説明

吸入器支持具

【課題】 完全にベッドを倒した状態でも、ベッドを起こした状態でも、それらに影響されることなく吸入器(ネブライザー)を好みの位置に支持しておくことを可能とした吸入器支持具を提供することを目的としている。
【解決手段】 ベッドの立ち上り部位2に内挟持部3と外挟持部4によって付勢挟持するとともに、該ベッドの立ち上り部位2に着脱自在形態で固定される挟持型取付け体5と、この挟持型取付け体5の内挟持部3表面に直接的に根元が固定されてなる、どの方向にでも曲げることができるとともに横延び状態が保持されるフレキシブル棒体6と、このフレキシブル棒体6の先端に設けられた吸入器9を着脱自在形態で付勢挟持する吸入器挟み手段10とからなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に医療用吸入器を好みの位置に支持する吸入器支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の吸入器支持具は、ベッドや布団にはさみ込んだ状態とするA字型の支持台と、この支持台の端方に立ち上げられるように設けられたフレキシブルな蛇腹管と、この蛇腹管の先端に開口を該蛇腹管の軸方向に向けかつ該軸方向に根元で一本のピンやボルトで該軸方向に対して縦回動可能に取り付けられた、吸入器のホースまたは吹き出し口の着脱を容易にすると同時に保持できる強度を持たせたC字型のホルダー部とからなる吸入器支持具が知られている。(例えば特許文献1)
また、患者の枕の下に挟み込んだ状態とする平板部材からなる支持台と、この支持台の後部端から立ち上げられた套管部と、この套管部にスライド自在に設けられるとともにボルトにより好みの位置で固定される芯管部と、この芯管部の一部を前方に折り曲げて形成された蛇腹管支承体と、この支承部の左右に設けられた吸入器の蛇腹管が載り嵌る半円弧凹形態の蛇腹管支承部とからなる吸入器支持具が知られている。(例えば特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2003−24444
【特許文献2】 実開昭56−16443
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】特になし
【非特許文献2】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
<特許文献1の技術>
(1)ボトム(サイドフレームの上に載せられた底板、床板)とマットレスの間に挟んで使用する、あるいはマットレスとその上の敷布団の間に支持台を挟み込んで使用するものである。そうであるなら、吸入が楽な姿勢とするためにベッドを起こした状態での吸入や、本やテレビを見やすいようにベッドを起こした状態での吸入にあっては、支持台の支持が傾斜支持となるので安定せず使用でき難いものであった。
(2)ボトムとマットレスの間に挟んで使用する、あるいはマットレスとその上の敷布団の間に支持台を挟み込んで使用するものであるので、蛇腹管の長さはベッド端ないし布団端から立ち上がって横臥した状態の患者の口にまで届きかつ位置決めを容易にするためにある程度余裕のある長さとしなければならないものである。
敷き布団縁ないしマットレス縁から、掛け布団をはじめどこにも支持されることなく蛇腹管のみで該蛇腹管の自重、吸入器およびホースの重量に耐えて、一定の位置に吸入器を保持しなければならないことになる。その場合の重量は蛇腹管のベッド縁端との当接部位にとなり、蛇腹管の曲がり難い硬さ(以下「曲がり硬さ」という。)をこれらの重量では曲がらない硬さとしなければならず、力の弱い女性の看護師などでは曲げ位置決め操作性が硬くて操作性も使用感も悪いというものである。
特に、掛け布団に触れない状態での支持とするためには、蛇腹管を掛け布団以上の高さまで持ち上げるために立ち上げるための部位を有さなければならず、その立ち上げた部位から略水平に適当な曲がりを形成して患者の口や喉まで該蛇腹管を這わせなければならないものであるから、蛇腹管の長さが上がり部位と水平曲がり部位との長さが必要となるものであり、結果、長い蛇腹管が必要となり、より曲がり硬さの強いものにしなければならないものである。
支持台はその挟持安定性からいって、ボトムとマットレスの間に挟んで使用することが安定した使用形態であるとするのが相当である。
<特許文献2の技術>
敷布団と枕の間に支持台を挟み込んで使用するものであるので、引用文献1の技術の前記(1)と同様な欠点を有するものである。
【0006】
本発明は以上のような従来技術の欠点に鑑みてなされたものであって、
第1の目的は、完全にベッドを倒した状態でも、ベッドを起こした状態でも、それらに影響されることなく吸入器(ネブライザー)を好みの位置に支持しておくことを可能とした吸入器支持具を提供することを目的としている。
第2の目的は、完全にベッドを倒した状態でも、ベッドを起こした状態でも、それらに影響されることなく吸入器(ネブライザー)を好みの位置に支持しておくことを可能とするとともに、力の弱い女性看護師でもその曲げ位置決め操作が容易に行えることを可能とした吸入器支持具を提供することを目的としている。
第3の目的は、前記第1の目的あるいは前記第2の目的に加えて、ベッドの立ち上り部での支持を強い支持とできる吸入器支持具を提供することを目的としている。
【0007】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためであって、本発明の技術的範囲をそれらのみに限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は次に述べるような構成となっている。
<請求項1記載の発明>
ベッドのヘッドボードあるいはサイドレールであるベッドの立ち上り部位に上方から被さるようにしてセットされて内挟持部と外挟持部によって挟持するとともに、該ベッドの立ち上り部位に着脱自在形態で固定される挟持型取付け体と、
この挟持型取付け体に直接的にあるいは棒部材を介して根元が固定されてなる、どの方向にでも曲げることができるとともに横延び状態が保持されるフレキシブル棒体と、
このフレキシブル棒体の先端に設けられた、開閉支点部を支点にして該フレキシブル棒体の軸方向に開閉される一対の開閉挟持部位により吸入器を着脱自在形態で付勢挟持する吸入器挟み手段とからなることを特徴とする吸入器支持具である。
<請求項2記載の発明>
フレキシブル棒体の自重によって、フレキシブル棒体の自重+挟持型取付け体の合計重量よって、あるいは、フレキシブル棒体の自重+挟持型取付け体+保持した吸入器の合計重量によって、前記フレキシブル棒体が水平状態を維持できないで下ってしまう曲がりやすさであり、前記フレキシブル棒体の根元側から中途部位が下に下らないように該フレキシブル棒体の中途部位を上方から、下方からあるいは筒部材により根元側から該中途部位までの横延び状態を支持する中途支持手段を設けてなることを特徴とする請求項1いずれか記載の吸入器支持具である。
中途支持手段として、コードや棒材による吊形態、棒材による下方支持形態、ベッドの床面に置かれてその上に支持されたフレキシブル棒体を支持する肘受け形態、挟持型取付け体に水平状態に固定されかつ中途部位まで延びた筒部材、棒部材、平板部材による水平支持形態、請求項4記載の水平可動部材などがあげられる。
<請求項3記載の発明>
内挟持部の表前面にフレキシブル棒体がその軸方向を前方向きに取り付けられてなることを特徴とする請求項1、2いずれか記載の吸入器支持具である。
<請求項4記載の発明>
ベッドの立ち上り部位を挟持状態にある内挟持部と外挟持部を、それ以上開かないように固定するための挟持状態固定手段を設け、あるいは前記内挟持部と前記外挟持部の締め付けを強めるための挟持締付強化手段を設けてなることを特徴とする請求項1、2、3いずれか記載の吸入器支持具である。
挟持状態固定手段あるいは挟持締付強化手段として、内挟持部と外挟持部の間に上部から挟み込み押し開く挟み込み押し開き形態、内挟持部と外挟持部の上部をねじ部材により押し開く押し開き形態、内挟持部と外挟持部の下部をねじ部材や面ファスナバンドなどで締め付ける締め付け形態などがある。
<請求項5記載の発明>
吸入器挟み手段が、吸入器本体の後方に向かって吸引ホース取付部が突出する形態の吸入器の、該吸入器の本体を開閉挟持部位で挟持する場合にあって、前記吸引ホース取付部が該吸入器挟み手段内に位置できるように前記開閉挟持部位から開閉支点部への距離が、該吸引ホース取付部が収まる距離としてなる吸入器挟み手段であることを特徴とする請求項1、2、3、4いずれか記載の吸入器支持具である。
<請求項6記載の発明>
挟持型取付け体が、ベッドの立ち上り部位であるサイドレールの縦棒を挟持する形態の挟持型取付け体であることを特徴とする請求項1、2、5いずれか記載の吸入器支持具である。
【発明の効果】
【0009】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
<請求項1記載の発明の効果>
ベッドのヘッドボードあるいはサイドレールであるベッドの立ち上り部位に上方から被さるようにしてセットされて内挟持部と外挟持部によって挟持するとともに、該ベッドの立ち上り部位に着脱自在形態で固定される挟持型取付け体と、この挟持型取付け体に直接的にあるいは棒部材を介して根元が固定されてなる、どの方向にでも曲げることができるとともに横延び状態が保持されるフレキシブル棒体と、
このフレキシブル棒体の先端に設けられた、開閉支点部を支点にして該フレキシブル棒体の軸方向に開閉される一対の開閉挟持部位により吸入器を着脱自在形態で付勢挟持する吸入器挟み手段とからなることを特徴とする吸入器支持具であるので次に述べるような効果を奏する。
内挟持部と外挟持部を有する挟持型取付け体をベッドの立ち上り部位に上方から被せるようにして該内挟持部と該外挟持部によって挟持してセットし、自在に曲がるフレキシブル棒体を曲げながら吸入器挟み手段を狙いの略位置とし、吸入器挟み手段に吸入器を保持し、最終的な微調整を行って最適な吸入位置や向きとできる。
フレキシブル棒体を取り付け支持している挟持型取付け体を、ベッドの立ち上り部位に着脱自在形態で取り付け固定するので、ベッドの起こし状態、ベッドの寝かせ状態(完全倒れ状態)のいずれの状態にあっても影響をうけることなく、吸入器挟み手段に保持した吸入器を最適な位置にできるという効果を奏する。
また、ベッドの起こし角度を調節変えたり、枕の高さを変えたりしても、素早く簡単に最適内位置にすることができるという効果を奏する。
<請求項2記載の発明の効果>
フレキシブル棒体の自重によって、フレキシブル棒体の自重+挟持型取付け体の合計重量よって、あるいは、フレキシブル棒体の自重+挟持型取付け体+保持した吸入器の合計重量によって、前記フレキシブル棒体が水平状態を維持できないで下ってしまう曲がりやすさであり、前記フレキシブル棒体の根元側から中途部位が下に下らないように該フレキシブル棒体の中途部位を上方から、下方からあるいは筒部材により根元側から該中途部位までの横延び状態を支持する中途支持手段を設けてなることを特徴とする請求項1いずれか記載の吸入器支持具であるので、請求項1記載の発明と同様な効果を奏するとともに、
フレキシブル棒体が根元側から中途までを中途部位が下らないようにする中途支持手段を設けた構成としているので、フレキシブル棒体が根元側から中途部位までの該フレキシブル棒体の重量は該フレキシブル棒体を下げる荷重とはならない。すなわち、フレキシブル棒体を下に曲げようとする荷重は、前記中途部位から先のフレキシブル棒体の前記中途部位から先方部分という軽減された荷重となり、その軽減された荷重によって、該フレキシブル棒体は曲がり下ることなく水平状態を保持するとともに、曲げやすさは維持される、下げ曲がらない範囲でより操作性のよい長さに長くできるという効果を奏する。
これによって、フレキシブル棒体を操作性と位置決めが行いやすい長さのものにできるとともに、フレキシブル棒体の曲げ操作を力の弱い人でも行いやすい吸入器支持具を実現する。
<請求項3記載の発明の効果>
内挟持部の表前面にフレキシブル棒体がその軸方向を前方向きに取り付けられてなることを特徴とする請求項1、2いずれか記載の吸入器支持具であるので、請求項1、2いずれか記載の発明と同様な効果を奏するとともに、
フレキシブル棒体の長さを最小限のものにできる。
<請求項4記載の発明の効果>
ベッドの立ち上り部位を挟持状態にある内挟持部と外挟持部を、それ以上開かないように固定するための挟持状態固定手段を設け、あるいは前記内挟持部と前記外挟持部の締め付けを強めるための挟持締付強化手段を設けてなることを特徴とする請求項1、2、3いずれか記載の吸入器支持具であるので、請求項1、2、3いずれか記載の発明と同様な効果を奏するとともに、
内挟持部と外挟持部の挟持付勢力(ばね力)を弱いものにできる、あるいは挟持付勢力の無いものにしても、挟持状態固定手段あるいは挟持締付強化手段によりベッドの立ち上り部位への強い固定状態を実現できるという効果を奏する。
これによって、力の弱い女性看護師などでも挟持状態固定手段のベッドの立ち上り部位への取り付けと取り外しを容易に行うことができる吸入器支持具を実現する。
<請求項5記載の発明の効果>
吸入器挟み手段が、吸入器本体の後方に向かって吸引ホース取付部が突出する形態の吸入器の、該吸入器の本体を開閉挟持部位で挟持する場合にあって、前記吸引ホース取付部が該吸入器挟み手段内に位置できるように前記開閉挟持部位から開閉支点部への距離が、該吸引ホース取付部が収まる距離としてなる吸入器挟み手段であることを特徴とする請求項1、2、3、4いずれか記載の吸入器支持具であるので、請求項1、2、3、4いずれか記載の発明と同様な効果を奏するとともに、
これにより、プラスチック製の吸入器とガラス製の吸入器の形態の異なる吸入器のいずれも使用することができるという効果を奏する。
<請求項6記載の発明の効果>
挟持型取付け体が、ベッドの立ち上り部位であるサイドレールの縦棒を挟持する形態の挟持型取付け体であることを特徴とする請求項1、2、5いずれか記載の吸入器支持具であるので、請求項1、2、5いずれか記載の発明と同様な効果を奏するとともに、
サイドレールの縦棒を挟持する挟持型取付け体により、挟持型取付け体およびフレキシブル棒体を床面に這わせるような使用や、床面に置かれてフレキシブル棒対の中途を下方から支持する形態の中途支持手段の高さに合わせた位置に挟持型取付け体を位置させることができるという効果を奏する。
また、挟持型取付け体を吸入器挟み手段とし、吸入器挟み手段を挟持型取付け体とすることが可能であり、それぞれの開閉挟持部位を変わったものとすることにより、複数の吸入器の使用を可能にできるという効果を奏する。
また、挟持型取付け体を床面と略同じ高さにして、そこからフレキシブル棒体を床面を這うようにさせて、あるいは床面から掛け布団面を這わせて、先端に保持した吸入器を患者の口まで持って行き、その位置を保持する使用形態、挟持型取付け体を床面から上がった位置にして、そこからフレキシブル棒体を下げて途中部位を床面を這うようにさせて、あるいは床面から掛け布団面を這わせて、先端に保持した吸入器を患者の口まで持って行き、その位置を保持する使用形態を実現するものである。
このような使用形態においては、フレキシブル棒体の根元側あるいは中途を床面上に当てて支持しているので、フレキシブル棒体の全荷重がその固定根元にかかることが回避され、床面から持ち上がった部位にその先の浮かした部分の荷重がかかるものである。すなわち、床面から持ち上がった部位が載置根元となって軽減された荷重を受けるので、固定根元にかかる荷重より軽い荷重が載置根元にかかることになる。よって、その分フレキシブル棒体の硬さを弱めた(水平支持力を弱めた)曲げ操作の行いやすいものにできるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す斜視図およびプラスチック製吸入器を保持した状態の斜視図。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示すガラス製吸入器を保持した状態の側面図。
【図3】本発明の第2の実施の形態の使用状態側面図。
【図4】本発明の第3の実施の形態の使用状態側面図。
【図5】本発明の第4の実施の形態の使用状態側面図。
【図6】本発明の第5の実施の形態の使用状態側面図。
【図7】本発明の第6の実施の形態の使用状態側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に示す発明を実施するための最良の形態により、本発明を詳細に説明する。
【0012】
<第1の実施の形態>
図1、図2に示す本発明を実施するための最良の第1の実施の形態において1は吸入器支持具であって、この吸入器支持具1はベッド(図示せず省略)のヘッドボードあるいはサイドレールであるベッドの立ち上り部位2に上方から被さるようにしてセットされてスプリング18によって、開閉支点部19を支点に締め付勢状態とされている内挟持部3と外挟持部4によって付勢挟持するとともに、該ベッドの立ち上り部位2に着脱自在形態で固定される挟持型取付け体5と、この挟持型取付け体5の内挟持部3表面(内開閉操作部21表面でもよい)に直接的にあるいは棒部材を介して(図では直接的に)根元が固定されてなる、どの方向にでも曲げることができるとともに横延び状態が保持されるフレキシブル棒体6と、このフレキシブル棒体6の先端に設けられた、開閉支点部7を支点にして該フレキシブル棒体6の軸方向に開閉される一対の開閉挟持部位8a、8bにより吸入器を着脱自在形態で付勢挟持する吸入器挟み手段10とからなっている。14は吸入口。
開閉挟持部位8a、8bにはクッション部材を塗布、接着あるいは手袋形態のものを装着させるなどにより設けるのがよい。
【0013】
図1ではプラスチック製の吸入器9を保持しているが、これ以外の形態(例えば図2に示すガラス製の吸入器13のような)の吸入器も保持できる。
図2に示すように、吸入器挟み手段10は、吸入器本体11の後方に向かって吸引ホース取付部12が突出する形態の吸入器13の、該吸入器本体11を開閉挟持部位8a、8bで挟持する場合にあって、前記吸引ホース取付部12が該吸入器挟み手段10内に位置できるように前記開閉挟持部位8a、8bから開閉支点部7への距離が、該吸引ホース取付部12が収まる距離としてなる吸入器挟み手段である。15は吸入口。
フレキシブル棒体6の吸入器挟み手段10の取付けは樹脂板16を挟んだ摩擦回転部17となっていて、吸入器挟み手段10をフレキシブル棒体6の軸方向に対して直交形態で回して、開閉挟持部位8a、8bの向きを自在に変えることができるようになっている。
【0014】
(発明を実施するための異なる形態)
次に、本発明を実施するための異なる形態について説明する。なお、これら本発明を実施するための異なる形態の説明に当たって、本発明を実施するための前述した実施の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0015】
<第2の実施の形態>
図3に示す本発明を実施するための最良の第2の実施の形態において前記第1の実施の形態と主に異なる点は、フレキシブル棒体をフレキシブル棒体50とし、このフレキシブル棒体50は、フレキシブル棒体50に自重によって、フレキシブル棒体50の自重+挟持型取付け体10の合計重量よって、あるいは、フレキシブル棒体50の自重+挟持型取付け体10+保持した吸入器9の合計重量によって、前記フレキシブル棒体50が水平状態を維持できないで下ってしまう曲がりやすさであり、挟持型取付け体を内挟持部3、外挟持部4の内開閉操作部21、外開閉操作部22を長目に形成してなる挟持型取付け体20とし、内開閉操作部21、外開閉操作部22の間に押し込み嵌めて該内挟持部3、外挟持部4の締め付け力を強くするとともに容易には開かないようにするためのプラスチック製部材、ゴム製部材、木製部材、金属性板部材をU字形に折り曲げ形成した形態などの挟持締付強化手段25を設け、フレキシブル棒体50の根元側から中途部位26が下に下らないように該フレキシブル棒体50の中途を吊形態で支持する、内開閉操作部21の上部から張られたコードからなる中途支持手段23を設けてなる吸入器支持具27を形成した点にある。
挟持型取付け体20は内挟持部3、外挟持部4を付勢締め付け状態とするスプリングは弱くてよい、ないし無い状態とされ、よって、力の弱い女性看護師でも容易に挟持型取付け体20のベッドの立ち上り部位2への装着ができるとともに、挟持締付強化手段25を内開閉操作部21、外開閉操作部22の間に押し込み嵌めることのよって、強い締め付け挟持状態に固定できる。
フレキシブル棒体50を下に曲げようとする荷重は、中途部位26から先のフレキシブル棒体50の該中途部位26から先方部分という軽減された荷重となり、これによって、フレキシブル棒体50を操作性と位置決めが行いやすい長さのものにできるとともに、フレキシブル棒体50の曲げ操作を力の弱い人でも行いやすい吸入器支持具を実現している。
【0016】
<第3の実施の形態>
図4に示す本発明を実施するための最良の第3の実施の形態において前記第1の実施の形態と主に異なる点は、フレキシブル棒体を第2の実施の形態のフレキシブル棒体50とし、挟持型取付け体を内挟持部3、外挟持部4を長めの形態に形成するとともに、内挟持部3の下部にピン38(軸ピン)により回動自在にボルト30と蝶ナット31からなる挟持締付強化手段32を設け、外挟持部4の下部にボルト30が嵌るボルト嵌り溝33を設けてなる挟持型取付け体34とし、フレキシブル棒体50の根元側から中途部位26が下に下らないように該フレキシブル棒体50の中途を下ツッパリ棒形態で支持する、内挟持部3の下部に設けられた自在継ぎ手部位35から動き自在に下端を支持されてなるツッパリ棒部材からなる中途支持手段36を設けてなる吸入器支持具37を形成した点にある。
挟持締付強化手段32を外挟持部4から外した状態で、内挟持部3、外挟持部4でベッドの立ち上り部位2を挟むようにセットし、挟持締付強化手段32を回動させてボルト嵌り溝33にボルト30を嵌め蝶ナット31を締め付け回して、内挟持部3、外挟持部4を締め付けてベッドの立ち上り部位2の締め付け固定を強化する。
【0017】
<第4の実施の形態>
図5に示す本発明を実施するための最良の第4の実施の形態において前記第1の実施の形態と主に異なる点は、フレキシブル棒体を第2の実施の形態のフレキシブル棒体50とし、挟持型取付け体を内挟持部3、外挟持部4を有するコの字形態とするとともに、内挟持部3の下部に環部材39を先端に設けてなる表面をループ面とし内面をフック面とした面ファスナバンド40を取り付けてなる挟持型取付け体41とし、フレキシブル棒体50の根元から中途部位26の間が下に下らないように、内挟持部3から筒状部材からなる中途支持手段43を略水平(横延び)に固定して設け、フレキシブル棒体50を中途支持手段43に通すような形態でその根元を内挟持部3あるいはフレキシブル棒体50に固定して設けてなる吸入器支持具44を形成した点にある。
中途支持手段43の先端にフレキシブル棒体50を固定した形態もよい。
筒状部材からなる中途支持手段43の形態は、丸筒、フレキシブル棒体50を数センチから10センチ程度水平に動かすことが自在に行える平筒形態などがある。
【0018】
<第5の実施の形態>
図6に示す本発明を実施するための最良の第5の実施の形態において前記第1の実施の形態と主に異なる点は、フレキシブル棒体を第2の実施の形態のフレキシブル棒体50とし、挟持型取付け体をベッド68の立ち上り部位であるサイドレール69の縦棒70を挟持する形態の、吸入器挟み手段10と略同じような構成の挟持型取付け体71としてなる吸入器支持具72を形成した点にある。
挟持型取付け体71は、吸入器挟み手段としても機能する形態であって、吸入器挟み手段10では掴めない形状や構成の吸入器を掴めるように、吸入器挟み手段10とは掴める吸入器の形態を異ならせた形態となっている。
サイドレール69の縦棒70を挟持する形態の挟持型取付け体71による挟持高さを縦棒70の高さ範囲で自在に選ぶことができるとともに、フレキシブル棒体50の硬さを弱めた曲げ操作の行いやすいものにできるという効果を奏するものである。
すなわち、挟持型取付け体71をベッド68の床面と略同じ高さにして、そこからフレキシブル棒体50をベッド68の床面を這うようにさせて、あるいはベッド68の床面から掛け布団面を這わせて、先端に保持した吸入器を患者の口まで持って行き、その位置を保持する使用形態を実現するものである。
また、挟持型取付け体71をベッド68の床面から上がった位置にして、そこからフレキシブル棒体50を下げて途中部位をベッド68の床面を這うようにさせて、あるいはベッド68の床面から掛け布団面を這わせて、先端に保持した吸入器を患者の口まで持って行き、その位置を保持する使用形態を実現するものである。
このような使用形態においては、フレキシブル棒体50の根元側あるいは中途を床面上に当てて支持しているので、フレキシブル棒体50の全荷重がその固定根元にかかることが回避され、ベッド68の床面から持ち上がった部位にその先の浮かした部分の荷重がかかるものである。すなわち、ベッド68の床面から持ち上がった部位が載置根元となって軽減された荷重を受けるので、固定根元にかかる荷重より軽い荷重が載置根元にかかることになる。よって、その分フレキシブル棒体50の硬さを弱めた曲げ操作の行いやすいものにできる。
このような使用形態は、挟持型取付け体71を図1に示す挟持型取付け体5に置き換えてもよい。
【0019】
<第6の実施の形態>
図7に示す本発明を実施するための最良の第6の実施の形態において前記第5の実施の形態と主に異なる点は、フレキシブル棒体50の根元側から中途部位が下に下らないように該フレキシブル棒体50の中途をベッド68に置かれて下方から支持する枕形態ないし肘置き形態の中途支持手段75(素材は中空合成樹脂製部材、木製部材、スポンジ部材、発泡樹脂製部材など軽いものが良い)を設けてなる吸入器支持具76を形成した点にある。
中途支持手段75は四角体(三角体、円筒体、円錐体など多様な形態がある)の中途支持手段本体77と、上部に設けられたフレキシブル棒体50を通し且つ横に移動可能にしてなる横幅の長い通し孔78と、上部の一部をカットする形態で設けた曲げたフレキシブル棒体50を載せ支持する枕面79とからなっている。
また、中途支持手段を正三角柱ないし正三角台的な形態として、正三角面から他方の正三角面に貫通するフレキシブル棒体50を通す該フレキシブル棒体50よりわずかに大きいか、摩擦移動できるよう大きさの通し孔を形成し、この通し孔の位置を正三角面の中心から偏心させた位置として、床面とした三つの面の個々によって、通し孔の高さ位置が全て異なるようにするのもよい。これにより、フレキシブル棒体50の高さ位置を三つの中から適したものにできる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は主に吸入器を使用する医療や介護産業で利用される。
【符号の説明】
【0021】
1:吸入器支持具、 2:ベッドの立ち上り部位、
3:内挟持部、 4:外挟持部、
5:挟持型取付け体、 6:フレキシブル棒体、
7:開閉支点部、 8a、8b:開閉挟持部位、
9:吸入器、
10:吸入器挟み手段、
11:吸入器本体、
12:吸引ホース取付部、
13:吸入器、
14:吸入口、
15:吸入口、
16:樹脂板、
17:摩擦回転部、
18:スプリング、
19:開閉支点部、
20:挟持型取付け体、
21:内開閉操作部、
22:外開閉操作部、
23:中途支持手段、
25:挟持締付強化手段、
26:中途部位、
27:吸入器支持具、
30:ボルト、
31:蝶ナット、
32:挟持締付強化手段、
33:嵌り溝、
34:挟持型取付け体、
35:自在継ぎ手部位、
36:中途支持手段、
37:吸入器支持具、
38:ピン、
39:環部材、
40:面ファスナバンド、
41:挟持型取付け体、
43:中途支持手段、
44:吸入器支持具、
50:フレキシブル棒体、
68:ベッド、
69:サイドレール、
70:縦棒、
71:挟持型取付け体、
72:吸入器支持具、
75:中途支持手段、
76:吸入器支持具、
77:中途支持手段本体、
78:通し孔、
79:枕面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドのヘッドボードあるいはサイドレールであるベッドの立ち上り部位に上方から被さるようにしてセットされて内挟持部と外挟持部によって挟持するとともに、該ベッドの立ち上り部位に着脱自在形態で固定される挟持型取付け体と、
この挟持型取付け体に直接的にあるいは棒部材を介して根元が固定されてなる、どの方向にでも曲げることができるとともに横延び状態が保持されるフレキシブル棒体と、
このフレキシブル棒体の先端に設けられた、開閉支点部を支点にして該フレキシブル棒体の軸方向に開閉される一対の開閉挟持部位により吸入器を着脱自在形態で付勢挟持する吸入器挟み手段とからなることを特徴とする吸入器支持具。
【請求項2】
フレキシブル棒体の自重によって、フレキシブル棒体の自重+挟持型取付け体の合計重量よって、あるいは、フレキシブル棒体の自重+挟持型取付け体+保持した吸入器の合計重量によって、前記フレキシブル棒体が水平状態を維持できないで下ってしまう曲がりやすさであり、前記フレキシブル棒体の根元側から中途部位が下に下らないように該フレキシブル棒体の中途部位を上方から、下方からあるいは筒部材により根元側から該中途部位までの横延び状態を支持する中途支持手段を設けてなることを特徴とする請求項1いずれか記載の吸入器支持具。
【請求項3】
内挟持部の表前面にフレキシブル棒体がその軸方向を前方向きに取り付けられてなることを特徴とする請求項1、2いずれか記載の吸入器支持具。
【請求項4】
ベッドの立ち上り部位を挟持状態にある内挟持部と外挟持部を、それ以上開かないように固定するための挟持状態固定手段を設け、あるいは前記内挟持部と前記外挟持部の締め付けを強めるための挟持締付強化手段を設けてなることを特徴とする請求項1、2、3いずれか記載の吸入器支持具。
【請求項5】
吸入器挟み手段が、吸入器本体の後方に向かって吸引ホース取付部が突出する形態の吸入器の、該吸入器の本体を開閉挟持部位で挟持する場合にあって、前記吸引ホース取付部が該吸入器挟み手段内に位置できるように前記開閉挟持部位から開閉支点部への距離が、該吸引ホース取付部が収まる距離としてなる吸入器挟み手段であることを特徴とする請求項1、2、3、4いずれか記載の吸入器支持具。
【請求項6】
挟持型取付け体が、ベッドの立ち上り部位であるサイドレールの縦棒を挟持する形態の挟持型取付け体であることを特徴とする請求項1、2、5いずれか記載の吸入器支持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−201128(P2010−201128A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72760(P2009−72760)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(504047655)株式会社アイメックス (4)