説明

吸収性物品の包装構造体

【課題】吸収性物品同士が係合しあう収納状態の吸収性物品を一つずつ手前側に引き剥がして取り出すことが容易な開口部が作られる吸収性物品の包装構造体を提供する。
【解決手段】複数枚の吸収性物品21を収納する包装袋11は左右側面112にガセット構造を備え、吸収性物品21は、着用時の肌側面の反対側の外装面22を外側にして折畳まれ、その外装面22の第1面22Aに係合部23を有し、第2面22Bに係合可能な部位24を有し、それらが係合し得る状態に隣り合う吸収性物品21同士が左右側面112に平行に配され、少なくとも一側面に開口部が作られるミシン目14を有し、ミシン目14を切って作られる開口部は、吸収性物品21を手前側に引き剥がすように取り出し可能な大きさであり、かつ次に取り出される吸収性物品21が開口部の内側に留め置かれる大きさである吸収性物品の包装構造体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸収性物品の包装構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品の包装は、例えば特許文献1に開示された包装袋では、開口部を作るミシン目が側面側から天面側にかけて作られているので、ミシン目に沿って開口部を作ると、開口部は天面側まで作られる。このため、図13(1)、(2)に示すように、圧縮されて収納されている吸収性物品21の外装面22にずれ止め用のホットメルト接着剤26が付いていても、吸収性物品21同士の摩擦が少ない場合には、開口部(図示せず)より吸収性物品21をせん断方向に引き出して取り出すことが容易になっている。しかしながら、こうした包装袋では、図14(1)に示すように、吸収性物品21の外装面22にフックテープのような係合部23が配されていて、吸収性物品21同士が係合しあっているような収納状態の吸収性物品21を取り出すことは考慮されていない。このような吸収性物品21をせん断方向に引き出すように取り出そうとすると、図14(2)に示すように、係合部23(23A)、23(23B)同士が引っ掛かるので、引き出そうとする吸収性物品21(21A)に係合した状態で隣接する吸収性物品21(21B)の折り畳んだ一方側も引き上げられる。よって、吸収性物品21Aは非常に取り出しにくくなる。場合によっては、係合している次の吸収性物品21Bまでもが引き出されることになる。
また、上記開口部を有する包装体では、吸収性物品を開口部より手前側に引き剥がすように取り出す場合、開口部が天面側に偏って作られているため、1枚ずつ引き剥がすように取り出すのが容易ではない。さらに、開口部が天面側まで作られるために大きくなり過ぎて、2枚目以降の吸収性物品も引き出され易くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−091801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸収性物品同士が係合しあっているような収納状態の吸収性物品を一つずつ手前側に引き剥がすようにして取り出すことが容易になる開口部が作られる吸収性物品の包装構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、複数枚の吸収性物品を包装袋内に収納してなる吸収性物品の包装構造体であって、前記包装袋は、前後面、左右側面および天底面を備え、該左右側面にガセット構造を有し、前記吸収性物品は、着用時に肌側に位置する面と対向する外装面を備え、前記外装面を外側にして折畳まれ、折畳まれた前記外装面の第1面に係合部を有し、前記第1面の反対側の該外装面の第2面に前記係合部と係合可能な部位を有し、隣り合う吸収性物品の前記係合部と前記係合可能な部位とが係合し得る状態で、かつ前記左右側面に平行に配され、前記包装袋の少なくとも前記左右側面の一方の面に吸収性物品取り出し用の開口部が形成されるミシン目があり、前記ミシン目を切って作られる開口部は、係合した状態の前記吸収性物品を手前側に引き剥がすように取り出し可能な大きさであり、かつ吸収性物品の取り出し時に次に取り出される吸収性物品が該開口部の内側に留め置かれる大きさである吸収性物品の包装構造体を提供する。
本発明において各吸収性物品が互いに係合する態様は特に制限するものではなく、互いに面的に着脱可能にするもので、再び脱着可能な状態で結合するように関係付けることを言い、具体的には、面ファスナーと呼ばれるものであり、フックテープ、マジックテープ(登録商標)などの形態がある。
【発明の効果】
【0006】
本発明の吸収性物品の包装構造体は、吸収性物品同士が係合しあっているような収納状態の吸収性物品を一枚ずつ手前側に引き剥がすようにして取り出すとともに、残余の吸収性物品を包装体中に乱さず留め置くことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の吸収性物品の包装構造体の好ましい一実施形態を示した図面であり、(1)は斜視図であり、(2)、(3)は吸収性物品の外装面を示した斜視図である。
【図2】本発明の吸収性物品の包装構造体における吸収性物品の取り出し方を示した図面であり、(1)は吸収性物品の包装構造体の部分斜視図であり、(2)は取り出した吸収性物品の斜視図であり、(3)は引き剥がし前後の係合部と係合可能な部位との関係を示した模式図である。
【図3】本発明の吸収性物品の包装構造体のミシン目の第2実施態様を示した斜視図である。
【図4】本発明の吸収性物品の包装構造体のミシン目の第3実施態様を示した斜視図である。
【図5】本発明の吸収性物品の包装構造体のミシン目の第4実施態様を示した図面であり、(1)は包装構造体の斜視図であり、(2)はミシン目の拡大展開図である。
【図6】ミシン目間のミシン目例を示した平面図である。
【図7】ミシン目の形状例を示した展開図である。
【図8】ミシン目の別の構成を示した展開図である。
【図9】ミシン目を切り始める位置を示す目印の一例を示した斜視図である。
【図10】ミシン目を切り始める位置を示す目印の変形例を示した展開図である。
【図11】包装袋の加工工程を示した図面であり、(1)はミシン目加工工程を示した平面図および斜視図であり、(2)はガセット作製工程を示した平面図および斜視図である。
【図12】(1)はミシン目加工が不十分な場合の一例を示した平面図および斜視図であり、(2)ミシン目加工においてミシン目が過剰に形成される場合を示した平面図および斜視図である。
【図13】(1)は従来のずれ止め用のホットメルト接着剤が付いた吸収性物品の取り出しの一例を示した斜視図であり、(2)は吸収性物品の取り出し状態を示した模式的断面図である。
【図14】(1)はフックテープのような係合部を有する吸収性物品を従来法により取り出した場合の一例を示した斜視図であり、(2)は吸収性物品を取り出す際の係合部の係合状態を示した模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る吸収性物品の包装構造体の好ましい一実施形態について、図1を参照しながら、以下に説明する。
【0009】
図1(1)〜(3)に示すように、本発明の吸収性物品の包装構造体10は、包装袋11内に複数の吸収性物品21が2段にかつ並列に圧縮されて収納されている。
包装袋11は、前後面111として前面111F,後面111B、左右側面112として左側面112L、右側面112Rおよび天底面113として天面113T,底面113Bを備え、該左右側面112L,112Rにガセット構造を有している。
包装袋11の天面113Tの中央部には左右側面112方向に吊手部12が配され、その吊手部12の中央部には吊手開口部13を有する。
【0010】
吸収性物品21は、例えば失禁パッドであり、または生理用ナプキン、失禁ライナ等であってもよく、上記失禁パッドに限定されない。この吸収性物品21は、着用時に肌側に位置する面と反対側に外装面22を備え、前記外装面22を外側にして折畳まれている。この折畳まれた外装面22の第1面22Aに係合部23が配されている。折畳まれた外装面22の前記第1面22Aとは反対側の第2面22Bには、吸収性物品21が包装袋11内に収納された状態で上記係合部23と対向する位置に上記係合部23と機械的に係合可能な部位24を有している。係合部23は例えば面ファスナー(例えばフックテープ)であり、係合可能な部位24は不織布である。もちろん、係合可能な部位24に面ファスナーを配してもよい。また、外装面そのものを不織布で構成すれば、外装面が係合可能な部位24として機能するので、係合可能な部位24を外装面に別途設けないで良い。そして、複数の吸収性物品21は、隣り合う吸収性物品21A,21Bの係合部23と係合可能な部位24とが係合し得る状態であって、かつ左右側面112に平行に配されている。
【0011】
上記包装袋11の少なくとも左右側面112の一方の面として例えば右側面112Rに吸収性物品取り出し用の開口部が形成されるミシン目14が作られている。このミシン目14には断続的に作られた切れ目も含む。
上記ミシン目14に沿って包装袋11の一部を切り取って作られる開口部は、係合部23と係合可能な部位24とを引き剥がすようにして吸収性物品21を手前側に取り出すことが可能な大きさであり、かつ吸収性物品21(21A)の取り出し時に次に取り出される吸収性物品21(21B)が開口部の内側に留め置かれる大きさを有する。
【0012】
次に、上述の吸収性物品の包装構造体10から吸収性物品21を取り出す方法について、図2を参照して説明する。
図2に示すように、ミシン目14が複数段(図示例では2段)に作られている場合には、最上段のミシン目14に沿って包装袋の一部11Aを切り取り、開口部16を作る。図面では、包装袋の一部11Aが途中まで切り取られた状態を示しているが、包装袋の一部11Aはミシン目14に沿って包装袋11から完全に切り離され、上記開口部16が作られる。なお、上段のミシン目14(14A)に開口部16が作られ、上段の吸収性物品21が全て引き出されている場合には、次の段のミシン目14(14B)に沿って包装袋11の一部を切り取り、開口部(図示せず)を作る。
【0013】
次に開口部16の一番手前側の吸収性物品21の折り部25側を持ち、開口部16から手前側(例えば矢印方向)に引き出すように取り出し、さらに引き出した吸収性物品21(21A)の係合部23を次に収納されている吸収性物品21(21B)の係合可能な部位24から例えば矢印方向に引き剥がす(図2(2)、(3)参照)。このようにして、吸収性物品21を包装袋11内から開口部16を通して取り出すことができる。このとき、取り出した吸収性物品21(21A)の次に収納されている吸収性物品21(21B)は、開口部16の周囲の包装袋11に掛かるので開口部16から外部に引き出されず、開口部16内側に留め置かれる。したがって、包装袋11から、吸収性物品21を1枚ずつ容易にとりだすことが可能になる。
なお、吸収性物品21の係合部23が配されている側を持ち、吸収性物品21Aの係合部23を次に収納されている吸収性物品21Bの係合可能な部位24から引き剥がすように吸収性物品21Aを手前側に引き出して開口部16から吸収性物品21Aを取り出してもよい。この場合、吸収性物品21が折畳まれているので、吸収性物品21の長手方向両端の2枚を同時に持って取り出すことが必要になる。
【0014】
上記吸収性物品の包装構造体10では、上記ミシン目14が上述のような大きさに作られていることから、ミシン目14に沿って開口部16を作った場合、その開口部16から吸収性物品21を手前側に係合部23と係合可能な部位24とを引き剥がすように取り出すことが容易にできる。そのとき、次に取り出されることになる吸収性物品21(21B)は、他の吸収性物品と係合状態にあり、かつ開口部16の内側に引っかかり、留め置かれるので、吸収性物品21を1枚ずつ取り出すことが容易になる。
【0015】
また上記開口部16から吸収性物品21(21A)を手前側に引き剥がすように取り出すときに、取り出した吸収性物品21Aの次に収納されている吸収性物品21Bが開口部の内側近傍にまで引き出されるので、包装袋11の左右側面112L,112Rがガセット構造を有することと相まって、開口部16近傍の包装袋11の形状が維持されやすくなり、次の吸収性物品21(21B)の取り出しが容易になる。
さらに包装袋11は、開口部16が左右側面112から前後面111に達するように作られていても、開口部16の上下において前後面111と左右側面112との境界の折り部があるため、形状維持性に優れる。
また上記係合部23は、吸収性物品21の外装面22に配されているので、この吸収性物品21をパンツ等に装着するとき、係合部23がパンツ等に係合する作用も有する。よって、パンツ等の装着位置に対する吸収性物品21のずれが生じにくくなる。
【0016】
上記ミシン目14は、これに沿って作られる開口部16が以下の条件を満たすように作られることが好ましい。すなわち、包装袋11に収納された折畳んだ吸収性物品21の高さ方向の長さより開口部16の高さ方向の長さが短いこと、および上記包装袋11に収納された折畳んだ吸収性物品21の幅方向の長さより開口部16の幅方向の長さが短いことのいずれか一方または両方を満足するように、開口部16が作られることである。
したがって、開口部16から吸収性物品21(21A)を手前側に引き剥がすように取り出した時に、次に収納されている吸収性物品21(21B)は、開口部16の周囲の包装袋11に引っかかり、開口部16の内側に留め置かれるので、吸収性物品21を1枚ずつ取り出し易くなる。外装面全体、もしくは包装袋11中で係合部23と対向する外装面全体または所定の広い領域を不織布で構成したような場合、係合可能な部位24の領域広くなるため、隣り合った吸収性物品21が引っかかり易くなることから、本発明の構成による効果は一層有効である。
【0017】
次に、包装袋11に作られるミシン目14の具体的な実施態様を以下に説明する。
第1実施態様は、前記図1に示した構成であり、ミシン目14は、左右側面112の一面、例えば右側面112Rから前後面111の一部、すなわち前面111Fの一部および後面111Bの一部に至る。または、上記ミシン目14は、左側面112Lから前記前後面111の一部に作られていてもよい。
上記のようにミシン目14が前後面の一部にまで作られる場合、そのミシン目14が作られる前後面111と左右側面112との境界からミシン目14の端部までの長さは、例えば折畳んで収納された吸収性物品21の厚さの1倍〜3倍、好ましくは1倍〜2倍、より好ましくは1倍〜1.5倍とする。
このようなミシン目14を切って作られる開口部16は、前後面111の一部にまで作られる。このため、吸収性物品21の折り部25の一部分が開口部16から露出するようになるので、吸収性物品21を取り出す時にその折り部25が持ちやすくなり、吸収性物品21の取り出しが容易になる。
【0018】
第2実施態様は、図3に示した構成であり、ミシン目14は、左右側面112の一面、例えば右側面112Rから前記前後面111の一部、すなわち前面111Fの一部に至るように作られている。または後面111Bの一部に至るように作られている。
図示した構成では、ミシン目14は、左右側面112の一方の面、例えば右側面112Rから折畳んだ吸収性物品21の折り部25側が配される側の前後面111、例えば前面111Fの一部に至るように作られている。同様に左右側面112の他方の面の左側面112Lから折畳んだ吸収性物品21の折り部25側が配される側の前面111Fの一部に至るように作られている。
なお、折畳んだ吸収性物品21の折り部25が前面111Fに配されているが、逆に後面111Bに配されている場合には、ミシン目14は、例えば右側面112Rから後面111Bの一部に至るように作られる。
【0019】
さらに、上記ミシン目14は、左右側面112の両方の面に作られていてもよい。
左右側面112の両方にミシン目14が作られていることから、例えば右側面112Rに向かってみて、例えば折畳んだ吸収性物品21の折り部25が左側(前面111F側)に存する場合、少なくともミシン目14は、右側面112Rから前面111F側の一部にかけて作られる。このミシン目14から吸収性物品21を取り出す場合には、前面111F側からミシン目14に沿って包装袋11の一部を切り取って開口部を作り、左側から吸収性物品21の折り部25を持って手前側に引き剥がすようにして取り出す。
一方、反対側の左側面112Lでは、ミシン目14は左側面112Lから前面111F側の一部にかけて作られる。このミシン目14から吸収性物品21を取り出す場合には、前面111F側からミシン目14に沿って包装袋11の一部を切り取って開口部を作り、右側から吸収性物品21の折り部25を持って手前側に引き剥がすようにして取り出す。したがって、吸収性物品21を取り出す人の取り出しやすい方向に開口部を作ることができる。すなわち、取り出す人の利き手に応じて開口部をつくることができる。
なお、図面では、左右側面112の両面にミシン目14が作られているが、一方の面のみにミシン目14が作られていてもよい。左右側面112の両面にミシン目14が作られている場合には、上述したように取り出しの自由度が高められる。
【0020】
図示はしないが、吸収性物品21の折り部25が上記構成とは逆に後面111B側に配されている場合には、ミシン目14は、左右側面112から後面111Bの一部にかけて作られる。この場合も、上記同様な作用効果が得られる。
【0021】
また第3実施態様は、図4に示した構成であり、ミシン目14は左右側面112のみに作られている。この場合、ミシン目14に沿って包装袋11の一部を切り取っても、前後面111が切り取られずに残っているため、包装袋11の形状維持性がよい。したがって、2枚目以降の吸収性物品21の取り出しが容易になる。なお、図面では、左右側面112の両面にミシン目14が作られているが、一方の面のみにミシン目14が作られていてもよい。左右側面112の両面にミシン目14が作られている場合には、取り出しの自由度が高められる。
【0022】
さらに第4実施態様は、図5に示したミシン目14の構成である。
図5(1)、(2)に示すように、吸収性物品21の折り部25が前後面111側の一面(例えば前面111F)側に配されている。この折り部25側を持って吸収性物品21を取り出す場合、取り出し性が容易になるように、ミシン目14は、前記第1実施態様と同様に前後面111の一部に至るように作られている。
包装袋11に収納された吸収性物品21は、取り出す人から見て折り部25が右側に配される場合と左側に配される場合がある。なお、係合部23(前記図1参照)の場合、上記折り部25とは左右反対側に配される。このため、包装袋11を作製する場合には、その両方に対応できるように、予め、ミシン目14の左右両側が前後面111の一部にかかるように作られることが好ましい。さらに前後面111にミシン目14を切って作られる開口部の一方側が至らないように、左右側面112のみでその開口部が終端するようなミシン目14Bを作製しておくことが好ましい。このようにミシン目14Bが作製されていることによって、折り部25側からミシン目14に沿って包装袋11の一部を切っていく場合、左右側面112内の折り部25とは反対側のミシン目14Bで開口部端を止めることができ、不必要に開口部を大きくしなくとも済む。上記ミシン目14(ミシン目14Bも含む)の構成では、吸収性物品21の折り部25の配置を右側としても、左側としても、対応することができる。
【0023】
また、前後面111側のミシン目14から包装袋11の一部を切って開口部を作っていく場合、開封動作が止まらないように、左右側面111内で終端するミシン目14の形状には工夫が必要である。
例えば、ミシン目14とミシン目14Bとの交点部分では、ミシン目14Bはミシン目14にそって切っていく方向とは反対方向に向かって作られている。そのミシン目14Bの形状は、図示したように円弧状であることが好ましい。または図6(1)、(2)に示すように、ミシン目14間のミシン目14Bの形状は、連結された2辺以上で構成された凸形の折れ線状であってもよい。この場合、図6(3)、(4)に示すように、角部が円弧状になっていることがより好ましい。図示例は一例であって、他の構成の凸状の折れ線であってもよい。
【0024】
また上記ミシン目14(ミシン目14Bも含む)を切って作られる開口部16(前記図2参照)は、開口部16の高さ方向の長さが、包装袋11に収納された折畳んだ吸収性物品21の高さ方向の長さの40%以上90%以下であり、開口部16の幅方向の長さが、包装袋11に収納された折畳んだ吸収性物品21の幅方向の長さの80%以上130%以下である。好ましくは、高さ方向が50%以上80%以下であり、幅方向が85%以上115%以下であり、より好ましくは、高さ方向が60%以上70%以下であり、幅方向が90%以上100%以下である。ただし、開口部16の高さ方向の長さが折畳んだ吸収性物品21の高さ方向の長さより長くなることはない。なお、ここでいう開口部16の長さは展開した状態での長さである。
【0025】
上記ミシン目14は、図7(1)に示すように、展開した状態で長円形を成しているが、図7(2)〜(4)に示すように、長方形、細長い六角形、細長い八角形、または図示はしないが、それらの角部が円弧状のもの等、種々の形状に作ることができる。
例えば、ミシン目14が長円形の場合、このミシン目14に沿って包装袋11を切って開口部16を作ると、開口部16の端部の形状が半円形に作られるので、吸収性物品21を何回も取り出しても、開口部16が破断されにくい。また、開口部16を作る際に円弧状の部分からミシン目14が切りやすくなる利点がある。
また、角部が丸い、長方形、細長い六角形、細長い八角形等にミシン目14が作られている場合も上記同様に、吸収性物品21を何回も取り出しても、開口部16が破断されにくくなる。また、角部は裂け易いため開け口として用いると便利である。
【0026】
さらにミシン目14が前後面111側の少なくとも一面の一部にまで作られている場合、前後面111側の吸収性物品21間と包装袋11との間には隙間があり、また、折り部25とは反対側にも、折った吸収性物品21間と包装袋11との間に隙間があるので、それらの隙間にミシン目14部分の包装袋11押し込めるようにすることで、ミシン目14が切れ始まり易くなる。したがって、ミシン目14は切り易さの観点からも、前後面111側の少なくとも一面の一部に至るように作られることが好ましい。
【0027】
上記ミシン目14は、閉じた線で構成されたものであるが、ミシン目14を切って作られる開口部16は、吸収性物品21を手前側に係合部23と係合可能な部位24とを引き剥がすように取り出し可能な大きさであり、かつ吸収性物品21の取り出し時に次に取り出される吸収性物品21が該開口部16の内側に留め置かれる大きさを有するものであれば、図8に示すような、2本の交差線141,142であってもよい。この2本の交差線141,142に沿って包装袋11を切り、切った包装袋11の部分を交差線141,142の隣接する端部を結ぶ線(図面では2点鎖線で示す線)で折り返すことによって、開口部16が形成される。
【0028】
上記実施形態では、吸収性物品21が2段に収納されている包装構造体10について説明したが、吸収性物品21は1段に収納されていても、また吸収性物品21が3段以上に収納されていても、各段の吸収性物品21の収納位置に対応した上記ミシン目14が作られているものであれば、上記説明した各構成を採用することができる。
複数段に吸収性物品21が収納されている包装袋11から吸収性物品21を取り出す場合、まず上段側からミシン目14に沿って包装袋11を切って開口部16を作り、その開口部16から上段側の吸収性物品21を取り出す。この上段側の吸収性物品21の取り出しが完了してから、次の段のミシン目14に沿って包装袋11を切って開口部16を作り、その開口部16から当該段の吸収性物品21を取り出していく。よって、包装袋11内に複数段に収納されている吸収性物品21を上段側から順次容易に取り出すことができる。
【0029】
また、通常、包装袋11は不透明な袋で作られることが多く、その場合には包装袋11内に収納されている吸収性物品21がどのような配置状態で収納されているのか、外観上、わかりにくい場合がある。そこで、図9に示すように、包装袋11には、その内部に収納された吸収性物品21の折り部25が配される側に、吸収性物品21を折り部25側からとりだすことを示す目印31を有することが好ましい。この目印31は、ミシン目14に沿って包装袋11を切り始める位置を示す目印と共通としてもよい。
上記目印31としては、例えば、吸収性物品21の折り部25が配される側の前後面111(図示例では前面111F)の表面で、かつミシン目14の外側でミシン目14方向に矢が向くように、目印として矢印を描く。この矢印は、包装袋11の表面に印刷を施すときに同時に印刷されることが好ましい。
このような目印31を有することから、ミシン目14に沿って包装袋11を切り始める位置が明確になり、かつ吸収性物品21の折り部25の配置方向も明確になり、この目印31に近い吸収性物品21の折り部25から該吸収性物品21を引き剥がすことができるので、吸収性物品21の引き剥がしが容易になる。
【0030】
目印31の変形例としては、図10(1)に示すように、ミシン目14の一部を外側に突出させる形態としてそれ自身を目印31として使用する方法がある。さらに、この目印の近傍に「開け口」を示す記載を施したマーク32をつけてもよい。また図10(2)に示すように、ミシン目14が外側に突出した部分14Tが引き剥がし部分であることを示す目印31として矢印吹き出しマークをつける方法が挙げられる。この場合も、目印31に「開け口」を示す記載を施してもよい。
【0031】
次に、上記ミシン目14を包装袋11に作る方法の一例を以下に説明する。
図11(1)に示すように、ガセット加工前の印刷工程などで包装袋11にミシン目14を入れるミシン目加工を施す。このとき、包装袋11の表裏同時にミシン目14が作られる。そのため、図11(2)に示すように、包装袋11の左右側面112側からみて左右対称にミシン目14を作ることに適している。その後、包装袋11にガセット構造を作るガセット加工を行う。この結果、前後面111に作られるミシン目14は、ガセット構造の折り込みの長さより短く作ることができる。
【0032】
一方、ガセット折りを行った後にミシン目14を作ることは困難である。例えば、図12(1)に示すように、ガセット折りを行った包装袋11に、前後面111側に作られるミシン目14の長さを短くしようとすると、図面の点線で示す範囲内でミシン目14を作らなければならない。この結果、左右側面112の中央部にミシン目14が作られない領域が存在することになる。これでは、ミシン目14が不連続になり、ミシン目14に沿って包装袋11を切ることで開口部をつくることができない。
このため、図12(2)に示すように、ガセット折りを行った包装袋11にミシン目加工を行う場合、折り部全てにミシン目14を作らなければ、左右側面112に連続したミシン目14を作ることはできない。このため、前後面111に作られるミシン目14の長さL1は左右側面112のガセット部に作られるミシン目14の長さL2よりも長くなる。このようなミシン目14では、ミシン目14に沿って包装袋11を切り取って開口部を作ると、開口部が大きくなりすぎるという問題が生じる。したがって、ミシン目14は、ガセット加工前に作ることが好ましい。
【0033】
ガセット折りを中心として左右非対称のミシン目を入れる作製方法は、包装フィルム作製の製袋工程において、袋状に加工する前のシート状の段階でミシン目を入れることで可能となる。包装袋の作製方法の一例としては、インフレーション加工、印刷、製袋加工の順に行う。インフレーション加工は、印刷するため開いてフィルム状に加工する工程であり、製袋加工は、袋状に加工し、折り加工を施し、ミシン目加工する工程である。通常は折り加工後にミシン目加工を行うが、左右非対称のミシン目を入れる場合は、袋状にする工程の前工程のシートの状態でミシン目加工を行い、その後で袋状加工および折り加工を行うことで可能となる。
【0034】
本発明の吸収性物品の包装構造体は、吸収性物品同士が係合しあっているような収納状態の吸収性物品を一枚ずつ手前側に引き剥がすようにして取り出すとともに、残余の吸収性物品を包装体中に乱さず留め置くことが可能になる。特に、吸収性物品の外装面が風合いを考慮した不織布で構成されているような場合には、包装体中で吸収性物品同士が係合し易くなっており、取り出しにくいとともに外装面に毛羽が生じ易くなることがあるが、本発明の包装構造体であれば、そのような課題にも十分に対応するものである。
【符号の説明】
【0035】
10 吸収性物品の包装構造体
11 包装袋
14、14B ミシン目
16 開口部
21,21A,21B 吸収性物品
22 外装面
22A 外装面の第1面
22B 外装面の第2面
23 係合部
24 係合可能な部位
25 折り部
31 目印
111 前後面
111F 前面
111B 後面
112 左右側面
112L 左側面
112R 右側面
113 天底面
113T 天面
113B 底面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の吸収性物品を包装袋内に収納してなる吸収性物品の包装構造体であって、
前記包装袋は、前後面、左右側面および天底面を備え、該左右側面にガセット構造を有し、
前記吸収性物品は、着用時に肌側に位置する面と反対側に外装面を備え、前記外装面を外側にして折畳まれ、折畳まれた前記外装面の第1面に係合部を有し、前記第1面の反対側の該外装面の第2面に前記係合部と係合可能な部位を有し、隣り合う吸収性物品の前記係合部と前記係合可能な部位とが係合し得る状態で、かつ前記左右側面に平行に配され、
前記包装袋の少なくとも前記左右側面の一方の面に吸収性物品取り出し用の開口部が作られるミシン目があり、
前記ミシン目を切って作られる開口部は、係合した状態の前記吸収性物品を手前側に引き剥がすように取り出し可能な大きさであり、かつ吸収性物品の取り出し時に次に取り出される吸収性物品が該開口部の内側に留め置かれる大きさである吸収性物品の包装構造体。
【請求項2】
前記開口部は、前記包装袋に収納された前記折畳んだ吸収性物品の高さ方向の長さより前記開口部の高さ方向の長さが短いこと、および前記包装袋に収納された前記折畳んだ吸収性物品の幅方向の長さより前記開口部の幅方向の長さが短いことのいずれか一方または両方を満たす
請求項1に記載の吸収性物品の包装構造体。
【請求項3】
前記ミシン目は、前記左右側面の一面から前記前後面の一方の面の一部または両方の面の一部に至る
請求項1または請求項2に記載の吸収性物品の包装構造体。
【請求項4】
前記ミシン目は、前記左右側面の一方の面から前記折畳んだ吸収性物品の折り部側が配される側の前記前後面の一部に至る
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の吸収性物品の包装構造体。
【請求項5】
前記包装体は、その内部に収納された前記吸収性物品の折り部が配される側に、前記吸収性物品を折り部側からとりだす目印を有する
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の吸収性物品の包装構造体。
【請求項6】
前記包装袋内に前記吸収性物品が複数段に収納され、各段の吸収性物品に対応した前記ミシン目が少なくとも前記左右側面の一方の側面に作られている
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の吸収性物品の包装構造体。
【請求項7】
前記係合可能な部位が不織布から構成される前記外装面である
請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の吸収性物品の包装構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−49465(P2013−49465A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188546(P2011−188546)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】