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吸収性ポリマーの製造方法
説明

吸収性ポリマーの製造方法

【課題】生理用ナプキン等の吸収性物品に使用されるポリマーであって、血液に起因する赤みを水洗いにより容易に除去できる吸収性ポリマーの製造方法、及びその方法により得られる吸収性ポリマーを提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を含むモノマーを重合した後、架橋剤により架橋処理して、又は(メタ)アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を含むモノマーを、架橋剤の存在下で重合して、JISK7223に準拠した遠心保持量が5〜20g/gのポリマーを調製する工程であって、該モノマーに対する架橋剤の質量比〔架橋剤/モノマー〕が0.15/100〜40/100である工程1、及び得られたポリマーにアルカリ化合物及び/又は水を接触させて、該吸水性ポリマーの中和度が75モル%以上となるように中和処理を施す工程2を有する吸収性ポリマーの製造方法、並びにその製造方法により得られる吸収性ポリマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキン等の吸収性物品に使用される吸収性ポリマーの製造方法、及びその方法により得られる吸収性ポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品として、吸水性ポリマーが知られている。吸水性ポリマーとしては、ポリアクリル酸系ポリマー等のカルボキシ基及び/又はカルボキシレート基を有するポリマーが主に使用されており、その改良技術が種々提案されている。
ところで、インドネシア、マレーシア等を主な居住圏とするマレー民族に代表される一部の人々には、使用済みの生理用ナプキンを水で洗浄し、吸収した経血等を洗い流してから廃棄する習慣がある。従来、マレー民族居住圏で主に使用されてきた生理用ナプキンは、布製ナプキン(例えば、特許文献1〜3参照)や、パルプ繊維を主体とし吸水性ポリマーを含まない吸水性材料で構成されたナプキンであり、吸収した経血等を水洗いすることができるものであった。これに対し、吸水性ポリマーを含む生理用ナプキンは、経血中のヘモグロビン等の着色成分が吸水性ポリマーに強固に付着するため、使用後に水で洗浄しても経血を洗い流すことが困難であった。
【0003】
しかし、吸水性ポリマーを含まない生理用ナプキンは、経血等の吸収・保持性能が劣るため、吸収された体液が吸収性材料表面に滲み出すいわゆる液戻りを起こすおそれがある。そこで、吸水性ポリマーを含まない水洗い可能な生理用ナプキンでは、パルプ繊維を多量に使用することで吸収性能の不足を補っている。しかし、このような生理用ナプキンはパルプ繊維の嵩高さのために厚くなり、特に折り畳まれた包装体が嵩張り、持ち歩きに不便であると共に、装着感が悪いという問題があった。
現在のところ、生理用ナプキンの水洗いに関する改善策は提案されていない。しかし、ナプキンを洗浄する習慣がある人々は、マレー民族居住圏以外にも存在すると考えられ、吸水性ポリマーを含有し、薄くかつ水洗いが容易な生理用ナプキンは、広い地域で女性のライフスタイルに大きな影響を与える潜在性を秘めていると考えられる。
【0004】
【特許文献1】特開2001−353182号公報
【特許文献2】特開2004−337204号公報
【特許文献3】特開2006−288681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、生理用ナプキン等の吸収性物品に使用されるポリマーであって、血液に起因する赤みを水洗いにより容易に除去できる吸収性ポリマーの製造方法、及びその方法により得られる吸収性ポリマーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、アクリル酸系モノマーと架橋剤とを特定比率で用いて得られたポリマーの中和度を高め、遠心保持量(吸水量)を低くして、それぞれを特定の範囲に制御することにより、該ポリマーが吸収した経血等の血液に起因する赤みを水洗いにより容易に除去し、かつ吸収性能を維持し得ることを見出した。
即ち、本発明は、次の(1)及び(2)を提供する。
(1)下記の工程1及び2を有する吸収性ポリマーの製造方法。
工程1:(メタ)アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を含むモノマーを重合した後、架橋剤により架橋処理して、又は(メタ)アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を含むモノマーを、架橋剤の存在下で重合して、JIS K 7223に準拠した遠心保持量が5〜20g/gのポリマーを調製する工程であって、
該モノマーに対する架橋剤の質量比〔架橋剤/モノマー〕が0.15/100〜40/100である工程
工程2:工程1で得られたポリマーにアルカリ化合物及び/又は水を接触させて、該吸水性ポリマーの中和度が75モル%以上となるように中和処理を施す工程
(2)前記(1)の製造方法により得られる吸収性ポリマー。
【発明の効果】
【0007】
本発明の製造方法によれば、本発明の吸収性ポリマーを効率的に製造することができる。
また、本発明の製造方法により得られた吸収性ポリマーは、吸収した経血等の血液に起因する赤みを水洗いにより容易に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
<吸収性ポリマーの製造方法>
本発明の吸収性ポリマーの製造方法は、下記の工程1及び2を有する。
工程1:(メタ)アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を含むモノマーを重合した後、架橋剤により架橋処理して、又は(メタ)アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を含むモノマーを、架橋剤の存在下で重合して、JIS K 7223に準拠した遠心保持量が5〜20g/gのポリマーを調製する工程であって、
該モノマーに対する架橋剤の質量比〔架橋剤/モノマー〕が0.15/100〜40/100である工程
工程2:工程1で得られたポリマーにアルカリ化合物及び/又は水を接触させて、該吸水性ポリマーの中和度が75モル%以上となるように中和処理を施す工程
【0009】
(工程1)
工程1は、(メタ)アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を含むモノマーを重合した後、架橋剤により架橋処理して、又は(メタ)アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を含むモノマーを、架橋剤の存在下で重合してポリマーを調製する工程である。なお、(メタ)アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を含むモノマーを、架橋剤の存在下で重合して得られたポリマーは、更に架橋剤により架橋処理してもよい。
工程1は、(メタ)アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を含むモノマーと、架橋剤とを特定の質量比で用いて、特定の遠心保持量を有するポリマーを調製すること以外は、公知のポリアクリル酸系吸収性ポリマーの製造方法を利用して行うことができる。かかる製造方法としては、(i)特許第2721658号明細書に記載の陰イオン界面活性剤を分散剤として用いた逆相懸濁重合重合法、(ii)特開2003−235889号公報に記載の水溶液重合法等が挙げられる。
【0010】
工程1で調製する(メタ)アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を含むモノマーの重合体は、血液吸収性の制御、安全性、製造コスト等の観点から、(メタ)アクリル酸の単独重合体、その共重合体、又はそれらの架橋物である。
(メタ)アクリル酸の単独重合体としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸が挙げられ、(メタ)アクリル酸の共重合体としては、アクリル酸又はメタクリル酸に、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又はスチレンスルホン酸等のコモノマーを共重合せしめた共重合体、デンプン−アクリル酸グラフト共重合体等が挙げられる。該共重合体のコモノマー量は、血液吸収性能を低下させない範囲とすることが好ましい。
また、そのアルカリ金属塩としては、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸等のナトリウム塩が好ましい。
これらの中では、(メタ)アクリル酸又はそのアルカリ金属塩の単独重合体又は共重合体の架橋物、デンプン−アクリル酸グラフト共重合体架橋物が好ましく、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の単独重合体の架橋物がより好ましい。これらのポリマーは、アクリル酸単量体単位を通常50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上含み、水には実質的に不溶であるが、高度の膨潤性を有する重合体である。
【0011】
(架橋剤)
工程1で用いられる架橋剤としては、分子中に2個以上の重合性不飽和基、又は分子中に2個以上のカルボキシ基及び/又はカルボキシレート基と反応しうる反応性基を有する化合物であればよく、例えば、分子中に2以上の水酸基を有する化合物、2以上の重合可能な二重結合を有する化合物、2以上のエポキシ基を有する化合物等が挙げられる。
分子中に2以上の水酸基を有する化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジエタノールアミ ン、ポリオキシプロピレン、ソルビタン脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット、1,3−プロパンジオール、ソルビトール等が挙げられる。
分子中に2以上の重合可能な二重結合を有する化合物としては、ビス(メタ)アクリルアミド、アリル(メタ)アクリルアミド、ポリオールによる(メタ)アクリル酸のジ−又はポリエステル(例えばジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等)、C1−C10多価アルコールとヒドロキシル基につき2〜8個のC2−C4アルキレンオキシドとの反応から誘導される、ポリオールによる不飽和モノ−又はポリカルボン酸のジ−又はポリエステル(例えばエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート等)等が挙げられる。
【0012】
分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテルが挙げられる。
これらの中では、分子中に2以上の重合可能な二重結合を有する化合物、及び2以上のエポキシ基を有する化合物が好ましく、分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物がより好ましく、具体的にはエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルが特に好ましい。
【0013】
架橋剤の使用量は、血液吸収性能及び吸収した血液に起因する赤みの除去の観点から、〔架橋剤/モノマー〕の質量比で0.15/100〜40/100であり、0.2/100〜30/100が好ましく、0.3/100〜20/100がより好ましい。
【0014】
(遠心保持量)
工程1で得られるポリマーは、遠心保持量が5〜20g/gであり、好ましくは6〜18g/g、より好ましくは7〜15g/g、更に好ましくは8〜12g/gである。該遠心保持量を5g/g以上とすることで、吸収性能を向上させることができ、20g/g以下とすることで、血液に起因する赤みを水洗いによって容易に除去することができる。
吸収性ポリマーの遠心保持量の測定は、JIS K 7223(1996)(高吸水性樹脂の吸水量試験方法)に準拠して行い、具体的には実施例に記載の方法により測定し、下記式(1)により遠心保持量(g/g)を算出した。
遠心保持量(g/g)=(a'−b−c)/c (1)
式(1)中、a'は遠心脱水後の試料及びナイロン袋の総質量(g)を示し、bはナイロン袋の吸水前(乾燥時)の質量(g)を示し、cは試料の吸水前(乾燥時)の質量(g)を示す。遠心保持量の測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とする。
【0015】
遠心保持量は、その吸水量(吸水倍率)に関連する特性であり、一般に、遠心保持量が大きいほど吸水量が大きい。従って、吸収性ポリマーの吸収性能を高めるためには、遠心保持量を増大させることが有効であるといえる。特に、吸収性物品の厚みを薄く設計する場合には、多量の吸収性ポリマーを高坪量で吸収体中に配合する方法が有効であるが、逆に吸収性物品の水洗い時には、吸収性ポリマーが水を大量に吸収するため、該吸収性物品が膨張し、破裂するおそれがある。
そこで、本発明においては、吸収性ポリマーの吸水量を制御することで、水洗い中に吸収性ポリマーを含む吸収性物品が膨張して破裂することを防ぎ、吸収性物品のもみ洗いや絞り洗いの操作を容易にするように改善した。
【0016】
一方、本発明の目的である、吸収した血液に起因する赤みの除去の観点からは、吸収性ポリマーの遠心保持量の増大は望ましくない。即ち、吸収性ポリマーの遠心保持量が大きくなると、吸収した血液に起因する赤みが増してしまい、水洗いによって斯かる赤みを除去することが一層困難になる。また、吸収性ポリマーの膨潤によって、水洗いの際に機械的な力がかけにくくなる。そこで本発明においては、吸収性能と赤み除去とのバランスの観点から、吸収性ポリマーにおける橋架け密度(架橋密度)を通常の吸収性ポリマーよりも極端に高めて、中和度を高めたことによるイオンの浸透圧の上昇効果を相殺している。このことは、増田房義著「高吸収性ポリマー(高分子新素材One point 4、高分子学会編)」(共立出版株式会社、1987年出版)による以下の説明から理解しやすい。
「フローリィによれば、吸水力を付与する要因は、高分子電解質と水との親和力及び可動イオン濃度がゲルの内側のほうが高いために発生する浸透圧、吸水力抑制意思としての網目構造に基づくゴム弾性力で決定される。
5/3(吸水力)={(1/2×i/Vu×1/S1/22+(1/2−X1)/V1}×V0/ν={(イオンの浸透圧)+(高分子電解質の水との親和性)}/橋架け密度
i/Vu:網目に固定された電荷濃度 1/S1/2:外部溶液の電解質のイオン強度
(1/2−X1)/V1:網目と水の親和力 V0/ν:橋架け密度」
【0017】
(遠心保持量の調整)
遠心保持量の調整は、吸収性ポリマーの架橋度を調整すること等によって行うことができる。一般に、吸収性ポリマーの架橋度が大きくなる(架橋が進む)と、遠心保持量(吸水量)は小さくなる傾向がある。例えば、従来の方法によって製造された架橋処理済みの吸収性ポリマーに対して、再度架橋処理(後架橋処理)を施すことにより、遠心保持量を前記範囲に調整することが可能である。また、架橋処理の有無に関わらず、吸収性ポリマー全体の架橋度を高めることでも遠心保持量の調整は可能である。
本発明の吸収性ポリマーの架橋度は、通常の吸水性ポリマーの架橋度と比べても高いレベルにあるが、このような高架橋度を実現するためには、架橋剤量を増やしたり、反応温度を高めたり、又は反応時間を長く取る等の方法をとることが好ましい。
【0018】
工程1により得られるポリマーの中和度は、吸水特性と架橋剤の反応効率の観点から、好ましくは80モル%未満、より好ましくは50以上80モル%未満、更に好ましくは65〜75モル%である。
【0019】
(工程2)
工程2は、前記工程1で得られたポリマーにアルカリ化合物及び/又は水を接触させて、該ポリマーの中和度が75モル%以上となるように中和処理を施す工程である。中和処理は、中和剤としてアルカリ化合物を用いて行い、未中和のカルボキシ基の一部又は全部を更に中和する。
この中和処理においては、最終的に得られる吸収性ポリマーの中和度が75モル%以上となるように、中和剤の使用量等の処理条件を調整する。
工程2で行われる中和処理は、公知の中和処理と同様の手順で、水の存在下で行うことができる。その際の含水率は、工程1で得られたポリマーに対して、好ましくは100質量%以上であり、より好ましくは100〜600質量%であり、更に好ましくは120〜550質量%である。
なお、本明細書において、「質量」は、「乾燥時の質量」を意味する。
【0020】
工程2で用いられるアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水ガラス等の水溶性水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム等の水溶性炭酸化合物等が挙げられる。これらの中でも、特に炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等の水溶性炭酸化合物は、溶解して弱アルカリ性を示し、アルカリによる架橋の切断に伴う吸水量の増加を抑えることができるため好ましい。水酸化ナトリウムのような強アルカリ化合物を中和剤として用いる場合は、中和の際に(i)予めポリマーの含水率を高めておく、(ii)低濃度の水溶液を徐々に添加する、(iii)反応温度をなるべく低温で行う、等の条件を適宜選択することによって、吸水量を低く抑えながら中和を行うことができる。
【0021】
工程2における中和処理の方法としては、例えば、(i)ポリマーにアルカリ化合物水溶液を添加する方法、(ii)ポリマーと粉末状のアルカリ化合物とを混合し、更に水を添加する方法等が挙げられる。
また、反応槽の攪拌動力を抑えたり、攪拌効率を高めて反応をできるだけ均一に行わせるために、予め所定の含水率に調整したポリマーにアルカリ化合物水溶液を添加したり、粉末状のアルカリ化合物を添加してもよい。
予めポリマーを含水させておく場合は、ポリマー100質量部に対して、水を好ましくは30〜200質量部、より好ましくは50〜150質量部添加する。アルカリ化合物水溶液を添加する場合は、中和の均一性、架橋の耐加水分解性、得られる吸収性ポリマーの乾燥効率の観点から、アルカリ化合物水溶液中に含まれる水の総量を、ポリマー100質量部に対して好ましくは30質量部以上、より好ましくは50〜500質量部、更に好ましくは50〜300質量部とする。
【0022】
工程2における中和処理においては、攪拌効率を高める等の観点から、分散剤を併用することができる。分散剤としては、シュガーエステル等が挙げられる。分散剤の使用量は、工程1で得られたポリマー100質量部に対して、通常0.01〜5質量部である。
工程2の終了後、必要に応じて、得られた吸収性ポリマーを洗浄して分散剤を除去し、更に水を乾燥し除去することにより、目的とする本発明の吸収性ポリマーを得ることができる。得られた吸収性ポリマーは、必要に応じ粒径に応じて分級される。
【0023】
<吸収性ポリマー>
上記の製造方法により得られた本発明の吸収性ポリマーの中和度は75モル%以上であり、好ましくは75〜100モル%、より好ましくは80〜100モル%である。該吸収性ポリマーは、該中和度を75モル%以上とすることで、水洗いして血液に起因する赤みを良好に除去することができる。
吸収性ポリマーが経血等の血液を吸収した箇所は赤みを帯びるが、この赤みの主たる原因は血液中のヘモグロビンにある。中和度が75モル%以上の吸収性ポリマーとヘモグロビンとの間に起こる現象は定かではないが、該中和度を75モル%以上とすることで、アクリル酸重合体架橋物等からなる吸収性ポリマーの水洗い中において、吸収性ポリマーの分子鎖近傍のpHがヘモグロビンの等電点(電荷の総和がゼロになるpH値;通常pH6.8〜7)よりも高いことから、吸収性ポリマーとヘモグロビンとの間に電気的な反発が起こる結果、ヘモグロビンの付着率又は付着強度が低下して、ヘモグロビンが水洗いによって脱離しやすい状況になるものと推察される。
吸収性ポリマーの中和度は、実施例に記載の方法により測定される。
【0024】
(形状、平均粒径)
本発明の吸収性ポリマーの形状に特に制限はなく、粒子状、繊維状等として用いることができる。粒子状の吸収性ポリマーとしては、その形状の違いから、不定形タイプ、塊状タイプ、俵状タイプ、球状凝集タイプ、球状タイプ等が挙げられる。
本発明における吸収性ポリマーの平均粒径は、優れた通液性、吸水量、吸水速度を得る観点及び実使用の場面において、人体に触れた場合に不快感を与えない観点から、例えば、さらに分級すること等によって、好ましくは150〜550μm、より好ましくは200〜500μm、より好ましくは200〜450μm、更に好ましくは250〜420μmの範囲に調整される。平均粒径が前記範囲にあれば、洗浄性、通液性、吸水量、吸収速度に優れた吸収性ポリマーを得ることが容易になる。平均粒径が150μm以上の粒子とすることで、通液性が良好となり、吸収性ポリマーから汚れた洗浄液が排出され易くなる傾向にある。平均粒径が550μm以下の粒子とすることで、吸収性ポリマーの単位質量当たりの表面積が大きくなるため洗浄液との接触が多くなり、洗浄し易くなる傾向にある。
【0025】
(DW法による生理食塩水の吸水速度)
本発明の吸収性ポリマーはDW法(Demand Wettability法)による生理食塩水の吸水速度が2.0ml/分以上であることが好ましく、3.0ml/分以上がより好ましい。
DW法は吸水速度の測定法として汎用されている方法で、具体的には実施例に記載の方法により測定される。
本発明の吸収性ポリマーは、上記のように比較的吸水速度が速いため、例えば、ナプキンに用いた場合、経血が素早く吸収され漏れにくい。これにより、遠心保持量を低く制御しても吸収性能を維持することができる。
該吸水速度の調整は、例えば、吸収性ポリマーの粒子径、架橋度等の調整(後架橋処理)、形状制御、各種界面活性剤や多価アルコールや親水性粉体等による表面処理等によって行うことができる。
【0026】
(2.0kPaでの加圧下における生理食塩水の通液速度)
本発明の吸収性ポリマーは、生理用ナプキン等の吸収性物品に使用する際の吸収性能等の観点から、2.0kPaでの加圧下における生理食塩水の通液速度が、好ましくは150ml/分以上である。
2.0kPaでの加圧下における生理食塩水の通液速度は、特開2003−235889号公報の段落〔0008〕、〔0009〕及び図1、2に記載されている測定方法・装置を利用して測定できる。具体的には、2.0kPaでの加圧下における生理食塩水の通液速度とは、膨潤した吸収性ポリマーを含む生理食塩水を、内径25.4mmの濾過円筒管に入れ、吸収性ポリマーに2.0kPaの荷重が加わるようにおもりを載せて通液したときの、生理食塩水20mlが該濾過円筒管を通過する際の通液速度(ml/分)であり、下記式(2)で表される。
通液速度(ml/分)=20×60/(T1−T0) (2)
式(2)中、T1(秒)は、濾過円筒管内に吸収性ポリマーを入れた状態で、生理食塩水20mlが通過するのに要する時間を示し、T0(秒)は、濾過円筒管内に吸収性ポリマーを入れない状態で、生理食塩水20mlが通過するのに要する時間を示す。
測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とした。
該通液速度の測定は、より具体的には、実施例に記載の方法により行われる。
【0027】
2.0kPaでの加圧下における生理食塩水の通液速度は、より好ましくは200〜2000ml/分、更に好ましくは250〜1500ml/分である。該通液速度を150ml/分以上であれば、ゲルブロッキング発生が起こり難くなると共に、吸収性ポリマーから汚れた洗浄液が排出され易くなる。また、血液の繰り返しの排出や、一度に多量の血液の排出が起こったときにも、吸収性ポリマーへの液の浸透性が良好となり、肌への付着ないしは液漏れが起こり難くなる。さらに、該通液速度が前記範囲内にあると、吸収性ポリマーの吸収性能全般の向上が期待でき、尿又は軟便についても、血液に対するものと同様の効果が期待できる。
該通液速度が大きいほどゲルブロッキングの発生防止の観点で好ましいが、2000ml/分以下であれば、パルプ等の親水性繊維が少ない薄型の吸収体においては、該吸収体内で液が十分固定され、該吸収体端部からのもれを効果的に抑制できる。また、立位状態での股下部やうつぶせ寝における腹部側や、あお向け寝における背中側等、液の流れやすい部分で吸収性物品表面に液溜りが生じることを効果的に抑制できる。該通液速度が2000ml/分を超える場合であっても、パルプ等と併用することにより吸収体として必要な性能を確保することはできる。
ここで、薄型の吸収体とは、パルプ坪量で概ね300g/m2以下、好ましくは250g/m2以下、より好ましくは200g/m2以下の吸収体、又は無荷重下における厚みが4mm未満の吸収体を意味する。
【0028】
本発明の吸収性ポリマーは、簡単な水洗いによって経血等の血液による赤みを除去することが可能である。赤み除去の程度は、L***表色系(ここで、L*は明度、a*は赤−緑方向の色度、b*は黄−青方向の色度を示す。)のa*値を測定することにより、評価することができる。具体的には、実施例に記載の方法により測定される。
*値は、吸収性ポリマーの被水洗能の優劣を評価する尺度となるものであり、a*値が小さいほど、赤色部分の赤色の度合いが低く、血液が水洗浄によってきれいに洗い流されていることを意味する。吸収性ポリマーのa*値は、好ましくは40以下、より好ましくは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは5以下である。
【実施例】
【0029】
実施例及び比較例で得られた吸収性ポリマー粒子の遠心保持量、中和度、pH、DW法による吸水速度、加圧下における通液速度、平均粒径、及び赤色度合いa*値の測定は、下記の方法で行った。なお、測定に際しては、事前に試料を23±2℃、湿度50±5%で24時間以上保存した上で、特記しない限り同じ環境で測定した。
【0030】
(1)遠心保持量(g/g)の測定
ナイロン製の織布(メッシュ開き255、株式会社三力製作所販売、品名:ナイロン網、規格:250×メッシュ巾×30m)を幅10cm、長さ40cmの長方形に切断して長手方向中央で二つ折りにし、両端をヒートシールして幅10cm(内寸9cm)、長さ20cmのナイロン袋を作製する。吸収性ポリマー1.00gを精秤し、作製したナイロン袋の底部に均一になるように入れ、このナイロン袋を、25℃に調温した生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水)に浸漬させる。浸漬開始から30分後にこのナイロン袋を生理食塩水から取り出し、1時間垂直状態に吊るして水切りした後、遠心脱水器(コクサン株式会社製、型式H−130C特型)を用いて脱水する。脱水条件は、143G(800rpm)で10分間とする。脱水後、試料の質量を測定し、前記式(1)により遠心保持量(g/g)を算出した。
【0031】
(2)中和度(モル%)及びpHの測定
吸収性ポリマーのイオン交換水溶液に対して、水酸化ナトリウム溶液を適宜滴下し、pHメーター(株式会社堀場製作所製、pHイオンメーターD53、電極型式6583)を用いて該溶液のpHを測定した。この時、吸収性ポリマー中のカルボキシ基のモル数と添加した水酸化ナトリウムのモル数とから中和度を算出し、横軸に中和度、縦軸にpHをプロットし、中和滴定曲線を描いた。
次に、吸収性ポリマー0.1gをイオン交換水20ml中に投入し、10分攪拌後にこの攪拌した溶媒のpHを測定し、得られたpHの値から、上記中和滴定曲線を用いて目的とする中和度を算出した。
【0032】
(3)DW法による生理食塩水の吸水速度(ml/分)の測定
DW法を実施する装置として一般的に知られている装置(Demand Wettability Tester)を用いて測定した。該装置において生理食塩水の液面をポリマー散布台〔70mmφ、No.2濾紙をガラスフィルターNo.1上に置いた台〕の表面と等水位にセットし、ポリマー散布台の表面上に測定対象の吸収性ポリマーを0.3g散布する。吸収性ポリマーを散布した時点の吸水量を0とし、60秒後の吸水量を測定する。この吸水量は、生理食塩水の水位の低下量を示すビュレットの目盛りで測定し、この値をDW法による吸水速度(ml/分・0.3g)とした。
【0033】
(4)2.0kPaでの加圧下における生理食塩水の通液速度(ml/分)の測定
100mLのガラスビーカーに、吸収性ポリマー0.32±0.005gを膨潤するに十分な量の生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水、例えば吸収性ポリマーの飽和吸収量の5倍以上の生理食塩水)に浸して30分間放置する。別途、垂直に立てた円筒(内径25.4mm)の開口部の下端に、金網(目開き150μm、株式会社三商販売のバイオカラム焼結ステンレスフィルター30SUS)と、コック(内径2mm)付き細管(内径4mm、長さ8cm)とが備えられた濾過円筒管を用意し、コックを閉鎖した状態で該円筒管内に、膨潤した吸収性ポリマーを含む上記ビーカーの内容物全てを投入する。
次いで、目開きが150μmで直径25mmの金網を先端に備えた直径2mmの円柱棒を濾過円筒管内に挿入して、該金網と吸収性ポリマーとが接するようにし、更に吸収性ポリマーに2.0kPaの荷重が加わるようにおもりを載せる。この状態で1分間放置した後、コックを開いて液を流し、濾過円筒管内の液面が60mLの目盛り線から40mLの目盛り線に達する(20mLの液が通過する)までの時間(T1)(秒)を計測し、前記式(2)により2.0kPaでの加圧下における通液速度を算出した。
【0034】
(5)平均粒径の測定
吸収性ポリマー粒子100gをJIS Z−8801−1982準拠のフルイを用いて分級し、各フラクションの質量分率より平均粒径を求めた。
(6)赤色度合いa*値の測定
(i)下記手順1〜3に従って、血液が注入された後水洗いされた吸収性ポリマーにおける、赤色に染まった部分の赤色度合いa*値を測定した。測定は、日本分光株式会社製の簡易型分光色差計「NF333」(ペン型検出器)を用いて、外光が入らないように、測定サンプルと分光色差計とを隙間なく密接させて行った。
手順1:0.24gの吸収性ポリマーを5cm四方のナイロン袋に入れ、血液10gを注入し、25℃、湿度60%の環境下で30分間放置後、水温25℃、硬度12°DHの水800gが入った1Lビーカーに投入し、3分間洗浄する。この際、血液によって洗浄水が汚れるため、15秒、15秒、30秒、1分、1分の間隔で洗浄水を交換する。
手順2:洗浄後の吸収性ポリマーにおける、血液によって赤色に染まった部分の最も赤みの強い点5箇所について、分光色差計を用いて赤色度合いa*値を測定する。
手順3:得られた5つの測定値から最大値及び最小値を除いた3つの測定値の平均を、吸収性ポリマーの赤色度合いa*値とする。
(ii)使用する血液は、株式会社日本バイオテスト研究所製の馬脱繊維血液である。この馬脱繊維血液の粘性は、東機産業株式会社製の(B型)粘度計TVB−10Mによる測定(測定温度25℃、ロータ Lアダプタ)で、15mPa・S未満である。
吸収性ポリマーの洗浄に用いる水は、電気伝導度1μS/cm以下のイオン交換水に塩化カルシウムと塩化マグネシウムを溶解することにより調製される水で、カルシウムイオンとマグネシウムイオンとの含有比(カルシウムイオン:マグネシウムイオン)が7:3で、かつドイツ硬度が12°DHの水である。この水は、使用済みの生理用ナプキンを水洗する習慣がある国の一つであるインドネシアの生活用水と略同じである。
【0035】
実施例1
(1)ポリマーの合成
攪拌機、還流冷却管、モノマー滴下口、窒素ガス導入管、温度計を取り付けたSUS304製5L反応容器(アンカー翼使用)に分散剤としてポリオキシアルキレンエーテルリン酸エステル0.1%(対アクリル酸質量、有効成分量)を仕込み、n−ヘプタン1500mLを加えた。窒素ガスの雰囲気下、300r/minで攪拌を行いながら90℃まで昇温した。
一方、2L三つ口フラスコ中に、80%アクリル酸とイオン交換水、48%苛性ソーダ水溶液から、モノマー水溶液としてアクリル酸ナトリウム(72%中和品、濃度47%)1000gを得た。このモノマー水溶液に、N−アシル化グルタミン酸ソーダ(味の素株式会社製、商品名:アミソフトPS−11)0.25gをイオン交換水4.0gに溶解させたものを添加した後、500g(以下、モノマー水溶液Aという)、500g(以下、モノマー水溶液Bという)、に二分割した。
次いで、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(和光純薬工業株式会社製、重合開始剤、商品名:V−50)0.05g、ポリエチレングリコール(花王株式会社製、商品名:K−PEG6000 LA)0.5g、イオン交換水10gを混合溶解し、開始剤(A)溶液を調製した。また、過硫酸ナトリウム0.6gをイオン交換水10gに溶解し、開始剤(B)溶液を調製した。
モノマー水溶液Aに、開始剤(A)溶液を加えてモノマーA溶液を調製し、モノマー水溶液Bに、開始剤(B)溶液を加えてモノマーB溶液を調製した。
前記の5L反応容器内に、モノマー溶液滴下口からマイクロチューブポンプを用いて、5分以上静置したモノマーA、Bの各溶液を順で滴下し重合した。モノマー溶液滴下終了後、脱水管を用いて共沸脱水を行い、ポリマー(ハイドロゲル)の含水率を70質量%に調整した後、架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製、商品名:デナコールEX−810、エポキシ当量113)1000mg/kg(対モノマー中のアクリル酸)をイオン交換水10gに溶解したものを添加した。その後、含水率を35質量%まで脱水し冷却後、n−ヘプタンを除去・乾燥させることによりポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム塩の架橋物)(中和度72%,粒径270μm,保持量27g/g)を得た。
(2)ポリマーの架橋処理
上記と同様の反応容器(アンカー翼使用)に、合成1で得られたポリマー500gを仕込み、分散剤としてショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ株式会社製、商品名:リョートーシュガーエステルS−770)2%(対ポリマー質量、有効成分量)を仕込み、ノルマルヘプタン1600mLを加えた。窒素雰囲気下、攪拌しながら、90℃まで昇温した。その後、滴下口から滴下ロートを用いて、イオン交換水300gを滴下し、続いて、イオン交換水10gに、前記架橋剤(商品名:デナコールEX−810)15g(モノマー(アクリル酸)質量に対して、3.7%)を溶解したものを添加した。1.5時間還流させた後、ノルマルヘプタンを除去乾燥させることにより、架橋処理されたポリマーを得た。
(3)ポリマーの中和処理
上記と同様の反応容器(アンカー翼使用)に、上記(2)で得られた架橋処理されたポリマー200gを仕込んだ。その後、滴下口から滴下ロートを用いて、イオン交換水600gに分散剤として前記ショ糖脂肪酸エステル(商品名:S−770)2%(対ポリマー質量、有効成分量)、中和剤として炭酸水素ナトリウムを25g溶解したものを添加した。続いて、さらにイオン交換水400gを添加し、1時間攪拌後、イオン交換水を除去乾燥させることにより、中和処理された吸収性ポリマー(中和度85モル%)を得た。結果を表1に示す。
【0036】
実施例2
実施例1において、ポリマーの中和処理に用いた中和剤を15.3gとした以外は、実施例1と同様な方法を用いて、吸収性ポリマーを得た。結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、ポリマーの中和処理に用いた中和剤を34.4gとした以外は、実施例1と同様な方法を用いて、吸収性ポリマーを得た。結果を表1に示す。
実施例4
実施例1において、ポリマーの中和処理に用いた中和剤を53.5gとした以外は、実施例1と同様な方法を用いて、吸収性ポリマーを得た。結果を表1に示す。
実施例5
実施例1において、ポリマーの架橋処理に用いた架橋剤を0.75g(モノマー(アクリル酸)質量に対して、0.18%)とした以外は、実施例1と同様な方法を用いて、吸収性ポリマーを得た。結果を表1に示す。
【0037】
実施例6
実施例1(1)で用いたものと同様の反応容器(アンカー翼使用)に、ノルマルヘプタン800mLと、実施例1(1)で得られた架橋処理される前のポリマー200gを仕込み、窒素ガスの雰囲気下に攪拌を行いながら90℃まで昇温した。その後、滴下口から滴下ロートを用いて、イオン交換水120gに、前記架橋剤(商品名:デナコールEX−810)2g(モノマー(アクリル酸)質量に対して、1.2%)を溶解したものを添加した。2時間還流させた後、さらに滴下口から滴下ロートを用いて、イオン交換水250gに30%苛性ソーダ水溶液40g溶解したものを添加した後、イオン交換水を除去乾燥させることにより、中和処理された吸収性ポリマーを得た。結果を表1に示す。
【0038】
実施例7
実施例6において、架橋剤を6g、中和に用いたイオン交換水を12gとした以外は、実施例6と同様な方法を用いて、吸収性ポリマーを得た。結果を表1に示す。
実施例8
実施例6において、架橋剤を5g、中和に用いたイオン交換水を92gとした以外は、実施例6と同様な方法を用いて、吸収性ポリマーを得た。結果を表1に示す。
実施例9
実施例6において、架橋剤を5g(モノマー(アクリル酸)質量に対して、3.1%)、中和に用いたイオン交換水を250gとした以外は、実施例6と同様な方法を用いて、吸収性ポリマーを得た。結果を表1に示す。
【0039】
実施例10
シグマ型攪拌翼を2本有する内容量1Lのジャケット付きニーダーに蓋を付けた反応器内に、上記ニーダーのジャケットを80℃に昇温し、上記ニーダーのブレードを攪拌しながら、実施例1(1)で得られた架橋処理される前のポリマー200gを仕込み、イオン交換水100gに前記架橋剤(商品名:デナコールEX−810)3g(モノマー(アクリル酸)質量に対して、1.8%)を溶解したものを噴霧した。2時間熟成した後、さらに、イオン交換水170gに30%苛性ソーダ水溶液40g溶解したものを添加した後、イオン交換水を除去乾燥させることにより、中和処理された吸収性ポリマーを得た。結果を表1に示す。
【0040】
実施例11
実施例1(1)で用いたものと同様の反応容器(ファウドラ翼使用)に、前記ショ糖脂肪酸エステル(商品名:リョートーシュガーエステルS−770)2%(対ポリマー質量、有効成分量)を仕込み、シクロヘキサン2000mlを加えた。窒素雰囲気下、攪拌しながら、73℃まで昇温した。
一方、2L三つ口フラスコ中に、80%アクリル酸とイオン交換水、48%苛性ソーダ水溶液から、モノマー水溶液としてのアクリル酸ナトリウム(72%中和品、濃度47%)1000gを得た。このモノマー水溶液に、過硫酸ナトリウム1.1g、前記架橋剤(商品名:デナコールEX−810)15g(モノマー(アクリル酸)質量に対して、3.4%)を溶解した。
前記の5L反応容器内に、モノマー溶液滴下口からマイクロチューブポンプを用いて、5分以上静置したモノマー溶液を滴下し重合した。1時間熟成の後、さらに滴下口から滴下ロートを用いて、イオン交換水625gに30%苛性ソーダ水溶液74g溶解したものを添加した。その後、含水率を35質量%まで脱水し冷却後、シクロヘキサンを除去・乾燥させることにより、中和処理された吸収性ポリマーを得た。結果を表1に示す。
【0041】
実施例12
実施例1(1)で用いたものと同様の反応容器(ファウドラ翼使用)に、前記ショ糖脂肪酸エステル(商品名:リョートーシュガーエステルS−770)2%(ポリマー質量、有効成分量)を仕込み、シクロヘキサン2000mlを加えた。窒素雰囲気下、攪拌しながら、73℃まで昇温した。
一方、2L三つ口フラスコ中に、80%アクリル酸とイオン交換水、48%苛性ソーダ水溶液から、モノマー水溶液としてのアクリル酸ナトリウム(75%中和品、濃度47%)1000gを得た。このモノマー水溶液に、過硫酸ナトリウム1.1gを溶解した。
前記の5L反応容器内に、モノマー溶液滴下口からマイクロチューブポンプを用いて、5分以上静置したモノマー溶液を滴下し重合した。モノマー溶液滴下終了後、脱水管を用いて共沸脱水を行い、ポリマー(ハイドロゲル)の含水率を70質量%に調整した。この段階でサンプリングして乾燥することにより得られたポリマーの遠心保持量は42g/gであった。
その後、前記架橋剤(商品名:デナコールEX−810)14.1g(モノマー(アクリル酸)質量に対して、3.2%)をイオン交換水10gに溶解したものを添加した。2時間還流させた後、さらに滴下口から滴下ロートを用いて、イオン交換水600gに30%苛性ソーダ水溶液74g溶解したものを添加した。その後、含水率を35質量%まで脱水し冷却後、シクロヘキサンを除去・乾燥させることにより、中和処理された吸収性ポリマーを得た。結果を表1に示す。
【0042】
実施例13
シグマ型攪拌翼を2本有する内容量1Lのジャケット付きニーダーに蓋を付けた反応器内に、上記ニーダーのブレードを攪拌しながら、ポリアクリル酸(和光純薬工業株式会社製、平均分子量約25万)209g、水酸化ナトリウム72g(対ポリアクリル酸0.65モル%)、前記架橋剤(商品名:デナコールEX−810)25g(モノマー(アクリル酸)質量に対して、12%)、溶媒として脱イオン水692gを仕込み、ジャケットを80℃に昇温し、反応を開始した。反応開始2時間後、含水ゲル架橋体を得た。その後、乾燥・粉砕・分級工程を経て、ポリマーを得た。ここで得られたポリマーの遠心保持量は36g/gであった。
上記ニーダーのジャケットを80℃に昇温し、上記ニーダーのブレードを攪拌しながら、上記で得られたポリマー200gを仕込み、イオン交換水100gに前記架橋剤3.5g(モノマー(アクリル酸)質量に対して、2.0%)を溶解したものを噴霧した。2時間熟成した後、さらに、イオン交換水155gに30%苛性ソーダ水溶液66g溶解したものを添加した後、イオン交換水を除去乾燥させることにより、中和処理された吸収性ポリマーを得た。結果を表1に示す。
【0043】
実施例14
(1)ポリマーの合成
撹拌機、還流冷却管、モノマー滴下口、窒素ガス導入管,温度計を取り付けたSUS304製5L反応容器(アンカー翼使用)に、分散剤として花王株式会社製、エマール20C(ポリオキシエチレン(EO平均付加モル数3)アルキル(C12))エーテル硫酸エステルNa)を0.1%[対アクリル酸重量]を仕込み、重合溶媒シクロヘキサン1600mLを加えた。窒素気流下、300r/minで撹拌し、内温76℃まで昇温した。
一方、2L三つ口フラスコ中に、80%アクリル酸とイオン交換水を仕込み、氷冷しながら48%苛性ソーダ水溶液を滴下し、モノマー水溶液としてアクリル酸ナトリウム(72%中和品、濃度47%)水溶液1054gを得た。このモノマー水溶液に、前記N−アシル化グルタミン酸ソーダ(商品名:アミソフトGS−11F)0.18gをイオン交換水6gに溶解させたものを添加し、暫く撹拌した後、530g、530gに二分割した。
次いで、前記重合開始剤(商品名:V−50)0.12g、イオン交換水10gを混合溶解し、開始剤(A)水溶液を調製した。また、製過硫酸ナトリウム0.50gをイオン交換水10gに溶解し、開始剤(B)水溶液を調製した。
二分割したモノマー水溶液の1つに、開始剤(A)水溶液10.1gを加えた(モノマー(1))。また、二分割したもう1つのモノマー水溶液に、開始剤(B)水溶液10.5gを加えた(モノマー(2))。
前述の5L反応容器の内温が77℃であることを確認した後、モノマー滴下口からマイクロチューブポンプを用いて、モノマー(1)を30分かけて滴下し重合した。引き続き、モノマー(2)を30分かけて滴下し重合した。重合終了後、脱水管を用いて共沸脱水を行い、ポリマー粒子(ハイドロゲル)の含水量を重合体粒子100部に対して70部に調整した。その後、前記架橋剤(商品名:デナコールEX−810)400mg/kg(対モノマー中のアクリル酸)を水10.0gに溶解したものを添加した。その後、更に共沸脱水を行い、重合体粒子の含水量を重合体粒子100部に対して35部に調整した。冷却後、シクロヘキサンをデカンテーションで除き、100℃、約6.7kPa、14時間の条件で乾燥させることによりポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム塩の架橋物)(中和度72%,粒径400μm,保持量40g/g)を得た。
(2)ポリマーの架橋処理と中和処理
上記と同様の反応容器(アンカー翼使用)に、合成2で得られたポリマー200gを仕込み、ノルマルヘプタン800mLを加え、窒素雰囲気下、攪拌しながら90℃まで昇温した。前記架橋剤8g(モノマー(アクリル酸)質量に対して、4.9%)をイオン交換水120gに溶解し、30分かけて添加した後、2時間還流させた。
引き続き、4.1%水酸化ナトリウム水溶液292gを30分かけて添加し、2時間かけて330g脱水した。溶媒除去後、130℃、約6.7kPa、14時間の条件で乾燥させることにより、架橋・中和処理された吸収性ポリマー(中和度85モル%)を得た。結果を表1に示す。
【0044】
比較例1
実施例1(1)で得られたポリマーの評価結果を表1に示す。
比較例2
実施例1(2)で得られた架橋処理されたポリマーの評価結果を表1に示す。
比較例3
実施例1において、実施例1(1)で得られたポリマーに(2)の架橋処理を行わずに(3)の中和処理を行って得られた吸収性ポリマーの評価結果を表1に示す。
比較例4
市販の吸水性樹脂(株式会社日本触媒製、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物、商品名:アクアリックCA−W4)について、吸水量、pH、赤色度合いa*値を測定した結果を表1に示す。赤色度合いa*値は高すぎたため測定不能であった。
【0045】
【表1】

【0046】
表1の結果から、実施例1〜14で得られた吸収性ポリマーは、吸収した血液に起因する赤みを水洗いにより容易に除去でき、吸収性能と赤み除去とのバランスが優れていることが分かる。
これに対して、比較例1で得られた吸収性ポリマーは、遠心保持量が大きすぎ、中和度が小さいため赤み除去が不十分となり、比較例2で得られた吸収性ポリマーは、中和度が小さいため赤み除去が不十分となり、比較例3で得られた吸収性ポリマーは、遠心保持量が大きすぎるため赤み除去が不十分となった。また、比較例4の市販の吸水性樹脂は、遠心保持量が大きすぎ、中和度が小さいため、血液を洗い流すことが困難であった。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の吸収性ポリマーは、吸収した経血等の血液に起因する赤みを水洗いにより容易に除去できる。このため、本発明の吸収性ポリマーは、使用後に水洗いして廃棄する生理用ナプキン等の吸収性物品に好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程1及び2を有する吸収性ポリマーの製造方法。
工程1:(メタ)アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を含むモノマーを重合した後、架橋剤により架橋処理して、又は(メタ)アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩を含むモノマーを、架橋剤の存在下で重合して、JIS K 7223に準拠した遠心保持量が5〜20g/gのポリマーを調製する工程であって、
該モノマーに対する架橋剤の質量比〔架橋剤/モノマー〕が0.15/100〜40/100である工程
工程2:工程1で得られたポリマーにアルカリ化合物及び/又は水を接触させて、該吸水性ポリマーの中和度が75モル%以上となるように中和処理を施す工程
【請求項2】
前記アルカリ化合物が水溶性の水酸化物及び/又は水溶性の炭酸化合物である、請求項1に記載の吸収性ポリマーの製造方法。
【請求項3】
工程2の中和処理において、含水率を100質量%以上にする、請求項1又は2に記載の吸収性ポリマーの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により得られる、吸収性ポリマー。
【請求項5】
平均粒径が150〜550μmである、請求項4に記載の吸収性ポリマー。
【請求項6】
DW法による生理食塩水の吸水速度が2ml/分以上である、請求項4又は5に記載の吸収性ポリマー。
【請求項7】
膨潤させた吸収性ポリマーを含む生理食塩水を、内径25.4mmの濾過円筒管に入れたときの、2.0kPaでの加圧下における生理食塩水の通液速度が150ml/分以上である、請求項4〜6のいずれかに記載の吸収性ポリマー。

【公開番号】特開2010−126552(P2010−126552A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299496(P2008−299496)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】