説明

含フッ素芳香族化合物およびその製造方法

【課題】簡便な方法で製造される−C(CFOH基がポリマー主鎖より離れた位置にある−C(CFOH基含有ポリマーの原料としての含フッ素芳香族化合物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】一般式(4):


で代表される含フッ素芳香族化合物およびその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な含フッ素芳香族化合物およびその製造方法に関する。重合性化合物とした後、ポリマー化(重合)し光酸発生剤等とともに用いレジスト材料とした際に、基板との密着性に優れ、リソグラフィーにおいて精緻なレジストパターンを与えるための新規な含フッ素芳香族化合物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
含フッ素化合物は、撥水性、低吸水率、高耐熱性、耐腐食性、透明性、低誘電率または低屈折率を有する等の特徴を生かし、機能性材料として使用されている。
【0003】
特にポリオレフィンおよび縮合系高分子等に、低吸水性または透明性に加え、適度な親水性を付与する官能基として、ヘキサフルオロイソプロパノール基が知られている。
【0004】
例えば、ヘキサフルオロイソプロパノール基、即ち、2−ヒドロキシ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基:−C(CFOH、(以下、HFIP基と呼ぶことがある)を有する高分子化合物は、当該高分子化合物を有機溶剤に溶解させてガラス基板等へ塗布し塗布膜とした際に、基板との密着性に優れる。また、当該高分子化合物は、光酸発生剤とともにフォトリソグラフィにおけるレジスト組成物として用いると、露光後の露光部または未露光部のアルカリ現像液へ溶不溶の差異がはっきりし、精緻なレジストパターンを与える。近年、前記高分子化合物はフッ化アルゴンレーザ(波長、193nm)により露光するレジスト組成物として用いられる。尚、フォトリソグラフィとは、感光性の物質であるフォトレジストを塗布した基板表面を、所望のパターンに露光することである。フォトリソグラフィ技術は、レジストの露光された部分と露光されていない部分の現像液による溶解度の差異によりレジストからなるパターンを基板上に形成させる技術である。
【0005】
前記高分子化合物の中でも、HFIP基を有するフェノール類は、フェノール部位における選択的な求核置換反応により、アクリレート、メタクリレートまたはビニルエーテル等の重合性オレフィンモノマーに誘導合成される。当該重合性オレフィンモノマーは、レジスト組成物として有用である。また、HFIP基を含むアニリンからは、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルアミン等に誘導合成が可能である。
【0006】
例えば、特許文献1には、HFIP基を含有する以下の含フッ素重合性単量体が開示されている。
【化1】

【0007】
(式中、Rは水素原子、メチル基、フッ素原子、またはトリフルオロメチル基を表す。nは0または1であり、mは1〜(3+n)の整数である。RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または保護基を表す。)
具体的には、以下の含フッ素重合性単量体等が記載される。
【化2】

【0008】
これら、含フッ素重合性単量体が重合してなり、少なくともこれら含フッ素重合性単量体からなるユニットを含有してなる高分子化合物は、レジスト組成物として有用である。
【0009】
また、特許文献2には、化合物Bをニトロ化し、化合物Cを得、化合物Cをアミノ化し、化合物Dを得、化合物Dをフェノール化(ヒドロキシ基を付加)し、化合物Eを得る方法が開示されている。
【化3】

【0010】
例えば、化合物Eを、アクリル酸、メタクリル酸またはビニルエーテルと反応結合させてなる含フッ素重合性単量体を重合してなり、少なくともこれら含フッ素重合性単量体からなる部位を含有してなる高分子化合物は、レジスト組成物として有用である。
【0011】
HFIP基がシクロヘキサン環を介して、ポリマーの主鎖から離れた特許文献1に記載の含フッ素重合性単量体は簡便に製造される。しかしながら、特許文献2に記載の化合物は多段反応で合成され、製造に工数を有する。
【0012】
尚、特許文献2の実施例3〜6に、上記化合物(E)に二重結合を導入した下記化合物(F)〜(I)の合成例が具体的に記載される。化合物(F)〜(I)は重合性を有し、単独重合あるいは他の重合性化合物と共重合させた後、光酸発生剤等を加えることで、レジストとすることができる。
【化4】

【0013】
また、特許文献3における参考例3〜6に、下記合成例が記載される。
【0014】
また、非特許文献1には、硫酸存在下でビスフェノールAのイソプロピリデン結合(−C(CH−部位)を、硫酸を酸触媒として用いて切断する反応について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2010−163604号公報
【特許文献2】特開2004−83900号公報
【特許文献3】特開2009−108084号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Organic Letters (2004)、6(14)、2341−2343
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
HFIP基がポリマーの主鎖から離れたポリマーレジストは、レジスト組成物として光酸発生剤とともに用いた際、基板との密着性に優れ、露光後の露光部または未露光部のアルカリ現像液へ溶不溶の差異がはっきりし、精緻なレジストパターンを与える。それに対し、HFIP基がポリマーの主鎖近傍に位置し主鎖近傍が立体的に込み合う構造のポリマーレジストは、HFIP基を含有することによる前述のレジスト性能を充分に発現できないという問題があった。
【0018】
本発明は、前述の問題を解決し簡便な方法で製造される、HFIP基がポリマー主鎖より離れた位置にあるHFIP基含有ポリマーの原料としての含フッ素芳香族化合物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、イソプロピリデン結合を有する、ビスフェノールAおよびその他の芳香族化合物から、簡便な方法で新規な含フッ素芳香族化合物が製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0020】
イソプロピリデン結合を有する芳香族化合物におけるイソプロピリデン結合の切断反応は、硫酸等の無機強酸により起こることが知られている。本発明者らが鋭意検討したところ、有機酸であるメタンスルホン酸等の存在下で、芳香環を結合するイソプロピリデン結合の切断反応が起こり、次いでヘキサフルオロアセトン((CFC=O 以下、HFAと呼ぶことがある。)を反応させると、HFAが付加し、HFIP基を有する新規な含フッ素芳香族化合物が得られることを見出し、発明を完成するに至った。
【0021】
本発明は発明1〜7の含フッ素芳香族化合物、および発明1〜7の含フッ素芳香族化合物を得るための発明8〜14の含フッ素芳香族化合物の製造方法を含む。
【0022】
[発明1]
一般式(1):
【化5】

【0023】
(式(1)中、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基であり、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子と置換されていてもよく、nは0〜2の整数であり、mおよびlは、それぞれ独立に0または1である。)
で表される、含フッ素芳香族化合物。
【0024】
[発明2]
一般式(2):
【化6】

【0025】
(式(2)中、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基であり、Rは、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子と置換されていてもよく、mは0または1である。)
で表される、発明1に記載の含フッ素芳香族化合物。
【0026】
[発明3]
一般式(3):
【化7】

【0027】
(式(3)中、Rは、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子と置換されていてもよく、mは0または1である。)
で表される、発明1または発明2の含フッ素芳香族化合物。
【0028】
[発明4]
式(4):
【化8】

【0029】
で表される、発明1〜3の含フッ素芳香族化合物。
【0030】
[発明5]
一般式(5):
【化9】

【0031】
(式(5)中、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基であり、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子と置換されていてもよく、mおよびlは、それぞれ独立に0または1である。)
で表される、発明1の含フッ素芳香族化合物。
【0032】
[発明6]
一般式(6):
【化10】

【0033】
(式(6)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子と置換されていてもよく、mおよびlは、それぞれ独立に0または1である。)
で表される、発明1または発明5の含フッ素芳香族化合物。
【0034】
[発明7]
式(7):
【化11】

【0035】
で表される、発明6の含フッ素芳香族化合物。
【0036】
[発明8]
一般式(8):
【化12】

【0037】
(式(8)中、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基であり、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子基で置換されていてもよく、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基であり、nは0〜2の整数である。)
で表される芳香族化合物とヘキサフルオロアセトンを、酸触媒下で反応させることを特徴とする、
一般式(1):
【化13】

【0038】
(式(1)中、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基であり、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子で置換されていてもよく、nは0〜2の整数であり、mおよびlは、それぞれ独立に0または1である。)
で表される、含フッ素芳香族化合物の製造方法。
【0039】
発明8の製造方法により、一般式(1)で表される発明1の含フッ素芳香族化合物が合成される。
【0040】
[発明9]
一般式(9):
【化14】

【0041】
(式(9)中、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基であり、Rは水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子で置換されていてもよく、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基である。)
で表される芳香族化合物とへキサフルオロアセトンを、酸触媒下で反応させて、
一般式(2):
【化15】

【0042】
(式(2)中、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基であり、Rは、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子と置換されていてもよく、mは0または1である。)
で表される、発明8の含フッ素芳香族化合物の製造方法。
【0043】
このように、発明9の製造方法により、一般式(2)で表される発明2の含フッ素芳香族化合物が合成される。
【0044】
[発明10]
一般式(10):
【化16】

【0045】
(式(11)中、Rは、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子と置換されていてもよい。)
で表される芳香族化合物とヘキサフルオロアセトンを、酸触媒下で反応させて、
一般式(3):
【化17】

【0046】
(式(3)中、Rは、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子と置換されていてもよく。mは0または1である。)
で表される、発明8または発明9の含フッ素芳香族化合物の製造方法。
【0047】
発明10の製造方法により、一般式(3)で表される発明3の含フッ素芳香族化合物が製造できる。
【0048】
[発明11]
ビスフェノールA:
【化18】

【0049】
とヘキサフルオロアセトンを、酸触媒下で反応させることを特徴とする
式(4)
【化19】

【0050】
で表される、発明8〜10の含フッ素芳香族化合物の製造方法。
【0051】
このように、発明11の製造方法により、式(4)で表される発明4の含フッ素芳香族化合物が製造できる。
【0052】
[発明12]
一般式(11):
【化20】

【0053】
(式(11)中、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基であり、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子で置換されていてもよく、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基である。)
で表される芳香族化合物とヘキサフルオロアセトンを、酸触媒下で反応させて、
一般式(5):
【化21】

【0054】
(式(5)中、Rは、ヒドロキシル基、アミノ基であり、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子で置換されていてもよく、mおよびlは、それぞれ独立に0または1である。)
で表される、発明8に記載の含フッ素芳香族化合物の製造方法。
【0055】
このように、発明12の製造方法により、一般式(5)で表される発明5の含フッ素芳香族化合物が合成される。
【0056】
[発明13]
一般式(12):
【化22】

【0057】
(式(12)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子基で置換されていてもよく、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基である。)で表される芳香族化合物とヘキサフルオロアセトンを、酸触媒下で反応させて、
一般式(6):
【化23】

【0058】
(式(6)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子で置換されていてもよく、mおよびlは、それぞれ独立に0または1である。)
で表される、発明8または発明12の含フッ素芳香族化合物の製造方法。
【0059】
このように、発明13の方法により、一般式(6)で表される発明6の含フッ素芳香族化合物が製造できる。
【0060】
[発明14]
式(13):
【化24】

【0061】
で表される芳香族化合物とへキサフルオロアセトンを、酸触媒下で反応させることを特徴とする、
式(7):
【化25】

【0062】
で表される、発明13の含フッ素芳香族化合物の製造方法。
【0063】
発明14の製造方法により、式(7)で表される発明7の含フッ素芳香族化合物が製造できる。
【0064】
[発明15]
酸触媒がメタンスルホン酸であることを特徴とする発明8〜14の製造方法。
【発明の効果】
【0065】
酸触媒下で、ビスフェノールAおよびその誘導体を含む芳香族化合物のイソプロピリデン結合を開裂させ、ヘキサフルオロアセトンを付加させる、本発明の含フッ素芳香族の製造方法により、HFIP基を有する新規な含フッ素芳香族化合物が簡便に得られた。当該含フッ素報告族化合物は、レジスト用途に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
[含フッ素芳香族化合物]
本発明の含フッ素芳香族化合物は、構造中に、HFIP基を含む。
【0067】
本発明は、一般式(1):
【化26】

【0068】
(式(1)中、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基であり、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子と置換されていてもよく、nは0〜2の整数であり、mおよびlは、それぞれ独立に0または1である。)で表される含フッ素芳香族化合物である。
【0069】
レジスト材料として使用するには、Rは、ヒドロキシ基またはアミノ基であることが好ましい。一般式(1)で表わされる含フッ素芳香族化合物において、Rがヒドロキシ基であれば、特許文献2および特許文献3に記載の手法により、ヒドロキシ基の部位に二重結合を有する官能基を導入することができ、重合性化合物とすることができる。当該重合性化合物とアクリル酸、メタクリル酸またはビニルエーテルと反応させて含フッ素重合性単量体とし、他の機能性モノマー等と重合させてポリマーとし、光酸発生剤を加えて、フォトレジストとすることができる。尚、HFIP基側の二重結合は反応性が低く、ヒドロキシ基の水素原子が置換してなる官能基の二重結合が重合反応しやすい。
【0070】
一般式(1)で表される含フッ素芳香族化合物を具体的に例示するならば、下記化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化27】

【化28】

【0071】
一般式(1)で表される含フッ素芳香族化合物の中でも、
一般式(2):
【化29】

【0072】
(式(2)中、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基であり、Rは、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、水素原子の一部または全てがフッ素原子と置換されていてもよく、mは0または1である。)で表される含フッ素芳香族化合物が合成しやすく、有する芳香環が1個なので、レジスト組成物の原料として使用した際、得られるレジストが有機溶剤に溶解しやすく、フォトリソグラフィにおけるハンドリングがよい。
【0073】
また、含フッ素重合性単量体とする際、RがOH基であることが好ましく、特許文献2および特許文献3に記載の手法により、ヒドロキシ基の部位に二重結合を有する官能基を導入し重合性化合物とした後、アクリル酸またはメタクリル酸等と反応させることができる。
【0074】
以上の理由により、一般式(3):
【化30】

【0075】
(式(3)中、Rは、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、水素原子の一部または全てがフッ素原子と置換されていてもよく、mは0または1である。)で表される含フッ素芳香族化合物が好ましい。
【0076】
式(3)で表される含フッ素芳香族化合物の中で、特に好ましい含フッ素芳香族化合物として、
式(4):
【化31】

【0077】
で表される含フッ素芳香族化合物が挙げられる。
【0078】
また、一般式(1)で表される含フッ素芳香族化合物の中でも、
【化32】

【0079】
(式(5)中、Rは、ヒドロキシル基、アミノ基であり、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子で置換されていてもよく、mおよびlは、それぞれ独立に0または1である。)で表される含フッ素芳香族化合物が合成しやすく、芳香環を2個有するので、レジスト組成物の原料として使用した際、得られるレジストが有機溶剤に溶解しやすく、フォトリソグラフィにおけるハンドリングがよい。
【0080】
また、含フッ素重合性単量体とする際、RがOH基であることが好ましく、特許文献2および特許文献3に記載の手法により、ヒドロキシ基の部位に二重結合を有する官能基を導入し重合性化合物とした後、アクリル酸またはメタクリル酸等と反応させてることができる。
【0081】
以上の理由により、一般式(6):
【化33】

【0082】
(式(6)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子と置換されていてもよく、mおよびlはそれぞれ独立に0または1である。)
で表される含フッ素芳香族化合物が好ましい。
【0083】
式(6)で表される芳香族化合物の中で、特に好ましい化合物として、
式(7):
【化34】

【0084】
で表される含フッ素芳香族化合物が挙げられる。
【0085】
[含フッ素芳香族化合物の原料(反応物)]
一般式(1)〜(3)、式(4)、一般式(5)もしくは(6)、または式(7)で表される含フッ素芳香族化合物は、夫々に一般式(8)〜(10)で表される化合物、ビスフェノールA、一般式(11)もしくは(12)または式(13)で表される芳香族化合物を原料(反応物)として、ヘキサフルオロアセトンと酸触媒下で反応させることで合成される。
【0086】
一般式(8):
【化35】

【0087】
(式(8)中、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基であり、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3、4の分岐鎖状のアルキル基であり、水素原子の一部または全てがフッ素原子基で置換されていてもよく、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基であり、nは0〜2の整数である。)
で表される芳香族化合物を具体的に例示するならば、下記化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化36】

【化37】

【0088】
一般式(8)で表される芳香族化合物の中でも、
一般式(9):
【化38】

【0089】
(式(9)中、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基であり、Rは水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子で置換されていてもよく、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基である。)で表される化合物を用いた際、一般式(2)で表される含フッ素芳香族化合物を合成しやすく、一般式(2)で表される含フッ素芳香族化合物は有する芳香環が1個なので、レジスト組成物の原料とした際に、得られるレジストが有機溶剤に溶解しやすく、フォトリソグラフィにおけるハンドリングがよい。
【0090】
また、アクリル酸またはメタクリル酸等と反応させて、含フッ素重合性単量体とする際、RおよびRがOH基であることが好ましく、
一般式(10):
【化39】

【0091】
(式(10)中、Rは、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3、4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子と置換されていてもよい。)
で表される芳香族化合物を用いることが好ましい。
【0092】
式(10)で表される芳香族化合物の中で、特に好ましい芳香族化合物として、ビスフェノールAが挙げられる。
【0093】
一般式(8)で表される芳香族化合物の中でも、
一般式(11):
【化40】

【0094】
(式(11)中、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基であり、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子基で置換されていてもよく、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基である。)で表される化合物を用いた際、一般式(6)で表される含フッ素芳香族化合物を合成しやすく、一般式(6)で表される含フッ素芳香族化合物は芳香環が2個であるので、レジスト組成物の原料とした際に、得られるレジストが有機溶剤に溶解しやすく、フォトリソグラフィにおけるハンドリングがよい。
【0095】
また、含フッ素重合性単量体とする際、RがOH基であることが好ましく、特許文献2および特許文献3に記載の手法により、ヒドロキシ基の部位に二重結合を有する官能基を導入し重合性化合物とした後、アクリル酸またはメタクリル酸等と反応させることができる。
【0096】
以上の理由により、RがOH基であることが好ましく、
一般式(12):
【化41】

【0097】
(式(12)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子基で置換されていてもよく、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基である。)で表される化合物を用いることが好ましい。
【0098】
式(12)で表される芳香族化合物の中で、特に好ましい芳香族化合物として、
式(13):
【化42】

【0099】
で表される芳香族化合物が挙げられる。
【0100】
[含フッ素芳香族化合物の製造方法]
本発明のHFIP基を有する新規な含フッ素芳香族化合物を得る製造方法は、酸触媒存在下で、芳香族化合物中のイソプロピリデン結合を酸触媒により切断し、さらにHFAを付加させ、HFIP基を得るものである。
【0101】
発明8〜14に記載された本発明の含フッ素芳香族化合物の製造方法を、前述の式(4)で表される含フッ素芳香族化合物、即ち、1,1,1,7,7,7−ヘキサフルオロ−4−(4−ヒドロキシフェニル)−2,6−ビス(トリフルオロメチル)ヘプト−3−イン−2,6−ジオールの製造方法を例にして、以下詳細に説明する。
【0102】
本発明の含フッ素芳香族化合物の製造方法は、式(4)で表される含フッ素芳香族化合物を合成する発明11の含フッ素芳香族化合物の製造方法に限定されるものではない。
【0103】
式(4)で表される含フッ素芳香族化合物は、ビスフェノールAと、HFAもしくはHFA三水和物を反応させることによって得られる。
【0104】
具体的に示すならば、メタンスルホン酸(CHSOH)存在下で、ビスフェノールAとHFAを反応させたところ、以下に示すように、HFIP基を含有する式(4)で表される含フッ素芳香族化合物が得られた。
【化43】

【0105】
本反応の反応機構を推測すると、以下の反応スキームに示すように、ビスフェノールAが含むイソプロピリデン結合が切断する。次いで、HFAが付加反応しHFIP基が生成することにより、式(4)で表されるHFIP基を含む含フッ素芳香族化合物が得られたと推測された。
【化44】

【0106】
本発明の含フッ素芳香族化合物を合成する際は、HFAの沸点が−28℃であるので、HFAを反応系内に留めるためには、冷却装置または密封反応器を使用することが好ましく、特に密封反応器を使用することが好ましい。
【0107】
また、HFA三水和物を使用する際は、ビスフェノールAとHFA三水和物を混合して反応させる。HFA三水和物の沸点は105℃であるので、HFAと比較して取り扱いが容易である。この際、反応装置としては、密封容器を使用してもよいが、還流冷却管を用い水冷することで、HFA三水和物は反応系内に留めることができる。
【0108】
本発明の含フッ素芳香族化合物を合成する際に使用するHFAもしくはHFA三水和物の量は、ビスフェノールAに対して、2モル当量以上、5モル当量以下が好ましく、さらに好ましくは2モル当量以上、3モル当量以下である。2モル当量未満では、式(4)で表される含フッ素芳香族化合物の収率が低く、5モル当量を超えて使用しても反応は進行し、式(4)で表される含フッ素芳香族化合物は得られるが、5モル当量を超えて使う必要はない。
【0109】
本発明の含フッ素芳香族化合物を合成する際の反応は、50℃以上、200℃以下の温度範囲で行えるが、60℃以上、130℃以下が特に好ましい。50℃より低い温度では反応が進行し難く、200℃より高い温度、特に250℃以上では、式(4)で表される含フッ素芳香族化合物の収率が低下する。
【0110】
使用される酸触媒としては、ルイス酸である塩化アルミニウム、塩化鉄(III)またはフッ化硼素、有機スルホン酸であるベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸(CSA)、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸(pTsOH)、p−トルエンスルホン酸(pTsOH)一水和物またはピリジニウムp−トルエンスルホン酸(PPTS)が好ましく、これらの中でも、塩化アルミニウム、塩化鉄(III)、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸(pTsOH)・一水和物が好ましく、特にメタンスルホン酸が好ましい。使用される酸触媒の量は、ビスフェノールA、100モル%に対して、1モル%以上、50モル%以下であり、好ましくは、3モル%以上、40モル%以下である。1モル%未満では、式(4)で表される含フッ素芳香族化合物の収率が低く、50モル%より多く使用しても反応は進行するが、多く加える必要はない。
【0111】
反応は無溶媒でもよいが、溶媒を使用することが、ハンドリングよく好ましい。使用される溶媒としては、反応に関与しないものなら特に制限はないが、芳香族炭化水素類であるキシレン、トルエン、ベンゼン、アニソール、ジフェニルエーテル、ニトロベンゼンまたはベンゾニトリル、塩素系溶媒であるクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、水またはヘキサフルオロイソプロパノール((CFHC−OH)が好ましい。使用する溶媒の量に特に制限がないが、多量に使用することは反応器単位容積あたりの一般式(4)で表される含フッ素芳香族化合物の収量が減少するので好ましくない。
【0112】
反応を、密封反応器(オートクレーブ)を使用して行うには、HFAまたはHFA3水和物のいずれかによって態様が異なる。HFAを用いる場合は、最初にビスフェノールAと触媒または溶媒を反応器内に入れ、次いで、反応器内の圧力が0.5MPaを越えないように加温しつつ、HFAを加えることが好ましい。
【0113】
HFA3水和物を用いる場合は、最初にビスフェノールAとHFA3水和物を反応器内に入れ、触媒または溶媒を添加し反応を行うことができる。
【0114】
反応の反応時間に特別な制限はないが、温度または用いる触媒の量等により適宜選択される。従って、ガスクロマトグラフィー等、汎用の分析手段により、原料が十分消費されたことを確認した後、反応を終了することが好ましい。 反応終了後、抽出、蒸留、晶析等の手段により、式(4)で表される含フッ素芳香族化合物を得ることができる。また、必要によりカラムクロマトグラフィーあるいは再結晶等により、式(4)で表される含フッ素芳香族化合物を精製することができる。
【0115】
また、アミノ基の場合の本反応の反応機構を推測すると、以下の反応スキームに示すように、メタンスルホン酸の存在下、2,2−ビス(p−アミノフェニル)プロパン中のイソプロピリデン基が切断する。次いで、HFAが連続的に付加反応しHFIP基が生成することにより、式(10)で表される含フッ素芳香族化合物が得られたと推測される。
【化45】

【0116】
前述のように、本発明の含フッ素芳香族化合物の製造方法で得られる本発明のHFIP基を有する含フッ素芳香族化合物は、ビスフェノールAまたはその誘導体を含むイソプロピリデン結合を有する芳香族化合物を原料として、簡便な方法で製造できる。特に安価なビスフェノールAより誘導される本発明の含フッ素芳香族化合物は、フォトレジストに用いられている従来の含フッ素化合物に比較して製造が容易であり、有用である。
【0117】
また、本発明のHFIP基を含有する含フッ素芳香族化合物に特許文献2および特許文献3に記載の手法で二重結合を有する官能基を導入し含フッ素重合性単量体とし、次いで重合させて高分子化合物とすることが可能である。これをレジスト組成物として用いれば、ポリマー主鎖よりHFIP基が離れた位置にあり、優れたレジストが得られる可能性がある。
【実施例】
【0118】
本発明の実施例を具体的に示すが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0119】
合成した含フッ素芳香族化合物の同定手法を以下の(1)、(2)に示す。
【0120】
(1)NMR(核磁気共鳴)測定
共鳴周波数400MHzの核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製)を使用し、1H−NMR、19F−NMRの測定を行った。
【0121】
(2)DI−MS(質量分析スペクトル)測定
質量分析計(日本電子株式会社製、品番、JMS−T100GC)を使用し、質量分析スペクトルを測定した。
【0122】
実施例1
[構造式(4)で表される含フッ素芳香族化合物(1,1,1,7,7,7−ヘキサフルオロ−4−(4−ヒドロキシフェニル)−2,6−ビス(トリフルオロメチル)ヘプト−3−イン−2,6−ジオール)の合成]
ステンレス鋼製のオートクレーブに、室温(20℃)で、ビスフェノールA、50g(0.21mol)、ヘキサフルオロイソプロパノール200g、および酸性触媒として、メタンスルホン酸1g、(ビスフェノールAに対し2質量%)を入れ、ヘキサフルオロアセトン(HFA)80g(0.48mol)を加えた後、徐々に昇温させ55℃で8時間攪拌し以下の反応を進行させた。反応終了後、溶媒であるヘキサフルオロイソプロパノールを留去し、固形物を得、NMR、質量分析を行い、式(4)で表される含フッ素芳香族化合物が、理論収量に対し、98%の高い収率で得られたことを確認した。即ち、式(4)で表される含フッ素芳香族化合物が高い純度で得られた。
【化46】

【0123】
固形物についてのH−NMR測定、19F−NMR測定の質量分析結果を以下に示す。
【0124】
H−NMR(溶媒d−DMSO,TMS):δ3.63(2H,s),5.49 (1H,s),6.71(2H,d,J=85Hz),7.16(2H,d,J=8.5Hz),9.58(1H,s)
19F−NMR(溶媒、d−DMSO、CCl3F):δ−74.8(6F,s),−73.4(6F,s)
Mass : (m/z) 466.04(M)
実施例2
[構造式(7)で表される含フッ素芳香族化合物の合成]
ステンレス鋼製のオートクレーブに、室温(20℃)で、化合物(13)15g(0.04mol)、ヘキサフルオロイソプロパノール200g、および酸性触媒として、メタンスルホン酸0.3g、(化合物(13)に対し2質量%)を入れ、HFA28.7g(0.17mol)を加えた後、徐々に昇温させ55℃で8時間攪拌し以下の反応を進行させた。反応終了後、溶媒であるヘキサフルオロイソプロパノールを留去し、固形物を得、NMR、質量分析を行い、式(7)で表される含フッ素芳香族化合物が理論収量に対し、80質量%の高い収率で得られたことを確認した。即ち、式(7)で表される含フッ素芳香族化合物が高い純度で得られた。
【化47】

【0125】
固形物についてのH−NMR測定、19F−NMR測定の質量分析結果を以下に示す。
【0126】
H−NMR(溶媒、重アセトン、TMS)2.03(6H,s),7.01(4H,m),7.40(4H,m),8.31(1H,s),10.36(1H,s)19F−NMR(溶媒、重アセトン、CClF)−74.8(6F,s),−74.9(12F,s)
Mass:(m/z)750.14(M

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):
【化1】

(式(1)中、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基であり、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子と置換されていてもよく、nは0〜2の整数である。mおよびlは、それぞれ独立に0または1である。)
で表される、含フッ素芳香族化合物。
【請求項2】
一般式(2):
【化2】

(式(2)中、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基であり、Rは、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子と置換されていてもよく、mは0または1である。)
で表される、請求項1に記載の含フッ素芳香族化合物。
【請求項3】
一般式(3):
【化3】

(式(3)中、Rは、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子と置換されていてもよく、mは0または1である。)で表される、請求項1または請求項2に記載の含フッ素芳香族化合物。
【請求項4】
式(4):
【化4】

で表される、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の含フッ素芳香族化合物。
【請求項5】
一般式(5):
【化5】

(式(5)中、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基であり、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子と置換されていてもよく、mおよびlは、それぞれ独立に0または1である。)
で表される、請求項1に記載の含フッ素芳香族化合物。
【請求項6】
一般式(6):
【化6】

(式(6)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子と置換されていてもよく、mおよびlは、それぞれ独立に0または1である。)
で表される、請求項1または請求項5に記載の含フッ素芳香族化合物。
【請求項7】
式(7):
【化7】

で表される、請求項6に記載の含フッ素芳香族化合物。
【請求項8】
一般式(8):
【化8】

(式(8)中、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基であり、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子基で置換されていてもよく、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基であり、nは0〜2の整数である。)
で表される芳香族化合物とヘキサフルオロアセトンを、酸触媒下で反応させる、
一般式(1):
【化9】

(式(1)中、Rは、ヒドロキシル基、アミノ基であり、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子で置換されていてもよく、nは0〜2の整数であり、mおよびlは、それぞれ独立に0または1である。)
で表される、含フッ素芳香族化合物の製造方法。
【請求項9】
一般式(9):
【化10】

(式(9)中、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基であり、Rは水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子で置換されていてもよく、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基である。)
で表される芳香族化合物とへキサフルオロアセトンを、酸触媒下で反応させて、
一般式(2):
【化11】

(式(2)中、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基であり、Rは、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、水素原子の一部または全てがフッ素原子と置換されていてもよく、mは0または1である。)
で表される、請求項8に記載の含フッ素芳香族化合物の製造方法。
【請求項10】
一般式(10):
【化12】

(式(10)中、Rは、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子と置換されていてもよい。)
で表される芳香族化合物とヘキサフルオロアセトンを、酸触媒下で反応させて、
一般式(3):
【化13】

(式(3)中、Rは、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、水素原子の一部または全部がフッ素原子と置換されていてもよく、mは0または1である。)
で表される、請求項8または請求項9に記載の含フッ素芳香族化合物の製造方法。
【請求項11】
ビスフェノールA:
【化14】

とヘキサフルオロアセトンを、酸触媒下で反応させることを特徴とする、
式(4)
【化15】

で表される、請求項8乃至請求項10のいずれか1項に記載の含フッ素芳香族化合物の製造方法。
【請求項12】
一般式(11):
【化16】

(式(11)中、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基であり、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子基で置換されていてもよく、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基である。)
で表される芳香族化合物とヘキサフルオロアセトンを、酸触媒下で反応させて、
一般式(5):
【化17】

(式(5)中、Rは、ヒドロキシル基、アミノ基であり、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子で置換されていてもよく、mおよびlは、それぞれ独立に0または1である。)
で表される、請求項8に記載の含フッ素芳香族化合物の製造方法。
【請求項13】
一般式(12):
【化18】

(式(12)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子基で置換されていてもよく、Rは、ヒドロキシル基またはアミノ基である。)
で表される芳香族化合物とヘキサフルオロアセトンを、酸触媒下で反応させて、
一般式(6):
【化19】

(式(6)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖状または炭素数3もしくは4の分岐鎖状のアルキル基であり、当該アルキル基中の一部または全ての水素原子がフッ素原子で置換されていてもよく、mおよびlは、それぞれ独立に0または1である。)
で表される、請求項8または請求項12に記載の含フッ素芳香族化合物の製造方法。
【請求項14】
式(13):
【化20】

で表される化合物とへキサフルオロアセトンを、酸触媒下で反応させる、
式(7):
【化21】

で表される、請求項13に記載の含フッ素芳香族化合物の製造方法。
【請求項15】
酸触媒がメタンスルホン酸であることを特徴とする請求項8乃至請求項14のいずれか1項に記載の製造方法。

【公開番号】特開2013−53139(P2013−53139A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−171883(P2012−171883)
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】