説明

吸入口カバーおよびこれを備えた吸入器

【課題】吸入器における計量カップに関する使用者の利便性を向上させることができる吸入口カバーを提供する。
【解決手段】吸入器100の本体10外側に配設された筒状の吸入口15に取り付けられる吸入口カバー20は、有底筒状のカップ部22と、カップ部22の上端23に連続し、上端23からカップ部の下端21側に向かってカップ部22の側壁外側に垂れ下がるように設けられたスカート部24と、スカート部24の下端25に位置する接地部26と、を備える。吸入口カバー20は、スカート部24が吸入口15の内側に位置するように吸入口15に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は吸入口カバーおよびこれを備えた吸入器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な吸入器には、ボイラタンクが内蔵されている。吸入器本体の前面側には、給排水カップが着脱可能に取り付けられている。吸入器本体の外側には吸入口が配設され、吸入口には衛生上の観点から吸入口カバーが着脱可能に取り付けられている。
【0003】
ボイラタンクへ水を注ぐ場合、吸入器とは別に準備された計量カップが使用される。計量カップは、一般的な飲料用のコップ等に比べて小さく、透明な樹脂により作られているため紛失されやすい。計量カップの紛失後には給排水カップやコップ等によってボイラタンクに水が注がれる場合がある。計量カップが紛失すると、使用者は不便である。
【0004】
また使用者にとっての不便に限られず、吸入器としての所望の性能を得るという観点からも、計量カップの紛失は避けられることが望まれる。給排水カップ等を使用してボイラタンクに水を注ぐ場合、吸入器と室内の照明機器などとの位置関係によりボイラタンク内部に十分な光が届かないことが原因となって、ボイラタンク内部の水位が見えにくくなることがある。この場合、適切な量の水を注ぐことが困難となるばかりでなく、過度な注水によってボイラタンクから水があふれ出てしまうこともある。すなわち給排水カップ等を使用することなく付属の計量カップを使用することによって、適切な量の水が毎回確実にボイラタンクに注がれることが望まれる。
【0005】
特開平9−10309号公報(特許文献1)における吸入器は、計量カップを給排水カップ内に収容可能にしている。同文献によると、計量カップの紛失を防止できるとされている。しかしながら同文献による吸入器であっても、計量カップが透明であるために、給排水カップの中に計量カップを入れたままの状態で吸入器が使用される場合がある。同文献における吸入器においては、計量カップを給排水カップから毎回確実に取り出す必要があるため、使用者は不便である。
【0006】
また、一般的な計量カップは、上述のとおり一般的な飲料用のコップ等に比べて小さい。計量カップの容量はたとえばわずか40ml程度であり、この容量を満足するために計量カップは小さく設計されている。このため、計量カップに水を貯留した後、ボイラタンクの蓋を開けたり他の必要な作業を行なったりしている間に、計量カップが転倒することがある。計量カップの転倒によって、貯留していた水がテーブル等の上に流出する。すなわち、一般的な計量カップは転倒しやすいため、使用者は不便である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−10309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、計量カップに関する使用者の利便性を向上させることができる吸入口カバーおよびこれを備えた吸入器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の局面に基づく吸入口カバーは、吸入器の本体外側に配設された筒状の吸入口に取り付けられる吸入口カバーである。上記吸入口カバーは、有底筒状のカップ部と、上記カップ部の上端に連続し、上記上端から上記カップ部の下端側に向かって上記カップ部の側壁の外側に垂れ下がるように設けられたスカート部と、上記スカート部の下端に位置する接地部と、を備える。当該吸入口カバーは、上記スカート部が上記吸入口の内側に位置するように上記吸入口に取り付けられる。
【0010】
本発明の第2の局面に基づく吸入口カバーにおいては、上記接地部を下にして当該吸入口カバーを所定の載置面上に載置したとき、上記カップ部の上記下端が上記載置面に接触しないように、上記スカート部の上下方向における高さは、上記カップ部の上下方向における高さよりも高い。
【0011】
本発明の第3の局面に基づく吸入口カバーにおいては、上記スカート部の外表面の形状は、上記吸入口の内表面の形状に対応している。
【0012】
本発明の第4の局面に基づく吸入口カバーにおいては、上記接地部は、上記スカート部の上記下端から上記スカート部の外側に向かって延びる平坦部を有し、上記平坦部から見て上記カップ部の上記上端側に位置する上記平坦部の裏面には、当該吸入口カバーが上記吸入口に取り付けられたとき上記吸入口の先端側の周縁に嵌合する嵌合溝が設けられている。
【0013】
本発明の第5の局面に基づく吸入口カバーにおいては、上記接地部の形状は平面視円形状である。
【0014】
本発明の第6の局面に基づく吸入口カバーにおいては、上記カップ部の上下方向に直交する平面方向において、上記カップ部の各断面形状は楕円形である。
【0015】
本発明に基づく吸入器は、内部において蒸気が発生する本体と、上記本体外側に配設され、上記内部に連通する筒状の吸入口と、上記吸入口に取り付けられる、上記第1から上記第6のいずれかの局面に基づく吸入口カバーと、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、計量カップに関する使用者の利便性を向上させることができる吸入口カバーおよびこれを備えた吸入器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態における吸入器および吸入口カバーを示す側面図である。
【図2】実施の形態における吸入器および吸入口カバーを示す断面図である。
【図3】実施の形態における吸入口カバーの下面側を示す斜視図である。
【図4】実施の形態における吸入口カバーの上面側を示す斜視図である。
【図5】図3における矢印V方向から実施の形態における吸入口カバーを見た底面図である。
【図6】図4における矢印VI方向から実施の形態における吸入口カバーを見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に基づいた実施の形態における吸入口カバーおよびこれを備えた吸入器について、以下、図面を参照しながら説明する。以下の実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。以下に説明する実施の形態において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0019】
図1および図2を参照して、実施の形態における吸入器100について説明する。図1は吸入器100を示す側面図であり、図2は吸入器100を示す断面図である。吸入器100は、本体10、上部ケース11、下部ケース12、給排水カップ13、吸入口15、切替器16、電源コード17、操作部18、吸入口カバー20、吸入チューブ14(図2参照)、およびボイラータンク1(図2参照)を備えている。
【0020】
本体10は、上部ケース11および下部ケース12から構成される。上部ケース11は下部ケース12に着脱可能に取り付けられる。筒状の吸入口15は、上部ケース11の前方側(本体10の外側)に配設され、本体10の内部に連通している。吸入口15の側壁には開口部15Hが設けられている。本体10の内部に発生した蒸気の一部は、開口部15Hを通して外部に排出される。開口部15Hの大きさ、位置および形状によって、本体10の内部に発生した蒸気が使用者に噴霧される際の、蒸気の温度および量が設定されている。
【0021】
吸入口15と上部ケース11との間の切替器16は、吸入口15の筒軸周りに回転することによって、吸入口15を通過する蒸気の通流方向を切り替える。切替器16の回転によって、たとえば鼻腔を蒸気の噴霧対象とする状態と、喉を蒸気の噴霧対象とする状態とが切り替えられる。給排水カップ13は、下部ケース12の前方に着脱可能に取り付けられる。
【0022】
図2を参照して、ボイラータンク1は、本体10に内蔵されている。ボイラータンク1は、貯留部2、蓋部材3、開口部4,5、加熱室6、ヒータ7、噴出ノズル8、および飛散部材9から構成されている。貯留部2の上部は開口し、蓋部材3によって封止されている。
【0023】
貯留部2の下部側の側面(紙面右側)に隣接して、加熱室6が配設されている。貯留部2と加熱室6との間の側面に開口部4,5が設けられる。開口部4により、貯留部2と加熱室6の下部側とが連通している。開口部5により、貯留部2と加熱室6の上部側とが連通している。加熱室6を挟んで貯留部2の反対側にはヒータ7が配設されている。ヒータ7には、電源コード17を通して電力が供給される。
【0024】
噴出ノズル8は、貯留部2の斜め上方向に位置する吸入口15に向かって延在し、貯留部2に連通している。噴出ノズル8の先端側には、飛散部材9が取り付けられている。飛散部材9は、噴出ノズル8から噴出される蒸気に略交差するように配設されている。飛散部材9には、飛散部材9から垂れ下がるように吸入チューブ14が取り付けられている。吸入チューブ14は、給排水カップ13の底付近にまで延在している。
【0025】
(吸入口カバー20)
図1〜図6を参照して、吸入口カバー20について説明する。図1は吸入口カバー20の側面図を示し、図2は吸入口カバー20の断面図を示している。図3は、吸入口カバー20の下面側を示す斜視図であり、吸入口カバー20の一部(紙面右手前側)を破断して示している。図4は、吸入口カバー20の上面側を示す斜視図であり、吸入口カバー20の一部(紙面右手前側)を破断して示している。図5は、図3中の矢印V方向から吸入口カバー20を見た底面図である。図6は、図4中の矢印VI方向から吸入口カバー20を見た平面図である。
【0026】
主として図3および図4を参照して、吸入口カバー20は、カップ部22と、スカート部24と、接地部26とを有している。カップ部22は有底筒状であり、計量カップとして使用されることができる。カップ部22の内周面には、水が適量に注がれるために利用可能な目盛線22sが設けられている。
【0027】
スカート部24は、カップ部22の上端23に連続し、上端23からカップ部の下端21側に向かってカップ部22の側壁の外側に垂れ下がるように設けられている。スカート部24の形状は、カップ部22の上端23側からカップ部22の下端21側に向かうにつれ径が徐々に大きくなるようなテーパー状となっている。接地部26は、スカート部24の下端25に位置している。接地部26は、スカート部24の下端25からスカート部24の外側に向かって延びる平坦部27(図5参照)を有している。
【0028】
図2を参照して、スカート部24の上下方向(吸入口カバー20の上部と下部とを結ぶ方向)における高さH24は、カップ部22の上下方向(吸入口カバー20の上部と下部とを結ぶ方向)における高さH22よりも高くなっているとよい。なお、上記の高さH24は、カップ部22の下端21の形状によって安定した載置状態が得られる場合(若しくは、転倒が防止できる場合)には、上記の高さH22より若干低くても(小さくても)よい。
【0029】
上述の高さH24が上述の高さH22よりも高くなっていることにより、接地部26(平坦部27)を下にして吸入口カバー20を所定の載置面上に載置したとき(たとえば図4に示す状態)、カップ部22の下端21はこの載置面に接触することがない。吸入口カバー20は、当該構成によって安定して所定の載置面上に載置されることができる。
【0030】
カップ部22の下端21の径(底面積)に比べて、接地部26の径の方が大きい。吸入口カバー20は、一般的な計量カップをその底部を利用して載置面上に載置する場合に比べて、より安定して載置面上に載置されることができる。
【0031】
使用者は、吸入口カバー20のカップ部22に上端23側の開口から水を注ぐことができる。水は、カップ部22の内周面に設けられた目盛線22sによって適量に注がれることができる。計量カップとしての吸入口カバー20に水が注がれた後も、接地部26を利用して、吸入口カバー20は安定して載置され、転倒しにくい。吸入口カバー20のカップ部22に水が注がれた後、吸入器100の本体10側の(ボイラータンク1の蓋部材3を開く等の)準備をしている際に、吸入口カバー20が転倒してカップ部22から水がこぼれてしまうこともない。
【0032】
また、吸入口カバー20は、計量カップとしての機能の他に、吸入口15を塞ぐ衛生保持用カバーとしても機能することができる。吸入口カバー20は、吸入口15(図1,図2参照)に着脱可能に取り付けられる。吸入口カバー20は、スカート部24が吸入口15の内側に位置するように、吸入口15に取り付けられる。
【0033】
平坦部27から見てカップ部22の上端23側に位置する平坦部27の裏面28に、嵌合溝29(図6参照)が設けられている。吸入口カバー20が吸入口15に取り付けられたとき、嵌合溝29が吸入口15の先端側の周縁15Tに嵌合する。この嵌合によって、吸入口15の先端側は吸入口カバー20に略液密状に塞がれる。
【0034】
また、スカート部24の外表面24sの形状は、吸入口15の内表面15s(図2参照)の形状に対応している。吸入口カバー20が吸入口15に取り付けられることによって、吸入口15の開口部15Hは、スカート部24の外表面24sによって略液密状態に塞がれる。吸入口カバー20が吸入口15に取り付けられることによって、吸入器100が使用されていないとき、吸入口15の先端側および吸入口15の開口部15Hから埃などが本体10の内部に入り込むことが防止される。
【0035】
(動作)
図2を参照して、吸入器100の動作について説明する。吸入器100の使用開始時に、吸入口15から吸入口カバー20が取り外される。使用者は、吸入口カバー20のカップ部22の底部側(下端21)を指先にて把持することによって、吸入口カバー20を吸入口15から容易に取り外すことができる。上部ケース11が下部ケース12から取り外され、蓋部材3がボイラータンク1から取り外される。吸入口カバー20のカップ部22に水が貯留される。
【0036】
なお、吸入口カバー20のカップ部22に水が貯留された後に、上部ケース11が下部ケース12から取り外され、蓋部材3がボイラータンク1から取り外されてもよい。吸入口カバー20を利用してボイラータンク1の内部に水W1が注がれる。予め定められた量の水がボイラータンク1に注がれた後、蓋部材3がボイラータンク1に取り付けられる。上部ケース11が下部ケース12に取り付けられる。
【0037】
開口部4を通して、少量の水W1が加熱室6に供給される。操作部18(図1参照)を操作して吸入器100の電源を入れることにより、ヒータ7が駆動する。ヒータ7は加熱室6の内部に供給された水W1を加熱する。ヒータ7により加熱室6の内部に蒸気が発生する。
【0038】
蒸気は、開口部5を通過し、貯留部2の上部に到達する。蒸気は、噴出ノズル8から飛散部材9に向かって噴出される。噴出ノズル8から飛散部材9に向かって蒸気が噴出されることにより、飛散部材9付近において蒸気圧(負圧)が発生する。
【0039】
一方で、給排水カップ13の内部に、水W2が予め貯留されている。吸入チューブ14は、飛散部材9付近において発生した蒸気圧を利用して、水W2を給排水カップ13から吸い上げる(ベンチュリー効果)。水W2は、噴出ノズル8から噴出された蒸気とともに、吸入口15から排出される。
【0040】
ボイラータンク1内の水W1がすべて蒸気となって吸入口15から噴出された後、操作部18が操作されて、吸入器100の電源が切られる。吸入器100の電源が切られた後も、ボイラータンク1から蒸気がわずかに発生し続ける。この時、ボイラータンク1等の機器の冷却を待つ間、吸入口15に吸入口カバー20が取り付けられる場合がある。
【0041】
この場合、吸入口カバー20が透明な樹脂等で構成されていると、ボイラータンク1からの蒸気の発生が完了したかどうかを視認することが可能となる。ボイラータンク1から発生し続ける蒸気によって吸入口カバー20が損傷することを防ぐために、吸入口カバー20は耐熱性の部材により構成されているとよい。ボイラータンク1から蒸気が発生しなくなった後、給排水カップ13、吸入口15、吸入口カバー20等は本体10から取り外されて洗浄される。給排水カップ13等が再び組み立てられた後、吸入口カバー20は吸入口15に取り付けられる。
【0042】
(効果)
本実施の形態における吸入器100においては、吸入口カバー20が、吸入口15を覆う衛生保持用カバーとしての機能と、計量カップとしての機能との双方を有している。吸入口カバー20は、衛生保持用カバーおよび計量カップとして兼用されることができる。
【0043】
計量カップとして吸入口カバー20を見た場合、吸入口カバー20は一般的な計量カップよりも大きいため紛失されにくい。吸入口カバー20のカップ部22を利用して、常に、適当な量の水W1がボイラータンク1に注がれることが企図される。すなわち、吸入口カバー20によって計量カップに関する使用者の利便性が向上している。ボイラータンク1に適量の水が注がれることによって、吸入器100は本来の機能を発揮することが可能となる。
【0044】
従来、使用者は計量カップと衛生保持用カバーとの双方を洗浄する必要があったが、吸入器100によれば、吸入口カバー20の1つのみを洗浄すればよい。この点においても、吸入口カバー20によって計量カップに関する使用者の利便性が向上している。また、部品点数が減ることによって、吸入器100の製造費用も減る。
【0045】
吸入器100においては、吸入口カバー20が吸入口15から取り外されない限り、吸入口15から蒸気が排出されない。冒頭の特開平9−10309号公報(特許文献1)の吸入器においては、計量カップが給排水カップ13等の他の機器に収容された状態であっても(吸入口が塞がれていないために)使用され得る。本実施の形態における吸入器100によれば、計量カップがこのような誤ったに配置された状態で使用されることがなく、使用時に吸入口カバー20が取り外されることによって、本来の機能の発揮をすることが可能となる。
【0046】
[実施の形態の他の形態]
図2を参照して、上述の実施の形態においては、スカート部24の外表面24sの形状が、吸入口15の内表面15sの形状に対応している。スカート部24の外表面24sの形状は、開口部15Hが外表面24sによって塞がれる形状であれば他の形状であってもよい。
【0047】
図5を参照して、上述の実施の形態においては、接地部26が平坦部27を有しており、平坦部27の裏面28には嵌合溝29が設けられている。接地部26は平坦部27を有しておらず、平坦部27の裏面28に嵌合溝29が設けられていなくてもよい。この場合、吸入口カバー20が吸入口15の内部(本体側)に向かって必要以上に嵌め込まれないように、スカート部24の外表面24sの形状は、吸入口15の内表面15sの形状に対応しているとよい。
【0048】
図2を参照して、接地部26の形状は平面視円形状であるとよい。ここで言う円形状とは、正円形状および楕円形状を含む。この場合、吸入口15の形状も円筒形状であるとよい。ここで言う円筒形状とは、正円筒形状および楕円筒径状を含む。
【0049】
ここで、吸入口15の形状が円筒形状であることによって、次の効果が得られる。吸入口15の形状が円筒形状である場合、吸入口15にたとえば使用者の鼻をあてがうような凹部が形成されている場合に比べて、使用者に対して吸入口15と使用者の顔面との間に間隔を空けて吸入器100を使用することを積極的に促すことが可能となる。なお、吸入口に鼻をあてがうような凹部が形成されていると、使用者が顔面を吸入口に密着させがちになり、噴霧温度に応じて使用者の顔面と吸入口との間の間隔を調節をすることが妨げられ易い。
【0050】
また、接地部26が正円形状であり、かつ吸入口15が正円筒形状である場合、使用者は吸入口カバー20を吸入口15に取り付ける際、吸入口カバー20の方向性を考慮しなくてもよい。使用者は吸入口カバー20を容易に吸入口15に取り付けることが可能となる。
【0051】
吸入口カバー20の表面の一部に、周方向に延在する嵌合凸部を設け、吸入口15の表面の一部に嵌合凸部に対応した嵌合凹部を設けてもよい。この場合、吸入口カバー20が吸入口15に取り付けられた後、吸入口カバー20を吸入口15に対して周方向に回転させることによって、嵌合凸部が嵌合凹部に係合させるように構成する。この構成によって、吸入器100の運搬時において、吸入口カバー20が吸入口15から不意に外れてしまうことをより防止することが可能となる。
【0052】
図3および図4を参照して、上述の実施の形態において、カップ部22は平面視楕円形状であるとよい。換言すると、カップ部22は、上下方向(吸入口カバー20の上部と下部とを結ぶ方向)に直交する平面方向(平面上)において、カップ部22の各断面形状は楕円形であるとよい。使用者は、吸入口カバー20のカップ部22を使用して水をボイラータンク1に注ぐ際、平面視楕円形に構成されるカップ部22の半径が小さい縁の部分を利用することができる。
【0053】
以上、本発明の発明を実施するための形態について説明したが、今回開示された形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
1 ボイラータンク、2 貯留部、3 蓋部材、4,5,15H 開口部、6 加熱室、7 ヒータ、8 噴出ノズル、9 飛散部材、10 本体、11 上部ケース、12 下部ケース、13 給排水カップ、14 吸入チューブ、15 吸入口、15s 内表面、16 切替器、17 電源コード、18 操作部、20 吸入口カバー、21,25 下端、22 カップ部、22s 目盛線、23 上端、24 スカート部、24s 外表面、26 接地部、27 平坦部、28 裏面、29 嵌合溝、100 吸入器、V,VI 矢印、W1,W2 水。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入器の本体外側に配設された筒状の吸入口に取り付けられる吸入口カバーであって、
有底筒状のカップ部と、
前記カップ部の上端に連続し、前記上端から前記カップ部の下端側に向かって前記カップ部の側壁の外側に垂れ下がるように設けられたスカート部と、
前記スカート部の下端に位置する接地部と、
を備え、
当該吸入口カバーは、前記スカート部が前記吸入口の内側に位置するように前記吸入口に取り付けられる、
吸入口カバー。
【請求項2】
前記接地部を下にして当該吸入口カバーを所定の載置面上に載置したとき、前記カップ部の前記下端が前記載置面に接触しないように、前記スカート部の上下方向における高さは、前記カップ部の上下方向における高さよりも高い、
請求項1に記載の吸入口カバー。
【請求項3】
前記スカート部の外表面の形状は、前記吸入口の内表面の形状に対応している、
請求項1または2に記載の吸入口カバー。
【請求項4】
前記接地部は、前記スカート部の前記下端から前記スカート部の外側に向かって延びる平坦部を有し、
前記平坦部から見て前記カップ部の前記上端側に位置する前記平坦部の裏面には、当該吸入口カバーが前記吸入口に取り付けられたとき前記吸入口の先端側の周縁に嵌合する嵌合溝が設けられている、
請求項1から3のいずれかに記載の吸入口カバー。
【請求項5】
前記接地部の形状は平面視円形状である、
請求項1から4のいずれかに記載の吸入口カバー。
【請求項6】
前記カップ部の上下方向に直交する平面方向において、前記カップ部の各断面形状は楕円形である、
請求項1から5のいずれかに記載の吸入口カバー。
【請求項7】
内部において蒸気が発生する本体と、
前記本体外側に配設され、前記内部に連通する筒状の吸入口と、
前記吸入口に取り付けられる、請求項1から6のいずれかに記載の吸入口カバーと、を備える、
吸入器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−240020(P2011−240020A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116242(P2010−116242)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)