説明

含フッ素非環状N,O−アセタール化合物の製造方法

【課題】特殊な装置を必要とせず、一段反応で、2級アミン化合物を原料とする含フッ素非環状N,O−アセタール化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】含フッ素アルデヒドヘミアセタールと2級アミン化合物を非プロトン性溶媒中で反応させ、含フッ素非環状N,O−アセタール化合物を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素非環状N,O−アセタール化合物を製造する方法に関する。より詳しくは、含フッ素アルデヒドヘミアセタール及び2級アミン化合物から含フッ素非環状N,O−アセタール化合物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
含フッ素N,O−アセタール化合物は、フッ素原子の電子吸引性に起因する含フッ素化合物に特徴的な化合物であり、各種含フッ素アミン誘導体に変換可能であることから(非特許文献1、非特許文献2)、医農薬原料、あるいは電子材料原料として極めて有用な化合物である。
【0003】
含フッ素N,O−アセタール化合物としては、窒素原子と酸素原子が同一炭素鎖状に存在する環状N,O−アセタール化合物と窒素原子と酸素原子が同一炭素鎖状にない非環状N,O-アセタール化合物の2種がある。これまで知られている含フッ素N,O−アセタールは、大半が前者である(非特許文献3)。前者に比べ、窒素原子及び酸素原子が同一炭素鎖上にない非環状N,O−アセタールの合成は容易でなく、その合成例は限られていた。
【0004】
非特許文献1、特許文献1では、含フッ素アミン化合物を電気化学的にアルコキシ化して含フッ素非環状N,O−アセタール化合物を合成する方法が開示されている。しかし、この方法では、特殊な装置を必要とするため、工業的に簡便にN,O−アセタール化合物を得るという観点では問題を有する。
【0005】
また、非特許文献4では、トリメチルシロキシ含フッ素アミン化合物をアルコールと反応させて含フッ素非環状N,O−アセタール化合物を合成する方法が開示されており、非特許文献2では含フッ素ヘミアミナール化合物を塩基及びアルキルハライドと反応させる方法が開示されている。これら方法では、出発原料である含フッ素アルデヒドヘミアセタールから複数段階で含フッ素非環状N,O−アセタール化合物を合成する方法であり、操作が煩雑となる問題がある。
【0006】
一方、非特許文献5では、含フッ素アルデヒドヘミアセタールと芳香族1級アミンを酸触媒存在下、アルコール中で反応させて、含フッ素非環状N,O−アセタール化合物を合成する方法が開示されている。この方法は、特殊な装置を必要とせず、しかも、1段反応で目的とする含フッ素非環状N,O−アセタール化合物を合成することが可能であり、工業的に有利な方法と言える。しかしながら、この方法は、芳香族1級アミンの場合のみに適用可能であり、2級アミンの場合には、目的とする含フッ素非環状N,O−アセタール化合物が得られない問題を有する。
【特許文献1】特開2005−256033公報
【非特許文献1】J. Org. Chem., 59(1994), 607
【非特許文献2】Synthesis, (2003), 185
【非特許文献3】J. Org. Chem., 71(2006), 2159
【非特許文献4】J. Org. Chem., 67(2002), 997
【非特許文献5】J. Fluor. Chem., 125(2004), 767
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこれらの課題に鑑みてなされたものである。即ち、特殊な装置を必要とせず、一段反応で、2級アミンを原料として使用できる含フッ素非環状N,O−アセタール化合物の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題に鑑み本発明者らは鋭意検討した結果、含フッ素アルデヒドヘミアセタールとアミン化合物を特定条件下で反応させることにより、2級アミンを原料とした含フッ素非環状N,O−アセタール化合物を高収率で合成できることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は下記要旨に関わるものである。
【0009】
1.下記一般式(1)
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、Xはフッ素原子または水素原子、nは1〜10の整数、R1は、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基を表す。)
で表される含フッ素アルデヒドヘミアセタール及び下記一般式(2)
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、R2、R3は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の直鎖若しくは分岐のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数6〜30のアリール基を表す。なお、R2、R3は末端で、ヘテロ原子の介在あるいは非介在下で、互いに結合し環状構造をなしていてもよい。)
で表される2級アミン化合物を非プロトン性溶媒中、50〜200℃で反応させることを特徴とする下記一般式(3)
【0014】
【化3】

【0015】
(式中、X、n、R、R及びRは前記定義に同じ。)
で表される含フッ素非環状N,O−アセタール化合物の製造方法。
【0016】
2.2級アミン化合物に対し、含フッ素アルデヒドヘミアセタールをモル比で1〜10倍使用することを特徴とする1項に記載の含フッ素非環状N,O−アセタール化合物の製造方法。
【0017】
3.非プロトン性溶媒が炭化水素溶媒であることを特徴とする1項または2項に記載の含フッ素非環状N,O−アセタール化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、特殊な装置を必要とせず、一段反応で、2級アミンを原料とした含フッ素非環状N,O−アセタール化合物の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に用いられる含フッ素アルデヒドヘミアセタールは前記一般式(1)で表される。一般式(1)においてX(CF−は炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基またはヒドロパーフルオロアルキル基であり、Rは炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基である。このような含フッ素アルデヒドヘミアセタールとして、例えば、トリフルオロアセトアルデヒドメチルヘミアセタール、トリフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタール、トリフルオロアセトアルデヒドn−プロピルヘミアセタール、トリフルオロアセトアルデヒドイソプロピルヘミアセタール、トリフルオロアセトアルデヒドn−ブチルヘミアセタール、トリフルオロアセトアルデヒドイソブチルヘミアセタール、トリフルオロアセトアルデヒドt−ブチルヘミアセタール、トリフルオロアセトアルデヒドn−ヘキシルヘミアセタール、トリフルオロアセトアルデヒドn−オクチルヘミアセタール、ジフルオロアセトアルデヒドメチルヘミアセタール、パーフルオロプロパンアルデヒドメチルヘミアセタール、パーフルオロn−ブタンアルデヒドメチルヘミアセタール及び2,2,3,3−テトラフルオロプロパンアルデヒドメチルヘミアセタール等を挙げることができる。
【0020】
また、本発明に用いられる2級アミン化合物は前記一般式(2)で表される。式中、R2、R3は、同一または非同一の炭素数1〜30の直鎖または分岐のアルキル基、または炭素数6〜30のアリール基である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基及びエイコサン基等を挙げることができる。これらアルキル基は、置換基により置換されていてもよく、置換基としては、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ケトン基、エステル基、カルボン酸基、アルキルチオ基、チオール基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子等を挙げることができる。炭素数6〜30のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基等を挙げることができる。これらアリール基は置換基により置換されていてもよく、置換基としては、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ケトン基、エステル基、カルボン酸基、アルキルチオ基、チオール基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子等を挙げることができる。
【0021】
なお、R2とR3は、末端で互いに結合し環状構造をなしていてもよい。このような2級アミン化合物の一例を次に挙げる。芳香族2級アミンとしては、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−n−プロピルアニリン、N−イソプロピルアニリン、N−メチル−4−メチルアニリン、N−メチル−2,4−ジメチルアニリン、N−メチル−4−(トリフルオロメチル)アニリン、N−メチル−4−フェニルアニリン、N−メチル−4−メトキシアニリン、N−メチル−4−ヒドロキシアニリン、N−メチル−4−アセチルアニリン、4−(N−メチルアミノ)安息香酸エチル、4−(N−メチルアミノ)安息香酸、N−メチル−4−(メチルチオ)アニリン、4−(N−メチルアミノ)チオフェノール、4−(N−メチルアミノ)ベンゾニトリル、N−メチル−4−ニトロアニリン、N−メチル−4−フルオロアニリン、N−メチル−1−ナフチルアミン、N−メチル−2−ナフチルアミン、ジフェニルアミン、インドリン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリンおよび1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン等を挙げることができる。脂肪族2級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジn−ブチルアミン、ジn−オクチルアミン、ジベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、ビス(2−メトキシ)アミン、ビス(エタノール)アミン、ジアリルアミン、ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、N−フェニルピペラジンおよびモルホリン等を挙げることができる。2級アミン化合物の使用量は、含フッ素アルデヒドヘミアセタールに対し、モル比で0.1〜1倍、好ましくは、0.2〜1倍である。2級アミン化合物の使用量が0.1未満の場合は未反応の含フッ素アルデヒドヘミアセタールの回収操作が煩雑になり、2級アミンの使用量が1を超える場合は含フッ素非環状N,O−アセタール化合物の収率が低下する。
【0022】
前記含フッ素アルデヒドヘミアセタールと前記2級アミン化合物を反応させて得られる含フッ素非環状N,O−アセタール化合物は前記一般式(3)で表される。このような含フッ素非環状N,O−アセタール化合物の一例として、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)ジメチルアミン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)ジエチルアミン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−エトキシエチル)ジエチルアミン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−ブトキシエチル)ジエルアミン、N−(2,2−ジフルオロ−1−メトキシエチル)ジエチルアミン、N−(2,2,3,3−テトラフルオロ−1−メトキシプロピル)ジエチルアミン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)ジ−n−プロピルアミン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)ジイソプロピルアミン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)ジ−n−ブチルアミン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)ジベンジルアミン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)ジ−2−クロロエチルアミン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)−N−メチルアニリン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)−N−エチルアニリン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)−N−メチル−4−メチルアニリン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)−N−メチル−4−メトキシアニリン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)−インドリン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)−ピペリジン、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)−N’−フェニルピペラジンおよびN−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)−モルホリン等を挙げることができる。
【0023】
本発明では、含フッ素アルデヒドヘミアセタールとアミン化合物を反応させる際に非プロトン性溶媒を用いる。アルコール等のプロトン性溶媒を用いた場合は、ほとんど目的とする含フッ素非環状N,O−アセタール化合物は得られない。非プロトン性溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサンおよびデカリン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、シチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロエタン、1,1,2−トリクロロエタン及びクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、モノグライム、ジグライム、トリグライム、テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジエチル、安息香酸エチル及びフタル酸ジエチル等のエステル類、アセトン、エチルメチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類、ジエチルスルフィド及びジn−ブチルスルフィド等のスルフィド類、アセトニトリル、プロピオニトリル及びベンゾニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等を挙げることができる。これらの非プロトン性溶媒の中で、脂肪族炭化水素類または芳香族炭化水素類が含フッ素非環状N,O−アセタール化合物の収率の点で好ましい。非プロトン性溶媒の使用量は、含フッ素アルデヒドヘミアセタールに対し、重量比で0.5〜100倍、好ましくは、1〜20倍である。
【0024】
また、本発明では、必要に応じて酸を存在させてもよい。酸としては液体状の酸、固体状の酸のいずれを使用してもよく、液体状の酸としては、酢酸、プロピオン酸及びトリフルオロ酢酸等のカルボン酸類、メタンスルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸類、硫酸、燐酸及び塩酸等の鉱酸類または、三フッ化ホウ素エーテル錯塩及び四塩化チタン等のルイス酸等を挙げることができる。固体状の酸としては、陽イオン交換樹脂、硫酸化ジルコニア及びヘテロポリ酸等を挙げることができる。この際の酸触媒の使用量は、2級アミン化合物に対し、モル比で0.001〜0.2倍である。
【0025】
原料及び溶媒の混合順は特に限定されるものではなく、含フッ素アルデヒドヘミアセタール、2級アミン化合物及び非プロトン性溶媒を如何なる順序で混合してもよい。
【0026】
本発明では、含フッ素アルデヒドヘミアセタールと2級アミン化合物を非プロトン性溶媒中、加熱条件下にて反応させる。この際の反応温度は50〜200℃である。反応温度が50℃未満の場合、反応はほとんど進行しない。また、反応温度が200℃を超えると副反応が進行し易く、目的とする含フッ素N,O−アセタール化合物の収率が低下する場合がある。反応時間は温度によって影響されるが、通常、10分から48時間である。
【0027】
本反応は通常、窒素、アルゴン、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気下に行う。また、通常は大気圧下で行なうが、必要に応じて、加圧下や減圧下において実施してもよい。
【0028】
反応終了後、反応生成物である含フッ素非環状N,O−アセタール化合物は、公知の抽出法、蒸留法、クロマトグラフ等により精製することができる。また、精製することなく、反応液をそのまま含フッ素アミン誘導体の合成原料として使用することも可能である。
【0029】
実施例
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0030】
実施例1
硝子製反応器にN−メチルアニリン300mg (2.8mmol)、トルエン6 ml、トリフルオロアセトアルデヒドメチルヘミアセタール 1.46g(112 mmol)を入れ、130℃で4時間加熱した。反応後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 酢酸エチル:n−ヘキサン1:20)で精製し、N,O−アセタール化合物であるN−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)−N−メチルアニリン 421mg(収率69%)を得た。
IR (neat): 3000, 2950, 2830, 1610, 1510, 1460, 1410, 1350, 1320, 1300, 1280, 1220, 1180, 1150, 1120, 1080, 1040, 1010, 950, 870, 810, 760, 720, 700, 640 cm-1
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ 2.92 (s, 3H, CH3), 3.34 (s, 3H, CH3), 5.08 -5.14 (q, 1H, CH), 6.87 -7.33 (m, 5H, Ar-H)
EI-MS m/z 219 (M+ 27.14), 216 (1.17), 188 (39.51), 168 (3.44), 150 (100.00), 135 (6.33), 113 (3.26), 106 (12.88), 91 (4.34), 77 (19.73), 63 (3.60), 51 (4.74)
【0031】
実施例2
硝子製反応器に1,2,3,4−テトラヒドロキノリン 504mg(3.8mmol)、トルエン25ml、トリフルオロアセトアルデヒドメチルヘミアセタール 1.97g(15.1mmol)及び p−トルエンスルホン酸1水和物 20mgを入れ、90℃で2時間加熱した。 反応後、酢酸エチル(20ml)を加え、この溶液を10%炭酸水素ナトリウム水溶液(20ml×2)、次いで飽和食塩水(20ml)で洗い芒硝乾燥した。溶媒を減圧蒸去し残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 酢酸エチル:n−ヘキサン1:4)で精製し、N,O−アセタール化合物であるN−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン695mg(収率 75%)を得た。
IR (neat) : 2950, 2930, 1610, 1510, 1310, 1270, 1150, 750 cm-1
1H -NMR (270 MHz, CDCl3) δ 1.81-2.04 (m, 2H, CH2), 2.75-2.89 (m, 2H, CH2), 3.17-3.26 (m, 1H, CH), 3.40 (s, 3H, CH3), 3.44-3.53 (m, 1H, CH), 5.22 (q, 1H, CH), 6.71-6.78 (m, 2H, Ar-H), 7.02-7.11 (m, 2H, Ar-H)
EI-MS m/z 245 (M+, 36.03), 214 (22.63), 176 (100.00)
【0032】
実施例3
硝子製反応器に1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン 133mg(1.0mmol)、トルエン10 ml、トリフルオロアセトアルデヒドメチルヘミアセタール521mg(4.0mmol)、p−トルエンスルホン酸1水和物 10mgを加え、90℃で2.5時間加熱した。冷却後、反応液に10%炭酸水素ナトリウム水溶液20mlを加え、水層をトルエン(20ml×2)で抽出した。トルエン層を飽和食塩水(20ml)で洗浄し芒硝乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 酢酸エチル:n−ヘキサン1:4)で精製し、N,O−アセタール化合物であるN−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン235mg(収率96%)を得た。
IR (neat) : 2950, 2850, 1280, 1170, 1150, 1110 cm-1
1H -NMR (270 MHz, CDCl3) δ 2.86 (t, 2H, CH2), 2.98-3.07 (m, 1H, CH), 3.14-3.22 (m, 1H, CH), 3.47 (s, 3H, CH3), 3.83 (d, 1H, CH), 4.03 (d, 1H, CH), 4.25 (q, 1H, CH), 7.00-7.15 (m, 4H, Ar-H)
EI-MS m/z 245 (M+, 27.14), 244 (22.20), 214 (22.63), 176 (100.00)
【0033】
実施例4
硝子製反応器に1−フェニルピペラジン517mg(3.2mmol) 、トルエン25ml、トリフルオロアセトアルデヒドメチルヘミアセタール1.97g(15.1mmol)及びp−トルエンスルホン酸1水和物 30mgを入れ、90℃で2時間加熱した。 反応後、酢酸エチル20mlを加え、この溶液を 10%炭酸水素ナトリウム水溶液(20 mL×2)、次いで飽和食塩水(20ml)で洗い芒硝乾燥した。溶媒を減圧蒸去し残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 酢酸エチル:n−ヘキサン1:4)にて精製し、N,O−アセタール化合物であるN−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)−N’−フェニルピペラジン 725mg(収率83%)を得た。
IR (neat) : 2950, 2900, 2830, 1605, 1505, 1460, 1280, 1240, 1180, 1160, 1140, 1020, 760, 690 cm-1
1H -NMR (270 MHz, CDCl3) δ 2.90-2.97 (m, 2H, CH2), 3.03-3.12 (m, 2H, CH2), 3.15-3.20 (m, 4H, CH2×2), 3.51 (s, 3H, CH3), 4.12 (q, 1H, CH), 6.85-7.00 (m, 3H, Ar-H), 7.24-7.31 (m, 2H, Ar-H)
EI-MS m/z 274 (M+, 100.00), 259 (22.47), 243 (30.92), 205 (69.23), 132 (27.29), 105 (42.65), 104 (25.22)
【0034】
実施例5
硝子製反応器にN−メチルベンジルアミン 504mg(4.2mmol)、トルエン 25ml、トリフルオロアセトアルデヒドメチルヘミアセタール 2.16g(16.6mmol)及びp−トルエンスルホン酸1水和物 30mgを入れ、90℃で2時間加熱した。 反応後、酢酸エチル 20mlを加え、この溶液を10%炭酸水素ナトリウム水溶液(20ml×2)、次いで飽和食塩水(20ml)で洗い芒硝乾燥した。溶媒を減圧蒸去し残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 酢酸エチル:n−ヘキサン 1:4)にて精製し、N,O−アセタール化合物であるN−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)−N−メチルベンジルアミン 657mg(収率 68%)を得た。
IR (neat) : 2970-2850, 1505, 1460, 1290, 1180-1120, 1060 cm-1
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ 2.41 (s, 3H, CH3), 3.51 (s, 3H, CH3), 3.85 (d, 1H, CH), 3.85 (d, 1H, CH), 4.20 (q, 1H, CH), 7.24-7.38 (m, 5H, Ar-H)
EI-MS m/z 233 (M+ 1.16), 202 (5.33), 164 (55.71), 91 (100.00)
【0035】
比較例1
溶媒としてメタノールを使用した以外は実施例1と同様にして反応を行った。反応後、実施例1と同様にして精製したが、原料であるN−メチルアニリンが回収され、N,O−アセタール化合物であるN−(2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシエチル)−テトラヒドロイソキノリンは得られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の方法により、特殊な装置を必要とせず、一段反応で、2級アミン化合物を原料とする含フッ素非環状N,O−アセタール化合物を製造することができる。含フッ素非環状N,O−アセタール化合物は医農薬中間体、電子材料用原料として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(式中、Xはフッ素原子または水素原子、nは1〜10の整数、R1は、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基を表す。)
で表される含フッ素アルデヒドヘミアセタール及び下記一般式(2)
【化2】

(式中、R2、R3は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の直鎖若しくは分岐のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数6〜30のアリール基を表す。なお、R2、R3は末端で、ヘテロ原子の介在あるいは非介在下で、互いに結合し環状構造をなしていてもよい。)
で表される2級アミン化合物を非プロトン性溶媒中、50〜200℃で反応させることを特徴とする下記一般式(3)
【化3】

(式中、X、n、R、R及びRは前記定義に同じ。)
で表される含フッ素非環状N,O−アセタール化合物の製造方法。
【請求項2】
2級アミン化合物に対し、含フッ素アルデヒドヘミアセタールをモル比で1〜5倍使用することを特徴とする請求項1に記載の含フッ素非環状N,O−アセタール化合物の製造方法。
【請求項3】
非プロトン性溶媒が炭化水素溶媒であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の含フッ素非環状N,O−アセタール化合物の製造方法。

【公開番号】特開2009−29764(P2009−29764A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198240(P2007−198240)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 研究集会名 日本薬学会第127年会(富山) 主催者名 社団法人日本薬学会会頭 内海秀雄 開催日 平成19年3月30日
【出願人】(591180358)東ソ−・エフテック株式会社 (91)
【出願人】(000159065)
【Fターム(参考)】