鎖を表し、
na1は0〜10の整数を表す。]
で表される基が好ましい。
a1としては水素が好ましい。
【0027】
f1'で表される「フルオロアルキル基」の炭素数は、好ましくは1〜50であり、より好ましくは1〜20であり、更に好ましくは4〜12である。当該「フルオロアルキル基」は直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよいが、好ましくは直鎖状である。
f1'で表される「フルオロアルキル基」としては、パーフルオロアルキル基が好ましい。
【0028】
f1'で表される「フルオロアルコキシ基」の炭素数は、好ましくは1〜50であり、より好ましくは1〜20であり、更に好ましくは4〜12である。当該「フルオロアルコキシ基」は直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよいが、好ましくは直鎖状である。
f1'で表される「フルオロアルコキシ基」としては、パーフルオロアルコキシ基が好ましい。
【0029】
f1'で表される「フルオロポリエーテル基」の炭素数は、好ましくは2〜50である。当該「フルオロポリエーテル基」を構成する繰り返し単位としてのアルキレンオキシド鎖の炭素数は好ましくは1〜3である。当該繰り返し単位としては、−C24O−が好ましい。前記繰り返し単位の繰り返し数は、好ましくは、2〜20である。
f1'で表される「フルオロポリエーテル基」としては、パーフルオロポリエーテル基が好ましい。
当該「パーフルオロポリエーテル基」として具体的には、例えば、
(i)F−(CF(−CF3)−CF2−O)q1−CF(CF3)−[式中、q1は1〜16の整数である。]、
(ii)CF3O−(CF(−CF3)−CF2−O)q1−(CF2O)q2−CF2−[式中、q1は0〜16の整数、q2は0〜20の整数である。]、
(iii)CF3−O−((CF22−O)q1−(CF2−O)q2−CF2−[式中、q1は1〜20の整数、q2は0〜20の整数である。]、
(iv)F−((CF23−O)q1−(CF22−[式中、q1は1〜16の整数である。]、
(v)H−(CF(−CF3)−CF2−O)q1−CF(CF3)−[式中、q1は1〜16の整数である。]、
(vi)H−CF2O−(CF(−CF3)−CF2−O)q1−(CF2O)q2−CF2−[式中、q1は0〜16の整数、q2は0〜20の整数である。]、
(vii)H−CF2−O−((CF22−O)q1−(CF2−O)q2−CF2−[式中、q1は1〜20の整数、q2は0〜20の整数である。]、及び
(viii)H−((CF22−O)q1−(CF22−[式中、q1は1〜16の整数である。]、
等が挙げられる。
更に、当該「パーフルオロポリエーテル基」として具体的には、例えば、
(ix)F−(CF(−CF3)−CF2−O)q1−[式中、q1は1〜16の整数である。]、
(x)CF3O−(CF(−CF3)−CF2−O)q1−(CF2O)q2−[式中、q1は0〜16の整数、q2は0〜20の整数である。]、
(xi)CF3−O−((CF22−O)q1−(CF2−O)q2−[式中、q1は1〜20の整数、q2は0〜20の整数である。]、
(xii)F−((CF23−O)q1−[式中、q1は1〜16の整数である。]、
(xiii)H−(CF(−CF3)−CF2−O)q1−[式中、q1は1〜16の整数である。]、
(xiv)H−CF2O−(CF(−CF3)−CF2−O)q1−(CF2O)q2−[式中、q1は0〜16の整数、q2は0〜20の整数である。]、
(xv)H−CF2−O−((CF22−O)q1−(CF2−O)q2−[式中、q1は1〜20の整数、q2は0〜20の整数である。]、及び
(xvi)H−((CF22−O)q1−[式中、q1は1〜16の整数である。]、
等も挙げられる。
【0030】
a1で表される「アルキレン鎖」の炭素数は、好ましくは1〜18であり、より好ましくは1〜6であり、更に好ましくは1〜3である。当該「アルキレン鎖」は直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよいが、好ましくは直鎖状である。
【0031】
na1は、好ましくは0〜3である。
【0032】
本発明の好適な一態様においては、Ra1は、炭素数1〜3のアルキレン鎖であり、かつ、na1は、1〜3の整数である。
また、本発明の別な好適な一態様においては、Ra1は、炭素数1〜3のアルキレン鎖であり、かつ、na1は、0である。
【0033】
(単量体(B))
前記「フッ素非含有ビニルエーテル系単量体」としては、例えば、式
CH2=CXb1−O−Rb1
[式中、Xb1は水素又はメチル基を表し、Rb1はフッ素非含有有機基を表す。]
で表される単量体が好ましい。
当該単量体に由来する繰り返し単位は、式
【化11】

[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される。
b1としては水素が好ましい。
b1で表される「フッ素非含有有機基」としては、例えば
(a)炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜12)の非環状炭化水素基(例、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基)、
(b)式
−(CH2−CH2−O)nb−Rb1'
(式中、
b1'は、炭素数1〜18のアルキル基、又は炭素数3〜18のシクロアルキル基を表し、
nbは、0〜10の整数を表す。)
で表される基[例、炭素数2〜20(好ましくは炭素数2〜12)のアルコキシアルキル基、炭素数3〜20(好ましくは炭素数3〜12)のアルコキシアルコキシアルキル基]、
(c)炭素数1〜20のシリロキシアルキル基、
(d)炭素数3〜12のシクロアルキル基、
(e)炭素数6〜12のアリール基、
(f)炭素数7〜20のアルキルアリール基、
(g)炭素数7〜20のアリールアルキル基、
(h)炭素数7〜20のアリールオキシアルキル基、
(i)炭素数8〜20のアリールオキシカルボニルアルキル基、
(j)(メタ)アクリルカルボニルオキシエチル基、
(k)スチリルカルボニルオキシエチル基、及び
(l)ソルビンカルボニルオキシエチル基が挙げられる。
【0034】
b1で表される「フッ素非含有有機基」としては、中でも、式
−(CH2−CH2−O)nb−Rb1'
(式中、
b1'は、炭素数1〜18のアルキル基、又は炭素数3〜18のシクロアルキル基を表し、
nbは、0〜10の整数を表す。)
で表される基が好ましい。
【0035】
前記「フッ素非含有スチレン系単量体」としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−クロロスチレン等が挙げられ、特に好ましい例はスチレンである。
【0036】
前記「フッ素非含有環状エーテル系単量体」としては、好ましくは、環構成炭素数が2〜10のものが挙げられ、具体的には、テトラヒドロフラン(THF)、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、オキセタン、テトラヒドロピラン、オキセパン、1,4ージオキサン等が用いられる。また、2−メチルテトラヒドロフラン等のアルキル基、及びハロゲン原子等から選択される1個以上(好ましくは、1〜3個)の置換基で置換された環状エーテルも使用できる。これらの中でも特にTHF、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが好適である。
【0037】
[組み合わせ(II)]
(単量体(A))
前記「フッ素含有アクリル系単量体」としては、例えば、式
CH2=CXa2−COO−Ra2−Rf2
[式中、
a2は水素又はメチル基を表し、
a2は単結合又はアルキレン鎖を表し、
f2はフッ素含有有機基を表す。]
で表される単量体が好ましい。
当該単量体に由来する繰り返し単位は、式
【化12】

[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される。
f2で表される「フッ素含有有機基」としては、例えば、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、又はフルオロポリエーテル基が好ましい。
当該「フルオロアルキル基」、当該「フルオロアルコキシ基」、及び当該「フルオロポリエーテル基」としては、それぞれRf1'について例示したものと同様のものが挙げられる。
a2で表される「アルキレン鎖」の炭素数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜6であり、更に好ましくは1又は2である。
なお、Ra2は単結合であるとき、Rf3は、好ましくは−C(CF32Hである。
以下に、前記「フッ素含有アクリル系単量体」の具体例を構造式で示す。
【0038】
【化13】

【0039】
【化14】

【0040】
(単量体(B))
前記「フッ素非含有アクリル系単量体」としては、例えば、式
CH2=CXb2−COORb2
[式中、Xb2は、水素又はメチル基を表し、Rb2は、フッ素非含有有機基を表す]で表される単量体が好ましい。
当該「フッ素非含有アクリル系単量体」として具体的には、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸アリル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチルなどのアクリル酸エステル;
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘプチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸トルイル、メタクリル酸3−メトキシブチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチルなどのメタクリル酸エステル;
α−メトキシアクリル酸メチル、α−エトキシアクリル酸メチルなどのα−アルコキシアクリル酸エステル;
クロトン酸メチル、クロトン酸エチルなどのクロトン酸エステル;
3−メトキシアクリル酸エステルなどの3−アルコキシアクリル酸エステル
などが挙げられる。
また、更に、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリ(エチレングリコール-テトラメチレングリコール)モノメタクリレート、ポリ(エチレングリコールーテトラメチレングリコール)モノアクリレート、ポリ(プロピレングリコールーテトラメチレングリコール)モノメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール-テトラメチレングリコール)モノアクリレートといった単量体も挙げられる。
前記「フッ素非含有スチレン系単量体」としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−クロロスチレン等が挙げられ、特に好ましい例はスチレンである。
前記「フッ素非含有ニトリル系含有単量体」としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
前記「フッ素非含有アミド基含有単量体」としては、N,N−二置換の(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。また、重合方法としてリビングラジカル重合を採用する場合は、上記の単量体に加えて、さらにアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−アミノエチル、アクリル酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−アミノエチル、メタクリル酸やN−無置換、N−一置換の(メタ)アクリルアミド等も挙げられる。
【0041】
[組み合わせ(III)]
(単量体(A))
前記「フッ素含有スチレン系単量体」としては、例えば、式
【化15】

[式中、
a3は水素又はメチル基を表し、
na3は1〜5の整数を表し、
ma3は0〜4の整数を表し、
na3とma3の和は、1〜5であり、
f3は、各出現において同一又は異なって、フッ素又は含有フッ素含有有機基を表し、
a3はフッ素非含有有機基を表す。]
で表される単量体が好ましい。
当該単量体に由来する繰り返し単位は、式
【化16】

[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される。
f3は、好ましくはフッ素、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、又はフルオロポリエーテル基、より好ましくはフッ素又は−CF3又は、−C(CF32O−Rである。ここで、Rは炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状又は環状の、アルキル基又はフルオロアルキル基をあらわす。
a3は、好ましくは水素又はメチルである。
本発明の好適な一態様においては、Rf3が、フッ素、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、又はフルオロポリエーテル基であり、かつ、Xa3が、水素である。
以下に、前記「フッ素含有スチレン系単量体」の具体例を構造式で示す。
【化17】

(式中、Rは、前記と同意義を表す。)
【0042】
(単量体(B))
前記「フッ素非含有アクリル系単量体」、「フッ素非含有スチレン系単量体」、「フッ素非含有ニトリル系含有単量体」、及び「フッ素非含有アミド基含有単量体」としては、組み合わせ(II)で説明したものと同様のものが用いられる。
【0043】
[組み合わせ(IV)]
(単量体(A))
前記「フッ素含有スチレン系単量体」としては、例えば、3〜8員のフッ素含有環状エーテル単量体が好ましい。当該単量体は、環構成原子として、1又は2個の酸素原子を有する。
前記「フッ素含有スチレン系単量体」として、より好ましくは、例えば、式
【化18】

[式中、
4は、各出現において同一又は異なって、フッ素及びフルオロアルキルから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいメチレンを表し、
複数のR4のうち、少なくとも1個のR4はフッ素及びフルオロアルキルから選択される1個以上の置換基で置換されたメチレンであり、
na4は2〜8の整数を表す。]
で表される単量体である。
当該単量体に由来する繰り返し単位は、式
【化19】

又は
【化20】

[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される。
前記置換基としてのフルオロアルキルは、好ましくはトリフルオロメチルである。
以下に、前記「フッ素含有スチレン系単量体」の具体例を構造式で示す。
【化21】

前記「フッ素含有スチレン系単量体」は、好ましくは、例えば、テトラフルオロオキセタン、ヘキサフルオロプロピレンオキシドである。
【0044】
(単量体(B))
前記「フッ素非含有アクリル系単量体」、「フッ素非含有スチレン系単量体」、及び「フッ素非含有ニトリル系含有単量体」としては、組み合わせ(II)で説明したものと同様のものが用いられる。
前記「フッ素非含有アミド基含有単量体」としては、N,N−二置換の(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0045】
(フッ素含有共重合体の製造方法)
本発明で用いられるフッ素含有共重合体は、
(A):
フッ素含有ビニルエーテル単量体、フッ素含有アクリル単量体、フッ素含有スチレン単量体、又はフッ素含有環状エーテル単量体等のフッ素含有単量体(以下、単量体(A)と称する場合がある。)、及び
(B):
フッ素非含有ビニルエーテル単量体、フッ素非含有アクリル単量体、フッ素非含有スチレン単量体、フッ素非含有環状エーテル化合物、フッ素非含有ニトリル系含有単量体、又はフッ素非含有アミド基含有単量体等のフッ素非含有単量体(以下、単量体(B)と称する場合がある。)
を重合させることによって、製造することができる。
当該重合は、ジブロック重合体、トリブロック重合体、マルチブロック重合体、及びグラフト重合体等の重合体の形態に応じた慣用の手順で行えばよい。
例えば、ジブロック重合体の場合、単量体(A)及び単量体(B)を逐次的に重合させて重合体ブロック(A)、及び重合体ブロック(B)を形成することによって合成すればよい。
また、例えば、繰り返し単位(b)からなる幹と、A−Bで表されるジブロック重合体である枝を有するグラフト重合体の場合、幹となる直鎖に重合開始点を作り、この重合開始点上に枝を形成する方法、又は予め形成した枝を幹に結合させる方法によって合成すればよい。
重合法は、カチオン重合法、アニオン重合法、ラジカル重合法、開環重合法等の公知の重合法を採用すればよいが、特に、所望する分子量及び分子量分布を有するフッ素含有共重合体、特に、数平均分子量が1,000〜1,000,000であり、分子量分布が4以下であるフッ素含有共重合体を得る観点からは、精密な重合が可能であるリビング重合法が好ましい。
重合方法は、重合させる単量体(A)及び単量体(B)の組み合わせに応じて、好ましいものを選択することが好ましい。
組み合わせ(I)については、リビングカチオン重合法が好ましい。
組み合わせ(II)については、リビングアニオン重合又はリビングラジカル重合が好ましい。
組み合わせ(III)については、リビングアニオン重合又はリビングラジカル重合が好ましい。
組み合わせ(IV)については、リビングアニオン重合(リビングアニオン開環重合)が好ましい。
リビングカチオン重合、リビングアニオン重合、リビングラジカル重合は、それぞれ、リビングカチオン重合開始剤、リビングアニオン重合開始剤、リビングラジカル重合開始の存在下、単量体を重合させることによって実施される。
当該開始剤は、下記で詳細に説明する。
以下に、ジブロック共重合体のリビングカチオン重合法、リビングアニオン重合法、リビングラジカル重合法による合成を例に挙げて、本発明で用いられるフッ素含有共重合体を合成する方法について詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
(リビングカチオン重合法)
本発明で用いられるフッ素含有共重合体は、下記の工程1〜3を有する方法で製造することができる。
工程1:
単量体(A)を、
ルイス酸、及び
開始剤
の存在下でリビングカチオン重合させる。
工程2:
前記工程1の後に、反応液に、単量体(B)を添加して、リビングカチオン重合させる。
工程3:
前記工程2の後に、停止剤を添加してリビングカチオン重合を停止させる。
【0047】
(工程1)
工程1で用いられる単量体(A)は、市販品によって、又は公知の方法で製造することによって入手できる。
前記開始剤としては、リビングカチオン重合反応を開始できるものであれば特に限定されず、例えば、ビニルエーテルのカルボン酸付加体、又はビニルエーテルのハロゲン化水素付加体を用いることができる。中でも、酢酸付加体(例、酢酸1−ブトキシエチル)及び塩酸付加体が好ましく用いられる。
【0048】
前記ルイス酸としては、例えば、下記の一般式(1)で表される化合物、及び下記の一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
一般式(1):AlXabc
(式中、Xa、Xb、及びXcは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリロキシ基を表す。)
で表されるアルミニウム化合物。
a、Xb、及びXcで表される「ハロゲン原子」としては、例えば、塩素、臭素、及びヨウ素などが挙げられる。
a、Xb、及びXcで表される「アルキル基」としては、例えば、炭素原子数1〜10のアルキル基が挙げられる。
a、Xb、及びXcで表される「アリール基」としては、例えば、炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。
a、Xb、及びXcで表される「アルコキシ基」としては、例えば、炭素原子数1〜10のアルコキシ基が挙げられる。
a、Xb、及びXcで表される「アリール基」としては、例えば、炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。
一般式(1)で表されるアルミニウム化合物として具体的には、例えば、
ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムフルオライド、ジエチルアルミニウムアイオダイド、ジイソプロピルアルミニウムクロライド、ジイソプロピルアルミニウムブロマイド、ジイソプロピルアルミニウムフルオライド、ジイソプロピルアルミニウムアイオダイド、メチルアルミニウムセスキクロライド、ジメチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジブロマイド、エチルアルミニウムジフルオライド、エチルアルミニウムジアイオダイド、イソブチルアルミニウムジクロライド、オクチルアルミニウムジクロライド、エトキシアルミニウムジクロライド、ビニルアルミニウムジクロライド、フェニルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキブロマイド、アルミニウムトリクロライド、アルミニウムトリブロマイド、エチルアルミニウムエトキシクロライド、ブチルアルミニウムブトキシクロライド、エチルアルミニウムエトキシブロマイドなどの有機ハロゲン化アルミニウム化合物、及び
ジエトキシエチルアルミニウムなどのジアルコキシアルキルアルミニウム、ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)メチルアルミニウム、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェノキシ)メチルアルミニウムなどのビス(アルキル置換アリロキシ)アルキルアルミニウムなどが挙げられる。これらのアルミニウム化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
一般式(2):MYabcd
(式中、Mは4価のTi又はSnを表し、Ya、Yb、Yc、及びYdは、それぞれハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリロキシ基を示す。)
でそれぞれ表される。四価チタニウム又は四価スズ化合物。
a、Yb、Yc、及びYdでそれぞれ表される、「ハロゲン原子」、「アルキル基」、「アリール基」、及び「アルコキシ基」としては、それぞれXa、Xb、及びXcについて例示したものと同様のものが挙げられる。
一般式(2)で表される四価チタニウム化合物として具体的には、例えば、
四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン等のハロゲン化チタン、
チタントリエトキシクロライド、チタントリn−ブトキシドクロライド等のハロゲン化チタンアルコキシド、
チタンテトラエトキシド、チタンn−ブトキシドなどのチタンアルコキシドなどが挙げられる。
一般式(2)で表される四価スズ化合物として具体的には、例えば、
四塩化スズ、四臭化スズ、四ヨウ化スズ等のハロゲン化スズ等を挙げることができる。
これらの四価チタン化合物及び四価スズ化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、前記ルイス酸としては、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ビスマス(Bi)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、又はアンチモン(Sb)のハロゲン化物;オニウム塩(例、アンモニウム塩、ホスホニウム塩);金属酸化物(例、Fe23、Fe34、In23、Ga23、ZnO、及びCo34等)も挙げられる。
【0050】
前記のような開始剤、ルイス酸、及び単量体(A)を混合することで、リビングカチオン重合が開始される。
【0051】
リビングカチオン重合の進行において、カチオンは、常にポリマーの末端に存在する。当該カチオンはモノマーとの反応点として機能する。当該明細書中、このようにポリマー末端に反応点(ここでは、カチオン)を有するポリマーを生長種と称する。通常、生長種のカチオンはリビングカチオン重合の進行によって失われない。
このような生長種をさらに安定化させる目的で、生長種安定化剤として、含酸素又は含窒素化合物を好適に用いることができる。
当該含酸素又は含窒素化合物としては、例えば、エステル、エーテル、酸無水物、ケトン、イミド、リン酸化合物、ピリジン誘導体、及びアミンが挙げられる。具体的には、エステルとしては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸フェニル、クロロ酢酸メチル、ジクロロ酢酸メチル、酪酸エチル、ステアリン酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、フタル酸ジエチル、イソフタル酸ジエチルなどが挙げられる。
当該エーテルとしては、例えば、
ジエチルエーテル、エチレングリコールなどの鎖状エーテル、
ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテルが挙げられる。
前記酸無水物としては、無水酢酸などが挙げられる。
前記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトンなどが挙げられる。
前記イミドとしては、エチルフタルイミドなどが挙げられる。
前記リン酸化合物としては、トリエチルホスフェートなどが挙げられる。
前記ピリジン誘導体としては、2,6−ジメチルピリジンなどが挙げられる。
前記アミンとしては、トリブチルアミンなどが挙げられる。
これらの化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
工程1の反応は、バルクで行ってもよいが、好ましくは、溶媒を使用する。
溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;四塩化炭素、塩化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテルなどのエーテルなどが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
工程1で用いられる単量体(A)の使用量は、少なくとも開始剤1モルに対して1モル以上が必要であるが、特に制限は無く、所望する重合体ブロック(A)の長さに応じた量であればよい。
前記ルイス酸の使用量は、単量体(A)1モルに対して、1/1000〜1/2モルが好ましく、1/1000〜1/10モルがより好ましい。
反応系における前記開始剤の濃度は、単量体の使用量によるが、通常、0.1〜1,000mMが好ましく、1〜100mMがより好ましい。
前記生長種安定化剤の使用量は、ルイス酸1モルに対して、0.1〜2000モルが好ましく、1〜2000モルがより好ましい。
一般的には、使用する単量体(A)100質量部に対して、溶媒を100〜10000質量部の割合で用いることが好ましい。
工程1の反応温度は、通常−80〜150℃、好ましくは−78〜80℃である。
工程1の反応時間は、通常1分〜1ヶ月間、好ましくは1分〜100時間である。
【0054】
(工程2)
工程2で用いられる単量体(B)は、市販品によって、又は公知の方法で製造することによって入手できる。
工程2で用いられる単量体(B)の使用量は、少なくとも開始剤1モルに対して1モル以上が必要であるが、特に制限は無く、所望する重合体ブロック(B)の長さに応じた量であればよい。
上述のように、リビングカチオン重合の進行において、カチオンは、常にポリマーの末端に存在するので、工程1の後の反応液に単量体(B)を添加すると、重合が進行する。
工程2の反応温度は、通常−80〜150℃、好ましくは−78〜80℃である。
工程2の反応時間は、通常1分〜1ヶ月間、好ましくは1分〜100時間である。
【0055】
(工程3)
工程3で用いられる停止剤としては、リビングカチオン重合反応を停止できるものであれば特に限定されず、例えば、アルコール又はカルボン酸を用いることができるが、アルコールが好ましい。
当該停止剤の使用量は、反応液内で停止剤とポリマーの反応末端が充分に接触することが可能となればよく、使用する量は厳密に規定されるものでは無い。通常、反応液の量の0.01〜10倍容量であり、好ましくは0.1〜1倍容量である。
【0056】
当業者に明らかなように、このような製造方法で製造された、本発明で用いられるフッ素含有共重合体は、重合反応の開始剤及び/又は停止剤等に由来する構造を、その分子内に有する。
【0057】
このようにして合成されたフッ素含有共重合体は、所望により、希塩酸等にて重合開始剤系の金属成分などを除去した後、反応液の水洗、及び濃縮等の慣用の方法により精製することができる。
【0058】
(リビングアニオン重合法)
本発明で用いられる含フッ素共重合体は、下記の工程1〜3を有する方法で製造することができる。
工程1:
単量体(A)を、
開始剤
の存在下でリビングアニオン重合させる。
工程2:
前記工程1の後に、反応液に、単量体(B)を添加して、リビングアニオン重合させる。
工程3:
前記工程2の後に、停止剤を添加してリビングアニオン重合を停止させる。
【0059】
(工程1)
工程1で用いられる単量体(A)は、市販品によって、又は公知の方法で製造することによって入手できる。
前記開始剤としては、リビングアニオン重合反応を開始できるものであれば特に限定されず、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属を対カチオンとする公知のアニオン性重合開始剤が好適に使用できる。好ましい具体例としては、例えばアルキルリチウム類(例、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、iso−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム)、グリニャール試薬類(例、t−C49MgBr)などが挙げられる。
【0060】
そのほか、ルイス酸(アルキルアルミニウムなど)や金属塩(LiClなど)などの添加剤を加えてもよい。また重合開始剤に、ジフェニルエチレンのような共鳴系が大きく単独重合性が小さい不飽和化合物を付加して修飾してもよい。
【0061】
前記のような開始剤、及び単量体(A)、ならびに所望により用いられるルイス酸、及び所望により用いられる金属塩を混合することで、リビングアニオン重合が開始される。
【0062】
リビングアニオン重合の進行において、アニオンは、常にポリマーの末端に存在する。当該アニオンはモノマーとの反応点として機能する。通常、アニオンはリビングアニオン重合の進行によって失われない。
【0063】
工程1の反応は、バルクで行ってもよいが、好ましくは、溶媒を使用する。
溶媒としては、薬品取り扱い時の安全性が比較的高く、廃水への混入が生じにくく、溶媒の回収精製が容易であるなどの点から、一般に、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸エチル、フタル酸ジメチルなどのエステル系溶媒などが好ましく用いられる。これらの有機溶媒は単独で用いても2種以上を組み合わせて使用してもよい。重合に使用する有機溶媒は、予め脱気及び脱水処理して精製しておくことが好ましい。
【0064】
工程1で用いられる単量体(A)の使用量は、少なくとも開始剤1モルに対して1モル以上が必要であるが、特に制限は無く、所望する重合体ブロック(A)の長さに応じた量であればよい。
一般的には、使用する単量体(A)100質量部に対して、溶媒を100〜10000質量部の割合で用いることが好ましい。
工程1の反応温度は、通常0℃以下、好ましくは−80〜−40℃の範囲内で、重合溶媒が凍結しない温度が採用される。
工程1の反応時間は、通常1分〜1ヶ月間、好ましくは1分〜100時間である。
【0065】
(工程2)
工程2で用いられる単量体(B)は、市販品によって、又は公知の方法で製造することによって入手できる。
工程2で用いられる単量体(B)の使用量は、少なくとも開始剤1モルに対して1モル以上が必要であるが、特に制限は無く、所望する重合体ブロック(B)の長さに応じた量であればよい。
反応系における前記開始剤の濃度は、単量体の使用量によるが、通常、0.1〜1,000mMが好ましく、1〜100mMがより好ましい。
上述のように、リビングアニオン重合の進行において、アニオンは、常にポリマーの末端に存在するので、工程1の後の反応液に単量体(B)を添加すると、重合が進行する。
工程2の反応温度は、通常通常0℃以下、好ましくは−80〜−40℃の範囲内で、重合溶媒が凍結しない温度が採用される。
工程2の反応時間は、通常1分〜1ヶ月間、好ましくは1分〜100時間である。
【0066】
(工程3)
工程3で用いられる停止剤としては、リビングアニオン重合反応を停止できるものであれば特に限定されず、例えば、重合停止剤としては、例えばメタノール、酢酸、塩酸のメタノール溶液などのプロトン性化合物を使用するが、メタノールが好ましい。
当該停止剤の使用量は、反応液内で停止剤とポリマーの反応末端が充分に接触することが可能となればよく、使用する量は厳密に規定されるものでは無い。通常、反応液の量の0.01〜10倍容量であり、好ましくは0.1〜1倍容量である。
【0067】
当業者に明らかなように、このような製造方法で製造された、本発明で用いられるフッ素含有共重合体は、重合反応の開始剤及び/又は停止剤等に由来する構造を、その分子内に有する。
【0068】
このようにして合成されたフッ素含有共重合体は、所望により、希塩酸等にて重合開始剤系の金属成分などを除去した後、反応液の水洗、及び濃縮等の慣用の方法により精製することができる。
【0069】
(リビングラジカル重合法)
本発明で用いられる含フッ素共重合体は、下記の工程1〜3を有する方法で製造することができる。
工程1:
単量体(A)を、
開始剤系の存在下でリビングラジカル重合させる。
工程2:
前記工程1の後に、反応液に、単量体(B)を添加して、リビングラジカル重合させる。
工程3:
前記工程2の後に、反応液を0℃以下にしてリビングラジカル重合を停止させる。
【0070】
(工程1)
工程1で用いられる単量体(A)は、市販品によって、又は公知の方法で製造することによって入手できる。
前記開始剤系としては、リビングラジカル重合反応を開始できるものであれば特に限定されず、例えば、遷移金属錯体(触媒)、有機ハロゲン化物(重合開始剤)の組み合わせが挙げられる。また、ルイス酸等の活性化剤、及びニトリル系化合物を、必要に応じてさらに組合せた系が挙げられる。
【0071】
以下に開始剤系に関して具体的に説明する。
【0072】
重合開始剤としては一般に、有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するエステル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)又はハロゲン化スルホニル化合物等を用いることができる。また、ハロゲンの代わりになる基を用いても構わない。具体的には、例えば、
65−CH2X、
65−C(H)(X)CH3
65−C(X)(CH32
1−C(H)(X)−CO22
1−C(CH3)(X)−CO22
1−C(H)(X)−C(O)R2
1−C(CH3)(X)−C(O)R2
1−C64−SO2
(各式中、
65はフェニル基を表し、
1及びR2は、同一又は異なって、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を表し、
Xは塩素、臭素、又はヨウ素を表す。)
等が挙げられる。
リビングラジカル重合の開始剤として、重合を開始する官能基以外の官能基を有する有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を用いることもできる。このような場合、一方の主鎖末端に官能基を、他方の主鎖末端にハロゲン基を有するビニル系重合体が製造される。このような官能基としては、アルケニル基、架橋性シリル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。
このような官能基をもった有機ハロゲン化物の具体例としては特開2000−72809に記載の化合物が挙げられる。
【0073】
触媒としては、遷移金属錯体が用いられる。当該遷移金属錯体としては、特に限定されず、例えば、WO1997/004171に記載されているものを利用できる。中でも好ましいものとして、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルの錯体が挙げられる。中でも、銅の錯体が好ましく、1価の銅の錯体がより好ましい。1価の銅の錯体として具体的には例えば、、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等が挙げられる。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl2(PPh33)も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。更にまた、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2(PPh32)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl2(PPh32)、及び、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr2(PBu32)も、触媒として好適である。
触媒として銅化合物を用いる場合、その配位子として、WO1997/004171に記載されている配位子の利用が可能である。配位子としては、アミン系配位子が好ましく、2,2′−ビピリジル及びその誘導体等のビピリジル化合物、1,10−フェナントロリン及びその誘導体、ヘキサメチルトリエチレンテトラアミン、ビスピコリルアミン、トリアルキルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチル(2−アミノエチル)アミン等の脂肪族アミン等がより好ましい。
【0074】
ルイス酸としては、例えば、
アルミニウムトリイソプロポキシドやアルミニウムトリ(t−ブトキシド)等のアルミニウムトリアルコキシド;
ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)メチルアルミニウム、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェノキシ)メチルアルミニウム等のビス(置換アリールオキシ)アルキルアルミニウム;トリス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウムなどのトリス(置換アリールオキシ)アルミニウム;及び
チタンテトライソプロポキシド等のチタンテトラアルコキシド等
が挙げられる。
ニトリル化合物としては、特に限定されないが、例えば
アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル等の飽和脂肪族系ニトリル類;
シクロプロピルシアニド、シクロペンタンカルボニトリル、シクロヘプチルシアニド、2−ノルボルナンカルボニトリル、1−アダマンタンカルボニトリル等の脂肪族環状系ニトリル類;
グリコロニトリル、ラクトニトリル、3−ヒドロキシプロピオニトリル、アセトンシアノヒドリン、シクロヘキサノンシアノヒドリン等のヒドロキシル基含有ニトリル類;
メトキシアセトニトリル、メチルチオアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、3−エトキシプロピオニトリル等のエーテル基含有ニトリル類;
シアンアミド、ジメチルシアンアミド、ジエチルシアンアミド、ジイソプロピルシアンアミド等のシアンアミド類;
ジメチルアミノアセトニトリル、2−(ジエチルアミノ)アセトニトリル、イミノジアセトニトリル、N−メチル−β−アラニンニトリル等のアミノ基含有ニトリル類;
トリス(2−シアノエチル)ニトロメタン等のニトロ基含有ニトリル類;
ピルボニトリル、4−メチル−2−オキソペンタンニトリル、5−オキソヘキサンニトリル等のシアノケトン類;
メチルシアノフォルメート、エチルシアノフォルメート、1,1−ジシアノエチルアセテート、メチルシアノアセテート等のシアノカルボネート類;及び
ベンジルシアニド、αメチルベンジルシアニド、ベンゾニトリル、置換基を有するベンゾニトリル等の芳香族ニトリル類
が挙げられる。
ニトリル化合物は遷移金属原子に配位し、触媒の拡散力を向上する効果がある。
【0075】
このような開始剤系の組み合わせの具体例としては以下のものが挙げられる。
(i)ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム等の遷移金属錯体、
四塩化炭素、1−フェニルエチルクロリド、2−ブロモ−2−メチルプロパン酸エチル等のハロゲン化合物(重合開始剤)、及び
アルミニウムアルコキシ化合物(例、アルミニウムトリアルコキシド)等の活性化剤
からなる重合開始剤系。
(ii)遷移金属錯体としてのハロゲノペンタメチルシクロペンタジエニルビス(トリアリールホスフィン)ルテニウム、
有機ハロゲン化物(重合開始剤)としてのα−ハロゲノカルボニル化合物又はα−ハロゲノカルボン酸エステル、及び
活性化剤としてのルイス酸であるアルミニウムトリアルコキシド(好ましくはアルミニウムトリイソプロポキシド)
からなる重合開始剤系。
【0076】
リビングラジカル重合開始剤系における各成分の含有割合は、必ずしも限られるものではないが、有機ハロゲン化合物(重合開始剤)に対する遷移金属錯体の割合が低すぎると重合が遅くなる傾向があり、逆に、高すぎると得られる重合体の分子量分布が広くなる傾向があるので、遷移金属錯体:有機ハロゲン化合物(重合開始剤)のモル比は0.05:1〜1:1の範囲内であることが好ましい。また、有機ハロゲン化合物(重合開始剤)に対する活性化剤の割合が低すぎると重合が遅くなる傾向があり、逆に、高すぎると得られる重合体の分子量分布が広くなる傾向があるので、有機ハロゲン化合物(重合開始剤):活性化剤のモル比は1:1〜1:10の範囲内であることが好ましい。
リビングラジカル重合開始剤系は、通常、使用直前に遷移金属錯体、有機ハロゲン化合物(重合開始剤)、及び活性化剤を常法により混合することにより製造することができる。また、遷移金属錯体、有機ハロゲン化合物(重合開始剤)及び活性化剤をそれぞれ別々に保管しておき、重合反応系中にそれぞれ別々に添加し、重合反応系中で混合してリビングラジカル重合開始剤系として機能するようにしてもよい。
あるいは、活性の高い開始剤系を重合系内で合成し、重合を開始させてもよい。そのような例として、重合溶媒であるアセトニトリルにCuBrを添加し、アセトニトリル錯体を形成させ、そこに、単量体と開始剤(例えば2−ブロモプロピオン酸メチルや2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル)を添加する。その後、ペンタメチルジエチレントリアミンなどの配位子を添加することで活性の高い開始剤が形成でき、速やかに重合が開始される。この場合、溶媒であるアセトニトリル自体がニトリル化合物に相当する。
前記のような遷移金属錯体、有機ハロゲン化物(重合開始剤)、活性化剤及び単量体(A)を混合することで、リビングラジカル重合が開始される。
リビングラジカル重合の進行において、ラジカルは、常にポリマーの末端に存在する。当該カチオンはモノマーとの反応点として機能する。通常、ラジカルはリビングラジカル重合の進行によって失われない。
【0077】
工程1の反応は、バルクで行ってもよいが、好ましくは、溶媒を使用する。
溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼン等のエーテル系溶媒;
塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;
アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;
酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;及び
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒等が挙げられる。これらは、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。重合に使用する有機溶媒は、予め脱気及び脱水処理して精製しておくことが好ましい。
【0078】
工程1で用いられる単量体(A)の使用量は、少なくとも開始剤1モルに対して1モル以上が必要であるが、特に制限は無く、所望する重合体ブロック(A)の長さに応じた量であればよい。
重合反応系内のラジカル重合性単量体の初期濃度は、必ずしも限られるものではないが、低すぎると反応速度が遅すぎ、高すぎると生成ラジカルの単量体への連鎖移動反応が増大
し、得られる重合体の分子量分布が広くなる傾向があるので、好ましくは0.5〜8mol/L、より好ましくは1〜4mol/Lである。その際における各成分の重合系内の濃度についても必ずしも限られるものではないが、ラジカル重合性単量体の濃度に応じて差はあるものの、重合開始剤濃度は、好ましくは0.1〜100mmol/L、より好ましくは0.5〜50mmol/Lである。遷移金属錯体の濃度は、好ましくは0.1〜50mmol/L、より好ましくは0.5〜10mmol/Lである。また、ルイス酸の濃度は、好ましくは1〜200mmol/L、より好ましくは5〜50mmol/Lである。
製造方法において、リビングラジカル重合反応開始に際しては、窒素のような不活性気体の雰囲気下、反応容器に、単量体、溶媒、ルイス酸及び遷移金属錯体からなる混合物を調製し、これに重合開始剤を加えることが好ましい。
このようにして得られた混合物を、例えば、下記の範囲内の反応温度に加温することにより重合を開始させることができる。
一般的には、使用する単量体(A)100質量部に対して、溶媒を100〜10000質量部の割合で用いることが好ましい。
工程1の反応温度は、通常0℃〜200℃、好ましくは室温〜150℃である。重合の雰囲気は、特に限定されないが、酸素不存在雰囲気が好ましい。ラジカルは酸素による影響を受けて消失し、また触媒が酸化されて活性を失う可能性がある。
工程1の反応時間は、通常1分〜1ヶ月間、好ましくは1分〜100時間である。
【0079】
(工程2)
工程2で用いられる単量体(B)は、市販品によって、又は公知の方法で製造することによって入手できる。
工程2で用いられる単量体(B)の使用量は、少なくとも開始剤1モルに対して1モル以上が必要であるが、特に制限は無く、所望する重合体ブロック(B)の長さに応じた量であればよい。
上述のように、リビングラジカル重合の進行において、ラジカルは、常にポリマーの末端に存在するので、工程1の後の反応液に単量体(B)を添加すると、重合が進行する。
工程2の反応温度は、通常0℃〜200℃、好ましくは室温〜150℃の範囲が採用される。
工程2の反応時間は、通常1分〜1ヶ月間、好ましくは1分〜100時間である。
【0080】
(工程3)
工程3においては、温度を0℃以下、好ましくは−50℃以下、さらに好ましくは−78℃以下にすることで、重合を停止させることができる。
【0081】
当業者に明らかなように、このような製造方法で製造された、本発明で用いられるフッ素含有共重合体は、重合反応の開始剤等に由来する構造を、その分子内に有する。
【0082】
このようにして合成されたフッ素含有共重合体は、所望により、希塩酸等にて重合開始剤系の金属成分などを除去した後、反応液の水洗、及び濃縮等の慣用の方法により精製することができる。
【0083】
<フッ素含有有機溶媒のゲル化剤>
上記で詳細に説明した本発明で用いられるフッ素含有共重合体はそのまま、又は適当な添加剤及び溶媒等と混合して組成物を調製し、フッ素含有有機溶媒のゲル化剤として使用することができる。
本発明のフッ素含有有機溶媒のゲル化剤は、フッ素含有有機溶媒と混合することにより、フッ素含有有機溶媒をゲル化することができる。
本発明のフッ素含有有機溶媒のゲル化剤の使用量は、ゲル化しようとするフッ素含有有機溶媒の種類によっても異なるが、フッ素含有有機溶媒100重量部に対して、通常0.1〜100重量部である。
本発明のゲル化剤は、フッ化炭化水素系溶媒(例、パーフルオロヘキサン、パーフルオロオクタン、パーフルオロジメチルシクロヘキサン、パーフルオロデカリン、パーフルオロアルキルエタノール、パーフルオロベンゼン、パーフルオロトルエン、パーフルオロアルキルアミン(フロリナート等)、パーフルオロアルキルエーテル、パーフルオロブチルテトラヒドロフラン、ハイドロフルオロエーテル(ノベック、HFE−7100等)、パーフルオロアルキルブロミド、パーフルオロアルキルヨージド、パーフルオロポリエーテル(クライトックス、デムナム、フォンブリン等)メタクリル酸 2−(パーフルオロアルキル)エチル、アクリル酸 2−(パーフルオロアルキル)エチル、パーフルオロアルキルエチレン、フロン134a、ヘキサフルオロプロペンオリゴマー)等のフッ素含有有機溶媒に好適に用いられる。また、本発明のゲル化剤は、このようなフッ素含有有機溶媒を90体積%以上含有する混合溶媒にも好適に用いられる。
本発明のゲル化剤は、例えば、フッ素含有電解液の液漏れ防止、フッ素含有潤滑油及びグリースの漏れ及び飛散の防止、フロンガス配管内部に塗布することによるガス漏れ防止等の用途に、好適に使用できる。
また、フッ素含有有機溶媒は難燃性が高いので、土木、建築、工業用途に用いるゲルとして好適である。また、吸水性も低く、耐候性もあるので、長期にわたって機能する必要のある建築、土木用のゲルとして好適である。
また、耐熱性や耐薬品性もあるので、環境保全・浄化関連のための水浄化処理への応用が挙げられる。また、環境汚染物質の浄化システムにも応用できる。
また、フッ素の撥水撥油性を利用した防汚性ゲルや、DDS(ドラッグデリバリーシステム)用のゲルや、また、フッ素の特異な酸素溶解性を利用した気体分離ゲル、フッ素の光学特性を生かした、コンタクトレンズや人工角膜、人工硝子体などの生体ゲルの代替が可能である。フッ素の耐電圧性や、耐熱性から、診断・理学的療法分野への応用として、生体電極用ゲルや低周波治療器の導子用ゲル超音波診断カプラー用ゲルが挙げられる。
【0084】
<フッ素含有有機溶媒とフッ素非含有有機溶媒との相溶化剤>
上記で詳細に説明した本発明で用いられるフッ素含有共重合体はそのまま、又は適当な添加剤及び溶媒等と混合して組成物を調製し、フッ素含有有機溶媒とフッ素非含有有機溶媒との相溶化剤として使用できる。
本発明のフッ素含有有機溶媒とフッ素非含有有機溶媒との相溶化剤は、フッ素含有有機溶媒及びフッ素非含有有機溶媒と混合することにより、フッ素含有有機溶媒とフッ素非含有有機溶媒とを相溶化できる。
本発明の相溶化剤は、フッ化炭化水素系溶媒(例、パーフルオロヘキサン、パーフルオロオクタン、パーフルオロジメチルシクロヘキサン、パーフルオロデカリン、パーフルオロアルキルエタノール、パーフルオロベンゼン、パーフルオロトルエン、パーフルオロアルキルアミン(フロリナート等)、パーフルオロアルキルエーテル、パーフルオロブチルテトラヒドロフラン、ハイドロフルオロエーテル(ノベック、HFE−7100等)、パーフルオロアルキルブロミド、パーフルオロアルキルヨージド、パーフルオロポリエーテル(クライトックス、デムナム、フォンブリン等)メタクリル酸 2−(パーフルオロアルキル)エチル、アクリル酸 2−(パーフルオロアルキル)エチル、パーフルオロアルキルエチレン、フロン134a、ヘキサフルオロプロペンオリゴマー)等のフッ素含有有機溶媒と炭化水素系溶媒(例、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、二硫化炭素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ダイグライム、トリグライム、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、2−ブタノン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ブタノール、プロパノール、エタノール、メタノール、トリエチルアミン、アニリン)等のフッ素非含有有機溶媒の相溶化に好適に用いられる。また、本発明の相溶化剤は、このようなフッ素含有有機溶媒を90体積%以上含有する混合溶媒と、このようなフッ素非含有有機溶媒を90体積%以上含有する混合溶媒の相溶化にも好適に用いられる。
本発明のフッ素含有有機溶媒の相溶化剤の使用量は、相溶化しようとするフッ素含有有機溶媒とフッ素非含有有機溶媒の種類によっても異なるが、フッ素含有有機溶媒とフッ素非含有有機溶媒の総量100重量部に対して、通常0.1〜100重量部である。
本発明の相溶化剤は、例えば、塗料用分散剤、及びフッ素高分子乳化重合用の界面改正剤として、好適に使用できる。
また、通常は汎用溶剤への溶解が困難なフッ素系のポリマーを、少量のフッ素系溶剤とともに本発明の相溶化剤を用いることで、見かけ上、フッ素系ポリマーの汎用溶剤への溶解が可能になる。
また、本発明の相溶化剤を用いれば、電池電解液(炭化水素系の溶媒)にフッ素溶媒を混ぜることが可能になり、電池電解液の不燃化に効果がある。
さらに、フロラス溶媒を用いた化学反応(酸化反応、水素化反応、ハロゲン化反応、電極反応など)において、基質の溶解度向上による反応性向上、収率向上が期待できる。
【実施例】
【0085】
以下に実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、下記の実施例において、GPC測定及びNMR測定は、それぞれ下記の装置、及び方法で実施した。
[GPC測定]
以下のカラムを順に直列配管したものを使用して測定した。
TOSOH TSK guardcolumn HXL−L(6.0mm I.D.×30cm)
TOSOH TSKgel G4000HXL(7.8mm I.D.×30cm)
TOSOH TSKgel G3000HXL(7.8mm I.D.×30cm)
TOSOH TSKgel G2000HXL(7.8mm I.D.×30cm)
溶出液:クロロホルム
標準ポリスチレンで分子量を校正した。
HPLC装置:TOSOH DP−8020,デュアルポンプ、流速:1mL/min
[NMR測定]
JEOL ECA500(測定溶媒:CDCl3、基準:TMS)
MALDI−TOF−MS :Shimadzu Kratos AXIMA−CFR(測定はリニアモード)。
【0086】
実施例1
<ポリ(イソブチルビニルエーテル)−block−ポリ[2−(9,9,9,8,8,7,7,6,6,5,5,4,4−トリデカフルオロノニルオキシ)エチルビニルエーテル]の合成(合成例1)>
重合用のガラス器具は、すべて送風定温乾燥機(130℃)にて3時間乾燥させたものを用いた。三方活栓をつけたガラス反応容器を窒素ガス気流下で加熱し、窒素加圧下にて室温まで放冷し、乾燥窒素で常圧に戻し、容器内を十分乾燥させた。窒素雰囲気下、容器内に、1,4−ジオキサン(1.2M)、第一のモノマーとしてイソブチルビニルエーテル(0.8M)、酢酸1−ブトキシエチル(4mM)を乾燥窒素下で添加し、α,α,α-トリフルオロトルエンを2M含んだトルエンを加えて全体を4.5mLとした。容器を0℃に冷却した後、(CH3CH21.5AlCl1.5の200mM トルエン溶液(以下、ルイス酸含有トルエン溶液と称する。)を0.5mL(20mM)加えて、重合を開始した。別途調製しておいた、転嫁率確認用反応液の後処理によって第一のモノマーの約90%を消費したことを確認後、さらにこの反応液に、第二のモノマーとして、2−(9,9,9,8,8,7,7,6,6,5,5,4,4−トリデカフルオロノニルオキシ)エチルビニルエーテル0.4mLを0℃で加えた(ニートで滴下した)。同様に、別途調製しておいた転化率確認用反応液の後処理によって第一のモノマーの消費を確認してから、メタノール(2ml)を滴下して反応を全て停止させ、ジクロロメタンで反応液を希釈した後、反応液を水洗して反応で発生したアルミニウム化合物を除去した。溶媒をエバポレーターで除去後、残った生成物を真空ポンプによる減圧下で一晩乾燥した。
生成したポリマーは、重量法によりモノマーの転換率(重合率、Conversion)を算出し、ほぼ定量的にモノマーがポリマーへと変換されていることが判った。
得られたポリマーの構造は1H−NMRにより確認した。ポリマー中のイソブチル基由来のピーク(0.8−0.9ppm)とパーフルオロアルキル基に隣接する−CH2−基由来の吸収(2.0−2.3ppm)の積分値から、得られたポリマー鎖中のブロック比を算出した。イソブチルビニルエーテルに由来する繰り返し単位と2−(9,9,9,8,8,7,7,6,6,5,5,4,4−トリデカフルオロノニルオキシ)エチルビニルエーテルに由来する繰り返し単位のモル組成比は、160:40であった。
分子量の測定値は、42300(数平均分子量)であった。また、分子量分布は、1.2(Mw/Mn)であった。
【0087】
実施例2
<パーフルオロ溶媒のゲル化>
実施例1で合成したブロックポリマー0.4gをα,α,α-トリフルオロトルエン0.4gに溶解させた。これにパーフルオロヘキサン0.6gを加えると、系がゲル化した。
容器ごとゲルを加温すると、系はゾル化したが、再び室温まで冷却するとゲル化した。
【0088】
実施例3
<ポリ(イソブチルビニルエーテル)−block−ポリ[2−(9,9,9,8,8,7,7,6,6,5,5,4,4−トリデカフルオロノニルオキシ)エチルビニルエーテル]の合成(合成例2)>
実施例1と同様にして、イソブチルビニルエーテルと2−(9,9,9,8,8,7,7,6,6,5,5,4,4−トリデカフルオロノニルオキシ)エチルビニルエーテルから、イソブチルビニルエーテルに由来する繰り返し単位と2−(9,9,9,8,8,7,7,6,6,5,5,4,4−トリデカフルオロノニルオキシ)エチルビニルエーテルに由来する繰り返し単位のモル組成比が160:60のブロックポリマーを合成した。
分子量の測定値は、48300(数平均分子量)であった。また、分子量分布は、1.2(Mw/Mn)であった。
【0089】
実施例4
<パーフルオロ溶媒−非フッ素溶媒の相溶化>
実施例3で合成したブロックポリマーをヘキサンに溶解させ、20wt%溶液を調製した。パーフルオロヘキサン−n−ヘキサン(6:4)の混合物(下相がパーフルオロヘキサンである、完全な二相の分離状態)へ、このポリマー溶液を徐々に添加した。ポリマーの濃度が3wt%となるまでポリマー溶液を加えた時に、系が均一となった。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明のフッ素含有有機溶媒のゲル化剤は、優れたゲル化作用を有し、例えば、フッ素含有電解液の液漏れ防止、フッ素含有潤滑油及びグリースの漏れ及び飛散の防止、フロンガス配管内部に塗布することによるガス漏れ防止等の用途に、好適に使用できる。
本発明のフッ素含有有機溶媒とフッ素非含有有機溶媒との相溶化剤は、優れた相溶化作用を有し、例えば、塗料用分散剤、及びフッ素高分子乳化重合用の界面活性剤として、好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素含有重合体ブロック(A)と、
フッ素非含有重合体ブロック(B)と
からなるフッ素含有共重合体
を含有するフッ素含有有機溶媒のゲル化剤。
【請求項2】
フッ素含有重合体ブロック(A)が、
フッ素含有ビニルエーテル系単量体、
フッ素含有アクリル系単量体、
フッ素含有スチレン系単量体、又は
フッ素含有環状エーテル系単量体
に由来する繰り返し単位からなり、かつ
フッ素非含有重合体ブロック(B)が、
フッ素非含有ビニルエーテル系単量体、
フッ素非含有アクリル系単量体、
フッ素非含有スチレン系単量体、
フッ素非含有環状エーテル系単量体、
フッ素非含有ニトリル系含有単量体、又は
フッ素非含有アミド基含有単量体
に由来する繰り返し単位からなる
請求項1に記載のゲル化剤。
【請求項3】
フッ素含有重合体ブロック(A)が、式
CH2=CXa1−O−Rf1
[式中、Xa1は水素又はメチル基を表し、Rf1はフッ素含有有機基を表す。]
で表されるフッ素含有ビニルエーテル系単量体に由来する繰り返し単位からなり、
フッ素非含有重合体ブロック(B)が、
(i)式
CH2=CXb1−O−Rb1
[式中、
b1は水素又はメチル基を表し、
b1はフッ素非含有有機基を表す。]
で表されるフッ素非含有ビニルエーテル系単量体、
(ii)フッ素非含有スチレン系単量体、又は
(iii)フッ素非含有環状エーテル系単量体
に由来する繰り返し単位からなる
請求項2に記載のゲル化剤。
【請求項4】
f1が、式
−(CH2−CH2−O)na1−Ra1−Rf1'
[式中、
f1'は、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、又はフルオロポリエーテル基を表し、
a1は、アルキレン鎖を表し、
na1は0〜10の整数を表す。]
で表されるフッ素含有有機基であり、
a1が、水素である
請求項3に記載のゲル化剤。
【請求項5】
a1が、炭素数1〜3のアルキレン鎖であり、
na1が、1〜3の整数である
請求項4に記載のゲル化剤。
【請求項6】
a1が、炭素数1〜3のアルキレン鎖であり、
na1が、0である
請求項4に記載のゲル化剤。
【請求項7】
b1が、−(CH2−CH2−O)nb−Rb1'
[式中、
b1'は、炭素数1〜18のアルキル基、又は炭素数3〜18のシクロアルキル基を表し、
nbは、0〜10の整数を表す。]
で表されるフッ素非含有有機基であり、
b1が、水素である
請求項3〜6のいずれか1項に記載のゲル化剤。
【請求項8】
フッ素含有重合体ブロック(A)が、式
CH2=CXa2−COO−Ra2−Rf2
[式中、
a2は水素又はメチル基を表し、
a2は単結合又はアルキレン鎖を表し、
f2はフッ素含有有機基を表す。]
で表されるフッ素含有アクリル系単量体に由来する繰り返し単位からなり、
フッ素非含有重合体ブロック(B)が、
(i)式
CH2=CXb2−COO−Rb2
[式中、
b2は水素又はメチル基を表し、
b2はフッ素非含有有機基を表す。]
で表されるフッ素非含有アクリル系単量体、又は
(ii)フッ素非含有スチレン系単量体
に由来する繰り返し単位からなる
請求項2に記載のゲル化剤。
【請求項9】
f2が、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、又はフルオロポリエーテル基である
請求項8に記載のゲル化剤。
【請求項10】
フッ素含有重合体ブロック(A)が、式
【化1】

[式中、
a3は水素又はメチル基を表し、
na3は1〜5の整数を表し、
ma3は0〜4の整数を表し、
na3とma3の和は、1〜5であり、
f3は、各出現において同一又は異なって、フッ素又はフッ素含有有機基を表し、
a3は、各出現において同一又は異なって、フッ素非含有有機基を表す。]
で表されるフッ素含有スチレン系単量体に由来する繰り返し単位からなり、
フッ素非含有重合体ブロック(B)が、
(i)式
CH2=CXb3−COORb3
[式中、
b3は水素又はメチル基を表し、
b3は、フッ素非含有有機基を表す]
で表されるフッ素非含有アクリル系単量体、又は
(ii)フッ素非含有スチレン系単量体に由来する繰り返し単位からなる
請求項2に記載のゲル化剤。
【請求項11】
f3が、フッ素、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、又はフルオロポリエーテル基であり、
a3が、水素である
請求項10に記載のゲル化剤。
【請求項12】
フッ素含有重合体ブロック(A)が、3〜8員のフッ素含有環状エーテル単量体に由来する繰り返し単位からなり、
フッ素含有重合体ブロック(B)が、
(i)式
CH2=CXb2−COO−Rb2
[式中、
b2は水素又はメチル基を表し、
b2はフッ素非含有有機基を表す。]
で表されるフッ素非含有アクリル系単量体、又は
(ii)フッ素非含有スチレン系単量体
に由来する繰り返し単位からなる
請求項2に記載のゲル化剤。
【請求項13】
3〜8員のフッ素含有環状エーテル単量体が、式
【化2】

[式中、
4は、各出現において同一又は異なって、フッ素及びフルオロアルキルから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいメチレンを表し、
複数のR4のうち、少なくとも1個のR4はフッ素及びフルオロアルキルから選択される1個以上の置換基で置換されたメチレンであり、
na4は2〜8の整数を表す。]
で表される環状エーテル化合物である
請求項12に記載のゲル化剤。
【請求項14】
フッ素含有環状エーテル単量体が、テトラフルオロオキセタン、又はヘキサフルオロプロピレンオキシドである
請求項12に記載のゲル化剤。
【請求項15】
フッ素含有共重合体の数平均分子量が1,000〜1,000,000である
請求項1〜14のいずれか1項に記載のゲル化剤。
【請求項16】
フッ素含有共重合体の分子量分布が4以下である
請求項1〜15のいずれか1項に記載のゲル化剤。
【請求項17】
全フッ素含有重合体ブロック(A)中の繰り返し単位と全フッ素非含有重合体ブロック(B)中の繰り返し単位とのモル比が、10:90〜90:10である
請求項1〜16のいずれか1項に記載のゲル化剤。
【請求項18】
フッ素含有重合体ブロック(A)と、
フッ素非含有重合体ブロック(B)と
からなるフッ素含有共重合体
を含有する、フッ素含有有機溶媒とフッ素非含有有機溶媒との相溶化剤。
【請求項19】
フッ素含有重合体ブロック(A)が、
フッ素含有ビニルエーテル系単量体、
フッ素含有アクリル系単量体、
フッ素含有スチレン系単量体、又は
フッ素含有環状エーテル系単量体
に由来する繰り返し単位からなり、かつ
フッ素非含有重合体ブロック(B)が、
フッ素非含有ビニルエーテル系単量体、
フッ素非含有アクリル系単量体、
フッ素非含有スチレン系単量体、
フッ素非含有環状エーテル系単量体、
フッ素非含有ニトリル系含有単量体、又は
フッ素非含有アミド基含有単量体
に由来する繰り返し単位からなる
請求項18に記載の相溶化剤。
【請求項20】
フッ素含有重合体ブロック(A)が、式
CH2=CXa1−O−Rf1
[式中、Xは水素又はメチル基を表し、Rf1はフッ素含有有機基を表す。]
で表されるフッ素含有ビニルエーテル系単量体に由来する繰り返し単位からなり、
フッ素非含有重合体ブロック(B)が、
(i)式
CH2=CXb1−O−Rb1
[式中、
b1は水素又はメチル基を表し、
b1はフッ素非含有有機基を表す。]
で表されるフッ素非含有ビニルエーテル系単量体、
(ii)フッ素非含有スチレン系単量体、又は
(iii)フッ素非含有環状エーテル系単量体
に由来する繰り返し単位からなる
請求項19に記載の相溶化剤。
【請求項21】
f1が、式
−(CH2−CH2−O)na1−Ra1−Rf1'
[式中、
f1'は、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、又はフルオロポリエーテル基を表し、
a1は、アルキレン鎖を表し、
na1は0〜10の整数を表す。]
で表されるフッ素含有有機基であり、
a1が、水素である
請求項20に記載の相溶化剤。
【請求項22】
a1は、炭素数1〜3のアルキレン鎖であり、
na1は1〜3の整数である
請求項21に記載の相溶化剤。
【請求項23】
a1は、炭素数1〜3のアルキレン鎖であり、
na1は0である
請求項21に記載の相溶化剤。
【請求項24】
b1は、−(CH2−CH2−O)nb−Rb1'
[式中、
b1'は、炭素数1〜18のアルキル基、又は炭素数3〜18のシクロアルキル基を表し、
nbは、0〜10の整数である。]
で表されるフッ素非含有有機基であり、
b1が、水素である
請求項20〜23のいずれか1項に記載の相溶化剤。
【請求項25】
フッ素含有重合体ブロック(A)が、式
CH2=CXa2−COO−Ra2−Rf2
[式中、
a2は水素又はメチル基を表し、
a2は単結合又はアルキレン鎖を表し、
f2はフッ素含有有機基を表す。]
で表されるフッ素含有アクリル系単量体に由来する繰り返し単位からなり、
フッ素非含有重合体ブロック(B)が、
(i)式
CH2=CXb2−COO−Rb2
[式中、
b2は水素又はメチル基を表し、
b2は、フッ素非含有有機基を表す。]
で表されるフッ素非含有アクリル系単量体、又は
(ii)フッ素非含有スチレン系単量体
に由来する繰り返し単位からなる
請求項19に記載の相溶化剤。
【請求項26】
f2が、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、又はフルオロポリエーテル基である
請求項25に記載の相溶化剤。
【請求項27】
フッ素含有重合体ブロック(A)が、式
【化3】

[式中、
a3は水素又はメチル基を表し、
na3は1〜5の整数を表し、
ma3は0〜4の整数を表し、
na3とma3の和は、1〜5であり、
f3は、各出現において同一又は異なって、フッ素又はフッ素含有有機基を表し、
a3は、各出現において同一又は異なって、フッ素非含有有機基を表す。]
で表されるフッ素含有スチレン系単量体に由来する繰り返し単位からなり、
フッ素非含有重合体ブロック(B)が、
(i)式
CH2=CXb3−COORb3
[式中、
b3は水素又はメチル基を表し、
b3は、フッ素非含有有機基を表す]
で表されるフッ素非含有アクリル系単量体、又は
(ii)フッ素非含有スチレン系単量体に由来する繰り返し単位からなる
請求項19に記載の相溶化剤。
【請求項28】
f3が、フッ素、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、又はフルオロポリエーテル基であり、
a3が、水素である
請求項27に記載の相溶化剤。
【請求項29】
フッ素含有重合体ブロック(A)が、3〜8員のフッ素含有環状エーテル単量体に由来する繰り返し単位からなり、
フッ素含有重合体ブロック(B)が、
(i)式
CH2=CXb2−COO−Rb2
[式中、
b2は水素又はメチル基を表し、
b2はフッ素非含有有機基を表す。]
で表されるフッ素非含有アクリル系単量体、又は
(ii)フッ素非含有スチレン系単量体
に由来する繰り返し単位からなる
請求項19に記載の相溶化剤。
【請求項30】
3〜8員のフッ素含有環状エーテル単量体が、式
【化4】

[式中、
4は、各出現において同一又は異なって、フッ素及びフルオロアルキルから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいメチレンを表し、
複数のR4のうち、少なくとも1個のR4はフッ素及びフルオロアルキルから選択される1個以上の置換基で置換されたメチレンであり、
na4は2〜8の整数を表す。]
で表される環状エーテル化合物である請求項29に記載の相溶化剤。
【請求項31】
フッ素含有環状エーテル単量体が、テトラフルオロオキセタン、又はヘキサフルオロプロピレンオキシドである請求項30に記載の相溶化剤。
【請求項32】
フッ素含有共重合体の数平均分子量が1,000〜1,000,000である
請求項19〜31のいずれか1項に記載の相溶化剤。
【請求項33】
フッ素含有共重合体の分子量分布が4以下である
請求項19〜32のいずれか1項に記載の相溶化剤。
【請求項34】
全フッ素含有重合体ブロック(A)中の繰り返し単位と全フッ素非含有重合体ブロック(B)中の繰り返し単位とのモル比が、10:90〜90:10である
請求項19〜33のいずれか1項に記載の相溶化剤。
【請求項35】

【化5】

[式中、
f1'は、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、又はパーフルオロポリエーテル基を表し、
a1は、アルキレン鎖を表し、
na1は1〜10の整数を表す。]
で表されるフッ素含有ビニルエーテル系単量体に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(A)と、

【化6】

[式中、
b1は水素又はメチル基を表し、
b1は、フッ素非含有有機基を表す。]
で表されるフッ素非含有ビニルエーテル系単量体に由来する繰り返し単位からなる重合体ブロック(B)と
からなり、
数平均分子量が15,000〜100,000,000である
フッ素含有共重合体。
【請求項36】
a1は、炭素数1〜3のアルキレン鎖であり、
na1は1〜3の整数である
請求項35に記載のフッ素含有共重合体。
【請求項37】
b1は、式
−(CH2−CH2−O)nb−Rb1'
[式中、Rb1'は、炭素数1〜18のアルキル基、又は炭素数3〜18のシクロアルキル基を表し、
nbは、0〜10の整数を表す。]
である請求項35又は36に記載のフッ素含有共重合体。

【図1】
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【公開番号】特開2011−140536(P2011−140536A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−817(P2010−817)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】