説明

含リン化合物及び抗腫瘍剤

【課題】特異的な抗腫瘍活性を有する含リン化合物を含む抗腫瘍剤を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表される含リン化合物を含む抗腫瘍剤である。


式中、Rは、H、OH基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、R及びRは、ハロゲン原子を表し、R及びRは、H、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、アシロキシ基又はアミノ基を表し、Rは、H、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アシロキシ基又はアミノ基を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含リン化合物及びそれを含有する抗腫瘍剤に関する。
【背景技術】
【0002】
糖のヘテロ原子誘導体であるアミノ糖やチオ糖は天然物として自然界に存在し、抗菌活性、血糖濃度増加作用等の生理活性を有している。これに対して糖のヘミアセタール環内にリン原子を有する糖のヘテロ原子誘導体(リン糖)は天然には存在せず、また合成上の困難性から、いくつかの合成例と除草剤としての報告(例えば、特許文献1〜4参照)が知られているのみである。
一方、炭素原子−リン原子結合を有する化合物として、抗ウイルス活性を有するホスホマイシン、抗腫瘍性活性を有するシクロホスファミド等が知られている。また、炭素原子−リン原子結合を有する糖化合物としては、5−デオキシ−1,5−C−(エチルホスフィニリデン)−β−D−グルコース誘導体が弱いながらも抗ガン作用を有することが知られている。
【特許文献1】特開平3−11089号公報
【特許文献2】特開平5−339281号公報
【特許文献3】特開平9−241282号公報
【特許文献4】特開2004−91435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1には、リン糖には抗ガン作用等の重要な生理活性を示すものの存在が期待されると記載されているが、生理活性を示す具体的な化合物の構造及びその生理活性については記載も示唆もされていない。
本発明は、新規な含リン化合物と、抗腫瘍活性を有する含リン化合物を含む抗腫瘍剤を提供することを目的とし、該目的の達成を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
すなわち、本発明は下記一般式(I)で表される含リン化合物である。
【0005】
【化1】

【0006】
式中、Rは、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、R及びRは、それぞれハロゲン原子を表し、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、アシロキシ基又はアミノ基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アシロキシ基又はアミノ基を表す。
【0007】
前記一般式(I)におけるRは、アリール基であることが好ましい。また、前記一般式(I)におけるR及びRは、臭素原子であることが好ましく、更にRが、ハロゲン原子であることがより好ましい。
【0008】
下記一般式(II)又は(III)で表される含リン化合物を含む抗腫瘍剤である。
【0009】
【化2】

【0010】
式中、R11は、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、R12及びR13は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシロキシ基、ヒドロキシアルキル基又はアミノ基を表し、R14及びR16は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、アシロキシ基又はアミノ基を表し、R15は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アシロキシ基又はアミノ基を表す。
【0011】
前記一般式(II)又は(III)における、R11はアリール基であることが好ましい。また、前記一般式(II)又は(III)における、R12及びR13が、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子又はヒドロキシ基であることが好ましく、R15がハロゲン原子であることがより好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、新規な含リン化合物と、抗腫瘍活性を有する含リン化合物を含む抗腫瘍剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明含リン化合物は、下記一般式(I)で表されるリン糖化合物である。本発明において、リン糖とは、糖のリン誘導体、特に糖のヘミアセタール環内にリン原子を含む化合物を意味する。
【0014】
【化3】

【0015】
式中、Rは、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、R及びRは、それぞれハロゲン原子を表し、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、アシロキシ基又はアミノ基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アシロキシ基又はアミノ基を表す。
【0016】
は、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表すが、該アルキル基、アリール基、アルコキシ基及びアリールオキシ基は、更に置換基を有していてもよい。
該置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、アミド基、アジド基、シアノ基、ホルミル基、カルボキシ基、アシロキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができる。
本発明において、Rは抗腫瘍活性の観点から、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリールオキシ基であることが好ましく、炭素数1〜12アルキル基又は炭素数6〜12のアリール基であることがより好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることが更に好ましい。
【0017】
及びRは、それぞれ独立にハロゲン原子を表す。本発明においては、抗腫瘍活性の観点から、該ハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であることが好ましく、塩素原子又は臭素原子であることがより好ましく、臭素原子であることが更に好ましい。R及びRはそれぞれ異なるハロゲン原子であってもよいが、同一のハロゲン原子であることが好ましく、R及びRが共に臭素原子であることがより好ましい。
本発明において、R及びRの立体配置は特に制限はなく、いずれの立体配置であってもよい。
【0018】
及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、アシロキシ基又はアミノ基を表すが、該アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、アシロキシ基及びアミノ基は更に置換基を有していてもよい。該置換基としてはRの説明において挙げた置換基を挙げることができる。
本発明においては、R及びRは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましい。
【0019】
は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アシロキシ基又はアミノ基を表すが、該アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アシロキシ基及びアミノ基は更に置換基を有していてもよい。該置換基としてはRの説明において挙げた置換基を挙げることができる。
本発明においては、Rは水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基であることが好ましく、水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子又は臭素原子)又は炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましく、水素原子又はハロゲン原子(塩素原子又は臭素原子)であることがより好ましい。
【0020】
本発明においては、Rがアルキル基又はアリール基であって、R及びRが塩素原子又は臭素原子であって、R及びRが、それぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基であって、Rが水素原子又はハロゲン原子であることが好ましく、Rがアリール基であって、R及びRが塩素原子又は臭素原子であって、R及びRが、それぞれ独立に水素原子又はアルキル基であって、Rが水素原子又はハロゲン原子であることがより好ましい。
【0021】
本発明において、一般式(I)で表されるリン糖化合物は、例えば、以下のようにして合成することができる。
特開平5−339281号公報に記載の方法又はそれを適宜変更した方法によって、下記一般式(IV)で表される二重結合を有するリン糖化合物を得ることができる。一般式(IV)で表される二重結合を有するリン糖化合物に対して、公知の方法でハロゲン分子を付加することによって、一般式(I)で表されるリン糖化合物を合成することができる。
【0022】
【化4】

【0023】
式中、R21は、水素原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、またはアリールオキシ基を表し、R22及びR23はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、アシロキシ基又はアミノ基を表し、R24は水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アシロキシ基又はアミノ基を表し、R25は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アシロキシ基又はアミノ基を表す。
【0024】
以下に、本発明の一般式(I)で表されるリン糖化合物の具体例として、リン糖化合物(I−1)〜(I−20)を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0025】
【化5】

【0026】
一般式(I)で表されるリン糖化合物は、例えば、後述するように特異的な抗腫瘍活性を有することから、例えば、ガンの治療剤として有用である。
【0027】
本発明の抗腫瘍剤は、下記一般式(II)又は(III)で表されるリン糖化合物を含むことを特徴としている。本発明の抗腫瘍剤は前記リン糖化合物に加えて、界面活性剤や賦形剤等の公知の添加剤を含んでなることができる。
【0028】
【化6】

【0029】
式中、R11は、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、R12及びR13は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシロキシ基、ヒドロキシアルキル基又はアミノ基を表し、R14及びR16は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、アシロキシ基又はアミノ基を表し、R15は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アシロキシ基又はアミノ基を表す。
【0030】
11は、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表すが、該アルキル基、アリール基、アルコキシ基及びアリールオキシ基は、更に置換基を有していてもよい。該置換基としてはRの説明において挙げた置換基を挙げることができる。
本発明において、R11は抗腫瘍活性の観点から、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリールオキシ基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基であることがより好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることが更に好ましい。
【0031】
12及びR13は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシロキシ基、ヒドロキシアルキル基又はアミノ基を表すが、水素原子、ハロゲン原子又はヒドロキシ基であることが好ましい。
また本発明においては、R12及びR13のうち少なくとも1つはハロゲン原子であることが好ましい。
12及びR13におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられるが、抗腫瘍活性の観点から、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子であることが好ましく、塩素原子又は臭素原子であることがより好ましく、臭素原子であることが更に好ましい。
本発明において、R12及びR13の立体配置は特に制限はなく、いずれの立体配置であってもよい。
【0032】
14及びR16は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、アシロキシ基又はアミノ基を表すが、該アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、アシロキシ基又はアミノ基は更に置換基を有していてもよい。該置換基としてはRの説明において挙げた置換基を挙げることができる。
本発明においては、R14及びR16は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましい。中でもR14が炭素数1〜3のアルキル基であることが特に好ましい。
【0033】
15は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基を表すが、該アルキル基及びアリール基は更に置換基を有していてもよい。該置換基としてはRの説明において挙げた置換基を挙げることができる。
本発明においては、R15は水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基であることが好ましく、水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子又は臭素原子)又は炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましく、水素原子又はハロゲン原子(塩素原子又は臭素原子)であることがより好ましい。
【0034】
本発明においては、一般式(II)で表されるリン糖化合物は、R11がアリール基であって、R12及びR13がそれぞれ独立にハロゲン原子又はヒドロキシ基であって、R14及びR16が、それぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基であって、R15が水素原子又はハロゲン原子であることが好ましく、R11がアリール基であって、R12及びR13がそれぞれ独立にハロゲン原子(塩素原子もしくは臭素原子)又はヒドロキシ基であって、R14が炭素数1〜3のアルキル基であって、R16が水素原子又はアルキル基であって、R15が水素原子又はハロゲン原子(塩素原子もしくは臭素原子)であることがより好ましい。
【0035】
また、一般式(III)で表されるリン糖化合物は、R11がアリール基であって、R12が水素原子であって、R14及びR16が、それぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基であって、R15が水素原子又はハロゲン原子であることが好ましく、R11がアリール基であって、R12が水素原子であって、R14が炭素数1〜3のアルキル基であって、R16が水素原子又はアルキル基であって、R15が水素原子又はハロゲン原子(塩素原子もしくは臭素原子)であることがより好ましい。
【0036】
以下に、本発明における一般式(II)又は(III)で表されるリン糖化合物の具体例としては、前記リン糖化合物(I−1)〜(I−20)、及び、下記リン糖化合物(II-1)〜(II−12)、(III−1)〜(III−8)を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
【化7】

【0038】
本発明における一般式(II)又は(III)で表されるリン糖化合物は、例えば、上記一般式(IV)で表されるリン糖化合物を中間体として、公知の方法により合成することができる。
【0039】
本発明における一般式(II)又は(III)で表されるリン糖化合物は、腫瘍細胞にのみ作用し、正常細胞には作用を及ぼさないという極めて高い選択性を有している。それゆえ、一般式(II)又は(III)で表されるリン糖化合物を抗腫瘍剤として用いた場合には副作用は極めて低いことが期待される。例えば、ヒト慢性骨髄性白血病細胞K562に対しては、低濃度で致死作用を示すのに対して、健常人から採取した白血球に対しては、高濃度であっても致死作用を示すことはない。したがって、前記リン糖化合物を含む抗腫瘍剤は極めて高い選択性を有している。また、ヒト急性単球性白血病細胞U937に対しても低濃度で有効に作用する。したがって、極めて高い抗腫瘍活性とスペクトルの広い薬剤であり、ガンの治療薬として極めて有用である。
【0040】
前記リン糖化合物の腫瘍細胞に対する作用機序は、未だ明確にはなっていないが、例えば以下のように推察される。すなわち、前記リン糖化合物は、一種の分子標的化合物であり、腫瘍細胞の細胞周期調節機構に作用して、腫瘍細胞に致死作用を及ぼすものと考えられる。
【0041】
本発明の抗腫瘍剤は、慢性骨髄性白血病、成人急性骨髄性白血病等の各種の白血球のガンの他、消化器、神経、筋肉、肺、皮膚等の固形ガンにも有効である。本発明の抗腫瘍剤は、上述の高い活性と選択性とに加えて、副作用が抑制され、かつ、広いスペクトルを有する新しいタイプの抗腫瘍剤である。
【実施例】
【0042】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「%」はモル基準である。
【0043】
(実施例1)
2,3,4−トリブロモ−3−メチル−1−フェニルホスホラン 1−オキシドの合成
【0044】
【化8】

【0045】
アルゴン雰囲気下に、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン 1−オキシド 2.4mmolをクロロホルム 25mlに溶解し、N−ブロモスクシンイミド (NBS)2.2mmolとα,α’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.20mmolを加え、70℃で6時間還流攪拌した。放冷後、クロロホルムにて希釈し、析出したスクシンイミドをろ過にて取り除いた。濾液を10%亜硫酸ナトリウム水溶液、水、食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下溶媒を留去して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール 20/1)にて精製し、4−ブロモ−1−フェニル-2-ホスホレン 1−オキシドを半固形物として60%の収率で得た。
上記で得られた4−ブロモ−1−フェニル−2−ホスホレン 1−オキシド 2.0mmolを四塩化炭素 15mlに溶解し、75℃以上に加熱した。そこへ臭素2.0mmolを四塩化炭素に溶解したものを加えた。80℃で8時間加熱した後、クロロホルム 30mlにて希釈し、10%亜硫酸ナトリウム水溶液、水、食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下溶媒を留去して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール 25/1)にて精製し、2,3,4−トリブロモ−1−フェニル-2-ホスホラン 1−オキシドを固形物として69%の収率で得た。
融点142〜144℃
H−NMR(CDCl):δ2.14(s,3H,CH3),2.78−3.14(m,2H,H−5),4.26(d,JPH=1.8Hz,1H,2−H),4.67−4.78(m,1H,4−H),7.57−7.78(m,5H,Ph)
13C−NMR(CDCl):δ23.60,25.06,38.86,54.65,56.50,129.05,130.09,131.65,136.67
31P−NMR(CDCl; HPO):δ30.55
MS(m/z):431.86(M,+H)
【0046】
(実施例2)
2,3−ジブロモ−1−フェニルホスホラン 1−オキシドの合成
【0047】
【化9】

【0048】
1−フェニル−2−ホスホレン 1−オキシド0.12gを水/THFの混合溶媒(水=12.0mL、THF=3.0mL)に溶解させ、氷浴上で臭素0.2mL(過剰量)を加え室温で2日間撹拌した。次に、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液10mLを加えて、しばらく撹拌し臭素の色が消失したのを確認した。その後、分液して水層をクロロホルム3×10mLで抽出し、続いて有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mL、飽和塩化ナトリウム水溶液20mLの順で洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ減圧下溶媒を留去後、シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20/1)で精製した。
これにより、目的化合物である油状化合物2,3−ジブロモ−3−ヒドロキシ-1-フェニルホスホラン 1−オキシド(0.14g,0.42mmol,y.64%)を得た。
融点139.94℃、沸点197.48℃、
Rf=0.56(CHCl:MeOH=20:1),
MS m/z 338.38(MH):
IR(KBr):1187cm−1(P=O),748cm−1,1241cm−1(C−Br)
H−NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm);2.30−2.82(m,4H,H−4,5),4.28−4.31(m,2H,H−2,3),7.50−7.88(m,5H,Ph)
また、副生成物として白色結晶の2−ブロモ−3−ヒドロキシ−1−フェニルホスホラン 1−オキシド(0.01g,2.25×10−3mmol,y.3.5%)を得た。
融点150.31−171.17℃,
Rf=0.16(CHCl:MeOH=20:1),
MSm/z 276.47(MH
IR(KBr):1064cm−1(P=O),732cm−1,1195cm−1(C−Br),3239cm−1(OH)
H−NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm);1.70(s,1H,OH),2.24−2.35(m,2H,H−5),2.53−3.02 (m,2H,H−4),4.09(d,1H,H−2,J=7.8Hz),4.60−4.64(m,1H,H−3),7.54−7.88(m,5H,Ph)
【0049】
(実施例3)
2,3−ジブロモ−3−メチル−1−フェニルホスホラン 1−オキシドの合成
【0050】
【化10】

【0051】
3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン 1−オキシド0.66gを水・クロロホルム混合溶媒(水=20.0mL、クロロホルム=5.0mL)に溶解させ、氷浴上で臭素1.0mL(過剰量)を加え室温で2日間撹拌した。次に、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液10mLを加え、しばらく撹拌し臭素の色が消失したのを確認した。その後、分液して水層をクロロホルム4×15mLで抽出し、続いて有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液25mL、飽和塩化ナトリウム水溶液25mLの順で洗浄した後、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ減圧下溶媒を留去後、シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20/1)で精製した。
これにより、油状化合物として2,3−ジブロモ−3−メチル−1−フェニルホスホラン 1−オキシドを0.34g(y.29%)得た。
また、白色結晶として2−ブロモ−3−メチル−3−ヒドロキシ−1−フェニルホスホラン 1−オキシドを0.40g(y.41%)を得た。
【0052】
<2−ブロモ−3−メチル−3−ヒドロキシ−1−フェニルホスホラン 1−オキシド>
融点159.63℃,
Rf=0.28(CHCl:MeOH=20:1),
MS m/z 289.36(MH
IR(KBr):1064cm−1(P=O),748cm−1,1265cm−1(C−Br),3232cm−1(OH)
H−NMR(CDCl):δ1.66(s,3H,CH),2.12−2.33(m,2H,H−4),2.39−2.54(m,2H,H−5),4.19(s,1H,C−2),5.87(s,1H,OH),7.26−7.83(m,5H,Ph)
<2,3−ジブロモ−3−メチル−1−フェニルホスホラン 1−オキシド>
融点189.20℃,沸点280.24℃,
Rf=0.42(CHCl:MeOH=20:1),
MS m/z 353.20(MH
IR(KBr):1126cm−1(P=O),748cm−1,1396cm−1(C−Br)
H−NMR(CDCl):δ1.67(s,3H,CH),2.36−2.46(m,2H,H−4),2.97−3.02(m,2H,H−5),4.09−4.31(dds,1H,C−2),7.51−7.70(m,5H,Ph)
【0053】
(参考例)
2,3−エポキシ−3−メチル−1−フェニルホスホラン 1−オキシドの合成
【0054】
【化11】

【0055】
2−ブロモ−3−ヒドロキシ−3−メチル−1−フェニルホスホラン 1−オキシド3.88gをクロロホルム3.0mLに溶解させた後に、水酸化カリウム水溶液(0.5mol/L)20mLを加えて、40℃で1時間撹拌した。反応後、溶液をクロロホルム3×15mLで抽出し、続いて有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液25mL、飽和塩化ナトリウム水溶液25mLの順で洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下溶媒を留去後シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール=20/1)により精製した。これによりerythro−2,3−エポキシ−3−メチル−1−フェニルホスホラン 1−オキシドを2.67g(y.48%)と、threo−2,3−エポキシ−3−メチル−1−フェニルホスホラン 1−オキシドを0.66g(y.11%)得た。
【0056】
<erythro体>
Rf=0.43(AcOEt:MeOH=20:1),
MS m/z 209.47(MH
IR(KBr):1180cm−1(P=O),1064cm−1,1257cm−1(C−O−C)
1H−NMR(CDCl):δ1.94−2.11(m,2H,H−4),2.54−2.58(m,2H,H−5),3.38−3.48(dd,1H,J2,P=29.1Hz,J2,3=3.0Hz,H−2),3.83−3.85(m,1H,H−3),7.51−7.75(m,5H,Ph)
<threo体>
Rf=0.43(AcOEt:MeOH=20:1),
MS m/z 209.47(MH
IR(KBr):1180cm−1(P=O),1064cm−1,1257cm−1(C−O−C)
H−NMR(CDCl):δ(ppm);1.94−2.11(m,2H,H−4),2.54−2.58(m,2H,H−5),3.39−3.49(d,1H,H−2,J=28.8Hz)7.51−7.80(m,5H,Ph)
【0057】
−抗腫瘍活性−
(MTTアッセイ)
以下のような手順で、MTT法を用いてリン糖化合物の抗腫瘍活性を評価した。
リン糖化合物として下記に示す化合物(C−1)、(C−2)、(E−1)〜(E−4)を用い、リン糖化合物をDMSOに溶解して、アッセイ試料溶液を調製し、次の抗腫瘍活性プロトコールに従ってMTT法によるin vitro評価を行った。
【0058】
1.対数増殖期にある細胞を5000個/ウェルの濃度になるよう計数し、96穴マイクロタイタープレートの各ウェルに50μlずつ播いた。
2.炭酸ガスインキュベータ内で24時間前培養した。
3.アッセイ試料溶液を培養液にて目的の濃度に調製して、各ウェルに50μlずつ添加した。
4.炭酸ガスインキュベータ内で48時間培養した。
5.MTT溶液(5mg/ml)を各ウェルに10μlずつ添加した。
6.炭酸ガスインキュベータ内で1〜4時間呈色反応を行った。
7.マイクロプレートリーダーを用い、550nmの吸光度を測定した。
【0059】
MTT法による吸光度は生細胞数に依存することから、抗腫瘍活性の測定においては、吸光度が小さいほど腫瘍細胞が死滅し、よって抗腫瘍活性が強いことを意味する。
【0060】
【化12】

【0061】
図1には、ヒト慢性骨髄性白血病細胞K562を用いて、横軸に添加したリン糖化合物の濃度をとり、縦軸に抗腫瘍活性度を表す生細胞数に相当する吸光度をとったグラフを示す。
また、図2(A)には急性骨髄性白血病AML患者から採取した血液(腫瘍細胞が40%の割合で認められる)を用いた結果を示し、図2(B)には健常人から採取した血液を用いた結果を示す。
【0062】
次に、実施例3において合成した2,3−ジブロモ−3−メチル−1−フェニルホスホラン 1−オキシド(ジブロモ体、上記E−1)を、高速液体クロマトグラフ(カラム:ワコーシル5SIL、φ4.6mm×250mm)に付し、溶離液としてクロロホルム:メタノール=40:1を用いて分離精製したところ、保持時間(リテンションタイム、RT)が異なる4つの立体異性体が得られた。各立体異性体についての核磁気共鳴スペクトルのデータを下記表1に示す。また、各立体異性体についての抗腫瘍活性をMTT法によって評価した。結果を図3に示す。
【0063】
図3(A)には、ジブロモ体の立体異性体混合物として、ヒト慢性骨髄性白血病細胞K562及びヒト急性単球性白血病細胞U937に対して、投与した結果を示す。また図3(B)には、ジブロモ体の立体異性体混合物(Complex)及び異なる保持時間を示す立体異性体(保持時間(分):8.2、9.1、9.9、11.5)をそれぞれ投与した結果を示す。
【0064】
【化13】

【0065】
次に、実施例1で合成した2,3,4−トリブロモ−3−メチル−1−フェニルホスホラン 1−オキシド(トリブロモ体、上記E−4)の抗腫瘍活性について、MTT法を用いて、ジブロモ体並びに抗腫瘍剤AMN107(イマニチブ誘導体)と比較した。結果をぞれぞれ図4及び図5に示す。
図4は、ヒト慢性骨髄性白血病細胞K562に対するジブロモ体(E−1)とトリブロモ体(E−4)の抗腫瘍活性を示すグラフである。
また、図5(A)はヒト慢性骨髄性白血病細胞K562に対するトリブロモ体(E−4)とAMN107(イマニチブ誘導体)の抗腫瘍活性を示すグラフであり、図5(B)はヒト急性単球性白血病細胞U937に対するトリブロモ体(E−4)とAMN107(イマニチブ誘導体)の抗腫瘍活性を示すグラフであり、図5(C)はヒト前骨髄球性白血病細胞HL60に対するトリブロモ体(E−4)とAMN107(イマニチブ誘導体)の抗腫瘍活性を示すグラフである。
【0066】
(細胞周期解析)
細胞周期解析は、DNA結合性色素(ヨウ化プロピジウム;PI)で染色後、個々の細胞内のDNA含有量を測定することで行うことができる。細胞周期解析において、細胞は二倍体(2n)のDNAを有するG0/G1期の細胞、四倍体(4n)のDNAを有するG2+M期の細胞、及びそれらの中間のS期の細胞に分類される。また、アポトーシス細胞はG0/G1期の細胞よりもDNA含有量が少ない細胞として検出することができる。
【0067】
細胞周期分析は、ヒト慢性骨髄性白血病細胞K562を用い、上記リン糖化合物(E−1)を50μM、AMN107(イマニチブ誘導体)を50μMの濃度として48時間インキュベートした後、下記手順に従って、フローサイトメーター(EPICS XL、ベックマンコールター社製)を用いて行った。
1.細胞数1×10個の細胞をPBSで洗浄後、1.5mlチューブに移し、遠心機で2500回転、5分間遠心した。
2.上清を除去し、冷エタノール500μlを加えて4℃で4時間以上固定した。
3.2500回転、5分間遠心し、上清を除去した。
4.PBSを200μl加えて、再び2500回転、5分間遠心しエタノールを除去した。
5.上清を除去し、細胞ペレットを40μlのリン酸−クエン酸緩衝液に浮遊させて、時々攪拌しながら室温で30分以上置き、断片化したDNAを抽出した。
6.2500回転、5分間遠心して、上清を除去した。細胞ペレットをPBS100μlに再浮遊させ、RNase A溶液1μlを加えて、37℃、30分間インキュベートした。
7.2500回転、5分間遠心し、上清を除去した。
8.細胞ペレットをPBS1mlに浮遊させ、PI溶液(5mg/ml)50μlを加えて混和し、暗所にて、30分間染色した。
9.ナイロンメッシュ(50μm)を通した後、フローサイトメトリーにより各細胞のDNA量を測定し、細胞周期解析プログラムを用いてヒストグラム解析を行った。
結果を図6に示す。
【0068】
(腫瘍細胞を用いた評価)
ヒト由来胃ガン細胞MKN45及びヒトメラニン欠乏性黒色腫瘍細胞C32TGを用いて、以下の手順に従って、リン糖化合物の抗腫瘍活性を評価した。
1.対数増殖期にある腫瘍細胞を10000個/ウェルの濃度になるように計数し、24ウェルプレートの各ウェルに500μlずつ播いた。
2.炭酸ガスインキュベータ中で、約12時間培養し、各ウェルに腫瘍細胞を定着させた。
3.各ウェルから培養液を取り除き、所望のリン糖化合物濃度を有する培養液を500μl加えた。所望のリン糖化合物濃度を有する培養液は、評価対象化合物を予めDMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解しておき、これを用いて調製した。
4.炭酸ガスインキュベータ中で、所定の時間(1〜48時間)培養し、腫瘍細胞の形態変化を光学顕微鏡で観察した。光学顕微鏡による観察は、無染色で位相差レンズを用いて100倍または200倍の倍率で、腫瘍細胞が生きた状態で行った。
図7にヒト由来胃ガン細胞MKN45を用いた結果を示し、図8にはヒトメラニン欠乏性黒色腫瘍細胞C32TGを用いた結果を示す。
【0069】
図7左はコントロールとしてDMSOを用いて48時間培養した後の顕微鏡写真であり、図7右はリン糖化合物として上記ジブロモ体(E−1)を200μMの濃度で加えて48時間培養した後の顕微鏡写真である。
また、図8(A)はコントロールとしてDMSOを用いて24時間培養した後の顕微鏡写真であり、図8(B)はリン糖化合物として上記トリブロモ体(E−4)を100μMの濃度で加えて24時間培養した後の顕微鏡写真である。尚、倍率は100倍である。
【0070】
図1から、上記一般式(II)又は(III)で表されるリン糖化合物は良好な抗腫瘍活性を示すことがわかる。また図2から、上記一般式(II)又は(III)で表されるリン糖化合物は腫瘍細胞に選択的に作用することがわかる。
図3から、ジブロモ体は良好な抗腫瘍活性を示すことがわかる。また特定の立体構造を有するジブロモ体の抗腫瘍活性が特に強いことが分かる。
【0071】
図4から、トリブロモ体(E−4)はジブロモ体(E−1)よりも、強い抗腫瘍活性を有していることが分かる。
図5から、ヒト慢性骨髄性白血病細胞K562に対してトリブロモ体(E−4)はAMN107(イマニチブ誘導体)と同等程度の強い抗腫瘍活性を示すことが分かる。また、ヒト急性単球性白血病細胞U937やヒト前骨髄球性白血病細胞HL60に対しては、AMN107(イマニチブ誘導体)よりも遥かに強い抗腫瘍活性を示すことが分かる。
【0072】
図6から、上記一般式(II)又は(III)で表されるリン糖化合物はアポトーシスあるいは、細胞周期を止めることにより、抗ガン作用を発揮することが推定される。
図7から、コントロールは胃ガン細胞が活発に細胞分裂を行っているため、サンプル表面全体に細胞がひしめき合っているのが分かる。これに対してリン糖化合物投与後のサンプルは胃ガン細胞が死滅しているため、死滅した細胞が縮小し減少しているのが分かる。
図8から、コントロールはヒトメラニン欠乏性黒色腫瘍細胞C32TGが活発に細胞分裂を行っているため、サンプル表面全体に細胞がひしめき合っているのが分かる。これに対してリン糖化合物投与後のサンプルはヒトメラニン欠乏性黒色腫瘍細胞C32TGが死滅しているため、死滅した細胞が縮小し減少しているのが分かる。
【0073】
以上から、上記一般式(II)又は(III)で表されるリン糖化合物によれば、選択的で良好な抗腫瘍活性を有する抗腫瘍剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】リン糖化合物の抗腫瘍活性を示すグラフである。
【図2】リン糖化合物の特異的な抗腫瘍活性を示すグラフである。
【図3】ジブロモ体の抗腫瘍活性を示すグラフである。
【図4】トリブロモ体とジブロモ体とを比較した抗腫瘍活性を示すグラフである。
【図5】トリブロモ体とAMN107(イマニチブ誘導体)とを比較したK562、U937及びHL60に対する抗腫瘍活性を示すグラフである。
【図6】細胞周期分析の結果を示すグラフである。
【図7】ジブロモ体の胃ガン細胞MKN45に対する抗腫瘍活性を示す顕微鏡写真である。
【図8】トリブロモ体のヒトメラニン欠乏性黒色腫瘍細胞C32TGに対する抗腫瘍活性を示す顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される含リン化合物。
【化1】


[式中、Rは、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、R及びRは、それぞれハロゲン原子を表し、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、アシロキシ基又はアミノ基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アシロキシ基又はアミノ基を表す。]
【請求項2】
前記一般式(I)におけるRがアリール基であって、R及びRが臭素原子であることを特徴とする請求項1に記載の含リン化合物。
【請求項3】
前記一般式(I)におけるRがハロゲン原子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の含リン化合物。
【請求項4】
下記一般式(II)又は(III)で表される含リン化合物を含む抗腫瘍剤。
【化2】


[式中、R11は、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、R12及びR13は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシロキシ基、ヒドロキシアルキル基又はアミノ基を表し、R14及びR16は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、アシロキシ基又はアミノ基を表し、R15は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アシロキシ基又はアミノ基を表す。]
【請求項5】
前記一般式(II)又は(III)における、R11がアリール基であることを特徴とする請求項4に記載の抗腫瘍剤。
【請求項6】
前記一般式(II)又は(III)における、R12及びR13が、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子又はヒドロキシ基であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の抗腫瘍剤。
【請求項7】
前記一般式(II)又は(III)における、R15が、ハロゲン原子であることを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれかに記載の抗腫瘍剤。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−195692(P2008−195692A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−35083(P2007−35083)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年11月1日 中部化学関係学協会支部連合協議会主催の「第36回複素環化学討論会」において文書をもって発表〔刊行物等〕平成18年11月12日 中部化学関係学協会支部連合協議会主催の「第37回中部化学関係学協会支部連合秋季大会」において文書をもって発表〔刊行物等〕平成18年8月15日 https://exponet.nikkeibp.co.jp/ij2006/matching/appoint/search.cgi?class=Appoint::Search&mode=add&c_id=365&action=newを通じて発表
【出願人】(304023318)国立大学法人静岡大学 (416)
【出願人】(507051190)
【出願人】(507051204)
【Fターム(参考)】