説明

吸収性物品の包装体の製造方法および吸収性物品の包装体

【課題】2個の吸収性物品を1セットとして取り出しやすく、余った1個を簡単にしかも衛生的に保管でき、吸収性物品の皺や硬化を防止することができる。
【解決手段】第1の工程では、第1および第2母乳パッド2(i),3(i)を包装シート帯29へと供給する。第2の工程では、第1母乳パッド2(ii)は横中心線32から上端縁30に向かってその縦方向Yの寸法Hの1/4分だけずらし、第2母乳パッド3(ii)は下端縁31に向かってその縦方向Yの寸法Hの1/4分だけずらして供給される。第3の工程では、第1および第2母乳パッド2,3(iii)がそれぞれ上下端縁30,31から横中心線32に向かって二つ折りに折り畳まれる。第4の工程では、包装シート帯29の上下端縁30,31を横中心線32に向かって折り畳む。第5の工程では、第1および第2母乳パッド2,3(v)の間に接合部20を形成し、切断線33で切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、吸収性物品の包装体及びその包装方法に関し、さらに詳しくは母乳パッド、紙おむつ、生理用ナプキン、パンティライナー、痔疾用パッド等の吸収性物品の包装体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の母乳パッドが収容された容器から、母乳パッドを2個1セットとして取り出して使用するものとして、例えば特開2000−247358号公報(特許文献1)が公知である。この特許文献1によれば、2個の母乳パッドをそれぞれ二つ折りにして開口縁と閉鎖縁とを形成し、一方のパッドの開口縁と他方のパッドの閉鎖縁とが対向するように並べて、これらを2個一緒に包装シートで包装する。包装後、一方のパッドと他方のパッドとを重ねるようにして包装シートごと折り畳む。折り畳んだ包装体を容器に詰め、母乳パッドを2個1セットとして一度に容器から取り出して使用できるようにしている。上記のように折り畳むことによって、一方のパッドの開口縁と他方のパッドの閉鎖縁とが重なるようになり、開口縁と閉鎖縁との厚さが異なるような場合であっても容器に詰める時の包装体全体として均一の厚さとすることができる。包装体の厚さを均一にできれば包装体を複数重ねたときであっても、容器に隙間なく詰めることができる。
【特許文献1】特開2000−247358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
2個の母乳パッドを1セットにして包装しているので、母乳パッドを1個ずつ使用しようとした場合に、他の1個が余ってしまう。余った1個を後に使用する場合には、一度開封した包装シートで包みなおさなければならず、手間がかかるし不衛生になりがちであるという問題があった。
【0004】
上記のような包装体の製造方法では、母乳パッドを二つ折りにしてから包装シートの上に載せ、包装シートを折り畳んでいる。したがって、包装シートを折り畳む前に、二つ折りにした母乳パッドが開いてしまわないように、折りたたみを強くして確実に折り畳まなければならなかった。折り畳みを強くすれば母乳パッドに折り皺がついたり、折線部分が硬くなったりするという問題があった。
【0005】
本発明では、2個の吸収性物品を1セットとして取り出しやすく、1個しか使用しない場合であっても余った1個を簡単にしかも衛生的に保管でき、吸収性物品の皺や硬化を防止することができる吸収性物品の包装体と包装体の製造方法を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、縦方向および横方向と、身体側内面を形成する内面シートと、着衣側外面を形成する外面シートと、前記内外面シートの間に形成された吸液構造体とを含む吸収性物品を、包装シートで包装する包装体の製造方法の改良に関わる。
【0007】
本発明は前記包装体の製造方法において、前記吸収性物品は、第1吸収性物品と第2吸収性物品とを含む。前記第1および第2吸収性物品が、帯状に連続した包装シート帯であって前記包装シート帯の縦方向に対向し横方向に延びる上下端縁間の寸法を二等分し前記横方向に延びる中心線に沿って等間隔で交互に供給される工程と、前記第1吸収性物品が、前記中心線から前記上端縁に向かってずらされ、前記第2吸収性物品が、前記中心線から前記下端縁に向かってずらされる工程と、前記第1吸収性物品が、前記上端縁から中心線に向かって二つ折りに折り畳まれ、前記第2吸収性物品が前記下端縁側から中心線に向かって二つ折りに折り畳まれ、折り畳まれた前記第1吸収性物品の折曲線に沿って前記包装シート帯の前記上端縁が前記中心線に向かって折り畳まれ、前記第2吸収性物品の折曲線に沿って前記包装シート帯の前記下端縁が前記中心線に向かって折り畳まれる工程と、前記横方向に連なる前記第1吸収性物品および前記第2吸収性物品の間において重なり合う前記包装シート帯を接合部を介して接合する工程と、前記第1吸収性物品を包む第1包装体と、第2吸収性物品を包む第2包装体との所定の数を1セットとして前記接合部のほぼ中央において切断する工程とを含むことを特徴とする。
【0008】
好ましい実施態様の一つとして、前記包装シート帯の縦方向の寸法は、前記第1および第2吸収性物品の前記縦方向の寸法とほぼ同じであり、前記第1および第2吸収性物品は前記縦方向の寸法の1/4分だけ前記縦方向の上下にずらされる。
【0009】
好ましい他の実施態様の一つとして、前記包装シート帯の切断は、第1包装体と第2包装体との各ひとつを1セットとして行われる。
【0010】
好ましい他の実施態様の一つとして、前記第1包装体においては、前記第1吸収性物品が折り畳まれるのとほぼ同時に、前記包装シート帯の前記上端縁が前記中心線に向かって折り畳まれるとともに、前記上端縁に重なるように前記下端縁が前記中心線に向かって折り畳まれる。前記第2包装体においては、前記第2吸収性物品が折り畳まれてから前記上端縁が前記中心線に向かって折り畳まれるとともに、前記上端縁に重なるように前記下端縁が前記中心線に向かって折り畳まれる。
【0011】
本発明は前記方法によって得られる吸収性物品の包装体であって、前記吸収性物品は、縦方向および横方向と、身体側内面を形成する内面シートと、着衣側外面を形成する外面シートと、前記内外面シートの間に形成された吸液構造体と、前記内面シートを内側にして前記縦方向の寸法を半分にするように折り畳むことによって形成されるとともに折曲線を形成する閉鎖縁と、折り重ねられた前後面とを含み、前記包装シートは、前記縦方向に対向し前記横方向に延びる上下端縁と、前記吸収性物品の折り畳まれた前記前面の前記外面シートに対向する第1面と、前記第1面に連続し前記後面の前記外面シートに対向する第2面と、前記第2面に連続し前記第1面に重なり合う第3面とを含み、前記第1〜第3面は、前記吸収性物品の前記横方向外側において、前記縦方向に延びる接合部によって互いに接合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、第1および第2吸収性物品の供給、折り畳み、包装シート帯での包装を一連の工程ですることができるので、吸収性物品を折り畳んでから包装シート帯に供給する場合に比べてタイムロスを少なくすることができる。吸収性物品の折り畳みから包装までの時間が短いので、吸収性物品に強い折り目をつけなくてもよく、折り目による皺の形成や、剛性が高くなることを防止することができる。
第1および第2吸収性物品は、一定間隔で連続して供給され、二つ折りに折り畳んでその折曲縁に沿って包装シート帯で包装されるようにしているので、第1または第2吸収性物品をひとつずつ包装することも可能であり、ひとつずつ使用する場合に他の使用しない吸収性物品の保管が容易で、かつ衛生的におこなうことができる。
【0013】
第1および第2吸収性物品は包装シート帯の縦方向の寸法の1/4分だけ横中心線から縦方向の上下にずらされるようにしているので、吸収性物品を二つ折りにしてこれらを包装シート帯を三つ折にするように折り畳んだときに、吸収性物品と包装シート帯との間に隙間ができず、包装シート帯の使用量を最小限にすることができる。包装シート帯の使用量を減少できるので、その分コストを低減することができる。
【0014】
包装シート帯の切断は、第1吸収性物品と第2吸収性物品との各一つずつを1セットとして行われるので、二つひとまとめにして容器から取り出すことができ、一つずつ取り出す場合に比べて取り出す手間を省くことができる。
【0015】
第1包装体において、第1吸収性物品と包装シート帯とをほぼ同時に折り畳むこととしているので、第1吸収性物品に折り癖をつける必要がなく、製造に要する時間をより一層短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の吸収性物品として母乳パッドを例に挙げ、実施形態として母乳パッドの包装体およびその製造方法を説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は母乳パッドの包装体1の斜視図であり、説明のためにその一部を破断している。この実施例では横方向Xに並んだ第1および第2母乳パッド2,3と、これら母乳パッド2,3を包む包装シート4とを含む。
第1および第2母乳パッド2,3は、身体側内面を形成する内面シート5と、着衣側外面を形成する外面シート6とを含み、内面シート5を内側にして縦方向Yの寸法を二等分するように二つに折り畳まれている。折り畳まれた第1および第2母乳パッド2,3は折曲線に沿って形成され重ね合わせた部分が閉鎖される閉鎖縁7と、重ね合わせた部分が閉鎖されない開放縁8とが形成される。第1および第2母乳パッド2,3は折り畳まれることによって、図1の紙面手前に位置する前面2a,3aと、紙面奥に位置する後面2b,3bとを形成している。
【0018】
第1および第2母乳パッド2,3は、一枚の連続した包装シート4で包まれている。包装シート4は第1および第2母乳パッド2,3を包むように三つ折に畳まれ、第1面9、第2面10、第3面11を形成している。第1面9は包装シート4の一方の端縁12を含み第1および第2母乳パッド2,3の前面2a,3aの一部を覆っている。第2面10は第1面9に連続し、後面2b,3bの全面を覆っている。第3面11は第2面10に連続し、包装シート4の他方の端縁13を含んで前面2a,3aの一部を覆っている。第1面9の端縁12と第3面11の端縁13とを重ね合わせることによって、これら面9,11で前面2a,3aの全面を覆うとともに、第1および第2母乳パッド2,3の取り出し口を形成する。
【0019】
包装シート4は横方向Xに対向する両側縁部14,15と、両側部分14,15のほぼ中間に位置する中間部16とを含み、中間部16を境に第1および第2母乳パッド2,3が離間している。これら両側縁部14,15および中間部16において第1、2、3面9,10,11が接合部20a,b,cにより互いに接合されている。接合部20a,b,cは、縦方向Yに間欠的に接合されることによって形成されている。この接合にはヒートシールを用いているが、接着剤等による接合であってもよく、一般的な接合方法を使用することができる。中間部16の接合部20cによって、包装体1は、第1母乳パッドを包む第1包装体18と、第2母乳パッドを包む第2包装体19とに画成される。
【0020】
中間部16では、接合部20cのほぼ中心において縦方向Yに延びるミシン目17を形成している。ミシン目17を形成することによって、第1包装体18と第2包装体19とに分離することができるようになる。第1包装体18と第2包装体19とを分離可能にする手段としては、ミシン目に限定されることなく、他の一般的な手段を用いることができる。ただし、第1および第2包装体18,19のいずれの側にも接合部20cが残存するように分離できるようにすることが望ましい。
【0021】
図2は図1の両側部14,15および中間部16の接合部20a,20b,20cを外したときの展開図である。図示したように第1母乳パッド2は第1面9を形成する一方の端縁12にその一部が重なるとともに、第1面9および第2面10に重なるように配置されている。第2母乳パッド3は第3面11を形成する他方の端縁13にその一部が重なるとともに、第2面10および第2面11に重なるように配置されている。すなわち、第1母乳パッド2と第2母乳パッド3とは、縦方向Yの上下に対してずらして配置され、横方向Xにほぼ対称となっている。
【0022】
第1および第2母乳パッド2,3は、身体側内面を形成する内面シート5と、着衣側外面を形成する外面シート6とを含み、内外面シート5,6との間に吸液構造体21を形成している。吸液構造体21は、吸液性芯材22と、吸液性芯材22を包む拡散シート23とを含んでいる。内外面シート5,6は略円形でほぼ同大であり、吸液構造体21は内外面シート5,6よりもひと回り小さい略円形である。この吸液構造体21と内外面シート5,6とは同心円を画いて積層され、吸液構造体21が存在しない内外面シート5,6の外縁部24においてこれら内外面シート5,6を接着または溶着により互いに接合している。
【0023】
第1および第2母乳パッド2,3の幅方向Xの両側には、縦方向Yに延びる弾性部材25が伸長状態で取り付けられている。この弾性部材25が収縮することにより第1および第2母乳パッド2,3に立体感を与え、第1および第2母乳パッド2,3がドーム状になるようにしている。
第1および第2母乳パッド2,3は剥離シート26を介して包装シート4の内面に接合されている。第1および第2母乳パッド2,3の外面シート6には図示しない接着剤が塗布され、剥離シート26に対して剥離可能に接合されている。この剥離シート26は包装シート4の対向面において、すなわち第2面10に対して図示しない接着剤によって剥離不能に接合されている。
【0024】
上記のような第1および第2母乳パッド2,3を包む第1および第2包装体18,19は、図1に示す状態から図3に示すように折り畳まれる。すなわち第1および第2包装体18,19は、中間部16を境にそれぞれの第3面11が対向するように折りたたまれる。第1および第2包装体18,19はこのように折り畳んだ状態で容器に入れられ、使用の際に容器から取り出されるようにしている。
【0025】
図4は、図3のIV−IV線断面図である。図示したように、第1包装体18の厚さ方向上部に第2包装体19が積層されている。第1包装体18においては、縦方向Yの上方(図4右側)に第1母乳パッド2の閉鎖縁7が位置し、縦方向Yの下方(図4左側)に開放縁8が位置している。第1母乳パッド2は、その中心部において吸液性芯材22の量が最も多く、その外縁部24に向かうにつれて少なくなっている。したがって、第1母乳パッド2を二つ折りにした時には閉鎖縁7で最も厚くなり、開放縁8に向かうにつれて薄くなっている。
【0026】
第2包装体19においては、縦方向Yの上方(図4右側)に第2母乳パッドの開放縁8が位置し、下方(図4左側)に閉鎖縁7が位置している。第2母乳パッド3も第1母乳パッドと同様の構成を有しているので、第2母乳パッド3も閉鎖縁7で最も厚くなり、開放縁8に向かうにつれて薄くなっている。
【0027】
上記のような第1および第2包装体18,19を図3のように折り畳んだときには、第1および第2母乳パッド2,3の閉鎖縁7と開放縁8とが交互に重なるようになるので、厚さが均等になる。このように折り畳まれた第1および第2包装体18,19を1セットとして、その厚さ方向に複数セット積み重ねられ、容器に詰められる。このように複数積み重ねた場合であっても、厚さが均等になっているので、一部が高くなったりすることがなく、隙間なく容器に詰めることができる。
【0028】
容器から母乳パッドを取り出して使用する場合には、第1および第2包装体18,19が連なっているから、いずれか一方をつまんで引っ張れば両方の包装体18,19を同時に取り出すことができる。これら第1および第2包装体18,19は、中間部16に形成されたミシン目17によって切り離し可能になっている。したがって、ひとつの母乳パッドのみを使用する場合には、第1包装体18と第2包装体19とを切り離し、一方のみを使用することができる。使用しない他方は母乳パッドが包まれたまま簡単に保管することができ、衛生的である。
【0029】
第1または第2母乳パッド2,3を使用する際には、第1または第2包装体18,19からこれらを取り出すが、このとき使用者は第3面11に位置する他方の端縁13を挟持して、第1面9および第2面10から離間させる方向に引っ張る(図1参照)。端縁13を引っ張れば、第3面11の接合部20を外すことができ、一方の端縁12が露出される。
【0030】
一方の端縁12からは、第1母乳パッド2の開放縁8または、第2母乳パッド3の閉鎖縁7のいずれかが覗いているので、これを一方の手で挟持し、端縁12を他方の手で挟持して引き離す。これらを引き離すようにすれば、第1面9と第2面10との接合部20も外れ、母乳パッドが包装シート4から剥がれる。包装シート4には剥離シート26が結合されたままの状態で残り、母乳パッドは剥離シート26から剥がれる。剥離シート26で覆われていた部分には接着剤が塗布されているので、この接着剤を利用して母乳パッドをブラジャーなどの着衣に取り付けて使用することができる。
【0031】
図5は第1および第2包装体18,19の製造方法の説明図である。第1および第2母乳パッド2,3は帯状に連続した包装シート帯29に等間隔で供給され、包装シート帯29が折り畳まれることによって包装される。包装シート帯29は横方向Xに延びる長いシートであって、図示しない搬送ベルトによって矢印A方向に搬送される。包装シート帯29は、縦方向Yに対向し横方向Xに延びる上下端縁30,31と、上下端縁30,31間の寸法を二等分して横方向Xに延びる横中心線32とを含む。包装シート帯29の上端縁30から下端縁31までの寸法は、第1および第2母乳パッド2,3の縦方向Yの寸法Hよりも僅かに大きくしている。
【0032】
第1の工程では、包装シート帯29に第1および第2母乳パッド2(i),3(i)を供給するが、第1および第2母乳パッド2(i),3(i)は弾性部材25が取り付けられた側部を横方向Xに対向させる方向で供給される。側部が縦方向Yに対向しているような場合には、これら母乳パッド2(i),3(i)を90度回転させてから包装シート帯29に供給する。
【0033】
第2の工程では、第1母乳パッド2(ii)は、横中心線32から上端縁30に向かって、第1母乳パッド2(ii)の縦方向Yの寸法Hの1/4分だけずらして供給される。第2母乳パッド3(ii)は、横中心線32から下端縁31に向かって第2母乳パッド3(ii)の縦方向Yの寸法Hの1/4分だけずらして供給される。第1母乳パッド2(ii)と第2母乳パッド3(ii)とは、その形状は同じであるので横中心線32からずらす距離もほぼ同じになる。ずらした第1母乳パッド2(ii)と第2母乳パッド3(ii)とは、交互に包装シート帯29に供給される。したがって、供給される第1および第2母乳パッド2,3は包装シート帯29上で千鳥パターンを形成する。
【0034】
第1および第2母乳パッドの外面シート6には、着衣に固定するための粘着域を形成している。包装シート帯29に接着剤によって剥離シート26が固着され、剥離シート26によって前記粘着域を保護するようにしている。
【0035】
第3の工程では、上方にずらした第1母乳パッド2(iii)が、上端縁30から横中心線32に向かって二つ折りに折り畳まれ、折曲線を形成する閉鎖縁7と、開放縁8とが形成される。下方にずらした第2母乳パッド3(iii)が、下端縁31から横中心線32に向かって二つ折りに折り畳まれ、折曲線を形成する閉鎖縁7と、開放縁8とが形成される。
【0036】
第4の工程では、第1母乳パッド2(iv)が折り畳まれると、包装シート帯29の上端縁30を横中心線32に向かって折り畳むようにして、第1折りたたみ線27が閉鎖縁7に沿うように形成される。
第2母乳パッド3(iv)が折り畳まれると、包装シート帯29の下端縁31を横中心線32に向かって折りたたむようにして、第2折りたたみ線28が閉鎖縁7に沿うように形成される。
【0037】
上記第3および第4の工程において、第1および第2母乳パッド2(iii),3(iii)の折り畳みと、包装シート帯29の折り畳みとが、別々におこなわれているように見えるが、実際には、両者の折り畳みはほぼ同時におこなうことができる。図6は第1母乳パッド2の折り畳みとこれを包装シート帯29で包む様子を示した図である。図6(a)に示したように、第1母乳パッド2を折り畳むのとほぼ同時に包装シート帯29の上端縁30側を折り畳む。第1母乳パッド2と上端縁30とを折り畳んだら、図6(b)に示したように、包装シート帯29の下端縁31を上端縁30に重ねるようにして折り畳む。このように第1母乳パッド2と包装シート帯29とを同時に折り畳むことによって、製造工程を省略することができ、その分、製造時間を短縮することができる。
【0038】
図7は第2母乳パッド3の折り畳みとこれを包装シート帯29で包む様子を示した図である。図6で示した第1母乳パッド2と異なり、第2母乳パッド3は包装シート帯29と同時に折り畳むことはできない。図6の包装シート帯29の上端縁30と図7の包装シート帯29の上端縁30とは繋がっているのであるから、第1母乳バッド2を包むために上端縁30を折り畳むと、第2母乳パッド3においても上端縁30が折り畳まれることなり、第1母乳パッド2においても第2母乳パッド3においても上端縁30が下端縁31よりも先に折り畳まれることとなる。したがって、第2母乳パッド3においてはこれを先に折り畳んでから、上端縁30を折り畳まなければならない。
【0039】
図7(a)に示したように、第2母乳パッド3を折り畳み、次に包装シート帯29の上端縁30側を前面3aに重ねるようにして折り畳む。ここで、第2母乳パッド3の折り畳みと包装シート帯29の折り畳みとの間に、ほとんどタイムラグはなく、第2母乳パッド3の前面3aから押さえつけるようにして包装シート帯29の上端縁30を重ねている。上端縁30を折り畳んだら、図7(b)に示したように、包装シート帯29の下端縁31を上端縁30に重ねるようにして折り畳む。
【0040】
図5に示した第5の工程では、包装シート帯29を折り畳んだら、第1母乳パッド2(v)と第2母乳パッド3(v)と間に接合部20を形成し、ヒートシールによって折り畳んだ包装シート帯29を接合する。さらに、第1母乳パッド2(v)と第2母乳パッド3(v)とを1セットとするために、切断線33において切断するとともに、第1母乳パッド2(v)と第2母乳パッド3(v)との間にミシン目17を形成する。
【0041】
切断線33において切断することによって、第1包装体18と第2包装体19とが製造される。また、第1包装体18と第2包装体19とは、ミシン目17によって分離可能にされているので、第1母乳パッド2と第2母乳パッド3とを1セットとすることができる。切断線33は接合部20の横方向Xのほぼ中心に形成されており、これを切断することによって、接合部20aと20bとに分割、形成される。包装体シート29は、切断によって包装シート4を形成し、上端縁30は第1および第2包装体18,19の一方の端縁12を、下端縁31は他方の端縁13を形成する。
【0042】
上記のような製造方法によれば、第1および第2母乳パッド2,3を折り畳んだ直後または同時にこれを包むようにして包装シート帯29で包装するので、第1および第2母乳パッド2,3に強く折り畳む必要がない。したがって、母乳パッドに折り皺がついたり、硬化してしまったりすることがなく、皺や硬化による着用者への刺激を低減することができる。第1母乳パッド2と包装シート帯29とをほぼ同時に折り畳むことによって、パッドを折り畳んでから包装シート帯29で包むまでのタイムロスを軽減することができ、より一層パッドの折皺等を防止することができる。第1母乳パッド2と包装シート帯29とを必ずしもほぼ同時に折り畳む必要はないが、折り畳んだ母乳パッドが開かないうちに包装シート帯29で押えるようにして折り畳むことが望ましい。
【0043】
図5で示したように第1および第2母乳パッド2,3を縦方向Yの上下方向にずらすと、それらが折り畳まれたときに第1母乳パッド2の閉鎖縁7と第2母乳パッド3の開放縁8とが横方向Xにほぼ一直線上に並ぶ。第1母乳パッド2と第2母乳パッド3とが並んでいるので、上下端縁30,31から包装シート帯29を折り畳むと、包装シート帯29が三つ折りされて第1および第2母乳パッド2,3を包む。このとき第1および第2母乳パッド2,3の縦方向Yの両端にはほとんど隙間ができることなくその閉鎖縁7および開放縁8に包装シート帯29が接触する。したがって、包装シート帯29に無駄が生じることがなく、その分コスト削減が可能となる。
【0044】
包装シート帯29の縦方向Yの寸法は、第1および第2母乳パッド2,3の縦方向Yの寸法よりも僅かに大きくしているので、包装シート帯29を三つ折にして第1および第2母乳パッド2,3を包んだときには、その上下端縁30,31が重なって確実にこれらパッドを包み込むことができる。
ただし、包装シート帯29の縦方向Yの寸法と、第1および第2母乳パッド2,3の縦方向Yの寸法とが同じであってもよい。その場合には包装シート帯29を二つ折りにした第1および第2母乳パッド2,3に沿って折り畳んでも、その上端縁30と下端縁31とが重なり合わないから、これら上下端縁30,31をテープ等で止めるようにしてもよい。
包装シート帯29の縦方向Yの長さ寸法は、母乳パッドの厚さ等に応じて適宜変更可能である。
【0045】
重ね合わせた上下端縁30,31は互いに接合するようなことはしていないが、これを接合して第1および第2母乳パッド2,3の取り出し口が容易には開かないようにすることもできる。
【0046】
第1包装体18と第2包装体19とをミシン目17で分離可能にしているが、これらが始めから完全に分離しているようなものであってもよい。すなわち中間部16にミシン目17を形成するのではなく、中間部16において第1包装体18と第2包装体19とを切断して、第1および第2母乳パッド2,3を一つずつ取り出して使用するようにしてもよい。この場合には、第1包装体18または第2包装体19がそれぞれ一つで1セットとなる。第1および第2母乳パッド2,3を三つ以上ずつ1セットにして切断するようにしてもよい。これらパッドの数は適宜変更可能である。
【0047】
表面シート5は液透過性であることが望ましく、例えば親水化処理された不織布を使用することができ、裏面シート6は液不透液性であることが望ましく、例えば樹脂製フィルムを使用することができる。吸液性芯材22はフラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子との混合物等、包装シート4は樹脂製フィルム等を使用することができる。いずれもそれぞれの技術分野の慣用素材を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施形態の包装体の斜視図。
【図2】図1の展開図。
【図3】図1を折り畳んだときの斜視図。
【図4】図3のiv−iv線端面図。
【図5】製造方法の説明図。
【図6】第1吸収性物品における製造方法の説明図。
【図7】第2吸収性物品における製造方法の説明図。
【符号の説明】
【0049】
1 包装体
2 第1母乳パッド(第1吸収性物品)
3 第2母乳パッド(第2吸収性物品)
4 包装シート
5 内面シート
6 外面シート
9 第1面
10 第2面
11 第3面
17 ミシン目
18 第1包装体
19 第2包装体
21 吸液構造体
29 包装シート帯
30 上端縁
31 下端縁
32 横中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向および横方向と、身体側内面を形成する内面シートと、着衣側外面を形成する外面シートと、前記内外面シートの間に形成された吸液構造体とを含む吸収性物品を、包装シートで包装する包装体の製造方法において、
前記吸収性物品は、第1吸収性物品と第2吸収性物品とを含み、
前記第1および第2吸収性物品が、帯状に連続した包装シート帯であって前記包装シート帯の縦方向に対向し横方向に延びる上下端縁間の寸法を二等分し前記横方向に延びる中心線に沿って等間隔で交互に供給される工程と、
前記第1吸収性物品が、前記中心線から前記上端縁に向かってずらされ、前記第2吸収性物品が、前記中心線から前記下端縁に向かってずらされる工程と、
前記第1吸収性物品が、前記上端縁から中心線に向かって二つ折りに折り畳まれ、前記第2吸収性物品が前記下端縁側から中心線に向かって二つ折りに折り畳まれ、折り畳まれた前記第1吸収性物品の折曲線に沿って前記包装シート帯の前記上端縁が前記中心線に向かって折り畳まれ、前記第2吸収性物品の折曲線に沿って前記包装シート帯の前記下端縁が前記中心線に向かって折り畳まれる工程と、
前記横方向に連なる前記第1吸収性物品および前記第2吸収性物品の間において重なり合う前記包装シート帯を接合部を介して接合する工程と、
前記第1吸収性物品を包む第1包装体と、第2吸収性物品を包む第2包装体との所定の数を1セットとして前記接合部のほぼ中央において切断する工程とを含むことを特徴とする前記製造方法。
【請求項2】
前記包装シート帯の縦方向の寸法は、前記第1および第2吸収性物品の前記縦方向の寸法とほぼ同じであり、前記第1および第2吸収性物品は前記縦方向の寸法の1/4分だけ前記縦方向の上下にずらされる請求項1記載の包装体の製造方法。
【請求項3】
前記包装シート帯の切断は、第1包装体と第2包装体との各ひとつを1セットとして行われる請求項1または2記載の包装体の製造方法。
【請求項4】
前記第1包装体においては、前記第1吸収性物品が折り畳まれるのとほぼ同時に、前記包装シート帯の前記上端縁が前記中心線に向かって折り畳まれるとともに、前記上端縁に重なるように前記下端縁が前記中心線に向かって折り畳まれ、
前記第2包装体においては、前記第2吸収性物品が折り畳まれてから前記上端縁が前記中心線に向かって折り畳まれるとともに、前記上端縁に重なるように前記下端縁が前記中心線に向かって折り畳まれる請求項1〜3のいずれかに記載の包装体の製造方法。
【請求項5】
前記製造方法によって得られる吸収性物品の包装体であって、
前記吸収性物品は、縦方向および横方向と、身体側内面を形成する内面シートと、着衣側外面を形成する外面シートと、前記内外面シートの間に形成された吸液構造体と、前記内面シートを内側にして前記縦方向の寸法を半分にするように折り畳むことによって形成されるとともに折曲線を形成する閉鎖縁と、折り重ねられた前後面とを含み、
前記包装シートは、前記縦方向に対向し前記横方向に延びる上下端縁と、前記吸収性物品の折り畳まれた前記前面の前記外面シートに対向する第1面と、前記第1面に連続し前記後面の前記外面シートに対向する第2面と、前記第2面に連続し前記第1面に重なり合う第3面とを含み、
前記第1〜第3面は、前記吸収性物品の前記横方向外側において、前記縦方向に延びる接合部によって互いに接合されることを特徴とする前記包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−165712(P2009−165712A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8530(P2008−8530)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】