説明

吸収性物品の個別包装品の包装体

【課題】箱体の内部に収容された個別包装品をより取り出しやすい吸収性物品の個別包装品の包装体を提供すること。
【解決手段】本体部31及び一対の延出部32を有する個別包装品3と、複数の個別包装品3が収容される袋体4と、複数の個別包装品3が収容された袋体4が収容される箱体5と、を備える吸収性物品の個別包装品の包装体1であって、複数の個別包装品3は、一対の延出部32の位置が重なり合うように袋体4に収容され、複数の個別包装品3が収容された袋体4は、一対の延出部32が位置する一対の側面43が箱体5において向かい合う一対の箱体内側面55と対面するように箱体5に収容され、一対の延出部32が延びた状態における個別包装品3の一対の延出部32の端部間の長さL1は、箱体5における一対の箱体内側面55間の長さL2よりも長い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキン等の吸収性物品の個別包装品の包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生理用ナプキン等の吸収性物品は、所定の形状に折り畳まれた状態でシート材により個別に包装された個別包装品として販売される。また、このような個別包装品は、柔軟性を有する袋体に複数個が収容された包装体の状態で販売されている。
しかしながら、以上の包装体では、この包装体を保管しているときや、包装体を輸送するとき等に包装体に外力が加わると袋体が破損してしまう場合があった。また、袋体に加わる外力により袋体の内部に収容された個別包装品が変形してしまう場合もあった。
【0003】
そこで、本出願人は、先に、上面が開口可能でかつ底面から上面に向かって幅が徐々に広く構成された箱体に吸収性物品の個別包装品を複数収容した包装体を提案している(特許文献1参照)。
この包装体によれば、箱体の内部に複数の個別包装品が収容されているので、包装体に外力が加わった場合でも、内部に収容された個別包装品の変形を防げる。また、箱体は、底面から上面に向かって幅が徐々に広くなるよう構成されているので、開口した上面から吸収性物品を取り出しやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−307044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1で提案された包装体では、箱体に収容された個別包装品を使用し、箱体に収容された個別包装品の数が少なくなった場合には、箱体の内部における個別包装品の移動の自由度が高くなる。そのため、箱体に収容された個別包装品の数が少なくなると、個別包装品を取り出すときに箱体の内部で個別包装品が移動してしまい、個別包装品を取り出しにくい場合があった。
【0006】
従って、本発明は、箱体の内部に収容された個別包装品をより取り出しやすい吸収性物品の個別包装品の包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、吸収性物品がシート材により包装されて構成されると共に、該シート材により前記吸収性物品が覆われる本体部と、該本体部における前記吸収性物品の一対の側部を覆う位置から前記シート材が延出して形成される一対の延出部と、を有する個別包装品と、複数の前記個別包装品が収容される袋体と、複数の前記個別包装品が収容された前記袋体が収容される、上面が開放可能な箱体と、を備える吸収性物品の個別包装品の包装体であって、複数の前記個別包装品は、前記一対の延出部の位置が該個別包装品の厚さ方向に重なり合うように前記袋体に収容され、前記複数の個別包装品が収容された前記袋体は、前記一対の延出部が位置する一対の側面が前記箱体において向かい合う一対の箱体内側面と対面するように前記箱体に収容され、前記一対の延出部が延びた状態における前記個別包装品の該一対の延出部の端部間の長さは、前記箱体における前記一対の箱体内側面間の長さよりも長い吸収性物品の個別包装品の包装体に関する。
【0008】
また、前記吸収性物品は、縦長状の吸収性本体を有し、前記個別包装品は、前記吸収性本体の幅方向に沿う折線で長手方向に折り畳まれた状態で前記シート材に包装されて構成され、前記一対の延出部は、前記吸収性物品の長手方向に沿って延びる一対の側部側に設けられると共に、該一対の側部側から延出する前記シート材が接合されて構成されることが好ましい。
【0009】
また、前記袋体は、前記複数の個別包装品が前記箱体の高さ方向に積層された状態で前記箱体に収容されることが好ましい。
【0010】
また、前記複数の個別包装品は、前記一対の延出部が前記本体部から外側に向かって延びた第1状態で前記袋体に収容され、前記複数の個別包装品が収容された前記袋体は、前記一対の延出部が前記第1状態よりも内側に折れ曲がった第2状態で前記箱体に収容されることが好ましい。
【0011】
また、前記袋体は、前記箱体に収容された状態における上面に形成される第1ミシン目を備えることが好ましい。
【0012】
また、前記袋体は、該袋体の側面に形成されると共に前記第1ミシン目に連続する第2ミシン目を更に備えることが好ましい。
【0013】
また、前記第1ミシン目は、前記一対の延出部間をつなぐ方向に沿って延びることが好ましい。
【0014】
また、前記第1ミシン目は、前記一対の延出部間をつなぐ方向に略直交する方向に延びることが好ましい。
【0015】
また、前記袋体は、該袋体の側面に形成され該袋体の高さ方向に略直交する方向に沿って延びる第3ミシン目を備えることが好ましい。
【0016】
前記袋体は、白色のシート状部材により構成されることが好ましい。
【0017】
また、前記箱体は、該箱体の底面に形成され前記袋体を上方に押し上げ可能な押上部を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の吸収性物品の個別包装品の包装体によれば、箱体の内部に収容された個別包装品を取り出しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の吸収性物品の個別包装品の包装体の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態における袋体を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態の個別包装品の折り畳んだ状態を示す平面図である。
【図4】図3に示す個別包装品の展開平面図である。
【図5】図2に示す袋体の平面図を箱体の平面図と比較して示す図である。
【図6】図5のX−X線断面図である。
【図7】図1の平面図である。
【図8】図7のY−Y線断面図である。
【図9】第2実施形態における袋体を示す斜視図である。
【図10】第3実施形態における袋体を示す斜視図である。
【図11】第4実施形態における袋体を示す斜視図である。
【図12】図11に示す袋体の平面図である。
【図13】第5実施形態における箱体の底面図である。
【図14】第5実施形態の吸収性物品の個別包装品の包装体の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の吸収性物品の個別包装品の包装体(以下、単に包装体ともいう)の好ましい各実施形態について、図面を参照しながら説明する。
先ず、第1実施形態の包装体について、図1〜図8を参照しながら説明する。
【0021】
第1実施形態の包装体1は、図1〜図4に示すように、吸収性物品としての生理用ナプキン2の個別包装品3を収容する包装体である。この包装体1は、生理用ナプキン2の個別包装品3と、この個別包装品3を複数収容する袋体4と、この袋体4を収容する箱体5と、を備えて構成される。
【0022】
個別包装品3は、図4に示すように、生理用ナプキン2と、この生理用ナプキン2を包装するシート材6と、シート材6に取り付けられる止着テープ61と、を含んで構成される。
生理用ナプキン2は、図4に示すように、縦長状の吸収性本体21と、この吸収性本体21の両側部における長手方向の中央部から幅方向の外方に延出する一対のウイング部22と、を備える。
吸収性本体21は、液透過性の表面シート23と、液不透過性の裏面シート24と、これら表面シート23と裏面シート24との間に配置される液吸収性を有する吸収体25と、を備える。
一対のウイング部22は、表面シート23及び裏面シート24が吸収性本体21から幅方向の外方に延出する共に、延出した表面シート23と裏面シート24とが接合されて形成される。
【0023】
シート材6は、矩形形状を有している。このシート材6の長さは、吸収性本体21の長さよりも長く構成され、シート材6の幅は、吸収性本体21の幅よりも広く構成される。このシート材6は、一対のウイング部22が吸収性本体21側における表面シート23側に折り返された状態の生理用ナプキン2の裏面シート24側を覆うように配置される。つまり、生理用ナプキン2は、一対のウイング部22が表面シート23側に折り返された状態でシート材6の上面に配置される。
シート材6としては、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂により構成されたフィルムや、ポリプロピレン等の熱可塑性を有する合成繊維により構成された不織布が用いられる。
このシート材6には、包装する生理用ナプキン2の種類に応じて、所定の色で着色が施されている。
【0024】
個別包装品3は、図3及び図4に示すように、シート材6の上面に生理用ナプキン2を配置した状態で、これらシート材6及び生理用ナプキン2が吸収性本体21の幅方向に沿って延びる折線Sで表面シート23側に折り畳まれている。
本実施形態では、折線Sは、吸収性本体21を長手方向に略三等分する位置に2本設けられている。即ち、生理用ナプキン2は、三つ折りにされた状態でシート材6に包装されている。
止着テープ61は、シート材6の外面における長手方向の一端側に取り付けられる。この止着テープ61は、先端側がシート材6の長手方向の一端側から突出して取り付けられている。個別包装品3は、シート材6の一端側が外側となるように三つ折りにされた状態で、止着テープ61の先端側をシート材6の外面に止着することで折り畳まれた状態が維持されている。
【0025】
以上の個別包装品3は、図3に示すように、折り畳まれた状態の生理用ナプキン2がシート材6により覆われた本体部31と、この本体部31における生理用ナプキン2の一対の側部を覆う位置からシート材6が延出して形成される一対の延出部32と、を有する。
本体部31は、三つ折りに折り畳まれた生理用ナプキン2の裏面シート24側が一層のシート材6により覆われて構成されている。
【0026】
一対の延出部32は、三つ折りに折り畳まれた状態の生理用ナプキン2(吸収性本体21)における長手方向に沿って延びる一対の側部に対応する位置に設けられる。一対の延出部32は、吸収性本体21の一対の側部それぞれから延出するシート材6が複数層(本実施形態では、2層又は3層)積層されて構成されており、これらの積層されたシート材6がヒートシール加工や圧着加工により接合されて形成されている。
一対の延出部32それぞれの延出長さは、後述するように、個別包装品3を箱体5に収容した場合に、この個別包装品3を箱体5の内部に安定的に収容する観点から、好ましくは5〜20mm、より好ましくは10〜15mmである。
【0027】
袋体4は、図2及び図6に示すように、複数の個別包装品3を収容する。より具体的には、複数の個別包装品3は、これら複数の個別包装品3それぞれの一対の延出部32の位置が個別包装品3の厚さ方向に重なり合うように、袋体4に収容される。
【0028】
本実施形態では、複数の個別包装品3は、以下のようにして袋体4に収容される。
まず、帯状のシート状部材の両側縁を接合して長手方向の両端が開口した筒状に構成する。次いで、この筒状に構成されたシート状部材の筒状部分に、複数の個別包装品3を、これら複数の個別包装品3の積層方向が筒状のシート状部材の高さ方向に一致するように収容する。次いで、筒状のシート状部材の一端側及び他端側をそれぞれ接合する。これにより、複数の個別包装品3が厚さ方向に積層されて収容された袋体4が製造される。
【0029】
以上の袋体4では、図2に示すように、筒状のシート状部材が接合される一端側及び他端側がそれぞれ底面41及び上面42を構成する。また、積層された複数の個別包装品3における一対の延出部32が位置する部分が一対の第1側面43,43を構成し、複数の個別包装品3における折線Sが位置する部分が一対の第2側面44,44を構成する。
尚、筒状に構成されたシート状部材における筒状部分の周方向における全周の長さは、一対の延出部32を延ばした状態における個別包装品3の周縁の長さと略等しく構成される。これにより、複数の個別包装品3は、一対の延出部32が本体部31から外側に向かって延びた第1状態で袋体4に収容されることとなる(図2及び図6参照)。ここで、一対の延出部32が外側に向かって延びた状態とは、一対の延出部32の延びる方向と本体部31の面方向とのなす角度が90度よりも大きいことを示す。つまり、第1状態とは、一対の延出部32が本体部31の面方向に沿ってまっすぐ延びる状態のみならず、一対の延出部32が本体部31の面方向に対して所定角度傾斜して延びている状態も含む。
【0030】
図2及び図5に示すように、袋体4の上面42には、筒状のシート状部材が接合されて形成された上面シール部421、第1ミシン目422、及び上面シール部421に付された案内表示部423が設けられる。
上面シール部421は、上面42の中央部に、個別包装品3の一対の延出部32間をつなぐ方向D1に延びて形成される。
第1ミシン目422は、上面42の中央部に、個別包装品3の一対の延出部32間をつなぐ方向D1に略直交する方向D2に延びて形成される。
この第1ミシン目422は、袋体4を開いて収容された個別包装品3を取り出す場合における開け口となる。
【0031】
案内表示部423は、上面シール部421の中央部に付された第1矢印表示423a及び第2矢印表示423bにより構成される。第1矢印表示423aは、基端側が上面シール部421の中央部に位置し先端側が一対の第1側面43のうちの一方の第1側面43側を向いている。第2矢印表示423bは、基端側が上面シール部421の中央部に位置し先端側が一対の第1側面43のうちの他方の第1側面43を向いている。
これら第1矢印表示423a及び第2矢印表示423bは、第1ミシン目422及び後述する第2ミシン目441を破って袋体4を開く場合における案内表示として機能する。
【0032】
図2に示すように、一対の第2側面44には、それぞれ、第2ミシン目441が設けられる。一対の第2ミシン目441は、それぞれ、第1ミシン目422に連続して形成され、第2側面44の上端から下方に向けて延びる。即ち、一対の第2ミシン目441のうちの一方の第2ミシン目441は、第1ミシン目422の一端に連続する。また、一対の第2ミシン目441のうちの他方の第2ミシン目441は、第1ミシン目422の他端に連続する。
【0033】
一対の第2側面44のうちの一方の第2側面44には、個別包装品3に包装された生理用ナプキン2の種類等を示す内容表示442が付されている。
【0034】
以上の袋体4を構成するシート状部材は、乳白色で半透明の合成樹脂フィルムからなる。これにより、袋体4に収容された個別包装品3のシート材6の着色状態を袋体4の外部から視認可能となっている。
【0035】
箱体5は、図1、図7及び図8に示すように、複数の個別包装品3が収容された袋体4を収容する。この箱体5は、紙カートンにより構成される。より具体的には、箱体5は、一枚の型紙を所定の折線で折り曲げて組み立てることで構成される。
また、この箱体5の外面には、箱体5に収容される個別包装品3のシート材6の色と同色の着色が施されている。
箱体5は、図1に示すように、上面が開口した箱本体51と、この箱本体51の上面を覆う一対のサイドフラップ部52及びフラップ部53と、フラップ部53の先端側に設けられた差込部54と、を備える。
箱本体51は、略立方体形状を有している。この箱本体51の外側面には、図1に示すように、箱体5に収容される生理用ナプキン2の種類等を示す内容表示511が付されている。
【0036】
一対のサイドフラップ部52は、箱本体51の上面の開口を形成する4つの辺縁のうちの対向する一対の辺縁に連続して設けられる。一対のサイドフラップ部52は、それぞれ、箱本体51の開口の略半分を覆う。
フラップ部53は、箱本体51の上面の開口を形成する4つの辺縁のうちの一対のサイドフラップ部52が設けられていない一の辺縁に連続して設けられる。このフラップ部53は、箱本体51の開口の全面を覆う。
差込部54は、フラップ部53の先端においてこのフラップ部53を構成する型紙が折り曲げられて形成される。
【0037】
以上の箱体5には、図1、図5及び図8等に示すように、袋体4における一対の第1側面43が箱体5において向かい合う一対の箱体内側面55と対面するように収容される。つまり、本実施形態では、複数の個別包装品3は、箱体5の高さ方向に積層された状態で箱体5に収容される。
【0038】
ここで、袋体4の第2側面44には、個別包装品3に包装された生理用ナプキン2の種類等を示す内容表示442が付されており(図2参照)、かつ、箱体5の外側面には、この箱体5に収容すべき生理用ナプキン2の種類等を示す内容表示511が付されている(図1参照)。また、生理用ナプキン2の種類に応じてシート材6に施された着色は、この生理用ナプキン2を収容すべき箱体5に施された着色と同色となっていると共に、袋体4は、シート材6の着色が外部から視認可能な半透明の合成樹脂フィルムにより構成されている。
【0039】
これにより、例えば、複数の個別包装品3が収容された袋体4を、手作業により箱体5に収容する場合であっても、作業者は、袋体4の第2側面44に付された内容表示442と箱体5の外側面に付された内容表示511とを見比べながら、箱体5への袋体4の収容作業を正確に行える。
更に、作業者は、袋体4を透過して視認できるシート材6の色と同色に着色が施された箱体5に袋体4を収容することで、箱体5への袋体の収容作業をより正確に行える。
【0040】
次に、袋体4の大きさと箱体5の大きさとの関係について、図5〜図8を参照しながら説明する。上述のように、袋体4には、複数の個別包装品3が第1状態(図6参照)で収容されている。図5に示すように、複数の個別包装品3が第1状態で収容されている状態における袋体4の一対の延出部32の先端間の長さL1は、箱体5における一対の箱体内側面55間の長さL2よりも長く構成される。また、この箱体5における一対の箱体内側面55間の長さL2は、個別包装品3の本体部31の一対の延出部32間をつなぐ方向における長さL3よりも長く構成される。
【0041】
一方、以上の袋体4を箱体5に収容すると、箱体内側面間の長さL2よりも長い一対の延出部32の先端間の長さL1を有する袋体4は、変形しながら箱体5に収容される。より具体的には、第1状態で袋体4に収容されていた複数の個別包装品3における一対の延出部32は、図7及び図8に示すように、箱体5の一対の箱体内側面55に押圧されて第1状態よりも内側に折れ曲がった第2状態となって箱体5に収容される。このように、袋体4を箱体5に収容した状態では、箱体内側面55と袋体4の第1側面43とは、複数の個別包装品3の一対の延出部32に内側から押された状態で当接することとなる。
【0042】
以上の箱体5は、複数の個別包装品3を収容した袋体4を収容した状態で、一対のサイドフラップ部52により箱本体51の上面を覆った後、フラップ部53で再度箱本体51の上面を覆い、差込部54を箱本体51の内側面に沿って差し込むことで、袋体4を包装できる。
【0043】
次に、本実施形態の包装体1の使用方法について説明する。
包装体1を使用する場合には、まず、フラップ部53及び一対のサイドフラップ部52を開いて、箱本体51の上面を開口させる。ついで、上面シール部421を摘むと共に案内表示部423(第1矢印表示423a及び第2矢印表示423b)に従って上面シール部421を引っ張る。すると、第1ミシン目422に沿って袋体4の上面42が開口されると共に、一対の第2ミシン目441に沿って袋体4の一対の第2側面44の一部が開口される。ついで、袋体4に形成された開口から指を入れ、積層された複数の個別包装品3のうちの最上層に積層された個別包装品3を取り出す。
【0044】
個別包装品3を箱体5から取り出す場合には、2本の指(例えば、親指と人差し指)を、それぞれ、一対の延出部32側に挿し入れ、これら2本の指で一対の延出部32を摘むようにして個別包装品3を取り出す。ここで、一対の延出部32は、本体部31に比して厚さが薄く柔軟性に富むため、箱体5の一対の箱体内側面55と一対の延出部32とが袋体4を介して当接していても、個別包装品3を容易に摘める。
【0045】
以上説明した第1実施形態の包装体1によれば、以下のような効果を奏する。
【0046】
(1)一対の延出部32が延びた状態における個別包装品3の一対の延出部の端部間の長さL1を、箱体5における一対の箱体内側面55間の長さL2よりも長く構成した。これにより、複数の個別包装品3を、それぞれ、箱体5の一対の箱体内側面55に支持させられる。よって、個別包装品3を、箱体5の内部で一対の箱体内側面55に好適に支持させられるので、箱体5に収容される個別包装品3の数が減った場合であっても個別包装品3が箱体5の内部で移動しにくい。その結果、箱体5の内部に収容された個別包装品3を取り出しやすい。
また、個別包装品3を箱体5から取り出す場合には、2本の指(例えば、親指と人差し指)を、それぞれ、一対の延出部32側に挿し入れ、これら2本の指で一対の延出部32を摘むようにして個別包装品3を取り出す。ここで、一対の延出部32は、本体部31に比して厚さが薄く柔軟性に富む。よって、箱体5の一対の箱体内側面55と一対の延出部32とが袋体4を介して当接していても、個別包装品3を容易に摘める。
【0047】
(2)生理用ナプキン2の個別包装品3は、生理用ナプキン2を幅方向に沿う折線Sで折り畳んだ状態でシート材6により包装している。そのため、個別包装品3は、この折線S側から力を加えた場合における剛性が生理用ナプキン2の長手方向に沿う側部側から力を加えた場合における剛性よりも大きくなる。つまり、個別包装品3は、折線S側から力を加えた場合よりも生理用ナプキン2の長手方向に沿う側部側から力を加えた場合の方が容易に変形可能となっている。そこで、一対の延出部32を、生理用ナプキン2の長手方向に沿って延びる一対の側部側に設けた。これにより、一対の延出部32に指を挿し入れて個別包装品3を摘む場合に、この個別包装品3が容易に変形するので、個別包装品3をより容易に取り出せる。
【0048】
(3)一対の延出部32を、複数層のシート材6を接合して構成した。これにより、一対の延出部32に好適な剛性を保持させられる。よって、一対の延出部32により個別包装品3を箱体5に好適に支持させられるので、箱体5の内部において複数の個別包装品3がより移動しにくい。
【0049】
(4)袋体4を、複数の個別包装品3を箱体5の高さ方向に積層した状態で箱体5に収容した。これにより、袋体4の上面42側から個別包装品3を取り出す場合に、一対の延出部32に容易に指を挿し入れられる。よって、個別包装品3の取り出しの容易性をより向上できる。
【0050】
(5)複数の個別包装品3を、一対の延出部32が外側に向かって延びた第1状態で袋体4に収容すると共に、一対の延出部32が第1状態よりも内側に折れ曲がった第2状態に変形した状態で箱体5に収容させた。これにより、袋体4が箱体5に収容された状態において、箱体内側面55と袋体4の第1側面43とを、複数の個別包装品3の一対の延出部32に内側から押された状態で当接させられる。よって、箱体5に収容された袋体4が箱体5の内部で移動しにくい。また、袋体4に収容された複数の個別包装品3を、それぞれ、袋体4を介して箱体5の一対の箱体内側面55に支持させられる。よって、個別包装品3を、箱体5の内部で一対の箱体内側面55に好適に支持させられるので、袋体4に収容される個別包装品3の数が減った場合であっても箱体5の内部で移動しにくい。その結果、箱体5の内部に収容された個別包装品3を取り出しやすい。
【0051】
(6)袋体4の上面42に第1ミシン目422を設けた。よって、箱体5に収容した袋体4を取り出すことなく袋体4に収容された複数の個別包装品3を取り出せる。
【0052】
(7)袋体4の一対の第2側面44に、第1ミシン目422に連続する一対の第2ミシン目を設けた。よって、袋体4の上面及び一対の第2側面44の一部を開口させられるので、袋体4に収容された個別包装品3をより容易に取り出せる。
【0053】
(8)第1ミシン目422を、一対の延出部32間をつなぐ方向D1に略直交する方向D2に延びるように形成した。よって、袋体4の上面42を、剛性の高い本体部31の折線S,S間をつなぐ方向(長手方向)の略全長に亘って開口できるので一対の延出部32を摘んだ場合に、個別包装品3を取り出しやすい。
【0054】
(9)箱体5を、上面が開口した箱本体51と、この開口を覆うフラップ部53とを含んで構成した。よって、箱体5に収容された袋体4の上面42を開いて個別包装品3の一部を取り出した場合でも、個別包装品3を取り出した後にフラップ部53により袋体4の上面42を覆うことができるので、箱体5(袋体4)に収容された個別包装品3の衛生状態を保てる。
【0055】
次に、本発明の第2実施形態について図9を参照しながら説明する。図9は、第2実施形態における袋体4Aを示す斜視図である。尚、第2実施形態以降の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0056】
第2実施形態の包装体は、主として、個別包装品3Aの形状及び第1ミシン目422Aの構成において、第1実施形態と異なる。
第2実施形態の個別包装品3Aは、第1実施形態の生理用ナプキンよりも大きなサイズの生理用ナプキンが三つ折りにされた状態でシート材により包装されているため、平面視において長方形状に形成されている。この個別包装品3Aでは、一対の延出部32Aは、個別包装品3Aの長手方向に沿う側部から延出している。
【0057】
また、第2実施形態では、上面シール部421Aは、一対の延出部32A間をつなぐ方向D1に延びて形成される。また、第1ミシン目422Aは、上面シール部421Aを挟むように、上面シール部421Aの延びる方向(D1)に沿って2本延びると共に、上面42Aの中央部において、これら2本をつなぐように延びている。また、内容表示442Aは、第1側面43Aに付されている。
【0058】
第2実施形態によれば、上述した(1)〜(9)の効果を奏する他、以下のような効果を奏する。
【0059】
(10)第1ミシン目422Aを、上面シール部421Aを挟むように設けた。これにより、上面シール部421Aを摘んで案内表示部423に従ってこの上面シール部421を引っ張ることで、第1実施形態よりも幅の広い開口を形成できる。よって、袋体4Aに収容された個別包装品3Aをより取り出しやすい。
【0060】
(11)第1ミシン目422Aを、一対の延出部32A間をつなぐ方向D1に沿って延びるように形成した。よって、袋体4Aの上面42Aを一対の延出部32Aが位置する部分まで容易に開けるので、一対の延出部32Aを指で摘みやすい。
【0061】
次に、本発明の第3実施形態について、図10を参照しながら説明する。図10は、第3実施形態における袋体4Bを示す斜視図である。
第3実施形態の包装体は、主として、第1ミシン目422及び第2ミシン目441に代えて、第3ミシン目443Bを備える点で、第1実施形態と異なる。
第3ミシン目443Bは、袋体4Bの一対の第1側面43B及び一対の第2側面44Bに形成される。この第3ミシン目443Bは、袋体4Bの高さ方向に略直交する方向に沿って延びている。つまり、第3ミシン目443Bは、袋体4Bの全周に亘って連続して形成されている。
【0062】
第3実施形態によれば、上述した(1)〜(5)、及び(9)の効果を奏する他、以下のような効果を奏する。
【0063】
(12)袋体4Bの第1側面43B及び第2側面44Bに、袋体4Bの高さ方向に略直交する方向に延びる第3ミシン目443Bを設けた。これにより、第3ミシン目443Bにより袋体4Bの上面42Bを切り離せる。よって、袋体4Bの上面42Bを開放できるので、個別包装品3をより容易に取り出せる。
【0064】
次に、本発明の第4実施形態について、図11及び図12を参照しながら説明する。図11は、第4実施形態における袋体4Cを示す斜視図である。図12は、図11に示す袋体4Cを箱体5Cに収容した状態を示す平面図である。
【0065】
第4実施形態の包装体1Cは、主として、袋体4Cの内部に収容される複数の個別包装品3Cの配置及び第1ミシン目422Cの配置において、第1実施形態と異なる。
第4実施形態では、複数の個別包装品3Cは、図11及び図12に示すように、これら個別包装品3Cに包装される生理用ナプキンの長手方向が箱体5Cの高さ方向に沿うように袋体4Cに収容されている。
また、第1ミシン目422Cは、一対の延出部32C間をつなぐ方向D1に沿って延びている。
【0066】
第4実施形態によれば、上述した(1)〜(3)、(5)〜(7)、(9)、及び(11)の効果を奏する。
【0067】
次に、本発明の第5実施形態について、図13及び図14を参照しながら説明する。図13は、第5実施形態における箱体5Dの底面図である。図14は、第5実施形態の包装体1Dの使用状態を示す図である。
第5実施形態の包装体1Dは、箱体5Cの構成において第1実施形態と異なる。
第5実施形態では、図13及び図14に示すように、箱体5Dの底面56Dには、押上部561Dが設けられている。この押上部561Dは、箱体5Dの底面56Dを構成する型紙に、略S字状に延びるミシン目を設けることで形成される。
第5実施形態では、箱体5Dに収容された個別包装品3Dの数が少なくなった場合に、図15に示すように、箱体5Dの底面56Dに設けられたミシン目を切断して押上部561Dを箱体5Dの内面側に押し上げることで、袋体4Dを上方に持ち上げられる。
【0068】
第5実施形態によれば、上述した(1)〜(9)の効果を奏する他、以下のような効果を奏する。
【0069】
(13)箱体5Dの底面56Dに押上部561Dを設けた。よって、箱体5Dに収容された個別包装品3Dが少なくなった場合には、押上部561Dにより袋体4Dの底面を押し上げることで、箱体5Dに収容された個別包装品3Dを箱体5Dの上面側から最後まで容易に取り出せる。
【0070】
以上、本発明の包装体の好ましい各実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、第1実施形態では、袋体4に収容された状態の個別包装品3における一対の延出部32の先端間の長さL1を、箱体内側面55間の長さL2よりも長く構成したが、これに限らない。即ち、袋体に収容された状態の個別包装品における一対の延出部間の長さを、箱体内側面間の長さと略等しく構成してもよい。
【0071】
また、第1実施形態〜第5実施形態では、本発明を、吸収性物品としての生理用ナプキンに適用したが、これに限らない。即ち、本発明を、吸収性物品としての陰唇間パッドや尿パッドに適用してもよい。
【0072】
また、第1実施形態〜第5実施形態では、袋体として乳白色の合成樹脂フィルムを用いたが、これに限らない。即ち、袋体として、個別包装品のシート材と同色の合成樹脂フィルムを用いてもよい。これにより、袋体の色と同色の箱体にこの袋体を収容することで、箱体への袋体の収容を正確に行える。また、袋体と箱体のデザインを統一できるので、本発明の包装体により、インテリア用品のような洗練された清潔感及びお洒落感を使用者に提供できる。
【0073】
また、第1実施形態〜第5実施形態では、一つの箱体5に一つの袋体4を収容したが、これに限らない。即ち、一つの箱体に二つ以上の複数の袋体を収容してもよい。この場合、複数の袋体に同一の個別包装品を収容してもよく、また、複数の袋体にそれぞれ異なる製品(例えば、生理用ナプキンの個別包装品を収容した袋体と、ウェットティッシュを収容した袋体)を収容してもよい。そして、複数の袋体のうちの少なくとも一つの袋体について、本発明の構成を具備していればよい。
【0074】
また、箱体5と袋体4の隙間に、個別包装品の使用説明書や新製品の発売情報等の所定の文書を印刷したシート材を組み入れてもよい。この場合、文書が印刷されたシート材が直接個別包装品に接触しないので、個別包装品の衛生状態を保ちつつ、個別包装品の使用者に対して情報の提供を行える。
【0075】
また、箱体の外面及び/又は袋体の上面に個別包装品の内容表示等を表す点字を施してもよい。これにより、目が不自由な使用者に対して、個別包装品に関する情報を適切に提供できる。
【符号の説明】
【0076】
1 包装体(吸収性物品の個別包装品の包装体)
2 生理用ナプキン(吸収性物品)
3 個別包装品
4 袋体
5 箱体
6 シート材
21 吸収性本体
31 本体部
32 延出部
422 第1ミシン目
441 第2ミシン目
443B 第3ミシン目
561D 押上部
S 折線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品がシート材により包装されて構成されると共に、該シート材により前記吸収性物品が覆われる本体部と、該本体部における前記吸収性物品の一対の側部を覆う位置から前記シート材が延出して形成される一対の延出部と、を有する個別包装品と、
複数の前記個別包装品が収容される袋体と、
複数の前記個別包装品が収容された前記袋体が収容される、上面が開放可能な箱体と、を備える吸収性物品の個別包装品の包装体であって、
複数の前記個別包装品は、前記一対の延出部の位置が該個別包装品の厚さ方向に重なり合うように前記袋体に収容され、
前記複数の個別包装品が収容された前記袋体は、前記一対の延出部が位置する一対の側面が前記箱体において向かい合う一対の箱体内側面と対面するように前記箱体に収容され、
前記一対の延出部が延びた状態における前記個別包装品の該一対の延出部の端部間の長さは、前記箱体における前記一対の箱体内側面間の長さよりも長い吸収性物品の個別包装品の包装体。
【請求項2】
前記吸収性物品は、縦長状の吸収性本体を有し、
前記個別包装品は、前記吸収性本体の幅方向に沿う折線で長手方向に折り畳まれた状態で前記シート材に包装されて構成され、
前記一対の延出部は、前記吸収性物品の長手方向に沿って延びる一対の側部側に設けられると共に、該一対の側部側から延出する前記シート材が接合されて構成される請求項1に記載の吸収性物品の個別包装品の包装体。
【請求項3】
前記袋体は、前記複数の個別包装品が前記箱体の高さ方向に積層された状態で前記箱体に収容される請求項1又は2に記載の吸収性物品の個別包装品の包装体。
【請求項4】
前記複数の個別包装品は、前記一対の延出部が前記本体部から外側に向かって延びた第1状態で前記袋体に収容され、
前記複数の個別包装品が収容された前記袋体は、前記一対の延出部が前記第1状態よりも内側に折れ曲がった第2状態で前記箱体に収容される請求項1〜3のいずれかに記載の吸収性物品の個別包装品の包装体。
【請求項5】
前記袋体は、前記箱体に収容された状態における上面に形成される第1ミシン目を備える請求項1〜4のいずれかに記載の吸収性物品の個別包装品の包装体。
【請求項6】
前記袋体は、該袋体の側面に形成されると共に前記第1ミシン目に連続する第2ミシン目を更に備える請求項5に記載の吸収性物品の個別包装品の包装体。
【請求項7】
前記第1ミシン目は、前記一対の延出部間をつなぐ方向に略直交する方向に延びる請求項5又は6に記載の吸収性物品の個別包装品の包装体。
【請求項8】
前記第1ミシン目は、前記一対の延出部間をつなぐ方向に沿って延びる請求項5又は6に記載の吸収性物品の個別包装品の包装体。
【請求項9】
前記袋体は、該袋体の側面に形成され該袋体の高さ方向に略直交する方向に沿って延びる第3ミシン目を備える請求項1〜8のいずれかに記載の吸収性物品の個別包装品の包装体。
【請求項10】
前記袋体は、白色のシート状部材により構成される請求項1〜9のいずれかに記載の吸収性物品の個別包装品の包装体。
【請求項11】
前記箱体は、該箱体の底面に形成され前記袋体を上方に押し上げ可能な押上部を備える請求項1〜10のいずれかに記載の吸収性物品の個別包装品の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−235954(P2011−235954A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111363(P2010−111363)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】