説明

吸収パッド

【課題】予め与えられたサイズのままで使用することができるとともに、小さいサイズに切断して使用することもでき、また、折り畳むことにより全体又は部分的に積層された状態で使用することもできる吸収パッドを提供する。
【解決手段】吸収パッド1は、液透過性の一対の表面シートと、両シートの間に配置された2つの吸収体21,22とを備える。一対の表面シートには、吸収体21と吸収体22との間隙に沿ってのびるミシン目15が形成されている。使用者は、必要に応じて、吸収パッド1をミシン目15に沿って切断することができる。使用者は、吸収パッド1を、予め与えられたサイズのままで使用することができるとともに、小さいサイズに切断して使用することもできる。また、使用者は、ミシン目15を境として吸収パッド1を折り畳み、2つの吸収体21,22が積層された状態で、吸収パッド1を使用することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の排泄液を吸収する吸収パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、おむつとともに使用されて、おむつによる尿の吸収を補助する吸収パッドが知られている。このような吸収パッドの例として、特許文献1には、バックシートと液透性のトップシートとの間に吸収体が配置された、使い捨て補助パッドが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4132465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
おむつによる尿の吸収を適切に補助するためには、着用者の体型や、吸収パッドを配置する部位に応じて、吸収パッドの大きさや厚みを、変更することが望ましい。しかしながら、従来の吸収パッドは、予め与えられたサイズのまま使用することが想定されていた。このため、従来の吸収パッドを小さいサイズに切断して使用したり、折り畳んで使用したりすることは、困難であった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、予め与えられたサイズのままで使用することができるとともに、小さいサイズに切断して使用することもでき、また、折り畳むことにより全体又は部分的に積層された状態で使用することもできる吸収パッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、着用者の排泄液を吸収する吸収パッドであって、液透過性の一対の表面シートと、前記一対の表面シートの間に、互いに間隔をあけて配置された複数の吸収体と、を備え、前記一対の表面シートに、前記複数の吸収体の間隙に沿ってのびる弱化線が形成されていることを特徴とする。
【0007】
本願の第2発明は、第1発明の吸収パッドであって、前記一対の表面シートは、少なくとも、前記複数の吸収体の間隙において、互いに接合されていることを特徴とする。
【0008】
本願の第3発明は、第1発明又は第2発明の吸収パッドであって、前記複数の吸収体は、一列に配列されていることを特徴とする。
【0009】
本願の第4発明は、第3発明の吸収パッドであって、前記表面シートの繊維の配向は、前記弱化線に沿う方向であることを特徴とする。
【0010】
本願の第5発明は、第1発明から第4発明までのいずれかの吸収パッドであって、前記複数の吸収体は、三角形状の吸収体を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本願の第1発明〜第5発明によれば、使用者は、必要に応じて、吸収パッドを弱化線に沿って切断できる。使用者は、吸収パッドを、予め与えられたサイズのままで使用することができるとともに、小さいサイズに切断して使用することもできる。また、使用者は、弱化線を境として吸収パッドを折り畳み、全体又は部分的に積層された状態で、吸収パッドを使用することもできる。
【0012】
特に、本願の第2発明によれば、切断後の吸収パッドの端部において、一対の表面シートが開いたり、切断後の吸収パッドの端部から、吸収体が漏れ出したりすることを、防止できる。
【0013】
特に、本願の第3発明によれば、任意の箇所で弱化線を破断することにより、所望の長さの吸収パッドを得ることができる。また、弱化線の切断方向が一方向のみとなるため、切断作業が容易となる。
【0014】
特に、本願の第4発明によれば、吸収パッドを、弱化線に沿う方向に、より容易に切断できる。
【0015】
特に、本願の第5発明によれば、吸収パッドを、鋭角を含む形状に切断できる。このため、切断後の吸収パッドを、狭い隙間にフィットさせることができる。例えば、切断後の吸収パッドを、着用者の大腿部とおむつとの隙間を埋めるために、使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】吸収パッドの斜視図である。
【図2】吸収パッドの平面図である。
【図3】吸収パッドを図2中のIII−III位置から見た断面図である。
【図4】吸収パッドを切断するときの様子を示した図である。
【図5】折り畳まれた吸収パッドの斜視図である。
【図6】3つの吸収体が一列に配置された吸収パッドの平面図である。
【図7】4つの吸収体が二次元的に配置された吸収パッドの平面図である。
【図8】部分的に折り畳まれた吸収パッドの斜視図である。
【図9】三角形状の吸収体を有する吸収パッドの平面図である。
【図10】三角形状の吸収体を有する吸収パッドの平面図である。
【図11】切断後の三角形状の吸収パッドの使用例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
<1.一実施形態に係る吸収パッド>
図1は、本発明の一実施形態に係る吸収パッド1の斜視図である。図2は、吸収パッド1の平面図である。また、図3は、吸収パッド1を図2中のIII−III位置から見た断面図である。
【0019】
この吸収パッド1は、おむつの内側に敷いたり、おむつと着用者の肌との隙間に挿し込んだりして、おむつによる尿の吸収を補助するためのものである。おむつの着用者は、おむつとともに吸収パッド1を使用することにより、おむつからの尿の漏れ(隙間漏れや伝い漏れなど)を防止することができる。
【0020】
図1〜図3に示したように、吸収パッド1は、一対の液透過性の表面シート11,12と、両シート11,12の間に挟まれた2つの吸収体21,22とを備えている。おむつの着用者から排泄された尿が、表面シート11,12に接触すると、当該尿は、表面シート11,12を透過して、吸収体21,22に吸収保持される。
【0021】
表面シート11,12は、例えば、親水性繊維(セルロース、レーヨン、コットン等)を用いた不織布により構成される。また、表面シート11,12は、疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)の表面を界面活性剤により処理して液透過性とした不織布により構成されていてもよい。
【0022】
吸収体21,22は、例えば、顆粒状の高分子吸収体を平面状に分布させたものにより構成される。吸収体21,22は、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維などの親水性繊維の集合層に、顆粒状の高分子吸収体を混合した塊を、ティッシュペーパーなどの紙シート又は液透過性の不織布で被覆したものであってもよい。また、吸収体21,22は、一対の液透過性のシートの間に接着剤を介して高分子吸収体を固定したシート状の吸収体であってもよい。
【0023】
なお、吸収体21,22を、パルプ非存在の高分子吸収体により構成すれば、吸収体21,22を薄型化できる点で、好ましい。
【0024】
図3に示したように、吸収体21,22は、一対の表面シート11,12の間に、接着剤31により固定されている。2つの吸収体21,22は、表面シート11,12に沿う方向に、互いに間隔をあけて配置されている。2つの吸収体21,22の間(以下、「間隙部13」という。)や、吸収パッド1の周縁部14においては、一対の表面シート11,12同士が、接着剤31を介して接合されている。
【0025】
なお、表面シート11,12と吸収体21,22との間には、間隙部13や周縁部14よりも低い密度で、接着剤31が塗布されている。これにより、表面シート11,12から吸収体21,22への尿の透過が、接着剤31により阻まれることが、抑制されている。
【0026】
図1〜図3に示したように、一対の表面シート11,12の間隙部13に位置する部分には、ミシン目15が形成されている。ミシン目15は、表面シート11,12の一方の端辺から他方の端辺まで、隣り合う吸収体21,22の間隙に沿ってのびている。図4に示したように、使用者は、必要に応じて、吸収パッド1を、ミシン目15に沿って切断できる。これにより、切断前の吸収パッド1より小さいサイズの2つの吸収パッド2,3を得ることができる。
【0027】
切断されていない吸収パッド1は、例えば、おむつの内側の比較的広い領域に敷いて、使用することができる。一方、切断後の吸収パッド2,3は、例えば、着用者とおむつとの間の小さい隙間を埋めるために、使用することができる。使用者は、切断のためにハサミ等の器具を用意する必要はなく、ミシン目15に沿って吸収パッド1を手動で容易に切断できる。
【0028】
このように、使用者は、吸収パッド1を、予め与えられたサイズのままで使用することができるとともに、小さいサイズに切断して使用することもできる。すなわち、使用者は、吸収パッドのサイズを、状況に応じて選択することができる。これにより、着用者の体型や、吸収パッドを配置する部位に応じて、適当なサイズの吸収パッドを、無駄なく使用することができる。
【0029】
また、上述の通り、一対の表面シート11,12は、間隙部13及び周縁部14において、互いに接合されている。このため、切断後の吸収パッド2,3も、周縁部において表面シート11,12同士が接合された状態となっている。したがって、切断後の吸収パッド2,3の周縁部において、一対の表面シート11,12が開いたり、切断後の吸収パッド2,3の周縁部から吸収体21,22が漏れ出したりすることが、防止される。
【0030】
また、図5に示したように、使用者は、吸収パッド1を、ミシン目15を境として折り畳んで使用することもできる。このようにすれば、2つの吸収体21,22が積層配置されるため、単位面積当たりの尿の吸収能力が向上する。使用者は、例えば、尿の漏れ量が多い箇所に、吸収パッド1を折り畳んで配置することができる。
【0031】
すなわち、本実施形態において、ミシン目15は、吸収パッド1の切断を容易にする役割と、吸収パッド1の折り畳みを容易にする役割と、の双方を果たす。また、本実施形態では、表面シート11,12の繊維の配向が、ミシン目15に沿う方向(図4中の矢印Aの方向)となっている。このため、使用者は、吸収パッド1を、ミシン目15に沿う方向に、より容易に切断できるとともに、ミシン目15を境として、吸収パッド1をより容易に折り畳むことができる。
【0032】
<2.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0033】
上記の実施形態のように、表面シート11,12の繊維の配向が、ミシン目15に沿う方向であれば、吸収パッド1の切断や折り畳みがより容易となる点で望ましいが、表面シート11,12の繊維の配向は、必ずしもミシン目15に沿う方向でなくてもよい。例えば、表面シート11,12の繊維の配向が、ミシン目15に直交する方向であってもよい。
【0034】
また、上記の実施形態では、一対の表面シート11,12の間に、2つの吸収体21,22が配置されていたが、一対の表面シート11,12の間に、3つ以上の吸収体が配置されていてもよい。例えば、図6の吸収パッド1Aのように、一対の表面シートの間に、3つの吸収体21A〜23Aが配置されていてもよい。図6の例では、吸収体21Aと吸収体22Aとの間にミシン目15Aが形成され、吸収体22Aと吸収体23Aとの間にミシン目16Aが形成されている。
【0035】
図6のように、複数の吸収体を一列に配列し、隣り合う吸収体の間にミシン目を形成すれば、任意のミシン目を破断することにより、所望の長さの吸収パッドを得ることができる。また、ミシン目の切断方向は一方向のみとなり、かつ、切断すべきミシン目の長さも一辺分のみとなるため、吸収パッドの切断作業が容易となる。
【0036】
また、図7の吸収パッド1Bように、一対の表面シートの間に、4つの吸収体21B〜24Bが二次元的に配置されていてもよい。図7の例では、吸収体21B,22Bと吸収体23B,24Bとの間にミシン目15Bが形成され、吸収体21B,23Bと吸収体22B,24Bとの間にミシン目16Bが形成されている。
【0037】
図6や図7の例では、吸収パッドを部分的に折り畳んで使用することが可能となる。図8は、図6の吸収パッド1Aを、ミシン目16Aを境として折り畳んだ状態を示した斜視図である。図8の例では、吸収パッド1Aに含まれる3つの吸収体21A〜23Aのうち、2つの吸収体22A,23Aが積層された状態となっている。このようにすれば、例えば、尿の漏れ量が多い箇所に、積層された2つの吸収体22A,23Aを配置し、尿の漏れ量が少ない箇所に残りの1つの吸収体21Aを配置する、といった使用の仕方が可能となる。
【0038】
また、上記の実施形態では、平面視において矩形の吸収体21,22が使用されていたが、各吸収体の形状は、矩形以外の形状であってもよい。例えば、図9の吸収パッド1Cや図10の吸収パッド1Dのように、一対の表面シートの間に、平面視において三角形状の吸収体が配置されていてもよい。
【0039】
図9の例では、一対の表面シートの間に、平面視において略直角二等辺三角形状の2つの吸収体21C,22Cが配置されている。各吸収体21C,22Cは、斜辺同士が対向するように、配置されている。そして、吸収体21Cと吸収体22Cとの間に、ミシン目15Cが形成されている。
【0040】
図10の例では、一対の表面シートの間に、平面視において略直角二等辺三角形状の4つの吸収体21D〜24Dが配置されている。各吸収体21D〜24Dは、直角部同士が対向し、全体として吸収パッド1Dが略正方形状となるように、配列されている。そして、吸収体21D,22Dと吸収体23D,24Dとの間にミシン目15Dが形成され、吸収体21D,23Dと吸収体22D,24Dとの間にミシン目16Dが形成されている。
【0041】
このようにすれば、吸収パッドを、鋭角を含む形状に切断できる。このため、切断後の吸収パッドを、狭い隙間にフィットさせることができる。例えば、図11に示したように、切断後の吸収パッドを、着用者の大腿部とおむつとの隙間を埋めるために、使用することができる。
【0042】
また、上記の実施形態や変形例では、吸収パッドに含まれる複数の吸収体の形状や大きさが同じであったが、1つの吸収パッドに、形状や大きさの異なる2つの吸収体が含まれていてもよい。例えば、1つの吸収パッドに、平面視において矩形状の吸収体と、平面視において三角形状の吸収体とが、混在していてもよい。
【0043】
また、上記の実施形態や変形例では、吸収パッドに含まれる全ての間隙部にミシン目が形成されていたが、ミシン目が形成されていない間隙部があってもよい。
【0044】
また、上記の実施形態や変形例では、弱化線としてミシン目が設けられていたが、本発明の弱化線は、ミシン目に限定されるものではない。弱化線は、表面シートを部分的に弱化させて、吸収パッドの切断や折り畳みを容易にするものであればよい。例えば、ミシン目に代えて、超音波融着、熱融着、エンボス加工等による弱化線が形成されていてもよい。
【0045】
また、上記の実施形態では、吸収パッド1は、おむつとともに使用されて補助的に尿を吸収するものであったが、本発明の吸収パッドは、おむつとは別に使用されるものであってもよい。また、本発明の吸収パッドは、尿以外の排泄液を吸収するものであってもよい。
【0046】
また、本発明の吸収パッドは、成人を対象としたものであってもよく、幼児を対象としたものであってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1,1A,1B,1C,1D 吸収パッド
2,3 切断後の吸収パッド
11,12 表面シート
13 間隙部
14 周縁部
15,15A,15B,15C,15D,16A,16B,16D ミシン目
21,22,21A,22A,23A,21B,22B,23B,24B,21C,22C,21D,22D,23D,24D 吸収体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の排泄液を吸収する吸収パッドであって、
液透過性の一対の表面シートと、
前記一対の表面シートの間に、互いに間隔をあけて配置された複数の吸収体と、
を備え、
前記一対の表面シートに、前記複数の吸収体の間隙に沿ってのびる弱化線が形成されていることを特徴とする吸収パッド。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収パッドであって、
前記一対の表面シートは、少なくとも、前記複数の吸収体の間隙において、互いに接合されていることを特徴とする吸収パッド。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の吸収パッドであって、
前記複数の吸収体は、一列に配列されていることを特徴とする吸収パッド。
【請求項4】
請求項3に記載の吸収パッドであって、
前記表面シートの繊維の配向は、前記弱化線に沿う方向であることを特徴とする吸収パッド。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれかに記載の吸収パッドであって、
前記複数の吸収体は、三角形状の吸収体を含むことを特徴とする吸収パッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−41665(P2011−41665A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191547(P2009−191547)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】