説明

含水粉末メイクアップ化粧料

【課題】多量の水を安定に内包することができ、使用時、塗擦によって良好に液化し、きしみ感のない滑らかなのび広がりで、優れた発色性と化粧膜の均一性と化粧持ち、保存安定性を有する含水粉末メイクアップ化粧料を提供すること。
【解決手段】次の成分(A)〜(C);(A)表面積80m/g以上の疎水化シリカ0.1〜7質量%と、(B)特定の表面処理剤で被覆した表面処理粉体1〜49.9質量%と、(C)水50〜90質量%を配合し、塗擦により液化することを特徴とする含水粉末メイクアップ化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用前は粉末状でありながら、使用時、これを塗擦すると液化してリキッド状の化粧料に変化する含水粉末メイクアップ化粧料に関し、更に詳細には、使用時の塗擦により良好に液化し、きしみ感がなく滑らかなのび広がりで、優れた発色性と化粧膜の均一性を有し、化粧持ちと保存安定性にも優れる含水粉末メイクアップ化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特定の疎水化シリカと、撥水撥油性のフッ素化合物処理粉体とを組合せて用い、多量の水をそれらの粉体で内包することにより、使用前は粉末状でありながら、使用時の塗擦により、水が連続相であるリキッド状に変化し、みずみずしい使用感を奏することのできる含水粉末化粧料を開発している(特許文献1参照)。しかし、これら特定の、疎水化シリカや、フッ素化合物処理粉体に起因するきしみ感やヨレが生じる場合があり、この問題を解消する方法として、架橋型シリコーン末や、特定の多糖類系高分子や、パール剤・ラメ剤等を配合する技術が提案されている(特許文献2、3参照)。
【0003】
しかしまた、これらの方法では、粉体に充分な撥水性、撥油性がなくなるため、保存安定性が低下する場合があり、含水粉末化粧料としての安定性を確保するには、多量の水を内包するための粉体の撥水性および撥油性のコントロールが重要であるとの知見が得られた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−65212号公報
【特許文献2】特開2000−309506号公報
【特許文献3】特開2003−267826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、水を内包するための粉体として、疎水化シリカと組み合わせて、撥水撥油性の高いパーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩で処理した粉体を用いた場合は、きしみ感を生じるだけでなく、顔料やパール剤を処理してメイクアップ化粧料とした場合には、塗擦により液化した水(化粧料)に処理粉体が馴染みにくいため、発色や化粧膜の均一性が悪くなることがあり、特に粒子径の大きなパール剤やラメ剤では、時間と共に塗布部位から剥がれ落ちやすくなるなど、化粧持ちにも劣ることがあった。そのため、含水粉末化粧料としての保存安定性を保ちつつも、きしみ感がなく、塗擦により液化した化粧料とも馴染みの良い粉体の開発が望まれた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情において、本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の疎水化シリカと、親水撥油性を有する表面処理粉体とを用いることにより、含水粉末化粧料において、きしみ感のない滑らかなのび広がりと、良好な保存安定性が得られ、メイクアップ化粧料としても、優れた発色性と化粧膜の均一性を有し、化粧持ちと保存安定性に優れる含水粉末メイクアップ化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、次の成分(A)〜(C);
(A)表面積80m/g以上の疎水化シリカ
(B)粉体粒子の表面を特定の表面処理剤で被覆した表面処理粉体であって、前記表面処理剤が、下記一般式(1)で表される含フッ素単量体(a)と、下記一般式(2)で表されるアルコキシ基含有単量体(b)とを必須に含む単量体を共重合して得られる含フッ素共重合体である表面処理粉体
CH=C(−X)−CO−Y−[−(CH−Z−]−(CH−Rf (1)
[式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、それぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、置換又は非置換のベンジル基、置換又は非置換のフェニル基であり;Yは、−O−又は−NH−であり;Zは、直接結合、−S−又は−SO−であり;Rfは、炭素数1〜6のフルオロアルキル基であり;mは1〜10、nは0〜10、pは0又は1である。]
CH=C(R)−COO−(RO)−R (2)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基であり;Rは、水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基;Rは、水素原子または炭素数1〜22の不飽和または飽和の炭化水素基であり;qは、1〜50の整数である。]
(C)水 を配合し、塗擦により液化することを特徴とする含水粉末メイクアップ化粧料であって、成分(A)が0.1〜7質量%、成分(B)が1〜49.9質量%、成分(C)が50〜90質量%である含水粉末メイクアップ化粧料である。
さらに本発明は、成分(D)として、水性ゲル化剤を配合し、また成分(B)中が光輝性粉体の1種又は2種以上を含むことが好ましいものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の含水粉末メイクアップ化粧料は、成分(B)の表面処理粉体が適度な親水撥油性を有することにより、成分(A)の疎水化シリカと組み合わせて使用しても、保存安定性の良好なものである。また、塗擦により液化した化粧料も均一で滑らかであり、きしみ感がなく、発色性と化粧膜の均一性、化粧持ちに優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に用いられる成分(A)の疎水化シリカとは、微粒子シリカの表面が、オルガノシラン系化合物やシリコーン化合物等で覆われているもので、例えば、トリメチルシロキシル化シリカ、ジメチルシロキシル化シリカ、オクチルシロキシル化シリカ、ジメチルポリシロキサン処理シリカ等が挙げられる。これら疎水化シリカは、表面積が80m/g以上であることが必要であり、表面積がこれより少ないと、疎水化シリカの粒径が大きくなり、水滴の表面に多量に配向することができず、水を安定に粉末化することができなくなる。市販品としては、CAB−O−SIL TS−530、(キャボット社製 表面積325m/g)、エロジールR−972(デグッサ社製 表面積110±20m/g)、エロジールR−805、(デグッサ社製 表面積150±25m/g)、エロジールR−202、(デグッサ社製 表面積100±20m/g)等が挙げられる。
【0010】
成分(A)の疎水化シリカの配合量は、0.1〜7質量%(以下、単に「%」とする)であり、好ましくは、2〜4%である。0.1%より少ないと水を充分に粉末化できない場合があり、7%より多くなると、使用時塗擦しても液化せず、求めるみずみずしい感触が感じられない場合があり好ましくない。
【0011】
本発明に用いられる成分(B)の表面処理粉体は、粉体粒子の表面を特定の表面処理剤で被覆した粉体である。成分(B)で使用される表面処理剤とは、前記一般式(1)で表される含フッ素単量体(a)と、前記一般式(2)で表されるアルコキシ基含有単量体(b)とを必須に含む単量体を共重合して得られる含フッ素共重合体である。
【0012】
含フッ素単量体(a)は、下記一般式(1)で表される化合物である。
CH=C(−X)−CO−Y−[−(CH−Z−]−(CH−Rf (1)
[式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、それぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、置換又は非置換のベンジル基、置換又は非置換のフェニル基であり;Yは、−O−又は−NH−であり;Zは、直接結合、−S−又は−SO−であり;Rfは、炭素数1〜6のフルオロアルキル基であり;mは1〜10、nは0〜10、pは0又は1である。]
【0013】
上記一般式(1)において、pが0であることが好ましい。Xの好ましい例は水素原子である。また、上記一般式(1)において、Rfは一般にはパ−フルオロアルキル基および/または部分的にフッ素化されたフルオロアルキル基を表し、パ−フルオロアルキル基であることが好ましい。Rfのアルキル基の炭素数は1〜6であり、4、5または6が好ましく、特に6が好ましい。Rfの例は、−CF、−CFCF、−CFCFCF、CF(CF、−CFCFCFCF、−CFCF(CF、−C(CF、−(CFCF、−(CFCF(CF、−CFC(CF、−CF(CF)CFCFCF、−(CFCF等が挙げられる。
【0014】
含フッ素単量体(a)は単独で使用することはもちろんのこと、二種以上を混合して用いてもよい。含フッ素単量体(a)としては、例えば、次のものが挙げられる。
CH=C(−X)−C(=O)−O−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−X)−C(=O)−O−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−X)−C(=O)−O−(CH−Rf
CH=C(−X)−C(=O)−NH−(CH−Rf
[式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、それぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、置換又は非置換のベンジル基、置換又は非置換のフェニル基であり;Yは、−O−又は−NH−であり;Zは、直接結合、−S−又は−SO−であり;Rfは、炭素数1〜6のフルオロアルキル基であり;mは1〜10、nは0〜10、pは0又は1である。]
【0015】
含フッ素単量体(a)のさらに具体的な例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
CH=C(−H)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−H)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−H)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−H)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−H)−COO−(CH−Rf
CH=C(−H)−CO−NH−(CH−Rf
CH=C(−H)−COO−CHCHN(C)SO−Rf
CH=C(−H)−COO−CHCHN(CH)SO−Rf
CH=C(−H)−COO−CHCH(OCOCH)SO−Rf
CH=C(−CH)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CH)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CH)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CH)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CH)−COO−(CH−Rf
CH=C(−CH)−CO−NH−(CH−Rf
CH=C(−CH)−COO−CHCHN(C)SO−Rf
CH=C(−CH)−COO−CHCHN(CH)SO−Rf
CH=C(−CH)−COO−CHCH(OCOCH)CH−Rf
【0016】
CH=C(−F)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−Rf
CH=C(−F)−CO−NH−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−CO−NH−(CH−Rf
【0017】
CH=C(−CF)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−Rf
CH=C(−CF)−CO−NH−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−CO−NH−(CH−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−Rf
CH=C(−CN)−CO−NH−(CH−Rf
【0018】
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−CO−NH−(CH−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−Rf
CH=C(−F)−CO−NH−(CH−Rf
【0019】
CH=C(−Cl)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
【0020】
CH=C(−CN)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
[上記式中、Rfは、1〜6のフルオロアルキル基である。]
【0021】
これらのうち、特に
CH=C(−H)−COO−(CH−Rf
CH=C(−CH)−COO−(CH−Rf
が好ましい。
【0022】
アルコキシ基含有単量体(b)は、非フッ素単量体であり、下記一般式(2)で表わされる化合物である。
CH=C(R)−COO−(RO)−R (2)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基であり;Rは、水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基;Rは、水素原子または炭素数1〜22の不飽和または飽和の炭化水素基であり;qは、1〜50の整数である。]
【0023】
一般式(2)において、Rは水素原子が好ましい。また、qは1〜30が好ましく、より好ましくは2〜10であり、特に2〜5であることが好ましい。さらに、一般式(2)において、Rは、エチレン又はプロピレンが好ましく、特にエチレンであることが好ましい。一般式(2)中のRは一種または二種類以上のアルキレンの組み合わせであっても良い。その場合、少なくともRの一つはエチレンであることが好ましい。Rの組合せとしては、例えば、エチレン基/プロピレン基の組合せ、エチレン基/ブチレン基の組合せが挙げられる。
【0024】
アルコキシ基含有単量体(b)は、二種類以上の混合物であっても良い。アルコキシ基含有単量体(b)としては、例えば以下のものを例示できるが、これらに限定されるものではない。
CH=C(R)COO−(CHCHO)−R
CH=C(R)COO−(CHCH(CH)O)−R
CH=C(R)COO−(CO)q’−(CHCH(CH)O)q”−R
[式中、q’+q”=q]
【0025】
さらにより具体的な例としては、以下のもの等が挙げられる。
CH=C(H)COO−CHCHO−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)30−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)23−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)50−H
CH=C(CH)COO−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(CH)COO−(CHCHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(CH)COO−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(CH)COO−(CO)−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(CH)COO−(CO)−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(H)COO−(CO)−(CHCH(CH)O)−CH
【0026】
これらのうち、特に
CH=C(H)COO−CHCHO−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(CH)COO−CHCHO−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)−H
が好ましい。
【0027】
成分(B)で使用される含フッ素共重合体は、表面処理剤としての効果を損なわない範囲であれば、上記一般式(1)で表される含フッ素単量体(a)と、上記一般式(2)で表されるアルコキシ基含有単量体(b)と、さらに他の共重合可能な単量体(c)とを共重合して得られる共重合体であってもよい。
【0028】
他の共重合可能な単量体(c)としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、アクリル酸アミドメチルプロパンスルホン酸、アクリル酸アシッドホスホアキシアルキル等の重合性酸、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル等の重合性エステル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン等の重合性ビニル誘導体、シリコーンマクロマー、ポリアクリルマクロモノマー、ポリエステルマクロモノマー、ポリアミドマクロモノマー、ポリオキシアルキレンマクロモノマー等の重合性マクロモノマーや、重合性糖、スチレン等を挙げることができる。
【0029】
また、他の共重合可能な単量体(c)としては、架橋性単量体を含んでもよい。架橋性単量体は、少なくとも2つの反応性基および/または炭素−炭素二重結合を有し、フッ素を含有しない化合物とすることができる。架橋性単量体は、少なくとも2つの炭素−炭素二重結合を有する化合物、あるいは少なくとも1つの炭素−炭素二重結合および少なくとも1つの反応性基を有する化合物とすることができる。反応性基の例は、ヒドロキシル基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックドイソシアネート、カルボキシル基などである。本発明においては、アミノ基を有する単量体を使用しない。
【0030】
架橋性単量体は非フッ素架橋性単量体であることが好ましく、ジ(メタ)アクリレートであることがより好ましい。また、架橋性単量体は、下記一般式(3)で示される化合物(アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート)であることが特に好ましい。
CH=C(R)−COO−(RO)−CO−C(R)=CH (3)
[式中、それぞれのRは、水素原子またはメチル基であり;Rは、水素原子の一部または全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルキレン基であり;sは、1〜50の整数である。]
なお、Rの炭素数は、2〜10、例えば2〜6、特に2〜4であることが好ましく、Rが、エチレン基であることが好ましい。
【0031】
成分(B)で使用される含フッ素共重合体は、共重合体を構成する各モノマーの分子量やモル比をコントロールすることで、含フッ素共重合体の粉体粒子への被覆特性や皮膜形成能、表面処理粉体の分散能、吸湿・保湿能等を付与できる。含フッ素共重合体の重量平均分子量は、1000〜1000000程度、好ましくは5000〜500000程度とすることができる。1000未満であると皮膜形成能が弱く、本発明の効果を有する表面処理に適さず、1000000より大きいとポリマーの溶解性が悪くなるばかりか、表面処理粉体の分散性が悪化する。なお、この重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりポリスチレン換算で求めた値である。
【0032】
また、このような含フッ素共重合体において、含フッ素単量体(a)100質量部に対するアルコキシ基含有単量体(b)の量は、10〜400質量部、好ましくは25〜150質量部、より好ましくは43〜100質量部である。(b)の量が少ないと親水性が得られない場合があり、多いと撥油性が低下する場合がある。また、他の共重合可能な単量体(c)を用いる場合は、その割合は共重合体に対し30%未満が好ましい。特に、架橋性単量体を含有させる場合、架橋性単量体の量は、含フッ素単量体(a)100質量部に対し、30質量部以下、例えば0.1〜20質量部、特に0.5〜10質量部が好ましい。30質量部より多いと硬い皮膜になり使用感触が悪くなる場合がある。
【0033】
成分(B)で使用される含フッ素共重合体の重合方法は、特に限定されず、塊状重合、溶液重合、乳化重合、放射線重合などの種々の方法を選択できる。例えば、一般的には有機溶剤を用いた溶液重合や、有機溶剤と水を併用する乳化重合が選定される。また、重合後に水で希釈したり、乳化剤を加えて水に乳化することで処理液に調製される。具体的には、例えば、特開2000−290640号公報やWO2009/142047号パンフレットの共重合体の製造例として開示される方法で製造可能であるが、これに限定されるものではない。
【0034】
また、成分(B)の表面処理粉体に使用される表面処理剤は、溶液、エマルション又はエアゾールの形態であることが好ましい。このような表面処理剤は、成分(B)で使用される含フッ素共重合体及び媒体(例えば、有機溶媒及び水などの液状媒体)を含んでなる。このような表面処理剤において、含フッ素共重合体の濃度は、例えば、0.01〜50%とすることができる。
【0035】
成分(B)で使用される粉体粒子(表面処理される前の粉体)としては、化粧料に使用可能な粉体が選択される。無機粉体及び有機粉体の何れを選択してもよく、粉体の形状は粉末状でも繊維状でもよい。粒子径は1nm〜2000μm程度の範囲のもので化粧料に配合が可能であればよい。
【0036】
例えば、無機粉体としては、窒化硼素、セリサイト、天然マイカ、焼成マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、アルミナ、マイカ、タルク、ヘキ開タルク、カオリン、ベントナイト、スメクタイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化鉄、酸化イットリウム、酸化クロム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化クロム、紺青、群青、リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ストロンチウム、炭化ケイ素、フッ化マグネシウム、タングステン酸金属塩、アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、クロルヒドロキシアルミニウム、クレー、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、スピネル、ムライト、コージエライト、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ケイ素、ランタン、サマリウム、タンタル、テルビウム、コーロピウム、ネオジウム、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、シリコーンカーバイト、チタン酸コバルト、チタン酸バリウム、チタン酸鉄、リチウムコバルトチタネート、アルミン酸コバルト、アンチモン含有酸化スズ
スズ含有酸化インジウム、マグネタイト、アルミニウム粉、金粉、銀粉、白金粉、銅粉、貴金属コロイド、鉄粉、亜鉛粉、コバルトブルー、コバルトバイオレット、コバルトグリーン、低次酸化チタン、微粒子酸化チタン、バタフライ状硫酸バリウム、花びら状酸化亜鉛、テトラポット状酸化亜鉛、微粒子酸化亜鉛等が挙げられる。
【0037】
また、光輝性粉体としては酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆合成マイカ、酸化チタン被覆シリカ、酸化チタン被覆合成マイカ、酸化チタン被覆タルク、酸化亜鉛被覆シリカ、酸化チタン被覆着色雲母、ベンガラ被覆雲母チタン、ベンガラ・黒酸化鉄被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、・コンジョウ被覆雲母チタン、ベンガラ被覆雲母、酸化チタン被覆ホウケイ酸(ナトリウム/カルシウム)、酸化チタン被覆ホウケイ酸(カルシウム/アルミニウム)、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、アルミニウムパウダー、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等が挙げられる。さらに、ステンレスパウダー、トルマリン粉末、サファイアやルビー等の宝石を粉砕したパウダー、マンゴバイオレット、ガラスファイバー、カーボンファイバー、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、β−ウォラストナイト、ゾノライト、チタン酸カリウム繊維、硼酸アルミニウム繊維、塩基性硫酸マグネシウム繊維、窒化ケイ素繊維等が挙げられる。成分(B)が光輝性粉体を含む場合には、従来の含水粉末化粧料に比べて化粧持ち(経時での光輝性粉体の脱離)の面で特に優れた効果を得ることができる。これは、一般的に粒径が大きいために肌への付着が弱く、経時ではがれやすい光輝性粉体において、成分(B)の表面処理粉体が適度な親水撥水性を持つことにより、塗擦により液化した化粧料となじみが良くなり、光輝性粉体の肌への付着力を大幅に向上させることができるためである。その場合の好ましい配合量としては、含水粉末メイクアップ化粧料中に0.5〜20%程度である。
【0038】
有機粉体としては、例えば、金属石鹸、N−モノ長鎖アシル塩基性アミノ酸、アミドスルホン酸多価金属、塩琥珀パウダー、カーボンブラック、タール色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ペンゾグアナミンパウダー、ポリメチルペンゾグアナミンパウダー、PTFEパウダー、セルロースパウダー、シルクパウダー、シリコーンパウダー(KSP−100、KSP−101、KSP−102、KSP−105、KSP−300;信越化学工業社製、トレフィルE506S、E508、E505、E506、E701;東レ・ダウコーニング社製、トスパール2000B、150KA、120A、105、145A;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂パウダー、ナイロン繊維、ポリエステル繊維等の微結晶繊維粉体、澱粉粉末、CIピグメントイエロー、CIピグメントオレンジ等が挙げられる。タール色素としては赤色3号、赤色10号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等;天然色素としては、カルミン、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン、クロロフィル、β−カロチン、ベニバナパウダー等の天然色素等の粉体が挙げられる。
【0039】
なお、表面処理される前の粉体は、2種以上が複合化された粉体でもよい。例えば、マイカやパール顔料粒子表面に水酸化アルミニウムを複合化した粉体、やセリサイトやパール顔料表面にハイドロキシアパタイトと酸化亜鉛を複合化した粉体、微粒子酸化チタンと微粒子酸化亜鉛を分散混合した粉体、タルクと微細亜鉛華、微粒子酸化チタンを分散混合した粉体、タルクと酸化マグネシウム、微粒子酸化チタンを分散混合した粉体、タルクと微粒子酸化チタンを複合化した粉体等が挙げられる。
【0040】
また、表面処理される前の粉体の表面が、成分(B)で使用される含フッ素共重合体以外の表面処理剤で被覆されているものであっても良い。他の表面処理剤としては、例えばパーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロポリエーテルリン酸エステル、パーフルオロポリエーテルシラン、パーフルオロアルキルシラン等の含フッ素化合物、反応性オルガノポリシロキサン、アルキルシラン、ポリエーテル変性シラン、有機チタネート、ポリオレフィン、水添レシチン(塩の形態にあるものを含む。)、アシル化アミノ酸(塩又は組成物の形態にあるものを含む。)、酸性エステル油、脂肪酸(塩の形態にあるものを含む。)、デキストリン脂肪酸エステル、及びフラクトオリゴ糖脂肪酸エステル等の化合物である。さらには、本願発明の効果を損なわない範囲において、これらの化合物と含フッ素共重合体とを、複合的に表面処理してもよい。
【0041】
また、成分(B)の表面処理粉体は、表面処理剤と粉体粒子との親和性や固着性の向上を図るべく、例えばアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、セリウム、ケイ素、ジルコニウム、チタン、亜鉛、鉄、コバルト、マンガン、ニッケル及びスズ等の酸化物又は含水酸化物などの第3化合物を含有してもよい。その場合、これらの第3化合物は、表面処理剤で粉体粒子を表面処理する前にあらかじめ被覆してもよく、表面処理時に複合的に被覆してもよい。また、表面処理される前の粉体粒子の表面上で析出させてもよい。これら第3化合物の被覆量は、成分(B)で使用される含フッ素化合物の機能を、表面処理粉体により発現させ得るのに必要な最少量が好ましい。
【0042】
本発明に用いられる成分(B)の表面処理粉体において、粉体粒子への含フッ素共重合体の被覆量は、表面処理される粉体の化学組成やその粒子径、ポーラス性の有無、吸油量、吸水量、比表面積により異なるが、粉体粒子100質量部に対して、0.1〜40質量部であることが好ましい。より好ましくは0.5〜35重量部である。これより少ないと十分な被覆効果が得られず、これより多いと共重合体による粉体粒子の凝集が発生し、表面処理粉体の機能の低下や、化粧料に配合した場合の効果が不充分となる場合がある。
【0043】
また、成分(B)の表面処理粉体において、表面処理剤を粉体粒子に被覆する方法は特に制限なく、公知の方法で実施できる。表面処理方法は大別すると乾式法と湿式法がある。例えば、ヘンシルミキサーやボールミル、ジェットミル、ニーダー、プラネタリーミキサー、ポニーミキサー、サンドミル、アトライター、リボンブレンダー、ディスパーミキサー、ホモミキサー、エクストルーダー等の攪拌機や粉砕機、混合機、分散機を用いて本発明において使用する表面処理剤と粉体を一定時間混合接触することにより処理される。この時にメカノケミカル的な機械力、プラズマ、火炎、紫外線、電子線、過熱水蒸気、レーザー光、電磁波等のエネルギーを与えながら処理しても構わない。湿式法としては、水や溶剤、超臨界流体(水、CO2等)に粉体と表面処理剤を分散させ混合接触させてその後溶媒を蒸発させることより処理が可能である。
【0044】
また、成分(B)で使用される含フッ素共重合体と、他の化合物を複合的に表面処理する場合についても、前記含フッ素共重合体のみで表面処理する場合と同様に、粉体を、前記化合物を更に含む表面処理剤と混合接触させることにより表面処理することができる。また、複合的に表面処理する場合、含フッ素共重合体を先に被覆処理した後、他の表面処理剤を被覆する方法、含フッ素共重合体と他の表面処理剤を同時に被覆する方法、含フッ素共重合体以外の他の表面処理剤を先に被覆した後、含フッ素共重合体を被覆する方法等が挙げられる。
【0045】
好ましい被覆方法は、前記含フッ素共重合体のみで表面処理する場合及び複合的に表面処理する場合の何れにおいても、被覆される粉体粒子を予め空気中や液中でまたは他の粉体と共存下で分散した後被覆するか同時に被覆する方法である。具体的には、例えば、WO2009/142047号パンフレットで開示される方法で製造可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
成分(B)に使用される含フッ素共重合体は、その分子中に撥油性基と親水性基を有するため、表面処理粉体においては、粉体粒子表面より撥油性基のみを露出させると、撥水撥油性が発現する。一般に、撥油性を有する表面処理粉体において、化粧料製剤に配合される他の成分との優れた親和性や分散性を得るためには、親水撥油性が有利である。成分(B)の含フッ素共重合体は、被覆方法や被覆量をコントロールすることにより粉体粒子表面上に撥油性基と親水性基の両方を露出させることができ、これにより親水撥油性が発現する。
【0047】
本発明の含水粉末メイクアップ化粧料における成分(B)は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができ、その配合量は、1〜49.9%であり、好ましくは5〜30%である。1%より少ないと化粧膜の均一性や化粧持ち、保存安定性が劣る場合があり、49.9%より多くなると、きしみ感のない滑らかな伸び広がりや、みずみずしい感触が感じられない場合があり好ましくない。
【0048】
本発明に用いられる成分(C)の水は、みずみずしい使用感を奏するための成分であり、また、他の成分と組み合わせて配合することにより、きしみ感のない滑らかなのび広がりを発現するために配合するものである。
成分(C)の配合量は、成分(A)及び成分(B)の組成比及び配合量によって変動するが、50〜90%であり、好ましくは70〜90%である。50%未満もしくは、90%を超えて配合した場合、使用時、良好に粉末化することができず、きしみ感のない滑らかなのび広がりや、含水粉末メイクアップ化粧料に求められるみずみずしさが充分に得られず、好ましくない。
【0049】
更に、本発明の含水粉末メイクアップ化粧料には、成分(D)として、水性ゲル化剤を用いることができる。成分(D)の水性ゲル化剤は、成分(C)の水をゲル化して粘性を持たせることで、成分(C)の水をより安定に内包しやすくするため、含水粉末メイクアップ化粧料を製造する過程の高速剪断や凍結粉砕時において液化するのを防止する効果があり、含水粉末メイクアップ化粧料を製造し易くするとともに、保存安定性も上げるものである。成分(D)の水性ゲル化剤としては、例えば、寒天、グァーガム、ローカストビーンガム、クインスシードガム、ファーセレラン、カラギーナン、アルギン酸ソーダ、ジェランガム、デンプン、ペクチン、コンニャク粉等の植物系天然高分子、スクレロチウムガム等の微生物系天然高分子、ゼラチン等の動物系天然高分子、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等の半合成高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル(共)重合体等のカルボン酸ビニル(共)重合体、(メタ)アクリル酸(共)重合体、(メタ)アクリル酸ナトリウム(共)重合体等の親水性アクリル系ポリマー、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、含水ケイ酸アルミニウム、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、フッ素四ケイ素雲母等の水膨潤性粘土鉱物等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。これら成分(D)の水性ゲル化剤は、高速剪断や凍結粉砕時の粉砕のし易さや、保存安定性向上の観点より、寒天、ゼラチン、カラギーナン、ジェランガム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、スクレロチウムガムのように水に溶解させた場合、硬いゲルを形成するものが好ましい。
【0050】
なお、成分(D)の水性ゲル化剤は、必要に応じ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカリ物質で中和しゲル化させて用いることができる。この場合、成分(D)の水性ゲル化剤と前記アルカリ物質の質量比は、水性ゲル化剤の種類によっても異なるが、質量比で、概ね1:0.001〜1:1とすることが好ましい。
【0051】
本発明の含水粉末メイクアップ化粧料中の成分(D)の水溶性ゲル化剤の配合量は、水相成分をゲル化させるために十分な量であれば特に制限はなく、水性ゲル化剤の種類により異なるが、概ね0.005〜2%とすることが好ましい。
【0052】
更に、本発明の含水粉末メイクアップ化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記成分以外の各種成分、例えば、成分(A)、(B)以外の粉体、油剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、保湿剤、水性成分、美容成分、酸化防止剤、防腐剤、水溶性高分子、皮膜形成剤、褪色防止剤、消泡剤、香料などを各種の効果を付与するために適宜配合することができる。
【0053】
粉体としては、成分(A)、(B)以外で、通常化粧料に用いられるものであればよく、板状、紡錘状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級などの粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、雲母、合成雲母、合成セリサイト、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄処理雲母、酸化鉄処理雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、シリカ・酸化チタン被覆雲母、酸化チタン処理ガラス末、酸化鉄酸化チタン処理ガラス末、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン、ナイロン等の有機粉体類、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有シリカ、酸化亜鉛含有シリカ等の複合粉体、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。また、これら粉体は、成分(B)で使用される含フッ素共重合体以外のフッ素系油剤やシリコーン系油剤、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、金属石ケン、界面活性剤などの他のコーティング剤で前処理または同時に処理したものを組み合わせて使用することもできる。
【0054】
油剤としては、通常化粧料に用いられる油分であれば特に制約なく使用することができ、動物油、植物油、合成油等の起源や固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油ゲル化剤等を使用することができる。具体的には、流動パラフィン、重質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モクロウ、モンタンワックス、フィッシュトロプスワックス等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、ラノリン、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、ホホバ油、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル等のトリグリセライド、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレスレテロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル油類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ロジン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン油類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸、オクタン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリンなどの油ゲル化剤が挙げられる。
【0055】
界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であれば特に制約はなく、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が使用される。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、安息香酸系、ケイ皮酸系、サリチル酸系等の紫外線吸収剤や、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン等が挙げられ、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられる。
また、水性成分はモイスチャー効果を付与する目的で用いることができ、水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液等が挙げられる。
美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等が、酸化防止剤としては、例えば、α−トコフェロール、アスコルビン酸等が、防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等がそれぞれ挙げられる。
【0056】
本発明の含水粉末メイクアップ化粧料の製法は、特に限定されるわけではないが、例えば、成分(A)の疎水化シリカと成分(C)の水を混合処理して含水粉末化したものに、更に成分(B)を加え混合処理して、粉末化することにより製造することができる。また、成分(D)の水性ゲル化剤を用いる場合、成分(D)を成分(C)の水に溶解後、成分(A)の疎水化シリカと混合処理して含水粉末化したのち、成分(B)を加え混合処理して粉末化したり、あるいは、成分(D)を成分(C)の水に溶解したものを凍結粉砕した後、同様に粉末化することにより、製造することができる。このようにして製造された本発明の含水粉末メイクアップ化粧料は、アイシャドウ、チーク、白粉、口紅、ファンデーション、下地料等のメイクアップ化粧料とすることができ、特に、アイシャドウ、チーク、白粉として好適である。
【実施例】
【0057】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0058】
[表面処理剤の製造]
処理粉体において使用する含フッ素共重合体の参考製造例を以下に示す。
(共重合体製造例1)
還流冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えた100ml四つ口フラスコに、含フッ素モノマーCH=C(H)COO−CHCH13(以下「C6FA」と記す)を18.6g、ポリエチレングリコールアクリレートCH=C(H)COO−(CHCHO)−H(BLEMMER AE90 日油株式会社製 nの平均値は2.0、以下)を11.4gとメチルエチルケトン(以下「MEK」と記す)を45g仕込んで、30分間窒素バブリングした。窒素気流下で内温を50〜65℃に昇温後、重合開始剤であるパーブチルPV(以下「PV」と記す)を0.4g添加し、60〜65℃で6時間反応させた。得られた溶液を減圧条件下にて約70℃でMEKを留去、淡黄色ポリマー残渣を得た後、精製水を添加し、内温を約80℃で1時間以上保った後、冷却して固形分濃度が20%の水分散液を調製した。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のGPC測定にて18200であった。
【0059】
(共重合体製造例2)
還流冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えた100ml四つ口フラスコに、含フッ素モノマーC6FAを18.6g、ヒドロキシエチルアクリレート(東京化成工業社製、以下「HEA」と記す)を2.5g、ポリエチレングリコールアクリレートCH=C(H)COO−(CHCHO)−H(BLEMMER AE200 日油株式会社製 nの平均値は4.5、以下「AE200」と記す)を8.0g、ポリエチレングリコールジアクリレートCH=C(H)COO−(CHCHO)−CO−CH=CH(BLEMMER ADE300 日油株式会社製 nの平均値は7.0、以下「ADE300」と記す)を0.9gとイソプロピルアルコール(以下「IPA」と記す)を45g仕込んで、30分間窒素バブリングした。窒素気流下で内温を50〜65℃に昇温後、PVを0.4g添加し、60〜65℃で6時間反応させた。得られた溶液を減圧条件下にて70℃でIPAを除去し、淡黄色ポリマーを得た。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のGPC測定にて16280であった。
【0060】
(共重合体製造例3)
還流冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えた100ml四つ口フラスコに、含フッ素モノマーC6FAを18.6g、HEAを3.5g、AE200を7.2g、ADE300を0.7gとIPAを45g仕込んで、共重合体製造例2と同様の重合反応を行い、固形分濃度が約40%のIPA溶液を調整した。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のGPC測定にて17200であった。
【0061】
[表面処理粉体の製造]
(製造例1)
タルクJA−46R(浅田製粉社)100gを高速混合機に仕込み、共重合体製造例1の共重合体を固形分で4.0gとIPAと水の混合物(50:50wt%)50gを加えて30分間混練した。混合物を80℃で3時間乾燥後、更に110℃で10時間乾燥した。アトマイザー粉砕して含フッ素共重合体(4%)処理タルクを得た。
【0062】
(製造例2)
酸化チタンCR−50(石原産業社製)100gに共重合体製造例2の含フッ素共重合体を固形分で3.0gとなるようにIPAにて希釈し、加えた。ミキサーで15分間混合後、250℃の加熱水蒸気を導入し、ミキサー内が200℃に達した時点で攪拌を止め、含フッ素共重合体(3%)処理酸化チタンを得た。
【0063】
(製造例3)
製造例1記載の方法と同様に、イエローLL−100P(チタン工業社製)100gと共重合体製造例3の含フッ素共重合体を固形分で5.0g混合し、含フッ素共重合体(5%)処理黄酸化鉄を得た。
【0064】
(製造例4)
製造例1記載の方法と同様に、レッドR−516PS(チタン工業社製)100gと共重合体製造例3の含フッ素共重合体を固形分で4.0g混合し、含フッ素共重合体(4%)処理赤酸化鉄を得た。
【0065】
(製造例5)
製造例1記載の方法と同様に、ブラックBL−100P(チタン工業社製)100gと共重合体製造例3の含フッ素共重合体を固形分で2.0g混合し、含フッ素共重合体(2%)処理黒酸化鉄を得た。
【0066】
(製造例6)
製造例1記載の方法と同様に、ティミロンスターラスターMP−115(メルク社製)100gと共重合体製造例3の含フッ素共重合体を固形分で5.0g混合し、含フッ素共重合体(5%)処理雲母チタンを得た。
【0067】
(製造例7)
製造例1記載の方法と同様に、メタシャイン1080RC−S(日本板硝子社製)100gとポリマー製造例3の含フッ素化合物を固形分で3.0g混合し、含フッ素共重合体(3%)処理酸化チタン被覆ガラス末を得た。
【0068】
(製造例8)
製造例1記載の方法と同様に、オーロラフレーク(角八魚燐箔製)100gとポリマー製造例3の含フッ素化合物を固形分で5.0g混合し、含フッ素共重合体(5%)処理ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末を得た。
【0069】
[含水粉末メイクアップ化粧料の製造]
(実施例1〜6及び比較例1〜8) 粉白粉
表1に示す処方及び下記に示す製造方法により、粉白粉を製造した。得られた各試料について、(イ)液化性、(ロ)きしみ感のなさ(のび広がりの滑らかさ)、(ハ)化粧持ち、(ニ)塗膜の発色性、(ホ)塗膜の均一性、(ヘ)保存安定性をそれぞれ下記方法で評価し、結果も併せて表1に示した。
【0070】
【表1】

【0071】
*1 ジメチルポリシロキサン(3%)処理
イソプロピルアルコールに各粉体及びジメチルポリシロキサン(シリコン KF−96(100CS)(信越化学工業社製)を加え(処理粉体全量中3%)混合した後、イソプロピルアルコールを減圧除去し、粉砕して得た。
*2 パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩(5%)処理
水中に各粉体を加えスラリー状態とし、そこにパーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩(アサヒガードAG530(旭硝子社製))の水分散物を徐々に加え(処理粉体全量中5%)混合した後、室温で静置し、パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩処理を行った後、粉砕して得た。
*3 CAB−O−SIL TS−530(キャボット社製:比表面積225±25m/g)
*4 ウルトラ寒天 AX−100CS(伊那食品工業社製)
【0072】
(製造方法)
A:成分(1)〜(25)混合粉砕する。
B:成分(27)〜(30)を70℃で加熱し均一に溶解する。
C:AとB及び成分(26)を70℃で混合し、冷却後メッシュ中蓋付き容器に充填し、粉白粉とする。
【0073】
(評価方法1)
(イ)液化性
(ロ)きしみ感のなさ(のび広がりの滑らかさ)
(ハ)化粧持ち
(ニ)塗膜の発色性
(ホ)塗膜の均一性
専門パネル20名に化粧用スポンジで顔に塗布してもらい、その際の、(イ)液化性(粉末状から液状にスムーズに変化するか否か)、(ロ)きしみ感のなさ(のび広がりの滑らかさ)、(ハ)化粧持ち(4時間後の化粧膜の持続性)、(ニ)塗膜の発色性、(ホ)塗膜の均一性について、パネル各人に下記評価基準にて5段階に評価してもらい、その評点から試料毎にパネル全員の評点の平均値を算出し、それをさらに下記4段階判定基準により判定した。
<評価基準>
(評点):(評価)
5:非常に良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:非常に悪い
<判定基準>
(判定): (評点平均値)
◎ : 4.5点を超える
○ : 3点を超えて4.5点以下
△ : 2点を超えて3点以下
× : 2点以下
【0074】
(評価方法2)
(ヘ)保存安定性
各試料(10g)を透明なPET樹脂ボトル(OPT−60 No.1(N)TAKEMOTO社製)に充填し、30℃ 8000lxの露光条件下で7日間保存後の状態を観察し、下記4段階判定基準により判定した。
<4段階判定基準>
(評価) (判定)
◎(非常に良い):水滴の発生が認められない
○(良い) :容器内壁に若干水滴が発生し粉が付着した
△(悪い) :容器内壁に大きな水滴が発生した
×(非常に悪い):粉末状態が保てず、離水(容器の底に水が溜まる)した
【0075】
表1に結果から明らかなごとく、本発明の実施例1〜6は、使用時にスムーズに液化し、きしみ感がなく滑らかにのび広がり、化粧持ち、塗布膜の発色性、均一性、露光条件下での保存安定性に優れるものであった。
一方、成分(A)の疎水化シリカが配合されていない比較例1は、水を内包できないため、水と粉が混在したような凝集状態であり、塗擦により粉末状から液状に変化することが特徴である含水粉末化粧料になっていなかった。逆に、成分(A)の疎水化シリカの量が多い比較例2では、使用時、塗擦してもスムーズに液化せず、疎水化シリカ特有のきしみ感があって、のび広がりが悪く、みずみずしさの感じられないものであった。
また、成分(B)の処理粉体の効果について検討した比較例3〜6のうち、成分(B)の量が多い比較例3は、使用時塗擦してもスムーズに液化せず、きしみ感もあり、また、みずみずしさの感じられないものであった。成分(B)の代わりに未処理の粉体を用いた比較例4は、撥水性に欠けるため粉末化が充分に行なわれず、スムーズな液化もしにくく、のび広がりの滑らかさにも欠け、露光条件下での保存安定性の悪いものであった。同様に、成分(B)の代わりに、ジメチルポリシロキサンで疎水化処理した粉体を用いた比較例5は、処理粉体の撥水性がまだ不充分で粉末化が充分にできなかった。また、塗擦時の粉から水への変化が小さいため、液化性を実感するには不充分であり、化粧持ちも充分ではなかった。さらに、成分(B)の代わりに、撥水撥油性のパーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩で処理した粉体を用いた比較例6は、発色性もあり、露光条件下での保存安定も良好なものの、撥水効果が高すぎて、塗布時に却って液化しにくく、液化した際にもその水とのなじみが悪いため、均一な塗膜にならず、経時でのパール剤やラメ剤の脱離が目立った。
さらにまた、成分(C)の水に関しては、配合量が少なく粉体の総量が多い比較例7は、使用時、液化しにくく、きしんで、のび広がりの悪いものであった。逆に成分(C)の水の量が多い比較例8は、水の量が多過ぎて水を内包して粉末状になり得ず、水が外相にも存在する全体的に湿った感じの粉状のものであった。
【0076】
(実施例7) 頬紅
(成分) (%)
1.(製造例1)の処理タルク 10
2.(製造例7)の処理酸化チタン被覆ガラス末 5
3.ベンガラ被覆雲母チタン 3
4.メチルハイドロジェンポリシロキサン処理ベンガラ *6 1
5.メチルハイドロジェンポリシロキサン処理黄酸化鉄 *6 0.5
6.ジメチルシロキシル化シリカ *7 1.5
7.トリメチルシロキシル化シリカ *4 2.5
8.キャンデリラロウ 0.5
9.ミネラルオイル 3
10.1,3−ブチレングリコール 1.5
11.精製水 71.5
*6 メチルハイドロジェンポリシロキサン(1.5%)処理
イソプロピルアルコールに各粉体及びジメチルポリシロキサン(シリコン KF−99P(信越化学工業社製))を加え(処理粉体全量中1.5%)、120℃で2時間焼付け処理を行った後、粉砕して得た。
*7 AEROSIL R−972(日本アエロジル社製)
【0077】
(製造方法)
A:成分1〜5を混合粉砕する。
B:成分8と9を90℃で加熱溶解後、Aと混合攪拌する。
C:Bに成分6と7を混合する。
D:Cに成分10と11を混合攪拌し、容器に充填し頬紅とする。
【0078】
実施例7の頬紅について、上記実施例1〜6と同様の方法で評価を行った結果、実施例7は使用時、きしみ感のない滑らかで自然なのび広がりで、塗膜の発色性、均一性、化粧持ち、保存安定性に優れた頬紅であった。
【0079】
(実施例8) ファンデーション
(成分) (%)
1.(製造例1)の処理タルク 2
2.(製造例2)の処理酸化チタン 8
3.(製造例3)の処理黄酸化鉄 2
4.(製造例4)の処理赤酸化鉄 0.8
5.(製造例5)の処理黒酸化鉄 0.2
6.ポリメタクリル酸メチル末 5
7.トリメチルシロキシル化シリカ *4 5
8.寒天末 *5 1.5
9.ローカストビーンガム・白糖混合物 *8 0.1
10.1,3−ブチレングリコール 10
11.精製水 70.4
*8 GENU GUM TYPE RL−200J(CPケルコ社)
【0080】
(製造方法)
A:成分1〜6を混合粉砕する。
B:成分7をAに加え混合攪拌する。
C:成分8〜11を70℃で加熱して混合溶解する。
D:BにCを混合攪拌し、容器に充填し、ファンデーションとする。
【0081】
実施例8のファンデーションについて、上記実施例1〜6と同様の方法で評価を行った結果、実施例8は使用時、液化し易く、きしみ感のない滑らかなのび広がりで、塗膜の発色性、均一性、化粧持ち、保存安定性に優れたファンデーションであった。
【0082】
(実施例9) アイカラー
(成分) (%)
1.(製造例1)の処理タルク 1
2.(製造例3)の処理黄酸化鉄 2
3.(製造例4)の処理赤酸化鉄 1
4.(製造例6)の処理雲母チタン 8
5.(製造例8)の理ポリエチレンテレフタレート・
ポリメチルメタクリレート積層フィルム末 4
6.架橋型ジメチルポリシロキサン重合物 *9 1
7.ジメチルシロキシル化シリカ *7 2
8.寒天末 *5 1
9.カラギーナン *10 0.2
10.グリセリン 3
11.ジプロピレングリコール 6
12.精製水 70.8
*9 KSP−101(信越化学工業社製)
*10 カラギーナンJ(旭東化学産業社製)
【0083】
(製造方法)
A:成分1〜5を混合粉砕する。
B:成分6、7をAに加え、均一に混合攪拌する。
C:成分8〜12を70℃で加熱溶解する。
D:Cを液体窒素で−80℃に冷却し、凍結粉砕して水性ゲルの粉末状物とする。
E:BにDを混合攪拌し、容器に充填し、アイカラーとする。
【0084】
実施例9のアイカラーについて、上記実施例1〜6と同様の方法で評価を行った結果、実施例9は使用時、良好に液化し、きしみ感がなく滑らかにのび広がり、塗膜の発色性、均一性、化粧持ちに優れ、保存安定性も良好なアイカラーであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(C);
(A)表面積80m/g以上の疎水化シリカ
(B)粉体粒子の表面を特定の表面処理剤で被覆した表面処理粉体であって、前記表面処理剤が、下記一般式(1)で表される含フッ素単量体(a)、下記一般式(2)で表されるアルコキシ基含有単量体(b)とを必須に含む単量体を共重合して得られる含フッ素共重合体である表面処理粉体
CH=C(−X)−CO−Y−[−(CH−Z−]−(CH−Rf (1)
[式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、それぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、置換又は非置換のベンジル基、置換又は非置換のフェニル基であり;Yは、−O−又は−NH−であり;Zは、直接結合、−S−又は−SO−であり;Rfは、炭素数1〜6のフルオロアルキル基であり;mは1〜10、nは0〜10、pは0又は1である。]
CH=C(R)−COO−(RO)−R (2)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基であり;Rは、水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基;Rは、水素原子または炭素数1〜22の不飽和または飽和の炭化水素基であり;qは、1〜50の整数である。]
(C)水
を配合し、塗擦により液化することを特徴とする含水粉末メイクアップ化粧料であって、成分(A)が0.1〜7質量%、成分(B)が1〜49.9質量%、成分(C)が50〜90質量%である含水粉末メイクアップ化粧料。
【請求項2】
更に成分(D)として、水性ゲル化剤を配合することを特徴とする請求項1記載の含水粉末メイクアップ化粧料。
【請求項3】
成分(B)が光輝性粉体の1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の含水粉末メイクアップ化粧料。

【公開番号】特開2011−225559(P2011−225559A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77850(P2011−77850)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】