説明

含水系外用貼付剤用組成物及びこの組成物を用いた貼付剤

【課題】本発明は、アクリル酸アルキルエステル系化合物を特定量含む含水系外用貼付剤用組成物及び当該組成物を用いた貼付剤を提供する。
【解決手段】
アクリル酸アルキルエステルを必須共重合体成分とし、更に、他のアクリル酸アルキルエステル及び/又は(メタ)アクリル酸を共重合体成分として含むアクリル酸アルキルエステル系化合物を含む含水系外用貼付剤用組成物であり、水分散性界面活性剤を、前記含水系外用貼付剤用組成物全体に対して0.01質量%以上10.0質量%以下含む含水系外用貼付剤用組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリル酸アルキルエステル系化合物を含む含水系外用貼付剤用組成物及びこの組成物を用いた貼付剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、外用貼付剤は、平板状の支持体と、この支持体上にジクロフェナク等の薬剤組成物が積層された粘着剤層と、を備える。
【0003】
このような外用貼付剤は、粘着剤層の粘着力が充分でなかったため、長時間に亘り皮膚に貼付することが困難であった。また、一度皮膚に貼付した後に、再度貼り直す場合における再貼着力が充分ではなかった。
【0004】
そこで、長時間に亘って皮膚に貼付する際の皮膚からの脱落を防止するために、皮膚に貼付した貼付剤の上から、貼着シートやネット包帯等で覆う対策がある。しかし、これらの対策によれば、貼着シートを用いる場合にはカブレが生じる場合があり、ネット包帯を用いる場合には装着できる部位が限定される。
【0005】
また、単位貼付剤当たりの膏体質量を多くしたり、ポリブテン、ゼラチン、エステルガム等を粘着剤層中に配合したりして、初期の貼着力を向上する試みがなされている。しかし、この試みによれば、初期の貼着力が多少改善されるものの、長時間を経過すると貼着力が大きく低下する。このため、長時間に亘り皮膚に貼付することは依然として困難であった。
【0006】
ところで、貼付剤は、粘着剤層中の水分が蒸発すると、硬化してしなやかさを失う。しなやかさを失うと、適用者の身体の動きに追従できず、更に剥離しやすくなる。このため、皮膚への適用時間は、通常12時間未満であった。
【0007】
例えば、特許文献1には、水及びジアルキロールアミドが配合されたパップ剤の粘着剤層に、ポリブテン及びゼラチンを更に配合することにより、粘着力を改善する技術が開示されている。また、比較品4として、アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(商品名:ニカゾールTS−620)が1.0質量%配合されたパップ剤の粘着剤、比較品8として、メタクリル酸・アクリル酸n−ブチル共重合体(商品名:プライマルN−580)が3.0質量%配合されたパップ剤の粘着剤が、それぞれ開示されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1においては、アクリル酸系共重合体の配合量が少ないため、優れた粘着力、再貼着力が得られなかった。
【0009】
特許文献2には、パップ剤の粘着剤層にエステルガム及びその溶解剤を配合することにより、粘着剤層の厚みが100〜800μmと比較的薄くても、充分な粘着力を有するパップ剤が得られる旨が開示されている。
【0010】
しかしながら、特許文献2においては、粘着剤層が水を15〜60質量%含有することが必須の構成要件とされ、パップ剤を剥離する際、粘着剤層中に水が充分に残っていることが必要とされる。しかも、剥離時に強い物理的刺激を生じないことが期待されている。また、再貼着力や水分蒸発後のしなやかさについては、言及されていない。
【0011】
特許文献3には、界面活性剤の存在下、水溶性成分及び非水溶性成分を混合し懸濁する際に、アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体を添加し混合する方法によって得られる乳化安定剤が開示されている。
【0012】
しかしながら、特許文献3においては、アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体を添加し混合することによって得られる作用は、言及されていない。
【0013】
また、アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体の配合量は、1%以下でもよい旨が記載されている。例えば、処方例13〜16には、アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体が0.25質量%又は0.5質量%配合されたパップ剤が開示されている。このように、アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体の配合量が少ないため、良好な粘着力、再貼着力は得られなかった。
【0014】
特許文献4には、ポリアクリル酸エステルを基剤に添加することにより、湿り気を帯びた時における貼着力の低下を抑制できる旨が記載されている。
【0015】
しかしながら、特許文献4には、アクリル酸2−エチルヘキシル85〜95質量部及びアクリル酸メチル5〜15質量部からなる乳化共重合体、若しくは、アクリル酸2−エチルヘキシル85〜95質量部及び酢酸ビニル5〜15質量部からなる乳化共重合体が開示されているにすぎない。また、再貼着力や、水分蒸発時におけるしなやかさについては言及されておらず、長時間(例えば、12時間乃至24時間、又はそれ以上の時間)適用することを考慮した製剤の設計は、記載も示唆もなされていない。
【0016】
特許文献5には、ポリアクリル酸ナトリウムからなる架橋含水ゲルと、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、及び、ゼラチンを、貼付剤の基剤中に含有させることにより、基剤のチクソトロピック性を確保でき、支持体へのゲルの染み込みを防止でき、膏体の保型性を向上できるといった旨が開示されている。
【0017】
しかしながら、特許文献5には、アクリル酸アルキルエステル系化合物を配合すること及びそのことによる効果、水分蒸発後の粘着力、再貼着力、しなやかさ等が、記載も示唆もなされていない。
【0018】
ところで、従来の薬物含有貼付剤は、薬物が析出することにより、薬物の皮膚への移行性が低下したり、相分離することにより、粘着剤層中の液体成分が滲出したり(ブリーディング)するといった問題も有していた。
【0019】
そこで、薬物の析出を抑制するため、粘着剤層に、アルキレングリコールの混合物や不特定の多価アルコール脂肪酸エステルを配合することで、ジクロフェナクの溶解性を高めたり、粘着剤層の組成の配合比を変更したりする試みがなされている。
【0020】
例えば、前述した特許文献5には、炭素数3又は4のアルキレングリコールの混合物を用いることで、ジクロフェナクの溶解性が向上したパップ剤が開示されている。
【0021】
しかしながら、特許文献5に示されるパップ剤では、ジクロフェナクの析出やブリーディングを充分に抑制できなかった。
【0022】
更に、特許文献5においては、ジクロフェナクとの相溶性が良い1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール等のアルキレングリコールからなる保湿溶解剤が、グリセリン等の代わりに配合され、更に、基剤中にゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が含有されたジクロフェナク含有パップ剤が開示されている。また、このジクロフェナク含有パップ剤は、長時間に亘って、優れた薬物の放出性、安定性、吸収性を保持し、薬物の析出を抑制できる旨が開示されている。
【0023】
しかしながら、特許文献5には、アクリル酸アルキルエステル系化合物を配合すること及びそのことによる効果、水分蒸発後のパップ剤の粘着力、再貼着力、しなやかさ等について、記載も示唆もなされていない。
【0024】
特許文献6には、HLB14.5以下である非イオン系界面活性剤を、ジクロフェナクの経皮吸収促進剤として用い、pH5.5〜pH8.0に調整することで得られる水溶性のゲル剤が開示されている。
【0025】
しかしながら、特許文献6においては、水分散性界面活性剤をジクロフェナクの溶解剤として用いることにより、ジクロフェナクの析出及びブリーディングの発生を抑制できることについては、開示されていない。また、そもそも、ゲル剤を貼付剤に使用することについて、記載も示唆もなされてない。
【0026】
特許文献7には、水、多価アルコール脂肪酸エステルを含むジクロフェナク含有貼付剤において、溶解補助剤として1,3−ブチレングリコールを配合することにより、長時間に亘り結晶析出が防止されたジクロフェナク含有貼付剤が得られる旨が開示されている。また、多価アルコール脂肪酸エステルの役割は、ジクロフェナクを析出することなく安定的に含水粘着剤層に溶解させることである旨が示されている。
【0027】
しかしながら、特許文献7には、界面活性剤の水に対する溶解性の違いと、ジクロフェナクの析出及びブリーディングの発生と、の関係について、何ら言及されていない。
【0028】
特許文献8には、ジクロフェナク、カルボン酸アルキルエステル、オレイルアルコール、多価アルコールを含有する乳化外用剤に、親水性の界面活性剤を用いることが開示されている。
【0029】
しかしながら、特許文献8には、水分散性の界面活性剤をジクロフェナクの溶解剤として用いることにより、ジクロフェナクの析出及びブリーディングの発生を抑制できる旨の記載がない。また、そもそも、乳化外用剤を貼付剤に使用することについて、記載も示唆もなされていない。
【0030】
前述した特許文献1には、水、脂肪酸ジアルキロールアミド、ポリブテン、ゼラチンが配合されたジクロフェナク含有パップ剤基剤に、界面活性剤として、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(旭電化工業社製、商品名:プルロニック)等を配合する旨が開示されている。
【0031】
しかしながら、特許文献1には、上述したような界面活性剤が羅列されてはいるが、水に対する溶解性の相違及びこの相違が与える影響についての記載も示唆もなされていない。また、ジクロフェナクの析出及びブリ−ディングの発生を抑制する旨についての記載も示唆もなされてない。
【0032】
特許文献9には、ジクロフェナク、モノカプリル酸プロピレングリコール、プロピレングリコール、高級不飽和脂肪族アルコールが特定の割合で配合された基剤を用いることにより、経皮吸収性に優れた貼付剤が得られることが開示されている。
【0033】
しかしながら、モノカプリル酸プロピレングリコールは、水に不溶性の界面活性剤であるため、粘着剤層にモノカプリル酸プロピレングリコールを用いると、ブリーディングが発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】特開平9−208462号公報
【特許文献2】特許第2887548号公報
【特許文献3】特開2001−019636号公報
【特許文献4】特公平6−002150号公報
【特許文献5】特公平4−025929号公報
【特許文献6】特公平7−121860号公報
【特許文献7】特開平6−056660号公報
【特許文献8】特開平9−012452号公報
【特許文献9】特開2001−302503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものである。その目的は、含水系外用貼付剤の粘着剤層の膏体質量が少ない場合においても、長時間(12時間乃至24時間、又はそれ以上)の使用後でも、優れた粘着力及び再貼着力を有し、粘着剤層中の水分の喪失に伴う硬化及びしなやかさの低下を抑制でき、しかも、剥離時における支持体の破断が抑制された貼付剤を得ることのできる含水系外用貼付剤用組成物、及び、この組成物を用いた貼付剤を提供することにある。
【0036】
換言すれば、貼着シート、包帯ネット等の使用を不要化し、1日1回の適用のみで貼り替えを不要化できるとともに、長時間に亘る持続したジクロフェナク等の薬物の安定性、放出性等に係る技術を充分に活用できる貼付剤が得られる、含水系外用貼付剤用組成物、及び、この組成物を用いた貼付剤を提供することにある。
【0037】
また、本発明の目的は、ジクロフェナク等の薬物を含有する場合であっても、ジクロフェナク等の薬物が析出することなく、且つ、経時的にブリーディングを生じることもなく、長時間に亘って当該薬物を含水系粘着剤組成物層中に安定に保持し、良好な皮膚への移行性を持続できる貼付剤が得られる、含水系外用貼付剤用組成物、及び、この組成物を用いた貼付剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0038】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その結果、貼付剤の基剤となる含水系外用貼付剤用組成物に、アクリル酸アルキルエステル系化合物を特定量含有させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0039】
(1) アクリル酸アルキルエステルを必須共重合体成分とし、更に、他のアクリル酸アルキルエステル及び/又は(メタ)アクリル酸を共重合体成分として含むアクリル酸アルキルエステル系化合物を含む含水系外用貼付剤用組成物であり、
水分散性界面活性剤を、前記含水系外用貼付剤用組成物全体に対して0.01質量%以上10.0質量%以下含む含水系外用貼付剤用組成物。
【0040】
(1)の発明によれば、特定構造を有するアクリル酸アルキルエステル系化合物を含有させたので、基剤となる含水系外用貼付剤の粘着剤層の膏体質量が少ない場合においても、長時間(12時間乃至24時間、又はそれ以上)の使用後でも、優れた粘着力及び再貼着力を有し、粘着剤層中の水分の喪失に伴う硬化及びしなやかさの低下を抑制でき、しかも、剥離時における支持体の破断が抑制された貼付剤を得ることができる。
【0041】
(1)の発明によれば、水分散性界面活性剤を特定量含有させたので、組成物に含まれる薬物の析出及び経時的に発生するブリーディングを更に抑制でき、且つ、含水系外用貼付剤用組成物層中に薬物が長時間安定に保持されるため、皮膚への薬物の移行性を向上できる。
【0042】
界面活性剤を薬物の溶解剤として用いる場合、界面活性剤の水に対する溶解性は、薬物の析出の有無、及び、ブリーディングに影響する。薬物、とりわけジクロフェナクの溶解剤として、水溶解性の界面活性剤を用いる場合、界面活性剤自身が含水系外用貼付剤用組成物層中の水に溶解し、ジクロフェナク等の薬物を溶解状態で保持することができなくなるために、薬物が析出する場合がある。一方で、水不溶性の界面活性剤を用いる場合には、含水系外用貼付剤用組成物層中の水と相溶性が悪いことから、経時的にブリーディングが生じる場合がある。
【0043】
これに対して、水分散性界面活性剤を用いると、ジクロフェナク等の薬物は溶解状態で貼付剤の含水系外用貼付剤用組成物中に均一に分散される。このため、(1)の発明によれば、ジクロフェナク等の薬物の析出及び経時的に発生するブリーディングを抑制でき、且つ、長時間にわたって安定に薬物を保持できる。
【0044】
ここで、水分散性界面活性剤の配合量が含水系外用貼付剤用組成物全体に対して0.01質量%未満である場合には、ジクロフェナク及び/又はその塩の溶解性が不充分となり、一方で、10質量%を超える場合には、ブリーディングが発生しやすくなる。
【0045】
(2) 前記アクリル酸アルキルエステル系化合物は、メタクリル酸・アクリル酸n−ブチル共重合体、及び/又は、アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体である(1)記載の含水系外用貼付剤用組成物。
【0046】
(2)の発明によれば、アクリル酸アルキルエステル系化合物として、メタクリル酸・アクリル酸n−ブチル及び/又はアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体を採用したので、単位面積あたりにおける含水粘着剤の膏体重量が少なくても、長時間(12時間乃至24時間、又はそれ以上)に亘って、良好な粘着力及び再貼着力を保持できる。
【0047】
(3) 前記アクリル酸アルキルエステル系化合物の含有量は、前記含水系外用貼付剤用組成物全体に対して5.0質量%以上30質量%以下である(1)又は(2)記載の含水系外用貼付剤用組成物。
【0048】
(3)の含水系外用貼付剤用組成物は、アクリル酸アルキルエステル系化合物を5.0質量%以上30質量%以下含むものである。
【0049】
アクリル酸アルキルエステル系化合物の配合量が5.0質量%を下回ると、長時間に亘る粘着力、再貼着力、及び水分蒸発後のしなやかさを良好に保つことが困難であり、一方で、30質量%を超えると、貼付剤とした場合にブリーディング(相分離)を起こしてしまう恐れがあるため、好ましくない。
【0050】
(4) 更に、薬物を、前記含水系外用貼付剤用組成物全体に対して0.1質量%以上10質量%以下含む(1)から(3)いずれかに記載の含水系外用貼付剤用組成物。
【0051】
(4)の発明によれば、更に薬物を含有させたので、治療目的に応じた薬物を選択することにより、様々な治療を施すための製剤を作製できる。
【0052】
なお、薬物の配合量が含水系外用貼付剤用組成物全体に対して0.1質量%未満である場合には、皮膚への薬物の移行性が不充分となり、一方で、10質量%を越える場合には、薬物が析出する場合がある。
【0053】
(5) 前記薬物は、非ステロイド系鎮痛抗炎症剤である(4)記載の含水系外用貼付剤用組成物。
【0054】
(5)の発明によれば、薬物として非ステロイド系鎮痛抗炎症剤を採用したので、局所の鎮痛、抗炎症治療等に有用となる。
【0055】
(6) 前記薬物は、ジクロフェナク及び/又はその塩である(4)又は(5)記載の含水系外用貼付剤用組成物。
【0056】
(6)の含水系外用貼付剤用組成物は、薬物としてジクロフェナク及び/又はその塩を採用したので、局所の鎮痛、抗炎症治療等において、強力な効果を発揮できる。
【0057】
(7) 前記水分散性界面活性剤は、多価アルコール脂肪酸エステル及び/又は酸化エチレン付加型非イオン性界面活性剤である(1)から(6)いずれかに記載の含水系外用貼付剤用組成物。
【0058】
(7)の発明によれば、分散性界面活性剤として、多価アルコール脂肪酸エステル及び/又は酸化エチレン付加型非イオン性界面活性剤を採用したので、ジクロフェナク及び/又はその塩が良好に溶解されるから、その析出を抑制できる。また、多価アルコール脂肪酸エステル及び/又は酸化エチレン付加型非イオン性界面活性剤は製剤との相溶性に優れるから、ブリーディングを抑制できる。このように、多価アルコール脂肪酸エステル及び/又は酸化エチレン付加型非イオン性界面活性剤は、極めて優れた溶解剤として機能できる。
【0059】
(8) 前記多価アルコール脂肪酸エステルは、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種以上である(7)記載の含水系外用貼付剤用組成物。
【0060】
(8)の発明によれば、特定の多価アルコール脂肪酸エステルを含有させたので、ジクロフェナク及び/又はその塩の析出を更に抑制でき、ブリーディングも更に抑制できる。
【0061】
(9) 前記酸化エチレン付加型非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミドからなる群より選ばれる1種以上である(7)記載の含水系外用貼付剤用組成物。
【0062】
(9)の発明によれば、特定の酸化エチレン付加型非イオン性界面活性剤を含有させたので、ジクロフェナク及び/又はその塩が良好に溶解されるから、その析出を抑制でき、製剤との相溶性に優れるから、ブリーディングを抑制できることに加え、更に、適用者に与える皮膚刺激を低減できる。
【0063】
(10) 前記酸化エチレン付加型非イオン性界面活性剤は、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンである(7)又は(9)記載の含水系外用貼付剤用組成物。
【0064】
(10)の発明によれば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの一種であるトリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンを界面活性剤として採用したので、ジクロフェナク及び/又はその塩の析出をより抑制でき、ブリーディングもより抑制できるとともに、適用者に与える皮膚刺激もより低減できる。
【0065】
(11) 更に、保湿剤を、前記含水系外用貼付剤用組成物全体に対して1.0質量%以上70質量%以下含む(1)から(10)いずれかに記載の含水系外用貼付剤用組成物。
【0066】
(11)の発明によれば、特定量の保湿剤を更に含有させたので、経時的な水分の蒸発を抑制できる。
【0067】
保湿剤の配合量が含水系外用貼付剤用組成物全体に対して1.0質量%未満の場合には、保湿効果が不充分となり品質上好ましくなく、一方で、70質量%を越える場合には、品質上は問題ないものの、コストが高くなり現実的でない。
【0068】
(12) 前記保湿剤は、グリセリンである(11)記載の含水系外用貼付剤用組成物。
【0069】
グリセリンは、貼付剤基剤組成物中において、保湿剤としての役割を担う化合物であり、入手が容易で比較的安価なものである。ここで、(12)の発明によれば、保湿剤としてグリセリンを採用したので、水との混和性、水溶性高分子の分散性、可塑性が向上するから、膏体から水分が喪失することによる貼付剤の柔軟性の低下を抑制できる。
【0070】
(13) 支持体と、この支持体上に配置された粘着剤層と、を備える貼付剤であって、
前記粘着剤層は、(1)から(12)いずれかに記載の含水系外用貼付剤用組成物を含む貼付剤。
【0071】
(13)の貼付剤は、上述した(1)から(12)いずれかに記載の含水系外用貼付剤用組成物が支持体上に配置された貼付剤である。
【0072】
従って、(13)の発明によれば、基剤となる含水系外用貼付剤の粘着剤層の膏体質量が少ない場合においても、長時間(12時間乃至24時間、又はそれ以上)の使用後でも、優れた粘着力及び再貼着力を有し、粘着剤層中の水分の喪失に伴う硬化及びしなやかさの低下を抑制でき、しかも、剥離時における支持体の破断を抑制できる。
【0073】
(14) 前記含水系外用貼付剤用組成物の含有量は、0.02g/cm以上0.10g/cm以下である(13)記載の貼付剤。
【0074】
(14)の貼付剤は、含水系外用貼付剤用組成物の含有量を特定範囲とするものである。含水系外用貼付剤用組成物の含有量が0.02g/cmを下回る場合には、膏体中の薬物の含量が少なくなり、皮膚への薬物の移行性等が不充分となる。一方で、0.10g/cmを上回る場合には、品質上は特に問題はないものの、コストが上がり現実的でない。
【0075】
(15) 前記粘着剤層上に配置された剥離ライナーを更に備える(13)又は(14)記載の貼付剤。
【0076】
(15)の発明によれば、粘着剤層上に配置された剥離ライナーを更に設けたので、貼付剤の皮膚への適用前の保管状態において、含水系外用貼付剤用組成物層からの水分の蒸発が抑制される。このため、硬化を更に抑制できる。
【発明の効果】
【0077】
本発明の含水系外用貼付剤用組成物によれば、特定構造を有するアクリル酸アルキルエステル系化合物を特定量含有させたので、基剤となる含水系外用貼付剤の粘着剤層の膏体質量が少ない場合においても、長時間(12時間乃至24時間、又はそれ以上)の使用後でも、優れた粘着力及び再貼着力を有し、粘着剤層中の水分の喪失に伴う硬化及びしなやかさの低下を抑制でき、しかも、剥離時における支持体の破断が抑制された貼付剤を得ることができる。
【0078】
また、本発明の含水系外用貼付剤用組成物が水分散性界面活性剤を含む場合には、水分散性界面活性剤はジクロフェナク等の薬物の溶解剤としての役割を担うことから、組成物に含まれる薬物の析出及び経時的に発生するブリーディングを更に抑制でき、且つ、含水系外用貼付剤用組成物層中に薬物が長時間安定に保持されるため、皮膚への薬物の移行性が向上された貼付剤を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0079】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0080】
<含水系外用貼付剤用組成物>
本発明の含水系外用貼付剤用組成物は、アクリル酸アルキルエステル系化合物を必須成分として含む含水系の外用貼付剤用組成物である。
【0081】
本発明の含水系外用貼付剤用組成物のpHは、特に限定されないが、4.5以上7.0以下の範囲であることが好ましい。pHが4.5未満であると、ジクロフェナク等の薬物を配合した場合に、当該薬物が析出し、薬物の皮膚への移行性が悪化する。一方で、pHが7.0を越えると、含水系外用貼付剤用組成物を架橋する反応の進行が悪化するため、貼付剤の保型性が低下する場合がある。
【0082】
[アクリル酸アルキルエステル系化合物]
本発明に用いられるアクリル酸アルキルエステル系化合物は、アクリル酸アルキルエステルを必須の共重合体成分とし、更に、他のアクリル酸アルキルエステル及び/又は(メタ)アクリル酸を共重合体成分として含む共重合体である。また、本発明におけるアクリル酸アルキルエステル系化合物は、1種単独を使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0083】
アクリル酸アルキルエステル系化合物の配合量は、含水系外用貼付剤用組成物全体に対して、5.0質量%以上30質量%以下であることが好ましい。7.0質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、8.0質量%以上15質量%以下であることが最も好ましい。
【0084】
本発明に用いられるアクリル酸アルキルエステル系化合物としては、特に限定されないが、好ましくは、メタクリル酸・アクリル酸n−ブチル共重合体、アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体が挙げられる。
【0085】
本発明に好ましく用いられるメタクリル酸・アクリル酸n−ブチル共重合体は、メタクリル酸とアクリル酸n−ブチルとを、水若しくは含水溶媒の中において重合して得られる共重合体である。ここで、メタクリル酸とアクリル酸n−ブチルとの構成比は、特に限定されない。本発明に好ましく用いられるメタクリル酸・アクリル酸n−ブチル共重合体としては、例えば、医薬品添加物として既に使用されている物質(例えば、ロームアンドハース社製、商品名:プライマルN−580NF、あるいは、ガンツ化成社製、商品名:ウルトラゾールW−50等)が挙げられる。
【0086】
また、メタクリル酸・アクリル酸n−ブチル共重合体は、メタクリル酸及びアクリル酸n−ブチルのモノマー組成比が適宜変更されたものを用いてもよく、更には、アミノ酢酸等の架橋成分を含有したもの、あるいはこれらの架橋成分の量を適宜変更する等して、メタクリル酸・アクリル酸n−ブチル共重合体の架橋密度が制御されたもの等を用いてもよい。
【0087】
メタクリル酸及びアクリル酸n−ブチルのモノマー組成比が変更されたものとしては、ピール力が500以上2,000以下の範囲であるものが好ましく用いられ、ピール力が800以上1,700以下の範囲であるものがより好ましく用いられる。ここで、ピール力とは、剥離ライナーとなるシリコン処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム上に、測定対象である物質を一定の厚さとなるように塗布し乾燥した後に、支持体となるポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合せることによって得られる試料を、180度引きはがし法(JIS−Z−0237)に準じて、引きはがした時に測定される力である。
【0088】
本発明において、アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体としては、アクリル酸メチルとアクリル酸2−エチルヘキシルとを、水溶液中で重合して得られる共重合体樹脂のエマルジョンを用いることが好ましい。このような共重合体樹脂のエマルジョンとしては、既に医薬品添加物として使用されている、日本カーバイド工業社製、商品名:ニカゾールTS−620等が挙げられる。
【0089】
〔水分散性界面活性剤〕
本発明の含水系外用貼付剤用組成物に使用される水分散性界面活性剤とは、水に対する分散性を有する界面活性剤を指す。このような水分散性界面活性剤としては、例えば、水分散性の多価アルコール脂肪酸エステル及び/又は水分散性の酸化エチレン付加型非イオン性界面活性剤が挙げられ、それらは1種単独で使用してもよく、2種以上を適宜組合せて使用してもよい。
【0090】
水分散性界面活性剤の配合量は、含水系外用貼付剤用組成物全体に対して、0.01質量%以上10.0質量%以下であり、好ましくは0.3質量%以上5.0質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以上4.0質量%以下の範囲である。
【0091】
水分散性の多価アルコール脂肪酸エステルとしては、例えば、モノトール油脂肪酸エステル、セスキトール脂肪酸エステル、トリトール脂肪酸エステル等のソルビタン脂肪酸エステル;モノステアリン酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸エステル;デカグリセリンペンタオレイン酸エステル等のポリグリセリン脂肪酸エステル;ジステアリン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステルが挙げられる。
【0092】
水分散性の酸化エチレン付加型の非イオン性界面活性剤としては、例えば、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリン等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンアビエチルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンステアリン酸アミド等のポリオキシエチレンアルキルアミド;その他、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。中でも、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンは好ましく使用できる。
【0093】
[その他任意成分]
本発明の含水系外用貼付剤用組成物には、上記のアクリル酸アルキルエステル系化合物に加えて、貼付剤の基剤組成物に通常添加される任意成分を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合できる。このような任意成分としては、例えば、水溶性高分子化合物、薬物溶解剤、乳化剤、保湿剤、清涼化剤、無機粉体、酸化防止剤、防腐剤、色素、pH調節剤、架橋コントロール剤が挙げられる。本発明における任意成分について、以下説明する。
【0094】
〔薬物〕
本発明の含水系外用貼付剤用組成物には、薬物が含有されることが好ましい。上記の通り、本発明の含水系外用貼付剤用組成物を用いて得られる貼付剤は、12時間乃至24時間、又はそれ以上の長時間に亘って皮膚に良好に貼着するとともに、優れた再貼着力を有する。従って、本発明の含水系外用貼付剤用組成物の任意成分として用いられる薬物は、全身性薬物又は局所用薬物のいずれであってもよく、特に限定されるものではない。また、薬物は、その治療目的に応じて任意に選択でき、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0095】
本発明の含水系外用貼付剤用組成物が薬物を含有する場合、その配合量は、薬物の種類、薬効、及び投与目的によって適宜設定できるが、通常、含水系外用貼付剤用組成物全体に対して0.1質量%以上10質量%以下、好ましくは0.3質量%以上1.0質量%以下の範囲である。
【0096】
本発明の含水系外用貼付剤用組成物の任意成分として用いられる薬物は、皮膚面上に滞留するものではなく、皮下若しくは血中まで浸透して局所作用若しくは全身作用を発揮する経皮吸収可能な薬物であることが好ましい。このような薬物としては、例えば、ステロイドホルモン、非ステロイド系鎮痛抗炎症剤、精神安定剤、抗高血圧薬、虚血性心疾患治療薬、抗ヒスタミン薬、抗喘息薬、抗パーキンソン薬、脳循環改善薬、制吐剤、抗うつ薬、抗不整脈薬、抗凝固薬、抗痛風薬、抗真菌薬、抗痴呆薬、シェーングレン症候群治療薬、麻薬性鎮痛薬、ベータ遮断薬、β1作動薬、β2作動薬、副交感神経作動薬、抗腫瘍薬、利尿薬、抗血栓薬、ヒスタミンH1レセプター拮抗薬、ヒスタミンH2レセプター拮抗薬、抗アレルギー薬、禁煙補助薬、ビタミンが挙げられる。
【0097】
これらの中でも、非ステロイド系鎮痛抗炎症剤を用いることが好ましく、とりわけ、ジクロフェナク及び/又はその塩を用いることが好ましい。
【0098】
本発明に好ましく用いられるジクロフェナクは、フェニル酢酸系の非ステロイド系鎮痛抗炎症剤である。塩の形態としては、主にジクロフェナクナトリウムが用いられる。
【0099】
〔ポリアクリル酸及び/又はその塩〕
本発明の含水系外用貼付剤用組成物には、ポリアクリル酸及び/又はその塩を配合できる。ポリアクリル酸及び/又はその塩としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸部分中和物(例えば、昭和電工社製、商品名:ビスコメートNP−700等)が挙げられ、これらの中の1種を単独で使用するか、2種以上を混合して用いることが好ましい。
【0100】
〔架橋剤〕
本発明の含水系外用貼付剤用組成物には、必要に応じて架橋剤を配合できる。本発明において用いられる架橋剤としては、多価金属塩が挙げられ、中でもアルミニウム化合物が好ましく用いられる。アルミニウム化合物としては、水酸化アルミニウムのような水酸化物;塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウムのような無機酸又は有機酸の塩;アルミニウム明ばんのような複塩;アルミン酸ナトリウムのようなアルミン酸塩;無機性アルミニウム錯塩、及び、有機性アルミニウムキレート化合物等が挙げられ、中でも水酸化アルミニウムが特に好ましい。
【0101】
また、これらのアルミニウム化合物は、水溶性のものであっても、難溶性のものであっても使用でき、これらは1種単独で、又は2種以上を適宜組合せて、使用できる。
【0102】
架橋剤の配合量は、通常、0.01質量%以上6.0質量%以下、好ましくは0.01質量%以上4.0質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以上2.0質量%以下の範囲である。配合量が少なすぎる場合には、架橋度が低下するため、貼付剤を皮膚から剥がす際に基剤が皮膚に残留する場合がある。一方で、配合量が多すぎる場合には、架橋度が高くなりすぎるため、貼着性が悪くなる。
【0103】
〔水分〕
本発明の含水系外用貼付剤用組成物は、水分を含有するものである。水の配合量は、特に限定されないが、調製時において含水粘着剤層全量に対し、30質量%以上70質量%以下であることが好ましい。水の配合量が30質量%未満の場合には、水分の蒸発が早まるために好ましくなく、一方で、70質量%を超える場合には、充分な粘着性が得られなくなるために好ましくない。また、保湿剤等を添加することにより、皮膚に適用して時間が経過した場合の水分含量が、調製時の含水率をできる限り保持していることがより好ましい。経時的な水分の蒸発を抑制するためには、保湿剤等を配合することが効果的である。
【0104】
〔水溶性高分子化合物〕
本発明の含水系外用貼付剤用組成物には、必要に応じて水溶性高分子化合物を配合できる。水溶性高分子化合物としては、例えば、ゼラチン、カンテン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、プロピレンカーボネート、カルボキシメチルセルロース、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、無水マレイン酸共重合体、カラギーナンが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて、使用できる。
【0105】
〔薬物溶解剤〕
本発明の含水系外用貼付剤用組成物には、任意成分として、薬物溶解剤を配合できる。薬物溶解剤としては、例えば、クロタミトン、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、ハッカ油等の精油類、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル等のソルビタンエステル類、1,3−ブチレングリコールが挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて、使用できる。
【0106】
〔乳化剤〕
本発明の含水系外用貼付剤用組成物には、任意成分として、乳化剤を配合できる。乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、レシチン等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて、使用できる。
【0107】
〔保湿剤〕
本発明の含水系外用貼付剤用組成物には、経時的な水分の蒸発を抑制するために、保湿剤を配合することが好ましい。保湿剤としては、例えば、濃グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、流動パラフィン、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、マルチトール、キシリトール等の多価アルコールが挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種類以上を適宜組み合わせて、使用できる。
【0108】
保湿剤の配合量は、通常、含水系外用貼付剤用組成物全体に対して、1.0質量%以上70質量%以下、好ましくは5.0質量%以上50質量%以下、更に好ましくは10質量%以上40質量%以下の範囲である。
【0109】
また、本発明の含水系外用貼付剤用組成物に用いられる保湿剤としては、上記の中でもグリセリンが最も好ましい。
【0110】
〔清涼化剤〕
本発明の含水系外用貼付剤用組成物には、任意成分として、清涼化剤を配合できる。清涼化剤としては、例えば、カンフル、チモールの他、l−メントール、dl−メントール、2−メチル−3−(l−メンチルオキシ)プロパン−1,2−ジオール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、5−メチル−2−(l−メチルエチル)−シクロヘキシル−2−ヒドロキシプロピオネート、N−エチル−p−メンタン−カルボキシアミド、p−メンタン−3,8−ジオール、l−イソプレゴール、l−メンチルグリセリルエーテル等のメントール誘導体が挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種類以上を適宜組み合わせて、使用できる。
【0111】
〔無機粉体〕
無機粉体としては、例えばカオリン、酸化亜鉛、酸化チタン、無水ケイ酸が挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種類以上を適宜組み合わせて、使用できる。
【0112】
〔酸化防止剤〕
本発明の含水系外用貼付剤用組成物には、任意成分として、酸化防止剤を配合できる。酸化防止剤としては、例えば、酢酸トコフェロール、アスコルビン酸及び/又はその誘導体、亜硫酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエンが挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種類以上を適宜組合せて、使用できる。
【0113】
〔防腐剤〕
本発明の含水系外用貼付剤用組成物には、任意成分として、防腐剤を配合できる。防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、ブチルバラベン、プロピルパラベン、チモール等が挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種類以上を適宜組み合わせて、使用できる。
【0114】
〔色素〕
本発明の含水系外用貼付剤用組成物には、任意成分として、色素を配合できる。色素としては、例えば法定色素ハンドブックに記載された色素を、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて、使用できる。
【0115】
〔pH調製剤〕
本発明の含水系外用貼付剤用組成物には、任意成分として、pH調節剤を配合できる。pH調節剤としては、例えば、酒石酸、リン酸、リンゴ酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等が挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種類以上を適宜組み合わせて、使用できる。
【0116】
〔架橋コントロール剤〕
本発明の含水系外用貼付剤用組成物には、任意成分として、架橋コントロール剤を配合できる。架橋コントロール剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、クエン酸が挙げられる。架橋コントロール剤の配合量は、粘着剤組成物全量に対して、好ましくは0.01〜1質量%である。
【0117】
[含水系外用貼付剤用組成物の製造方法]
本発明の貼付剤は、上記必須成分及び必要に応じて上記任意成分を適宜配合し、公知の方法で均一になるまで混練することによって、調製できる。
【0118】
<貼付剤>
本発明の貼付剤は、支持体上に、本発明の含水系外用貼付剤用組成物が積層されたものである。また、本発明の貼付剤は、更に剥離ライナーを有し、支持体、含水系外用貼付剤用組成物、剥離ライナーが順次積層されたものであってもよい。
【0119】
貼付剤単位面積あたりの膏体質量は、0.02〜0.10g/cmである。通常の貼付剤の大きさ(140mm×100mm)あたりの膏体質量は、約3〜約14g程度であり、好ましくは5〜10g程度である。
【0120】
[貼付剤の製造方法]
本発明の貼付剤は、従来公知の方法によって製造できる。例えば、まず、貼付剤単位面積当たりの膏体質量が好ましくは0.02g/cm以上0.10g/cmの範囲となるように、本発明の含水系外用貼付剤用組成物を支持体上に塗工し、その後、必要があれば、剥離ライナーと貼り合わせることによって、製造できる。また、含水系外用貼付剤用組成物層の膏体質量が好ましくは0.02g/cm以上0.10g/cmの範囲となるように、本発明の含水系外用貼付剤用組成物を剥離ライナーに展延し、その後、支持体を貼り合わせてもよい。
【0121】
[支持体]
本発明の貼付剤に用いられる支持体としては、特に限定されず、貼付剤として通常使用されている支持体を用いてよい。例えば、織布、不織布、編布等の布帛、樹脂フィルム、紙、及び、これらの積層体を用いることができる。
【0122】
織布、不織布、編布等の布帛や樹脂フィルムを用いる場合、その材質としては、特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリエチレンテレフタレート、レイヨン、綿、ポリウレタンが挙げられる。また、これらは、単独で使用しても、また2種以上を併用してもよい。これらの中では、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、コストの観点からは、ポリエチレンテレフタレートからなる不織布を用いることが特に好ましい。
【0123】
貼付剤を皮膚から剥離する際の破断を更に抑制でき、より良好に剥離を行うことができる点で、支持体の破断強度は、長手方向において100N/50mm以上200N/50mm以下、且つ、短手方向において40N/50mm以上100N/50mm以下であることが更に好ましい。
【0124】
また、樹脂フィルムを用いる場合、白色、肌色等の塗料が印刷されたフィルム、あるいは、樹脂フィルム材料に着色剤を練り込むことによって、着色が施されたり文字等が表示されたりしたフィルムを用いることができる。また、粘着剤の投錨性を上げるために、ポリウレタン処理や、艶消し処理等が施されたものを使用することもできる。
【0125】
本発明における貼付剤は、含水系外用貼付剤用組成物を含有する粘着剤層の粘着力が強いこと、及び、長時間に亘って皮膚に適用する場合がある。このため、支持体に例えば単層の不織布を用いる場合、剥離時や適用している間に支持体が破断することを防止する目的で、その破断強度を、長手方向における支持体の破断強度が100N/50mm以上200N/50mm以下、且つ、短手方向の破断強度が40N/50mm以上100N/50mm以下とすることが、更に好ましい。
【0126】
[剥離ライナー]
本発明の貼付剤に用いられる剥離ライナーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロリピレン等の樹脂フィルムを好適に用いることができる。また、シリコン等の剥離処理がされたもの、エンボス加工が施されたものを用いてもよい。更に、白色等の塗料を、印刷、練り込みがされたものを用いることもできる。
【実施例】
【0127】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0128】
〔実施例1〕
非ステロイド系鎮痛抗炎症剤であるケトプロフェン(薬物の一例)を0.3質量%、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油0.3質量%、N−メチル−2−ピロリドン0.5質量%、ポリアクリル酸ナトリウム1.0質量%、ポリアクリル酸部分中和物(商品名:ビスコメートNP−700,昭和電工株式会社製)5.0質量%、カルメロースナトリウム2.0質量%、ゼラチン1.0質量%、及び、無水ケイ酸1.0質量%、水酸化アルミニウム、酒石酸、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、リン酸、チモールを適量配合し、更に、メタクリル酸・アクリル酸nブチル共重合体(商品名:ウルトラゾールW−50)5.0質量%、濃グリセリン30質量%配合し、精製水を含水粘着剤層全量が100質量%となるように適量配合した。一定時間、撹拌し混合した後に、得られた膏体をライナー上に均一に展延し、パップ剤(貼付剤の一例)1枚当たり(140mm×100mm)の膏体質量を5gとした。展延後、直ちに膏体面に不織布を貼り合わせて、パップ剤を得た。
【0129】
〔実施例2〕
メタクリル酸・アクリル酸nブチル共重合体(商品名:ウルトラゾールW−50)の配合量を10質量%とした以外は実施例1と同様にして、パップ剤を得た。
【0130】
〔実施例3〕
メタクリル酸・アクリル酸nブチル共重合体(商品名:ウルトラゾールW−50)に代えて、アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(商品名:ニカゾールTS−620,日本カーバイド工業株式会社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、パップ剤を得た。
【0131】
〔実施例4〕
アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(商品名:ニカゾールTS−620,日本カーバイド工業株式会社製)の配合量を10質量%としたこと以外は実施例3と同様にして、パップ剤を得た。
【0132】
〔実施例5〕
濃グリセリンの配合量を10質量%としたこと以外は実施例2と同様にして、パップ剤を得た。
【0133】
〔実施例6〕
濃グリセリンの配合量を20質量%としたこと以外は実施例5と同様にして、パップ剤を得た。
【0134】
〔実施例7〕
濃グリセリンの配合量を40質量%としたこと以外は実施例6と同様にして、パップ剤を得た。
【0135】
〔実施例8〕
パップ剤1枚当たり(140mm×100mm)の膏体質量が8gとなるように展延したこと以外は、実施例2と同様にして、パップ剤を得た。
【0136】
〔実施例9〕
パップ剤1枚当たり(140mm×100mm)の膏体質量が10gとなるように展延したこと以外は、実施例8と同様にして、パップ剤を得た。
【0137】
〔実施例10〕
支持体に、長手方向の破断強度が108.2N/50mm且つ短手方向の破断強度が59.4N/50mmである、ポリエチレンテレフタレート製不織布を用いたこと以外は実施例2と同様にして、パップ剤を得た。
【0138】
〔実施例11〕
支持体に、長手方向の破断強度が130.2N/50mm且つ短手方向の破断強度が76.4N/50mmである、ポリエチレンテレフタレート製不織布を用いたこと以外は実施例10と同様にして、パップ剤を得た。
【0139】
〔実施例12〕
支持体に、長手方向の破断強度が189.9N/50mm且つ短手方向の破断強度が70.9N/50mmである、ポリエチレンテレフタレート製不織布を用いたこと以外は実施例11と同様にして、パップ剤を得た。
【0140】
〔実施例13〕
粘着増強剤に、ピール力が1000であるメタクリル酸・アクリル酸nブチル共重合体を用いたこと以外は実施例2と同様にして、パップ剤を得た。
【0141】
〔実施例14〕
粘着増強剤に、ピール力が1340であるメタクリル酸・アクリル酸nブチル共重合体を用いたこと以外は実施例13と同様にして、パップ剤を得た。
【0142】
〔実施例15〕
粘着増強剤に、ピール力が1650であるメタクリル酸・アクリル酸nブチル共重合体を用いたこと以外は実施例14と同様にして、パップ剤を得た。
【0143】
〔実施例16〕
粘着増強剤に、ピール力が1360であるメタクリル酸・アクリル酸nブチル共重合体を用いたこと以外は実施例15と同様にして、パップ剤を得た。
【0144】
〔実施例17〕
粘着増強剤に、ピール力が1390であるメタクリル酸・アクリル酸nブチル共重合体を用いたこと以外は実施例16と同様にして、パップ剤を得た。
【0145】
〔比較例1〕
粘着増強剤を使用しなかったこと以外は実施例1と同様にして、パップ剤を得た。
【0146】
〔比較例2〕
濃グリセリンの配合量を10質量%としたこと以外は比較例1と同様にして、パップ剤を得た。
【0147】
〔比較例3〕
パップ剤1枚当たり(140mm×100mm)の膏体質量が8gとなるように展延したこと以外は比較例1と同様にして、パップ剤を得た。
【0148】
〔比較例4〕
パップ剤1枚当たり(140mm×100mm)の膏体質量が10gとなるように展延したこと以外は比較例3と同様にして、パップ剤を得た。
【0149】
〔比較例5〕
支持体に、長手方向の破断強度が86.7N/50mm且つ短手方向の破断強度が42.3N/50mmである、ポリエチレンテレフタレート製不織布を用いたこと以外は実施例10と同様にして、パップ剤を得た。
【0150】
[試験例]
持続した粘着力、再貼着力について、実施例1〜17、及び比較例1〜5にて調製したパップ剤を、試験例1及び試験例2の通りの手順で評価した。その結果を表1に示した。また、支持体の破断について、実施例10〜12及び比較例5にて調製したパップ剤を、試験例3の通りの手順で評価した。その結果を表2に示した。更に、メタクリル酸・アクリル酸nブチル共重合体の上述したピール力は、試験例4の通りの手順で測定された。
【0151】
試験例1 持続した粘着力
製剤を適用者の関節部に貼付し、12及び24時間後における剥離の程度を、以下の基準で評価した。
〇:製剤が剥離していない
△:製剤がほとんど剥離していない
×:製剤の一部若しくは大部分が剥離している
【0152】
試験例2 再貼着力
製剤を適用者の関節部に貼付し、3時間後に一旦製剤を剥離し、その後、同じ製剤を貼付した時の剥離の程度を、以下の基準で評価した。
〇:製剤が剥離していない
△:製剤がほとんど剥離していない
×:製剤の一部若しくは大部分が剥離している
【0153】
試験例3 支持体の破断
製剤を適用者の関節部に貼付し、12及び24時間後の製剤の剥離時における支持体の破断の程度を、以下の基準で評価した。
〇:支持体が破断していない
△:支持体がほとんど破断していない
×:支持体の一部若しくは大部分が破断している
【0154】
試験例4 ピール力試験
実施例13〜実施例17の過程で得られた各試料(メタクリル酸・アクリル酸nブチル共重合体を含む粘着増強剤)を、剥離ライナーであるシリコン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム上に、粘着増強剤を一定の厚さになるように塗布し乾燥した。乾燥後に、支持体であるポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合せて試料を得た。これらの試料について、180°引きはがし法(JIS−Z−0237)に準じ、引っ張り試験機(PTM−100W、オリエンティック)を用いて、ピール力試験を行った。
【0155】
【表1】

【0156】
【表2】

【0157】
〔実施例18〕
ジクロフェナクナトリウム(薬物の一例)を0.6質量部、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン2.0質量部、N−メチル−2−ピロリドン2.0質量部、ポリアクリル酸ナトリウム1.5質量部、ポリアクリル酸部分中和物(商品名:ビスコメートNP−700,昭和電工株式会社製)3.5質量部、カルメロースナトリウム2.0質量部、ゼラチン1.0質量部及び、無水ケイ酸1.0質量部、水酸化アルミニウム、酒石酸、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、リン酸、亜硫酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、チモールを適量配合し、メタクリル酸・アクリル酸nブチル共重合体(商品名:ウルトラゾールW−50)5.0質量部、濃グリセリン30質量部と、精製水を加えて総量が100質量部とした。一定時間、撹拌し混合した後、剥離ライナー上に膏体を均一に展延し、パップ剤(貼付剤の一例)1枚当り(140mm×100mm)の膏体質量を5gとした。展延後、膏体面に不織布を貼り合わせ、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0158】
〔実施例19〕
メタクリル酸・アクリル酸nブチル共重合体(商品名:ウルトラゾールW−50)の配合量を10質量部としたこと以外は実施例18と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0159】
〔実施例20〕
メタクリル酸・アクリル酸nブチル共重合体(商品名:ウルトラゾールW−50)に代え、アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(商品名:ニカゾールTS−620,日本カーバイド工業株式会社製)を使用したこと以外は、実施例18と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0160】
〔実施例21〕
アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(商品名:ニカゾールTS−620,日本カーバイド工業株式会社製)の配合量を10質量部としたこと以外は実施例20と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0161】
〔実施例22〕
濃グリセリンの配合量を10質量部としたこと以外は実施例19と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0162】
〔実施例23〕
濃グリセリンの配合量を20質量部とした以外は実施例22と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0163】
〔実施例24〕
濃グリセリンの配合量を40質量部としたこと以外は実施例23と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0164】
〔実施例25〕
パップ剤1枚当たり(140mm×100mm)の膏体質量が8gとなるように展延したこと以外は実施例19と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0165】
〔実施例26〕
パップ剤1枚当たり(140mm×100mm)の膏体質量が10gとなるように展延したこと以外は実施例25と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0166】
〔実施例27〕
支持体に、短手方向の破断強度が108.2N/50mm且つ長手方向の破断強度が59.4N/50mmである、ポリエチレンテレフタレート製不織布を用いたこと以外は実施例19と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0167】
〔実施例28〕
支持体に、短手方向の破断強度が130.2N/50mm且つ長手方向の破断強度が76.4N/50mmである、ポリエチレンテレフタレート製不織布を用いたこと以外は実施例27と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0168】
〔実施例29〕
支持体に、短手方向の破断強度が189.9N/50mm且つ長手方向の破断強度が70.9N/50mmであるポリエチレンテレフタレート製不織布を用いたこと以外は実施例28と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0169】
〔実施例30〕
粘着増強剤に、ピール力が1000であるメタクリル酸・アクリル酸nブチル共重合体を用いたこと以外は実施例19と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0170】
〔実施例31〕
粘着増強剤に、ピール力が1340であるメタクリル酸・アクリル酸nブチル共重合体を用いたこと以外は実施例30と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0171】
〔実施例32〕
粘着増強剤に、ピール力が1650であるメタクリル酸・アクリル酸nブチル共重合体を用いたこと以外は実施例31と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0172】
〔実施例33〕
粘着増強剤に、ピール力が1360であるメタクリル酸・アクリル酸nブチル共重合体を用いたこと以外は実施例32と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0173】
〔実施例34〕
粘着増強剤に、ピール力が1390であるメタクリル酸・アクリル酸nブチル共重合体を用いたこと以外は実施例33と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0174】
〔比較例6〕
粘着増強剤を使用しなかったこと以外は実施例18と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0175】
〔比較例7〕
濃グリセリンの配合量を10質量部としたこと以外は比較例6と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0176】
〔比較例8〕
パップ剤1枚当たり(140mm×100mm)の膏体質量が8gとなるように展延したこと以外は比較例6と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0177】
〔比較例9〕
パップ剤1枚当たり(140mm×100mm)の膏体質量が10gとなるように展延したこと以外は比較例8と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0178】
〔比較例10〕
支持体に、短手方向の破断強度が86.7N/50mm且つ長手方向の破断強度が42.3N/50mmである、ポリエチレンテレフタレート製不織布を用いたこと以外は実施例27と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0179】
[試験例]
試験例5 ピール力試験
実施例18、実施例19及び実施例22〜実施例34の過程で得られた、下記の試料1〜試料6(メタクリル酸・アクリル酸nブチル共重合体を含む粘着増強剤)を、剥離ライナーであるシリコン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム上に一定の厚さになるように塗布し乾燥した。乾燥後、支持体であるポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合せて試料を得た。これらの試料について、180°引きはがし法(JIS−Z−0237)に準じ、引っ張り試験機(PTM−100W、オリエンティック)を用いて、ピール力試験を行った。その結果を表3に示した。
【0180】
【表3】

【0181】
試験例6 粘着力の持続性
実施例18〜34及び比較例6〜9において調製したパップ剤について、粘着力、再貼着力の持続性を評価した。具体的には、製剤を関節部に貼付し、12及び24時間後における剥離の程度を、以下の基準で評価した。その結果を表4に示した。
〇:製剤が剥離していない
×:製剤の一部若しくは大部分が剥離している
【0182】
試験例7 再貼着力
製剤を関節部に貼付し、3時間後に一旦製剤を剥離し、その後、同じ製剤を再度貼付した際の剥離の程度を、以下の基準で評価した。
〇:製剤が剥離していない
×:製剤の一部若しくは大部分が剥離している
【0183】
【表4】

【0184】
実施例18〜実施例34における本発明のジクロフェナク含有パップ剤は、12時間及び24時間経過後も持続した粘着力を有し、再貼着性も良好であった。一方、比較例6〜比較例9のパップ剤は、12時間及び24時間経過後、その一部若しくは大部分が剥離してしまった。また、再貼着した際も、その一部若しくは大部分が剥離してしまった。
【0185】
試験例8 支持体の破断試験
支持体の破断について、実施例27〜29及び比較例10において調製したパップ剤を関節部に貼付し、12時間及び24時間後に製剤を剥離した時における、支持体の破断の程度を、以下の基準で評価した。その結果を表5に示した。
〇:支持体が破断していない
×:支持体の一部若しくは大部分が破断している
【0186】
【表5】

【0187】
実施例27〜実施例29のジクロフェナク含有パップ剤は、支持体が破断することなく良好に剥離することができた。一方、比較例10におけるパップ剤は、剥離時に支持体が破断してしまった。
【0188】
〔実施例35〕
ジクロフェナクナトリウム(薬物の一例)を0.6質量部、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン0.3質量部(商品名;TO−30,日光ケミカル株式会社製)、N−メチル−2−ピロリドン2.0質量部、ポリアクリル酸ナトリウム1.5質量部、ポリアクリル酸部分中和物(商品名:ビスコメートNP−700,昭和電工株式会社製)3.5質量部、カルメロースナトリウム2.0質量部、ゼラチン1.0質量部及び、無水ケイ酸1.0質量部、水酸化アルミニウム、酒石酸、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、リン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、亜硫酸ナトリウム、チモールを適量配合した。更に、メタクリル酸・アクリル酸nブチル共重合体(商品名:ウルトラゾールW−50,ガンツ化成株式会社製)10.0質量部、濃グリセリン30質量部を配合し、精製水を加えて全量を100質量部とした。一定時間、撹拌し混合した後、剥離ライナー上に膏体を均一に展延し、パップ剤(貼付剤の一例)1枚当り(140mm×100mm)の膏体質量を5gとした。展延後、膏体面にポリエチレンテレフタレート製不織布を貼り合わせ、次いで100mm×140mmの大きさに裁断することで、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0189】
〔実施例36〕
トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(商品名;TO−30,日光ケミカル株式会社製)の配合量を2.0質量部としたこと以外は実施例35と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0190】
〔実施例37〕
トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(商品名;TO−30,日光ケミカル株式会社製)の配合量を4.0質量部としたこと以外は実施例35と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0191】
〔実施例38〕
トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンの代わりにモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(商品名;TO−10M,日光ケミカル株式会社製)を用い、ジクロフェナクナトリウムの配合量を0.3質量部としたこと以外は実施例35と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0192】
〔実施例39〕
モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(商品名;TO−10M,日光ケミカル株式会社製)の配合量を2.0質量部としたこと以外は実施例38と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0193】
〔実施例40〕
モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(商品名;TO−10M,日光ケミカル株式会社製)の配合量を4.0質量部としたこと以外は実施例38と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0194】
〔実施例41〕
トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンの代わりにモノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリンエステル(商品名;TMGO−5,日光ケミカル株式会社製)を用い、ジクロフェナクナトリウムの配合量を1.0質量部としたこと以外は実施例35と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0195】
〔実施例42〕
モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリンエステル(商品名;TMGO−5,日光ケミカル株式会社製)の配合量を2.0質量部としたこと以外は実施例41と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0196】
〔実施例43〕
モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリンエステル(商品名;TMGO−5,日光ケミカル株式会社製)の配合量を4.0質量部としたこと以外は実施例41と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0197】
〔実施例44〕
トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンの代わりにテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(商品名;GO−440,日光ケミカル株式会社製)を用い、メタクリル酸・アクリル酸nブチル共重合体(商品名:ウルトラゾールW−50,ガンツ化成株式会社製)の代わりにアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(商品名:ニカゾールTS−620,日本カーバイド工業株式会社製)を用いたこと以外は実施例35と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0198】
〔実施例45〕
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(商品名;GO−440,日光ケミカル株式会社製)の配合量を2.0質量部としたこと以外は実施例44と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0199】
〔実施例46〕
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(商品名;GO−440,日光ケミカル株式会社製)の配合量を4.0質量部としたこと以外は実施例44と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0200】
〔実施例47〕
トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンの代わりにポリオキシエチレンセチルエーテル(商品名;BC−5.5,日光ケミカル株式会社製)を用い、メタクリル酸・アクリル酸nブチル共重合体(商品名:ウルトラゾールW−50,ガンツ化成株式会社製)を除いた以外は実施例35と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0201】
〔実施例48〕
ポリオキシエチレンセチルエーテル(商品名;BC−5.5,日光ケミカル株式会社製)の配合量を2.0質量部としたこと以外は実施例47と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0202】
〔実施例49〕
ポリオキシエチレンセチルエーテル(商品名;BC−5.5,日光ケミカル株式会社製)の配合量を4.0質量部としたこと以外は実施例47と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0203】
〔実施例50〕
トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンの代わりにポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名;HCO−20,日光ケミカル株式会社製)としたこと以外は実施例35と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0204】
〔実施例51〕
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名;HCO−20,日光ケミカル株式会社製)の配合量を2.0質量部としたこと以外は実施例50と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0205】
〔実施例52〕
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名;HCO−20,日光ケミカル株式会社製)の配合量を4.0質量部としたこと以外は実施例50と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0206】
〔実施例53〕
トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンの代わりにモノステアリン酸グリセリン(商品名;MGS−ASE,日光ケミカル株式会社製)としたこと以外は実施例35と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0207】
〔実施例54〕
モノステアリン酸グリセリン(商品名;MGS−ASE,日光ケミカル株式会社製)の配合量を2.0質量部としたこと以外は実施例53と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0208】
〔実施例55〕
モノステアリン酸グリセリン(商品名;MGS−ASE,日光ケミカル株式会社製)の配合量を4.0質量部としたこと以外は実施例53と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0209】
〔比較例11〕
トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンの代わりに、水溶性の界面活性剤であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名;HCO−60,日光ケミカル株式会社製)を用い、その配合量を4.0質量部としたこと以外は実施例35と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0210】
〔比較例12〕
トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンの代わりに、水に不溶性の界面活性剤であるモノオレイン酸ソルビタンエステル(商品名;SO−10,日光ケミカル株式会社製)を用いたこと以外は実施例36と同様にして、ジクロフェナク含有パップ剤を得た。
【0211】
試験例9 ジクロフェナクの析出有無の確認
実施例35〜実施例55、比較例11及び比較例12において調製したパップ剤を、包装袋に入れ、密封した後、25℃、60%R.H.の雰囲気下において24時間放置した。放置後、含水粘着剤層中におけるジクロフェナクの析出の有無を光学顕微鏡にて観察し、以下の基準で評価を行った。その結果を表6に示した。
〇;析出が生じなかった。
×;ジクロフェナクが析出した。
【0212】
試験例10 ブリーディングの確認
実施例35〜実施例55、比較例11及び比較例12にて調製したパップ剤を密封した包装袋に入れ、25℃、60%R.H.の雰囲気下において1か月間放置した。放置後、ブリーディングの有無を確認し、以下の基準で評価を行った。その結果を表6に示した。
〇;ブリーディングが生じなかった。
×;ブリーディングが生じた。
【0213】
【表6】

【0214】
ジクロフェナクの析出は、実施例35〜実施例55のパップ剤では認められなかった。一方、水に溶解性の界面活性剤を用いた比較例11のパップ剤では、ジクロフェナクが析出した。また、実施例35〜実施例55のパップ剤ではブリーディングは生じなかったが、水に不溶の界面活性剤を用いた比較例12のパップ剤ではブリーディングが生じた。
【0215】
試験例11 ジクロフェナクの皮膚移行性
実施例35〜実施例55において調製したジクロフェナク含有パップ剤について、剥離ライナーを除去し、含水膏体面をユカタンマイクロピッグ摘出皮膚に24時間貼付した後、製剤を除去した。次いで、テープ(テラオカ株式会社製)を用いて製剤貼付部位の角質層を剥離し、角質層中のジクロフェナク濃度をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)によって測定した。単位面積当たりのジクロフェナクの皮膚移行量(単位;μg/cm)を算出した。算出結果、及び、1.0μg/cm以上の場合に薬物含有貼付剤として適切とする基準で評価を行った結果を、表7に示した。
【0216】
【表7】

【0217】
実施例35〜実施例55のパップ剤では、ジクロフェナクの皮膚移行性が良好であった。また、ジクロフェナクが析出した比較例11、及び、ブリーディングを生じた比較例12については、皮膚への適用をすべきでないと考えられたため、測定を行わなかった。
【産業上の利用可能性】
【0218】
以上の結果によれば、アクリル系共重合体を含む粘着増強剤を配合した、本発明のパップ剤は、単位面積当たりにおける含水粘着剤の膏体質量が少なくとも、12時間乃至24時間、又はそれ以上にわたって、良好な粘着力、再貼着力を有していた。更に、水分が蒸発しても硬化せず、しなやかさを失わなかった。また、短手方向における支持体の破断強度が100〜200N/50mm且つ、長手方向の破断強度が40〜100N/50mmである不織布を支持体に用いたパップ剤は剥離時の破断もなく良好に剥離できるジクロフェナク含有パップ剤を提供できる。
【0219】
また、水分散性の界面活性剤をジクロフェナクの溶解剤に用いた本発明のパップ剤は、ジクロフェナクが析出することなく且つ、経時的にブリーディングを生じず、ジクロフェナクを含水膏体中に長時間にわたって安定に保持でき、皮膚への移行性も良好であった。また、更に粘着増強剤を配合することにより、長時間にわたり粘着力、再貼着力に優れ、保湿剤の配合量が少なくとも硬化せず、しなやかさを失うことのないジクロフェナク含有パップ剤を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル酸アルキルエステルを必須共重合体成分とし、更に、他のアクリル酸アルキルエステル及び/又は(メタ)アクリル酸を共重合体成分として含むアクリル酸アルキルエステル系化合物を含む含水系外用貼付剤用組成物であり、
水分散性界面活性剤を、前記含水系外用貼付剤用組成物全体に対して0.01質量%以上10.0質量%以下含む含水系外用貼付剤用組成物。
【請求項2】
前記アクリル酸アルキルエステル系化合物は、メタクリル酸・アクリル酸n−ブチル共重合体、及び/又は、アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体である請求項1記載の含水系外用貼付剤用組成物。
【請求項3】
前記アクリル酸アルキルエステル系化合物の含有量は、前記含水系外用貼付剤用組成物全体に対して5.0質量%以上30質量%以下である請求項1又は2記載の含水系外用貼付剤用組成物。
【請求項4】
更に、薬物を、前記含水系外用貼付剤用組成物全体に対して0.1質量%以上10質量%以下含む請求項1から3いずれかに記載の含水系外用貼付剤用組成物。
【請求項5】
前記薬物は、非ステロイド系鎮痛抗炎症剤である請求項4記載の含水系外用貼付剤用組成物。
【請求項6】
前記薬物は、ジクロフェナク及び/又はその塩である請求項4又は5記載の含水系外用貼付剤用組成物。
【請求項7】
前記水分散性界面活性剤は、多価アルコール脂肪酸エステル及び/又は酸化エチレン付加型非イオン性界面活性剤である請求項1から6いずれかに記載の含水系外用貼付剤用組成物。
【請求項8】
前記多価アルコール脂肪酸エステルは、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種以上である請求項7記載の含水系外用貼付剤用組成物。
【請求項9】
前記酸化エチレン付加型非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミドからなる群より選ばれる1種以上である請求項7記載の含水系外用貼付剤用組成物。
【請求項10】
前記酸化エチレン付加型非イオン性界面活性剤は、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンである請求項7又は9記載の含水系外用貼付剤用組成物。
【請求項11】
更に、保湿剤を、前記含水系外用貼付剤用組成物全体に対して1.0質量%以上70質量%以下含む請求項1から10いずれかに記載の含水系外用貼付剤用組成物。
【請求項12】
前記保湿剤は、グリセリンである請求項11記載の含水系外用貼付剤用組成物。
【請求項13】
支持体と、この支持体上に配置された粘着剤層と、を備える貼付剤であって、
前記粘着剤層は、請求項1から12いずれかに記載の含水系外用貼付剤用組成物を含む貼付剤。
【請求項14】
前記含水系外用貼付剤用組成物の含有量は、0.02g/cm以上0.10g/cm以下である請求項13記載の貼付剤。
【請求項15】
前記粘着剤層上に配置された剥離ライナーを更に備える請求項13又は14記載の貼付剤。

【公開番号】特開2012−140460(P2012−140460A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−88596(P2012−88596)
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【分割の表示】特願2007−504772(P2007−504772)の分割
【原出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(000174622)ニプロパッチ株式会社 (31)
【Fターム(参考)】