説明

吸収体

【課題】 簡便かつ迅速に、被接触体に付着した液状物を取り除くことが可能な吸収
体の提供を目的とする。
【解決手段】 本発明の吸収体1は、表面に、被接触体2に嵌合する凹部4が設けられ、被接触体2に嵌合されて、被接触体2に付着した液状物を吸収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体に付着した液状物を、簡便かつ迅速に取り除くことができる吸収体に関する。
【背景技術】
【0002】
物体に付着した水等の液状物を除く際、通常、紙、布等で拭き取る方法が用いられるが、対象となる物体(以下、「被接触体」という)の表面形状が複雑である場合は、紙、布等で拭き取る方法では、細部に付着した液状物まで完全に除くことは困難であった。そこで、先端部に吸収体を備えた綿棒を用いて、細部に付着した液状物を除くことがしばしば行われている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−24065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、被接触体表面に細部が多数存在する場合や、たくさんの被接触体に付着した液状物を取り除きたい場合は、綿棒を用いる方法では、液状物を完全に除くのに多大な手間と時間を要してしまうという問題があった。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、簡便かつ迅速に、被接触体に付着した液状物を取り除くことが可能な吸収体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、表面に、被接触体に嵌合する凹部及び/又は凸部が設けられ、前記被接触体に嵌合されて、前記被接触体に付着した液状物を吸収する吸収体に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の吸収体によれば、簡便かつ迅速に、被接触体に付着した液状物を取り除くことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の吸収体は、その表面に、被接触体に嵌合する凹部及び/又は凸部が設けられ、被接触体に嵌合されて、被接触体に付着した液状物を吸収するものである。ここで、「被接触体」とは、水等の液状物が付着しうる物体をいい、具体的には、剣山、スポイド、ゴルフボール、卵等が挙げられる。また、被接触体は、必ずしも一個である必要はなく、複数個であってもよい。
【0008】
以下、本発明の吸収体について、被接触体がスポイド、ゴルフボール、剣山である場合について、図面を参照しつつ説明する。
【0009】
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る吸収体1を示す断面図であり、図1(b)は、吸収体1の使用状態を示す断面図である。吸収体1の表面1aには、被接触体である自動検査装置の結束された複数本のスポイド2,2,2‥の先端部2aに同時に嵌合する凸部3,3,3‥が設けられている。隣り合う凸部3,3の間隔は、自動検査装置のスポイド2,2の先端部2aの間隔に応じて適宜設定される。
【0010】
本発明の吸収体を構成する材料としては、水等の液状物吸収能を有するものであれば特に限定されず、例えば、ポリウレタン多孔質体、ポリビニルアルコールスポンジ、セルローススポンジ等が挙げられる。
【0011】
以下、吸収体が、ポリオール、鎖長剤、親水性鎖長剤及びイソシアネートを重合して得られた末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー水分散体とポリアミン化合物とを架橋反応させて得られたゲル化物から、水分を除去して得られるポリウレタン多孔質体であり、親水性鎖長剤が、ウレタンプレポリマーを構成する全ての反応成分中、0.1〜4重量%含有されてなるポリウレタン多孔質体からなる場合について説明する。
【0012】
ポリオールとしては、通常のポリウレタンの製造に使用され、分子中にヒドロキシル基を2個以上有するものであれば特に限定されず、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリル系ポリオール、ヒマシ油系ポリオール、シリコーン系ポリオール等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、得られるポリウレタン多孔質体の劣化を抑制する観点から、ポリカーボネートポリオールが好ましく用いられる。なお、前記でいう劣化には、光による劣化、水による劣化等が含まれる。
【0013】
ポリエーテルポリオールとしては、アルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等)及び/又は複素環式エーテル(テトラヒドロフラン等)を重合又は共重合して得られるもの、具体的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−ポリプロピレン(ブロック又はランダム)グリコール、ポリエチレン−テトラメチレングリコール(ブロック又はランダム)、ポリテトラメチレングリコール、ポリ-2-メチルテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等が挙げられる。
【0014】
ポリエステルポリオールとしては、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、グルタル酸、アゼライン酸等)及び/又は芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、テレフタル酸等)と低分子グリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ジヒドロキシメチルシクロヘキサン等)とを縮重合させたもの、具体的にはポリエチレングリコールアジペート、ポリブタンジオールアジペート、ポリヘキサンジオールアジペート、ポリ-3-メチルペンタンジオールアジペート、ポリネオペンチルグリコールアジペート、ポリエチレン/ブチレンアジペートジオール、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペートジオール、ポリブチレンイソフタレートジオール等が挙げられる。
【0015】
ポリカーボネートポリオールとしては、ポリブタンジオールカーボネート、ポリ-3-メチルペンタンジオールカーボネート、ポリヘキサンジオールカーボネート、ポリノナンジオールカーボネート、ポリブタンジオールヘキサンジオールカーボネート等が挙げられる。
【0016】
ポリラクトンポリオールとしては、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール、ポリ-3-メチルバレロラクトンジオール等が挙げられる。
【0017】
ポリオレフィンポリオールとしては、ポリブタジエングリコール、ポリイソプレングリコールまたはその水素化物等が挙げられる。
【0018】
シリコーン系ポリオールとは、ポリシロキサン主鎖に水酸基を導入したものである。また、導入した水酸基は、ポリシロキサン主鎖の両末端、または片末端にあればよい。
【0019】
また、前記ポリオールの数平均分子量としては、得られるポリウレタン多孔質体に微細な連続気孔を形成させる観点から、好ましくは500〜5000、より好ましくは500〜4000、特に好ましくは500〜3000である。
【0020】
鎖長剤としては、通常のポリウレタンの製造に使用され、分子中にヒドロキシル基を2個以上有する化合物であれば特に限定されず、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチルペンタンジオール、ノナンジオール、オクタンジオール、ジメチロールヘプタン、グリセリン、トリメチロールプロパン、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0021】
鎖長剤の配合量は、良好な製品特性を有するポリウレタン多孔質体を得る観点から、上記ポリオール100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜7重量部、特に好ましくは1〜5重量部である。
【0022】
さらに、親水性鎖長剤としては、分子内にアニオン性親水基(カルボキシル基又はスルホン基)を1個以上有するポリヒドロキシ化合物等のアニオン性鎖長剤、エチレンオキサイド化合物等のノニオン性鎖長剤、N-メチルジエタノールアミン等のカチオン性鎖長剤が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を混合して用いることができる。こられの中でも、アニオン性鎖長剤が好ましく用いられ、具体的には、2,2-ジメチロール乳酸、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール酪酸、2,2-ジメチロール吉草酸、1,4-ブタンジオール-2-スルホン酸等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0023】
親水性鎖長剤の配合量は、用いるポリオール及び後述するイソシアネートの種類にもよるが、得られるウレタンプレポリマーの水分散性及び後述するゲル化特性を向上させる観点並びに微細な連続気孔を有するポリウレタン多孔質体を得る観点から、ウレタンプレポリマーを構成する全ての反応成分中、好ましくは0.1〜4重量%、より好ましくは1〜4重量%、特に好ましくは1〜3重量%である。すなわち、親水性鎖長剤の配合量が0.1重量%を下回ると、得られるウレタンプレポリマーの水分散性が極端に低下するおそれがある。他方、親水性鎖長剤の配合量が4重量%を上回ると、得られるウレタンプレポリマー水分散体のゲル化特性が損なわれるおそれがある。
【0024】
イソシアネートとしては、通常のポリウレタンの製造に使用され、末端にイソシアネート基を2つ以上有するものであれば特に限定されず、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、4, 4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-ジクロロ-4, 4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2, 2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2, 4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート及びその水素添加物;1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0025】
イソシアネートの配合量としては、得られるウレタンプレポリマーの末端がイソシアネート基を有する限り特に限定されず、前記ポリオール、鎖長剤及び親水性鎖長剤がそれぞれ有する活性水素基と定量的に反応するよう配合すればよい。
【0026】
ウレタンプレポリマーは、公知の方法で製造することができ、特に限定されないが、例えば、分子内に活性水素基を含まない有機溶剤の存在下、又は非存在下で、ポリオールと鎖長剤と親水性鎖長剤とイソシアネートとを、ワンショット法または多段法により、好ましくは20℃〜150℃、より好ましくは60〜120℃で、2〜10時間、反応させる方法等が挙げられる。ここで、各成分の添加順序は特に限定されない。また、反応終点は、粘度でモニターするのが好ましい。
【0027】
上記有機溶剤は、ウレタンプレポリマー製造時の粘度を下げる観点から用いられ、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、N-メチルピロリドン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N’-ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0028】
ウレタンプレポリマー水分散体は、上記ウレタンプレポリマーを水中に分散させたものであり、水に対するウレタンプレポリマーの配合割合は、得られるポリウレタン多孔質体の見かけ密度を制御する観点から、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは15〜40重量%である。
【0029】
ウレタンプレポリマー水分散体の製造方法としては、特に限定はなく、例えば、ウレタンプレポリマーと水とを、ディスパーミキサー、ホモミキサー、ホモジナイザー等の分散装置を用いて、混合、分散する方法等が挙げられる。
【0030】
ここで、親水性鎖長剤としてアニオン性鎖長剤を用いる場合、ウレタンプレポリマーの水分散性を向上させる観点から、あらかじめウレタンプレポリマーを構成する親水性鎖長剤のアニオン性親水基を中和させておいてもよい。かかる中和剤としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン等の低級アルキルアミン;アンモニア等の無機中和剤が挙げられる。これらの中でも、後述する水分除去工程により取り除きやすいという観点から、水より低い沸点を有するトリメチルアミン、トリエチルアミンが好ましく用いられる。
【0031】
中和剤の配合量としては、特に限定されないが、通常は、親水性鎖長剤のアニオン性親水基とほぼ同等量配合することが好ましい。
【0032】
さらに、ウレタンプレポリマーの水分散性を向上させる観点から、界面活性剤を適宜用いてもよい。使用しうる界面活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド付加物(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等)、高級アルコールプロピレンオキサイド付加物、高級アルコール(エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド)付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等)、アリールフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、脂肪酸ポリエチレングリコールエステル、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、長鎖アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリド、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル(ソルビタンエステル)、ソルビタンエステルエチレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等のノニオン界面活性剤;アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジアルキルエステル塩等のアニオン界面活性剤;第四級アルキルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を混合して用いることができる。こられの中でも、ウレタンプレポリマーの水分散性を向上させる観点及び後述する水洗工程を効率良く行う観点から、HLB値が6〜20のノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0033】
界面活性剤の配合量は、ウレタンプレポリマーに対し、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%、特に好ましくは2〜5重量%である。
【0034】
界面活性剤を配合する場合における、ウレタンプレポリマー水分散体の製造方法としては、例えば、1)界面活性剤を混合したウレタンプレポリマーと水を上記と同様にホモミキサー等の分散装置を用いて分散する方法、2)ウレタンプレポリマーと界面活性剤を含む水溶液を上記と同様にホモミキサー等の分散装置を用いて分散する方法等が挙げられる。
【0035】
上記ポリアミン化合物としては、ウレタンプレポリマー水分散体のイソシアネート基と反応し得る水素原子を分子中に2個以上有する(1分子中に1級及び/又は2級アミノ基を2個以上含有する)ものであれば特に限定されず、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1, 3-ジアミノペンタン、1, 5-ジアミノペンタン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1, 7-ジアミノヘプタン、1, 5-ジアミノ-2-メチルペンタン、3, 3’-ジアミノジプロピルアミン、3, 3’-メチルイミノビスプロピルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンジアミン、N,N’-ビスアミノプロピル-1, 3-プロピレンジアミン、N,N’-ビスアミノプロピル-1, 4-ブチレンジアミン、1, 2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン、1, 2-ビス(3-アミノプロポキシ)エタン、1, 4-ビス(3-アミノプロポキシ)ブタン、2-ヒドロキシルアミノプロピルアミン、ビス-(3-アミノプロピル)エーテル、1, 3-ビス-(3-アミノプロポキシ)-2, 2-ジメチルプロパン等の脂肪族ポリアミン;1, 4-ジアミノシクロヘキサン、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン等の脂環族ポリアミン;4, 4’-ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミン;ヒドラジンヒドラート等のヒドラジン類;ピペラジン、2-メチルピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、2-アミノメチルピペラジン、ホモピペラジン、4-アミノメチルピペリジン、(3R)-(+)-3-アミノピロリジン、(3S)-(-)-3-アミノピロリジン等のヘテロ環類等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0036】
また、ポリアミン化合物として、α,ω-ジアミノポリプロピレンオキサイド等のポリオキシアルキレンアミン類、トリメチロールプロパン又はグリセリンのプロピレンオキサイド付加物で末端アミノ基を有するポリアミン末端物等を使用することもでき、前者では分子量230〜2000のものが、後者では分子量480〜5000のものが好ましく用いられる。
【0037】
ポリアミン化合物の配合量としては、良好な製品特性を有するポリウレタン多孔質体を得る観点から、ウレタンプレポリマー水分散体の活性イソシアネート基(水分散前における理論値)とポリアミン化合物の活性水素基との当量比として、好ましくは0.1〜90%、より好ましくは1〜50%、特に好ましくは5〜30%である。
【0038】
ポリウレタン多孔質体の製造方法としては、例えば、上記で得られたウレタンプレポリマー水分散体とポリアミン化合物とを均一に混合し、被接触体と略同一形状を有する異型成形型、又は、予め内部に被接触体が載置された容器に、得られた混合物を流し込み、室温下、10時間以上静置した状態で架橋反応を進行させ、得られたゲル化物から水分を除去する方法が挙げられる。別の製造方法としては、所定の容器に、ウレタンプレポリマー水分散体とポリアミン化合物との混合物を流し込んで30秒程度静置した後、容器内の混合物に被接触体を差し込み、室温下、10時間以上静置した状態で架橋反応を進行させ、得られたゲル化物から水分を除去する方法等が挙げられる。
【0039】
異型成形型又は容器に流し込む際のウレタンプレポリマー水分散体とポリアミン化合物との混合物の粘度としては、異型成形型又は容器の内面形状に忠実に対応した形状を有する吸収体を得る観点から、6000(mPa・s/25℃)以下であることが好ましく、より好ましくは5〜4000(mPa・s/25℃)である。使用する異型成形型、容器の材質は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等が挙げられる。また、ポリウレタン多孔質体の成形に際し、離型性を向上させる観点から、適宜、シリコーン等の離型剤を異型成形型等に予め塗布しておいてもよい。
【0040】
なお、ポリウレタン多孔質体には、本発明の目的を損なわない範囲で、着色剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、pH調整剤等の添加剤が含まれていてもよく、これらを単独で又は2種以上を混合して添加することが可能である。
【0041】
また、親水性鎖長剤としてアニオン性鎖長剤が構成成分として含有されてなるウレタンプレポリマー水分散体中に中和剤が添加されている場合、得られるポリウレタン多孔質体の劣化を抑制する観点から、アニオン性鎖長剤のアニオン性親水基と反応し得る化合物を添加してウレタンプレポリマーを架橋させてもよい。かかる化合物としては、例えば、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、エポキシ系化合物、メラミン系化合物等が挙げられる。また、上記化合物を添加した場合、アニオン性親水基と塩を形成していた中和剤がアニオン性鎖長剤から解離するので、後述する水洗工程を効率良く行うことができる。
【0042】
上記のポリウレタン多孔質体の製造において、ウレタンプレポリマー水分散体中のウレタンプレポリマーの末端イソシアネート基は、周りに存在する水と反応してしまうため、ウレタンプレポリマーを水に分散後、通常は、48時間以内にポリアミン化合物と反応させることが好ましい。
【0043】
上記水分除去方法としては、室温下で自然乾燥させてもよいが、通常は水分除去時間を短縮するため、熱風乾燥機等を用いて70℃以上で乾燥させることが好ましい。なお、得られたゲル化物中に中和剤、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、pH調整剤等が含まれているときは、上記乾燥工程の前に、例えば、洗濯機等を用いてこれらの成分を水洗しておくことが好ましい。
【0044】
このようにして得られたポリウレタン多孔質体は、微細な連続気孔を有するとともに、優れた吸水性を備えるものである。
【0045】
次に、吸収体1の使用方法を説明する。自動検査装置において、結束された複数本のスポイド2,2,2‥から同時にサンプル管に試薬が投入されるが、試薬投入後、図1(a)に示すように、各スポイド2の先端部2aには試薬Lが残留する。このように各スポイド2の先端部2aに試薬Lが残留すると、分析装置内の湿度が上昇して測定結果に影響を与える恐れがあり、迅速に試薬Lを除去する必要があった。そこで、図1(b)に示すように、各スポイド2の下方から吸収体1の表面1aに設けられた各突起部3を嵌合し、スポイド2の先端部2aに付着した試薬Lを各突起部3から吸収体1に吸収させる。このように、吸収体1を用いることにより、簡便な操作で一気に複数本のスポイド2の先端部2aに付着した試薬Lを取り除くことができる。
【0046】
図2は、図1に示す吸収体1の別の実施形態を示す図である。本実施形態では、吸収体1の表面1aには、被接触体である自動検査装置の結束された複数本のスポイド2,2,2‥の先端部2aに同時に外嵌する凹部4,4,4‥が設けられている。隣り合う凹部4,4の間隔は、自動検査装置のスポイド2,2の先端部2aの間隔に応じて適宜設定される。本実施形態においても、各スポイド2の下方から吸収体1の表面1aに設けられた凹部4を嵌合するという簡便な操作で、一気に複数本のスポイド2の先端部2aに付着した試薬Lを取り除くことができる。また、スポイド2,2,2‥は結束されているので、隣接するスポイド2が障害となって先端部2aの外面に付着した試薬を取り除くことが困難であったが、このような吸収体1を用いることにより、簡便な操作で一気に結束された複数本のスポイド2の先端部2aの外面に付着した試薬も取り除くことができる。
【0047】
図3は、本発明の第2実施形態に係る吸収体5を示す断面図である。吸収体5の表面5aには、被接触体であるゴルフボール6の下半球部6aの反転形状とされ、下半球部6aに外嵌する半球状凹部7が複数個設けられている。ゴルフ場等において、大量のゴルフボールの表面に付着した雨水等を取り除きたい場合、このような吸収体5の複数個の半球状凹部7にゴルフボール6を嵌合することで、簡便かつ迅速に、ゴルフボール6の下半球部6aに付着した雨水等の液状物を取り除くことが可能である。また、半球状凹部7内において、ゴルフボール6を回転させることで、ゴルフボール6の上半球部に付着した雨水等の液状物を取り除くことが可能である。なお、吸収体5は、ゴルフボール6の保存用ケースとして用いることも可能である。
【0048】
図4(a)は、本発明の第3実施形態に係る吸収体8及び被接触体である剣山9を示す外観斜視図であり、図4(b)は、吸収体8の使用状態を示す断面図である。剣山9は、ベース9aと、ベース9aから上方に突出して設けられた複数本の針からなる針山9bとから形成される。そして、吸収体8の表面8aには、ベース9a及び針山9bの表面形状の反転形状とされ、ベース9a及び針山9bに嵌合する凹部10が設けられている。図示するように、針山9bはベース9a上に複数本の針が密集して形成されているので、剣山9に水等の液状物が付着した場合、特に、ベース9a上面及び針山9b表面に付着した液状物については、隣り合う針が障害となって取り除くことが困難であった。そこで、図4(b)に示すように、水等の液状物が付着した剣山9に吸収体8を嵌合させることで、簡便かつ迅速に、剣山9表面に付着した水を取り除くことが可能である。
【0049】
なお、本発明の吸収体は、被接触体に表面処理剤を塗布する塗布具として用いることもできる。表面処理剤としては、例えば、防錆剤、撥水剤、離型剤、滑剤、洗浄剤等の薬剤;酸性溶液、アルカリ性溶液、アルコール等の薬液;インク;塗料;ワックス等が挙げられる。塗布方法としては、予め、本発明の吸収体に、表面処理剤を含浸させておいてから、該吸収体を被接触体に嵌合させる方法等が挙げられる。このように、本発明の吸収体を用いることで、被接触体表面に細部が多数存在する場合や、被接触体が複数存在する場合であっても、簡便かつ迅速に、被接触体表面に表面処理剤を均一に塗布することが可能である。
【実施例】
【0050】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0051】
3口丸底フラスコに、ポリオールとしてポリカーボネートジオール〔旭化成株式会社製、商品名:T−4671、数平均分子量:1000〕、鎖長剤としてエチレングリコール、親水性鎖長剤として2,2-ジメチロールプロピオン酸及びイソシアネートとして1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートを表1に示す配合割合で加え、90℃で3時間攪拌し、ウレタンプレポリマーを得た。
【0052】
上記で得られたウレタンプレポリマーを80℃にして、中和剤としてトリエチルアミンを加えて2分間攪拌を行った。次いで、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤〔旭電化工業製、商品名:アデカトールTN−100、HLB:13.8、曇点:75℃〕を加えてさらに2分間攪拌を行った。
【0053】
次に、中和剤および界面活性剤を添加したウレタンプレポリマーを蒸留水に加え、ホモミキサーで5分間攪拌を行い、ウレタンプレポリマー水分散体を得た。
【0054】
上記で得られたウレタンプレポリマー水分散体に、ポリアミン化合物としてエチレンジアミンを含む水溶液を攪拌しながら加え、室温下で、10秒間攪拌機で混合を行った後、この混合物を、成形型(内部に剣山が載置されたポリエチレン製容器)に流し込み、室温で12時間静置して反応させた。次に、成形型から脱型した反応物を水洗し、80℃で乾燥を行い、図4に示すような、表面に剣山のベース及び針山の表面形状の反転形状とされた凹部が設けられた吸収体を得た。各成分の配合割合については表1に示す。また、成形型に流し込む際の混合物の粘度を、B型粘度計(BM形式)〔株式会社トキメック製〕にて測定した。この結果についても表1に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
表1に示すように、成形型に流し込む際のウレタンプレポリマー水分散体とポリアミン化合物との混合物の粘度は、100(mPa・s/25℃)と、優れた流動性を有していたので、上述したような複雑な形状を有する成形型であっても、成形型の内面形状に忠実に対応した形状を有する吸収体が得られた。
【0057】
実施例1及び実施例2で得られた吸収体の凹部に、水で濡れた剣山を嵌め込み、すぐに取り外した。すると、剣山のベース上面及び針山表面に付着した水が取り除かれていた。このことから、実施例1及び実施例2で得られた吸収体を用いることで、簡便かつ迅速に、剣山に付着した水を取り除くことが可能であるといえ、実施例1及び実施例2で得られた吸収体は優れた吸水性を有していることがわかった。また、これらの吸収体は、被接触体である剣山の濡れ具合にもよるが、50回程度の連続使用後においても優れた吸水性を有していた。なお、これらの吸収体は、乾燥させることにより再度使用可能であることはいうまでもない。
【0058】
また、実施例1及び実施例2で得られた吸収体を、デジタルマイクロスコープ〔株式会社キーエンス製、型番:VH−6300〕を用いて、倍率600倍で観察した。実施例1の観察写真を図5に示す。
【0059】
図5に示すように、実施例1で得られた吸収体は、微細な連続気孔を有していた。また、実施例2で得られた吸収体についても、実施例1と同様、微細な連続気孔を有していることが観察された。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】(a)は、本発明の第1実施形態に係る吸収体を示す断面図であり、(b)は、(a)に示す吸収体の使用状態を示す断面図である。
【図2】図1に示す吸収体の別の実施形態を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る吸収体を示す断面図である。
【図4】(a)は、本発明の第3実施形態に係る吸収体を示す外観斜視図であり、(b)は、(a)に示す吸収体の使用状態示す断面図である。
【図5】実施例1で得られた吸収体のマイクロスコープ写真(倍率:600倍)である。
【符号の説明】
【0061】
1 吸収体
2 スポイド
3 凸部
4 凹部
5 吸収体
6 ゴルフボール
7 半球状凹部
8 吸収体
9 剣山
10 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に、被接触体に嵌合する凹部及び/又は凸部が設けられ、
前記被接触体に嵌合されて、前記被接触体に付着した液状物を吸収する吸収体。
【請求項2】
複数個の前記被接触体を同時に嵌合する凹部及び/又は凸部が設けられた請求項1に記載の吸収体。
【請求項3】
ポリウレタン多孔質体からなる請求項1又は請求項2に記載の吸収体。
【請求項4】
前記ポリウレタン多孔質体が、ポリオール、鎖長剤、親水性鎖長剤及びイソシアネートを重合して得られた末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー水分散体とポリアミン化合物とを架橋反応させて得られたゲル化物から、水分を除去して得られるものであって、
親水性鎖長剤が、ウレタンプレポリマーを構成する全ての反応成分中、0.1〜4重量%含有されてなるものである請求項3に記載の吸収体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−255315(P2006−255315A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−80281(P2005−80281)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000222417)トーヨーポリマー株式会社 (9)
【Fターム(参考)】