説明

含水粘着剤、貼付剤及び含水粘着剤の製造方法

【課題】高含水率、高粘着性、高保形性であって、冷却効果の持続に優れた含水粘着剤、それを使用した貼り付け剤、および含水粘着剤の製造方法を提供する。
【解決手段】水溶性高分子化合物を含有する粘着基剤相と、この粘着基剤相中に分散された高吸水性樹脂化合物の含水物相とを備えた含水粘着剤、この粘着剤と支持体とを備えた貼り付け剤、及び(1)高吸水性樹脂化合物を水で静置膨潤させ、含水物を調整する工程、(2)水溶性高分子化合物と、水又は多価アルコールとを混合し粘着基材を調整する工程、(3)(1)で得られた含水物と(2)で得られた粘着基材とを混合・攪拌する工程よりなる製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着基剤相と、この粘着基剤相中に分散された高吸水性樹脂化合物の含水物相とを備えた含水粘着剤、貼付剤及び含水粘着剤の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
含水粘着剤としては、冷却効果を有するもの、薬物を有するもの等が提案され、様々な組成からなるものが提案されており、水溶性高分子化合物を組み合わせた含水組成物が用いられている。中でも、高吸水性樹脂化合物を含むものは水分保持能が高く、ある程度の高含水粘着剤が得られ、良好な冷却感を有するものが得られるが、粘着性の点で限界があり、また保形性の向上が求められていた。また、含水粘着剤における冷却効果の持続性についても、さらなる向上が求められていた。
【0003】
【特許文献1】特開2001−122772号公報
【特許文献2】特開2002−136587号公報
【特許文献3】特開2005−225805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、高含水率、高粘着性、高保形性であって、冷却効果の持続性に優れた含水粘着剤、それを使用した貼付剤、及び含水粘着剤の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、予め高吸水性樹脂化合物を水に膨潤させ、高吸水性樹脂化合物の含水物を形成させ、この含水物を、水溶性高分子化合物を含有する粘着基剤相中に分散させた含水粘着剤とすることで、含水粘着基剤相中にこれよりも高含水の高吸水性樹脂化合物の含水物が偏在された構成となり、高含水率及び高粘着性でありながら良好な保形性が得られ、冷却効果の持続性が向上することを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0006】
従って、下記発明を提供する。
[1].水溶性高分子化合物を含有する粘着基剤相と、この粘着基剤相中に分散された高吸水性樹脂化合物の含水物相とを備えた含水粘着剤。
[2].粘着基剤相の含水率が30〜90質量%であり、高吸水性樹脂化合物の含水物相の含水率が91〜98質量%である[1]記載の含水粘着剤。
[3].高吸水性樹脂化合物の配合量が、0.1〜10質量%である[1]又は[2]記載の含水粘着剤。
[4].高吸水性樹脂化合物がノニオン系高吸水性樹脂化合物である[1]〜[3]のいずれかに記載の含水粘着剤。
[5].[1]〜[4]のいずれかに記載の含水粘着剤と、支持体とを備えた貼付剤。
[6].下記(1)〜(3)の工程を含む[1]記載の含水粘着剤の製造方法。
(1)高吸水性樹脂化合物を水で静置膨潤させ、高吸水性樹脂化合物の含水物を調製する工程。
(2)水溶性高分子化合物と、水又は多価アルコールとを混合し、粘着基剤を調製する工程。
(3)(1)で得られた高吸水性樹脂化合物の含水物と、(2)で得られた粘着基剤とを混合・撹拌する工程。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高含水率、高粘着性、高保形性であって、冷却効果の持続性に優れた含水粘着剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の含水粘着剤は、水溶性高分子化合物を含有する粘着基剤相と、この粘着基剤相中に分散された高吸水性樹脂化合物の含水物相とを備えた含水粘着剤である。
【0009】
<高吸水性樹脂化合物の含水物相>
含水物相を形成する高吸水性樹脂化合物とは、自重の10倍以上(10〜50倍、大きいものでは100倍以上)の水を吸水して膨潤又はゲル化する性質を有する高吸水性樹脂化合物をいう。なお、化合物の吸水倍率は、下記測定方法によって得ることができる。
【0010】
[吸水倍率測定法]
JIS K7223−1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法;ティーバック法」に準拠して、脱イオン水を用いて吸水量を測定した。
【0011】
本発明の高吸水性樹脂化合物は、上述したように自重の10倍以上の水を吸水し、ゲル化や膨潤する高吸水性樹脂化合物であり、より好ましくは自重の10〜1000倍、特に20〜100倍の水を吸水等する高分子化合物であればより好適である。吸水倍率が10倍未満であると、十分な保水効果が得られない。
【0012】
本発明の高吸水性樹脂化合物は上記を満たすものであれば特に限定されず、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。高吸水性樹脂化合物としては、例えば、ポリアルキレンオキサイド系樹脂、N−ビニルアセトアミド架橋体、アクリルアミド架橋体、デンプン・アクリル酸塩グラフト共重合体架橋物、架橋ポリアクリル酸塩等が挙げられるが、ポリアルキレンオキサイド系樹脂等のノニオン系高吸水性樹脂化合物が好ましい。
【0013】
より具体的には、例えば、アクアコーク(住友精化製)、ノニオレックスNA−010、ノニオレックスNA−150、ノニオレックスNA−500(昭和電工製)、サンフレッシュAT−35(三洋化成製)、サンウエットIM−1000(三洋化成製、吸水能:自重800倍)等を使用することができる。この中でも、ノニオン系高吸水性樹脂化合物であるアクアコーク(住友精化製)が好ましい。
【0014】
含水物に用いる高吸水性樹脂化合物は、1mm以上(1mmの篩通過が10質量%未満)である高吸水性樹脂化合物(ペレット)を用いることが好ましく、1〜10mm(1mmの篩通過が10質量%未満で10mmの篩onが20質量%未満)のものがより好ましく、1〜5mmがさらに好ましい。
【0015】
分散前の高吸水性樹脂化合物ペレットの含水物は、高吸水性樹脂化合物ペレットを水中に入れて静置し、吸水により膨潤させることにより得ることができる。含水物は保形性のあるゼリー状で、その含水率は90質量%以上が好ましく、91〜98質量%がより好ましく、95〜97質量%がさらに好ましい。
【0016】
高吸水性樹脂化合物の配合量は、高吸水性樹脂化合物(固形分)として、含水粘着剤全量に対して0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜4.0質量%がより好ましく、0.5〜1.0質量%がさらに好ましい。配合量が少なすぎると保形性が不十分となるおそれがあり、多すぎると製造性の低下や粘着力の低下につながるおそれがある。
【0017】
本発明の保形性ゼリー状の含水物は、粘着基剤相に添加され、撹拌することにより破砕され、含水粘着剤中に分散される。分散された含水物の体積は、通常1〜30mm3の範囲であることが好ましい。ただし、長さは最大4mmが好ましい。なお、体積の測定方法は、3Dレーザー顕微鏡により行う。
【0018】
<粘着基剤相>
粘着基剤相を形成する粘着基剤は水溶性高分子化合物を1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。水溶性高分子化合物としては、ポリアクリル酸又はポリアクリル酸ナトリウム等のポリアクリル酸類、ポリアクリル酸が一部架橋したカルボキシビニルポリマー、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース又はその塩、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、アラビヤガム、トラガントガム、カラヤガム、無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。本発明においては、ポリアクリル酸又はその塩、カルボキシメチルセルロース又はその塩が好ましい。なお、本発明において水溶性とは、1質量%の濃度で水に溶解させた場合に透明となることをさす。
【0019】
水溶性高分子化合物の配合量は、選択する高分子化合物の種類やその重合度により適宜選定することができるが、通常、含水粘着剤全量に対して固形分として1〜20質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましく、7〜20質量%がさらに好ましい。配合量が少なすぎると凝集力が不十分となるおそれがあり、多すぎると粘度が高くなりすぎて製造性の低下につながるおそれがある。
【0020】
また、上記高吸水性樹脂化合物を、粘着基剤相に配合することもできる。ただし、この場合は、粘着基剤相に均一に存在させる必要があり、1mm未満、好ましくは500μm未満の粉末高吸水性樹脂化合物を使用し、十分混合撹拌させながら、配合する。
【0021】
粘着基剤相には、上記成分の他に本発明の効果を損なわない範囲で、含水粘着剤(膏体)に用いられている各種成分を使用することができ、例えば、硬化剤、硬化調整剤、鉱物性粉末、香料、色素、防腐剤及び水等が挙げられる。
【0022】
硬化剤としては、その種類は特に制限されず、膏体に使用されているものを使用することができる。例えば、カリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン、鉄ミョウバン等のミョウバン類、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、酸化アルミニウム、含ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、酸化カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。展延工程において、含水粘着剤(膏体)を均一に塗布する点から、即効的に作用するものよりも徐々に作用するものが好ましく、このような硬化剤として、例えば、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート等が好ましい。
【0023】
硬化剤の配合量は、その種類や併用する上記水溶性高分子化合物の種類等により適宜選定することができるが、通常、含水粘着剤全量に対して0.005〜3質量%であり、好ましくは0.03〜1質量%である。配合量が少なすぎると配合による効果が十分に得らないおそれがあり、多すぎると硬化速度を調整することが困難となるおそれがある。
【0024】
上記硬化剤による硬化を調整する硬化調整剤としては、その種類は特に制限されず、従来より、含水粘着剤(膏体)に使用されているものを使用することができ、このような硬化調整剤として、例えばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、エデト酸二ナトリウム(EDTA−2Na)等を挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。硬化調整剤の配合量は、適宜選定することができるが、通常、含水粘着剤全量に対して0.001〜5質量%が好適である。配合量が少なすぎると配合による効果が十分に得られないおそれがあり、多すぎると硬化速度を調整することが困難となるおそれがある。
【0025】
鉱物性粉末としては、その種類は特に制限されず、従来より、含水粘着剤(膏体)に使用されているものを使用することができ、このような鉱物性粉末として、例えば、カオリン、ベントナイト、モンモリトナイト、酸化亜鉛、酸化チタン、無水ケイ酸等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。鉱物性粉末の配合量は、適宜選定することができるが、通常、含水粘着剤全量に対して5質量%程度が好適である。多すぎると展延できなくなる程膏体硬度が硬くなるおそれがある。
【0026】
香料としては、その種類は特に限定されず、従来より、貼付剤の香料として使用されているものを使用することができ、このような香料として、例えば、アニス、アンジェリカ、安息香、イモーテル、カモミール、ガーリック、カルダモン、ガルバナム、キャラウェイ、キャロットシード、グアアックウッド、グレープフルーツ、サイプレス、サンダルウッド、シダーウッド、ジュニパー、スターアニス、セージ、ゼラニウム、セロリ、タイム、タラゴン、テレビン、トウヒ、乳香、バイオレット、ハッカ、マジョラム、ウイキョウ、クラリセージ、パイン、パセリ、バーチ、パチュリー、バラ、ヒソップ、フェンネル、ブラックペッパー、ボダイジュ花、没薬、ヤロウ、レモン、レモングラス、ローズマリー、ローレル、シモツケギク、モモ、ヤグルマギク、ユーカリ、ユズ、ラベンダー等のハーブ系製油類又はエキス類、その他、低級アルコール類、アルデヒド類等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。香料の配合量は、適宜選定することができるが、通常、含水粘着剤全量に対して0.0001〜1質量%程度が好適である。配合量が少なすぎると配合による効果が十分に得られず、多すぎると皮膚刺激を発生するおそれがある。
【0027】
色素としては、その種類は特に限定されず、従来より、含水粘着剤(膏体)に使用されているものを使用することができ、このような色素として、例えば赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色213号、赤色214号、赤色215号、赤色218号、赤色219号、赤色220号、赤色221号、赤色223号、赤色225号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号の(1)、赤色230号の(2)、赤色231号、赤色232号、赤色401号、赤色404号、赤色405号、赤色501号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色505号、赤色506号、黄色4号、黄色5号、黄色201号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、黄色204号、黄色205号、黄色401号、黄色402号、黄色403号の(1)、黄色404号、黄色405号、黄色406号、黄色407号、緑色3号、緑色201号、緑色202号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、青色1号、青色2号、青色201号、青色202号、青色203号、青色204号、青色205号、青色401号、青色403号、青色404号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、橙色206号、橙色207号、橙色401号、橙色402号、橙色403号、褐色201号、紫色201号、紫色401号、黒色401号等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。色素の配合量は、適宜選定することができるが、通常、含水粘着剤全量に対して0.00005〜0.1質量%であり、0.0001〜0.01質量%程度が好適である。配合量が少なすぎると配合による効果が十分に得られないおそれがあり、多すぎると色調が強くなりすぎるおそれがある。なお、色素を粘着基剤に配合する場合、含水粘着剤を展延した際に色素の濃淡や斑点が生じないように、色素を水、油脂、アルコール等に溶かした後に、他成分と練合することが好ましい。
【0028】
防腐剤としては、メチルパラベン、プロピルパラベン等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0029】
本発明の粘着基剤には、上記成分に加えてさらに薬効成分が配合されていると、特に効果的である。配合できる薬効成分としては、その種類は特に限定されず、例えば、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、インドメタシン、ケトプロフェン、フェルビナク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ジクロフェナックナトリウム、メフェナム酸とその誘導体、フルフェナム酸とその誘導体、ブフェキサマック、イブフェナック、アルクロフェナック、プレドニゾロン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、l−メントール、dl−カンフル等の清涼化剤、クロタミトン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、チモール、酢酸トコフェロール、ノニル酸ワニリルアミド、ナプロキセン、ピロキシカム、カプサイシン、さらにはオオバク等の生薬末、トウガラシエキス等の生薬軟エキス、オオバク乾燥エキス等の生薬乾燥エキス、センブリ流エキス等の生薬流エキス、アルニカチンキ等の生薬チンキ、ハッカ油、ケイ皮油等の精油等が挙げられるが、本発明の目的からすると、これらの中でも、特に揮散し易いサリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、l−メントール、dl−カンフル、チモール等が配合されている場合に、有用である。上記薬効成分は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができ、その配合量は、適宜選定することができるが、通常、含水粘着剤全量に対して0.01〜20質量%が好ましい。配合量が少なすぎると配合による効果が十分に得られず、多すぎると皮膚刺激を起こすおそれがある。
【0030】
本発明の粘着基剤相には、本発明の効果を損なわない範囲で上記成分に加えて、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール(保湿剤)、ポリソルベート80(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の界面活性剤(乳化剤)等を適宜量配合することができる。
【0031】
粘着基剤相の含水率は30〜90質量%が好ましく、40〜87質量%がより好ましく、60〜87質量%がさらに好ましい。
【0032】
<含水粘着剤>
本発明の含水粘着剤は、上記水溶性高分子化合物を含有する粘着基剤相と、この粘着基剤相中に分散された高吸水性樹脂化合物の含水物相とを備えたものである。高吸水性樹脂化合物が不均一となり、含水粘着剤中に高吸水性樹脂化合物が偏在している。これに対し、含水粘着剤中に高吸水性樹脂化合物が均一に分散されている場合は、高含水率及び高粘着性でありながら、保形性が向上し、かつ冷却効果の持続性が向上するという効果が劣る。
【0033】
粘着基剤相と含水物相とを備えた含水粘着剤全体としての含水率は、含水粘着剤全量に対して74〜90質量%が好ましく、80〜90質量%がより好ましい。水の含有率が少なすぎると十分な冷却効果が得られず、多すぎると含水粘着剤のダレや裏ジミが起こり易い。上述したように、高吸水性樹脂化合物の含水物相の含水率は91〜98質量%が好ましく、より好ましくは95〜97質量%であり、粘着基剤相の含水率は30〜90質量%が好ましく、40〜87質量%がより好ましく、60〜87質量%がさらに好ましい。このように、高い含水率の高吸水性樹脂化合物の含水物相が、これより低い含水率の粘着基剤相に分散していることにより、含水粘着剤中の水分率を不均一とすることが好ましい。
【0034】
含水粘着剤の製造方法としては、下記(1)〜(3)の工程を含むものが挙げられる。
(1)高吸水性樹脂化合物を水で静置膨潤させ、高吸水性樹脂化合物の含水物を調製する工程。
(2)水溶性高分子化合物と、水又は多価アルコールとを混合し、粘着基剤を調製する工程。
(3)(1)で得られた高吸水性樹脂化合物の含水物と、(2)で得られた粘着基剤とを混合・撹拌する工程。
【0035】
(1)高吸水性樹脂化合物を水で静置膨潤させ、高吸水性樹脂化合物の含水物を調製する工程。
高吸水性樹脂化合物を水中に入れ、静置して膨潤させ、高吸水性樹脂化合物の含水物(保形性があるゼリー状)を調製する。体積変化が見られなくなった場合が飽和の状態である。高吸水性樹脂化合物と水との混合比率は、上記含水物相の好適な含水率となるように膨潤時間等を適宜調整すればよい。
【0036】
(2)水溶性高分子化合物と、水又は多価アルコールとを混合し、粘着基剤を調製する工程。
公知の含水系粘着剤の製造方法で行なえばよい。例えば、水に水溶性高分子化合物、必要に応じて、硬化剤を除くその他の添加剤、薬物を撹拌しながら順次添加し、その後、必要に応じて硬化剤を加えて架橋させる。なお、粉末高吸水性樹脂化合物を粘着基剤相に配合する場合は、水溶性高分子化合物と共に配合してもよく、予め水に添加し撹拌し膨潤させておき、粉末高吸水性樹脂化合物を添加してもよい。撹拌は、粉末高吸水性樹脂化合物が均一に分散された液となるまで行なう。粉末高吸水性樹脂化合物の一部を予め分けておき、最後に加えてもよい。
【0037】
(3)(1)の高吸水性樹脂化合物の含水物と、(2)粘着基剤(又はその中間体)とを混合・撹拌する工程。
(1)含水物を(2)粘着基剤に添加・撹拌することにより、粘着基剤(又はその中間体)相中で含水物が破砕される。粘着基剤に硬化剤を使用する場合は、硬化剤を添加する前に添加しても後でもよい。ゼリー状の高吸水性樹脂化合物の含水物と(硬化剤を加えて)増粘した粘着基剤とを混合・撹拌することにより、高吸水性樹脂化合物の含水物の破砕がより促進される。撹拌速度は、ヘンシェルミキサーの場合、100〜2000が好ましく、100〜500rpmがより好ましい。ブレンダーの場合、10000〜30000rpmが好ましく、20000〜25000rpmがより好ましい。ハンドミキサーの場合、1000〜4000rpmが好ましく、2000〜3000rpmがより好ましい。プラネタリーミキサー、リボンミキサー、ポニーミキサーの場合、5〜100rpmが好ましく、15〜60rpmがより好ましい。撹拌時間は、1〜10分が好ましく、2〜5分がより好ましい。なお、ポリアクリル酸を最後に添加することにより、ゲルの硬化速度を調整し、膏体の均一な展延がしやすくなる。
【0038】
本発明は、(1)の静置膨潤させた保形性のあるゼリー状含水物を(2)の粘着基剤とは別に調製することが重要であり、例えば、高吸水性樹脂化合物を撹拌しながら水で膨潤させたものに、水溶性高分子化合物を添加する製造方法や、高吸水性樹脂化合物及び水溶性高分子化合物を予め乾式混合して、これを水と混合する方法では、含水粘着剤中に高吸水性樹脂化合物が均一に存在し、本発明の構成をとることができない。
【0039】
粘着基剤相に配合される任意成分の添加は、上記(2)工程の前、(3)工程の前後いずれでもよく、成分を水又は多価アルコール等の溶媒で溶解又は分散させたものを添加してもよい。
【0040】
本発明の含水粘着剤のゲル強度は、保形性を担保する点から、25.0以上が好ましく、より好ましくは28.0以上である。
【0041】
本発明の含水粘着剤は、その用途、剤型が特に制限されるものではないが、上記含水粘着剤を支持体に展延して、含水粘着剤と、支持体とを備えた貼付剤として好適である。貼付剤としては、冷却シート剤、フットケアシート剤、パック剤等が挙げられる。特に本発明の含水系粘着組成物は、冷却シート剤として好適である。
【0042】
支持体としては、公知のものを使用することができ、例えば、紙、織布、不織布、編布、プラスチックフィルム等の支持体を挙げることができる。上記含水粘着剤を上記支持体に展延する際の展延量は、特に制限されるものではないが、例えば支持体140cm2あたり1〜100gが好ましく、10〜50gがより好ましい。なお、上記含水粘着剤を上記支持体に展延した後、製品化に際して、必要によりポリエチレン等のプラスチックフィルム(フェイシング)を、展延面を覆い、適当な大きさに裁断して用いることができる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%である。
【0044】
表1〜5中に示す成分を用いて、下記方法で含水粘着剤を調製した。得られた含水粘着剤についてゲル強度を評価した。また、不織布(倉敷繊維加工(株)製ポリエステル不織布)に、含水粘着剤を均一に展延して粘着剤層とし、プラスチックフィルム(フェイシング)で該粘着剤層の表面を覆い、貼付剤を得た。得られた貼付剤を5cm×5cm、10cm×14cmに裁断し、皮膚冷却温度(5cm×5cm使用)、ボールタック値(10cm×14cm使用)を評価した。結果を表中に併記する
【0045】
<ゲル強度の測定>
製造後、含水粘着剤約200gを内径50mm、深さ100mmの瓶に空隙が生じないように詰め、7日後のゲル強度を測定した。ゲル強度は直径10mmのアクリル製の針を荷重30g、針入速度20mm/分で針入させ、アクリル針が針入した距離を測定し、測定3回の平均値X(mm)から、下記の式によりゲル強度を算出した。
ゲル強度=1/X×100
結果を、得られたゲル強度から、下記評価基準に従って示す。
[評価基準]
(「○」もしくは「△」の評価で、本発明の効果を確認できたと判断)
○:28以上(含水粘着剤の保形性は十分なレベル)。
△:21〜27(含水粘着剤はシートよりはみ出さないが、やや軟らかい)。
×:20以下(含水粘着剤がシートよりはみ出す)。
【0046】
<皮膚冷却温度の測定>
25℃、湿度50%に設定された部屋において、5人のモニターの背部に、含水粘着剤を用いた貼付剤(5×5cm)を貼付し、サーモグラフィーを用いて、周辺部位(貼付剤から1cm離れた箇所)に対する貼付部位(中心部)との皮膚表面温度の差を測定した。結果をモニターの平均値で示す。
【0047】
<ボールタック値>
JIS Z 0237で用いられている球転装置を用い、傾斜角は30°、助走長さは100mm、測定する面を50mmとした。JIS G 4805で規定された材質のボールの大きさはJIS B 1501の「ボールの呼び」の1/16から1までの合計31種類とし、「ボールの呼び」の32倍の数値をボールナンバーと呼び、粘着力の指標として用いた。球転装置の傾斜板上の所定の位置に粘着面を上にして試験片を取り付け、各大きさのボールをゲートにセットした。ゲートをゆっくりひらき、ボールを転がしたとき、測定部内に完全に停止(5秒以上ボールが動かないこと)するようなボールのうちで最大のものを見いだし、そのときのボールナンバーを粘着力の指標とした。なお、ボールタック値は、20以上が好ましく、25以上がより好ましい。
【0048】
[実施例1〜7、9、12、16、19、20、21、25]
(1)ペレット状(篩分けで2〜5mm:100%)の高吸水性樹脂化合物を一昼夜(24時間)精製水中に入れて静置し膨潤させ、保形性があるゼリー状の含水体を調製した。(予備膨潤物1)。
(2)
1)精製水にエデト酸ナトリウム(EDTA−2Na)を撹拌しながら添加した(予備溶解物1)。
2)粉末状(篩分けで300μm通過100%、重量平均粒子径約100μm)の高吸水性樹脂化合物を精製水に添加し、撹拌し膨潤させ、全体に均一な粘性のある液体を得た(予備膨潤物2)。これに、粉体状のカルボキシメチルセルロースナトリウム又はアルギン酸ナトリウムを添加し、ハンドミキサーにより2000〜3000rpmで15分程度撹拌し、これらを均一に分散・溶解した(予備分散物1)。
3)乳化剤に、防腐剤、清涼化剤、香料、色素を溶解したもの(予備溶解物2)、濃グリセリン、ポリアクリル酸ナトリウム又はポリアクリル酸部分中和物、多価金属塩を分散したもの(予備分散物2)を調製した。
(3)
1)(1),(2)1)で得られた予備膨潤物1及び予備溶解物1に、(2)2)で得られた予備分散物1を添加し、ヘンシェルミキサーで撹拌した(練合物1)。撹拌は300rpmで2分間行った。
2)練合物1に、(2)3)で得られた予備溶解物2及び予備分散物2を撹拌投入し、練合した(練合物2)。撹拌は300rpmで2分程度おこなった。
3)(3)2)で得られた練合物2に、ポリアクリル酸を添加して撹拌(ヘンシェルミキサー、300rpm・2分)し、(1)で得られた含水体の破砕物が、(2)で得られた粘着基剤相中に分散された含水粘着剤を得た。
【0049】
[実施例8]
(2)2)の予備膨潤物2を調製しない以外は、上記実施例1と同様の方法で、(1)で得られた含水体の破砕物が、(2)で得られた粘着基剤相中に分散された含水粘着剤を得た。
【0050】
[実施例13]
(1)ペレット状(篩分けで2〜5mm:100%)の高吸水性樹脂化合物を一昼夜(24時間)精製水中に入れて静置し膨潤させ、保形性があるゼリー状の含水体を調製した。(予備膨潤物1)
(2)
1)精製水にエデト酸ナトリウム(EDTA−2Na)を撹拌しながら添加した(予備溶解物1)。
2)粉末状(篩分けで300μm通過100%、重量平均粒子径約100μm)の高吸水性樹脂化合物を精製水に添加し、撹拌し膨潤させ、全体に均一な粘性のある液体を得た(予備膨潤物2)。
3)ポリビニルアルコール部分けん化物を90℃の熱水に徐々に投入し、1時間程度はげしく撹拌したのち、一昼夜放冷した(予備溶解物2)。
4)乳化剤に、防腐剤、清涼化剤、香料、色素を溶解したもの(予備溶解物3)、濃グリセリンにポリアクリル酸ナトリウム、多価金属塩を分散したもの(予備分散物1)及び濃グリセリンにカルボキシビニルポリマーを分散したもの(予備分散物2)を調製した。
(3)
1)(1),(2)1)で得られた予備膨潤物1及び予備溶解物1に、(2)2)で得られた予備膨潤物2を添加し、ヘンシェルミキサーで撹拌した(練合物1)。撹拌は300rpmで2分程度行った。
2)練合物1に、(2)3),(2)4)で得られた予備溶解物2、予備溶解物3、予備分散物1及び予備分散物2を、撹拌投入し練合した。撹拌は300rpmで2分程度行った(練合物2)。
3)(3)2)で得られた練合物2に、ポリアクリル酸を添加してヘンシェルミキサーにて300rpmで2分程度撹拌し、(1)で得られた含水体の破砕物が、(2)で得られた粘着基剤相中に分散された含水粘着剤を得た。
【0051】
[実施例10、11、15、23]
(1)ペレット状(篩分けで2〜5mm:100%)の高吸水性樹脂化合物を一昼夜(24時間)精製水中に入れて静置し膨潤させ、保形性があるゼリー状の含水体を調製した。(予備膨潤物1)
(2)
1)精製水にエデト酸ナトリウム(EDTA−2Na)を撹拌しながら添加した(予備溶解物1)。
2)粉末状(篩分けで300μm通過100%、重量平均粒子径約100μm)の高吸水性樹脂化合物を精製水に添加し、撹拌し膨潤させ、全体に均一な粘性のある液体を得た(予備膨潤物2)。これに、粉体状のカルボキシメチルセルロースナトリウム又はアルギン酸ナトリウムを添加して、撹拌(ハンドミキサー、2000〜3000rpm・15分し、これらを均一に分散・溶解した(予備分散物1)。
3)乳化剤に、防腐剤、清涼化剤、香料、色素を溶解したもの(予備溶解物2)、濃グリセリンにポリアクリル酸ナトリウム、多価金属塩を分散したもの(予備分散物2)及び濃グリセリンにカルボキシビニルポリマーを分散したもの(予備分散物3)を調製した。
(3)
1)(1),(2)1)で得られた予備膨潤物1及び予備溶解物1に、(2)2)で得られた予備分散物1を添加し、ヘンシェルミキサーで撹拌した(練合物1)。撹拌は300rpmで2分程度行った。
2)練合物1に、(2)3)で得られた予備溶解物2、予備分散物2及び予備分散物3をヘンシェルミキサーへ撹拌投入し、練合した。撹拌は300rpmで2分程度行った(練合物2)。
3)(3)2)で得られた練合物2にポリアクリル酸を添加して、ヘンシェルミキサーにて300rpmで2分程度撹拌し、(1)で得られた含水体の破砕物が、(2)で得られた粘着基剤相中に分散された含水粘着剤を得た。
【0052】
[実施例14、18]
(1)ペレット状(篩分けで2〜5mm:100%)の高吸水性樹脂化合物を一昼夜(24時間)精製水中に入れて静置し膨潤させ、保形性があるゼリー状の含水体を調製した。(予備膨潤物1)
(2)
1)精製水にエデト酸ナトリウム(EDTA−2Na)を撹拌しながら添加した(予備溶解物1)。
2)粉末状(篩分けで300μm通過100%、重量平均粒子径約100μm)の高吸水性樹脂化合物を精製水に添加し、撹拌し膨潤させ、全体に均一な粘性のある液体を得た(予備膨潤物2)。これに、粉体状のカルボキシメチルセルロースナトリウム又はアルギン酸ナトリウムを添加して、撹拌(ハンドミキサー、2000〜3000rpm・15分程度)し、これらを均一に分散・溶解した(予備分散物1)。
3)ポリビニルアルコール部分けん化物を90℃の熱水に徐々に投入し、1時間程度はげしく撹拌したのち、一昼夜放冷した(予備溶解物2)。
4)乳化剤に、防腐剤、清涼化剤、香料、色素を溶解したもの(予備溶解物3)、濃グリセリンにポリアクリル酸ナトリウム、多価金属塩を分散したもの(予備分散物2)を調製した。
(3)
1)(1),(2)1)で得られた予備膨潤物1及び予備溶解物1に、(2)2)で得られた予備分散物1を添加し、ヘンシェルミキサーで撹拌した(練合物1)。撹拌は300rpmで2分程度行った。
2)練合物1に、(2)3),(2)4)で得られた予備溶解物2、予備溶解物3及び予備分散物2を、ヘンシェルミキサーへ撹拌投入し、練合した。撹拌は300rpmで2分程度行った(練合物2)。
3)(3)2)で得られた練合物2にポリアクリル酸を添加して、ヘンシェルミキサーにて300rpmで2分程度撹拌し、(1)で得られた含水体の破砕物が、(2)で得られた粘着基剤相中に分散された含水粘着剤を得た。
【0053】
[実施例17]
(1)ペレット状(篩分けで2〜5mm:100%)の高吸水性樹脂化合物を一昼夜(24時間)精製水中に入れて静置し膨潤させ、保形性があるゼリー状の含水体を調製した。(予備膨潤物1)
(2)
1)精製水にエデト酸ナトリウム(EDTA−2Na)を撹拌しながら添加した(予備溶解物1)。
2)粉末状(篩分けで300μm通過100%、重量平均粒子径約100μm)の高吸水性樹脂化合物を精製水に添加し、撹拌し膨潤させ、全体に均一な粘性のある液体を得た(予備膨潤物2)。
3)ポリビニルアルコール部分けん化物を90℃の熱水に徐々に投入し、1時間程度はげしく撹拌したのち、一昼夜放冷した(予備溶解物2)。
4)乳化剤に、防腐剤、清涼化剤、香料、色素を溶解したもの(予備溶解物3)、濃グリセリンにポリアクリル酸ナトリウム、多価金属塩を分散したもの(予備分散物1)を調製した。
(3)
1)(1),(2)1)で得られた予備膨潤物1及び予備溶解物1に、(2)2)で得られた(予備膨潤物2)を添加し、ヘンシェルミキサーで撹拌した(練合物1)。撹拌は300rpmで2分程度行った。
2)練合物1に、(2)3),(2)4)で得られた予備溶解物2、予備溶解物3及び予備分散物1を、ヘンシェルミキサーへ撹拌投入し、練合した。撹拌は300rpmで2分程度行った(練合物2)。
3)(3)2)で得られた練合物2にポリアクリル酸を添加して、ヘンシェルミキサーにて300rpmで2分程度撹拌し、(1)で得られた含水体の破砕物が、(2)で得られた粘着基剤相中に分散された含水粘着剤を得た。
【0054】
[実施例22]
(1)ペレット状(篩分けで2〜5mm:100%)の高吸水性樹脂化合物を一昼夜(24時間)精製水中に入れて静置し膨潤させ、保形性があるゼリー状の含水体を調製した。(予備膨潤物1)。
(2)
1)精製水にエデト酸ナトリウム(EDTA−2Na)を撹拌しながら添加した(予備溶解物1)。
2)粉末状(篩分けで300μm通過100%、重量平均粒子径約100μm)の高吸水性樹脂化合物を精製水に添加して撹拌し膨潤させ、全体に均一な粘性のある液体を得た(予備膨潤物2)。これに、粉体状のカルボキシメチルセルロースナトリウムを添加してハンドミキサーにより2000〜3000rpmで15分程度撹拌し、これらを均一に分散・溶解した(予備分散物1)。
3)乳化剤に、防腐剤、清涼化剤、香料、色素を溶解したもの(予備溶解物2)、濃グリセリンにポリアクリル酸部分中和物を分散したもの(予備分散物2)及び濃グリセリンに多価金属塩を分散したもの(予備分散物3)を調製した。
(3)
1)(1)、(2)1)で得られた予備膨潤物1及び予備溶解物1に、(2)2)で得られた予備分散物1を添加し、ヘンシェルミキサーで撹拌した(練合物1)。撹拌は300rpmで2分程度行った。
2)(練合物1)に、(2)3)で得られた予備溶解物2、予備分散物2及び予備分散物3を撹拌投入(撹拌はヘンシェルミキサー、300rpm・2分程度)し、(1)で得られた含水体の破砕物が、(2)で得られた粘着基剤相中に分散された含水粘着剤を得た。
【0055】
[実施例24]
(1)ペレット状(篩分けで2〜5mm:100%)の高吸水性樹脂化合物を一昼夜(24時間)精製水中に入れて静置し膨潤させ、保形性があるゼリー状の含水体を調製した。(予備膨潤物1)
(2)
1)精製水にエデト酸ナトリウム(EDTA−2Na)を撹拌しながら添加した(予備溶解物1)。
2)粉末状(篩分けで300μm通過100%、重量平均粒子径約100μm)の高吸水性樹脂化合物を精製水に添加し、撹拌し膨潤させ、全体に均一な粘性のある液体を得た(予備膨潤物2)。これに、粉体状のカルボキシメチルセルロースナトリウムを添加してハンドミキサーにより2000〜3000rpmで15分程度撹拌し、これらを均一に分散・溶解した(予備分散物1)。
3)乳化剤に、防腐剤、清涼化剤、香料、色素を溶解したもの(予備溶解物2)、濃グリセリンに多価金属塩を分散したもの(予備分散物2)及び濃グリセリンにカルボキシビニルポリマーを分散したもの(予備分散物3)を調製した。
(3)
1)(1),(2)1)で得られた予備膨潤物1及び予備溶解物1に、(2)2)で得られた(予備分散物1)を添加し、ヘンシェルミキサーで撹拌した(練合物1)。撹拌は300rpmで2分程度行った。
2)練合物1に、(2)3)で得られた予備溶解物2、予備分散物2及び予備分散物3を撹拌投入(撹拌はヘンシェルミキサー、300rpm・2分程度)し、(1)で得られた含水体の破砕物が、(2)で得られた粘着基剤相中に分散された含水粘着剤を得た。
【0056】
[実施例26]
(1)ペレット状(篩分けで2〜5mm:100%)の高吸水性樹脂化合物を一昼夜(24時間)精製水中に入れて静置し膨潤させ、保形性があるゼリー状の含水体を調製した。(予備膨潤物1)
(2)
1)精製水にエデト酸ナトリウム(EDTA−2Na)を撹拌しながら添加した(予備溶解物1)。
2)粉末状(篩分けで300μm通過100%、重量平均粒子径約100μm)の高吸水性樹脂化合物を精製水に添加し、撹拌し膨潤させ、全体に均一な粘性のある液体を得た(予備膨潤物2)。これに、粉体状のカルボキシメチルセルロースナトリウムを添加してハンドミキサーにより2000〜3000rpmで15分程度撹拌し、これらを均一に分散・溶解した(予備分散物1)。
3)ポリビニルアルコール部分けん化物を90℃の熱水に徐々に投入し、1時間程度はげしく撹拌したのち、一昼夜放冷した(予備溶解物2)。
4)乳化剤に、防腐剤、清涼化剤、香料、色素を溶解したもの(予備溶解物3)、濃グリセリンにポリアクリル酸部分中和物を分散したもの(予備分散物2)及び濃グリセリンに多価金属塩を分散したもの(予備分散物3)を調製した。
(3)
1)(1),(2)1)で得られた(予備膨潤物1)及び(予備溶解物1)に、(2)2)で得られた(予備分散物1)を添加し、ヘンシェルミキサーで撹拌した(練合物1)。撹拌は300rpmで2分程度行った。
2)練合物1に、(2)3),(2)4)で得られた予備溶解物2、予備溶解物3、予備分散物2及び予備分散物3を撹拌投入(撹拌は、ヘンシェルミキサー、300rpm・2分程度)し、(1)で得られた含水体の破砕物が、(2)で得られた粘着基剤相中に分散された含水粘着剤を得た。
【0057】
[比較例1]
(1)
1)予め精製水にエデト酸ナトリウム(EDTA−2Na)を溶解(予備溶解物1)。
2)粉末状(篩分けで300μm通過100%、重量平均粒子径約100μm)の高吸水性樹脂化合物を精製水に添加し、撹拌させ膨潤し、全体に均一な粘性のある液体を得た(予備膨潤物1)。これに、粉体状のカルボキシメチルセルロースナトリウムを添加してハンドミキサーにより2000〜3000rpmで15分程度撹拌し、これらを均一に分散・溶解した(予備分散物1)。
3)乳化剤に、防腐剤、清涼化剤、香料、色素を溶解したもの(予備溶解物2)、濃グリセリンにポリアクリル酸ナトリウム、多価金属塩を分散したもの(予備分散物2)を調製した。
(2)
1)(1)1)で得られた予備溶解物1に、(1)2)で得られた予備分散物1を添加し、ヘンシェルミキサーで300rpm、2分程度撹拌した(練合物1)。
2)練合物1に、(1)3)で得られた予備溶解物2及び予備分散物2を撹拌投入(撹拌は、ヘンシェルミキサー、300rpm・2分程度)し、練合した(練合物2)。
3)(3)2)で得られた練合物2に、ポリアクリル酸を添加してヘンシェルミキサーにより300rpmで2分程度撹拌し、含水粘着剤を得た。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
【表3】

【0061】
【表4】

【0062】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性高分子化合物を含有する粘着基剤相と、この粘着基剤相中に分散された高吸水性樹脂化合物の含水物相とを備えた含水粘着剤。
【請求項2】
粘着基剤相の含水率が30〜90質量%であり、高吸水性樹脂化合物の含水物相の含水率が91〜98質量%である請求項1記載の含水粘着剤。
【請求項3】
高吸水性樹脂化合物の配合量が、0.1〜10質量%である請求項1又は2記載の含水粘着剤。
【請求項4】
高吸水性樹脂化合物がノニオン系高吸水性樹脂化合物である請求項1〜3のいずれか1項記載の含水粘着剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の含水粘着剤と、支持体とを備えた貼付剤。
【請求項6】
下記(1)〜(3)の工程を含む請求項1記載の含水粘着剤の製造方法。
(1)高吸水性樹脂化合物を水で静置膨潤させ、高吸水性樹脂化合物の含水物を調製する工程。
(2)水溶性高分子化合物と、水又は多価アルコールとを混合し、粘着基剤を調製する工程。
(3)(1)で得られた高吸水性樹脂化合物の含水物と、(2)で得られた粘着基剤とを混合・撹拌する工程。

【公開番号】特開2009−155434(P2009−155434A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334366(P2007−334366)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】