説明

含窒素複素環化合物およびそれらを有効成分とする薬剤

本発明は、一般式(I)


(式中、すべての記号は明細書中と同じ意味を表わす。)で示される化合物、その塩、その溶媒和物またはそのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物に関する。本発明化合物は、強いEP2アゴニスト作用、さらに強い眼圧低下作用を有し、かつ眼刺激性が少ないので、眼疾患、例えば緑内障、高眼圧症、黄斑浮腫、黄斑変性、網膜および視神経乳頭の血流減少、網膜および視神経張力上昇、近視、遠視、乱視、ドライアイ、網膜剥離、白内障等の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、(1)一般式(I)

(式中、すべての記号は後記と同じ意味を表わす。)で示される化合物、その塩、その溶媒和物またはそのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物、(2)一般式(I)で示される化合物を含有してなる眼疾患の治療および/または予防剤、および(3)イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレートの結晶に関する。
【背景技術】
緑内障とは眼房水の循環障害により眼房水が蓄積し、持続的に眼圧が上昇し、視神経が圧迫され、一時的または永久的な視野欠損、視力低下を起こす視機能障害を特徴とする眼疾患である。また、発症原因は眼圧上昇であると言われているが、眼圧が正常値でも視神経に障害が現れる場合がある。これを正常または低眼圧緑内障という。反対に、眼圧が高くても視神経障害の現れない場合もある。これを高眼圧症という。上記の緑内障および高眼圧症の治療は、眼圧を下げることが有効である。緑内障および高眼圧症の治療には、例えば薬物治療、レーザー治療、手術治療が挙げられる。薬物治療では副作用を回避する局所投与である点眼剤が主流である。
眼圧下降のための薬剤の作用機序は、房水産生の抑制、および房水流出の促進である。前者には、例えばβブロッカー、炭酸脱水酵素阻害薬が、後者には、例えば副交感神経作動薬、αブロッカー、プロスタグランジン系薬剤が挙げられる。中には両作用を併せ持つ薬剤もある。緑内障の薬物療法は長期にわたるため、副作用をできるだけ抑える必要がある。従って、薬剤の眼圧下降効果と副作用を確認し、副作用の少ない薬剤を選択し、低濃度のものから投与する。1剤で効果が不十分な場合は、高濃度の薬剤あるいは作用機序の異なった薬剤を1剤ずつ追加する。現在、用いられている薬剤としては、例えば交感神経作動薬、副交感神経作動薬、交感神経抑制薬、プロスタグランジン系薬剤、炭酸脱水酵素阻害薬、高張浸透圧薬がある。交感神経抑制薬であるβブロッカーに関連する副作用としては、気管支収縮や息ぎれ、うつ状態、疲労、錯乱、性的不能、抜け毛、心不全、徐脈、血圧の下降、ふらつき等が報告されている。交感神経作動薬である非選択的アドレナリン作動薬の局所使用は、アレルギーや中毒反応を起こす確率がかなり高い。αアゴニストは、眼圧を効果的に下げる。しかしアレルギー反応や薬物耐性(タキフィラキシー)の起こる率が高い。副交感神経作動薬であるコリン作動薬は、まれに白内障、結膜充血の症状が見られる。炭酸脱水酵素阻害薬は、疲労や食欲不振、抑うつ、感覚異常、血清電解質異常、胆石、血液疾患などの副作用がみられることがある。点眼後に口内に嫌な味がすると訴える患者もいる。プロスタグランジン系薬剤として現在用いられている薬剤は、FPアゴニストであるイソプロピルウノストンおよびラタノプロストである。FPアゴニストは房水流出を促進する。房水流出経路には繊維柱帯流出経路およびブドウ膜強膜流出経路があり、FPアゴニストはブドウ膜強膜流出経路からの房水流出を促進することが報告されている。FPアゴニストはアレルギーの発生も少なく、全身性副作用もほとんど見られないが、主な副作用として虹彩、特に薄茶色の虹彩等での色素沈着の増強、ブドウ膜炎悪化等が報告されている。
EP2アゴニストはブドウ膜強膜流出経路からの房水流出を促進するだけでなく、繊維柱帯流出経路からの房水流出を促進させ、眼圧を低下させる。さらに、網膜および視神経神経保護作用も有する。また、EP2アゴニストはメラニン産生細胞に作用しないためFPアゴニストに見られる虹彩着色の副作用等を回避できる。これより、EP2アゴニストは、緑内障治療薬として有用である。
また、医薬品の製造、特に眼科領域の医薬品の製造には、高純度な原薬が必須である。さらにEP2アゴニストのようなプロスタグランジン誘導体は超高活性物質であるので、微量の不純物の混入も回避されなければならない。しかし、EP2アゴニストは一般的に難結晶性の油状化合物であり、かつ蒸留も困難であるため、通常、工業的にはカラムクロマトグラフィーによって精製されている。医薬品製造に用いるために、満足できる程度まで原薬の純度を向上させるには、例えば、粗生成物を複数回カラムクロマトグラフィーで精製するか、化合物を何らかの塩とした後で再結晶するなど、さらに多段階の工程を要する。ただし、再度のカラムクロマトグラフィー精製は工程数の増加に繋がるし、溶媒液の留去には大変手間がかかる。化合物を塩として再結晶を行なうには、化合物の構造中に酸性基もしくは塩基性基を有する必要があり、中性化合物については適用できない。そこで、EP2アゴニストを結晶として得ることができれば、簡便な再結晶操作のみで医薬品として有用な、特に眼科領域に所望されている高純度のEP2アゴニストを提供することができる。
WO2003/74483号パンフレット記載の化合物はEP2アゴニスト作用を有することが知られており、免疫疾患、アレルギー性疾患、神経細胞死、月経困難症、早産、流産、禿頭症、網膜神経障害、勃起不全、関節炎、肺傷害、肺線維症、肺気腫、気管支炎、慢性閉塞性呼吸器疾患、肝傷害、急性肝炎、肝硬変、ショック、腎炎、腎不全、循環器系疾患、全身性炎症反応症候群、敗血症、血球貪食症候群、マクロファージ活性化症候群、スチル病、川崎病、熱傷、全身性肉芽腫、潰瘍性大腸炎、クローン病、透析時の高サイトカイン血症、多臓器不全、骨疾患の予防および/または治療に有用であることが開示されている。しかし、該記載のEP2アゴニストの結晶については、記載も示唆もされていない。
【発明の開示】
本発明の課題は、緑内障治療薬として安全かつ有用なEP2アゴニスト、待にEP2アゴニスト作用を有する高純度な原薬を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、一般式(I)で示される新規化合物が、強いEP2アゴニスト作用を有することを見出した。さらに、一般式(I)で示される本発明化合物は強い眼圧低下作用を有し、かつ眼刺激性も少なく、したがって、本発明化合物が眼疾患、例えば緑内障、高眼圧症、黄斑浮腫、黄斑変性、網膜および視神経乳頭の血流減少、網膜および視神経張力上昇、近視、遠視、乱視、ドライアイ、網膜剥離、白内障等の治療に有効であることを見出した。
医薬品、特に規格の厳格な点眼剤を製造するにあたり、高純度な原薬を簡便な方法で製造することは、医薬品の工業的製造に大変有利であるが、プロスタグランジン誘導体の中でも特に難結晶性として知られるエステル誘導体であるにもかかわらず、結晶化が可能であり、その結晶が簡便な方法(再結晶)によって製造できることを見出した。
さらに驚くべきことに、本発明者らは一般式(I)で示される化合物のうち、医薬品の原薬として大変有用な新規化合物であるイソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレートを結晶化することに成功し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1.下記のA、BおよびCで示される物理化学データのうち、いずれか1つ以上を有することを特徴とするイソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレートの結晶:
A:図1に示される粉末X線回折スペクトルチャート;
B:全反射法を用いて測定される図2に示される赤外吸収スペクトルチャート;
C:図3に示される示差走査熱量測定チャート、
2.下記のA1、B1およびC1で示される物理化学データのうち、いずれか1つ以上を有することを特徴とするイソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレートの結晶:
A1:粉末X線回折スペクトルパターンにおいて、2θが12.82、13.30、15.15、16.71、16.95、18.85、21.06、21.54、22.55、24.25、25.50、26.26、27.06、28.30および29.92である;
B1:全反射法を用いて測定される赤外吸収スペクトルにおいて、1717、1687、1675、1661、1586、1567、1443、1423、1382、1257、1211、1202、1107、1020、949、924、829、798、781、746、667、654、616、569、506、427および411cm−1に吸収ピークを有する;
C1:示差走査熱量測定において、60.6℃に吸熱ピークを有する、
3.99.0%以上の化学純度を有する前記1または2記載の結晶、
4.99.5%以上の化学純度を有する前記1または2記載の結晶、
5.水を含有していてもよい有機溶媒で結晶化して製造された前記1または2記載の結晶、
6.有機溶媒が、芳香族炭素環系溶媒、エステル系溶媒、鎖状エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、低級アルコール系溶媒および有機直鎖アルカン系溶媒から選択される1種の溶媒または2種以上の混合溶媒である前記5記載の結晶、
7.水を含有していてもよい鎖状エーテル系溶媒と、水を含有していてもよい直鎖アルカン系溶媒の混合溶媒で再結晶して製造された前記1または2記載の結晶、
8.EP2アゴニストである前記1または2記載の結晶、
9.眼疾患予防および/または治療作用を有する前記1または2記載の結晶、
10.眼疾患が緑内障または高眼圧症である前記9記載の結晶、
11.前記1または2記載の結晶を用いてなる眼疾患予防および/または治療剤、
12.眼疾患が緑内障または高眼圧症である前記11記載の予防および/または治療剤、
13.前記1または2記載の結晶と交感神経作動薬、副交感神経作動薬、交感神経抑制薬、プロスタグランジン系薬剤、炭酸脱水酵素阻害薬および高張浸透圧薬から選択される1種以上とを組み合わせてなる医薬、
14.前記1または2記載の結晶を用いてなる医薬組成物、
15.前記1または2記載の結晶の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする、哺乳動物における緑内障または高眼圧症予防および/または治療方法、
16.緑内障または高眼圧症予防および/または治療剤を製造するための、前記1または2記載の結晶の使用、
17.一般式(I)

(式中、Aは置換基を有していてもよい炭化水素基を表わし、Rはハロゲン

−配置またはそれらの混合物であることを表わす。)で示される化合物、その塩、その溶媒和物またはそのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物、
18.イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート、エチル 2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート、イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(1E,4S)−4−(1−エチルシクロブチル)−4−ヒドロキシ−1−ブテニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレートおよびブチル 2−[(2−{(2R)−2−[(1E,4S)−4−(1−エチルシクロブチル)−4−ヒドロキシ−1−ブテニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレートからなる群から選ばれる前記17記載の化合物、
19.イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレートである前記18記載の化合物、
20.EP2アゴニストである前記17乃至19記載の化合物、
21.前記17記載の化合物を含有してなる医薬組成物、
22.眼疾患予防および/または治療剤である前記21記載の医薬組成物、
23.眼疾患が緑内障または高眼圧症である前記22記載の医薬組成物、
24.前記17記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物またはそのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする、哺乳動物における緑内障または高眼圧症予防および/または治療方去、および
25.緑内障または高眼圧症予防および/または治療剤を製造するための、前記17記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物またはそのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物の使用に関する。
一般式(I)中、Aで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」としては、例えば直鎖状または分枝状の脂肪族炭化水素基、環状炭化水素基、または環状炭化水素基−脂肪族炭化水素基、環状炭化水素基−環状炭化水素基等が挙げられる。
「直鎖状または分枝状の脂肪族炭化水素基」としては、例えば「C1〜8の脂肪族炭化水素基」等が挙げられ、「C1〜8の脂肪族炭化水素基」としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基等のC1〜8アルキル基、例えばビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル、ヘプタジエニル、オクタジエニル、ヘキサトリエニル、ヘプタトリエニル、オクタトリエニル基等のC2〜8アルケニル基、例えばエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ブタジイニル、ペンタジイニル、ヘキサジイニル、ヘプタジイニル、オクタジイニル、ヘキサトリイニル、ヘプタトリイニル、オクタトリイニル基等のC2〜8アルキニル基等が挙げられる。
「環状炭化水素」としては、「不飽和環状炭化水素」または「飽和環状炭化水素」が挙げられる。「飽和環状炭化水素」としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロウンデカン、シクロドデカン、シクロトリデカン、シクロテトラデカン、シクロペンタデカン等のシクロアルカン、さらに、例えばパーヒドロペンタレン、パーヒドロアズレン、パーヒドロインデン、パーヒドロナフタレン、パーヒドロヘプタレン、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロ[5.5]ウンデカン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、アダマンタン、ノルアダマンタン等の「3〜15員飽和環状炭化水素」等が挙げられる。「不飽和環状炭化水素」としては、例えばシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン等のシクロアルケン、例えばベンゼン、アズレン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン等の芳香族炭化水素、さらに、例えばペンタレン、インデン、インダン、ジヒドロナフタレン、テトラヒドロナフタレン、ヘプタレン、ビフェニレン、as−インダセン、s−インダセン、アセナフテン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタ−2−エン、ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン等の「3〜15員不飽和環状炭化水素」等が挙げられる。
「環状炭化水素基−脂肪族炭化水素基」としては、前記「環状炭化水素基」と「脂肪族炭化水素基」が結合したものが挙げられ、例えばベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、ナフタレン−1−イルメチル等のC7〜16アラルキル基、例えば3−フェニル−2−プロペニル、2−(2−ナフチルビニル)、4−シクロブチル−1−ブテニル等のC8〜16アラルケニル基、例えばシクロプロピルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘキシルプロピル、1−メチル−1−シクロヘキシルメチル等の(C3〜8シクロアルキル)−(C1〜4アルキル)基、例えば3−シクロヘキシルメチル等の(C3〜8シクロアルケニル)−(C1〜4アルキル)等が挙げられる。
「環状炭化水素基−環状炭化水素基」としては、前記「環状炭化水素基」と「環状炭化水素基」が結合したものが挙げられ、例えば3−フェニルフェニル、4−フェニルフェニル等が挙げられる。
Aで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」における「置換基」としては、(1)置換基(例えば、C1〜4アルキル基、アミノ基、スルホ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、オキソ基、チオキソ基、水酸基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基等)を有していてもよい炭化水素基(ここで、この「炭化水素基」は、前記の「炭化水素基」と同じ意味を表わす。)、(2)置換基(例えば、炭化水素基、アミノ基、スルホ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、オキソ基、チオキソ基、水酸基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、アセチル基等)を有していてもよい複素環基、(3)アミノ基、(4)例えばアセチルアミノ、プロピオニルアミノ等のC1〜6アシルアミノ、(5)例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、ヘプチルアミノ、オクチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、1−カルバモイル−2−シクロヘキシルエチルアミノ、N−ブチル−N−シクロヘキシルメチルアミノ、フェニルアミノ、6,6−ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプチルメチルアミノ等の炭化水素基で置換された第1または第2アミノ基(ここで、この「炭化水素基」は、前記の「炭化水素基」と同じ意味を表わし、ハロゲン原子、オキソ、アミノ、カルバモイル等で置換されていてもよい。)、(6)例えばメチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ等C1〜4アルキルスルホニルアミノ基、(7)フェニルスルホニルアミノ基、(8)例えばメチルスルホニル、エチルスルホニル等のC1〜4アルキルスルホニル基、(9)フェニルスルホニル基、(10)ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、(11)カルボキシル基、(12)シアノ基、(13)ニトロ基、(14)オキソ基、(15)チオキソ基、(16)水酸基、(17)例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、シクロヘキシルメチルオキシ、ベンジルオキシ等のC1〜10アルコキシ基、(18)例えばシクロヘキシルオキシ等のC3〜8シクロアルコキシ基、(19)例えばC1〜4アルキル基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ等で置換されていてもよいフェノキシ基、(20)5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフチルオキシ基、(21)メルカプト基、(22)例えばメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ基、ブチルチオ、tert−ブチルチオ等のC1〜4アルキルチオ基、(23)フェニルチオ基、(24)カルバモイル基、(25)N−ブチルアミノカルボニル、N−シクロヘキシルメチルアミノカルボニル、N−ブチル−N−シクロヘキシルメチルアミノカルボニル、N−シクロヘキシルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル等のC1〜8炭化水素基で置換されたアミノカルボニル基(ここで、この「炭化水素基」は、前記の「炭化水素基」と同じ意味を表わす。)、(26)スルファモイル基、(27)例えばメチルアミノスルホニル等の炭化水素基で置換されたアミノスルホニル基(ここで、この「炭化水素基」は、前記の「炭化水素基」と同じ意味を表わす。)、(28)例えばジメチルアミノエチルアミノスルホニル、ジメチルアミノプロピルアミノスルホニル等のアミノ基で置換された炭化水素基によって置換されたアミノスルホニル基(ここで、この「炭化水素基」は、前記の「炭化水素基」と同じ意味を表わす。)、(29)例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル等のC1〜6アルコキシカルボニル基、(30)スルホ基(−SOH)、(31)スルフィノ基、(32)ホスホノ基、(33)アミジノ基、(34)イミノ基、(35)−B(OH)基、(36)例えばメチルスルフィニル、エチルスルフィニル等のC1〜4アルキルスルフィニル、(37)例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル等のC1〜6アシル基、(38)ベンゾイル、(39)ヒドロキシイミノ基、(40)例えばメチルオキシイミノ、エチルオキシイミノ等のアルキルオキシイミノ基等が挙げられる。「置換基を有していてもよい炭化水素基」は、前記(1)〜(40)から選ばれた1〜5個の置換基を有していてもよく、置換基の数が2以上の場合、それぞれの置換基は同一または異なっていてもよい。
Aで示される「炭化水素基」の置換基としての「複素環」とは、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子から選ばれる1〜7個のヘテロ原子を含んでいてもよい単環、二環または三環式複素環を表わす。「複素環」としては、例えば「3〜15員不飽和単環、二環または三環式複素環」、「3〜15員飽和単環、二環または三環式複素環」等が挙げられる。
「3〜15員不飽和単環、二環または三環式複素環」としては、例えば、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、フラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、オキサジアゾール、チアジアゾール環等の芳香族単環式複素環、例えば、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、インダゾール、キノリン、イソキノリン、プリン、フタラジン、プテリジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾフラザン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、カルバゾール、β−カルボリン、アクリジン、フェナジン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェナントリジン、フェナントロリン、ペリミジン環等の芳香族縮合複素環、例えば、アゼピン、ジアゼピン、ピラン、オキセピン、チオピラン、チエピン、オキサジン、オキサジアジン、オキサゼピン、オキサジアゼピン、チアジン、チアジアジン、チアゼピン、チアジアゼピン、インドリジン、ジチアナフタレン、キノリジン、クロメン、ベンゾオキセピン、ベンゾオキサゼピン、ベンゾオキサジアゼピン、ベンゾチエピン、ベンゾチアゼピン、ベンゾチアジアゼピン、ベンゾアゼピン、ベンゾジアゼピン、キサンテン、フェノチアジン、フェノキサジン、フェノキサチイン、チアンスレン、ピロリン、イミダゾリン、トリアゾリン、テトラゾリン、ピラゾリン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、テトラヒドロトリアジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、ジヒドロフラン、ジヒドロピラン、ジヒドロオキセピン、テトラヒドロオキセピン、ジヒドロチオフェン、ジヒドロチオピラン、ジヒドロチエピン、テトラヒドロチエピン、ジヒドロオキサゾール、ジヒドロイソオキサゾール、ジヒドロチアゾール、ジヒドロイソチアゾール、ジヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、ジヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、ジヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、インドリン、イソインドリン、ジヒドロベンゾフラン、ジヒドロイソベンゾフラン、ジヒドロベンゾチオフェン、ジヒドロイソベンゾチオフェン、ジヒドロインダゾール、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ジヒドロフタラジン、テトラヒドロフタラジン、ジヒドロナフチリジン、テトラヒドロナフチリジン、ジヒドロキノキサリン、テトラヒドロキノキサリン、ジヒドロキナゾリン、テトラヒドロキナゾリン、ジヒドロシンノリン、テトラヒドロシンノリン、ベンゾオキサチアン、ジヒドロベンゾオキサジン、ジヒドロベンゾチアジン、ピラジノモルホリン、ジヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイミダゾール、ジヒドロベンゾアゼピン、テトラヒドロベンゾアゼピン、ジヒドロベンゾジアゼピン、テトラヒドロベンゾジアゼピン、ベンゾジオキセパン、ジヒドロベンゾオキサゼピン、テトラヒドロベンゾオキサゼピン、ジヒドロカルバゾール、テトラヒドロカルバゾール、ジヒドロ−β−カルボリン、テトラヒドロ−β−カルボリン、ジヒドロアクリジン、テトラヒドロアクリジン、ジヒドロジベンゾフラン、ジヒドロジベンゾチオフェン、テトラヒドロジベンゾフラン、テトラヒドロジベンゾチオフェン、ジオキサインダン、ベンゾジオキサン、クロマン、ベンゾジチオラン、ベンゾジチアン、6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリド[4’,3’:4,5]ピロロ[2,3−b]ピリジン、2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[4,3−b]インドール、6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[2,3−b]ピリジン環等の非芳香族不飽和複素環等が挙げられる。また、「3〜15員飽和単環、二環または三環式複素環」としては、例えば、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、イミダゾリジン、トリアゾリジン、テトラゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、パーヒドロピリミジン、パーヒドロピリダジン、パーヒドロアゼピン、パーヒドロジアゼピン、パーヒドロアゾシン、オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、パーヒドロオキセピン、チイラン、チエタン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン、パーヒドロチエピン、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、テトラヒドロフラザン、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、テトラヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジアジン、パーヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、テトラヒドロチアジン、テトラヒドロチアジアジン、パーヒドロチアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン、オキサチアン、パーヒドロベンゾフラン、パーヒドロイソベンゾフラン、パーヒドロベンゾチオフェン、パーヒドロイソベンゾチオフェン、パーヒドロインダゾール、パーヒドロキノリン、パーヒドロイソキノリン、パーヒドロフタラジン、パーヒドロナフチリジン、パーヒドロキノキサリン、パーヒドロキナゾリン、パーヒドロシンノリン、パーヒドロベンゾオキサゾール、パーヒドロベンゾチアゾール、パーヒドロベンゾイミダゾール、パーヒドロカルバゾール、パーヒドロ−β−カルボリン、パーヒドロアクリジン、パーヒドロジベンゾフラン、パーヒドロジベンゾチオフェン、ジオキソラン、ジオキサン、ジチオラン、ジチアン環等が挙げられる。
で示される「ハロゲンで置換されていてもよいC1〜6炭化水素基」における「C1〜6炭化水素基」としては、例えば、C1〜6脂肪族炭化水素基またはC1〜6環状炭化水素基等が挙げられる。ここで、「脂肪族炭化水素基」および「環状炭化水素基」は前記と同じ意味を表わす。Rとして好ましくは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、トリフルオロエチル、シクロヘキシルまたはフェニル等が挙げられる。
一般式(I)で示される化合物として、好ましくは、例えば実施例で記載された化合物等が挙げられる。
さらに好ましくは、イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート、エチル 2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート、イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(1E,4S)−4−(1−エチルシクロブチル)−4−ヒドロキシ−1−ブテニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート、ブチル 2−[(2−{(2R)−2−[(1E,4S)−4−(1−エチルシクロブチル)−4−ヒドロキシ−1−ブテニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート等が挙げられる。
本発明においては、特に断わらない限り、当業者にとって明らかなように

は、α−配置とβ−配置の混合物であることを表わす。
本発明においては、特に指示しない限り異性体はこれをすべて包含する。例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基には直鎖のものおよび分枝鎖のものが含まれる。さらに、二重結合、環、縮合環における異性体(E、Z、シス、トランス体)、不斉炭素の存在等による異性体(R、S体、α、β配置、エナンチオマー、ジアステレオマー)、旋光性を有する光学活性体(D、L、d、l体)、クロマトグラフ分離による極性体(高極性体、低極性体)、平衡化合物、回転異性体、これらの任意の割合の混合物、ラセミ混合物は、すべて本発明に含まれる。
本発明における光学活性な化合物は100%純粋なものだけでなく、50%未満のその他の光学異性体を含むものでよい。
一般式(I)で示される化合物は、公知の方法で塩に変換される。塩としては薬理学的に許容される塩が好ましい。
塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、酸付加塩等が挙げられる。
塩は、水溶性のものが好ましい。適当な塩としては、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩、薬学的に許容される有機アミン(テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等)の塩が挙げられる。
酸付加塩は水溶性であることが好ましい。適当な酸付加塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩のような無機酸塩、または酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩のような有機酸塩が挙げられる。
一般式(I)で示される化合物およびその塩は、溶媒和物に変換することもできる。
溶媒和物は非毒性かつ水溶性であることが好ましい。適当な溶媒和物としては、例えば水、アルコール系の溶媒(例えば、エタノール等)のような溶媒和物が挙げられる。
一般式(I)で示される化合物またはその薬理学的に許容される塩はすべて好ましい。具体的には、実施例に記載した化合物またはその薬理学的に許容される塩が挙げられる。
さらに塩には、四級アンモニウム塩も含まれる。四級アンモニウム塩とは、本発明化合物の窒素原子が、R基によって四級化されたものを表わす。ここで、R基は、C1〜8アルキル基、フェニル基によって置換されたC1〜8アルキル基を表わす。
本発明化合物は任意の方法でN−オキシドにすることができる。N−オキシドとは、本発明化合物の窒素原子が、酸化されたものを表わす。
本発明化合物は、α−、β−あるいはγ−シクロデキストリン、あるいはこれらの混合物を用いて、特公昭50−3362号、同52−31404号または同61−52146号明細書記載の方法を用いることによりシクロデキストリン包接化合物に変換することができる。シクロデキストリン包接化合物に変換することにより、安定性が増大し、また水溶性が大きくなるため、薬剤として使用する際、好都合である。
また、本発明化合物のプロドラッグは、生体内において酵素や胃酸等による反応により本発明化合物に変換される化合物をいう。本発明化合物のプロドラッグとしては、本発明化合物がアミノ基を有する場合、アミノ基がアシル化、アルキル化、リン酸化された化合物(例えば、本発明化合物のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、アセトキシメチル化、tert−ブチル化された化合物など);本発明化合物が水酸基を有する場合、水酸基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物(例えば、本発明化合物の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物など);本発明化合物がカルボキシ基を有する場合、カルボキシ基がエステル化、アミド化された化合物(例えば、本発明化合物のカルボキシ基がメチルエステル化、エチルエステル化、プロピルエステル化、イソプロピルエステル化、ブチルエステル化、イソブチルエステル化、sec−ブチルエステル化、tert−ブチルエステル化、ペンチルエステル化、イソペンチルエステル化、ネオペンチルエステル化、シクロペンチルエステル化、ヘキシルエステル化、シクロヘキシルエステル化、トリフルオロエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物など)等が挙げられる。これらの化合物はそれ自体公知の方法によって製造することができる。また、本発明化合物のプロドラッグは溶媒和物および非溶媒和物のいずれであってもよい。
イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(以下、化合物1と略す。)の結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる図1に示される粉末X線回折スペクトル、または、以下の表1で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。

化合物1の結晶は、全反射法を用いて測定した図2で示される赤外吸収スペクトル(IR)、または、1717、1687、1675、1661、1586、1567、1443、1423、1382、1257、1211、1202、1107、1020、949、924、829、798、781、746、667、654、616、569、506、427および411cm−1の吸収ピークによっても特徴づけられる。
化合物1の結晶は、図3で示される示差走査熱量測定(DSC)チャート、または、約60℃の吸熱ピークによっても特徴づけられる。
化合物1の結晶は、本明細書に記載の物理化学的性質によって特定されるものであるが、各スペクトルデータはその性質上多少変わり得るものであるから、厳密に解されるべきではない。
例えば、粉末X線回折スペクトルデータの性質上、結晶の同一性の認定においては、回折角(2θ)や全体的なパターンが重要であり、相対強度は結晶成長の方向、粒子の大きさ、測定条件によって多少変わり得る。
また、赤外吸収(IR)スペクトルにおいても、結晶の同一性の認定においては、全体的なパターンが重要であり、測定条件によって多少変わり得る。
さらに、示差走査熱量測定(DSC)データにおいても、結晶の同一性の認定においては、全体的なパターンが重要であり、測定条件によって多少変わり得る。
したがって、本発明の化合物1の結晶の粉末X線回折スペクトル、赤外吸収(IR)スペクトルまたは示差走査熱量測定(DSC)データとパターンが全体的に類似するものは、化合物1の結晶に含まれるものである。
結晶の化学純度としては、97.0%以上のものが好ましく、さらに好ましくは、99.0%以上、特に好ましくは、99.5%以上が好ましい。
[本発明化合物の製造方法]
一般式(I)で示される本発明化合物は、公知の方法、例えばComprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations,2nd Edition(Richard C.Larock,John Wiley & Sons Inc,1999)またはWO2003/74483号パンフレットに記載された方法か、それに準じた方法または実施例に示す方法等を適宜改良し、組み合わせて用いることで製造することができる。
一般式(I)で示される化合物は、一般式(II)

(式中、全ての記号は前記と同じ意味を表わす。)で示されるカルボン酸誘導体と、

(式中、Rは前記と同じ意味を表わす。)で示されるアルコールを、下記のエステル化反応に付し、必要に応じて再結晶することによって製造することができる。
エステル化反応は公知であり、例えば、(1)酸触媒存在下脱水縮合反応、(2)エステル交換反応等が挙げられる。
(1)酸触媒存在下脱水縮合反応
一般式(I)で示される化合物は、例えば、一般式(II)で示されるカルボン酸誘導体を、有機溶媒(一般式(III)で示されるアルコールまたは該アルコールと他の有機溶媒との混合溶媒)中、酸(無機酸(例えば、硫酸、塩酸等)、有機酸(例えば、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等)、またはルイス酸(例えば、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等))存在下、0℃から100℃で反応させることにより製造することができる。
(2)エステル交換反応
一般式(I)で示される化合物は、例えば、一般式(II)で示されるカルボン酸誘導体のメチルエステル等の単純なエステルを、一般式(III)で示されるアルコール溶媒中、酸(無機酸(例えば、硫酸、塩酸等)、有機酸(例えば、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等)、またはルイス酸(例えば、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等))、塩基(例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、t−ブトキシカリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等)、またはチタンアルコキシド(例えば、チタンテトライソプロポキシド等)の存在下、0℃から100℃で反応させることにより製造することができる。
また、上記のエステル化反応以外にも、下記に記したエステル化反応、例えば、(3)酸ハライドを用いる方法、(4)混合酸無水物を用いる方法、(5)縮合剤を用いる方法等を用いることもできる。
これらの方法を以下に具体的に説明する。
(3)酸ハライドを用いる方法は、例えば、カルボン酸を有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中または無溶媒で、酸ハライド化剤(オキザリルクロライド、チオニルクロライド等)と−20℃〜還流温度で反応させ、得られた酸ハライドを塩基(ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミン等)の存在下、アルコールと有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中、0〜40℃の温度で反応させることにより行なわれる。また、有機溶媒(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)中、アルカリ水溶液(重曹水または水酸化ナトリウム溶液等)を用いて、酸ハライドと0〜40℃で反応させることにより行なうこともできる。
(4)混合酸無水物を用いる方法は、例えば、カルボン酸を有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中または無溶媒で、塩基(ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミン等)の存在下、酸ハライド(ピバロイルクロライド、トシルクロライド、メシルクロライド等)、または酸誘導体(クロロギ酸エチル、クロロギ酸イソブチル等)と、0〜40℃で反応させ、得られた混合酸無水物を有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中、アルコールと0〜40℃で反応させることにより行なわれる。
(5)縮合剤を用いる方法は、例えば、カルボン酸とアルコールを、有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中、または無溶媒で、塩基(ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン等)の存在下または非存在下、縮合剤(1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド(EDC)、1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨウ素、1−プロピルホスホン酸環状無水物(1−propanephosphonic acid cyclic anhydride、PPA)等)を用い、1−ヒドロキシベンズトリアゾール(HOBt)を用いるか用いないで、0〜40℃で反応させることにより行なわれる。
また、一般式(I)で示される化合物は、一般式(II)で示されるカルボン酸誘導体と、一般式(IV)

(式中、Xはハロゲン原子を表わし、Rは前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物を、下記のエステル化反応に付すことによっても製造することができる。
このエステル化反応は公知であり、例えば、一般式(I)で示される化合物は、一般式(II)で示されるカルボン酸誘導体と一般式(IV)で示される化合物を有機溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルイミダゾリジノン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム等)中、塩基(例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム、t−ブトキシカリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等)存在下、0℃から100℃で反応させることにより製造することができる。
以上のエステル化反応は、アルゴンや窒素など不活性ガス存在下、非存在下どちらでも行なうことができる。
上記製造方法において、一般式(II)で示される化合物は、WO2003/74483号明細書に記載された方法または一部改変した方法によって製造することができる。
その他の試薬として用いる化合物は、それ自体公知であるか、あるいは公知の方法、例えば、Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations,2nd Edition(Richard C.Larock,John Wiley & Sons Inc,1999)またはElmer J.Rauckman et.al.,J.Org.Chem.,vol.41,No.3,1976,p564−565等に記載された方法等を組み合わせて用いることで容易に製造することができる。
本明細書中の各反応において、加熱を伴なう反応は、当業者にとって明らかなように、水浴、油浴、砂浴またはマイクロウェーブを用いて行なうことができる。
本明細書中の各反応において、適宜、高分子ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリプロピレン、ポリエチレングリコール等)に担持させた固相担持試薬を用いてもよい。
本明細書中の各反応において、反応生成物は通常の精製手段、例えば、常圧下または減圧下における蒸留、シリカゲルまたはケイ酸マグネシウムを用いた高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、イオン交換樹脂、スカベンジャー樹脂あるいはカラムクロマトグラフィーまたは洗浄、再結晶などの方法により精製することができる。精製は各反応ごとに行なってもよいし、いくつかの反応終了後に行なってもよい。
一般式(I)で示される化合物のうち、化合物1の結晶は、実施例または以下に記載した方法で製造することができる。
すなわち、化合物1の結晶は、化合物1を、水を含有していてもよい芳香族炭素環系溶媒、エステル系溶媒、鎖状エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒および低級アルコール系溶媒から選ばれる少なくとも一種の溶媒を用いるか、または1種もしくはそれ以上の前記溶媒と水を含有していてもよい直鎖アルカン系溶媒を混用して再結晶処理を行なうことよって製造することができる。
再結晶には、溶質が溶解しやすい好溶媒(良溶媒)である、水を含有していてもよい芳香族炭素環系溶媒(例えば、トルエン等)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等)、鎖状エーテル系溶媒(例えば、t−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン等)、ケトン系溶媒(例えば、アセトン等)、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル)または低級アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等)を単一の溶媒として用いてもよいし、複数の溶媒、例えば複数の好溶媒(良溶媒)の混合溶媒や、好溶媒(良溶媒)と、溶質が溶解しにくい貧溶媒である、水を含有していてもよい直鎖アルカン系溶媒(例えば、ヘキサン、ヘプタン等)との混合溶媒を用いてもよい。操作の順番は、溶質が好溶媒(良溶媒)に溶解した溶液を貧溶媒に加えてもよいし、貧溶媒を溶質が好溶媒(良溶媒)に溶解した溶液に加えてもよい。
化合物1の結晶を得るために用いられる好ましい再結晶溶媒としては、水を含有していてもよい鎖状エーテル系溶媒および水を含有していてもよい直鎖アルカン系溶媒の混合溶媒が挙げられる。具体的には、例えば、ジイソプロピルエーテルとヘプタンの混合溶媒、またはt−ブチルメチルエーテルとヘプタンの混合溶媒等が挙げられる。
[毒性]
一般式(I)で示される化合物の毒性は非常に低いものであり、医薬として使用するために十分安全である。
[医薬品への適用]
一般式(I)で示される本発明化合物はEP2アゴニスト作用を有し、眼圧低下作用、網膜および視神経保護作用、さらに視神経乳頭循環改善作用を有するので、眼疾患、例えば緑内障、高眼圧症、黄斑浮腫、黄斑変性、網膜および視神経乳頭の血流減少、網膜および視神経張力上昇、近視、遠視、乱視、ドライアイ、網膜剥離、白内障等の予防および/または治療に有効である。
一般式(I)で示される化合物は、1)その化合物の治療効果の補完および/または増強、2)その化合物の動態・吸収改善、投与量の低減、および/または3)その化合物の副作用の軽減のために他の薬剤と組み合わせて、併用剤として投与してもよい。
本発明化合物と他の薬剤の併用剤は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。この別々の製剤にして投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、本発明の剤を先に投与し、他の薬剤を後に投与してもよいし、他の薬剤を先に投与し、本発明の剤を後に投与してもかまわず、それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。
他の薬剤は、低分子化合物であってもよく、また高分子の蛋白、ポリペプチド、ポリヌクレオチド(DNA、RNA、遺伝子)、アンチセンス、デコイ、抗体であるか、またはワクチン等であってもよい。他の薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明の剤と他の薬剤の配合比は、投与対象の年齢および体重、投与方法、投与時間などにより適宜選択することができる。例えば、本発明の剤1質量部に対し、他の薬剤を0.01乃至100質量部用いればよい。他の薬剤は、例えば以下に示す同種群および異種群から任意の1種または2種以上を適宜の割合で組み合わせて投与してもよい。また、本発明化合物の治療効果を補完および/または増強する他の薬剤には、上記したメカニズムに基づいて、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。
他の薬剤としては、例えば、交感神経作動薬(αアゴニスト:例えば、塩酸アプラクロニジン等、βアゴニスト:例えば、塩酸ジピベフリン等)、副交感神経作動薬(例えば、塩酸ピロカルピン、カルバコール、または臭化ジスチグミン等)、交感神経抑制薬(αブロッカー:例えば、塩酸ブナゾシン等、βブロッカー:例えば、マレイン酸チモロール、塩酸ベフノロール、塩酸カルテオロール、または塩酸ベタキソロール等、αβブロッカー:例えば、塩酸レボブノロール、ニプラジロール等)、プロスタグランジン系薬剤(例えば、イソプロピルウノプロストン、ラタノプロスト、FPアゴニスト、EP2アゴニスト、またはDPアゴニスト等)、炭酸脱水酵素阻害薬(例えば、アセタゾラミド、ジクロフェナミド、メタゾラミド、塩酸ドルゾラミド、またはブリンゾラミド等)、高張浸透圧薬(例えば、グリセリン、グリセリンおよび果糖の配合製剤、イソソルビド、またはD−マンニトール等)等が挙げられる。
本発明化合物は、人間および動物に生じる眼疾患に対して治療・抑制効果を奏する。より好ましくは、緑内障治療剤として用いられる。
本発明化合物は、必要に応じて、医薬として許容される添加剤を加え、単独製剤または配合製剤として汎用されている技術を用いて製剤化することができる。
一般式(I)で示される本発明化合物、または一般式(I)で示される化合物と他の薬剤の併用剤を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。経口剤としては、例えば、内服用液剤(例えば、エリキシル剤、シロップ剤、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤、乳剤)、内服用固形剤(例えば、錠剤(舌下錠、口腔内崩壊錠を含む)、丸剤、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル、ゼラチンカプセル、マイクロカプセルを含む)、散剤、顆粒剤、トローチ剤)等が挙げられる。非経口剤としては、例えば、液剤(例えば、注射剤(皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤、点滴剤等)、点眼剤(例えば、水性点眼剤(水性点眼液、水性懸濁点眼液、粘性点眼液、可溶化点眼液等)、非水性点眼剤(非水性点眼液、非水性懸濁点眼液等))等)、外用剤(例えば、軟膏(眼軟膏等)等が挙げられる。これらの製剤は、速放性製剤、徐放性製剤などの放出制御剤であってもよい。これらの製剤は公知の方法、例えば日本薬局方に記載の方法等により製造することができる。
経口剤としての内服用液剤は、例えば、有効成分を一般的に用いられる希釈剤(例えば、精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化されることにより製造される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
経口剤としての内服用固形剤は、例えば、有効成分を賦形剤(例えば、ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(例えば、繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合し、常法に従って製剤化される。また、必要によりコーティング剤(例えば、白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。
非経口剤としての外用剤は公知の方法または通常使用されている処方により製造される。例えば、軟膏剤は有効成分を基剤に研和、または溶融させて製造される。軟膏基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸または高級脂肪酸エステル(例えば、アジピン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アジピン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル等)、ロウ類(例えば、ミツロウ、鯨ロウ、セレシン等)、界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等)、高級アルコール(例えば、セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等)、シリコン油(例えば、ジメチルポリシロキサン等)、炭化水素類(例えば、親水ワセリン、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン等)、グリコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マクロゴール等)、植物油(例えば、ヒマシ油、オリーブ油、ごま油、テレピン油等)、動物油(例えば、ミンク油、卵黄油、スクワラン、スクワレン等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保湿剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
非経口剤としての注射剤には溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含される。注射剤は、例えば有効成分を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤として、例えば注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
本発明化合物を眼疾患治療剤として用いる場合の好ましい投与剤型としては、点眼剤、眼軟膏、錠剤等が挙げられるが、より好ましくは点眼剤または眼軟膏である。これらは汎用されている技術を用いて製剤化することができる。例えば、点眼剤であれば、添加物として、等張化剤、緩衝剤、pH調節剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、保存剤等を適宜配合することができる。また、pH調節剤、増粘剤、分散剤などを添加し、薬物を懸濁化させることによって、安定な点眼剤を得ることもできる。
等張化剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ソルビトール、マンニトール等を挙げることができる。
緩衝剤としては、例えば、リン酸、リン酸塩、クエン酸、酢酸、ε−アミノカプロン酸等を挙げることができる。
pH調節剤としては、例えば、塩酸、クエン酸、リン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ホウ酸、ホウ砂、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等を挙げることができる。
可溶化剤としては、例えば、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、マクロゴール4000等を挙げることができる。
増粘剤、分散剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等を、また、安定化剤としては、例えば、エデト酸、エデト酸ナトリウム等を挙げることができる。
保存剤(防腐剤)としては、例えば、汎用のソルビン酸、ソルビン酸カリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クロロブタノール等が挙げられ、これらの保存剤を組み合わせて使用することもできる。
本発明化合物を含有する点眼剤は、pHを4.0〜8.5に設定することが望ましく、また、浸透圧比を1.0付近に設定することが望ましい。
本発明化合物を眼疾患治療剤として用いる場合の有効成分の投与量は症状、年令、剤型等によって適宜選択できるが、経口剤であれば、好ましくは1〜100mg、より好ましくは5〜30mgを1日1〜数回(例えば、1〜3回)投与すればよい。点眼剤であれば好ましくは0.000001〜1%(w/v)、より好ましくは0.00001〜0.01%(w/v)の濃度のものを1回量1〜数滴を1日1〜数回(例えば、1〜8回)点眼すればよい。また、眼軟膏であれば好ましくは0.000001〜1%(w/w)、より好ましくは0.00001〜0.01%(w/w)の濃度のものを1日1〜数回(例えば、1〜4回)塗布すればよい。
もちろん前記したように、投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて必要な場合もある。
【発明の効果】
本発明化合物は強いEP2アゴニスト作用を有する。さらに、本発明化合物は強い眼圧降下作用を有し、眼刺激性も少ない。したがって、眼疾患、例えば緑内障、高眼圧症、黄斑浮腫、黄斑変性、網膜および視神経乳頭の血流減少、網膜および視神経張力上昇、近視、遠視、乱視、ドライアイ、網膜剥離、白内障等の予防および/または治療に有効である。また、イソプロピル2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレートの結晶は、医薬品の高純度な原薬として有用である。
【図面の簡単な説明】
図1は、イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物1)の結晶の粉末X線回折スペクトルチャートを示す。
図2は、化合物1の結晶の赤外線吸収(IR)スペクトルチャートを示す。
図3は、化合物1の結晶の示差走査熱量測定(DSC)チャートを示す。
図4は、化合物1の点眼前および点眼後の処置眼と対照眼の眼圧差を示すグラフである。
図5は、化合物1の眼刺激性を示すグラフである。
図6は、化合物1−2の点眼前および点眼後の処置眼と対照眼の眼圧差を示すグラフである。
図7は、化合物1−2の眼刺激性を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、実施例によって本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
クロマトグラフィーによる分離の箇所およびTLCに示されているカッコ内の溶媒は、使用した溶出溶媒または展開溶媒を示し、割合は体積比を表わす。
NMRデータは特に記載しない限り、H−NMRのデータである。
NMRの箇所に示されているカッコ内は測定に使用した溶媒を示す。
本明細書中に用いた化合物名は、一般的にIUPACの規則に準じて命名を行なうコンピュータプログラム、ACD/Name(登録商標、Advanced Chemistry Development Inc.社製)またはACD/Nameバッチ(登録商標、Advanced Chemistry Development Inc.社製)を用いるか、または、IUPAC命名法に準じて命名したものである。例えば、

で示される化合物は、イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(1E,4S)−4−(1−エチルシクロブチル)−4−ヒドロキシ−1−ブテニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレートと命名された。
実施例で原料物質として用いたカルボン酸誘導体はWO2003/74483号に記載されている。例えば2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸はWO2003/74483号の実施例6(32)で製造した化合物である。
【実施例1】
イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物1)

アルゴン雰囲気下、2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸(50mg)およびヨウ化イソプロピル(29mg)のジメチルホルムアミド(1mL)溶液に、無水炭酸カリウム(31mg)を加え、室温で10時間、70℃で2時間撹拌した。反応溶液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1→酢酸エチル)で精製して、下記物性値を有する標題化合物を油状物(50mg)として得た。
TLC:Rf0.32(n−ヘキサン:酢酸エチル,1:1);
NMR(CDCl):δ 1.37(d,J=6.30Hz,6H)2.06(m,1H)2.23(m,1H)2.39(ddd,J=17.00,9.90,5.30Hz,1H)2.58(ddd,J=17.00,10.20,7.20Hz,1H)3.26(ddd,J=13.60,9.60,5.60Hz,1H)3.47(ddd,J=13.60,9.80,5.20Hz,1H)3.61(ddd,J=13.70,9.60,5.40Hz,1H)3.85(ddd,J=13.70,9.80,5.70Hz,1H)4.01(dd,J=10.40,3.10Hz,1H)4.14(m,1H)4.70(dd,J=10.40,2.90Hz,1H)5.28(sept,J=6.30,Hz,1H)6.88(d,J=1.80Hz,2H)6.93(t,J=1.80Hz,1H)7.96(s,1H)。
実施例1(1)〜(24)
2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボン酸の代わりに対応するカルボン酸誘導体を用いて、ヨウ化イソプロピルを用いるか、その代わりに対応するヨウ化物を用いて、実施例1と同様の操作に付し、以下の本発明化合物を得た。
実施例1(1):エチル 2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物1−1)
TLC:Rf0.47(トルエン:酢酸エチル=1:1);
NMR(CDCl):δ1.40(t,J=7.10Hz,3H)2.05(m,1H)2.24(m,1H)2.39(ddd,J=16.80,10.00,5.40Hz,1H)2.58(ddd,J=16.80,10.00,6.90Hz,1H)3.27(ddd,J=13.80,9.60,5.40Hz,1H)3.47(ddd,J=13.80,9.60,5.40Hz,1H)3.61(ddd,J=13.80,9.60,5.40Hz,1H)3.85(ddd,J=13.80,9.60,5.40Hz,1H)4.01(dd,J=10.20,3.30Hz,1H)4.13(m,1H)4.40(m,2H)4.67(dd,J=10.20,3.00Hz,1H)6.87(d,J=1.80Hz,2H)6.93(t,J=1.80Hz,1H)7.99(s,1H)。
実施例1(2):イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(1E,4S)−4−(1−エチルシクロブチル)−4−ヒドロキシ−1−ブテニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物1−2)
TLC:Rf0.56(酢酸エチル);
NMR(CDCl):δ 0.90(t,J=7.50Hz,3H)1.37(d,J=6.30Hz,6H)1.41(m,1H)1.81(m,10H)2.31(m,4H)3.46(m,4H)3.81(m,1H)4.20(m,1H)5.24(sept,J=6.30Hz,1H)5.39(dd,J=15.00,8.90Hz,1H)5.83(dt,J=15.00,7.30Hz,1H)7.98(s,1H)。
実施例1(3):ブチル 2−[(2−{(2R)−2−[(1E,4S)−4−(1−エチルシクロブチル)−4−ヒドロキシ−1−ブテニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物1−3)
TLC:Rf0.60(酢酸エチル);
NMR(CDCl):δ 0.90(t,J=7.50Hz,3H)0.97(t,J=7.30Hz,3H)1.43(m,3H)1.81(m,13H)2.31(m,4H)3.45(m,4H)4.19(m,1H)4.33(t,J=6.80Hz,2H)5.39(dd,J=15.20,8.80Hz,1H)5.82(dt,J=15.20,7.20Hz,1H)7.99(s,1H)。
実施例1(4):イソプロピル 2−{[2−((2R)−2−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェノキシ]メチル}−5−オキソピロリジン−1−イル)エチル]チオ}−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物1−4)
TLC:Rf0.42(酢酸エチル);
NMR(CDCl):δ 1.36(d,J=6.22Hz,6H)2.10(m,1H)2.32(m,2H)2.75(m,1H)3.33(m,1H)3.49(m,1H)3.67(m,1H)3.85(m,1H)4.10(dd,J=10.16,3.57Hz,1H)4.20(m,1H)4.71(dd,J=10.16,2.84Hz,1H)5.22(m,1H)7.26(m,3H)7.94(s,1H)。
実施例1(5):イソプロピル 2−[(2−{(5R)−2−オキソ−5−[(2,3,4−トリクロロフェノキシ)メチル]ピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物1−5)
TLC:Rf0.42(酢酸エチル);
NMR(CDCl):δ 1.36(d,J=6.30Hz,3H)1.37(d,J=6.30Hz,3H)2.10(m,1H)2.34(m,2H)2.73(m,1H)3.29(m,1H)3.47(m,1H)3.66(m,1H)3.81(m,1H)4.07(dd,J=10.07,3.39Hz,1H)4.17(m,1H)4.72(dd,J=10.07,2.56Hz,1H)5.22(m,1H)7.01(d,J=8.97Hz,1H)7.24(d,J=8.97Hz,1H)7.94(s,1H)。
実施例1(6):イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(4−クロロ−3,5−ジメチルフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物1−6)
TLC:Rf0.45(酢酸エチル);
NMR(CDCl):δ 1.36(d,J=6.22Hz,6H)2.02(m,1H)2.29(m,2H)2.29(s,6H)2.57(m,1H)3.45(m,3H)3.86(m,1H)3.94(dd,J=10.34,3.84Hz,1H)4.12(m,1H)4.44(dd,J=10.34,3.20Hz,1H)5.24(m,1H)6.64(s,2H)7.95(s,1H)。
実施例1(7):イソプロピル 2−[(2−{(5R)−2−オキソ−5−[(2,3,5−トリクロロフェノキシ)メチル]ピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物1−7)
TLC:Rf0.46(酢酸エチル);
NMR(CDCl):δ 1.37(d,J=6.22Hz,6H)2.25(m,3H)2.76(m,1H)3.22(m,1H)3.47(m,1H)3.68(m,1H)3.79(m,1H)4.07(dd,J=10.34,3.11Hz,1H)4.15(m,1H)4.90(dd,J=10.34,2.47Hz,1H)5.27(m,1H)7.05(d,J=2.20Hz,1H)7.13(d,J=2.20Hz,1H)7.95(s,1H)。
実施例1(8):イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(4−クロロ−2,6−ジメチルフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート
TLC:Rf0.45(酢酸エチル);
NMR(CDCl):δ 1.31(d,J=6.22Hz,6H)2.08(m,1H)2.16(s,6H)2.31(m,2H)2.56(m,1H)3.51(m,3H)3.81(d,J=4.03Hz,2H)4.15(m,2H)5.18(m,1H)6.95(s,2H)7.95(s,1H)。
実施例1(9):イソプロピル 2−{[2−((2R)−2−{[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェノキシ]メチル}−5−オキソピロリジン−1−イル)エチル]チオ}−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物1−9)
TLC:Rf0.43(酢酸エチル);
NMR(CDCl):δ 1.35(d,J=6.41Hz,6H)2.08(m,1H)2.30(m,2H)2.59(m,1H)3.27(m,1H)3.45(m,1H)3.61(m,1H)3.83(m,1H)4.05(dd,J=10.34,3.02Hz,1H)4.15(m,1H)4.72(dd,J=10.34,3.02Hz,1H)5.22(m,1H)7.05(dd,J=8.79,2.93Hz,1H)7.26(m,1H)7.33(d,J=8.79Hz,1H)7.94(s,1H)。
実施例1(10):イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(4−クロロ−3−エチルフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物1−10)
TLC:Rf0.44(酢酸エチル);
NMR(CDCl):δ 1.17(t,J=7.60Hz,3H)1.36(d,J=6.22Hz,6H)2.06(m,1H)2.21(m,1H)2.37(m,1H)2.56(m,1H)2.66(q,J=7.63Hz,2H)3.46(m,3H)3.87(m,1H)3.97(dd,J=10.44,3.48Hz,1H)4.12(m,1H)4.47(dd,J=10.44,3.11Hz,1H)5.23(m,1H)6.68(dd,J=8.42,3.02Hz,1H)6.78(d,J=3.02Hz,1H)7.16(d,J=8.42Hz,1H)7.95(s,1H)。
実施例1(11):イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(3,4−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物1−11)
TLC:Rf0.43(酢酸エチル);
NMR(CDCl):δ 1.36(d,J=6.00Hz,3H)1.37(d,J=6.00Hz,3H)2.05(m,1H)2.23(m,1H)2.38(m,1H)2.58(m,1H)3.28(m,1H)3.45(m,1H)3.59(m,1H)3.84(m,1H)3.99(dd,J=10.34,3.20Hz,1H)4.13(m,1H)4.63(dd,J=10.34,3.02Hz,1H)5.25(m,1H)6.78(dd,J=8.97,2.93Hz,1H)7.09(d,J=2.93Hz,1H)7.24(m,1H)7.95(s,1H)。
実施例1(12):イソプロピル 2−[(2−{(5R)−2−オキソ−5−[(5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イルオキシ)メチル]ピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物1−12)
TLC:Rf0.47(酢酸エチル);
NMR(CDCl):δ 1.36(d,J=6.30Hz,3H)1.37(d,J=6.30Hz,3H)1.73(m,4H)2.05(m,1H)2.30(m,2H)2.62(m,5H)3.34(m,1H)3.51(m,2H)3.90(m,1H)3.97(dd,J=10.44,3.39Hz,1H)4.17(m,1H)4.40(dd,J=10.44,2.93Hz,1H)5.25(m,1H)6.67(t,J=7.87Hz,2H)6.99(t,J=7.87Hz,1H)7.94(s,1H)。
実施例1(13):イソプロピル 2−{[2−((5R)−2−オキソ−5−{[3−(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]メチル}ピロリジン−1−イル)エチル]チオ}−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物1−13)
TLC:Rf0.45(酢酸エチル);
NMR(CDCl):δ 1.36(d,J=6.22Hz,6H)2.07(m,1H)2.23(m,1H)2.39(m,1H)2.59(m,1H)3.31(m,1H)3.54(m,2H)3.89(m,1H)4.01(dd,J=10.44,3.30Hz,1H)4.16(m,1H)4.59(dd,J=10.44,3.11Hz,1H)5.23(m,1H)6.81(m,3H)7.22(m,1H)7.94(s,1H)。
実施例1(14):イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[({[(1S,2R,5S)−6,6−ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプト−2−イル]メチル}アミノ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物1−14)
TLC:Rf0.31(酢酸エチル:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 0.94(s,3H)1.15(s,3H)1.36(d,J=6.41Hz,6H)1.89(m,9H)2.13(m,2H)2.30(m,2H)2.44(m,1H)2.61(d,J=7.32Hz,2H)2.79(m,2H)3.47(m,3H)3.88(m,2H)5.22(m,1H)7.97(s,1H)。
実施例1(15):イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(ヘプチルアミノ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物1−15)
TLC:Rf0.23(酢酸エチル:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 0.86(m,3H)1.26(m,4H)1.36(d,J=6.41Hz,6H)1.48(s,2H)1.96(m,1H)2.30(m,8H)2.64(m,2H)2.80(dd,J=12.27,6.41Hz,1H)2.94(m,1H)3.46(m,3H)3.88(m,2H)5.22(m,1H)7.97(s,1H)。
実施例1(16):イソプロピル 2−{[2−((5R)−2−オキソ−5−{[(3,4,5−トリクロロフェニル)アミノ]メチル}ピロリジン−1−イル)エチル]チオ}−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物16)
TLC:Rf0.30(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:2);
NMR(CDCl):δ 1.35(m,6H)1.88(m,1H)2.37(m,3H)3.43(m,5H)3.94(m,1H)4.11(m,1H)4.94(br.s.,1H)5.23(m,1H)6.61(s,2H)8.00(s,1H)。
実施例1(17):イソプロピル 2−({2−[(2R)−2−({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}メチル)−5−オキソピロリジン−1−イル]エチル}チオ)−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物1−17)
TLC:Rf0.30(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:2);
NMR(CDCl):δ 1.32(d,J=6.20Hz,3H)1.35(d,J=6.20Hz,3H)1.89(m,1H)2.38(m,3H)3.46(m,5H)3.95(m,1H)4.13(m,1H)4.92(br.s.,1H)5.20(m,1H)6.64(dd,J=8.60,2.80Hz,1H)6.86(d,J=2.80Hz,1H)7.21(d,J=8.60Hz,1H)7.99(s,1H)。
実施例1(18):イソプロピル 2−{[2−((2R)−2−{[(3,5−ジクロロフェニル)アミノ]メチル}−5−オキソピロリジン−1−イル)エチル]チオ}−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物1−18)
TLC:Rf0.35(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:2);
NMR(CDCl):δ 1.35(m,6H)1.88(m,1H)2.36(m,3H)3.32(m,3H)3.55(m,2H)3.95(m,1H)4.12(m,1H)4.87(br.s.,1H)5.24(m,1H)6.44(d,J=1.80Hz,2H)6.64(t,J=1.80Hz,1H)8.00(s,1H)。
実施例1(19):イソプロピル 2−({2−[(2R)−2−({[4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}メチル)−5−オキソピロリジン−1−イル]エチル}チオ)−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物1−19)
TLC:Rf0.30(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:2);
NMR(CDCl):δ 1.32(d,J=6.20Hz,3H)1.34(d,J=6.20Hz,3H)1.91(m,1H)2.38(m,3H)3.34(m,3H)3.57(m,2H)3.96(m,1H)4.13(m,1H)4.64(br.s.,1H)5.21(m,1H)6.71(m,2H)6.96(m,1H)7.99(s,1H)。
実施例1(20):イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(オクチルアミノ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物1−20)
TLC:Rf0.34(酢酸エチル:メタノール=9:1);
NMR(CDCl):δ 0.88(t,J=6.60Hz,3H)1.26(m,9H)1.37(d,J=6.20Hz,6H)1.45(m,2H)1.91(m,1H)2.15(m,1H)2.31(ddd,J=16.90,9.90,5.70Hz,1H)2.46(ddd,J=16.90,9.80,7.10Hz,1H)2.62(m,2H)2.80(dd,J=12.30,6.20Hz,1H)2.90(dd,J=12.30,4.20Hz,1H)3.43(m,5H)3.89(m,2H)5.24(m,1H)7.98(s,1H)。
実施例1(21):イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(1E)−4−(1−エチルシクロブチル)−1−ブテニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物1−21)
TLC:Rf0.71(酢酸エチル);
NMR(CDCl):δ 0.74(t,J=7.20Hz,3H)1.37(d,J=6.22Hz,6H)1.40(m,4H)1.75(m,9H)2.29(m,3H)3.32(m,1H)3.45(m,2H)3.85(m,1H)4.16(m,1H)5.24(m,2H)5.69(m,1H)7.99(s,1H)。
実施例1(22):イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(1E)−1−ノネニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物1−22)
TLC:Rf0.71(酢酸エチル);
NMR(CDCl):δ 0.88(t,J=6.90Hz,3H)1.26(m,10H)1.37(d,J=6.22Hz,6H)1.71(m,1H)2.24(m,5H)3.29(m,1H)3.45(m,2H)3.84(m,1H)4.16(m,1H)5.22(m,2H)5.67(m,1H)7.99(s,1H)。
実施例1(23):イソプロピル 2−({2−[(23)−2−ヘプチル−5−オキソピロリジン−1−イル]エチル}チオ)−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物1−23)
TLC:Rf0.71(酢酸エチル);
NMR(CDCl):δ 0.88(t,J=6.90Hz,3H)1.29(m,11H)1.37(d,J=6.22Hz,6H)1.71(m,2H)2.12(m,1H)2.34(m,2H)3.42(m,3H)3.72(m,1H)3.91(m,1H)5.25(m,1H)7.99(s,1H)。
実施例1(24):2,2,2−トリフルオロエチル 2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート(化合物1−24)
TLC:Rf0.51(酢酸エチル);
NMR(CDCl):δ 2.07(m,1H)2.24(m,1H)2.40(m,1H)2.56(m,1H)3.29(m,1H)3.48(m,1H)3.63(m,1H)3.83(m,1H)4.00(dd,J=10.34,3.39Hz,1H)4.11(m,1H)4.60(dd,J=10.25,2.93Hz,1H)4.72(m,2H)6.85(d,J=1.74Hz,2H)6.94(t,J=1.74Hz,1H)8.12(s,1H)。
【実施例2】
イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレートの結晶
化合物1(5.0g、油状物)のジイソプロピルエーテル(35mL)懸濁液を50℃に加熱した。懸濁液が溶解したのを確認後放冷し、内温30℃付近で種晶(5mg)を加え撹拌した。結晶の十分な析出を確認した後、n−ヘプタン(150mL)を滴下し、氷浴で冷却した。析出した結晶をろ取し、乾燥して、イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレートを結晶性粉末(3.55g)として得た。
該結晶の化学純度は、以下の条件を用いてHPLCにて確認した。
<HPLC測定条件>
カラム:YMC−Pack C4 A−802(内径4.6mm,長さ150mm)、移動層:アセトニトリル/20mmol/Lリン酸二水素カリウム水溶液(リン酸でpH3に調整)=50/50、流速:1.0mL/分、検出器:紫外・可視検出器(検出波長210nm)、分析時間:35分、保持時間:約16.5分
約2mgの試料を採取し、アセトニトリル約4mLに溶解した。この溶液約2μLを注入した。その結果、該結晶の化学純度は99.7%であることを確認した。
下記の条件で測定した該結晶の粉末X線回折スペクトルを図1に、赤外線吸収(IR)スペクトルを図2に、示差走査熱量測定(DSC)のチャートを図3にそれぞれ示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
装置:BRUKER axs製 DISCOVER with GADDS、ターゲット:Cu、フィルター:使用しない、電圧:40kV、電流:40mA、スキャンスピード:2.0°/min。
(2)赤外線吸収(IR)スペクトル
装置:日本分光製 FT/IR−660Plus型赤外分光光度計、測定方法:全反射法、分解能:4cm−1、スキャン回数:16回。
(3)示差走査熱量測定(DSC)
装置:メトラー・トレド製 DSC822e 示差走査熱量分析装置、試料量:1.81mg、試料セル:アルミパン40μL、アルゴンガス流量:40ml/min、昇温速度:5℃/min(25〜100℃)、20℃/min(100〜300℃)。
実験例1:眼圧低下作用および眼刺激性評価
予め十分に馴化を行なった雄性ウサギ(New Zealand White,2.0〜3.0kg)に、基剤(PBS pH7.2,0.5%Tween80含)を用いて0.00003%(w/v)(=0.3ppm)、0.0001%(w/v)(=1ppm)および0.0003%(w/v)(=3ppm)の濃度に調製した化合物1および化合物1−2を、午前10時から11時の間に、片眼に50μL点眼した。対眼は無処置とした。眼圧と同時に眼刺激性を改良Draize法基準に基づいて観察した。眼圧測定直前に0.4%塩酸オキシブプロカインを点眼して局所麻酔し、被験化合物の点眼前および点眼1、2、4、6、8および24時間後の眼圧および眼刺激性を測定した。眼圧は眼圧計(Pneumatonometer Model30 Classic(Medtronic

た。例数は8眼とした。化合物1の結果を図4および5、化合物1−2の結果を図6および7に示した。本発明化合物は、化合物処置前に比べて、ウサギの眼圧を有意に下降させた。また、眼刺激性もほとんど見られなかった。これより、本発明のEP2アゴニストが眼圧下降作用を有し、優れた眼疾患治療剤となり得ることが示された。
実験例2:樹脂容器使用時の安定性
処 方
化合物1 1μg
ポリソルベート80 5mg
塩化ナトリウム 4mg
塩化ベンザルコニウム 0.1mg
リン酸水素ナトリウム 適量
無水クエン酸 適量
全量(注射用水) 1mL
上記処方溶液(pH7)を下記に示す樹脂容器に約5mL充填し、中栓およびキャップ締めした後に、アルミ密封包装したものを安定性試験サンプルとした。このサンプルを用いて、温度40℃、相対湿度25%における安定性を検討したところ、保存前の化合物1の残存率を100%とした場合、1ヶ月保存後の化合物1の残存率は100%であった。
[製剤例]
本発明に用いられる代表的な製剤例を以下に示す。
1.点眼剤
以下の処方の点眼剤を汎用される方法を用いて調製した。
処方例1:
滅菌精製水にグリセリンおよびポリソルベート80を加えた後、化合物1を加え溶解し、滅菌精製水で全量100mLとし、メンブランフィルターで滅菌濾過した後、所定の容器に充填し、100mL中に、化合物1を1mg、グリセリン 2.5g、ポリソルベート80 500mg、および滅菌精製水を適量含む点眼液を得た。
処方例1と同様にして、化合物1を100mL中に0.1mgおよび0.5mg含有する点眼剤等を調製することができる。また、化合物1に代えて、本発明の他のEP2アゴニストを用いることができる。
2.眼軟膏
以下の処方の眼軟膏を汎用される方法を用いて調製した。
処方例2:
流動パラフィンと白色ワセリンをあらかじめ加熱滅菌した。化合物1を流動パラフィンと十分研和後、白色ワセリンを加えて全量100gとし、十分練り合わせ、100g中に、化合物1を1mg、流動パラフィン 10g、および白色ワセリンを適量含む点眼液を得た。
処方例2と同様にして、化合物1の添加量を適宜変えることにより、種々の濃度の眼軟膏を調製できる。また、化合物1に代えて、本発明の他のEP2アゴニストを用いることができる。
【産業上の利用可能性】
一般式(I)で示される本発明化合物はEP2アゴニスト作用を有する。また、眼圧低下作用、網膜および視神経神経保護作用、網膜神経細胞死保護作用および視神経乳頭循環改善作用を有するため、眼疾患、例えば緑内障、高眼圧症、黄斑浮腫、黄斑変性、網膜および視神経乳頭の血流減少、網膜および視神経張力上昇、近視、遠視、乱視、ドライアイ、網膜剥離、白内障等に有効である。したがって、本発明のEP2アゴニストは、医薬として有用である。また、イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレートの結晶は医薬品の高純度な原薬として大変有用である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のA、BおよびCで示される物理化学データのうち、いずれか1つ以上を有することを特徴とするイソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレートの結晶:
A:図1に示される粉末X線回折スペクトルチャート;
B:全反射法を用いて測定される図2に示される赤外吸収スペクトルチャート;
C:図3に示される示差走査熱量測定チャート。
【請求項2】
下記のA1、B1およびC1で示される物理化学データのうち、いずれか1つ以上を有することを特徴とするイソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレートの結晶:
A1:粉末X線回折スペクトルパターンにおいて、2θが12.82、13.30、15.15、16.71、16.95、18.85、21.06、21.54、22.55、24.25、25.50、26.26、27.06、28.30および29.92である;
B1:全反射法を用いて測定される赤外吸収スペクトルにおいて、1717、1687、1675、1661、1586、1567、1443、1423、1382、1257、1211、1202、1107、1020、949、924、829、798、781、746、667、654、616、569、506、427および411cm−1に吸収ピークを有する;
C1:示差走査熱量測定において、60.6℃に吸熱ピークを有する。
【請求項3】
99.0%以上の化学純度を有する請求の範囲1または2記載の結晶。
【請求項4】
99.5%以上の化学純度を有する請求の範囲1または2記載の結晶。
【請求項5】
水を含有していてもよい有機溶媒で結晶化して製造された請求の範囲1または2記載の結晶。
【請求項6】
有機溶媒が、芳香族炭素環系溶媒、エステル系溶媒、鎖状エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、低級アルコール系溶媒および有機直鎖アルカン系溶媒から選択される1種の溶媒または2種以上の混合溶媒である請求の範囲5記載の結晶。
【請求項7】
水を含有していてもよい鎖状エーテル系溶媒と、水を含有していてもよい直鎖アルカン系溶媒の混合溶媒で再結晶して製造された請求の範囲1または2記載の結晶。
【請求項8】
EP2アゴニストである請求の範囲1または2記載の結晶。
【請求項9】
眼疾患予防および/または治療作用を有する請求の範囲1または2記載の結晶。
【請求項10】
眼疾患が緑内障または高眼圧症である請求の範囲9記載の結晶。
【請求項11】
請求の範囲1または2記載の結晶を用いてなる眼疾患予防および/または治療剤。
【請求項12】
眼疾患が緑内障または高眼圧症である請求の範囲11記載の予防および/または治療剤。
【請求項13】
請求の範囲1または2記載の結晶と交感神経作動薬、副交感神経作動薬、交感神経抑制薬、プロスタグランジン系薬剤、炭酸脱水酵素阻害薬および高張浸透圧薬から選択される1種以上とを組み合わせてなる医薬。
【請求項14】
請求の範囲1または2記載の結晶を用いてなる医薬組成物。
【請求項15】
請求の範囲1または2記載の結晶の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする、哺乳動物における緑内障または高眼圧症予防および/または治療方法。
【請求項16】
緑内障または高眼圧症予防および/または治療剤を製造するための、請求の範囲1または2記載の結晶の使用。
【請求項17】
一般式(I)

(式中、Aは置換基を有していてもよい炭化水素基を表わし、Rはハロゲン

−配置またはそれらの混合物であることを表わす。)で示される化合物、その塩、その溶媒和物またはそのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物。
【請求項18】
イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート、エチル 2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレート、イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(1E,4S)−4−(1−エチルシクロブチル)−4−ヒドロキシ−1−ブテニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレートおよびブチル 2−[(2−{(2R)−2−[(1E,4S)−4−(1−エチルシクロブチル)−4−ヒドロキシ−1−ブテニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレートからなる群から選ばれる請求の範囲17記載の化合物。
【請求項19】
イソプロピル 2−[(2−{(2R)−2−[(3,5−ジクロロフェノキシ)メチル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チオ]−1,3−チアゾール−4−カルボキシレートである請求の範囲18記載の化合物。
【請求項20】
EP2アゴニストである請求の範囲17乃至19記載の化合物。
【請求項21】
請求の範囲17記載の化合物を含有してなる医薬組成物。
【請求項22】
眼疾患予防および/または治療剤である請求の範囲21記載の医薬組成物。
【請求項23】
眼疾患が緑内障または高眼圧症である請求の範囲22記載の医薬組成物。
【請求項24】
請求の範囲17記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物またはそのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする、哺乳動物における緑内障または高眼圧症予防および/または治療方法。
【請求項25】
緑内障または高眼圧症予防および/または治療剤を製造するための、請求の範囲17記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物またはそのプロドラッグ、またはそのシクロデキストリン包接化合物の使用。

【国際公開番号】WO2005/061492
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【発行日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516534(P2005−516534)
【国際出願番号】PCT/JP2004/019660
【国際出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(000185983)小野薬品工業株式会社 (180)
【Fターム(参考)】