説明

吸入器

少なくとも第一区画(30)および第二区画(40)を有するハウジングを備え、かつ1種または複数種の物質を含む吸入器(1)が開示され、当該第二区画(40)は少なくとも1つの空気流入ポート(50)を含み、吸入器(1)は、当該第一区画(30)の近位に第一端部(21)および当該第二区画(40)の近位に第二端部(22)を有し、吸入部(27)は当該第二端部(22)にあり、当該第一区画(30)は少なくとも1種の物質を貯蔵するためのものであり、かつ当該吸入器(1)の非作動状態において隣接して配置された複数の密封体(60)を含み、隣接する当該物体(60)の各対は、物質を収容するための密封されたチャンバー(62)を少なくとも部分的に規定し、当該1種または複数種の物質が第二区画(40)に収容されている吸入器(1)の作動状態が規定されるように、当該物体(60)は当該少なくとも1種の物質と一緒に第一区画(30)から第二区画(40)中へと移動可能であり、それにより、空気が、当該空気流入ポート(50)を通って流入し、かつ当該少なくとも1種の物質が第二区画(40)に収容されている場合には、例えば気化によって当該少なくとも1種の物質を取り込み、この空気が、吸入部(27)を介して吸入され得、当該作動状態は、第一区画(30)内の放出装置を特徴とし、放出装置は、物体(60)を第二区画中へと移動させるためのものであり、かつ作動状態において空気流入ポート(50)へ当該空気が流入することを可能にする。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された吸入器に関する。当該吸入器は、吸入器が作動状態になるまで2つ以上の物質を相互作用しないように充填することが可能であり得る。
【背景技術】
【0002】
例えば、2成分接着剤、ペニシリンと水、または相互作用性の物質など、2種以上の反応性物質を一緒に、しかし分離して貯蔵することは頻繁に必要となる。そのような物質は、混合すると、多くの場合、反応を開始してしまう。
【0003】
反応性物質を混合した場合、酸化または還元により、あるいはそれらが組み合わさった生成物の形成により、お互いを劣化させ得ることが知られている。同様に空気の存在も、場合によっては、望ましくない方法で物質と相互作用する可能性がある。2種以上の物質を混合して吸入する必要のある吸入器では、多くの場合、吸入前は当該物質を別々に貯蔵する必要がある。
【0004】
EP 2002856(特許文献1)では、管路内に弾性的に拘束された多くの弾性体または球体を含む吸入器について開示されている。使用前、放出され使用者によって吸入されるべき物質は、2つ以上の球体の間の空間によって形成されるチャンバー内に保持される。吸入器は、導管容器内にピンを挿入することによって作動させることができ、当該ピンは、弾性球体を末端部へと押し込む。これにより、前もって異なるチャンバー中に保持されていた物質が、混合および混和可能となり、空気に晒され、それにより異なる薬物または物質が気化して、使用者が吸入できる状態となる。次いで、ピンが除去され、それにより、空気の自由通路が提供され、使用者は、マウスピースにより当該物質を吸入することができる。当該球体は、例えば、圧縮性のシリコーン、ゴム、ネオプレンなどで作成される。用途によっては、特別な外皮形成性気泡発泡シリコーンの使用が有利な場合もある。
【0005】
上記の吸入器は、とりわけ、以下のような問題を生じることが分かっている。
−ピンを捨てなければならない;
−吸入器を多量の空気が通過することで、貯蔵される物質の非効率的な使用の原因となる;
−吸入器中に存在する液体が、マウスピースと反対側の端部から吸入器の外に流出する場合がある;
−いくらかの物質の消費が非効率的で不完全である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP 2002856
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、改良された吸入器、すなわち、上記の問題を解決する吸入器を提供することにある。
【0008】
これは、物質、好ましくはお互いに混合されるべき数種の物質を貯蔵し、少なくとも第一区画および第二区画を有するハウジングを備え、1種または複数種の物質を含む、吸入器によって達成され、当該第二区画は少なくとも1つの空気流入ポートを有し、当該吸入器は当該第一区画の近位に第一端部を有しかつ当該第二区画の近位に第二端部を有し、吸入部は当該第二端部にあり、当該第一区画は少なくとも1種の物質を貯蔵するためのものであり、かつ当該吸入器の非作動状態において隣接して配置された複数の密封体を含み、隣接する当該物体の各対が、物質を収容するための密封されたチャンバーを少なくとも部分的に規定し、当該物体が、少なくとも1種の物質と一緒に第一区画から第二区画中へと移動可能であり、これによって、当該1種または複数種の物質が当該第二区画に収容されている吸入器の作動状態が規定され、それにより、空気が当該空気流入ポートを通って流入し、かつ当該少なくとも1種の物質が第二区画に収容されている場合には、当該空気が、例えば気化によって、当該少なくとも1種の物質を取り込み、この空気が吸入部を介して吸入され得、かつこれは第一区画内に放出装置を入れることによるものであり、当該放出装置は、当該物体を第二区画中へと移動させるためのものであり、かつ作動状態において空気流入ポートへ当該空気が流入することを可能にする。
【0009】
一態様において、吸入器は、ピン形状の放出装置を備えており、当該放出装置は、第一区画に配置されているかまたは配置可能であり、当該物体を第二区画へと移動させるためのものであり、かつ作動状態において空気が空気流入ポートへと流入することを可能にする。当該放出装置は、空気流入ポートを通って第二区画へ入ってくる空気の流量を使用者が調整できるようにするバルブを形成し、そこを通って入ってくる空気の流量を使用者がゼロより大きな少なくとも2つの値の間で選択できるようにもする。当該放出装置は、断面積が変化または増加する溝を有しており、それにより、放出装置を第一区画中に押し込む程度を変えることによって空気の流量を調整することができる。当該放出装置は、ヘッドと反対側に凹形の端部を有する。
【0010】
別の態様において、第二区画は、第二区画内での当該物体の動きを制御するように構成された表面を形成する円筒状の壁を有し、当該表面は、吸入器の作動状態において当該物体に接するための先鋭なチップを形成する内向きに伸びる突起部を有する表面であってもよい。
【0011】
当該突起部は点またはエッジを形成し、そこに物質で覆われた物体が表面張力によって付着する。したがって、EP 2002856において開示された解決策と比較して、当該物体のより大きな表面が空気に晒されるという点において、物質と空気の混合が高められる。これらの局面は、請求項1の特徴部分において定義される特徴から独立して恩恵を受け得る。
【0012】
第三の態様において、物質の1種はタバコであり、当該タバコは、少なくとも1種のタバコ葉の形態である。
【0013】
当該タバコは、吸入器の非作動状態において既に第二区画または上記チャンバーのうちの1つ、好ましくは第二区画に最も近いチャンバーに収容され得、それにより、タバコは、好ましくは、吸入器の作動状態において、吸入部の隣に位置されるようになるであろう。
【0014】
本発明の利点の1つは、第二区画において密封体が移動する時、タバコが密封体の動きを抑制し得るという点である。さらに、密封されたチャンバーから放出されて第二区画に入る物質は、特にタバコがタバコ葉の形態の場合、当該タバコ上に被着し得、当該タバコは拡大された表面を提供し、空気が第二区画に流入する際に当該表面から物質が気化する。さらに、当該タバコは、使用者によって吸入される空気にさらなる風味を加え得る。これらの局面は、請求項1の特徴部分において定義される特徴から独立して恩恵を受け得る。
【0015】
別の態様において、チャンバーの1つがタバコ葉を収容し、別のチャンバーがニコチンを収容し得る。任意の液体物質の部分吸収にとって有用な乾燥物質、例えば、乾燥した香辛料および甘草ならびにカーネーション/クローブなども使用することができる。
【0016】
請求項1の前提部分において定義された吸入器の他の態様によれば、吸入部は、第二区画と一体に形成してもよく、ならびに、吸入器部分、第一区画、および/または第二区画の1つまたは複数、好ましくはすべてを、少なくとも部分的に、好ましくは完全に囲むように広がるラッピング、例えば紙またはホイルなどを有してもよい。吸入部、第一区画、および第二区画のうちの1つまたは複数が、お互いと一体に形成されていない場合、当該ラッピングは、吸入器部分、第一区画、および第二区画をお互いに延長上に隣接した状態に維持するように適合させてもよく、当該ラッピングは、吸入器の表面に接着してもよい。これらの局面は、請求項1の特徴部分において定義される特徴から独立して恩恵を受け得る。ラッピングは、テキストメッセージなどの表示を有していてもよく、ならびに、原則として、従来の巻きタバコを製造するために使用される包装紙と類似するものであり得る。
【0017】
本発明はさらに、以下の工程を含む、上記において説明した吸入器を製造する方法に関する:
−複数の物体を提供する工程であって、当該物体が弾性である、工程;
−吸入器ハウジングのための固定具を有するフレームワークを提供する工程;
−当該吸入器ハウジングを当該固定具に固定する工程;
−第一弾性体を第一区画中へと押し込むことによって当該弾性体を当該区画中に位置決めする工程;
−第一物質を、当該第一弾性体に隣接する第一区画中に投入する工程;
−第二弾性体を第一物質に隣接して第一区画中に位置決めし、その一方で、第一および第二弾性体によって形成される区画に当該物質を閉じ込めように当該第二弾性体を押し込む工程。
【0018】
これにより、本発明による吸入器を製造するための、速く、安価で、簡単な方法が提供される。
【0019】
弾性体は、好ましくは球状に形成される。これにより、僅かにサイズの大きいシリコーンの球体または、例えば、ゴム、プラスチック、またはシリコーンで形成されたボールを弾性体として使用することができ、それによって、区画の間に拡散密封を作り出し、結果として、流体物質が区画の外へ拡散するのを防ぎ、ならびに空気が区画へ流入するのを防ぐことができる。
【0020】
弾性体の表面は、好ましくは、液体物質が表面に付着するように、表面の液体付着特性を強化するように処理された表面である。これにより、そのような液体物質が、例えば混合区画中に押し込まれ/引き出された場合などに当該弾性体の表面に付着するので、ならびに当該弾性体のより大きな表面積により、第一区画から放出された場合に液体物質の容易な気化が達成される。弾性体の表面は、多くの様々な方法において表面の液体付着特性を強化するために処理された表面であってもよいであろう。例えば、当該弾性体は、表面への液体物質の付着を助ける補助的な物質を含んだシリコーンまたはゴムで製造することができるであろう。液体が表面に付着するように、例えば、表面が粒状および/または粗くなるように、弾性体を機械的に形成してもよいであろう。表面処理は、化学物質が弾性体の表面上に提供されて当該化学物質が液体物質と反応して付着特性を向上させるような化学処理であってもよいであろう。
【0021】
吸入器が無煙巻きタバコとして、すなわち、ニコチンを吸入するために使用される場合、ニコチン物質を空気に晒すことなく保持することは有利であり、それによって、当該製品の耐久性はかなり長くなるであろう。さらに、ニコチンと一緒にいずれかの芳香族物質または助剤が吸入される場合、これらの芳香族物質は、有利には、ニコチン物質と分離された1つまたは複数のチャンバー内に保持される。そのような芳香族物質は、ベータダマセノン、4−オキソ−β−イオノン、オキソ−エズランI-II、3−オキソ−α−イオノン、ジヒドロアクチオノジオリド(Dihydroactionodiolide)、メガスチグマトリエノン(4異性体)、様々な カロチノイド誘導体からなる群のものであり得、ならびに当該助剤は、例えば、様々な空気加湿剤、pH調整流体(例えば、ピクリン酸またはアンモニアなど)、プロピレングリコール、触媒、乳化剤、タンニン(収斂剤)、または様々な自然療法薬であってもよいであろう。
【0022】
巻きタバコを持って「吸っている」かような、より現実的な感覚を使用者に与えるために、吸入器の様々な部分およびモジュールを、様々なプラスチック材料、バレックス金属合金、またはシリコーンから作製してもよく、一態様において、当該吸入器は、巻きタバコ用フィルター紙で包まれている。
【0023】
本発明の他の代替の態様は、従属請求項において開示される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
以下の図面を参照しながら、以下において本発明の態様を説明する。
【0025】
【図1】図1aは、放出装置が引き抜かれている、非作動状態の吸入器の長手方向の概略断面図である。図1bは、吸入器が作動状態である以外、図1aと同様の図である。
【図2】図2aは、第一と第二区画の間の移行部における長手方向の部分拡大断面図である。図2bは、突出した先鋭なリブを備える、第二区画領域の吸入器の側壁の一部を示す、吸入器の長手方向に対して垂直な断面図である。
【図3a】ピンのヘッドと反対側の一端部での、長手方向のピンの部分拡大断面図。
【図3b】ピンのヘッド端部でのピンの一部を示す、吸入器の長手方向に対して垂直な断面図。
【図3c】ピンのヘッド端部での、ピンを通る長手方向の部分拡大断面図。
【図4】吸入器に充填するための装置を図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1aは、第一区画(30)および第二区画(40)を有する細長い円筒状のハウジングを備える、非作動状態の吸入器(1)を示しており、当該吸入器の典型的なサイズは、巻きタバコのサイズに類似するであろう。第二区画(40)は、図2aに示されているように、第一区画と第二区画(40)との間の移行部に少なくとも1つの空気流入ポート(50)を有しており、それにより、第一区画(30)を通って流れる任意の空気は第二区画(40)へ流入し得る。吸入器(1)は、好ましくは、プラスチック材料から成形される。図1aに示されているように、タバコ葉Tは、第二区画(40)に収容され得る。
【0027】
好ましくは、図に示されるように、単一の空気流入ポートを備えている。しかしながら、第二チャンバー40を形成する円筒状の壁(41)に追加のまたは代替の空気流入ポートを備えていてもよく、この場合、この空気流入ポートは、吸入器の使用の前には密封され得る。
【0028】
吸入器(1)は、第一区画(30)の近位に第一開口端部(21)を有し、ならびに第二区画(40)の近位に第二端部(22)を有しており、人が使用するためのマウスピース(図示されず)を含む吸入部(27)は第二端部(22)に位置され、これにより、使用者は、第二区画(40)内の空気を吸入することができる。非作動状態において、第一区画(30)には、2種の物質、例えば、タバコ葉とニコチンなどが貯蔵されており、それぞれの物質は、ハウジング壁の内側表面(32)と隣接する物体(60)とによって形成されたそれぞれの密封されたチャンバー(62)内にある。チャンバー(62)は、可能な範囲で外部環境から密封されており、好ましくは、当該物体は弾性であり、第一区画(30)中において僅かに圧縮された状態に維持されており、それにより、第一区画(30)を形成する壁(32)の内部表面に効果的な密封が提供される。好ましくは、タバコがチャンバー(62)のうちの1つの中に貯蔵される場合、そのチャンバーは、第二区画(40)に最も近いチャンバーであり、そのため当該タバコが最初に第二区画(40)中に放出される。この場合、それまでは第二区画(40)中に貯蔵されるタバコTはない。
【0029】
別の局面においては、タバコをニコチンと同じチャンバー内に貯蔵してもよい。
【0030】
物体(60)は、少なくとも1種の物質と共に第一区画(30)から第二区画(40)中へと移動可能であり、これによって図1bに示されているような吸入器(1)の作動状態が規定され、この場合、物質は、第二区画(40)内に収容され、空気流入ポート(50)を通って流入する空気が、例えば気化などにより、当該少なくとも1種の物質を取り込み、吸入部(27)を通って吸入され得る。
【0031】
図1aおよび1bにはピン(10)が示されおり、これは、使用者が手動で物体(60)を第二区画(40)中に押し込むために使用するためのものであり、吸入器は、既にピン(10)が第一開口端部(21)において第一区画(30)中に部分的に挿入されている状態で使用者に供給されてもよい。
【0032】
図1bおよび3a〜cに示されているように、ピン(10)は、ヘッド(12)および長手方向に伸びる複数のリブ(16)を有しており、当該リブ(16)は、好ましくは、僅かに摩擦嵌合した状態で、第一区画(30)を形成するハウジング部分の内側表面(32)に接する。リブ(16)の間には空気流路(15)が形成され、これは、ピン(10)の長さ方向に沿って、空気がヘッド(12)から第一区画(30)中へ流入し、物体(60)がピンによって第二区画(40)中へと押し込まれた後には第二区画の空気流入ポート(50)へ流入するのを可能にする。ピンを第二区画(40)に向かって押し込む程度は使用者によって変わり、使用者は、第二区画において物質と混合されてマウスピースを通って吸入される外部空気の量を効果的に制御することができ、したがって当該ピンはバルブとしての役割を果たす。
【0033】
ピンが第二区画に向かって押し込まれる程度に応じた、バルブを通る気流のさらなる調節のために、空気流路(15)は、幅または深さが変化/増加するV字形状の溝を構成していてもよい。
【0034】
ピン(10)は、好ましくは、非作動状態において配置した場合に、ピン(10)の近位の物体(60)の形状に一致する幾何学的形状(13)を、ヘッド(12)と反対側の端部に有しているか、あるいは、ピンの近位の物体より小さい半径の凹形の端部を有していてもよく、これにより、作動中に物質を取り込むための空間が密封体と放出装置(10)との間に形成されるということに留意されたい。
【0035】
物体(60)は、好ましくは弾性であり、複数のチャンバー(62)が当該物体の間に作り出されるように配置される。当該物体は、その弾性により第一区画(30)の内部に拘束されるであろう。作動状態の場合、物体(60)は、僅かに広がるであろう。第一区画(30)は、原則として、物体が、第一区画と相補して、密封されたチャンバー(62)を形成し得るだけの長さの幾何学的形状を有し得、本態様では、円筒状の区画(30、40)と球上の物体(60)を想定しているが、円筒状の物体も使用することができる。
【0036】
図1aおよび2aおよび2bは、吸入器ハウジングの円筒状の内壁が、好ましくは、第二区画(40)の長さ方向に沿って伸びる一連の細長い先鋭なリブ(42)を備えていることを示しており、第二区画(40)は、物体の周りの気流を最適化するために、したがって、吸入器内に収容されている物質と空気との混合を最適化するために、物体(60)より大きな断面を有し得る。物体の露出表面積を増加させるために、間隔を開けて配置された先鋭なリブが、吸入器に収容されかつ物体の表面へ付着している任意の液体物質の表面張力によって物体が付着し得る表面を効果的に提供する。
【0037】
図2aは、空気流入ポート(50)の領域に、吸入器の壁と一体的に成形された環状の柔軟な締め付け部(32)が存在し得ることを示している。当該締め付け部は、第二区画(40)内へ移動する物体(60)に対して僅かな抵抗を提供し得るだけでなく、吸入器(1)の作動状態において、第一区画(30)へ逆流する傾向のある第二区画(40)内の任意の液体に対する防壁も提供し得る。
【0038】
吸入部には、弾性体が吸入器から抜け出るのを防ぎ、物体(60)の1つが防壁に寄りかかっている場合でさえ空気が通過できるような構造を有する中央通気道を有する防壁(27)が備えられ得、当該中央通気道は、当該防壁を通る断面図に見られるように、星形構造を有し得る。
【0039】
吸入器の第一端部(21)は、従来のニコチン保持容器、例えば、Nicotinellとして知られる製品など、と嵌合する寸法および比率に形成してもよい。
【0040】
図4は、多くの空気シリンダーが固定比率において垂直に取り付けられている固定フレーム(13')を示しており、(14')および(10')を参照されたい。
【0041】
静電気を避けるために、弾性体(2'/60)は充填トレーから管(8')を通って挿入される。
【0042】
フォトセル感度制御(9')を使用することにより、当該管は確実に完全に充填される。
【0043】
固定された吸入器(1)が、周期的に前に送られる(13')の下の装置に配置される。弾性体の列が、空気シリンダー(14)によって前に押され、挿入位置に運ばれる。並んだ空気シリンダー(10')が作動するときはいつも、吸入器(1)の内側の所定の位置へとボールユニットが下向きに押される。
【0044】
(14')が作動する際には、ボール(2')が時期尚早に落下してしまうのを防ぐために、滑動スリーブ(16')の位置がずらされることも留意されたい。
【0045】
示された順序は100%自動化され、ボールユニット(2')は、セクションごとに、運ばれてきた1つまたは複数の吸入器の管に挿入される。
【0046】
物体の挿入の際に空気が閉じ込められるのを避けるため、さらに(13')を、密封プロセスに必要な直径より小さいフィーダースリーブでボール(2')を押し込むように改良してもよい。ボールが放出される前に上記のスリーブが吸入器の管の中に入れられ、その後に、充填プロセスの一部として当該スリーブが引き戻される。これは、図4には示されていない。
【0047】
上記の説明は、詳細:Y-Yにも示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第一区画(30)および第二区画(40)を有するハウジングを備え、かつ1種または複数種の物質を含む吸入器(1)であって、
該第二区画(40)が少なくとも1つの空気流入ポート(50)を含み、該吸入器(1)が、該第一区画(30)の近位に第一端部(21)および該第二区画(40)の近位に第二端部(22)を有し、吸入部(27)が該第二端部(22)にあり、該第一区画(30)が、少なくとも1種の物質を貯蔵するためのものであり、かつ該吸入器(1)の非作動状態において、隣接して配置された複数の密封体(60)を含み、隣接する物体(60)の各対が、物質を収容するための密封されたチャンバー(62)を少なくとも部分的に規定し、該1種または複数種の物質が該第二区画(40)に収容されている吸入器(1)の作動状態が規定されるように該物体(60)が該少なくとも1種の物質と一緒に該第一区画(30)から該第二区画(40)中へと移動可能であり、それにより、該空気流入ポート(50)を通って流入しかつ該少なくとも1種の物質が該第二区画(40)に収容されている場合には該少なくとも1種の物質を例えば気化によって取り込んだ空気が、該吸入部(27)を介して吸入され得、該作動状態が該第一区画(30)内の放出装置を特徴とし、該放出装置が、該物体(60)を該第二区画中へと移動させるためのものであり、かつ作動状態において該空気流入ポート(50)へ該空気が流入することを可能にする、吸入器(1)。
【請求項2】
放出装置がバルブを規定し、それにより、空気流入ポート(50)を通って流入してくる空気の流量の制御が可能となる、請求項1記載の吸入器。
【請求項3】
放出装置が、空気流入ポートを通って流入する空気の流量においてゼロより大きい少なくとも2つの値を可能にする、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項4】
放出装置が、断面積が変化する溝(15)を有する、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項5】
放出装置が、断面積が増加する溝(15)を有する、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項6】
放出装置(10)が第一区画(30)の表面と摩擦嵌合している、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項7】
放出装置が、第一区画の表面と共に気流導管を規定する、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項8】
放出装置が、空気が第二区画(40)に流入するための気流導管を規定する内部通路を含む、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項9】
放出装置が、ヘッド(12)と反対側に凹形の端部を有する、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項10】
放出装置がピン状の構造を有する、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項11】
円筒状の壁(41)が、少なくとも1つの空気流入ポート(50)を含む第二区画(40)を規定する、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項12】
第二区画(40)が、物体(60)より大きな内側断面積を有し、かつ該第二区画(40)内での該物体(60)の動作を制御するように構成された表面を有する、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項13】
第二区画(40)が、物体(60)より大きな内側断面積を有し、かつその動作を制御するために内側方向に伸びる突起部(42)を含む表面を有する、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項14】
突起部が、作動状態において物体(60)に接するための先鋭のチップ(42)を規定する、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項15】
第二区画(40)への内側移行部が、物体(60)のための環状の幾何学的形状の拘束部(51)を含む、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項16】
それぞれのチャンバー(62)に収容されている少なくとも2種の物質を含む、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項17】
第二区画(40)が、前記物質が該第二区画(40)に収容された時に混合され得るように適合された、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項18】
物体(60)が弾性である、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項19】
物体(60)が球状に形成されている、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項20】
吸入部(27)が、防壁、例えばフィルター、好ましくは空気が透過できる合成フィルターを含み、吸入器から弾性体が抜け出だすのを防ぎ、かつ中央通気道を有する、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項21】
中央通路が、物体(60)の一つが防壁に寄り掛かっている場合でさえ空気が第二区画(40)から該通路を通り抜けることができるような構造を有する、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項22】
中央通路が、防壁を通る断面図に見られるように、星形構造を有する、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項23】
物質の1種がタバコであり、非作動状態において、該タバコが第二区画(40)および/またはチャンバー(62)の一つに収容されている、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項24】
タバコが、少なくとも1種のタバコ葉の形態である、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項25】
チャンバー(62)の1つまたは第二区画(40)が、少なくとも1種のタバコ葉を含み、かつ別のチャンバー(62)がニコチンを含む、請求項23または24記載の吸入器。
【請求項26】
吸入部(27)が第二区画(40)と一体である、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項27】
吸入部(27)、第一区画(30)、および/または第二区画(40)の1つまたは複数の周りを少なくとも部分的に囲むように広がるラッピングを含む、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項28】
ラッピングが、吸入部(27)、第一区画(30)、および第二区画(40)を、お互いが延長上に隣接した状態に維持する、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器。
【請求項29】
複数の物体を提供する工程であって、該物体が弾性である、工程;
吸入器ハウジングのための固定具を有するフレームワークを提供する工程;
該吸入器ハウジングを該固定具に固定する工程;
第一弾性体(60)を第一区画(30)中へと押し込むことによって該弾性体を該第一区画中に位置決めする工程;
第一物質を、該第一弾性体に隣接する該第一区画中に投入する工程;
第二弾性体(60)を該第一物質に隣接して該第一区画中に位置決めし、その一方で、該第一および該第二弾性体によって形成される該区画に該物質が閉じ込められるように該第二弾性体を押し込む工程
を含む、前記請求項のいずれか一項記載の吸入器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−521023(P2013−521023A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555296(P2012−555296)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【国際出願番号】PCT/DK2011/050067
【国際公開番号】WO2011/107104
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(512228510)