説明

含浸液注入法及びその装置

【課題】本発明は電解コンデンサ等の素子に高価な含浸液を変質及びむらなく定量注入含浸させることを目的とする。
【解決手段】複数の電解コンデンサ素子1のそれぞれリード線2を横向支持板3に溶着してこれらの素子を同一水準に等間隔に下向きに支持し、機台4に上記素子にそれぞれ対応する複数の含浸液上向注出口5を開口し、該注出口から複数のベローズ短管6を介して上記素子内に上記含浸液7を注入することを特徴とする電解等含浸液注入法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気機器用畜電素子に導電性ポリマー又は電解液を含浸させる方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、巻回形電解コンデンサ素子に電解液等を含浸させるため電解液等を含んだ絶縁紙を陽極と陰極で挟むよう構成された(例えば特許文献1)。
【0003】
上記電解液等を絶縁紙に含浸させるため上記素子を液槽内の含浸液に浸漬した。
【0004】
そのため高価な導電性ポリマー含浸液中のアルコール蒸発による含浸液の変質を生じ、品質に「むら」を生じ、含浸液の取替えを要し、コスト高となる嫌いがあった。
【0005】
【特許文献1】特開平5−326333号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は電解コンデンサ等の素子に高価な含浸液を変質及びむらなく定量注入含浸させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため本発明は
第1に複数の電解コンデンサ素子のそれぞれリード線を横向支持板に溶着してこれらの素子を同一水準に等間隔に下向きに支持し、機台に上記素子にそれぞれ対応する複数の含浸液上向注出口を開口し、該注出口から複数のベローズ短管を介して上記素子内に上記含浸液を注入することを特徴とする電解等含浸液注入法、
第2に複数の電解コンデンサ素子のそれぞれリード線の上端部を横向支持板に溶着してこれらの素子を同一水準に等間隔に下向に方形枠に支持し、該方形枠を間歇水平移送コンベアに支持し、機枠に設けた間歇昇降機台に上記素子にそれぞれ対応する複数の含浸液上向注出口を開口し、該注出口にそれぞれ上向ベローズ短管を設け、上記注出口に連通する含浸液流通路を上記昇降機台内に設けてなる電解等含浸液注入装置、
によって構成される。
【0008】
従って上記方形枠に支持された横向支持板の一面下部に等間隔にリード線の上端部を加熱溶着し、下端に電解コンデンサ等の素子を上記支持板の下縁と平行に同一水準に方形枠に支持する。
【0009】
上記支形枠の下方には間歇昇降機台を設け、該機台の上面に上記素子にそれぞれ対応する複数の含浸液上向注出口にそれぞれベローズ短管を設け、
上記機台を間歇昇降させ、上昇時に間歇停止した上記素子の下面に上記ベローズ短管を当接し、該ベローズを圧縮させてベローズ内の含浸液を上記素子内に圧入含浸させる。
【0010】
その後上記動作と逆の動作により上記素子の下面からベローズ上端開口部を分離下降し、その動作を繰返す。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述のように構成したのでベローズ短管内に充満している含浸液がベローズ短管の上昇圧縮により、素子に密着させポンプ圧送にて上記素子内に一定量圧入され、上記素子内にむらなく定量含浸させ得るばかりでなく昇降機台内の含浸液は変質するおそれがなく品質良好な電解コンデンサ等の素子が得られる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1及び図3(イ)(ロ)図に示すように横向又は水平方向に方形枠8に支持された支持板3に一定間隔に複数のリード線2の上端部を溶着し、下端に電解コンデンサ素子1を同一水準に下向に設ける。
【0013】
上記方形枠8はタイミングベルトによる間歇回動コンベトコンベア9にボルト9’によって支持される。
【0014】
上記コンベア9は間歇回動サーボモータ(図示していない)によって一定距離移動して停止する動作を繰返し、方形枠8が間歇昇降機台4を通過した後停止するよう上記モータは制御される。
【0015】
上記支持板3はその両端部を図3(イ)図に示すように受溝8’,8’に一定間隔t毎に複数平行に着脱自在に支持され、その下方の機枠10に設けた間歇昇降機台4の直上において間歇停止するようになっている。
【0016】
そして間歇停止した複数の上記素子1はそれぞれ上昇した上記昇降機台4に開口した複数の含浸液上向注出口5に同一中心線a上に対応又は対向する(図2(イ)(ロ)図)。
【0017】
上記上向注出口5にはそれぞれ上記中心線aを共有する上向ベローズ短管6が設けられ、上記機台4の上昇によって該短管6はその弾力性に抗して圧縮され、上記素子1の下面と上記短管6の上面とは連通状態に圧着する。
【0018】
そして上記昇降機台4内には複数の上記注出口5に連通する含浸液流通路11が設けられ、かつ該流通路11に連通する含浸液溜り12が設けられる。
【0019】
上記昇降機台4は図3(ロ)図に示すように該機台4に設けた昇降螺旋13に螺合する正逆回動雌螺子14を正逆駆動螺子15によって間歇正逆回動させることによって間歇昇降させることができ、正逆駆動螺子15は正逆間歇回動ブレーキモータ16の動作によって動作させる。そして上記素子1の横方向停止と上記注出口5の上昇停止とはタイミング制御によって一致させる。
【0020】
上記昇降機台4の含浸液溜り12には間歇動作ポンプPによって含浸槽17内の上記含浸液7を間歇送給することができ、上記素子1とベローズ短管6との圧着による該素子1への含浸液供給と連動して上記ポンプPが動作し、該素子1の上昇後伸長して空となったベローズ短管6内に含浸液7を充満させることができる。
【0021】
尚図3(ロ)図中18は上記昇降機台4の昇降案内ガイド、19は昇降案内杆、図2(ニ)図中20,20’はアルミ箔電極、21は含浸液浸透繊維充填部、22は合成樹脂環、23,23’はリード線2,2’の下端端子である。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明ではリード線2を横向支持板3から分離して上記素子1を電解コンデンサとして各種電気機器に用いることが可能であり、蒸発等による電解含浸液の濃度むらによる品質むらを防止し、かつ含浸量を一定になし得て電解液含浸素子の品質を安定し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の電解含浸液注入装置を示す正面図である。
【図2】(イ)図は機台下降状態の一部拡大正面図、(ロ)図は機台上昇状態の一部拡大正面図、(ニ)図は上記素子の拡大底面図である。
【図3】(イ)図は方形枠及び横向支持板の平面図、(ロ)図は昇降機台及び方形枠の正面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 電解コンデンサ素子
2 リード線
3 横向支持板
4 機台
5 含浸液上向注出口
6 ベローズ短管
7 含浸液
8 方形枠
9 間歇水平移送コンベア
10 機枠
11 含浸液流通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電解コンデンサ素子のそれぞれリード線を横向支持板に溶着してこれらの素子を同一水準に等間隔に下向きに支持し、
機台に上記素子にそれぞれ対応する複数の含浸液上向注出口を開口し、
該注出口から複数のベローズ短管を介して上記素子内に上記含浸液を注入することを特徴とする含浸液注入法。
【請求項2】
複数の電解コンデンサ素子のそれぞれリード線の上端部を横向支持板に溶着してこれらの素子を同一水準に等間隔に下向に方形枠に支持し、該方形枠を間歇水平移送コンベアに支持し、
機枠に設けた間歇昇降機台に上記素子にそれぞれ対応する複数の含浸液上向注出口を開口し、
該注出口にそれぞれ上向ベローズ短管を設け、上記注出口に連通する含浸液流通路を上記昇降機台内に設けてなる含浸液注入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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