説明

吸収性樹脂粒子及びこの製造方法

【課題】表面シートや吸収層の素材や構造を変更することなく、吸収体の柔軟性を向上させる吸収性樹脂粒子を提供する。
【解決手段】水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、内部架橋剤(a3)並びに表面架橋剤(a4)を必須構成単位としてなる架橋重合体(A)と、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体である非イオン界面活性剤(B)とを含んでなる吸収性樹脂粒子であって、吸収性樹脂粒子の表面に(B)が存在してなり、表面に存在する(B)の量が(A)の重量を基準として0.01〜1重量%である吸収性樹脂粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤を含有する吸収性樹脂粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
紙おむつ等に使用される吸収体は、通常、綿状パルプと吸収性樹脂粒子の積層体及び不織布等を組み合わせたものである。ただ近年では使用上の快適さ、携帯の容易さ等の要望から、吸収体の薄型化、軽量化に向けて綿状パルプの使用量の低減が進められている。ただしこれは同時に吸収体の柔軟性を損なうため、吸収体の素材や構造の改良による柔軟性向上の検討が行われている。
【0003】
従来、吸収性樹脂粒子を含む吸収体の柔軟性の向上に関して、吸収層において高密度繊維層と低密度繊維層とが交互に積層された繊維層積層体からなるクッション層を配したものや(特許文献1)、表面シートにおいて、一方向に伸びる畝部と溝部を交互に配し、畝部の繊維量を実質的に多くした不織布を使用したものが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−229033号公報
【特許文献2】特開2010−106430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法では素材や工程の変更に伴う高コスト化といった欠点があった。そこで本発明は、表面シートや吸収層の素材や構造を変更することなく、吸収体の柔軟性を向上させる吸収性樹脂粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、内部架橋剤(a3)並びに表面架橋剤(a4)を必須構成単位としてなる架橋重合体(A)と、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体である非イオン界面活性剤(B)とを含んでなる吸収性樹脂粒子であって、吸収性樹脂粒子の表面に(B)が存在してなり、表面に存在する(B)の量が(A)の重量を基準として0.01〜1重量%である吸収性樹脂粒子である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吸収性樹脂粒子は、これを含む吸収体の柔軟性を向上させる効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の吸収性樹脂粒子は、架橋重合体(A)と非イオン界面活性剤(B)とを含んでなる吸収性樹脂粒子である。架橋重合体(A)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、内部架橋剤(a3)並びに表面架橋剤(a4)を必須構成単位としてなる。
【0009】
<架橋重合体(A)>
水溶性ビニルモノマー(a1)とは、25℃の水100gに少なくとも100g溶解する性質(溶解度)を持つビニルモノマーを意味する。
なお、溶解度は、「改訂3版 化学便覧 基礎編II(II−166ページ〜II−175ページ)」に記載された方法により測定される。
加水分解性ビニルモノマー(a2)とは、加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマーを意味する。
【0010】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)としては特に限定がないが、例えば、特開2005−075982号公報に記載の水溶性ラジカル重合単量体が挙げられる。これらのうち、吸収性能{吸収速度、拡散面積、表面ドライ感及びSDMEドライネス等}等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましく、さらに好ましくはアニオン性ビニルモノマー、特に好ましくは炭素数3〜30のビニル基含有カルボン酸(塩){不飽和モノカルボン酸(塩)((メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸及びこれらの塩等);不飽和ジカルボン酸(塩)(マレイン酸、フマル酸、シト
ラコン酸、イタコン酸及びこれらの塩等);及び不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜8)エステル(マレイン酸モノブチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸のエチルカルビトールモノエステル、フマル酸のエチルカルビトールモノエステル、シトラコン酸モノブチルエステル及びイタコン酸グリコールモノエステル等}、次に好ましくは不飽和モノカルボン酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。
【0011】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)は、それぞれ、単独で構成単位としてもよく、2種以上を構成単位としてもよい。水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)のうち、吸収性能等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましく、さらに好ましくは(a1)を単独で構成単位とすることである。
【0012】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の両方を構成単位とする場合、これらのビニルモノマー単位のモル比{(a1)/(a2)}は、75/25〜99/1が好ましく、さらに好ましくは85/15〜95/5、特に好ましくは90/10〜93/7、最も好ましくは91/9〜92/8である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0013】
架橋重合体(A)は、さらに、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマーと共重合できるその他のビニルモノマーを構成単位とすることができるが、その他のビニルモノマーを構成単位として含まないことが好ましい。
その他のビニルモノマーとしては、水溶性ビニルモノマー(a1)等と共重合できるモノマーであれば制限がなく、たとえば、特開2003−225565号公報に記載のビニルモノマー等が挙げられる。
その他のビニルモノマーを構成単位とする場合、その他のビニルモノマー単位の含有量(モル%)は、吸収性能の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位の合計のモル数に基づいて、0.01〜30が好ましく、さらに好ましくは0.05〜20、特に好ましくは0.1〜15である。
【0014】
内部架橋剤(a3)としては、公知の内部架橋剤、例えば、特開2003−225565号公報に記載の内部架橋剤が使用できる。これらの内部架橋剤のうち、吸収性能等の観点から、エチレン性不飽和基を2個以上有する内部架橋剤が好ましく、さらに好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及び炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。
【0015】
内部架橋剤(a3)の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位のモル数に基づいて、0.001〜5が好ましく、さらに好ましくは0.005〜3、特に好ましくは0.01〜1である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。
【0016】
表面架橋剤(a4)としては、公知の表面架橋剤、例えば、特開2003−225565号公報に記載の表面架橋剤が使用できる。これらの表面架橋剤のうち、吸水性能等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)単位の水溶性置換基{カルボキシ基、水酸基等}及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)単位の加水分解によって生成する水溶性置換基{カルボキシ基、水酸基等}と反応し得る官能基を少なくとも2個以上有する架橋剤が好ましく、さらに好ましくは多価グリシジル、特に好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテル及びグリセリンジグリシジルエーテル、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
【0017】
表面架橋剤(a4)の含有量(重量%)は、人体への不快感等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位のモル数に基づいて、0.01〜0.1が好ましく、さらに好ましくは0.03〜0.08、特に好ましくは0.05〜0.06である。
【0018】
架橋重合体(A)は、公知の方法{特開2003−225565号公報及び特開2005−075982号公報等}と同様にして、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(a3)を重合して、含水ゲルを調製し、必要により含水ゲルを細断した後、乾燥して、乾燥粒子を調製し、乾燥粒子と表面架橋剤(a4)とを反応させることにより得ることができる。
【0019】
表面架橋反応の方法は、公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}の方法が適用できる。
【0020】
<非イオン界面活性剤(B)>
非イオン界面活性剤(B)とは、水中でイオン解離しない水酸基やエーテル結合などを親水基としてもっている界面活性剤を意味する。
非イオン界面活性剤(B)は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体であり、活性水素化合物にプロピレンオキサイド(以下、POと略す)エチレンオキサイド(以下、EOと略す)が、PO、EOの順にブロック付加された化合物である。
非イオン界面活性剤(B)としての高分子量型であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体は、使用上の安全性が高く、添加後の吸収性能への影響も小さい。
【0021】
吸収性樹脂粒子の表面に存在する非イオン界面活性剤(B)の量は、界面活性剤による柔軟効果や添加後の吸収性能の観点から、架橋重合体(A)の重量を基準として、0.01〜1であり、好ましくは0.03〜0.5、さらに好ましくは0.05〜0.2である。
【0022】
吸収性樹脂粒子の表面に存在する非イオン界面活性剤(B)の量は、以下の方法で吸収性樹脂粒子表面から回収された(B)の量とする。
<表面に存在する非イオン界面活性剤(B)の量の測定方法>
非イオン界面活性剤(B)が可溶な有機溶媒中に吸収性樹脂粒子を加え、撹拌し、吸収性樹脂粒子表面から(B)を抽出し、これを分液したのち有機溶媒を蒸発させ、蒸発残渣を(B)の量とする。
【0023】
非イオン界面活性剤(B)のEOとPOの比率(EOのモル数/POのモル数)は、界面活性剤による柔軟効果の観点から、0.1〜10が好ましく、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは5〜10である。
【0024】
非イオン界面活性剤(B)の数平均分子量は、界面活性剤による柔軟効果の観点から、2,000〜30,000が好ましく、さらに好ましくは10,000〜30,000、特に好ましくは20,000〜30,000である。
なお、この数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。
【0025】
本発明の吸収性樹脂粒子は、架橋重合体(A)を含んでなる吸収性樹脂粒子(C)と非イオン界面活性剤(B)とを混合することにより得られる。(C)と(B)とを混合する段階としては、(C)の表面に(B)を存在させるという観点から、表面架橋工程直前、表面架橋工程中及び表面架橋工程直後が好ましく、さらに好ましくは表面架橋工程直後である。
【0026】
吸収性樹脂粒子(C)と非イオン界面活性剤(B)とを混合する際の(C)の水分含有量(重量%)は、(C)の壊れ性や吸収性能の観点から、(C)の重量を基準として1〜10が好ましく、さらに好ましくは2〜8、特に好ましくは3〜6である。
【0027】
吸収性樹脂粒子(C)と非イオン界面活性剤(B)とを混合する温度(℃)としては特に限定ないが、(C)に含まれる架橋重合体(A)の劣化防止の観点から、10〜150が好ましく、さらに好ましくは15〜140、特に好ましくは20〜130である。
【0028】
非イオン界面活性剤(B)を液体として混合したい場合、(B)を水に溶解させるか、または(B)を固体の融点以上に加熱して溶融することにより、液体として用いることができる。
【0029】
非イオン界面活性剤(B)を液体として混合する場合、吸収性樹脂粒子(C)に上記液体を噴霧するか、(C)に固体状の(B)を接触させた後、(B)の融点以上に加熱して混合することもできる。
噴霧又は接触に適用できる混合装置としては、タービュライザ及び双腕型ベンチニーダー等が挙げられる。
【0030】
本発明の吸収性樹脂粒子には、必要により任意の段階{架橋重合体(A)製造工程のうち、重合工程、細断工程、乾燥工程、粉砕工程、表面架橋工程及び/又はこれらの工程の前後、並びに(A)と(B)とを混合する工程後等}において、添加物を添加することができる。
添加物としては、公知(たとえば特開2003−225565号公報)の添加剤{防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤及び有機質繊維状物等}等が使用でき、これらの1種又は2種以上を併用してもよい。
【0031】
本発明の吸収性樹脂粒子は、各種の吸収体に適用することにより、吸収体の柔軟性に優れた吸収性物品を製造し得る。吸収体及び吸収性物品は、公知{例えば特開2005−186016号公報}の方法等により製造される。
吸収性物品としては、衛生用品{紙おむつ(子供用紙おむつ及び大人用紙おむつ等)、ナプキン(生理用ナプキン等)、嘔吐物吸収用エチケット袋、紙タオル、パッド(失禁者用パット及び手術用アンダーパット等)及びペットシート(ペット尿吸収シート及び保温シート等)等}、及び各種の家庭用及び産業用の吸収シート{鮮度保持シート、ドリップ吸収シート、水稲育苗シート、コンクリート養生シート及びケーブル等の水走り防止シート等}が含まれる。
これらのうち、本発明の吸収性樹脂粒子は、吸収体の柔軟性の観点から衛生用品に好適であり、さらに紙おむつ、パッド及び生理用ナプキン、特に紙おむつ及び生理用ナプキンに適している。
【実施例】
【0032】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
【0033】
実施例1
水溶性ビニルモノマー(a1−1){アクリル酸、三菱化学株式会社製}135部(1.87モル部)、内部架橋剤(a3−1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.37部(0.0014モル部)及び脱イオン水352.28部を攪拌・混合しながら、温度を3℃に保った。この混合液中に窒素を流入して、混合液中の溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.54部、2%アスコルビン酸水溶液1.0125部及び2%の2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩水溶液10.125部を添加・混合して重合を開始させ、反応温度が90℃に達した後、重合温度90±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1)を得た。
この含水ゲル(1)をミンチ機(12VR−400K、飯塚工業株式会社製)で3〜7mmの大きさに細断して細断ゲルを得た後、この細断ゲル400部に48%の水酸化ナトリウム水溶液89.1部を添加してカルボキシル基の72当量%を中和し、中和細断ゲルを得た。なお、JIS K0113−1997に準拠{0.1規定水酸化カリウム水溶液を滴定液として使用、電位差滴定法、変曲点法}して測定した酸価から算出した中和細断ゲルの中和度は70.1当量%であった。
次に、縦20cm×横20cm×高さ10cmで、天板を有さず、底板に目開き4mmの金網を装着したステンレス製のトレイに、この中和細断ゲルを約5cmの厚さに積層し、150℃、風速2.0m/sの条件で、通気型バンド乾燥機(井上金属工業製)で乾燥して、乾燥重合体(2)を得た。
この乾燥重合体(2)をジューサーミキサー(MX−X53、松下電器株式会社製)で粉砕し、目開き150及び710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒子径範囲に調整した後、この100部を高速攪拌タービュライザーミキサー(ホソカワミクロン株式会社製)にて2000rpmで高速撹拌しながら表面架橋剤(a4−1){エチレングリコールジグリシジルエーテル、ナガセケムテックス株式会社製}の2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=60/40)3.5部をスプレー噴霧により添加・混合し、140℃で30分間静置し加熱架橋(表面架橋)することにより吸収性樹脂粒子(C−1)を得た。(C−1)の水分量を加熱乾燥式水分計(MS−70、株式会社エー・アンド・デイ製)で測定したところ、(C−1)の重量を基準として3.5%であった。
この(C−1)100部に、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体である非イオン界面活性剤(B−1){数平均分子量25,000(EO455モル−PO86モル付加物)、商品名ニューポールPE−128(三洋化成工業株式会社製)}0.2部を添加し、双腕型ベンチニーダー(PNV−1、入江商会株式会社製)にて130℃で20分間混合することにより、本発明の吸収性樹脂粒子(D−1)を得た。
【0034】
実施例2
実施例1において、非イオン界面活性剤を「(B−1)」から「非イオン界面活性剤(B−2){数平均分子量16,000(EO300モル−PO55モル付加物)、商品名ニューポールPE−108(三洋化成工業株式会社製)}」に変更したこと以外、実施例1と同様な操作を行い、本発明の吸収性樹脂粒子(D−2)を得た。
【0035】
実施例3
実施例1において、非イオン界面活性剤を「(B−1)」から「非イオン界面活性剤(B−3){数平均分子量9,400(EO150モル−PO35モル付加物)、商品名ニューポールPE−78(三洋化成工業株式会社製)}」に変更したこと以外、実施例1と同様な操作を行い、本発明の吸収性樹脂粒子(D−3)を得た。
【0036】
実施例4
実施例1において、非イオン界面活性剤を「(B−1)」から「非イオン界面活性剤(B−4){数平均分子量3,100(EO30モル−PO35モル付加物)、商品名ニューポールPE−74(三洋化成工業株式会社製)}」に変更したこと以外、実施例1と同様な操作を行い、本発明の吸収性樹脂粒子(D−4)を得た。
【0037】
実施例5
実施例1において、非イオン界面活性剤を「(B−1)」から「非イオン界面活性剤(B−5){数平均分子量2,200(EO5モル−PO35モル付加物)、商品名ニューポールPE−71(三洋化成工業株式会社製)}」に変更したこと以外、実施例1と同様な操作を行い、本発明の吸収性樹脂粒子(D−5)を得た。
【0038】
実施例6
実施例1において、非イオン界面活性剤(B−1)の添加量を「0.2部」から「0.3部」に変更したこと以外、実施例1と同様な操作を行い、本発明の吸収性樹脂粒子(D−6)を得た。
【0039】
実施例7
実施例1において、非イオン界面活性剤(B−1)の添加量を「0.2部」から「0.05部」とした以外、実施例1と同様な操作を行い、本発明の吸収性樹脂粒子(D−7)を得た。
【0040】
実施例8
実施例1において、「非イオン界面活性剤(B−1)0.2部を添加」を「非イオン界面活性剤(B−1)5%水溶液4部をスプレー噴霧」に変更したこと、「双腕型ベンチニーダーにて130℃で20分間混合」を「セーフティオーブン(SPHH−201、エスペック株式会社製)にて80℃で30分加熱」に変更したこと以外、実施例1と同様な操作を行い、本発明の吸収性樹脂粒子(D−8)を得た。
【0041】
比較例1
実施例1において、非イオン界面活性剤(B−1)を添加しなかったこと以外、実施例1と同様な操作を行い、比較の吸収性樹脂粒子(D−9)を得た。
【0042】
実施例1〜8で作製した本発明の吸収性樹脂粒子(D−1)〜(D−8)、および比較例1で作製した比較の吸収性樹脂粒子(D−9)を用いて、以下に示す方法で吸収体を調製し、その柔軟性を測定・評価した。結果を表1に示す。
【0043】
<吸収体の調製>
8cm×12.5cmに裁断されたパルプ層(目付213g/cm)上に、吸収性樹脂粒子0.71部(目付213g/cm2)を均等に散布した。これにさらにパルプ、吸収性樹脂粒子の順に、最終的にパルプ層4層、吸水性樹脂粒子層3層を積層させ、これをロールプレス機(CR−200、株式会社東洋設計製)にてプレス速度20m/min、クリアランス1mmの条件でプレスすることで吸収体を調製した。
【0044】
<吸収体柔軟性の測定>
自動化圧縮試験器(KFSFB3−AUTO−A、カトーテック株式会社製)を用いて、圧縮変形速度0.05mm/sec、圧縮最大荷重条件50gf/cmの条件で吸収体を圧縮し、その際の圧縮エネルギーを測定した。柔らかいものほど圧縮されやすく、圧縮エネルギーの数値は大きくなる。
【0045】
【表1】

【0046】
表1の結果から、本発明の吸収性樹脂粒子は、比較例に比べて、吸収体調製時の吸収体柔らかさに優れることがわかる。そして、この結果から、本発明の吸収性樹脂粒子を用いた吸収性物品(紙おむつ等)は、表面シートや吸収層の素材や構造を変更することなく、使用者が装着した状態での使用感が改善されることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の吸収性樹脂粒子は、吸収性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる吸収体に適用でき、この吸収体は柔軟性に優れているため、この吸収体を備えてなる吸収性物品{紙おむつ、生理用ナプキン等}に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、内部架橋剤(a3)並びに表面架橋剤(a4)を必須構成単位としてなる架橋重合体(A)と、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体である非イオン界面活性剤(B)とを含んでなる吸収性樹脂粒子であって、吸収性樹脂粒子の表面に(B)が存在してなり、表面に存在する(B)の量が(A)の重量を基準として0.01〜1重量%である吸収性樹脂粒子。
【請求項2】
非イオン界面活性剤(B)の数平均分子量が、2,000〜30,000である請求項1に記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項3】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、内部架橋剤(a3)並びに表面架橋剤(a4)を必須構成単位としてなる架橋重合体(A)を含んでなる吸収性樹脂粒子(C)と、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体である非イオン界面活性剤(B)とを、(C)の水分含有量が(C)の重量を基準として1〜10重量%の条件で混合してなり、(B)の使用量が(A)の重量を基準として0.01〜1重量%である吸収性樹脂粒子の製造方法。

【公開番号】特開2012−219231(P2012−219231A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88838(P2011−88838)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(301023009)サンダイヤポリマー株式会社 (57)
【Fターム(参考)】