説明

吸入器で使用するための製剤におけるまたはそれに関する改良

【課題】乏しい吸入能力でも、肺の下部まで有意な割合で送達できる製剤を提供することを課題とする。
【解決手段】少なくとも50μmの径と少なくとも175μmのマスメディアン径を有する担持体粒子;活性粒子;および吸入器の作動時に担持体粒子からの活性粒子の放出を促進することが可能な添加剤を含む、吸入器で使用するための製剤により上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸入器で使用するための担持体材料、該担持体物質を含む製剤および該製剤の使用に関する。
吸入器による薬理学的に活性な薬剤の投与は、特に呼吸器疾患の治療用に広く用いられている技術である。その技術は、全身作用を有するある種の活性薬剤の投与用にも用いられており、その薬剤は肺を経由して血流中に吸収される。公知の吸入器は、噴霧器、加圧定量投与吸入器および乾燥粉末吸入器を含む。本発明による製剤はある状況下では、加圧定量投与吸入器でも、または代わりに有用であるけれども、本発明は主として乾燥粉末吸入器で使用するための製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
活性薬剤の乾燥粉末粒子の呼吸気管への送達には、ある種の問題を引き起こす。吸入器は、器具から噴射された活性粒子を、可能な最大の割合で肺に送達しなければならず、患者、とりわけ喘息患者の乏しい吸入能力でも、肺の下部まで有意な割合で送達できるのが好ましい。しかしながら、現在入手可能な器具の多くを使用した場合、吸入器から噴射された活性粒子の一部分だけ、多くの場合10%ほどしか、肺の下部に到達しない。
吸入器から出た活性粒子は、それが肺胞またはその他の吸収部位に到達するまで、浮遊状態を保つ、物理的および化学的に安定なアエロコロイドを形成しなければならない。ひとたび吸収部位に到達すると、活性粒子は、吸収部位から滲出する活性粒子のない肺粘膜により効率的に収集されなければならない。
【0003】
活性粒子の大きさが重要である。活性粒子が肺の中へ深く効果的に届くためには、活性粒子は、実質的に10μmまでの範囲内の空気力学的径に等しい小ささでなければならない。しかしながら、小さい粒子は、容量比に対するそれらの高い表面積のゆえに、熱力学的に不安定であり、それは有意に過剰な表面自由エネルギーをもたらし、粒子が塊になるのを助長する。吸入器中での小さい粒子の凝集および吸入器内壁への粒子の付着は、吸入器を離れる活性粒子が大きな塊になったり吸入器を離れないで内部に付着して残留したりするという結果をもたらし得る。
【0004】
吸入器の操作によって、吸入器の違いによって、また粒子のバッチ間の違いによって、粒子の凝集の度合いが変動するということは、投与量に対する乏しい再現性をもたらす。粉末が60μmより大きい径を有するとき、粉末は一般に再現性よく流動可能であり、したがって吸入器から確実に離脱可能であることが見出された。計量および器具からの分散との関連において、流動性が良いことは好ましい。
したがって、最も効果的な乾燥粉末エアゾールを得るためには、粒子は吸入器の中では大きくて、呼吸気管の中では小さくなければならない。
【0005】
肺に達する活性粒子の割合は、国際特許公開WO96/23485号(特許文献1)に記載のとおり、活性粒子の放出を促進する薬剤を製剤に混入することにより増加することができる。
【0006】
比較的大きいサイズの担持体粒子の使用は国際特許公開WO96/02231号(特許文献2)に記載されているが、この公報は担持体粒子から活性粒子の放出を促進する添加剤の添加を示唆していない。本発明に従って用いられる担持体粒子は、少なくとも175μmのマスメディアン径(MMD)を有する。事実、担持体粒子のMMDは少なくとも200μmであることが好ましく、250μmであることがより好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際特許公開 WO96/23485号公報
【特許文献2】国際特許公開 WO96/02231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの要求を達成する試みにおいて、器具の中では活性粒子が付着し、担持体粒子を乾燥粉末製剤中に含むことは普通である。この場合、呼吸気管の中へ吸入されると、活性粒子は担持体粒子の表面から分散して、微細な浮遊体となる。通常、担持体と同じ材料の微細な賦形剤材料が所定量存在すると、肺に到達する薬剤の割合を改善し得ることが知られている。微細粒子の含量が高くなると流動性が急激に低下し、投与量に対する乏しい再現性をもたらすゆえ、そのような微細な賦形剤の画分の存在が、通常、10%より少なく、一般に5%より少なくなるように制限されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
少なくとも50μmの径および少なくとも175μmのマスメディアン(mass median)径を有する担持体粒子;
活性粒子;
および吸入器の操作時に担持体粒子から活性粒子の放出を促進できる添加剤
を含む吸入器で使用するための製剤を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の製剤は驚くべきことに、器具内で優れた流動性を有するとともに器具からの放出時に、担持体粒子からの活性粒子の優れた分散と比較的高い微細粒子画分の生成を可能にして、肺の中へ活性粒子を比較的大きな割合で送達することを促進する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、比較的大きな裂け目のある乳糖粒子の走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図2】図2は、多数の乳糖粒子を示す図1より低い倍率のSEMである。
【図3】図3はロイシンおよび硫酸サルブタモールを導入した乳糖担持体粒子のSEMである。
【図4】図4は従来の乳糖担持体粒子および微細な賦形剤粒子を含む製剤のSEMである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
担持体粒子は少なくとも50μmの径を有する。以下に記載されたとおり、製剤は、担持体粒子と同じ物質で、50μmより小さい径の粒子を含んでもよいが、それら小さい粒子は、本明細書で使用される用語「担持体粒子」に含まれていない。有利には、150μmまたはそれより小さい径を有する担持体粒子は、10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。有利には、担持体粒子の少なくとも90重量%は175μm以上、好ましくは200μm以上の径を有する。有利には、担持体粒子の少なくとも90重量%、好ましくは95重量%は1mm以下の径を有する。好ましくは担持体粒子の少なくとも90重量%は、600μm以下の径を有する。有利には、担持体粒子の少なくとも50重量%、好ましくは60重量%は200μm以上の径を有する。好ましくは、担持体粒子の少なくとも90重量%は150μm〜750μm、より好ましくは150μm〜650μmの径を有する。実質的に全ての担持体粒子が、約210〜360μmまたは約350〜600μmの範囲の径を有する製剤が特に有利である。
【0013】
担持体粒子は、薬理学的に許容されるいかなる不活性な材料またはそのような材料の組み合わせからなっていてもよい。例えば、担持体粒子は、糖アルコール;ポリオール、例えばソルビトール、マンニトールおよびキシリトール、ならびに単糖類および二糖類を含む結晶性糖;塩化ナトリウムおよび炭酸カルシウムのような無機塩;乳酸ナトリウムのような有機塩;ならびに尿素、多糖類、たとえば澱粉およびその誘導体のようなその他の有機化合物;オリゴ糖、例えばシクロデキストリンおよびデキストリンから選択される1以上の物質から構成され得る。有利には、担持体粒子は、結晶性糖、例えばグルコースもしくはアラビノースのような単糖類、またはマルトース、サッカロース、デキストロースもしくは乳糖のような二糖類からなる。好ましくは、担持体粒子は乳糖からなる。
【0014】
担持体粒子は亀裂の入った(fissured)表面を有する物質が好ましい。すなわち、表面には、ここで集合的に亀裂として呼ばれる裂け目と谷とその他のくぼんだ部分がある。亀裂は、少なくとも深さ5μmに達する少なくとも5μmの幅、好ましくは少なくとも10μmの幅で10μmの深さ、最も好ましくは少なくとも20μmの幅で20μmの深さを有する。
【0015】
亀裂のある担持体粒子を含む製剤の優れた流動特性ゆえに、かかる製剤は、比較的大きい投与量で投与される活性薬剤の投与において特に有利である。したがって、通常の乳糖担持体を含み、微細粒子の含量が5%を超えると、低い流動性を有しがちであり、微細粒子含量が10%を超えると流動性が極めて乏しくなるという事実から見れば、本発明の製剤は、微細粒子および担持体粒子の全重量に基づいて、90重量%までの微細粒子含量(すなわち、活性粒子および賦形剤材料の微細粒子ならびに、20μm以下の空気力学的径のその他の粒子の含量)でさえ、十分な流動性を有し得る。さらに、裂け目がある担持体粒子は、ほとんど分離を伴わないで、またはごくわずかな分離を伴って、亀裂中に比較的多量の微細材料を保持し得るという点において、特に有利である。それは、製剤の使用において生成する呼吸によく適した画分の根底をなすと考えられており、担持体粒子と成分の分離を引き起こす傾向のある特定の添加剤、例えばステアリン酸マグネシウムとの使用に特に有利で、許容できないレベルまで分離を増加させることなく添加剤を増量して使用するのを可能にする。有利には、微粉の含量は、微細粒子および担持体粒子の全重量に基づいて、50重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。好ましくは、微粉の含量は、微細粒子および担持体粒子の全重量に基づいて、少なくとも5重量%である。本発明は、製剤が、微細粒子および担持体粒子の全量に基づいて少なくとも10%、例えば10〜20重量%または少なくとも20%、例えば20〜50重量%の微粉を含む場合に特に有利である。いずれも微細粒子の全重量に基づいて、微細粒子の含量は、活性粒子を0.1〜99重量%、たとえば、0.1〜90重量%、有利には活性粒子を0.1〜80重量%含むことができる。しかしながら多くの場合、活性粒子は微細粒子の全重量の半分未満を構成するであろう。
【0016】
担持体粒子が、実質的に分離を伴わずに比較的多量の微粉粒子の含量を保持する上記の能力を提供する裂け目のある表面を有するかどうかを決定するために多くの方法を用いることができる:
【0017】
1.タップ密度の測定
裂け目がある担持体粒子のタップ密度は6%以上、好ましくは15%以上であり、吸入できる粉末の製造において通常用いられてきた典型的な種類の担持体粒子と同じ材料および粒子特性の担持体粒子のタップ密度より低くあってもよい。結晶性の糖、例えば乳糖の裂け目がある担持体粒子の場合、裂け目がある粒子のタップ密度は0.75g/cm3以下、好ましくは0.70g/cm3以下である。市販のDPI製剤の製造で通常用いられているグレードの乳糖のタップ密度は一般に約0.8g/cm3である。ここでいうタップ密度は以下のようにして測定され得る:
【0018】
メスシリンダーを上皿天秤で秤量する(2ヶ所)。粉末約50gをメスシリンダーの中に入れ、重量を記録する。粉末を入れたメスシリンダーを振動容量測定機(jolting volumeter) (Jel Stampfvolumeter)に取り付ける。振動容量測定機をタップ200回に設定する。各タップの間、メスシリンダーは設定した距離を上がって落ちるようにする。200回タップ後に、粉末の容量を測定する。タッピングを繰り返し、新しい容量を測定する。粉末がそれ以上沈降しなくなるまでタッピングを続ける。最終のタップ容量で除した粉末の重量としてタップ密度を計算する。測定する各粉末について(毎回新しい粉末で)操作を3回行ない、3つの最終タップ容量値から平均のタップ密度を計算する。
【0019】
2.水銀圧入ポロシメトリー
水銀圧入ポロシメトリーは孔径分布ならびに粒子の表面および細孔構造の性質を評価する。ポロシメトリーデータは、例えば、オートポア(Autopore)9200IIポロシメーター(Micromeritics, Norcross, USA)を用いて、圧力範囲3.2kPa〜8.7MPaにわたって適切に収集される。空気およびゆるく結合している表面水を除去するために、分析に先立って、試料を5Pa以下の所へあけなければならない。好適な乳糖は、0.65g/cm3以下、好ましくは0.60g/cm3以下のかさ密度により特徴付けられる。好適な乳糖は、少なくとも0.8cm3-1、好ましくは少なくとも0.9cm3-1 の水銀圧入ポロシメトリーにより測定された全圧入容量によっても特徴付けられる。(より低い密度における2つの方法の差異はより小さいのに、水銀圧入ポロシメトリーにより測定された0.6g/cm3のかさ密度を有する乳糖は、約0.7g/cm3のタップ密度を有することが見出された。)
【0020】
3.「亀裂インデックス」
ここで用いられる「亀裂インデックス」という用語は、粒子の実際の容量、すなわち、外包に含まれる亀裂を除いたものに対する、粒子の外包から計算された粒子の理論的な外包容量の比のことをいう。好適な粒子は、少なくとも1.25の亀裂インデックスを有するものである。理論的な外包容量は光学的に、例えば、電子顕微鏡を用いて粒子のわずかな試料を検査することにより測定することができる。粒子の理論的な外包容量は以下の方法によって算出することができる。試料の電子顕微鏡写真を、粒子の代表的な試料をそれぞれ含むほぼ等しい母集団の多数の格子正方形に分ける。次いで、1以上の格子の母集団を調査し、粒子のそれぞれを取り巻いている外包を以下のように視覚的に測定する。格子内の粒子のフェレット径(Feret's diameter)をイメージの固定軸に関して測定する。通常は少なくとも10個の粒子のフェレット径を測定する。フェレット径は、基準線に垂直な最も左の接線と右の接線の間の距離として、与えられた基準線に沿った粒子の投影図の長さとして定義される。平均フェレット径が導き出される。理論的な平均外包容量は、次いで全格子正方形すべて、したがって全試料について代表的な値を得るため、この平均径から算出することができる。粒子の数によるその値の除算は粒子あたりの平均値を与える。粒子の実際の容量は、次いで以下のように算出することができる。第一に、粒子の平均質量を計算する。試料約50gを取り出し、その正確な重量を0.1mgまで記録する。次いで、光学顕微鏡により資料中の粒子の正確な数を測定する。次いで、1つの粒子の平均質量を決定する。次いでこの手順を5回繰り返して、この平均質量の平均値を得る。第二に、粒子の一定量(典型的には50g)を正確に秤量し、この量中の粒子の数を、上記の1つの粒子の平均質量値を用いて算出する。最後に、粒子が溶けない液体中に粒子の試料を浸漬し、閉じ込められた空気を除去するための撹拌後に、置換された液量を測定する。これから、1つの粒子の実際の平均容量を計算することができる。亀裂値は有利に1.5以上、例えば、2以上である。
【0021】
4.「ひだ係数」
ひだ係数(rugosity coefficient)は、「凸包」(convex hull)の周囲の長さに対する粒子の外郭線の周囲の長さの比率を表すのに用いられる。この度合いは、粒子の外郭線における滑らかさの欠如を表すのに用いられてきた。この「凸包」は、粒子の凹面がない外郭線に合わせて囲んでいる最小の境界線として定義される(“The Shape of Powder-Particle Outlines” A. E. Hawkins, Wiley参照)。「ひだ係数」は以下のようにして光学的に計算することができる。粒子の試料は、上記で特定したように、電子顕微鏡から確認されるべきである。それぞれの粒子について、粒子外郭線の周囲の長さと、それに伴った「凸包」の周囲の長さを測定して、ひだ係数とする。これは、平均値を得るために少なくとも10個の粒子について繰り返さなければならない。平均ひだ係数は少なくとも1.25である。
【0022】
微細な材料を分離しないで、またはごくわずかに分離するだけで多量に保持する上記の能力を有する担持体粒子は、一般に上記の方法1〜4の全てを満たすが、疑いを避けるためには、方法1〜4の少なくとも1つを満たす担持体粒子は、裂け目のある粒子とみなされる。
担持体粒子は、有利には互いに融合した複数の結晶からなる塊の形態にあり、凝集の固さは、担持体粒子が吸入器からの排出で崩壊する傾向を実質的に有さない程度である。乳糖のような結晶性の糖の場合、そのような構造は湿式造粒法で得られる。この方法で、塊内の結晶は固状架橋により互いに融合し、多様な、場合によっては比較的深い裂け目および谷を含む、高い不規則性および/または高いフラクタル(fractal)ディメンションをもった複雑な形状を有する構造となる。それぞれの塊は、一般に特徴的なトマホーク形状の、少なくとも3つの乳糖一次結晶を含む。
【0023】
このような塊は、吸入器から放出されるとき分解する傾向がある、粒子の凝集により粉末製剤中に形成する種類の塊と明らかに区別される。
好適な形をした担持体粒子は、錠剤の製造で用いられる、米国特許第4349542号に開示されたタイプの樹枝状(dendritic)球粒をも含む。
担持体粒子は、製剤の全重量に基づいて、製剤の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、特に少なくとも70重量%を構成するのが有利である。
担持体粒子の表面上にあるのが好ましい添加剤は、吸入器の操作時に担持体粒子から活性粒子が放出されるのを促進する。しかしながら添加剤を含有する製剤は、活性粒子が吸入器の操作前に担持体粒子から放出されにくいようなものであるべきである。担持体粒子とは異なる物質であると理解される添加剤は、粒子の形であってもよく、添加剤粒子は担持体粒子の表面に付着する。
【0024】
国際公開WO96/23485号には、活性粒子が吸入器の操作前に担持体粒子からは放出されにくいが、吸入器の使用中には放出されるような添加剤の多くの実施例が提供されている。「吸入器の操作」とは、通常、患者が吸入することにより一回分の用量の粉末が吸入器中の静止位置から移動するプロセスのことをいう。その工程は、粉末が使用準備の整った吸入器に充填された後に行われる。
粉末の活性粒子が、吸入器の操作前に担持体粒子から放出されやすいかどうかの試験が所望されるとき、試験を行うことができる。適切な試験は国際公開WO96/23485号(実施例12および13)に記載されている。記載された試験に付した後、変化をパーセンテージ係数として測定した振動後の均質性が5%以下である粉末は許容できるとみなされる。
【0025】
添加剤は、担持体粒子の表面の高エネルギー部位に引き寄せられ、付着すると考えられている。活性粒子の投入時に、高エネルギー部位の多くはすでに占有されていて、よって活性粒子は担持体粒子の表面の低エネルギー部位を占有する。それは、吸入時にもたらされた気流中へ活性粒子をより簡単に効率よく放出させ、それによって肺に沈着する活性粒子が増加する。
しかしながら、上記に示したとおり、少量以上の添加剤の添加は、商業的製造の間、混合物の加工を行う機能に逆効果なために不利益になり得るということが見出された。
【0026】
さらに、粉末の吸入時に肺に達する添加剤は、可能な限り少ない方が有利である。最も有利な添加剤は、肺に吸入しても安全なものではあるが、肺、特に肺の下部に達する添加剤は、もしあるとしても非常に少ない割合であることが望まれる。したがって、添加剤および粉末の他の特徴を選択するときに適用される考慮すべき事柄は、いくつかのほかの理由、例えば肺への活性物質の吸収を改善するために、第三成分が担持体および活性物質に添加されるときに考慮すべき事柄とは異なる。後者の場合、粉末中の添加剤は可能な限り肺に達する方が有利であるのは当然であろう。
【0027】
添加剤の最適な量は、添加剤の化学成分およびその他の性質次第である。一般的に、添加物の量は、製剤の全重量に基づいて50重量%以下である。しかしながら、ほとんどの添加物にとって、添加剤の量は、製剤の全重量に基づいて10重量%以下、より有利には5%、好ましくは4%以下であるべきであり、ほとんどの材料について2%以下または1重量%以下、または0.25%以下になる。一般的に、添加剤の量は、製剤の全重量に基づいて、少なくとも0.01重量%である。
【0028】
有利には、添加剤は非付着性材料であり、非付着性材料と担持体粒子との凝集を減少させる傾向がある。所定の材料が非付着性材料かどうかを決定するために、「空気流(aeroflow)」装置を用いた国際公開WO97/03649号(6頁および7頁)に記載の試験を使用してもよい。非付着性物質は、添加剤がない粉末と比較して、粉末のなだれの平均時間を下げる添加剤である。
有利には、添加剤は抗摩擦剤(グリダント(glidant))であり、乾燥粉末吸入器中の粉末のより優れた流れを提供し、吸入器からの用量再現性を改善する。
【0029】
非付着性材料または抗摩擦剤に関して言及される場合、それらが通常非付着性材料または抗摩擦剤と呼ばれないとしても、それらは活性粒子と担持体粒子との凝集を減少させる傾向、または吸入器内の粉末の流れを改善する傾向がある材料を含むものである。例えば、ロイシンはここで定義される非付着性材料であり、一般に非付着性と考えられているが、レシチンも活性粒子と担持体粒子との凝集を減少させるため、一般に非付着性材料とは考えられていないが、同じくここで定義される非付着性材料である。有利には、添加剤は生理学的に許容な材料からなる。すでに示されるとおり、肺に達する添加剤は少量であるのが好ましく、添加剤は血流に吸収されるかもしれないので、肺の下部に安全に吸入されてもよいものであるのが大いに好ましい。添加剤が粒子の形のときに、それは特に重要である。
【0030】
添加剤は1つ以上の材料の組み合わせを含んでいてもよい。
添加剤の化学成分は特に重要なものであると理解されるであろう。
さらに、自然に発生している動物または植物物質である添加剤は、いくつかの利点を提供すると理解されるであろう。
【0031】
有利には、添加剤はアミノ酸およびその誘導体、分子量0.25から100Kdaのペプチドおよびポリペプチド、ならびにそれらの誘導体から選択された化合物を1つ以上含む。アミノ酸、ペプチドまたはポリペプチドおよびそれらの誘導体は生理学的に許容であり、吸入時に活性粒子の許容できる放出を提供する。
【0032】
添加剤はアミノ酸を含むのが特に有利である。アミノ酸は、添加剤として粉末中に少量で存在するとき、粉末の分離はわずかで、肺の下部に運ばれるアミノ酸が非常にわずかで、活性物質の呼吸によく適した画分を提供することが見出された。好ましいアミノ酸であるロイシンに関して、例えば粉末の平均用量に対して約10μgのロイシンしか肺の下部に達しないことが見出された。添加剤は以下のアミノ酸のいずれかを1つ以上含むことができる:ロイシン、イソロイシン、リジン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン。添加剤はアミノ酸誘導体の塩、例えばアスパルテーム、またはアセスルファムKであってもよい。好ましくは、添加剤粒子は実質的にロイシン、有利にはL-ロイシンからなる。上記に示されるとおり、ロイシンは吸入時に活性粒子を特に効率よく放出することが見出された。L型のアミノ酸が以下の実施例で使用されているがD型およびDL型が使用されてもよい。
【0033】
1以上の水溶性物質を含む添加剤はいくつかの利点を提供する。これによって、添加剤が肺の下部に到達した場合に物質の身体への吸収が促される。添加剤は双極性イオンを含んでいてもよく、双極性イオンはツビッターイオンから構成されていてもよい。
または代りに、添加剤は、燐脂質の粒子またはその誘導体から構成されていてもよい。レシチンは添加剤のための好適な物質であることが見出されている。
添加剤は、1以上の界面活性剤、特に固体の状態で界面活性を有する物質を含むか、またはそれらから構成されていてもよい。それらは、水溶性であり、例えばレシチン、特に大豆レシチンであるか、実質的に水不溶性であり、例えばラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エルカ酸、ベヘン酸またはそれらの誘導体(エステルや塩等)のような固体状態の脂肪酸であってもよい。そのような物質の具体的な例は、ステアリン酸マグネシウム;ステアリルフマル酸ナトリウム;ステアリル乳酸ナトリウム;ホスファチジルコリン類、 ホスファチジングリセロール類、ならびにその他の天然および合成の肺界面活性剤(lung surfactant);リポソーム製剤;ラウリン酸およびその塩、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム;ダインサン118(Dynsan 118)およびクチーナHR(Cutina HR)のようなトリグリセライド類;および一般に糖エステル類である。
【0034】
他の考えられ得る添加剤には、タルク、二酸化チタン、二酸化アルミニウム、二酸化ケイ素およびデンプンが含まれる。
ここで用いられる表現「添加剤」には結晶性糖は含まれない。下記のように結晶性糖1以上の小粒子は存在してもよく、事実存在する方が好ましいが、結晶性糖小粒子を含有する製剤は、ここで上記表現を用いている意味合いにおいての添加剤であるさらなる物質も含む。
【0035】
いくつかの添加剤の場合、添加剤は少量で添加されていることが重要である。例えば、ステアリン酸マグネシウムは高度の界面活性を有し、それ故に少量、例えば製剤の重量に基づいて、2.5重量%まで、好ましくは0.1〜2重量%、例えば0.5〜1.7重量%、とりわけ0.75〜1.5重量%添加されるべきである。場合によっては、ステアリン酸マグネシウムはより少量、例えば0.02〜0.6重量%、あるいは0.2〜0.4重量%用いることが有利であることが見出され得る。他方では、ホスファチジルコリンおよびホスファチジングリセロールは活性が低く、より多量を有用に添加することが可能である。さらに活性の低いロイシンでは、粉末重量に基づいて、2重量%のロイシンを添加すると、活性粒子の呼吸に適合した画分、低い分離および肺の下部に到達するロイシンの量の低下に関して良好な結果が得られる;より多量を添加しても、結果が改善されることはなく、とりわけ呼吸に適合した画分が有意に向上することはないので、6重量%ロイシンを用いた場合でさえ得られる結果はほどほどであるが、これは、身体中に取り込まれる添加剤の量が増加する結果となり、混合物のプロセッシング特性に悪影響を及ぼすため、好ましくないことが、WO96/23485に記載されている。しかしながら、裂け目のある担持体粒子を用いる本発明の好ましい製剤においては、添加剤を増加させて用いることが可能であり、呼吸に適合した画分が向上することが見出されている。
【0036】
添加剤は、粒子の形態でしばしば添加されるが、液体または固体の形態で添加されてもよく、物質によって、とりわけ物質から粒子への形成が容易ではないかもしれない場合および/またはこれらの粒子が特に小さくなければならない場合、その物質を液体、例えば懸濁液もしくは溶液の状態で、または溶融物として添加してもよい。しかしながら、その場合でも、完成した粉末の添加剤は粒子の形態であってもよい。しかしながら、本発明の範囲に含まれる代替され得る可能性は、「乾燥粉末」としてなお記載され得る、根本的に粒子状の最終物質中にさえ液体でとどまる添加剤を用いることである。
【0037】
場合によっては、添加剤が、材料の粒子の形態でない場合に改善された臨床的利益が得られる。とりわけ、添加剤は担持体粒子の表面を離れて肺の下部内に送達される確率が低くなる。
完成した粉末の添加剤が粒子状である場合、粒子の性質は重要であるかもしれない。添加剤粒子は非球形の形状であってもよい。有利には、添加剤粒子は板状粒子である。または代りに添加剤粒子は、角状例えば角柱、または樹枝状形状であってもよい。非球形の添加剤粒子は、球形、非角状粒子よりも担持体粒子の表面からより除去されやく、板状粒子は担持体粒子間に改善された表面相互作用および抗摩擦剤作用を与えることもあり得る。
【0038】
添加剤粒子の表面積もまた重要と考えられる。添加剤粒子の表面積は、ガス吸収法を用いて測定した場合、好ましくは少なくとも5m2-1である。多くの場合、小板状粒子からなる添加剤が好ましい。
有利には、少なくとも90重量%の添加剤粒子が150μm未満、より有利には100μm未満、好ましくは50μm未満の空気力学的径を有する。有利には、添加剤粒子のMMADは20μm以下、好ましくは150μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。添加剤粒子は、好ましくは、担持体粒子のマスメディアン径より小さいマスメディアン径を有し、通常は担持体粒子のマスメディアン径の約1/10〜1/1000、例えば1/50〜1/500のマスメディアン径を有する。添加剤粒子のMMADは0.1μm以上で、例えば1μm以上である。
【0039】
添加剤の量は、添加剤の性質に依存し、一般的に担持体粒子の重量に基づいて、少なくとも0.01%である。担持体から分離しない傾向にある添加剤の場合、添加剤は、担持体粒子および添加剤重量に基づいて、50%までの量で存在してもよい。有利には、添加剤が、添加剤および担持体粒子の混合重量の1/3までを構成してもよい。一般的には、添加剤の量は、添加剤および担持体粒子の混合重量の10%を超えず、好ましくは5%を超えない。
分離する傾向のある添加剤を使用するとき、添加剤の量は一般的には、添加剤および担持体粒子の混合重量に基づいて、5重量%未満、例えば3重量%未満である。
【0040】
本明細書全般に亘って言及されている活性粒子は、肺に投与された場合に治療活性を有する少なくとも1つの活性薬剤の有効量からなる。活性粒子は、有利には、本質的に1以上の治療活性薬剤から構成されている。好適な治療活性薬剤は、治療および/または予防のための薬剤であってもよい。製剤に含むことができる活性薬剤は、通常、呼吸器疾患のような疾患の治療のために吸入により経口投与される製品、例えばβ-アゴニストが含まれる。
【0041】
活性粒子は、少なくとも1つのβ2-アゴニスト、例えばテルブタリン、サルブタモール、サルメテロール(salmeterol)およびホルモテロールから選択される1以上の化合物からなっていてもよい。所望であれば、活性粒子は、保管および使用条件下で互いに影響を及ぼさないかぎり、これらの活性薬剤を1より多く含むことができる。好ましくは、活性粒子は硫酸サルブタモール粒子である。ここで活性薬剤について言及される場合、あらゆる生理的に許容な誘導体が含まれると理解されたい。上記β2-アゴニストの場合、生理的に許容な誘導体にはとりわけ、硫酸塩のような塩が含まれる。
【0042】
活性粒子はイパトロピウムブロマイドの粒子であり得る。
活性粒子はステロイドを含むことができ、それはジプロピオン酸ベクロメタゾンであり得るか、またはフルチカゾンであり得る。有効成分は、クロモグリク酸ナトリウムまたはネドクロミル(nedocromil)であり得るクロモンを含むことができる。有効成分は、ロイコトリエンレセプターアンタゴニストを含むことができる。
活性粒子には、炭水化物、例えばヘパリンを含むことができる。
【0043】
活性粒子は、薬剤が肺を経由して循環系に吸収され得るという条件で、全身投与用の治療的に活性な薬剤を有利に含むことができる。例えば、活性粒子は、DNエース(DNase)、ロイコトリエンまたはインシュリン(置換インシュリンおよびプロ-インシュリン等)、サイクロスポリン、インターロイキン、サイトカイン、抗サイトカインおよびサイトカイン受容体、ワクチン(インフルエンザ、はしか、抗-ナルコチン抗体、髄膜炎)、成長ホルモン、ロイプロライドおよび関連類似体、インターフェロン、デスモプレッシン、イムノグロブリン、エリスロポエチン、カルシトニンおよび副甲状腺ホルモンのようなペプチドもしくはポリペプチドまたはタンパク質を含むことができる。本発明の製剤は、特に、糖尿病患者に対するインシュリンの投与に適用することができ、したがってその薬剤に用いられている通常の侵襲的な投与技術を回避する。
【0044】
本発明の製剤は、疼痛の寛解に使用すると有利である。疼痛の寛解薬剤として含まれ得る非オピオイド鎮痛薬は、例えば、アルプラゾラム、アミトリプチリン、アスピリン、バクロフェン、ベンゾジアゼピン、ビスホスホネート、カフェイン、カルシトニン、カルシウム調節剤、カルバマゼピン、クロニジン、コルチコステロイド、ダントロレン、デキサメタゾン、パミドロン酸二ナトリウム、エルゴタミン、フレカイニド、ヒドロキシジン、ヒオスチン、イブプロフェン、ケタミン、リグノカイン、ロラゼパム、メトトリメプラジン、メチルプレドニゾロン、メキシレチン、ミアンセリン、ミダゾラム、NSAIDs、ニモジピン、オクトレオチド、パラセタモール、フェノチアジン、プレドニゾロン、ソマトスタチンである。好適なオピオイド鎮痛薬は:塩酸アルフェンタニル、塩酸アルファプロジン、アニレリジン、ベジイトラミド、塩酸ブプレノルフィン、酒石酸ブトルファノール、クエン酸カルフェンタニル、シラマドール、コデイン、デキストロモラミド、デキストロプロポキシフェン、デゾシン、塩酸ジアモルフィン、ジヒドロコデイン、塩酸ジピパノン、エナドリン、臭化水素酸エプタゾシン、クエン酸エトヘプタジン、塩酸エチルモルフィン、塩酸エトルフィン、クエン酸フェンタニル、ヒドロコドン、塩酸ヒドロモルフォン、ケトベミドン、塩酸レボメタドン、酢酸レボメタジル、酒石酸レボルファノール、塩酸メプタジノール、塩酸メタドン、モルヒネ、塩酸ナルブフィン、塩酸ニコモルフィン、アヘン、混合アヘンアルカロイドの塩酸塩、パパベレタム、オキシコドン、塩酸オキシモルホン、ペンタモルホン、ペンタゾシン、塩酸ペチジン、臭化水素酸フェナゾシン、塩酸フェノペリジン、塩酸ピセナドール、ピリトラミド、フマル酸プロピラム、塩酸レミフェタニル、メシル酸スピラドリン、クエン酸スフェンタニル、塩酸チリデート、メシル酸トナゾシン、塩酸トラマドール、トレフェンタニルである。
【0045】
この技術は、その他の薬剤、例えば制癌活性、抗ウイルス、抗生物質、筋弛緩剤、抗うつ薬、抗てんかん薬の局所投与、または呼吸気管へのワクチンの局所送達のためにも用いることができるであろう。
活性粒子は、15μmまでの、例えば0.01〜15μm、好ましくは0.1〜10μm、例えば1〜8μmの範囲にあるマスメディアン空気力学的径(質量中央空気力学的径(mass median aerodynamic diameter))を有するのが有利である。最も好ましくは、活性粒子のマスメディアン空気力学的径は5μmを超えない。活性粒子は、担持体粒子、添加剤、活性粒子の全重量に基づいて、例えば少なくとも0.01重量%の有効量で存在し、90重量%までの量で存在することができる。有利には、活性粒子は、担持体粒子、添加剤粒子、活性粒子の全重量に基づいて、60重量%を超えない量で存在する。
【0046】
存在する活性薬剤の割合は、活性薬剤の性質に応じて選択されることが分かるであろう。多くの場合、活性薬剤は、担持体粒子、添加剤粒子、活性粒子の全重量に基づいて、わずかに10重量%、より好ましくはわずかに5重量%、とりわけ2重量%以下で構成するのが好ましい。
製剤は、さらに、微細な賦形剤粒子、すなわち、実質的に不活性な薬学的に許容な物質の、50μm以下の空気力学的径を有する粒子からなる。賦形剤は、吸入可能な製剤中において賦形剤としての使用に好適である実質的に不活性ないずれかの物質であってもよい。賦形剤は、好ましくは1以上の結晶性糖、例えばデキストロースおよび/または乳糖である。最も好ましくは、賦形剤は本質的に乳糖から構成される。
【0047】
有利には、微細な賦形剤粒子は担持体粒子と同一物質である。担持体粒子および微細な賦形剤粒子が乳糖であることが好ましい。
有利には、少なくとも90重量%の微細な賦形剤粒子が40μm以下の空気力学的径を有する。微細な賦形剤粒子は有利には20μm以下の、好ましくは15μm以下の、より好ましくは10μm以下の、とりわけ8μm以下のMMADを有する。微細な賦形剤粒子のMMADは一般的には0.1μm以上、例えば1μm以上である。有利には、微細な賦形剤粒子は製剤の全重量に基づいて、50重量%まで、例えば0.1〜20重量%、好ましくは1〜15重量%の量で存在する。
【0048】
微細な賦形剤粒子が存在する場合、微細な賦形剤粒子および添加剤の全重量に基づいて、99%までの量で存在することができる。有利には、微細な賦形剤粒子は微細な賦形剤粒子および添加剤の全重量に基づいて、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも50重量%、とりわけ90重量%で存在する。微細な賦形剤粒子および添加剤は、微細な賦形剤粒子、添加剤および活性粒子の全重量の5重量%からまたは10重量%〜2/3を有利に構成する。
【0049】
担持体粒子および微細な賦形剤粒子は同一化合物、例えば乳糖であることが好ましいがその場合、50μmより小さい空気力学的径を有するその化合物の粒子全てが微細な賦形剤粒子であり、一方50μm以上の空気力学的径の粒子が担持体粒子であると見なされるのが好都合である。
【0050】
本発明の製剤の有利な流動特性は、フロデックステスター(Flodex Tester)を用いて実証することができる。このテスターは、製剤がこのテスター中をなめらかに流動して通過することのできる最小孔径に相当する4〜40mmの目盛りにわたって流動性インデックスを決定することができる。そのように測定したとき、裂け目のある乳糖を含む本発明の製剤の流動性インデックスは、微細粒子含量(すなわち、50μmよりも小さいか、好ましくは20μmよりも小さい空気力学的径の粒子)が、製剤の10重量%を超える場合でさえも、一般に12mmよりも低いであろう。
【0051】
本発明は、20μmより小さい空気力学的径の粒子を、製剤の全重量に基づいて5重量%より多く、好ましくは10重量%より多く含む、乾燥粉末吸入器で使用するための製剤を提供するものであり、該製剤は12mm以下の流動性インデックスを有する。ここで用いられている「流動性インデックス」という用語は、フロデックス(Flodex)テスターを用いて測定された流動性インデックスをいう。
担持体粒子、活性粒子および微細な賦形剤粒子に加えて、本製剤は吸入用製剤で使用するのに好適な1以上添加剤、例えば着香料、滑沢剤および流動改善剤を含むことができる。そのような添加剤が存在する場合、それらは一般に製剤の全重量の10重量%以下である。
【0052】
本発明の製剤は、構成成分をいずれかの好適な方法で組み合わせることにより製造することができる。しかしながら、好ましい方法では、本製剤は添加剤と微細な賦形剤粒子とを高エネルギー混合工程で混合し、こうして得られた複合粒子を担持体粒子と混合し、こうして得られた混合物に少なくとも1つの活性成分を添加することにより製造する。他の有利な方法では、添加剤粒子と賦形剤粒子をそれらの粒子サイズが有意に減少するように一緒に微細化し(co-micronise)、こうして一緒に微細化した粒子を担持体粒子と混合し、こうして得られた混合物に少なくとも1つの活性成分を添加する。このような製剤の情況において高エネルギー混合工程を実施するための好適なミキサーは、高せん断ミキサーである。こうしたミキサーは当業者には公知であり、例えば細川ミクロン製シクロミックス(Cyclomix)およびメカノ-フュージョン(Mechano-Fusion)ミキサーを含む。
【0053】
所望の高エネルギー混合が行われるように装置および条件が整えられているかぎり、高エネルギー混合工程に用いられる他の好適な装置には例えばボールミルおよびジェットミルが含まれると当業者には理解される。
製剤は、乾燥粉末吸入器に用いられる粉末製剤であってもよい。製剤は加圧定量投与吸入器に用いられるのに好適であってもよい。
【0054】
本発明の1実施態様を添付の図面を参照しながら以下に詳細に記載する。
図1は、比較的大きな裂け目のある乳糖粒子の走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
図2は、多数の乳糖粒子を示す図1より低い倍率のSEMである。
図3はロイシンおよび硫酸サルブタモールを導入した乳糖担持体粒子のSEMである。
図4は従来の乳糖担持体粒子および微細な賦形剤粒子を含む製剤のSEMである。
【0055】
図1において、乳糖担持体粒子は、互いに融合した個々の乳糖結晶の多数から構成されているのが判る。結晶は各々間に多数の相対的に深い亀裂または狭い裂け目の非常に多数の粒子表面におけるそれらの間と定義する。こうした粒子は公知であり、錠剤の製造に使用するのが好適であると以前は見なされていた。図1に示されているような担持体粒子は、添加剤の存在下で活性物質微粒子画分を高め得ることが意外にも見出された。活性物質は、微細な賦形剤と共に、それらの小さな粒子サイズとその結果としての高表面エネルギー故に、担持体粒子に付着する傾向がある。付着は主に亀裂および裂け目内で生じる。得られた被付着担持体粒子は、亀裂の幅、深さおよび形状が最適なので、吸入器内でデアグロメレーションに対して良好な安定性を有するがそれにも係わらず、活性粒子および微細な賦形剤は、作動後、装置から放出される際、有効に分散され得る。
【0056】
図2は図1と類似した担持体粒子群である。
図3および4において、図3の乳糖担持体粒子は、添加剤としてロイシンと、活性物質としての硫酸サルブタモールとから構成される微細物質を塊状構造の亀裂内に保持することにより比較的凝集した構造を形成する。一方、図4の従来の製剤では、多くの微細物質は乳糖担持体粒子に付着してはいない。従来の担持体粒子は典型的には、乳糖結晶に特徴的なトマホーク形状を有する結晶である。それらは無定形であってもよいが、2より多い融合した結晶からなることは稀である。したがって、従来の担持体粒子は、本発明で用いられる亀裂のある粒子の裂け目および谷を実質的には持たない。
【0057】
担持体粒子に関連してここで用いられている「径」は、レーザー回折を用いて例えばマルバーン マスターサイザー(Malvern Mastersizer)を用いて求めた径を意味し、担持体に関連してここで用いられている「マスメディアン径」はこれにしたがって解釈されるべきである。
本発明の製剤中の粒子径を求めるには、成分粒子のいずれをも溶解しない液体中にこれらの粒子を分散し、音波破砕して分散を徹底し、レーザー回折例えばマルバーンマスターサイザーを用いて解析するのが好都合であると見出され得る。この方法は、異なる物質から構成された微細粒子を個別に解析する必要がない場合に適している。
【0058】
実施においては、大粒子サイズ画分と小粒子サイズ画分を個別に調べることが所望され得る。その場合、エアジェット篩いを用いて分離を行ってもよい。分離を行う所望の径に対応するメッシュを、エアジェット篩いに用いる。したがって、50μmの径に対応するメッシュを分離に用いることもでき、大粒子がシーブに保持され、小粒子は通過してフィルタ上に採取される。これにより、所望であれば大粒子((50μm)および小粒子(<50μm)の解析に異なる方法を用いることができる。
【0059】
本発明で用いられる担持体粒子のサイズを有する粒子の場合、レーザー回折で測定された径は、空気力学的径にきわめて近似している。したがって、好ましいときは、担持体粒子の空気力学的径を測定し、そこからマスメディアン空気力学的径(MMAD)を計算することができる。
添加剤、微細な賦形剤粒子、活性粒子に関連してここで用いられているMMADは、適切などんな方法でも例えばカスケードインパクター(cascade impactor)のようなインパクターを用いて、こうして得られたサイズ画分を、例えばHPLCで解析して測定しもよい。
【0060】
代替として、製剤のそれぞれの試料を、成分全てではなく成分の1以上を溶解することが知られている溶媒で処理し、適切ないかなる方法例えばレーザー回折で不溶存粒子を調べることができる。
【実施例】
【0061】
以下の実施例は本発明を説明するものである。
【0062】
実施例1
20gのマイクロファイン乳糖(ボルキュロ(Borculo) MMAD約8μm)および0.4gのL-ロイシン(味の素)を合わせて、ミル容量の約50%まで様々な径のステンレススチールボールで満たされたステンレススチール製ボールミルに入れた。ミルを約60RPMで約120分間回転させた。次いで、粉砕した物質(約5μmのMMAD)をミルおよびボールの表面から回収し、以下微紛と呼ぶことにする。
8gの篩い分けしたプリズマラック乳糖をガラス容器中に秤量した。プリズマラック(Prismalac、商標)乳糖は、錠剤製造用にメグル(Meggle)により英国で販売されている。この乳糖は、購入したままで、600μmの篩い目は通過するが、355μmの篩い目は通過しない篩い画分を回収するために、積み重ねた篩いで篩いにかける。この画分は以下355-600プリズマラックという。平均タップ密度が0.49g/cm3で、水銀圧入ポロシメトリーで測定したかさ密度は0.47 g/cm3である。
【0063】
上記のように得られた1gの微紛および1gの超微紛化硫酸サルブタモール(MMAD〜2μm)を、ガラス容器中の355-600プリズマラックに添加した。ガラス容器を密閉し、「タービュラー」(Turbula)回転混合機内に置いた。容器および内容物を42RPMの速度で約30分間回転混合した。
そのように得られた製剤を、カプセル当たり20mgずつ3号ゼラチンカプセルに充填した。充填されたカプセルを24時間静置した。次いで、3個のカプセルを、サイクロヘーラー(Cyclohaler)から、毎分60リットルの流量で、5.4μmのカットオフ径を生じると評価される内径12.5mmの改良ステージ1ジェットを含むツインステージインピンジャー(Twin Stage Impinger)に引き続いて発射した。ツインステージインピンジャーの操作は国際特許公開WO95/11666に記載されている。改良ステージ1ジェットの使用を含む通常のツインステージインピンジャーの改良は、ハルワース(Halworth)およびウエストモーランド(Westmoreland) (J. Pharm. Pharmacol. 1987, 39:966〜972)によって記載されている。
【0064】
【表1】

【0065】
表1に示すように、微細粒子分率は、微細乳糖を添加していない製剤(比較例1)と比較されるように、添加した微細乳糖(比較例2)の存在下で改善されている。最良の特性は、微細乳糖だけでなくロイシンも含有する本発明の製剤から得られる。実施例1の成分からプリズマラックを排除すると、製剤は非常に乏しい流動特性を有し、確実で再現可能な計測ができないことが分かった。結果として、微細粒子分率が非常に変動し易いことが見出された。
【0066】
実施例2
硫酸サルブタモールの代わりに、微粉にしたブデゾニド(budesonide) (MAD 2μm)、ロイシンの代わりにステアリン酸マグネシウムを用いて、実施例1を繰り返した。結果を表2に要約し、さらに各成分量を示す。
【0067】
【表2】

【0068】
実施例3
篩い分けしたプリズマラック乳糖を用いて実施例1を繰り返した。212〜355μmの篩い画分(平均タップ密度0.65 g/cm3および水銀圧入ポロシメトリーで測定されるかさ密度0.57 g/cm3で)が回収され、実施例1で用いられた355-600プリズマラック乳糖の代わりに用いた。約50%の微細粒子画分がもう一度得られた。
【0069】
実施例4
ロイシンを以下:レシチン、ステアリルアミン、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリルフマル酸ナトリウムのうち1つと置き換えて実施例1を繰り返した。
【0070】
結果は表3に要約する。
【表3】

【0071】
実施例5
微粉にした硫酸サルブタモールを、配合機中で5重量%の昇華したL-ロイシンと混合した。次いで、そのように得られた混合物を1:6の割合でプリズマラック(355-600μm画分)と15分間回転混合した。実施例1に記載されるように改良されたツインステージインピンジャーを用いて測定される微細粒子画分は65%であった。
【0072】
実施例6
95gのマイクロファイン乳糖(ボルキュロ) (パスカル エンジニアリング社で製造された)をセラミックのミル容器に入れた。5gの添加材料(L-ロイシン)およびセラミックのミルボールを添加した。そのボールミルを60rpmで5時間回転混合した。篩い分けによって粉末を回収して、ミルボールを除去した。
こうして得られたマイクロファイン乳糖中5% L-ロイシンを含有する混成賦形剤粒子0.9gを、すり鉢で0.6gのブデゾニドと手で混合した。この混合は、例えば、高せん断配合機またはボールミルもしくは遠心ミルでも行うことができる。20重量部のこの粉末を80重量部の粗い担持体乳糖(篩い分けしたプリズマラック355-600μm画分)と回転混合した。粉末を、サイクロヘーラーから60 L/分の流量で、多段式液体インピンジャーに放出した。微細粒子画分(<約5μm)は45%であった。
【0073】
実施例7
98gのマイクロファイン乳糖(MMAD約8μm) (ボルキュロで製造された)をステンレススチール製ミル容器に入れた。径が10〜3mmの300gのステンレススチールミルボールを添加した。2gのレシチンを添加し、容器をレッチュ(Retsch) S100 遠心ミルに設置した。粉末を580rpmで30分間粉砕し、次いで、篩い分けしてミルボールを除去した。
【0074】
2%のレシチンを含有する1gの得られた混成賦形剤粒子および8gの篩い分けしたプリズマラック乳糖(355-600μm画分)に、1gの硫酸サルブタモールを添加した。混合物を42rpmで30分間回転混合した。その結果得られた粉末を、毎分60リットルの流量で、サイクロヘーラーからツインステージインピンジャーに放出して、約44%の微細粒子画分(<約5μm)を得る。2%のロイシン前駆物質を用いた類似実施例では、52%の微細粒子画分(<約5μm)を得る。
【0075】
上記の混成賦形剤粒子を形成するためにレシチンの代わりに使用可能な他の添加材料は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸、ステアリルアミン、大豆レシチン、ステアリルフマル酸ナトリウム、L-ロイシン、L-イソ-ロイシン、オレイン酸、澱粉、ジホスファチジルコリン、ベヘン酸、ベヘン酸グリセリルおよび安息香酸ナトリウムである。製薬学的に許容可能な脂肪酸および誘導体、ワックスおよび油脂もまた用いてもよい。
【0076】
実施例8
10gのマイクロファイン乳糖(ボルキュロ)を、1gのステアリン酸マグネシウムおよび10 cm3のシクロヘキサンと合わせた。50gの5mmボールを添加し、混合物を90分間粉砕した。換気フード中一晩ペーストを放置し、シクロヘキサンを蒸発させ、次いで、1分間ボールミルして粉末を回収した。
ステアリン酸マグネシウムを含有する0.5gの得られた混成賦形剤粒子および4gの篩い分けしたプリズマラック乳糖(355-600μm画分)に、0.5gの硫酸サルブタモールを添加した。これを62rpmで30分間回転混合した。その結果得られた粉末を、毎分60リットルの流量で、サイクロヘーラーから2段式インビンジャーに放出して、57%の微細粒子画分(<約5μm)を得る。20%のステアリン酸マグネシウムを含有する混成賦形剤粒子を用いて実験を繰り返して、類似結果を得た。
【0077】
実施例9
10gのマイクロファイン乳糖(ボルキュロ)を、1gのロイシンおよび10cm3のシクロヘキサンと合わせた。50gの5mmボールを添加し、混合物を90分間粉砕した。換気フード中で一晩ペーストを放置し、シクロヘキサンを蒸発させ、次いで、1分間ボールミルして粉末を回収した。
【0078】
0.5gの硫酸サルブタモール、実施例8に記載のように製造したステアリン酸マグネシウムを含有する0.25gの混成賦形剤粒子、上記のように製造したロイシンを含有する0.25gの混成賦形剤粒子、および4gの篩い分けしたプリズマラック(355-600画分)を全て合わせた。混合物を62rpmで30分間回転混合した。その結果得られた粉末を、毎分60リットルの流量で、サイクロヘーラーからツインステージインピンジャーに放出して、〜65%の微細粒子画分(<約5μm)を得る。
【0079】
実施例10
10gのマイクロファイン乳糖(ボルキュロ)を、1gのレシチンおよび10 cm3のシクロヘキサンと合わせた。50gの5mmボールを添加し、混合物を90分間粉砕した。換気フード中で一晩ベーストを放置し、シクロヘキサンを蒸発させ、次いで1分間ボールミルして粉末を回収した。
0.5gの硫酸サルブタモールを、レシチンを含有する0.25gの得られた混成賦形剤粒子、実施例9に記載のように製造したロイシンを含有する0.25gの混成賦形剤粒子および4gの篩い分けしたプリズマラック乳糖(355-600μm画分)に添加した。混合物を62rpmで30分間回転混合した。その結果得られた粉末を、毎分60リットルの流量でサイクロヘーラーからツインステージインピンジャーに放出して、68%の微細粒子画分(<約5μm)を得る。
【0080】
実施例11
95gのソルボラック(Sorbolac) 400 (メグル(Meggle))を、5gのステアリン酸マグネシウムおよび50mlのジクロロメタンと合わせて、ステンレススチール製容器中の620gの5mmステンレススチールボールを備えたレッチュ S100遠心ミルで、500rpmで90分間粉砕した。短時間(1分)粉砕し、続いて篩い分けすることによってジクロロメタンを蒸発した後、粉末を回収した。このように得た10gの混成賦形剤/添加粒子を、89.5gの篩い分けしたプリズマラック乳糖(355-600μm画分)に添加した。混合物を60rpmで30分間回転混合し、次いで0.5gのブデゾニドを添加し、60rpmでさらに30分間回転混合し続けた。粉末を、60 L/分でサイクロヘーラーからツインステージインピンジャーに放出し、約80%の微細粒子画分(<約5μm)を得る。
【0081】
実施例12
(a)ボールミルで、添加材料および極微小の乳糖(<20ミクロン)を一緒に粉砕して、プレブレンドを製造した。次いで、1gのプレブレンド、1gの硫酸サルブタモールおよび8gの粗乳糖(プリズマラック355-600μm画分)を、42rpmのタービュラー混合器のガラス容器中で一緒に混合し、最終製剤を製造した。2号カプセルを20mgの製剤で充填した。各試験について、3個のカプセルをサイクロヘーラーから「急速TSI」に放出して、各試験につき6mgの硫酸サルブタモールの総送達投与量を得た。添加材料は、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ロイシン、レシチンおよびステアリルアミンから選択した。
【0082】
(b)プレブレンドをガラス容器中、粗乳糖と手で振動して混合する以外は、ロイシンを用いて上記の方法(a)を繰り返した。
「急速TSI」は、従来のTSIに基づいて改良された方法体系である。急速TSIでは、インピンジャーの第2段階をガラス繊維フィルタ(ゲルマンA/E、76mm)と置き換える。これにより、製剤の微細粒子画分(すなわち、MMAD<5μmの粒子)をフィルタ上で分析用に回収することができる。0.06M NaOH溶液中でフィルタを超音波処理して、UV分光光度計(スペクトロニック601)において295nmで分析した。微細粒子画分は、製剤の呼吸に適した画分に実質上相当する。
【0083】
さらに、上記の「急速TSI」法を用いて評価された製剤の詳細および微細粒子分率%を、下記の表4に示す。
10および20%のステアリン酸マグネシウム(すなわち、最終製剤の2%まで)を含む上記製剤でさえ、分離は観察されなかった。
上記方法は、様々な活性物質に適用されてきた。活性物質がタンパク質である場合、純粋なタンパク質もしくは添加材料および/またはポリマー安定剤と組み合わせたタンパク質のいずれかの凍結乾燥(フリーズドライ)が粉砕より先行されるであろう。凍結乾燥により、より砕けやすく、簡単に粉砕され易いタンパク質を製造することができる。物質の脆性を向上させるために、極低温(冷たい)条件下で粉砕が行われることが必要かもしれない。
【0084】
【表4】

【0085】
実施例13
製剤中に添加すべきステアリン酸マグネシウムの適正量の決定
30μ(約10μmのd(v、0.5))以下の出発粒子サイズのα-乳糖一水和物 ソルボラック400(メグル ミクロトース)と3〜35μm(約10μmのd(v、0.5))の出発粒子サイズのステアリン酸マグネシウムを、98:2、95:5、および90:10重量%の割合で、2時間ボールミル装置によって共に粉砕して、プレブレンドのサンプルを製造した(ブレンドA)。
【0086】
85重量%のα-乳糖一水和物カプスラック(CapsuLac) (212〜355μm)を240mlのステンレススチール製容器に入れ、次いで15重量%の各ブレンドAを添加した。ブレンドをタービュラー混合器中42rpmで2時間混合した(ブレンドB)。微粉にしたフマル酸フォルモテロールをブレンドBに添加し、タービュラー混合器中42rpmで10分間混合し、20mgの担持体に対して12μgの活性物の比率を得た。最終製剤(硬ペレット製剤)を10分間そのまま放置し、次いで、琥珀色のガラスジャーに移した。
最終製剤中のステアリン酸マグネシウムの量は結局、それぞれ0.3重量%、0.75重量%、1.5重量%になる。活性成分分布の均等性および生体外でのエアゾールの特性を以下のように測定した:
【0087】
(a)ブレンドの異なる部分から、それぞれが約1投与量に等しい10サンプルを抜き出して、活性成分分布の均等性を評価した。各サンプルの活性成分量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定した。
【0088】
(b)エアゾールの特性の測定
所定量の吸入用粉末を、多用量乾燥粉末吸入器(パルビナール(Pulvinal、登録商標)チェシ(Chiesi)薬品SpA、イタリア)に充填した。
改良ツインステージインピンジャー装置、TSI(FU IX、4°補遺 1996に記載される微細粒子の空気力学的評価用のA型装置)を用いて、エアゾール特性の評価を行った。この装置は、空気力学的サイズによって吸入用粉末を分離できる2つのチャンバーを形成するために、相互に連結された2つの異なるガラス部品から構成される。チャンバーは、それぞれ高分離(ステージ1)チャンバーおよび低分離(ステージ2)チャンバーと呼ばれる。ゴム製アダプターは、粉末を含む吸入器との連結を確実にする。装置は、分離チャンバーおよび連結された吸入器を通る空気流を生み出す真空ポンプに接続されている。ポンプを始動させる際、空気流は粉末混合物の粒子を運搬し、その空気力学的径に応じて、2つのチャンバーにそれを堆積させる。パルビナール(登録商標)装置に関連した流量と考えられている30 L/分の空気流で5μmの空気力学的径の制限値、ダエ(dae)を得るために、用いた装置をステージ1ジェットに改良した。より高いダエを有する粒子をステージ1に入れ、より低いダエを有する粒子をステージ2に入れた。双方の段階において、最小容量の溶剤を、粒子が装置の壁面に付着しないように使用し、その回収を促進するために使用する(ステージ2で30mlおよびステージ1で7ml)。
【0089】
製造法a)によって得られた混合物のエアゾール特性の測定は、8秒間30 L/分の空気流量を利用するTSIで行われた。
10投与量を噴霧した後、ツインステージインピンジャーを分解し、2つの分離チャンバーに堆積した薬剤量を溶媒混合物で洗浄して回収し、次いで1つはステージ1、もう1つはステージ2のために2つの容量フラスコで100および50ml容量にそれぞれ希釈した。次いで、2つの容量フラスコに回収された活性成分量を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定した。以下のパラメーターが算出された:i)平均および相対標準偏差(RSD)として表される射出重量、ii)TSIのステージ2で発見された薬剤量である微細粒子投与量(FPD)、iii)ステージ1+ステージ2に回収された装置から送出された薬剤量である放出量、iv)TSIのステージ2に到達する放出量の割合である微細粒子画分(FPF)。
【0090】
【表5】

【0091】
全ての場合において、最終製剤中0.3重量%のステアリン酸マグネシウムを含む微細粒子の投与量に関して、特に優れた特性が得られた。
実施例14
単純混合によるステアリン酸マグネシウムの添加の影響
製剤A
99.75:0.25重量%の割合のα-乳糖一水和物ファルマトース(Pharmatose) 325M(30〜100μm)およびステアリン酸マグネシウムを、タービュラー混合器中42rpmで2時間混合した。ブレンドを、フマル酸フォルモテロールとタービュラー混合器中42rpmで30分間混合し、25mgの担持体に対し12μgの活性物の比率を得た。
【0092】
製剤B−上述されるとおりだが、α-乳糖一水和物スフェロラック(SpheroLac) 100(90〜150μm)をファルマトース 325Mの代わりに使用した。
製剤C−40:60重量%の割合の(355μm以下の粒子サイズを含む)α-乳糖一水和物プリズマラック 40および微粉にした5μm以下の粒子サイズの乳糖を、タービュラー混合器中42rpmで60分間混合した。その結果得られたブレンドを99.75重量%およびステアリン酸マグネシウム0.25重量%を、タービュラー混合器中42rpmで60分間混合した。最終的に、得られたブレンドを、タービュラー混合器中でフマル酸フォルモテロールと42rpmで30分間混合し、15mgの担持体に対して12μgの活性物の比率を得た。
【0093】
製剤D−98:2重量%の割合の30μm(約10μmのd(v、0.5))以下の粒子サイズのソルボラック400およびステアリン酸マグネシウムを、高せん断混合器中で120分間混合した(ブレンドA)。85重量%のα-乳糖一水和物カプスラック(212〜355μm)および15重量%のブレンドAを、タービュラー中42rpmで2時間混合した(ブレンドB)。最終製剤中のステアリン酸マグネシウムの量は、0.3重量%である。微粉にしたフマル酸フォルモテロールを、ブレンドBの最上部にのせ、タービュラー混合器中42rpmで10分間混合し、20mgの担持体に対し12μgの活性物の比率を得た。
【0094】
製剤E−98:2重量%の割合の10μm(約3μmのd(v、0.5))以下の粒子サイズの微粉にした乳糖およびステアリン酸マグネシウムを、シグマ ブレンド混合器中で60分間混合した(ブレンドA)。85重量%のα-乳糖一水和物カプスラック(212〜355μm)および15重量%のブレンドAを、タービュラー中42rpmで2時間混合した(ブレンドB)。最終製剤中のステアリン酸マグネシウム量は0.3重量%である。微粉にしたフマル酸フォルモテロールをブレンドBの最上部にのせ、タービュラー混合器中42rpmで10分間混合し、20mgの担持体に対して12μgの活性物の比率を得た。
実施例13に記載されるように測定した活性成分分布の均等性および生体外のエアゾール特性に関する結果を表6に示す。
【0095】
【表6】

ステアリン酸マグネシウムを、高エネルギー混合により、少量の微細乳糖(製剤DおよびEのブレンドA)に添加し、212〜355μmの粗乳糖画分と組み合わせた製剤は、特性において著しい向上を示している。さらに、用いられた微細乳糖の粒子サイズは、最終製剤の非凝集特性に多大な効果を及ぼす。実際に、微粉にした乳糖を用いて製造された製剤Eは、製剤Dと比較して、著しく改善された特性を示す。
【0096】
実施例15
最終製剤中の総量の微粉にしたプレブレンドの量の影響
98:2重量%の割合の50〜400μm(約170μmのd(v、0.5))の出発粒子サイズのα-乳糖一水和物スフェロラック 100(メグル EP D30)および3〜35μm(約10μmのd(v、0.5))の出発粒子サイズのステアリン酸マグネシウムを、ジェットミル装置で共に粉砕した(ブレンドA)。様々な比率のα-乳糖一水和物カプスラック(212〜355μm)およびブレンドAを、ステンレススチール製容器に入れ、タービュラー混合器中32rpmで4時間混合した(ブレンドB)。
微粉にしたフマル酸フォルモテロールをブレンドBの最上部にのせ、タービュラー混合器中32rpmで30分間混合し、20mgの全混合物に対し12μgの活性物の比率を得た。最終製剤中のステアリン酸マグネシウムの量は、0.05〜0.6重量%の範囲である。
活性成分分布の均等性および生体外のエアゾール特性に関する結果は、実施例13のように測定され、表7に示される。
【0097】
【表7】

【0098】
実施例16
実施例11に従って得られた5%のステアリン酸マグネシウムを含有する10gの混成賦形剤粒子を、タービュラー混合器中で89.5gの粗乳糖(プリズマラック、355-600μm画分)と30分間混合した。0.5gの微粉にしたジヒドロエルゴタミンメシレートを添加し、タービュラー中でさらに30分間混合し続けた。粉末を、サイクロヘーラーから多段式液体インビンジャー(装置C、欧州薬局法5.2.9.18、補遺2000)に放出して、約60%の微細粒子画分(<約5μm)を得る。
【0099】
実施例17
混成賦形剤粒子は、95gの微細乳糖(ソルボラック400-メグル)を、5gのステアリン酸マグネシウムと50mlのジクロロメタンと共に、620gの5mmステンレススチール製ボールをステンレススチール製容器中に備えたレッチュS100遠心ミル中500rpmで90分間粉砕して製造した。短時間(1分)粉砕し、続いて篩い分けしてジクロロメタンを蒸発した後、粉末を回収した。このようにして得られた10gの混成賦形剤/添加粒子を、89.5gの篩い分けしたプリズマラック乳糖(355-600μm画分)に添加した。混合物をタービュラー混合器中60rpmで30分間回転混合し、次いで0.5gのクエン酸フェンタニールを添加し、60rpmでさらに30分間回転混合し続けた。このように得られた粉末を、60 L/分でサイクロヘーラーからツインステージインピンジャーに放出して、約50%の微細粒子画分(<約5μm)を得る。
【0100】
実施例18
89.5g、10gの混成賦形剤粒子および0.5gのブデゾニドをそれぞれ組み合わせた種々の製剤は、実施例11の方法によって製造した。
次いで、それらの流動性を、ハンソンリサーチにより製造されたフロデックス(FLODEX (登録商標))試験器を用いて測定した。フロデックスは、4〜40mmの寸法にわたって粉末の流動性の指数を提供する。50gの製剤を、漏斗を介してフロデックスの保持チャンバーに入れて、製剤を1分間放置し、次いで、保持チャンバーの底部の開口部を開くためにフロデックスの跳上げふたを開放して分析を行った。4〜34mmの孔径を流動性の指数を測るために使用した。所定の製剤の流動性は、製剤の流れが滑らかな最小の孔径として測定される。
【0101】
結果を表8に示す。
45gのファルマトース325M乳糖(従来のいくつかの製剤に使用されている乳糖)および5gの極微小の乳糖を、タービュラー混合器で30分間混合して製造された製造物について比較データに示す。
【0102】
【表8】

【0103】
比較例1
99.5gの篩い分画化プリズマラック(355-600μm)を、0.5gのブデゾニドと60rpmで30分間回転混合した。毎分90リットルでサイクロヘーラーから多段式液体インピンジャーに放出された粉末は、約30%の微細粒子画分(<約5μm)を得る。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明によれば、器具内で優れた流動性を有するとともに器具からの放出時に、担持体粒子からの活性粒子の優れた分散と比較的高い微細粒子画分の生成を可能にして、肺の中へ活性粒子を比較的大きな割合で送達することを促進する製剤が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも50μmの径と少なくとも175μmのマスメディアン径を有する担持体粒子;
活性粒子;
および吸入器の作動時に担持体粒子からの活性粒子の放出を促進することが可能な添加剤を含む、吸入器で使用するための製剤。
【請求項2】
担持体粒子のマスメディアン径が少なくとも200μmである、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
少なくとも担持体粒子が結晶性の糖である請求項1または2に記載の製剤。
【請求項4】
担持体粒子がデキストロースまたは乳糖である請求項3に記載の製剤。
【請求項5】
担持体粒子が乳糖である請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
担持体粒子が亀裂表面を有する材料を含む、請求項1〜5のいずれか一つに記載の製剤
【請求項7】
担持体粒子が0.75g/cm3以下のタップ密度を有する、結晶性の糖である請求項1〜6のいずれか一つに記載の製剤。
【請求項8】
担持体粒子が0.70g/cm3以下のタップ密度を有する、請求項7に記載の製剤。
【請求項9】
担持体粒子が、水銀圧入ポロシメトリーにより測定して0.6g/cm3以下のかさ密度を有する、請求項1〜8のいずれか一つに記載の製剤。
【請求項10】
担持体粒子が、互いに融合した多数の結晶からなる塊の形態にある、請求項1〜9のいずれか一つに記載の製剤。
【請求項11】
担持体粒子が湿式造粒法により得られる請求項1〜10のいずれか一つに記載の製剤。
【請求項12】
担持体粒子が樹枝状球粒である請求項1〜10のいずれか一つに記載の製剤。
【請求項13】
製剤の全重量に基づいて、添加剤が50重量%以下の量で存在する、請求項1〜12のいずれか一つに記載の製剤。
【請求項14】
製剤の全重量に基づいて、添加剤が10重量%以下の量で存在する、請求項13に記載の製剤。
【請求項15】
製剤の全重量に基づいて、添加剤が5重量%以下の量で存在する、請求項14に記載の製剤。
【請求項16】
添加剤が、アミノ酸およびその誘導体、ならびに0.25〜1000Kdaの分子量を有するペプチドおよびポリペプチドならびにその誘導体から選択される1つ以上の化合物を含む、上記の請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項17】
添加剤がアミノ酸を含む、請求項16に記載の製剤。
【請求項18】
添加剤が本質的にロイシンを含む、請求項17に記載の製剤。
【請求項19】
添加剤がリン脂質またはその誘導体を含む、請求項1〜17のいずれか一つに記載の製剤。
【請求項20】
添加剤が大豆レシチンを含む、請求項19に記載の製剤。
【請求項21】
添加剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸、ステアリルアミン、ステアリルフマル酸ナトリウム、オレイン酸、澱粉、ベヘン酸、ベヘン酸グリセリルおよび安息香酸ナトリウムから選択される1つ以上の化合物を含む、請求項1〜15のいずれか一つに記載の製剤。
【請求項22】
添加物がステアリン酸マグネシウムである、請求項21に記載の製剤。
【請求項23】
添加剤が、脂肪酸および誘導体、ワックスおよび油から選択される、請求項1〜15のいずれか一つに記載の製剤。
【請求項24】
添加剤が粒子形態である請求項1〜23のいずれか一つに記載の製剤。
【請求項25】
添加剤粒子の少なくとも90重量%が100μm未満の空気力学径を有する、請求項24に記載の製剤。
【請求項26】
添加剤粒子のマスメディアン空気力学的径が10μm以下である、請求項24または25に記載の製剤。
【請求項27】
製剤の重量に基づいて0.01重量%以上の添加剤を含む、上記の請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項28】
添加剤が担持体粒子の表面に不連続な被覆を形成する、上記の請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項29】
添加剤が、担持体粒子の表面に不連続な被覆を形成する一方、担持体粒子の表面を飽和する、請求項28に記載の製剤。
【請求項30】
活性粒子、添加剤および担持体粒子の全重量に基づいて、活性粒子を90重量%まで含む、請求項1〜29のいずれか一つに記載の製剤。
【請求項31】
活性粒子、添加剤および担持体粒子の全重量に基づいて、活性粒子を50重量%まで含む、請求項30に記載の製剤。
【請求項32】
活性粒子、添加剤および担持体粒子の全重量に基づいて、活性粒子を20重量%まで含む、請求項31に記載の製剤。
【請求項33】
製剤の全重量に基づいて、担持体粒子を少なくとも50重量%含む、請求項1〜32のいずれか一つに記載の製剤。
【請求項34】
製剤の全重量に基づいて、担持体粒子を少なくとも70重量%含む、請求項33に記載の製剤。
【請求項35】
活性粒子が呼吸器疾患の予防または治療のための治療活性薬剤を含む請求項1〜34のいずれか一つに記載の製剤。
【請求項36】
活性粒子がβ2-アゴニスト、イパトロピウムブロマイド、ステロイド、クロモンおよびロイコトリエンレセプターアンタゴニストから選択される1以上の活性薬剤を含む、請求項1〜35のいずれか一つに記載の製剤。
【請求項37】
活性粒子が全身活性を有する治療活性薬剤を含む請求項35に記載の製剤。
【請求項38】
活性粒子が、ペプチド、ポリペプチド、蛋白質およびDNA断片から選択される1以上の薬剤を含む、請求項1〜37のいずれか一つに記載の製剤。
【請求項39】
活性粒子がインシュリンを含む請求項38に記載の製剤。
【請求項40】
50μm以下の空気力学的径を有する微細な賦形剤材料をさらに含む、請求項1〜39のいずれか一つに記載の製剤。
【請求項41】
微細な賦形剤粒子のマスメディアン空気力学的径が15μm以下である、請求項40に記載の製剤。
【請求項42】
賦形剤粒子のマスメディアン空気力学的径が10μm以下である、請求項41に記載の製剤。
【請求項43】
製剤の全重量に基づいて、4重量%以上の量の微細な賦形剤粒子を含む、請求項40〜42のいずれか一つに記載の製剤。
【請求項44】
製剤の全重量に基づいて、20重量%までの量の微細な賦形剤粒子を含む、請求項40〜43のいずれか一つに記載の製剤。
【請求項45】
微細な賦形剤粒子が製剤の全重量に基づいて15重量%までの量で存在する、請求項44に記載の製剤。
【請求項46】
微細な賦形剤粒子がデキストロースまたは乳糖である、請求項40〜45のいずれか一つに記載の製剤。
【請求項47】
微細な賦形剤粒子が乳糖である請求項46に記載の製剤。
【請求項48】
担持体粒子および微細な賦形剤粒子が同じ物質からなる、請求項40〜47のいずれか一つに記載の製剤。
【請求項49】
製剤の全重量に基づいて、20重量%までの微細な賦形剤粒子と10重量%までの添加剤とを含む、請求項40〜47のいずれか一つに記載の製剤。
【請求項50】
製剤の全重量に基づいて、10重量%までの添加剤を含む、請求項1〜49のいずれか一つに記載の製剤。
【請求項51】
製剤の全重量に基づいて、5重量%までの添加剤を含む、上記の請求項のいずれかに記載の製剤。
【請求項52】
20μm未満の空気力学的径を有する粒子を、製剤の全重量に基づいて5重量%より多く、好ましくは10重量%より多く含み、12mm以下の流動性指数を有する、乾燥粉末吸入器で使用するための製剤。
【請求項53】
いずれの場合も重量で、担持体粒子、活性薬剤および添加剤の全重量に基づいて、
少なくとも50μmの径と少なくとも175μmのマスメディアン径を有する担持体粒子を5〜90重量%;
治療活性薬剤を0.01〜90重量%;
吸入器の作動時に活性物質の放出を促進することができる添加剤を0.01〜50重量%;
を含む、吸入器で使用するための製剤。
【請求項54】
さらに、製剤の全重量に基づいて、微細な賦形剤粒子を50重量%以下の量で含む、請求項53に記載の製剤。
【請求項55】
製剤の全重量に基づいて、活性粒子が70重量%を超えない量で存在する、請求項53に記載の製剤。
【請求項56】
治療活性薬剤、添加剤および存在するのであれば微細な賦形剤の合計含量が、製剤の全重量に基づいて少なくとも10重量%である、請求項53〜55のいずれか一つに記載の製剤。
【請求項57】
治療活性薬剤、添加剤および存在するのであれば微細な賦形剤の合計含量が、製剤の全重量に基づいて少なくとも20重量%である、請求項56に記載の製剤。
【請求項58】
ここに実質的に記載されている製剤。
【請求項59】
実施例1〜18のいずれかに実質的に記載されている製剤。
【請求項60】
請求項1〜59のいずれか一つに記載の製剤を含む吸入器。
【請求項61】
乾燥粉末吸入器である請求項60に記載の器具。
【請求項62】
圧力がかかり、測定された投与量の吸入器である請求項60に記載の器具。
【請求項63】
添加剤を担持体粒子および活性粒子と混合することを含む、請求項1〜59のいずれか一つに記載の製剤の製造法。
【請求項64】
添加剤が、担持体粒子および活性粒子と混合される前に、微細な賦形剤粒子と混合される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
吸入器のための製剤から得ることができる微細な粒子の画分を増加させる添加剤と組み合わせて、少なくとも175μmのマスメディアン径を有する亀裂のある担持体粒子の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−255035(P2012−255035A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−217416(P2012−217416)
【出願日】平成24年9月28日(2012.9.28)
【分割の表示】特願2001−575995(P2001−575995)の分割
【原出願日】平成13年4月17日(2001.4.17)
【出願人】(510131236)ヴェクトゥラ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】