説明

吸収した液体を有するフィルム

【課題】食品の包装としての使用のためのフィルムに関連し、とりわけ、調理される又は、別の方法でケーシング中で加熱される食品用のチューブ状(tubular)食品ケーシングの提供。
【解決手段】少なくとも部分的にその中に吸収した液体を有するフィルムに関し、ここで該液体は該フィルムの表面に塗布され、該液体の該表面への塗布前に、該表面が少なくとも約50ダインの表面エネルギーを有するように表面活性化処理に供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2003年9月8日に出願された米国仮特許出願シリアル番号第60/501,339号及び2003年3月13日に出願された米国仮特許出願番号第60/454,444号の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、少なくとも部分的にその中に吸収した液体を保持する表面を有するフィルムに関する。特に本発明は、食品の包装としての使用のためのフィルムに関連し、とりわけ、調理される又は、別の方法でケーシング中で加熱される食品用のチューブ状(tubular
)食品ケーシングに関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
本発明は、食品包装に使用するフィルムを特に参照して説明される。しかし、本発明のフィルムは、食品工業以外での応用および用途を有し得、それによる制限がないことを意図することが理解されるであろう。
【0004】
表面上に吸収した液体を保持する素材を有する物品について多くの用途が存在する。そのような用途には、治療剤の徐放性局所的投与に使用されるような“パッチ(patches)
”及び、そこに包まれた食品にフレーバリング及び/または着色剤を放出するための食品ケーシングが含まれる。しかし、そのような物品を形成するために使用され得る材料のタイプは、所望される液体に適した吸収または透過特性を有するものに厳密に制限される。
【0005】
実際に、これは使用され得る材料のタイプを厳しく制限してきた。一般的に親水性の液体について使用される材料は、セルロース系の材料および誘導体または、例えばポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性ポリマーの改質物である。これらの材料は、典型的にそれから形成された物品は、もはや水溶性ではないが、少なくとも幾らかの水分を吸収することができるように改質される。該ポリマーは、より親水性の低い、および/または疎水性のポリマーまたはモノマーと架橋および/またはブレンドまたは共重合され得る。そこに吸収した液体を有するフィルムの特定の応用は、そこに吸収した“燻液(liquid smoke)”として知られるスモークフレーバリング剤を有するセルロース系食品ケーシングである。このようなケーシングは、伝統的燻煙方法の代替物として、スモークフレーバーおよび/または色を食品に与えることができるように開発されてきた。
【0006】
伝統的な燻煙方法は、スモークされる食品(例えばソーセージ)を煙透過性ケーシングに詰め、燻煙を生成するために木材が低温で燃やされた燻製室に、詰められた食品を吊るすことを含む。このような伝統的技術による燻煙は、労働集約的で時間がかかり(燻煙時間が何日にも及ぶ)、生成された燻煙のレベルがしばしば汚染の法律に抵触する。
【0007】
従来型燻煙技術の問題点なしに、燻製品の利点を提供するために、燻液が約65年前に開発された。燻液は、食肉中の蛋白質と反応して結果的に食肉の表面を褐変するアルデヒドを含む天然ウッドスモークの水性凝縮液である。この褐変は自然にスモークされた製品の外観を与えることができる。
【0008】
燻液は本来、オーブン中に置くことによる調理前に、多孔質の天然消化管またはセルロ
ースケーシングに包まれた食肉製品上に噴霧された。ケーシングの多孔性は、燻液のケーシングおよび食肉中への透過を可能にした。しかしながら実際には、この噴霧工程は、製品に均一なコーティングを施すことが困難であることが見出されてきた。更に、燻液の噴霧は、詰められたケーシングの側面を流れ落ち、その下端で集まる傾向があった。この燻液の不均一なコーティングは、結果として望ましくない染みのような外観を有する製品を生じる。
【0009】
これらの問題点を考慮して、実質的に均一な燻液の分配を表面に施すことを目的として多くの研究がなされてきた。食肉製品自体に燻液を取り込むために、幾つかの試みがなされてきた。しかしながら、これは、所望される色を与えるのに不十分な量の剤を表面に付与するか、若しくは製品に過剰なスモーキーフレーバーを付与する。
【0010】
より好結果のアプローチは、燻液をセルロースケーシングへ取り込むこと、またはセルロースケーシングの表面上に燻液を吸収することであった。セルロースケーシング上に燻液を吸収させる技術には、燻液が最終的に包まれた製品へ転移するように表面内部に浸透するように、セルロースケーシングを燻液溶液で浸漬または噴霧することが含まれる。このような外的処理は、セルロースケーシングの更なる加工に困難性を生じさせ得、特にシャーリング(shirring)を妨げ得る。これらの困難性にも拘らず、燻液で処理されたセルロースケーシングが市場に多く存在する。
【0011】
セルロースケーシングの透過性および多孔性は、一方でそれらを燻液との使用に適合性があるようにするが、他方では重大且つ広く認められた問題点を引き起こす。まず、セルロース製品は水蒸気に対して非常に透過性がある。これは、調理中の水分損失および付随した製品総重量の減少を起こす。これは、商業的理由から不利益な製品収量の低下を結果として生じる。さらに、セルロース系ケーシングはまた、酸素透過性であり、食品の腐敗(spoiling)および/または変色に至らせる。この後の方の問題の結果、セルロースケーシング中で調理された食品は、調理後間もなく消費されるか、若しくは該ケーシングが除去され、酸素非透過性バリアケーシングで製造後可能な限り迅速に二度目に包まれなければならない。この包みなおし工程は、質の損失および貯蔵寿命の短縮を示す食品の汚染または感染の機会を与える。さらに、この更なる工程はコストを増加する。
【0012】
透過性のセルロースケーシングの不都合な点に対処するために、水および酸素不透過性熱可塑性ケーシングが開発された。このタイプのケーシングを使用する場合、製造工程時または保存および輸送時の重量の損失は取るに足らない。さらに、ケーシングが無傷であれば、製品は無菌で存続し得る。しかし、ケーシングの不透過性の結果、気体または液体形態の燻煙はケーシングを透過できない。さらに、熱可塑性ケーシングを燻液または他の着色添加剤で含浸することは、使用されたプラスチックが含浸剤を十分に吸収および保持できないため、成功しなかった。スモークカラーをプラスチックで包まれた製品に付与するために、ケーシングを取り除き、例えば燻液のスプレーまたは浸漬、または噴霧などの技術によって燻煙を施し、そして製品が再包装されることが必要である。これらの更なるステップはコストを増加するだけでなく、汚染の危険性も増加する。
【0013】
もう1つのアプローチはセルロース/プラスチック積層物(その中に吸収された着色剤を有する内側のセルロース層および酸素バリア層の付与を目的としたプラスチック)を提供することであった。しかしながら、実際には、食肉がこの材料から形成されたパッケージ中で調理される場合、汁が食肉とパッケージの間に集まる。このような状態は“クックアウト(cook-out)”またはパージ(purge)として知られる。これは、消費者承認(consumer acceptance)の観点から望ましくない。さらに、スライス時に調理された肉の表面が剥離するまたは削れる傾向があることが観察された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ガスおよび水分不透過性で、例えばその中に吸収した燻液などの食品添加物を有するケーシングを提供する必要性の認識が当該業界に存在する。しかし今日まで、この問題を解決し、商業的に許容可能な製品を提供しようとする全ての試みは、何らかの理由で失敗した。1つのアプローチは、燻液とプラスチックケーシングの内層に使用された樹脂をブレンドすることであった。これは、押出温度における燻液の反応および揮発、並びに添加剤の存在によって誘導される層間剥離を含む多くの理由のために不成功に終わった。
【0015】
もう1つのアプローチは、不透過性プラスチックケーシング材料に吸収添加剤を取り込むことであった。しかし、このような製品は、未だ商業的に採用されておらず、本発明者によってそのような1つの材料になされた試験において、フィルムへの液体の吸収がまだ不十分であり、過剰な液体がフィルムの表面上に残ることが示された。
【0016】
この過剰な液体が除去されなければ、色およびフレーバー添加剤は、例えばシャーリングおよびスタッフィング(stuffing)などのその後のプロセス時にフィルム表面上に均一に分散されて残存しない。その結果は、製品表面への不均一な色およびフレーバーの転移である。
【0017】
過剰な液体がぬぐい操作によって除去される場合、非常に僅かの色およびフレーバー添加剤がフィルム構造中に吸収された状態で残り、色およびフレーバーは殆ど或いは全く製品表面へ転移されない。
【0018】
ケーシングが平らなシート状の形態である場合、過剰な液体は熱をかけて水分を蒸発させることによって除去し、色およびフレーバー添加剤をフィルム表面上にコーティングとして残し得る。しかし、フィルムが熱収縮フィルムである場合、加熱は困難又は不可能であり得る。ケーシングは次に、食品を包むためにチューブ状に形成され得る。シャーリングおよびスタッフィング操作に耐えるためにコーティングをケーシング表面に十分に接着させるが、加工時に食品表面に放出させるために、精巧なバランスが必要である。
【0019】
ケーシングがチューブ状の形態である場合、色およびフレーバー溶液を含む液体は、スラッギング(slugging)として良く知られた技術によってチューブ内側に添加され得るが、過剰の液体を除去する現実的な方法は存在しない。従って、十分なフレーバーおよび色は製品表面へ不均一な転移無く添加され得ない。
【0020】
食品業界に関連のない他の用途において、少なくとも部分的にその中に吸収した液体を有することが望ましい用途において現在使用されるそれらの素材の代替物を提供することもまた望ましいかもしれないことが認識される。従って、本発明の目的は、少なくとも部分的にその中に吸収した液体を有するフィルムおよび、上記の不都合な点を少なくとも部分的に克服し得るようなフィルムを製造する方法を提供すること、または有用な若しくは商業的な選択肢を一般に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
発明の説明
本発明の第一側面において、少なくとも部分的にその中に吸収した液体を保持する表面を有するフィルムが提供される。ここにおいて、液体が表面に塗布される前に、表面が少なくとも約50ダインの表面活性を有するように、表面が表面活性化処置(surface activation treatment)に供される。
【0022】
本発明は、フィルムの表面を表面活性処置に供することによって、該表面が、液体溶液
が少なくとも部分的にフィルム中に吸収されるように、液体層で覆われ得るという驚くべき且つ予想外の発見に関する。
【0023】
表面中に少なくとも部分的に吸収したとは、表面に残存するコーティングとは対照的に、表面中への少なくとも幾らかの液体の含浸があることを意味すると理解される。
【0024】
本発明の更なる側面に従って、少なくとも部分的にその中に吸収した液体を有するフィルムを調製する方法が提供され、その方法は表面が少なくとも約50ダインの表面エネルギー(surface energy)を有するように、フィルムの表面を表面活性化処置にかける工程、液体が少なくともフィルム中に吸収されるように液体を表面に塗布する工程を含む。
【0025】
本発明のフィルムは、所望される最終用途に適した如何なるフィルムであってもよい。好ましくは、フィルムは食品の包装用である。さらに好ましくは、フィルムはクックイン(cook-in)フィルムである。フィルムは1以上のポリマー材料から形成され、1以上の
層に存在する。ポリマー材料は、単層または多層形態のどちらかであるフィルムとして加工され得る、如何なる適した材料でもあり得る。ポリマー材料は合成または非合成ポリマー若しくは、それらの混合物またはブレンドでもよい。食品を包装する用途のための多層フィルムにおける使用に適した材料には、食品接触層(food contact layer)および、シーラント層、アビュース層(abuse layer)、バルク層、酸素バリア層、水分バリア層、
タイ層(tie layer)などから選ばれた1以上の他の層が含まれる。これらの更なる層の
性質は、本発明の一部を形成しない。当該分野の当業者は、食品包装用フィルムの構築における使用に適したポリマーおよびそれらのブレンドを承知している。典型的な材料は、当該技術分野において知られており、例えば低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどのポリオレフィン材料および、例えばポリプロピレン、ポリブチレンなどのより高級なアルファオレフィン;アイオノマー樹脂、例えばエチレンビニルアセテート、エチレンアクリル酸またはそれらのブレンドなどのビニルモノマーとのオレフィン共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレンおよびそれらのブレンドおよび/または共重合体が含まれる。
【0026】
表面活性化処理に特に好ましい材料は、例えばポリアミド材料などの親水性材料である。適したポリアミドは食品包装技術分野において知られており、特に4〜8炭素原子を有する脂肪族第一級ジアミンおよび特に4〜10炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸のホモ重縮合物(homopolycondensate)及びこれらのブレンドまたは混合物などの脂肪族ポリアミドが含まれる。脂肪族共重合アミドは、同一のホモ重縮合物でもホモポリマーでもよく、1以上の脂肪族ジアミンおよび1以上の脂肪族ジカルボン酸および/または1以上のオメガ−アミノカルボン酸またはオメガ−アミノカルボキシルラクタム(omega-aminocarboxylic lactams)に基づくポリマーであってもよい。適したジカルボン酸の例には、ア
ジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびドデカンジカルボン酸が含まれる。フィルムは、液体の接着または吸収を促進する添加剤も含み得る。適切な添加剤には、例えば、澱粉、アルファセルロースを含むセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリサイクリックアシッド、架橋されたポリビニルピロリドン(PVPP)およびポリビニルピロリドン(PVP)共重合体、それらの混合物およびブレンド等の水溶性または水膨潤性の素材が含まれ得る。好ましい素材は、PVPまたはPVPPである。
【0027】
フィルムの表面は、その表面積が増加するように処理されてもよい。このような、表面処理の方法は既知であり、アブレーション(ablation)およびエッチングが含まれる。代替的に、粗くされたダイを通して押し出すこと、または融解および押出温度を不均一な、または乱れたフローを作るように設定することを含む多くの方法によって押出時に表面が粗くされても良い。代替的に、ポリマーは、メルトフラクチャー(melt fracture)の促
進またはフローの修飾をし得る添加剤とブレンドされても良い。他方、場合によっては、
メルトフラクチャーを制御するために、加工助剤が加えられる。望ましい効果を与えるために、これらの助剤のレベルは軽減または加減される。
【0028】
食品包装などの幾つかの用途について、フィルムは、食品にしっかりと合致し得るような熱収縮性である。フィルムは、調理時に収縮するクックインフィルムでもよい。代替的に、フィルムは、パッケージを過熱された環境中に置くことによって食品の包装前に収縮されても良い。
【0029】
典型的に、食品包装の目的のために、フィルムは縫い目の無いチューブ状ケーシングの形態である。このようなケーシングは、当該技術分野において知られる方法によって調製されても良い。代替的に、フィルムは、単一シートとして形成され、表面が活性化され、コートされ、そしてエッジを共にシーリング(sealing)することよってチューブ状に形
成されてもよい。シーリングによって単一シートをチューブ状に形成するプロセスは当該技術分野において良く知られており、バックシーミング(back seaming)として知られる。それは、形成および充填マシンで使用される。
【0030】
表面活性化処理は、例えばプラズマ、フレーム(flame)、コロナ放電、紫外線照射、
電子ビーム照射、ガンマ線照射などのいかなる適切な処理方法であっても良い。表面を酸化またはエッチング剤にかけることによって、表面は化学的に処理されてもよい。好ましい処理はコロナ放電である。
【0031】
印刷(printing)を促進するために表面のぬれ性を改良するためにコロナ放電によってポリオレフィン材料を処理することが知られている。典型的に、表面エネルギーを約30〜32ダインから約37〜40ダインまで増加するためにポリオレフィンは処理される。このようなダインレベルの上昇をもたらすのに必要なパワーレベルは、処理される材料の性質およびその中の全ての添加剤にある程度依存する。異なる材料は、違った反応をし得る。例えば、ポリエステルは約8〜11W−m/Mの比較的低いパワーレベルを必要とすることが知られており、一方でポリプロピレンは約22〜約27W−m/Mの比較的高レベルを必要とする。ポリマー表面の破損および低分子量製品の放出(これは実際に表面のインク等との結合能力を減少させる)があると考えられるため、より高いコロナ処理レベルは望ましくないと考えられる。
【0032】
コロナ放電によってチューブ状食品ケーシングの内側の表面を形成するポリオレフィン層の処理もまた知られている。このような処理の目的は、表面の食肉接着特性を向上させるためである。典型的に、ポリエチレンは、フィルムの表面エネルギーが約40〜50ダインに上昇するように処理される。食肉への特定の接着度がパージを回避するのに望ましい。しかし、フィルムが、食肉表面からクリーンに放出せず、食肉の一部がフィルムから引き離されるため、過剰の接着性もまた望ましくない。これは、傷跡のある見苦しい外観を結果生じる。過剰な接着性は、フィルムの表面活性が約50ダインを越える場合に見られる。チューブ状ケーシングの内側の表面のコロナ処理は米国特許第5296170号に記載されている。約45ダイン程度のまでの表面エネルギーを有するポリアミドケーシング材料は、一般的に十分な食肉への接着特性を有し、コロナ処理は必要とされない。ポリアミドがコロナ処理されれば、結果的に生じるフィルムが食肉の表面に過度に接着し、上述の問題を引き起こすと考えられる。
【0033】
コロナ処理レベルが既知の商業的な使用よりも十分に高く上げられた場合、液体がフィルム中に吸収され得ることが、驚くことに発見された。さらに、フィルムがクックイン食品包装物である場合、フィルムは食肉表面に過度に接着しない。
【0034】
表面が曝される表面処理のレベルは、物質の性質および表面活性化処理並びに吸収され
る液体の量に依存して変化することは認識されるであろう。特定の物質への必要な処理レベルは当業者によって決定され得る。通常、少なくとも約0.40から10mg/cmまで、好ましくは少なくとも約1.0〜3.0mg/cmの吸収レベルをコーティングに付与するように表面が処理される。表面がコロナ処理によって処理される場合、表面は典型的に約50〜約1000watt/分/mのワット密度、最も好ましくは約100〜約600watt/分/mで処理される。フィルムは、1セット以上の電極を用いて順に処理されてもよい。全ワット密度は、所望されるように電極間で分割されてもよい。
【0035】
液体は、所望される最終用途によって如何なる適切な液体であってもよい。液体という用語は、任意の流動性物質を指し、懸濁粒子物質などの固体を含んでいてもいなくてもよい、組成物および溶液、乳濁液、懸濁液、水性または非水性の混合液、純粋な液体を含む。
【0036】
典型的に、液体は、フィルムの性質を改質し得る、および/またはフィルムと接するものに転移し得る添加剤が含む。例えば、治療用途において、添加剤は、薬物、ビタミン、コンディショニング剤などの治療剤であり得る。
【0037】
フィルムが食品包装における使用のためである場合、液体は典型的に、結合剤、ゲル化剤または増粘剤、界面活性剤などの任意の添加剤と共に着色および/またはフレーバリング剤を含む。好ましくは、クックイン目的において、着色剤は、メイラード反応(これはスモークされた食肉の褐色特性を生じる)によって食品中の蛋白質と反応するタイプである。メイラード反応はまた、食品にスモーキーフレーバーを付与し得る。メイラード試薬(reagent)は着色およびフレーバリング剤の両方であると考えられ得る。このように蛋
白質と反応する化合物は、例えばヒドロキシアセトアルデヒドなどの活性カルボニル化合物、および例えばフルクトース、グルコース、リボース、ラクトース、キシロースなどの還元糖である。本明細書において、メイラード試薬という一般的用語は、1以上のこのような化合物いずれをも示すために使用される。好ましいメイラードタイプの着色剤は、燻液または着色剤であり、商品名Mailloseとして入手可能である(Red Arrowから入手可能である)。Maillose剤は、糖および澱粉の熱分解から形成される。燻液は、木材またはセルロースの熱分解からの凝縮生産物の収集物である。燻液は、通常主なカルボニル産物であるヒドロキシアセトアルデヒドを伴う活性カルボニル化合物を含む。特に好ましい着色剤は、比較的濃縮された量のメイラード試薬を含むものである。特に好ましいのは、約20重量%〜約40重量%、最も好ましくは約30重量%〜約35重量%のヒドロキシアセトアルデヒドを含む着色剤である。
【0038】
Mailloseタイプの着色剤の代わり、又は追加として、他の着色剤も使用され得る。このような更なる着色剤は当該技術分野において良く知られており、カラメル、ビート抽出物、モルト及びバイオキシン(bioxin)が含まれる。
【0039】
特に好ましい組成物は、Red Arrowによって現在開発下である。このような組成物は、少なくとも1つの粘度調整剤、界面活性剤およびメイラードタイプの着色剤を含む。食品と接する用途に適した粘度調整剤は当該技術分野において良く知られており、例えばセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、澱粉、キチン、カラゲナン、コンニャク、グアーガム、キサンタン、アルギン酸およびこれらの誘導体、寒天、ペクチン、ゼラチンなどの材料が含まれる。好ましい粘度調整剤は、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等の水溶性セルロースエーテル、および好ましくは、例えばカルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース等の陰イオン性の水溶性セルロースエーテルである。水溶性セルロースエーテルの混合物もまた使用され得る。特に好ましい
セルロースエーテルは、商品名Methocelであるメチルセルロースエーテルである。典型的に該組成物は、約2.0重量%まで、好ましくは約1.0重量%までの粘度調整剤を含む。
【0040】
好ましい組成物には、約0.05〜約0.5%、最も好ましくは約0.125〜0.25重量%の粘度調整剤が含まれる。
【0041】
典型的に、該組成物は1以上の表面活性剤を含む。適切な表面活性剤には、カルシウムステアロイルラクチレート、ジグリセリド、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、レシチン、モノグリセリド、ポリソルベート60、65および80、例えばプロピレングリコール、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ソディウムステアロイルラクチレート、ソルビタンモノステアレートなどのグリコールまたはこれらの混合物が含まれる。
【0042】
特に好ましい組成物は、メチルセルロースおよび例えばプロピレングリコール等のグリコールとの組合せでメイラードタイプの着色剤を含み、好ましくは約10重量%まで、より好ましくは約5重量%までのグリコールである。
【0043】
該組成物はまた、例えば抗酸化剤および安定剤などの他の添加剤を必要に応じて含んでもよい。
【0044】
該液体組成物成分のタイプおよび量は、表面およびまたその中に包まれる食品の性質によって選択され得る。消費者承認の目的で、異なる食肉製品の望ましい色またはフレーバープロフィールが考慮され得る。
【0045】
着色またはフレーバリング剤の代わり、若しくは追加として、該液体はまた、抗微生物剤、抗菌剤、防カビ剤および/または抗ウィルス剤を含んでもよい。このような剤の取り込みは食品包装における用途に限られる必要なく、他の用途も有し得ることが理解される。該液体はまた、本質的に水から構成され得る。本発明者は、通常は相当固いフィルムが本発明の方法に従って処理された場合、吸収され得る水の量が、フィルムが柔軟且つしなやかであるようにフィルムの物理的性質を変化させるのに十分であることを、驚くことに観測した。より柔軟なフィルムの用途は、食品が金属モールド(これは通常、正方形または長方形の横断面である)に置かれる前に、チューブ状ケーシング中に詰められる、食品包装業界においてある。このように包装および調理された食品は、モールド製品(moulded product)と呼ばれる。フィルムの柔軟性は、フィルムがモールドの形状に合致するこ
とを可能にする。他方、例えばスタッフィング(食品がチューブ状のケーシングに注入され調理され、円形横断面の製品を提供する)等の幾つかの用途において、より低い柔軟性を有するフィルムが所望され得る。
【0046】
少なくとも2層(第一層へ液体が吸収され、第二は水不透過性またはバリア層である)を提供するために、吸収されたおよび/またはフィルムに配合する液体の量を制御することによって、柔軟度は調節または加減され得る。このようなフィルムはまた、他の層を含んでもよいことが認識される。このような配置の例は、例えばポリアミド材料などの親水性材料の内層および例えばポリプロピレン、ポリエチレンまたはLLDPEなどのポリオレフィン材料の層を有する食品包装フィルムとしての使用のためのフィルムである。
【0047】
該液体は、例えばソーキング(soaking)またはスプレー等の如何なる適した技術によ
って表面に塗布されてもよい。チューブ状ケーシングの適したプロセスは当該技術分野においてスラッギングとして知られる。スラッギングは、米国特許第3378379中に記載されており、コーティングを吸収性セルロースケーシングに適用するために使用される
。ケーシングの内側をコーティングするための従来のスラッギング方法は、ケーシングの一部をコーティング材料で充填することを必要とし、材料の“スラッグ”が一般的にケーシングによって形成された“U”形状の底に位置し、そしてケーシングの連続した不確定な長さを移動し、コーティング材料のスラッグがケーシング中に封じ込められた状態で存続し、一方でケーシングはスラッグを通過し、スラッグ中に封じ込められたコーティング材料によって、その内壁が覆われる。次いでフィルムは一対の歯車ローラー間を通る。
【0048】
好ましくは、スラッグが上下一対のニップロール(nip roll)間にトラップされた、表面に該液体を適用するために、改良されたスラッギングプロセスが使用される。上位のロールのセットは、好ましくは、クロムメッキされたローラーおよびゴムローラーを含む。ゴムローラーは、通常約60〜約120の、典型的には約70〜約100デュロメーターの硬度を有する。チューブが2セットのロール間を通過するにつれて、液体がチューブと共に運ばれ、上位のロールのセットが計量ロールとして働く。該液体が実質的に水で構成される本発明の実施形態において、水は粘性増加剤を含むことが好ましい。粘性を上昇させることが、該液体の上位のロールのセットへの移動を促進する。
【0049】
好ましくは、ローラー間のギャップはチューブの厚みよりも小さく設定され、典型的には約50%である。これは、ギャップがコーティング層の望ましい厚みを加えたチューブの厚みに等しく設定された従来のコーティング技術と大いに異なっている。理論によって制限されることを望むのではないが、チューブがローラー間を通過して作られる圧力が、液体をフィルムの壁中へ押し付けるのを援助すると考えられる。典型的な吸収レベルは、20〜35重量%程度である。
【0050】
本発明のフィルムから成る食品ケーシングは、例えばシャーリングされたケーシングスティック、個別の短いセグメントの平らにされたケーシング、連続した長さのリール上に平らにされたケーシングなどの形態として当該技術分野において知られる如何なる形状でも提供され得る。
【0051】
フィルムがチューブ状ケーシング形態である場合、チューブは通常、液体の適用後にシャーリングされる。シャーリングは、当業者に良く知られる従来のシャーリング技術によって達成されてもよい。
【0052】
本発明のさらなる側面に従って、そこに包まれた食品に転移する少なくとも1つの食品添加物を含む液体組成物で覆われた、内側の食品と接する表面を有するシャーリングされたチューブ状食品ケーシングが提供され、それにより該組成物の表面への適用前に、表面は表面活性化処理に供される。
【0053】
液体の塗布後、フィルムは如何なる適切な方法によっても食品を包装するために使用され得る。パッケージが、チューブ状ケーシングまたはシャーリングされたケーシングの形態である場合、ケーシングは肉製品を詰め用ホーン経由でチューブ状ケーシングの内に押し込むことによって、詰められてもよい。
【0054】
本発明のフィルム中に包まれた食品は、例えばボイリング、蒸気による加熱、またはオーブン中に置くことなどの如何なる適切な方法によって調理されてもよい。好ましくは、包まれた食品は、包装後可能な限り早く調理される。代替的に、包まれた食品は、調理前に色を固定するために、予備加熱ステップにかけられてもよい。例えば、包まれた製品は、約150°F〜約200°Fの温度に約6分までの期間予備加熱されてもよい。調理時に、食品用着色添加剤は、食品の表面に色を付与し得る。
【0055】
本発明の更なる形態に従って、食品の加工方法が提供される。該方法は、着色剤を含む
本発明の第一側面のフィルム中に食品を包装すること、および包装されたものを着色剤からカラーが食品の表面に転移する温度に加熱することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、コントロールのハムと比較した本発明のフィルム中に包まれたハムの写真を示す。
【図2】図2は、コントロールのターキーと比較した本発明のフィルム中に包装されたターキー製品の写真を示す。
【図3】図3は、CD−1 AD−1と名付けられたフィルムのSEMを示す。
【図4】図4は、着色剤を含浸した図3のフィルムのSEMを示す。
【図5】図5は、メタノール抽出後の図3のフィルムのSEMを示す。
【図6】図6は、メタノール抽出後の図4のフィルムのSEMである。
【実施例】
【0057】
発明の詳細な説明
実施例1 コーティング配合物
コーティング配合物は、第1表に従ってRed Arrowによって調製された。
【0058】
【表1】

【0059】
1.Maillose45は、27重量%のヒドロキシアルデヒドを含み、ウィスコンシン州マニトワックのArrow Products Co. LLCから入手可能な着色剤であり、糖の熱分解によって形成される。
2.MethocelはDowから入手可能なメチルセルロースである。
3.燻液は、約30〜約35重量%のヒドロキシアセトアルデヒド含有量を有する濃縮燻
液製品であり、ウィスコンシン州マニトワックのRed Arrow Products
Co. LLCから入手可能である。
【0060】
実施例2 ポリアミドフィルムのコロナ処理
以下の試験は、外側のポリアミド層、中間のポリプロピレン共重合体層および内側のポリアミド層を有する三層の熱収縮性チューブ状フィルムを用いて実施された。内層は、ナイロン6および約16%のPVPPのブレンドである。このフィルムは以下DC−1と呼ばれる。
【0061】
チューブ状のフィルムは、米国特許第5296170号(そこにおいて、一対の電極の1つがインフレートチューブの1側面と接触するように置かれる)に記載されるものと同様の電極配置を用いて600Wで内側をコロナ処理された。この方法において、コロナ放電は、チューブ中の空気を含む空間において生成される。しかし、米国特許第5296170号中に記載される方法との間の顕著な違いは、本件において格段に高いパワーレベルが使用されたことである。米国特許第5296170号は、ワット密度としてのパワーレベルを説明していないが、実施例はポリエチレンフィルムのダインレベルにおいて31ダインから42および41ダインへの増加を示す。しかし、ダインレベルにおけるこの変化から、約18〜23ワットのパワーが使用されたことが推定され得る。コロナ処理後、フィルムの内側の表面は、以下に説明されるスラッギングによって覆われた:
1. チューブはスリット開口(slit open)であり、該液体の量つまり“スラッグ”が
添加された。
【0062】
2. チューブを円筒形に形成するために空気が注入され、スリットはテープを用いてシールされた。
【0063】
3. チューブは、コーティングロールのセットを通って前進し、部分的に折りたたまれた(collapsed)。ロールは、72デュロメーターゴムロールおよびクロムメッキされた
ロールを含む。コーティングロールの間隔は、ロールが完全には閉ざされておらず、ギャップがチューブの幅の約50%であるように調節することができる。液体を保持したフィルムがロールを通過すると、液体の殆どは搾り出される。
【0064】
4. 内側の表面上に吸収されたフィルムを有するフィルムは次に、リールに巻きつけられる。
【0065】
表面の活性化のレベルは、ダインとしての表面エネルギーを測定することによって推定
された。その結果は第2表に要約される。
【0066】
【表2】

【0067】
*保持されたコーティングの量は、コーティング前後のフィルムの重さを計ることによ
って測定された。
【0068】
**このレベルに処理されたフィルムは、以下DC1−AD1と呼ばれる。このフィルムは、チューブ状ケーシング(米国特許第5296170号に記載される)を利用可能な最大パワーに処理するために使用される従来型のコロナ処理装置によってコロナ処理された。測定されたダインダインレベルから、ワット密度は75ワット−分/M程度であったことが推定される。
【0069】
使用されたコーティングはCoating C1であった(その成分は第1表に与えられている)。
【0070】
第2表中の結果は、内層に吸収され得る溶液の量の67%の増加および、フィルムの内側の表面に吸収され得るコーティングの量がコロナ処理のレベルに直接的に関連していたことを示す。
【0071】
実験において、表面の活性化は非常に高く、ダインレベルは、通常のダイン測定技術の範囲外であったことが観測された。この理由のために、今後の試験において、表面の活性化のレベルは、ワット密度によって推定された。
【0072】
ワット密度は以下の式に従って計算された:
ワット密度=パワー供給(ワット)
チューブの幅(M)×ラインスピード(line speed)(分/M)
当業者はまた、上記のダインレベルが、食肉の接着を促進するために使用されるコロナ処理によって達成されるものを十分に超えていることを理解し得る。40〜50ダインのレベルが許容可能な食肉の接着性を提供すると、一般的に認められる。フィルムが約50ダインよりも高いダインレベルに処理される場合、フィルムが過度に肉表面に接着することもまた、当該技術分野において一般に認められる。今回の実施例において、表面の活性化のこれらの高レベルにも拘らず、そして予想に反して、食肉フィルムは食肉を損傷することなく、肉の表面からクリーンに剥離したことが驚くことに観測された。
【0073】
ポリアミドフィルム中に吸収され得る液体の量がコロナ処理の関数であることをさらに立証するために、第1表の試験に用いられたフィルムが2つの異なるコロナレベルに処理された。そして水分がフィルムに塗布され、吸収された水分の量がASTM570で測定された。この試験は、スペシメン(specimen)がオーブン中で24時間50℃の条件に置かれ、デシケーター中で冷却され、そして直ちに0.001gの正確さで計量されることを必要とする。処理後、試験スペシメンは、室温(23±1℃)に維持された蒸留水に72時間浸漬された。試験終了後、スペシメンは水から取り除かれ、全ての表面の水は、乾いた布で拭い取られ、そして直ちに0.0001gの正確さで計量された。
【0074】
浸漬中の重量の増加率を計算するために、以下の方程式が使用された:
重量の増加、%=(ウェット重量(Wet weight)− 初期の重量)×100
初期の重量
第3表はテストの結果を示す。
【0075】
【表3】

【0076】
***テスト3のDC1−AD−1フィルムについて、内側の表面は表示されたレベルにさ
らに処理された。表示されたワット密度においてダインレベルは70以上であるが、これらのレベルでのダインテストは如何なる信頼度でも使用できないことが推定された。
【0077】
結果は、コロナレベルが上昇すると、コロナ処理が吸収される水分の量を増加することを示す。
【0078】
スモークカラーを含む溶液もまた、フィルムの内側の表面に塗布された場合、吸収されることを実証するために、以下の試験が考案された:
フィルムサンプルは、針編みレースをする時に布を保持するために使用されるものに類似の環状フープにフィットするように切断された。フィルムがフープに締められる前に、フィルムの内側の表面はフープの縁およびフィルムが容器を形成するようにフープ中に配置された。
【0079】
フィルムスペシメンはフープに締付けられた。Maillose(C20)を含む溶液は、ポリアミド/タイ(tie)/ポリアミド構造のフィルムの内側の表面に添加された。
(このフィルムは、以下V9と呼ばれる)。溶液はフィルム表面をちょうど覆うように添加された。この方法は、フィルムの内側の表面だけが、塗布された液体を有し、クローサー(closer)がスラッギングプロセスをシミュレートすることを確実にする。スペシメンは溶液と接する状態で72時間放置された。
【0080】
過剰の液体がフープから注がれ、スペシメンはフープから取り除かれ、全ての表面の液体は乾いた布を用いて拭い去られた。スペシメンは250Fに30分間加熱され、次いで0.0001gの正確さで計量された。
【0081】
第4表はこの試験について得られた結果を要約する。
【0082】
【表4】

【0083】
結果は、内側のコロナのレベルが上昇すると、吸収される溶液の量も増加したことを示す。
【0084】
実施例3 シャーリングスタッフィングおよび加工
フィルムは活性化され、実施例2に記載される方法でそこに組成物が塗布された。コーティングがロール上に接着し、および/または吸収されるように時間を与えた後、フィルムは“スティック”状にシャーリングされた。シャーリングされたチューブ状ケーシングは、当該技術分野において知られる従来型のシャーリング機によって準備されてもよい。
【0085】
ハムまたはターキーの肉製品は次いでスタッフィングホーンを通ってシャーリングされたケーシング中に押し込まれた。
【0086】
包まれた食品は次いでオーブン中で加熱すること(製品が160Fの内部温度に達するように時間の長さを設定した蒸気または熱湯を用いた)によって調理される。オーブンは、100%の相対湿度および185Fの温度に維持された。蒸気および熱湯の温度は第3表中に示される。調理は、実行可能な限り早くおよび、記載のようにスタッフィングの後の様々な時間で実施された。
【0087】
コントロールは、コロナ処理および含浸なしで実施された。
【0088】
結果は第5表に要約される。
【0089】
【表5−1】

【0090】
【表5−2】

【0091】
L値−数値が低いほど、色密度が大きい
*フィルムの重量増加%は以下の式に従って含浸量から計算された:
重量増加%=含浸量 ×100
wt1cm(2.5423mg)
VisflexはViskaseから商業的に入手可能なフィルムであり、ナイロン/EVA/ナイロン構造を有する。
【0092】
V9−2はVectorから商業的に入手可能なフィルムであり、ナイロン/タイ/ナイロン構造を有する。
【0093】
V1はVectorから商業的に入手可能なフィルムであり、ナイロン/タイ/LLDPE構造を有する。
【0094】
Sun Productsは商業的に入手可能な吸収性プラスチック/セルロース積層のケーシングであり、そこに吸収された着色液を有する。
【0095】
製品に転移した最終的な色は、スタッフィングとプロセシングの間の時間によって影響を受けることが発見された。これは、加工の熱が製品表面に色を付けるからであると考えられる。加工前に維持された場合、色化合物は肉製品に吸収される。
【0096】
加工が表面処理なしで行われた場合、過剰のプーリングが上位のコーティングロール上で起こり、液体がチューブの下部に集まるということもまた観察された。さらに覆われた表面は、手触りが湿っており(wet to the touch)表面から液体をぬぐうことが可能であった。幾らかの含浸量が存在し、幾らかの色が肉製品に転移されたが、実際の色の転移は斑があり、とても容認できなかった(これは表面上の不均一なコーティングを示す)。この不均一なコーティングは、後のシャーリングおよびスタッフィング作業に抵抗するのに不十分な吸収であった。他方、チューブがコロナ処理された場合、プーリングは見られなった。また、チューブの内側の表面は湿り感がなく、処理された表面から全く液体を拭い去ることもできなかった。これらの観察は、液体が少なくとも部分的に表面に吸収され、個別のコーティングとして存在しないという考えを支持すると考えられる。
【0097】
図1は、コントロールのハムと比較した本発明のフィルム中に包まれたハムの写真を示す。
【0098】
図2は、コントロールのターキーと比較した本発明のフィルム中に包装されたターキー製品の写真を示す。
【0099】
これらの図は、本発明のフィルム中で調理されたハムおよびターキーの製品はどちらも均一な燻煙された褐色を有することを示す。色の均一性は、該組成物が表面に均一に吸収され得るだけでなく、この均一性はシャーリングおよびスタッフィング処置による断裂(disruption)に耐性があることを示す。吸収された液体はまた、スタッフィング時に伸び、フィルムの熱収縮時に収縮するための柔軟性も示した。さらに、パージまたはクックアウト(cook-out)若しくはフィルムの肉製品への許容されない接着性の徴候はない。
【0100】
実施例4 SEM調査
処理されたフィルムの吸収特性を更に調査するために、約300W−分/Mのパワーレベルに処理され、処理された表面に組成物C7を塗布したDC1およびDC1−AD−1に走査型電子顕微鏡研究を行った。最初の結果は、未処理および吸収されたフィルム間の主要な違いは、不規則な表面形態の厚み10ミクロンの多孔性の内層が、5ミクロンの
厚みの多孔性の内層および不規則な表面形態の厚さ5マイクロの無孔の最も内側の層に変化したことであると示した。これは、該組成物が内側のフィルム層に吸収され、元の厚みの約1/2の深さで内層に含浸したことを示唆した。
【0101】
これを確認するために、内側の表面への液体アプリケーションの前後に、更なるSEM分析が水およびメタノール抽出されたDC−1 AD−1について実施された。水およびメタノール抽出され含浸されたサンプルの結果は、水およびメタノールを用いた抽出は、それらの元の横断面厚みの約半分の深さに含浸されたフィルム層の形態に物理的な境界を残すことを示した。倍率1000xで撮られた例示的なSEM顕微鏡写真は図3,4,5および6に示され、これらは、非含浸の、含浸の、メタノール抽出され非含浸の、およびメタノール抽出され含浸したフィルム各々を示す。
【0102】
上記に説明されたフィルムおよび方法はそこに吸収した液体のかなりの量を蓄えるフィルムを提供することができると見られ得る。好適な実施形態のチューブ状のケーシングはそこに均一に適用された液体を有することができる。さらに、チューブ状のケーシングはシャーリング、スタッフィングおよび調理作業に耐えることができ、添加物の食品表面への均一な転移を付与する。
【0103】
当然のことながら、ここに説明された本発明への種々の変更および改良は、その目的および範囲から脱することなくされ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その中に吸収した水性の液体を有するポリアミド層表面を有するフィルムを調整する方法であり、該方法は、
(a)1つ以上の脂肪族一級ジアミン、および1つ以上の脂肪族ジカルボン酸
(b)オメガ−アミノカルボン酸
(c)オメガ−アミノカルボン酸ラクタムまたは、
(d)(a)、(b)、および(c)のうちのいずれか2または3つの混合物
をモノマー成分として含むポリアミド材料を含む表面を有するフィルムを作製する工程、フィルムのポリアミド表面を少なくとも75W-m/Mのパワーレベルでコロナ放電処理に供する工程、該液体を該液体が少なくとも部分的にフィルムに吸収させるように表面に塗布する工程を含む。
【請求項2】
該パワーレベルが、150〜1000W−m/Mのパワーレベルにおいて実施される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該パワーレベルが、150〜600W−m/Mである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該フィルムが食品包装用フィルムの形態であり、使用時に該表面が該フィルムの内側の表面である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
該フィルムがチューブ状ケーシングの形態である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
該フィルムがポリアミド及び架橋されたポリビニルピロリドンを含む請求項1に記載の方法
【請求項7】
該フィルムが、単層である請求項5に記載の方法。
【請求項8】
該食品包装用フィルムが少なくとも2層を有し、第一層が該ポリアミドを含み第二層がポリオレフィン材料の層を含み、使用時に該ポリアミド第一層が内層であり、該ポリオレフィン第二層がその外層である請求項5に記載の方法。
【請求項9】
該液体が該表面に塗布された後に、該ケーシングがシャーリングされる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
該液体が本質的に水からなる請求項5に記載の方法。
【請求項11】
該液体が、それによって包装された食物に転移する少なくとも1つの添加剤を含む組成物である請求項5に記載の方法。
【請求項12】
該添加剤が、着色剤及び着色フレーバリング剤からなる群から選択された請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該添加剤が、メイラード試薬を含む請求項11に記載の方法。
【請求項14】
該液体が該表面に塗布された後、該フィルムが一対のニップロール間を通過し、該ニップロール間の空間が、該フィルムの厚みよりも短い距離に設定される請求項5に記載の方法。
【請求項15】
該一対のニップロールが、クロムメッキされたローラーおよびゴムローラーを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
該食品包装用フィルムが、該ポリオレフィン層の上に、ポリアミド第三層を有する請求項8に記載の方法。
【請求項17】
ポリアミド表面層の厚さのうち約半分の深さまで該液体が吸収される請求項1に記載のフィルム。
【請求項18】
ポリアミド表面層の厚さのうち5μmの深さまで該液体が吸収される請求項1に記載のフィルム。
【請求項19】
その中に吸収した水性の液体を有するポリアミド層表面を有するフィルムを調整する方法であり、該方法は、
(a)1つ以上の脂肪族一級ジアミン、および1つ以上の脂肪族ジカルボン酸
(b)オメガ−アミノカルボン酸
(c)オメガ−アミノカルボン酸ラクタムまたは、
(d)(a)、(b)、および(c)のうちのいずれか2または3つの混合物
をモノマー成分として含むポリアミド材料を含む表面を有するフィルムを作製する工程、フィルムの表面が、少なくとも約70ダインの表面エネルギーを有するように表面活性化処理に供する工程、該液体を該液体が少なくとも部分的にフィルムに吸収させるように表面に塗布する工程を含む。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−225881(P2011−225881A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103032(P2011−103032)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【分割の表示】特願2006−507078(P2006−507078)の分割
【原出願日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【出願人】(505341143)ベクター ユーエスエー インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】