説明

含油排水処理設備の臭気抑制方法

【課題】含油排水処理設備の臭気抑制方法であって、空気冷却塔から発する臭気を簡易かつ効果的に抑制することが可能な臭気抑制方法を提供する。
【解決手段】内部にエリミネーターを配設した空気冷却塔を有する含油排水の処理設備における臭気抑制方法であって、該エリミネーターの外面側から空気冷却塔の内部空気を吸引する間に該エリミネーターに付着した油を、洗浄液を用いて洗浄することにより、該エリミネーターに付着した油中の少なくとも臭気成分を洗浄液中に溶解させてエリミネーターから分離することを特徴とする、含油排水処理設備の臭気抑制方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含油排水処理設備、特に冷間圧延設備で生じる含油排水を処理する含油排水処理設備の空気冷却塔から発生する臭気の抑制技術に関する。
【背景技術】
【0002】
圧延ロールで金属帯を所望の板厚に圧延する冷間圧延設備においては、大量の冷却水と潤滑油を必要とする。冷却水は主に圧延ロールにスプレーすることにより、圧延中の温度上昇を抑制する目的で使用される。潤滑油は、金属帯にスプレーすることにより圧延ロール−金属帯間の潤滑性を確保するものであり、主としてパーム油が使用される。また、公害・環境問題並びにコストの観点より、使用後の冷却水および潤滑油は各々、排水処理設備および潤滑油再生設備を経て再利用される。冷間圧延設備における冷却水および潤滑油の処理フローを図1に示す。冷間圧延設備1より排出された使用後の冷却水および潤滑油は混合状態にあり、まずスキミングタンク10に流入させて比重差により排水と使用後の潤滑油とに分離され、排水は排水処理設備2に送られ、使用後の潤滑油は潤滑油再生設備3に送られる。
【0003】
分離後の排水は排水処理設備2で浄化される。分離後の排水は依然として相当の油分を含むため、排水処理設備2では反応槽20にて凝集剤を添加し、排水中の油分を凝集させたのち、排水を貯留槽21に送り、貯留槽21にて排水中の油分を浮上分離し、排水中の油分を回収する。続いて貯留槽21を出た排水は、ストレーナ22を通り、空気冷却塔23を経て冷却された後、冷間圧延設備1へ送られ冷却水として再利用される。
【0004】
排水処理設備2の空気冷却塔23は、図2に示すような半開放型あるいは開放型の構造を有する。空気冷却塔23は頂部に吸引ファン231、側部に空気吸引部232、吸引ファン231の下部にエリミネーター233、空気冷却塔23の底部に熱交換された排水を回収する水槽234を備える。吸引ファン231が駆動することにより、冷却媒体となる空気は塔側部から塔内に吸引される。ストレーナ22を経た後の熱交換すべき排水は塔上部から流下され、塔内の流路235で塔側部の空気吸引部232から送風される空気と直接接触することにより冷却され、水槽234に回収された後、冷間圧延設備1へ送られる。また、排水と接触した冷却用空気は加湿されて加湿空気となり、吸引ファン231に吸引されて塔頂部へ流れ、エリミネーター233に加湿空気中の水分が付着した後、空気は外部へ放散される。
【0005】
以上のように、冷間圧延設備1においては使用後の冷却水および潤滑油を再利用し、外部環境への流出を避けることにより、公害・環境問題に配慮している。ところが、近年環境規制が一層厳しくなりつつある中、空気冷却塔23から発する臭気について新たに問題視されるようになってきた。
【0006】
空気冷却塔23の臭気元は、エリミネーター233に水分とともに付着した油分である。スキミングタンク10で分離された排水は、排水処理設備2の貯留槽21で油分を浮上分離し、ストレーナ22を通ることにより油分がほぼ完全に除去された冷却水となるが、それでもなお、微量の油分が残存する。そのため、空気冷却塔23において、冷却水と接触した空気は油分を含む加湿空気となり、この油分を含む加湿空気がエリミネーター233に達すると、加湿空気中の油分はエリミネーター233に付着する。このようにしてエリミネーター233に付着した油分は、時間が経過するに従い変質し、臭気を放つようになる。
【0007】
空気冷却塔23の臭気を防止する観点と、エリミネーター233に付着する油分が堆積すると圧損が生じて冷却塔の冷却効率が低下するという圧損を防止する観点から、所定の頻度で空気冷却塔23の操業を停止し、エリミネーター233に付着した油分を除去する作業を実施している。しかしながら、エリミネーター233に付着した油分の除去作業を行った後でも時間が経過すると臭気を放つ場合があり、係る場合には現場の作業環境や周囲の環境に悪影響を及ぼすため、さらなる改善が必要であった。
【0008】
含油排水処理設備において含油排水の変質を抑えて臭気の発生を抑制する技術は特許文献1に、また、真空・水蒸気蒸留により油脂中の臭気成分を除去して臭気を抑制する技術は特許文献2に、それぞれ記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−118662号公報
【特許文献2】特開平5−271686号公報
【0010】
引用文献1に記載された技術は、凝集作用および腐敗抑制作用を有する凝集剤を、含油排水に添加することにより、含油排水の変質を抑えて臭気の発生を抑制する技術である。すなわち、引用文献1に記載された技術は含油排水中での処理技術であり、係る技術をエリミネーターに付着した油分の処理に適用することはできない。また、引用文献2に記載された技術は、半開放型あるいは開放型の空気冷却塔ではオンサイトで適応できず、付着した油分をその都度回収し処理する必要がある。また、密閉型であっても反応槽内を真空状態とする必要があるため、作業が複雑であり且つ設備コストも嵩む。
【0011】
なお、空気冷却塔の臭気問題に関する対応策としては、エリミネーターに付着した油分が臭気を放つ前に、従前の方法に従いエリミネーターに付着した油分を除去することも考えられる。しかしながら、従前の方法に従えば、エリミネーターに付着した油分を除去する際には空気冷却塔の操業を停止する必要があるため、空気冷却塔の作業効率が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記現状に鑑みて開発されたもので、含油排水処理設備の臭気抑制方法であって、空気冷却塔から発する臭気を簡便かつ効果的に抑制することが可能な臭気抑制方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、空気冷却塔から発する臭気を簡便かつ効果的に抑制する手段について鋭意研究を重ねた結果、以下(a)〜(d)の知見を得た。
(a)エリミネーターに付着した油分を全て除去しなくても、油分から臭気元となる成分を少なくとも除去することにより、臭気を抑制することが可能である。
(b)エリミネーターに洗浄液を噴霧あるいは噴射して油分中の臭気元となる成分を洗浄液中に溶解することにより、空気冷却塔の連続運転中に臭気を抑制することが可能である。
(c)冷間圧延設備に併設された(含油)排水処理設備において、空気冷却塔のエリミネーターに付着した油の臭気成分は低級脂肪酸類である。
(d)上記(c)に関し、空気冷却塔に付着した油を水洗浄することにより、該油のうち、少なくとも臭気成分である低級脂肪酸類を油から分離・除去することが可能である。
【0014】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
(1)内部にエリミネーターを配設した空気冷却塔を有する含油排水の処理設備における臭気抑制方法であって、該エリミネーターの外面側から空気冷却塔の内部空気を吸引する間に該エリミネーターに付着した油を、洗浄液を用いて洗浄することにより、該エリミネーターに付着した油中の少なくとも臭気成分を洗浄液中に溶解させてエリミネーターから分離することを特徴とする、含油排水処理設備の臭気抑制方法。
【0015】
(2)前記洗浄は、エリミネーターに対してその外面側から洗浄液を供給して行うことを特徴とする、前記(1)に記載の臭気抑制方法。
【0016】
(3)前記洗浄は、噴霧状の洗浄液を用いて行うことを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の臭気抑制方法。
【0017】
(4)前記エリミネーターの外面側からの洗浄液の供給圧力を、前記内部空気の吸引圧力よりも高くすることを特徴とする、前記(2)または(3)に記載の臭気抑制方法。
【0018】
(5)前記含油排水が、冷間圧延設備において使用した潤滑油と水の混合排水から潤滑油を分離した後の低油含有排水であることを特徴とする、前記(1)〜(4)の何れか1項に記載の臭気抑制方法。
【0019】
(6)前記潤滑油が、パーム油であることを特徴とする、前記(5)に記載の臭気抑制方法。
【0020】
(7)前記臭気成分が、低級脂肪酸類であることを特徴とする、前記(1)〜(6)の何れか1項に記載の臭気抑制方法。
【0021】
(8)前記低級脂肪酸類が、炭素数2〜5の脂肪酸であることを特徴とする、前記(7)に記載の臭気抑制方法。
【0022】
(9)前記洗浄液は水であることを特徴とする、前記(1)〜(8)の何れか1項に記載の臭気抑制方法。
【0023】
(10)前記含油排水処理設備の連続操業中に、洗浄液によるエリミネーターの洗浄を行うことを特徴とする、前記(1)〜(9)の何れか1項に記載の臭気抑制方法。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、含油排水処理設備の空気冷却塔から発する臭気を簡易かつ効果的に抑制することが可能となる。更に、空気冷却塔の操業を停止することなく、空気冷却塔の連続運転中に臭気を抑制する作業を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】冷間圧延設備における冷却水の処理フローを示す図である。
【図2】排水処理設備の空気冷却塔の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の臭気抑制方法は、内部にエリミネーターを配設した空気冷却塔を有する含油排水の処理設備における臭気抑制方法であって、該エリミネーターの外面側から空気冷却塔の内部空気を吸引する間に該エリミネーターに付着した油を、洗浄液を用いて洗浄することにより、該エリミネーターに付着した油中の少なくとも臭気成分を洗浄液中に溶解させてエリミネーターから分離することを特徴とする。
【0027】
本発明が対象とする含油排水処理設備は、油を不純物として含有する排水から油を除去して再利用するための設備であって、油を含有する排水、或いは油除去工程を経て油が不可避的に残存する排水を冷却するための空気冷却塔を備えた設備である。このように多かれ少なかれ油を含有する排水を空気冷却塔で冷却すると、排水と接触した冷却用空気は油分を含む加湿空気となり、この油分を含む加湿空気がエリミネーターに達し、加湿空気中の油分がエリミネーターに付着する。
【0028】
本発明が対象とする空気冷却塔は、主として図2に示すような半開放型あるいは開放型構造を有する。空気冷却塔23は頂部に吸引ファン231、側部に空気吸引部232、吸引ファン231の下部にエリミネーター233、空気冷却塔の底部に熱交換された排水を回収する水槽234を備えたものである。空気冷却塔の流路235は、熱交換すべき排水が塔上部から、好ましくは迂回しながらできるだけ長い距離に亘って流下するように構成される。熱交換すべき排水は、塔内の流路235で空気吸引部232から送風される空気と直接接触することにより冷却され、水槽234内に回収される。このような半開放型あるいは開放型の構造を有する場合には、エリミネーター233に付着した油からの臭気が外部に放散し、周辺の環境に悪影響を及ぼし易い。そのため、外部環境保護の観点より、エリミネーター233に付着した油の臭気を抑制することが不可欠となる。なお、密閉型構造を有する空気冷却塔であれば、エリミネーターに付着した油からの臭気が外部に放散することはない。しかしながら、空気冷却塔内部に臭気が充満すると作業環境に悪影響を及ぼすことが懸念されるため、本発明を密閉型構造の空気冷却塔に適用することも有益である。
【0029】
本発明において、エリミネーター233に付着した油を洗浄する洗浄液としては、油の成分のうち少なくとも臭気成分を溶解するようなものを用いる。本発明ではエリミネーター233に付着した油成分のうち少なくとも臭気成分だけを溶解・分離できさえすればよい。すなわち、本発明においてはエリミネーター233に付着した油を完全に分離・除去する必要はないが、無論、エリミネーター233に付着した油を完全に分離・除去することを否定するものではない。本発明を実施する上では、例えば、エリミネーター233に付着した油の臭気成分を事前に調査し、臭気成分を溶解する洗浄液を選定すればよい。臭気成分を溶解した排液は、ドレイン(図省略)等へ排出し、流路235を流下して熱交換する排水と混合しないようにすることが好ましい。
【0030】
本発明において、エリミネーター233に付着した油を洗浄液で洗浄する方法は特に問わず、例えば、エリミネーター233の外面側(冷却用空気の排出側)から洗浄液を供給(噴霧或いは噴射)する、またはエリミネーター233の内面側(冷却用空気の導入側)から洗浄液を供給(噴霧或いは噴射)する等、種々の方法が挙げられる。その中でも、エリミネーター233の外面側(冷却用空気の排出側)から洗浄液を供給、特に噴霧状の洗浄液を用いて行う方法が、空気冷却塔23の操業を停止することなく容易に本発明を実施することが可能となる点、並びに、少量の洗浄液で臭気成分の十分な溶解および分離効果が得られる点で好ましい。また、エリミネーター233の外面側(冷却用空気の排出側)から洗浄液を供給、特に噴霧状に供給する場合には、熱交換後の空気冷却塔内の空気を吸引する圧力よりも洗浄液の供給圧力(噴霧圧力)を高くすることが好ましい。このようにすると、エリミネーター233の外面側(冷却用空気の排出側)からエリミネーター233の内面側(冷却用空気の導入側)へ洗浄液が流下する状態となり、空気冷却塔23の操業中に、エリミネーター233に付着した油へ洗浄液を確実に供給することが可能となる。
【0031】
本発明は、冷間圧延工程で使用した潤滑油と冷却水の混合排水を、浄化して再利用するための排水処理工程に適用することができる。先述のとおり、冷間圧延設備に併設された排水処理設備において、潤滑油と冷却水の混合排水は、潤滑油が分離除去された後、反応槽、貯留槽、ストレーナを経ると、通常は油分が90質量%以上除去されるが、それでもなお完全には油分を除去できず、5質量%程度の油分が残って低油含有排水となる。そのため、空気冷却塔において、低油含有排水と接触した冷却用空気は油分を含む加湿空気となり、この油分を含む加湿空気がエリミネーターに達すると、加湿空気中の油分はエリミネーターに付着する。このようにしてエリミネーターに付着した油が臭気を発していた。本発明は、係る問題を解決する上で好適な手段である。
【0032】
冷間圧延設備では、高級脂肪酸類を高濃度に含有するパーム油が潤滑油として広く用いられているが、金属帯の冷間圧延時、パーム油(潤滑油)は瞬間的に加熱され、パーム油(潤滑油)の一部が低級脂肪酸類に分解されることが推測される。そこで、本発明者らがエリミネーターに付着した油を調査したところ、臭気が感じられた成分には低級脂肪酸類の存在が確認された。したがって、本発明は、潤滑油としてパーム油を使用している冷間圧延設備の含油排水処理設備に適用することが特に好適である。なお、通常、低級脂肪酸類とは、炭素数2〜5(C2〜C5)の脂肪酸を指す。
【0033】
本発明においては、洗浄液として水を用いることが好ましい。水は上記臭気成分である低級脂肪酸類を容易に溶解するためである。なお、エリミネーターに付着した油自体を完全に溶解・分離する上では洗浄液にアルコール等を採用するほうが好ましい。しかしながら、油の臭気成分が低級脂肪酸類である場合、油の臭気抑制を目的とする範囲においては、油に含まれる低級脂肪酸類を溶解・分離する水洗浄で十分である。加えて、アルコールは、アルコール臭を発するため、その使用には注意を要する。
【0034】
本発明を上記の如く冷間圧延設備に併設された排水処理設備の空気冷却塔に適用する場合には、エリミネーター外面側(冷却用空気の排出側)から洗浄水を噴霧する作業を、例えば週に1回程度の割合で行えば、エリミネーターに付着した油が発する臭気を十分に抑制することができる。エリミネーター外面側(冷却用空気の排出側)から洗浄水を噴霧状に供給する方法は、空気冷却塔を連続操業した状態で行うことができるため、含油排水処理設備の連続操業が可能となり、排水処理設備自体の作業効率を低下させることがない点において有利である。なお、洗浄液による洗浄は、エリミネーターの外面側(冷却用空気の排出側)からエリミネーターの内面側(冷却用空気の導入側)に洗浄液が浸透すればよいため、洗浄液の噴霧または噴射に限定されず、洗浄液をエリミネーター外面側(冷却用空気の排出側)全体にわたって流してもよい。
【0035】
上記のとおり、本発明によると、内部にエリミネーターを配設した空気冷却塔を有する含油排水処理設備において、エリミネーターに付着した油が発する臭気を簡便且つ効果的に抑制することができる。また、本発明によると、空気冷却塔の操業を停止することなく臭気抑制処理を行うことができるため、空気冷却塔、延いては含油排水処理設備の作業効率を維持する上で極めて有効である。
【0036】
以上、主として冷間圧延設備の排水処理設備における空気冷却塔を例示して述べたが、本発明はこれに限らず、例えば食品工場の含油廃水処理等、あらゆる技術に適用可能である。
【実施例】
【0037】
本発明の実施例について以下で詳細に説明する。
冷間圧延設備に併設された排水処理設備において、空気冷却塔の内部に配設されたエリミネーターに付着した油を採取した。
【0038】
(実施例)
エリミネーターに付着した上記油10gをビーカーに分取し、上部から水を10ml/minの割合で10分間噴霧し、ろ過することにより水洗処理油を得た。この水洗処理油について、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)で油中の低級脂肪酸類濃度を測定したところ、油の全質量(g)に対する低級脂肪酸類の質量(μg)は15μg/gであった。また、50℃で30分間加熱し、得られた揮発ガス分について臭気官能試験を実施し、試験結果から算出した臭気濃度は13であった。
【0039】
(比較例)
エリミネーターに付着した上記油10gについて、上記実施例と同様にして低級脂肪酸類濃度、臭気濃度を求めた結果、それぞれ低級脂肪酸類濃度375μg/g、臭気濃度90であった。
【0040】
上記実施例が示すとおり、エリミネーターに付着した油は、本発明に従った臭気抑制処理を施すことにより低級脂肪酸濃度が低減され、これに伴い臭気濃度が飛躍的に改善される。
【産業上の利用可能性】
【0041】
含油排水処理設備の空気冷却塔から発する臭気を簡易かつ効果的に抑制する臭気抑制方法であって、空気冷却塔の操業を停止することなく、空気冷却塔の連続運転中に臭気を抑制することが可能な臭気抑制方法を提供する。
【符号の説明】
【0042】
1 … 冷間圧延設備
2 … 排水処理設備
10 … スキミングタンク
20 … 反応槽
21 … 貯留槽
22 … ストレーナ
23 … 空気冷却塔
231 … 吸引ファン
232 … 空気吸引部
233 … エリミネーター
234 … 水槽
235 … 流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にエリミネーターを配設した空気冷却塔を有する含油排水の処理設備における臭気抑制方法であって、該エリミネーターの外面側から空気冷却塔の内部空気を吸引する間に該エリミネーターに付着した油を、洗浄液を用いて洗浄することにより、該エリミネーターに付着した油中の少なくとも臭気成分を洗浄液中に溶解させてエリミネーターから分離することを特徴とする、含油排水処理設備の臭気抑制方法。
【請求項2】
前記洗浄は、エリミネーターに対してその外面側から洗浄液を供給して行うことを特徴とする、請求項1に記載の臭気抑制方法。
【請求項3】
前記洗浄は、噴霧状の洗浄液を用いて行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の臭気抑制方法。
【請求項4】
前記エリミネーターの外面側からの洗浄液の供給圧力を、前記内部空気の吸引圧力よりも高くすることを特徴とする、請求項2または3に記載の臭気抑制方法。
【請求項5】
前記含油排水が、冷間圧延設備において使用した潤滑油と水の混合排水から潤滑油を分離した後の低油含有排水であることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の臭気抑制方法。
【請求項6】
前記潤滑油が、パーム油であることを特徴とする、請求項5に記載の臭気抑制方法。
【請求項7】
前記臭気成分が、低級脂肪酸類であることを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の臭気抑制方法。
【請求項8】
前記低級脂肪酸類が、炭素数2〜5の脂肪酸であることを特徴とする、請求項7に記載の臭気抑制方法。
【請求項9】
前記洗浄液は水であることを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載の臭気抑制方法。
【請求項10】
前記含油排水処理設備の連続操業中に、洗浄液によるエリミネーターの洗浄を行うことを特徴とする、請求項1〜9の何れか1項に記載の臭気抑制方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−11121(P2011−11121A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155714(P2009−155714)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【Fターム(参考)】